説明

画像処理方法、画像処理装置、およびプログラム

【課題】 複数のフレームから構成される動画像から適切なフレームを抽出することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 動画像に含まれる複数のフレームのそれぞれにおける、複数の解析領域を解析し、その複数の解析領域のそれぞれに対する解析結果に基づき、複数のフレームから出力対象のフレームを抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画を構成する複数フレームから、出力対象のフレームを抽出する画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画再生機能を有する装置において、動画像を構成する静止画像を、動画像から抽出する機能を有するものがある。この種の機能においては、動画像に含まれる複数のフレームから抽出対象のフレームをユーザが指定すると、その指定されたフレームの画像を液晶モニター等の表示装置に出力して、その画像を表示させることができる。他にも、動画像から抽出されたフレームを印刷装置に出力することで、そのフレームに対応する画像を印刷用紙に印刷させることができる。
【0003】
ところで、動画像に含まれる静止画像のうち、撮影者の手や被写体が動いたときに撮影された静止画像は、ブレが発生している場合があり、出力対象として好ましくない場合がある。そこで特許文献1では、動画データを解析して、動画に含まれる各フレームのブレ量を取得し、取得されたブレ量に基づいて基準フレームを決定し、その基準フレームの所定範囲内にある周辺フレームを出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4301236号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術は、画像のブレ量を判定する方法として、フレーム内の特徴点のフレーム間での移動量により、ブレ量を判定する方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、フレーム内の特徴点がフレーム間で移動していたとしても、その特徴点の移動が、撮影装置のブレによるものなのか、被写体の移動であるのか特定することはできない。よって、仮に特徴点のフレーム間の移動量が小さく、その特徴点のブレが小さかったとしても、その特徴点に対応する被写体の移動に合わせて動画像が撮影されていた場合がある。このとき、その特徴点のブレは少なかったとしても、フレームにおけるその特徴点以外の領域のブレが大きく、そのフレームが出力対象として好ましくない場合がある。
【0007】
そこで本発明は、動画から出力対象のフレームを適切に抽出することができる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、複数のフレームから構成される動画像から抽出された出力対象のフレームを出力する画像処理装置であって、前記動画像に含まれる複数のフレームのそれぞれにおける、複数の解析領域を解析する解析手段と、前記複数のフレームのそれぞれにおける、前記複数の解析領域のそれぞれに対する、前記解析手段による解析結果に基づき、当該複数のフレームから出力対象のフレームを抽出する抽出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレームにおける複数の領域の解析結果により出力対象のフレームを抽出することで、動画から出力対象のフレームを適切に抽出することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像処理装置のブロック図である。
【図2】フレーム抽出処理を示すフローチャートである。
【図3】動画像に含まれる複数フレームを示す図である。
【図4】フレームに対して設定される解析領域を示す図である。
【図5】動画像におけるフレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に本発明で使用する画像処理装置のブロック図を示す。画像処理方法として、PCを使用すると想定して説明する。
【0013】
CPU 101は、中央演算ユニット(Central Processing Unit)で、他の機能ブロックや装置の制御を行う。ブリッジ部102は、CPU 101と他の機能ブロックの間でデータのやり取りを制御する機能を提供している。
【0014】
ROM(Read Only Memory) 103は読み込み専用の不揮発メモリであり、BIOS(Basic Input/Output System)と呼ばれるプログラムが格納されている。BIOSは画像処理装置が起動したときに最初に実行されるプログラムであり、2次記憶装置105、表示装置107、入力装置109、出力装置110などの周辺機器の基本入出力機能を制御するものである。
【0015】
RAM(Random Access Memory)104は、高速の読み/書き可能な記憶領域を提供する。
【0016】
2次記憶装置105は、大容量の記憶領域を提供するHDD(Hard Disk Drive)である。BIOSが実行されると、HDDに格納されているOS(Operating System)が実行される。OSはすべてのアプリケーションで利用可能な基本的な機能や、アプリケーションの管理、基本GUI(Graphical User Interface)を提供する。アプリケーションは、OSが提供するGUIを組み合わせることで、アプリケーション独自の機能を実現するUIを提供できる。
【0017】
なお、上記のOSや、他のアプリケーションの実行プログラムや作業用に使用しているデータは、必要に応じてROM103または2次記憶装置105に格納される。また、本実施例の処理を実行する画像処理アプリケーションは、ROM103または2次記憶装置105に格納され、ユーザの操作で起動するアプリケーションとして提供される。以下で説明する処理は、CPU101が、ROM103や2次記憶装置105に記憶されている、OS、画像処理アプリケーション等のプログラムを、RAM104をワークメモリとして実行することで実現する。
【0018】
表示制御部106は、各種の画像を表示装置107に表示させるための制御を行う。表示される画像は、例えば、2次記憶装置105に記憶されている画像や、OSやアプリケーションに対して行われるユーザの操作の結果を示すGUIの画像である。また、表示装置107には液晶ディスプレイや、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイが使用できる。
【0019】
I/O制御部108は、複数の入力装置109、出力装置110とのインターフェースを提供するものである。代表的なインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)やPS/2(Personal System/2)がある。
【0020】
入力装置109は、キーボード、マウスといった操作デバイスであり、I/O制御部108は、入力装置109を介してユーザの指示を画像処理装置に入力する。
【0021】
I/O制御部108は、各種の出力装置に110を接続して、接続されている出力装置110にデータを出力する。出力装置110は例えばプリンターであり、I/O制御部が印刷データを出力装置に出力することで、印刷データに対応する画像を印刷させることができる。
【0022】
なお、画像処理装置には、デジタルカメラ、USBメモリ、CF(Compact Flash)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカードといった記憶装置などを接続することもできる。そして、I/O制御部は、そのデジタルカメラやメモリに画像データなどのデータを転送することや、逆にデジタルカメラやメモリからデータを取得することも可能である。
【0023】
後述するが、本実施例では、複数枚のフレームから構成される動画像から、フレームを抽出する。その動画像のデータは、上記の2次記憶装置105や、画像処理装置に接続されているUSBメモリやCFメモリ、SDメモリカード等から供給される。
【0024】
次に、本実施例におけるフレーム抽出処理について説明する。
【0025】
本実施例では、動画像に含まれているフレームを抽出するときに、ブレ量、ボケ量を判定して、ブレ、ボケが少ないフレームを出力対象として抽出する。なぜなら、動画像の場合は特に、連続するフレームで明るさや色味が微妙に変動することもあり、また、主要被写体がわずかに移動することによっても、圧縮などの影響を受けてそれがブレやボケ推定のノイズとなりやすい。また、シーンの特性が大きく変動すると、それ自体がブレ・ボケ推定のノイズとなる。よって、動画像からフレームを抽出するときには、フレームにおけるブレ、ボケを判定して、出力対象として適切なフレームを抽出することが重要である。
【0026】
また本実施例では、フレームのブレ、ボケを判定するときに、フレームにおける複数の領域のブレ、ボケの解析結果を利用する。
【0027】
これは、フレームにおける1つの領域の解析結果だけでは、フレームのブレ、ボケを適切に評価できない場合がある。これを、図5を用いて説明する。
【0028】
図5は、動画像に含まれるフレームを示す図である。この図5において、主要被写体502付近に解析領域501を設定して、この解析領域501内のブレ、ボケを判定するものとする。例えば、主要被写体がある程度の速度で動いている場合に、被写体にカメラを被写体の動きに同調して撮影すると、被写体にはピントが合うが背景は流れた画像(ブレ)となる。
【0029】
従って、1つの解析領域501内におけるブレ、ボケが少なかったとしても、その解析領域501以外の領域のブレ、ボケが大きく、出力対象のフレームとして好ましくないことがある。
【0030】
さらに、解析領域501において主要被写体502ではない領域である背景領域503は、上記のようにブレが大きい場合がある。よって、1つの解析領域501によりフレームのブレ、ボケを判断する場合、その1つの解析領域の設定の仕方によって、判断結果が大きく変わることがある。
【0031】
特に、動画像の撮影時において、ピントが合う領域をより限定する撮影方法により動画像が撮影されていた場合には、主要被写体と背景とのボケ量の差が大きくなる。例えば、撮影時にレンズの絞りを開放して(F値を小さくして)撮影すると、焦点の合う被写界深度の範囲が狭くなる。この場合、ピントを合わせた被写体に対して背景がボケるのはもちろん、特に明るいレンズを利用してF値を小さく設定して撮影すると被写体領域においても厳密にピントが合う領域が限定されることになる。
【0032】
この場合、特に、1つの解析領域501内の主要被写体のブレ、ボケが少なかったとしても、背景においてブレ、ボケが大きく発生していることがある。また、1つの解析領域501内に、背景領域503をどれだけ含むかによって、フレームに対するブレ、ボケの評価が特に大きく変わる。
【0033】
従って、本実施例では、1つのフレームに複数の解析領域を設定し、その複数の解析領域の解析結果に基づき、複数のフレームから、出力対象として適切なフレームを抽出する。
【0034】
図2は本実施例のフレーム抽出処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理に対応するプログラムがROM103または2次記憶装置105に記憶されており、CPU101がそのプログラムをRAM104に読み出して実行することにより、図2のフローチャートで示す処理を実現することができる。
【0035】
まず、動画データを構成する複数のフレームから、解析対象の複数のフレームを選択する(S201)。そして、S201で選択された複数のフレームのそれぞれに、ブレ量、ボケ量を判定するための解析処理の対象とする、解析領域を設定する(S202)。なお、このS202では、上記のように、複数の解析領域を設定する。複数の解析領域の詳細については、図4を用いて後述する。
【0036】
フレームにおける、S202において設定された複数の解析領域のそれぞれに、画質評価を行う(S203)。ここで、画質評価方法としては特に解析領域に含まれるブレ量やボケ量を推定する。ブレ量やボケ量を推定する方法は、公知の技術を利用すればよい。例えば、解析領域のエッジ量をブレ量もしくはボケ量の評価値として算出する。
【0037】
次に、周辺のフレーム間で互いに対応する解析領域ごとに画質評価値を比較する(S204)。最後に互いの画質評価値の比較結果に基づいて、最終的に出力対象フレームを決定して抽出する(S205)。
【0038】
そして、このS205で抽出された出力対象のフレームを出力する(S206)。例えば表示制御部106により、動画像データから抽出したフレームを、表示装置107に表示させてもよい。または、動画像データから抽出したフレームに対応する印刷データを印刷装置である出力装置110に出力して、当該フレームに対応する画像を印刷媒体に印刷させてもよい。
【0039】
ここで、上記のS201における、解析対象のフレームの選択について、図3を用いて説明する。図3は、動画像に含まれる複数のフレームを示す図である。S201では、まず動画を構成する一連のフレームから、主フレーム301を決定する。これは、ユーザが入力装置109を用いて指定したフレームとする。あるいは、動画像の全フレームから、所定枚数ごとにフレームを特定したときの複数のフレームを、それぞれ主フレームと301して設定してもよい。
【0040】
次に、この主フレーム301の近傍にあるフレームを周辺フレーム302として設定する。周辺フレームは、主フレームに連続するフレームを利用してもよいし、シーン特性がほぼ同じになる範囲において所定の間隔で周辺フレームを設定してもよい。
【0041】
S201では、主フレーム301と、その主フレーム301に対応する周辺フレーム302とを、ブレ、ボケを判断するための解析を実行する解析対象の複数のフレーム(フレーム群)として選択する。そして、S205では、S202〜S204におけるフレームの解析結果により、解析対象の複数のフレームから、ブレ、ボケの少ないフレームを、出力対象のフレームとして抽出する。
【0042】
次に、本実施例における、フレームに対する解析領域の設定について、詳細に説明する。
【0043】
図4は、フレームに対して設定される解析領域を示す図である。上述の図2のS202では、この図4に示す複数の解析領域が設定される。図4に示す例では、5つの解析領域402を、1つのフレームに対して設定する。
【0044】
本実施例では、フルHD画質(1920×1080画素)の動画像に含まれるフレームに解析領域を設定する場合を想定しており、128×128画素の解析領域402を、図4に示すように5つ設定する。なお、解析領域402のサイズは、動画像の画素数に応じて設定すればよい。
【0045】
そして、図2のS203においては、1つのフレーム内の5つの解析領域のそれぞれに対して、ブレ、ボケを判定するための解析を実行する。そして、その解析により得られたブレ量、ボケ量に応じて、各解析領域の画質を示す評価値を決定する。この評価値は、例えばRAM104に記憶しておく。この評価値は、解析領域内の画像データのブレ量・ボケ量を数値化したものである。本実施例では、ブレ・ボケ量に比例して大きくなる点数で評価値を設定するが、逆にブレ・ボケなしを100点満点としてブレ・ボケ量が大きくなるにつれて低い点数になるように評価値を設定してもよい。
【0046】
次に図2のS204においては、まず、5つの解析領域のそれぞれの評価値を、フレーム間で比較する。このとき、各フレームの対応する解析領域ごとに評価値を比較する。具体的には、主フレームおよび周辺フレームから2枚のフレームを選択して、その2枚のフレームのそれぞれにおける、5つの解析領域ごとに、S203で得られた評価値を比較する。このときに、2枚のフレームにおいて対応する解析領域同士を比較する。例えば、フレームの中央に設けられている解析領域同士を比較する。ユーザは画像の撮影時に、主要な被写体がフレームの中央に配置されるように撮影することが多い。よって、上記のようにフレームの中央の解析領域同士を比較することで、2枚のフレームにおいて共通の被写体について、ブレ、ボケを判定することができる。
【0047】
また、各解析領域の評価値を比較するときに「勝ち点方式」により比較を行う。この「勝ち点方式」は、ある解析領域の評価値を2枚のフレームにおいて比較し、両者の評価値の差が所定値以上であれば、評価値が高いフレームの当該解析領域に勝ち点3を与える。そして、2枚のフレームの評価値の差が所定値より小さければ、引分けとみなして、その2枚のフレームの当該解析領域に対して勝ち点1を与える。この各解析領域に対する比較処理を、5つの解析領域に対して実行する。そして、1つのフレームにおいて、5つの解析領域に対して与えられた勝ち点を加算して、加算された勝ち点を、そのフレームのフレーム評価値とする。
【0048】
この2枚のフレームの比較処理を、S201において選択された複数のフレームにおいて総当たりで実施して、2枚のフレームの比較処理を実行するたびに、その2枚のフレームのそれぞれに、フレーム評価値を加算していく。
【0049】
そしてS205では、最終的に加算されたフレーム評価値に基づき、出力対象のフレームを抽出する。なお、S205では、最もよい評価値となった1枚のフレームを抽出対象として適していると判断して、そのフレームを抽出フレームとして決定するが、所定の評価値を満たした複数のフレームを抽出フレームとして決定してもよい。
【0050】
このように、本実施例では、1つのフレームに対して複数の解析領域を設定し、その複数の解析領域に対する解析結果に基づいて、そのフレームのブレ、ボケを判定している。上述したように、1つの解析領域によりブレ、ボケの判定する場合、その1つの解析領域の解析結果に応じて、フレームに対するブレ、ボケの評価が大きく変わることがあり、それにより、フレームの画質の評価を適切に行えない場合があった。
【0051】
一方、本実施例では、複数の解析領域を設定するため、1つの解析領域においてフレームのブレ、ボケを適切に判定できなかったとしても、他の解析領域を考慮することで、適切な判定を行うことができる。
【0052】
なお、上述したように、本実施例では主フレーム301に対して、周辺フレーム302を選択して、その主フレーム301と、周辺フレーム302を、解析対象のフレーム群としている。そのとき、そのフレーム群において、シーンの変更があった場合には、複数のシーンに対応するフレームが、そのフレーム群に含まれることになる。この場合、ブレ量、ボケ量により、いずれかのシーンのフレームを抽出するよりも、その複数のシーンのそれぞれから、ブレ、ボケの少ないフレームを抽出することが望ましい。
【0053】
通常は、撮影シーンにもよるが、0.5秒〜1秒未満の間隔にあるフレームであれば、それほど大きなシーン変化はないことが多いと想定できる。そこで、0.5秒ないしは1秒未満の範囲で周辺フレームの範囲を限定することで、シーン特性の変動を少なくすることができる。これにより、ブレ、ボケの解析対象のフレーム群において、シーンが変化することを防ぐことができる。
【0054】
ここで図4に示した解析領域の大きさについて説明する。図5において説明したように、解析領域の大きさは、背景が可能な限り混在しないように設定することがポイントになる。これは想定する撮影シーンに基づいて決定すればよい。具体的には、動いている子供を動画撮影することを想定すると、フルHD画質(1920×1080画素)で全身がフレームの納まっている場合を考えて設定する。フレームの垂直方向の1080画素に対して8割程度に撮影されたとすると、その5〜6頭身換算で144〜172画素となる。解析領域の大きさは、それ以下となるように設定すればよい。なお、上記のように、フレームの大きさに対する被写体の大きさの比率により解析領域の大きさを決定する場合、フレーム全体の画素数に応じて、解析領域の画素数を決定すればよい。
【0055】
次に、図4に示した複数の解析領域の配置方法に関しても、適度に解析しない領域を意図的に設定することがポイントになる。つまり、所定サイズの解析領域をフレーム全体に密に配置しても、上述した想定シーンなどではほとんどが流れている背景となることにもなり兼ねず、それらをいくら解析したところで抽出精度を向上させることはあまり期待できない。よって、フレームにおける、適切な部分に、解析領域を設定する必要がある。
【0056】
ユーザは、主要な被写体のブレ、ボケが少ないフレームを出力対象として望むことが多いため、この主要な被写体を解析領域に含めて、フレームに対するブレ、ボケの評価に用いることが望ましい。
【0057】
特に動画撮影の場合には、撮影者が注目する特定の被写体を画像の中心として撮影していることが多い。即ち、フレームの中央部では、主要な被写体が存在していることが多く、動画像において連続する複数のフレームにおいて、特定の被写体がフレームの中央部に含まれていることが多い。そこで、図4に示したように、フレームの中央部に解析領域を中心的に設定する。
【0058】
一方、フレームの端部では、撮影者が注目する特定の被写体が存在することが少なく、その被写体が移動している場合には、フレームの端部では、わずかな時間経過でもシーンが変化している可能性が高い。よって、動画像において連続する複数のフレームにおいて、フレームの端部の内容が変化していることが多い。そこで、図4に示したように、フレーム端部には解析領域を設定しないようにすればよい。
【0059】
また他にも、撮影構図の中心や撮影領域を略9等分するラインの4つの交点付近(いわゆる黄金分割点)を中心に主要被写体が撮影される可能性が高いことを想定して、それらの領域を解析領域として配置することもできる。図4に示す例では、主要被写体が撮影される可能性が高い点として、フレームの中央と、4つの黄金分割点に解析領域を設けている。あるいは、カメラの測距点を中心にして解析領域を配置してもよい。これはカメラの撮影時の制御として、測距点でピント制御が実施されていれば、それらの周辺でピントが合う可能性が高くなると考えられるからである。
【0060】
また、図4に示した例では、5つの解析領域を設定したが、これに限らず、6つ以上または4つ以下の複数の解析領域を設定してもよい。
【0061】
さらに、上記の実施例のように、複数の解析領域のそれぞれに対する解析結果により、出力対象のフレームを抽出するが、解析領域に応じて、解析結果に重み付けをしてもよい。このとき、複数の解析領域のうちの、より重要な位置に配置された解析領域に重みを置く。例えば、フレームの中央に配置されている解析領域を、他の解析領域よりも重視するために、上記の「勝ち点方式」の判定において、中央に配置された解析領域に対して与えられた勝ち点を2倍にして、当該フレームに与えられた勝ち点を計算する。
【0062】
(実施例2)
実施例1では、解析領域を設定するときに、動画像の画素数に応じてサイズの領域を設定することを示した。このサイズ設定が適切であるかは、画像の内容や、撮影情報(撮影時に利用しているレンズ性能、カメラの設定値等)によって依存することがある。
【0063】
そこで、本実施例では、この画像の内容や撮影情報に基づくサイズ設定方法について説明する。それ以外の構成は、実施例1と同様である。
【0064】
まず画像の内容であるが、実施例1ではフレームに対する被写体の大きさを考慮して、解析領域として所定の大きさのサイズを設定した。そこで、実施例2では、フレームを解析することで、そのフレームに含まれる被写体の大きさを判定し、その被写体の大きさに応じて、解析領域の大きさを決定する。例えば、公知の顔検出技術を用いて、被写体として顔を検出し、検出された顔の大きさに応じて、解析領域の大きさを決定する。なお、このとき、顔のフレームにおける位置に応じて、解析領域の位置を決定してもよい。
【0065】
また、撮影情報としては、レンズの明るさを示すF値や焦点距離などがある。上述したように、F値が小さいほど合焦する領域の大きさは小さくなる。また、望遠レンズを利用して遠景を撮影しているような場合には、一般的にブレやすくなる。よって、このようなカメラ情報に基づいて解析サイズを調整してもよい。例えば、上記のように、F値が小さい場合には、ボケ量の異なる被写体を解析領域に含めないために、解析領域のサイズを、通常よりも小さくしてもよい。
【0066】
なお、上記の動画像に対応する撮影情報は、動画像を撮影したときに、動画像ファイルのヘッダ部に格納されており、メモリに記憶されている動画像ファイルの上記のヘッダ部を参照することで、F値やレンズの種類を判定することができる。
【0067】
(実施例3)
実施例1では、連続する動画フレームの中から好ましいフレームを抽出するときに、2枚のフレームにおいて対応する解析領域、すなわち2枚のフレームにおける同じ場所の評価値に基づいて、フレーム間の画質の比較を行っていた。
【0068】
しかし、上述したような想定シーンにおいては、被写体が移動する場合もある。そこで、本実施形態は、被写体の移動を想定し、かつ、カメラも移動していることで全体の背景は流れているケースを考える。
【0069】
このようなシーンを想定すると、主要被写体が入った解析領域は、他の解析領域と比較して極めて高い評価値となる。つまり、他の解析領域の評価値に対して、突出した評価値をもつ解析領域が少なくともひとつ存在する場合がある。また、被写体が移動して別の解析領域で補足されたとすると、同様に、その解析領域の評価値が他の解析領域と比べて突出したものになる。
【0070】
この場合、フレームにおける複数の解析領域のうち、特に評価値が高い解析領域を有するフレームを、優先的に抽出するようにしてもよい。例えば、フレームごとに設定された複数の解析領域の評価値の分布を解析して、他の解析領域と比較して突出してよい評価値をもつ解析領域が存在するかを判定する。つぎに、複数のフレームの中から、この基準を満たす解析領域を有するフレームを選択し、それらの中から上記の解析領域の評価値に基づいて抽出するフレームを決定してもよい。
【0071】
これにより、主要な被写体にブレ、ボケの少ないフレームを、出力対象として抽出することができる。
【0072】
以上の実施例では、1つのフレームに対して複数の解析領域を設定し、その複数の解析領域に対する解析結果に基づいて、そのフレームのブレ、ボケを判定する。これにより、1つの解析領域においてフレームのブレ、ボケを適切に判定できなかったとしても、他の解析領域を考慮することで、適切な判定を行うことができる。
【0073】
従って、本実施例によれば、例えば、動画像を構成する複数のフレームから、出力対象のフレームを抽出するときに、ブレ、ボケの少ないフレームを抽出することができる。そして、そのように動画像から抽出されたフレームを、表示装置に表示させる、または印刷装置に印刷させるなど、各種の出力処理を行うことができる。この場合でも、本実施例によれば、ブレ、ボケの少ない画像を抽出できるので、適切な画像を抽出して表示や印刷を行うことができる。なお、そのように動画像からフレームを抽出する場合に、動画像から抽出された複数フレームを並べて表示や印刷を実行してもよいし、複数フレームを合成して表示や印刷を実行してもよい。
【0074】
なお、以上の実施例では、画質評価方法として、ブレ・ボケ推定量によって評価する方法を示したが、これ以外にも画質面での色味のよさやコントラストの適正、またノイズ感など様々な画質の解析結果に基づくものであってもよい。このように、画質評価方法としては種々の変形が可能である。
【0075】
また以上の実施例の処理は、動画像からフレームを抽出するときに限らず、複数の静止画像から、ユーザの指示に応じた間隔で静止画像を抽出するときにも応用できるものである。例えば、コンピュータ上に取りためた大量の静止画像の内容を、ユーザが瞬時に把握できるように、ユーザが指定した間隔で、ブレ、ボケの少ない画像を抽出するときに用いることができる。
【0076】
また、以上の実施例で説明した画像処理装置は、表示装置107や出力装置110を含むものであったが、画像処理装置に接続されている、外部の表示装置に画像を表示させる、また外部の出力装置110に画像を出力する場合であってもよい。また、この画像処理装置の例としては、PC(Personal Computer)や、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、印刷装置、携帯電話などのモバイル機器など、種々の装置であってよい。
【0077】
(他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記憶させ、該記録媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。
【0078】
該記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。また、前述のプログラムが記憶された記録媒体はもちろんそのプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。かかる記録媒体としてはたとえばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0079】
また前述の記録媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【0080】
また本発明は、1つのプロセッサがプログラムを実行する場合に限らず、複数のプロセッサが協働することによっても実現できるものである。
【符号の説明】
【0081】
101 CPU
102 ブリッジ部
103 ROM
104 RAM
105 2次記憶装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームから構成される動画像から抽出された出力対象のフレームを出力する画像処理装置であって、
前記動画像に含まれる複数のフレームのそれぞれにおける、複数の解析領域を解析する解析手段と、
前記複数のフレームのそれぞれにおける、前記複数の解析領域のそれぞれに対する、前記解析手段による解析結果に基づき、当該複数のフレームから出力対象のフレームを抽出する抽出手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記複数のフレームのそれぞれにおける、前記複数の解析領域のそれぞれに対する解析結果を、当該複数のフレーム間で比較することによって、当該複数のフレームから出力対象のフレームを抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、複数のフレームのそれぞれにおける複数の解析領域の解析結果を、当該複数のフレーム間で、解析領域ごとに比較して、当該比較により抽出対象として適していると判断した解析領域の数に応じて、当該複数のフレームから出力対象のフレームを抽出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、複数のフレームのそれぞれにおける複数の解析領域のうちの、当該複数のフレームにおいて対応する解析領域同士を比較することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記解析手段は、前記動画像に含まれるフレームを解析するときに、当該フレームに応じて解析領域のサイズを決定し、当該フレームにおける、当該決定したサイズの複数の解析領域を、解析することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記動画像に含まれるフレームにおける、被写体に対応する領域を特定する特定手段を有し、
前記解析手段は、フレームにおいて前記特定手段により特定された被写体の大きさに応じて、当該フレームに対応する解析領域のサイズを決定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記解析手段は、前記動画像に含まれるフレームを解析するときに、当該動画像に対応する撮影情報に従って、当該フレームの解析領域のサイズを決定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記解析手段は、前記動画像に含まれるフレームに対して、当該フレームの端部よりも当該フレームの中央部に多くの解析領域を配置するように、複数の解析領域を決定し、当該フレームにおける当該決定した複数の解析領域を解析することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
複数のフレームから構成される動画像から抽出された出力対象のフレームを出力する画像処理方法であって、
前記動画像に含まれる複数のフレームのそれぞれにおける、複数の解析領域を解析し、
前記複数のフレームのそれぞれにおける、前記複数の解析領域のそれぞれに対する解析結果に基づき、当該複数のフレームから出力対象のフレームを抽出し、
前記複数のフレームから抽出された出力対象のフレームを出力することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−26937(P2013−26937A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161439(P2011−161439)
【出願日】平成23年7月23日(2011.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】