説明

画像処理装置、印刷装置および印刷方法

【課題】ドットが重なっている場合でも、粒状性が悪化しない画像処理装置、印刷装置および印刷方法を提供すること。
【解決手段】インク滴を印刷ヘッド25から噴射することにより、印刷媒体Pにインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成可能な印刷装置10であって、インク滴のうち、先に濃度の濃い濃インクのインク滴を噴射させると共に、該濃インクのインク滴の噴射の後に、濃度の淡い淡インクのインク滴を噴射させる順序で配列される印刷データを生成するための印刷データ作成手段83を具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式等のプリンタにおいては、顔料系インクが用いられる場合がある。
【0003】
顔料系インクは、印刷媒体上でのにじみが少なく、色あせがし難く、耐水性、耐光性に優れる、という利点がある。しかしながら、顔料系インクは印刷媒体上に顔料系インクの層(ドット)を形成することで発色しているため、一旦印刷媒体上に顔料系インクの層(ドット)が形成されると、その上に重ねて吐出された層(ドット)の吸収を阻害してしまう。
【0004】
ところで、インクジェット方式等のプリンタにおいては、インク滴を印刷ヘッドから吐出し印刷媒体上へドットを形成する過程において、このドットの粒状性が悪化することが視覚的に認識され、印刷画質を悪化させるという課題があった。特に、顔料系インクにおいては、上記に述べたような理由から、ドットの重なりが生じると、粒状性が悪化する要因となる。
【0005】
このドットにおける粒状性を改善し、画質の向上を図るために、染料系インクと同様に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の基本色のインクに加えて、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ライトブラック(LK)等の色のインクが用いられる場合がある(特許文献1参照)。
【0006】
また、ドットの粒状性を改善するための別の手法としては、ドットの微小化を図るものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−48462号
【特許文献2】特開2003−286453号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インクジェット方式のプリンタによる印刷には、例えばインターレース方式のように、先にドットが形成されている間の位置に、後でドットが形成されるような印刷方式がある。このような印刷方式では、ドット間の重なりが生じる場合が非常に多い。特に、顔料系インクにおいてドットの重なりが生じると、粒状性が悪化する要因となる。すなわち、先に特定の色のインク滴が印刷ヘッドのノズル列から噴射され、その後に他の色のインク滴が印刷ヘッドのノズル列から噴射されると、後から形成されるドットは、先に形成されるドットの上側に形成される状態となる。
【0008】
ここで、先に形成されているドットの上側に新たにドットが形成される場合、上側のドットの形状は、先に形成されている下側のドットと同じ形状とはならない。すなわち、下側のドットは、上方から見ると円形を為し、粒状性が良好である。一方、上側のドットは、下側のドット間の隙間部分に入り込んだりする関係上、上方から見ると不規則な形を為しつつ、下側のドットよりも広がる形状に形成される。
【0009】
以上のような不規則なドット形状による影響は、イエローを代表とする明度の高い(淡い)ドットの上方に、黒を代表とする明度の低い(濃い)ドットを形成する場合に顕著となる。すなわち、濃いドットは、淡いドットよりも人間の目につき易いため、不規則な形状の濃いドットが形成される場合、汚く見え、全体として粒状性が悪化する。
【0010】
そこで、本発明は、ドットが重なっている場合でも、粒状性が悪化しない画像処理装置、印刷装置および印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、インク滴を印刷ヘッドから噴射することにより、印刷媒体にインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成するための印刷データを作成する画像処理装置であって、インク滴のうち、先に暗色系の第1インクのインク滴を噴射させると共に、該第1インクのインク滴の噴射の後に、明色系の第2インクのインク滴を噴射させる順序で配列される印刷データを生成するための印刷データ作成部を具備するものである。
【0012】
このように構成する場合、印刷データ作成部では、先に暗色系の第1インクのインク滴が噴射され、その後に明色系の第2インクのインク滴が噴射される。そのため、暗色系のインク滴の噴射によって形成されるドットの上方に、明色系のインク滴の噴射によって形成されるドットが存在する状態となる。それにより、明色系のドットの上方に暗色系のドットが形成される場合と比較して、下方に位置する暗色系のドットの暗色が、幾分明色系のドットで明るく(淡く)なるものの、暗色系のドットの影響による粒状性を確保することが可能となる。そのため、印刷画像全体としては、画質を向上させることが可能となる。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第1インクおよび第2インクは、顔料系インクのインクであると共に、第1インクには少なくともブラックのインクが含まれると共に、第2インクにはイエローのインクが含まれるものである。
このように構成する場合、ブラックのインクの上方にイエローのインクが付着することにより、暗色系のドットの影響による粒状性の悪化を抑制できることが一層確実となり、一層粒状性を確保することが可能となり、印刷画質を一層向上させることが可能となる。
【0014】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第1インクおよび第2インクは、顔料系インクのインクであると共に、第1インクには、ブラック、シアン、マゼンタ、グレーのうちの少なくとも1つの種類のインクが含まれると共に、第2インクには、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトグレー、グリーン、オレンジ、イエローのうちの少なくとも1つの種類のインクが含まれるものである。
このように構成する場合、暗色系のドットの影響による粒状性の悪化を抑制することができ、印刷画質を向上させることができる。
【0015】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、印刷データ作成部は、印刷順に印刷データを作成するラスタライズ処理にて先に第1インクのインク滴を噴射させると共に、その後に第2インクのインク滴を噴射させる順序となるように印刷データを作成するものである。
このように構成する場合、印刷データ作成部では、ラスタライズ処理にて第1インクのインク滴を先に噴射させ、その後に第2インクのインク滴を噴射させるので、印刷の順序を適切に設定することが可能となる。
【0016】
また、他の発明は、インク滴を印刷ヘッドから噴射することにより、印刷媒体にインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成可能な印刷装置であって、インク滴のうち、先に暗色系の第1インクのインク滴を噴射させると共に、該第1インクのインク滴の噴射の後に、明色系の第2インクのインク滴を噴射させる順序で配列される印刷データを生成するための印刷データ作成部を具備するものである。
このように構成する場合、印刷データ作成部では、先に暗色系の第1インクのインク滴が噴射され、その後に明色系の第2インクのインク滴が噴射される。そのため、暗色系のインク滴の噴射によって形成されるドットの上方に、明色系のインク滴の噴射によって形成されるドットが存在する状態となる。それにより、明色系のドットの上方に暗色系のドットが形成される場合と比較して、下方に位置する暗色系のドットの暗色が、幾分明色系のドットで明るく(淡く)なるものの、暗色系のドットの影響による粒状性を確保することが可能となる。そのため、印刷画像全体としては、画質を向上させることが可能となる。
【0017】
さらに、他の発明は、インク滴を印刷ヘッドから噴射することにより、印刷媒体にインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成可能な印刷方法であって、インク滴のうち、先に暗色系の第1インクのインク滴を噴射させると共に、該第1インクのインク滴の噴射の後に、明色系の第2インクのインク滴を噴射させる順序で印刷を実行するものである。
このように構成する場合、先に暗色系の第1インクのインク滴が噴射され、その後に明色系の第2インクのインク滴が噴射される。そのため、暗色系のインク滴の噴射によって形成されるドットの上方に、明色系のインク滴の噴射によって形成されるドットが存在する状態となる。それにより、明色系のドットの上方に暗色系のドットが形成される場合と比較して、下方に位置する暗色系のドットの暗色が、幾分明色系のドットで明るく(淡く)なるものの、暗色系のドットの影響による粒状性を確保することが可能となる。そのため、印刷画像全体としては、画質を向上させることが可能となる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第1インクのインク滴量及びインク種類、並びに印刷媒体の種類をそれぞれ取得し、インク滴量とインク種類と印刷媒体の種類とに基づいて、第1インクのインク滴が前記印刷媒体に浸透する浸透時間を求め、第1インクの噴射から浸透時間の経過後に第2インクを噴射させるものである。
このように、第1インクの噴射から浸透時間の経過後に第2インクを噴射させることにより、第1インクが印刷媒体において浸透した後に第2インクを印刷媒体に噴射させることができる。これにより、印刷媒体上において第1インクと第2インクが混じり合って滲むのを防止し、もって画像品質の低下を防止することができる。
【0019】
さらに、上記インク滴のうち、先に第3インクのインク滴を噴射させると共に、該第3インクのインク滴の噴射の後に、第4インクのインク滴を噴射させる順序で印刷を実行し、第3インクの噴射と第4インクの噴射との時間間隔が浸透時間よりも短いことを特徴としてもよい。
同量のインクであっても印刷媒体に浸透するのに要する時間は、第3インクが印刷媒体に浸透するスピードが、第1インクが印刷媒体に浸透するスピードよりも速い場合、第1インクが浸透する時間の方が、第3インクが浸透する時間よりも長いので、第1インクの噴射と第2インクの噴射との最短の時間間隔は、第3インクの噴射と第4インクの噴射との最短の時間間隔よりも長くする必要がある。すなわち、印刷ヘッドは、これらの浸透時間よりも短い時間間隔でもって第1インクと第2インクを続けて噴射する能力を有する場合であっても、第1インクが印刷媒体に浸透するのを待って第2インクを噴射する。これにより、印刷媒体上において第1インクと第2インクが混じり合って滲むのを防止し、もって画像品質の低下を防止することができる。
【0020】
さらに、第1インクの噴射と第2インクの噴射との時間間隔は、第1インクの噴射するインク滴量が多い場合には第1インクの噴射するインク滴量が少ない場合よりも長いことを特徴としてもよい。
同一のインクであっても印刷媒体に浸透するのに要する時間は、インク滴量が多い場合はインク滴量が少ない場合よりも長い。したがって、第1インクの噴射と第2インクの噴射との最短の時間間隔は、インク滴量が多い場合にはインク滴量が少ない場合よりも長くする必要がある。すなわち、印刷ヘッドは、これらの浸透時間よりも短い時間間隔でもって第1インクと第2インクを続けて噴射する能力を有する場合であっても、第1インクが印刷媒体に浸透するのを待って第2インクを噴射する。これにより、印刷媒体上において第1インクと第2インクが混じり合って滲むのを防止し、もって画像品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態に係る印刷装置10について、図1から図11に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、プリンタ20とコンピュータ70との組合せを、印刷装置10と称する。かかる印刷装置10の概念には、プリンタ20とコンピュータ70とがケーブル、ネットワーク等を介して接続されているもの、またはプリンタ20の内部にコンピュータ70が組み込まれ、いわゆるスタンドアローン形式で印刷を行えるもののいずれの場合も含まれる。すなわち、プリンタ20の内部に、後述するコンピュータ70の機能が組み込まれている場合には、当該プリンタ20が印刷装置10に対応する。
【0022】
<プリンタの概略構成>
最初に、プリンタ20の構成の概略について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る印刷装置の概略構成を示す図である。また、図2は、印刷装置10のうち、制御部50を中心としたプリンタ20の主要部の構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、プリンタ20は、紙送りモータ21および紙送りローラ23によって印刷媒体(以下、印刷用紙Pとする。)を搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ22によってキャリッジ24を紙送りローラ23の軸方向に往復動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構による印刷用紙Pの送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ24の移動方向を主走査方向という。
【0024】
また、プリンタ20は、キャリッジ24に搭載される印刷ヘッド25を備えた印刷ヘッドユニット30を備えている。また、キャリッジ24の下部には印刷ヘッド25が設けられている。印刷ヘッド25には、インク噴射箇所としてのノズルが印刷用紙Pの搬送方向に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列を形成している。また、このノズル列には、ノズル毎に、電歪素子の1つであって応答性に優れたピエゾ素子(不図示)が配置されている。このピエゾ素子の作動によって当該壁面が押されて、インク通路の端部にあるノズルからインク滴を噴射することが可能となっている。このピエゾ素子に印加する電圧の相違により、異なるサイズのインク滴が噴射可能となっている。例えば、本実施の形態では、大、中、小の3種類の異なる大きさのドットを形成することが可能となっている。
【0025】
ここで、本実施の形態の印刷ヘッド25は、図3に示すように、後述する濃インクのインク滴を噴射するノズル列25a〜25dと、淡インクのインク滴を噴射するノズル列と25e〜25gとが、区分されている。そして、後述するように、印刷用紙Pへの印刷に際しては、印刷信号(印刷データ)PSに基づいて、先に濃インク対応のノズル列25a〜25dからインク滴を噴射させ、その後に淡インク対応のノズル列25e〜25gからインク滴を噴射させるように作動する。
【0026】
なお、印刷ヘッド25は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、その他の方式を用いても良い。その他の方式としては、例えば、インクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、静電気力を利用した静電方式、ミストを電界で制御するミスト方式等が、主な方式として挙げられる。
【0027】
図1、図2に示すように、キャリッジ24には、図1に示すように、ブラック(K)のインクを収納したカートリッジ31A、シアン(C)のインクを収納したカートリッジ31B、ライトブラック(LK)のインクを収納したカートリッジ31C、マゼンタ(M)のインクを収納したカートリッジ31D、ライトシアン(LC)のインクを収納したカートリッジ31E、ライトマゼンタ(LM)のインクを収納したカートリッジ31F、イエロー(Y)のインクを収納したカートリッジ31G、の7つのインクカートリッジ31A〜31Gが着脱可能に搭載される。
【0028】
これらのうち、本実施の形態では、ブラック(K)のカートリッジ31A、シアン(C)のカートリッジ31B、ライトブラック(LK)のカートリッジ31C、マゼンタ(M)のカートリッジ31Dは、暗色系の第1インク(以後、濃インクとする。)のカートリッジに対応し、ライトシアン(LC)のカートリッジ31E、ライトマゼンタ(LM)のカートリッジ31F、イエロー(Y)のカートリッジ31Gは、明色系の第2インク(以後、淡インクとする。)のカートリッジに対応するものとして説明する。しかしながら、濃インクのカートリッジと淡インクのカートリッジを隔てる境界は、これ以外にも種々設定可能である。暗色系のインクから単色系のインクの順に色を並べると、ブラック(K)、シアン(C)、ライトブラック(LK)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、イエロー(Y)となり、これらの並びの任意の位置を濃インクのカートリッジと淡インクのカートリッジを隔てる境界としても良い。
【0029】
なお、以下の説明においては、カートリッジ31A〜31Gをまとめて表記する場合、カートリッジ31とする。また、カートリッジ31は、7色には限られず、4色〜6色、8色または8色以上等、何色分であっても良い。また、本実施の形態では、カートリッジ31に充填されるインクは、顔料系インクとなっている。
【0030】
また、カートリッジ31は、キャリッジ24に搭載される、いわゆるオンキャリッジタイプのみならず、プリンタ20のうちキャリッジ24とは別途の固定的な場所に搭載される、いわゆるオフキャリッジタイプのどちらであっても良い。
【0031】
<プリンタの制御部等について>
図2に示すように、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM
(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)54、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)55、通信I/F56、ヘッドドライバ57、モータドライバ58等を具備する。そして、これらが相互にデータを送受信可能に接続されている。
【0032】
これらのうち、CPU51は、ROM52やEEPROM54に格納されているプログラムやデータに従って各種演算処理を実行し、プリンタ20の各部を制御する部分である。ROM52には、プリンタ20を制御するための制御プログラムおよび処理に必要なデータ等が記憶されている。RAM53は、CPU51が実行途中のプログラムあるいは、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。また、EEPROM54は、プリンタ20の電源を切った後も、保持しておくことが必要な各種データを記憶するためのメモリである。なお、ROM52やEEPROM54にも、後述するプリンタドライバプログラム83と同様のプログラムが存在する。
【0033】
ASIC55は、不図示の各種のセンサからの信号に基づいて、印刷ヘッド25および各種モータを駆動させるための専用のICである。また、通信I/F56は、不図示のコネクタを介してコンピュータ70と接続され、通信を行う。それにより、プリンタ20がコンピュータ70側から印刷信号(印刷データ)PSを受け取ると、その印刷信号(印刷データ)PSに基づいて、プリンタ20で印刷のための処理が開始される。また、通信I/F56を介して、プリンタ20側からコンピュータ70が各カートリッジ31のインクに関する情報を受け取る。
【0034】
また、ヘッドドライバ57は、ASIC55からの指令に応じて所定の電圧を生成し、その電圧を印刷ヘッド25内のピエゾ素子に印加する。モータドライバ58は、ASIC55からの指令に応じて所定の電圧を生成し、その電圧を各種のモータに印加する。
【0035】
<コンピュータの概略構成>
次に、印刷装置10のコンピュータ70の構成について、図4を参照しつつ説明する。図4に示すように、コンピュータ70は、CPU71、ROM72、RAM73、HDD(Hard Disk Drive)74、ビデオ回路75、I/F76、表示装置77、入力装置78および外部記憶装置79等によって構成されている。ここで、CPU71、ROM72、RAM73、I/F76は、上述の制御部50内のCPU51、ROM52、RAM53等と同様であるため、その説明は省略する。
【0036】
HDD74は、CPU71からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータやプログラムを読み出すと共に、CPU71の演算処理により生じるデータをハードディスクに記録する記録装置である。なお、HDD74に記録されているプログラムについては、図5に基づいて説明する。
【0037】
ビデオ回路75は、CPU71から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置77に出力する回路である。表示装置77は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタによって構成され、ビデオ回路75から出力された映像信号に応じた画像を表示する装置である。
【0038】
入力装置78は、例えば、キーボードやマウスを指し、ユーザの操作に応じた信号を生成して、I/F76に供給する装置である。外部記憶装置79は、例えば、CD−ROM(Compact Disk-ROM)ドライブユニット、MO(Magneto Optic)ドライブユニット、FDD(Flexible Disk Drive)ユニットによって構成され、CD−ROMディスク、MOディスク、FDに記録されているデータあるいはプログラムを読み出してCPU71に供給する装置である。また、MOドライブユニットおよびFDDユニットの場合には、CPU71から供給されたデータを、MOディスクまたはFDに記録する装置である。
【0039】
続いて、図5を参照して、コンピュータ70に実装されている各種のプログラムについて説明する。コンピュータ70には、アプリケーションプログラム81、ビデオ回路75を駆動させるためのビデオドライバプログラム82と共に、プリンタドライバプログラム83が実装されていて、このプリンタドライバプログラム83が所定のオペレーティングシステム(OS)の下で動作している。そして、このプリンタドライバプログラム83がRAM73等に読み込まれ、CPU71で演算される起動状態となると、印刷データ作成部に対応する部位が機能的に実現される。
【0040】
ここでいうアプリケーションプログラム81とは、例えば、画像処理または画像表示用のプログラムであり、ディジタルカメラ等から取り込まれた画像を加工処理したり、ユーザによって描画された画像を加工処理したり、所定の画像を表示させた後、プリンタドライバプログラム83およびビデオドライバプログラム82に出力する際に実行される。
【0041】
また、ビデオドライバプログラム82は、ビデオ回路75を駆動するためのプログラムであり、例えば、アプリケーションプログラム81から供給された画像データに対してガンマ処理やホワイトバランスの調整等を行った後、映像信号を生成して表示装置77に供給して表示させる際に実行される。
【0042】
また、プリンタドライバプログラム83は、アプリケーションプログラム81からの印刷命令に基づいて、画像データを当該アプリケーションプログラム81から受け取り、これをプリンタ20に供給する印刷信号(印刷データ)PSに変換する。このプリンタドライバプログラム83の内部には、解像度変換モジュール83aと、色変換モジュール83bと、ハーフトーンモジュール83cと、ラスタライザ83dと、色変換テーブルLUTと、が備えられている。
【0043】
解像度変換モジュール83aは、アプリケーションプログラム81で形成されたカラー画像データの解像度を、プリンタ20で印刷する際の解像度に変換する処理(例えば、プリンタ20が720dpi×720dpiの場合、画像データを720dpi×720dpiの解像度に変換する処理)を行う部分である。この解像度変換後の画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール83bは、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素毎に、RGB画像データを、プリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。例えば、プリンタ20がCMYKの4色からなる場合、色変換された多階調データは、CMYKの例えば256階調で表されるCMYKデータとなる。
【0044】
ハーフトーンモジュール83cは、上述の多階調データ(CMYKデータ)を、プリンタ20が形成する階調数のデータに変換する処理を行う部分である。例えば、印刷ヘッド25がインク滴のオン/オフの2階調のみで表現可能な場合、個々の画素(ドット)につき1ビットのデータに変換する処理を行い、印刷ヘッド25がインク滴のオン/オフに加えて、オンを更にインク滴の大・中・小で打ち分けることが可能な場合、個々の画素につき1ビットのデータに変換する処理を行う。なお、ハーフトーン処理においては、ディザ法、γ補正、誤差拡散法等の手法により、個々の画素(ドット)を分散させて画像データを形成する。
【0045】
ラスタライザ83dは、ハーフトーン処理後の画像データを、プリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替える処理を行う部分である。特に、本発明においては、このラスタライザ83dによって、先に濃インクのインク滴を噴射させると共に、その濃インクの噴射の後に淡インクのインク滴を噴射させるように、データ順が配列される。そして、このラスタライズ処理後の画像データは、最終的な印刷信号(印刷データ)PSとして、プリンタ20に出力される。なお、この印刷信号(印刷データ)PSには、副走査送り量を示すデータと、も含まれている。
【0046】
<印刷における処理フロー>
以上のような印刷装置10を用いて、印刷する場合の処理フローについて、図6に基づいて説明する。
【0047】
印刷に先立って、ユーザは、アプリケーションプログラム81を起動させ、所望の印刷対象データを表示させる。そして、ユーザが、例えば高精細な印刷を行うため等の所定の印刷モードを選択し、その後に印刷を指令すると、その印刷指令に基づいてプリンタドライバプログラム83が起動される(S01)。プリンタドライバプログラム83が起動されると、印刷対象データに対して、印刷データを生成するための処理が為される。具体的には、解像度変換モジュール83aによる印刷対照データに対してプリンタ20の印刷に応じた解像度変換処理、色変換モジュール83bによる色変換処理、ハーフトーンモジュール83cによるハーフトーン処理が為される(S02)。
【0048】
加えて、ラスタライザ83dによって、ハーフトーン処理後の画像データを、プリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替える処理(ラスタライズ処理)が行われる(S03)。このラスタライズ処理では、主走査方向における特定の画素列に着目すると、原則として2度のインク滴の噴射が為されるように、印刷データを配列する。このうち、先(1度目)に濃インクのインク滴を噴射し、後(2度目)に淡インクのインク滴を噴射するように、印刷データ(印刷信号PS)を配列する。
【0049】
なお、本実施の形態では、図3に示す濃インク噴射のノズル列25a〜25dからは、
先(1度目)に濃インクのインク滴を噴射する。そして、淡インク噴射のノズル列25e〜25gからは、後(2度目)に淡インクのインク滴を噴射している。
【0050】
また、この印刷データ(印刷信号PS)の形成は、(1)印刷ヘッド25の往復方向における移動のうち往路または復路のいずれかのみで印刷を行う単方向印刷、(2)往路および復路のいずれにおいても印刷を行う双方向印刷のいずれにおいても同様である。また、インターレース印刷のように、副走査方向に所定ピッチずつ進行しながら印刷する方式であっても、先(1度目)に濃インクのインク滴を噴射し、次に所定ピッチだけ副走査方向に印刷用紙Pを搬送した後(2度目)に淡インクのインク滴を噴射させるように、ラスタライズ処理で印刷データ(印刷信号PS)が配列される。
【0051】
そして、この印刷データ(印刷信号PS)に基づいて、プリンタ20では印刷が実行される(S04)。すると、先に濃インクのインク滴が印刷用紙Pに付着し、その後に淡インクのインク滴が付着する。
【0052】
以上のような手法による印刷では、印刷用紙Pに印刷画像の全体が形成されるまで、繰り返し行われたか否かを判断し(S05)、印刷画像の全体が形成されたと判断される場合(Yesの場合)には、処理を終了する。逆に、印刷用紙Pに印刷画像の全体が形成されていないと判断される場合、上記のS04に戻り、ラスタライズ処理された画像データのバッファに基づいて、印刷を継続する。
【0053】
ところで、S04の印刷実行の際の濃インクのインク滴を噴射してから淡インクのインク滴を噴射するまでの時間間隔は、濃インクが印刷媒体に吸収されるのに必要な吸収時間以上とすることが好ましい。この吸収時間は、濃インクのインク滴量と、濃インクのインク種類と、印刷媒体の種類とに基づいて算出される。
【0054】
ここで、インク滴量は、コンピュータ70においてハーフトーンモジュール83cが行うデータ処理によって得られるインク滴のオン/オフ又は大・中・小/オフに基づいて得られる。すなわち、印刷ヘッド25がオン/オフの2階調のみで表現可能なときは、インク滴量は、オンの場合には予め設定された量となり、オフの場合にはゼロとなる。また、印刷ヘッド25が大・中・小のインク滴で打ち分け可能なときは、インク滴量は、大・中・小の場合にはそれぞれ予め設定された量となり、オフの場合にはゼロとなる。
【0055】
また、インク種類は、プリンタ25に装着されたカートリッジ31の製品種類と、コンピュータ70においてハーフトーンモジュール83cが行うデータ処理によって選択されるインク色に基づいて特定される。
【0056】
なお、インク滴量及びインク種類についての情報は、ハーフトーンモジュール83cが行うデータ処理の結果としてコンピュータ70の記憶手段(例えば、ROM52)に記憶されている。また、印刷媒体の種類に関する情報は、プリンタの操作者がプリンタ20に設けられた印刷媒体種類入力受付部(不図示)に入力することによって取得される。一方、ラスタライザ83dは、後述するブリストー法に基づいて作成された計算式を含んでおり、上述の通り取得された情報に基づいて吸収時間を算出し、濃インクのインク滴噴射から少なくともこの吸収時間の経過後に淡インクのインク滴を噴射させるような画像データを生成する。
【0057】
次に、濃インクの印刷媒体への吸収時間を算出するブリストー法を説明する。
図7は、ブリストー法によってインクの印刷媒体93への吸収速度を計測する装置を示す図である。同図に示すように、吸収速度計測装置90は、印刷媒体93を外周面に固定して回転するブリストーホイール92と、ブリストーホイール92の回転軸方向に移動可能であってインクを含む計測用ヘッド91を備える。計測用ヘッド91は、ホイール92の回転軸方向に少しずつ移動しながらブリストーホイール92上に固定された印刷媒体93面を走査し、印刷媒体93面上の任意の位置に対して同一の条件でインクを印刷媒体93に浸透させる。ここで、接触時間は、インクが供給される計測用ヘッド91の接触部長さ(走査方向)をL(mm)、ブリストーホイール92の周速v(mm/s)からL/v(s)として求められる。また、計測用ヘッド91のインクがなくなるまで走査した後、印刷媒体93に残ったトレース長をD(mm)、トレース幅をw(mm)とすると、計測用ヘッドに充填したインクの体積V(ml)からV/Dw(ml/mm)がインクの単位面積当たりの浸透量となる。
【0058】
図8は、縦軸に浸透量(ml)を、横軸に接触時間(s)を取ることにより、各種インクの印刷媒体93への吸収速度を示すグラフである。同図に示すように、ブリストーホイール92の周速vを数段階に変えて計測してその結果をグラフ上にプロットする。ここで、プロットした線を結ぶ近似直線の傾きは、接触時間L/v(s)に対するインク浸透量V/Dw(ml)、すなわちインクの吸収速度(ml/s)を示す。図9は、このようにして求めた各種インクの吸収速度(ml/s)を示す表である。さらに、インク滴量(ml)をこのインク吸収速度(ml/s)で除すると吸収時間(s)を求めることができる。
【0059】
別の印刷媒体についても同様に計測すれば、その印刷媒体に印刷するときの各インク種類のインク吸収速度を求めることができる。
【0060】
ラスタライザ83dは、プリンタ20で使用可能なインクと印刷媒体についてこれらの組合せ毎のインク吸収速度を含んでおり、インク種類と印刷媒体種類についての情報を取得してインク吸収速度を算出する。さらに、インク滴量を取得し、インク滴量をインク吸収速度で除することにより吸収速度を算出する。
【0061】
<本発明の適用による効果>
以上のような印刷手法による効果について、図10および図11に基づいて以下に説明する。図10および図11は、インク滴の付着の様子を示す図であり、図10は従来例、図11は本発明に関するものである。図10(A),(C)に示すように先に淡インクのインク滴が付着して印刷用紙Pにドットが形成され、図10(B),(D)に示すように後に濃インクのインク滴が付着して印刷用紙Pにドットが形成される様子を示している。
【0062】
図10(A),(C)に示すように、先に淡インクのドットが形成される場合、濃インクのドットが形成されていない段階では、淡インクのドットをユーザは視認可能である。ところが、図10(B),(D)に示すように、ドットの上方に更にドットが重ねられる状態で形成される場合、上方に位置するドットの色が、下方のドットよりも視認性に大きな影響を及ぼす。上方に濃インクのドットが位置する場合、下方のドットが透けて見え難く、ユーザの目には、濃インクのドットのみが存在するかのような印象を受ける。特に、濃インクがブラック(K)に対応する場合、ブラック(K)のドットのみが視認でき、下方の淡インクのドットを視認することがほとんど期待できない。すなわち、図10(D)に示すような、粒状性が損なわれた、汚い形状の濃インクのドットが視認性に大きな影響を与えるため、印刷用紙Pに印刷される印刷画像全体としては、粒状性が悪化したかのような印象を受ける。
【0063】
一方、先に濃インクのドットが形成され(図11(A),(C))、後で淡インクのドットが形成される場合(図11(B),(D)、濃インクのドットの上方に淡インクのドットが位置する状態となる。その場合、上方に位置するドットの色の影響(淡インクのドットの影響)によって、下方の濃インクのドットの濃い色(暗色系の色)が幾分薄まる(淡くなる;明色系の色となる)状態で、視認可能となる。これは、経験則で言えば、例えば黒色の印刷用紙に淡インクのドットが形成される場合、黒色の印刷用紙の黒さ度合いが薄まって(淡くなって)見えることからも明らかである。
【0064】
すなわち、図11(D)に示すような、粒状性が損なわれた、汚い形状の淡インクのドットが形成されたとしても、視認性に対しては、濃インクのドットの場合よりも強い影響を与えない。加えて、濃インクのドットは、上記のように幾分薄まって(淡くなって)見えるものの、当該濃インクのドットが視認され、それが図11(D)に示すように、粒状に見えるため、従来のように淡インクのドットが先に形成され、後に濃インクのドットが形成される場合よりも、粒状性を確保することが可能となる。
【0065】
このように、本発明では、濃インクのインク滴の噴射によって形成されるドットの上方に、淡インクのインク滴の噴射によって形成されるドットが存在する状態となる。それにより、淡インクのドットの上方に濃インクのドットが形成される場合と比較して、下方に位置する濃インクのドットの暗色が、幾分淡インクのドットで明るく(淡く)なるものの、濃インクのドットの影響による粒状性を確保することが可能となる。そのため、印刷画像全体としては、画質を向上させることが可能となる。
【0066】
特に、ブラック(K)のインクの上方にイエロー(Y)のインクが付着する場合、濃インクのドットの影響による粒状性の確保が一層確実となり、一層粒状性を確保することが可能となり、印刷画質を一層向上させることが可能となる。
【0067】
<本発明の変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0068】
上述の実施の形態においては、印刷ヘッドとしては、図3に示すノズル列25a〜25gを有するものを例示している。しかしながら、印刷ヘッドは、図3に示すノズル列の配列に限られるものではない。例えば、図12に示すように、主走査方向に沿って、淡インク噴射のノズル列→濃インク噴射のノズル列→淡インク噴射のノズル列という状態でノズル列を配列しても良い。この場合、往路では図12に示すように、濃インクのノズル列と往路の後端側に位置する淡インクのノズル列との組み合わせが使用される。また、復路では濃インクのノズル列と復路の後端側に位置する淡インクのノズル列との組み合わせが使用される。それにより、一度の走査にて、先に濃インク噴射のノズル列から濃インクを噴射し、その後に淡インク噴射のノズル列から淡インクを噴射することができる。
【0069】
また、図13に示すように、副走査方向に沿って、濃インク噴射のノズル列→淡インク噴射のノズル列という状態でノズル列を配列しても良い。この場合、紙送り方向の下流側(排紙側)に濃インク噴射のノズル列を配列し、先に濃インクのインク滴が噴射されるようにする。このようにしても、一度の走査にて、先に濃インク噴射のノズル列から濃インクを噴射し、その後に淡インク噴射のノズル列から淡インクを噴射することができる。
【0070】
また、上述したように、上述のように、暗色系のインクから明色系のインクの順に色を並べると、ブラック(K)、シアン(C)、ライトブラック(LK)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、イエロー(Y)となる。そこで、暗色系のインクから先に、インク滴を噴射するようにしても良い。また、上記以外のインク(第1インク、第2インク)としては、ダークイエロー、オレンジ、グリーン、ライトライトブラック等がある。これらのうち、一般には、ダークイエローは濃インク系、オレンジ、グリーン、ライトライトブラックは、淡インク系に該当するが、いずれに属するかを種々変更するようにしても良い。
【0071】
また、明色系のインクに属するインクの色としては、明度が高いものが該当する。逆に暗色系のインクに属するインクの色としては、明度が低いものが該当する。
【0072】
さらに、上述の実施の形態では、印刷ヘッドは、主走査方向に移動する走査型のものとしているが、長尺状のライン型の印刷ヘッドを用いるようにしても良い。この場合、ノズル列の配列は、図13に示すものとすると共に、ノズル列の列方向が主走査方向(副走査方向と直交する方向)に沿う状態となる。
【0073】
また、図7においてインクの印刷媒体への吸収速度を計測する吸収速度計測装置90を例示して説明している。しかしながら、吸収速度計測装置90は、図7に示した方式には限られず、例えばレコードプレーヤで針がなぞるように螺旋状に走査する方式でもよい。また、計測用ヘッド91は、インク転移量を計測できるものであればインクを使い切る必要はない。
【0074】
また、上述の実施の形態では、プリンタ20として、インクジェット方式のプリンタを例示して説明している。しかしながら、プリンタ20は、インクジェット方式には限られず、例えばジェルジェット方式のプリンタに対して、本発明を適用することが可能である。また、上述の実施の形態におけるプリンタ20は、プリンタ機能以外の機能(スキャナ機能、コピー機能等)を備える構成のような、複合的な機器の一部であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態に係る印刷装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の印刷装置の制御回路を中心とした構成を示すブロック図である。
【図3】印刷ヘッドにおけるノズル列の構成を示す底面図である。
【図4】コンピュータの概略構成を示すブロック図である。
【図5】コンピュータに記憶されるプログラムの一例を示す図である。
【図6】印刷の際の処理フローを示す図である。
【図7】ブリストー法によってインクの印刷媒体93への吸収速度を計測する装置を示す図である。
【図8】縦軸に浸透量(ml)を、横軸に接触時間(s)を取ることにより、各種インクの印刷媒体93への吸収速度を示すグラフである。
【図9】各種インクの吸収速度(ml/s)を示す表である。
【図10】従来のインク滴の付着の様子を示す図である。
【図11】本発明のインク滴の付着の様子を示す図である。
【図12】印刷ヘッドのうち、主走査方向における変形例を示す図である。
【図13】印刷ヘッドのうち、副走査方向における変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 印刷装置
20 プリンタ
25 印刷ヘッド
25a〜25g ノズル列
31A〜31G カートリッジ
50 制御部
51 CPU
55 ASIC
70 コンピュータ
83 プリンタドライバプログラム(印刷データ作成部に対応)
83d ラスタライザ
90 吸収速度計測装置
91 計測用ヘッド
92 ブリストーホイール
93 印刷媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を印刷ヘッドから噴射することにより、印刷媒体にインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成するための印刷データを作成する画像処理装置であって、
上記インク滴のうち、先に暗色系の第1インクのインク滴を噴射させると共に、該第1インクのインク滴の噴射の後に、明色系の第2インクのインク滴を噴射させる順序で配列される印刷データを生成するための印刷データ作成部を具備する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1インクおよび第2インクは、顔料系インクのインクであると共に、
前記第1インクには少なくともブラックのインクが含まれると共に、前記第2インクにはイエローのインクが含まれる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1インクおよび第2インクは、顔料系インクのインクであると共に、
前記第1インクには、ブラック、シアン、マゼンタ、グレーのうちの少なくとも1つの種類のインクが含まれると共に、前記第2インクには、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトグレー、グリーン、オレンジ、イエローのうちの少なくとも1つの種類のインクが含まれることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷データ作成部は、印刷順に前記印刷データを作成するラスタライズ処理にて先に前記第1インクの前記インク滴を噴射させると共に、その後に前記第2インクの前記インク滴を噴射させる順序となるように前記印刷データを作成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
インク滴を印刷ヘッドから噴射することにより、印刷媒体にインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成可能な印刷装置であって、
上記インク滴のうち、先に暗色系の第1インクのインク滴を噴射させると共に、該第1インクのインク滴の噴射の後に、明色系の第2インクのインク滴を噴射させる順序で配列される印刷データを生成するための印刷データ作成部を具備する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
インク滴を印刷ヘッドから噴射することにより、印刷媒体にインク滴が付着して粒状性を有するドットを形成可能な印刷方法であって、
上記インク滴のうち、先に暗色系の第1インクのインク滴を噴射させると共に、該第1インクのインク滴の噴射の後に、明色系の第2インクのインク滴を噴射させる順序で印刷を実行する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
前記第1インクの噴射するインク滴量及びインク種類、並びに前記印刷媒体の種類をそれぞれ取得し、
前記インク滴量と、前記インク種類と、前記印刷媒体の種類とに基づいて、前記第1インクのインク滴が前記印刷媒体に浸透する浸透時間を求め、
前記第1インクの噴射から前記浸透時間の経過後に前記第2インクを噴射させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
上記インク滴のうち、先に第3インクのインク滴を噴射させると共に、該第3インクのインク滴の噴射の後に、第4インクのインク滴を噴射させる順序で印刷を実行し、
前記第3インクの噴射と前記第4インクの噴射との時間間隔が前記浸透時間よりも短い、
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記第1インクの噴射と前記第2インクの噴射との時間間隔は、前記第1インクの噴射するインク滴量が多い場合には前記第1インクの噴射するインク滴量が少ない場合よりも長い、
ことを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−190394(P2009−190394A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278684(P2008−278684)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】