説明

画像信号処理装置

【課題】対数圧縮等の非線形特性を持つ撮像素子を用いたカメラ装置においても、画像の明るさによらず高精度のオートフォーカス制御を実現可能な画像信号処理装置を提供する。
【解決手段】例えば、被写体からの入射光を光電変換し画像信号として出力し且つその入出力特性が非線形である撮像素子と、該撮像素子からの画像信号に所定の処理を行い入力する入力手段と、前記入力手段からの画像信号のレベル検出を行う信号レベル検出手段と、前記入力手段からの画像信号において注目画素とその周辺画素間の信号レベル差を基にコントラスト検出を行うコントラスト検出手段と、前記信号レベル検出手段の検出結果に応じて前記コントラスト検出手段の出力信号に所定の重み付け処理を行う重み変換手段と、該重み変換手段の出力信号を所定の期間に渡り合成する合成手段と、該合成手段の出力信号に応じてフォーカス制御を行う制御手段と、を持つ構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形光電変換特性を有する撮像素子を備えるカメラ装置において、高精度のオートフォーカス制御を行う、画像信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2002−77733号公報がある。該公報には「[課題]本発明は、バイアス電圧を切り換えることなく、光電変換部に入射される入射光量に応じて、自動的に対数変換動作及び線形変換動作を切り換えることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。[解決手段]信号φVPSに、撮像時にMOSトランジスタT1のソースに与える電圧VHより低い電圧VLとなるパルス信号を与えることによって、撮像開始時におけるMOSトランジスタT1のゲート電圧をソース電圧より低い電圧とする。よって、撮像時において、被写体が所定の輝度値を超えるまでは、MOSトランジスタT1がカットオフ状態となるので、線形変換された電気信号が出力され、又、被写体が所定の輝度値を超えたとき、MOSトランジスタT1がサブスレッショルド領域で動作するので、対数変換された電気信号が出力される。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−77733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ワイドダイナミックレンジ画像生成技術の例として、被写体の光を入力とし光電変換した後画像信号として出力する撮像素子を、画素飽和を極力抑えるよう非線形入出力特性とし、該非線形入出力特性の撮像素子を用いて撮影することでワイドダイナミックレンジの画像を取得するものがある(特開2002−77733号公報)。
【0005】
上記のワイドダイナミックレンジ画像生成技術における非線形入出力特性を持つ撮像素子は、対数圧縮等により非線形入出力特性を実現しているため、画像信号の強弱が圧縮された画像となる。このため、撮像素子からの信号を元に制御する方式として一般的な、コントラスト検出方式のオートフォーカス制御に適用した場合、例えば光が比較的弱い被写体を映した場合は信号圧縮が小さいため信号差分を大きく取れ、その結果としてコントラスト検出結果も大きくなり、精度の高いオートフォーカス制御が可能となる。一方、光が比較的強い被写体を映した場合は信号圧縮が大きいため信号差分が大きく取れなくなり、その結果コントラスト検出結果も小さくなってしまい、オートフォーカス制御の精度が低下してしまうという課題があった。
【0006】
本発明による画像処理装置を用いれば、従来技術における課題を解決でき、例えば対数圧縮等の非線形特性を持つ撮像素子を用いたカメラ装置においても、画像の明るさによらず高精度のオートフォーカス制御を実現することができる。
【0007】
上記以外の課題は、後述する実施例によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、特許請求の範囲の構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による画像処理装置を用いれば、従来技術における課題を解決でき、例えば対数圧縮等の非線形特性を持つ撮像素子を用いたカメラ装置においても、画像の明るさによらず高精度のオートフォーカス制御を実現することができる。
【0010】
上記以外の効果は、後述する実施例によって明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1における基本構成図
【図2】本発明の実施例2における基本構成図
【図3】本発明における撮像素子の入出力特性の例
【図4】本発明におけるコントラスト拡張の例1
【図5】本発明におけるコントラスト拡張の例2
【図6】本発明における撮像素子の入出力特性の例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に好適な実施形態の例として、非線形光電変換特性を有する撮像素子を備えたカメラシステムのオートフォーカス制御に適用した場合を説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明における実施例1について詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1における基本構成図である。
【0014】
被写体からの入射光を光電変換し画像信号として出力し且つその入出力特性が非線形である撮像素子1と、該撮像素子からの画像信号に所定の処理を行い入力する入力手段2と、該入力手段からの画像信号に対してカメラ装置として必要な信号処理を行うカメラ信号処理手段3と、該カメラ信号処理手段からの画像信号を所定の処理を行い出力する出力手段4と、前記入力手段からの画像信号のレベル検出を行う信号レベル検出手段5と、前記入力手段からの画像信号における注目画素とその周辺画素間の信号レベル差を基にコントラスト検出を行うコントラスト検出手段6と、前記信号レベル検出手段の検出結果に応じて前記コントラスト検出手段の出力信号に所定の重み付け処理を行う重み変換手段7と、該重み変換手段の出力信号を所定の期間に渡り合成する合成手段8と、該合成手段の出力信号に応じてフォーカス制御信号を生成する制御手段9と、該制御手段の出力信号に応じてレンズ駆動を行うレンズ駆動手段10と、前記撮像素子の前面に配置され前記レンズ駆動手段により駆動されるレンズ11と、を持つ構成とした。
【0015】
撮像素子1は非線形の入出力特性であるとしたが、図3を用いて詳細に説明する。図3(a)ケース1は、2種類のリニア特性を持ち、低輝度(入射光のレベルが低い)部分と比較して、高輝度部分の圧縮率を高くしている。高輝度(入射光のレベルが高い)部分を圧縮することで、画素飽和点をより高輝度側へシフトさせることができ、一般的なリニア特性の撮像素子に比べ、ワイドダイナミックレンジを実現可能である。さらに、後述のケース2〜4に対して対数変換の演算量を削減できることから、低コスト化や小型化、低消費電力化を実現できる。また図3(b)ケース2は、低輝度部分はリニア特性であり、高輝度部分は対数特性とし、高輝度になればなるほど圧縮率を高くしている。これにより、ケース1に対してさらにワイドダイナミックレンジ化が可能である。さらに、後述するコントラスト検出結果に対する重み付け処理を、圧縮率が高い高輝度部分のみに適用する構成とすれば、演算量を削減できることから、低コスト化や小型化、低消費電力化が可能である。また図3(c)ケース3は全輝度領域で対数特性である。これにより、ケース2に対してさらにワイドダイナミックレンジ化が可能である。また図3(d)ケース4は、2種類の対数特性を持ち、低輝度部分と比較して、高輝度部分の圧縮率を高くしている。これにより、ケース3に対してさらにワイドダイナミックレンジ化が可能である。また図3のケース1〜4は、本発明における撮像素子の入出力特性の一例であり、特定の輝度領域、あるいは全輝度領域について所定の関数により圧縮した非線形特性であれば、上記以外でもよい。
【0016】
入力手段2について詳細を説明する。所定の処理とは、撮像素子からの信号を入力して、後段の信号処理を行うブロック(カメラ信号処理手段3、信号レベル検出手段5、コントラスト検出手段6)にて画像信号処理を行うための入力インタフェース処理であり、例えばA/D変換処理やLVDS信号をデジタル信号に変換する処理であり、また例えば、撮像素子と信号処理部との処理タイミングを調整する同期調整処理である。尚、入力手段2は、レベル調整のためのゲインコントロールや、フィルタ処理等、所定の画像信号処理を含む構成であってもよい。
【0017】
カメラ信号処理手段3について詳細を説明する。カメラ信号処理とは、例えばカラー撮像素子の場合に原色信号または補色信号から輝度信号および色差信号を生成するためのマトリクス演算処理であり、カラーおよびモノクロ信号を問わず、ノイズリダクション処理であり、または輪郭強調処理などである。
【0018】
出力手段4について詳細を説明する。所定の処理とは、TVやストレージ等の出力機器の信号フォーマットに変換する出力インタフェース処理であり、例えばNTSCやPALのビデオ出力に変換するものであり、例えばHDMI信号に変換するものであり、例えばネットワークのTCP/IPプロトコル信号に変換するものである。尚、出力手段4は、レベル調整のためのゲインコントロールや、フィルタ処理、エンコードによる圧縮処理等、所定の画像信号処理を含む構成であってもよい。
【0019】
信号レベル検出手段5、コントラスト検出手段6、重み変換手段7について、図4を用いて詳細を説明する。信号レベル検出手段5は、画像内の所定の画素領域における信号がどのようなものかを検出する。検出する数値は、例えばヒストグラム分布、最大値最小値、平均値、周波数分布等、画像領域の信号分布を示す情報となる数値である。図4(a1)と(a2)は、低輝度領域と高輝度領域を撮影した際の2つのケースについてのヒストグラム分布である。
【0020】
コントラスト検出手段6は、画像内の信号レベル差を演算し、コントラスト値として出力する。一般に撮像素子からの画像信号を基にオートフォーカス制御を行う場合、画像内のコントラスト値が最大となるようにレンズの駆動制御を行う。そのため、コントラスト検出手段6は、画像内の注目画素とその周辺画素間の信号レベル差分を演算することによりコントラストを検出する。ここで、周辺画素としては画像内の水平方向または垂直方向のどちらかに限定するものではなく、あるいは両方向を考慮した2次元フィルタ的な演算によるものでも良く、本発明の本質を損なうものではない。
【0021】
重み変換手段7は、上記信号レベル検出手段5から出力されるヒストグラム分布情報と前記撮像素子の入出力特性の情報を基に、撮像素子の非線形特性を補正し線形特性となるようにヒストグラム拡大処理を行う。例えば図4(b1)と(b2)のようなヒストグラム拡大処理である。以上の演算によれば、画像領域ごとに、画像輝度に応じてコントラストが圧縮された信号を最大限に復元可能であり、非線形特性を持つ撮像素子のデータに対しても画像の輝度によらず高精度のコントラスト検出結果を得ることが可能となる。尚、重み変換手段7の補正特性は折れ線補正としたが、非線形の特性でもよく、例えば図5のようなカーブ補正でもよい。この場合、ヒストグラム分布においてより画素数の多い箇所を中心にコントラスト重み付け処理を行うことが可能である。
【0022】
即ち、前期撮像素子の入出力特性によると、例えば撮影画像の輝度が低い領域の画素については検出されるコントラスト値が大きく、一方輝度が高い領域の画素については検出されるコントラスト値が低くなる。ここで、前記撮像素子の入出力特性により画像の輝度が高くなるにつれて低下するコントラスト検出結果がリニア特性となるように重み付け処理を行い、画像輝度によるコントラスト値変動を補正する。
【0023】
合成手段8は、上記重み変換手段7の出力を所定の期間にわたり積算することにより、該所定期間内のコントラスト検出値の総和を出力する。ここで、上記重み変換手段7の出力を積算する期間は、1フィールドまたは1フレームに限定されるものではなく、2フィールド以上または2フレーム以上であっても、本発明の本質を損なうものではない。さらに、積算の対象とする上記重み変換手段7の出力は、撮像素子の画素すべてである必要はなく、撮像領域の一部に限定することも可能である。例えば画面上の所定の領域にのみフォーカス制御を行う場合に有効な手段となる。
【0024】
制御手段9は、所定の期間毎に出力される前記合成手段8の出力値を取り込み、該合成手段8の出力値が大きくなる方向にフォーカスレンズを駆動するための制御信号を生成する。
【0025】
レンズ駆動手段10およびレンズ11は、上記制御手段9の制御信号により前記撮像素子1の撮影画像のフォーカス動作を行う。以上述べた信号処理を継続して実行することにより、非線形入出力特性を持つ撮像素子の信号に対して精度の高いフォーカス制御信号を得ることが可能となる。
【0026】
ここで、前記信号レベル検出手段5は入力データのヒストグラム分布を検出する代わりにより少ない演算量で検出可能な平均値、最大値と最小値、周波数分布等の少なくともひとつを検出し、重み変換手段7は信号レベル検出手段5からの情報を基にヒストグラム分布を推定し、該推定したヒストグラム分布と前記撮像素子の入出力特性の情報に応じて非線形特性の補正制御を行う方法であってもよい。例えば、通常被写体を映した場合、そのヒストグラムの分布は平均値を中心として一定の輝度範囲に分布する確率が高い。さらに撮像素子が例えば対数圧縮等の入出力特性であった場合は、平均値が低輝度であればヒストグラム分布が広めであり、高輝度であればヒストグラム分布が狭い確率が高い。以上の原理から、例えば信号レベル検出手段5は平均値を検出するものとし、重み変換手段7は撮像素子の入出力特性を表す情報を保持しておき、前記信号レベル検出手段からの平均値と前記撮像素子の入出力特性の情報を基にヒストグラム分布を予測し非線形特性補正の強弱を決定する。以上の構成であっても、前記信号レベル検出手段5がヒストグラム分布を検出する構成と同等の効果を得ることができ、且つ少ない演算量で実現できる。また、最大値と最小値はヒストグラム分布の最大値と最小値であるから、信号レベル検出手段5が最大値と最小値を検出する場合であったとしても、ヒストグラム分布の予測は可能であり、前記信号レベル検出手段5がヒストグラム分布を検出する構成と同等の効果を得ることができる。また、DCT(離散コサイン変換)やFFT(高速フーリエ変換)、アダマール変換、特定の周波数レスポンスを抽出するバンドパスフィルタ等、少なくとも1種類以上の周波数の特性を把握できれば、周波数分布は信号レベルの振幅であることから最大値と最小値を特定できるため、ヒストグラム分布の予測は可能であり、前記信号レベル検出手段5がヒストグラム分布を検出する構成と同等の効果を得ることができる。
【0027】
尚、前記コントラスト制御手段5において撮像素子の入出力特性を表す情報を保持するとしたが、入力レベルと出力レベルを対応付けた情報をテーブルとして保持する方法でよい。上記によれば、入出力特性の正確な把握が可能である。また、入出力特性を表す関数式を保持する方法でもよい。上記によれば、入出力特性の正確な把握が可能であり、且つテーブルとして保存しておく方法に比べて保持するデータ量を削減できる。また、複数の入射光の輝度レベルにおける圧縮率情報など、入出力特性を推定できる情報を保持する方法でもよい。上記によれば、例えばデータを間引いた状態で保持しておき近似補間することで入出力特性の正確な把握が可能であり、且つテーブルとして保存しておく方法に比べて保持するデータ量を削減できる。また、関数式を保持する方法は関数が多項式になればなるほど演算量が増えるが、間引いた状態のデータを近似補間で実現すれば相対的に演算量を削減できる。
【0028】
以上の構成により、対数特性など非線形入出力特性を持つ撮像素子の信号に対しても精度の高いフォーカス制御信号を得ることが可能となる。
【実施例2】
【0029】
本発明における実施例2について詳細に説明する。図2は、本発明の実施例2における基本構成図である。被写体からの入射光を光電変換し画像信号として出力する際、少なくとも2つ以上の感度特性の異なる画像信号を出力する撮像素子1と、該撮像素子1からの各画像信号に対して所定の処理を行い入力する入力手段2と、該入力手段からの各画像信号に対してカメラ装置として必要な信号処理を行うカメラ信号処理手段3を個別に有し、該カメラ信号処理手段の出力を一系統に合成する合成手段12と、該合成手段からの画像信号を所定の処理を行い出力する出力手段4と、を備え、上記入力手段からの各画像信号に対して画像信号のレベル検出を行う信号レベル検出手段5と、周辺画素との信号レベル差を基にコントラスト検出を行うコントラスト検出手段6と、前記信号レベル検出手段の検出結果に応じて前記コントラスト検出手段の出力信号に所定の重み付け処理を行う重み変換手段7と、を個別に有し、該重み変換手段の出力信号を所定の期間に渡り合成する合成手段8と、該合成手段の出力信号に応じてフォーカス制御信号を生成する制御手段9と、該制御手段の出力信号に応じてレンズ駆動を行うレンズ駆動手段10と、前記撮像素子の前面に配置され前記レンズ駆動手段により駆動されるレンズ11と、を持つ構成とした。
【0030】
撮像素子1は少なくとも2つ以上の感度特性の異なる画像信号を出力するとしたが、図2の構成図は、第1の信号と第2の信号の2つの画像信号を出力する場合の例である。第1の信号、第2の信号は例えば、図3(a)ケース2におけるリニア特性の部分の画像信号と、対数特性の部分の画像信号である。
【0031】
入力手段2は、前記撮像素子からの第1の信号と第2の信号を入力し、各々に対して前記実施例1に記載のものと同様の処理を行うものである。
【0032】
カメラ信号処理手段3a、信号レベル検出手段5a、コントラスト検出手段6a、重み変換手段7aは前記入力手段2からの第1の信号に対して、前記実施例1に記載のものと同様の処理を行うものとし、カメラ信号処理手段3b、信号レベル検出手段5b、コントラスト検出手段6b、重み変換手段7bは前記入力手段2からの第2の信号に対して、前記実施例1に記載のものと同様の処理を行うものとする。
【0033】
以上の構成により、対数特性など非線形入出力特性を持つ撮像素子の信号に対しても、それぞれの領域の非線形特性に最適な重み変換処理を適用することにより、精度の高いフォーカス制御信号を得ることが可能な装置を実現できる。
【0034】
また、第1の信号と第2の信号に対して個別に信号レベルを検出することができるため、第1の信号と第2の信号が合成された信号に対して信号レベルを検出する実施例1の構成に比べて、より高精度な検出が可能である。また、第1の信号と第2の信号に対して個別にコントラスト検出結果に対する重み付け処理を行うため、第1の信号と第2の信号が合成された信号に対して同制御を行う実施例1の構成に比べて、より高精度な制御が可能である。また、第1の信号と第2の信号に対して個別に重み変換処理を行った後合成するため、第1の信号と第2の信号が合成された信号に対して重み変換処理を行う実施例1の構成に比べて、より高精度なコントラスト検出および重み変換処理が可能である。
【0035】
さらには、第1の信号と第2の信号に対して個別に重み変換処理を施した後合成するため、第1の信号と第2の信号が合成された信号に対して重み変換処理を行う実施例1の構成に比べて、各々少ないビット精度での演算にて同等の演算精度を維持できる。例えば、実施例1または2の構成における入力手段2の出力ビット精度が32bit精度であった場合、本実施例2の構成で同等の演算精度とするためには、第1の信号と第2の信号は各々16bitとし、合成手段による合成後32bitとすればよい。通常、bit数が少ないほうがオーバーヘッドが小さいため、回路で実現する場合は回路規模を縮小でき、ソフトウェアで実現する場合は演算時間を短縮できる。
【実施例3】
【0036】
本発明における実施例3について詳細に説明する。本実施例3では、前記実施例1または2のいずれかの構成であって、前記入出力特性が非線形である撮像素子1において、所定の入射光(輝度)レベルで特性が変化する特性変化点を持つ撮像素子とした。例えば、図3(a)(b)(d)のような特性変化点を持つ撮像素子である。
【0037】
該特性変化点を持つ撮像素子は、例えば光電変換した電荷を特性変化点前の電荷と特性変化点後の電荷分に分けてキャパシタに格納しておき、合成して出力あるいは個別に出力することで実現できる。しかしながら、キャパシタに格納する際の電荷損失等により、合成後の特性変化点付近で出力レベルが下がってしまうという問題があり、例えば図6のような特性となる。上記特性変化点付近でレベルが下がると、撮像画面の実際の輝度と画像信号の関係が不連続となり、コントラスト検出結果の値が不正確になってしまう。
【0038】
そこで、本発明における実施例3では、前記重み変換手段7は撮像素子の入出力特性の情報として特性変化点の情報を保持し、該特性変化点の情報と前記信号レベル検出手段からの情報を基に、特性変化点付近のノイズ成分を増幅しないよう非線形特性の補正処理を制御する構成とした。ここでノイズ成分を増幅しない制御とは、例えば特性変化点付近の重み付け度合いを弱める、あるいは特性変化点付近のコントラスト拡大がかからないようにする、あるいは特性変化点付近のコントラスト検出結果の値を拡大せず縮小させる方向に重み変換処理を制御することで実現できる。
【0039】
以上の構成により、非線形特性を有する撮像素子の画像信号に対して、特性変化点付近のノイズを増幅することなく、且つ精度の高いフォーカス制御信号を得ることが可能な画像信号処理装置を実現できる。
【0040】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0041】
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、2つ以上の実施例を、その全部または一部において同時に採用する構成も可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:撮像素子
2:入力手段
3:カメラ信号処理手段
4:出力手段
5:信号レベル検出手段
6:コントラスト検出手段
7:重み変換手段
8:合成手段
9:制御手段
10:レンズ駆動手段
11:レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの入射光を光電変換し画像信号として出力し且つその入出力特性が非線形である撮像素子と、
該撮像素子からの画像信号に所定の処理を行い入力する入力手段と、
前記入力手段からの画像信号のレベル検出を行う信号レベル検出手段と、
前記入力手段からの画像信号における注目画素とその周辺画素間の信号レベル差を基にコントラスト検出を行うコントラスト検出手段と、
前記信号レベル検出手段の検出結果に応じて前記コントラスト検出手段の出力信号に所定の重み付け処理を行う重み変換手段と、
該重み変換手段の出力信号を所定の期間に渡り合成する合成手段と、
該合成手段の出力信号に応じてフォーカス制御を行う制御手段と
を持つ画像信号処理装置。
【請求項2】
被写体からの入射光を光電変換し画像信号として出力する際、少なくとも2つ以上の感度特性の異なる画像信号を出力する撮像素子と、
該撮像素子からの各画像信号に対して所定の処理を行い入力する入力手段と、
前記入力手段からの画像信号のレベル検出を行う信号レベル検出手段と、
前記入力手段からの画像信号において注目画素とその周辺画素間の信号レベル差を基にコントラスト検出を行うコントラスト検出手段と、
前記信号レベル検出手段の検出結果に応じて前記コントラスト検出手段の出力信号に所定の重み付け処理を行う重み変換手段と、
を個別に有し、
前記重み変換手段からの各出力信号を所定の期間に渡り合成する合成手段と、
該合成手段の出力信号に応じてフォーカス制御を行う制御手段と
を持つ画像信号処理装置。
【請求項3】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
重み変換手段とは、所定の輝度領域をヒストグラム拡張すること、
を特徴とする画像信号処理装置。
【請求項4】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
信号レベル検出手段で検出する信号レベルとは、画像内の所定の画素領域におけるヒストグラム分布情報であること、
を特徴とする画像信号処理装置。
【請求項5】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
信号レベル検出手段は、画像内の所定の画素領域における信号分布を示す情報を検出するものであって、該所定の画素領域の最大値最小値、平均値、周波数分布の少なくともひとつを検出するものとし、
重み変換手段は、前記信号レベル検出手段で検出した信号分布を示す情報を基にヒストグラム分布を予測し、該ヒストグラム分布の判定結果と前記撮像素子の入出力特性の情報に基づいてコントラスト検出手段の出力特性を変更すること、
を特徴とする画像信号処理装置。
【請求項6】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
前記重み変換手段は、前記撮像素子の入出力特性の情報として前記撮像素子の入力レベルと出力レベルを対応付けた情報をテーブルとして保持し、該テーブル情報と前記信号レベル検出手段で検出した情報を基に前記コントラスト検出手段の出力特性を変更すること、
を特徴とする画像信号処理装置。
【請求項7】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
重み変換手段は、前記撮像素子の入出力特性の情報として前記撮像素子の入出力特性を表す関数式として保持し、該関数式と前記信号レベル検出手段で検出した情報を基に前記コントラスト検出手段の出力特性を変更すること、
を特徴とする画像信号処理装置。
【請求項8】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
重み変換手段は、前記撮像素子の入出力特性の情報として複数の入射光の輝度レベルにおける圧縮率情報を保持しておき、該圧縮率情報から入出力特性を推定し、該推定した入出力特性と前記信号レベル検出手段で検出した情報を基に前記コントラスト検出手段の出力特性を変更すること、
を特徴とする画像信号処理装置。
【請求項9】
前記請求項1または2の画像処理装置において、
撮像素子は、所定の入射光レベルで特性が変化する特性変化点を持つものとし、
重み変換手段は、前記撮像素子の入出力特性の情報として該特性変化点の情報を保持しておき、該特性変化点の情報と前記信号レベル検出手段からの情報を基に、特性変化点付近のノイズ成分を増幅しないよう前記コントラスト検出手段の出力特性を制御すること、
を特徴とする画像信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−68337(P2012−68337A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211552(P2010−211552)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】