説明

甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体−オレキシン受容体のヘテロダイマー/オリゴマー

少なくとも1のオレキシン受容体サブユニットと会合した少なくとも1の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体サブユニットを含んでなる、ヘテロダイマーまたはヘテロオリゴマーの受容体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1のオレキシン受容体サブユニットが会合した少なくとも1の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体サブユニットを含んでなるヘテロダイマーまたはヘテロオリゴマーの受容体に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は、細胞中で単独では作用しないが、タンパク質機能の鍵となる決定要因であるタンパク質−タンパク質相互作用を有する安定な、または一時的な複合体として作用する(Auerbach et al., (2002), Proteomics, 2, 611-623)。さらに、タンパク質およびタンパク質複合体は、DNA、RNAおよび小分子のような他の細胞成分と相互作用する。これらの相互作用に関与する個々のタンパク質およびそれらの相互作用の両方を理解することは、生物学的なプロセスをより理解する上で重要である。
【0003】
中枢神経系(CNS)における甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の機能は、一般的なTRHホメオスタシス系を一緒に含んでなる4つの解剖学的に異なる要素として、Garyにより報告されており(Gary, Keith A., et al., The Thyrotropin-Releasing Hormone (TRH) Hypothesis of Homeostatic Regulation: Implications for TRH-Based Therapeutics, JPET 305:410-416, 2003)、前記4つの要素は、1)視床下部−下垂体刺激神経内分泌系、2)脳幹/中脳/脊髄系、3)辺縁/皮質系、および4)時間生物学系である。
【0004】
Garyは、さらに、CNS活性を修飾および正常化するTRHの包括的な機能の評価は、治療剤としてのTRH自体の固有の制限の評価と共に、著しく広範な臨床的な状況において、単剤療法および他の治療剤に対する補助剤としての代謝的に安定なTRH擬態薬に由来する治療的な利益の合理的な期待を導く。
【0005】
カタプレキシーを伴うナルコレプシーは、約90%の患者において、低いレベルまたは検出不可能なレベルの脳脊髄液(CSF)オレキシン(orexin)Aレベルを伴う(Baumann and Bassetti (2005) Sleep Medicine Reviews 9, 253-268)。オレキシン受容体2遺伝子の変異は、家族性のイヌのナルコレプシーを引き起こし、オレキシンニューロンの損失および低いCSFオレキシンAは、散発性のイヌのナルコレプシーで観察される。急性外傷性の脳の損傷、ギャン−バレー症候群および進行性のパーキンソン症候群から生じる神経学的な障害は、いくつかの場合において、低いレベルまたは検出不可能なレベルのCSFオレキシンAレベルにも関連し得る。Sakuraiは、摂食およびエネルギーホメオスタシスにおける、オレキシンニューロンの活性としてのオレキシン系に対する役割は、グルコースおよびレプチンにより阻害され、摂食を促進する胃由来のペプチドであるグレリン(ghrelin)により刺激されると仮定した。これは、肥満の治療に対して関連を有する(Sakurai (2005) Sleep Medicine Reviews 9, 231-241)。
【0006】
先の議論は、本発明の理解を促進するためのみにある。いずれにしても本発明の以下の記述の範囲または適用を限定するように解釈されるべきではなく、また、議論される情報のいずれも、優先日における当業者の一般的な知識の範囲内であることを認めたものとして解釈されるべきではない。
【発明の開示】
【0007】
本発明者は、オレキシン受容体および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体が関連することを見出した。これは、各受容体に関連する疾患の治療に関して重要な意味を持つ。
【0008】
最近の研究では、GPCRはモノマーとして作用するだけでなく、変化したリガンド結合、シグナリングおよびエンドサイトーシスを引き起こすホモおよびヘテロダイマーとしても作用し得ることが示されている(Rios et al. (2000) Pharmacol. Ther. 92, 71-87)。特定の受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する薬物の効果は、それ故、この受容体の結合相手に依存する。特定の受容体ダイマーにより媒介される細胞性の反応に対する薬物の効果を制限することが望ましい。Milliganが観察したように(Milligan, (2006), Drug Discovery Today, 11, 541-549)、ホモ二量体化および多量体化は薬物送達の分野において限定された意味を有するが、「GCPRへテロダイマーおよびオリゴマーの異なる薬理学、機能および制御は、異なる組織においてGPCRを選択的に標的にする手段、ならびにいくつかの薬理学的な薬剤のインビトロでの機能メカニズムが、単一のGPCRの異種性の発現に依存する単純なリガンドスクリーニングプログラムから予測されるものとは異なり得るというヒントを提唱する」。
【0009】
「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体」または「TRHR」という用語は、脳下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン産生細胞において甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により活性化されるものと類似のGタンパク質共役受容体、ならびに中枢神経系における多くの構造体を含むと解されるべきであり、異なる役割の中で甲状腺刺激ホルモン(TSH)の合成および分泌を刺激する主要な調節性の役割を有し、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体1(TRHR1)と同義である(Gershengorn (2003) Thyrotropin-releasing hormone receptor signaling, in Encyclopedia of hormones. Eds Henry HL and Norman AW. Academic Press. Vol 3; 502-510)。「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体」または「TRHR」は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体2またはTRHR2を意味するとも解され、第2のサブタイプの甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体は、少なくともラットおよびマウスにおいて発現することが既知であり、その機能はまだはっきりとは解明されていない(Gershengorn (2003) Thyrotropin-releasing hormone receptor signaling, in Encyclopedia of hormones. Eds Henry HL and Norman AW. Academic Press. Vol 3; 502-510)。「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体」または「TRHR」という用語は、さらに、新たに発見されたTRHRファミリーのメンバーも含まれると解されるべきである。実施例全体にわたって、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体および頭字語TRHRは、TRHR1を意味する。
【0010】
「オレキシン受容体」または「OxR」という用語は、オレキシン受容体1(OxR1; OXR1; OX1R; ヒポクレチン(hypocretin)-1-受容体; hcrtr 1)またはオレキシン受容体2(OxR2; OXR2; OX2R; ヒポクレチン-2-受容体; hctr 2)を意味するものと解されるべきであり、Sakuraiらにより述べられたものと類似のGタンパク質共役受容体であり、オレキシンA(OxA; ヒポクレチン-1; Hcrt-1)およびオレキシンB(OxB; ヒポクレチン-2; Hcrt-2)により活性化される(Sakurai et al. (1998) Cell 92, 573-585)。「オレキシン受容体」または「OxR」は、さらに、新たに発見されたオレキシン受容体ファミリーのメンバーも含むと解されるべきである。
【0011】
本発明の第1の側面において、少なくとも1のオレキシン受容体サブユニットと会合した少なくとも1の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンを含んでなるヘテロダイマーまたはヘテロオリゴマー受容体を提供する。
【0012】
本発明の第2の側面において、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによる、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者の治療方法を提供する。
【0013】
1つの実施形態において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されてよい。
【0014】
本発明の第3の側面において、治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによる、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者の治療方法を提供する。
【0015】
1つの実施形態において、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されてよい。
【0016】
本発明の第4の側面において、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者の治療のための薬剤を製造する方法であって、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる方法を提供する。
【0017】
1つの実施形態において、前記薬剤は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
【0018】
本発明の第5の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者の治療のための薬剤の製造方法であって、治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる方法を提供する。
【0019】
1つの実施形態において、前記薬剤は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
【0020】
本発明の第6の側面において、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン選択的な結合剤またはその断片を投与することによる、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者の治療方法を提供する。
【0021】
1つの実施形態において、前記甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン選択的な結合剤は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体および/または抗イディオタイプ抗体を含む抗体である。
【0022】
本発明の第7の側面において、治療的に有効な量のオレキシン選択的な結合剤またはその断片を投与することによる、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者の治療方法を提供する。
【0023】
1つの実施形態において、前記オレキシン選択的な結合剤は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体および/または抗イディオタイプ抗体を含む抗体である。
【0024】
本発明の第8の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的な活性についての試験化合物のスクリーニング方法を提供し、前記方法は、
a)オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合すると共に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定することと;
b)オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合すると共に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用する場合、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの非存在下で試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合すると共にオレキシン受容体と相互作用する場合により高い親和性および/または作用強度および/または効力を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体へテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0025】
本発明の第9の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的な活性についての試験化合物のスクリーニング方法を提供し、前記方法は、
a)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合すると共に、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定することと;
b)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合する場合に、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用する場合に、オレキシン受容体の非存在下で試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合すると共に甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用する場合により高い親和性および/または作用強度および/または効力を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0026】
本発明の第10の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的なアンタゴニズムまたは部分的なアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法であって、前記方法は、
a)試験化合物を以下のi)〜iv)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合したオレキシン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第3剤;
iv)オレキシン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体および/または甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアゴニスト
ここで、前記第1および第2のレポーター成分の近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基と甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体との会合を修飾する;
b)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストである場合に、試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合により拮抗性の、もしくは部分的に作動性の特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0027】
本発明の第11の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的なアンタゴニズムまたは部分的なアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、
a)試験化合物を以下に示すi)〜iv)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)オレキシン受容体を含んでなる第3剤;
iv)オレキシン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体および/または甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアゴニスト
ここで、前記第1および第2のレポーター成分の近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基とオレキシン受容体との会合を修飾する;
b)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストである場合に、試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合により拮抗性の、もしくは部分的に作動性の特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0028】
本発明の第12の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的なインバースアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、
a)試験化合物を以下に示すi)〜iii)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合したオレキシン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)恒常的に活性な甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第3剤;
ここで、前記第1および第2のレポーター成分の近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基と甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体との会合を修飾する;
b)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストである場合に、試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのインバースアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のインバースアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合によりインバースアゴニストの特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0029】
本発明の第13の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、
a)試験化合物を以下に示すi)〜iii)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)恒常的に活性なオレキシン受容体を含んでなる第3剤;
ここで、前記第1および第2のレポーター成分の近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基とオレキシン受容体との会合を修飾する;
b)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストである場合に、試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのインバースアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のインバースアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合によりインバースアゴニストの特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0030】
本発明の第8、9、10、11、12および13の側面の方法において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合すると共に、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定するステップ;および/またはオレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンと会合すると共に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定するステップは、出願人の係属中の国際特許出願「Detection System and Uses Therefor」(対応するオーストラリアの仮特許出願2006906292から優先権を主張する)に記載されている1以上の方法で行われてよい。
【0031】
本発明の第14の側面において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーの選択的なアゴニストおよび/またはアンタゴニストおよび/またはインバースアゴニストを提供する。
【0032】
〔図面の説明〕
図1〜3は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との会合が検出されることによる技術の説明である。
【0033】
図1は、分子会合を検出するための系の基礎を形成する剤の組成を示す:第1剤は、第1のレポーター成分と結合した第1の相互作用基を含んでなり;第2剤は、第2のレポーター成分と結合した第2の相互作用基を含んでなり;第3剤は、第3の相互作用基を含んでなる。
【0034】
図2は、好ましくは、単独で第3の相互作用基と相互作用することにより、または同時に第1の相互作用基と作用することにより、修飾因子の投与が第2の相互作用基と第3の相互作用基をどのように会合させるかを示す。
【0035】
図3は、第1の相互作用基と第3の相互作用基が会合した場合に、第2の相互作用基と第3の相互作用基との会合の修飾は、結果として第1のレポーター成分と第2のレポーター成分との近接を修飾し、検出器により検出されるシグナルを修飾することを示す。それ故、第1のレポーター成分と第2のレポーター成分との近接により産生されるシグナルの検出器によるモニタリングは、第1剤と第3剤との会合のモニタリングを構成する。第1の相互作用基と第3の相互作用基が会合しない場合、第1のレポーター成分と第2のレポーター成分は空間的に離れたままであり、検出可能なシグナルの産生はない。
【0036】
図4は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ−アレスチン2(barr2)、RC2としてVenus(ヴィーナス)、およびIG3として異なる種類のGPCRを用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、それぞれ各々のリガンドで処理した後、pcDNA3、オレキシン受容体2 (OxR2)、CXC ケモカイン受容体2(CXCR2)、ヘマグルチンエピトープ標識メラノコルチン受容体3もしくは4 (HA-MC3RもしくはHA-MC4R)、またはドパミンD2受容体ロングフォーム(D2LR)もしくはショートフォーム(D2SR)と共に、TRHR/Rlucおよびbarr2/Venusを一過性に発現しているHEK293細胞を用いて行われた。各受容体に対する異なるリガンド処理(10-6M)は、TRHR/Rlucに対して甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)(pcDNA3と共に); OXR2に対してオレキシンA (OxA); CXCR2に対してインターロイキン-8 (IL-8); HA-MC3R、HA-MC4Rに対してα−メラノサイト刺激ホルモン(a-MSH); D2LRおよびD2SRに対してブロモクリプチン(BROM)とした。
【0037】
図5は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ−アレスチン1(barr1)またはβ−アレスチン2(barr2)、RC2としてEGFP、IG3としてOxR2を用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1を一過性に発現しているHEK293細胞を用いて行われた。
【0038】
図6は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ−アレスチン2(barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてOxR1またはOxR2を用いた場合を示す。eBRET測定は、37℃で、TRHR/Rlucおよびbarr2/Venusと共にpcDNA3、OxR1またはOxR2を一過性に発現しているHEK293細胞において行われ、10-6M OxR1-選択的アンタゴニストであるSB-334867-Aで約40分間前処理した後、10-6M OxA (IG3 リガンド; 修飾因子)もしくは10-6M TRH (IG1リガンド)、またはその両方が加えられた。アンタゴニストがプレインキュベートされない場合、代わりにPBSで同じ時間処理された。
【0039】
図7は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン1 (barr1)またはβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてEGFP、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標識OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1またはEGFP/barr2と共にpcDNA3またはHA-OxR237Cを一過性に発現しているHEK293細胞において行われた。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。リン酸緩衝食塩水(PBS)を溶媒対照として使用した。
【0040】
図8は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IB2としてβ-アレスチン1 (barr1)またはβ-アレスチンリン1リン酸化非依存性変異株R169E (barr1R169E)、RC2としてEGFP、およびIG3としてOxR2を用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1またはEGFP/barr1R169Eと共にpcDNA3またはOxR2を一過性に発現しているHEK293細胞において行われた。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。リン酸緩衝食塩水(PBS)は、溶媒対照として使用した。
【0041】
図9は、IG1として335位のアミノ酸で切断された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR335)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン1 (barr1)、RC2としてEGFP、およびIG3としてOxR2またはTRHRを用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、TRHR335/RlucおよびEGFP/barr1と共にOxR2またはTRHRを一過性に発現しているHEK293細胞において行われた。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。
【0042】
図10は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、IG3なしの場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、TRHの量を増大させながら、TRHR/Rluc、barr2/VenusおよびpcDNA37Cを一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。シグモイドの用量反応曲線は、Prism (GraphPad)を用いてプロットされ、1のヒル勾配(Hill slope)を想定するか、可変性の勾配を与えた。可変勾配に対するヒル勾配およびEC50の値は、グラフ内の表に示されている。
【0043】
図11は、IG1としてOxR2、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenus、およびIG3なしの場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、OxAの量を増大させながら、OxR2/Rluc、barr2/VenusおよびpcDNA3を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。シグモイドの用量反応曲線は、Prism (GraphPad)を用いてプロットされ、1のヒル勾配(Hill slope)を想定するか、可変性の勾配を与えた。可変勾配に対するヒル勾配およびEC50の値は、グラフ内の表に示されている。
【0044】
図12は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenusおよびIG3としてOxR2を用いた場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、OxAの量を増大させながら、TRHR/Rluc、barr2/VenusおよびOxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。シグモイドの用量反応曲線は、Prism (GraphPad)を用いてプロットされ、1のヒル勾配(Hill slope)を想定するか、可変性の勾配を与えた。可変勾配に対するヒル勾配およびEC50の値は、グラフ内の表に示されている。2つの形態のRluc基質(レポーター成分イニシエーター)として、セレンテラジンhおよびEnduRenを用いて作られたカーブが示されている。
【0045】
図13は、IG3としてのOxR2の存在下または非存在下において、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr1、RC2としてEGFPを用いた場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、TRHの量を増加させながら、OxR2の非存在下でTRHR/Rluc およびEGFP/barr1を一過性に同時発現しているHEK293細胞において、ならびに10-6M TRHありまたはなしで、OxAの量を増大させながら、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1と共にOxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。10-6M TRHにより産生されるリガンド誘発シグナル(TRHに由来: TRHR/Rluc + EGFP/barr1 曲線)をOxA: TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2 曲線について得られるそれぞれの点に加えることにより機械的に作られた曲線もプロットされる(TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2: TRH (10-6M) + OxA: 計算されたデータ)。
【0046】
図14は、IG3としてのOxR2の存在下または非存在下において、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr1、RC2としてEGFPを用いた場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、TRHの量を増加させながら、OxR2の非存在下でTRHR/Rluc およびEGFP/barr1を一過性に同時発現しているHEK293細胞において、ならびにOxAの量を増大させながら、またはTRHおよび10-6M OxA の量を増大させながら、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1と共にOxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。10-6M OxA により産生されるリガンド誘発シグナル(OxAに由来: TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2 曲線)をTRH: TRHR/Rluc + EGFP/barr1曲線について得られるそれぞれの点に加えることにより機械的に作られた曲線もプロットされる (TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2: TRH + OxA (10-6M): 計算されたデータ)。
【0047】
図15は、IG1としてTRHR335、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenus、およびIG3としてOxR2を用いた場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、単独または組み合わせてTRHおよびOxAの量を増大させながら、TRHR335/Rluc、barr2/VenusおよびOxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。
【0048】
図16は、各濃度の受容体に対して一定時間にわたって読み取られた累積的なeBRETを示す(IG1およびIG3; 83分間にわたって取られたデータ)。TRHRはIG1であり、RlucはRC1であり、barr1はIG2であり、EGFPはRC2であり、OxR2はIG3である。同量のEGFP/barr1 (IG2-RC2)は、各実験に形質移入された。TRHR/Rluc (IG1-RC1)は一定量(0.1μg DNA/ウェル)で形質移入される一方、OxR2 (IG3)は異なる量のDNA (0, 0.01, 0.05, 0.1, 0.5, 0.7μg DNA /ウェル)で形質移入される。37℃におけるeBRET測定は、10-6M OxA (修飾因子)を各ウェルに加えた後、HEK293細胞において行われた。シグナルは、OxR2 (IG3)が発現されている場合にのみ検出される(0μg OxR2においては、シグナルは記録されなかった)。
【0049】
図17は、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenus、およびIG3としてOxR2を用いた場合の用量反応曲線を示す。37℃におけるBRET測定は、96ウェルまたは384ウェルマイクロプレートにおいて、OxAの量を増大させながら、TRHR/Rluc、barr2/VenusおよびOxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。
【0050】
図18は、IG1としてOxR2、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的TRHR (HA-TRHR)を用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、OxR2/Rluc8 およびbarr2/Venus と共にpcDNA3またはHA-TRHRを一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。リン酸緩衝食塩水(PBS)は、溶媒対照として使用された。データは、リガンド誘発BRET比として表した。
【0051】
図19は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、TRHR/Rluc8 およびbarr2/Venusと共に96ウェルプレートの全てのウェルに分注されたHA-OxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。リン酸緩衝食塩水(PBS)は、96ウェルプレートの最初の2列および最後の2列(全部で48ウェル)に溶媒対照として加えられた。データは、蛍光/発光として表した。
【0052】
図20は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合を示す。37℃におけるeBRET測定は、96ウェルプレートの全てのウェルに分注されたHA-OxR2と共にTRHR/Rluc8およびbarr2/Venusを一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。OxAは、96ウェルプレートの真ん中の4列(全部で48ウェル)に加えられた。データは、蛍光/発光として示した。
【0053】
図21は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合のz因子データを示す。図19および20に示すように、37℃におけるeBRET測定は、TRHR/Rluc8およびbarr2/Venusと共に96ウェルプレートの全てのウェルに分注されたHA-OxR2を一過性に同時発現しているHEK293細胞において行われた。リン酸緩衝食塩水(PBS)は、96ウェルプレートの最初の2列および最後の2列(全部で48ウェル)に溶媒対照として添加された。OxAは、96ウェルプレートの真ん中の4列に加えられた(全部で48ウェル)。データは、蛍光/発光として示した。
【0054】
略語
a−MSH α-メラノサイト刺激ホルモン
barr β-アレスチン
BRET 生物発光共鳴エネルギー転移
BROM ブロモクリプチン
CB カンナビノイド受容体
CCR CCケモカイン受容体
CCR5(5)TYFP 5アミノ酸リンカー領域を介してTYFPに結合したCCR5
CSF 脳脊髄液
CXCR CXCケモカイン受容体
D2LR ドパミンD2受容体(ロングフォーム)
D2SR ドパミンD2受容体(ショートフォーム)
DOP δオピオイド
eBRET 長時間BRET:長時間にわたってモニターされるBRET
ECFP エクオリアビクトリア(Aequorea victoria)グリーン蛍光タンパク質遺伝子(GFP)の変異体である強調シアン蛍光タンパク質(Enhanced Cyan Fluorescent Protein)
EGFP 野生型GFPのレッドシフトされた変異体である強調グリーン蛍光タンパク質(Enhanced Geen Fluorescent Protein)
EYFP 強調イエロー蛍光タンパク質(Enhanced Yellow Fluorescent Protein)
FRET 蛍光共鳴エネルギー転移
GPCRs Gタンパク質結合性受容体
HA ヘマグルチンエピトープ標識
His(6) 6の連続するヒスチジン残基からなるヒスチジン標識
IG 相互作用基
IL−8 インターロイキン−8
KOP κオピオイド
MCP1 単球化学誘引物質タンパク質1(CCR2選択性リガンド)
MCR メラノコルチン受容体
MIP1b マクロファージ炎症性タンパク質1b(CCR5選択性リガンド)
mRFP1 単量体赤蛍光タンパク質
OR オピオイド受容体
OxA オレキシンA
OxB オレキシンB
OxR オレキシン受容体
PBS リン酸緩衝食塩水
pcDNA3 真核生物発現ベクター
RC レポーター成分
REM レム(Rapid eye movement)
RET 共鳴エネルギー転移
Rluc レニラ(Renilla)ルシフェラーゼ
Rluc8 改善された(Renilla)ルシフェラーゼ
SWS スローウェーブスリープ
TRH 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
TRHR 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体
TYFP トパーズイエロー蛍光タンパク質
Venus 改善された黄蛍光タンパク質
wt 野生型。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、分子会合を検出するための系の基礎を形成する剤の組成を示す。
【図2】図2は、修飾因子の投与が第2の相互作用基と第3の相互作用基をどのように会合させるかを示す。
【図3】図3は、第1の相互作用基と第3の相互作用基が会合した場合に、検出器により検出されるシグナルを修飾することを示す。
【図4】図4は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ−アレスチン2(barr2)、RC2としてVenus、およびIG3として異なる種類のGPCRを用いた場合を示す。
【図5】図5は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ−アレスチン1(barr1)またはβ−アレスチン2(barr2)、RC2としてEGFP、IG3としてOxR2を用いた場合を示す。
【図6】図6は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ−アレスチン2(barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてOxR1またはOxR2を用いた場合を示す。
【図7】図7は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン1 (barr1)またはβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてEGFP、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標識OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合を示す。
【図8】図8は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IB2としてβ-アレスチン1 (barr1)またはβ-アレスチンリン1酸化独立変異株R169E (barr1R169E)、RC2としてEGFP、およびIG3としてOxR2を用いた場合を示す。
【図9】図9は、IG1として335位のアミノ酸で切断された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR335)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン1 (barr1)、RC2としてEGFP、およびIG3としてOxR2またはTRHRを用いた場合を示す。
【図10】図10は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、IG3なしの場合の用量反応曲線を示す。
【図11】図11は、IG1としてOxR2、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2として Venus、およびIG3なしの場合の用量反応曲線を示す。
【図12】図12は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenusおよびIG3としてOxR2を用いた場合の用量反応曲線を示す。
【図13】図13は、IG3としてのOxR2の存在下または非存在下において、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr1、RC2としてEGFPを用いた場合の用量反応曲線を示す。
【図14】図14は、IG3としてのOxR2の存在下または非存在下において、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr1、RC2としてEGFPを用いた場合の用量反応曲線を示す。
【図15】図15は、IG1としてTRHR335、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenus、およびIG3としてOxR2を用いた場合の用量反応曲線を示す。
【図16】図16は、各濃度の受容体に対して一定時間にわたって読み取られた累積的なeBRETを示す。
【図17】図17は、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenus、およびIG3としてOxR2を用いた場合の用量反応曲線を示す。
【図18】図18は、IG1としてOxR2、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的TRHR (HA-TRHR)を用いた場合を示す。
【図19】図19は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合を示す。
【図20】図20は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合を示す。
【図21】図21は、IG1として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)、RC1としてRluc8、IG2としてβ-アレスチン2 (barr2)、RC2としてVenus、およびIG3としてヘマグルチンエピトープ標的OxR2 (HA-OxR2)を用いた場合のz因子データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
概略
上記または下記で引用される全ての出版物(特許および特許出願を含む)は、その全体を本明細書中に援用される。しかしながら、ここで言及される出版物は、出版物において報告されているプロトコル、試薬およびベクターについて述べ、開示する目的で引用され、本発明と組み合わせて使用されてよい。本発明が先行技術によりそのような開示に先行する権利を与えられないとの認定として解釈されるものではない。
【0057】
さらに、本発明の実施には、特に示さない限り、当業者の技術範囲において、通常の分子生物学、化学および蛍光技術を使用する。そのような技術は当業者に周知であり、文献において完全に説明されている。例えば、蛍光技術については、Coligan, Dunn, Ploegh, Speicher and Wingfield “Current protocols in Protein Science” (1999) Volume I and II (John Wiley & Sons Inc.); and Bailey, J.E. and Ollis, D.F., Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill Book Company, NY, 1986; Lakowicz, J. R. Principles of Fluorescence Spectroscopy, New York : Plenum Press (1983)を参照されたい。
【0058】
明細書および付属の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文中に示さなくても複数を含む。それ故、例えば、「タンパク質(a protein)」は、複数のそのようなタンパク質を含み、「分析物(an analyte)」は、1以上の分析物を意味する。
【0059】
特に定義しない限り、ここで使用される全ての技術用語および化学用語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。ここで述べられるものと類似または均等な物質および方法が本発明の実施または試験に使用されてよいが、好ましい物質および方法を以下に述べる。
【0060】
ここで述べられる発明は、1以上の値の範囲を含んでよい(例えば、大きさ、濃度等)。値の範囲は、範囲を決める値を含みその範囲内の全ての値、境界の値を定義する値にすぐ隣接する値と同じまたは実質的に同じ結果を導く、前記範囲に隣接する値を含む。
【0061】
この明細書全体において、特に示さない限り、「含んでなる」またはその変形は、一定の要素(integer)または要素の群の包含を意味するが、他の要素または要素の群のいずれの排除も意味しない。
【0062】
詳細
上述した本発明の概要から明らかなように、本発明は、特に、少なくとも1のオレキシン受容体サブユニットと会合した少なくとも1の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンを含んでなるヘテロダイマーまたはヘテロオリゴマー受容体に関する。「ヘテロダイマー」および「ヘテロオリゴマー」という用語および「ヘテロダイマーの」および「ヘテロオリゴマーの」というようなその変形は、ここで使用される場合、少なくとも1の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体が少なくとも1のオレキシン受容体と会合した実体を意味する。
【0063】
「会合した」という用語は、ここで使用される場合、直接的もしくは間接的に安定化する原子または分子レベルの相互作用あるいはその組み合わせを介した結合を意味し、前記相互作用には、限定するものではないが、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、もしくは他の分子結合相互作用のような結合性の相互作用、静電気的な相互作用、親水性もしくは疎水性相互作用、または他の古典的もしくは量子的な力学的に安定化する原子もしくは分子の相互作用が含まれる。
【0064】
異なるレパートリーのヘテロダイマーを有する異なる組織の例が報告されている。例えば、既知のKOP受容体リガンドの類似体である6’グアニジノアルトリンドール(6’guanidinoaltrindole)は、脊髄に選択的な鎮痛剤として有効なDOP−KOPへテロダイマー選択的アゴニストとして同定されており、DOP−KOPへテロダイマーは、脊髄で発現されるが、脳では発現されない(Waldhoer, M. et al. (2005) A hetero-dimer selective agonist shows in vivo relevance of G-protein coupled receptor dimers. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 9050-9055)。従って、少なくとも1のオレキシン受容体サブユニットと会合した少なくとも1の甲状腺ホルモン刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなるヘテロダイマーまたはヘテロオリゴマーの受容体は、新規の薬物標的を示す。
【0065】
既知のリガンドである6’グアニジノアルトリンドールは、ヘテロダイマー受容体をトリガーする異なる能力を示し、予め存在する分子に対する新規の適用をカバーしない:
−Hilairet et al. 2003 (J. Biol. Chem. 278, 23731-23737)では、細菌、CB1アンタゴニストがCB1/OxR1へテロダイマー対を介して活性化することにより食欲を抑制することを示した;
−ソマトスタチンSSTR5受容体は、ドパミンD2受容体とヘテロダイマー化することが示されている(Rocheville et al. (2000) Science 288, 154-157);
−アンジオテンシンAT1受容体/ブラジキニンB2受容体へテロダイマーは、妊婦における子かん前症の原因であると考えられている。証拠は、ヘテロダイマーがアンギオテンシンIIに対してより感受性を有することを示す(AbdAlla et al. (2001) Nat. Med. 7, 1003-1009)。
【0066】
以下の実施例から明らかなように、本発明者らは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合を同定し、特徴付けた。
【0067】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との会合は、他の受容体に関連する疾患の治療において、(アゴニスト、インバースアゴニスト、またはアンタゴニストである)1つの受容体のリガンドの使用を可能にすると当業者は理解するであろう。
【0068】
それ故、本発明は、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を包含する。
【0069】
前記甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニスと一緒に投与されてよい。
【0070】
本発明はさらに、治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法も包含する。
【0071】
本発明はさらに、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造方法を包含する。
【0072】
前記薬剤は、さらに、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
【0073】
本発明はさらに、治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造方法を包含する。
【0074】
前記薬剤は、さらに、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
【0075】
それ故、本発明は、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン選択的な結合剤またはその断片を投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための方法を包含する。
【0076】
前記甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン選択的な結合剤は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体および/または抗イディオタイプ抗体であってよい。
【0077】
本発明はさらに、治療的に有効な量のオレキシン選択的な結合剤またはその断片を投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための方法を包含する。
【0078】
前記オレキシン選択的な結合剤は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体および/または抗イディオタイプ抗体であってよい。
【0079】
本発明はさらに、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患またはオレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための方法を包含する。
【0080】
本発明はさらに、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患またはオレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造のための、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的アゴニスト/インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を包含する。
【0081】
本発明はさらに、治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体へテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を包含する。
【0082】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体へテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されてよい。
【0083】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体へテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されてよい。
【0084】
本発明はさらに、治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体へテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を包含する。
【0085】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体へテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されてよい。
【0086】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体へテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されてよい。
【0087】
本発明はさらに、治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造方法を包含する。
【0088】
前記薬剤は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
前記薬剤は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
【0089】
本発明はさらに、治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造方法を包含する。
【0090】
前記薬剤は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
前記薬剤は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含んでよい。
【0091】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患には、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの産生の増大もしくは減少、および/または甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに対する細胞の反応性の増大または減少に関連する疾患が含まれる。以下のリスト(Gary, Keith A., et al., The Thyrotropin-Releasing Hormone (TRH) Hypothesis of Homeostatic Regulation: Implications for TRH-Based Therapeutics, JPET 305:410-416, 2003)は、TRH関連疾患のいくつかの例を提供する:
特に過剰傾眠を伴ううつ病;
慢性疲労症候群;
過剰な日中の眠気(ナルコレプシーを含む)、神経衰弱、および傾眠;
薬剤、化学療法、または放射線治療に対する二次的な鎮静;
鎮静中毒/呼吸困難(ER状態);
一般的な麻酔からの回復;
注意欠乏/過活動障害;
日内変動の乱れ(例えば時差ボケ);
気分安定剤としての双極性情動障害
不安障害
記憶障害を伴うアルツハイマー病および他の認知症
てんかん障害;および
運動神経障害
*は補助的療法として特に効果的である。
【0092】
しかしながら、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患は、前記に限られないと解釈されるべきである。
【0093】
オレキシンに関連する疾患には、オレキシンの産生の増大もしくは減少、および/またはオレキシンに対する細胞の反応性の増大もしくは減少に関連する疾患が含まれる。オレキシンに関連する疾患の主な例は、カタプレキシーを伴うナルコレプシーである。これは、約90%の患者において、低いまたは検出不可能なレベルの脳脊髄液(CSF)オレキシンAレベルを伴う(Baumann and Bassetti (2005) Sleep Medicine Reviews 9, 253-268)。オレキシン受容体2遺伝子の変異は、家族性のイヌナルコレプシーおよびオレキシンニューロンの喪失を引き起こし、低いオレキシンAは、散発性のイヌナルコレプシーで観察された。急性の外傷性脳障害、ギャンバレー症候群および進行性のパーキンソン症候群から生じる急性神経学的な障害は、いくつかの場合において、低いまたは検出不可能なレベルのCSFオレキシンAレベルと関連する。Sakuraiは、オレキシンニューロンの活性がグルコースおよびレプチンにより阻害され、グレリン、摂食を促進する胃由来のペプチドにより刺激された場合の、摂食およびエネルギーホメオスタシスにおけるオレキシン系に対する役割を想定した。これは、肥満の治療に対して意味を有する(Sakurai (2005) Sleep Medicine Reviews 9, 231-241)。
【0094】
しかしながら、オレキシンに関連する疾患は上記に限られると解釈されるべきではない。
【0095】
既知のオレキシン受容体修飾因子には、オレキシンA(OxA; ヒポクレチン-1; Hcrt-1)、オレキシンB(OxB; ヒポクレチン-2; Hcrt-2)およびそれらの断片が含まれる(Lang et al. (2004) J Med Chem 47, 1153-1160)。
【0096】
OxR1およびOxR2の両方に対する既知のアンタゴニストには、6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアナログ(Hirose M et al. (2003) Bioorg. Med. Chem. Lett. 13, 4497-4499), アルモレキサント(Almorexant)((2R)-2-{(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチルフェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド; ACT-078573; Actelion Pharmaceuticals Ltd., Allschwil, Switzerland; Brisbare-Roch et al. (2007) Nature Medicine 13, 150-155)が含まれる。
【0097】
既知のOxR1アンタゴニストには、SB-334867-A (1-(2-メチルベンゾキサゾール-6-イル)-3-[1,5]ナフチリジン-4-イルウレアヒドロクロリド)、SB-674042 (1-(5-(2-フルオロ-フェニル)-2-メチル-チアゾール-4-イル)-1-((S)-2-(5-フェニル-(1,3,4)オキサジアゾール-2イルメチル)-ピロリジン-1-イル)-メタノン)、SB-408124 (1-(6,8-ジフルオロ-2-メチル-キノリン-4-イル)-3-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-ウレア)およびSB-410220 (1-(5,8-ジフルオロ-キノリン-4-イル)-3-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-ウレア) (Haynes et al. (2000) Regulatory Peptides 96, 45-51; Langmead et al. (2004) British Journal of Pharmacology 141, 340-346)が含まれる。
【0098】
既知のOxR2アンタゴニストには、N-アリールメチルtert-ロイシル6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソ-キノリンアナログおよびN-アシル6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアナログ(Hirose M et al. (2003) Bioorg. Med. Chem. Lett. 13, 4497-4499)、および置換された4-フェニル-[1,3]ジオキサン、特に1-(2,4-ジブロモ-フェニル)-3-((4S,5S)-2,2-ジメチル-4-フェニル-[1,3]ジオキサン-5-イル)-ウレア(McAtee LC et al. (2004) Bioorg. Med. Chem. Lett. 14, 4225-4229)が含まれる。
【0099】
既知の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の修飾因子には、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH; サイロリベリン; TRF; pGlu-His-Pro-NH2)、[Glu2]TRH、アミノ末端のピログルタミル残基がピリジニウム部分で置換された[Glu2]TRH (Prokai-Tatrai et al. (2005) Med. Chem. 1, 141-152)、メチル-TRH、(3-メチル-His2)TRH、モンチレリン(montirelin)((3R,6R)-6-メチル-5-オキソ-3-チオモルフォリニルカルボニル-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド四水和物; CG-3703; Grunenthal GmbH, Aachen, Germany)、CNK-602A (N-[(6-メチル-5-オキソ-3-チオモルフォリニル)カルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド; Renming et al. (1992) Eur. J. Pharmacol. 223, 185-192)、タルチレリン((-)-N-[(S)-ヘキサヒドロ-1-メチル-2,6-ジオキソ-4-ピリミジニルカルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド四水和物; セレジスト; TA-0910; Tanabe Seiyaku Co., Ltd., Osaka, Japan)、JTP-2942 (Nα-[(1S,2R)-2-メチル-4-オキソシクロペンチルカルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド一水和物; Japan Tobacco, Inc., Tokyo, Japan)、アゼチレリン (YM-14673; Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd, Tokyo, Japan)、DN-1417 (γ-ブチロラクトン-γ-カルボニル-ヒスチジル-プロリンアミドクエン酸塩; Miyamoto M et al. (1981) Life Sci. 28, 861-869)、RX-77368 (pGlu-His-(3,3’-ジメチル)-Pro-NH2; Ferring Pharmaceuticals, Feltham, Middlesex, UK)、CG-3509 (Grunenthal GmBH, Stolberg, Germany)、MK-771 (1-ピロ-2-アミノアジピル-L-ヒスチジル-L-チアゾリジン-4-カルボキサミド; Merck, Rahway, NJ)、ポサチレリン(RGH 2202; L-6-ケトピペリジン-2-カルボニル-L-ロイシル-L-プロリンアミド; Gedeon Richter Pharmaceuticals, Budapest, Hungary)、Ro 24-9975 (1S,3R,5(2S),5S)-5-[(5-オキソ-1-フェニルメチル)-2-ピロリジニル]-メチル]-5-[(1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-シクロヘキサンアセトアミド; Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)、プロチレリン(5-オキソ-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド; Thyrel(登録商標)TRH; Ferring Pharmaceuticals, Tarrytown, NY)、ミダゾラム、ジアゼパムおよびクロルジアゼポキシド (インバースアゴニスト; Jinsi-Parimoo A and Gershengorn MC (1997) Endocrinology 138, 1471-1475)が含まれる。
【0100】
オレキシン系とカタプレキシーを伴うナルコレプシーとの間の強い関係は、確立されている(Sakurai (2005) Sleep Medicine Reviews 9, 231-241)。さらに、Nishino らは、TRHがナルコレプシーにおける過度な日中の眠気の治療に対して有用であると提唱している(Nishino et al. (1997) The Journal of Neuroscience 17, 6401-6408)。TRHアナログCG-3703およびTA-0910は、用量依存性および時間依存性の態様で、熟睡(SWS)およびレム睡眠を有意に減少させる。さらに、TRHアナログは、ほとんどの動物実験において、カタプレキシーを完全に抑制した。血清T3 およびT4 は有意に変化せず、「TRHおよびTRHアナログの抗カタプレキシーおよび注目すべき効果は、神経調節性CNSの特性により媒介され、甲状腺中枢の間接的な影響によっては媒介されないことを提唱する。」(Nishino et al. (1997) The journal of neuroscience 17, 6401-6408)。これらの知見は、2000年のさらなる研究により支持された(Riehl et al. (2000) Neuropsychopharmacology 23, 34-45)。ナルコレプシーの病態生理学におけるTRHおよびオレキシン(およびそれらのアナログ)の作用形態は、今後の解明を待たなければならないが、本発明において同定されたヘテロダイマー/オリゴマー相互作用は、これらの受容体系の統合に貢献する。Riehlらは、「ナルコレプシーの病態生理学におけるヒポクレチン系の関与の根底にあるメカニズムは、不明なままである。」とコメントする。しかしながら、ヒポクレチン[オレキシン]含有ニューロンがTRHニューロンが豊富に存在する領域である視床下部外側野(Kreider et al. 1985 [Peptides 6, 997-1000])に局在することに注目することは興味深い (Sakurai et al. 1998 [Cell, 92, 573-585]; Peyron et al. 1998 [J. Neurosc. 18, 9996-10015])。加えて、ヒポクレチン[オレキシン]およびTRH受容体は共に、神経ペプチドに対するGタンパク共役型受容体であり、TRH受容体は、ヒポクレチン[オレキシン]受容体に対して2番目に高い(25%)相同性を示し(Y2神経ペプチドY受容体が最も高い相同性を示す)(Sakurai et al. 1998 [Cell, 92, 573-585])、TRHはヒポクレチン[オレキシン]系と未知の特異的な相互作用を介してナルコレプシーの病態生理学において重要な役割を果たし得ることを提唱している (Riehl et al. (2000) Neuropsychopharmacology 23, 34-45)。著者は、本発明において同定された受容体ヘテロダイマー化/オリゴマー化の結果としてそのような統合が生じ得ることを同定することなく、TRHとオレキシン系との統合の可能性を同定した。
【0101】
ナルコレプシーに加えて、TRHおよびオレキシン受容体系は、摂食および代謝ホメオスタシスを調節することに関して統合してよい。甲状腺ホルモン分泌は、飢餓の間抑制される一方、プレプロヒポクレチン(オレキシンペプチドの前駆体)mRNAは、視床下部外側野において上方制御される。そのような知見は、TRHおよびオレキシン系の統合を研究することへKokらを導き、「ヒポクレチン-[オレキシン-]および甲状腺刺激ホルモン産生細胞神経回路のトポグラフィーは、TRH神経活性はヒポクレチン[オレキシン]インプットにより支配されることを提唱するが、シグナルの本質(すなわち興奮性または阻害性)は不明なままである」(Kok et al. (2005) AJP-Endocrinology and Metabolism 288, 892-899)。この研究は、対照と比較して、オレキシン欠乏性のナルコレプシーのヒトにおける平均血漿TSH濃度が有意に低いことを示した。フィードフォワードシグナリングと同様に、ホルモン/神経伝達物質分泌ニューロンに局所性に発現した受容体を介したオートクリンおよびパラクリンフィードバックに関与する複合的なフィードバック経路はそのような系において共通である可能性があること、およびこれらの受容体がヘテロダイマー/オリゴマーを形成するシステムインテグレーションにおいて、生理学的または病態生理学的な役割を果たし得ることに注目することは重要である。
【0102】
1つの実施形態において、本発明は、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、ナルコレプシー以外のオレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を提供する。
【0103】
1つの実施形態において、本発明は、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニスト(TA0910(セレジスト)は除く)を投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を提供する。
【0104】
1つの実施形態において、本発明は、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニスト(TA0910(セレジスト)、CG3703およびCG3509を除く)を投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を提供する。
【0105】
1つの実施形態において、本発明は、治療的に有効な量の以下から選択される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を提供する:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH; サイロリベリン; TRF; pGlu-His-Pro-NH2)、[Glu2]TRH、アミノ末端のピログルタミル残基がピリジニウム部分で置換された[Glu2]TRH(Prokai-Tatrai et al. (2005) Med. Chem. 1, 141-152)、メチル-TRH、(3-メチル-His2)TRH、モンチレリン ((3R,6R)-6-メチル-5-オキソ-3-チオモルフォリニルカルボニル-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド四水和物; CG-3703; Grunenthal GmbH, Aachen, Germany)、CNK-602A (N-[(6-メチル-5-オキソ-3-チオモルフォリニル) カルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド; Renming et al. (1992) Eur. J. Pharmacol. 223, 185-192)、JTP-2942 (Nα-[(1S,2R)-2-メチル-4-オキソシクロペンチルカルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド一水和物; Japan Tobacco, Inc., Tokyo, Japan)、アゼチレリン(YM-14673; Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd, Tokyo, Japan)、DN-1417 (γ-ブチロラクトン-γ-カルボニル-ヒスチジル-プロリンアミドクエン酸塩; Miyamoto M et al. (1981) Life Sci. 28, 861-869)、RX-77368 (pGlu-His-(3,3’-ジメチル)-Pro-NH2; Ferring Pharmaceuticals, Feltham, Middlesex, UK)、CG-3509 (Grunenthal GmBH, Stolberg, Germany)、MK-771 (1-ピロ-2-アミノアジピル-L-ヒスチジル-L-チアゾリジン-4-カルボキサミド; Merck, Rahway, NJ)、ポサチレリン(RGH 2202; L-6-ケトピペリジン-2-カルボニル-L-ロイシル-L-プロリンアミド; Gedeon Richter Pharmaceuticals, Budapest, Hungary)、Ro 24-9975 (1S,3R,5(2S),5S)-5-[(5-オキソ-1-フェニルメチル)-2-ピロリジニル]-メチル]-5-[(1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-シクロヘキサンアセトアミド; Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)、プロチレリン (5-オキソ-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド; Thyrel(登録商標) TRH; Ferring Pharmaceuticals, Tarrytown, NY)、ミダゾラム、ジアゼパムおよびクロルジアゼポキシド (インバースアゴニスト; Jinsi-Parimoo A and Gershengorn MC (1997) Endocrinology 138, 1471-1475)。
【0106】
1つの実施形態において、本発明は、治療的に有効な量の以下の群から選択される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法を提供する:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH; サイロリベリン; TRF; pGlu-His-Pro-NH2)、[Glu2]TRH、アミノ末端のピログルタミル残基がピリジニウム部分で置換された[Glu2]TRH (Prokai-Tatrai et al. (2005) Med. Chem. 1, 141-152)、メチル-TRH、(3-メチル-His2)TRH、CNK-602A (N-[(6-メチル-5-オキソ-3-チオモルフォリニル)カルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド; Renming et al. (1992) Eur. J. Pharmacol. 223, 185-192)、JTP-2942 (Nα-[(1S,2R)-2-メチル-4-オキソシクロペンチルカルボニル]-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド一水和物; Japan Tobacco, Inc., Tokyo, Japan)、アゼチレリン (YM-14673; Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd, Tokyo, Japan)、DN-1417 (γ-ブチロラクトン-γ-カルボニル-ヒスチジル-プロリンアミドクエン酸塩; Miyamoto M et al. (1981) Life Sci. 28, 861-869)、RX-77368 (pGlu-His-(3,3’-ジメチル)-Pro-NH2; Ferring Pharmaceuticals, Feltham, Middlesex, UK)、MK-771 (1-ピロ-2-アミノアジピル-L-ヒスチジル-L-チアゾリジン-4-カルボキサミド; Merck, Rahway, NJ)、ポサチレリン(RGH 2202; L-6-ケトピペリジン-2-カルボニル-L-ロイシル-L-プロリンアミド; Gedeon Richter Pharmaceuticals, Budapest, Hungary)、Ro 24-9975 (1S,3R,5(2S),5S)-5-[(5-オキソ-1-フェニルメチル)-2-ピロリジニル]-メチル]-5-[(1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-シクロヘキサンアセトアミド; Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)、プロチレリン(5-オキソ-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-プロリンアミド; Thyrel(登録商標) TRH; Ferring Pharmaceuticals, Tarrytown, NY)、ミダゾラム、ジアゼパムおよびクロルジアゼポキシド (インバースアゴニスト; Jinsi-Parimoo A and Gershengorn MC (1997) Endocrinology 138, 1471-1475)。
【0107】
本発明は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的な活性についての試験化合物のスクリーニング方法を含んでなり、該方法は、
a)オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合する間に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定することと;
b)オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合する間に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用する場合に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下で、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合する間にオレキシン受容体と相互作用する場合により高い親和性および/または作用強度および/または効果を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに選択的である。
【0108】
本発明は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的な活性に対する試験化合物のスクリーニング方法が含まれ、前記方法は、
a)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合する間に、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定することと;
b)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合する間に、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用する場合に、オレキシン受容体の非存在下で、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合する間に甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性および/または作用強度および/または効果を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的である。
【0109】
本発明の好ましい実施形態において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合する間に、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定するステップ;および/またはオレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合する間に試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定するステップは、出願人の係属中の国際特許出願「Detection System and Uses Therefor」であって、同じオーストラリアの仮特許出願2006906292に基づく優先権を主張する出願に記載されている方法により行われる。
【0110】
本発明は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーの選択的なアゴニストおよび/またはインバースアゴニストを含む。
【0111】
ここで使用される場合、「患者」という用語は、1以上のオレキシンまたは甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが関与する疾患に罹患している動物を意味する。この用語には、ヒト、家畜(すなわち、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジおよびブタ)、ペット(すなわちネコおよびイヌ)等が含まれると解されるであろう。
【0112】
ここで使用される場合、「治療的に有効な量」という用語は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストとオレキシン受容体との相互作用、または甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストと甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体との相互作用、あるいはオレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー特異的なアゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストとオレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーとの相互作用に伴う生物学的な活性を修飾するのに十分な量を意味する。甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストとオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの両方を組み合わせて投与する本発明の側面において、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストまたは治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストの組み合わせは、治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストまたはオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストもしくはアンタゴニストを単独で投与した場合よりも低くてよい。すなわち、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストおよびオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを組み合わせて投与することにより、それぞれの用量が少なくても治療的な効果を生じ得る。
【0113】
本発明の薬剤は、注射、または好ましくは経口、経肺、経鼻、または他の投与形態で投与されてよい。好ましくは、前記薬剤は、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、眼窩内、眼内、脳室内、脳内、間接内、脊髄内、大槽内、腹腔内、頬内、直腸内、膣内、鼻腔内に投与され、またはエアロゾル投与である。
【0114】
しかしながら、投与形態は、少なくとも薬剤の調製に適した形態である必要がある。もっとも効果的に反応する投与形態は、経験的に決定される必要があり、以下に示す投与方法は、例として挙げるものであり、本発明の組成物の送達方法を限定するものではない。上述した全ての製剤は、一般的に、医薬産業において使用され、適切な資格のある開業医に一般的に既知である。
【0115】
アゴニストおよび/またはインバースアゴニストおよび/またはアンタゴニストに加えて、本発明の薬剤は、薬学的に許容可能な無毒の賦形剤およびキャリアを含んでよく、皮下、静脈内および腹腔内注射のような非経口的な技術により投与される。加えて、前記製剤は、任意に1以上のアジュバントを含んでよい。
【0116】
注射可能な使用に適した医薬形態には、無菌の水溶液(水溶性)または分散剤および無菌の注射可能な溶液または分散剤の即時の調製のための無菌粉末が含まれる。あるいは、本発明の化合物は、細胞膜を通過する輸送を助けるためにリポソームに封入され、注射可能な溶液中で送達されてよい。あるいは、または加えて、そのような製剤には、細胞膜を通過する輸送を促進するために、自己組織化する細孔構造の構成物を含んでよい。前記キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒質であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散の場合は必要な粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤の使用により維持されてよい。注射可能な組成物の延長された吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤を組成物中に使用することによりもたらされる。
【0117】
無菌注射溶液は、必要量の活性化合物を上記で列挙した種々の他の成分を含む適切な溶媒に組み込み、必要な場合にろ過滅菌することにより調製されてよい。一般に、分散は、種々の滅菌された活性成分を、基本の分散媒および上記に列挙された他の成分を含む無菌媒体に組み込むことにより調製される。無菌注射溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌ろ過された溶液から活性成分および付加的な望ましい成分の粉末を産生する減圧乾燥および凍結乾燥技術である。
【0118】
ここで検討される使用は、経口的な固体剤形であり、一般的に、本明細書中に援用されるin Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990 Mack Publishing Co. Easton PA 18042) at Chapter 89に記載されている。固体剤形には、錠剤、カプセル、ピル、トローチもしくはロゼンジ、サシェまたはペレットが含まれる。また、リポソームまたはプロテイノイドの被包は、本発明の組成物を構築するために使用されてよい(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されているプロテイノイドミクロスフェア)。リポソーム封入も使用されてよく、リポソームは種々のポリマーで誘導体化されてよい(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療のための可能な固体剤形の記述は、本明細書中に援用されるMarshall, in Modern Pharmaceutics, Chapter 10, Banker and Rhodes ed., (1979)にある。一般に、前記製剤は、本発明の一部として述べられる化合物(またはその化学的に修飾された形態)、および胃の環境に対して保護し、腸内で生物学的な活性成分を放出することを可能にする不活性成分を含む。
【0119】
本発明のアゴニスト、アンタゴニストおよびインバースアゴニストについて、放出部位は胃、小腸(十二指腸、空腸、もしくは回腸)、または大腸であってよい。当業者は、胃では溶解せず、物質を十二指腸または小腸の他の場所で放出する製剤を入手可能である。好ましくは、前記放出は、組成物を保護すること、または胃の環境を超えて例えば腸で化合物を放出することにより、胃の環境による有害作用を回避する。
【0120】
胃における完全な耐性を保証するために、少なくともpH5.0において不透過性のコーティングが不可欠である。エンテリックコーティングにおいて使用される一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、オイドラギット L30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、オイドラギット L、オイドラギットS、およびシェラク(Shellac)である。
【0121】
コーティングまたはコーティングの混合物は、胃に対する保護が意図された錠剤において使用されてもよい。これには、シュガーコーティング、または錠剤を嚥下することを容易にするコーティングが含まれてよい。カプセルは、乾燥治療剤、すなわち粉末の送達のための硬い殻(例えばゼラチン)からなってよく、液体形態の場合、軟ゼラチンの殻が使用されてよい。カシェ剤の殻の物質は、濃デンプンまたは他の食用紙であってよい。ピル、ロゼンジ、型に入れて作られた錠剤の場合は、湿性の集合させる(moist massing)技術が使用されてよい。
【0122】
前記治療剤(therapeutic)は、粒子サイズが約1mmの顆粒またはペレットの形態の多成分の微粒子として製剤中に含まれてよい。カプセル投与のための物質の形態は、粉末、わずかに圧縮されたプラグ(plug)、または錠剤であってもよい。前記治療剤は、圧縮により調製されてよい。
【0123】
着色剤および矯味剤が含まれてもよい。例えば、化合物が構築され(例えばリポソームまたはミクロスフェア封入により)、さらに着色剤および矯味剤を含む冷却された飲料のような食用の製品に含まれてよい。
【0124】
不活性な物質を用いて治療剤が希釈され、または容積が増大してもよい。これらの希釈剤には、糖類、特にマンニトール、α-ラクトース、無水ラクトース、セルロース、ショ糖、修飾デキストランおよびデンプンが含まれる。ある一定の無機塩は、カルシウム三リン酸、カルボン酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む充填剤として使用されてよい。いくつかの商業的に入手可能な希釈剤は、Fast-Flo、Emdex、STA-Rx 1500、Emcompress およびAvicellである。
【0125】
崩壊剤は、固体製剤となる治療剤の製剤中に含まれてよい。崩壊剤として使用される物質には、限定するものではないが、デンプンに基づく商業的な崩壊剤であるエクスプロタブ(Explotab)を含むデンプンが含まれる。ナトリウムデンプングリコレート、アンバーライト(Amberlite)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸カルボキシメチルセルロース、天然スポンジおよびベントナイトが使用されてよい。崩壊剤の他の形態は、不溶性の陽イオン交換樹脂である。粉末ゴムは、崩壊剤および結合剤として使用されてよく、これらには、アガー、カラヤ、またはトラガントのような粉末ゴムが含まれる。アルギン酸およびそのナトリウム塩も、崩壊剤として有用である。
【0126】
結合剤は、治療的な化合物をいっしょに保持し、硬い錠剤を形成するために使用され、アカシア、トラガント、デンプンおよびゼラチンのような天然物由来の物質が含まれる。他には、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)が含まれる。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、共に、アルコール溶液中で使用され、治療剤を顆粒化する。
【0127】
減摩剤(antifrictional agent)は、治療剤の製剤において含まれてよく、製剤かプロセスの間にスティッキングを防止する。滑沢剤は、治療剤と打ち型の壁との間の層として使用され、これらには、限定するものではないが、ステアリン酸、そのマグネシウムおよびカルシウム塩、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液体パラフィン、植物油およびワックスが含まれる。可溶性の滑沢剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、種々の分子量のポリエチレングリコール、およびカルボワックス4000および6000等が使用されてよい。
【0128】
製剤化の間の化合物の流動性を改善し、圧縮の間の再編成を改善するGlidantが添加されてよい。Glidantには、デンプン、タルク、発熱性シリカおよびアルミノケイ酸が含まれてよい。
【0129】
治療剤を水性環境中で溶解させるのを助けるために、湿潤剤として界面活性剤が加えられてよい。界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホサクシネートおよびジオクチルナトリウムスルホネートのような陰イオン性界面活性剤が含まれてよい。陽イオン性界面活性剤が使用されてもよく、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムが含まれる。製剤中に界面活性剤として含まれてよい非イオン性の界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、グリセロールモノステアレート、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独で、または異なる割合の混合物として化合物の製剤中に存在してよい。
【0130】
化合物の取り込みを潜在的に増強する添加剤は、例えば、脂肪酸オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸である。
【0131】
徐放性製剤が望ましい。化合物は、拡散または浸出メカニズムにより放出を可能にする不活性マトリックス、すなわちゴムに組み込まれてよい。ゆっくりと変性するマトリックスは、製剤中に組み込まれてよい。この治療剤の徐放の他の形態は、Oros治療システム(Alza Corp.)に基づく方法により、すなわち、薬物は半透膜中に封入され、浸透圧効果により水を浸入させ、個々の小さな開口を通して薬物を押し出す。エンテリックコーティングも徐放効果を有するものがある。
【0132】
物質の混合は、最適なフィルムコーティングを与えるために使用されてよい。フィルムコーティングは、皿上の塗布機(pan coater)または流動床において、あるいは圧縮コーティングにより行われてよい。
【0133】
ここでは、化合物の肺送達についても意図される。化合物は、吸入および肺上皮の内側を横切って血流に移行することにより、哺乳動物の肺に送達される。
【0134】
本発明の実施において意図される使用は、治療的な産物の肺送達のために設計された広範な機械的な装置であり、限定するものではないが、ネブライザー、計量吸入器、および粉末吸入器が含まれ、これらは全て当業者に既知である。
【0135】
本発明の使用に適した商業的に入手可能な装置のいくつかの特別な例は、Mallinckrodt, Inc., St. Louis, Missouri により製造されるUltravent ネブライザー; Marquest Medical Products, Englewood, Colorado により製造されるAcorn II ネブライザー; Glaxo Inc., Research Triangle Park, North Carolina により製造されるVentolin 計量吸入器; およびFisons Corp., Bedford, Massachusetts により製造されるSpinhaler 粉末吸入器である。
【0136】
そのような装置は全て、化合物の投薬に適した製剤の使用を必要とする。典型的に、各製剤は、使用される装置の型に対して特異的であり、治療において有用な通常の希釈剤、アジュバントおよび/またはキャリアに加えて、適切な噴霧剤の使用が含まれてよい。また、リポソーム、マイクロカプセルもしくはミクロスフェア、封入複合体、または他のタイプのキャリアの使用が考えられる。
【0137】
ジェットまたは超音波のネブライザーを用いた使用に適した製剤は、典型的に、水に懸濁された化合物を含んでなる。前記製剤には、バッファーおよび単純糖質が含まれてもよい(例えば、タンパク質安定化および浸透圧の調整のために)。ネブライザー製剤には、エアロゾルの形成における溶液の微粒化により引き起こされる化合物の表面誘起凝集を減少または妨げる。計量吸入器を用いて使用するための製剤は、一般的に、界面活性剤の助けにより噴霧剤に懸濁された化合物を含むよく分離された粉末を含んでなる。噴霧剤は、この目的で使用される通常の物質であってよく、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはヒドロカーボンが挙げられ、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2-テトラフルオロエタン、またはこれらの混合物が含まれる。
【0138】
粉末吸入器から投与される製剤は、化合物を含有するよく分離された乾燥粉末を含んでなり、ラクトース、ソルビトール、ショ糖、またはマンニトールのような充填剤を、装置からの粉末の分散性を促進する量、例えば製剤の50〜90重量%で含まれてよい。化合物(または誘導体)は、最も有利には、最も効果的に遠位の肺に送達するために、好ましくは10ミクロン未満、最も好ましくは0.5〜5ミクロンの平均粒子サイズを有する粒子形態に調製されるべきである。
【0139】
化合物の鼻腔送達についても考えられる。鼻腔送達は、治療的な産物を鼻に投与した後、肺における産物の沈着に対する必要性なく、タンパク質を血流に送達することを可能にする。鼻腔送達のための製剤には、デキストランまたはシクロデキストランと共にそれらが含まれる。
【0140】
本発明の薬剤は、単一用量のスケジュール、または好ましくは複数用量のスケジュールで投与されることが適切である。複数用量のスケジュールは、送達の第1のコースが1〜10の別々の用量で行われた後、治療を維持または強化するのに必要なその後の時間間隔で他の用量が与えられる。薬物療法は、少なくとも部分的に、個々の必要性および医師の判断により決定される。
【0141】
本発明は、以下の非限定的な実施例のみを参照することによりさらに述べられる。しかしながら、以下の実施例は説明のためのみに存在し、上述した発明の普遍性を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0142】
一般的な方法
簡潔に言うと、図1〜3について、IGは2つの受容体(TRHRおよびOxR)の形態で提供される。2つのうち1つは、RCに結合する(IG1-RC1, IG3)。第2のIG (IG2-RC2)は、リガンド結合に基づいて前記受容体と相互作用する分子に由来する(例えば、β-アレスチン、またはその変異体)。検出系は、TRHR-OxRへテロダイマーの形成を検出するのみならず、リガンドまたは薬物が、受容体ヘテロダイマーにおいて、アゴニスト、部分的なアゴニスト、アンタゴニスト、インバースアゴニストまたは部分的なインバースアゴニストとして作用するか否かを区別することができる。
【0143】
細胞は、約630,000 細胞/ウェル (HEK293FT)または約150,000 細胞/ウェル (COS-7)の密度で6ウェルプレートに蒔かれ、10% ウシ胎児血清 (FCS; Gibco)が補充された完全培地(0.3 mg/ml グルタミン, 100 IU/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシンを含むDMEM(Gibco))において37 °C, 5% CO2 に維持された。一過性のトランスフェクションは、製造業者の説明書に従ってGeneJuice (Novagen)またはMetafectene (Biontex)を用いて蒔いた24時間後に行われた。トランスフェクションの24時間後、細胞をPBSで洗浄し、0.05% トリプシン/0.53 mM EDTAを用いて脱離し、5% FCSを含有するHEPES-緩衝されたフェノールレッドを含まない完全培地に再懸濁し、ポリ-L-リジンコートホワイトマイクロプレート(Nunc)に加えた。トランスフェクションの48時間後、最終濃度30〜40μM,37 °C, 5% CO2 で2時間、EnduRen(登録商標:Promega)を用いて細胞をプレインキュベーションした後、eBRET 分析を行った。最初のBRET研究に対して、HEPES-緩衝されたフェノールレッドを含まない完全培地はPBSで置換され、セレンテラジンh (分子プローブ)は、分析を開始する直前に最終濃度5μMで加えられた。BRET測定は、Wallac 1420 ソフトウェアを有するビクターライトプレートリーダー(Victor Light plate reader)(Perkin-Elmer)を用いて37℃で行われた。ろ過された発光は、「ドナー波長窓」(400-475 nm)および「アクセプター波長窓」(EGFPに対して>500 nmまたはEYFP、Topaz (TYFP)またはVenusに対して520-540 nm)のそれぞれにおいて、3〜5秒間経時的に測定された。相互作用タンパク質の間で観察されるBRETシグナルは、バックグラウンドBRET比を減算することにより標準化される。これは、2つの方法のうちの1つで行われてよい (Pfleger et al. (2006) Cell Signal 18, 1664-1670; Pfleger et al. (2006) Nat Protoc 1, 336-344を参照されたい): 1) ドナー構築物のみを含む細胞サンプルに対するアクセプター波長窓を通る400〜475nmの発光の比は、相互作用アクセプターおよびドナー融合タンパク質を含むサンプルに対する同じ比から減算される; 2)溶媒で処理された細胞に対する「アクセプター波長窓」を通る400〜475nmの発光の比は、リガンドで処理された同じ細胞サンプルの第2のアリコートに対する同じ比から減算される。以下の実施例においては、シグナルが「リガンド誘導BRET比」として記載されない限り、第1の計算が使用される。あるいは、および特に、z因子データを説明する場合(Zhang et al. (1999) J Biomol Screen 4, 67-73)、相互作用タンパク質の間で観察されるBRETシグナルは、バックグラウンドBRET比との組み合わせ(減算の反対)において見られ、相互作用タンパク質の間で観察されるBRETシグナルに伴うエラーおよびバックグラウンドBRET比に伴うエラーを独立に評価する。この場合、データは、「蛍光/発光」として表され、特定の細胞サンプルに対する「アクセプター波長窓」を通る400〜475nmの発光の比である。特に言及しない限り、BRETシグナルは、96ウェルマイクロプレートにおいて測定した。
【0144】
実施例1:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
図4を参照すると、eBRETシグナルは、それぞれ各々のリガンドで処理した後、pcDNA3、OxR2、CXCR2、HA-MC3R、HA-MC4R、D2LRまたはD2SRと共にTRHR/Rlucおよびbarr2/Venusを一過性に同時発現している細胞から測定された。
【0145】
リガンド処理の前に(0分において添加)、ベースラインeBRETシグナルが各受容体の組み合わせについて記録された。最初の時間において、TRHR/Rlucおよびbarr2/Venusと共にpcDNA3TRHを同時発現している細胞の処理により、eBRETシグナルは0.17より高いピークに急速に到達し、このシグナルは、記録する全期間に渡って維持された(2時間近く)。TRHR/Rluc, barr2/VenusおよびOxR2Aを同時発現している細胞のOxA処理の後にも、シグナルは観察された。しかしながら、このシグナルは、約0.07〜0.08に到達するために30分かかった。他の受容体の組み合わせについては、リガンド誘発eBRETシグナルは観察されなかった。
【0146】
この実施例は、RC1とRC2の近接により生じるシグナルは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)がIG1であり、RlucがRC1であり、β-アレスチン2 (barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、OxR2がIG3である組み合わせであり、修飾因子(この場合はOxA)がIG3との特異的な相互作用の結果としてIG2とIG3の会合を修飾する場合に、特異的に検出されることを示す。IG3がCXCR2、HA-MC3R、HA-MC4R、D2LRまたはD2SRであり、これらIG3に対して特異的なアゴニストがIG2とIG3の会合を修飾する場合にはシグナルは検出されず、IG3としてのOxR2との会合に対するシグナルの特異性を示す。
【0147】
この実施例は、発明者らが、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合を確認したことを示す。
【0148】
この実施例は、さらに、IG2とIG3の会合の修飾によりRC1とRC2の近接から生じるシグナルについて観察される動力学的なプロフィールは、IG1-IG2会合がIG1と特異的に相互作用するリガンド(この場合はTRH)により修飾される場合に、IG1とIG2の会合によりRC1とRC2の近接から生じるeBRETシグナルについて観察される動力学的なプロフィールとは異なることを示す。前者のプロフィールは、実質的に、後者のプロフィールと比較して遅延する。
【0149】
実施例2:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合を示す付加的な検出可能なシグナルの測定
図5を参照すると、eBRETシグナルは、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1またはEGFP/barr2と共にpcDNA3またはOXR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。リガンド処理は、OxAもしくはTRHのみ、またはOxAおよびTRHの両方の組み合わせであった。
【0150】
リガンド処理の前に(0分に添加される)、ベースラインeBRETシグナルが、各受容体の組み合わせに対して記録された。各組み合わせを発現しているPBS処理された細胞は、全記録時間(70分間)、ベースラインeBRETシグナルのみを示した。OxAでの処理の後、OxR2およびEGFP/barr1 (×)またはEGFP/barr2 (グレーの反転した三角)を発現している細胞は、10分以上後にプラトーに到達するeBRETシグナルを示した。TRHR/Rlucのみ(OxR2なし)と共にβアレスチンのいずれかを発現している細胞において、TRH処理は、eBRETシグナルの急速な刺激を生じた。barr2 (黒丸)によるシグナルは、barr1 (グレーの三角)より大きいが、OxAが存在する場合、βアレスチンのいずれにおいても違いは見られなかった(barr2, 黒三角; barr1,グレーのマル)。TRHR/RlucとOxR2 (barr1, グレーの四角; barr2, 黒四角)の両方を発現している細胞において、両方のリガンドの添加は、OxAまたはTRHを単独で加えた後に見られたものを超える増大したeBRETシグナルを示した。
【0151】
この実施例は、RC1とRC2の近接から生じるシグナルが、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)がIG1であり、RlucがRC1であり、β-アレスチン1 (barr1)またはβ-アレスチン2 (barr2)がIG2であり、EGFPがRC2であり、OxR2がIG3である組み合わせであり、修飾因子OxAがIG3と特異的に相互作用する結果としてIG2とIG3との会合を修飾する場合に検出されることを示す。
【0152】
それ故、この実施例は、異なるIG2およびRC2を試用する場合を含む、実施例1に示されるものとは異なる組み合わせを使用するシグナル検出を示す。
【0153】
実施例1のように、この実施例は、この場合はOxAによりIG2とIG3の会合が修飾されることによりRC1とRC2との近接から生じるシグナルについて観察される遅延した動力学的プロフィールを示し、このIG1-IG2会合がIG1と特異的に相互作用するリガンド(TRH)により修飾される場合に、IG1とIG2の会合によるRC1とRC2の近接から生じるeBRETシグナルについて観察されるより早い動力学的プロフィールとは区別される。しかしながら、実施例1に示されたことに加えて、この実施例は、IG1リガンド(TRH) およびIG3リガンド(OxA;修飾因子)の組み合わせの処理の付加的な効果を示す。
【0154】
それ故、この実施例は、さらに、甲状腺刺激ホルモンン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合についての別の証拠を提供し、この付加的な効果は、IG2-IG3-IG1会合に加えてIG1-IG2会合の結果としてRC1とRC2が近接することを示す。このことは、IG1特異的なリガンドの非存在下で、非特異的なIG1-IG2会合から生じるシグナルに対する証拠を提供する。理論による結合を望むことなく、この付加的な効果は、部分的に、修飾因子として作用するIG1リガンドによるものであってよく、IG3におけるアロステリックな効果を介してIG2とIG3の会合を修飾する。さらに、この付加的な効果は、部分的に、シグナル産生に対してより有利な活性IGコンファメーション(アゴニストに結合するもの)によるものであってよく、RC1とRC2の近接を増大させる可能性があり、また、RC1とRC2のより有利な相対的な配向性を可能にし得る。
【0155】
実施例3:修飾因子の結合に対して競合するアンタゴニストのシグナル産生における効果の測定
図6を参照すると、eBRETシグナルは、10-6M OxA (IG3リガンド; 修飾因子)もしくは10-6M TRH (IG1リガンド)または両方の添加の前に、10-6M OxR1-選択性アンタゴニストであるSB-334867-Aで約40分間前処理した後、TRHR/Rlucおよびbarr2/Venusと共にpcDNA3、OxR1またはOxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。アンタゴニストで前処理されない細胞は、代わりにPBSで同じ時間前処理された。
【0156】
アゴニスト処理の前に(0分で加える)、ベースラインeBRETシグナルは、受容体の組み合わせのそれぞれに対して記録された。小さなeBRETシグナルは、OxA-処理されたTRHR/Rlucおよびbarr2/VenusおよびOxR1 (グレーのダイヤ)について観察された。このシグナルは、アンタゴニストの存在下で減少した(オープンスクエア)。OxR1発現細胞へのTRHおよびOxA両方の添加は、結果としてずっと大きなシグナルを生じ(白い三角形)、このシグナルの大きさは、アンタゴニストの存在下で減少した(グレーのマル)。eBRETシグナルは、TRHR/Rluc、barr2/VenusおよびOxR2を同時発現している細胞のOxA処理の後で観察された(黒いダイヤ)。このシグナルは、アンタゴニストの前処理により影響されなかった(白い四角)。OxR2発現細胞に対するTRHおよびOxAの両方の添加は、結果として、アンタゴニストの存在下(黒丸)または非存在下(グレーの三角)において異ならないシグナルを生じた。
【0157】
この実施例は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)がIG1であり、RlucがRC1であり、β-アレスチン2 (barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、OxR1またはOxR2がIG3である組み合わせであり、修飾因子OxAが、IG3と特異的に相互作用する結果としてのIG2とIG3の会合を修飾する場合に検出される、RC1とRC2の近接の結果として生じるシグナルを示す。
【0158】
この実施例は、修飾因子結合の特異的なアンタゴニズム(この場合は、OxR1-選択的なアンタゴニストであるSB-334867-AによりOxR1において作用するOxAの特異的アンタゴニズム)が、修飾因子(この場合はOxA)により修飾されるRC1とRC2の近接によるシグナルにおけるその効果の結果として検出され得ることを示す。
【0159】
実施例4:レポーター成分を構成しないIG3における標識の使用
図7を参照すると、eBRETシグナルは、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1またはEGFP/barr2と共にpcDNA3またはHA-OxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。
【0160】
リガンド処理の前に(0分において添加される)、ベースラインeBRETシグナルは、それぞれの受容体の組み合わせについて記録された。それぞれの組み合わせを発現しているPBS処理された細胞は、全記録時間(80分間)でベースラインのeBRETシグナルのみを示した(データは示さない)。OxAで処理した後、HA-OxR2およびいずれかのEGFP/barrsを発現している細胞は、10分以上後にプラトーに到達するeBRETシグナルを示した (EGFP/barr1, 黒いダイヤ、EGFP/barr2, 黒マル)。TRHR/Rlucのみ(HA-OxR2なし)を発現している細胞において、TRHは、最初の数分間でピークに到達するeBRETシグナルにおける急速な増大を刺激し、シグナルはその後、記録時間の残り時間にわたってわずかに下降した(グレーの四角)。eBRETシグナルにおいてベースライン以上の増加がないことは、HA-OxR2を欠く細胞にOxAが添加された後に観察された(グレーの三角)。
【0161】
この実施例は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)がIG1であり、RlucがRC1であり、β-アレスチン1 (barr1)またはβ-アレスチン2 (barr2)がIG2であり、EGFPがRC2であり、ヘマグルチン(HA)エピトープ標識OxR2 (HA-OxR2)がIG3である組み合わせであり、修飾因子であるOxAが、IG3との特異的な相互作用の結果としてIG2およびIG3の会合を修飾する場合に検出される、RC1とRC2の会合の結果として生じるシグナルを示す。
【0162】
この実施例は、IG3は、例えばヘマグルチン(HA)エピトープ-標識の添加により標識され得るが、この標識はレポーター成分を構成せず、RC1とRC2の近接により生じるシグナルを妨害する、および/または該シグナルに寄与することを示す。そのような標識化は、例えばIG3の相対的な発現レベルのような付加的な情報を確かめることを可能にする。
【0163】
実施例5:相互作用基としての変異型β-アレスチンの使用
図8を参照すると、eBRETシグナルは、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1またはEGFP/barr1リン酸化非依存性の変異型R169E (EGFP/barr1R169E)と共にpcDNA3またはOxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。
【0164】
リガンド処理の前に(0分において添加した)、ベースラインeBRETシグナルが、それぞれの受容体の組み合わせについて記録された。それぞれの組み合わせを発現しているPBS処理された細胞は、全記録時間(100分間)にわたってベースラインeBRETシグナルのみを示した(白い四角、白いダイヤおよび黒いダイヤ)。OxAによる処理の後、OxR2およびEGFP/barr1 (黒マル)またはEGFP/barr1R169E (黒い三角)を発現している細胞は、EGFP/barr1の場合、10分以上後にプラトーに到達するeBRETシグナルを示し、一方、EGFP/barr1R169Eは、20分までにプラトーに到達するより低いシグナルを示した。TRHR/Rlucのみ(OxR2なし)をいずれかのbarrsと共に発現している細胞において、TRHは、最初の数分間にピークに到達するeBRETシグナルにおける急速な増大を刺激し、シグナルはその後、記録時間の残り時間にわたってわずかに下降した。EGFP/barr1R169Eに対するシグナル(白い三角)は、EGFP/barr1 に対するシグナル(白マル)よりも低く、このタンパク質のより低い発現レベルを反映する。
【0165】
この実施例は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR)がIG1であり、RlucがRC1であり、barr1またはbarr1R169EがIG2であり、EGFPがRC2であり、OxR2がIG3である組み合わせに対して検出される、RC1とRC2の近接の結果として生じるシグナルを示す。
【0166】
この実施例は、β-アレスチン1リン酸化非依存性変異型R169Eのような変異型β-アレスチンを相互作用基の1つとして使用した場合に、検出可能なシグナルが産生することを示す。
【0167】
実施例6:C末端が切断された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
図9を参照すると、eBRETシグナルは、TRHR335/RlucおよびEGFP/barr1をOxR2またはTRHRと共に一過性に同時発現している細胞から測定された。リガンド処理は、OxAまたはTRHのみであった。
【0168】
リガンド処理の前に(0分において添加)、ベースラインeBRETシグナルは、それぞれの受容体の組み合わせに対して記録された。OxAによる処理の後、OxR2を発現している細胞(黒マル)は、約20分後にプラトーに到達するeBRETシグナルを示した。対照的に、OxAで処理された場合のTRHRを発現している細胞(白い三角)またはTRHで処理された場合のOxR2を発現している細胞(黒い四角)からは、ベースライン以上のeBRETシグナルは観察されなかった。
【0169】
この実施例は、アミノ酸335において切断された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(TRHR335)がIG1であり、RlucがRC1であり、β-アレスチン1 (barr1)がIG2であり、EGFPがRC2であり、OxR2またはTRHRがIG3である組み合わせについて検出される、RC1とRC2の近接の結果として生じるシグナルを示す。
【0170】
この実施例は、IG1がIG2と相互作用しない場合(この場合は、barr1と相互作用しない切断されたTRHR(Heding et al. (2000) Endocrinology 141, 299-306))、検出可能なシグナルが産生しないことを示す。TRHR335/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2をTRHで処理した場合に図9において観察されるシグナルの欠如は、この薬剤の組み合わせをOxA処理した場合に観察されるシグナルがIG1-IG2会合によるものではないことを示す。
【0171】
それ故、この実施例はさらに、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合に対する別の証拠を提供し、IG1がIG2と相互作用しないことは、IG1-IG2会合ではなくIG2-IG3-IG1会合の結果としてのRC1とRC2の近接を示す。このことは、IG1特異的なリガンドの非存在下での非特異的なIG1-IG2会合から生じるシグナルに対するさらなる証拠を提供する。
【0172】
さらに、この実施例は、IG3活性化がIG1のトランス活性化を引き起こし、その後IG2と会合し、IG2とIG3が会合することなくRC1とRC2を近づける場合とは対照的に、シグナルがIG2-IG3-IG1の結果として生じることを示す。
【0173】
実施例7:TRHRとOxR2の分子会合を示す特徴的な用量依存性の様式の検出可能なシグナルの測定
図10、11および12を参照すると、BRETシグナルは、TRHR/Rlucおよびbarr2/VenusならびにpcDNA3 (増大する用量のTRHで処理; 図10); OxR2/Rlucおよびbarr2/VenusならびにpcDNA3 (増大する用量のOxAで処理; 図11); TRHR/Rlucおよびbarr2/VenusならびにOxR2 (増大する用量のOxAで処理; 図12)を一過性に同時発現している細胞から測定された。
【0174】
この実施例は、IG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenusを用い、IG3が存在しない場合(図10)のTRH用量反応曲線; IG1としてOxR2、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenusを用い、IG3が存在しない場合のOxA用量反応曲線(図11); およびIG1としてTRHR、RC1としてRluc、IG2としてbarr2、RC2としてVenus、IG3としてOxR2を使用した場合のOxA用量反応曲線(図12)を示す。
【0175】
この実施例は、シグナルが用量依存性の態様で検出され得ることを示す。さらに、IG3 (OxR2)における修飾因子(OxA)の作用およびその結果のIG1-RC1 (TRHR/Rluc)とIG2-RC2(barr2/Venus; 図12)の近接の結果として生じるシグナルに対するEC50値は、IG1-RC1 (OxR2/Rluc)とIG2-RC2 (barr2/Venus; 図11)との近接を結果として生じるIG1 (OxR2)のOxA活性化に由来するものに匹敵し、IG1-RC1 (TRHR/Rluc)とIG2-RC2 (barr2/Venus; 図10)の近接を結果として生じるIG1 (TRHR)のTRH活性化に由来するものとは異なる。
【0176】
それ故、この実施例はさらに、シグナルが、IG1-IG2の会合ではなく、IG2-IG3-IG1の会合の結果として生じることを示す。
【0177】
IG1-RC1 (OxR2/Rluc)とIG2-RC2 (barr2/Venus; 図11)の近接を結果として生じるIG1 (OxR2)のOxA活性化;およびIG1-RC1 (TRHR/Rluc)とIG2-RC2 (barr2/Venus; Figure 10)の近接を結果として生じるIG1 (TRHR)のTRH活性化に対する用量反応ヒル(Hill)勾配は、共にほぼ同じである。対照的に、IG1-RC1 (TRHR/Rluc)とIG2-RC2 (barr2/Venus; 図12)の近接を結果として生じるIG3 (OxR2)において作用する修飾因子(OxA)に対する用量反応ヒル勾配は、実質的に1より大きい。
【0178】
それ故、この実施例は、指標としてヒル勾配を使用して特異的な分子会合を同定およびモニタリングする可能性を示す。
【0179】
この実施例はさらに、異なる形態のRluc基質(レポーター成分イニシエーター)(この場合、セレンテラジンhおよびEnduRen)が、同様のEC50値を生じるために使用できることを示す(図12)。
【0180】
実施例8:TRHRとOXR2の分子会合を示す用量依存性の態様の付加的な検出可能なシグナルの測定
図13および14を参照すると、BRETシグナルは、OxR2の非存在下、TRHの量を増大させながら、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1を一過性に同時発現している細胞から、ならびに 10-6M TRH なしでOxAの量を増大させながら、または10-6M OxA と共にTRHの用量を増大させながら、TRHR/RlucおよびEGFP/barr1と共にOxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。
【0181】
この実施例は、10-6M TRHにより産生されるリガンド誘発シグナル(TRHに由来: TRHR/Rluc + EGFP/barr1曲線)を、OxA: TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2 曲線から生じる点に加えることにより機械的に生じる曲線を示し(TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2: TRH (10-6M) + OxA: 計算されたデータ)、TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2: TRH (10-6M) + OxAの組み合わせについて観察されるデータから生じる曲線の上にくる(図13)。
【0182】
さらに、この実施例は、10-6M OxAにより生じるリガンド誘発シグナル(OxA: TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2曲線に由来)を、TRH: TRHR/Rluc + EGFP/barr1 曲線(TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2: TRH + OxA (10-6M): 計算されたデータ)について生じる点のそれぞれに加えることにより機械的に生じる曲線を示し、TRHR/Rluc + EGFP/barr1 + OxR2: TRH + OxA (10-6M)の組み合わせについて観察されるデータから生じる曲線の上にくる(図14)。
【0183】
それ故、この実施例は、用量依存性の態様でIG1リガンド(TRH)およびIG3リガンド(OxA; 修飾因子)を組み合わせて処理した場合の相加的な効果を明確に示す。
【0184】
それ故、この実施例は、甲状腺刺激ホルモンン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合に対するさらなる証拠を提供し、この相加的な効果は、IG1-IG2会合およびIG2-IG3-IG1会合の結果としてのRC1とRC2との近接の指標となる。これは、IG1特異的なリガンドの非存在下において、非特異的なIG1-IG2会合から生じるシグナルに対するさらなる証拠を提供する。理論により結合することを望むことなく、この相加的な効果は、IG3におけるアロステリック効果を介してIG2とIG3の会合を修飾する修飾因子として作用するIG1リガンドに部分的に起因し得る。さらに、この相加的な効果は、シグナル産生に対してより都合よく、RC1とRC2との近接またはRC1とRC2のより有利な相対的配向を可能にする、活性IG構造(アゴニストに結合)に部分的に起因し得る。
【0185】
実施例9:TRHR335とOXR2の分子会合を示す用量依存性の態様の付加的な検出可能なシグナルの測定
図15を参照すると、BRETシグナルは、TRHおよびOxAの用量を単独または組み合わせて増大させながら、TRHR335/Rluc、barr2/VenusおよびOxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。
【0186】
この実施例は、用量反応曲線を用いて、TRHの添加は、IG1 (TRHR335)がIG2 (barr2)と相互作用できない場合、IG1 (TRHR335)との相互作用の結果として生じるRC1 (Rluc)とRC2 (Venus)との近接に由来するBRETシグナルを生じないことを示した。しかしながら、IG3 (OxR2)との相互作用の結果として生じるRC1 (Rluc)とRC2 (Venus)との近接に由来するBRETシグナルは観察され、IG1 (TRHR335)とIG3 (OxR2)との会合を示す。このことは、実施例6におけるデータで確認される。
【0187】
この実施例は、さらに、TRHの添加により生じるBRETシグナルの欠如にも関わらず、TRHおよびOxAの両方を添加した場合に、OxAを単独で添加したときに観察されるよりも高いシグナルが観察されることを示す。
【0188】
このことは、IG1-IG2 (TRHR335-barr2)会合に寄与できないにも関わらず、IG1 (TRHR335)の活性化がシグナル産生に影響することを示す。理論により結合されることが望まれることなく、これは、アロステリックなメカニズムによりIG1がIG3に影響を及ぼすことを意味する。これは、活性IGコンフォメーション(アゴニストと結合する)がシグナル産生に対してより好ましく、RC1とRC2の会合を増大させることを可能にし、またはRC1とRC2のより好ましい相対的な配向を可能にし得ることを示す。
【0189】
それ故、この実施例は、さらに、IG1とIG3の共処理により、IG3単独の処理と比較して付加的なシグナル産生および/または情報を生じること、およびそのような共処理が本発明に包含されることを示す。
【0190】
実施例10:種々の発現レベルでのTRHRとOXR2の分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
図16を参照すると、eBRETシグナルは、10-6M OxA を添加した後、TRHR/Rluc、EGFP/barr1およびOxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。
【0191】
この実施例は、累積的なeBRETは、受容体のそれぞれの組み合わせについて長時間にわたって読み取ることを示す(IG1およびIG3;データは、83分間に渡って読み取られた)。同じ量のEGFP/barr1 (IG2-RC2)が、各実施例に対して形質移入された。TRHR/Rluc (IG1-RC1)が一定量(0.1μg DNA/ウェル)で形質移入される一方、OxR2 (IG3)は異なる量のDNA (0, 0.01, 0.05, 0.1, 0.5, 0.7μg DNA /ウェル)で形質移入される。シグナルは、OxR2 (IG3)が発現する場合にのみ検出される(0μg OxR2においてはシグナルは記録されなかった)。
【0192】
この実施例は、OxR2のDNA濃度が0.01μg DNA/ウェル程度の場合にシグナルが検出されることを示す。
【0193】
さらに、この実施例は、各形質移入におけるOxR2 DNAの量を増大させることにより、検出可能なシグナルの増大を生じることを示す。最も大きな検出可能なシグナルは、1:1比のDNA濃度(0.1:0.1μg DNA/ウェル)において観察される。TRHR/Rluc DNAの量より高いレベルでのOxR2 DNA濃度におけるさらなる増大は(0.5または0.7μg DNA/ウェル)、検出されるシグナルの低下を生じる。
【0194】
この実施例は、IG3分子(OxR2)の数を増大させることにより、IG1分子(TRHR)の数がヘテロダイマー/オリゴマーの形成に対する制限となる点を越えて到達する点へと導く。結果的に、修飾因子(OxA)との相互作用の下、シグナルが産生されることなく、IG3分子(OxR2)がIG1分子(TRHR)と会合せず、IG2-RC2 (EGFP/barr1)と会合する傾向が増大する。それ故、シグナル産生は、IG2-RC2 (EGFP/barr1)会合に対する競合により阻害され得る。
【0195】
それ故、この実施例は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合に対するさらなる別の証拠を提供し、IG1濃度を超えるIG3濃度における増大に伴うシグナルの減少は、シグナルがIG1とIG3の特定の分子会合に依存しない場合には生じないと思われる。
【0196】
実施例11:384ウェルプレートにおけるTRHRとOXR2の分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
図17を参照すると、BRETシグナルは、96ウェルおよび384ウェルマイクロプレートにおいて、OxAの量を増大させながら、TRHR/Rluc、barr2/VenusおよびOxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。
【0197】
BRET測定は、同じ濃度の薬剤、同じ濃度のRluc基質(レポーター成分イニシエーター)および同じ濃度のリガンド(修飾因子)を発現している同じ濃度の細胞を用いて行われた。384ウェルプレートの各ウェルに加えられた全容量は、96ウェルプレートの各ウェルに加えられた容量の約半分であった。
【0198】
この実施例は、384ウェルプレートおよび96ウェルプレートにおいて、用量依存性の態様で、TRHRとOxR2との分子会合を示す検出可能なシグナルを測定することを示す。
【0199】
それ故、この実施例は、本発明において述べられている方法は、規模を小さくすることが可能であり、それによりハイスループットスクリーニングの適用に従わせることができる。
【0200】
実施例12:IG3としての甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とIG1としてのオレキシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
図18を参照すると、eBRETシグナルは、OxR2/Rluc8およびbarr2/Venusと共にHA-TRHRまたはpcDNA3を一過性に同時発現している細胞から測定された。リガンド処理は、OxAまたはTRHであった。
【0201】
リガンドまたは媒体処理(0分において加えられる)の前に、ベースラインeBRETシグナルが、受容体の各組み合わせについて記録された。最初の5分以内において、OxR2/Rluc8およびbarr2/Venusと共にHA-TRHR OxAを同時発現している細胞を処理することにより、eBRETシグナルは急速に0.1のピークに到達し、このシグナルは、全記録期間(1時間以上)にわたって高いままであった。シグナルは、OxR2/Rluc8, barr2/VenusおよびHA-TRHRを同時発現している細胞のTRH処理の後にも観察された。しかしながら、このシグナルは時間をかけて段階的に増大し、0.05に到達した。OxR2/Rluc8およびbarr2/Venusと共にpcDNA3を同時発現している細胞をTRH処理した後には、リガンド誘発eBRETシグナルは観察されなかった。
【0202】
この実施例によると、RC1とRC2との近接により生じるシグナルは、OxR2がIG1であり、Rluc8がRC1であり、β-アレスチン2 (barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、HA-TRHRがIG3である組み合わせであり、修飾因子(この場合はTRH)がIG3との特異的な相互作用の結果としてIG2とIG3との会合を修飾する場合に、特異的に検出されることを示す。
【0203】
この実施例によると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合は、IG3として甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体、IG1としてオレキシン受容体を使用した場合に検出されることを示す。これは、以前に示した実施例と比較して異なるIGの配置を用いたこれらの受容体の分子会合の検出を示す。
【0204】
この実施例は、第2のタイプのルシフェラーゼ, Rluc8の使用についても示し、この場合、RC1として使用され、RC2としてVenusが使用される。
【0205】
この実施例はさらに、Pfleger et al., 2006 (Cell Signal 18, 1664-1670)およびPfleger et al., 2006 (Nat Protoc 1, 336-344)に記載されているeBRETシグナルを計算する代替の方法を、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定において使用できることを示す。
【0206】
実施例4に示すように、この実施例は、IG3は例えばヘマグルチン(HA)エピトープ標識の添加により標識化され得るが、この標識は、レポーター成分を構成せず、RC1とRC2との近接により産生されるシグナルを阻害せず、および/または寄与しないことを示す。そのような標識化は、例えばIG3の相対的な発現レベルのような付加的な情報を確認することを可能にする。
【0207】
実施例13:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合(0.6を超えるz因子)を示す検出可能なシグナルの測定
図19、20および21を参照すると、eBRETシグナルは、96ウェルプレートの全てのウェルに分注されたTRHR/Rluc8およびbarr2/Venusと共にHA-OxR2を一過性に同時発現している細胞から測定された。リン酸緩衝食塩水(PBS)は、溶媒対照として、96ウェルプレートの最初の2列および最後の2列(全部で48ウェル)に添加された。OxAは、96ウェルプレートの真ん中の4列(全部で48ウェル)に加えられた。データは、蛍光/発光として示された。
【0208】
リガンドまたは溶媒処理(0分で添加される)の前に、ベースライン読み取り値が記録された。TRHR/Rluc8およびbarr2/Venusと共にHA-OxR2を同時発現している細胞のOxA処理は、蛍光/発光比の増大を生じ(図20)、リン酸緩衝食塩水(PBS)溶媒対照で処理した場合は観察されなかった(図19)。OxAで処理された48ウェルと比較した蛍光/発光の分析(z因子の算出に関して「シグナル」と定義される)およびPBSで処理された48ウェル(z因子の算出に関して「バックグラウンド」と定義される)は、Zhang et al., 1999により述べられた計算(J Biomol Screen 4, 67-73)を用いて、0.67のz因子を生じる。平均値は実線で示され、平均値に由来する3つの標準偏差は点線で示されている。
【0209】
この実施例では、RC1とRC2との近接により生じるシグナルは、TRHRがIG1であり、Rluc8がRC1であり、β-アレスチン2 (barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、HA-OxR2がIG3である組み合わせであり、修飾因子(この場合はOxA)が、IG3との特異的な相互作用の結果としてIG2とIG3との会合を修飾する場合に特異的に検出されることを示す。
【0210】
この実施例では、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体の分子会合は、0.6を超えるz因子を生じる様式で検出され、それ故、ハイスループットスクリーニングに適用できることを示す。
【0211】
この実施例では、さらに、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体とオレキシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルを表すために使用されるBRETデータを表す第3の方法を示す。
【0212】
実施例4および12に示すように、この実施例は、例えばヘマグルチン(HA)エピトープ標識の添加によりIG3が標識されることを示すが、この標識はレポーター成分を構成せず、RC1とRC2との近接により生じるシグナルを阻害せず、および/またはシグナルに寄与しない。そのような標識化は、IG3の相対的な発現レベルのような付加的な情報を確認することを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のオレキシン受容体サブユニットと会合した少なくとも1の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体サブユニットを含んでなる、ヘテロダイマーまたはヘテロオリゴマーの受容体。
【請求項2】
治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法。
【請求項3】
前記甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法。
【請求項5】
前記オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを使用することを含んでなる、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造方法。
【請求項7】
前記薬剤は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
治療的に有効な量のオレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療するための薬剤の製造方法。
【請求項9】
前記薬剤は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
治療的に有効な量の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン選択性の結合剤またはその断片を投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法。
【請求項11】
前記甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン選択性の結合剤は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体および/または抗イディオタイプ抗体を含む抗体であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
治療的に有効な量のオレキシン選択性の結合剤、またはその断片を投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法。
【請求項13】
前記オレキシン選択性の結合剤は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体および/または抗イディオタイプ抗体を含む抗体であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的な活性について、試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合すると共に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定することと、
b)オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合すると共に試験化合物がオレキシン受容体と相互作用する場合、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下で、前記試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり;
オレキシン受容体が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と会合すると共にオレキシン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性および/または作用強度および/または効力を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体へテロダイマー/オリゴマーに対して選択的であると判断される方法。
【請求項15】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的な活性について、試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合すると共に、試験化合物がオレキシン受容体と相互作用するか否か、および/またはその程度を決定することと、
b)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合すると共に試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用する場合、オレキシン受容体の非存在下で、前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用するか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり;
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体がオレキシン受容体と会合すると共に甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性および/または作用強度および/または効力を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体へテロダイマー/オリゴマーに対して選択的であると判断される方法。
【請求項16】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的なアンタゴニズムまたは部分的なアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法であって;
a)前記試験化合物を以下のi)〜iv)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合したオレキシン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第3剤;
iv)オレキシン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体および/または甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアゴニスト
(ここで、前記第1のレポーター成分と第2のレポーター成分との近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基と甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体との会合を修飾する);
b)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストである場合に、前記試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合に、より拮抗性の、もしくは部分的に作動性の特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的であると判断される方法。
【請求項17】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的なアンタゴニズムまたは部分的なアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法であって、
a)前記試験化合物を以下に示すi)〜iv)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)オレキシン受容体を含んでなる第3剤;
iv)オレキシン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体および/または甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアゴニスト
(ここで、前記第1のレポーター成分と第2のレポーター成分との近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基とオレキシン受容体との会合を修飾する);
b)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのアンタゴニストまたは部分的なアゴニストである場合に、前記試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のアンタゴニストもしくは部分的なアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合に、より拮抗性の、もしくは部分的に作動性の特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的であると判断される方法。
【請求項18】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマー選択的なインバースアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法であって、
a)前記試験化合物を以下に示すi)〜iii)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合したオレキシン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)恒常的に活性な甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第3剤;
(ここで、前記第1のレポーター成分と第2のレポーター成分との近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基と甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体との会合を修飾する);
b)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストである場合に、前記試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのインバースアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のインバースアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合に、よりインバースアゴニストの特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的であると判断される方法。
【請求項19】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニズムについて試験化合物をスクリーニングする方法であって、
a)前記試験化合物を以下に示すi)〜iii)を含んでなる系と接触させることにより、試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定することと;
i)第1のレポーター成分と結合した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体を含んでなる第1剤;
ii)第2のレポーター成分と結合した相互作用基を含んでなる第2剤;
iii)恒常的に活性なオレキシン受容体を含んでなる第3剤;
(ここで、前記第1のレポーター成分と第2のレポーター成分との近接によりシグナルを産生し、修飾因子は、相互作用基とオレキシン受容体との会合を修飾する);
b)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストであるか否か、および/またはその程度を決定するためのシグナルの減少を検出することと;
c)前記試験化合物が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーのインバースアゴニストである場合に、前記試験化合物がオレキシン受容体の非存在下で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのインバースアゴニストであるか否か、またはその程度、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体の非存在下でオレキシン受容体のインバースアゴニストであるか否か、またはその程度を決定することと
を含んでなり、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーと相互作用する場合に、よりインバースアゴニストの特性を示す試験化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーに対して選択的であると判断される方法。
【請求項20】
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体/オレキシン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーの選択的なアゴニストおよび/またはアンタゴニストおよび/またはインバースアゴニスト。
【請求項21】
治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法。
【請求項22】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを投与することにより、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者を治療する方法。
【請求項25】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストは、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストと共に投与されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関連する疾患に罹患している患者の治療のための薬剤の製造方法。
【請求項28】
前記薬剤は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
治療的に有効な量の選択的オレキシン受容体/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体ヘテロダイマー/オリゴマーアゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストの使用を含んでなる、オレキシンに関連する疾患に罹患している患者の治療のための薬剤の製造方法。
【請求項31】
前記薬剤は、オレキシン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記薬剤は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−510175(P2010−510175A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535527(P2009−535527)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001723
【国際公開番号】WO2008/055314
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509131029)ディメリックス・バイオサイエンス・ピーティーワイ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】