説明

画像処理用半導体集積回路

【課題】 固体撮像素子を用いる撮像システムを構成する部品点数を減らし、撮像機能を有する携帯用電子機器の小型化および低コスト化を図る。
【解決手段】 固体撮像素子(100)から入力される画素読出信号をサンプリングして所定のレベルまで増幅しデジタル信号に変換する撮像システム用のアナログフロントエンド回路(AFE;210)を、デジタル画像処理を行なうDSP(220)およびオートフォーカス等のカメラ機能のための演算処理や制御、レジスタの設定等を行なうCPU(230)とともに1つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子より出力される撮像信号を処理する画像処理技術に関するものであって、特に固体撮像素子より出力されるアナログ撮像信号を処理する画像処理用半導体集積回路に利用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラや電子スチールカメラの撮像素子としては、CCD型固体撮像素子とCMOS型固体撮像素子がある。このうちCCD型固体撮像素子は、画素毎に光電変換して蓄積した電荷を転送用CCDに全画素同一タイミングで一斉に並列転送した後、その転送用CCD内を直列転送して出力するが、CCD内での電荷転送効率を高めるためには高い電位差を作る必要がある。このため、消費電力が大きくなってしまう。
【0003】
一方、CMOS型固体撮像素子は、画素毎に光電変換して蓄積した電荷を画素毎に電圧変換して増幅し、これをマトリックス選択回路で画素毎に順次選択して読み出す。この方式だと、たとえば+3.3V程度の単一電源だけで動作でき、消費電力はCCD型に比べて数分の一に下げることができる。さらに、CMOSプロセスを利用して製造できるので、A/D変換器や増幅回路などの周辺回路も一緒に集積しやすい。そのため、最近は、A/D変換器や増幅回路などの周辺回路を集積したCMOS型固体撮像素子に関する発明が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−224778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CCD型固体撮像素子(以下、CCDセンサと称する)の製造プロセスは、CMOSプロセスに比べて複雑であるとともに、光電変換用のCCDの他に電荷転送用CCDが必要であるためチップサイズがCMOS型固体撮像素子(以下、CMOSセンサと称する)に比べて大きくなり易い。そこで、CCDセンサを用いた撮像システムは、一般に、図7に示すように、CCDセンサや画像処理用の半導体集積回路(DSP)とは別個に構成されA/D変換器や増幅回路などの周辺回路を形成したアナログフロントエンド(AFE)と呼ばれる半導体集積回路を用いて構成されていた。
【0005】
そのため、CCDセンサを用いた撮像システム(いわゆる電子カメラ)を構成する半導体チップなどの部品数が、CMOSセンサを用いたものに比べて多くなり、電子カメラを搭載した携帯電話機のような機器の小型化を妨げる要因になっていた。また、アナログフロントエンドと画像処理用のDSPとの間は10〜14ビットのようなバスで接続されているため、バスの駆動により消費電力が多くなるとともに、バスの動作そのものがアナログ回路に対するノイズ源になるという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、固体撮像素子を用いる撮像システムを構成する部品点数を減らし、撮像機能を有する携帯用電子機器の小型化および低コスト化を図ることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、固体撮像素子を用いた撮像システムを構成する半導体チップ間の配線数を減らし、消費電力の低減、ノイズによる画質劣化の抑制を図ることにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、固体撮像素子を用いた撮像システムにおけるシステムの立ち上がりを速くすることができるようにすることにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、CCDセンサまたはCMOSセンサのいずれの撮像素子を用いた撮像システムを構成する場合にも対応することができる汎用性の高い画像処理用半導体集積回路を提供することにある。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、固体撮像素子から入力される画素読出信号をサンプリングして所定のレベルまで増幅しデジタル信号に変換する撮像システム用のAFE(アナログフロントエンド)回路を、デジタル画像処理を行なうDSP(デジタルシグナルプロセッサ)や、DSPおよびオートフォーカス等のカメラ機能のための演算処理や制御、レジスタの設定等を行なうCPU(中央処理ユニット;マイクロコンピュータ)とともに1つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成するようにしたものである。
【0011】
従来はCCDセンサや画像処理用の半導体集積回路(DSP)とは別個に構成されていたAFEを、DSPやCPUとともに1チップの半導体集積回路として構成したことにより、撮像システムを構成する部品点数を減らし、撮像機能を有する携帯用電子機器の小型化および低コスト化を図ることができるようになる。
【0012】
また、AFE回路をDSPやCPUとともに1チップの半導体集積回路として構成したことにより、AFE回路からDSPへ送る画素読出信号を載せるバスの信号線をプリント配線基板上ではなくチップ上に形成することができる。一般に、チップ内の信号の配線容量はプリント配線基板上の信号の配線容量に比べて小さくすることができるため、バスを駆動するのに要する消費電力を低減できるとともに、バスを駆動する電力を小さくすることができるため、発生するノイズを抑制し、画質の劣化を抑えることができるようになる。
【0013】
ここで、望ましくは、AFE回路内の可変利得増幅回路のゲイン等を設定するために設けられているレジスタに対してCPUが内部バス等を介してパラレルに設定値を送って設定を行なえるように構成する。
【0014】
AFE回路がDSPとは別個の半導体チップに形成されている場合、チップ間の配線数や端子数を増加させずにAFE回路内のレジスタに対してCPUが設定を行なえるようにするには、シリアルに設定値を送る必要がある。そのようにすると、伝送の途中でシリアル/パラレル変換が必要となってシステムの立ち上がりが遅くなるが、レジスタに対してCPUがパラレルに設定値を送って設定を行なえるように構成することで、システムの立ち上がりを速くすることができるようになる。
【0015】
さらに、望ましくは、固体撮像素子から入力されるデジタル画素信号を、AFE回路をバイパスしてDSPへ送るパスと、このパスからの信号とAFE回路を介して入力されるデジタル画素信号を選択するセレクタ回路(選択手段)とを設ける。これにより、AFE回路を持たないCCDセンサ、またはAFE回路を内蔵したCMOSセンサのいずれのデバイスからの信号をも処理することができる汎用性の高い画像処理用半導体集積回路を得ることができる。又、CCDセンサに接続されて用いられるべき画像処理用半導体集積回路をベースにCMOSセンサに対応した画像処理用半導体集積回路を開発するに当たって、このようなセレクタ回路を用いてCMOSからの信号とCCDからの信号を切り替え可能な構成とすると、容易に開発することが可能となり開発コストの削減、開発期間の短縮を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、固体撮像素子を用いる撮像システムを構成する部品点数を減らし、撮像機能を有する携帯用電子機器の小型化および低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明が適用された画像処理用半導体集積回路(以下、画像処理用LSIと称する)の第1の実施例とこれを用いた撮像システムの構成例をブロック図で示す。
同図に示す撮像システムは、CCD型固体撮像素子(イメージセンサ)100と、AFE(アナログフロントエンド)部210やデジタル画像処理を行なう画像処理部220、チップ全体の制御やレジスタの設定等を行なうCPU230を内蔵した画像処理用LSI200と、システム制御用LSI300と、光学ズーム等の補助機能回路400などによって構成されている。
【0018】
システム制御用LSI300は、例えば適用システムが携帯電話機である場合には、マイクロコンピュータなどからなり音声信号や送受信信号に係る信号処理等を行なうベースバンドLSIやMPEG方式等に従った動画処理等マルチメディア処理機能や解像度調整機能、ジャバ高速処理機能等を有するアプリケーションプロセッサのようなLSIからなる電子デバイスである。
【0019】
AFE部210は、撮像素子100から入力される画素読出信号をノイズ除去しながらサンプリングする相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路211、サンプリングされた画素読出信号を所定のレベルまで増幅する可変利得増幅回路(プログラマブルゲインアンプ)212、増幅されたアナログ画素読出信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路213、タイミング発生回路214などから構成される。
【0020】
可変利得増幅回路212は、CPU230から供給される制御信号(コード)に基づいてゲインがアナログ制御される。タイミング発生回路214は、CDS回路211やA/D変換回路213に対するタイミング制御信号のほか、イメージセンサ100に対して供給するCCD転送パルスや読出しパルス、電子シャッタ用パルスなどタイミング制御のための信号を生成する。生成されたタイミング制御パルスは、ドライバIC130等を介してイメージセンサ100に与えられる。
【0021】
画像処理部220は、AFEからのデジタル画素信号を増幅するデジタルゲイン制御増幅部221、デジタル画像データを生成する色信号処理部222および輝度処理部223、画素信号の輝度をサンプリングして輝度レベル検出信号を生成する輝度レベルサンプリング部224等の機能を有する。
【0022】
この画像処理部220は、積和演算が可能な乗算器と加算器および除算器、演算結果を保持するレジスタ、これらの演算器を所定の順序で動作させて所望の演算結果を出力させるマイクロプログラムや係数を格納したROMなどからなるDSP(デジタルシグナルプロセッサ)のような演算回路で構成される。すなわち、DSPでの演算によって色信号処理などの上記各機能を実現するようになっている。
【0023】
輝度レベルサンプリング部224により生成された輝度レベル検出信号はCPU230へ渡され、自動露光処理や自動白バランス調整、フリッカ検知などに用いられる。デジタルゲイン制御増幅部221は、CPU230から供給される制御信号によってゲインがデジタル制御される。
【0024】
また、画像処理部220の後段には、上記色信号処理部222および輝度処理部223で生成されたデジタル画像データ(JPEG圧縮データを含む)や同期信号をチップ外部へ出力するためのデジタルI/F(インタフェース)251が設けられている。さらに、画像処理部220の後段には、生成されたデジタル画像信号をテレビ規格であるNTSC(National Television System Committee)規格のビデオ信号(色信号と輝度信号)に変換して出力するD/A変換回路などからなるNTSC変換回路252が設けられている。
【0025】
デジタルI/F(インタフェース)251とNTSC変換回路252を設けたことにより、余分な外付けLSIに用いずに、カメラからの映像をそのままTVでモニターすることができる。また、携帯機器内部に保存された画像を一旦本実施例の画像処理用LSIに取り込み、そのデータをNTSC出力で吐き出すことにより、余分な外付け部品も用いずにTVで画像をモニターできるシステムを構築できる。
【0026】
図示しないが、画像処理部220には、画像信号をJPEGエンコード(圧縮)したりデコード(伸長)したりする機能や、電子ズーム機能、画素欠陥を補正する機能、さらに解像度変換、色補正、クロマ制御、コントラスト制御などの機能が設けられている。さらに、CPU230に対し外部からの制御コマンドによりチップ内部の設定を実施させるため、IICコマンドインタフェース部231がCPU230に付随して設けられている。
【0027】
CPU230は、画像処理部220からの信号に基づいて、ホワイトバランス調整、フリッカ検出・キャンセル処理、オートフォーカス制御、光学ズーム制御、手ぶれ補正などの補助機能回路400に関する演算処理や制御も行なう。また、CPU230は、実行するプログラムに従ってチップ全体の制御を行なったり、可変利得増幅回路212やデジタルゲイン制御増幅部221のゲイン設定値を保持するレジスタ215や227などに対する設定を行なったりする。可変利得増幅回路212とデジタルゲイン制御増幅部221を用いたゲイン制御については前述の特許文献1に開示されており、また本発明の要旨ではないので、説明は省略する。
【0028】
本実施例においては、AFE回路210内に可変利得増幅回路212のゲイン設定値(バイナリコード)を保持するレジスタ215が、また画像処理部220内にデジタルゲイン制御増幅部221のゲイン設定値を保持するレジスタ227が設けられている。これとともに、これらのレジスタに対してCPU230が内部バス232を介して所望のゲイン設定値をパラレルに伝送して設定することができるように構成されている。
【0029】
また、画像処理部220が有する電子ズーム機能、画素欠陥補正機能、解像度変換、色補正、クロマ制御、コントラスト制御などの機能の実行条件等の設定も、CPU230によって行なわれる。なお、図1のシステムでは、AFE回路210のA/D変換回路213で変換されたデジタル画素信号が画像処理部(DSP)220へ直接渡されるように構成されているが、バス232を介して画像処理部(DSP)220へ渡すように構成しても良い。
【0030】
上記のように、第1の実施例の画像処理用LSIは、従来はCCDセンサや画像処理用の半導体集積回路(DSP)とは別個に構成されていたAFEが、DSPやCPUとともに1チップの半導体集積回路として構成されている。これにより、撮像システムを構成する部品点数を減らし、撮像機能を有する携帯用電子機器の小型化および低コスト化を図ることができるようになった。
【0031】
また、AFE回路をDSPやCPUとともに1チップの半導体集積回路として構成したことにより、AFE回路からDSPへ送る画素読出信号を載せるバスの信号線をプリント配線基板上ではなくチップ上に形成することができるようになる。そのため、バスを駆動するために要する消費電力を低減できるとともに、ノイズの飛込みによる誤動作を抑制することができるようになる。
【0032】
さらに、AFE回路がDSPとは別個の半導体チップに形成されている場合、チップ間の配線数や端子数を増加させずに可変利得増幅回路のゲイン設定用レジスタに対してCPUが設定を行なえるようにするには、シリアルに設定データを送る必要がある。ただし、そのようにすると、図3に示すように、DSP側にパラレル/シリアル変換回路PSCが、またAFE側にシリアル/パラレル変換回路SPCが必要となってシステムの立ち上がりが遅くなる。
【0033】
これに対し、本実施例では、レジスタ215,227に対してCPU230が内部バス232を介して設定値をパラレルに送って設定を行なえるように構成されている。これにより、レジスタ設定値の伝送時間そのものが短縮されるとともに、パラレル/シリアル変換およびシリアル/パラレル変換が不要となり、システムの立ち上がりを速くすることができる。
【0034】
図2は、本発明が適用された画像処理用LSIの第2の実施例とこれを用いた撮像システムの構成例をブロック図で示す。図1の実施例の画像処理用LSIと同一の機能を有する回路には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0035】
この実施例の画像処理用LSIは、AFEの機能を内蔵したCMOSセンサから出力される信号を受けたりCMOSセンサ内のAFEに対する制御信号を出力したりするCMOSインタフェース241が設けられ、CCDセンサからの画像信号とCMOSセンサからの画像信号のいずれの信号も処理できるように構成されている。
【0036】
また、これに応じて、CMOSインタフェース241を介して入力されるCMOSセンサからの画像信号と、AFE回路210を介して入力されるCCDセンサからの信号のいずれかを選択して画像処理部としてのDSP220へ供給するセレクタ242が設けられている。セレクタ242がいずれの画像信号を選択するか指定する切替え制御信号はCPU230から与えられる。セレクタ242に対応してレジスタもしくはフラグを設け、このレジスタもしくはフラグに対してCPU230が内部バス232を介して制御コードの設定を行なうことで、セレクタ242がいずれかの画像信号を選択する状態に制御できるように構成しても良い。
【0037】
また、この実施例の画像処理用LSIには、外部からのクロックを逓倍したクロックを生成してチップ外部や内部へ出力するPLL回路244が設けられている。これにより、撮像システムを構成する他のチップとの同期をとり易くなる。さらに、画像処理部(DSP)220によりJPEGエンコードされた画像データ等を格納するためのSDRAMのような揮発性メモリ510を接続するためのSDRAMインタフェース253が設けられている。
【0038】
特に制限されるものでないが、CPU230には、使用するイメージセンサの仕様に応じて可変利得増幅回路(212,221)のゲイン設定値等システムに固有のデータを記憶するためのEEPROMのような不揮発性メモリ520が接続されている。また、CPU230には、該CPUが実行するアプリケーションプログラム等を格納するフラッシュメモリのような不揮発性メモリ530が接続されている。
【0039】
本実施例の画像処理用LSIにあっては、CMOSインタフェース241とセレクタ242が設けられていることにより、AFE回路を持たないCCDセンサ、またはAFE回路を内蔵したCMOSセンサのいずれのデバイスからの信号をも処理することができる汎用性の高い画像処理用LSIを得ることができる。又、CCDセンサに接続されて用いられるべき画像処理用半導体集積回路をベースにCMOSセンサに対応した画像処理用半導体集積回路を開発するに当たって、このようなセレクタ回路を用いてCMOSからの信号とCCDからの信号を切り替え可能な構成とすると、容易に開発することが可能となり開発コストの削減、開発期間の短縮を行うことができる。
【0040】
図4には、本発明に係る画像処理用LSIの第3の実施例の要部の構成例が示されている。
この実施例では、複数チャンネルの画像信号を読出し可能に構成されているCCDセンサまたはCMOSセンサに対応して、画像処理用LSI200内にN個のAFE回路210a,210b……210nが設けられている。また、これらのAFE回路210a,210b……210nの後段に、いずれかのAFEの信号を選択して画像処理部220へ供給するセレクタ243が設けられている。
【0041】
セレクタ243は、AFE回路210a,210b……210nで変換されたデジタル画素信号を順次選択してバスを介して画像処理部220へ送り、時分割で各サブ領域の画像信号の処理を実行させる。因みに、アナログ信号処理を行なうAFEの信号処理速度よりも早い画像データ処理速度を有するDSP(画像処理部)を設計することは比較的容易である。本実施例を適用することによって、画素数の大きなイメージセンサを使用する場合においても高速で画像信号を処理することができる画像処理用LSIが得られる。
【0042】
ここで、複数チャンネルの画像信号が読出し可能なセンサとは、たとえば図5および図6のようにセンサ100の撮像領域が複数のサブ領域100a,100b……100nに分割され、各サブ領域から並行して画素信号を読出し可能に構成されているセンサのことである。なお、図5はCMOSセンサの構成を、また図6はCCDセンサの構成を表わしている。
【0043】
CMOSセンサの撮像領域は、図5に示すように、行(水平)と列(垂直)のマトリックス状に配置された多数の単位セルいわゆる画素110により構成されている。各画素110はそれぞれフォトダイオード111、増幅器112および選択スイッチ113によって構成され、図示しない水平転送回路(水平シフトレジスタ)と垂直転送回路(垂直シフトレジスタ)とにより、各画素が一つずつ順次選択されて読み出されるようになっている。
【0044】
具体的には、まず1行目の各画素の選択スイッチ113が順次オンされて、選択された画素の蓄積電荷に応じた電圧が垂直方向の読出し線VAL1〜VALmに順次読み出され、水平方向の出力線OPLを経て対応するAFE回路210へ出力される。次に2行目の各画素の選択スイッチ113が順次オンされて、選択された画素の蓄積電荷に応じた電圧が垂直方向の読出し線VAL1〜VALmに順次読み出され、出力線OPLを経てAFE回路210へ出力される。
【0045】
この動作を順次繰り返すとともに、各サブ領域100a,100b……100nで並行してつまり同時進行で読み出し動作を行なうことにより、撮像素子の全画素の蓄積電荷に応じた電圧がAFE回路210a,210b……210nへ読み出される。なお、読出しが終了するとフォトダイオード111に蓄積されていた電荷は、図示しない水平リセット回路と垂直リセット回路からのリセット信号によりオン、オフ制御されるリセットスイッチによって放電される。
【0046】
CCDセンサの撮像領域は、図6に示すように、行(水平)と列(垂直)のマトリックス状にフォトダイオード(受光素子)111からなる画素100が配置され、各画素列ごとに垂直方向転送CCD121が、また各サブ領域ごとに水平方向転送CCD122が設けられている。
【0047】
各画素110の蓄積電荷は一旦垂直方向転送CCD121へ転送され、垂直方向転送CCD121によって水平方向転送CCD122へ転送され、水平方向転送CCD122によって順次対応するAFE回路210へ読み出される。この動作を、各サブ領域100a,100b……100nで並行して行なうことにより、撮像素子の全画素の蓄積電荷がAFE回路210a,210b……210nへ読み出されるようになっている。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を実施態様にもとづき具体的に説明したが、本発明は上記実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施例では、NTSC変換回路252を内蔵した画像処理用LSIについて説明したが、NTSC変換回路はビデオカメラを構成するLSIには必須であるが、携帯電話機に搭載されるカメラなどを構成する画像処理用LSIには必ずしも設ける必要はないので、省略するようにしてもよい。画像処理部220に設けられているデジタルゲイン制御増幅部221も必ずしも設ける必要はない。
【0049】
また、前記実施例では、DSPとCPUを有する画像処理用LSIにAFEを内蔵させたものを説明したが、第2の実施例(図2)や第3の実施例(図4)は、DSPとCPUとが別個のチップで構成されている場合にDSPを搭載したチップにAFEを内蔵させる場合にも適用することができる。又、図1,図2,図4の実施例に示されるものを任意に組み合わせたようなものを適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上の説明では主として、本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である携帯電話機のような携帯用電子機器に搭載されるカメラを構成するのに好適な画像処理用半導体集積回路に適用した場合について説明した。本発明は、それに限定されるものではなく、例えばビデオカメラや監視カメラ、ウェブカメラ、静止画像を撮影するデジタルスチールカメラなどにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明が適用された画像処理用半導体集積回路の第1の実施例とこれを用いた撮像システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明が適用された画像処理用半導体集積回路の第2の実施例とこれを用いた撮像システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】AFE回路がDSPとは別個の半導体チップに形成されている場合における可変利得増幅回路のゲイン設定用レジスタに対してCPUが設定を行なえるようにした回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る画像処理用半導体集積回路の第3の実施例の要部の構成例を示すブロック図である。
【図5】複数チャンネルの画像信号が読出し可能なCMOSセンサの構成例を示す説明図である。
【図6】複数チャンネルの画像信号が読出し可能なCCDセンサの構成例を示す説明図である。
【図7】従来の画像処理用半導体集積回路の一例とこれを用いた撮像システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
100 固体撮像素子(イメージセンサ)
100a〜100n サブ領域
110 画素
111 受光素子(フォトダイオード)
112 読出しアンプ
113 選択スイッチ
121 垂直方向転送CCD
122 水平方向転送CCD
130 ドライバ
200 画像処理用半導体集積回路(画像処理用LSI)
210 AFE(アナログフロントエンド)回路
211 CDS回路
212 可変利得増幅回路
213 A/D変換回路
214 タイミング発生回路
215 レジスタ
220 画像処理部(DSP)
221 デジタルゲイン制御増幅部
222 色信号処理部
223 輝度処理部
224 輝度レベルサンプリング回路
230 CPU
231 IICコマンドインタフェース
232 内部バス
241 CMOSセンサインタフェース
242 セレクタ
251 デジタルI/F(インタフェース)
252 NTSC変換回路
300 システム制御用LSI
400 補助機能回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子から入力される画素読出信号をサンプリングして所定のレベルまで増幅しデジタル信号に変換するアナログフロントエンド回路と、
前記アナログフロントエンド回路により変換されたデジタル信号に基づいてデジタル画像処理を行なうデジタル画像処理回路と、
カメラ機能のための演算処理や制御を行なうマイクロコンピュータと、
が1つの半導体チップ上に形成されていることを特徴とする画像処理用半導体集積回路。
【請求項2】
前記アナログフロントエンド回路は、
前記固体撮像素子から入力される画素読出信号をサンプリングするサンプリング回路と、
サンプリングされた画素読出信号を所定のレベルまで増幅するアナログ可変利得増幅回路と、
増幅されたアナログ画素読出信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、
前記アナログフロントエンド回路内の設定値を保持するレジスタと、
を備え、
前記レジスタは、前記マイクロコンピュータからパラレルに値が供給されて設定されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項3】
前記レジスタは、前記マイクロコンピュータによって内部バスを介して設定が行なわれるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項4】
前記レジスタは、前記アナログ可変利得増幅回路のゲインを指定するコードを保持するレジスタであることを特徴とする請求項2に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項5】
前記デジタル画像処理回路は、デジタルシグナルプロセッサを備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項6】
固体撮像素子から入力される画素読出信号を前記アナログフロントエンド回路を通らず前記デジタル画像処理回路へ供給する信号パスと、
前記信号パスからの信号と前記アナログフロントエンド回路からの信号のいずれかを選択して前記デジタル画像処理回路へ供給する選択手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項7】
前記選択手段は、前記マイクロコンピュータからの制御信号もしくは制御コードに基づいて選択状態が設定されるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項8】
前記アナログフロントエンド回路へ入力される画素読出信号はCCD型固体撮像素子からの画素読出信号であり、前記信号パスへ供給される画素読出信号はアナログフロントエンド回路を内蔵したCMOS型固体撮像素子からの画素読出信号であることを特徴とする請求項6に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項9】
固体撮像素子から互いに並行して入力される複数の画素読出信号をそれぞれサンプリングして所定のレベルまで増幅しデジタル信号に変換する複数のアナログフロントエンド回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理用半導体集積回路。
【請求項10】
前記複数のアナログフロントエンド回路のいずれかで変換されたデジタル信号を選択して前記デジタル画像処理回路へ供給する第2の選択手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の画像処理用半導体集積回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−124434(P2007−124434A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315693(P2005−315693)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】