説明

用紙搬送装置及び画像記録装置

【課題】
複数の吸引孔からエアを吸引しながら循環駆動する無端ベルトの上面に用紙を吸着して搬送する用紙搬送装置において、用紙の幅や搬送位置に関わらず安定した吸着力を、複雑な制御を伴うことなく、かつ低コストで得る。
【解決手段】
ベルト搬送面40aの下方に設けられ、吸引ファン156により内部を負圧にする吸引室151を設け、この吸引室151の下面に吸引ファン156に通じる吸気口153aが設けられるとともに、この吸引室151を搬送面40aと平行な方向に複数に区分けする区分け板154、155が、吸気口153aを横切って設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙搬送装置に関し、特に用紙を搬送しながら該用紙に画像を記録する画像記録装置に用いられる用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙の幅よりも広い幅にわたってインク吐出ノズルを並べて配置したラインヘッドを用い、このラインヘッドの下方を通過する用紙に対してインクを吐出して、用紙面に画像を形成するライン型インクジェット記録装置が、広く使われている。
【0003】
ライン型インクジェット記録装置は、その記録精度を保つため、用紙が平面を保ちながら一定の速度でラインヘッドの下を通過するようにする必要がある。このため、ラインヘッドの下方の所定範囲に、複数設けられたエア吸引孔からエアを吸引しながら走行する搬送ベルトが設けられ、このベルト上面に用紙が吸着され搬送されることによって、用紙がラインヘッドの下方で搬送ベルトから浮いてしまったり、搬送ベルトとの間に滑りが生じたりして、形成される画像が乱れるのを防いでいる。
【0004】
しかし、この吸引範囲よりも幅の狭い用紙を搬送する場合は、幅方向において用紙から外れる部分の吸引孔は用紙搬送中もふさがれることが無く、その分用紙の吸着力が弱くなる。また、用紙の先端または後端が吸引範囲内に存在する間も、先端の前方あるいは後端の後方に塞がれていない孔が存在するため、吸引力が弱くなる。
【0005】
このため従来は、吸引室を複数に分けて個別に吸引ファンを配置して、搬送される用紙の幅に応じて動作させる吸引ファンの数を変えたり(例えば特許文献1参照)、1個の吸引源から複数に分けた吸引室の各々に通じるエア通路にバルブを設けて開閉制御したり(例えば特許文献2参照)して対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−215373
【0007】
【特許文献2】実開平2−7242
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし上記特許文献1の装置では、分けた吸引室の数と同数の吸引ファンを設け、さらに用紙の幅に応じて各吸引ファンの動作を制御する必要があり、材料費が高価かつ制御が複雑になる。さらに特許文献2の装置では、各々のバルブを駆動するための、ソレノイド等の駆動手段が必要となり、用紙の位置に応じて各々の駆動手段を制御しなければならない。従ってこちらもコストアップと制御の複雑化が避けられないという問題がある。
【0009】
本発明は、用紙の幅や搬送位置に関わらず安定した吸着力が得られる用紙搬送装置を、特段の制御を伴うことなく、低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の用紙搬送装置の第1の態様は、複数の吸引孔が形成され、用紙を搬送する搬送面を上側に形成するように循環駆動する無端ベルトを有し、前記搬送面の下方に、エア吸引源によりエアを吸引して内部を負圧にする吸引室を設け、この吸引室上面に設けられた吸引用開口と前記吸引孔を通じて用紙を前記搬送面に吸着する用紙搬送装置において、前記吸引室の下面に前記エア吸引源に通じる吸気口が設けられるとともに、前記吸引室を前記搬送面と平行な方向に複数に区分けする区分け板が、前記吸気口を横切って前記吸引室内に設けられていることを特徴とする用紙搬送装置である。
【0011】
また、第2の態様は、第1の態様における区分け板は、前記吸引室を少なくとも3室以上に区分けするとともに、区分けされたすべての吸引室に前記吸引口が通じるように、区分け板が前記吸引口上で交差あるいは分岐するように構成されていることを特徴とする用紙搬送装置である。
【0012】
この第1及び第2の態様によれば、エア吸引源に通じる吸気口を横切って区分け板が設けられている。従って、1つの吸引源により負圧を形成する吸引室を複数の部分に分け、吸引力を各々の部分に作用させることができる。したがって、吸引源の数を増やす必要がなく、構造もきわめて簡単であるので、コストを抑制することができる。また、複数設けた各々のファンや、弁機構を制御する必要がないので、複雑な制御が必要無い。したがって、用紙の幅や搬送位置に関わらず安定した吸着力が得られる用紙搬送装置を、低コストかつ簡単な制御で実現することができる。
【0013】
また、第3の態様は、第1または第2の態様における用紙搬送装置が組み込まれるとともに、この用紙搬送装置で吸着搬送される用紙に画像を記録する記録手段を有することを特徴とする画像記録装置である。
【0014】
この第3の態様によれば、画像が記録される用紙の吸着搬送を低コストで安定させることができるので、低コストで記録性能の安定した画像記録装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、用紙の幅や搬送位置に関わらず安定した吸着力が得られる用紙搬送装置を、簡単な制御かつ低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像記録装置10を模式的に示す正面図である。
【図2】ベルト搬送機構40の斜視図である。
【図3】図2からベルト140を除いた図である。
【図4】図3からさらにプラテン板143を除いた図である。
【図5】ベルト搬送機構40からベルト140とプラテン板143とを除いた上面図である。
【図6】従来技術のベルト搬送機構の用紙搬送時のエアの動きを示す図である。
【図7】本発明のベルト搬送機構40の用紙搬送時のエアの動きを示す図である。
【図8】別実施例のベルト搬送機構240を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置10を模式的に示す正面図である。画像記録装置10は、給紙装置12、インクジェット記録装置14、およびスタッカ16を有する。
【0019】
給紙装置12は、給紙テーブル20および給紙機構22を有する。給紙テーブル20は昇降可能となっており、給紙テーブル20は、積載された用紙のうち最上位の用紙が給紙機構22によって給紙可能となる位置まで持ち上げられる。給紙機構22は、給紙テーブル20に積載された用紙の最上位の用紙を送り出す。
【0020】
給紙装置12には、給紙搬送路24、メイン搬送路28の用紙搬送方向上流側(以下、「上流側」という)の部分、および反転搬送路26の用紙搬送方向下流側(以下、「下流側」という)の部分が設けられている。給紙機構22によって送り出された用紙は、給紙搬送路24を通過してメイン搬送路28に搬入される。メイン搬送路28の中途部には、メイン搬送路28から分岐するようリジェクト部30が設けられている。例えば給紙機構22において重送などのエラーが検知された場合、エラーが検知された用紙をリジェクト部30に排出する。このようなエラー検知方法やリジェクト部30の構成は公知であるため説明を省略する。
【0021】
インクジェット記録装置14には、メイン搬送路28の下流側の部分が設けられている。インクジェット記録装置14には、メイン搬送路28を搬送された用紙を搬送するベルト搬送機構40が設けられている。ベルト搬送機構40は、エアの吸引力によって用紙を搬送面40a上に吸着しながら搬送する。
【0022】
ベルト搬送機構40の上方には、複数(本実施形態では2つ)のラインヘッドユニット42が設けられている。このラインヘッドユニット42は、用紙の搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)に直線的に多数配置されたインク吐出ノズルを有するラインヘッドを有する。このラインヘッドから、ベルト搬送機構40上を搬送される用紙に対してインクを吐出し、用紙上に画像を形成する。用紙の幅全体に画像形成するために、用紙の幅方向寸法よりも大きい範囲にインク吐出ノズルを配置されるように、ラインヘッドユニット42は幅方向に複数のラインヘッドを、一部が幅方向にオーバーラップするように並べて設けられている。
【0023】
インクジェット記録装置14は、排出路44、分岐搬送路46、および反転搬送路26の上流側部分を有する。排出路44および分岐搬送路46は、ベルト搬送機構40の下流から互いに分岐するよう設けられており、ベルト搬送機構40から搬送された用紙は、分岐搬送路46または排出路44に送り込まれる。分岐搬送路46の下流側には用紙反転機構48が設けられており、用紙反転機構48に送り込まれた用紙はここで反転され、反転搬送路26に送り出される。送り出された用紙は、再び給紙装置12内でメイン搬送路28に戻される。排出路44に送り込まれた用紙は、スタッカ16に搬出される。スタッカ16は、搬送路60および用紙蓄積部62を有する。排出路44から搬出された用紙は、搬送路60を経て用紙蓄積部62に排出され蓄積される。
【0024】
また、画像記録装置10は、電子制御部70を有する。電子制御部70は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、画像記録装置10内に設けられたアクチュエータの作動などを制御することにより、用紙への画像の記録を制御する。
【0025】
図2はベルト搬送機構40の斜視図である。ベルト搬送機構40は上流側ローラ141と下流側ローラ142が間隔をおいて設けられており、これに幅広のベルト140がかけられている。ベルト140の上面が用紙の搬送面40aを成しており、三角格子状に多数の吸引孔140aが形成されている。ベルト140は搬送面40aが図2における矢印方向に移動するように周回駆動され、下流側ローラ142の軸にはその駆動源が設けられている(図示せず)。給紙装置12側、すなわち図2における右上側から用紙が進入し、搬送面40a上を矢印方向に搬送する。搬送面40aの上方にラインヘッドユニット42が設けられており(図1参照)、搬送面40a上を搬送される用紙に対し、インクが吐出されて画像が形成される。
【0026】
図3は図2からベルト140を除いた図である。ベルト140の裏側にはプラテン板143が設けられている。プラテン板143にはエア吸引用開口143aが多数設けられている。エア吸引用開口143aは、用紙搬送方向に長い長穴であり、ベルト140の吸引孔140aの幅方向の位置と一致するように、幅方向に並列して設けられている。このプラテン板143の裏側には、吸引ファンでエアを吸引することによって内部を負圧にされる吸引室が設けられ、エア吸引用開口143aはこのエア吸引室に通じる。したがって、エア吸引用開口143aを通じて、搬送面40a上の吸引孔140aからエアが吸引され、搬送面40a上の用紙は搬送面40aに吸着される。
【0027】
図4は図3からさらにプラテン板143を除いた図である。プラテン板143の裏側には、用紙搬送方向の順に、3個の吸引室151,161,171が並んで設けられている。最も上流側の吸引室151は、四方を壁板152a、152b、152c、152dで囲まれており、底面に底板153を形成し、これに加えて上面のプラテン板143によって、6面の内面を有する空間を形成している。この吸引室151の内部空間を幅方向に分割するように、用紙搬送方向に平行な縦区分け板154が設けられている。さらに吸引室151の内部空間を搬送方向に分割するように、幅方向に横区分け板155が設けられている。縦区分け板154と横区分け板155とは、吸引室151の略中央部で交差しており、吸引室151の内部空間を4つの空間に区分けしている。この縦区分け板154と横区分け板155の上辺とプラテン板143、下辺と底板153、側辺と壁板との間は完全に接触してシールされていても良いが、1mm以下程度の若干の隙間を有していても良い。すなわち本発明の効果を損なわない程度に、互いに区分けされた空間同士の間でのエアの出入りを規制できれば良い。
【0028】
底面153の裏側には吸引ファン156が取り付けられている。吸引ファン156はエア吸引口156aが、底面153に形成された吸気口153aに面するように取り付けられている。そして吸気口153aは、縦区分け板154と横区分け板155との交差部分の下方に設けられる。すなわち、吸引ファン156のエア吸引口156aが、縦区分け板154と横区分け板155とで区分けて形成される4つの空間の各々に通じるように、縦区分け板154と横区分け板155とが吸気口153aを横切って構成されている。吸引室151の用紙搬送方向下流側に隣接して吸引室161が設けられており、吸引室151と同様に縦区分け板164と横区分け板165によって4つの空間に区分けされている。そして底板163に形成された吸気口163aからエアを吸引するように吸引ファン166が取り付けられ、この吸気口163aの上方で縦区分け板164と横区分け板165とが交差している点も同様である。
【0029】
さらに吸引室161の用紙搬送方向下流側に隣接して吸引室171も同様に、縦区分け板174と横区分け板175によって4つの空間に区分けされ、底板173に形成された吸気口173aからエアを吸引するように吸引ファン176が取り付けられるとともに、この吸気口173aの上方で縦区分け板174と横区分け板175とが交差している。
【0030】
図5は、ベルト搬送機構40からベルト140とプラテン板153とを除いた上面図である。矢印が用紙搬送方向である。図5における右側から左側に向かって、順に吸引室151,161,171が配置されている。吸引室151において、縦区分け板154と横区分け板155とは吸気口153a上で交差し、その交差点C1と吸気口153aの中心とが略一致するように配置されている。さらに交差点C1は、下方に配置された吸引ファン156のファン回転軸とも一致しており、吸引ファン156のスピナー156bは吸気口153aよりも小径である。この構成によって、吸引ファンの156の吸引力が、4つに区画した各空間に確実に、かつ均等に及ぶようになっている。
【0031】
吸引室161においても同様に、縦区分け板164と横区分け板165との交差点C2が吸気口163aの中心、及び吸引ファン166の回転中心と略一致するとともに、スピナー166bは吸気口163aよりも小径である。さらに吸引室171においても同様に、縦区分け板174と横区分け板175との交差点C3が吸気口173aの中心、及び吸引ファン176の回転中心と略一致するとともに、スピナー176bは吸気口173aよりも小径である。
【0032】
図6は吸引室に区分け板が無い場合、すなわち従来技術のベルト搬送機構の用紙搬送時のエアの動きを示す図であって、吸引室151を幅方向に切断した断面を模式的に示している。本発明のベルト搬送機構40の部材と機能、形状が同一の部材には、本発明と同一の番号を付して示す。
【0033】
ベルト140上には用紙Pが載置され、搬送されている。用紙Pの幅L2はベルト140の幅L1の略半分であり、図示左側の搬送基準ラインSに左端を合わせて搬送される。吸引室151の下面には吸引ファン156が取り付けられ、底面153に形成された吸気口153bからエアを吸引するので、吸引室151内全体に負圧が形成される。吸引室151の上面を形成するプラテン板143の吸引用開口143aと、ベルト140の吸引孔140aとを通じて、矢印D1で示す方向にエアが吸引されるので、用紙Pはベルト140に吸着される。しかし、用紙Pが無い範囲では、吸引孔140aが開放されているから、矢印D2で示す強いエア流が発生する。吸引ファン156による吸引エア流の大半が、開放されている吸引孔140aから逃げてしまうため、用紙Pを吸着するように作用するエアが不足し、吸着不良が発生する。吸着不良により用紙が搬送面40aから浮いてしまうと、用紙面が曲面となり、正常な画像形成ができなくなってしまう。
【0034】
図7は本発明のベルト搬送機構40の用紙搬送時のエアの動きを示す図である。本発明においては、縦区分け板154によって吸引室151は左側と右側に分けられているとともに、縦区分け板154は吸引ファン156の回転軸の真上に存在している。吸引室151の左側部分に通じる吸引孔140aは、用紙Pにより完全にふさがれている一方、右側部分に通じる吸引孔140aの大半は開放状態である。しかし、吸気口153aを通じ、吸引ファン156の吸引力は左側部分にも右側部分にも及ぶから、右側部分の吸引孔140aが開放されていても、吸引力が左側部分にも及ぶので、左側部分内に負圧が形成され、用紙Pを十分な吸着力で吸着することができる。さらにスピナー156bよりも吸気口153aの方が大径であるので、スピナー156bの周囲に発生する吸引力が十分に吸引室151内に及ぶようになっている。
【0035】
左側の吸引室の幅L3よりも、用紙Pの幅L2が小さい場合は、左側の吸引室に通じる吸引孔140aのうちの一部が開放されることになるが、この開放された吸引孔140aからは、縦区分け板154により確保された左側の吸引室内の吸引力の一部のみが逃げるに過ぎない。したがって本発明によれば、従来技術に比べて吸引力の損失を最小限に抑制し、安定した搬送が可能になる。さらに吸引室161,171においても同様に構成されているので、ベルト搬送機構40全長にわたって良好な吸着性能を発揮し、安定した搬送が可能になる。
【0036】
図6の装置(横区分け板155が存在しない従来技術の搬送機構)では、用紙の先端が吸引室の上流側端に達してから吸引室の下流側端に達するまでの間は、用紙の先端よりも下流側の吸引孔140aがすべて開放されてしまう。したがって、用紙の先端が吸引室の上流側端を通過してから、その用紙が吸引室に通じる吸引孔140aの大半を塞ぐまでの間は、吸引力の大半が逃げてしまい、吸着不良が発生する。
【0037】
しかし本発明によれば、横区分け板155によって吸引室151が上流側部分と下流側部分とに分けられており、その各々に吸引ファン156の吸引力が及ぶようになっている。したがって、用紙が吸引室151の前記上流側部分を覆った時点で、吸引室151の前記上流側部分の吸引力により用紙は確実に吸引される。用紙の先端が吸引室151の上流側端に達してから、前記上流側部分を完全に覆うまでの間は、前記上流側部分の一部の吸引孔140aが開放状態となるが、前記上流側部分に確保されている吸引力の一部のみが逃げるに過ぎないから、従来技術に比べて吸引力の損失を最小限に抑制し、安定した搬送が可能になる。さらに吸引室161,171も同様に構成されているので、ベルト搬送機構40全長にわたって良好な吸着性能を発揮し、安定した搬送が可能になる。
【0038】
さらに、図5及び図7に示すように、吸引ファン156は吸引室151の底面153の裏側に直接取り付けられている。その取り付け位置は、縦区分け板154と横区分け板155とが交差する点C1と、吸引ファン156の回転軸位置とが一致する位置である。そして底面153の吸気口153aの中心は、ファンの回転軸位置と一致しており、さらに吸気口153aは吸引ファン156のスピナー156bよりも大径である。縦区分け板154と横区分け板155はこの吸気口153aの直上で直交しているので、吸気口153aのうち、区分け板で4分割された各部分通じる面積が互いに等しくなっている。したがって、スピナー156bの周囲に発生する吸引力が、区分け板で区分けされた吸引室の各部分に、直接均等に作用する。さらに吸引室161,171も同様に構成されているので、ベルト搬送機構40全長にわたって、区分けされた各部分に通じる面積がすべて等しくなるから、均等にエア吸引力を作用させることができる。しかも吸引室の底面の裏側に吸引ファンを直接装着しており、ダクトや弁を用いることなく、1つの吸引ファンの吸引力を複数部分に作用させることができるので、きわめて構成が簡単であるから、コストを低く抑えることができる。
【0039】
図8は別実施例のベルト搬送機構240を示す図である。ベルト搬送機構40と形状・機能が同一の部品には同一の番号を付す。図8においては、ベルト140とプラテン板143とが省略されている。
【0040】
ベルト搬送機構240は、第1縦区分け板254、第2縦区分け板255、横区分け板256を有し、この3枚の区分け板が交差して設けられ、その交差点C21は吸引ファン156の回転軸と一致している。3枚の区分け板は交差点C21において、各々隣り合う区分け板とのなす角θが60°に形成されている。すなわち、各区分け板によって吸引室151が6個の部分に分割されており、底面153の吸気口153aのうち、6分割された各々の部分に通じる部分の面積がすべて等しくなる。したがって、各部分に均等に吸引力を作用させることができる。ベルト搬送機構240は、第1縦区分け板254、第2縦区分け板255が、吸引室151を幅方向に略3分割するように配置されており、分割させた各々の部分に個別に吸引力を作用させることができるから、幅方向サイズの異なる様々な用紙に対して、吸引力の損失をより低減させることができる。また、分割した部分の一部が幅方向の中央に位置しているから、用紙がセンター基準で搬送される場合に適した形態である。吸引室161,171も同様に構成されているから、ベルト搬送機構240全長にわたって、吸引力の損失を抑制できる。なお、搬送方向に多数分割するように区分け板を配置しても良いし、さらに多数に分割するように区分け板を配置してもよい。
【0041】
また、吸気口153aにおける、区分け板によって区分けた各部分と通じる部分の面積比が、各部分の各々の体積に比例するように、区分け板を設けてもよい。各部分の体積に応じた分だけ吸引力が配分されることになり、より均一な吸引力が得られることになる。
【符号の説明】
【0042】
12 給紙装置、14 インクジェット記録装置、16 スタッカ、40 ベルト搬送機構、40a 搬送面、42 ラインヘッドユニット、140 ベルト、140a 吸引孔、143 プラテン板、143a 吸引用開口、151 吸引室、153 底面、153a 吸気口、154 縦区分け板、155 横区分け板、156 吸引ファン、156a エア吸引口、156b スピナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸引孔が形成され、用紙を搬送する搬送面を上側に形成するように循環駆動する無端ベルトを有し、
前記搬送面の下方に、エア吸引源によりエアを吸引して内部を負圧にする吸引室を設け、この吸引室上面に設けられた吸引用開口と前記吸引孔を通じて用紙を前記搬送面に吸着する用紙搬送装置において、
前記吸引室の下面に前記エア吸引源に通じる吸気口が設けられるとともに、前記吸引室を前記搬送面と平行な方向に複数に区分けする区分け板が、前記吸気口を横切って前記吸引室内に設けられていることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記区分け板は、前記吸引室を少なくとも3室以上に区分けするとともに、区分けされたすべての吸引室に前記吸引口が通じるように、区分け板が前記吸引口上で交差あるいは分岐するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の用紙搬送装置が組み込まれるとともに、この用紙搬送装置で吸着搬送される用紙に画像を記録する記録手段を有することを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−6638(P2013−6638A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138944(P2011−138944)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】