説明

画像の選択的エンコーディングと置換

【課題】文書の機密事項や重要な部分をエンコードし上書きするためにバーコードを局所的に用いる方法を提供する。
【解決手段】文書の選択された一つ以上の領域、例えば機密情報を含む領域を、選択された一つ以上の領域の中の情報を表す一つ以上のバーコードに置き換えるものである。一つ以上の領域の選択はユーザーによるか自動的に行うことが可能である。処理された文書が印刷されたり電子的に表示されたりした場合に当該一つ以上の領域の中の情報が人間の観察者によっては視覚的に認識することができないように、選択された一つ以上の領域は一つ以上のバーコードに置き換えられる。文書の所定の受け手か読み手は選択された一つ以上の領域を含めて元の形式で表示するのにデコーダーを用いてデコードすることができる。当該方法はコンピューター、スキャナー/コピー機、プリンター、その他同様の物に導入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像のエンコーディングに関し、特に、画像のエンコーディングにおけるバーコードの応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードは、データをエンコードするための機械可読な記号の一形式であり、様々な応用分野において幅広く用いられてきた。二次元バーコード(2dバーコード)は、このような記号の様式の一つであり、一般に文章、数字、画像、バイナリデータストリームを符号化するのに用いることができ、識別カードや出荷ラベル等に用いられてきた。幅広く用いられている2dバーコードの規格のひとつにPDF417規格があり、このような2dバーコードを印刷し、読み取るために、ソフトウェアやハードウェア製品が入手可能である。カラーバーコードもまた提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は画像データをエンコードするために2dバーコードやその他の形式の機械可読な記号を用いた方法と装置を対象とするものである。本発明の目的の一つは文書の機密事項や重要な部分をエンコードし上書きするためにバーコードを局所的に用いる方法を提供することにある。
【0004】
本発明の付加的なもしくは別個の特徴と利点は以下の記述において説明がなされており、一部は当該記述から明らかとなり、または本発明の実施により知ることができる。本発明の目的やその他の利点は明細書や請求項の範囲、さらに添付の図面の中で詳細に示された構造により実現され、到達される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的やその他の目的を達成するため、具現化され広く説明されるように、本発明により(a)ソース文書から少なくとも一つの領域を選択するステップと、(b)前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を表すデータを処理して少なくとも一組のバーコードデータを生成するステップと、(c)前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を表すデータを前記少なくとも一組のバーコードデータに置き換えて、処理された文書を生成する工程と、を含む文書を処理する方法が提供される。
【0006】
他の側面においては、本発明により、少なくとも一つの領域に少なくとも一組のバーコードデータを含み、前記少なくとも一つのバーコードデータが前記少なくとも一つの領域のオリジナル文書のデータを表している処理された文書を復元する方法であって、(d)前記処理された文書の中の前記少なくとも一組のバーコードデータを検出して抜き出すステップと、(e)前記抜き出されたデータを処理して前記少なくとも一領域の中のオリジナル文書のデータを生成するステップと、(f)前記少なくとも一組のバーコードデータを前記少なくとも一つの領域の前記オリジナル文書のデータに置き換えて、復元された文書を生成するステップと、を備える処理された文書を復元する方法が提供される。
【0007】
本発明はまたデータ処理装置に上記の方法を実行させるコンピュータープログラム製品に向けられている。
【0008】
他の側面においては、本発明により、ハードコピー文書をスキャンしてソース文書を生成するスキャン部と、ソース文書を表示するディスプレイ装置と該表示された文書から少なくとも一つの領域を選択する入力装置を含むユーザーインターフェース部と、データ処理装置を制御し、前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域のデータを処理して少なくとも一組のバーコードデータを生成し、そして前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域のデータを前記少なくとも一組のバーコードデータに置き換えて、処理された文書を生成するデータ処理部を含む制御部と、を備えるデータ処理装置が提供される。
前記データ処理装置にはまた記録媒体上の前記処理された文書を印刷する印刷部や外部機器に接続する通信インターフェース部であって、前記通信インターフェース部を介して前記制御部が外部機器に前記処理された文書を送る前記通信インターフェース部分を含めることもできる。
【0009】
当然のことながら、前述の概要の説明と後述の詳細な説明は典型的で解説的なものであり、請求項に記載された本発明についてさらなる説明を提供するためのものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態は、文書の中の一つかそれ以上の選択された領域、例えば署名、指紋、写真、暗証番号、社会保障番号もしくは口座番号等のような機密情報を含む一以上の領域を、この選択された一つ以上の領域の中の情報をエンコードされた形式で表す少なくとも一つのバーコードに置き換えることで文書を処理するものである。処理された文書が印刷もしくは電子的に表示された場合、選択された一つ以上の領域は少なくとも一つのバーコードに置き換えられているので、当該一つ以上の領域の中の情報は人間の観察者には視覚的に認識することはできない。文書の所定の受け手または読み手はデコーダーを使ってバーコードをデコードし、当該選択された一つ以上の領域を含めて元の形式で当該文書を表示することができる。例として図1は署名領域11aを含むオリジナル文書11、署名領域が2dバーコード12aに置き換えられた、処理された文書12、および署名領域13aが元の画像に復元された、復元文書13を図示している。
【0011】
このような画像の選択的エンコーディングと置換の方法は、文書のあまり重要とはいえない領域や機密事項とまではいえない領域をエンコードしないことにより、より効率的なバーコードによるデータの保存を可能とするものである。多くの実際の用途においては、文書は多くの場合、決まった内容、大きさ、形をもつ既知の定型書式に基づいており、一定の数の領域にしかその文書固有の情報(言い換えるとその文書の独自の情報)が含まれていない。例としては記入用紙、書式が決まった文書、請求書等が含まれる。このような文書においては多くの場合セキュリティーやプライバシーの保護を与えるために文書全体をエンコードし、包み隠す必要性はない。
【0012】
本発明の実施の形態の画像の選択的エンコーディングと置換の方法を、図2を参照しながらここで説明する。この方法は、好ましくはソフトウェアやファームウェアを用いて、コンピューター、スキャナー、コピー機、プリンター等といったデータ処理装置において実施することができる。まず、処理されるべき文書が印刷されたもの(ハードコピー)である場合、それはスキャンされ、電子的な形式に変換される(ステップS21)。処理されるべき文書がすでに電子的な形式となっている場合にはこの工程は省略される。以下において当該電子化された形式の処理されるべき文書をソース文書と呼ぶ。ソース文書は様々なデジタル形式であってもよく、テキスト、グラフィックス、画像等やこれらを組み合わせたものが含まれる。次にソース文書の中の一つかそれ以上の領域が少なくとも一つのバーコードに置き換えられるべき一つ以上の領域として選ばれる(ステップS22)。この領域の選択はマニュアルで行うことができ、このような場合には当該文書はディスプレイ装置(例えばコンピューターのモニターやスキャナー装置のスクリーン等)に表示され、そしてユーザーは置換すべき一つかそれ以上の領域を選ぶのに入力装置(例えばマウス、タッチスクリーン等)を用いる。領域の選択はデータ処理装置により自動的に行うこともまた可能であり、特にソース文書が既知の形式(例えば記入用紙)であり置換すべき領域があらかじめ定められているような場合があげられる。データ処理装置がどこに選択されるべき一つ以上の領域があるかを認識できるようにソース文書のヘッダー部分にソース文書の書式の型を表す他のバーコードや記号をソース文書に含めることができる。文書が画像である場合等には印刷もしくは表示された文書上に選択される領域を座標により定義することが可能であり、またテキスト形式の文書に含まれた画像、データフィールド等の場合等には印刷もしくは表示されたページ上の実際の位置が変化しても文書の特定の内容と関連していることによって選択される領域を(例えばメタデータを用いて)定義することが可能である。したがって、文書の“領域”とは、広くは、文書の物理的な領域か、印刷された文書の物理的な位置とは無関係に文書の内容の一部を意味する。文書の中の選択された領域を表すデータは、文書や選択された領域の性質によって画像、テキスト文字列、グラフィックスや、その他の形のデータでありうる。
【0013】
データ処理装置が次にソース文書の一つ以上の選択された領域のデータを圧縮し(ステップS23)、当該データに電子的に署名をし(ステップS24、任意)、当該データを暗号化し(ステップS25、任意)、当該データから少なくとも一組のバーコードデータを生成する(ステップS26)。よってバーコードデータはソース文書の一つ以上の選択された領域の中の当該データを表すものである。任意的に、文書管理やその他の目的のために任意のメタデータをバーコードデータに付け加えることができる。電子的な署名(S24)と暗号化(S25)の工程は任意のものであり、希望のセキュリティーレベルに依存するということに注意が必要である。圧縮する工程もまた任意ものであるが、しかし、選択された領域に画像データが含まれている場合(例えばスキャンされた文書の場合)、バーコードにエンコードするデータの量を減らすために圧縮を行うことが好ましい。他方で、もし選択された領域のデータがすべて文字データであるような場合(例えば隠すべき暗証番号を含む「ワード」(登録商標)の文書の場合)、そのようなときには圧縮が必要ないこともある。ステップS26において、バーコードデータはいずれかの適切な方法を用いて生成され、現存するあるいは将来開発されるかもしれない、いずれの適切な規格に準拠している。
【0014】
本出願の記載においては、“バーコード”という用語は1dもしくは2dのバーコード、カラーバーコード、またはより一般的には、あらゆる機械可読の情報を含む記号で、印刷もしくは表示された形式のものをいう。“バーコードデータ”という用語は印刷もしくは表示されたときにバーコードを表現する電子的な形式のデータをいう。
【0015】
次に、ステップS26において生成されたバーコードデータは、処理された文書を生成するためにソース文書の選択された領域のデータと置き換えるために使用される(ステップS27)。ここでは、“処理された文書”という用語は上記の説明のように処理された、電子的な形式の文書をいう。処理された文書は次に印刷、表示、保存および/または他の機器に転送することができる。
【0016】
ステップS27において、選択された一つ以上の領域のデータをバーコードデータに置き換えることは様々な方法により達成することができる。バーコードデータは選択された領域を表す元のデータの代わりに挿入することができる(元のデータは削除される)。また他の方法として、バーコードデータは処理された文書の中の他の場所に当該バーコードデータを選択された一つ以上の領域と関連付ける適切なメタデータとともに保存することもでき(選択された領域を表す元のデータを削除してもしなくても可)、これにより処理された文書が印刷もしくは表示されたときには、選択された一つ以上の領域には一つ以上のバーコードが印刷もしくは表示され、ソース文書の中のデータは当該一つ以上の領域には印刷もしくは表示されない。処理された文書が印刷もしくは表示されたときに、選択された一つ以上の領域に一つ以上のバーコードが印刷もしくは表示されるような方法でバーコードデータが扱われる限り、元のデータをバーコードデータに置き換える他の方法も用いることができる。
【0017】
圧縮する工程の前に(S23)、データをバーコードにエンコードできることを裏付けるために、選択された一つ以上の領域の中のデータがデータ処理装置によりチェックされる。置換の工程(S27)の前に、選択された一つ以上の領域がバーコードを印刷するのに十分な広さであるか否かを判定するためにデータ処理装置によりバーコードデータがチェックされる。これらの二つの工程(図2には示されていない)を行うことは好ましいが、必須ではない。
【0018】
選択された一つ以上の領域の中の一つ以上の置換バーコード(ソース文書の一つ以上の領域を置き換えた一つ以上のバーコード)を含む印刷された文書は、図3に図示されているデコードの手順によりオリジナル文書に復元することができる。まず、文書をスキャンし(ステップS31)、その中に含まれている一つ以上の置換バーコードを検出し、バーコードデータを抜き出す(ステップS32)。文書がすでにスキャンされた形式であれば、スキャンする工程(S31)は省略することができる。印刷された文書には元の画像の領域を置き換えたものではないバーコードや復元することを目的としないバーコードが含まれる可能性があるため、置換バーコードには該バーコードが置換バーコードであり、元のデータを復元すべきであるということをデコーダーに示す情報を含めることが可能である。抜き出されたデータは次に復号化され(もしデータが暗号化されていた場合)(ステップS33)、電子化された署名が確認される(もし署名が存在する場合)(ステップS34)。オリジナル文書のデータを生成するためにデータは次に解凍される(もしデータが圧縮されていた場合)(ステップS35)。復元された文書を生成するためにバーコードデータはオリジナル文書のデータによって置き換えられる(ステップS36)。ここでもまた、置換はあらゆる適切な方法により行うことができる。復元された文書は表示、印刷、保存、もしくは電子的に転送することができる。
【0019】
画像の選択的エンコーディングと置換の方法を用いた一つの実用的な応用として、選択された一つ以上の領域が一つ以上のバーコードに置き換えられたハードコピーの形式のオリジナル文書のハードコピーや電子的な形式のコピーを作成できるスキャナー/コピー装置があげられる。図4に示されているように、このようなスキャナー/コピー装置40には、文書を表すデジタルデータを得るためにハードコピーの形式の文書をスキャンするためのスキャンする部41、文書を印刷するための印刷部42、ユーザーと対話するためのユーザーインターフェース部43、外部機器と通信するための通信インターフェース部44、スキャナー/コピー装置の機能を制御するための制御部45を含む。このようなスキャナー/コピー機は場合によっては複合機と呼ばれる。制御部45は関連するメモリと制御ソフトウェアを持つプロセッサを含み、適切なバスを通じてセクション41から44に接続されている。ユーザーインターフェース部43にはユーザーがコマンドを入力するために少なくとも制御盤が含まれる。ここにはまたスキャンされた文書の画像を表示するためのディスプレイパネルや、ユーザーがコード化すべき一つ以上の領域を選択できるようにマウスやタッチスクリーンのような入力装置を含めることもできる。スキャナー/コピー機を独立した機器構成で機能させる場合にはこのようなディスプレイパネルや入力装置は必須である。スキャナー/コピー機40が外部のコンピューターに接続されている場合には、スキャンされた画像を表示し、ユーザーが一つ以上のバーコードで置き換える一つ以上の領域を選択できるようにコンピューターのディスプレイと入力装置を利用することができる。選択された一つ以上の領域の中のデータを処理するためのデータ処理プログラム(圧縮、電子署名、暗号化、バーコード生成等)を、コピー機/プリンターの中かそこに接続された外部のコンピューターに常駐させることができる。稼働状態においては、スキャン部41が元のハードコピーをスキャンし、スキャナー/コピー機の一部か接続されたコンピューターの一部であるディスプレイに文書の画像が表示される。ユーザーはスキャナー/コピー機の一部か接続されたコンピューターの一部である入力装置を用いてバーコードとすべき一つかそれ以上の領域を選ぶ。あるいは前述のようにプログラムによりバーコードとすべき一つ以上の領域を自動的に選択することができる。他の方法としては、プログラムにより、ユーザーが表示された文書を用いて選択することを可能とし、それに続く同様の構成を持つ文書をスキャンするときのために使用される当該選択を保存することができる。選択された一つ以上の領域の中の元のデータを表すバーコードデータを生成するために、データ処理プログラムは選択された一つ以上の領域のデータを処理する。ユーザーがコピーかスキャンのいずれの機能を選択したかによって、スキャナー/コピー機は選択された一つ以上の領域が一つ以上のバーコードに置き換えられたオリジナル文書のハードコピーを印刷するか、選択された一つ以上の領域のデータがバーコードデータに置き換えられた電子的な形式のオリジナル文書を保存する。
【0020】
このように、画像の選択的エンコーディングと置換の方法は、ディスプレイ、入力装置、選択された一つ以上の領域が一つ以上のバーコードに置き換えられたオリジナル文書のコピーを作成できる制御ソフトウェアを備えた、独立した機器構成をもつスキャナー/コピー機に具現化することができる。画像の選択的エンコーディングと置換の方法はまた選択された一つ以上の領域が一つ以上のバーコードに置き換えられたオリジナル文書のコピーをスキャナー/コピー機に作成させる制御プログラムに具現化することができる。
【0021】
画像の選択的エンコーディングと置換の方法の他の実用的な応用として、選択された一つ以上の領域が一つ以上のバーコードに置き換えられた文書を印刷することをユーザーに可能とするソフトウェアプログラムがあげられる。印刷されるべき文書(ソース文書)はあらゆる適当な供給源に由来することが可能であり、ワープロアプリケーション、表計算アプリケーション、グラフィックスアプリケーション、電子メールアプリケーション、ウェブブラウザアプリケーション、スキャナー、デジタルカメラ等が含まれる。ユーザーがこのようなプログラムを利用して電子文書をコンピューターから印刷するときに、プログラムによって文書の画像がコンピューターのスクリーン上表示され、ユーザーがバーコードとすべき一つ以上の領域を選択するのを可能にする。あるいは前述のようにプログラムによりバーコードとすべき一つ以上の領域を自動的に選択することができる。他の方法としては、プログラムにより、ユーザーが表示された文書を用いて選択することを可能とし、それに続く同様の構成を持つ文書をスキャンするときのために当該選択を保存することができる。当該プログラムにより、選択された一つ以上の領域のデータが処理され、選択された一つ以上の領域の中のデータを表す一つ以上のバーコードを生成し、選択された一つ以上の領域が一つ以上のバーコードに置き換えられた文書が印刷される。あるいは媒体に文書を印刷する代わりに、ソフトウェアプログラムにより処理された文書は電子的な形式で保存され、それは後に印刷されたときに一つ以上のバーコードに置き換えられた一つ以上の選択された領域を有するものとなる。
【0022】
上記の説明から、本発明の実施の形態の特徴の一つは、文書の選択された一つ以上の領域を一つ以上のバーコードとして単にエンコードし、当該一つ以上の領域の中の元の画像と置き換えるために、選択された一つ以上の領域の中に一つ以上のバーコードを印刷することであることが明らかである。選択された機密事項を含む一つ以上の領域を一つ以上のバーコードに置き換えることの長所としては機密事項を含む一つ以上の領域を思いがけない改ざんから守ることがあげられる。文書の普通のコピーを改ざんして再びコピーすることが容易であるのに対し、バーコード化されている機密事項を含む領域は偽造者もバーコードの技術を用いない限り、改ざんが困難である。機密事項を含む領域の中のデータに電子署名および/または暗号化がなされている場合、偽造者はこれを改ざんすることができないか、発覚することなく改ざんすることはできない。文書の機密事項を含む領域をエンコードする他の長所としては、文書のハードコピーを見る機会のある人物により機密情報(暗証番号、署名等)が盗まれることを防ぐことがあげられる。例えば、クレジットカードの裏の署名がエンコードされ、バーコードとして印刷されていた場合権限のないユーザーはおそらく署名の実際の画像をみることができず、これにより署名を偽造することができなくなる。商店主は適切なデコーダーを備えた装置を用いて署名の画像をみることが可能である。(当然ながら、署名がクレジットカードの磁気データに組み込まれることも可能である。)
【0023】
文書全体をエンコードするのと比較して、画像の選択的エンコーディングと置換の方法はより効率的である。多くの場合、文書の大部分は機密事項にあたらない情報を含み、文書全体をエンコードすることは労力の無駄となる。これに加えて、文書全体をエンコードすることは無意味となるか様々な応用領域での使用が困難となる。なぜなら処理された文書からは人間に認識可能な情報がすべて失われるからである。
【0024】
好ましい本発明の実施例の一形態としては選択された領域の画像を置き換えるのに2dバーコードを利用することである。他の機械可読の記号を利用することもできる。例えば、一次元バーコードを利用することができるが、ただこのようなバーコードはソース文書の画像データを保存するのに十分なデータ容量をおそらく持たないであろう。例えば、社会保障番号の画像がソース文書に画像データの形式で含まれている場合、社会保障番号の領域を文字認識にかけることで社会保障番号を文字コードに変換することが可能である。文字コードに変換された社会保障番号は通常社会保障番号の画像よりも少ない容量であるから、このような文字コードに変換された社会保障番号を表すのに一次元バーコードでも十分足りる可能性がある。
【0025】
上記の説明においては、“ソース文書”という言葉と“処理された文書”という言葉は文書の電子的な形態、言い換えると文書を表す電気信号を指すのに用いられている。当然のことながら、文書の電子的な形態は一時的にしか存在することができず、文書の異なる部分を表す電気信号は同時に存在することはできない。例えば、本発明の実施例の一形態であるコピー機において、元の画像のハードコピーの一部分(物理的な一枚のページもしくはページの一部)がスキャンされ、当該部分の中に含まれる一つもしくはそれ以上の領域が(自動的にもしくは手動で)選択され、バーコードデータに変換され、画像の当該部分は選択された部分がバーコードに置き換えられて印刷され、元の画像の次の部分がスキャンされ同様に処理される前にデータは廃棄されるか、その一部が廃棄されるような実施例が可能である。このような実施例においてはソース文書もしくは処理された文書のさまざまな部分が異なる時に一時的にしか存在しないのではあるけれども、本発明の領域に含まれる。
【0026】
本発明の意図や範囲を逸脱することなく画像の選択的エンコーディングと置換の方法や本発明の装置について様々な改良を行うことや変形物の製作が可能であることは当業者には明らかであろう。このようなことから、本発明の請求項や同等の語句の範囲に含まれるような改良や変形物が本発明により保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】オリジナル文書と本発明の実施例の一形態である方法を用いて処理された文書を図解する図である。
【図2】本発明の実施例の一形態である画像の選択的エンコーディングと置換の方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例の一形態であるオリジナル文書を復元するためのデコードする方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例の一形態であるスキャナー/コピー装置を概略的に図解する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ソース文書から少なくとも一つの領域を選択するステップと、
(b)前記ソース文書の中の前記少なくとも一つの領域を表すデータを処理して、少なくとも一組のバーコードデータを生成するステップと、
(c)前記ソース文書の中の前記少なくとも一つの領域を表すデータを前記少なくとも一組のバーコードデータに置き換えて、処理された文書を生成するステップと、を備える文書を処理する方法。
【請求項2】
前記ソース文書を生成するためにオリジナル文書のハードコピーをスキャンするステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理された文書を媒体に印刷しもしくは前記処理された文書をディスプレイ装置に表示するステップをさらに備え、前記印刷もしくは表示された文書が前記少なくとも一つ領域に少なくとも一つのバーコードを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理された文書を保存もしくは電子的に転送するステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)は、
前記ソース文書をディスプレイ装置に表示するステップと、
表示された前記ソース文書の少なくとも一つの領域をユーザーが選択するステップと、を備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)は、前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を自動的に選択するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つの領域が、印刷もしくは表示されたときの前記ソース文書上の位置によって定義されるかまたは前記ソース文書のデータの内容によって定義される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を表しているデータがテキストデータ、グラフィックスデータもしくは画像データである請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)は、前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を表しているデータを圧縮するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(b)は、
前記圧縮されたデータに電子署名をするステップと、
前記電子署名されたデータを暗号化するステップをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(b)は、メタデータを前記バーコードデータに付け加えるステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)は、前記少なくとも一つの領域が前記バーコードデータを印刷するのに十分な広さであるか否かを判定するステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一組のバーコードデータが少なくとも一つの二次元バーコードを表す請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一組のバーコードデータが少なくとも一つのカラーバーコードを表す請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一つの領域に少なくとも一組のバーコードデータを含み、前記少なくとも一つのバーコードデータが前記少なくとも一つの領域のオリジナル文書のデータを表している処理された文書を復元する方法であって、
(d)前記処理された文書の中の前記少なくとも一組のバーコードデータを検出して抜き出すステップと、
(e)前記抜き出されたデータを処理して前記少なくとも一つの領域にオリジナル文書のデータを生成するステップと、
(f)前記少なくとも一組のバーコードデータを前記少なくとも一つの領域の前記オリジナル文書のデータに置き換えて、復元された文書を生成するステップと、を備える処理された文書を復元する方法。
【請求項16】
文書のハードコピーをスキャンして前記処理された文書を生成するステップをさらに備える含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記復元された文書を媒体に印刷もしくは前記復元された文書をディスプレイ装置に表示するステップをさらに備える請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記復元された文書を保存もしくは電子的に転送するステップをさらに備える請求項15に記載の方法。
【請求項19】
データ処理装置を制御する、コンピューターに可読のコードが具現化されたコンピューターが使える媒体を備えるコンピュータープログラム製品であって、前記コンピューターに可読のプログラムコードは前記データ処理装置にソース文書を処理するための過程を実行させるために設定されており、
(a)ソース文書から少なくとも一つの領域を選択するステップと、
(b)前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を表すデータを処理して少なくとも一組のバーコードデータを生成するステップと、
(c)前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域を表すデータを前記少なくとも一組のバーコードデータに置き換えて、処理された文書を生成するステップと、
を備えるコンピュータープログラム製品。
【請求項20】
データ処理装置を制御する、コンピューターに可読のコードが具現化されたコンピューターが使える媒体を備えるコンピュータープログラム製品であって、前記コンピューターに可読のプログラムコードは前記データ処理装置に、選択された領域のオリジナル文書のデータを表す少なくとも一つの領域のバーコードデータを含む処理された文書を復元するための処理を実行させるために設定されており、
(d)前記処理された文書の少なくとも一組のバーコードデータを検出して抜き出すステップとし、
(e)前記抜き出されたデータを処理し、前記少なくとも一つの領域のオリジナル文書のデータを生成するステップと、
(f)前記少なくとも一組のバーコードデータを前記少なくとも一つの領域の前記オリジナル文書のデータに置き換えて、復元された文書を生成するステップと、
を備えるコンピュータープログラム製品。
【請求項21】
ハードコピー文書をスキャンしてソース文書を生成するスキャン部と、
ソース文書を表示するディスプレイ装置と該表示された文書から少なくとも一つの領域を選択する入力装置を含むユーザーインターフェース部と、
データ処理装置を制御し、前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域のデータを処理して少なくとも一組のバーコードデータを生成し、そして前記ソース文書の前記少なくとも一つの領域のデータを前記少なくとも一組のバーコードデータに置き換えて、処理された文書を生成するデータ処理部を含む制御部と、
を備えるデータ処理装置。
【請求項22】
記録媒体上の前記処理された文書を印刷する印刷部をさらに備える請求項21に記載の装置。
【請求項23】
外部機器に接続する通信インターフェース部であって、前記通信インターフェース部を介して前記制御部が外部機器に前記処理された文書を送る前記通信インターフェース部をさらに備える請求項21に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−251929(P2007−251929A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−20074(P2007−20074)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】