説明

用紙集積装置、後処理装置及び画像形成システム

【課題】薄紙及びカールした用紙が後処理の対象となる場合でも、用紙束が撓んだ状態で後処理を受けることを防ぎ、用紙束に対する後処理の精度を向上すること。
【解決手段】案内部材は、傾斜面240Aを有し、後処理対象の用紙を傾斜面240Aの傾斜方向に案内する。用紙保持部246は、傾斜面240A上の用紙を保持し、傾斜方向に移動可能である。ストッパー部材261は、傾斜面240A上を滑落する各用紙Sの傾斜下方端部を受け止めて傾斜面240A上に用紙束SSを形成する。グリッパー部材263は、傾斜面240A上の用紙束SSの傾斜下方端部SSaをグリップする。押さえ部材264は、グリッパー部材263により用紙束SSの傾斜下方端部SSaがグリップされるときに、用紙束SSの撓み部Fを用紙束SSの上面側から傾斜面240A側へ押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙集積装置、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
後処理装置は一般に、複写機及びディジタル複合機等の画像形成装置に接続された画像形成システムの形態にて使用され、画像形成装置から順次受け入れた用紙に対して綴じ処理及び折り処理等の後処理を行うものである。
【0003】
通常、後処理装置は、受け入れた用紙をスタッカーに順次積載して1冊分の用紙束を形成し、形成された用紙束に対して後処理を行う。
【0004】
例えば特許文献1に記載されている従来の後処理装置では、傾斜した用紙積載面に積載された用紙束の下端(先端)を受け止めるストッパー部材が、用紙束の下端をグリップする部材と一体で、中綴じ位置から、より下方の中折り位置まで移動する。この構成では、用紙束をグリップした状態でストッパー部材を移動させるため、ストッパー部材の移動速度を上げても用紙束をストッパー部材の移動に追従させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−196779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の後処理装置においては、腰の弱い薄紙(低坪量の用紙(例えば、坪量65g/s以下の用紙))が、後処理の対象となる場合がある。また、後処理対象の用紙が、スタッカーに導入される時点で既にカールしている場合もある。これらのような場合には、用紙束がスタッカー上で撓み、その結果として用紙束の綴じ位置又は折り位置の不整合を生じる虞がある。
【0007】
本発明の目的は、薄紙又はカールした用紙が後処理の対象となる場合でも、用紙束が撓んだ状態で後処理を受けることを防ぎ、用紙束に対する後処理の精度を向上することができる用紙集積装置、後処理装置及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る用紙集積装置は、
傾斜面を有し、後処理対象の用紙を前記傾斜面の傾斜方向に案内する案内部と、
前記傾斜面上の用紙を保持し、前記傾斜方向に移動可能な用紙保持部と、を有し、
前記用紙保持部は、
前記傾斜面上を滑落する各用紙の傾斜下方端部を受け止めて前記傾斜面上に用紙束を形成する受け止め部と、
前記傾斜面上の前記用紙束の傾斜下方端部をグリップするグリップ部と、
前記グリップ部により前記用紙束の傾斜下方端部がグリップされるときに、前記用紙束の撓み部を前記用紙束の上面側から前記傾斜面側へ押圧する押さえ部と、
を有する。
【0009】
本発明に係る後処理装置は、
上記の用紙集積装置と、
前記傾斜面上の前記用紙束に後処理を施す後処理実行部と、
を有する。
【0010】
本発明に係る画像形成システムは、
上記の後処理装置と、
前記後処理を施される前の用紙に画像を形成する画像形成装置と、
を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薄紙及びカールした用紙が後処理の対象となる場合でも、用紙束が撓んだ状態で後処理を受けることを防ぎ、用紙束に対する後処理の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムを示す図
【図2】画像形成システムの後処理装置において中綴じ・中折りの処理が行われる後処理部を示す図
【図3A】図2の後処理部の用紙保持部を示す図
【図3B】用紙保持部において用紙束を形成した状態を示す図
【図3C】用紙保持部において受け止めた用紙束が撓んだ状態を示す図
【図3D】用紙保持部において用紙束を保持した状態を示す図
【図4】用紙保持部の押さえ部材と案内部材との位置関係を示す図
【図5】用紙保持部の押さえ部材と屋根部材との位置関係を示す図
【図6】用紙保持部の押さえ部材と中綴じ位置又は中折り位置との位置関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの構成を概略的に示す図である。図1に示すように、画像形成システム1は、電子写真方式により用紙に画像形成を施す画像形成装置10と、画像形成装置10の後段に配置され、綴じ処理や折り処理等の後処理を用紙に施す後処理装置20と、から構成されている。画像形成装置10は、本実施の形態ではモノクロ画像を形成可能な構成であるが、いわゆるタンデム型の構成のようにフルカラー画像を形成可能な構成であっても良い。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置10は、自動原稿送り装置(ADF)11、原稿読取部12、画像処理部13、画像書込部14、画像形成部15、定着部16、用紙搬送部17、操作表示部18、及び制御部19を有する。
【0016】
操作表示部18は、タッチパネル式の画面を有する表示装置である。ユーザが行う各種の指示及び設定のための入力操作は、タッチパネル式の画面を介して行うことができる。これら指示・設定の情報は、ジョブ情報として制御部19により扱われる。ジョブ情報としては、用紙サイズ、プリント枚数、必要な後処理、及び1冊あたりの用紙枚数(綴じ処理を行う場合)等がある。なお、後処理装置20の後処理動作に関連するジョブ情報は、後処理装置20に転送される。
【0017】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を有しており、CPUで所定の制御プログラムを実行することにより、画像形成装置10及び後処理装置20の双方の制御を行う。制御部19は、操作表示部18により入力されたジョブ情報に従って画像形成装置10の画像形成動作を制御すると共に、後処理装置20を画像形成装置10の画像形成動作に連動させる。
【0018】
原稿読取部12は、ADF11によりコンタクトガラス上に搬送された原稿、或いはコンタクトガラス上に載置された原稿を、光学的に走査し、原稿からの反射光を、CCD(Charge Coupled Device)センサの受光面上に結像させ、原稿を読み取る。
【0019】
画像処理部13は、アナログディジタル(A/D)変換処理を行う回路及びディジタル画像処理を行う回路を主として含む。画像処理部13は、前述の原稿読み取りの結果としてCCDセンサにより取得されたアナログ画像信号から、A/D変換処理によりディジタル画像データを生成する。さらに、画像処理部13は、このディジタル画像データに、シェーディング補正及び画像圧縮処理等を施す。画像処理部13は、これらの処理を施されたディジタル画像データを、画像書込部14に出力する。
【0020】
画像書込部14は、半導体レーザーで構成されており、画像処理部13からのディジタル画像データに基づいてレーザー光を発光し、これを、画像形成部15の感光体ドラムに照射することにより、この感光体ドラム上に静電潜像を形成する(露光工程)。
【0021】
画像形成部15は、上記の感光体ドラムに加え、帯電工程、現像工程、転写工程及びクリーニング工程をそれぞれ実行するための構成を有する。露光工程前に行われる帯電工程では、画像形成部15は、帯電装置からのコロナ放電により、感光体ドラム表面を一様に帯電させる。露光工程後に行われる現像工程では、画像形成部15は、現像装置内の現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム上の静電潜像に付着させることにより、感光体ドラム上にトナー像を形成する。現像工程後の転写工程では、画像形成部15は、転写装置からのコロナ放電により、感光体ドラム上のトナー像を、用紙搬送部17により搬送された用紙S1に転写する。転写工程後のクリーニング工程では、画像形成部15は、ブラシ等のクリーニング装置を感光体ドラムに接触させることにより、転写工程後の感光体ドラムに残留しているトナーを除去する。
【0022】
定着部16は、一対の回転体によりニップ部を形成する構成を有しており、このニップ部に導入された用紙S1上のトナー像に熱及び圧力を加えることにより、トナー像を用紙S1に定着させる(定着工程)。この結果、用紙S1上には定着トナー像が形成される。
【0023】
定着トナー像が形成された用紙S1は、画像形成装置10の外部に排出され、後処理装置20の内部に導入される。
【0024】
図1に示すように、後処理装置20は、用紙搬送路H0、H1、H2、H3、H4、挿入紙給紙部21、固定排紙皿22a、昇降排紙台22b、下部排紙皿22c、後処理部23、24、及び制御部25を有する。
【0025】
制御部25は、CPU等の演算装置を有しており、CPUで所定の制御プログラムを実行することにより、後処理装置20の制御を行う。制御部25は、画像形成装置10の画像形成動作に連動する後処理装置20の後処理動作を、画像形成装置10から転送されたジョブ情報に従って制御する。
【0026】
用紙搬送路H0は、画像形成装置10から排出された用紙S1を後処理装置20の内部に導入するために、画像形成装置10の排紙部に対向配置された入口部を有する用紙搬送路である。用紙搬送路H0は、その出口部にて用紙搬送路H2、H3に分岐する。
【0027】
用紙搬送路H1は、挿入紙給紙部21に装填された挿入紙を後処理装置20の内部に導入するために、挿入紙給紙部21に接続された入口部を有する用紙搬送路である。用紙搬送路H1の出口部は用紙搬送路H0に合流しており、この構成により、画像形成装置10からの用紙S1間に挿入紙を挿入することができる。以下、用紙S1と挿入紙を総称して用紙Sという。
【0028】
用紙搬送路H2は、後処理の対象とならない用紙Sを搬送して固定排紙皿22aに排出する排紙路である。
【0029】
用紙搬送路H3、H4は、後処理の対象となる用紙Sを搬送してそれぞれ後処理部23、24に供給する用紙搬送路である。
【0030】
後処理部23は、用紙Sに対して平綴じ処理を行うよう構成されている。より具体的には、後処理部23は、用紙Sを積載して用紙束を形成し、この用紙束に対し平綴じ処理を行って冊子を形成し、この冊子を昇降排紙台22bに排出する。
【0031】
後処理部24は、用紙Sの束(図3B等に示す用紙束SS)に対して中綴じ処理及び中折り処理を行うよう構成されており、これらの後処理の結果として得られた冊子を下部排紙皿22cに排出する。
【0032】
図2に概略的に示すように、後処理部24は、案内部材240、屋根部材241、ステープラー242、突き出し板243、曲げローラー対244R、整合板245、及び用紙保持部246を有する。
【0033】
案内部としての案内部材240は、用紙Sの載置面が傾斜面240Aとなるように斜めに配置された板状部材である。傾斜面240Aは、用紙搬送路H4の出口部に配置された送出ローラー対H4Rを介して後処理部24に順次導入される用紙Sを案内する。換言すれば、後処理部24に順次導入される用紙Sは、その自重により、傾斜面240A上を傾斜方向(X方向)の下方に滑落する。用紙保持部246は、傾斜面240A上を滑落する用紙Sを受け止めて用紙束SS(図3B等参照)を傾斜面240A上に形成し、且つこれを保持するよう構成されている。用紙保持部246の具体的構成については後述する。案内部材240と用紙保持部246との組合せは、用紙Sを傾斜面240A上に積載可能なスタッカー(用紙集積装置)を構成する。
【0034】
屋根部材241は、傾斜面240Aに直交する用紙積載方向(Z方向)において案内部材240の上方側に傾斜面240Aから離間して配置された部材であり、後処理部24内の用紙S或いは用紙束SS(図3B等参照)の上面を規制する。
【0035】
ステープラー242は、後処理実行部に含まれる中綴じ処理部を構成する。ステープラー242は、用紙保持部246の位置に対しX方向の上方側に配置されており、傾斜面240A上の用紙束SS(図3B等参照)に対して中綴じ処理を行う。中綴じ処理では、ステープラー242により、用紙束SS(図3B等参照)の後処理対象部である中央部(冊子の見開き中央部に相当。以下「用紙中央部」という)に綴じ針を打針する。傾斜面240A上の打針位置(つまり中綴じ処理位置)は、傾斜面240Aと、ステープラー242の配置位置を示す仮想線L1と、の交差位置である。
【0036】
幅整合部としての整合板245は、X方向及びZ方向の双方に直交する用紙幅方向(Y方向)に離間して配置された一対の板状部材であり、傾斜面240A上の用紙束SS(図3B等参照)の幅方向を、中綴じ処理及び中折り処理の前に整合する。
【0037】
突き出し板243と曲げローラー対244Rとの組合せは、後処理実行部に含まれる中折り処理部を構成する。この中折り処理部は、傾斜面240A上において用紙保持部246とステープラー242との間の位置にあり、傾斜面240A上の用紙束SS(図3B等参照)に対して中折り処理を行う。突き出し板243は、Z方向において案内部材240の上方側に配置されており、曲げローラー対244Rは、Z方向において案内部材240の下方側に配置されている。中折り処理では、突き出し板243を、矢印aの方向に移動させて傾斜面240A上の用紙中央部に突き当てて、用紙中央部を、案内部材240の開放部240Bから曲げローラー対244R側に押し出し、曲げローラー対244Rのニップ部の加圧により折り曲げる。後処理部24での後処理により得られた冊子は、曲げローラー対244Rのニップ部を通過して矢印bの方向に搬送される。中折り位置は、傾斜面240A上で突き出し板243が用紙中央部に突き当たる位置であり、傾斜面240Aと、突き出し板243の配置位置を示す仮想線L2と、の交差位置である。
【0038】
図3Aは、後処理部24の用紙保持部246の構成を概略的に示す図である。図3Aに示すように、用紙保持部246は、ストッパー部材261、回転軸262、グリッパー部材263及び押さえ部材264を有する。
【0039】
受け止め部としてのストッパー部材261は、側方(Y方向)から見てL字状を成す壁面部261aと底面部261bとを有する。壁面部261aは、傾斜面240Aと面一に配置された底面部261bから垂直且つZ方向上方に延在している。ストッパー部材261は、X方向に移動可能な支持ユニット(図示せず)に支持されており、そのためX方向に移動可能である。
【0040】
回転軸262は、ストッパー部材261に対してX方向の下方に且つY方向に対して平行に配置されている。また、回転軸262は、図3Aにおいて時計回り及び反時計回りに回転可能である。さらに、回転軸262は、上記支持ユニットに支持されており、ストッパー部材261と一体化されているため、ストッパー部材261と一緒にX方向に移動可能である。
【0041】
グリップ部としてのグリッパー部材263は、回転軸262に取り付けられ且つ回転軸262からX方向の上方に延在する基部263aと、基部263aの先端に設けられたグリップ爪部263bと、を有する。グリッパー部材263は、回転軸262がストッパー部材261と一体化されていることから、ストッパー部材261と一緒にX方向に移動可能である。また、グリッパー部材263は、回転軸262が双方向回転自在であることから、回転軸262の回転に伴って傾斜面240Aに対して開閉するように動作可能である。
【0042】
押さえ部としての押さえ部材264は、グリップ爪部263bに取り付けられた基部264aと、基部264aの先端に設けられ、グリッパー部材263の先端部263cよりもX方向の上方に突出して先端部(傾斜上方端部)264cまで延在する押さえ面部264bと、を有する。押さえ部材264は、グリッパー部材263に連結されていることから、グリッパー部材263及びストッパー部材261と一緒にX方向に移動可能であり、グリッパー部材263の開閉に同期して傾斜面240Aに対して開閉するように動作可能である。
【0043】
用紙Sが後処理部24(図2)に導入されて傾斜面240A上を滑落すると、その傾斜下方端部Saがストッパー部材261の壁面部261aに当接して、ストッパー部材261に受け止められる。後処理部24(図2)に順次導入される用紙Sをストッパー部材261により受け止めて用紙Sを傾斜面240A上に積載させると、図3Bに示すように、傾斜面240A上には用紙束SSが形成される。後処理部24(図2)に順次導入される全ての用紙Sの傾斜下方端部Saをストッパー部材261で受け止めることにより、用紙束SSの縦方向を整合することができる。
【0044】
ここで、後処理部24(図2)に導入される用紙Sが例えば腰の弱い薄紙である場合には、用紙Sが傾斜面240A上を滑落して壁面部261aに当接する際にその衝撃で撓み、図3Cに示すように、用紙束SSに撓み部Fが発生する可能性がある。このような用紙束SSの撓んだ状態は、従来のように用紙束SSの傾斜下方端部SSaの1点で保持するだけでは矯正されない場合がある。
【0045】
本実施の形態では、前述のようにグリッパー部材263と押さえ部材264とが傾斜面240Aに対して同時開閉するよう結合されているので、図3Dに示すように、グリッパー部材263が傾斜面240Aに対して閉じるとき、押さえ部材264も傾斜面240Aに対して閉じる。押さえ面部264bは、グリップ爪部263bよりもX方向の上方側にあるため、グリップ爪部263bが底面部261bとの間で用紙束SSの傾斜下方端部SSaをグリップすると、押さえ面部264bは、傾斜下方端部SSaよりもX方向の上方側で用紙束SSの上面部SSbを押圧し、傾斜面240Aに押さえ付ける。このように、本実施の形態では、傾斜面240A上の用紙束SSを、1点でなく複数点或いは面で保持することができる。換言すれば、用紙束SSの保持領域を広くとることができる。したがって、傾斜面240A上の用紙束SSにたとえ撓み(図3Cに示す撓み部F)が生じたとしても、その撓みを、上面部SSb側(上面側)から傾斜面240A側へ押圧することができ、これによって確実にその撓みを解消することができる。
【0046】
ここで、押さえ部材264は、可撓性材料から成るものであることが好ましい。押さえ部材264が可撓性を有する場合、用紙束SSを押圧するときの押さえ部材264の撓みが用紙束SSの厚さ(積載枚数)によって変化する。よって、用紙束SSが薄くても厚くても確実に用紙束SSの保持領域を広くとることができる。
【0047】
また、押さえ部材264は、グリッパー部材263と異なる材質であることが好ましく、特にグリッパー部材263よりも低い摩擦係数を有する材料から成るものであることが好ましい。用紙束SSの上面部SSbが押さえ部材264で押圧されたときに、上面部SSbの用紙が押さえ部材264との摩擦でずれることがないようにするためである。
【0048】
図4は、押さえ部材264と案内部材240との位置関係を示す図である。
【0049】
案内部材240は、傾斜面240A(図3A等)を成すようX方向にそれぞれ延在している。また、案内部材240は、X方向に移動するストッパー部材261の底面部261bを収容可能な開口部240Cを成すよう互いに離間して配置されている。
【0050】
この開口部240Cに被せるように開口部240C上に配置されている押さえ部材264は、案内部材240の離間距離である開口部240Cの幅W1よりも大である幅W2を有する。そのため、押さえ部材264が傾斜面240A(図3A等)に対して閉じるとき、押さえ面部264bの両端部264dが案内部材240に突き当たるため、押さえ面部264bは開口部240Cに進入しない。よって、案内部材240上の用紙束SSが押さえ部材264から押圧されたときに、用紙束SSの開口部240C上の部分は開口部240Cに進入しないため、用紙束SSの撓みは生じない。
【0051】
図5は、押さえ部材264と屋根部材241との位置関係を示す図である。
【0052】
屋根部材241は、YZ平面上の屋根部材241の形状がコの字型となるようにX方向に延在する溝部241Aを有する。溝部241Aは、X方向に移動する押さえ部材264を収容可能に形成されている。よって、押さえ部材264は、傾斜面240Aに対して開いても屋根部材241には衝突しない。
【0053】
図6は、押さえ部材264と中綴じ位置又は中折り位置との位置関係を示す図である。
【0054】
用紙保持部246は、図3Dに示すように用紙束SSを保持した状態で、X方向に中綴じ位置(図2の傾斜面240Aと仮想線L1との交差位置)又は中折り位置(図2の傾斜面240Aと仮想線L2との交差位置)まで移動して停止する。これに続いて中綴じ処理又は中折り処理が行われる。このとき、グリッパー部材263及び押さえ部材264は、傾斜面240Aに対して閉じた状態であっても開いた状態であっても良い。いずれの状態であっても、押さえ部材264の先端部(傾斜上方端部)264cが中綴じ位置又は中折り位置よりもX方向の下方側となるように押さえ部材264の長さを設計することが好ましい。例えば、最小で長さ240mmの用紙束SSを120mmに中折りすることが可能である場合、ストッパー部材261の壁面部261aから押さえ部材264の先端部264cまでの距離が120mm未満となるように押さえ部材264の長さを決定すると良い。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、後処理部24の用紙保持部246には、ストッパー部材261及びグリッパー部材263と一緒に移動可能な押さえ部材264が設けられている。そして、押さえ部材264は、グリッパー部材263により傾斜面240A上の用紙束SSの傾斜下方端部SSaがグリップされるときに用紙束SSの上面部SSbを傾斜面240A側へ押圧するように構成されている。そのため、傾斜面240A上の用紙束SSの保持領域を広くとることができる。したがって、たとえ用紙束SSに撓みが生じたとしても、その撓みを、上面側から傾斜面240A側へ押圧することで解消することができる。すなわち、中綴じ処理及び中折り処理が実行される前に用紙束SSの撓みを解消することができるので、用紙束SSが撓んだ状態で中綴じ処理及び中折り処理を受けることを防ぎ、中綴じ処理及び中折り処理の精度を向上させることができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明した。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 ADF
12 原稿読取部
13 画像処理部
14 画像書込部
15 画像形成部
16 定着部
17 用紙搬送部
18 操作表示部
19、25 制御部
20 後処理装置
21 挿入紙給紙部
22a 固定排紙皿
22b 昇降排紙台
22c 下部排紙皿
23、24 後処理部
240 案内部材
240A 傾斜面
240B 開放部
240C 開口部
241 屋根部材
242 ステープラー
243 突き出し板
244R 曲げローラー対
245 整合板
246 用紙保持部
261 ストッパー部材
261a 壁面部
261b 底面部
262 回転軸
263 グリッパー部材
263a、264a 基部
263b グリップ爪部
263c、264c 先端部
264 押さえ部材
264b 押さえ面部
264d 両端部
F 撓み部
H0、H1、H2、H3、H4 用紙搬送路
H4R 送出ローラー対
S、S1 用紙
Sa、SSa 傾斜下方端部
SS 用紙束
SSb 上面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面を有し、後処理対象の用紙を前記傾斜面の傾斜方向に案内する案内部と、
前記傾斜面上の用紙を保持し、前記傾斜方向に移動可能な用紙保持部と、を有し、
前記用紙保持部は、
前記傾斜面上を滑落する各用紙の傾斜下方端部を受け止めて前記傾斜面上に用紙束を形成する受け止め部と、
前記傾斜面上の前記用紙束の傾斜下方端部をグリップするグリップ部と、
前記グリップ部により前記用紙束の傾斜下方端部がグリップされるときに、前記用紙束の撓み部を前記用紙束の上面側から前記傾斜面側へ押圧する押さえ部と、
を有する、用紙集積装置。
【請求項2】
前記用紙束の幅方向を整合する幅整合部を有し、
前記グリップ部は、前記用紙束の幅方向の整合が行われてから前記用紙束の傾斜下方端部をグリップする、
請求項1に記載の用紙集積装置。
【請求項3】
前記押さえ部は、前記グリップ部に連結されている、
請求項1又は2に記載の用紙集積装置。
【請求項4】
前記押さえ部は、前記用紙束の上面部を前記傾斜面側へ押圧した状態で、前記傾斜面上の前記用紙束の後処理対象部を中綴じ位置又は中折り位置に合わせるように移動して停止し、
前記用紙束の後処理対象部が前記中綴じ位置又は中折り位置にあるとき、前記押さえ部の傾斜上方端部は前記中綴じ位置又は中折り位置より前記傾斜方向の下方側に位置する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の用紙集積装置。
【請求項5】
前記案内部は、前記傾斜面を成すよう前記傾斜方向にそれぞれ延在し且つ互いに離間して配置された複数の案内部材を有し、
前記押さえ部は、案内部材間の開口部上に配置されており、
前記押さえ部の幅は、前記開口部の幅よりも広い、
請求項1から4のいずれか1項に記載の用紙集積装置。
【請求項6】
前記押さえ部は、前記グリップ部よりも低い摩擦係数を有する材料から成る、
請求項1から5のいずれか1項に記載の用紙集積装置。
【請求項7】
前記押さえ部は、可撓性材料から成る、
請求項1から6のいずれか1項に記載の用紙集積装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の用紙集積装置と、
前記傾斜面上の前記用紙束に後処理を施す後処理実行部と、
を有する後処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の後処理装置と、
前記後処理を施される前の用紙に画像を形成する画像形成装置と、
を有する画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−52951(P2013−52951A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191582(P2011−191582)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】