説明

画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム

【課題】2以上の視点の3D画像の所望の領域の複数のフレームまたは視点の視差に関する情報を容易に変更することができるようにする。
【解決手段】入力部は、3D動画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する。視差反映部は、補正値に基づいて、3D動画像の視差画像のうちの、所定のフレームの所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する。本技術は、例えば、3D画像を処理する画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関し、特に、2以上の視点の3D画像の所望の領域の複数のフレームまたは視点の視差に関する情報を容易に変更することができるようにした画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2視点の3D静止画像の仮想視点間の奥行き量または視差値を調整する際に、各種セグメンテーション手法やユーザからのGUI(Graphical User Interface)を利用した入力を用いて、調整する領域を指定する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術により、3D静止画像の1視点の所望の領域の奥行き量または視差値のみを変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−209858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のフレームの2以上の視点の3D画像からなる3D動画像において、フレームごとに奥行き量や視差値等の視差に関する情報を調整する領域を指定したり、3D動画像や2以上の視点の3D静止画像において、視点ごとに視差に関する情報を調整する領域を指定したりすることは、多くの時間および労力を必要とする。従って、2以上の視点の3D画像の所望の領域の複数のフレームまたは視点の視差に関する情報を変更することは困難である。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、2以上の視点の3D画像の所望の領域の複数のフレームまたは視点の視差に関する情報を容易に変更することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の画像処理装置は、1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正部とを備える画像処理装置である。
【0007】
本技術の一側面の画像処理方法およびプログラムは、本技術の一側面の画像処理装置に対応する。
【0008】
本技術の一側面においては、1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値が取得され、前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像が補正される。
【発明の効果】
【0009】
本技術の一側面によれば、2以上の視点の3D画像の所望の領域の複数のフレームまたは視点の視差に関する情報を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本技術を適用した画像処理装置の第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の視差反映部の第1の構成例を示すブロック図である。
【図3】動き反映部および反映部による処理を説明する図である。
【図4】図1の画像処理装置の視差調整処理を説明するフローチャートである。
【図5】図2の視差反映部の視差反映処理を説明するフローチャートである。
【図6】図5の注目視点補正処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】図1の視差反映部の第2の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の視差反映部による注目視点補正処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図9】本技術を適用した画像処理装置の第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図10】本技術を適用した画像処理装置の第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図11】図10の視差反映部の構成例を示すブロック図である。
【図12】図10の画像処理装置の視差調整処理を説明するフローチャートである。
【図13】図11の視差反映部の視差反映処理を説明するフローチャートである。
【図14】本技術を適用した画像処理装置の第4実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図15】コンピュータの一実施の形態の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施の形態>
[画像処理装置の第1実施の形態の構成例]
図1は、本技術を適用した画像処理装置の第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1において、画像処理装置10は、画像取得部11、表示制御部12、表示部13、入力部14、調整部15、記憶部16、および視差反映部17により構成される。画像処理装置10は、例えば、3D動画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像に対するユーザからの指示に基づいて、3D動画像の各フレームの各視点の視差画像を変更する。
【0013】
具体的には、画像処理装置10の画像取得部11には、2以上の視点の画像を撮影する装置、1視点の画像を撮影し、その画像から2以上の視点の画像を生成する装置、2視点以上の画像を撮影し、その画像から、より多くの視点の画像を生成する装置等により得られる3D動画像(3D画像シーケンス)が入力される。
【0014】
また、画像取得部11には、3D動画像だけでなく、その3D動画像の視差画像も入力される。視差画像とは、画像の各画素の視差値や被写体までの奥行方向の距離を表すデプス値等の視差に関する情報を表す画像である。視差画像は、測距センサ等の視差値またはデプス値を取得する装置や、3D動画像に対して奥行き推定処理やステレオマッチング等の視差検出処理を行う装置等により得られる。
【0015】
なお、視差値とデプス値は互いに変換可能な値であるため、本明細書では、視差画像は、画像の各画素の視差値であるものとして説明する。また、本実施の形態では、3D動画像の各フレームの各視点の画像の視差画像が入力されるものとするが、所定のフレームの所定の視点の画像の視差画像のみが入力されるようにしてもよい。この場合、画像取得部11は、入力された所定のフレームの所定の視点の視差画像から、他のフレームまたは他の視点の視差画像を生成するようにしてもよい。
【0016】
画像取得部11は、入力部14から供給されるユーザにより指定されたフレームおよび視点を表す情報である指定情報に基づいて、外部から入力された3D動画像のうちの、ユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像を抽出する。画像取得部11は、抽出された画像を表示制御部12に供給し、その画像に対応する視差画像を調整部15に供給する。また、画像取得部11は、外部から入力される視差画像を視差反映部17に供給する。
【0017】
表示制御部12は、画像取得部11から供給される画像を表示部13に表示させる。
【0018】
入力部14は、ユーザからの操作を受け付ける。具体的には、ユーザは、3D動画像の視差画像を補正したい場合、補正後の視差値である補正値を入力するために表示させる画像に対応するフレームと1以上の視点を指定するための操作を行う。入力部14は、その操作を受け付けて指定情報を生成し、画像取得部11と調整部15に供給する。また、ユーザは、表示部13に画像が表示されているとき、その画像の所定の画素を指定するための操作を行い、その画素に対応する視差画像の画素の補正値を入力するための操作を行う。入力部14は、取得部として機能し、これらの操作を受け付けて、指定された画素の位置(以下、補正画素位置という)と入力された補正値を取得し、調整部15に供給する。
【0019】
調整部15は、入力部14から供給される補正画素位置と補正値に基づいて、画像取得部11から供給される視差画像を補正する。調整部15は、補正後の視差画像および補正画素位置、並びに、入力部14から供給される指定情報を記憶部16に供給する。
【0020】
記憶部16は、調整部15から供給される指定情報に対応付けて、補正後の視差画像および補正画素位置を記憶する。
【0021】
視差反映部17は、画像取得部11から入力される視差画像の全てのフレームを順次注目フレームとする。また、視差反映部17は、注目フレームの全ての視差画像に対応する視点を順次注目視点とする。視差反映部17は、記憶部16から指定情報、補正画素位置、および補正後の視差画像を読み出す。視差反映部17は、視差補正部として機能し、読み出された指定情報、補正画素位置、および補正後の視差画像に基づいて、画像取得部11から供給される注目フレームの注目視点の視差画像を補正して、出力する。
【0022】
なお、画像取得部11は、画像とともに、対応する視差画像を表示制御部12に供給し、表示制御部12は、画像と視差画像を表示部13に表示させるようにしてもよい。この場合、画像と視差画像のうちのいずれに対して視差値を補正する画素を指定してもよい。
【0023】
[視差反映部の第1の構成例]
図2は、図1の視差反映部17の第1の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図2において、視差反映部17は、対応画素検出部31、判定部32、動き検出部33、動き反映部34、および反映部35により構成される。
【0025】
視差反映部17の対応画素検出部31は、画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを順次注目フレームとする。また、対応画素検出部31は、注目フレームの全ての視差画像に対応する視点を順次注目視点とする。
【0026】
対応画素検出部31は、記憶部16から指定情報と補正画素位置を読み出す。対応画素検出部31は、図1の画像取得部11からの視差画像、並びに、補正画素位置、指定情報が表す視点の位置、および注目視点の位置に基づいて、補正画素位置に対応する、注目フレームの注目視点の視差画像の画素位置(以下、対応画素位置という)を検出する。
【0027】
具体的には、指定情報が注目フレームおよび注目視点を表す場合、対応画素検出部31は、補正画素位置を対応画素位置として検出する。
【0028】
また、指定情報が注目フレームを表しており、注目視点以外の視点を表している場合、対応画素検出部31は、補正画素位置、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像、並びに、その視差画像の基点、指定情報が表す視点、および注目視点の位置関係に基づいて、対応画素位置を検出する。より詳細には、対応画素検出部31は、補正画素位置の視差値、並びに、指定情報が表す視点、指定情報が表す視点およびフレームの視差画像の基点、および注目視点の位置関係に基づいて、対応画素位置を検出する。
【0029】
なお、この場合、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の画像と、指定情報が表すフレームおよび視点の画像の補正画素位置の画素値とを用いて、対応点検出アルゴリズムにしたがう処理を行うことにより、対応画素位置を検出するようにしてもよい。対応点検出アルゴリズムとしては、ブロックマッチング、グラフカット、動的計画法等がある。
【0030】
また、以下のように、対応画素位置を検出してもよい。即ち、対応画素検出部31は、まず、補正画素位置、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像、並びに、その視差画像の基点、指定情報が表す視点、および注目視点の位置関係に基づいて、対応画素位置の候補を検出する。そして、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の画像に対して、指定情報が表すフレームおよび視点の画像の対応画素位置の候補の画素を含む所定の範囲を探索範囲として、対応点検出アルゴリズムにしたがう処理を行うことにより、最終的な対応画素位置を検出する。
【0031】
さらに、これらの視差画像を用いた検出方法、画像を用いた検出方法、および視差画像および画素を用いた検出方法を選択的に行うようにしてもよい。
【0032】
一方、指定情報が注目画素を表しており、注目フレーム以外のフレームを表している場合、または、指定情報が注目フレーム以外のフレームおよび注目画素以外の画素を表している場合、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の視差画像と、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像とを用いて対応点検出アルゴリズムにしたがう処理を行うことにより、対応画素位置を検出する。
【0033】
なお、この場合、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の画像と、指定情報が表すフレームおよび視点の画像とを用いて対応点検出アルゴリズムにしたがう処理を行うことにより、対応画素位置を検出するようにしてもよい。
【0034】
また、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の画像および視差画像、並びに、指定情報が表すフレームおよび視点の画像および視差画像を用いて、対応点検出アルゴリズムにしたがう処理を行うことにより、対応画素位置を検出するようにしてもよい。
【0035】
この場合、例えば、対応点検出アルゴリズムがブロックマッチングである場合、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の画像の各ブロックの画素値と、指定情報が表すフレームおよび視点の画像の対応画素位置の画素を含むブロックの画素値の差分絶対値和を第1の評価値として算出する。また、対応画素検出部31は、注目フレームの注目視点の視差画像の各ブロックの視差値と、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像の対応画素位置の画素を含むブロックの視差値の差分絶対値和を第2の評価値として算出する。そして、対応画素検出部31は、第1の評価値と第2の評価値の重み付き平均値を最終的な評価値として、最終的な評価値が最小となる注目フレームの注目視点の視差画像のブロック内の補正画素位置に対応する位置を対応画素位置として検出する。
【0036】
さらに、これらの視差画像を用いた検出方法、画像を用いた検出方法、および視差画像および画素を用いた検出方法を選択的に行うようにしてもよい。
【0037】
対応画素検出部31は、以上のようにして検出された対応画素位置を、判定部32、動き反映部34、および反映部35に供給する。
【0038】
判定部32は、記憶部16から指定情報を読み出す。判定部32は、画像取得部11から供給される視差画像から、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像の補正画素位置の画素の視差値を抽出する。また、判定部32は、画像取得部11から供給される視差画像から、注目フレームの注目視点の視差画像の、対応画素検出部31から供給される対応画素位置の画素の視差値を抽出する。
【0039】
そして、判定部32は、抽出された補正画素位置の画素の視差値と、対応画素位置の画素の視差値との差分を求める。判定部32は、その差分が閾値以上であるかどうかを判定する。判定部32は、その差分が閾値以上であると判定された場合、動き反映部34に指令を行い、その差分が閾値より小さいと判定された場合、反映部35に指令を行う。
【0040】
なお、補正画素位置が複数ある場合には、補正画素位置ごとに判定が行われるようにしてもよいし、全ての補正画素位置についてまとめて判定が行われるようにしてもよい。全ての補正画素位置についてまとめて判定が行われる場合には、例えば、各補正画素位置についての差分の平均値が判定に用いられる。
【0041】
動き検出部33は、画像取得部11から供給される注目フレームの注目視点の視差画像と、その注目フレームより1フレーム前の注目視点の視差画像とを用いて、注目フレームの注目視点の画像の奥行方向の動きベクトルを検出する。動き検出部33は、検出された動きベクトルを動き反映部34に供給する。なお、本明細書では、手前方向、即ち表示部13の画面から視聴位置に向かう方向を正方向とし、奥方向、即ち視聴位置から表示部13の画面に向かう方向を負方向とする。
【0042】
動き反映部34は、判定部32からの指令に応じて、記憶部16に記憶されている補正後の視差画像と補正画素位置を読み出す。そして、動き反映部34は、補正部として機能し、動き検出部33からの動きベクトル、対応画素検出部31からの対応画素位置、並びに、補正後の視差画像および補正画素位置に基づいて、画像取得部11からの注目フレームの注目視点の視差画像を補正する。
【0043】
具体的には、動き反映部34は、動きベクトルに基づいて、補正後の視差画像内の補正画素位置の視差値を変更し、注目フレームの注目視点の視差画像内の対応画素位置の視差値を、変更後の補正画素位置の視差値に変更する。即ち、動き反映部34は、フレーム間の視差値の変化を考慮して、注目フレームの注目視点の視差画像内の対応画素位置の視差値を補正する。そして、動き反映部34は、補正後の注目フレームの注目視点の視差画像を出力する。
【0044】
反映部35は、判定部32からの指令に応じて、記憶部16に記憶されている補正後の視差画像と補正画素位置を読み出す。そして、反映部35は、補正部として機能し、対応画素検出部31からの対応画素位置、並びに、補正後の視差画像および補正画素位置に基づいて、画像取得部11からの注目フレームの注目視点の視差画像を補正する。具体的には、反映部35は、注目フレームの注目視点の視差画像内の対応画素位置の視差値を、補正後の視差画像内の補正画素位置の視差値に変更する。そして、反映部35は、補正後の視差画像を出力する。
【0045】
[動き反映部および反映部の処理の説明]
図3は、動き反映部34および反映部35による処理を説明する図である。
【0046】
図3の例では、tフレームの視点Aの画像51には、オブジェクト51Aがあり、tフレームの視点Bの画像52には、オブジェクト51Aに対応するオブジェクト52Aがある。また、t+1フレームの視点Aの画像53には、オブジェクト51Aが右手前側に移動したオブジェクト53Aがあり、t+1フレームの視点Bの画像54には、オブジェクト52Aが右手前側に移動したオブジェクト54Aがある。
【0047】
ここで、ユーザが、tフレームおよび視点Aを指定した後、オブジェクト51Aの位置ptを指定し、位置ptの視差値dtの補正値ctを入力すると、オブジェクト51Aの位置ptの視差値dtが補正値ctに補正される。
【0048】
そして、注目フレームがtフレームであり、注目視点が視点Bである場合、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置の視差値dtと、その補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト52Aの位置p'tの視差値d'tの差分が閾値より小さいため、反映部35に指令が供給される。これにより、反映部35は、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト52Aの位置p'tの視差値d'tを補正値ctに補正する。
【0049】
また、注目フレームがt+1フレームであり、注目視点が視点Aである場合、判定部32は、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置の視差値dtと、その補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト53Aの位置pt+1の視差値dt+1の差分を求める。図3の例では、オブジェクト51Aが右手前側に移動してオブジェクト53Aとなる、即ち、オブジェクト51Aが奥行方向に移動してオブジェクト53Aとなるので、補正画素位置の視差値dtと対応画素位置の視差値dt+1の差分は大きい。
【0050】
従って、判定部32からの指令が動き反映部34に供給され、動き反映部34は、例えば、以下の式(1)により、奥行方向の動きベクトルに基づいて補正後の視差画像内の補正画素位置の視差値を変更し、補正値ct+1を得る。そして、動き反映部34は、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト53Aの位置pt+1の視差値dt+1を、補正値ct+1に補正する。
【0051】
ct+1=α(ct-dt)+dt+1
・・・(1)
【0052】
なお、式(1)において、αは動きベクトルに基づく係数である。
【0053】
例えば、奥行方向の動きベクトルが閾値vth1(vth1≧0)より大きい場合、即ち、注目視点の画像が急激に迫り出す場合、例えば、αは1より大きい値に設定される。即ち、対応画素位置の視差値の補正量が、補正画素位置の視差値の補正量より大きくされる。これにより、急激に迫り出すシーンで、より迫り出すようにすることができる。
【0054】
なお、奥行方向の動きベクトルが閾値vth1(vth1≧0)より大きい場合、αは0より大きく1より小さい値に設定されるようにしてもよい。即ち、対応画素位置の視差値の補正量が、補正画素位置の視差値の補正量より小さくされるようにしてもよい。この場合、急激に迫り出すシーンで、視差が急激に大きくなり過ぎないようにすることができる。
【0055】
また、奥行方向の動きベクトルが閾値vth1(vth1≧0)より大きい場合、αとして設定される値は、固定値であってもよいし、例えば、以下の式(2)に示すように、奥行方向の動きベクトルの大きさに応じた値でもよい。
【0056】
α∝|vzt|×vth1-1
・・・(2)
【0057】
式(2)において、vztは、奥行方向の動きベクトルを表す。
【0058】
一方、奥行方向の動きベクトルが閾値vth2(vth2<0)より小さい場合、即ち、注目視点の画像が急激に引っ込む場合、例えば、αは1より大きい値に設定される。これにより、急激に引っ込むシーンで、より引っ込むようにすることができる。
【0059】
なお、奥行方向の動きベクトルがvth2(vth2<0)より小さい場合、αは0より大きく1より小さい値に設定されるようにしてもよい。この場合、急激に引っ込むシーンで、視差が急激に小さくなり過ぎないようにすることができる。
【0060】
また、奥行方向の動きベクトルがvth2(vth2<0)より小さい場合、αとして設定される値は、固定値であってもよいし、例えば、以下の式(3)に示すように、奥行方向の動きベクトルの大きさに応じた値でもよい。
【0061】
α∝|vzt|×vth2-1
・・・(3)
【0062】
式(3)において、vztは、奥行方向の動きベクトルを表す。
【0063】
また、奥行方向の動きベクトルがvth2(vth2<0)以上閾値vth1(vth1≧0)以下である場合、αは1に設定され、補正値ct+1は以下の式(4)で表される。
【0064】
ct+1=(ct-dt) +dt+1
・・・(4)
【0065】
以上のように、動き反映部34は、奥行方向の動きベクトルに基づいて補正値ct+1を決定するので、補正後の注目フレームおよび注目視点の視差画像に対応する3D画像の見え方が自然になる。
【0066】
なお、奥行方向の動きベクトルによらず、αが1に設定されるようにしてもよい。
【0067】
また、図3の例では、オブジェクト53Aが奥行方向に移動してオブジェクト53Aとなったが、オブジェクト53Aが奥行方向に移動せずに、例えば水平方向にのみ移動してオブジェクト53Aとなる場合、以下のようにしてオブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト53Aの位置pt+1の視差値dt+1の補正を行う。
【0068】
即ち、この場合、補正画素位置の視差値dtと対応画素位置の視差値dt+1の差分は小さい。従って、判定部32からの指令が反映部35に供給され、反映部35は、例えば、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置の補正後の視差値ctを用いて、以下の式(5)により補正値ct+1を求める。
【0069】
ct+1= ct
・・・(5)
【0070】
そして、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト53Aの位置pt+1の視差値dt+1を補正値ct+1に補正する。
【0071】
なお、注目フレームがt+1フレームであり、注目視点が視点Bである場合、注目フレームがt+1フレームであり、注目視点が視点Aである場合と同様に、オブジェクト51Aの位置ptである補正画素位置に対応する対応画素位置であるオブジェクト54Aの位置p't+1の視差値d't+1が補正される。
【0072】
[画像処理装置の処理の説明]
図4は、図1の画像処理装置10の視差調整処理を説明するフローチャートである。この視差調整処理は、例えば、ユーザが入力部14を操作して、フレームおよび1以上の視点を指定したとき、開始される。
【0073】
図4のステップS11において、画像取得部11は、入力部14から供給される指定情報に基づいて、外部から入力された3D動画像のうちの、ユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像を抽出する。画像取得部11は、抽出された画像を表示制御部12に供給し、その画像に対応する視差画像を調整部15に供給する。また、画像取得部11は、外部から入力される視差画像を視差反映部17に供給する。
【0074】
ステップS12において、表示制御部12は、画像取得部11から供給される画像を表示部13に表示させる。
【0075】
ステップS13において、入力部14は、ユーザにより表示中の画像の所定の画素を指定するための操作が行われたかどうかを判定する。ステップS13でユーザにより表示中の画像の所定の画素を指定するための操作が行われていないと判定された場合、その操作が行われるまで待機する。
【0076】
一方、ステップS13でユーザにより表示中の画像の所定の画素を指定するための操作が行われたと判定された場合、入力部14は、その画素の位置を補正画素位置として調整部15に供給する。
【0077】
そして、ステップS14において、入力部14は、ユーザにより補正値を入力するための操作が行われたかどうかを判定する。ステップS14でユーザにより補正値を入力するための操作が行われていないと判定された場合、その操作が行われるまで待機する。
【0078】
一方、ステップS14でユーザにより補正値を入力するための操作が行われたと判定された場合、入力部14は、その補正値を調整部15に供給する。
【0079】
そして、ステップS15において、調整部15は、入力部14から供給される補正画素位置および補正値に基づいて、画像取得部11から供給される表示中の画像の視差画像を補正する。調整部15は、補正後の視差画像および補正画素位置、並びに、入力部14から供給される指定情報を記憶部16に供給する。
【0080】
ステップS16において、記憶部16は、調整部15から供給される指定情報に対応付けて、補正画素位置および補正後の視差画像を記憶し、処理を終了する。
【0081】
図5は、図2の視差反映部17の視差反映処理を説明するフローチャートである。この視差反映処理は、例えば、図4の視差調整処理が行われた後、開始される。
【0082】
図5のステップS30において、視差反映部17の対応画素検出部31は、記憶部16から指定情報と補正画素位置を読み出す。
【0083】
ステップS31において、対応画素検出部31は、図1の画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームのうち、まだ注目フレームとしていないフレームを注目フレームに決定する。
【0084】
ステップS32において、対応画素検出部31は、注目フレームの全ての視差画像に対応する視点のうち、まだ注目視点としてない視点を注目視点に決定する。
【0085】
ステップS33において、対応画素検出部31は、画像取得部11からの視差画像、並びに、補正画素位置、指定情報が表す視点の位置、および注目視点の位置に基づいて、対応画素位置を検出する。対応画素検出部31は、検出された対応画素位置を、判定部32、動き反映部34、および反映部35に供給する。
【0086】
ステップS34において、視差反映部17は、注目フレームの注目視点の視差値を補正する注目視点補正処理を行う。この注目視点補正処理の詳細は、後述する図6を参照して説明する。
【0087】
ステップS35において、対応画素検出部31は、注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点としたかどうかを判定する。ステップS35でまだ注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点としていないと判定された場合、処理はステップS32に戻り、注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点とするまで、ステップS32乃至S35の処理が繰り返される。
【0088】
一方、ステップS35で注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点としたと判定された場合、ステップS36において、画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとしたかどうかを判定する。ステップS36でまだ画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとしていないと判定された場合、処理はステップS31に戻り、画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとするまで、ステップS31乃至S36の処理が繰り返される。
【0089】
ステップS36で画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとしたと判定された場合、処理は終了する。
【0090】
図6は、図5のステップS34の注目視点補正処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0091】
図6のステップS51において、判定部32は、補正画素位置の画素と対応画素位置の画素の視差値の差分を求める。具体的には、判定部32は、記憶部16から指定情報を読み出す。そして、判定部32は、画像取得部11から供給される視差画像から、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像の補正画素位置の画素の視差値を抽出する。また、判定部32は、画像取得部11から供給される視差画像から、注目フレームの注目視点の視差画像の、対応画素検出部31から供給される対応画素位置の画素の視差値を抽出する。そして、判定部32は、抽出された補正画素位置の画素の視差値と、対応画素位置の画素の視差値との差分を求める。
【0092】
ステップS52において、判定部32は、補正画素位置の画素と対応画素位置の画素の視差値の差分が閾値以上であるかどうかを判定する。ステップS52で補正画素位置の画素と対応画素位置の画素の視差値の差分が閾値以上であると判定された場合、判定部32は、動き反映部34に指令を行い、処理をステップS53に進める。
【0093】
ステップS53において、動き検出部33は、画像取得部11から供給される注目フレームの注目視点の視差画像と、その注目フレームより1フレーム前の注目視点の視差画像とを用いて、注目フレームの注目視点の画像の奥行方向の動きベクトルを検出する。動き検出部33は、検出された動きベクトルを動き反映部34に供給する。
【0094】
ステップS54において、動き反映部34は、判定部32からの指令に応じて、動き検出部33からの奥行方向の動きベクトル、対応画素検出部31からの対応画素位置、並びに、記憶部16に記憶されている補正後の視差画像および補正画素位置に基づいて、画像取得部11からの注目フレームの注目視点の視差画像を補正する。そして、動き反映部34は、補正後の注目フレームの注目視点の視差画像を出力する。そして、処理は図5のステップS34に戻り、ステップS35に進む。
【0095】
一方、ステップS52で補正画素位置の画素と対応画素位置の画素の視差値の差分が閾値より小さいと判定された場合、判定部32は、反映部35に指令を行い、処理をステップS55に進める。
【0096】
ステップS55において、反映部35は、判定部32からの指令に応じて、対応画素検出部31からの対応画素位置、並びに、記憶部16に記憶されている補正後の視差画像および補正画素位置に基づいて、画像取得部11からの注目フレームの注目視点の視差画像を補正する。そして、反映部35は、補正後の注目フレームの注目視点の視差画像を出力する。そして、処理は図5のステップS34に戻り、ステップS35に進む。
【0097】
[視差反映部の第2の構成例]
図7は、図1の視差反映部17の第2の構成例を示すブロック図である。
【0098】
図7に示す構成のうち、図2の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0099】
図7の視差反映部17の構成は、主に、判定部32および反映部35が設けられていない点、および、動き反映部34の代わりに動き反映部71が設けられている点が図2の構成と異なる。図7の視差反映部17は、補正画素位置と対応画素位置の視差値の差分によらず、奥行方向の動きベクトルに基づいて注目フレームおよび注目視点の視差画像を補正する。
【0100】
具体的には、図7の視差反映部17の動き反映部71は、記憶部16に記憶されている補正後の視差画像と補正画素位置を読み出す。そして、動き反映部71は、図2の動き反映部34と同様に、動き検出部33からの動きベクトル、対応画素検出部31により検出された対応画素位置、並びに、補正後の視差画像および補正画素位置に基づいて、画像取得部11からの注目フレームの注目視点の視差画像を補正する。そして、動き反映部71は、補正後の注目フレームの注目視点の視差画像を出力する。
【0101】
[視差反映部の処理の説明]
図8は、図7の視差反映部17による図5のステップS34の注目視点補正処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0102】
図8のステップS71において、動き検出部33は、画像取得部11から供給される注目フレームの注目視点の視差画像と、その注目フレームより1フレーム前の注目視点の視差画像とを用いて、注目フレームの注目視点の奥行方向の動きベクトルを検出する。動き検出部33は、検出された動きベクトルを動き反映部71に供給する。
【0103】
ステップS72において、動き反映部71は、動き検出部33からの奥行方向の動きベクトル、対応画素検出部31により検出された対応画素位置、並びに、補正後の視差画像および補正画素位置に基づいて、画像取得部11からの注目フレームの注目視点の視差画像を補正する。そして、動き反映部71は、補正後の注目フレームの注目視点の視差画像を出力する。そして、処理は図5のステップS34に戻り、ステップS35に進む。
【0104】
<第2実施の形態>
[画像処理装置の第2実施の形態の構成例]
図9は、本技術を適用した画像処理装置の第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0105】
図9に示す構成のうち、図1の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0106】
図9の画像処理装置90の構成は、主に、新たに視差検出部91が設けられている点が図1の構成と異なる。図9の画像処理装置90には、外部から3D動画像のみが入力され、画像処理装置90は、その3D動画像に対応する視差画像を生成する。
【0107】
具体的には、画像処理装置90の視差検出部91には、外部から3D動画像が入力される。視差検出部91は、入力された3D動画像の各フレームの各視点の画像の各画素の視差値を検出する。
【0108】
より詳細には、視差検出部91は、例えば、3D動画像を構成する各フレームの各1視点の画像、または、各フレームの各1視点の画像と任意の1視点の画像により生成される3D画像の動き、色、ボケ等の特徴を用いて奥行き推定処理を行う。そして、視差検出部91は、その結果得られる各フレームの各1視点の画像の各画素のデプス値を視差値に変換する。視差検出部91は、検出された3D動画像の各フレームの各視点の画像の各画素の視差値を表す視差画像を、画像取得部11に供給する。
【0109】
なお、視差検出部91は、3D動画像を構成する各フレームの各1視点の画像を含む2視点以上の画像に対してステレオマッチング等の視差検出処理を行い、各フレームの各1視点の画像の各画素の視差値を求めるようにしてもよい。
【0110】
<第3実施の形態>
[画像処理装置の第3実施の形態の構成例]
図10は、本技術を適用した画像処理装置の第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0111】
図10に示す構成のうち、図1の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0112】
図10の画像処理装置110の構成は、主に、新たに領域抽出部111が設けられている点、および、調整部15、記憶部16、視差反映部17の代わりに調整部112、記憶部113、視差反映部114が設けられている点が図1の構成と異なる。図10の画像処理装置110は、表示中の画像を複数の領域に区分し、ユーザにより指定された画素を含む領域を、視差値を補正する領域に決定する。
【0113】
具体的には、領域抽出部111は、画像取得部11により抽出された、ユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像に対して、動きや色等の画像の特徴を用いたセグメンテーション、物体認識等を行う。これにより、ユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像が、略同一の特徴を有する1以上の画素からなる複数の領域に精度良く区分される。
【0114】
領域抽出部111は、区分された各領域の位置と、入力部14により取得された補正画素位置とに基づいて、補正画素位置の画素を含む領域を、視差値を補正する領域に決定する。領域抽出部111は、その視差値を補正する領域の位置を補正領域位置として調整部112に供給するとともに、入力部14により取得された補正値と指定情報を調整部112に供給する。
【0115】
なお、領域抽出部111は、ユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像ではなく、その画像に対応する視差画像に対して、視差値を用いたセグメンテーションや物体認識等を行うようにしてもよい。この場合、ユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像が、略同一の視差値を有する1以上の画素からなる複数の領域に精度良く区分される。
【0116】
調整部112は、領域抽出部111から供給される補正領域位置と補正値とに基づいて、画像取得部11から供給される視差画像を補正する。調整部112は、補正後の視差画像および補正領域位置、並びに、領域抽出部111から供給される指定情報を記憶部113に供給する。
【0117】
記憶部113は、調整部112から供給される指定情報に対応付けて、補正後の視差画像および補正領域位置を記憶する。
【0118】
視差反映部114は、図1の視差反映部17と同様に、画像取得部11から入力される視差画像の全てのフレームを順次注目フレームとする。また、視差反映部114は、視差反映部17と同様に、注目フレームの全ての視差画像に対応する視点を順次注目視点とする。視差反映部114は、記憶部113から指定情報、補正領域位置、および補正後の視差画像を読み出す。視差反映部114は、視差補正部として機能し、読み出された指定情報、補正領域位置、および補正後の視差画像に基づいて、画像取得部11から供給される注目フレームの注目視点の視差画像を補正して、出力する。
【0119】
[視差反映部の構成例]
図11は、図10の視差反映部114の構成例を示すブロック図である。
【0120】
図11に示す構成のうち、図2の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0121】
図11の視差反映部114の構成は、主に、対応画素検出部31、判定部32、動き反映部34、反映部35の代わりに、対応領域検出部131、判定部132、動き反映部133、反映部134が設けられている点が図2の構成と異なる。
【0122】
対応領域検出部131、判定部132、動き反映部133、および反映部134は、処理対象が画素単位ではなく、領域単位であることを除いて、対応画素検出部31、判定部32、動き反映部34、および反映部35と同様であるので、説明は省略する。
【0123】
なお、対応領域検出部131は、対応点検出アルゴリズムにしたがう処理の代わりに、パターンマッチング、物体認識等の対応領域検出アルゴリズムにしたがう処理を行うこともできる。
【0124】
[画像処理装置の処理の説明]
図12は、図10の画像処理装置110の視差調整処理を説明するフローチャートである。この視差調整処理は、例えば、ユーザが入力部14を操作して、フレームおよび1以上の視点を指定したとき、開始される。
【0125】
図12のステップS91乃至S94の処理は、図4のステップS11乃至S14の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0126】
ステップS95において、領域抽出部111は、画像取得部11により抽出されたユーザにより指定されたフレームおよび視点の画像に対して、動きや色等の画像の特徴を用いたセグメンテーションや物体認識等を行うことにより、その画像を1以上の画素からなる複数の領域に区分する。
【0127】
ステップS96において、領域抽出部111は、区分された各領域の位置と、入力部14により取得された補正画素位置とに基づいて、補正画素位置の画素を含む領域を、視差値を補正する領域に決定する。領域抽出部111は、その視差値を補正する領域の位置を補正領域位置として調整部112に供給するとともに、入力部14により取得された補正値と指定情報を調整部112に供給する。
【0128】
ステップS97において、調整部112は、領域抽出部111から供給される補正領域位置および補正値に基づいて、画像取得部11から供給される表示中の画像の視差画像を補正する。調整部112は、補正後の視差画像および補正領域位置、並びに、領域抽出部111から供給される指定情報を記憶部113に供給する。
【0129】
ステップS98において、記憶部113は、調整部112から供給される指定情報に対応付けて、補正領域位置および補正後の視差画像を記憶し、処理を終了する。
【0130】
図13は、図11の視差反映部114の視差反映処理を説明するフローチャートである。この視差調整処理は、例えば、図12の視差調整処理が行われたと、開始される。
【0131】
図13のステップS111において、視差反映部114の対応領域検出部131は、記憶部113から指定情報と補正領域位置を読み出す。
【0132】
ステップS112において、対応領域検出部131は、図10の画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームのうち、まだ注目フレームとしていないフレームを注目フレームに決定する。
【0133】
ステップS113において、対応領域検出部131は、注目フレームの全ての視差画像に対応する視点のうち、まだ注目視点としてない視点を注目視点に決定する。
【0134】
ステップS114において、対応領域検出部131は、画像取得部11からの視差画像、並びに、補正領域位置、指定情報が表す視点の位置、および注目視点の位置に基づいて、対応領域位置を検出する。対応領域検出部131は、検出された対応領域位置を、判定部132、動き反映部133、および反映部134に供給する。
【0135】
ステップS115において、視差反映部114は、注目フレームの注目視点の視差値を補正する注目視点補正処理を行う。この注目視点補正処理は、処理対象が画素単位ではなく領域単位である点を除いて、図6の注目視点補正処理と同様であるので、説明は省略する。
【0136】
ステップS116において、対応領域検出部131は、注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点としたかどうかを判定する。ステップS116でまだ注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点としていないと判定された場合、処理はステップS113に戻り、注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点とするまで、ステップS113乃至S116の処理が繰り返される。
【0137】
一方、ステップS116で注目フレームの全ての視差画像に対応する全ての視点を注目視点としたと判定された場合、ステップS117において、画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとしたかどうかを判定する。ステップS117でまだ外部から入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとしていないと判定された場合、処理はステップS112に戻り、画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとするまで、ステップS112乃至S117の処理が繰り返される。
【0138】
ステップS117で画像取得部11に入力される全ての視差画像に対応するフレームを注目フレームとしたと判定された場合、処理は終了する。
【0139】
以上のように、画像処理装置110は、画像から領域を抽出し、ユーザにより指定された画素を含む領域を視差値を補正する領域に決定するので、ユーザが所望の領域を手作業で指定する場合に比べて、ユーザの所望の領域を容易かつ正確に指定することができる。
【0140】
その結果、例えば、物体認識により半球状のオブジェクトの領域が抽出され、その領域が視差値を補正する領域に決定される場合、3D動画像内の半球状のオブジェクト全体の視差をきれいに変化させることができる。
【0141】
なお、画像処理装置110の視差反映部114は、図7の視差反映部17において、処理単位を画素単位ではなく領域単位にしたものとすることもできる。
【0142】
<第4実施の形態>
[画像処理装置の第4実施の形態の構成例]
図14は、本技術を適用した画像処理装置の第4実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0143】
図14に示す構成のうち、図9や図10の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0144】
図14の画像処理装置150の構成は、主に、新たに視差検出部91が設けられている点が図10の構成と異なる。図14の画像処理装置150には、図9の画像処理装置90と同様に、外部から3D動画像のみが入力され、画像処理装置150は、その3D動画像に対応する視差画像を生成する。
【0145】
以上のように、画像処理装置10(90,110,150)は、3D動画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の視差画像の所定の画素の補正値を取得し、その補正値に基づいて、3D動画像の視差画像のうちの、所定のフレームの所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する。従って、ユーザは、3D動画像の視差画像のうちの所定のフレームの所定の視点の視差画像の所望の領域の補正値を入力するだけで、その視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像の所望の領域の視差値も補正することができる。その結果、ユーザは、3D動画像の所望の領域の複数のフレームまたは視点の視差値を容易に変更することができる。
【0146】
なお、本発明は、3D動画像の所定の領域の複数のフレームおよび視点の視差に関する情報を補正する画像処理装置だけでなく、3D動画像の所定の領域の複数のフレームまたは視点の視差に関する情報を補正する画像処理装置や、2以上の視点の3D静止画像の所定の領域の複数の視点の視差に関する情報を補正する画像処理装置にも適用することができる。また、本発明は、ポストプロダクション等に用いられる編集装置、パーソナルコンピュータやゲーム機器等に適用することができる。
【0147】
また、上述した第1乃至第4実施の形態では、画像処理装置10(90,110,150)が、3D動画像の全フレームおよび全視点の視差画像を補正したが、所定の複数の視差画像のみを補正するようにしてもよい。この場合、補正対象とする視差画像に対応するフレームおよび視点は、予め決められていてもよいし、ユーザにより指定されるようにしてもよい。
【0148】
さらに、注目フレームは、外部から入力される3D動画像に対応するフレーム以外のフレームであってもよい。注目視点についても同様である。
【0149】
この場合、対応画素検出部31(対応領域検出部131)は、指定情報が表すフレームおよび視点の視差画像の全ての画素位置について、対応する注目フレームの注目視点の視差画像の位置(領域)を検出する。そして、動き反映部34(133)または反映部35(134)は、その位置(領域)等に基づいて、調整部112により補正された視差画像から注目フレームの注目視点の視差画像を生成する。
【0150】
また、視差反映部17および視差反映部114は、視差画像を補正するだけでなく、補正後の視差画像を用いて画像も補正するようにしてもよい。
【0151】
さらに、画像処理装置110(150)が物体認識により画像の領域を区分する場合、ユーザは画素を指定するのではなく、物体を特定する情報を指定するようにしてもよい。この場合、画像処理装置110(150)は、ユーザにより指定された物体を特定する情報により特定される物体の領域を、視差値を補正する領域として決定する。
【0152】
<第5実施の形態>
[本技術を適用したコンピュータの説明]
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0153】
そこで、図15は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0154】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としての記憶部208やROM(Read Only Memory)202に予め記録しておくことができる。
【0155】
あるいはまた、プログラムは、リムーバブルメディア211に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブルメディア211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブルメディア211としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0156】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブルメディア211からドライブ210を介してコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵する記憶部208にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0157】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)201を内蔵しており、CPU201には、バス204を介して、入出力インタフェース205が接続されている。
【0158】
CPU201は、入出力インタフェース205を介して、ユーザによって、入力部206が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM202に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU201は、記憶部208に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)203にロードして実行する。
【0159】
これにより、CPU201は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU201は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース205を介して、出力部207から出力、あるいは、通信部209から送信、さらには、記憶部208に記録等させる。
【0160】
なお、入力部206は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部207は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0161】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0162】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0163】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0164】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
【0165】
(1)
1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正部と
を備える画像処理装置。
(2)
前記視差補正部は、
前記所定の画素に対応する、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像の画素を対応画素として検出する対応画素検出部と、
前記補正値に基づいて、前記対応画素検出部により検出された前記対応画素の視差値を補正する補正部と
を備える前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記視差補正部は、
前記所定の画素に対応する、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像の画素を対応画素として検出する対応画素検出部と、
前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像に対応する画像の奥行方向の動きベクトルを検出する動き検出部と、
前記動き検出部により検出された前記動きベクトルと前記補正値に基づいて、前記対応画素検出部により検出された前記対応画素の視差値を補正する補正部と
を備える前記(1)に記載の画像処理装置。
(4)
前記補正部は、前記所定の画素の視差値と前記対応画素の視差値の差分が所定の閾値より小さい場合、前記補正値に基づいて前記対応画素の視差値を補正し、前記所定の画素の視差値と前記対応画素の視差値の差分が前記所定の閾値以上である場合、前記動きベクトルと前記補正値に基づいて前記対応画素の視差値を補正する
前記(3)に記載の画像処理装置。
(5)
前記所定のフレームの前記所定の視点の画像を1以上の画素からなる複数の領域に区分する領域抽出部
をさらに備え、
前記取得部は、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像の、前記領域抽出部により区分された前記複数の領域のうちの所定の領域の補正値を取得する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)
画像処理装置が、
1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得ステップと、
前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正ステップと
を含む画像処理方法。
(7)
コンピュータに、
1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得ステップと、
前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正ステップと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0166】
10 画像処理装置, 14 入力部, 17 視差反映部, 31 対応画素検出部, 33 動き検出部, 34 動き反映部, 35 反映部, 71 動き反映部, 90,110 画像処理装置, 114 視差反映部, 131 対応領域検出部, 133 動き反映部, 134 反映部, 150 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記視差補正部は、
前記所定の画素に対応する、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像の画素を対応画素として検出する対応画素検出部と、
前記補正値に基づいて、前記対応画素検出部により検出された前記対応画素の視差値を補正する補正部と
を備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記視差補正部は、
前記所定の画素に対応する、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像の画素を対応画素として検出する対応画素検出部と、
前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像に対応する画像の奥行方向の動きベクトルを検出する動き検出部と、
前記動き検出部により検出された前記動きベクトルと前記補正値に基づいて、前記対応画素検出部により検出された前記対応画素の視差値を補正する補正部と
を備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記所定の画素の視差値と前記対応画素の視差値の差分が所定の閾値より小さい場合、前記補正値に基づいて前記対応画素の視差値を補正し、前記所定の画素の視差値と前記対応画素の視差値の差分が前記所定の閾値以上である場合、前記動きベクトルと前記補正値に基づいて前記対応画素の視差値を補正する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定のフレームの前記所定の視点の画像を1以上の画素からなる複数の領域に区分する領域抽出部
をさらに備え、
前記取得部は、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像の、前記領域抽出部により区分された前記複数の領域のうちの所定の領域の補正値を取得する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置が、
1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得ステップと、
前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正ステップと
を含む画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
1以上のフレームの2以上の視点の画像からなる3D画像のうちの所定のフレームの所定の視点の画像の、各画素の視差に関する情報を表す視差画像の所定の画素の補正値を取得する取得ステップと、
前記取得部により取得された前記補正値に基づいて、前記3D画像の視差画像のうちの、前記所定のフレームの前記所定の視点の視差画像とはフレームまたは視点が異なる視差画像を補正する視差補正ステップと
を含む処理を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−249159(P2012−249159A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120404(P2011−120404)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】