画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
【課題】階調分布に偏りのある画像であっても階調をより適切に配分し、より見栄えのするポスタライズ画像が得られるようにする。
【解決手段】画像処理部300は、入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム拡張処理部310と、ヒストグラム拡張処理部310で処理された画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理部320とを備える。
【解決手段】画像処理部300は、入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム拡張処理部310と、ヒストグラム拡張処理部310で処理された画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理部320とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の階調数を減じる処理をして絵画調の画像を得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、ムービーカメラ、スキャナ等の画像入力機器で画像入力を行って得られる画像データは、例えばB(青)、G(緑)、R(赤)各色8ビットといったビット深度を有する。そのため、従来の銀塩写真に迫る階調特性の画像を得ることができる。本明細書中では、このような画像を写真画質画像と称する。
【0003】
また、画像データは数値データであるため、加工性に優れる。その特質を活かして、画像データに対して様々な処理を施し、より多彩な表現の画像を得ることが行われている。その一つとして、写真画質画像の階調数を意図的に減じて絵画調の画像を得る方法が知られている。写真画質画像の階調数を減じる際には、ポスタリゼーション処理が行われる。画像の階調特性を変化させる際にトーンカーブを適用することが行われる。トーンカーブは、入力画像の各階調値(入力値)に対応して出力画像の各階調値(出力値)を決定する際の階調変換特性を決定するためのものである。このトーンカーブの形状を、連続した直線や曲線ではなく、不連続な階段関数とすることにより、ポスタリゼーション処理された出力画像を得ることが可能となる。
【0004】
ポスタリゼーション処理は、入力値の最小値から最大値までを限られた数の帯域に分割し、分割されたそれぞれの帯域に対応するそれぞれの出力値を決めたものを階調変換特性とし、この階調変換特性に基づき、入力画像の画素値に対応して出力画像の画素値を導出する処理である。ポスタリゼーション処理の結果、入力画像中の、ある帯域に収まる画素値は、その帯域を代表する一つの画素値に集約される。その結果、生成される画像のトーンは不連続(段階的)となり、絵画のような画像を得ることが可能となる。
【0005】
特許文献1には、ポスタリゼーション処理をしてイラスト化処理画像を得る際に、R、G、Bデータを色相、明度および彩度データに色変換し、色相、明度および彩度データの階調数を減じ、それを再びR、G、Bデータに逆変換する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−314389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カメラで撮影して得られた画像は、階調分布が特定の階調に偏っていることが多い。さらに、画像内の局所領域ではさらに階調の偏りが顕著となる。そのような画像に対してポスタリゼーション処理を行うと、本来は階調が存在していることが望ましい領域において階調を失う場合がある。例えば、ローキーの画像で、階調に偏りがあり、画素値の低い側にヒストグラムのピークが偏っているような画像を考える。このような画像において、ポスタリゼーション処理前の写真画質画像では暗めの領域で階調が確認できていたとしても、それを単純にポスタリゼーション処理すると、暗めの領域の階調が失われることがある。結果として得られる画像は、暗い部分が単色の塗料でベタ塗りされたような画像となってしまう場合がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、階調分布に偏りのある画像であっても階調をより適切に配分し、より見栄えのするポスタライズ画像が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、画像処理装置が、入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム拡張処理部と、
前記ヒストグラム拡張処理部で処理された画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理部とを備える。
【0010】
本発明のある態様によれば、画像処理方法が、
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにすることと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成することとを備える。
【0011】
本発明のある態様によれば、入力画像からポスタライズ画像を生成する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムが、
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム分布拡張処理ステップと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理ステップと
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、階調分布に偏りのある画像であっても階調をより適切に配分し、より見栄えのするポスタライズ画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラの概略的構成を説明するブロック図である。
【図2】コンピュータの概略的内部構成を説明するブロック図であり、画像処理プログラムをコンピュータが実行することにより画像処理部が実現される例を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図4】ヒストグラム平坦化処理の一例を概念的に説明する図であり、(a)は処理前の入力画像の階調ヒストグラムを、(b)は(a)に示される階調ヒストグラムの累積頻度を導出した結果を、(c)はヒストグラム平坦化処理をした後の階調ヒストグラムを、それぞれ示す図である。
【図5】ポスタリゼーション処理に際して設定される階調変換特性の例を概念的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る画像処理部で実行される画像処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る画像処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図8】目標ヒストグラムの設定方法を概念的に説明する図であり、(a)は処理前の入力画像の階調ヒストグラムを、(b)は(a)に示される階調ヒストグラムの累積頻度を導出した結果を、(c)はヒストグラム平坦化処理をした後の階調ヒストグラムを、(d)はある範囲内に属する画素値の分布を所望の分布範囲に広がるように目標ヒストグラムを設定する例を、それぞれ示す図である。
【図9】設定された目標ヒストグラムをもとに階調変換特性を決定する方法を概念的に説明する図であり、(a)は図8(d)に示される目標ヒストグラムから累積密度関数を導出する様子を、(b)は導出された累積密度関数の逆関数を階調変換特性として設定する様子を、それぞれ示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る画像処理部で実行される画像処理手順を説明するフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係る画像処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図12】第3の実施の形態に係る画像処理部で実行される画像処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、デジタルカメラ100の概略的構成を説明するブロック図である。デジタルカメラ100は、スチルカメラであってもムービーカメラであってもよい。あるいは、携帯電話等に組み込まれるカメラであってもよい。デジタルカメラ100がスチルカメラまたはムービーカメラであるとき、撮影レンズが固定式のものであっても、交換可能に構成されていてもよい。
【0015】
デジタルカメラ100は、撮影光学系110と、レンズ駆動部112と、撮像部120と、アナログ・フロントエンド(図1中では「AFE」と表記される)122と、画像記録媒体130と、操作部140と、表示部150と、記憶部160と、CPU170と、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)190と、システムバス180とを備える。記憶部160は、ROM162とRAM164とを備える。DSP190には、画像処理部300が実装される。
【0016】
レンズ駆動部112、撮像部120、アナログ・フロントエンド122、画像記録媒体130、操作部140、表示部150、記憶部160、CPU170、DSP190は、システムバス180を介して電気的に接続される。RAM164は、CPU170およびDSP190の双方からアクセス可能に構成される。
【0017】
撮影光学系110は、被写体像を撮像部120の受光エリア上に形成する。レンズ駆動部112は、撮影光学系110の焦点調節動作を行う。また、撮影光学系110が可変焦点距離光学系である場合には、撮影光学系110がレンズ駆動部112によって駆動されて焦点距離を変更することが可能に構成されていてもよい。
【0018】
撮像部120は、シャッタと撮像素子とを含んで構成され、撮影光学系110を透過した被写体光は、シャッタが開いている間、撮像素子に入射する。撮像素子の受光エリア上に形成される被写体像が光電変換され、アナログ画像信号が生成される。なお、撮像素子が電気的に露光時間(光電変換時間)の制御を行うことが可能な、電子シャッタの機能を有する場合、シャッタは必ずしも備えられていなくてもよい。アナログ画像信号はアナログ・フロントエンド122に入力される。アナログ・フロントエンド122は、撮像部120から入力した画像信号にノイズ低減、増幅、A/D変換等の処理をしてデジタル画像信号を生成する。このデジタル画像信号は、RAM164に一時的に記憶される。
【0019】
DSP190は、RAM164に一時的に記憶されたデジタル画像信号に対してデモザイク、階調変換、色バランス補正、シェーディング補正、ノイズ低減等のさまざまなデジタル信号処理を施し、必要に応じて画像記録媒体130に記録したり、表示部150に出力したりする。
【0020】
画像記録媒体130は、フラッシュメモリや磁気記録装置等で構成され、デジタルカメラ100に対して着脱可能に装着される。あるいは、画像記録媒体130がデジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。その場合、ROM162内に画像データ記録のための領域が確保されて、それを画像記録媒体130とすることが可能である。
【0021】
操作部140は、プッシュスイッチ、スライドスイッチ、ダイヤルスイッチ、タッチパネル等のうちいずれか一種類または複数種類を備え、ユーザの操作を受け付け可能に構成される。表示部150は、TFT液晶表示パネルとバックライト装置、あるいは有機EL表示素子等の自発光式表示素子を備え、画像や文字等の情報を表示可能に構成される。なお、表示部150は表示インターフェースを備えていて、RAM164上に設けられるVRAM領域内に書き込まれる画像データを表示インターフェースが読み出して画像や文字等の情報が表示部150に表示されるものとする。
【0022】
ROM162は、フラッシュメモリ等で構成され、CPU170により実行される制御プログラム(ファームウェア)や、調整パラメータ、あるいはデジタルカメラ100の電源が入っていない状態でも保持する必要のある情報等が記憶される。RAM164は、SDRAM等で構成され、比較的高速のアクセス速度を有する。CPU170は、ROM162からRAM164に転送されたファームウェアを解釈・実行してデジタルカメラ100の動作を統括的に制御する。
【0023】
DSP190は、RAM164に一時的に記憶されるデジタル画像信号に上述した様々な処理を施し、記録用画像データ、表示用画像データ等を生成する。
【0024】
デジタルカメラ100は、撮影時にポスタライズ画像を生成可能に構成される。また、過去に撮影して得られた画像に対して後処理を施し、ポスタライズ画像を生成可能に構成されていてもよい。
【0025】
図2は、記録媒体に記録された画像処理プログラムがコンピュータのCPUにより読み出されて実行され、画像処理部300としての機能が実装される例を説明するブロック図である。コンピュータ200は、CPU210と、メモリ220と、補助記憶装置230と、インターフェース240と、メモリカードインターフェース250と、光ディスクドライブ260と、ネットワークインターフェース270と、表示部280とを備える。CPU210と、メモリカードインターフェース250と、光ディスクドライブ260と、ネットワークインターフェース270と、表示部280とは、インターフェース240を介して電気的に接続される。
【0026】
メモリ220は、DDR SDRAM等の、比較的高速のアクセス速度を有するメモリである。補助記憶装置230は、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブ(SSD)等で構成され、比較的大きな記憶容量を備える。
【0027】
メモリカードインターフェース250は、メモリカードMCを着脱自在に装着可能に構成される。デジタルカメラ等で撮影動作が行われて生成され、メモリカードMC内に記憶された画像データは、このメモリカードインターフェース250を介してコンピュータ200内に読み込むことができる。また、コンピュータ200内の画像データをメモリカードMCに書き込むこともできる。
【0028】
光ディスクドライブ260は、光ディスクODからデータを読み取ることが可能に構成される。光ディスクドライブ260はまた、必要に応じて光ディスクODにデータを書き込むことが可能に構成されていてもよい。
【0029】
ネットワークインターフェース270は、ネットワークNWを介して接続されるサーバ等の外部情報処理装置とコンピュータ200との間で情報を授受可能に構成される。
【0030】
表示部280は、フラットパネルディスプレイ装置等で構成され、文字、アイコン、カラー画像等を表示可能に構成される。
【0031】
画像処理部300は、メモリ220上にロードされた画像処理プログラムをCPU210が解釈・実行することにより実現される。この画像処理プログラムは、メモリカードMCや光ディスクOD等の記録媒体に記録されてコンピュータ200のユーザに頒布される。あるいは、ネットワークNWを介して、サーバ等の外部情報処理装置からダウンロードされた画像処理プログラムが補助記憶装置230に記憶されてもよい。また、他の有線や無線の形態のインターフェースを介して外部情報処理装置等から画像処理プログラムがダウンロードされて補助記憶装置230に記憶されてもよい。
【0032】
画像処理部300は、補助記憶装置230に記憶された画像データ、あるいはメモリカードMC、光ディスクOD、ネットワークNW等を介して入力した画像データに後述する画像処理を行う。以下、画像処理部300における処理について二つの実施の形態で説明する。処理対象の画像データとしては、電子カメラで撮影して得られた静止画や動画の画像データであってもよいし、スキャナ等から得られた静止画の画像データであってもよい。
【0033】
− 第1の実施の形態 −
図3は、画像処理部300の構成を概略的に説明するブロック図である。画像処理部300は、先に説明したように、デジタルカメラ100内のDSP190に実装されていてもよいし、コンピュータ200のCPU210が画像処理プログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0034】
画像処理部300は、ヒストグラム拡張処理部310と、ポスタリゼーション処理部320と、階段関数保持部330とを備える。以下では画像処理部300が図1に示されるデジタルカメラ100に実装される場合を例に説明をする。画像処理部300は、ライブビュー表示のための画像データを入力画像とし、処理後の画像データを出力画像として表示部150に出力してもよい。あるいは、撮影して一連の前処理が行われて得られた画像データを入力画像とし、処理後の画像データを出力画像として画像記録媒体130等に記録してもよい。一連の前処理としては、固定パターンノイズ除去、アナログゲイン調整、A/D変換、デモザイク、ホワイトバランス調整、そしてノイズ低減処理などがある。必要に応じて色空間の変換等の処理が行われても良い。画像処理部300はまた、動画像記録モードでの撮影中に得られる動画像データを入力画像とし、処理後の画像データを出力画像として画像記録媒体130等に逐次記録することも可能である。
【0035】
入力画像はヒストグラム拡張処理部310に入力される。ヒストグラム拡張処理部310は、入力画像のヒストグラムを解析した結果に基づき、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理をした後、ポスタリゼーション処理部320に出力する。ポスタリゼーション処理部320は、ヒストグラム拡張処理部310から入力した画像に対し、階段関数保持部330から入力した階段関数の情報に基づく第2の階調変換特性で第2の階調変換処理を施し、出力画像として出力する。この出力画像は、必要に応じてアンシャープマスク、圧縮等の後処理が行われて画像記録媒体130に記録される。
【0036】
上述した各処理ブロックで行われる処理の詳細について以下に説明する。
【0037】
ヒストグラム拡張処理部310は、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理を行い、入力画像を構成する画素の各画素値度数分布を表すヒストグラムの分散が、第1の階調変換処理前のヒストグラムの分散に比して増すようにする。ここで「ヒストグラムの分散が増す」とは、第1の階調変換処理前後の画像の画素値をそれぞれ統計処理して分散を導出したときに、第1の階調変換処理後の画像の分散が増加することを意味する。例えば、一つの山のような形の分布曲線が形成されるものとして、その山の高さが減じられて裾野の幅が増加したような分布曲線となるとき、ヒストグラムの分散は増す。本明細書では、ヒストグラムをこのように変化させることを「ヒストグラム分布を拡張する」、あるいは「ヒストグラムを拡張する」と称する。
【0038】
第1の階調変換処理としては、ヒストグラム平坦化処理を利用可能である。ヒストグラム平坦化処理は、入力画像を構成する各画素の画素値のヒストグラム(度数分布)を求め、各階級値に属する度数の分布がより平坦化されるような(ヒストグラム分布の山、谷がならされて平らに近づくように)階調変換特性を導出し、導出された階調変換特性を適用して階調変換をする処理である。
【0039】
ここで図4を参照して第1の階調変換処理の一例について説明する。図4中に示される三つのグラフにおいて、横軸には画素値が、縦軸には頻度がとられている。いずれも最小値が0、最大値が1となるように規格化されている。
【0040】
図4(a)は、入力画像のヒストグラムの一例を示す。図4(a)に示される例は、全体的に暗く、コントラストが低めの画像に相当するものとなっている。図4(a)では、画素値が7つの階級に区分されて、画素値の低い側から1段目、2段目、3段目の階級内に画素値が集中している様子が示されている。画素値がrの画素の頻度がPr(r)で示されている。つまり、図4(a)に示されるヒストグラム曲線は、Pr(r)で表される。
【0041】
図4(b)は、図4(a)に示されるヒストグラム特性を有する画像の画素値から累積頻度曲線T(r)を求める様子を概念的に示す。0からrまでの画素値を有する画素の累積頻度sをT(r)で表すと、
【0042】
【数1】
で表すことができる。
【0043】
式(1)で示される累積頻度の特性を第1の階調変換特性として、入力画像に第1の階調変換処理を施すと、図4(c)に示されるように平坦化されたヒストグラムPs(s)が得られる。このようにヒストグラム平坦化の処理を行うことにより、図4(a)において0からr1の範囲内の画素値を有していた、第1の階調変換処理前の画素は、第1の階調変換処理後、図4(c)において1段目から2段目の階級にかけて分布するようになる。
【0044】
上述したヒストグラム拡張処理部310での処理は、入力画像中の全画素に対して一律の階調変換特性を適用するものであってもよいし、以下に説明するようにスペースバリアントに階調変換特性が導出されて各画素に適用されるものであっても良い。
【0045】
スペースバリアントに階調変換特性が適用される例としては、入力画像中の一つの注目画素を囲う部分領域を入力画像中で画定し、画定した部分領域に含まれる画素の画素値から図4(a)に例示されるようなヒストグラムPr(r)を求め、そのヒストグラムPr(r)の分散がより増すように階調変換特性を定め、その階調変換特性を注目画素の画素値に適用することが可能である。部分領域としては、例えば注目画素を中心とする、縦・横に31画素の矩形領域などとすることが可能である。この処理を、画像内の全画素について点順次に行うことにより、スペースバリアントなヒストグラム拡張処理を行うことが可能となる。
【0046】
このとき、例えば画像の最外縁において注目画素を設定した場合に、その注目画素を囲う部分領域を画定することができない。何故ならば、画像の最外縁より外側には画素が存在しないからである。これに対応する方法としては、入力画像で形成される画像の周囲を囲繞するように矩形の枠状の領域の画像を付加することを上記ヒストグラム拡張処理に先立って行うことが可能である。上述した例のように、注目画素を中心とする縦・横に31画素の矩形領域を画定する場合、15画素の幅を有する枠状の領域の画像を元の画像に付加すればよい。このとき、元の画像の外縁から内側に向かって15画素の幅の領域内の画素値を、元の画像の外縁に沿って折り返すようにしてコピーすることが可能である。また、コーナー部では、対角方向に折り返すようにコピーすることが可能である。このようにして得た画像は、第1の階調変換処理後に破棄される。
【0047】
ところで、以上に説明したスペースバリアントな階調変換処理(ヒストグラム拡張処理)において、処理前の入力画像を元画像と称すると、元画像中の画素値を点順次に階調変換後の画素値に置き換えることは行われず、注目画素を階調変換して得た画素値を寄せ集めるようにして複製画像が生成される。理由は、スペースバリアントに処理をする際、注目画素を中心として設定される部分領域中に、以前の処理で階調変換された画素が含まれると、以後の処理結果が影響を受けるからである。
【0048】
スペースバリアントなヒストグラム拡張処理の別例としては、画像認識処理等の技術を用い、入力画像中で注目被写体の写る領域と、それ以外の領域とを抽出し、それぞれの領域に対して異なる階調変換特性を適用してヒストグラム拡張処理を行うことも可能である。
【0049】
ポスタリゼーション処理部320は、ヒストグラム拡張処理部310において第1の階調変換特性による第1の階調変換処理が施された画像に対し、第2の階調変換特性による第2の階調変換処理を行ってポスタライズ画像を生成する。すなわち、ポスタリゼーション処理部320は、ヒストグラム拡張処理部310でヒストグラム分布を拡張する処理が行われた入力画像にポスタリゼーション処理を行う。このとき、ポスタリゼーション処理部320は、階段関数保持部330に保持される階段関数の情報を参照してポスタリゼーション処理を行う。
【0050】
図5は、階段関数保持部に保持される階段関数の例を概念的に示す図である。この階段関数は、ポスタリゼーション処理を行う際の階調変換特性を特定するものである。図5に示す例において、横軸には入力値がとられ、縦軸には出力値が取られている。そして、0から1までの入力値(Iv)が、0≦Iv<I1、I1≦Iv<I2、…、I6≦Iv≦1の7つの連像区間に区分され、各連続区間で定義される範囲の入力値(Iv)に対してO1、O2、…、O7が対応する出力値(Ov)として導出される。この階調変換特性を第2の階調変換特性として第2の階調変換処理をすることにより、処理後の画像の階調数は7に減じられる。
【0051】
図5中、階調変換特性を表す各線分の端部に付加される黒丸、白丸は、各線分の端点に対応する入力値を含む/含まない、の区別を示している。図4のグラフ中、0≦Iv<I1に対応する、左下隅の線分を例に説明すると、その線分の左端に黒丸が、右端に白丸が付されている。つまり、この線分は0以上I1未満の範囲を定義している。
【0052】
ポスタリゼーション処理に際して、画像データのフォーマット(表色系、色空間)は、目的に応じて様々である。例えばB、G、R各色8ビットのビット深度で表される画像データに対しては、各色の画素値(0〜255)それぞれに対してポスタリゼーション処理をすることが可能である。あるいは、RGB色空間の画像を異なる色空間、例えばLa*b*、HSV、YCbCr等の色空間に変換してポスタリゼーション処理をしてもよい。このとき、上述した色空間中のL値、V値、Y値のみを対象にポスタリゼーション処理をすることもできる。入力値、出力値それぞれがとりうる値の範囲は、0から1や、0から255などといったものに限られず、さまざまな値に設定可能である。また、入力値の最小値から最大値の間で設定される区間の数は、ユーザの好み、求められる仕様等に応じて変更可能である。階段関数保持部330に複数の階段関数の情報が記憶されていて、その中からいずれかが自動選択されてもよいし、ユーザによって選択可能に構成されていてもよい。あるいは、ポスタリゼーション処理のための階調変換特性をユーザが設定可能に構成されていて、ユーザにより設定された階調変換特性に対応する階段関数の情報が階段関数保持部330に記憶されていてもよい。
【0053】
図5に例示される階段関数においては、入力値(Iv)の各連続区間が略等しい区間長で設定される例が示されているが、不等間隔に設定されていてもよい。また、入力値(Iv)の各連続区間に対応する出力値O1、O2、…、O7が略等間隔に設定される例が図4には示されている(図5では、各連続区間で定義される入力値の範囲中、それぞれの最小値が出力値O1、O2、…、O7として設定されている)が、必ずしもこのように設定される必要はない。この出力値O1、O2、…、O7については、入力画像の特性に応じて以下のように設定することも可能である。
【0054】
図4(a)に例示されるような、入力画像を構成する画素の各画素値の度数分布を表すヒストグラムにおいて、度数分布を求める際の階級幅を、上記階段関数の各連続区間で定義される入力値の範囲に合わせて設定する。図5の例では、階段関数の各連続区間として0≦Iv<I1、I1≦Iv<I2、…、I6≦Iv≦1が設定される例が示されているが、これらの連続区間で定義される入力値の範囲それぞれに対応してヒストグラムの階級(図4における1段目、2段目、…)を設定する。そして、各階級に属する画素値をもとに、階級ごとの代表値として平均値を求める。階級ごとの代表値としては平均値以外に最頻値、中央値等を求めてもよい。そして、各階級に対応する代表値を出力値O1、O2、…として設定することが可能である。入力画像の画素値のヒストグラムのプロファイルによって、出力値がO1からO2、O2からO3、…O6からO7へと変化する際の差分は、略等しい場合もあれば不等となる場合もある。
【0055】
上記のように、ポスタリゼーション処理部320でポスタリゼーション処理を行う際の階調変換特性を入力画像に応じて適応的に変化させる処理は、階段関数保持部330で行われても良いし、ポスタリゼーション処理部320で行われても良い。
【0056】
図6は、画像処理部300において上述した処理が行われる際の処理手順を説明するフローチャートである。この処理は、図1を参照して説明したデジタルカメラ100の画像処理部300で行われる。あるいは、図2を参照して説明したコンピュータ200の画像処理部300で行うことも可能である。
【0057】
S600において画像処理部300は、入力画像を取得する。画像処理部300がデジタルカメラ100に内蔵されるものである場合、この入力画像は以下の4つのうちのいずれかである。すなわち、デジタルカメラ100が撮影準備動作中にライブビュー画像表示を行うことが可能に構成されるものである場合、このライブビュー画像表示用に撮像して得た画像を入力画像とすることができる。デジタルカメラ100が動画像記録モードで動作している場合、撮像動作中に逐次生成される記録用の動画像を入力画像とすることができる。デジタルカメラ100が静止画像記録モードで動作している場合、撮像して得られた記録用静止画像を入力画像とすることができる。また、デジタルカメラ100が再生モードに切り換えられ、過去に撮像して得られた画像をもとに再生表示される画像を観たユーザが、ポスタライズ画像を生成する操作をした場合に、再生表示されている画像に対応する画像データを入力画像とすることができる。
【0058】
また、画像処理部300がコンピュータ200のCPU210でソフトウェアを実行することにより実現される場合、補助記憶装置230、メモリカードMC、光ディスクOD等から読み出された画像データや、ネットワークNWを介して取得した画像を入力画像とすることができる。あるいはUSBインターフェースやHDMI(登録商標)インターフェース等を介して逐次入力される動画像を入力画像とすることができる。
【0059】
S602において画像処理部300は、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理を行い、ヒストグラム分布を拡張する。S602での処理を終えた入力画像を構成する画素の画素値について統計学上の分散を導出した結果は、処理前の入力画像の分散よりも増加する。S602で行われる処理は、図3のヒストグラム拡張処理部310での処理に相当する。
【0060】
S604において画像処理部300は、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、ポスタライズ画像を生成する。S604で行われる処理は、図3のポスタリゼーション処理部320において、階段関数保持部330から読み出した階段関数の情報をもとに行う階調変換処理(ポスタリゼーション処理)に相当する。
【0061】
S606において画像処理部300は、処理後の画像を出力する。画像処理部300がデジタルカメラ100に内蔵されるものである場合、S606の処理は、処理後の画像を表示部150や画像記録媒体130に出力する処理に相当する。また、画像処理部300がコンピュータ200のCPU210でソフトウェアを実行することにより実現される場合、補助記憶装置230、メモリカードMC、光ディスクOD、表示部280等に出力する処理に相当する。
【0062】
画像処理部300で以上の処理が行われた結果、図4(a)に例示されるヒストグラムを有する入力画像において、1段目の階級に分布する画素値の画素は、第1の階調変換処理が行われてヒストグラムの分散が増加し、図4(c)に示されるように1段目および2段目の階級に分布するようになる。その結果、第1の階調変換処理を経ない場合にはポスタライズ画像中で一つの階調(O1)に集約されて階調を失ってしまう画素が、本実施の形態で説明した処理をすることにより、二つの階調(O1、O2)を有するようになる。その結果、階調分布が特定の階調に偏っている入力画像からポスタライズ画像を得る場合でも、画像の要所に階調が残されてメリハリのある絵画調の画像を得ることが可能となる。
【0063】
− 第2の実施の形態 −
図7は、第2の実施の形態に係る画像処理部300Aの構成を概略的に説明するブロック図である。以下では第1の実施の形態に係る画像処理部300との違いを中心に説明する。画像処理部300Aは、ヒストグラム拡張処理部310Aと、ポスタリゼーション処理部320と、階段関数保持部330Aとを備える。第1の実施の形態に係る画像処理部300との違いは、以下の二点にある。
【0064】
一つは、階段関数保持部330Aに保持される階段関数の情報がポスタリゼーション処理部320だけでなく、ヒストグラム拡張処理部310Aにも出力される点である。もう一つは、ヒストグラム拡張処理部310Aが階段関数保持部330Aから出力された階段関数の情報を参照してヒストグラム拡張処理を行う点である。以下、ヒストグラム拡張処理部310Aで行われる処理の詳細について、図8および図9を参照して説明する。図8、図9中に示されるグラフにおいて、横軸には画素値が、縦軸には頻度がとられている。いずれも最小値が0、最大値が1となるように規格化されている。
【0065】
図8(a)は、入力画像のヒストグラムの一例を示す。図8(a)に示される例は、図4(a)に示されるものと同様、全体的に暗く、コントラストが低めの画像に相当するものとなっている。また、図4(a)を参照して説明したのと同様に、画素値を7つの階級に区分し、画素値の低い側から1段目、2段目、3段目の階級内に画素値が集中している様子が示されている。画素値がrの画素の頻度をPr(r)で示す。
【0066】
図8(b)は、図8(a)に示されるヒストグラム特性を有する画像の画素値から累積頻度曲線T(r)を求める様子を概念的に示している。0からrまでの画素値を有する画素の累積頻度sをT(r)で表すと、先に説明した式(1)により求めることができる。
【0067】
式(1)で示される累積頻度の特性を階調変換特性として、入力画像にこの階調変換処理を施すと、図8(c)に示されるような平坦化されたヒストグラムPs(s)が得られる。入力画像中で0からr1までの画素値を有する画素の累積頻度、つまり図8(a)においてハッチングの施された部分に対応する画素は、階調変換処理後、図8(c)に示されるヒストグラム平坦化処理後のヒストグラム中でハッチングの施された部分に分布するようになる。本例では、階調変換処理前に0からr1の画素値を有していた画素はヒストグラム平坦化処理後も図8(c)に示されるように依然として1段目の階級の中に存在する。この状態でポスタリゼーション処理をすると、暗部での階調が失われた画像となってしまう。従って、入力画像中で0からr1の範囲にある画素値を有する部分の画像についてはヒストグラム拡張処理の効果が得られないことになる。
【0068】
この問題に対処するため、第2の実施の形態においてヒストグラム拡張処理部310Aは、以下に説明する方法によってヒストグラムの分散を増加する処理を行う。すなわち、ヒストグラム拡張処理部310Aは、階段関数保持部330Aから入力した階段関数情報を参照して目標ヒストグラムを設定する。次に、設定された目標ヒストグラムに基づいて第1の階調変換特性を決定する。そして、この第1の階調変換特性に基づいて第1の階調変換処理を行う。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0069】
目標ヒストグラムの設定は、一例として以下のように行われる。ここで、階段関数保持部330Aから入力される階段関数情報が、図5に例示される階調変換特性に対応するものである場合を例に説明する。図5に例示される階調変換特性では、0から1の入力値が0≦Iv<I1、I1≦Iv<I2、…、I6≦Iv≦1の7つの連像区間に区分されて階段関数が設定される。
【0070】
ヒストグラム拡張処理部310Aは、階段関数中の上述した7つの連続区間で定義される入力値の範囲に対応してヒストグラムの階級を定める。そして、階調変換処理前の入力画像中、0からr1までの画素値を有する画素の部分で階調を残すことが望ましいと判定される場合、これらの画素が階段関数の0≦Iv<I1、およびI1≦Iv<I2の、二つの連続区間に対応する、1段目および2段目の階級に分布するように目標ヒストグラムを定める。一例として、図8(a)においてハッチングを施した部分の領域と、図8(d)においてハッチングを施した部分の領域とが略同じ面積となるようになるように目標ヒストグラムを定める。図8(d)に示される目標ヒストグラムのプロファイルは一例であり、任意のプロファイルに設定可能である。また、1段目、2段目の二つの階級に分布させるだけでなく、三つ以上の階級に分布させるように目標ヒストグラムを設定することも可能である。表示部に表示されるプレビュー画像を観ながら、ユーザが目標ヒストグラムを設定可能に構成されていてもよい。また、図8(d)において、3段目以降は平坦化されたプロファイルとなっているが、入力画像の特性等に応じて様々なプロファイルに設定することができる。
【0071】
ヒストグラム拡張処理部310Aは、図8(d)に例示されるように設定された目標ヒストグラムから、以下の式、すなわち、
【0072】
【数2】
により、目標とするヒストグラムの累積密度関数を導出する。
【0073】
上述した、目標とするヒストグラムの累積密度関数G(z)のグラフを図9(a)に示す。ヒストグラム拡張処理部310Aは、目標とするヒストグラムの累積密度関数の逆関数、すなわち、
【0074】
【数3】
を求め、これを第1の階調変換特性として第1の階調変換処理をすることにより、入力画像を構成する画素の画素値のヒストグラムを変更して目標ヒストグラムに近づけることが可能となる。
【0075】
上述したヒストグラム拡張の処理に際して、入力画像の全画素の画素値から導出したヒストグラムが目標とするヒストグラムに近づくように、全画素に対して一律の階調変換特性を適用して処理することが可能である。あるいは、第1の実施の形態で説明した方法により、スペースバリアントに導出した階調変換特性を用いて処理をすることも可能である。
【0076】
以上のようにして第1の階調変換処理が行われた画像がポスタリゼーション処理部320で処理され、ポスタライズ画像が生成される。
【0077】
ポスタリゼーション処理に際しては、第1の実施の形態で図5を参照して説明した階段関数を第2の階調変換特性として第2の階調変換処理が行われる。階段関数に関しては、第1の実施の形態で説明したのと同様である。すなわち、デフォルト設定されている階段関数を様々な入力画像に対して一律に適用するものであっても、階段関数の入力値に対する出力値の関係を、入力画像のヒストグラム特性に応じて変化させるようにしてもよい。
【0078】
図10は、画像処理部300Aにおいて上述した処理が行われる際の処理手順を説明するフローチャートである。この処理は、図1を参照して説明したデジタルカメラ100内で行われる。あるいは、図2を参照して説明したコンピュータ200内で行うことも可能である。
【0079】
S1000において画像処理部300Aは、入力画像を取得する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S600の処理に相当する。
【0080】
S1002において画像処理部300Aは、入力画像を構成する画素の画素値から導出したヒストグラムと、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数情報とから目標ヒストグラムを設定し、第1の階調変換特性を導出する。
【0081】
S1004において画像処理部300Aは、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理を行い、ヒストグラム分布を拡張する。上記S1002およびS1004の処理は、図8、図9を参照して説明した、ヒストグラム拡張処理部310Aでの処理に相当する。
【0082】
S1006において画像処理部300Aは、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、ポスタライズ画像を生成する。S1006で行われる処理は、図7のポスタリゼーション処理部320において、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数の情報をもとに行う階調変換処理(ポスタリゼーション処理)に相当する。
【0083】
S1008において画像処理部300Aは、処理後の画像を出力する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S606での処理に相当する。
【0084】
画像処理部300Aで以上の処理が行われた結果、図8(a)に例示されるヒストグラムを有する入力画像において、0からr1までの範囲に分布する画素値の画素は、第1の階調変換処理が行われてヒストグラムの分散が増加し、図8(d)に例示されるように1段目および2段目の階級に分布するようになる。その結果、第1の階調変換処理を経ない場合にはポスタライズ画像中で一つの階調に集約されて階調を失ってしまう画素が、本実施の形態で説明した処理をすることにより、二つの階調を有するようになる。
【0085】
このように、第2の実施の形態によれば、入力画像のヒストグラムと、ポスタリゼーション処理のための階段関数情報とから第1の階調変換特性が導出される。その結果、階調分布が特定の階調に偏っている入力画像からポスタライズ画像を得る場合でも、より適切に階調を配分して画像の要所に階調が残されてメリハリのある絵画調の画像を得ることが可能となる。
【0086】
− 第3の実施の形態 −
図11は、第3の実施の形態に係る画像処理部300Bの構成を概略的に説明するブロック図である。以下では第2の実施の形態に係る画像処理部300Aとの違いを中心に説明する。画像処理部300Bは、ヒストグラム拡張処理部310Aと、ポスタリゼーション処理部320Bと、階段関数保持部330Aと、合成処理部340と、特定画像領域検出部350とを備える。ポスタリゼーション処理部320Bは、第1ポスタリゼーション処理部321と第2ポスタリゼーション処理部322とを備える。
【0087】
ヒストグラム拡張処理部310Aは、第2の実施の形態で図8、図9を参照して説明したのと同様の処理を行う。すなわち、入力画像を構成する画素の画素値から導出したヒストグラムと、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数情報とから目標ヒストグラムを設定し、第1の階調変換特性を導出する。そして、導出された第1の階調変換特性で第1の階調変換処理を行い、ヒストグラムの分散を増した画像をポスタリゼーション処理部320B内の第1ポスタリゼーション処理部321に出力する。このとき、第1の階調変換特性としては、第1、第2の実施の形態で説明したのと同様、入力画像の全画素に対して一律の階調変換特性が適用されても、スペースバリアントに導出された階調変換特性が画素ごとに適用されてもよい。
【0088】
第1ポスタリゼーション処理部321は、ヒストグラム拡張処理部310Aから出力された画像を、階段関数保持部330Aから出力された階段関数情報に基づく第2の階調変換特性で第2の階調変換処理を行う。第2ポスタリゼーション処理部322は、ヒストグラム拡張処理部310Aで処理されていない入力画像を、階段関数保持部330Aから出力された階段関数情報に基づく第2の階調変換特性で第2の階調変換処理を行う。
【0089】
階段関数に関しては、第1の実施の形態で説明したのと同様である。すなわち、デフォルト設定されている階段関数を様々な入力画像に対して一律に適用するものであっても、階段関数の入力値に対する出力値の関係を、入力画像のヒストグラム特性に応じて変化させるようにしてもよい。
【0090】
特定画像領域検出部350は、入力画像を解析して、入力画像中において特定の被写体の画像の写る領域(以下では特定画像領域と称する)を検出する処理を行い、特定画像領域が検出された場合に、入力画像内で特定画像領域を特定可能な情報である領域情報を合成処理部340に出力する。特定画像領域検出部350によって一つの入力画像中で検出される特定画像領域の数は、一つであっても複数であってもよい。ここでは特定の被写体が顔であり、特定画像領域は顔の画像の写る領域である場合について説明をする。
【0091】
合成処理部340は、第1ポスタリゼーション処理部321、第2ポスタリゼーション処理部322で生成された画像を合成して出力画像を生成する処理を行う。このとき、合成処理部340は、特定画像領域検出部350から出力された顔領域情報を参照し、画像内で顔の写る領域とそれ以外の領域とで、二つの画像を合成する際の合成比率を変化させる。例えば、顔画像の存在する部分において、第2ポスタリゼーション処理部322で生成された画像の合成比率がより高まるように合成処理をすることが可能である。同様に、顔画像の存在しない部分において、第1ポスタリゼーション処理部321で生成された画像の合成比率がより高まるように合成処理をすることが可能である。
【0092】
合成比率としては1:0、0:1といった比率が設定されてもよい。その場合、合成後の画像中で、第1ポスタリゼーション処理部321、第2ポスタリゼーション処理部322で生成された画像のうち、いずれかの画像が合成後の画像中の場所に応じて選択されることになる。あるいは、1:9、6:4、5:5などといった比率が設定されて、二つの画像が適宜の混合比率で混合されてもよい。その場合、顔画像の存在する部分と、それ以外の部分との間で合成比率を徐々に変化させることにより、画像を滑らかに接合することが可能となる。
【0093】
合成処理部340で上述した合成処理が行われる際に、顔画像の存在する部分の画像が程よい明るさとなるように明るさの調節を行うようにしてもよい。
【0094】
図12は、画像処理部300Bにおいて上述した処理が行われる際の処理手順を説明するフローチャートである。この処理は、図1を参照して説明したデジタルカメラ100内で行われる。あるいは、図2を参照して説明したコンピュータ200内で行うことも可能である。
【0095】
S1200において画像処理部300Bは、入力画像を取得する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S600の処理に相当する。
【0096】
S1202において画像処理部300Bは、入力画像を構成する画素の画素値から導出したヒストグラムと、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数情報とから目標ヒストグラムを設定し、第1の階調変換特性を導出する。
【0097】
S1204において画像処理部300Bは、入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、ヒストグラム分布を拡張する。上記S1202およびS1204の処理は、図11に示すヒストグラム拡張処理部310Aでの処理に相当する。
【0098】
S1206において画像処理部300Bは、S1204で階調変換処理された画像に対して第2の階調変換特性による第2の階調変換処理を行い、第1ポスタライズ画像を生成する。S1206で行われる処理は、図11の第1ポスタリゼーション処理部321において行われる処理に相当する。
【0099】
S1208において画像処理部300Bは、S1200で取得した入力画像に対して第2の階調変換特性による第2の階調変換処理を行い、第2ポスタライズ画像を生成する。S1208で行われる処理は、図11に示す第2ポスタリゼーション処理部322において行われる処理に相当する。
【0100】
S1210において画像処理部300Bは、S1200で取得した入力画像を解析して特定画像領域検出処理、本例では顔検出処理を行い、入力画像中の特定画像領域、本例では顔領域を特定する処理を行う。S1210で行われる処理は、図11に示す特定画像領域検出部350において行われる処理に相当する。
【0101】
S1212において画像処理部300Bは、第1ポスタライズ画像および第2ポスタライズ画像を合成する処理を行う。このとき画像処理部300Bは、S1210での特定領域検出処理の結果に基づき、画像中の特定画像領域、本例では顔領域において第2ポスタライズ画像の合成比率が高められるようにして上記合成の処理を行う。S1212で行われる処理は、図11に示す合成処理部340において行われる処理に相当する。
【0102】
S1214において画像処理部300Bは、処理後の画像を出力する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S606での処理に相当する。
【0103】
以上では、ポスタリゼーション処理部320Bが第1ポスタリゼーション処理部321と第2ポスタリゼーション処理部322とを備えるものとして説明したが、ポスタリゼーション処理部320Bが必ずしもこれら二つのポスタリゼーション処理部321、322を備えていなくてもよい。つまり、入力画像と、ヒストグラム拡張処理部310Aで処理された画像とを、一つのポスタリゼーション処理部で時系列に処理し、処理後の画像を一時的に記憶しておけばよい。
【0104】
画像処理部300Bはまた、ヒストグラム拡張処理部310Aに代えて、第1の実施の形態で説明したヒストグラム拡張処理部310を備えていてもよい。この場合、第1の階調変換特性は階段関数保持部330Aから出力される階段関数情報を参照せずにヒストグラム拡張処理が行われる。
【0105】
画像処理部300Bで以上の処理が行われることにより、特定の階調に階調分布が偏っている画像でもメリハリのある絵画調の画像を得ることが出来る。さらに、入力画像中の特定画像領域、例えば顔画像の写る部分にはメリハリがつくことを防止することができる。
【0106】
以上では、顔の写る部分を例にメリハリがつくことを防止する例について説明したが、顔に限らず、メリハリをつけたくない領域、例えば空の写る領域などを検出し、上述したのと同様の処理を行っても良い。
【0107】
また、ユーザが特定の被写体を指定することが可能に構成されていて、ユーザにより指定された被写体が写る領域に対して上述したのと同様の処理を行っても良い。
【0108】
本発明は、放送用据え置き型カメラ、ENGカメラ、民生用ハンディカメラ、デジタルカメラ等の製品に適用可能である。また、画像編集装置やビデオレコーダ等に適用することも可能である。さらに、動画や静止画を処理する画像処理プログラムに適用することも可能である。
【0109】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0110】
また、上記実施形態からは種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであればこの構成要件が削除された構成もまた発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0111】
100 … デジタルカメラ
110 … 撮影光学系
112 … レンズ駆動部
120 … 撮像部
130 … 画像記録媒体
150、280 … 表示部
160 … 記憶部
190 … DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)
200 … コンピュータ
210 … CPU
220 … メモリ
230 … 補助記憶装置
250 … メモリカードインターフェース
260 … 光ディスクドライブ
270 … ネットワークインターフェース
300、300A、300B … 画像処理部
310、310A … ヒストグラム拡張処理部
320、320A、320B … ポスタリゼーション処理部
321 … 第1ポスタリゼーション処理部
322 … 第2ポスタリゼーション処理部
330、330A … 階段関数保持部
340 … 合成処理部
350 … 特定画像領域検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の階調数を減じる処理をして絵画調の画像を得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、ムービーカメラ、スキャナ等の画像入力機器で画像入力を行って得られる画像データは、例えばB(青)、G(緑)、R(赤)各色8ビットといったビット深度を有する。そのため、従来の銀塩写真に迫る階調特性の画像を得ることができる。本明細書中では、このような画像を写真画質画像と称する。
【0003】
また、画像データは数値データであるため、加工性に優れる。その特質を活かして、画像データに対して様々な処理を施し、より多彩な表現の画像を得ることが行われている。その一つとして、写真画質画像の階調数を意図的に減じて絵画調の画像を得る方法が知られている。写真画質画像の階調数を減じる際には、ポスタリゼーション処理が行われる。画像の階調特性を変化させる際にトーンカーブを適用することが行われる。トーンカーブは、入力画像の各階調値(入力値)に対応して出力画像の各階調値(出力値)を決定する際の階調変換特性を決定するためのものである。このトーンカーブの形状を、連続した直線や曲線ではなく、不連続な階段関数とすることにより、ポスタリゼーション処理された出力画像を得ることが可能となる。
【0004】
ポスタリゼーション処理は、入力値の最小値から最大値までを限られた数の帯域に分割し、分割されたそれぞれの帯域に対応するそれぞれの出力値を決めたものを階調変換特性とし、この階調変換特性に基づき、入力画像の画素値に対応して出力画像の画素値を導出する処理である。ポスタリゼーション処理の結果、入力画像中の、ある帯域に収まる画素値は、その帯域を代表する一つの画素値に集約される。その結果、生成される画像のトーンは不連続(段階的)となり、絵画のような画像を得ることが可能となる。
【0005】
特許文献1には、ポスタリゼーション処理をしてイラスト化処理画像を得る際に、R、G、Bデータを色相、明度および彩度データに色変換し、色相、明度および彩度データの階調数を減じ、それを再びR、G、Bデータに逆変換する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−314389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カメラで撮影して得られた画像は、階調分布が特定の階調に偏っていることが多い。さらに、画像内の局所領域ではさらに階調の偏りが顕著となる。そのような画像に対してポスタリゼーション処理を行うと、本来は階調が存在していることが望ましい領域において階調を失う場合がある。例えば、ローキーの画像で、階調に偏りがあり、画素値の低い側にヒストグラムのピークが偏っているような画像を考える。このような画像において、ポスタリゼーション処理前の写真画質画像では暗めの領域で階調が確認できていたとしても、それを単純にポスタリゼーション処理すると、暗めの領域の階調が失われることがある。結果として得られる画像は、暗い部分が単色の塗料でベタ塗りされたような画像となってしまう場合がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、階調分布に偏りのある画像であっても階調をより適切に配分し、より見栄えのするポスタライズ画像が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、画像処理装置が、入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム拡張処理部と、
前記ヒストグラム拡張処理部で処理された画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理部とを備える。
【0010】
本発明のある態様によれば、画像処理方法が、
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにすることと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成することとを備える。
【0011】
本発明のある態様によれば、入力画像からポスタライズ画像を生成する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムが、
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム分布拡張処理ステップと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理ステップと
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、階調分布に偏りのある画像であっても階調をより適切に配分し、より見栄えのするポスタライズ画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラの概略的構成を説明するブロック図である。
【図2】コンピュータの概略的内部構成を説明するブロック図であり、画像処理プログラムをコンピュータが実行することにより画像処理部が実現される例を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図4】ヒストグラム平坦化処理の一例を概念的に説明する図であり、(a)は処理前の入力画像の階調ヒストグラムを、(b)は(a)に示される階調ヒストグラムの累積頻度を導出した結果を、(c)はヒストグラム平坦化処理をした後の階調ヒストグラムを、それぞれ示す図である。
【図5】ポスタリゼーション処理に際して設定される階調変換特性の例を概念的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る画像処理部で実行される画像処理手順を説明するフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る画像処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図8】目標ヒストグラムの設定方法を概念的に説明する図であり、(a)は処理前の入力画像の階調ヒストグラムを、(b)は(a)に示される階調ヒストグラムの累積頻度を導出した結果を、(c)はヒストグラム平坦化処理をした後の階調ヒストグラムを、(d)はある範囲内に属する画素値の分布を所望の分布範囲に広がるように目標ヒストグラムを設定する例を、それぞれ示す図である。
【図9】設定された目標ヒストグラムをもとに階調変換特性を決定する方法を概念的に説明する図であり、(a)は図8(d)に示される目標ヒストグラムから累積密度関数を導出する様子を、(b)は導出された累積密度関数の逆関数を階調変換特性として設定する様子を、それぞれ示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る画像処理部で実行される画像処理手順を説明するフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係る画像処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図12】第3の実施の形態に係る画像処理部で実行される画像処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、デジタルカメラ100の概略的構成を説明するブロック図である。デジタルカメラ100は、スチルカメラであってもムービーカメラであってもよい。あるいは、携帯電話等に組み込まれるカメラであってもよい。デジタルカメラ100がスチルカメラまたはムービーカメラであるとき、撮影レンズが固定式のものであっても、交換可能に構成されていてもよい。
【0015】
デジタルカメラ100は、撮影光学系110と、レンズ駆動部112と、撮像部120と、アナログ・フロントエンド(図1中では「AFE」と表記される)122と、画像記録媒体130と、操作部140と、表示部150と、記憶部160と、CPU170と、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)190と、システムバス180とを備える。記憶部160は、ROM162とRAM164とを備える。DSP190には、画像処理部300が実装される。
【0016】
レンズ駆動部112、撮像部120、アナログ・フロントエンド122、画像記録媒体130、操作部140、表示部150、記憶部160、CPU170、DSP190は、システムバス180を介して電気的に接続される。RAM164は、CPU170およびDSP190の双方からアクセス可能に構成される。
【0017】
撮影光学系110は、被写体像を撮像部120の受光エリア上に形成する。レンズ駆動部112は、撮影光学系110の焦点調節動作を行う。また、撮影光学系110が可変焦点距離光学系である場合には、撮影光学系110がレンズ駆動部112によって駆動されて焦点距離を変更することが可能に構成されていてもよい。
【0018】
撮像部120は、シャッタと撮像素子とを含んで構成され、撮影光学系110を透過した被写体光は、シャッタが開いている間、撮像素子に入射する。撮像素子の受光エリア上に形成される被写体像が光電変換され、アナログ画像信号が生成される。なお、撮像素子が電気的に露光時間(光電変換時間)の制御を行うことが可能な、電子シャッタの機能を有する場合、シャッタは必ずしも備えられていなくてもよい。アナログ画像信号はアナログ・フロントエンド122に入力される。アナログ・フロントエンド122は、撮像部120から入力した画像信号にノイズ低減、増幅、A/D変換等の処理をしてデジタル画像信号を生成する。このデジタル画像信号は、RAM164に一時的に記憶される。
【0019】
DSP190は、RAM164に一時的に記憶されたデジタル画像信号に対してデモザイク、階調変換、色バランス補正、シェーディング補正、ノイズ低減等のさまざまなデジタル信号処理を施し、必要に応じて画像記録媒体130に記録したり、表示部150に出力したりする。
【0020】
画像記録媒体130は、フラッシュメモリや磁気記録装置等で構成され、デジタルカメラ100に対して着脱可能に装着される。あるいは、画像記録媒体130がデジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。その場合、ROM162内に画像データ記録のための領域が確保されて、それを画像記録媒体130とすることが可能である。
【0021】
操作部140は、プッシュスイッチ、スライドスイッチ、ダイヤルスイッチ、タッチパネル等のうちいずれか一種類または複数種類を備え、ユーザの操作を受け付け可能に構成される。表示部150は、TFT液晶表示パネルとバックライト装置、あるいは有機EL表示素子等の自発光式表示素子を備え、画像や文字等の情報を表示可能に構成される。なお、表示部150は表示インターフェースを備えていて、RAM164上に設けられるVRAM領域内に書き込まれる画像データを表示インターフェースが読み出して画像や文字等の情報が表示部150に表示されるものとする。
【0022】
ROM162は、フラッシュメモリ等で構成され、CPU170により実行される制御プログラム(ファームウェア)や、調整パラメータ、あるいはデジタルカメラ100の電源が入っていない状態でも保持する必要のある情報等が記憶される。RAM164は、SDRAM等で構成され、比較的高速のアクセス速度を有する。CPU170は、ROM162からRAM164に転送されたファームウェアを解釈・実行してデジタルカメラ100の動作を統括的に制御する。
【0023】
DSP190は、RAM164に一時的に記憶されるデジタル画像信号に上述した様々な処理を施し、記録用画像データ、表示用画像データ等を生成する。
【0024】
デジタルカメラ100は、撮影時にポスタライズ画像を生成可能に構成される。また、過去に撮影して得られた画像に対して後処理を施し、ポスタライズ画像を生成可能に構成されていてもよい。
【0025】
図2は、記録媒体に記録された画像処理プログラムがコンピュータのCPUにより読み出されて実行され、画像処理部300としての機能が実装される例を説明するブロック図である。コンピュータ200は、CPU210と、メモリ220と、補助記憶装置230と、インターフェース240と、メモリカードインターフェース250と、光ディスクドライブ260と、ネットワークインターフェース270と、表示部280とを備える。CPU210と、メモリカードインターフェース250と、光ディスクドライブ260と、ネットワークインターフェース270と、表示部280とは、インターフェース240を介して電気的に接続される。
【0026】
メモリ220は、DDR SDRAM等の、比較的高速のアクセス速度を有するメモリである。補助記憶装置230は、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブ(SSD)等で構成され、比較的大きな記憶容量を備える。
【0027】
メモリカードインターフェース250は、メモリカードMCを着脱自在に装着可能に構成される。デジタルカメラ等で撮影動作が行われて生成され、メモリカードMC内に記憶された画像データは、このメモリカードインターフェース250を介してコンピュータ200内に読み込むことができる。また、コンピュータ200内の画像データをメモリカードMCに書き込むこともできる。
【0028】
光ディスクドライブ260は、光ディスクODからデータを読み取ることが可能に構成される。光ディスクドライブ260はまた、必要に応じて光ディスクODにデータを書き込むことが可能に構成されていてもよい。
【0029】
ネットワークインターフェース270は、ネットワークNWを介して接続されるサーバ等の外部情報処理装置とコンピュータ200との間で情報を授受可能に構成される。
【0030】
表示部280は、フラットパネルディスプレイ装置等で構成され、文字、アイコン、カラー画像等を表示可能に構成される。
【0031】
画像処理部300は、メモリ220上にロードされた画像処理プログラムをCPU210が解釈・実行することにより実現される。この画像処理プログラムは、メモリカードMCや光ディスクOD等の記録媒体に記録されてコンピュータ200のユーザに頒布される。あるいは、ネットワークNWを介して、サーバ等の外部情報処理装置からダウンロードされた画像処理プログラムが補助記憶装置230に記憶されてもよい。また、他の有線や無線の形態のインターフェースを介して外部情報処理装置等から画像処理プログラムがダウンロードされて補助記憶装置230に記憶されてもよい。
【0032】
画像処理部300は、補助記憶装置230に記憶された画像データ、あるいはメモリカードMC、光ディスクOD、ネットワークNW等を介して入力した画像データに後述する画像処理を行う。以下、画像処理部300における処理について二つの実施の形態で説明する。処理対象の画像データとしては、電子カメラで撮影して得られた静止画や動画の画像データであってもよいし、スキャナ等から得られた静止画の画像データであってもよい。
【0033】
− 第1の実施の形態 −
図3は、画像処理部300の構成を概略的に説明するブロック図である。画像処理部300は、先に説明したように、デジタルカメラ100内のDSP190に実装されていてもよいし、コンピュータ200のCPU210が画像処理プログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0034】
画像処理部300は、ヒストグラム拡張処理部310と、ポスタリゼーション処理部320と、階段関数保持部330とを備える。以下では画像処理部300が図1に示されるデジタルカメラ100に実装される場合を例に説明をする。画像処理部300は、ライブビュー表示のための画像データを入力画像とし、処理後の画像データを出力画像として表示部150に出力してもよい。あるいは、撮影して一連の前処理が行われて得られた画像データを入力画像とし、処理後の画像データを出力画像として画像記録媒体130等に記録してもよい。一連の前処理としては、固定パターンノイズ除去、アナログゲイン調整、A/D変換、デモザイク、ホワイトバランス調整、そしてノイズ低減処理などがある。必要に応じて色空間の変換等の処理が行われても良い。画像処理部300はまた、動画像記録モードでの撮影中に得られる動画像データを入力画像とし、処理後の画像データを出力画像として画像記録媒体130等に逐次記録することも可能である。
【0035】
入力画像はヒストグラム拡張処理部310に入力される。ヒストグラム拡張処理部310は、入力画像のヒストグラムを解析した結果に基づき、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理をした後、ポスタリゼーション処理部320に出力する。ポスタリゼーション処理部320は、ヒストグラム拡張処理部310から入力した画像に対し、階段関数保持部330から入力した階段関数の情報に基づく第2の階調変換特性で第2の階調変換処理を施し、出力画像として出力する。この出力画像は、必要に応じてアンシャープマスク、圧縮等の後処理が行われて画像記録媒体130に記録される。
【0036】
上述した各処理ブロックで行われる処理の詳細について以下に説明する。
【0037】
ヒストグラム拡張処理部310は、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理を行い、入力画像を構成する画素の各画素値度数分布を表すヒストグラムの分散が、第1の階調変換処理前のヒストグラムの分散に比して増すようにする。ここで「ヒストグラムの分散が増す」とは、第1の階調変換処理前後の画像の画素値をそれぞれ統計処理して分散を導出したときに、第1の階調変換処理後の画像の分散が増加することを意味する。例えば、一つの山のような形の分布曲線が形成されるものとして、その山の高さが減じられて裾野の幅が増加したような分布曲線となるとき、ヒストグラムの分散は増す。本明細書では、ヒストグラムをこのように変化させることを「ヒストグラム分布を拡張する」、あるいは「ヒストグラムを拡張する」と称する。
【0038】
第1の階調変換処理としては、ヒストグラム平坦化処理を利用可能である。ヒストグラム平坦化処理は、入力画像を構成する各画素の画素値のヒストグラム(度数分布)を求め、各階級値に属する度数の分布がより平坦化されるような(ヒストグラム分布の山、谷がならされて平らに近づくように)階調変換特性を導出し、導出された階調変換特性を適用して階調変換をする処理である。
【0039】
ここで図4を参照して第1の階調変換処理の一例について説明する。図4中に示される三つのグラフにおいて、横軸には画素値が、縦軸には頻度がとられている。いずれも最小値が0、最大値が1となるように規格化されている。
【0040】
図4(a)は、入力画像のヒストグラムの一例を示す。図4(a)に示される例は、全体的に暗く、コントラストが低めの画像に相当するものとなっている。図4(a)では、画素値が7つの階級に区分されて、画素値の低い側から1段目、2段目、3段目の階級内に画素値が集中している様子が示されている。画素値がrの画素の頻度がPr(r)で示されている。つまり、図4(a)に示されるヒストグラム曲線は、Pr(r)で表される。
【0041】
図4(b)は、図4(a)に示されるヒストグラム特性を有する画像の画素値から累積頻度曲線T(r)を求める様子を概念的に示す。0からrまでの画素値を有する画素の累積頻度sをT(r)で表すと、
【0042】
【数1】
で表すことができる。
【0043】
式(1)で示される累積頻度の特性を第1の階調変換特性として、入力画像に第1の階調変換処理を施すと、図4(c)に示されるように平坦化されたヒストグラムPs(s)が得られる。このようにヒストグラム平坦化の処理を行うことにより、図4(a)において0からr1の範囲内の画素値を有していた、第1の階調変換処理前の画素は、第1の階調変換処理後、図4(c)において1段目から2段目の階級にかけて分布するようになる。
【0044】
上述したヒストグラム拡張処理部310での処理は、入力画像中の全画素に対して一律の階調変換特性を適用するものであってもよいし、以下に説明するようにスペースバリアントに階調変換特性が導出されて各画素に適用されるものであっても良い。
【0045】
スペースバリアントに階調変換特性が適用される例としては、入力画像中の一つの注目画素を囲う部分領域を入力画像中で画定し、画定した部分領域に含まれる画素の画素値から図4(a)に例示されるようなヒストグラムPr(r)を求め、そのヒストグラムPr(r)の分散がより増すように階調変換特性を定め、その階調変換特性を注目画素の画素値に適用することが可能である。部分領域としては、例えば注目画素を中心とする、縦・横に31画素の矩形領域などとすることが可能である。この処理を、画像内の全画素について点順次に行うことにより、スペースバリアントなヒストグラム拡張処理を行うことが可能となる。
【0046】
このとき、例えば画像の最外縁において注目画素を設定した場合に、その注目画素を囲う部分領域を画定することができない。何故ならば、画像の最外縁より外側には画素が存在しないからである。これに対応する方法としては、入力画像で形成される画像の周囲を囲繞するように矩形の枠状の領域の画像を付加することを上記ヒストグラム拡張処理に先立って行うことが可能である。上述した例のように、注目画素を中心とする縦・横に31画素の矩形領域を画定する場合、15画素の幅を有する枠状の領域の画像を元の画像に付加すればよい。このとき、元の画像の外縁から内側に向かって15画素の幅の領域内の画素値を、元の画像の外縁に沿って折り返すようにしてコピーすることが可能である。また、コーナー部では、対角方向に折り返すようにコピーすることが可能である。このようにして得た画像は、第1の階調変換処理後に破棄される。
【0047】
ところで、以上に説明したスペースバリアントな階調変換処理(ヒストグラム拡張処理)において、処理前の入力画像を元画像と称すると、元画像中の画素値を点順次に階調変換後の画素値に置き換えることは行われず、注目画素を階調変換して得た画素値を寄せ集めるようにして複製画像が生成される。理由は、スペースバリアントに処理をする際、注目画素を中心として設定される部分領域中に、以前の処理で階調変換された画素が含まれると、以後の処理結果が影響を受けるからである。
【0048】
スペースバリアントなヒストグラム拡張処理の別例としては、画像認識処理等の技術を用い、入力画像中で注目被写体の写る領域と、それ以外の領域とを抽出し、それぞれの領域に対して異なる階調変換特性を適用してヒストグラム拡張処理を行うことも可能である。
【0049】
ポスタリゼーション処理部320は、ヒストグラム拡張処理部310において第1の階調変換特性による第1の階調変換処理が施された画像に対し、第2の階調変換特性による第2の階調変換処理を行ってポスタライズ画像を生成する。すなわち、ポスタリゼーション処理部320は、ヒストグラム拡張処理部310でヒストグラム分布を拡張する処理が行われた入力画像にポスタリゼーション処理を行う。このとき、ポスタリゼーション処理部320は、階段関数保持部330に保持される階段関数の情報を参照してポスタリゼーション処理を行う。
【0050】
図5は、階段関数保持部に保持される階段関数の例を概念的に示す図である。この階段関数は、ポスタリゼーション処理を行う際の階調変換特性を特定するものである。図5に示す例において、横軸には入力値がとられ、縦軸には出力値が取られている。そして、0から1までの入力値(Iv)が、0≦Iv<I1、I1≦Iv<I2、…、I6≦Iv≦1の7つの連像区間に区分され、各連続区間で定義される範囲の入力値(Iv)に対してO1、O2、…、O7が対応する出力値(Ov)として導出される。この階調変換特性を第2の階調変換特性として第2の階調変換処理をすることにより、処理後の画像の階調数は7に減じられる。
【0051】
図5中、階調変換特性を表す各線分の端部に付加される黒丸、白丸は、各線分の端点に対応する入力値を含む/含まない、の区別を示している。図4のグラフ中、0≦Iv<I1に対応する、左下隅の線分を例に説明すると、その線分の左端に黒丸が、右端に白丸が付されている。つまり、この線分は0以上I1未満の範囲を定義している。
【0052】
ポスタリゼーション処理に際して、画像データのフォーマット(表色系、色空間)は、目的に応じて様々である。例えばB、G、R各色8ビットのビット深度で表される画像データに対しては、各色の画素値(0〜255)それぞれに対してポスタリゼーション処理をすることが可能である。あるいは、RGB色空間の画像を異なる色空間、例えばLa*b*、HSV、YCbCr等の色空間に変換してポスタリゼーション処理をしてもよい。このとき、上述した色空間中のL値、V値、Y値のみを対象にポスタリゼーション処理をすることもできる。入力値、出力値それぞれがとりうる値の範囲は、0から1や、0から255などといったものに限られず、さまざまな値に設定可能である。また、入力値の最小値から最大値の間で設定される区間の数は、ユーザの好み、求められる仕様等に応じて変更可能である。階段関数保持部330に複数の階段関数の情報が記憶されていて、その中からいずれかが自動選択されてもよいし、ユーザによって選択可能に構成されていてもよい。あるいは、ポスタリゼーション処理のための階調変換特性をユーザが設定可能に構成されていて、ユーザにより設定された階調変換特性に対応する階段関数の情報が階段関数保持部330に記憶されていてもよい。
【0053】
図5に例示される階段関数においては、入力値(Iv)の各連続区間が略等しい区間長で設定される例が示されているが、不等間隔に設定されていてもよい。また、入力値(Iv)の各連続区間に対応する出力値O1、O2、…、O7が略等間隔に設定される例が図4には示されている(図5では、各連続区間で定義される入力値の範囲中、それぞれの最小値が出力値O1、O2、…、O7として設定されている)が、必ずしもこのように設定される必要はない。この出力値O1、O2、…、O7については、入力画像の特性に応じて以下のように設定することも可能である。
【0054】
図4(a)に例示されるような、入力画像を構成する画素の各画素値の度数分布を表すヒストグラムにおいて、度数分布を求める際の階級幅を、上記階段関数の各連続区間で定義される入力値の範囲に合わせて設定する。図5の例では、階段関数の各連続区間として0≦Iv<I1、I1≦Iv<I2、…、I6≦Iv≦1が設定される例が示されているが、これらの連続区間で定義される入力値の範囲それぞれに対応してヒストグラムの階級(図4における1段目、2段目、…)を設定する。そして、各階級に属する画素値をもとに、階級ごとの代表値として平均値を求める。階級ごとの代表値としては平均値以外に最頻値、中央値等を求めてもよい。そして、各階級に対応する代表値を出力値O1、O2、…として設定することが可能である。入力画像の画素値のヒストグラムのプロファイルによって、出力値がO1からO2、O2からO3、…O6からO7へと変化する際の差分は、略等しい場合もあれば不等となる場合もある。
【0055】
上記のように、ポスタリゼーション処理部320でポスタリゼーション処理を行う際の階調変換特性を入力画像に応じて適応的に変化させる処理は、階段関数保持部330で行われても良いし、ポスタリゼーション処理部320で行われても良い。
【0056】
図6は、画像処理部300において上述した処理が行われる際の処理手順を説明するフローチャートである。この処理は、図1を参照して説明したデジタルカメラ100の画像処理部300で行われる。あるいは、図2を参照して説明したコンピュータ200の画像処理部300で行うことも可能である。
【0057】
S600において画像処理部300は、入力画像を取得する。画像処理部300がデジタルカメラ100に内蔵されるものである場合、この入力画像は以下の4つのうちのいずれかである。すなわち、デジタルカメラ100が撮影準備動作中にライブビュー画像表示を行うことが可能に構成されるものである場合、このライブビュー画像表示用に撮像して得た画像を入力画像とすることができる。デジタルカメラ100が動画像記録モードで動作している場合、撮像動作中に逐次生成される記録用の動画像を入力画像とすることができる。デジタルカメラ100が静止画像記録モードで動作している場合、撮像して得られた記録用静止画像を入力画像とすることができる。また、デジタルカメラ100が再生モードに切り換えられ、過去に撮像して得られた画像をもとに再生表示される画像を観たユーザが、ポスタライズ画像を生成する操作をした場合に、再生表示されている画像に対応する画像データを入力画像とすることができる。
【0058】
また、画像処理部300がコンピュータ200のCPU210でソフトウェアを実行することにより実現される場合、補助記憶装置230、メモリカードMC、光ディスクOD等から読み出された画像データや、ネットワークNWを介して取得した画像を入力画像とすることができる。あるいはUSBインターフェースやHDMI(登録商標)インターフェース等を介して逐次入力される動画像を入力画像とすることができる。
【0059】
S602において画像処理部300は、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理を行い、ヒストグラム分布を拡張する。S602での処理を終えた入力画像を構成する画素の画素値について統計学上の分散を導出した結果は、処理前の入力画像の分散よりも増加する。S602で行われる処理は、図3のヒストグラム拡張処理部310での処理に相当する。
【0060】
S604において画像処理部300は、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、ポスタライズ画像を生成する。S604で行われる処理は、図3のポスタリゼーション処理部320において、階段関数保持部330から読み出した階段関数の情報をもとに行う階調変換処理(ポスタリゼーション処理)に相当する。
【0061】
S606において画像処理部300は、処理後の画像を出力する。画像処理部300がデジタルカメラ100に内蔵されるものである場合、S606の処理は、処理後の画像を表示部150や画像記録媒体130に出力する処理に相当する。また、画像処理部300がコンピュータ200のCPU210でソフトウェアを実行することにより実現される場合、補助記憶装置230、メモリカードMC、光ディスクOD、表示部280等に出力する処理に相当する。
【0062】
画像処理部300で以上の処理が行われた結果、図4(a)に例示されるヒストグラムを有する入力画像において、1段目の階級に分布する画素値の画素は、第1の階調変換処理が行われてヒストグラムの分散が増加し、図4(c)に示されるように1段目および2段目の階級に分布するようになる。その結果、第1の階調変換処理を経ない場合にはポスタライズ画像中で一つの階調(O1)に集約されて階調を失ってしまう画素が、本実施の形態で説明した処理をすることにより、二つの階調(O1、O2)を有するようになる。その結果、階調分布が特定の階調に偏っている入力画像からポスタライズ画像を得る場合でも、画像の要所に階調が残されてメリハリのある絵画調の画像を得ることが可能となる。
【0063】
− 第2の実施の形態 −
図7は、第2の実施の形態に係る画像処理部300Aの構成を概略的に説明するブロック図である。以下では第1の実施の形態に係る画像処理部300との違いを中心に説明する。画像処理部300Aは、ヒストグラム拡張処理部310Aと、ポスタリゼーション処理部320と、階段関数保持部330Aとを備える。第1の実施の形態に係る画像処理部300との違いは、以下の二点にある。
【0064】
一つは、階段関数保持部330Aに保持される階段関数の情報がポスタリゼーション処理部320だけでなく、ヒストグラム拡張処理部310Aにも出力される点である。もう一つは、ヒストグラム拡張処理部310Aが階段関数保持部330Aから出力された階段関数の情報を参照してヒストグラム拡張処理を行う点である。以下、ヒストグラム拡張処理部310Aで行われる処理の詳細について、図8および図9を参照して説明する。図8、図9中に示されるグラフにおいて、横軸には画素値が、縦軸には頻度がとられている。いずれも最小値が0、最大値が1となるように規格化されている。
【0065】
図8(a)は、入力画像のヒストグラムの一例を示す。図8(a)に示される例は、図4(a)に示されるものと同様、全体的に暗く、コントラストが低めの画像に相当するものとなっている。また、図4(a)を参照して説明したのと同様に、画素値を7つの階級に区分し、画素値の低い側から1段目、2段目、3段目の階級内に画素値が集中している様子が示されている。画素値がrの画素の頻度をPr(r)で示す。
【0066】
図8(b)は、図8(a)に示されるヒストグラム特性を有する画像の画素値から累積頻度曲線T(r)を求める様子を概念的に示している。0からrまでの画素値を有する画素の累積頻度sをT(r)で表すと、先に説明した式(1)により求めることができる。
【0067】
式(1)で示される累積頻度の特性を階調変換特性として、入力画像にこの階調変換処理を施すと、図8(c)に示されるような平坦化されたヒストグラムPs(s)が得られる。入力画像中で0からr1までの画素値を有する画素の累積頻度、つまり図8(a)においてハッチングの施された部分に対応する画素は、階調変換処理後、図8(c)に示されるヒストグラム平坦化処理後のヒストグラム中でハッチングの施された部分に分布するようになる。本例では、階調変換処理前に0からr1の画素値を有していた画素はヒストグラム平坦化処理後も図8(c)に示されるように依然として1段目の階級の中に存在する。この状態でポスタリゼーション処理をすると、暗部での階調が失われた画像となってしまう。従って、入力画像中で0からr1の範囲にある画素値を有する部分の画像についてはヒストグラム拡張処理の効果が得られないことになる。
【0068】
この問題に対処するため、第2の実施の形態においてヒストグラム拡張処理部310Aは、以下に説明する方法によってヒストグラムの分散を増加する処理を行う。すなわち、ヒストグラム拡張処理部310Aは、階段関数保持部330Aから入力した階段関数情報を参照して目標ヒストグラムを設定する。次に、設定された目標ヒストグラムに基づいて第1の階調変換特性を決定する。そして、この第1の階調変換特性に基づいて第1の階調変換処理を行う。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0069】
目標ヒストグラムの設定は、一例として以下のように行われる。ここで、階段関数保持部330Aから入力される階段関数情報が、図5に例示される階調変換特性に対応するものである場合を例に説明する。図5に例示される階調変換特性では、0から1の入力値が0≦Iv<I1、I1≦Iv<I2、…、I6≦Iv≦1の7つの連像区間に区分されて階段関数が設定される。
【0070】
ヒストグラム拡張処理部310Aは、階段関数中の上述した7つの連続区間で定義される入力値の範囲に対応してヒストグラムの階級を定める。そして、階調変換処理前の入力画像中、0からr1までの画素値を有する画素の部分で階調を残すことが望ましいと判定される場合、これらの画素が階段関数の0≦Iv<I1、およびI1≦Iv<I2の、二つの連続区間に対応する、1段目および2段目の階級に分布するように目標ヒストグラムを定める。一例として、図8(a)においてハッチングを施した部分の領域と、図8(d)においてハッチングを施した部分の領域とが略同じ面積となるようになるように目標ヒストグラムを定める。図8(d)に示される目標ヒストグラムのプロファイルは一例であり、任意のプロファイルに設定可能である。また、1段目、2段目の二つの階級に分布させるだけでなく、三つ以上の階級に分布させるように目標ヒストグラムを設定することも可能である。表示部に表示されるプレビュー画像を観ながら、ユーザが目標ヒストグラムを設定可能に構成されていてもよい。また、図8(d)において、3段目以降は平坦化されたプロファイルとなっているが、入力画像の特性等に応じて様々なプロファイルに設定することができる。
【0071】
ヒストグラム拡張処理部310Aは、図8(d)に例示されるように設定された目標ヒストグラムから、以下の式、すなわち、
【0072】
【数2】
により、目標とするヒストグラムの累積密度関数を導出する。
【0073】
上述した、目標とするヒストグラムの累積密度関数G(z)のグラフを図9(a)に示す。ヒストグラム拡張処理部310Aは、目標とするヒストグラムの累積密度関数の逆関数、すなわち、
【0074】
【数3】
を求め、これを第1の階調変換特性として第1の階調変換処理をすることにより、入力画像を構成する画素の画素値のヒストグラムを変更して目標ヒストグラムに近づけることが可能となる。
【0075】
上述したヒストグラム拡張の処理に際して、入力画像の全画素の画素値から導出したヒストグラムが目標とするヒストグラムに近づくように、全画素に対して一律の階調変換特性を適用して処理することが可能である。あるいは、第1の実施の形態で説明した方法により、スペースバリアントに導出した階調変換特性を用いて処理をすることも可能である。
【0076】
以上のようにして第1の階調変換処理が行われた画像がポスタリゼーション処理部320で処理され、ポスタライズ画像が生成される。
【0077】
ポスタリゼーション処理に際しては、第1の実施の形態で図5を参照して説明した階段関数を第2の階調変換特性として第2の階調変換処理が行われる。階段関数に関しては、第1の実施の形態で説明したのと同様である。すなわち、デフォルト設定されている階段関数を様々な入力画像に対して一律に適用するものであっても、階段関数の入力値に対する出力値の関係を、入力画像のヒストグラム特性に応じて変化させるようにしてもよい。
【0078】
図10は、画像処理部300Aにおいて上述した処理が行われる際の処理手順を説明するフローチャートである。この処理は、図1を参照して説明したデジタルカメラ100内で行われる。あるいは、図2を参照して説明したコンピュータ200内で行うことも可能である。
【0079】
S1000において画像処理部300Aは、入力画像を取得する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S600の処理に相当する。
【0080】
S1002において画像処理部300Aは、入力画像を構成する画素の画素値から導出したヒストグラムと、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数情報とから目標ヒストグラムを設定し、第1の階調変換特性を導出する。
【0081】
S1004において画像処理部300Aは、入力画像に対して第1の階調変換特性による第1の階調変換処理を行い、ヒストグラム分布を拡張する。上記S1002およびS1004の処理は、図8、図9を参照して説明した、ヒストグラム拡張処理部310Aでの処理に相当する。
【0082】
S1006において画像処理部300Aは、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、ポスタライズ画像を生成する。S1006で行われる処理は、図7のポスタリゼーション処理部320において、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数の情報をもとに行う階調変換処理(ポスタリゼーション処理)に相当する。
【0083】
S1008において画像処理部300Aは、処理後の画像を出力する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S606での処理に相当する。
【0084】
画像処理部300Aで以上の処理が行われた結果、図8(a)に例示されるヒストグラムを有する入力画像において、0からr1までの範囲に分布する画素値の画素は、第1の階調変換処理が行われてヒストグラムの分散が増加し、図8(d)に例示されるように1段目および2段目の階級に分布するようになる。その結果、第1の階調変換処理を経ない場合にはポスタライズ画像中で一つの階調に集約されて階調を失ってしまう画素が、本実施の形態で説明した処理をすることにより、二つの階調を有するようになる。
【0085】
このように、第2の実施の形態によれば、入力画像のヒストグラムと、ポスタリゼーション処理のための階段関数情報とから第1の階調変換特性が導出される。その結果、階調分布が特定の階調に偏っている入力画像からポスタライズ画像を得る場合でも、より適切に階調を配分して画像の要所に階調が残されてメリハリのある絵画調の画像を得ることが可能となる。
【0086】
− 第3の実施の形態 −
図11は、第3の実施の形態に係る画像処理部300Bの構成を概略的に説明するブロック図である。以下では第2の実施の形態に係る画像処理部300Aとの違いを中心に説明する。画像処理部300Bは、ヒストグラム拡張処理部310Aと、ポスタリゼーション処理部320Bと、階段関数保持部330Aと、合成処理部340と、特定画像領域検出部350とを備える。ポスタリゼーション処理部320Bは、第1ポスタリゼーション処理部321と第2ポスタリゼーション処理部322とを備える。
【0087】
ヒストグラム拡張処理部310Aは、第2の実施の形態で図8、図9を参照して説明したのと同様の処理を行う。すなわち、入力画像を構成する画素の画素値から導出したヒストグラムと、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数情報とから目標ヒストグラムを設定し、第1の階調変換特性を導出する。そして、導出された第1の階調変換特性で第1の階調変換処理を行い、ヒストグラムの分散を増した画像をポスタリゼーション処理部320B内の第1ポスタリゼーション処理部321に出力する。このとき、第1の階調変換特性としては、第1、第2の実施の形態で説明したのと同様、入力画像の全画素に対して一律の階調変換特性が適用されても、スペースバリアントに導出された階調変換特性が画素ごとに適用されてもよい。
【0088】
第1ポスタリゼーション処理部321は、ヒストグラム拡張処理部310Aから出力された画像を、階段関数保持部330Aから出力された階段関数情報に基づく第2の階調変換特性で第2の階調変換処理を行う。第2ポスタリゼーション処理部322は、ヒストグラム拡張処理部310Aで処理されていない入力画像を、階段関数保持部330Aから出力された階段関数情報に基づく第2の階調変換特性で第2の階調変換処理を行う。
【0089】
階段関数に関しては、第1の実施の形態で説明したのと同様である。すなわち、デフォルト設定されている階段関数を様々な入力画像に対して一律に適用するものであっても、階段関数の入力値に対する出力値の関係を、入力画像のヒストグラム特性に応じて変化させるようにしてもよい。
【0090】
特定画像領域検出部350は、入力画像を解析して、入力画像中において特定の被写体の画像の写る領域(以下では特定画像領域と称する)を検出する処理を行い、特定画像領域が検出された場合に、入力画像内で特定画像領域を特定可能な情報である領域情報を合成処理部340に出力する。特定画像領域検出部350によって一つの入力画像中で検出される特定画像領域の数は、一つであっても複数であってもよい。ここでは特定の被写体が顔であり、特定画像領域は顔の画像の写る領域である場合について説明をする。
【0091】
合成処理部340は、第1ポスタリゼーション処理部321、第2ポスタリゼーション処理部322で生成された画像を合成して出力画像を生成する処理を行う。このとき、合成処理部340は、特定画像領域検出部350から出力された顔領域情報を参照し、画像内で顔の写る領域とそれ以外の領域とで、二つの画像を合成する際の合成比率を変化させる。例えば、顔画像の存在する部分において、第2ポスタリゼーション処理部322で生成された画像の合成比率がより高まるように合成処理をすることが可能である。同様に、顔画像の存在しない部分において、第1ポスタリゼーション処理部321で生成された画像の合成比率がより高まるように合成処理をすることが可能である。
【0092】
合成比率としては1:0、0:1といった比率が設定されてもよい。その場合、合成後の画像中で、第1ポスタリゼーション処理部321、第2ポスタリゼーション処理部322で生成された画像のうち、いずれかの画像が合成後の画像中の場所に応じて選択されることになる。あるいは、1:9、6:4、5:5などといった比率が設定されて、二つの画像が適宜の混合比率で混合されてもよい。その場合、顔画像の存在する部分と、それ以外の部分との間で合成比率を徐々に変化させることにより、画像を滑らかに接合することが可能となる。
【0093】
合成処理部340で上述した合成処理が行われる際に、顔画像の存在する部分の画像が程よい明るさとなるように明るさの調節を行うようにしてもよい。
【0094】
図12は、画像処理部300Bにおいて上述した処理が行われる際の処理手順を説明するフローチャートである。この処理は、図1を参照して説明したデジタルカメラ100内で行われる。あるいは、図2を参照して説明したコンピュータ200内で行うことも可能である。
【0095】
S1200において画像処理部300Bは、入力画像を取得する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S600の処理に相当する。
【0096】
S1202において画像処理部300Bは、入力画像を構成する画素の画素値から導出したヒストグラムと、階段関数保持部330Aから読み出した階段関数情報とから目標ヒストグラムを設定し、第1の階調変換特性を導出する。
【0097】
S1204において画像処理部300Bは、入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、ヒストグラム分布を拡張する。上記S1202およびS1204の処理は、図11に示すヒストグラム拡張処理部310Aでの処理に相当する。
【0098】
S1206において画像処理部300Bは、S1204で階調変換処理された画像に対して第2の階調変換特性による第2の階調変換処理を行い、第1ポスタライズ画像を生成する。S1206で行われる処理は、図11の第1ポスタリゼーション処理部321において行われる処理に相当する。
【0099】
S1208において画像処理部300Bは、S1200で取得した入力画像に対して第2の階調変換特性による第2の階調変換処理を行い、第2ポスタライズ画像を生成する。S1208で行われる処理は、図11に示す第2ポスタリゼーション処理部322において行われる処理に相当する。
【0100】
S1210において画像処理部300Bは、S1200で取得した入力画像を解析して特定画像領域検出処理、本例では顔検出処理を行い、入力画像中の特定画像領域、本例では顔領域を特定する処理を行う。S1210で行われる処理は、図11に示す特定画像領域検出部350において行われる処理に相当する。
【0101】
S1212において画像処理部300Bは、第1ポスタライズ画像および第2ポスタライズ画像を合成する処理を行う。このとき画像処理部300Bは、S1210での特定領域検出処理の結果に基づき、画像中の特定画像領域、本例では顔領域において第2ポスタライズ画像の合成比率が高められるようにして上記合成の処理を行う。S1212で行われる処理は、図11に示す合成処理部340において行われる処理に相当する。
【0102】
S1214において画像処理部300Bは、処理後の画像を出力する。この処理は、第1の実施の形態における図6のフローチャート中、S606での処理に相当する。
【0103】
以上では、ポスタリゼーション処理部320Bが第1ポスタリゼーション処理部321と第2ポスタリゼーション処理部322とを備えるものとして説明したが、ポスタリゼーション処理部320Bが必ずしもこれら二つのポスタリゼーション処理部321、322を備えていなくてもよい。つまり、入力画像と、ヒストグラム拡張処理部310Aで処理された画像とを、一つのポスタリゼーション処理部で時系列に処理し、処理後の画像を一時的に記憶しておけばよい。
【0104】
画像処理部300Bはまた、ヒストグラム拡張処理部310Aに代えて、第1の実施の形態で説明したヒストグラム拡張処理部310を備えていてもよい。この場合、第1の階調変換特性は階段関数保持部330Aから出力される階段関数情報を参照せずにヒストグラム拡張処理が行われる。
【0105】
画像処理部300Bで以上の処理が行われることにより、特定の階調に階調分布が偏っている画像でもメリハリのある絵画調の画像を得ることが出来る。さらに、入力画像中の特定画像領域、例えば顔画像の写る部分にはメリハリがつくことを防止することができる。
【0106】
以上では、顔の写る部分を例にメリハリがつくことを防止する例について説明したが、顔に限らず、メリハリをつけたくない領域、例えば空の写る領域などを検出し、上述したのと同様の処理を行っても良い。
【0107】
また、ユーザが特定の被写体を指定することが可能に構成されていて、ユーザにより指定された被写体が写る領域に対して上述したのと同様の処理を行っても良い。
【0108】
本発明は、放送用据え置き型カメラ、ENGカメラ、民生用ハンディカメラ、デジタルカメラ等の製品に適用可能である。また、画像編集装置やビデオレコーダ等に適用することも可能である。さらに、動画や静止画を処理する画像処理プログラムに適用することも可能である。
【0109】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0110】
また、上記実施形態からは種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであればこの構成要件が削除された構成もまた発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0111】
100 … デジタルカメラ
110 … 撮影光学系
112 … レンズ駆動部
120 … 撮像部
130 … 画像記録媒体
150、280 … 表示部
160 … 記憶部
190 … DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)
200 … コンピュータ
210 … CPU
220 … メモリ
230 … 補助記憶装置
250 … メモリカードインターフェース
260 … 光ディスクドライブ
270 … ネットワークインターフェース
300、300A、300B … 画像処理部
310、310A … ヒストグラム拡張処理部
320、320A、320B … ポスタリゼーション処理部
321 … 第1ポスタリゼーション処理部
322 … 第2ポスタリゼーション処理部
330、330A … 階段関数保持部
340 … 合成処理部
350 … 特定画像領域検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム拡張処理部と、
前記ヒストグラム拡張処理部で処理された画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ヒストグラム拡張処理部は、前記ヒストグラム拡張処理部で処理される前の画像のヒストグラムにおいて、前記階段関数における複数の連続区間それぞれで定義される入力値の範囲に対応する階級に属する画素値の頻度に基づいて前記第1の階調変換特性を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ヒストグラム拡張処理部は、前記ヒストグラム拡張処理部で処理される前の画像のヒストグラムにおいて、前記階段関数中の一つの連続区間で定義される入力値の範囲に対応する階級に属していた画素値が、隣接する複数の連続区間で定義される入力値の範囲に対応する階級にわたって分布するように前記第1の階調変換特性を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ヒストグラム拡張処理部は、
前記入力画像を複数の領域に分割し、領域ごとに独立して前記第1の階調変換特性を導出して前記第1の階調変換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記入力画像中で特定の被写体の画像の写る領域である特定画像領域の検出を行う特定画像領域検出部と、
前記特定画像領域とその他の領域とに対応して異なる合成比率を設定して第1のポスタライズ画像と第2のポスタライズ画像とを一つの画像に合成する合成処理部と
をさらに備え、
前記ポスタリゼーション処理部が、
前記ヒストグラム拡張処理部の処理を経た画像に前記第2の階調変換処理を行ったものを前記第1のポスタライズ画像として生成し、前記ヒストグラム拡張処理部の処理を経ていない画像に前記第2の階調変換処理を行ったものを第2のポスタライズ画像として生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特定画像領域検出部は、顔の画像の写る領域を検出し、
前記合成処理部は、前記顔の画像の写る領域において、前記第2のポスタライズ画像の合成比率を高める
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特定画像領域検出部は、空の画像の写る領域を検出し、
前記合成処理部は、前記空の画像の写る領域において、前記第2のポスタライズ画像の合成比率を高める
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特定画像領域検出部は、ユーザによって指定された被写体の写る領域を検出し、
前記合成処理部は、前記ユーザによって指定された被写体の写る領域において、前記第2のポスタライズ画像の合成比率を高める
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の階調変換処理は、
入力画像を構成する各画素の画素値のヒストグラムの分布がより平坦化されるように階調変換をする処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の階調変換特性は、前記入力画像の画素値の度数分布に基づき、導出されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第2の階調変換特性は、
前記入力値に対する前記出力値の関係を定める前記階段関数における複数の連続区間それぞれで定義される入力値の範囲に対応して設定した階級で、前記入力画像を構成する画素の画素値を分類し、前記階級のそれぞれにおいて、当該階級に分類される画素値の最頻値、平均値、および中央値のいずれかに基づいて各階級を代表する値として決定された画素値が、前記複数の連続区間それぞれで定義される入力値の範囲に対応する出力値として定められた階段関数で定義されるものであることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにすることと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成することと
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
入力画像からポスタライズ画像を生成する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム分布拡張処理ステップと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理ステップと
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム拡張処理部と、
前記ヒストグラム拡張処理部で処理された画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ヒストグラム拡張処理部は、前記ヒストグラム拡張処理部で処理される前の画像のヒストグラムにおいて、前記階段関数における複数の連続区間それぞれで定義される入力値の範囲に対応する階級に属する画素値の頻度に基づいて前記第1の階調変換特性を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ヒストグラム拡張処理部は、前記ヒストグラム拡張処理部で処理される前の画像のヒストグラムにおいて、前記階段関数中の一つの連続区間で定義される入力値の範囲に対応する階級に属していた画素値が、隣接する複数の連続区間で定義される入力値の範囲に対応する階級にわたって分布するように前記第1の階調変換特性を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ヒストグラム拡張処理部は、
前記入力画像を複数の領域に分割し、領域ごとに独立して前記第1の階調変換特性を導出して前記第1の階調変換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記入力画像中で特定の被写体の画像の写る領域である特定画像領域の検出を行う特定画像領域検出部と、
前記特定画像領域とその他の領域とに対応して異なる合成比率を設定して第1のポスタライズ画像と第2のポスタライズ画像とを一つの画像に合成する合成処理部と
をさらに備え、
前記ポスタリゼーション処理部が、
前記ヒストグラム拡張処理部の処理を経た画像に前記第2の階調変換処理を行ったものを前記第1のポスタライズ画像として生成し、前記ヒストグラム拡張処理部の処理を経ていない画像に前記第2の階調変換処理を行ったものを第2のポスタライズ画像として生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特定画像領域検出部は、顔の画像の写る領域を検出し、
前記合成処理部は、前記顔の画像の写る領域において、前記第2のポスタライズ画像の合成比率を高める
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特定画像領域検出部は、空の画像の写る領域を検出し、
前記合成処理部は、前記空の画像の写る領域において、前記第2のポスタライズ画像の合成比率を高める
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特定画像領域検出部は、ユーザによって指定された被写体の写る領域を検出し、
前記合成処理部は、前記ユーザによって指定された被写体の写る領域において、前記第2のポスタライズ画像の合成比率を高める
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の階調変換処理は、
入力画像を構成する各画素の画素値のヒストグラムの分布がより平坦化されるように階調変換をする処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の階調変換特性は、前記入力画像の画素値の度数分布に基づき、導出されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第2の階調変換特性は、
前記入力値に対する前記出力値の関係を定める前記階段関数における複数の連続区間それぞれで定義される入力値の範囲に対応して設定した階級で、前記入力画像を構成する画素の画素値を分類し、前記階級のそれぞれにおいて、当該階級に分類される画素値の最頻値、平均値、および中央値のいずれかに基づいて各階級を代表する値として決定された画素値が、前記複数の連続区間それぞれで定義される入力値の範囲に対応する出力値として定められた階段関数で定義されるものであることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにすることと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成することと
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
入力画像からポスタライズ画像を生成する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
入力画像に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換処理を行い、当該第1の階調変換処理後の画像を構成する画素の各画素値のヒストグラムの分散が、当該第1の階調変換処理前の画像のヒストグラムの分散に比して増すようにするヒストグラム分布拡張処理ステップと、
前記第1の階調変換処理が行われた画像に対し、入力値に対する出力値の関係が階段関数で定義される第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換処理を行い、当該第2の階調変換処理前の画像に比して階調数の減じられたポスタライズ画像を生成するポスタリゼーション処理ステップと
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−70132(P2013−70132A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205607(P2011−205607)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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