説明

画像処理装置、周辺監視システム、および、プログラム

【課題】高精度と高速性とを両立させた対応点探索を行う3次元画像処理技術を提供する。
【解決手段】撮像部2は、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が切り換わるマルチモード撮影制御部201を備える。画像処理装置は、この撮像部2で撮像されたステレオ画像信号を入力し、当該ステレオ画像信号に含まれる複数の画像間の空間的対応関係を決定して撮像対象体の3次元画像情報を得る。撮像された画像のうち、線形変換特性で光電変換された領域については、高精度の第1の対応点探索方法を適用し、対数変換特性で光電変換された領域については、高速の第2の対応点探索方法を適用して、3次元画像情報を得る。画像領域の種類ごとに異なる特性の対応点探索方法を使い分けることによって、高精度と高速性とを両立させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関するもので、特に、ステレオ画像の対応点探索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車やロボットのように自走するシステムが安全に走行する事を目的として、システムにカメラを搭載することにより、前方や周辺に存在する衝突の可能性のある対象物を検出し、衝突可能性の有無を自動で判定するシステムの開発が進められている。
【0003】
対象物体との衝突可能性判定をするにあたっては、1台のカメラにより算出するような手法を適用することも可能であるが、移動速度が小さい場合(相対速度が小さい)や、対象物が遠くに存在するような場合では、精度良く検出することが出来ない可能性がある。また、対象物体の種類(車種・人)などの判別や抽出が必要となり、処理も複雑となる。
【0004】
これらの問題を解決する方法として、ステレオカメラにより距離情報を算出し、算出した距離情報を基に、対象物体との衝突可能性の判定を行う方法(例えば、特許文献1)、物体検出・周辺監視方法(例えば、特許文献1および特許文献2)が提案されている。これらの距離情報を用いた衝突可能性における解析の利点は、対象物の時間方向での位置を精度良く抽出することができる点にあり、対象物の移動速度、距離から高精度に衝突可能性の判定を行う事が出来る。
【0005】
また、ステレオカメラから距離情報を算出する場合、対応点探索精度が重要となるが、様々な対応点探索方法が提案されている(例えば、特許文献3ないし特許文献6)。
【0006】
一方、ステレオカメラなどの撮像素子において、ダイナミックレンジを広くすることを目指して、入射光量に対して線形的に変換した電気信号と、入射光量に対して対数的に変換した電気信号との出力が可能な撮像素子(以下、Linear-Log特性を持つセンサと称する)が提案されてきているが、Linear-Log特性を持つセンサの補正方法として、距離計測システムも提案されている(例えば、特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−134035号公報
【特許文献2】特開2006−54504号公報
【特許文献3】特開2008−89402号公報
【特許文献4】特開2009−146296号公報
【特許文献5】特開2008−216126号公報
【特許文献6】特開2008−236276号公報
【特許文献7】特開2008−046004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
広ダイナミックレンジのLinear-Log特性を持つセンサ出力では、例えば、対向車のライトなどの影響による露出オーバー領域を含むような領域に対して画像補正を行ったうえで、対応点探索を行う事が精度向上に繋がると考えられる。
【0009】
しかしながら、Linear-Log特性をもつセンサ出力において、対数変換特性領域では、輝度差が少なく、細かい変化は潰れてしまうという特徴を持つため、周波数特性による対応点探索の精度が低下する。また、温度などの条件変化により変曲点が画素ごとにばらつくため、変曲点付近において、対応点探索精度の低下をもたらす。
【0010】
したがって、従来の技術では、露出オーバー領域を含むような画像において、装置や処理が複雑化するなどの原因により、精度良く対応点探索を行う事が難しい状況にある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高精度と高速性とを両立させた対応点探索を行うことが可能な画像処理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が切り換わるステレオ撮像手段を用いて撮像されたステレオ画像信号を入力し、前記ステレオ画像信号に含まれる複数の画像間の空間的対応関係を決定して撮像対象体の3次元画像情報を得る画像処理装置であって、(a)前記ステレオ画像信号のうち、線形変換特性で得られた画像領域としての線形領域には、第1の対応点探索方法を適用して前記複数の画像間の対応点探索を行い、対数変換特性で得られた画像領域としての対数領域には、第2の対応点探索方法を適用して前記複数の画像間の対応点探索を行なう対応点探索手段と、(b)前記対応点探索手段による対応点探索結果に基づいて、撮像対象体の3次元画像情報を得る手段とを備え、前記第1の対応点探索方法として、前記第2の対応点探索方法よりも高精度の探索結果を与える方法が採用される一方、前記第2の対応点探索方法として、前記第1の対応点探索方法よりも高速に探索結果を与える方法が採用されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記画像処理装置が、前記ステレオ画像の各画像領域の特徴量に基づいて、前記ステレオ画像の各画像領域が線形領域であるか対数領域であるかを判定する特性判定手段をさらに備え、前記対応点探索手段は、前記特性判定手段の判定結果に基づいて、画像領域ごとに、前記第1と第2の対応点探索方法とのいずれか一方を選択して適用することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記ステレオ撮像手段に、入射光量にかかわらず線形変換特性で光電変換する線形撮像モードでの撮像と、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が変化する複合撮像モードでの撮像とを、周期的に切り替えて実行させるマルチモード撮影制御手段をさらに備え、前記特性判定手段は、前記複合撮像モードで得たステレオ画像の各画像領域が線形領域であるか対数領域であるかについての判定を、前記線形撮像モードで得たステレオ画像に基づいて実行することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の画像処理装置であって、前記特性判定手段が、前記線形撮像モードで得られた画像における露出オーバー領域を検出する手段と、前記複合撮像モードで得られた画像において、前記露出オーバー領域に対応する対応領域を特定する手段とを備え、前記対応点探索手段は、前記複合撮像モードで得られた画像のうち、前記対応領域については前記第2の対応点探索方法によって対応点探索を行い、残余の領域については前記第1の対応点探索方法によって対応点探索を行うことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項3または請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記線形撮像モードと前記複合撮像モードとは同一の撮像素子の時間差でのモード切り換えであり、前記対応点探索手段は、前記線形撮像モードの連続2回以上の撮像結果を時間的に外挿することにより、前記複合撮像モードにおける前記対応領域の場所を推定することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記対応点探索決定手段が、前記第1の対応点探索方法による対応点探索を部分的に行うとともに、当該部分的な対応点探索によって得られる対応点の信頼度を示す指標値を求める手段と、前記指標値が所定の閾値以上となっている場合には前記第1の対応点探索方法を継続する一方、前記指標値が前記閾値未満のときには前記第2の対応点探索方法に切り換える手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の何れかに記載の画像処理装置であって、前記第1の対応点探索方法は、前記複数の画像の周波数特性に基づいて、サブピクセル精度での対応点探索を行う方法であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項6の何れかに記載の画像処理装置であって、前記第2の対応点探索方法は、前記複数の画像の輝度値の相互関係に基づいて、対応点探索を行う方法であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし請求項6の何れかに記載の画像処理装置であって、前記第2の対応点探索方法は、前記複数の画像の周波数特性に基づいて、ピクセル精度で対応点探索を行う方法であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9の何れかに記載の画像処理装置と、前記撮影対象体の3次元画像情報に基づいて、前記撮影対象体が所定の条件を満足するか否かの判定を行う対象体判定手段と、前記対象体判定手段により前記撮影対象体が前記所定の条件に満足すると判定されたときに、警告を行う警告手段とを備えることを特徴とする周辺監視システムである。
【0022】
また、請求項11の発明は、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置と、前記撮影対象体の3次元画像情報に基づいて、前記撮影対象体が所定の条件を満足するか否かの判定を行う対象体判定手段と、前記対象体判定手段により前記撮影対象体が前記所定の条件に満足すると判定されたときに、警告を行う警告手段とを備え、前記ステレオ画像における前記撮影対象体が、前記線形領域および前記対数領域のうちの一方の領域だけに局在している場合には、前記マルチモード撮影制御手段は、前記線形撮像モードおよび前記複合撮像モードのうち、当該局在領域に対応する一方の撮像モードでの撮像割合を増加させることを特徴とする周辺監視システムである。
【0023】
また、請求項12の発明は、請求項10または請求項11に記載の周辺監視システムであって、前記警告手段が、前記複合撮影モードでの撮像で得た画像を所定の画面表示手段に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0024】
また、請求項13の発明は、コンピュータにインストールされて実行されることによって、前記コンピュータを、請求項1ないし請求項9いずれかに記載の画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0025】
また、請求項14の発明は、請求項13に記載のプログラムであって、前記プログラムを前記コンピュータで実行させることにより、前記コンピュータを、請求項10ないし請求項12いずれかに記載の周辺監視システム用の画像処理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1ないし請求項14の発明によれば、線形変換特性と対数変換特性とのそれぞれの特性に応じて、ステレオ画像の各画像領域につき、高精度の対応点探索処理と、高速性な対応点探索処理とを適切に使い分けることが可能となる。その結果、高精度と高速性とを両立させた対応点探索を行うことが可能となる。
【0027】
請求項3の発明によれば、線形撮像モードのステレオ画像に基づいて、複合撮像モードのステレオ画像の各画像領域が線形領域であるか対数領域であるかを判定するため、複合撮像モードでの領域判定が正確になる。
【0028】
請求項4の発明によれば、線形撮像モードにおける露出オーバー領域が、複合撮影モードでは対数領域になることが多いという関係を利用するため、複合撮影モードでの領域判定が容易かつ正確となる。
【0029】
請求項5の発明によれば、線形撮像モードの連続2回以上の撮像結果を時間的に外挿して、複合撮像モードにおける対応領域の場所を推定することにより、被写体に動きがある場合の領域判定が容易かつ正確となる。
【0030】
請求項6の発明によれば、第1の対応点探索方法により部分的に対応点探索を実施し、算出された対応点の信頼度に基づいて、第2の対応点探索方法による対応点探索を実施するか否かを決定することで、効率的かつ精度良く対応点探索を行うことができる。
【0031】
請求項10ないし請求項12の発明によれば、撮影対象体が所定の条件を満足するか否かの判定において、正確性と高速性とを組み合わせた結果を得ることができる。
【0032】
請求項11の発明によれば、撮影対象体が、線形領域および対数領域のうちの一方の領域だけに局在している場合に、その局在領域に対応する光電変換特性での撮影の比重を高めるため、効率的に対応点探索を行うことができる。
【0033】
請求項12の発明によれば、複合撮影モードでの撮像結果で画面表示を行うため、視覚的に見やすい効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
【図2】Linear-Log特性を例示する図である。
【図3】変曲点が画素ごとにばらつく様子を説明する図である。
【図4】撮像モードを変えて、撮像された画像の変化を説明する図である。
【図5】一実施形態に係る演算制御部の機能的な構成例を示す図である。
【図6】時系列で得られるステレオ画像の一例を説明する図である。
【図7】特性の判定方法について説明する図である。
【図8】POC処理の流れを説明する図である。
【図9】POC関数について説明する図である。
【図10】特性領域に応じた対応点探索について説明する図である。
【図11】一実施形態に係る対応点探索動作のフローを示すフローチャートである。
【図12】一実施形態に係る対応点探索動作のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<1.画像処理システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。画像処理システム1は、多視点カメラシステムとして構成されており、撮像部2として2眼のステレオカメラ20を備えるほか、ステレオカメラ20に対してデータの送受信が可能に接続される画像処理装置3を備える。
【0036】
ステレオカメラ20は、撮像素子21a、22aをそれぞれ有する2つの撮像系21,22から構成されている。撮像系21,22は、カメラ正面の被写体(撮像の対象体)OBを、同じタイミングで異なる視点から撮像するように構成される。撮像系21,22による同じタイミングの撮像によって得られる2つの画像信号(以下「画像」と略称する)は、データ線CBを介して画像処理装置3に送信される。
【0037】
以下では、撮像系21の撮像によって取得される画像を「第1撮像画像」G1と称し、撮像系22の撮像によって取得される画像を「第2撮像画像」G2と称する。つまり、第1および第2撮像画像G1,G2は、同一の被写体OBが異なる視点からそれぞれ捉えられた画像の組を成す。
【0038】
ここでは、説明を簡素化するために、ステレオカメラ20の収差は良好に補正されているとする。また、撮像系21,22は所定方向に沿って離隔配置され、撮像系21,22の光軸が略平行(好ましくは完全に平行)に設定される状態を前提にする。さらに、撮像系21,22の撮像素子21a、22aは、Linear-Log特性を持つ。
【0039】
画像処理装置3は、例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)のような情報処理装置で構成され、マウスやキーボード等を含む操作部31と、液晶ディスプレイ等で構成されるディスプレイ32と、スピーカ33と、ステレオカメラ20からのデータを受信するインターフェース(I/F)37とを備える。また、画像処理装置3は、記憶装置34と演算制御部36とを有する。
【0040】
記憶装置34は、例えばハードディスク等で構成され、ステレオカメラ20の撮像によって得られる第1および第2撮像画像G1,G2を記憶する。また、記憶装置34には、後述される変曲点制御を行うためのプログラムPG等が格納される。
【0041】
入出力部35は、例えば可搬性ディスクドライブを備えて構成され、光ディスク等の可搬性記憶媒体をセットして、演算制御部36との間でデータの授受を行う。
【0042】
演算制御部36は、プロセッサとして働くCPU36aと、情報を一時的に記憶するメモリ36bとを有し、画像処理装置3の各部を統括的に制御する。演算制御部36では、記憶部34内のプログラムPGが読み込まれて実行されることで、各種機能や各種情報処理等が実現される。なお、メモリ36bには、可搬性記憶媒体に記憶されているプログラムデータを、入出力部35を介して格納させることができる。この格納されたプログラムは、画像処理装置3の動作に適宜反映可能である。
【0043】
演算制御部36は、後述する対応点探索動作によって得られる情報を基に、撮影対象体との距離を算出し、ディスプレイ32により、特定の被写体OBの画像を可視的に出力する。なお、演算制御部36で算出された距離情報に基づいて、衝突するなど危険と判断された場合には、スピーカ33により警告を行う。
【0044】
<1−1.Linear-Log特性の一般的性質と前提事情>
この実施形態における撮像素子21a、22aの変曲点制御の詳細を説明する準備として、この実施形態の前提となるLinear-Log特性の一般的性質と、それに伴って生じる事情、すなわち従来技術で生じていた事情を説明しておく。
【0045】
Linear-Log特性を持つ撮像素子を以下では「L-L特性センサ」と略称することにすると、L-L特性センサでは、撮像素子の画素に相当する各フォトダイオードで発生した光電流を、MOSFETを通して積分回路に与え出力信号を得ている。低照度時には線形変換特性(Linear特性)となり、フォトダイオードで発生した光電流の時間積分値(入射光量)に比例する出力信号が得られ、高照度時には対数変換特性(Log特性)となり、フォトダイオードで発生した光電流の時間積分値(入射光量)に対数的に依存する出力電圧が得られる。それらの境界(臨界点)としての変曲点は、非撮像時のMOSFETのゲート電圧と、撮像時のMOSFETのゲート電圧との差を変更することによって移動させることができる。変曲点の制御信号は、このようなゲート電圧差を可変に設定する信号である。
【0046】
図2は、ステレオカメラ20からの画像信号を例示する図である。図2で示されるように、線形変換特性のみ有するセンサでは、入射光量に係わらず、輝度を線形変換特性で出力するので、破線で示されるように出力限界値MOを超えると露出オーバー領域となる。一方、Linear-Log特性を持つセンサ(以下「L-L特性センサ」と略称)では、入射光量がα以下の場合には輝度を線形変換特性で出力するが、入射光量がα以上の場合には対数変換特性に変換して出力するため、入射光量がかなり高い領域まで出力限界値MOを超えない。また、この時、入射光量がαに相当する点(入射光量=α,出力=H)、すなわち、線形変換特性から対数変換特性に変更される点が変曲点CPとなる。
【0047】
その一方で、L-L特性センサでは、下記(I)(II)のような課題が存在する。
【0048】
(I) 温度などの条件変化により変曲点が画素ごとにばらつく特徴をもつ。このことから、変曲点付近において対応点探索精度の低下をもたらす課題がある。
【0049】
図3は、変曲点が画素ごとにばらつく様子を説明する図である。図3で示されるように、変曲点CPの位置が変動し、対数変換特性領域における係数c1,c2,c3、および、変曲点のオフセット値d1,d2,d3がばらつくことになる。したがって、温度などの外的条件の変化に伴い、線形変換特性領域から対数変換特性領域に移る変曲点CPの位置(α、H)の変動、および、対数変換特性領域の傾きと係数とがセンサごとにばらつく現象が発生する。これは、変曲点付近において対応点探索精度の低下をもたらす結果となる。
【0050】
(II) 対数変換特性領域では、入射光量の変動幅に対応する輝度の変動幅が小さいという特徴をもつ。このことから、周波数特性による対応点探索の精度低下に繋がる。
【0051】
図4は、撮像系21,22によって撮像された第1および第2撮像画像G1,G2である。図4(a)は、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が変化する複合撮像モードで高輝度の被写体を撮像したものであるのに対し、図4(b)は、入射光量にかかわらず線形変換特性で光電変換する線形撮像モードで高輝度の被写体を撮像したものである。図4(a)で示されるように、第1および第2撮像画像G1,G2共に、部分的に潰れることがなく被写体OBの画像が得られているのに対し、図4(b)では、第1および第2撮像画像G1,G2ともに、高照度の露出オーバー領域では、被写体OBの画像の細かい変化が潰れてしまっている。
【0052】
このように、露出オーバー領域が存在する高照度時の撮影としては、例えば、夜間のようなシーンで、対向車のライトにより露出オーバーしてしまう事態が想定される。車載の周辺監視においては、このような領域こそ、衝突可能性のある物体を検出することが重要な領域といえる。しかしながら、線形変換特性のみを持つセンサでは、露出オーバー領域は、画像が潰れて出力されるため、基準画像と参照画像との間で対応点探索を行う際、高精度な探索結果が得られない。この結果、被写体OBの距離情報を誤って算出してしまうことに繋がる。
【0053】
一方、L-Lセンサでは、露出オーバーとなる領域を対数変換特性により画像補正を行うことより、露出オーバー領域が無くなり、周辺監視制度を高めることが可能である(図4(a)参照)。しかしながら、対数変換特性領域は輝度差が少ない故、線形変換特性領域と比べて高精度な画像は得られず、また図3に示すように、温度などの条件変化により変曲点が画素ごとにばらつく課題もある。
【0054】
このような背景の下、本発明では、L-Lセンサにおいて、線形変換特性領域と対数変換特性領域とで、互いに異なる対応点探索法を用いる。
【0055】
<2.画像処理システムの機能構成>
本発明の実施形態の説明に戻る。画像処理装置3は、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が切り換わるステレオカメラ20を用いて撮像されたステレオ画像信号を入力し、当該ステレオ画像信号に含まれる複数の画像間の空間的対応関係を決定して撮像対象体の3次元画像情報を得ることを特徴とする。ここでは、とりわけ、対応点探索動作を実行するために演算制御部36で実現される機能的な構成を説明する。
【0056】
図5は、演算制御部36の機能的な構成を示す図である。なお、ここでは、演算制御部36の機能的な構成が、プログラムPGの実行によって実現されるものとして説明するが、専用のハードウエア構成で実現されても良い。
【0057】
図5で示されるように、撮像部2からデータを受信して、演算制御部36は、機能的な構成として、ステレオ画像取得部361、特性判定部362、対応点探索部363、距離情報算出部364、対象体候補検出部365、対象体判定部366、および、警告部367を有する。以降、各処理について図5を参照しながら説明する。
【0058】
<2−1.撮像部2>
撮像部2は、自動車の前方空間を撮像可能に自動車の所定位置に設置される。この撮像部2は、ステレオ画像を取得し、画像処理装置3に画像信号を送信する役割を持つ。また、入射光量にかかわらず線形変換特性で光電変換する線形撮像モードでの撮像と、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が変化する複合撮像モードでの撮像とを、周期的に切り替えて実行させるマルチモード撮影制御部201を備える。図1では、ステレオカメラ20の撮像系21,22のセンサに該当する。なお、撮像部2は予めキャリブレーションされており、カメラのパラメタは既知であることを前提条件とする。
【0059】
<2−2.ステレオ画像取得部361>
ステレオ画像取得部361では、撮像部2によって送信された画像信号を取得する。ここで、対応点探索動作では、第1撮像画像G1が基準となる画像(以下「基準画像」とも称する)とされ、第2撮像画像G2が参照される画像(以下「参照画像」とも称する)とされる。そこで、第1撮像画像G1を基準画像G1と称し、第2撮像画像G2を参照画像G2と称する。
【0060】
なお、ステレオ画像取得部361では、厳密には、基準画像G1および参照画像G2を示すデータが取得されるが、本明細書では、基準画像G1を示すデータと該データに基づいて表示される基準画像G1そのものとを「基準画像G1」と総称し、参照画像G2を示すデータと該データに基づいて表示される参照画像G2そのものとを参照画像G2と総称する。
【0061】
図6は、時系列で得られるステレオ画像の一例を示した図である。図6に示すように、取得されたステレオ画像は、例えば、マルチモード撮影制御部201で撮影を行った基準画像G1(A0,A1,A2,…)と参照画像G2(B0,B1,B2,…)との撮影タイミングは互いに同期している。そして基準画像G1と参照画像G2とのうち、対応するフレームの画像の相互間では同じ特性の画像を取得する。すなわち、基準画像A0が線形変換特性で撮像される場合には、参照画像B0もまた線形変換特性で撮像され、基準画像A1がLinear-Log変換特性で撮像される場合には、参照画像B0もまたLinear-Log変換特性で撮像される。
【0062】
また、
・線形変換特性で撮像された画像を、「線形モード画像」と、
・Linear-Log特性で撮像された画像を、「複合モード画像」と、
それぞれ呼ぶことにすれば、この実施形態では、基準画像G1と参照画像G2とのいずれについても、線形モード画像A0,A2,…(B0,B2,…)と、複合モード画像A1,A3,…(B1,B3,…)とが、一定の時間間隔Δtで1フレームずつ交互に取得されるように、周期的に撮像フレームを切り替える。
【0063】
この実施形態では、撮像素子21a、22aのそれぞれが、線形撮像モードと複合撮像モードとのいずれでも撮像可能な素子で構成され、タイミング制御信号に基づいてフレームごとに線形撮像モードと複合撮像モードとに切り替えることにより、線形モード画像と複合モード画像とを取得する。
【0064】
これに関しては、後述する対象体判定部366の判定結果に基づいて、どちらかのフレームのウェイトが重くなるようにしてもよい。この場合、たとえば単位時間あたりの線形変換特性画像とLinear-Log特性画像とのフレーム比を、m:n(m,nは互いに異なる正整数)として、連続する(m+n)フレームを1周期とする繰返しでの撮像を行う。
【0065】
<2−3.特性判定部362>
特性判定部362では、ステレオ画像G1,G2の各画像領域の特徴量に基づいて、これらステレオ画像G1,G2のうち、複合モード画像の各画像領域が、
・線形変換特性で光電変換された領域(以下「線形領域」)であるか、
・対数変換特性で光電変換された領域(以下「対数領域」)であるか、
を判定する。
【0066】
そこではまず、線形モード画像A0,A2,…(B0,B2,…)における各画像領域の露光状態に基づく予備的判定を行い、それに基づいて、それぞれの次フレームの複合モード画像A1,A3,…(B1,B3,…)の各画像領域が、線形領域であるかそれとも対数領域であるかを推定する。すなわち、この態様におけるステレオ画像G1,G2の各画像領域の特徴量としては輝度を採用していることになる。
【0067】
複合モード画像A1,A3,…(B1,B3,…)では、既に線形変換特性と対数変換特性とが空間的に混在した状態で変換されているため、それらの画像自身の解析から、どの領域がどのような光電変換特性を得たものであるかの判定を行うのは複雑である。これに対して、線形モード画像A0,A2,…(B0,B2,…)では、画像の全領域が線形変換特性で変換されているため、
・着目する画像領域が望ましい画像表現性を実現していれば、当該領域は線形変換特性が適合しており、複合モード画像でも線形変換特性で変換される領域であると判定し、
・着目する画像領域の画像表現性が不足していれば、その領域は線形変換特性には不適であるために、複合モード画像では対数変換特性で変換される領域である、
と判定できることになる。
【0068】
一般には撮像システムと被写体とは相対的に移動しているため、線形モード画像での領域タイプ判定の結果を、次のフレームの複合モード画像における特性タイプ判定に適用すると誤差が生じる。たとえば線形モード画像で対向車のヘッドライトによって露出オーバーとなっている領域の範囲と、次の複合モード画像でのヘッドライト範囲とは厳密には同じではない。しかしながら、高速フレームレートでの撮像では、時間的に隣接するフレーム間での被写体の移動量は比較的少ないため、そのような誤差は実用上の支障とはならない。
【0069】
ただし、ある程度以上の時間スパンで考えると撮像系に対する被写体の相対位置が変化するため、1つのフレームの線形モード画像で得た特性タイプ判定の結果は、次に得た複合モード画像の領域タイプ判定にだけ使用し、新たな線形モード画像を取得したときには、それによって特性判定を更新する。これよって、誤差の蓄積を防止できる。
【0070】
図7はこのような原理に基づく特性判定をより具体的に説明する図である。ここでは基準画像G1について説明するが、参照画像G2についても同様である。
【0071】
図7において、時刻T,T+Δt,T+3Δt,…で撮像されるフレームでは線形モード画像A0,A2,…が得られ、時刻T+2Δt,T+4Δt,T+6Δt,…で撮像されるフレームでは複合モード画像A1,A3,…が得られる。
【0072】
そして、時刻Tにおける線形モード画像A0の各領域(各空間部分)が、
・露出オーバーしていない領域(以下「適正露出領域」)LN0と、
・露出オーバーしている領域(以下「過剰露出領域」)LG0と、
のいずれであるかの判定を行う。
【0073】
このうち、適正露出領域LN0は、当該領域に含まれる画素の多くが撮像素子21a、22aの出力限界値(上限値)MO未満となっているような領域である。また、過剰露出領域LG0は、入射光量が過多であるために、当該領域に含まれる画素の全部または圧倒的多数(所定閾値以上の割合の画素)が撮像素子21a、22aの輝度出力の上限値MOと一致しているような領域である。これらの領域区分は相補的であるから、適正露出領域LN0を検出してそれ以外を過剰露出領域LG0としてもよく、その逆に、過剰露出領域LG0を検出してそれ以外を適正露出領域LN0としてよい。
【0074】
これらのうち、適正露出領域LN0では線形変換が有効に機能していることになるから、その領域については線形モード画像においても複合モード画像においても画像精度が高いが、線形モード画像において過剰露出領域LG0となっている領域では画像情報の多くが失われており、同一の被写体を複合モード画像で撮影したフレームにおいても画像精度はあまり高くない領域と推定できる。すなわち、線形モード画像とは異なり、複合モード画像では対数変換が機能するから、過剰露出領域LG0においても画像が完全に潰れるわけではなく、画像上の濃淡は表現されている。しかしながら、複合モード画像においても、適正露出領域LN0に対応する線形領域LN1と比較すれば、過剰露出領域LG0に対応する対数領域LG1での画像情報の精度は低くなっていると推定することができる。
【0075】
そこで、次のフレームに該当する時刻T+Δtで得た複合モード画像A1においては、各画像領域を、
・時刻Tの線形モード画像A0において判定された適正露出領域LN0に空間的に対応し、複合モード画像では線形領域LN1となっていると想定される領域と、
・時刻Tの線形モード画像A0において判定された過剰露出領域LG0に空間的に対応し、複合モード画像A1においては対数領域LG1となっていると想定される領域と、
に区分する。
【0076】
これは、線形モード画像A0における適正露出領域(または過剰露出領域)の画素分布に相当するビットマップパターンを作成して記憶しておき、それらをそのまま複合モード画像A1の画素座標にあてはめることによって達成することができる。
【0077】
以後も同様に、時刻T+2Δtで得られた線形モード画像A2の各領域について特性判定を行って適正露出領域と過剰露出領域とを区分する。そして、次の時刻T+3Δtで得られる複合モード画像A3については、線形モード画像A2で区分された適正露出領域と過剰露出領域とに空間的に対応する部分を、それぞれ適正露出領域と過剰露出領域とする。
【0078】
以上を繰り返すことで、ステレオ画像G1,G2のそれぞれの複合モード画像における各画像領域が、
・線形モード画像の適正露出領域に対応する領域(「線形領域」)であるか、
・線形モード画像の過剰露出領域に対応する領域(「対数領域」)であるか、
を判定することができる。すなわち、線形モード画像A0,A2,…で得られた画像における過剰露出領域の検出に基づいて、複合撮像モード画像A1,A3,…において、当該過剰露出領域に空間的に対応する対数領域を特定(推定)していることになる。これに伴って、各線形モード画像における適正露出領域と、それに対応する複合モード画像での線形領域もまた特定(推定)されてゆく。
【0079】
これらにおいて、
・「適正露出領域」と「線形領域」とは、空間的に互いに対応しており、
・「過剰露出領域」と「対数領域」とは、空間的に互いに対応しているが、
これらのうちの「適正露出領域」と「過剰露出領域」とは、線形モード画像において露出がオーバーしているか否かとの点からの区分であり、「線形領域」と「対数領域」とは、複合モード画像において線形変換特性と対数変換特性とのいずれの光電変換特性で得られた画像領域であるかを区別するためのものであるため、別個の用語を使用することによって概念としての違いを表現している。
【0080】
<2−4.対応点探索部363>
対応点探索部363では、ステレオ画像信号のうち、線形変換特性で得られた画像領域としての線形領域には、第1の対応点探索方法を適用して複数の画像間の対応点探索を行い、対数変換特性で得られた画像領域としての対数領域には、第2の対応点探索方法を適用して複数の画像間の対応点探索を行なう。対応点探索部363は、特性判定部362の判定結果に基づいて、画像領域ごとに、第1と第2の対応点探索方法とのいずれか一方を選択して適用する。
【0081】
第1の対応点探索方法としては、第2の対応点探索方法と比較して高精度の探索結果を与える方法が採用され、第2の対応点探索方法としては、第1の対応点探索方法と比較して高速に探索結果を与える方法が採用される。これより、第1の対応点探索方法による処理部(以下、「第1の対応点探索処理部363aと称する)では、第2の対応点探索方法による処理部(以下、「第2の対応点探索処理部363b」と称する)よりも高精度の探索結果を与える。一方、第2の対応点探索処理部363bでは、第1の対応点探索処理部363aよりも高速に探索結果を与える。
【0082】
図4に戻り説明すると、図4(a)で示される複合撮像モードで得られた画像のうち、図4(b)で示される線形モード画像の過剰露出領域に対応する対数領域については第2の対応点探索処理部363bによって対応点探索を行い、残余の領域(線形領域)については第1の対応点探索処理部363aによって対応点探索を行うことになる。
【0083】
本実施形態では、具体的に、第1の対応点探索処理部363aでは、基準画像G1および参照画像G2(一般には複数の画像)の周波数特性に基づいたサブピクセルレベルのPOC処理を採用し、第2の対応点探索処理部363bでは、基準画像G1および参照画像G2(一般には同様に複数の画像)の輝度値の相互関係に基づいたSAD処理の採用、または、ピクセルレベルのPOC処理を採用する。ただし、上記の特性判定部362で関連付けされた線形モード画像と複合モード画像とを1セットとし、基準画像G1および参照画像G2のうち線形モード画像同士を使用した対応点探索結果と、複合モード画像同士を使用した対応点探索結果とを比較し、所定の精度判定条件で精度を判定して、より高い精度を持つ方を採用するようにしても良い。
【0084】
以下、対応点探索処理としてのSAD手法およびPOC手法の概略を説明する。ここでは、現フレームの取得時刻をtとし、現フレームより1フレーム前の前フレームの画像取得時刻をt−1とする。また、現フレームにおいて、基準画像G1に基準ウインドウg1(t)を、参照画像G2に参照ウインドウg2(t)をそれぞれ設定し、現フレームより1フレーム前の画像のウインドウはそれぞれ、g1(t−1)およびg2(t−1)と表現する。ただし、ウインドウg1,g2は図面上には表現されていない。
【0085】
<2−4−1.SAD(Sum of Absolute Difference)法を用いた対応点探索>
SADは、基準ウインドウg1(t−1)に対し、参照ウインドウg2(t)を位置的にずらしながら、式(1)により得られる相関値から基準ウインドウg1内の画像と参照ウインドウg2内の画像との相関を求め、相関が最も高い値を示すときの参照ウインドウg2の中心点を、注目点gp1の対応点gp2として探索する手法である。式(1)に示すようにSADは、2枚の画像の画素値(各画素の輝度)をそのまま減算することで相関値を算出することができるため、計算量が少なく、高速処理が可能であるという特徴をもつ。
【0086】
【数1】

【0087】
ここで、Im1は基準ウインドウg1内の画像の画素値を示し、Im2は参照ウインドウg2内の画像の画素値を示す。Nはウインドウの水平方向のサイズを示し、Mはウインドウの垂直方向のサイズを示す。
【0088】
<2−4−2.POC(Phase Only Correlation)法を用いた対応点探索>
POCは、基準画像G1、参照画像G2に設定したウインドウ内の画像を周波数分解し、振幅成分を抑制した信号の相関(すなわち位相成分の相関)に基づいて対応点を探索する手法である。
【0089】
図8はPOC処理の流れを示す図であり、次の処理(i)〜(vi)がこの順番で行われる。
【0090】
(i) 基準画像G1に設定された計測点に中心が位置するように基準ウインドウg1(t−1)が設定され、参照画像G2に参照ウインドウg2(t)が設定される。
【0091】
(ii) 基準ウインドウg1(t−1)内の画像および参照ウインドウg2(t)内の画像が離散フーリエ変換され、画像Ga及び画像Gbが得られる。
【0092】
(iii) 離散フーリエ変換された画像Ga及び画像Gbを規格化(すなわち振幅成分を一定化)して、画像Ga1及び画像Gb1が得られる。
【0093】
(iv) 規格化された画像Ga1及び画像Gb1が合成され、相関画像Rが得られる。
【0094】
(v) 相関画像Rが逆離散フーリエ変換され、POC関数rが得られる。図9はPOC関数rを示すグラフであり、急峻な相関ピークSを有し、画像マッチングにおけるロバスト性と推定精度とがSADに比べて高いことが知られている。そして、この相関ピークSの高さは基準ウインドウg1(t−1)内の画像および参照ウインドウg2(t)内の画像の相関が高いほど大きくなる。したがって、相関ピークSの位置を特定することで、基準ウインドウg1(t−1)に対する参照ウインドウg2(t)の位置ズレ量を算出することができる。
【0095】
なお、POC関数rは、基準画像G1の画素単位、すなわち、ピクセルレベルで算出されているため、相関ピークの位置もピクセルレベルで求められるが、POC関数を補間し、サブピクセルレベルで相関ピークの位置を推定することも可能である。
【0096】
ピクセルレベルのPOCと比較して、サブピクセルレベルでのPOCは、処理精度は向上する一方で処理速度は低下する。このため、サブピクセルレベルでのPOCを用いる場合には、ピクセルレベルでのPOCを対数領域に、サブピクセルレベルでのPOCは線形領域にそれぞれ使用するという組合せが好ましい。
【0097】
(vi)参照ウインドウg2(t)の中心点の座標に位置ズレ量を加算することにより得られる座標上の点が、注目点gp1に対する対応点gp2として算出することができる。
【0098】
<2−4−3.特性領域に応じた対応点探索>
以下、特性判定部362で決められた線形領域および対数領域における対応点探索を、具体例を示しながら説明する。
【0099】
図10は、領域の特性区分に応じた対応点探索方法を説明する図である。図10(a)では、入射光量にかかわらず線形変換特性で光電変換する線形撮像モードで撮像された画像信号であり、図10(b)では、入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が変化する複合撮像モードで撮像された画像信号を示す。図10(a)の実線で示される適正露出領域に対応する線形領域は、サブピクセルレベルでのPOC処理により高精度な探索を実施することができる。
【0100】
一方、図10(b)の複合撮像モードでは、出力点L1の位置は同じであるものの出力点L2の位置が移動し、図10(a)の破線で示された過剰露出領域が図10(b)では、対数領域となるため、SAD処理、または、ピクセルレベルのPOC処理により対応点探索を可能とする。また出力点L1と出力点L2との中間に位置する変曲点CP付近では、図10(c)で示されるように、温度によるバラツキが生じやすい。このように、変曲点CP付近に関しては精度が低下する可能性があるので、サブピクセルレベルでのPOC処理ではなく、SAD処理、あるいは、ピクセルレベルでのPOC処理を行うことが望ましい。
【0101】
また、図10(d)は撮像素子21aによる基準画像G1の画像信号であり、図10(e)は撮像素子22aによる参照画像G2の画像信号を示す。このように、撮像素子21aと撮像素子22aとの変曲点が異なって設定されている場合においても、線形領域となる範囲は対応点探索を高精度に実施することができる。
【0102】
以上のことから、線形変換特性で出力が可能な出力限界値MO付近までは、線形変換特性で出力し、それ以上は、対数変換特性で出力することが対応点探索を行うという点では望ましい。したがって、POC処理によりサブピクセルレベルで高精度に対応点探索を行うことを基本とし、線形撮像モードで撮影不可能な範囲はSAD処理やPOC処理によるピクセルレベルの対応点探索を行うことで周辺監視の精度を高め、高速に処理を行うことが可能となる。
【0103】
<2−5.距離情報算出部364>
距離情報算出部364では、対応点探索部363により処理された対応点探索結果に基づいて、撮像部2から被写体までの距離情報を算出する。
【0104】
すなわち、同時刻に撮像された基準画像と参照画像とにおいて被写体各部の空間的対応関係が定まると、三角測量の原理によって撮像部2に対する被写体各部の3次元座標値が決定される。そして、このようにして得た3次元画像情報に基づいて、撮像部2から被写体各部への距離が算出される。
【0105】
そのようにして得た距離情報と、注目点の位置の時間的な変化量に相当するオプティカルフローとに基づいて、静止物体と移動物体との判別を行うこともできる。この部分については、例えば、特開2006−134035公報等で公知である。
【0106】
<2−6.対象体候補検出部365>
図5の対象体候補検出部365では、距離情報算出部364により算出された距離情報に基づいて、撮影対象体の候補を検出する。
【0107】
<2−7.対象体判定部366>
対象体判定部366では、対象体候補検出部365により検出された撮影対象体(被写体)の3次元画像情報に基づいて、当該撮影対象体が所定の条件を満足するか否かの判定を行う。
【0108】
また、対象体判定部366は、判定の結果、衝突可能性のある物体が、(i)線形領域に存在した場合は、線形変換特性画像のウェイトを高めて撮影することを、(ii)対数領域に存在した場合は、対数変換特性画像のウェイトを高めて撮影することを、それぞれ撮像部2に指令し、取得する画像の設定変更をすることも可能である。すなわち、ステレオ画像における特定の被写体(特定の撮像対象体)が、線形領域および対数領域のうちの一方の領域だけに局在している場合には、撮像部2は、線形撮像モードおよび複合撮像モードのうち、局在領域に対応する一方の撮像モードでの撮像割合を増加させることができる。
【0109】
具体的には、走行中の車両から進行方向前方を撮像しているときには、車の進路空間に相当する範囲内またはその近傍にあり、かつ撮像部2からの距離が所定距離以下の対象体があれば、それは車両との衝突の可能性がある。
【0110】
そして、その対象体すなわち衝突懸念体が比較的暗いもの(たとえば黒っぽい服を着た歩行者)である場合には、衝突懸念体に対応する画像部分は線形領域に局在した状態となる。これは、前方の所定距離内にあると判定された被写体の画像部分の全部またはほとんど(たとえば80%以上に設定された所定の閾値割合以上)が線形領域に重なると判定されることに対応しており、この場合には、線形変換特性の割合を高めるという処理を行う。
【0111】
その処理には2つの方法がある。その1は撮像フレーム割合の変更であり、たとえば1:1で線形モード画像と複合モード画像とを取得していたものを、衝突懸念体の局在が検出された後は、このフレーム比率を2:1や3:1とすることによって線形モード画像の取得頻度を相対的に高めるという方法である。危険状態が回避されるまで、一時的にすべてのフレームを線形モード画像としてもよい。
【0112】
その2は、複合モード画像での変曲点を上げる(入射光量が大きい側へ変曲点をシフトさせる)ことによって、複合モード画像内での線形領域を空間的に拡大するという方法である。後者の場合には、衝突懸念体が画面中を比較的高速で移動したときに、線形領域から対数領域に飛び出してしまい、対応点探索のための画像情報が急に劣化してしまうという事態を防止できる。
【0113】
逆に、衝突懸念体が明るいとき、たとえばヘッドライトを点灯している車両が近づいて来るような場合には、衝突懸念体に対応する画像部分は対数領域に局在している。そこで、そのような場合には、上記2つの方法に対応して、それぞれ複合モード画像の取得割合(フレーム割合)を増やすか、複合モード画像での変曲点を下げて、対数領域を増大させる。
【0114】
これらの対策をとることによって、最も着目すべき撮像対象体の情報の取得に適した光電変換特性を、動的に設定できる。
【0115】
このような特定の対象体としては、車両における衝突懸念体のほか、防犯監視カメラにおける人間の画像や、工業用カメラにおける生産ラインへの異物の侵入などがある。
【0116】
<2−8.警告部367>
警告部367では、対象体判定部366により撮影対象体が所定の条件に満足すると判定されたときに、警告を行う。例えば、得られた3次元画像情報に基づいて、画像中に存在する移動体(たとえば対向車)の移動速度と移動方向とを3次元的に算出し、自車の進路空間中にその移動体が侵入する可能性があるか否かを予測判定する。そして、対向車が衝突する可能性があると判定された場合などが想定される。この際に、スピーカ33による警告音とともに撮像中の画像をディスプレイ32に表示するようにしてもよい。ディスプレイ32の表示に関しては、衝突の可能性のない場合でも常時表示するようにしても良い。この実施形態のように線形モード画像と複合モード画像とをフレーム切り替えしている場合には、潰れが少なく、視覚的に見やすい、Linear-Log特性画像(複合モード画像)をディスプレイ32等の表示手段で表示させることが特に有効である。
【0117】
<3.画像処理装置の基本動作>
図11および図12は、画像処理システム1において実現される対応点探索動作のフローを例示するフローチャートである。既に各部の個別機能の説明は行ったため、ここでは全体の流れのみ説明する。
【0118】
まず、例えば、ユーザーによる操作部31に対する操作に応じて、本動作フローが開始されて、図11のステップS1に進む。
【0119】
ステップS1では、ステレオ画像取得部361によって、基準画像G1と参照画像G2とからなるステレオ画像が取得される。
【0120】
ステップS2では、特性判定部362によって、基準画像G1と参照画像G2との画像特性情報を取得する。
【0121】
ステップS3では、特性判定部362によって、基準画像G1と参照画像G2との両画像を関連づけることで、各領域が線形領域(適正露出領域)であるか、あるいは、対数領域(過剰露出領域)であるかの判定を行う。ここで、線形領域と判定された場合はステップS4へ進み、対数領域と判定された場合はステップS5へ進む。
【0122】
ステップS4では、ステップS3において(特性判定部362によって)線形領域と判定された領域については、対応点探索部363のうち第1の対応点探索処理部363aが選択的に能動化され、サブピクセルレベルのPOC処理にて対応点探索が行われる。
【0123】
ステップS5では、ステップS3において(特性判定部362によって)対数領域と判定された領域については、対応点探索部363のうち第2の対応点探索処理部363bが選択的に能動化され、SAD処理、または、ピクセルレベルのPOC処理にて対応点探索が行われる。
【0124】
ステップS6では、距離情報算出部364によって、対応点探索部363により処理された基準画像G1の注目点gp1に対して参照画像G2の対応点gp2から、被写体OBとの距離情報が算出される。
【0125】
ステップS7では、対象体候補検出部365によって、距離情報算出部364で得られた距離情報を基に、被写体OBの候補が検出される。
【0126】
ステップS8では、対象体判定部366によって、対象体候補検出部365により検出された撮影対象体の3次元画像情報が、当該被写体OBが所定の条件を満足するか否かの判定が行われる。
【0127】
ステップS9では、ステップS8において(対象体判定部366によって)危険と判定された場合は、ステップS10に進み、そうでなければ、ステップS11に進む。
【0128】
ステップS10では、警告部367によって、対象体判定部366により衝突のある可能性があると判定された場合、警告が行われる。また、スピーカ33による警告音とともにディスプレイ32に警告表示を行う(ステップS11)。
【0129】
ステップS11では、対象体判定部366による危険性の有無に係わらず、ディスプレイ32における複合モード画像の表示を継続する。
【0130】
ステップS12では、画像取得を継続するか否かが判定される。画像取得を継続する場合は、ステップS1に進み、操作者の指示入力によって画像取得を終える場合は、本動作フローが終了される。
【0131】
<4.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0132】
※ 本実施形態では、説明の簡略化のために撮像部は2台構成となっているが、台数は2台に限られず、一般には、複数台の撮像部を持つ構成にこの発明は適用可能である。
【0133】
線形撮像モード専用の撮像素子と複合撮像モード専用の撮像素子とを別個に設けることもできる。この場合には、線形モード画像の特徴量を用いて複合モード画像の線形領域と対数領域とを判別するにあたって、これらの画像は同時刻で撮像されたものであるため、フレーム切り替え時間に相当する誤差を防止できる。
【0134】
※ 本実施形態では、ステレオ画像取得部361が、線形変換特性画像とLinear-Log特性画像とを切り替えて取得しているが、Linear-Log特性画像だけ取得するようにしても良い。
【0135】
すなわち、取得画像のうち比較的明るい部分と比較的暗い部分とが時間的にあまり変動しない場合には、取得画像のどの領域が線形領域であり、どの部分が対数領域であるかをあらかじめ知ることが可能である。このような例としては、たとえば、エレベータ内の監視カメラのように、照明による照度分布が事前にほぼわかっている場合がある。
【0136】
このような場合には、線形モード画像について適正露出領域と過剰露出領域とを判定し、それに基づいて複合モード画像での線形領域と対数領域とを動的に判定しなくても、半固定的に線形領域と対数領域とを設定し、それぞれに異なる対応点探索方法を適用することができる。
【0137】
※ 本実施形態では、特性判定部362が、線形領域と対数領域とを判定する方法について、露出オーバー領域を対数領域とみなして特性判定を行ったが、これに限られず、例えば下記の特定方法を利用することもできる。
【0138】
第1の判定方法では、時系列方向の情報をもとに被写体OBの位置を予測する方法である。すなわち、画像処理装置3が線形撮像モードと複合撮像モードとは同一の撮像素子の時間差でのモード切り換えであるため、対応点探索部363は、線形撮像モードの連続2回以上の撮像結果を時間的に外挿することにより、複合撮像モードにおける対応領域の場所を推定することが行われる。
【0139】
図7を参照して説明する。時刻Tと時刻T+2Δtとの線形モード画像から、自走速度、操舵情報などの情報を算出する。その情報を基に、時刻T+2Δtと時刻T+3Δtとの間の期間では、自車の走行パラメタが変わらないという前提で、時刻T(または時刻T+2Δt)の複合モード画像中の対数領域が、時刻T+3Δtのタイミングではどの位置に存在するかを予測(時間的に外挿)する。
【0140】
このような構成を採用すれば、既述した実施形態の場合と比較して、移動速度のファクタが考慮されるため、より精密な探索が可能である。
【0141】
第2の判定方法としては、実際に線形領域と対数領域とを判別して領域ごとに対応点探索を切り替えるのではなく、1つの対応点探索処理を一部について試行的に行った結果を基に、いずれの探索方法を全面的に行うかを決定する方法である。たとえば、複合モード画像の一部の領域をサンプリングし、それに対して対応点探索部363が、第1の対応点探索処理部363aによる対応点探索を部分的に行うとともに、当該部分的な対応点探索によって得られる対応点の信頼度を示す指標値を求める。そして、当該指標値が所定の閾値以上となっている場合には第1の対応点探索処理部363aによる処理を継続して複合モード画像の全体の対応点策を行う一方、当該指標値が当該閾値未満のときには、複合モード画像の残りの領域については第2の対応点探索処理部363bによる処理に切り換える。
【0142】
具体的には、時刻T+Δtで取得した画像に対し、ピクセルレベルのPOC処理を実施し、対応点探索結果から算出された信頼度を示す指標値により、SADで処理を行うように切り替えるか、継続してサブピクセルレベルのPOC処理を行うか否かの判定を行う。具体的には、信頼度を示す指標値として上記のPOC関数を用い、信頼度が低い(すなわちPOC関数のピークが所定の閾値未満)と判断されれば、対数領域とみなす。
【0143】
サンプリングは複合モード画像全体について1回であってもよく、複合モード画像を大まかに区域分けして、各区域ごとに1回のサンプリングであってもよい。たとえば画角を、中心部、左右側部、上部、下部のように区域分けし、上部のサンプリングと一方の対応点探索方法の試行によってよい結果が得られたときには、上部の全体についてはその対応点探索方法を採用する。中心部、左右側部、…についてはそれぞれ同様のことを行う。
【0144】
この第2の判定方法は、直接的な特性判定を行わず、対応点探索結果の良否によって画像領域が線形領域であるか対数領域であるかを間接的に推定する方法となっている。したがって、精度的には既述した実施形態の方が高いが、この第2の判定方法は、被写体の外形などに沿って細かく入り組んだ各領域ごとに特性判定を行わなくてすみ、大きめの領域に設定を行うことが可能になるため、全体としての処理速度は向上する。なお、無駄な処理を無くす目的で、複合モード画像で対数変換された領域のうち所定数以下の画素(典型的には数画素)からなる画素クラスターはノイズ領域とみなし、対応点探索方法を切り替える対象とはぜずに周囲と同じ方法で処理を行うようにしても良い。
【0145】
第3の判定方法としては、変曲点の位置情報などから線形変換特性領域と対数変換特性領域とを決定する方法である。具体的には、ステレオ画像取得部361で、Linear-Log特性画像だけを取得するような場合は、撮像部2より変曲点CPの位置などの情報を取得し、出力値が、所定値より多いときは対数変換特性領域とし、所定値より小さいときは線形変換特性領域とすることも可能である。
【0146】
※ 本実施形態では、特徴量を輝度値としているが、これに限られず、例えば、周波数や物標検出結果などを特徴量とすることも可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 画像処理システム
2 撮像部
3 画像処理装置
20 ステレオカメラ
21a,22b 撮像素子
A0,A2,…(B0,B2,…) 線形モード画像
A1,A3,…(B1,B3,…) 複合モード画像
LN0,LN2,… 適正露出領域
LN1,LN3,… 線形領域
LG0,LG2,… 過剰露出領域
LG1,LG3,… 対数領域
CP 変曲点
G1 基準画像
G2 参照画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が切り換わるステレオ撮像手段を用いて撮像されたステレオ画像信号を入力し、前記ステレオ画像信号に含まれる複数の画像間の空間的対応関係を決定して撮像対象体の3次元画像情報を得る画像処理装置であって、
(a) 前記ステレオ画像信号のうち、
線形変換特性で得られた画像領域としての線形領域には、第1の対応点探索方法を適用して前記複数の画像間の対応点探索を行い、
対数変換特性で得られた画像領域としての対数領域には、第2の対応点探索方法を適用して前記複数の画像間の対応点探索を行なう対応点探索手段と、
(b) 前記対応点探索手段による対応点探索結果に基づいて、撮像対象体の3次元画像情報を得る手段と、
を備え、
前記第1の対応点探索方法として、前記第2の対応点探索方法よりも高精度の探索結果を与える方法が採用される一方、
前記第2の対応点探索方法として、前記第1の対応点探索方法よりも高速に探索結果を与える方法が採用されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記画像処理装置が、
前記ステレオ画像の各画像領域の特徴量に基づいて、前記ステレオ画像の各画像領域が線形領域であるか対数領域であるかを判定する特性判定手段、
をさらに備え、
前記対応点探索手段は、
前記特性判定手段の判定結果に基づいて、画像領域ごとに、前記第1と第2の対応点探索方法とのいずれか一方を選択して適用することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記ステレオ撮像手段に、
入射光量にかかわらず線形変換特性で光電変換する線形撮像モードでの撮像と、
入射光量に応じて線形変換特性と対数変換特性との間で光電変換特性が変化する複合撮像モードでの撮像とを、周期的に切り替えて実行させるマルチモード撮影制御手段、
をさらに備え、
前記特性判定手段は、
前記複合撮像モードで得たステレオ画像の各画像領域が線形領域であるか対数領域であるかについての判定を、前記線形撮像モードで得たステレオ画像に基づいて実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記特性判定手段が、
前記線形撮像モードで得られた画像における露出オーバー領域を検出する手段と、
前記複合撮像モードで得られた画像において、前記露出オーバー領域に対応する対応領域を特定する手段と、
を備え、
前記対応点探索手段は、
前記複合撮像モードで得られた画像のうち、
前記対応領域については前記第2の対応点探索方法によって対応点探索を行い、
残余の領域については前記第1の対応点探索方法によって対応点探索を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記線形撮像モードと前記複合撮像モードとは同一の撮像素子の時間差でのモード切り換えであり、
前記対応点探索手段は、
前記線形撮像モードの連続2回以上の撮像結果を時間的に外挿することにより、前記複合撮像モードにおける前記対応領域の場所を推定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記対応点探索決定手段が、
前記第1の対応点探索方法による対応点探索を部分的に行うとともに、当該部分的な対応点探索によって得られる対応点の信頼度を示す指標値を求める手段と、
前記指標値が所定の閾値以上となっている場合には前記第1の対応点探索方法を継続する一方、前記指標値が前記閾値未満のときには前記第2の対応点探索方法に切り換える手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の画像処理装置であって、
前記第1の対応点探索方法は、
前記複数の画像の周波数特性に基づいて、サブピクセル精度での対応点探索を行う方法であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の画像処理装置であって、
前記第2の対応点探索方法は、
前記複数の画像の輝度値の相互関係に基づいて、対応点探索を行う方法であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の画像処理装置であって、
前記第2の対応点探索方法は、
前記複数の画像の周波数特性に基づいて、ピクセル精度で対応点探索を行う方法であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9の何れかに記載の画像処理装置と、
前記撮影対象体の3次元画像情報に基づいて、前記撮影対象体が所定の条件を満足するか否かの判定を行う対象体判定手段と、
前記対象体判定手段により前記撮影対象体が前記所定の条件に満足すると判定されたときに、警告を行う警告手段と、
を備えることを特徴とする周辺監視システム。
【請求項11】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記撮影対象体の3次元画像情報に基づいて、前記撮影対象体が所定の条件を満足するか否かの判定を行う対象体判定手段と、
前記対象体判定手段により前記撮影対象体が前記所定の条件に満足すると判定されたときに、警告を行う警告手段と、
を備え、
前記ステレオ画像における前記撮影対象体が、前記線形領域および前記対数領域のうちの一方の領域だけに局在している場合には、前記マルチモード撮影制御手段は、前記線形撮像モードおよび前記複合撮像モードのうち、当該局在領域に対応する一方の撮像モードでの撮像割合を増加させることを特徴とする周辺監視システム。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の周辺監視システムであって、
前記警告手段が、
前記複合撮影モードでの撮像で得た画像を所定の画面表示手段に表示させる表示制御手段、
を備えることを特徴とする周辺監視システム。
【請求項13】
コンピュータにインストールされて実行されることによって、前記コンピュータを、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムであって、
前記プログラムを前記コンピュータで実行させることにより、前記コンピュータを、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の周辺監視システム用の画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−232975(P2011−232975A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103081(P2010−103081)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】