説明

画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラム

【課題】画像データに対して撮影時における撮影レンズの光軸の状態に考量した適切な特殊効果処理を行うことができる画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】光学系301の光軸と撮像部201の受光面とが直交する基準位置から光学系301の光軸が変位した変位情報を含む撮影時の撮影情報が対応付けられた画像データに対して、複数の画像処理を組み合わせて視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う画像処理部215aと、画像処理部215aが行う特殊効果処理の内容を指示する指示信号の入力を受け付ける操作入力部209と、操作入力部209によって入力された指示信号に応じて画像処理部215aが行うべき処理を設定する特殊効果設定部215dと、特殊効果設定部215dが設定した特殊効果処理の設定内容を、撮影情報を参照して変更する特殊効果変更部215eと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像した電子的な画像データに対して画像処理を施す画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被写体を撮像して電子的な画像データを生成する撮像装置では、アオリ機能を有する撮影レンズやマウントアダプタを用いることによって、撮影レンズの光軸を撮像素子に対して傾けることで被写体の被写界深度を調整しながら撮影することができる技術が知られている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、撮像装置によって生成された画像データに対して複数の画像処理を組み合わせることにより、視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う画像処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−194700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、画像データに対して特殊効果処理を行う場合、撮影時における撮影レンズの光軸の状態を考慮していなかった。このため、撮影レンズの光軸を傾けて撮像した画像データに対して適切な特殊効果処理を行うことができなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像データに対して撮影時における撮影レンズの光軸の状態に応じた適切な特殊効果処理を行うことができる画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像処理装置は、1または複数のレンズからなるレンズ群を有する光学系の光軸と光を受光して光電変換を行って電子的な画像データを生成する撮像部の受光面とが直交する基準位置から該光学系の光軸が変位した変位情報を含む撮影時の撮影情報が対応付けられた画像データに対して、複数の画像処理を組み合わせて視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う画像処理部と、前記画像処理部が行う前記特殊効果処理の内容を指示する指示信号の入力を受け付ける操作入力部と、前記操作入力部によって入力された前記指示信号に応じて前記画像処理部が行うべき処理を設定する特殊効果設定部と、前記特殊効果設定部が設定した前記特殊効果処理の処理内容を、前記撮影情報を参照して変更する特殊効果変更部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる画像処理装置は、上記発明において、前記変位情報は、前記光学系の光軸が前記基準位置から傾斜している傾斜角度を示す傾斜情報を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる画像処理装置は、前記特殊効果処理は、前記画像データに対応する画像内の位置に応じて異なる画像処理を行うものであり、前記特殊効果変更部は、前記特殊効果処理の位置毎における画像処理の内容を変更することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる画像処理装置は、上記発明において、前記特殊効果処理は、前記画像の周辺に対してシェーディング効果を施すシェーディング処理であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる画像処理装置は、上記発明において、前記特殊効果処理は、前記画像の周辺に対してぼかし効果を施すぼかし処理であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる画像処理装置は、上記発明において、前記特殊効果処理は、前記画像データに対応する画像全体に対して均一に行うものであり、前記特殊効果変更部は、前記特殊効果処理の強度を変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる画像処理装置は、上記発明において、前記特殊効果処理は、前記画像全体にぼかし効果を施すぼかし処理であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる撮像装置は、上記記載の画像処理装置と、前記撮像部と、光軸を前記基準位置から変位可能な光学系と、前記光学系の光軸が前記基準位置から変位した変位量を前記変位情報として検出する変位量検出部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる撮像装置は、上記発明において、前記光学系は、当該撮像装置に着脱自在であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる画像処理プログラムは、1または複数のレンズからなるレンズ群を有する光学系の光軸と光を受光して光電変換を行って電子的な画像データを生成する撮像部の受光面とが直交する基準位置から該光学系の光軸が変位した変位情報を含む撮影時の撮影情報が対応付けられた画像データに対して、複数の画像処理を組み合わせて視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップが行う前記特殊効果処理の内容を指示する指示信号の入力を受け付ける操作入力ステップと、前記操作入力ステップによって入力された前記指示信号に応じて前記画像処理部が行うべき処理を設定する特殊効果設定ステップと、前記特殊効果設定ステップが設定した前記特殊効果処理の処理内容を、前記撮影情報を参照して変更する特殊効果変更ステップと、を画像処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、特殊効果変更部が特殊効果設定部によって設定された特殊効果処理の設定内容を、撮影時の撮影情報を参照して変更する。この結果、画像データに対して撮影時における撮影レンズの光軸の状態に応じた適切な特殊効果処理を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の被写体に面する側の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の撮影者に面する側(背面側)の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の収差情報記憶部が記憶するレンズ部の収差情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の収差情報記憶部が記憶するレンズ部の収差情報の別の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置におけるレンズ部の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置におけるレンズ部の操作方法を模式的に示す図である。
【図8】図8は、図7に示す操作によって動作するレンズ部の概要を模式的に説明する図である。
【図9】図9は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置における撮像部の受光面と垂直をなす方向に対してレンズ部の光軸が変化することによって生じる収差の変化を模式的に説明する図である。
【図10】図10は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置における撮像部の受光面と直交する方向に対してレンズ部の光軸が変位することによって生じる収差の例(第1例)を模式的に説明する図である。
【図11】図11は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置における撮像部の受光面と直交する方向に対してレンズ部の光軸が変位することによって生じる収差の例(第2例)を模式的に説明する図である。
【図12】図12は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置における撮像部の受光面と直交する方向に対してレンズ部の光軸が変化することによって生じる収差の例(第3例)を模式的に説明する図である。
【図13】図13は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置が生成する画像の一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置が通常の標準レンズを装着した状態で撮像した画像データに対応する画像の一例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置がレンズ部を装着した状態で画像処理部がトイフォトを行った画像の一例を示す図である。
【図16】図16は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置がレンズ部を装着した状態で画像処理部がトイフォトを行った画像の一例を示す図である。
【図17】図17は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置がレンズ部を装着した状態で画像処理部がジオラマを行った画像の一例を示す図である。
【図18】図18は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置がレンズ部を装着した状態で画像処理部がジオラマを行った画像の一例を示す図である。
【図19】図19は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置がレンズ部を装着した状態で画像処理部がファンタジックフォーカスを行った画像の一例を示す図である。
【図20】図20は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置がレンズ部を装着した状態で画像処理部がファンタジックフォーカスを行った画像の一例を示す図である。
【図21】図21は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【図22】図22は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置が行う静止画撮影処理の概要を示すフローチャートである。
【図23】図23は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置が行う動画撮影処理の概要を示すフローチャートである。
【図24】図24は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置が行う画像処理の概要を示すフローチャートである。
【図25】図25は、レンズ部の別な構成例の要部を示す図である。
【図26】図26は、レンズ部の動作を模式的に説明する図である。
【図27】図27は、レンズ部の別な実施例を装着した撮像装置の被写体に面する側の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。なお、以下の説明においては、本発明にかかる画像処理装置の一例として、デジタル一眼レフカメラ等の撮像装置の構成に組み込まれた場合を例示するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の被写体に面する側(前面側)の構成を示す斜視図である。図2は、本実施の一形態にかかる撮像装置の撮影者に面する(背面側)の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。図1〜図3に示す撮像装置1は、デジタル一眼レフカメラであり、本体部2と、本体部2に着脱自在なレンズ部3と、を備える。撮像装置1は、電子ビューファインダ(EVF)、エレクトロニックフラッシュおよびインターネットを介して通信を行う通信ユニット等のアクセサリ4も装着可能である。
【0021】
図1〜図3に示すように、本体部2は、撮像部201と、撮像駆動部202と、信号処理部203と、フラッシュ発光部204と、姿勢検出部205と、タイマー206と、第1通信部207と、第2通信部208と、操作入力部209と、表示部210と、タッチパネル211と、記憶部212と、電源部213と、電源供給部214と、本体制御部215と、を有する。
【0022】
撮像部201は、レンズ部3が集光した光を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、シャッタとを用いて構成される。
【0023】
撮像駆動部202は、レリーズ信号に応じて撮像素子およびシャッタを駆動させる機能を有する。たとえば、撮像駆動部202は、所定のタイミングで撮像素子から画像データ(アナログ信号)を信号処理部203に出力させる。
【0024】
信号処理部203は、撮像部201から出力されるアナログ信号に増幅等の信号処理を施した後、A/D変換を行うことによってデジタルの画像データを生成して出力する。
【0025】
フラッシュ発光部204は、キセノンランプやLED(Light Emitting Diode)等を用いて構成される。補助光照射部204は、撮像装置1が撮像する視野領域へ向けて補助光(ストロボ光)を照射する。
【0026】
姿勢検出部205は、加速度センサを用いて構成される。姿勢検出部205は、撮像装置1の加速度を検出することにより、撮像装置1の姿勢状態を検出する。具体的には、姿勢検出部205は、水平面を基準としたときの撮像装置1の姿勢(傾斜角度)を検出する。
【0027】
タイマー206は、計時機能や撮影日時の判定機能を有する。タイマー206は、撮像された画像データに日時データを付加させるため、本体制御部215に日時データを出力する。
【0028】
第1通信部207は、本体部2に装着されたレンズ部3との通信を行うための通信インターフェースである。第2通信部208は、本体部2に装着されるアクセサリ4のアクセサリ通信部401との通信を行うための通信インターフェースである。
【0029】
操作入力部209は、図1および図2に示すように、撮像装置1の電源状態をオン状態またはオフ状態に切り換える電源スイッチ209aと、静止画撮影の指示を与える静止画レリーズ信号を入力するレリーズスイッチ209bと、撮像装置1に設定された各種撮影モード切換の指示を与える切換信号を入力する撮影モード切換スイッチ209cと、撮像装置1の各種設定を選択または決定の指示を与える指示信号を入力する操作スイッチ209dと、撮像装置1に設定された操作メニュー画面の表示の指示を与える指示信号を入力するメニュースイッチ209eと、動画撮影の指示を与える動画レリーズ信号を入力する動画スイッチ209fと、を有する。以下の説明において、図1で電源スイッチ209a等が設けられている面を上面と呼び、この面に垂直な方向を上下方向という。また上面と平行であって上下方向と直交する方向を左右方向という。
【0030】
表示部210は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて実現される。表示部210は、画像データのほか、撮像装置1の操作情報や撮影に関する情報を適宜表示する。
【0031】
タッチパネル211は、表示部210の表示画面上に設けられる。タッチパネル211は、ユーザが表示部210で表示される情報に基づいて接触した位置を検出し、この検出した接触位置に応じた操作信号の入力を受け付ける。一般に、タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式等がある。本実施の形態では、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。
【0032】
記憶部212は、撮像装置1の内部に固定的に設けられるフラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現される。記憶部212は、撮像装置1を動作させるための各種プログラム、本実施の形態にかかる撮像プログラムおよび前述したプログラムの実行中に使用される各種データやパラメータ等を記憶する。また、記憶部212は、画像データを記憶するとともに、本体部2に装着可能なレンズ部3の情報やレンズ部3の種類に応じた画像データの補正情報等の情報を記憶する。なお、記憶部212が、外部から装着されるメモリカード等のコンピュータで読取可能な記憶媒体を含むものであってもよい。
【0033】
電源部213は、撮像装置1に着脱自在なバッテリを用いて構成される。電源供給部214は、撮像装置1の各構成部(装着されるレンズ部3およびアクセサリ4も含む)に対して電源部213の電力を供給する。なお、電源供給部214は、外部電源(図示せず)から供給される電力を撮像装置1の各構成部に供給するようにしてもよい。
【0034】
本体制御部215は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。本体制御部215は、操作入力部209やタッチパネル211からの指示信号や切換信号等に応じて撮像装置1を構成する各部に対応する指示やデータの転送等を行って撮像装置1の動作を統括的に制御する。本体制御部215は、画像処理部215aと、顔検出部215bと、状態判定部215cと、特殊効果設定部215dと、特殊効果変更部215eと、撮影制御部215fと、表示制御部215gとを有する。
【0035】
画像処理部215aは、信号処理部203から入力される画像データに対して各種の画像処理を施して記憶部212に出力する。具体的には、画像処理部215aは、画像データに対して、少なくともエッジ強調、ホワイトバランス、色補正およびγ補正を含む画像処理を行う。画像処理部215aは、画像データに対して、複数の画像処理を組み合わせることにより視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う。
【0036】
顔検出部215bは、画像データに対応する画像に含まれる人物の顔をパターンマッチグによって検出する。なお、顔検出部215bは、人物の顔だけでなく、犬や猫等の顔を検出してもよい。さらに、顔検出部215bは、パターンマッチング以外の周知技術を用いて人物の顔を検出してもよい。
【0037】
状態判定部215cは、第1通信部207から入力されるレンズ部3の状態に関する情報に基づいて、レンズ部3の状態を判定する。
【0038】
特殊効果設定部215dは、操作入力部209によって入力された特殊効果処理の内容を指示する指示信号に応じて画像処理部215aが行うべき処理を設定する。
【0039】
特殊効果変更部215eは、特殊効果設定部215dが設定した特殊効果処理の処理内容を変更する。具体的には、特殊効果変更部215eは、状態判定部215cの判定結果に応じて、特殊効果設定部215dが設定した特殊効果処理の処理内容を変更する。
【0040】
撮影制御部215fは、静止画レリーズ信号が入力された場合、撮像装置1における撮影動作を開始する制御を行う。ここで、撮像装置1における撮影動作とは、撮像駆動部202の駆動によって撮像部201が出力した画像データに対し、信号処理部203および画像処理部215aが所定の処理を施す動作をいう。このようにして処理が施された画像データは、本体制御部215によって記憶部212に記録される。なお、撮影制御部215fが、状態判定部215cの判定結果に応じて撮像装置1における撮影動作を開始する制御を行うようにしてもよい。
【0041】
表示制御部215gは、メニュースイッチ209eから指示信号が入力された場合、操作メニュー画面を表示部210に表示させる。また、表示制御部215gは、光学系301のピントを自動的に合わせる領域を表示部210に表示させる。
【0042】
以上の構成を有する本体部2に対して、音声入出力機能や、インターネットを介した通信を行う通信機能などを具備させてもよい。
【0043】
レンズ部3は、光学系301の光軸が撮像部201の受光面と直交する方向を基準として全方位に揺動可能なチルトレンズ(ティルトレンズ)である。
【0044】
レンズ部3は、光学系301と、レンズ駆動部302と、位置検出部303と、傾き検出部304と、絞り駆動部305と、レンズ操作部306と、レンズ通信部307と、レンズ記憶部308と、レンズ制御部309と、を有する。
【0045】
光学系301は、一または複数のレンズからなるレンズ群301aと、レンズ群301aのピントを調整するピント機構301bと、光学系301の光軸を撮像部201の受光面に対して揺動可能に傾斜させる傾き機構301cと、レンズ群301aが集光した光の入射量を制限する絞り機構301dと、を有する。
【0046】
レンズ駆動部302は、DCモータやステッピングモータ等を用いて構成される。レンズ駆動部302は、ピント機構301bを駆動することにより、光学系301のレンズ群301aを光軸で移動させることで光学系301のピントを調整する。
【0047】
位置検出部303は、レンズ群301aの光軸方向の位置を検出する。傾き検出部304は、光学系301の光軸と撮像部201の受光面とが直交する位置を基準位置として、この基準位置からの変位量であるチルト量を検出する。この意味で、本実施の形態では、傾き検出部304が変位量検出部として機能する。
【0048】
絞り駆動部305は、ステッピングモータ等を用いて構成される。絞り駆動部305は、絞り機構301dを駆動することにより、撮像部201に入射する光の光量を調整する。
【0049】
レンズ操作部306は、レンズ部3のレンズ鏡筒の周囲に設けられるピントリングであり、光学系301内のレンズ群301aを操作する信号が入力される。なお、ピント機構301bは、プッシュ式のスイッチ等であってもよい。
【0050】
レンズ通信部307は、レンズ部3が本体部2に装着されたときに、本体部2の第1通信部207と通信を行うための通信インターフェースである。
【0051】
レンズ記憶部308は、光学系301のレンズ群301aの位置や動きを決定するための制御用プログラムや各種パラメータを記憶する。レンズ記憶部308は、レンズ部3の各種収差に関する収差情報記憶部308aを有する。さらに、レンズ記憶部308は、レンズ部3の傾斜角度限界値情報、最至近距離限界情報、レンズ部3の動き等を拘束する拘束条件情報、光学系301の傾斜角度に応じたピント位置情報、レンズ部3の繰り出し可能範囲および光学系301の傾斜角度とレンズ部3の繰り出し量によって定まるピント位置情報等を記憶する。
【0052】
図4は、収差情報記憶部308aが記憶するレンズ部3の収差情報の一例を示す図である。図4に示すように、収差情報テーブルT1には、光学系301から焦点距離だけ離れた位置に結像される像を光学系301の中心から見たときの光軸からのズレ角φ(つまり、光軸方向を0とした時の画角φ)と収差(例えば、像面湾曲量や非点隔差)Sとの関係が記載されている。たとえば、ズレ角φが5°の場合、収差Sが0.1mmとして記載されている。
【0053】
図5は、収差情報記憶部308aが記憶するレンズ部3の収差情報の別の例を示す図である。図5に示すように、収差情報テーブルT2には、上述したズレ角φと色収差との関係が記載されている。たとえば、ズレ角が5°の場合、R(赤)、G(緑)およびB(青)の理想像高に対する倍率がそれぞれ98%、96%および93%として記載されている。また、ズレ角φが10°の場合、R、GおよびBの理想像高に対する倍率がそれぞれ96%、92%および85%として記載されている。一般に、波長が小さい光ほど屈折率は大きい。このため、R、G、Bの3成分の中で最も波長が小さいB成分の歪曲収差が最も大きい。さらに、色ごとの歪曲収差(色収差)は、ズレ角φが大きいほど大きくなる。
【0054】
レンズ制御部309は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。レンズ制御部309は、本体部2からの指示信号に応じてレンズ部3の動作を制御する。
【0055】
ここで、図6を参照して、レンズ部3の要部の構成について説明する。図6は、レンズ部3の要部の構成を模式的に示す断面図である。図6において、左側が被写体側(以下、前方という)であり、右側が本体部2に装着される側(以下、後方という)である。
【0056】
図6に示すように、レンズ部3は、レンズ群301aおよび絞り機構301dを保持する第1枠31と、第1枠31を前後方向に移動可能に保持する第2枠32と、点Oを回転中心として第2枠32を揺動可能に保持する第3枠33とを有する。また、第2枠32の内側には、位置検出部303が設けられ、第3枠33の内側には、傾き検出部304が設けられている。
【0057】
位置検出部303は、反射型変位センサ等によって構成される。具体的には、位置検出部303は、発光素子と受光素子とを有するフォトインタラプタ303aと、位置によって異なる反射率を有する反射部材303bとを備える。フォトインタラプタ303aは、第2枠32の内周側に設けられ、反射部材303bは、第1枠31の外周側に設けられる。位置検出部303は、フォトインタラプタ303aで照射した光を反射部材303bで反射させ、反射部材303bで反射した光をフォトインタラプタ303aに受光させることによって第1枠31の繰り出し量を算出し、この算出した繰り出し量からレンズ群301aの光軸方向の位置を検出する。なお、位置検出部303は、各種ポジションセンサ等を用いてもよい。さらに、反射部材303bは、別部材ではなく、反射率の異なる部位を一体成形して作成してもよい。
【0058】
傾き検出部304は、点Oに対する第2枠32の傾斜角度を検出することにより、光学系301の光軸と撮像部201の受光面とが直交する位置から光学系301の光軸が指向している方向を検出する。傾き検出部304は、フォトインタラプタ304aと、反射部材304bとを有する。なお、傾き検出部304は、各種ポジションセンサ等を用いてもよい。さらに、反射部材304bは、別部材ではなく、反射率の異なる部位を一体成形して作成してもよい。
【0059】
以上の構成を有するレンズ部3は、光学系301の光軸の近傍でのみピントが合い、その周辺は放射状に広がるぼけが生じる。また、レンズ部3では、光軸を傾斜させた側と反対側の収差が最も大きくなる。
【0060】
このように構成されたレンズ部3の操作方法について説明する。図7は、レンズ部3の操作方法を模式的に示す図である。図8は、図7に示す操作によって動作するレンズ部3の概要を模式的に説明する図である。
【0061】
図7および図8に示すように、ユーザがレンズ操作部306を操作して光学系301のピントを調整する場合(図7(a))、レンズ操作部306の操作量に応じてレンズ制御部309が第1枠31を前方に繰り出させる(図8(a))。これにより、レンズ部3は、光学系301のピントが調整される。その後、傾き機構301cがユーザによるレンズ鏡筒の操作(図7(b))に応じて第1枠31を傾斜させる(図8(b))。これにより、レンズ部3は、撮像部201の受光面と直交する位置から光学系301の光軸を変更することができる。レンズ制御部309は、自動的にピントを調整して合焦することも可能である。
【0062】
つぎに、撮像部201の受光面に対してレンズ部3の光軸が変化することによって生じる収差の変化について説明する。図9〜図12は、撮像部201の受光面と垂直をなす方向に対してレンズ部3の光軸が変化することによって生じる収差の変化を模式的に説明する図である。図9〜図12では、レンズ群301aが一つのレンズからなる場合を示している。以下、光学系301の光軸が撮像部201の受光面の中心を通過するとともに撮像部201の受光面と直交する位置にある状態を「初期状態」という。
【0063】
図9に示すように、撮像部201の受光面から二つの被写体E11、E12までの距離が等しい(d)場合に、収差補正が十分に出来ていないレンズ群301aで被写体E11にピントを合わせたとき、撮像部201に形成される被写体E12の像に収差s1が生じるため、被写体E12の像がぼけて形成される。しかしながら、この収差を表現の一つとして活かすことで、撮像する画像の表現に変化を持たせることができる。
【0064】
さらに、図10に示すように、撮像部201の受光面に対するレンズ群301aを傾斜角度θ(たとえばθ=5°)で傾斜させた場合、被写体E12の像がさらに光軸L中心の周辺から入射するため、撮像部201に形成される被写体E12の収差s2が収差s1に比して大きくなる(s1<s2)。これにより、撮像される画像は、被写体E11と被写体E12との差異がより強調されたものとなる。図10では、レンズ群301aの初期状態からの傾斜角度θは、被写体E11の像に対してはほとんど影響を与えない程度に小さいものとしている。
【0065】
また、図11に示すように、撮像部201から被写体E11までの距離dが、撮像部201から被写体E12までの距離d2より小さい場合(d1<d2)、被写体E12の像が、図10に示す場合よりも光軸Lに対して遠くの位置から入射するため、撮像部201に形成される被写体E12の収差s3が収差s2に比してさらに大きくなる(s2<s3)。図11においても、レンズ群301aの初期状態からの傾斜角度θは、被写体E11の像に対してはほとんど影響を与えない程度に小さいものとしている。
【0066】
また、図12に示すように、撮像部201から被写体E11までの距離dが距離dに比して小さく(d1<d)、かつ初期状態から傾斜させた後のレンズ群301aの光軸L1上に被写体E11が位置している場合、被写体E11にレンズ群301aのピントを合わせると、被写体E11と被写体E12との差異がより一層強調されたものとなる。
【0067】
図13は、光学系301の光軸の変化に対応した画像の変化例を示す図である。図13(a)に示す画像W11は、初期状態にあるレンズ群301aで、被写体である人物の顔にピント合わせをして撮像した画像である。また、図13(b)に示す画像W12は、レンズ群301aを初期状態から傾斜させた状態で、人物の顔にピント合わせをして撮像した画像である。画像W11と画像W12を比較すると、二つの画像とも人物の顔の周囲は放射状に広がってぼけている(破線で表示)が、そのぼけ量(収差)は画像W12の方が画像W11よりも大きくなっている。このように、光学系301の場合、レンズ群301aを初期状態から傾斜させると、光軸付近とその周囲との差異を一層強調した画像を撮像することができる。
【0068】
なお、図13中では、単レンズで説明しているが、光学系301を色消し接合レンズとし、チルト操作によって発生する収差量(特に色収差)を軽減することで、レンズ系の小型化や、色にじみ量の少ない作品とすることができる。また、反対に接合レンズのガラスの組み合わせを上記と逆にして、敢えて色収差を増大させることで、通常と異なった印象の作品にすることもできる。さらに、光学系301を3枚以上の複数のレンズで構成し、レンズ制御部309がレンズ駆動部302を駆動することにより、光学収差の発生量を小さくまたは大きくなるように制御し、画像内に生じる放射状のボケ量を調整する制御を行ってもよい。これにより、より作品のバリエーションを増やすことができる。
【0069】
つぎに、画像処理部215aが行う特殊効果処理について説明する。本実施の形態では、画像処理部215aは、特殊効果処理としてトイフォト、ジオラマおよびファンタジックフォーカス等を行う。
【0070】
トイフォトは、画像の周辺に対してシェーディング効果を施すことにより、昔らしさや思い出感を表現する特殊効果処理である。さらに、トイフォトは、画像内の位置に応じて異なる画像処理を行う。また、トイフォトで組み合わされる画像処理は、たとえばホワイトバランス処理、コントラスト処理、シェーディング処理および色相・彩度処理等である。
【0071】
ジオラマは、画面の周辺に対して極端なぼけ効果を施すことにより、おもちゃらしさや作り物らしさを表現する特殊効果処理である。さらに、ジオラマは、画像内の位置に応じて異なる画像処理を行う。また、ジオラマで組み合わされる画像処理は、たとえば色相・彩度処理、コントラスト処理、ぼかし処理および合成処理等である。
【0072】
ファンタジックフォーカスは、柔らかいトーンの中で空気感を表現しつつ、被写体のディティールを残しながら幸福な光に包まれたように美しく幻想的に表現する特殊効果処理である。さらに、ファンタジックフォーカスは、画像全体に対して均一に行う画像処理を行う。また、ファンタジックフォーカスで組み合わされる画像処理は、たとえばトーンカーブ処理、ぼかし処理および合成処理等である。
【0073】
ここで、上述したレンズ部3を装着した状態で画像処理部215aが画像データに対して特殊効果処理を行った画像について説明する。図14は、通常の標準レンズ部を装着した状態で撮像した画像データに対応する画像の一例を示す図である。図15および図16は、レンズ部3を装着した状態で画像処理部215aがトイフォトを行った画像の一例を示す図である。図15に示す画像W31は、初期状態にあるレンズ群301aで、画像の中央にピント合わせをして撮像した画像データに対して画像処理部215aがトイフォトを行った画像である。また、図16に示す画像W32は、レンズ群301aを初期状態から傾斜させることにより、被写体である花にピント合わせをして撮像した画像データに対して、画像処理部215aが特殊効果変更部215eによって設定内容が変更されたトイフォトを行った画像である。なお、被写体である木と花は、レンズ群301aからほぼ同じ距離に位置する。
【0074】
図14に示す画像W21に比べて、画像W31,W32にはシェーディング効果(ドットで表示)が施されている。さらに、画像W31と画像W32とを比較すると、二つの画像ともピント領域(実線で表示)から放射状に広がってぼけている(破線で表示)が、そのぼけ量(収差)はピント領域から離れるほど大きくなっている。
【0075】
ところで、図15に示す状況下でレンズ群301aを初期状態から傾斜させて被写体である花にピントを合わせて撮影を行った場合において、画像処理部215aが特殊効果処理としてトイフォトを行うとき、シェーディング効果で暗くなった領域とピント領域との一部が重なる。このため、ピント領域がシェーディング効果の領域によって打ち消される。そこで、本実施の形態では、特殊効果変更部215eがレンズ群301aの傾斜に応じて、特殊効果設定部215dが画像処理部215aに設定した特殊効果処理の設定内容を変更する。具体的には、特殊効果変更部215eは、画像処理部215aが特殊効果処理としてトイフォトを行う場合、画像内においてシェーディング処理を施す位置を、レンズ群301aの変位量に応じて変更する(たとえば、図16の画像W32を参照)。
【0076】
図17および図18は、レンズ部3を装着した状態で画像処理部215aが特殊効果処理としてジオラマを行った画像の一例を示す図である。図17に示す画像W41は、初期状態にあるレンズ群301aで、画像の中央にピント合わせをして撮像した画像データに対して画像処理部215aがジオラマを行った画像である。また、図18に示す画像W42は、レンズ群301aを初期状態から傾斜させることにより、被写体である花にピント合わせをして撮像した画像データに対して、画像処理部215aが特殊効果変更部215eによって設定内容が変更されたジオラマを行った画像である。
【0077】
図17および図18に示す画像W41,W42には、ぼかし効果(太線で表示)が施されている。また、画像W41と画像W42とを比較すると、二つの画像ともピント領域(実線で表示)から放射状に広がってぼけている(破線で表示)。さらに、特殊効果処理のトイフォトと同様に、レンズ群301aを初期状態から傾斜させて被写体である花にピントを合わせて撮影を行った場合において、画像処理部215aがジオラマを行うとき、ぼけた領域とピント領域との一部が重なることで、ピント領域がぼける。そこで、トイフォトと同様に、画像処理部215aが特殊効果処理としてジオラマを行う場合、画像内においてぼかし処理を施す位置を、レンズ群301aの変位量に応じて変更する(たとえば、図18の画像W42を参照)。
【0078】
図19および図20は、レンズ部3を装着した状態で画像処理部215aが特殊効果処理としてファンタジックフォーカスを行った画像の一例を示す図である。図19に示す画像W51は、初期状態にあるレンズ群301aで、画像の中央にピント合わせをして撮像した画像データに対して画像処理部215aがファンタジックフォーカスを行った画像である。また、図20に示す画像W52は、レンズ群301aを初期状態から傾斜させることにより、被写体である花にピント合わせをして撮像した画像データに対して、画像処理部215aが特殊効果変更部215eによって設定内容が変更されたファンタジックフォーカスを行った画像である。
【0079】
図19および図20に示す画像W51,W52には、画像全体に対して均一にぼかし効果(薄い太線で表示)が施されている。また、画像W51および画像W52では、ピント領域(太線で表示)がぼかし効果が施された領域に比して被写体の輪郭が明確になっている。ところで、図19に示す状況下でレンズ群301aを初期状態から傾斜させて被写体である花にピントを合わせて撮影を行った場合において、画像処理部215aがファンタジックフォーカスを行うとき、ピント領域とぼけた領域との境界が曖昧になる。そこで、特殊効果変更部215eは、画像処理部215aが特殊効果処理としてファンタジックフォーカスを行う場合、画像全体に対して均一に行うぼかし処理の強度を、レンズ群301aの変位量に応じて変更する(たとえば、図20の画像W52を参照)。より具体的には、もともとぼけた領域をさらに強調してぼかすようにぼかし処理の強度を強くする。
【0080】
つぎに、以上の構成を有する撮像装置1が行う動作について説明する。図21は、撮像装置1が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【0081】
図21において、まず、本体制御部215は、撮像装置1の起動に伴って撮像装置1が動画記録中であることを示すフラグをオフにし(ステップS101)、撮像装置1が撮影モードであるか否かを判断する(ステップS102)。撮像装置1が撮影モードである場合(ステップS102:Yes)、撮像装置1は後述するステップS103へ移行する。一方、撮像装置1が撮影モードでない場合(ステップS102:No)、撮像装置1は後述するステップS122へ移行する。
【0082】
ステップS102において、撮像装置1が撮影モードに設定されている場合について説明する(ステップS102:Yes)。この場合において、メニュースイッチ209eが操作されたとき(ステップS103:Yes)、特殊効果設定部215dは、メニュースイッチ209eから入力された指示信号に応じて画像処理部215aが行うべき処理を設定する(ステップS104)。この設定により、画像処理部215aには、特殊効果処理としてトイフォト、ジオラマ、ファンタジックフォーカス等を行う。さらに、画像データの記録フォーマット、たとえばJPEG記録方式、RAW記録方式、AVI記録方式、Motion−JPEG記録方式、H.264(AVCHD)記録方式およびH.264(MP4)方式等の記録フォーマットを設定してもよい。
【0083】
ステップS103において、メニュースイッチ209eが操作されていない場合(ステップS103:No)、撮像装置1は後述するステップS105へ移行する。
【0084】
ステップS105において、動画スイッチ209fが操作された場合(ステップS105:Yes)、本体制御部215は、フラグを反転する(ステップS106)。
【0085】
続いて、撮像装置1が動画記録中であるとき(ステップ107:Yes)、撮像装置1の動画撮影を終了し(ステップS108)、ステップS110へ移行する。一方、撮像装置1の動画記録中でないとき(ステップ107:No)、撮像装置1の動画撮影を開始し(ステップS109)、ステップS110へ移行する。
【0086】
ステップS105において、動画スイッチ209fが操作されていない場合(ステップS105:No)、撮像装置1は後述するステップS110へ移行する。
【0087】
続いて、撮像装置1が動画記録中でなく(ステップS110:No)、レリーズスイッチ209bを介してファーストレリーズ信号が入力されていない場合(ステップS111:No)において、セカンドレリーズ信号が入力されたとき(ステップS112:Yes)、撮像装置1は静止画を撮像する静止画撮影処理を実行し(ステップS113)、後述するステップS114へ移行する。
【0088】
ステップS113の後、電源スイッチ209aが操作された場合(ステップS114:Yes)、本体制御部215は、電源をオフする制御を行い(ステップS115)、一連の処理を終了する。
【0089】
ステップS113の後、電源スイッチ209aが操作されていない場合(ステップS114:No)、撮像装置1はステップS102へ戻る。
【0090】
ステップS110において、撮像装置1が動画記録中でなく(ステップS111:No)、レリーズスイッチ209bを介してファーストレリーズ信号が入力されていない場合(ステップS111:No)において、セカンドレリーズ信号が入力されていないとき(ステップS112:No)、本体制御部215は、画像データに基づいて、撮影時の感度(ISO)、絞りおよびシャッタ速度を調整するAE処理を行う(ステップS116)。
【0091】
続いて、本体制御部215は、画像データに基づいてピントを合わせるAF処理を行い(ステップS117)、画像処理部215aは、画像データに対して所定の画像処理を行い(ステップS118)、撮像装置1はステップS114へ移行する。なお、画像処理の詳細は後述する。
【0092】
ステップS110において、撮像装置1が動画記録中でなく(ステップS111:No)、レリーズスイッチ209bが押されることによってファーストレリーズ信号が入力された場合(ステップS111:Yes)、本体制御部215は、画像データに基づいて、AE処理を行い(ステップS120)、画像データに基づいて、AF処理を行う(ステップS121)。その後、撮像装置1はステップS114へ移行する。
【0093】
ステップS110において、撮像装置1が動画記録中である場合(ステップS110:Yes)、撮像装置1は動画を撮影する動画撮影処理を実行し(ステップS119)、ステップS114へ移行する。
【0094】
つぎに、ステップS102において、撮影モードに設定されていない場合(ステップS102:No)について説明する。この場合において、撮像装置1が再生モードに設定されているとき(ステップS122:Yes)、表示制御部215gは、表示部210にファイル一覧を表示させる(ステップS123)。
【0095】
続いて、操作入力部209またはタッチパネル211を介して拡大して表示するファイルが選択された場合(ステップS124:Yes)、表示制御部215gは、選択されたファイルを表示部210に再生表示させる(ステップS125)。
【0096】
その後、別のファイルが新たに選択された場合(ステップS126:Yes)、撮像装置1はステップS125へ戻る。一方、別のファイルが選択されていない場合(ステップS126:No)、撮像装置1はステップS127へ移行する。
【0097】
ステップS127において、操作入力部209またはタッチパネル211によって画像再生の終了指示が入力された場合(ステップS127:Yes)、撮像装置1はステップS114へ移行する。これに対して、画像再生の終了指示が入力されていないとき(ステップS127:No)、撮像装置1はステップS123へ戻る。
【0098】
ステップS124において、ファイルが選択されていない場合(ステップS124:No)、撮像装置1はステップS127へ移行する。
【0099】
ステップS122において、撮像装置1が再生モードに設定されていない場合(ステップS122:No)、撮像装置1はステップS114へ移行する。
【0100】
つぎに、図21に示したステップS113の静止画撮影処理について説明する。図22は、図21に示す静止画撮影処理の概要を示すフローチャートである。
【0101】
図22に示すように、まず、撮像装置1は、撮影制御部215fの制御のもと、撮影を行い(ステップS201)。
【0102】
画像処理部215aは、撮影により信号処理部203を介して撮像部201から出力された画像データ(RAWデータ)に対して後述する所定の画像処理を行う(ステップS202)。なお、画像処理の詳細は後述する。
【0103】
続いて、表示制御部215gは、画像を表示部210に表示させる(ステップS203)。
【0104】
その後、本体制御部215は、画像データに、撮影時の撮影情報や画像サイズを対応付けてJPEG記録方式で圧縮し、圧縮した画像データを格納した画像ファイルを生成し(ステップS204)、生成した画像ファイルを記憶部212に記録させ(ステップS205)、撮像装置1は図21のメインルーチンに戻る。ここで、撮影情報とは、光学系301の光軸が基準位置から変位情報である。なお、画像データをRAW記録方式で記憶部212に記録させる場合、本体制御部215が生成した画像ファイルに、画像データに対応するサムネイル画像と、画像処理部215aが画像処理を行ったRAWデータとをそれぞれ格納して記憶部212に記憶させてもよい。
【0105】
つぎに、図21に示したステップS119の動画撮影処理について説明する。図23は、図21に示す動画撮影処理の概要を示すフローチャートである。
【0106】
図23に示すように、まず、撮像装置1は、露出を調整するAE処理を行い(ステップS301)。撮像装置1は、撮影制御部215fの制御のもと、撮影を行う(ステップS302)。
【0107】
続いて、画像処理部215aは、信号処理部203を介して撮像部201から出力される画像データに対して後述する所定の画像処理を行う(ステップS303)。なお、画像処理の詳細については後述する。
【0108】
その後、表示制御部215gは、画像処理部215aが画像処理を行った画像データに対応する画像を表示部210に表示させる(ステップS304)。
【0109】
続いて、本体制御部215は、動画ファイルが生成済みである場合(ステップS305:Yes)、画像処理部215aが画像処理を行った画像データを動画ファイルに格納し(ステップS306)、撮像装置1は図21に示すメインルーチンに戻る。一方、動画ファイルが生成済みでない場合(ステップS305:No)、本体制御部215は、画像処理部215aが画像処理を行った画像データに、撮影時の撮影情報や画像サイズを対応付けてAVI記録方式で圧縮し、圧縮した画像データを格納した動画ファイルを生成する(ステップS307)。その後、撮像装置1は図21に示すメインルーチンに戻る。
【0110】
つぎに、図21で示したステップS118、図22で示したステップS202および図23で示したステップS303の画像処理について説明する。図24は、図21、図22および図23で示す画像処理の概要を示すフローチャートである。
【0111】
図24に示すように、まず、画像処理部215aは、画像データ(RAWデータ)に対して通常の画像処理、たとえば、ホワイトバランスやγ補正等の通常の画像処理を行う(ステップS401)。
【0112】
続いて、本体制御部215は、画像処理部215aが行うべき特殊効果処理が設定されているか否かを判断する(ステップS402)。画像処理部215aが行うべき特殊効果処理が設定されていない場合(ステップS402:No)、撮像装置1は図21に示したメインルーチン、図22に示した静止画撮影処理または図23に示した動画撮影処理に戻る。一方、撮像装置1に特殊効果処理が設定されている場合(ステップS402:Yes)、撮像装置1はステップS403へ移行する。
【0113】
ステップS403において、状態判定部215cは、レンズ部3の傾き操作が行われたか否かを判断する。具体的には、状態判定部215cは、レンズ部3の傾き検出部304が光学系301の傾きを検出したか否かを判定する。レンズ部3の傾き操作が行われた場合(ステップS403:Yes)、撮像装置1は後述するステップS404へ移行する。一方、レンズ部3の傾き操作が行われていない場合(ステップS403:No)、撮像装置1は後述するステップS406へ移行する。
【0114】
ステップS403において、レンズ部3の傾き操作が行われた場合(ステップS403:Yes)について説明する。この場合、特殊効果変更部215eは、傾き検出部304が検出した光学系301の光軸の変位量に応じて、特殊効果設定部215dが設定した特殊効果処理の設定内容を変更する(ステップS404)。
【0115】
その後、画像処理部215aは、通常の画像処理を行った画像データに対して、特殊効果変更部215eによって変更された設定内容に応じた特殊効果処理(たとえば図16,図18,図19を参照)を行い(ステップS405)、その後、撮像装置1は、図21に示したメインルーチン、図22に示した静止画撮影処理または図23に示した動画撮影処理に戻る。
【0116】
ステップS403において、レンズ部3の傾き操作が行われていない場合(ステップS403:No)について説明する。この場合、画像処理部215aは、通常の画像処理を行った画像データに対して、特殊効果設定部215dが設定した特殊効果処理(たとえば図15,図17,図19を参照)を行う(ステップS406)。その後、撮像装置1は、図21に示したメインルーチン、図22に示した静止画撮影処理または図23に示した動画撮影処理に戻る。
【0117】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、傾き検出部304が検出した変位量に応じて、特殊効果変更部215eが特殊効果設定部215dによって設定した特殊効果処理の処理内容を変更する。この結果、画像データに対して撮影時における撮影レンズの光軸の状態に応じた適切な特殊効果処理を行うことができる。
【0118】
また、本発明の一実施の形態では、撮影した直後の画像データに対して、光学系301の光軸の変位量に応じて特殊効果処理の設定内容を変更し、変更した特殊効果処理を通常の画像処理を行った後の画像データに対して行っていたが、たとえば、撮影時の撮影情報を対応付けた画像データを別のパーソナルコンピュータ等の外部処理装置で行ってもよい。
【0119】
また、本発明の一実施の形態では、特殊効果変更部215eが特殊効果処理の処理内容として画像内で行う位置毎の処理内容や強度を変更していたが、たとえば画像内で行う処理としての形状や領域を変更してもよい。
【0120】
また、本発明の一実施の形態では、画像処理部215aが特殊効果処理を行う場合、画像データに対して色収差補正を行わなくてもよい。これにより、レンズの特性を生かした画像を生成することができる。
【0121】
また、本発明の一実施の形態では、画像処理部215aが特殊効果処理を行う場合、収差情報記憶部308aが記憶するレンズ部3の色収差情報を参照し、画像データに含まれる色収差を強調する色収差補正を行ってもよい。これにより、より独創的な画像を生成することができる。
【0122】
図25は、レンズ部の別な構成例の要部を示す図である。図25に示すように、レンズ部6は、レンズ群301aおよび絞り機構301dを保持する第1枠61と、第1枠61を保持する第2枠62と、中心点O1を回転中心として第2枠62を全方位で揺動可能に保持する第3枠63と、第3枠63を前後方向に移動可能に保持する第4枠64とを有する。また、第3枠63の内側には、傾き検出部304が設けられ、第4枠64の内側には、位置検出部303が設けられる。
【0123】
このように構成されたレンズ部6の操作方法について説明する。図26は、レンズ部6の動作を模式的に説明する図である。
【0124】
図26に示すように、ユーザによるレンズ操作部306の操作量に応じて第1枠61および第2枠62を前後方向に移動させることにより(図26(a))、レンズ部6のピントを調整する。その後、ユーザがレンズ部6のレンズ鏡筒30を操作し、第1枠61および第2枠62を所定の角度に傾斜させる(図26(b))。
【0125】
このように構成されたレンズ部6を用いることにより、撮像部201の受光面と直交する方向に対する光学系701の光軸の向きを変更することができ、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0126】
図27は、レンズ部のさらに別な構成例と、このレンズ部を装着した撮像装置1の被写体に面する側(前面側)の構成を示す斜視図である。図27に示すように、レンズ部7は、光学系701と、光学系701を保持する光学系保持部702と、光学系保持部702を基端部に対して前後方向に進退可能に保持するとともに全方位に揺動可能に連結する蛇腹状の連結部703とを備える。以上の構成を有するレンズ部7を適用する場合、ユーザは、光学系保持部702を把持して所望の方向に光学系701を向けた状態で固定することによって視野を決定するとともにピント合わせを行うことができる。なお、レンズ部7に連結部703の連結状態を固定する固定機構をさらに設けることも可能である。
【0127】
このように構成されたレンズ部7を用いることにより、撮像部201の受光面と直交する方向に対して光学系301の光軸を変更することができ、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0128】
また、上述した実施の形態では、撮像装置1をデジタル一眼レフカメラとして説明していたが、たとえばレンズ部3と本体部2とが一体に形成されたデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等の撮影機能と表示機能を備えた各種電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 撮像装置
2 本体部
3,6,7 レンズ部
4 アクセサリ
31,61 第1枠
32,62 第2枠
33,63 第3枠
64 第4枠
201 撮像部
202 撮像駆動部
203 信号処理部
204 フラッシュ発光部
205 姿勢検出部
206 タイマー
207 第1通信部
208 第2通信部
209 操作入力部
209a 電源スイッチ
209b レリーズスイッチ
209c 撮影モード切換スイッチ
209d 操作スイッチ
209e メニュースイッチ
209f 動画スイッチ
210 表示部
211 タッチパネル
212 記憶部
213 電源部
214 電源供給部
215 本体制御部
215a 画像処理部
215b 顔検出部
215c 状態判定部
215d 特殊効果設定部
215e 特殊効果変更部
215f 撮影制御部
215g 表示制御部
301 光学系
301a レンズ群
301b ピント機構
301c 傾き機構
301d 絞り機構
302 レンズ駆動部
303 位置検出部
304 傾き検出部
305 絞り駆動部
306,701a レンズ操作部
307 レンズ通信部
308 レンズ記憶部
308a 収差情報記憶部
309 レンズ制御部
401 アクセサリ通信部
701 光学系
702 光学系保持部
703 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のレンズからなるレンズ群を有する光学系の光軸と光を受光して光電変換を行って電子的な画像データを生成する撮像部の受光面とが直交する基準位置から該光学系の光軸が変位した変位情報を含む撮影時の撮影情報が対応付けられた画像データに対して、複数の画像処理を組み合わせて視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部が行う前記特殊効果処理の内容を指示する指示信号の入力を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部によって入力された前記指示信号に応じて前記画像処理部が行うべき処理を設定する特殊効果設定部と、
前記特殊効果設定部が設定した前記特殊効果処理の処理内容を、前記撮影情報を参照して変更する特殊効果変更部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記変位情報は、前記光学系の光軸が前記基準位置から傾斜している傾斜角度を示す傾斜情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特殊効果処理は、前記画像データに対応する画像内の位置に応じて異なる画像処理を行うものであり、
前記特殊効果変更部は、前記特殊効果処理の位置毎における画像処理の内容を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特殊効果処理は、前記画像の周辺に対してシェーディング効果を施すシェーディング処理であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特殊効果処理は、前記画像の周辺に対してぼかし効果を施すぼかし処理であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特殊効果処理は、前記画像データに対応する画像全体に対して均一に行うものであり、
前記特殊効果変更部は、前記特殊効果処理の強度を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特殊効果処理は、前記画像全体にぼかし効果を施すぼかし処理であることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像処理装置と、
前記撮像部と、
光軸を前記基準位置から変位可能な光学系と、
前記光学系の光軸が前記基準位置から変位した変位量を前記変位情報として検出する変位量検出部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記光学系は、当該撮像装置に着脱自在であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
1または複数のレンズからなるレンズ群を有する光学系の光軸と光を受光して光電変換を行って電子的な画像データを生成する撮像部の受光面とが直交する基準位置から該光学系の光軸が変位した変位情報を含む撮影時の撮影情報が対応付けられた画像データに対して、複数の画像処理を組み合わせて視覚的な効果を生じさせる特殊効果処理を行う画像処理ステップと、
前記画像処理ステップが行う前記特殊効果処理の内容を指示する指示信号の入力を受け付ける操作入力ステップと、
前記操作入力ステップによって入力された前記指示信号に応じて前記画像処理部が行うべき処理を設定する特殊効果設定ステップと、
前記特殊効果設定ステップが設定した前記特殊効果処理の処理内容を、前記撮影情報を参照して変更する特殊効果変更ステップと、
を画像処理装置に実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−156893(P2012−156893A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15697(P2011−15697)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】