説明

画像パターン制御装置、画像形成装置および画像パターン制御方法

【課題】 単一の検出部を用いて濃度補正と色ずれ補正の双方を精度良く行えるようにする。
【解決手段】 発光部37は像担持体31に光を照射する。第1の受光部39は、発光部37から照射された光が像担持体31とトナーパターン49で反射する光のうち、P波成分を受光する。第2の受光部41は、P波成分に垂直な方向成分であるS波成分を受光する。集光部43は、発光部37から像担持体31までの光軸に配置され、像担持体31上における受光スポット径を形成する。可変制御部45は、集光部43を制御して受光スポット径を可変する。補正部47は、第1および第2の受光部39、41からの受光信号に基づき像担持体31上のトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像パターン制御装置、画像形成装置および画像パターン制御方法に係り、複写機、プリンタ、ファクシミリ機又は複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等のカラー画像形成装置に搭載して好適する画像パターン制御装置、これを搭載した当該画像形成装置および画像パターン制御方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラー複合機等の画像形成装置においては、図示はしないが、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色用の感光体ドラムに対し、画像データから色分解して得られたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)成分データに基づき潜像を形成し、この潜像に4色のトナーを付着させてトナー画像を形成するとともに、感光体ドラム上のトナー画像を中間転写ベルトに転写してから搬送用紙に転写し、搬送用紙上のトナー画像を加熱定着して排紙する構成が良く知られている。
【0003】
なお、中間転写ベルトに転写せずにトナー画像を搬送用紙に直接転写する構成も知られている。
【0004】
そして、移動する中間転写ベルト又は搬送された用紙に対し、例えばイエロー(Y)のトナー画像が転写された上から、所定のタイミングでマゼンタ(M)のトナー画像、シアン(C)のトナー画像およびブラック(K)のトナー画像が順次重畳されてフルカラーのトナー像が形成される。
【0005】
他方、画像形成装置においては、温度および湿度の変化、経時的な機械的変動や消耗等によって感光体ドラム、中間転写ベルトその他の構成に変動が生じることが不可避である。
【0006】
そのため、品質の高いカラー画像を形成するためには、各色について感光体ドラムへのトナーの付着量を適切に制御するとともに、各色の色ずれを小さく制御することが大切であり、トナー量およびトナー画像の色ずれを検出し、感光体ドラムに潜像を形成するための帯電電圧、現像バイアス、露光量又は主副走査方向の作像タイミングの他、中間転写ベルトの速度等を調整する必要がある。
【0007】
従来、トナー量および各色のトナー像の色ずれを検出するため、トナーパターンを各感光体ドラムから中間転写ベルト又は搬送用紙に転写し、濃度補正用センサおよび色ずれ補正用センサによってトナーパターンから補正信号を取得し、これに基づいて潜像形成用の帯電電圧、現像バイアス、露光量又は主副走査方向の作像タイミングの他、中間転写ベルトの速度等を可変制御していた。
【0008】
ところが、濃度補正用センサおよび色ずれ補正用センサによって個々の補正信号を取得する構成では、2個の検出センサが必要になってコスト高を招くし、小型化の障害になり易い。
【0009】
そこで、濃度補正および色ずれ補正に対し、各々専用のセンサを用いるのではなく、例えば濃度センサのみを用いてそれぞれの制御を行う構成が提案されている。
【0010】
例えば、特開2005−134778号公報(特許文献1)の感熱プリンタはこの種のものである。
【0011】
この特許文献1は、像担持体上のトナーパターンに光を照射する発光部と、発光部から照射された光がトナーパターンおよび像担持体で反射する光のうち、像担持体に平行な方向であるP波成分を第1の偏光フィルタを透過させて受光する第1の受光装置と、そのP波成分に垂直な方向成分であるS波成分を第2の偏光フィルタを透過させて受光する第2の受光装置とを備え、それら第1および第2の受光装置とが互いに並列に配置された光検出センサと、それら第1および第2の受光装置の配設位置情報および画像形成装置のシステム速度情報とに基づき、それら第1および第2の受光装置のうち先に入射した受光装置の検出出力を時間的に遅延させる遅延部と、それら第1又は第2の受光装置の出力信号と遅延部により遅延された検出出力との差を像担持体上のトナー反射光量情報として演算する演算部とを備え、反射型濃度センサのみを用いて濃度補正および色ずれ補正を可能にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−134778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した特許文献1では、濃度センサを用いて色ずれ補正用トナーパターンを検出し、濃度検出信号および色ずれ検出信号のタイミングを揃えて補正するから、コストの低減が可能であるが、以下のような課題がある。
【0014】
例えば、図5に示すように、中間転写ベルト1の端にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の補正用マーク3y、3m、3c、3bからなるトナーパターン3を形成したとき、移動する中間転写ベルト1上の補正用トナーパターン3の濃度を固定された反射型濃度センサ(図示せず。)で検出する場合、補正用マーク3y〜3b細部の濃淡ムラなどの局所的なノイズ成分による誤検知を防ぐため、同図Bに示すように、固定した発光部(図示せず。)からある程度面積の大きな径のスポットSで光を照射し、この反射光から濃度を検出することが好ましい。
【0015】
他方、このような濃度センサを用いて色ずれを検出する場合、移動する補正用マーク3y〜3bにスポットSがかかり始めてから中央に移動する間のセンサ出力が山型波形となって一定になり難いから、ある閾値以上のレベル値でもって補正用マーク3y〜3bの位置を検出することは可能であるが、スポットSの径が大きいと、マークの濃淡およびエッジ効果などの影響により、補正用マーク3y〜3bについて算出されるマーク位置が異なってしまうという問題があり、トナーパターン3の補正用マーク3y〜3bの位置ずれを正確に検出するには面積の小さな径のスポットSを用いることが好ましい。
【0016】
そのため、濃度補正と色ずれ補正の双方を精度よく行うには、上述したように濃度補正用センサおよび色ずれ補正用センサを別個に設置することが望ましいが、上述した欠点がある。
【0017】
そこで、本発明者は、濃度補正用センサおよび色ずれ補正用センサについて鋭意観察検討した結果、濃度補正用センサおよび色ずれ補正用センサを別個に設置しなくとも、何れかを用いて濃度補正および色ずれ補正の双方が可能な構成を見出し、本発明を完成させた。
【0018】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、単一の検出部を用いて濃度補正、色ずれ補正の双方を精度良く行うことが可能な画像パターン制御装置、これを搭載した画像形成装置および画像パターン制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係る画像パターン制御装置は、像担持体上のトナーパターンに光を照射する発光部と、この発光部から照射された光がそれらトナーパターンおよび像担持体で反射する光のうち、その像担持体に平行な方向であるP波成分を偏光フィルタを介して受光する第1の受光部と、そのP波成分に垂直な方向成分であるS波成分を偏光フィルタを介して受光する第2の受光部と、その発光部から像担持体までの光軸に配置され、その像担持体上における受光スポット径を形成する集光部と、この集光部を制御して受光スポット径を可変する可変制御部と、それら第1および第2の受光部からの受光信号に基づき像担持体上に形成されるトナーパターンに係るトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力する補正部と、を具備している。
【0020】
本発明の請求項2に係る画像パターン制御装置は、上記集光部を集光レンズとした構成を有している。
【0021】
本発明の請求項3に係る画像パターン制御装置は、上記可変制御部が、その集光レンズをその光軸上で当該光軸に沿って変位する機能を有する構成である。
【0022】
本発明の請求項4に係る画像パターン制御装置は、上記可変制御部が、その集光レンズをその光軸上および光軸外の位置に進退動変位する機能を有する構成である。
【0023】
本発明の請求項5に係る画像パターン制御装置は、上記集光部が光軸を絞る絞り部であり、上記可変制御部がその絞り部の絞りを可変制御する機能を有する構成である。
【0024】
本発明の請求項6に係る画像パターン制御装置は、上記可変制御部が、トナー量補正よりも位置ずれ補正用に前記受光スポット径を小径可変する機能を有している。
【0025】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、それら請求項1〜6いずれか1記載の画像パターン制御装置と、その補正信号に基づき補正して画像データをその像担持体上にカラー現像する画像形成部とを有する構成である。
【0026】
本発明の請求項8に係る画像パターン制御方法は、発光部から像担持体上のトナーパターンに光を照射し、それらトナーパターンおよび像担持体で反射する光のうち像担持体に平行な方向であるP波成分を偏光フィルタを介して第1の受光部で受光するとともに、そのP波成分に垂直な方向成分であるS波成分を偏光フィルタを介して第2の受光部で受光し、その発光部から像担持体までの光軸に配置された集光部を制御してその像担持体上における受光スポット径を変化させ、それら第1および第2の受光部からの受光信号であって、受光スポット径の変化に基づき像担持体上に形成されるトナーパターンに係るトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力することを特徴としている。
【0027】
本発明の請求項9に係る画像パターン制御方法は、上記集光部として集光レンズを用いる構成を有している。
【0028】
本発明の請求項10に係る画像パターン制御方法は、上記集光レンズであるその集光部を光軸上で当該光軸に沿って変位する構成を有している。
【0029】
本発明の請求項11に係る画像パターン制御方法は、上記集光レンズであるその集光部を光軸上および光軸外の位置に進退動変位する構成を有している。
【0030】
本発明の請求項12に係る画像パターン制御方法は、上記集光部として光軸を絞る絞り部を用い、この絞り部の絞りを可変させる構成を有している。
【0031】
本発明の請求項13に係る画像パターン制御方法は、トナー量補正よりも位置ずれ補正用にその受光スポット径を小径可変制御させる構成を有している。
【発明の効果】
【0032】
このような本発明の請求項1、8に係る画像パターン制御装置および画像パターン制御方法では、発光部から像担持体上のトナーパターンに光を照射し、それらトナーパターンおよび像担持体で反射する光のうちP波成分を第1の受光部で受光し、S波成分を第2の受光部で受光するとともに、その発光部から像担持体までの光軸に配置された集光部を制御してその像担持体上における受光スポット径を、例えばトナー量補正よりも位置ずれ補正用にその受光スポット径を小径可変制御させ、受光スポット径の変化に基づく第1および第2の受光部からの受光信号からトナーパターンに係るトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力するから、単一の検出部を用いて濃度補正と色ずれ補正の双方を精度良く行うことが可能である。
【0033】
本発明の請求項2、9に係る画像パターン制御装置および画像パターン制御方法では、上記集光部として集光レンズを用いる構成であるから、簡単な構成によって受光スポット径を形成することが可能である。
【0034】
本発明の請求項3、10に係る画像パターン制御装置および画像パターン制御方法では、上記集光レンズであるその集光部を光軸上で当該光軸に沿って変位するから、簡単な構成によって受光スポット径を可変することが可能である。
【0035】
本発明の請求項4、11に係る画像パターン制御装置および画像パターン制御方法では、上記集光部を光軸上および光軸外の位置に進退動変位する構成であるから、別の簡単な構成によって受光スポット径を可変することが可能である。
【0036】
本発明の請求項5、12に係る画像パターン制御装置および画像パターン制御方法では、上記集光部として光軸を絞る絞り部を用い、この絞り部の絞りを可変させるから、別の簡単な構成によって受光スポット径を可変することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る画像パターン制御装置を画像形成装置とともに実施の形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の内部構成を示す要部構成図である。
【図3】本発明に係る画像パターン制御装置の実施の形態を説明する図である。
【図4】本発明に係る画像パターン制御装置の集光部および可変制御部の一例を説明する図である。
【図5】本発明に係る画像パターン制御装置の参考になるトナー濃度および色ずれ検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る画像パターン制御装置、画像形成装置および画像パターン制御方法の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0039】
なお、本発明の画像パターン制御装置および画像パターン制御方法は、本発明の画像形成装置を説明する過程で説明する。
【0040】
図1は本発明に係る画像形成装置の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【0041】
図1において、本発明に係る画像形成装置Aは、主制御部5を中心にして画像読取部7、記憶部9、操作パネル部11、通信部13、印刷部15および画像パターン制御装置17を有し、画像形成装置としての例えば複合機を構成している。なお、画像形成装置Aとしてはこれ以外にも種々の構成を有するが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。
【0042】
主制御部5は、画像読取部7、記憶部9、操作パネル部11、通信部13および印刷部15および画像パターン制御装置17を制御するものであるが、詳細は後述する。
【0043】
画像読取部7は、図2に示すように、画像形成装置Aの本体ケース19の上部に配置され、主制御部5の制御の下、例えば印刷された原稿から画像を光学的に読み取り、フィルタ処理等をして文字を含む電子的画像データを生成するスキャナ等の画像入力部であり、生成した画像データが原稿の頁毎に記憶部9に順次記憶されるようになっている。
【0044】
図1に戻って、記憶部9は、画像読取部7および通信部13からの画像データ、主制御部5の動作プログラムの他、印刷部15および画像パターン制御装置17を制御する種々のプログラムやデータを格納する読み書き可能な例えばハードディスク(HDD)である。
【0045】
操作パネル部11は、図2に示すように、画像形成装置Aの本体ケース19の上部に配置され、画像形成装置Aの動作状態を表示する液晶タイプの表示部と、タッチスイッチタイプの入力部を兼ねた画像表示入力部であり、主制御部5によって画像表示制御されるとともに、入力指示が主制御部5に出力される。
【0046】
すなわち、操作パネル部11は、印刷(印字、コピー)処理、プリンタ処理、スキャナ処理、ファックス処理等の種々の操作指示や選択をする選択キー、それらの操作に係る動作機能の設定、トナー濃度および色ずれの補正スタート等を入力する入力部としての指示キー、種々の動作情報を表示する表示パネル部等を有している。
【0047】
図1の通信部13は、主制御部5の制御の下、図示しないネットワークを介して例えば情報処理装置(コンピュータ)や他の画像形成装置との間で、画像データ、ファクシミリ原稿又は電子メール等のデータを送受信するインターフェース部である。
【0048】
印刷部15は、図2に示すように、画像形成装置Aの本体ケース19内に配置され、複数の給紙段21(便宜上1個のみ示す。)から給紙ローラ23で用紙25を1次給紙し、その用紙25をレジストローラ27で2次給紙してブラック、マゼンタ、シアンおよびイエローの4色の後述する画像形成部29(29y、29m、29c、29bでトナー画像を中間転写ベルト31にカラー転写し、加圧ローラおよび加熱ローラからなる定着部33から外部の排紙部35に排紙する公知の印刷エンジンである。
【0049】
画像形成部29は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)用の4個の感光体ドラム29aに対し、画像データから色分解して得られたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)成分データに基づき潜像を形成し、この潜像に対して各色のトナーカセット29bからトナーを付着させてトナー画像を形成するとともに、感光体ドラム29a上の4色のトナー画像を中間転写ベルト31に転写する構成を有している。
【0050】
そして、印刷部15において、移動する中間転写ベルト31に対し、例えば、イエロー(Y)のトナー画像が転写された上から、所定のタイミングでマゼンタ(M)のトナー画像、シアン(C)のトナー画像およびブラック(K)のトナー画像が順次重畳され、中間転写ベルト31にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0051】
画像形成部29は、例えば、画像形成装置Aの主電源が投入されて起動されたり操作パネル11からの指示に基づき、主制御部5がトナー濃度制御および色ずれ補正制御の実行を指示し、画像形成部29がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)のトナー量補正用および色ずれ補正用のトナーパターン49を中間転写ベルト31に各々転写する機能を有している。
【0052】
図1に戻って、画像パターン制御装置17は、発光部37、第1の受光部39、第2の受光部41、集光部43、可変制御部45および補正部47その他を有して形成され、図2中の感光ドラム29aの下流側に中間転写ベルト31に向けて配置されている。なお、それら各構成要素は、画像パターン制御装置17の図示しない本体に直接又は間接的に固定されている。
【0053】
発光部37は、図3に示すように、例えば赤外線を中間転写ベルト31上のトナーパターン49に向けて斜めに発光照射するものである。
【0054】
発光部37から中間転写ベルト31表面までの光軸には、これを横切るように第1の偏光フィルタ51および集光部43が配置されている。
【0055】
第1の偏光フィルタ51は、発光部37からの発光光を中間転写ベルト31に平行な方向であるP波成分に揃える偏光フィルタである。
【0056】
集光部43は、第1および第2の受光部39、41における受光光のスポット径を形成するとともに、そのスポット径を可変するために挿入された例えば集光レンズ(凸レンズ)であり、可変制御部45によって光軸方向に変位されるようになっている。
【0057】
第1の受光部39は、発光部37から照射された光が中間転写ベルト31およびトナーパターン49で反射された光の光軸上に配置された第2の偏光フィルタ53を介してP波成分を受光する正反射型受光素子である。
【0058】
第2の偏光フィルタ53は、そのP波成分と、これに垂直な方向成分であるS波成分に偏光する機能を有している。
【0059】
第2の受光部41は、第2の偏光フィルタ53からのS波成分の光の光軸上に配置され、S波成分の光を受光する拡散反射型受光素子である。
【0060】
可変制御部45は、所定の指示に基づき、第1および第2の受光部39、41における受光光のスポット径について、図Cに示すように、ある程度大径のスポット径が得られる第1のスポットS1が得られる第1の位置と、これより小さなスポット径が得られる第2のスポットS2が得られる第2の位置になるよう、集光部43を光軸に沿って変位制御する、例えばソレノイド等の可変機構である。
【0061】
補正部47は、第1および第2の受光部39、41から受光光に応じて得られた出力信号に基づき、中間転写ベルト31上に形成されるトナーパターン49に係るトナー量および位置ずれを基準値に近づけるよう補正する補正信号を、主制御部5を介し、例えば印刷部15に出力する機能を有している。
【0062】
主制御部5は、CPU、このCPUの起動プログラムを格納したメモリ部、入出力インターフェース(いずれも図示せず。)を有し、上述した画像読取部7、記憶部9、通信部13、操作パネル部11、印刷部15および画像パターン制御装置17を制御している。
【0063】
すなわち、主制御部5は、画像読取部7および通信部13からの画像データを記憶部9に記憶制御し、操作パネル部11における動作表示やカラー印刷の入力指示を制御し、画像データを記憶部9から印刷部15に送って印刷制御し、画像パターン制御装置17におけるトナー量および位置ずれを補正を起動するとともに、得られた補正信号を印刷部15に送ってトナー濃度制御および色ずれ補正制御の各動作を担っている。
【0064】
また、主制御部5は、画像形成装置Aの主電源が投入されて起動されたとき又は操作パネル部11からの指示により、画像パターン制御装置17に対し、トナー濃度制御および色ずれ補正制御の実行を指示制御する機能を有している。
【0065】
次に、上述した本発明に係る画像パターン制御装置17の動作を簡単に説明する。
【0066】
例えば、画像形成装置Aの主電源が投入されて起動すると、主制御部5が画像パターン制御装置17に対してトナー濃度制御および色ずれ補正制御の実行を指示し、画像形成部29がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)のトナー量補正用および色ずれ補正用のトナーパターン49を中間転写ベルト31に各々転写する。
【0067】
中間転写ベルト31への転写に合わせて、可変制御部45は、中間転写ベルト31における受光光のスポット径がある程度大径の第1のスポットS1(図5C参照)が得られるような位置に集光部43を変位制御する。
【0068】
これを受けて、発光部37が中間転写ベルト31およびトナー量補正用のトナーパターン49に向けて光を照射し、第1および第2の受光部39、41による受光に応じて得られた出力信号に基づき、補正部47が、トナーパターン49に係るトナー量を基準値に近づける補正信号を主制御部5を介して印刷部15へ出力する。
【0069】
画像形成部29では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)について、その補正信号に基づき、感光体ドラム29aに潜像を形成するための帯電電圧、現像バイアス又は露光量等を調整して所望のトナー厚みに補正制御する。
【0070】
各色のトナー厚み補正制御が終了すると、可変制御部45は、第1および第2の受光部39、41における受光光のスポット径が小さい第2のスポットS2(図5C参照)が得られるような位置に集光部43を変位制御する。
【0071】
これを受けて、発光部37が中間転写ベルト31および色ずれ補正用のトナーパターン49に向けて光を照射し、第1および第2の受光部39、41による受光に応じて得られた出力信号に基づき、補正部47が、色ずれ補正用のトナーパターン49に係る色ずれを基準値に近づける補正信号を主制御部5を介して印刷部15へ出力する。
【0072】
画像形成部29では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)について、その補正信号に基づき、感光体ドラム29aへの潜像形成位置等を調整して所望の色ずれ補正制御する。
【0073】
ところで、補正部47が、トナー濃度の応じた出力信号や色ずれ量に応じた出力信号を出力する動作は、例えば次のように説明される。
【0074】
すなわち、発光部37が、図3に示すように、赤外線を中間転写ベルト31上のトナーパターン49に向けて光を照射した場合、トナーパターン49のない中間転写ベルト31表面部分からの反射光は、殆ど乱反射されずに正反射されたP波成分の光であるから、そのまま第2の偏光フィルタ53を介して第1の受光部39で受光され、第2の偏光フィルタ53からS波成分の光が分光されずに第1の受光部39では受光されずない一方、第2の受光部37ではS波成分の光のみが受光されるから、第1、第2の受光部39、41での受光量の差が大きくなる。
【0075】
そのため、補正部47が、第1、第2の受光部39、41での受光量の差に基づき、中間転写ベルト31表面のトナーパターン49のトナー濃度が検出される。
【0076】
そして、トナー濃度および色ずれの検出はほぼ同様であり、これらの処理過程が本発明に係る画像パターン制御方法に相当する。
【0077】
このように、本発明の画像パターン制御装置17は、中間転写ベルト31上のトナーパターン49に光を照射する発光部37と、この発光部37から照射された光がそれら中間転写ベルト31およびトナーパターン49で反射する光のうち、その中間転写ベルト31に平行な方向であるP波成分を偏光フィルタ51を介して受光する第1の受光部39と、そのP波成分に垂直な方向成分であるS波成分を偏光フィルタ53を介して受光する第2の受光部41と、その発光部37から中間転写ベルト31までの光軸に配置され、その中間転写ベルト31における受光スポット径を形成する集光部(集光レンズ)39と、この集光部43を制御して受光スポット径を可変する可変制御部45と、それら第1および第2の受光部39、41からの受光信号に基づき中間転写ベルト31上に形成されるトナーパターン49に係るトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力する補正部47とを具備し、その可変制御部45はその集光部43をその光軸上で当該光軸に沿って変位する機能を有している。
【0078】
そして、発光部37、偏光フィルタ51、第1、第2の受光部39、41、集光部39、可変制御部45等によって単一の検出部を形成可能であり、この検出部を用いて濃度補正と色ずれ補正の双方を精度良く行うことが可能となるし、集光部43として集光レンズを用いるから、簡単な構成によって受光スポット径を形成することが可能であるうえ、その集光部43を光軸上で当該光軸に沿って変位するから、簡単な構成によって受光スポット径を可変することが可能である。
【0079】
しかも、濃度補正と色ずれ補正にそれぞれ別個の検出部を用いる必要がないため、省スペース化、低コスト化が可能である。
【0080】
また、濃度補正と色ずれ補正における中間転写ベルト31上の検知位置が同じであるため、中間転写ベルト31の下地情報を共有することができ、メモリ容量を節約可能である。
【0081】
この点、色ずれ補正用マークの閾値算出時には、中間転写ベルト31の傷、光沢ムラなどを考慮する必要があるが、濃度補正用検出部および色ずれ補正用検出部を別個に設置した場合、各検出部の中間転写ベルト31の検知位置が異なるため、各センサについて像担持体の下地情報を記憶しなければならず、2倍のメモリ容量が必要となる。
【0082】
そして、本発明の画像パターン制御装置17では、集光部43として集光レンズを用いる構成であっても、その集光部43をその光軸上で当該光軸に沿って変位する機能に限定されず、集光レンズ39を光軸上および光軸外の位置に進退動変位する構成も可能であり、これに合わせて可変制御部45を形成すれば良い。
【0083】
例えば、図4Aに示すように、支持台55上に集光レンズからなる集光部43をスライド可能に支持させ、図示を省略した可変制御部により、支持台55上から集光部43をせり出すように変位させ、支持台55に固定した発光部35からの光軸上に集光部43を進退動自在に変位させる構成であっても、受光スポット径を可変形成することが可能である。
【0084】
なお、図4では、発光部35、第1、第2の受光部39、41を支持台55に固定し、図3とは上下逆にして図示した。
【0085】
さらに、図4Bに示すように、集光レンズからなる集光部43の一端を支持台55に片持ち支持させるとともに、図示しない可変制御部により、集光部43のその一端を支点として図3の光軸上を横切るよう、図示しないモータなどによって約90°前後の角度で回転(進退動)変位させる構成であっても、受光スポット径を可変することが可能である。
【0086】
また、本発明の画像パターン制御装置17では、集光部43として集光レンズを用いる構成に限定されず、光軸を絞る絞り部(図示せず)であってもよく、可変制御部45はその絞り部の絞りを可変制御する機能を有していれば、本発明の目的達成が可能である。
【0087】
そして、色ずれ量を検出する場合、帯状のトナーパターン49を使用してトナー付着量や色ずれ量を演算する構成に限られるものではなく、ある幅を持った種々の形状パターンで実施可能である。
【0088】
また、像担持体としては、実施の形態で示した中間転写ベルト31の他、各色のトナー像を重畳できるものであれば、ベルト状、ドラム状、ローラ状等の像担持体に適用することができるし、用紙25も像担持体と考えることが可能である。
【0089】
なお、本発明の画像パターン制御装置17では、図示はしないが、中間転写ベルト31に転写せずにトナー画像を感光体ドラム29aから搬送用紙に直接転写する構成も可能である。
【0090】
さらに、上記実施の形態では、本発明を中間転写ベルト31を使用したフルカラー画像形成装置Aに適用した例で説明したが、2色以上のトナーを使用する構成にも適用することができることは言うまでもない。
【0091】
本発明に係る画像パターン制御装置17を搭載した画像形成装置Aおよび画像パターン制御方法においても、上述した画像パターン制御装置17と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1、31 中間転写ベルト(像担持体)
3、49 トナーパターン
5 主制御部
7 画像読取部
9 記憶部
11 操作パネル部
13 通信部
15 印刷部
17 画像パターン制御装置
19 本体ケース
21 給紙段
23 給紙ローラ
25 用紙(像担持体)
27 レジストローラ
29 画像形成部
29a 感光ドラム(像担持体)
29y、29m、29c、29b トナーカセット
33 定着部
35 排紙部
37 発光部
39 第1の受光部
41 第2の受光部
43、43a 集光部(集光レンズ)
45 可変制御部
47 補正部
51 第1の偏向フィルタ
53 第2の偏向フィルタ
55 支持台
A 画像形成装置(複合機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナーパターンに光を照射する発光部と、
この発光部から照射された光が前記トナーパターンおよび前記像担持体で反射する光のうち、前記像担持体に平行な方向であるP波成分を偏光フィルタを介して受光する第1の受光部と、
前記P波成分に垂直な方向成分であるS波成分を偏光フィルタを介して受光する第2の受光部と、
前記発光部から前記像担持体までの光軸に配置され、前記像担持体上における受光スポット径を形成する集光部と、
この集光部を制御して前記受光スポット径を可変する可変制御部と、
前記第1および第2の受光部からの受光信号に基づき前記像担持体上に形成される前記トナーパターンに係るトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力する補正部と、
を具備することを特徴とする画像パターン制御装置。
【請求項2】
前記集光部は、集光レンズである請求項1記載の画像パターン制御装置。
【請求項3】
前記可変制御部は、前記集光レンズを前記光軸上で当該光軸に沿って変位する機能を有する請求項2記載の画像パターン制御装置。
【請求項4】
前記可変制御部は、前記集光レンズを前記光軸上および光軸外の位置に進退動変位する機能を有する請求項2記載の画像パターン制御装置。
【請求項5】
前記集光部は光軸を絞る絞り部であり、前記可変制御部は前記絞り部の絞りを可変制御する機能を有する請求項1記載の画像パターン制御装置。
【請求項6】
前記可変制御部は、トナー量補正よりも位置ずれ補正用に前記受光スポット径を小径可変する機能を有する請求項1〜5いずれか1記載の画像パターン制御装置。
【請求項7】
前記請求項1〜6いずれか1記載の画像パターン制御装置と、前記補正信号に基づき補正して画像データを前記像担持体上にカラー現像する画像像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
発光部から像担持体上のトナーパターンに光を照射し、
前記トナーパターンおよび前記像担持体で反射する光のうち前記像担持体に平行な方向であるP波成分を偏光フィルタを介して第1の受光部で受光するととともに、前記P波成分に垂直な方向成分であるS波成分を偏光フィルタを介して第2の受光部で受光し、
前記発光部から前記像担持体までの光軸に配置された集光部を制御して前記像担持体上における受光スポット径を変化させ、
前記第1および第2の受光部からの受光信号であって、受光スポット径の変化に基づき前記像担持体上に形成される前記トナーパターンに係るトナー量および位置ずれを補正する補正信号を出力することを特徴とする画像パターン制御方法。
【請求項9】
前記集光部として集光レンズを用いる請求項8記載の画像パターン制御方法。
【請求項10】
前記集光レンズである前記集光部を前記光軸上で当該光軸に沿って変位する請求項9記載の画像パターン制御方法。
【請求項11】
前記集光レンズである前記集光部を前記光軸上および光軸外の位置に進退動変位する請求項9記載の画像パターン制御方法。
【請求項12】
前記集光部として光軸を絞る絞り部を用い、この絞り部の絞りを可変させる請求項8記載の画像パターン制御方法。
【請求項13】
トナー量補正よりも位置ずれ補正用に前記受光スポット径を小径可変制御させる請求項8〜12いずれか1記載の画像パターン制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7855(P2011−7855A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148733(P2009−148733)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】