説明

画像処理方法、画像処理装置及び記録媒体

【課題】 画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域を高精度に判定する。
【解決手段】 人物の顔に相当すると推定される顔候補領域のうち、濃度が高濃度側に偏倚している(124が肯定) 領域に対し、画像上で顔候補領域から放射状に延びる探索線を設定し、顔候補領域内の濃度Dareaとの差が±α内の画素のみから成る探索線が有るか否か判定する(126〜130)。条件を満足する顔候補領域が存在していた場合には、画像を高濃度/低濃度/中間濃度の各濃度域の領域に分割し、中間濃度領域の面積が他の領域の面積よりも小さいか否か判定する(140〜144)。判定が肯定された場合には処理対象の画像を逆光シーンの画像と判定し、各顔候補領域に対して逆光シーンの顔領域としての確度を評価する(146〜152)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像処理方法、画像処理装置及び記録媒体に係り、特に、画像中の人物の顔に相当すると推定される領域を抽出する画像処理方法、該画像処理方法を適用可能な画像処理装置、及び前記画像処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】人物写真を観賞するときに最も注目される部位は人物の顔であり、例えば写真フィルム等に記録された原画像を印画紙等の記録材料に露光記録(面露光或いは走査露光により記録)する場合には、人物の顔の色及び濃度が適正となるように露光を制御することが望ましいが、この露光制御を実現するためには原画像中の人物の顔に相当する領域の色味や濃度を正確に検知する必要がある。また、画像を読み取ることで得られた画像データに対し、該画像データが表す画像の画質向上を目的として開発された種々の画像処理の中には、画像中の人物の顔に相当する領域又はその一部に対してのみ特定の画像処理(例えば局所的な濃度補正や赤目修正等)を施すものがあるが、この処理を行うためには画像中の人物の顔に相当する領域の位置や大きさを正確に検知する必要がある。
【0003】このため、従来より、画像中の人物の顔に相当すると推定される領域を抽出するための手法が種々提案されている。例えば特開平8−184925号公報には、画像データに基づいて、画像中に存在する人物の各部に特有の形状パターン(例えば頭部の輪郭、顔の輪郭、顔の内部構造、胴体の輪郭等を表す形状パターン)の何れか1つを探索し、検出した形状パターンの大きさ、向き、検出した形状パターンが表す人物の所定部分と人物の顔との位置関係に応じて、人物の顔に相当する領域としての整合性が高い領域(候補領域)を設定すると共に、検出した形状パターンと異なる他の形状パターンを探索し、先に設定した候補領域の、人物の顔としての整合性を評価し、人物の顔に相当すると推定される領域(顔領域)を抽出する顔領域の抽出方法が開示されている。
【0004】しかし、画像中の顔領域の輝度(濃度)は、画像が表すシーンにおける人物の顔に対する照明条件によって大きく異なり、例えば逆光シーンを表す画像上では顔領域の濃度は高濃度(低輝度)側に偏倚するが、ストロボを発光させたシーンを表す画像上では顔領域の濃度は低濃度(高輝度)側に偏倚する。画像から顔領域を抽出する従来の顔領域抽出方法では、何れも顔領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚するに従って顔領域の抽出精度が大幅に低下するという欠点を有しており、例えば処理対象の画像が逆光シーンを表す画像である場合、高輝度の背景領域が顔領域として誤抽出されることが頻繁に発生していた。
【0005】また、特開平8−62741号公報には、画像を多数個のブロックに分割して二値化し、「画像内での陰影の分布パターンが逆光画像と順光画像とで異なる」という経験則に基づき、暗部に分類された暗部ブロックの輝度と形状(分布)から逆光シーンか否かを判定すると共に、肌色の色度と輝度から人物の存在を判定し、階調補正を行うようにした階調補正装置が開示されている。
【0006】しかしながら、カメラやデジタルスチルカメラによって撮影された画像の殆どは天地方向が不定かつ不明であるのに対し、上記技術は暗部ブロックの分布の判定に際して画像の天地方向が一定であることを前提としており、天地方向が不定かつ不明の画像を処理する場合については何ら考慮されていない。従って、カメラやデジタルスチルカメラによって撮影された殆どの画像については上記技術の適用が困難であるので、技術の適用範囲が狭いという欠点がある。また、逆光シーンを表す画像上では顔領域の彩度が低くなるので、逆光シーンを表す画像に対しては顔領域の判定精度も大幅に低下するという問題もあった。
【0007】本発明は上記事実を考慮して成されたもので、画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域を高精度に判定できる画像処理方法、画像処理装置及び記録媒体を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像処理方法は、画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出し、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値以上又は前記第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合に、前記画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を前記顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における前記顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は前記顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、前記顔候補領域内及び前記抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する。
【0009】請求項1記載の発明では、まず、画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出する。この候補領域の抽出に際しては、従来より周知の任意のアルゴリズムを適用可能である。次に抽出した顔候補領域内の濃度(顔候補領域内の濃度(又は輝度)を代表する値であればよく、平均濃度、顔候補領域内の全濃度域の中央に相当する濃度、顔候補領域内の濃度ヒストグラムのピークに相当する濃度等の何れを用いてもよい)を判定する。
【0010】ここで、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は画像全体の濃度に対する顔候補領域内の濃度の相対値が第1の閾値以上の場合は、抽出した顔候補領域内の濃度が高濃度側に偏倚しているので、抽出した顔候補領域が逆光シーンにおける人物の顔に相当する領域であるか、或いは人物の顔に相当する領域以外の領域が顔候補領域として誤抽出された可能性がある(本明細書において、「濃度」はポジ画像上での濃度を意味しており、例えば逆光シーンを表すネガ画像上では人物の顔に相当する領域は低濃度側に偏倚することは言うまでもない)。また、顔候補領域内の濃度の絶対値又は画像全体の濃度に対する顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合には、抽出した顔候補領域内の濃度が低濃度側に偏倚しているので、抽出した顔候補領域がストロボを発光させたシーンにおける人物の顔に相当する領域であるか、或いは人物の顔に相当する領域以外の領域が顔候補領域として誤抽出された可能性がある。
【0011】これに対し本願発明者は、逆光シーンを表す画像やストロボを発光させたシーンを表す画像について検討した結果、これらのシーンでは人物の胴体に対する照明条件が顔に対する照明条件と略同じになることから、これらのシーンを表す画像上では、人物の顔に相当する領域の近傍に存在する前記人物の胴体に相当する領域の濃度、濃度コントラスト、彩度コントラストが、人物の顔に相当する領域の濃度、濃度コントラスト、彩度コントラストと略同様の値を示す、という共通する特徴が有ることを見出した。すなわち、逆光シーンを表す画像では、前記人物の胴体に相当する領域は、人物の顔に相当する領域の濃度と同様に、濃度が高濃度側に偏倚すると共に、濃度コントラスト及び彩度コントラストが小さくなり、ストロボを発光させたシーンを表す画像では、人物の胴体に相当する領域は、人物の顔に相当する領域の濃度と同様に、濃度が低濃度側に偏倚すると共に、濃度コントラスト及び彩度コントラストが大きくなることを見出した。
【0012】上記に基づき請求項1の発明では、顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第1の閾値以上又は第2の閾値以下の場合に、画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、顔候補領域内及び抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する。
【0013】例えば顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第1の閾値以上であり、顔候補領域を基準として設定した画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲内に、顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域が有る場合には、顔候補領域は逆光シーンにおける人物の顔に相当する領域である可能性が高く、顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第2の閾値以下であり、顔候補領域を基準として設定した画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲内に、顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域が有る場合には、顔候補領域はストロボを発光させたシーンにおける人物の顔に相当する領域である可能性が高いと判断できる。また、顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域が無い場合には、顔候補領域は人物の顔に相当する領域ではない可能性が高いと判断できる。
【0014】なお、画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲は、例えば天地方向が既知であれば顔候補領域から人物の胴体に相当する領域が存在しているべき方向にのみ分布するように設定することができ、天地方向が未知であれば顔候補領域を中心として全周に亘って分布するように定めることができる。また、前記範囲の大きさは顔候補領域の大きさが大きくなるに従って大きくなるように定めることができる。
【0015】また、例えば顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第1の閾値以上であり、顔候補領域内、及び顔候補領域を基準として設定した範囲内で抽出した人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストがそれぞれ第1の所定値以下である場合には、顔候補領域は逆光シーンにおける人物の顔に相当する領域である可能性が高く、顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第2の閾値以下であり、顔候補領域内及び前記胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストがそれぞれ第2の所定値以上である場合には、顔候補領域はストロボを発光させたシーンにおける人物の顔に相当する領域である可能性が高いと判断できる。また、顔候補領域及び胴体候補領域の少なくとも一方が上記の条件を満足しない場合には、顔候補領域は人物の顔に相当する領域ではない可能性が高いと判断できる。
【0016】なお、画像中の人物の胴体に相当すると推定される領域についても、従来より周知の任意のアルゴリズム、例えば特開平8−184925号公報に記載のアルゴリズム等を適用可能である。
【0017】そして、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度の評価は、上述した判断に基づき、人物の顔に相当する領域である可能性が高くなるに従って、前記評価が高くなるように行うことができる。このように、請求項1の発明では、顔候補領域及び胴体候補領域の特徴量(濃度又は濃度コントラスト又は彩度コントラスト)に基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するので、画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域としての確度を精度良く評価することができ、評価結果に基づいて人物の顔に相当する領域を高精度に判定(或いは抽出)することができる。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、前記顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が前記第1の閾値以上の場合に、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、前記画像の全濃度域を3段階以上の濃度域に分け前記画像を各濃度域の領域に分割したときの各濃度域の領域の面積比、及び前記画像上で前記顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の低濃度側への偏倚度合いの少なくとも一方も考慮して評価することを特徴としている。
【0019】逆光シーンを表す画像では、前述のように、画像中の人物に相当する領域の濃度が高濃度側へ偏倚すると共に、画像中の背景に相当する領域の濃度は低濃度側へ偏倚するので、例えば画像の全濃度域を3段階以上の濃度域に分け、画像を各濃度域の領域に分割したとすると、高濃度域の領域及び低濃度域の領域は各々画像中の広い面積を占め、中間濃度域の領域の面積が小さくなる。また、逆光シーンを表す画像中の人物の顔に相当する領域は、人物の胴体に相当する高濃度の領域を除くと、周囲の大部分が背景に相当する低濃度の領域に囲まれているので、人物の顔に相当する領域の周囲に存在する領域内における濃度分布は低濃度側に偏倚する。
【0020】請求項2記載の発明では、逆光シーンを表す画像の上記特性を利用し、顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第1の閾値以上の場合、すなわち顔候補領域が逆光シーンにおける人物の顔に相当する領域である可能性がある場合に、画像を3段階以上の濃度域の領域に分割したときの各濃度域の領域の面積比、及び画像上で顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の低濃度側への偏倚度合いの少なくとも一方も考慮して、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するので、逆光シーンを表す画像中に存在する人物の顔に相当する領域を、より高精度に判定(或いは抽出)することができる。
【0021】なお、逆光シーンを表す画像は、画像中の人物に相当する領域の濃度が高濃度側へ偏倚すると共に、画像中の背景に相当する領域の濃度は低濃度側へ偏倚することから、画像全体の濃度分布(濃度ヒストグラム)が高濃度域及び低濃度域に各々ピーク(山)が現れ、中間濃度域に谷が現れる形状となる。このため、前述の面積比に基づく判定に代えて、濃度ヒストグラムの形状に基づいて評価するようにしてもよい。
【0022】請求項3記載の発明は、請求項1の発明において、前記顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が前記第2の閾値以下の場合に、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、前記画像上で前記顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いも考慮して評価することを特徴としている。
【0023】ストロボを発光させたシーンでは、画像中の人物に相当する領域の濃度が低濃度側へ偏倚し、また画像中の背景に相当する領域の濃度は高濃度側へ偏倚することが多い。このため、ストロボを発光させたシーンを表す画像中の人物の顔に相当する領域は、人物の胴体に相当する低濃度の領域を除くと、周囲の大部分が背景に相当する高濃度の領域に囲まれていることが多く、人物の顔に相当する領域の周囲に存在する領域内における濃度分布は高濃度側に偏倚することが多い。
【0024】請求項3記載の発明では、ストロボを発光させたシーンを表す画像の上記特性を利用し、顔候補領域内の濃度(絶対値又は相対値)が第2の閾値以下の場合、すなわち顔候補領域がストロボを発光させたシーンにおける人物の顔に相当する領域である可能性がある場合に、画像上で顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いも考慮して、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するので、ストロボを発光させたシーンを表す画像中に存在する人物の顔に相当する領域を、より高精度に判定(或いは抽出)することができる。
【0025】請求項4記載の発明に係る画像処理装置は、画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出する抽出手段と、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値以上又は前記第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合に、前記画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を前記顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における前記顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は前記顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、前記顔候補領域内及び前記抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する評価手段と、を含んで構成されているので、請求項1の発明と同様に、画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域を高精度に判定(或いは抽出)することができる。
【0026】請求項5記載の発明に係る記録媒体は、画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出する第1のステップ、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値以上又は前記第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合に、前記画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を前記顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における前記顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は前記顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、前記顔候補領域内及び前記抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する第2のステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されている。
【0027】請求項5記載の発明に係る記録媒体には、上記の第1のステップ及び第2のステップを含む処理、すなわち請求項1の発明に記載の画像処理方法に係る処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されているので、コンピュータが前記記録媒体に記録されているプログラムを読み出して実行することにより、請求項1の発明と同様に、画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域を高精度に判定(或いは抽出)することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0029】〔第1実施形態〕図1には、本発明が適用された画像処理システム10が示されている。画像処理システム10は、スキャナ12、画像処理装置14及びプリンタ16が直列に接続されて構成されている。
【0030】スキャナ12は、写真フィルム(例えばネガフィルムやリバーサルフィルム)等の写真感光材料(以下単に写真フィルムと称する)に記録されているフィルム画像(被写体を撮影後、現像処理されることで可視化されたネガ画像又はポジ画像)を読み取り、該読み取りによって得られた画像データを出力するものであり、光源20から射出され光拡散ボックス22によって光量むらが低減された光が、フィルムキャリア24にセットされているネガフィルムやリバーサルフィルム等の写真フィルム26に照射され、写真フィルム26を透過した光がレンズ28を介してCCDセンサ30(エリアセンサであってもラインセンサであってもよい)の受光面上に結像されるように構成されている。
【0031】フィルムキャリア24は、写真フィルム26上のフィルム画像が記録されている箇所が、光源20からの射出光の光軸上に順に位置するように写真フィルム26を搬送する。これにより、写真フィルム26に記録されているフィルム画像がCCDセンサ30によって順に読み取られ、CCDセンサ30からはフィルム画像に対応する信号が出力される。CCDセンサ30から出力された信号はA/D変換器32によってデジタルの画像データに変換されて画像処理装置14に入力される。
【0032】画像処理装置14のラインスキャナ補正部36は、入力されたスキャンデータ(スキャナ12から入力されるR、G、Bのデータ)から各画素毎に対応するセルの暗出力レベルを減ずる暗補正、暗補正を行ったデータを濃度値を表すデータに対数変換する濃度変換、写真フィルム26を照明する光の光量むらに応じて濃度変換後のデータを補正するシェーディング補正、該シェーディング補正を行ったデータのうち入射光量に対応した信号が出力されないセル(所謂欠陥画素)のデータを周囲の画素のデータから補間して新たに生成する欠陥画素補正の各処理を順に行う。ラインスキャナ補正部36の出力端はI/Oコントローラ38の入力端に接続されており、ラインスキャナ補正部36で前記各処理が施されたデータはスキャンデータとしてI/Oコントローラ38に入力される。
【0033】I/Oコントローラ38の入力端は、イメージプロセッサ40のデータ出力端にも接続されており、イメージプロセッサ40からは画像処理(詳細は後述)が行われた画像データが入力される。また、I/Oコントローラ38の入力端はパーソナルコンピュータ42にも接続されている。パーソナルコンピュータ42は拡張スロット(図示省略)を備えており、この拡張スロットには、デジタルスチルカメラ等によって画像データが書き込まれたデジタルカメラカードに対してデータの読出し/書込みを行うドライバ(図示省略)が接続される。拡張スロットを介して外部からファイル画像データ(デジタルカメラカードから読み出した画像データ)が入力された場合、入力されたファイル画像データはI/Oコントローラ38へ入力される。
【0034】I/Oコントローラ38の出力端は、イメージプロセッサ40のデータ入力端、オートセットアップエンジン44、パーソナルコンピュータ42に各々接続されており、更にI/F回路54を介してプリンタ16に接続されている。I/Oコントローラ38は、入力された画像データを、出力端に接続された前記各機器に選択的に出力する。
【0035】本実施形態では、写真フィルム26に記録されている個々のフィルム画像に対し、スキャナ12において異なる解像度で2回の読み取りを行う。1回目の比較的低解像度での読み取り(以下、プレスキャンという)では、フィルム画像の濃度が非常に低い場合(例えばネガフィルムにおける露光アンダのネガ画像)にも、CCDセンサ30で蓄積電荷の飽和が生じないように決定した読取条件(写真フィルム26に照射する光のR、G、Bの各波長域毎の光量、CCDセンサ30の電荷蓄積時間)で写真フィルム26の全面の読み取りが行われる。このプレスキャンによって得られたデータ(プレスキャンデータ)は、I/Oコントローラ38からオートセットアップエンジン44へ入力される。
【0036】オートセットアップエンジン44は、CPU46、RAM48(例えばDRAM)、ROM50(例えば記憶内容を書換え可能なROM)、入出力ポート52を備え、これらがバスを介して互いに接続されて構成されている。オートセットアップエンジン44は、I/Oコントローラ38から入力されたプレスキャンデータに基づいてフィルム画像のコマ位置を判定し、写真フィルム26上のフィルム画像記録領域に対応するデータ(プレスキャン画像データ)を抽出する。また、プレスキャン画像データに基づいて、フィルム画像のサイズを判定すると共に濃度等の画像特徴量を演算し、プレスキャンを行った写真フィルム26に対し、スキャナ12が比較的高解像度での再度の読み取り(以下、ファインスキャンという)を行う際の読取条件を決定する。そしてコマ位置及び読取条件をスキャナ12に出力する。
【0037】また、オートセットアップエンジン44は、プレスキャン画像データ(又は低解像度化したファイル画像データ)に基づいて、画像中の主要部(例えば人物の顔に相当する領域(顔領域))の抽出を含む画像特徴量の演算を行い、スキャナ12がファインスキャンを行うことによって得られるファインスキャン画像データ(又はファイル画像データ)に対する各種の画像処理の処理条件を演算により自動的に決定し(セットアップ演算)、決定した処理条件をイメージプロセッサ40へ出力する。
【0038】パーソナルコンピュータ42には、ディスプレイ、キーボード、及びマウスが接続されている(何れも図示省略)。パーソナルコンピュータ42は、オートセットアップエンジン44から低解像度の画像データを取込むと共に、オートセットアップエンジン44によって決定された画像処理の処理条件を取込み、取り込んだ処理条件に基づき、高解像度画像データを対象としてイメージプロセッサ40で行われる画像処理と等価な画像処理を低解像度画像データに対して行ってシミュレーション画像データを生成する。
【0039】そして、生成したシミュレーション画像データを、ディスプレイに画像を表示するための信号に変換し、該信号に基づいてディスプレイにシミュレーション画像を表示する。また、表示されたシミュレーション画像に対しオペレータによって画質等の検定が行われ、検定結果として処理条件の修正を指示する情報がキーボードを介して入力されると、該情報をオートセットアップエンジン44へ出力する。これにより、オートセットアップエンジン44では画像処理の処理条件の再演算等の処理が行われる。
【0040】一方、スキャナ12でフィルム画像に対してファインスキャンが行われることによってI/Oコントローラ38に入力されたファインスキャン画像データ(又はファイル画像データ)は、I/Oコントローラ38からイメージプロセッサ40へ入力される。イメージプロセッサ40は、階調変換や色変換を含む色・濃度補正処理、画素密度変換処理、画像の超低周波輝度成分の階調を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等の各種の画像処理を行う画像処理回路を各々備えており、入力された画像データに対し、オートセットアップエンジン44によって各画像毎に決定されて通知された処理条件に従って種々の画像処理を行う。
【0041】イメージプロセッサ40で実行可能な画像処理としては、上記以外に、例えば画像全体又は一部分(例えば人物の顔に相当する領域)に対するシャープネス補正又はソフトフォーカス処理や、画調を意図的に変更する画像処理(出力画像をモノトーンに仕上げる画像処理、出力画像をポートレート調に仕上げる画像処理、出力画像をセピア調に仕上げる画像処理等)や、画像を加工する画像処理(例えば原画像中に存在する人物を主画像上で細身に仕上げるための画像処理、赤目を修正する画像処理等)や、LF(レンズ付きフィルム)によって撮影された画像に対し、LFのレンズの歪曲収差、倍率色収差に起因する画像の幾何学的歪み、色ずれを補正するLF収差補正処理や、LFのレンズの周辺減光に起因する画像の周縁部の明度低下を補正する周辺減光補正処理や、LFのレンズの特性に起因する画像の鮮鋭度の低下を補正するピントボケ補正処理等のように、LFのレンズの特性に起因する出力画像の画質の低下を補正する各種のLF収差補正処理等が挙げられる。
【0042】イメージプロセッサ40で画像処理が行われた画像データを印画紙への画像の記録に用いる場合には、イメージプロセッサ40で画像処理が行われた画像データは、I/Oコントローラ38からI/F回路54を介し記録用画像データとしてプリンタ16へ出力される。また、画像処理後の画像データを画像ファイルとして外部へ出力する場合は、I/Oコントローラ38からパーソナルコンピュータ42に画像データが出力される。これにより、パーソナルコンピュータ42では、外部への出力用としてI/Oコントローラ38から入力された画像データを、拡張スロットを介して画像ファイルとして外部(例えばCD−R等の情報記憶媒体に画像データを書き込む書込装置や、通信制御装置を介して接続された他の情報処理装置等)に出力する。
【0043】プリンタ16は、画像メモリ58、R,G,Bのレーザ光源60、該レーザ光源60の作動を制御するレーザドライバ62を備えている。画像処理装置14から入力された記録用画像データは画像メモリ58に一旦記憶された後に読み出され、レーザ光源60から射出されるR,G,Bのレーザ光の変調に用いられる。レーザ光源60から射出されたレーザ光は、ポリゴンミラー64、fθレンズ66を介して印画紙68上を走査され、印画紙68に画像が露光記録される。画像が露光記録された印画紙68は、プロセッサ部18へ送られて発色現像、漂白定着、水洗、乾燥の各処理が施される。これにより、印画紙68に露光記録された画像が可視化される。
【0044】次に本実施形態の作用として、スキャナ12から画像処理装置14にプレスキャンデータが入力され、オートセットアップエンジン44において、プレスキャンデータからの画像データの切り出し等の処理を行った後で行われる顔領域抽出・濃度演算処理について説明する。
【0045】本実施形態に係る顔領域抽出・濃度演算処理(後述する逆光シーン判定処理及びストロボ発光シーン判定処理を含む)は、請求項1の発明に係る画像処理方法が適用された処理であり、オートセットアップエンジン44のCPU46により、顔領域抽出・濃度補正プログラムが実行されることにより実現される。顔領域抽出・濃度補正プログラムは、その他の処理をCPU46で実行させるためのプログラムと共に、当初は、情報記憶媒体72(図1参照)に記憶されている。なお、図1では情報記憶媒体72をフロッピーディスクとして示しているが、CD−ROMやメモリカード等の他の情報記憶媒体で構成してもよい。パーソナルコンピュータ42に接続された情報読出装置(図示省略)に情報記憶媒体72が装填され、情報記憶媒体72から画像処理装置14へのプログラムの移入(インストール)が指示されると、情報読出装置によって情報記憶媒体72から顔領域抽出・濃度補正プログラム等が読み出され、記憶内容を書換え可能なROM50に記憶される。
【0046】そして、顔領域抽出・濃度補正処理を実行すべきタイミングが到来すると、ROM50から顔領域抽出・濃度補正プログラムが読み出され、顔領域抽出・濃度補正プログラムがCPU46によって実行される。これにより、オートセットアップエンジン44は請求項4の発明に係る画像処理装置として機能する。このように、顔領域抽出・濃度補正プログラム等を記憶している情報記憶媒体72は請求項5に記載の記録媒体に対応している。
【0047】以下、顔領域抽出・濃度補正処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。ステップ100では、処理対象の画像データに基づき、画像データが表す画像から、画像中の人物の顔に相当すると推定される領域(顔候補領域)を抽出する顔候補領域抽出処理を行う。この顔候補領域抽出処理を行うための抽出方式としては、画像中の人物の顔に相当すると推定される領域を判断し、該領域を顔候補領域として抽出する顔候補領域抽出方式や、画像中の背景に相当すると推定される領域(背景領域)を判断し、背景領域以外の領域を顔候補領域として抽出する背景部除去方式等があり、具体的には、従来より公知の、下記のような顔候補抽出方式、背景除去方式のうちの少なくとも何れかを採用して顔候補領域抽出処理を行うことができる。
【0048】〔顔候補領域抽出方式の例1〕画像を多数の測定点に分割すると共に各測定点をR、G、Bの3色に分解することにより得られたデータ(画像データ)に基づいて、各測定点が色座標上で肌色の範囲内に含まれているか否か判定し、肌色の範囲内と判断した測定点のクラスタ(群)が存在している領域を顔候補領域として抽出する(特開昭 52-156624号公報、特開昭 52-156625号公報、特開昭53-12330号公報、特開昭 53-145620号公報、特開昭 53-145621号公報、特開昭 53-145622号公報等参照)。
【0049】〔顔候補領域抽出方式の例2〕前記画像データに基づいて、色相値(及び彩度値)についてのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを山毎に分割し、各測定点が分割した山の何れに属するかを判断して各測定点を分割した山に対応する群に分け、各群毎に画像を複数の領域に分割し、該複数の領域のうち人物の顔に相当する領域を推定し、推定した領域を顔候補領域として抽出する(特開平4-346333号公報参照)。
【0050】〔顔候補領域抽出方式の例3〕前記画像データに基づいて、画像中に存在する人物の各部に特有の形状パターン(例えば頭部の輪郭や顔の輪郭等を表す形状パターン等)の何れか1つを探索し、検出した形状パターンの大きさ、向き、検出した形状パターンが表す人物の所定部分と人物の顔との位置関係に応じて、人物の顔に相当すると推定される領域を設定する。また、検出した形状パターンと異なる他の形状パターンを探索し、先に設定した領域の、人物の顔としての整合性を求め、顔候補領域を抽出する(特開平8-122944号公報、特開平8-184925号公報、特開平9-138471号公報等参照)。
【0051】〔顔候補領域抽出方式の例4〕前記画像データに基づいて画像中の各箇所における濃度又は輝度の変化量を各方向毎に求め、基準点を設定すると共に、該基準点に対し、探索範囲及び該探索範囲内の各箇所における探索すべき濃度又は輝度の変化方向を表す探索方向パターンを顔領域の輪郭形状に応じて設定し、前記探索範囲内に存在しかつ前記探索方向パターンが表す方向に沿った濃度又は輝度の変化量が所定値以上の箇所を探索し、探索条件を満足する箇所を検出した場合に該箇所を次の基準点として設定することを繰り返し、前記基準点として順に設定した画像中の複数箇所を結んで成る線を、顔領域の輪郭を表す輪郭線として抽出することにより、顔候補領域を抽出する(特開平9-138471号公報等参照)。
【0052】〔背景部除去方式の例1〕前記画像データに基づいて、各測定点が、色座標上で明らかに背景に属する特定の色(例えば空や海の青、芝生や木の緑等)の範囲内に含まれているか否か判定し、前記特定の色範囲内と判断した測定点のクラスタ(群)が存在している領域を背景領域と判断して除去し、残った領域を非背景領域(人物の顔に相当する領域が含まれている可能性の高い領域:これも本発明の顔候補領域)として抽出する。
【0053】〔背景部除去方式の例2〕前記画像データに基づき、先の主要部抽出方式の例2と同様にして画像を複数の領域に分割した後に、各領域毎に背景に相当する領域としての特徴量(輪郭に含まれる直線部分の比率、線対称度、凹凸数、画像外縁との接触率、領域内の濃度コントラスト、領域内の濃度の変化パターンの有無等)を求め、求めた特徴量に基づいて各領域が背景領域か否か判定し背景部と判断した領域を除去し、残った領域を非背景領域(顔候補領域)として抽出する(特開平8-122944号公報、特開平8-184925号公報等参照)。
【0054】なお上記の抽出方式は単なる一例であり、画像から人物の顔に相当すると推定される領域を抽出する抽出方式であれば、どのような方式であっても適用可能であることは言うまでもない。またステップ100では、複数種の抽出方式を各々適用して顔候補領域抽出処理を複数回行ってもよいし、単一種の抽出方式で処理条件を各々変えて顔候補領域抽出処理を複数回行ってもよい。なお、ステップ100は請求項4に記載の抽出手段に対応している。
【0055】次のステップ102では逆光シーン判定処理を行う。以下、この逆光シーン判定処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。ステップ120ではフラグを0に初期設定する。ステップ122では、先のステップ100の顔候補領域抽出処理によって抽出された顔候補領域の中から単一の顔候補領域のデータを取り込み、顔候補領域内の平均濃度Dareaを演算する。次のステップ124以降では、データを取り込んだ顔候補領域が逆光シーンを表す画像中の人物の顔に相当する領域(以下、単に「逆光シーンの顔領域」と称する)か否かを判定する。
【0056】すなわち、ステップ124では処理対象の画像の最大濃度Dmax 及び最小濃度Dmin を求めた後に、顔候補領域内の平均濃度Dareaが、次式によって規定される条件(便宜的に条件aという)を満たしているか否か判定する。
(Darea−Dmin ) /(Dmax −Dmin )>75%上記の条件式の左辺は、処理対象の画像全体の濃度に対する顔候補領域内の濃度(平均濃度)の相対値を表しており、右辺の数値は本発明に係る第1の閾値に対応している。なお、顔候補領域内の濃度の相対値に代えて顔候補領域内の濃度の絶対値を用い、該濃度の絶対値を所定値(第1の閾値)と比較することで上記判定を行うようにしてもよい。
【0057】ステップ124の判定が否定された場合には、顔候補領域内の濃度が高濃度側(低輝度側)に偏倚していないので、ステップ122でデータを取り込んだ顔候補領域は、逆光シーンの顔領域ではないと判断できる。従って、ステップ124の判定が否定された場合には逆光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ136へ移行する。
【0058】一方、ステップ124の判定が肯定された場合にはステップ126へ移行し、顔候補領域を中心として所定の複数の方向へ放射状に延びる所定長さの探索線(例として図5に示す矢印参照)を各々設定する。なお、この探索線は、顔候補領域が逆光シーンの顔領域と仮定して人物の胴体に相当する領域(逆光シーンの胴体領域)を探索するためのものであるので、探索線の長さは、例えば顔候補領域の長手方向長さの2倍程度とすることができる。
【0059】また、処理対象の画像の天地方向が既知であるならば、顔領域に対して胴体領域が存在している可能性がある方向が限定されるので、天地情報に基づき胴体領域が存在している可能性がある方向に沿ってのみ探索線を設定するようにしてもよい。なお天地情報は、例えば処理対象の画像データが、磁気層が形成された写真フィルムに記録されている画像を読み取ることによって得られた画像データである場合に、画像の撮影記録時等のタイミングで写真フィルムの磁気層に磁気記録されていることが多く、このような場合には、磁気層に磁気記録されている情報を磁気的に読み取ることによって天地情報を取得することができる。
【0060】次のステップ128では、ステップ126で設定した探索線上の全ての画素について、顔候補領域内の平均濃度Dareaとの差が所定値α以内か否かを各々判定する。なお所定値αは、例えば濃度値が8ビットのデータ(28 =256)によって0〜255の値で表されるとすると、「20」程度の値を用いることができる。そして、ステップ130では「探索線上の全画素の濃度がDarea±α内」という条件を満足する探索線が有るか否か判定する。
【0061】なお、以下ではステップ130の判定を便宜的に条件bという。ステップ130の判定は、請求項1に記載の「画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲(探索線を設定した範囲)内における顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する」ことに対応している。
【0062】逆光シーンを表す画像では顔領域と同様に胴体領域の濃度も高濃度側に偏倚する。従って、ステップ130の判定が否定された場合には、何れの探索線も濃度が高濃度域に偏倚している領域に掛かっておらず、顔候補領域の周囲には逆光シーンの胴体領域である可能性がある領域は存在していないと判断できるので、逆光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ136へ移行する。また、ステップ130の判定が肯定された場合にはステップ132へ移行し、濃度が高濃度域に偏倚している領域に掛かっている探索線、すなわち探索線上の全画素の濃度がDarea±α内の探索線(例えば図5において下方に延びている探索線)について、探索線の延びる方向を記憶する。そして、次のステップ136でフラグに1を代入し、ステップ136へ移行する。
【0063】ステップ136では、顔候補領域抽出処理(ステップ100)によって抽出された全ての顔候補領域に対してステップ122以降の処理・判定を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ122に戻り、前記判定が肯定される迄ステップ122〜136を繰り返す。これにより、全ての顔候補領域に対して逆光シーンの顔領域か否かが各々判定されることになる。そして、ステップ136の判定が肯定されるとステップ138へ移行する。
【0064】ステップ138ではフラグが1か否か判定する。ステップ138の判定が否定された場合、条件a(ステップ124の判定)及び条件b(ステップ130の判定)を満たす顔候補領域が存在していないので、処理対象の画像は逆光シーンを表す画像ではないと判断できる。このため、ステップ154で処理対象の画像は非逆光シーンを表す画像と判定し、逆光シーン判定処理を終了する。また、ステップ138の判定が肯定された場合には、処理対象の画像は逆光シーンを表す画像である可能性があるので、ステップ140で処理対象画像の全濃度域を3段階の濃度域に区分し、次のステップ140で処理対象の画像を各濃度域に対応する領域に区分する。
【0065】通常の画像(非逆光シーンを表す画像)の濃度分布(濃度ヒストグラム)は、顔領域等の主要部の濃度が適正な濃度となることにより、例として図6(A)に示すように中間濃度域にピークが現れる形状となる。これに対し、逆光シーンを表す画像は顔領域等の主要部の濃度が高濃度側に偏倚し、背景領域の濃度が低濃度側(高輝度側)に偏倚することにより、例として図6(B)に示すように高濃度域及び低濃度域に各々ピークが現れる形状となる。画像上での各濃度域に対応する各領域の面積は、濃度ヒストグラムにおける各濃度域毎の累積度数に比例するので、図6(A)と図6(B)を比較しても明らかなように、逆光シーンを表す画像は中間濃度域に対応する中間濃度領域の面積が非常に小さいという特徴を有している。
【0066】このため、次のステップ144では、低濃度域に対応する低濃度領域の面積が中間濃度領域の面積よりも広く、かつ高濃度域に対応する高濃度領域の面積が中間濃度領域の面積よりも広いか否か(すなわち(低濃度領域面積>中間濃度領域面積かつ中間濃度領域面積<高濃度領域面積)を満たすか否か)判定する。先のステップ140で区分する濃度域数は、ステップ144の判定が可能な数であればよく、処理対象画像の全濃度域を4以上の多数の濃度域に区分してもよい。ステップ144の判定は、請求項2に記載の「顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、画像の全濃度域を3段階以上の濃度域に分け画像を各濃度域の領域に分割したときの各濃度域の領域の面積比も考慮して評価する」ことに対応している。
【0067】ステップ144の判定が否定された場合には、処理対象の画像全体の濃度分布が逆光シーンを表す画像に特有の濃度分布と相違しており、処理対象の画像は逆光シーンを表す画像でない可能性が高いので、ステップ154で処理対象の画像は非逆光シーンを表す画像と判定し、逆光シーン判定処理を終了する。
【0068】一方、ステップ144の判定が肯定された場合は、条件a及び条件bを満たす顔候補領域が存在しており、かつ処理対象の画像全体の濃度分布も逆光シーンを表す画像に特有の濃度分布を示しているので、ステップ146で処理対象の画像は逆光シーンを表す画像と判定する。次のステップ148では、顔候補領域抽出処理によって抽出された顔候補領域の中に、条件a及び条件bを満たさない顔候補領域があれば、該領域を顔候補領域から除外する。ステップ150では、条件a及び条件bを満たす顔候補領域(ステップ148で除外されなかった顔候補領域)における条件bを満足した探索線(探索線上の全画素の濃度がDarea±α内であった探索線)の延びる方向を比較し、画像の天地方向を判定する。
【0069】この判定は、例えば条件bを満足した探索線の延びる方向が一致している顔候補領域の数を各方向毎に演算し、顔候補領域の数が最多の方向を天地方向と判定することで行うことができる。またステップ150では、各顔候補領域の中に、条件bを満足した探索線の延びる方向が前記判定した天地方向と大きく異なる顔候補領域があれば、該領域を顔候補領域から除外する。
【0070】そして、次のステップ152では、各顔候補領域に対し、ステップ150で判定した天地方向に対する条件bを満足した探索線の延びる方向の整合度合い(一致度合い)に応じて重み点数を各々設定する。なお、この重み点数は顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する評価値に対応しており、ステップ152はステップ124、130、144の判定と共に請求項4に記載の評価手段に対応している。
【0071】上記の逆光シーン判定処理により、処理対象の画像が逆光シーンの画像であり、顔候補領域の中に実際には顔領域ではない領域が混在していたとしても、逆光シーンの顔領域に相当する顔候補領域についてのみ高い重み点数を設定することができる。ステップ152の処理を行うと逆光シーン判定処理を終了し、図2のフローチャートのステップ104へ移行する。
【0072】ステップ104では、上述した逆光シーン判定処理において、処理対象の画像が逆光シーンを表す画像と判定されたか否か判定する。判定が肯定された場合にはステップ112へ移行するが、判定が否定された場合にはステップ106へ移行し、ストロボ発光シーン判定処理を行う。以下、このストロボ発光シーン判定処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0073】ステップ170ではフラグを0に初期設定する。ステップ172では、顔候補領域抽出処理によって抽出された顔候補領域の中から単一の顔候補領域のデータを取り込み、顔候補領域内の平均濃度Dareaを演算する。次のステップ174以降では、データを取り込んだ顔候補領域がストロボを発光させたシーンを表す画像中の人物の顔に相当する領域(以下、単に「ストロボ発光シーンの顔領域」と称する)か否かを判定する。
【0074】すなわち、ステップ174では処理対象の画像の最大濃度Dmax 及び最小濃度Dmin を求めた後に、顔候補領域内の平均濃度Dareaが、次式によって規定される条件(便宜的に条件cという)を満たしているか否か判定する。
(Darea−Dmin ) /(Dmax −Dmin )<25%上記の条件式の左辺は、処理対象の画像全体の濃度に対する顔候補領域内の濃度(平均濃度)の相対値を表しており、右辺の数値は本発明に係る第2の閾値に対応している。なお、顔候補領域内の濃度の相対値に代えて顔候補領域内の濃度の絶対値を用い、該濃度の絶対値を所定値(第2の閾値)と比較することで上記判定を行うようにしてもよい。
【0075】ステップ174の判定が否定された場合には、顔候補領域内の濃度が低濃度側に偏倚していないので、ステップ172でデータを取り込んだ顔候補領域は、ストロボ発光シーンの顔領域ではないと判断できる。従って、ステップ174の判定が否定された場合にはストロボ発光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ188へ移行する。
【0076】一方、ステップ174の判定が肯定された場合にはステップ176へ移行し、処理対象の画像に対し、人物の胴体に相当する胴体候補領域を探索するための探索範囲を設定する。なお、胴体候補領域の探索範囲としては、例えば顔候補領域と中心位置が一致する(円形状でも矩形状でもよい)の領域を設定することができ(図7(A)には円形状の領域を示す)、探索範囲の大きさは顔候補領域の大きさが大きくなるに従って大きくなるように定めることができる。また、処理対象の画像の天地方向が既知であるならば、顔領域に対して胴体領域が存在している可能性がある方向が限定されるので、天地情報に基づき顔候補領域から見て胴体候補領域が存在している可能性がある方向にのみ探索範囲が分布するように探索範囲を設定することができる(例として図7(B)参照)。
【0077】上記のように探索範囲を設定すると、ステップ174では設定した探索範囲内で胴体候補領域を探索する。胴体候補領域の探索は、例えば特開平8-184925号公報に記載されているように、探索範囲内で人物の胴体の輪郭を表す形状パターンを探索し、検出した形状パターンの大きさ、向き、検出した形状パターンと顔候補領域との位置関係に基づいて、人物の胴体に相当する領域としての整合性を判定することで行うことができる。また、胴体の輪郭を表す形状パターンの探索に際しては、特開平9-138471号公報に記載の特定形状領域の抽出方法等の公知技術を適用してもよい。
【0078】次のステップ178では、上記の胴体候補領域の探索により、胴体候補領域と判断できる領域が有ったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ172でデータを取り込んだ顔候補領域は、ストロボ発光シーンの顔領域ではないと判断できるので、顔候補領域がストロボ発光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ188へ移行する。また、ステップ178の判定が肯定された場合にはステップ180へ移行し、胴体候補領域の探索によって抽出された胴体候補領域内の平均濃度を演算し、顔候補領域内の平均濃度Dareaとの差が所定値α以内か否かを判定する。
【0079】なお、以下ではステップ180の判定を便宜的に条件dという。ステップ180の判定も、請求項1に記載の「画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲(胴体候補領域の探索範囲)内における顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域(条件dを満たす胴体候補領域)の有無に基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する」ことに対応している。
【0080】ストロボ発光シーンを表す画像では顔領域と同様に胴体領域の濃度も低濃度側に偏倚する。このため、ステップ180の判定が否定された場合には、処理対象の画像をストロボ発光シーンの画像と仮定すると、抽出した胴体候補領域は人物の胴体に相当する領域でない可能性が高いと判断できるので、ストロボ発光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ188へ移行する。また、ステップ180の判定が肯定された場合にはステップ182へ移行し、顔候補領域を基準として顔候補領域の周囲に存在する画像中の背景に相当すると推定される領域(周囲領域)を設定し(例として図7(C)参照)、設定した周囲領域内における濃度分布を演算する。
【0081】ここで、通常の画像(非逆光でストロボを発光させないシーンを表す画像)では、画像中の背景に相当する領域の濃度分布(濃度ヒストグラム)は、例として図8(A)に示すように、画像全体の濃度域の中央よりも若干高濃度側に偏倚した位置にピークが現れる形状となることが多い。これに対し、ストロボ発光シーンを表す画像における背景領域の濃度分布(濃度ヒストグラム)は、例として図8(B)にも示すように、ピークの位置が極端に高濃度側に偏倚した形状となることが殆どである。顔候補領域がストロボ発光シーンの顔領域であった場合、前述の周囲領域は図7(C)にも示すように人物の胴体に相当する低濃度領域を一部含むことになるが、該領域が周囲領域に占める面積は小さいので、濃度分布は同様に図8(B)に示すような形状となる。
【0082】このため、次のステップ184では、先のステップ182で演算した周囲領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いが閾値以上か否か判定する。なお濃度分布の偏倚度合いは、濃度分布の形状のピーク位置の偏倚度合いや、高濃度側からの累積度数が所定値となったときの濃度値等を用いて表すことができ、ステップ184の判定はこれらの特徴量の何れかを所定値と比較することで行うことができる。また、以下ではステップ184の判定を便宜的に条件eという。ステップ184の判定は、請求項3に記載の「顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、画像上で顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いも考慮して評価する」ことに対応している。
【0083】ステップ184の判定が否定された場合には、ステップ172でデータを取り込んだ顔候補領域はストロボ発光シーンの顔領域ではない可能性が高いと判断できるので、ストロボ発光シーンの顔領域か否かの判定を中止してステップ188へ移行する。また、ステップ184の判定が肯定された場合にはステップ186へ移行し、フラグに1を代入してステップ188へ移行する。
【0084】ステップ188では、顔候補領域抽出処理(ステップ100)によって抽出された全ての顔候補領域に対してステップ172以降の処理・判定を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ172に戻り、前記判定が肯定される迄ステップ172〜188を繰り返す。これにより、全ての顔候補領域に対してストロボ発光シーンの顔領域か否かが各々判定されることになる。そして、ステップ188の判定が肯定されるとステップ190へ移行する。
【0085】ステップ190ではフラグが1か否か判定する。ステップ190の判定が否定された場合には、条件c(ステップ174の判定)、条件d(ステップ180の判定)及び条件e(ステップ184の判定)を満たす顔候補領域が存在していないので、処理対象の画像はストロボ発光シーンを表す画像ではないと判断できる。このため、ステップ200で処理対象の画像は非ストロボ発光シーンを表す画像と判定し、ストロボ発光シーン判定処理を終了する。
【0086】一方、ステップ190の判定が肯定された場合には、条件c、条件d及び条件eを各々満足する顔候補領域が存在しているのでステップ192へ移行し、処理対象の画像はストロボ発光シーンを表す画像と判定する。次のステップ194では、顔候補領域抽出処理によって抽出された顔候補領域の中に、条件c、条件d及び条件eの各条件を満たさない顔候補領域があれば、該領域を顔候補領域から除外する。
【0087】ステップ196では、前記各条件を満たす顔候補領域(ステップ194で除外されなかった顔候補領域)に対し、各顔候補領域に対応して各々抽出した胴体候補領域の存在している方向を比較し、画像の天地方向を判定する。この判定は、例えば胴体候補領域の存在している方向が同一の顔候補領域の数を各方向毎に演算し、顔候補領域の数が最多の方向を天地方向と判定することで行うことができる。
【0088】そして、次のステップ198では、各顔候補領域に対し、ステップ196で判定した天地方向に対する胴体候補領域の存在している方向の整合度合い(一致度合い)や、各顔候補領域の周辺領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いに応じて重み点数を各々設定する。なお、この重み点数は顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する評価値に対応しており、ステップ152はステップ174、180、184の判定と共に請求項4に記載の評価手段に対応している。
【0089】上記のストロボ発光シーン判定処理により、処理対象の画像がストロボ発光シーンの画像であり、顔候補領域の中に実際には顔領域ではない領域が混在していたとしても、ストロボ発光シーンの顔領域に相当する顔候補領域についてのみ高い重み点数を設定することができる。ステップ198の処理を行うとストロボ発光シーン判定処理を終了し、図2のフローチャートのステップ108へ移行する。
【0090】ステップ108では、上述したストロボ発光シーン判定処理において、処理対象の画像がストロボ発光シーンを表す画像と判定されたか否か判定する。判定が肯定された場合にはステップ112へ移行する。また判定が否定された場合(処理対象の画像が逆光シーンを表す画像ではなく、ストロボ発光シーンを表す画像でもないと判定された場合)には、ステップ110において、各顔候補領域に対し、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を通常の評価基準に従って評価し、評価結果に応じて各顔候補領域に重み点数を各々設定する。
【0091】ステップ112では、各顔候補領域の重み点数Pを顔領域判定用の閾値THFと各々比較し、重み点数Pが閾値THF 以上の顔候補領域を顔領域として抽出(選択)する。また、次のステップ114では、次の(1)式又は(2)式に従って処理対象の画像の顔領域濃度Mfaceを演算し、顔領域抽出・濃度演算処理を終了する。
【0092】
【数1】


【0093】但し、iは各顔候補領域を識別するための符号、Nは顔候補領域の総数、Mi は顔候補領域iの濃度、Pi は顔候補領域iの重み点数、Si は顔候補領域iの面積である。
【0094】(1)式及び(2)式より明らかなように、顔領域濃度Mfaceは各顔候補領域の濃度Mの加重平均値であり、(1)式では各顔候補領域の重み点数Pに基づいて各顔候補領域を重み付けしており、(2)式では重み点数P及び面積Sに基づいて各顔候補領域を重み付けしている。
【0095】上記の顔領域抽出・濃度演算処理を行うと、オートセットアップエンジン44は、更に、イメージプロセッサ40で実行される各種の画像処理の処理条件を演算するが、顔領域抽出・濃度演算処理の処理結果は一部の画像処理の処理条件の演算に利用される。例えば先のステップ112で抽出された顔領域は、イメージプロセッサ40で実行される顔領域又はその一部のみを対象とした画像処理(例えば顔領域に対するシャープネス補正や赤目補正等)の演算に利用され、前記画像処理が顔領域のみを対象として行われるように処理条件が設定される。また、先のステップ114で演算された顔領域濃度Mfaceは、例えばイメージプロセッサ40で実行される画像全体を対象とした画像処理(例えば色・濃度補正等)に利用され、例えば顔領域濃度Mfaceが所定濃度になるように濃度補正条件等の処理条件が演算される。
【0096】先にも説明したように、本第1実施形態では、処理対象の画像が逆光シーンの画像か否かを条件a,b等に基づいて判定し、逆光シーンの画像でなかった場合にはストロボ発光シーンの画像か否かを条件c,d,eに基づいて判定しているので、処理対象の画像が逆光シーンの画像、或いはストロボ発光シーンの画像であり、顔候補領域抽出処理における顔候補領域の誤抽出により、抽出された顔候補領域の中に実際には顔領域でない領域が混在していたとしても、前述した条件により誤抽出された領域に高い重み点数が設定されることはなく、実際には顔領域でない顔候補領域が顔領域として抽出される確率が大幅に低減されると共に、実際には顔領域でない顔候補領域の濃度によって顔領域濃度が大幅に変化することも防止することができる。
【0097】従って、顔領域の抽出結果又は顔領域濃度Mfaceを利用して処理条件が演算される各画像処理に対しても適正な処理条件が得られ、ファインスキャン画像データを対象としてイメージプロセッサ40で実行される各画像処理についても適正な処理結果が得られる。
【0098】〔第2実施形態〕次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、第2実施形態の作用について、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0099】本第2実施形態では、第1実施形態で説明した逆光シーン判定処理(図3)に代えて、図9に示す逆光シーン判定処理が行われる。この逆光シーン判定処理では、ステップ124の判定が肯定された場合(顔候補領域が条件aを満たしていた場合)にステップ156へ移行し、第1実施形態に係るストロボ発光シーン判定処理(図4)のステップ176と同様に、胴体候補領域探索範囲を設定して胴体候補領域を探索する。次のステップ158では、胴体候補領域の探索により胴体候補領域と判断できる領域が有ったか否か判定する。判定が否定された場合には、顔候補領域が逆光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ136へ移行する。
【0100】また、ステップ158の判定が肯定された場合にはステップ160へ移行し、胴体候補領域の探索によって抽出された胴体候補領域内の平均濃度を演算し、顔候補領域内の平均濃度Dareaとの差が所定値α以内か否かを判定する。なお、以下ではステップ160の判定を便宜的に条件fという。ステップ160の判定が否定された場合には、処理対象の画像を逆光シーンの画像と仮定すると、抽出した胴体候補領域は人物の胴体に相当する領域でない可能性が高いと判断できるので、逆光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ136へ移行する。
【0101】また、ステップ160の判定が肯定された場合にはステップ162へ移行し、顔候補領域内及び抽出した胴体候補領域内の濃度コントラスト(又は彩度コントラスト)を各々演算する。そして、次のステップ164では、顔候補領域内及び胴体候補領域内のコントラストが予め定められた閾値Th1 以下か否か判定する。なお、以下ではステップ164の判定を便宜的に条件gという。ステップ164の判定は、請求項1に記載の「顔候補領域内及び抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する」ことに対応している。
【0102】逆光シーンを表す画像上では、顔領域内の濃度(及び彩度)についてのコントラストが小さくなると共に、胴体領域内の濃度(及び彩度)についてのコントラストも同様に小さくなる。このため、ステップ164の判定が否定された場合には、ステップ122でデータを取り込んだ顔候補領域は逆光シーンの顔領域でない可能性が高いと判断できるので、顔候補領域が逆光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ136へ移行する。
【0103】また、ステップ164の判定が否定された場合にはステップ166へ移行し、第1実施形態に係るストロボ発光シーン判定処理のステップ182と同様に、顔候補領域を基準として顔候補領域の周囲に存在する画像中の背景に相当すると推定される領域(周囲領域)を設定し、設定した周囲領域内における濃度分布を演算する。逆光シーンを表す画像における背景領域の濃度分布(濃度ヒストグラム)は、例として図8(C)にも示すように、ピークの位置が低濃度側に大きく偏倚した形状となることが殆どであり、通常の画像における背景領域の濃度分布(図8(A)参照)とは大きく相違している。顔候補領域が逆光シーンの顔領域であった場合、前述の周囲領域は図7(C)にも示すように人物の胴体に相当する低濃度領域を一部含むことになるが、該領域が周囲領域に占める面積は小さいので、濃度分布は同様に図8(C)に示すような形状となる。
【0104】このため、次のステップ168では、先のステップ166で演算した周囲領域内における濃度分布の低濃度側への偏倚度合いが閾値以上か否か判定する。なお、以下ではステップ168の判定を便宜的に条件hという。ステップ168の判定は、請求項2に記載の「顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、画像上で顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の低濃度側への偏倚度合いも考慮して評価する」ことに対応している。
【0105】ステップ168の判定が否定された場合には、ステップ122でデータを取り込んだ顔候補領域は逆光シーンの顔領域ではない可能性が高いと判断できるので、逆光シーンの顔領域か否かの判定を中止してステップ188へ移行する。また、ステップ168の判定が肯定された場合にはステップ134でフラグに1を代入した後にステップ136へ移行する。
【0106】このように、本第2実施形態に係る逆光シーン判定処理では、第1実施形態で説明した条件a,bに代えて、条件a,f,g,hの各条件に基づいて顔候補領域が逆光シーンの顔領域か否かを判定している。そして、前記各条件を満足する顔候補領域が存在していた場合(ステップ138の判定が肯定の場合)には、処理対象の画像を逆光シーンの画像と判定し(ステップ146)、前記各条件を満たさない顔候補領域を除外し(ステップ147)、各条件を満たす顔候補領域に対応する胴体候補領域が存在している方向に基づいて天地方向を判定し(ステップ149)、各顔候補領域に対し、各条件に対する合致度、天地方向に対する胴体候補領域が存在している方向の整合度合いに応じて重み点数を各々設定する(ステップ151)。
【0107】これにより、第1実施形態で説明した逆光シーン判定処理と同様に、処理対象の画像が逆光シーンの画像であり、顔候補領域の中に実際には顔領域ではない領域が混在していたとしても、逆光シーンの顔領域に相当する顔候補領域についてのみ高い重み点数を設定することができる。
【0108】次に、本第2実施形態に係るストロボ発光シーン判定処理について、図10を参照して説明する。このストロボ発光シーン判定処理では、ステップ180の判定が肯定された場合(顔候補領域が条件c及び条件dを満たしていた場合)に、ステップ202で顔候補領域内及び胴体候補領域内の濃度コントラスト(又は彩度コントラスト)を各々演算する。そして、次のステップ204では、顔候補領域内及び胴体候補領域内のコントラストが予め定められた閾値Th2 (閾値Th2 は第2実施形態に係る逆光シーン判定処理のステップ184の判定に用いる閾値Th1 よりも所定値以上高い値である)以上か否か判定する。
【0109】なお、以下ではステップ204の判定を便宜的に条件jという。ステップ204の判定も、請求項1に記載の「顔候補領域内及び抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する」ことに対応している。
【0110】ストロボ発光シーンを表す画像上では、顔領域内の濃度(及び彩度)についてのコントラストが大きくなると共に、胴体領域内の濃度(及び彩度)についてのコントラストも同様に大きくなる。このため、ステップ204の判定が否定された場合には、ステップ122でデータを取り込んだ顔候補領域はストロボ発光シーンの顔領域でない可能性が高いと判断できるので、顔候補領域がストロボ発光シーンの顔領域か否かの判定を中止し、ステップ188へ移行する。また、ステップ164の判定が否定された場合には、ステップ166でフラグに1を代入した後にステップ188へ移行する。
【0111】このように、本第2実施形態に係るストロボ発光シーン判定処理では、第1実施形態で説明した条件c,d,eに代えて、条件c,d,jの各条件に基づいて顔候補領域がストロボ発光シーンの顔領域か否かを判定している。そして、前記各条件を満足する顔候補領域が存在していた場合(ステップ190の判定が肯定の場合)には、処理対象の画像をストロボ発光シーンの画像と判定し(ステップ192)、前記各条件を満たさない顔候補領域を除外し(ステップ193)、各条件を満たす顔候補領域に対応する胴体候補領域が存在している方向に基づいて天地方向を判定し(ステップ196)、各顔候補領域に対し、各条件に対する合致度、天地方向に対する胴体候補領域が存在している方向の整合度合いに応じて重み点数を各々設定する(ステップ198)。
【0112】これにより、第1実施形態で説明したストロボ発光シーン判定処理と同様に、処理対象の画像がストロボ発光シーンの画像であり、顔候補領域の中に実際には顔領域ではない領域が混在していたとしても、ストロボ発光シーンの顔領域に相当する顔候補領域についてのみ高い重み点数を設定することができる。
【0113】なお、各顔候補領域に設定する重み点数P、顔領域判定用の閾値THF 、或いは顔領域濃度Mfaceにおいて各顔候補領域の濃度Mに付与する重みは、顔領域抽出・濃度演算処理の処理結果を利用して行われる画像処理の種類に応じて変更するようにしてもよい。
【0114】例えば顔領域抽出・濃度演算処理による顔領域の抽出結果を利用して、イメージプロセッサ40において、抽出された顔領域に対してのみ局所的にエッジ強調フィルタをかけて顔領域のシャープネスを強調するシャープネス強調処理が行われる場合、シャープネス強調の程度やフィルタの種類にも依存するが、実際には顔領域でない領域にもシャープネスの強調が行われたとしても視覚上は悪影響が小さい(目立たない)ことがある。このような場合には、顔領域判定用の閾値THF の値を通常よりも小さくし(すなわち顔候補領域の選択の基準を変更し)、より多くの顔候補領域が顔領域と判定されるようにしてもよい。顔領域判定用の閾値THF の値を低くするに従って、実際の顔領域に対応する顔候補領域が顔領域でないと誤判定される確率が低くなるので、上記により、画像中の顔領域に対して漏れなくシャープネス強調処理を施すことができる。
【0115】また、顔領域判定用の閾値THF の値を変更することに代えて、重み点数Pとして通常よりも大きな値を設定する(すなわち各顔候補領域に対する評価の基準を変更する)ことで、より多くの顔候補領域が顔領域と判定されるようにすることも可能である。特にシャープネス強調処理として、重み点数Pが大きくなるに従ってシャープネスの強調度合いを強くする処理が行われる場合には、重み点数Pを上記のように設定することでシャープネスの強調度合いを強めにコントロールすることも可能となる。
【0116】また例えば、顔領域抽出・濃度演算処理による顔領域の抽出結果及び顔領域濃度Mfaceを利用して、抽出された顔領域に対してのみ顔領域濃度Mfaceに基づき局所的に濃度を補正する濃度補正処理が行われる場合、濃度補正の程度にも依存するが、実際には顔領域でない領域にも濃度補正が行われたとしても視覚上は悪影響が小さい(目立たない)ことがある。このような場合には、顔領域判定用の閾値THF の値を通常よりも小さくし、より多くの顔候補領域が顔領域と判定されるようにしてもよい。顔領域判定用の閾値THF の値を低くするに従って、実際の顔領域に対応する顔候補領域が顔領域でないと誤判定される確率が低くなるので、上記により、画像中の顔領域に対して漏れなく濃度補正処理を施すことができる。
【0117】上記の説明は、顔領域の抽出において、実際には顔領域でない領域を誤って顔領域として抽出した場合にも影響が小さい画像処理が行われる場合であるが、逆に実際には顔領域でない領域を誤って顔領域として抽出した場合に多大な影響を受ける画像処理が行われる場合には、例えば顔領域判定用の閾値THF の値を通常よりも大きくしたり、重み点数Pとして通常よりも小さな値を設定することで、顔領域としての確度がより高い顔候補領域のみが顔領域として抽出されるようにすることも可能である。
【0118】また、顔領域濃度についても、例えば次の(3)式に示すように、先の(1)式((2)式でもよい)で求まる顔領域濃度Mfaceと、他の画像特徴量D(例えば画像全体の平均濃度、非顔候補領域の平均濃度等)との加重平均値Mface’(但し、αF は顔領域濃度Mfaceに対する重み係数、α0 は画像特徴量Dに対する重み係数)を顔領域濃度として演算する場合、演算した顔領域濃度を利用して行われる画像処理の種類に応じて重み係数αF ,α0 の値を変更する(すなわち各顔候補領域に対する重み付けの基準を相対的に変更する)ことで、各顔候補領域の濃度Mに付与する重みを変更するようにしてもよい。
【0119】
Mface’=αF ・Mface+α0 ・D …(3)
また、上記ではプレスキャン画像データに基づきオートセットアップエンジン44によって顔領域抽出・濃度演算処理を含む処理条件の演算を行い、ファインスキャン画像データに対する実際の画像処理はイメージプロセッサ40で行う場合を説明したが、これに限定されるものでなく、単一の画像データに対して処理条件の演算、演算した処理条件での画像処理を順に行うようにしてもよく、これらの一連の処理を単一の処理部で行うようにしてもよい。
【0120】更に、上記では各顔候補領域に対して設定した重み点数に基づき、顔領域の抽出及び顔領域濃度の演算を各々行っていたが、これに限定されるものではなく、何れか一方のみを行うようにしてもよい。
【0121】また、上記では写真フィルムに記録された画像を読み取ることで得られた画像データやデジタルカメラによる撮像によって得られた画像データを処理対象としていたが、これに限定されるものではなく、紙等の他の記録材料に記録された画像を読み取ることで得られた画像データ、或いはコンピュータによって生成された画像データを処理対象としてもよい。また、本発明は写真フィルムに記録されたフィルム画像を面露光により印画紙に露光記録する際の露光条件の決定に利用してもよいことは言うまでもない。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように請求項1及び請求項4記載の発明は、画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出し、顔候補領域内の濃度が第1の閾値以上又は第2の閾値以下の場合に、顔候補領域を基準として設定した人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲内における顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無、又は顔候補領域内及び人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するので、画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域を高精度に判定できる、という優れた効果を有する。
【0123】請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、顔候補領域内の濃度が第1の閾値以上の場合に、画像を3段階以上の濃度域の領域に分割したときの各濃度域の領域の面積比、及び画像上で顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の低濃度側への偏倚度合いの少なくとも一方も考慮して顔候補領域を評価するので、上記効果に加え、逆光シーンを表す画像中に存在する人物の顔に相当する領域を、より高精度に判定することができる、という効果を有する。
【0124】請求項3記載の発明は、請求項1の発明において、顔候補領域内の濃度が第2の閾値以下の場合に、画像上で顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いも考慮して顔候補領域を評価するので、上記効果に加え、ストロボを発光させたシーンを表す画像中に存在する人物の顔に相当する領域を、より高精度に判定することができる、という効果を有する。
【0125】請求項5記載の発明は、画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出する第1のステップ、顔候補領域内の濃度が第1の閾値以上又は第2の閾値以下の場合に、顔候補領域を基準として設定した人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲内における顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無、又は顔候補領域内及び人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する第2のステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録媒体に記録したので、画像中の人物の顔に相当する領域の濃度が高濃度側又は低濃度側に偏倚している場合にも、人物の顔に相当する領域を高精度に判定できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る画像処理システムの概略構成図である。
【図2】顔領域抽出・濃度演算処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る逆光シーン判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るストロボ発光シーン判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】顔候補領域の周囲に存在する高濃度領域を探索するための探索線を示す概念図である。
【図6】(A)は通常の画像、(B)は逆光シーンの画像の濃度分布の一例を各々示す線図である。
【図7】(A)は天地方向が未知の場合、(B)は天地方向が既知の場合の胴体候補領域探索範囲の一例を各々示す概念図、(C)は濃度分布演算対象の周囲領域の一例を示す概念図である。
【図8】(A)は通常の画像、(B)はストロボ発光シーンの画像、(C)は逆光シーンの画像における背景領域内の濃度分布の一例を各々示す線図である。
【図9】第2実施形態に係る逆光シーン判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係るストロボ発光シーン判定処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像処理システム
14 画像処理装置
40 イメージプロセッサ
44 オートセットアップエンジン
72 情報記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出し、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値以上又は前記第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合に、前記画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を前記顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における前記顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は前記顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、前記顔候補領域内及び前記抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する画像処理方法。
【請求項2】 前記顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が前記第1の閾値以上の場合に、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、前記画像の全濃度域を3段階以上の濃度域に分け前記画像を各濃度域の領域に分割したときの各濃度域の領域の面積比、及び前記画像上で前記顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の低濃度側への偏倚度合いの少なくとも一方も考慮して評価することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】 前記顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が前記第2の閾値以下の場合に、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を、前記画像上で前記顔候補領域の周囲に存在する領域内における濃度分布の高濃度側への偏倚度合いも考慮して評価することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項4】 画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出する抽出手段と、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値以上又は前記第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合に、前記画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を前記顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における前記顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は前記顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、前記顔候補領域内及び前記抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する評価手段と、を含む画像処理装置。
【請求項5】 画像データに基づいて、該画像データが表す画像中の人物の顔に相当すると推定される顔候補領域を抽出する第1のステップ、抽出した顔候補領域内の濃度の絶対値又は前記画像全体の濃度に対する前記顔候補領域内の濃度の相対値が、第1の閾値以上又は前記第1の閾値よりも所定値以上低い第2の閾値以下の場合に、前記画像中の人物の胴体に相当する領域が存在していると推定される範囲を前記顔候補領域を基準として設定し、設定した範囲内における前記顔候補領域との濃度差が所定値以下の領域の有無に基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価するか、又は前記顔候補領域を基準として設定した範囲内で人物の胴体に相当すると推定される胴体候補領域を抽出し、前記顔候補領域内及び前記抽出した胴体候補領域内における濃度又は彩度のコントラストに基づいて、前記顔候補領域の人物の顔に相当する領域としての確度を評価する第2のステップを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2000−148980(P2000−148980A)
【公開日】平成12年5月30日(2000.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−322380
【出願日】平成10年11月12日(1998.11.12)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】