説明

画像再生装置

【課題】画像再生処理がバックグラウンドに移行した状態においてCPU負荷の低減、または消費電力の低減を効率よく実施することが可能な送受信装置を提供する。
【解決手段】本発明の放送受信装置は、演算処理装置を備える。演算処理装置は、デコード処理と画像出力処理とを実行する画像再生機能部と、画像再生機能部と並行して動作可能な機能部であり少なくとも画像出力処理を実行する並行動作機能部とを備える。また、画像再生機能部の制御を行う表示制御部を備える。表示制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態において、画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知された場合に、演算処理装置の負荷状況を確認する。そして負荷状況に基づいて、デコード処理の実行/非実行を決定し、画像再生機能部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を再生する画像再生装置に関するものであり、特に画像再生機能と同時動作可能なアプリケーションを搭載した画像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送の一つとして、地上デジタルTV放送が実施されている。日本においては現行の地上アナログTV放送は2011年に放送終了予定であり、地上デジタルTV放送への移行が進められている。これに伴い、カーナビや携帯電話等でも、放送波を受信して画像を再生する機能を備えたものが開発されている。
【0003】
このような画像再生装置においては、複数の機能を同時に動作させることが可能なものが存在する。例えばカーナビでは、ナビゲーション機能と放送波の画像再生機能とを同時に動作させることが可能な装置が、実用化されている。
【0004】
このような装置では、デジタル放送の受信中であれば、画像が表示部に表示されていなくても、画像のデコードをバックグラウンドで絶えず行う機能を備えたものが存在する。例えば、ナビゲーション機能を有効にして地図画像を画面に表示している場合、デジタル放送の画像をデコードはするが表示せず、音声のみを出力する。これにより、画面を地図表示からデジタル放送表示に切り替えた場合に、即座にデジタル放送の画像を表示することができる。
【0005】
特にMPEG方式の画像では、単独でデコードできるフレームと、単独ではデコードできないフレームがある。従って、デジタル放送表示に切り替えられたタイミングでデコードを開始しても、即座にフレームの作成ができない可能性がある。この結果、画像が表示されるまでの遅延時間が発生する。遅延時間は、長ければ三、四秒に達することもあり、ユーザに煩わしさを感じさせることとなる。これを解決するために、上記のようにバックグラウンドで画像のデコードを行う。
【0006】
上記に関連して特許文献1においては、デジタル放送の再生機能を有した車両用デジタル放送受信機であって、ワンセグ放送による特有のデータ放送を表示できない場合に、携帯電話等の他の機器に転送し、他の機器でデータ放送を利用することが可能な車両用デジタル放送受信器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−194580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の画像再生装置は、放送波より得られる画像をデコードするために、CPU(Central Processing Unit)等の演算資源が必要となる。特に、常にバックグラウンドで画像のデコードを行う機能を備えている場合、通常よりもCPUの負荷が増加する要因となる。また、ハードウェアデコーダにより画像のデコードを行う装置構成である場合、上記の機能により、消費電力が増加する要因となる。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、画像再生処理とその他の処理を並行して実施可能な画像再生装置であって、画像再生処理がバックグラウンドに移行した状態においてCPU負荷の低減、または消費電力の低減を効率よく実施することが可能な送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の画像再生装置は、画像情報を画像に変換するデコード処理と画像出力処理とを実行する画像再生機能部と、前記画像再生機能部の処理と並行して動作可能な機能部であり少なくとも前記画像再生機能部と異なる画像出力処理を実行する並行動作機能部と、を備えた演算処理装置を含む画像再生装置において、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において、前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知した場合に、前記演算処理装置の負荷状況を確認し、前記負荷状況に基づいて、前記デコード処理の実行/非実行に関する制御を前記画像再生機能部に対して行う表示制御部を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によると、本発明の画像再生装置は、演算処理装置を備える。演算処理装置は、デコード処理と画像出力処理とを実行する画像再生機能部と、画像再生機能部と並行して動作可能な機能部であり少なくとも画像再生機能部と異なる画像出力処理を実行する並行動作機能部とを備える。また、画像再生機能部の制御を行う表示制御部を備える。表示制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態において、画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知された場合に、演算処理装置の負荷状況を確認する。そして負荷状況に基づいて、デコード処理の実行/非実行を決定し、画像再生機能部を制御する。
【0012】
また上記目的を達成するために前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知され、且つ前記負荷状況の示す負荷が予め定められた第一閾値を下回る場合に、前記デコード処理を実行するよう前記画像再生機能部を制御することを特徴とする
この構成によると、表示制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態においてデコード処理の実行指示が検知され、且つ負荷が所定の第一閾値を下回る場合に、デコード処理を実行するよう画像再生機能部を制御する。
【0013】
また上記目的を達成するために前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知され、且つ前記負荷が前記第一閾値を上回る場合に、デコード処理を行わないよう前記画像再生機能部を制御することを特徴とする。
【0014】
この構成によると、表示制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態においてデコード処理の実行指示が検知され、且つ負荷が所定の第一閾値を上回る場合に、デコード処理を行わないよう画像再生機能部を制御する。
【0015】
また上記目的を達成するために 前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知され、且つ前記負荷が前記第一閾値を下回り、且つ前記第一閾値よりも低い値に予め設定されている第二閾値を上回る場合に、予め定められた種別の画像情報のみをデコード処理するよう前記画像再生機能部を制御することを特徴とする。
【0016】
この構成によると、表示制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態においてデコード処理の実行指示が検知され、且つ負荷が所定の第一閾値を下回り、且つ所定の第二閾値を上回る場合に、所定の種別の画像情報のみをデコードするよう、画像再生機能部を制御する。
【0017】
また上記目的を達成するために本発明の画像再生装置は、電源部と、前記電源部が蓄積している電力の残量を検出する電源制御部とを備え、前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知され、且つ前記電力の残量が予め定められた第三閾値を上回る場合に、前記デコード処理を実行するよう前記画像再生機能部を制御することを特徴とする。
【0018】
この構成によると、本発明の画像再生装置は、電源部と、電源部が蓄積している電力の残量を検出する電源制御部とを備える。表示制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態においてデコード処理の実行指示が検知され、且つ電力の残量が所定の第三閾値を上回る場合に、デコード処理を実行するよう、画像再生機能部を制御する。
【0019】
また上記目的を達成するために本発明の画像再生装置は、ハードウェアデコーダと、前記ハードウェアデコーダの制御を行うデコーダ制御部とを備え、前記デコーダ制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示が検知され、且つ前記電力の残量が前記第三閾値を上回る場合に、前記デコード処理を実行するよう前記ハードウェアデコーダを制御することを特徴とする。
【0020】
この構成によると、本発明の画像再生装置は、ハードウェアデコーダと、ハードウェアデコーダの制御を行うデコーダ制御部とを備えている。デコーダ制御部は、並行動作機能部により画像出力処理が実行されている状態においてデコード処理の実行指示が検知され、且つ電力の残量が所定の第三閾値を上回る場合に、デコード処理を実行するよう、ハードウェアデコーダを制御する。
【0021】
また上記目的を達成するために本発明の画像再生装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波を復調して画像情報を生成する復調部とを備え、前記画像再生機能部または前記ハードウェアデコーダは、前記復調部により得られる画像情報を用いて前記デコード処理を実行することを特徴とする。
【0022】
この構成によると、本発明の画像再生装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波を復調して画像情報を生成する復調部とを備える。画像再生機能部またはハードウェアデコーダは、復調部により得られる画像情報を用いてデコード処理を実行する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、並行動作機能による画像出力が行われ、画像再生機能部による画像出力が行えない状態において、演算処理装置の負荷に応じて、画像をデコードする程度を変化させる。これにより、演算処理装置の負荷と、画像再生機能部による画像表示までの遅延時間との、バランスをとることができる。従って、放送波等より得られる画像の表示状態に大きな影響を与えることなく、画像表示以外の処理を優先したり、消費電力の抑止を実現したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る画像再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】CPU負荷とデコードレベルとの関係を示すテーブル図である。
【図3】デコードレベルごとの特性を示すテーブル図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る画像再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係る表示制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.内部構成について〉
図1は、本発明の第一の実施形態に係る車載用受信装置1(=画像再生装置)の内部構成を示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本発明の車載用受信装置1は、外部接続される装置としてアンテナ90を備えている。また、GPS衛星2より、GPS電波を受信する機能を備える。
【0026】
なおGPS衛星2は、衛星軌道上に配置され、特定の電波(例えば1.575GHzのL1電波等)を地上のGPS受信機に対して送信する。これにより、位置情報を算出するための各種情報、例えばGPS衛星2の座標情報や、電波の伝搬時間を計測するための時刻情報等を送信する。
【0027】
図1のブロック図に示すように、本発明の車載用受信装置1は少なくとも、制御部10、チューナ21、復調部22、GPS装置31、測位航法装置32、メモリ41、操作部42、表示部43、及びスピーカ44を含むように構成されている。
【0028】
制御部10は、車載用受信装置1の各部材の駆動を有機的に制御して、交通情報の取得処理や表示処理等を統括制御するものである。また制御部10は、制御部10が備えるCPU(=演算処理装置)で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、ナビゲーション処理部11(=並行動作機能部)、電源制御部12、デジタル放送処理部13(=放送受信部)、デコード処理部14(=画像再生機能部)、出力処理部15(=画像再生機能部)、及び表示制御部16を備える。なお、各機能部が実施する処理の詳細については後述する。
【0029】
チューナ21は、アンテナ90から地上デジタルTV放送信号を受信し、所望の物理チャンネル(=周波数帯域)での選局を行う。またチューナ21は、選局中の物理チャンネルにおいて放送波が受信不可となったか否かを監視する。具体的には例えば、車載用受信装置1を搭載した車両が受信地域を跨ぐ等により、これまで受信していた放送波の電界強度が所定の閾値を下回った場合に、受信不可となったとみなす。
【0030】
復調部22は、チューナ21から入力される選局された信号を復調及びエラー訂正し、ワンセグと12セグとの、それぞれのTS(Transport Stream)を出力する。復調部22により復調されたTSは、後述するデジタル放送処理部13へ送られる。
【0031】
なお、ワンセグ放送のみに対応した機器の場合は、受信できるのはワンセグにかかるデジタル放送信号のみとなる。このため、こういった機器における復調部22では、チューナ21により受信されたデジタル放送信号からワンセグにかかるTS信号を出力するものとする。
【0032】
GPS装置31は、GPSアンテナ(不図示)を用いて、GPS衛星2から発せられる特定の電波を受信するための受信機である。GPSアンテナは、複数のGPS衛星2から各GPS衛星2の座標情報等を含む信号を受信することが可能である。GPS装置31は、GPSアンテナで受信した信号をデコードして緯度経度情報を生成する。
【0033】
測位航法装置32は、3Dジャイロセンサや加速度センサ等を含む計測装置である。3Dジャイロセンサは、車載用受信装置1の水平角度を示す姿勢角情報を生成する。加速度センサは、車載用受信装置1が搭載されている車両の走行速度や走行方向を示す速度情報を生成する。生成された情報は、制御部10へ送られる。
【0034】
メモリ41は、各種情報を記録するための記録媒体である。メモリ41は例えばナビゲーション処理に用いられる地図情報や音声情報を記録するのに用いられる。また本実施形態では、GPS装置31、及び測位航法装置32より受信した各種情報を記録するのに用いられる。
【0035】
操作部42は、車両1の運転手が車載用受信装置1に対する各種指示、例えば目的地入力等を行うための入力インタフェースである。操作部42は、例えば複数のプッシュボタンやタッチセンサ等を含むように構成されている。
【0036】
表示部43は、車載用受信装置1が保持する各種情報、例えば交通情報やメニュー画像等を表示する装置である。表示部43は例えば、LCD(Liquid Crystal Display)を含むように構成されている。
【0037】
スピーカ44は、車両1の搭乗者に対して各種情報を含む音声を出力する音声出力装置である。
【0038】
電源部45は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、車載用受信装置1の各部に対して電源電圧を与える。電源部45は、外部電源より電力供給を受けるための電源コードを接続する接続端子(不図示)を備えている。或いは電源部45は、電源として乾電池或いは二次電池を使用することにより、外部電源から切り離された状態で車載用受信装置1の駆動を可能とする形態であってもよい。二次電池としては例えば、充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等を用いることが可能である。
〈1−2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る表示制御処理を実施するための各機能部の詳細を説明する。
【0039】
ナビゲーション処理部11は、車両1の現在位置や進行方向等を示す位置情報を、GPS装置31または測位航法装置32を用いて取得する。位置情報は例えば、車両1の経度緯度を示す情報や、進行している方角を示す情報を含んでいる。
【0040】
またナビゲーション処理部11は、得られた位置情報に基づき、車両1周辺の地図を表示部43に表示する地図描画処理を行う。またナビゲーション処理部11は、ユーザより目的地の指定を受け付け、地図画像上に経路案内のための各種情報を表示する。例えば誘導方向を示す矢印を表示したり、誘導経路の色を変更する強調表示を行ったりする。
【0041】
電源制御部12は、電源部45の制御や、電源部45に装着された二次電池の残量等の状態を管理する。電源制御部12は、例えば、家庭用交流電源より電力を受けて、二次電池の充電を行う充電制御等を行う。
【0042】
デジタル放送処理部13は、所定の放送局からの放送波を受信するためのチャンネルサーチ(以下、「サーチ」という)を、チューナ21及び復調部22を用いて行う。デジタル放送処理部13は、後述する選局候補テーブルを用いて、ユーザにより選局指示された放送波の物理チャンネルを判別し、受信を試行する。受信に成功した場合、この物理チャンネルを用いて放送波の受信を開始する。
【0043】
受信に失敗した場合、デジタル放送処理部13は、選局候補テーブルに含まれる未チェックの物理チャンネルを抽出し、受信を試行する。この繰り返しを行い、受信できる物理チャンネルが検知されなかった場合に、サーチに失敗したとみなす。なお、デジタル放送処理部13によるサーチは、ユーザが選局操作を行った場合や、受信中の放送波の受信感度が低下したことが検知された場合等に実行される。
【0044】
デコード処理部14は、復調部22から出力されたTS(=画像情報)からオーディオ/ビデオデータを抽出する。そして抽出したオーディオ/ビデオデータを復号し、デジタル音声信号及びデジタル画像信号を生成する。
【0045】
またデコード処理部14は、デジタル画像信号の画像サイズを変更するスケーラ処理や、文字等を重畳するOSD(On Screen Display)処理を行う。またデコード処理部14は、復調部22から出力されたTSから伝送パラメータ、NIT(Network Information Table)、番組情報、データ放送等のデータを抽出する。そして抽出したデータを復号し、メモリ41等に記録する。
【0046】
出力処理部15は、デコード処理部14で生成されたデジタル音声信号をアナログベースバンド信号に変換し、スピーカ44へ出力する。また出力処理部15は、デコード処理部14で生成されたデジタル画像信号を表示部43の信号フォーマットに合わせた信号にデコードし、デジタル画像信号をアナログ画像信号に変換して出力する。この画像信号は表示部43に送られ、画像として表示される。
【0047】
表示制御部16は、デジタル放送の画像とナビゲーション用の画像とのいずれを表示部43に表示するかの表示制御を行う。また表示制御部16は、CPU負荷状況に応じて、デジタル放送の画像情報をデコードするか否かを決定する。例えば図2に示すように、CPU負荷状況に応じて、デコード処理を三段階に切り替える。
【0048】
CPU負荷が大の場合、画像情報をデコードしないものとする。CPU負荷が中の場合、特定の画像情報、例えばMPEGにおけるIピクチャ(=予め定められた種別の画像情報)のみをデコードするものとする。CPU負荷が小の場合は、全ての画像情報をデコードするものとする。
【0049】
なお、表示制御手段16は、上記判定結果に基づきデコード処理部14を制御してデコード処理を実行させる。
【0050】
図3は、上記のそれぞれのパターンにおけるメリットとデメリットを示している。全ての画像情報をデコードしない場合、CPU負荷は小さいが、画像非表示状態から画像表示状態に切り替えた際に、画像表示、更新までに大きな遅延時間が発生する可能性がある。特定の画像情報のみデコードする場合、全ての画像情報をデコードしない場合よりもCPU負荷は大きいが、遅延時間を小さくすることができる。
【0051】
全ての画像情報をデコードする場合、CPU負荷は大きいが、画像非表示状態から画像表示状態への切り替えの際に、画像を即座に表示、更新することできる。このため遅延時間が発生しない。
〈1−3.表示制御処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る車載用受信装置1が実施する表示制御処理の処理フローについて、図4のフロー図を用いながら説明する。
【0052】
本実施形態の処理フローは、車載用受信装置1の電源が投入されている状態において、表示制御部16が画像のデコード開始指示を検知した時点で開始される。デコード開始指示は、例えばユーザが操作部42を用いてデジタル放送の受信操作を行った場合等に発行される。
【0053】
なお本処理は、画像をフレーム単位で処理を実施し、フレーム単位で画像のデコード可否を決定する。従って、デコード停止指示が検知されない限り、継続的に実施される。
【0054】
本処理の開始後、表示制御部16はステップS110において、動作モードの確認を行う。例えば車載用受信装置1は、デジタル放送を受信して表示するテレビモードと、ナビゲーション処理部11がナビゲーション処理を行うナビゲーションモードと、を備えている。ナビゲーションモードにおいては、ナビゲーション処理部11によって生成されるナビゲーション画像が表示部43に表示されるため、デジタル放送画像は表示されない。
【0055】
次に表示制御部16はステップS120において、現在の動作モードが、放送画像を表示するモード(例えばテレビモード)であるか否かにより、処理の分岐を行う。放送画像を表示するモードである場合、表示制御部16はステップS121において、放送番組の画像情報をデコードするよう、デコード処理部14を制御する。
【0056】
放送画像を表示しないモード(例えばナビゲーションモード)である場合、表示制御部16はステップS130において、CPU負荷が、予め定められている閾値α(=第一閾値)以上であるか否かを判定する。閾値α以上である場合、放送番組の画像情報のデコードは行わず、本処理を終了する。
【0057】
閾値αを下回る場合、表示制御部16はステップS140において、CPU負荷が、予め定められている閾値β(=第二閾値)以下であるか否かを判定する。なお閾値βは、閾値αよりも小さい値とする。閾値β以下である場合、ステップS121に移行し、放送番組の画像情報をデコードする。
【0058】
閾値βを上回る場合、表示制御部16はステップS150において、放送番組の画像情報が所定のデータ形式であるか否か、例えばIピクチャ(他のフレームとの依存関係がなく、単独で復号し画像が生成できるデータ)であるか否かを判定する。所定のデータ形式である場合、ステップS121に移行し、放送番組の画像情報をデコードする。所定のデータ形式ではない場合、放送番組の画像情報のデコードは行わず、本処理を終了する。
【0059】
以上に説明した本実施形態によれば、デジタル放送により得られる画像が非表示にされる動作モードにおいて、CPU負荷に応じて画像情報をデコードする程度を変化させる。これにより、CPU負荷と画像表示までの遅延時間とのバランスをとることが可能である。従って、放送画像の表示状態に大きな影響を与えることなく、放送画像の表示処理以外の処理を優先することができる。
[実施の形態2]
〈2−1.内部構成について〉
図5は、本発明の第二の実施形態に係る車載用受信装置1の内部構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1の図1と同様の装置については、同じ符号を付加することにより説明を省略するものとする。
【0060】
本実施形態の車載用受信装置1は、実施の形態1の構成に加え、ハードウェアデコーダ46を備える。ハードウェアデコーダ46は、デコード処理部14及び出力処理部15の機能をハードウェアで実現したものであり、両機能部と同等の機能を備える。
〈2−2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の第二の実施形態に係る表示制御処理を実施するための各機能部の詳細を説明する。
【0061】
本実施形態の制御部10は、デコーダ制御部17を備える。デコーダ制御部17は、電源制御部12により検知される電池残量に基づいて、ハードウェアデコーダ46の制御を行う。具体的には例えば、電池残量が所定の閾値γ(=第三閾値)以上である場合にハードウェアデコーダ46を稼働させ、所定の閾値γを下回る場合にハードウェアデコーダ46を稼働停止させる。
〈2−3.表示制御処理について〉
ここで、本発明の第二の実施形態に係る車載用受信装置1が実施する表示制御処理の処理フローについて、図6のフロー図を用いながら説明する。
【0062】
本実施形態の処理フローは、車載用受信装置1の電源が投入されている状態において、放送番組の画像情報のデコード開始指示が検知された時点で開始される。なお本処理は、画像をフレーム単位で処理を実施し、フレーム単位で画像のデコード可否を決定する。従って、デコード停止指示が検知されない限り、継続的に実施される。
【0063】
本処理の開始後、デコーダ制御部17はステップS210において、動作モードの確認を行う。次にデコーダ制御部17はステップS220において、現在の動作モードが、放送画像を表示するモード(例えばテレビモード)であるか否かにより、処理の分岐を行う。放送画像を表示するモードである場合、デコーダ制御部17はステップS221において、画像情報をデコードするよう、ハードウェアデコーダ46を制御する。
【0064】
放送画像を表示しないモード(例えばナビゲーションモード)である場合、デコーダ制御部17はステップS230において、電源部45に装着されている電池の残量が予め定められている閾値γ以上であるか否かを判定する。閾値γ以上である場合、S221に移行し、画像情報をデコードするようハードウェアデコーダ46を制御する。
【0065】
閾値γを下回る場合、デコーダ制御部17はステップS240において、放送番組の画像情報のデコードを行わないよう、ハードウェアデコーダ46を制御する。
【0066】
以上に説明した本実施形態によれば、デジタル放送により得られる画像が非表示にされる動作モードにおいて、電池の残量に応じて、放送番組の画像情報をデコードするか否かを決定する。つまり電池残量が小さく、消費電力の削減が必要な場合に、ハードウェアデコーダ46を停止させる。逆に電池残量が大きく、消費電力の削減が不要な場合に、ハードウェアデコーダ46を稼働させる。これにより、消費電力と画像表示までの遅延時間とのバランスをとることが可能である。
[実施の形態3]
〈3−1.内部構成について〉
実施の形態2と同一の内容であるため、説明を省略する。
〈3−2.機能部の構成について〉
実施の形態2と同一の内容であるため、説明を省略する。
〈3−3.表示制御処理について〉
ここで、本発明の第三の実施形態に係る車載用受信装置1が実施する表示制御処理の処理フローについて、図7のフロー図を用いながら説明する。
【0067】
本実施形態の処理フローは、車載用受信装置1の電源が投入され、且つ省電力で動作することが予めユーザにより設定されている状態において、放送番組の画像情報のデコード開始指示が検知された時点で開始される。
【0068】
なお本処理は、画像をフレーム単位で処理を実施し、フレーム単位で画像のデコード可否を決定する。従って、画像のデコード停止指示が検知されない限り、継続的に実施される。
【0069】
本処理の開始後、表示制御部16はステップS310において、動作モードの確認を行う。次に表示制御部16はステップS320において、現在の動作モードが、放送画像を表示するモード(例えばテレビモード)であるか否かにより、処理の分岐を行う。放送画像を表示するモードである場合、表示制御部16はステップS321において、放送画像の画像情報をデコードするよう、デコード処理部14を制御する。
【0070】
放送画像を表示しないモード(例えばナビゲーションモード)である場合、表示制御部16はステップS330において、電源部45に装着されている電池の残量が予め定められている閾値γ以上であるか否かを判定する。閾値γ以上である場合、S321へ移行し、放送番組の画像情報をデコードするよう、デコード処理部14を制御する。
【0071】
閾値γを下回る場合、表示制御部16はステップS340において、放送番組の画像情報のデコードを行わないよう、デコード処理部14を制御した後、本処理を終了する。
【0072】
以上に説明した本実施形態によれば、デジタル放送により得られる画像が非表示にされる動作モードにおいて、電池の残量に応じて画像情報をデコードするか否かを決定する。つまり電池残量が小さく、消費電力の削減必要な場合には、デコードを行わない。逆に電池残量が大きく、消費電力の削減が不要な場合には、デコード処理部14を動作させる。これにより、消費電力と画像表示までの遅延時間とのバランスをとることが可能である。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0073】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0074】
(A)上記実施形態では、本発明の表示制御処理を実施する画像再生装置として、車載用受信装置1を例に説明しているが、これ以外の画像再生装置において実施する形態でもよい。例えば、ポータブルテレビや、テレビ付き携帯電話等で実施する形態でもよい。
【0075】
(B)上記実施形態では、本発明の各処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0076】
(C)上記実施形態では、画像再生処理として地上デジタル放送波の復調処理を例に説明を行っているが、これ以外の画像再生処理において本発明を適用する形態でもよい。例えば、DVD再生処理とナビゲーション処理を同時に行う機能を備えた画像再生装置において、DVD再生がバックグラウンドに移行した時点で、画像情報のデコードの実行/非実行をCPU負荷に応じて決定する形態でもよい。
【0077】
(D)上記実施形態では、並行動作機能部の一例としてナビゲーション装置を例に説明を行っているが、画像を出力する機能を備えた機能部であれば、これ以外の機能部を並行動作機能部として動作させて本発明を実施する形態でもよい。例えば、デジタル放送で配信されるEPGを表示するEPG機能部を、並行動作機能部として動作させる形態でもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 車載用受信装置(画像再生装置)
2 GPS衛星
10 ナビゲーション装置(移動体用装置)
10 制御部(演算処理装置)
11 ナビゲーション処理部(並行動作機能部)
12 電源制御部
13 デジタル放送処理部
14 デコード処理部(画像再生機能部)
15 出力処理部(画像再生機能部)
16 表示制御部
17 デコーダ制御部
21 チューナ(放送受信部)
22 復調部
31 GPS装置
32 測位航法装置
41 メモリ
42 操作部
43 表示部
44 スピーカ
45 電源部
46 ハードウェアデコーダ
90 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を画像に変換するデコード処理と画像出力処理とを実行する画像再生機能部と、前記画像再生機能部の処理と並行して動作可能な機能部であり少なくとも前記画像再生機能部と異なる画像出力処理を実行する並行動作機能部と、を備えた演算処理装置を含む画像再生装置において、
前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において、前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知した場合に、前記演算処理装置の負荷状況を確認し、前記負荷状況に基づいて、前記デコード処理の実行/非実行に関する制御を前記画像再生機能部に対して行う表示制御部を備えること
を特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知し、且つ前記負荷状況の示す負荷が予め定められた第一閾値を下回る場合に、前記デコード処理を実行するよう前記画像再生機能部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知し、且つ前記負荷が前記第一閾値を上回る場合に、デコード処理を行わないよう前記画像再生機能部を制御すること
を特徴とする請求項2に記載の画像再生装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知し、且つ前記負荷が前記第一閾値を下回り、且つ前記第一閾値よりも低い値に予め設定されている第二閾値を上回る場合に、予め定められた種別の画像情報のみをデコード処理するよう前記画像再生機能部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の画像再生装置。
【請求項5】
電源部と、前記電源部が蓄積している電力の残量を検出する電源制御部とを備え、
前記表示制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知し、且つ前記電力の残量が予め定められた第三閾値を上回る場合に、前記デコード処理を実行するよう前記画像再生機能部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項6】
ハードウェアデコーダと、前記ハードウェアデコーダの制御を行うデコーダ制御部とを備え、
前記デコーダ制御部は、前記並行動作機能部により前記画像出力処理が実行されている状態において前記画像再生機能部に対するデコード処理の実行指示を検知し、且つ前記電力の残量が前記第三閾値を上回る場合に、前記デコード処理を実行する
を特徴とする請求項5に記載の画像再生装置。
【請求項7】
放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、
放送波を復調して画像情報を生成する復調部とを備え、
前記画像再生機能部または前記ハードウェアデコーダは、前記復調部により得られる画像情報を用いて前記デコード処理を実行すること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205225(P2012−205225A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70212(P2011−70212)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】