説明

画像処理制御装置、画像処理装置及びプログラム

【課題】画像処理対象に含まれる要素の画像処理結果の再利用を考慮しつつ、複数の画像処理手段を用いて画像処理を高速化する。
【解決手段】画像処理部34のフロントエンド部50では、入力データ管理部51が印刷指示データを受け取り、リソース管理部55が印刷指示データを各RIP処理部61に送信し、フォーム抽出部52が印刷指示データのページからフォームを抽出し、ページ分配管理部54が、そのページに対するRIP処理を指示するページRIP指示情報を、同じフォームを使用するページに対するRIP処理を以前に行ったRIP処理部61に送信する。画像処理部34のバックエンド部60では、RIP処理部61が、リソース管理部55から受信した印刷指示データのページのうち、ページ分配管理部54から受信したページRIP指示情報で指示されたページに対するRIP処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理制御装置、画像処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュに必要なメモリ容量を抑え、かつキャッシュに必要な時間を短縮する技術は知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、ハードディスクにストアされているフォントが印字データで使用されている場合に、ハードディスクからフォントデータの必要部分を読み出してフォントデータを再構成し、再構成されたフォントデータをキャッシュメモリ部にキャッシュしている。
【0003】
所定のフォームデータに類似する他のフォームデータに対するメモリ資源上の占有記憶容量を大幅に削減し、類似するフォームデータを数多く記憶管理する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2の技術では、所定のフォームデータに要部が類似する他のフォームデータを登録する際に、所定のフォームデータの差分データを登録して、所定のフォームデータと差分データとから出力用のフォームオーバレイ画像を生成し、このフォームオーバレイ画像と通常ページ画像とを重ね合わせて印刷している。
【0004】
複数の2次記憶装置を装着或いは接続可能な印刷装置に、その機能を拡張するデータを登録する際、2次記憶装置に効率良く登録し、処理速度の高速化させる技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3の技術では、外部装置から機能拡張データを受信した場合、それがプログラムかフォームオーバレイかを判断し、プログラムであると判断すれば、接続されている2次記憶装置の中の速度が早い順にその受信データが格納登録できるかを判断し、空いている2次記憶装置が見つかった時点で登録している。
【0005】
印刷データの画像処理を複数の画像処理部により並列して行う場合において印刷データの画像処理を高速に行う技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4の技術では、ページ独立である印刷ジョブであるPDFデータのページ数等の属性を分析し、印刷ジョブのどのページの画像処理を行うべきかを指定する処理要求コマンドを4つの画像処理部に対してそれぞれ送信し、画像処理部が、それぞれ、処理要求コマンドにより指定されたページの印刷データを各色毎の画像情報に展開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−94765号公報
【特許文献2】特開2001−1595号公報
【特許文献3】特開平8−11381号公報
【特許文献4】特開2009−146251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、画像処理対象に含まれる要素の画像処理結果の再利用を考慮しつつ、複数の画像処理手段を用いて画像処理を高速化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、複数の画像処理手段による画像処理の対象となる対象情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記対象情報を構成する複数の部分の特定の部分に含まれる要素であって、当該要素に対する前記画像処理の結果が記憶手段に記憶されて再利用される特定の要素を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記特定の要素に基づいて、前記複数の画像処理手段のうちの前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定する決定手段とを備えたことを特徴とする画像処理制御装置である。
請求項2に記載の発明は、前記決定手段は、前記検出手段により検出された前記特定の要素が前記複数の部分の他の部分に含まれる場合に、当該他の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理制御装置である。
請求項3に記載の発明は、前記決定手段は、第1の画像処理手段が予め定めた高負荷状態にあり、第2の画像処理手段が予め定めた低負荷状態にある場合に、前記複数の部分の前記特定の要素を含む部分に対する前記画像処理を当該第2の画像処理手段が行ったことがあれば、当該第2の画像処理手段を、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理制御装置である。
請求項4に記載の発明は、前記決定手段は、前記特定の要素の再利用状況が閾値以下である場合に、当該特定の要素に対する前記画像処理の結果が前記記憶手段に記憶されないようにすることを決定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像処理制御装置である。
請求項5に記載の発明は、前記検出手段は、前記特定の部分に含まれる他の要素を更に検出し、前記決定手段は、前記検出手段により検出された前記他の要素が予め定めた条件を満たす場合に、前記検出手段により検出された前記特定の要素に基づいて、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像処理制御装置である。
請求項6に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の部分の第1の要素を含む第1の部分及び第2の要素を含む第2の部分に対する前記画像処理を特定の画像処理手段が行った場合に、当該第1の要素及び当該第2の要素のうちの予め定めた基準に従って選択された要素を当該特定の画像処理手段に関連付けて記憶し、前記検出手段により検出された前記特定の要素が当該特定の画像処理手段に関連付けて記憶されている場合に、当該特定の画像処理手段を、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段として決定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像処理制御装置である。
請求項7に記載の発明は、前記予め定めた基準は、前記第1の要素及び前記第2の要素のうちの容量が大きな方を選択するという基準、又は、前記第1の要素及び前記第2の要素が更に要素を含む場合において当該第1の要素及び当該第2の要素のうちの多くの要素を含む方を選択するという基準を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像処理制御装置である。
請求項8に記載の発明は、前記予め定めた基準は、前記第1の要素及び前記第2の要素のうちの前記画像処理に要する時間が長い方を選択するという基準を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理制御装置である。
請求項9に記載の発明は、画像の印刷を指示する印刷指示情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記印刷指示情報に対する画像処理を行う複数の画像処理手段と、前記取得手段により取得された前記印刷指示情報を構成する複数の部分の特定の部分に含まれる要素であって、当該要素に対する前記画像処理の結果が記憶手段に記憶されて再利用される特定の要素を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記特定の要素に基づいて、前記複数の画像処理手段のうちの前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定する決定手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、複数の画像処理手段による画像処理の対象となる対象情報を取得する機能と、取得された前記対象情報を構成する複数の部分の特定の部分に含まれる要素であって、当該要素に対する前記画像処理の結果が記憶手段に記憶されて再利用される特定の要素を検出する機能と、検出された前記特定の要素に基づいて、前記複数の画像処理手段のうちの前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理対象に含まれる要素の画像処理結果の再利用を考慮しつつ、複数の画像処理手段を用いて画像処理を高速化することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理対象に含まれる要素の画像処理結果が再利用のために記憶される記憶手段の有効利用を図りつつ、複数の画像処理手段を用いて画像処理を高速化することができる。
請求項3の発明によれば、複数の画像処理手段のうちの一部の画像処理手段に対する負荷の集中を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理対象に含まれる要素の画像処理結果が再利用のために記憶される記憶手段を更に有効に利用することができる。
請求項5の発明によれば、画像処理対象の一部分に複数の要素が含まれる場合であっても対処することができる。
請求項6の発明によれば、ある画像処理手段が複数の要素の画像処理を行った場合であっても、その画像処理手段が担当する要素を決定することができる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理手段が担当する要素を簡単に決定することができる。
請求項8の発明によれば、画像処理手段が担当する要素を、画像処理が高速化されるように決定することができる。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、印刷指示情報に含まれる要素の画像処理結果の再利用を考慮しつつ、複数の画像処理手段を用いて画像処理を高速化することができる。
請求項10の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像処理対象に含まれる要素の画像処理結果の再利用を考慮しつつ、複数の画像処理手段を用いて画像処理を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像処理部の機能構成例を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像処理部の適用例を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態における画像処理部のページ管理テーブルの形式について示した図である。
【図5】本発明の実施の形態の画像処理部におけるページ分配管理部のRIP処理依頼先決定時の動作例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の画像処理部におけるページ分配管理部のRIP処理依頼先決定時の動作例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の画像処理部におけるページ分配管理部のRIP処理完了時の動作例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態で用いるページとフォームの対応の具体例を示した図である。
【図9−1】本発明の実施の形態でRIP処理依頼先を決定するときのページ管理テーブルの内容の変遷を示した図である。
【図9−2】本発明の実施の形態でRIP処理依頼先を決定するときのページ管理テーブルの内容の変遷を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態でRIP処理依頼先を決定するときの特定のRIP処理部に対する負荷の集中の回避策について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作を制御する主制御部31とを備えている。更には、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3等との通信を行って印刷指示データを受信する通信部32と、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像読取部33と、通信部32で受信した印刷指示データや画像読取部33で生成した読取画像データ等に対し予め定めた画像処理を施すことで画像データを取得して画像形成部10に転送する画像処理部34と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部35とを備えている。
【0012】
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する構成部であって、並列して配置される4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(以下、「画像形成ユニット11」という)を備えている。各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、矢印A方向に回転しながら静電潜像が形成され、その後にトナー像が形成される感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するドラムクリーナ16とを備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0013】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。更に、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール22と、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着器25とを備えている。
【0014】
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に静電転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印B方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送され、用紙収容容器40から供給される用紙P上に一括して静電転写される。その後、用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器25によって定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部45に搬送され集積される。
【0015】
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、及び二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、及びベルトクリーナ23によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0016】
ところで、このような構成の画像形成装置1で高速印刷を行う場合、画像処理部34において通信部32から受け取った印刷指示データをラスタデータへ展開するRIP(Raster Image Processing)処理がボトルネックになるので、このRIP処理を高速化する必要がある。
【0017】
このRIP処理の高速化の方法としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
第1の方法は、近年需要が高まっているVDP(バリアブルデータプリント)ジョブに基づく印刷等に好適な方法である。VDPジョブの印刷指示データは、再利用されるフォーム部分と可変部分とに分けられる。RIP処理における負荷が高い写真等のデータはフォームとして記述される。このようなVDPジョブの印刷指示データを受けた場合、画像処理部34が、一度展開して得られた中間データ形式やラスタデータ形式の処理結果を記憶手段の一例であるキャッシュに保存しておき、次回はそのキャッシュ内のデータを再利用することで、高速化を図ることが考えられる。
【0018】
第2の方法は、印刷指示データをページ等の分割し易い単位に分割して並列で処理を行うことで高速化するページパラレル方式である。このページパラレル方式では、解釈処理、ラスタ化処理を含むRIP処理を複数のRIP処理部で並行に動作可能なので、性能改善効果も大きい。その際、使用可能なCPUの数が多いほど、RIP処理部の並列度も大きくなり、高速化が実現される。
【0019】
しかしながら、第1の方法で述べたVDPジョブについて、第2の方法のようにRIP処理を並列に行った場合、並列度を高めるに従い、キャッシュの再利用効率が低下してしまうため、必要なメモリが多くなるばかりか、並列化による高速化の効果が得られなくなってしまう。
そこで、本実施の形態では、画像処理部34が、あるページのRIP処理を行ったRIP処理部に対して、そのページが使用していたのと同じフォームを使用するページのRIP処理を実行させるようにする。
【0020】
図2は、このような動作を行う画像処理部34の構成例を示したブロック図である。
図示するように、この画像処理部34は、前段の処理を行うフロントエンド部50と、後段の処理を行うバックエンド部60とを備える。そして、フロントエンド部50は、入力データ管理部51と、フォーム抽出部52と、ページ管理テーブル記憶部53と、ページ分配管理部54と、リソース管理部55とを含む。また、バックエンド部60は、RIP処理部61a,61b,61c,61dを含む。尚、以下では、RIP処理部61a,61b,61c,61dをRIP処理部61で代表させて表記することもある。
【0021】
まず、フロントエンド部50を構成する各機能部について説明する。
入力データ管理部51は、通信部32(図1参照)から印刷指示データを入力データとして受け取り、フォーム抽出部52やリソース管理部55に受け渡す。本実施の形態では、画像処理の対象となる対象情報や画像の印刷を指示する印刷指示情報の一例として、印刷指示データを用いている。ここで、印刷指示データは、例えば、PDL(Page Description Language)で記述されたPDLデータである。また、対象情報を取得する取得手段や印刷指示情報を取得する取得手段の一例として、入力データ管理部51を設けている。
【0022】
フォーム抽出部52は、入力データ管理部51から渡された印刷指示データを解析し、ページ区切りを検出し、各ページで使用されているフォームの情報を抽出する。本実施の形態では、対象情報を構成する部分や印刷指示情報を構成する部分の一例として、ページを用いており、部分に含まれる要素の一例として、フォームを用いている。また、要素を検出する検出手段の一例として、フォーム抽出部52を設けている。
【0023】
ページ管理テーブル記憶部53は、バックエンド部60のRIP処理部61a,61b,61c,61dに対するページの割り当てを管理するページ管理テーブルを記憶する。
【0024】
ページ分配管理部54は、バックエンド部60のRIP処理部61a,61b,61c,61dに対するページの割り当てを決定し、そのページの割り当てに関する情報をページ管理テーブル記憶部53に登録する。また、ページを割り当てるRIP処理部61に対して、そのページのRIP処理を指示する情報(以下、「ページRIP指示情報」という)を送信する。この場合、ページRIP指示情報には、印刷指示データ中のRIP処理を行うべきページの番号、優先処理させるRIP処理部61の識別子、ページの印字属性等が含まれる。更に、ページ分配管理部54は、RIP処理部61a,61b,61c,61dに割り当てたページのRIP処理が完了したら、そのページの割り当てに関する情報をページ管理テーブル記憶部53から削除する。本実施の形態では、特定の部分に対する画像処理を行う画像処理手段を決定する決定手段の一例として、ページ分配管理部54を設けている。
【0025】
リソース管理部55は、入力データ管理部51から受け渡された印刷指示データやRIP処理に必要なリソースを、バックエンド部60のRIP処理部61a,61b,61c,61dに送信する。
【0026】
次に、バックエンド部60を構成する各機能部について説明する。
RIP処理部61a,61b,61c,61dは、それぞれ、フロントエンド部50のリソース管理部55から受信した印刷指示データを解釈し、印刷指示データに基づくラスタ化を行い、ラスタデータである画像データを生成する。特に、本実施の形態では、リソース管理部55から受信した印刷指示データのうち、フロントエンド部50のページ分配管理部54から受信したページRIP指示情報で指示されたページに関する部分のみを抽出し、その部分に基づくラスタ化を行う。本実施の形態では、複数の画像処理手段の一例として、RIP処理部61a,61b,61c,61dを設けている。但し、RIP処理部61の数は、画像形成装置1の構成に応じて変更してもよい。
【0027】
尚、画像処理部34には、一般に、印刷指示データで指定された色を画像形成部10で用いる色に変換する色変換部や、ラスタデータに対してスクリーン処理を施すスクリーン処理部等も含まれるが、これらの機能部は省略している。これらの機能部については、RIP処理部61内で動作するものとし、RIP処理部61を上記のように一般的な画像処理手段として捉えてもよい。そして、この場合は、フォームに対する一般的な画像処理の結果がキャッシュに記憶され再利用されるものとしてもよい。
【0028】
ここで、RIP処理部61a,61b,61c,61dとして具体的な用途を持つ画像形成コントローラ(以下、単に「コントローラ」という)を用いた場合について説明する。
図3は、この場合の画像処理部34の構成例を示したブロック図である。
この構成例において、RIP処理部61は担当基本色ごとに設けられる。ここで、担当基本色とは、画像形成ユニット11(図1参照)が担当する印刷基本色に対応する色のことであり、例えば、印刷基本色が、図1に示したようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のときには、RIP処理部61の担当基本色もこれらの4色となる。即ち、RIP処理部61aはイエロー用の画像形成部コントローラとして用いられ、RIP処理部61bはマゼンタ用の画像形成部コントローラとして用いられ、RIP処理部61cはシアン用の画像形成部コントローラとして用いられ、RIP処理部61dはブラック用の画像形成部コントローラとして用いられている。尚、その他の各機能部については、図2で説明したのと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0029】
この場合の画像処理部34の概略動作は例えば次のようになる。ここでは、印刷指示データとしてPDF(Portable Document Format)ジョブのデータを例にとって説明するが、これには限らない。
まず、リソース管理部55は、入力データ管理部51から渡されたPDFジョブをRIP処理部61a,61b,61c,61dに送信する。
次に、ページ分配管理部54は、PDFジョブのどのページのRIP処理を行うべきかを指示するページRIP指示情報をRIP処理部61a,61b,61c,61dに対してそれぞれ送信する。
RIP処理部61a,61b,61c,61dは、それぞれ、印刷指示データを色ごとに展開して画像データを取得し、色ごとの画像データのうち担当基本色以外の色の画像データをその色を担当基本色とするRIP処理部61に転送する。尚、図では、色ごとの画像データを示す矩形の辺及び画像データの転送方向を示す矢印線を、イエローについては細い実線で、マゼンタについては点線で、シアンについては破線で、ブラックについては太い実線で表している。その後、RIP処理部61a,61b,61c,61dは、自身が展開して得られた担当基本色の画像データと、他のRIP処理部61から転送されてきた担当基本色の画像データとを、それぞれ、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(図1参照)に出力する。
【0030】
次に、本実施の形態における画像処理部34の動作について説明する。
画像処理部34では、まず、フロントエンド部50の入力データ管理部51が、通信部32(図1参照)から印刷指示データを入力データとして受け取り、フォーム抽出部52及びリソース管理部55に印刷指示データを受け渡す。
すると、リソース管理部55が、印刷指示データを各RIP処理部61に送信する。また、フォーム抽出部52が、印刷指示データの各ページで使用されているフォームの情報を抽出する。具体的には、フォームの識別子やフォームのデータサイズ等を抽出する。このとき、処理を高速に行う必要があることから、RIP処理部61への分配に関係しない部分については解析しないことが好ましい。そして、フォーム抽出部52は、抽出したフォームの情報をページ分配管理部54へ通知する。
これにより、ページ分配管理部54は、画像処理部34において動作しているRIP処理部61の数を入手し、ページ管理テーブルを作成してページ管理テーブル記憶部53に記憶する。或いは、ページ分配管理部54は、入力データ管理部51が印刷指示データを受け取るよりも前に、例えば、画像処理部34の起動時等にページ管理テーブルを作成してもよい。
【0031】
ここで、このページ管理テーブルについて説明する。
図4は、ページ管理テーブルの一例を示した図である。
図示するように、ページ管理テーブルには、RIP欄と優先フォーム欄とサイズ欄と処理未完了ページ欄とが設けられている。
RIP欄は、RIP処理部61の番号を保持する。ここでは、4つのRIP処理部61が並列に動作するものとし、RIP処理部61の番号として1〜4を保持している。
優先フォーム欄は、対応するRIP欄に記憶された番号のRIP処理部61に優先的に割り当てられるフォームの識別子を保持する。尚、優先フォーム欄が保持するフォームを、対応するRIP処理部61が担当するフォームと呼ぶこともある。
サイズ欄は、対応する優先フォーム欄に記憶された識別子のフォームのデータサイズを保持する。
処理未完了ページ欄は、対応するRIP欄に記憶された番号のRIP処理部61でのRIP処理が実行中又は実行待ちの状態にあるページの番号を保持する。
【0032】
このようなページ管理テーブルがページ管理テーブル記憶部53に記憶されていることを前提として、ページ分配管理部54は以下のような動作を行う。
まず、ページ分配管理部54が着目するページ(以下、「着目ページ」という)のRIP処理の依頼先を複数のRIP処理部61の中から決定するときの動作について説明する。
図5及び図6は、このときのページ分配管理部54の動作例を示したフローチャートである。
図5に示すように、まず、ページ分配管理部54は、着目ページで使用されるフォームの情報をフォーム抽出部52から受け取る(ステップ501)。そして、フォームの情報に含まれるフォームの識別子の数に基づいて、着目ページが使用するフォームの数を判定する(ステップ502)。
【0033】
着目ページが使用するフォームの数が0の場合、つまり、着目ページがフォームを使用しないページである場合、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルの処理未完了ページ欄におけるページ数が最小のRIP処理部61を選択する(ステップ503)。尚、このとき、ページ数が最小のRIP処理部61が複数あれば、例えば、RIP処理部61の番号が最も小さいものを選択する等の基準によって、その中から1つのRIP処理部61を選択すればよい。そして、選択したRIP処理部61に対応する処理未完了ページ欄に着目ページの番号を登録し(ステップ504)、そのページのRIP処理を指示するページRIP指示情報を、選択したRIP処理部61に送信する(ステップ505)。
また、着目ページが使用するフォームの数が2以上の場合、つまり、着目ページが複数のフォームを使用するページである場合、ページ分配管理部54は、それら複数のフォームのうちデータサイズが最大のフォームを代表フォームとして決定し(ステップ506)、図6へ進む。
尚、着目ページが使用するフォームの数が1の場合、ページ分配管理部54は、そのフォームをそのまま代表フォームとして図6へ進む。
【0034】
その後、図6に示すように、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルの優先フォーム欄に代表フォームの識別子が登録済であるかどうかを判定する(ステップ511)。即ち、着目ページが、ページ管理テーブルの優先フォーム欄に登録された識別子と同じ識別子のフォームを使用するページであるかどうかを判定する。
【0035】
その結果、ページ管理テーブルの優先フォーム欄に代表フォームの識別子が登録済であると判定された場合、ページ分配管理部54は、代表フォームが登録済のRIP処理部61に対応する処理未完了ページ欄に着目ページの番号を登録し(ステップ518)、そのページのRIP処理を指示するページRIP指示情報を、代表フォームが登録済のRIP処理部61に送信する(ステップ519)。
【0036】
一方、ページ管理テーブルの優先フォーム欄に代表フォームの識別子が未登録であると判定された場合、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルの全てのRIP処理部61に対応する優先フォーム欄にフォームの識別子が登録済であるかどうかを判定する(ステップ512)。
【0037】
その結果、ページ管理テーブルの全てのRIP処理部61に対応する優先フォーム欄にフォームの識別子が登録済であると判定された場合、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルの処理未完了ページ欄におけるページ数が最小のRIP処理部61を選択する(ステップ513)。尚、このとき、ページ数が最小のRIP処理部61が複数あれば、例えば、RIP処理部61の番号が最も小さいものを選択する等の基準によって、その中から1つのRIP処理部61を選択すればよい。また、代表フォームのデータサイズが、選択したRIP処理部61に対応するサイズ欄に登録されたデータサイズよりも大きいかどうかを判定し(ステップ514)、大きければ、選択したRIP処理部61に対して登録済のフォームの情報を代表フォームの情報と入れ替える(ステップ515)。具体的には、選択したRIP処理部61に対応する優先フォーム欄に登録済のフォームの識別子を代表フォームの識別子と入れ替え、同じく対応するサイズ欄に登録済のフォームのデータサイズを代表フォームのデータサイズと入れ替える。また、代表フォームのデータサイズが、選択したRIP処理部61に対応するサイズ欄に登録されたデータサイズよりも大きくなければ、このような入れ替えは行わない。或いは、選択したRIP処理部61に対応する優先フォーム欄に代表フォームの識別子を追加登録し、この選択したRIP処理部61を2つのフォームを担当するRIP処理部61としてもよい。そして、選択したRIP処理部61に対応する処理未完了ページ欄に着目ページの番号を登録し(ステップ518)、そのページのRIP処理を指示するページRIP指示情報を、選択したRIP処理部61に送信する(ステップ519)。
【0038】
一方、ページ管理テーブルの全てのRIP処理部61に対応する優先フォーム欄にフォームの識別子が登録済であると判定されなかった場合、つまり、フォームが未登録のRIP処理部61がある場合、ページ分配管理部54は、フォームが未登録のRIP処理部61の中から、ページ管理テーブルの処理未完了ページ欄におけるページ数が最小のRIP処理部61を選択する(ステップ516)。尚、このとき、ページ数が最小のRIP処理部61が複数あれば、例えば、RIP処理部61の番号が最も小さいものを選択する等の基準によって、その中から1つのRIP処理部61を選択すればよい。また、選択したRIP処理部61に対して代表フォームの情報を登録する(ステップ517)。具体的には、選択したRIP処理部61に対応する優先フォーム欄に代表フォームの識別子を登録し、同じく対応するサイズ欄に代表フォームのデータサイズを登録する。そして、選択したRIP処理部61に対応する処理未完了ページ欄に着目ページの番号を登録し(ステップ518)、そのページのRIP処理を指示するページRIP指示情報を、選択したRIP処理部61に送信する(ステップ519)。
【0039】
以上の動作が終了すると、バックエンド部60のRIP処理部61は、リソース管理部55から受信した印刷指示データに含まれる複数のページのうち、ページ分配管理部54から受信したページRIP指示情報で指示されたページに対して、解釈処理及びラスタ化処理を含むRIP処理を行う。そして、RIP処理が完了すると、RIP処理部61は、RIP処理が完了したことを知らせる情報(以下、「RIP完了情報」という)をページ分配管理部54に送信する。
【0040】
尚、図5のステップ506や図6のステップ514では、RIP処理部61が担当するフォームの優先度を決めるのに、フォームの容量の大きさの一例であるデータサイズを用いたが、如何なる条件や基準を用いてもよい。例えば、フォームのデータサイズに代えて、フォーム中の要素の一例であるオブジェクトの数を用いることも考えられる。この場合、オブジェクトの数が多い方を優先的に採用する。或いは、フォームのデータサイズに代えて、フォームに対する画像処理の一例であるRIP処理に実際に要する時間を用いてもよい。ここで、RIP処理に実際に要する時間は、RIP処理部61から受信したRIP完了情報に含まれるものを用いればよい。この場合、RIP処理に要する時間が長い方を優先的に採用する。
【0041】
次に、ページ分配管理部54がページのRIP処理の完了をページ管理テーブルに反映させるときの動作について説明する。
図7は、このときのページ分配管理部54の動作例を示したフローチャートである。
図示するように、まず、ページ分配管理部54は、まず、各RIP処理部61からRIP完了情報を受信する(ステップ551)。
次に、ページ分配管理部54は、RIP完了情報からRIP処理が完了したページの番号を取り出す(ステップ552)。
そして、ページ分配管理部54は、複数のRIP処理部61の中から、ページ管理テーブルの処理未完了ページ欄にそのページの番号が登録されたRIP処理部61を選択する(ステップ553)。
これにより、ページ分配管理部54は、選択したRIP処理部61に対応する処理未完了ページ欄からそのページの番号を削除する(ステップ554)。
【0042】
次に、本実施の形態における画像処理部34の動作について、具体例を用いて説明する。
図8は、ここで用いる具体例について示した図である。
図において、ページ欄には、各ページの番号が記述されており、ページ指定フォーム欄には、対応するページ欄におけるページで使用されるフォームの識別子が記述されている。尚、以下の説明では、ページ欄が「N」のページを「ページ#N」と表記し、ページ指定フォーム欄が「X」のフォームを「フォームX」と表記するものとする。
【0043】
図9−1及び図9−2は、図5及び図6に示した動作を図8の具体例について行った場合のページ管理テーブルの内容の変遷を示した図である。ここで、ページは、図8で上に記載したものから順に処理されるものとする。また、図7に示した動作によってページ管理テーブルが更新されることはないものとする。尚、以下の説明では、RIP欄が「N」のRIP処理部を「RIP処理部#N」と表記するものとする。
【0044】
以下、ページごとに説明する。
図8に示すように、ページ#1ではフォームAが使用されている。また、初期状態においてページ管理テーブルにフォームは登録されていない。従って、図5のステップ502で「1」となり、図6のステップ511で「No」となり、ステップ512で「No」となる。そして、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルのRIP処理部#1に対応する優先フォーム欄が空なので、RIP処理部#1を選択し(ステップ516)、RIP処理部#1に対応する優先フォーム欄に識別子Aを、RIP処理部#1に対応するサイズ欄にフォームAのデータサイズを登録する(ステップ517)。また、RIP処理部#1に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「1」を登録する(ステップ518)。その結果、ページ管理テーブルは図9−1(a)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#1のページRIP指示情報をRIP処理部#1へ送信する(ステップ519)。
【0045】
図8に示すように、ページ#2ではフォームが使用されていない。従って、図5のステップ502で「0」となる。そして、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルのRIP処理部#2に対応する処理未完了ページ欄が空なので、RIP処理部#2を選択し(ステップ503)、RIP処理部#2に対応する優先フォーム欄及びサイズ欄には情報を登録することなく、RIP処理部#2に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「2」を登録する(ステップ504)。その結果、ページ管理テーブルは図9−1(b)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#2のページRIP指示情報をRIP処理部#2へ送信する(ステップ519)。
【0046】
図8に示すように、ページ#3ではフォームBが使用されている。また、図9−1(b)に示すように、この状態においてページ管理テーブルにフォームBは未登録であるがフォームが登録可能なRIP処理部は存在する。従って、図5のステップ502で「1」となり、図6のステップ511で「No」となり、ステップ512で「No」となる。そして、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルのRIP処理部#3に対応する優先フォーム欄及び処理未完了ページ欄が空なので、RIP処理部#3を選択し(ステップ516)、RIP処理部#3に対応する優先フォーム欄に識別子Bを、RIP処理部#3に対応するサイズ欄にフォームBのデータサイズを登録する(ステップ517)。また、RIP処理部#3に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「3」を登録する(ステップ518)。その結果、ページ管理テーブルは図9−1(c)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#3のページRIP指示情報をRIP処理部#3へ送信する(ステップ519)。
【0047】
図8に示すように、ページ#4ではフォームAが使用されている。また、図9−1(c)に示すように、この状態においてページ管理テーブルのRIP処理部#1に対してフォームAは登録済である。従って、図5のステップ502で「1」となり、図6のステップ511で「Yes」となる。そして、ページ分配管理部54は、RIP処理部#1に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「4」を登録する(ステップ518)。その結果、ページ管理テーブルは図9−1(d)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#4のページRIP指示情報をRIP処理部#1へ送信する(ステップ519)。
【0048】
図8に示すように、ページ#5ではフォームA及びフォームCが使用されている。従って、図5のステップ502で「≧2」となる。ここで、フォームCがフォームAよりも大きいとすると、ページ分配管理部54は、フォームCを代表フォームとして決定する(ステップ506)。また、図9−1(d)に示すように、この状態においてページ管理テーブルにフォームCは未登録であるがフォームが登録可能なRIP処理部は存在する。従って、図6のステップ511で「No」となり、ステップ512で「No」となる。そして、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルの空の優先フォーム欄に対応するRIP処理部#2とRIP処理部#4のうち、処理未完了ページ欄が空であるRIP処理部#4を選択し(ステップ516)、RIP処理部#4に対応する優先フォーム欄に識別子Cを、RIP処理部#4に対応するサイズ欄にフォームCのデータサイズを登録する(ステップ517)。また、RIP処理部#4に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「5」を登録する(ステップ518)。その結果、ページ管理テーブルは図9−2(e)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#5のページRIP指示情報をRIP処理部#4へ送信する(ステップ519)。
【0049】
図8に示すように、ページ#6ではフォームDが使用されている。また、図9−2(e)に示すように、この状態においてページ管理テーブルにフォームDは未登録であるがフォームが登録可能なRIP処理部は存在する。従って、図5のステップ502で「1」となり、図6のステップ511で「No」となり、ステップ512で「No」となる。そして、ページ分配管理部54は、ページ管理テーブルのRIP処理部#2に対応する優先フォーム欄が空なので、RIP処理部#2を選択し(ステップ516)、RIP処理部#2に対応する優先フォーム欄に識別子Dを、RIP処理部#2に対応するサイズ欄にフォームDのデータサイズを登録する(ステップ517)。また、RIP処理部#2に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「6」を登録する(ステップ518)。その結果、ページ管理テーブルは図9−2(f)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#6のページRIP指示情報をRIP処理部#2へ送信する(ステップ519)。
【0050】
図8に示すように、ページ#7ではフォームB及びフォームEが使用されている。従って、図5のステップ502で「≧2」となる。ここで、フォームBがフォームEよりも大きいとすると、ページ分配管理部54は、フォームBを代表フォームとして決定する(ステップ506)。また、図9−2(f)に示すように、この状態においてページ管理テーブルのRIP処理部#3に対してフォームBは登録済である。従って、図6のステップ511で「Yes」となる。そして、ページ分配管理部54は、RIP処理部#3に対応する処理未完了ページ欄にページ番号である「7」を登録する(ステップ518)。その結果、ページ管理テーブルは図9−2(g)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#7のページRIP指示情報をRIP処理部#3へ送信する(ステップ519)。
【0051】
その後、ページ分配管理部54は、ページ#8、#9、#10についても同様の処理を行い、その結果、ページ管理テーブルは図9−2(h)に示すようなものとなる。その後、ページ分配管理部54は、ページ#8のページRIP指示情報をRIP処理部#1へ、ページ#9のページRIP指示情報をRIP処理部#3へ、ページ#10のページRIP指示情報をRIP処理部#1へ送信する。
【0052】
ところで、ジョブによっては、フォームの使用状況やページの処理時間の差により、特定のRIP処理部61に指示が集中してしまうことがある。
従って、RIP処理の依頼先として決定されたRIP処理部61がアイドル状態である場合はそのままそのRIP処理部61に対してRIP処理を依頼し、ビジー状態である場合又は閾値以上のRIP処理の依頼が待ち状態である場合は、空いているRIP処理部61があれば、そのRIP処理部61に対してRIP処理を依頼するようにしてもよい。
その場合、例えば、ページで使用するフォームの識別子と同じ識別子のフォームが登録されているRIP処理部61、登録されているフォームが少ないRIP処理部61、処理負荷が低いRIP処理部61を優先する等の条件により、変更先を決定するようにするとよい。
【0053】
図10は、このような特定のRIP処理部61への指示の集中の分散化について説明する図である。
(a)に、図8の具体例についての図5及び図6の動作が終了した時点でのページ管理テーブルの状態を示す。但し、この例では、全てのRIP処理部61にフォームが割り当てられた状態で新たなフォームを割り当てる場合、フォームのデータサイズの比較によってフォームを入れ替えるのではなく、フォームを追加することを前提としている。そして、この前提の下、サイズ欄は設けていない。また、ページ#1〜#3のRIP処理は既に終了しており、図7の動作によってこれらのページの番号が処理未完了ページ欄から削除されているものとする。
【0054】
ここで、RIP処理の待ち状態にあるページ(以下、「RIP待ちページ」という)の数の閾値が「3」である場合、即ち、RIP待ちページを3つ以上にできない場合を考える。その場合、ページ#10の登録時に、RIP処理部#1のRIP待ちページの数は「2」であるので、RIP処理部#1は高負荷状態となっており、これ以上RIP待ちページを増やせないと判断される。そこで、ページ分配管理部54は、ページ#10のRIP処理をRIP処理部#1へは依頼せずに、他のRIP処理部に対応する優先フォーム欄を参照し、同じフォームが登録されているRIP処理部があれば、そのRIP処理部へ依頼先を切り替える。
【0055】
図の例では、RIP処理部#1を除くRIP処理部の中で処理未完了ページが最も少ないのはRIP処理部#2とRIP処理部#4であるが、このうちRIP処理部#4に対して、RIP処理部#1に割り当てられたのと同じフォームAが登録されている。従って、ページ分配管理部54は、RIP処理の依頼先をRIP処理部#4へ切り替える。
(b)に、このように依頼先が切り替えられた後のページ管理テーブルの状態を示している。
この例では、RIP処理部#1が予め定めた高負荷状態にある第1の画像処理手段の一例であり、RIP処理部#4が予め定めた低負荷状態にある第2の画像処理手段の一例である。ここで、高負荷状態や低負荷状態は、RIP待ちページの数以外の情報に基づいて判断してもよい。
【0056】
尚、本実施の形態では、カット紙に印刷を行うプリンタである画像形成装置1に本発明を適用した場合について説明したが、例えば、連続紙に印刷を行う連帳機に対しても本発明は適用可能である。
また、本実施の形態では、フォーム抽出部52がページからフォームを抽出するごとに、ページ分配管理部54がそのページのRIP処理の依頼先のRIP処理部61を決定するようにした。しかしながら、例えば、フォームの抽出を短時間で行えるジョブを処理する場合等は、フォーム抽出部52が全てのページからフォームを抽出した後に、ページ分配管理部54が各ページのRIP処理の依頼先のRIP処理部61を決定するようにしてもよい。
【0057】
また、その場合、ページ分配管理部54は、あるフォームの再利用状況の一例である再利用頻度が閾値以下である場合に、そのフォームを含むページについては、ページRIP指示情報でキャッシュ抑制フラグをオンにして送信してもよい。その際、そのフォームを含むページの数、そのフォームのデータサイズ、そのフォーム中のオブジェクトの数、そのフォームに対するRIP処理に実際に要する時間、そのフォームに対するRIP処理に実際に要する時間のそのフォームを含むページ又は全ページのRIP処理時間に対する比率等が閾値以下であることをもって、再利用頻度が閾値以下であると判断してもよい。或いは、印刷指示データの総ページ数に基づいて、例えば、これまでに処理したページの数の総ページ数に対する比率が閾値以上であるような場合に、ページRIP指示情報でキャッシュ抑制フラグをオンにして送信してもよい。ここで、キャッシュ抑制フラグとは、RIP処理部61におけるキャッシュ機構を有効にするかしないかを示すフラグである。即ち、キャッシュ抑制フラグがオンになっている場合、RIP処理部61は、そのページのRIP処理を行う際にフォームをキャッシュに記憶しないようにする。或いは、ページからフォームを抽出しながらRIP処理の依頼先を決定する形態においても、フォームの再利用頻度を動的に予測し、再利用頻度が低いと予測した時点でそのフォームを使用するページについてキャッシュ抑制フラグをオンにするようにしてもよい。
【0058】
更に、本実施の形態では、ページを割り当てるRIP処理部61をそのページが使用するフォームに基づいて決定するようにしたが、これには限らない。例えば、PDFのように描画オブジェクトを容易に抽出可能な印刷指示データに適用する場合には、イメージデータ等の他の描画オブジェクトに基づいて決定するようにしてもよい。
【0059】
更にまた、本実施の形態では、リソース管理部55が印刷指示データを各RIP処理部61に送信し、各RIP処理部61がその印刷指示データに含まれるページのうちページ分配管理部54から指示されたページのみのRIP処理を行うようにしたが、これもこの形態には限らない。例えば、リソース管理部55が印刷指示データを各RIP処理部61に送信せずに保持しておき、各RIP処理部61がその保持された印刷指示データに含まれるページのうちページ分配管理部54から指示されたページをリソース管理部55から取り出してRIP処理を行うような形態を採用してもよい。
【0060】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…画像形成装置、10…画像形成部、34…画像処理部、50…フロントエンド部、51…入力データ管理部、52…フォーム抽出部、53…ページ管理テーブル記憶部、54…ページ分配管理部、55…リソース管理部、60…バックエンド部、61a,61b,61c,61d…RIP処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像処理手段による画像処理の対象となる対象情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記対象情報を構成する複数の部分の特定の部分に含まれる要素であって、当該要素に対する前記画像処理の結果が記憶手段に記憶されて再利用される特定の要素を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記特定の要素に基づいて、前記複数の画像処理手段のうちの前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする画像処理制御装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記検出手段により検出された前記特定の要素が前記複数の部分の他の部分に含まれる場合に、当該他の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理制御装置。
【請求項3】
前記決定手段は、第1の画像処理手段が予め定めた高負荷状態にあり、第2の画像処理手段が予め定めた低負荷状態にある場合に、前記複数の部分の前記特定の要素を含む部分に対する前記画像処理を当該第2の画像処理手段が行ったことがあれば、当該第2の画像処理手段を、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理制御装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記特定の要素の再利用状況が閾値以下である場合に、当該特定の要素に対する前記画像処理の結果が前記記憶手段に記憶されないようにすることを決定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像処理制御装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記特定の部分に含まれる他の要素を更に検出し、
前記決定手段は、前記検出手段により検出された前記他の要素が予め定めた条件を満たす場合に、前記検出手段により検出された前記特定の要素に基づいて、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像処理制御装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記複数の部分の第1の要素を含む第1の部分及び第2の要素を含む第2の部分に対する前記画像処理を特定の画像処理手段が行った場合に、当該第1の要素及び当該第2の要素のうちの予め定めた基準に従って選択された要素を当該特定の画像処理手段に関連付けて記憶し、前記検出手段により検出された前記特定の要素が当該特定の画像処理手段に関連付けて記憶されている場合に、当該特定の画像処理手段を、前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段として決定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像処理制御装置。
【請求項7】
前記予め定めた基準は、前記第1の要素及び前記第2の要素のうちの容量が大きな方を選択するという基準、又は、前記第1の要素及び前記第2の要素が更に要素を含む場合において当該第1の要素及び当該第2の要素のうちの多くの要素を含む方を選択するという基準を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像処理制御装置。
【請求項8】
前記予め定めた基準は、前記第1の要素及び前記第2の要素のうちの前記画像処理に要する時間が長い方を選択するという基準を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理制御装置。
【請求項9】
画像の印刷を指示する印刷指示情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記印刷指示情報に対する画像処理を行う複数の画像処理手段と、
前記取得手段により取得された前記印刷指示情報を構成する複数の部分の特定の部分に含まれる要素であって、当該要素に対する前記画像処理の結果が記憶手段に記憶されて再利用される特定の要素を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記特定の要素に基づいて、前記複数の画像処理手段のうちの前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の画像処理手段による画像処理の対象となる対象情報を取得する機能と、
取得された前記対象情報を構成する複数の部分の特定の部分に含まれる要素であって、当該要素に対する前記画像処理の結果が記憶手段に記憶されて再利用される特定の要素を検出する機能と、
検出された前記特定の要素に基づいて、前記複数の画像処理手段のうちの前記特定の部分に対する前記画像処理を行う画像処理手段を決定する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−204079(P2011−204079A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71664(P2010−71664)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】