説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】動画像からセキュリティ属性情報の検出を効率的に行う。
【解決手段】媒体検出部104は動画像から紙媒体を検出し、地紋検出部105は媒体に埋め込まれた地紋による情報コードを検出する。線画像検出部106は、情報コードが検出された媒体内から線画像を検出し、画像保存処理部107は情報コードと共に登録部108に保存する。マッチング部109は、登録部108に保存された画像に一致するものが、媒体内に存在するか否かを検出し、領域塗り潰し部110は、情報コードまたは媒体内に画像が検出されたとき、媒体内を判読できないように塗り潰す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像から所定の情報を検出する画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体に地紋などでセキュリティ属性情報を埋め込み、スキャン時にその情報を検出し、セキュリティ属性のレベルに応じてコピー、送信などを不可にする技術がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
動画像に対しても同様にセキュリティ対策がなされているが、例えばTV会議などで、セキュリティレベルの高い原稿がたまたまカメラに写って、そのまま相手先に送信されると、情報漏洩などの問題を起こす。そこで、動画像中から紙媒体に付加されたセキュリティ属性情報を検出して、その媒体部分を塗り潰すなどの対応が考えられる。動画像からセキュリティ属性情報を検出する場合、その情報が一旦、検出できれば、動き補償情報を利用して媒体を追跡することにより、いつも情報の検出を行う必要がなく、容易に塗り潰せる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、その媒体が一旦、画面外にはずれれば、セキュリティ属性情報を最初から検出しなければならない。一般に、紙媒体へのセキュリティ属性情報の埋め込みは、地紋やバーコードなどを利用しているので画像の歪みが大きいこと、解像度が低いことなどから、動画像からのセキュリティ属性情報の検出が非常に難しく、また媒体が画面から外れる毎にセキュリティ属性情報を検出すると検出処理の効率が悪い。
【0005】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、動画像からセキュリティ属性情報の検出を効率的に行う画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のタイミングにおいて、動画像から所定の媒体画像を検出し、前記媒体画像から所定の情報に対応した第1の特徴を検出し、前記第1の特徴が検出されたとき、前記媒体画像から第2の特徴を検出し、前記媒体画像に対して前記第1の特徴に応じた処理を施す制御手段と、前記媒体画像毎に前記第1の特徴と第2の特徴を保存する保存手段を備え、第2のタイミングにおいて、前記制御手段は、前記動画像から所定の媒体画像を検出し、前記媒体画像から前記第1の特徴が検出されないとき、前記保存手段を参照し、前記保存手段に保存されている第2の特徴が前記媒体画像から検出されたとき、前記保存手段に保存されている前記第2の特徴に対応する第1の特徴を取得し、前記取得した前記第1の特徴に応じた処理を前記媒体画像に対して施すことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動画像から第1、第2の特徴を検出して保存し、第2の特徴の検出に応じて第1の特徴が検出されたと推定できるので、所定の情報に対応した第1の特徴の検出性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のシステム構成例と、実施例1のTV会議装置(画像処理装置)機能構成を示す。
【図2】媒体検出部の処理フローチャートを示す。
【図3】画像処理装置が実行する、第2の特徴の保存処理のフローチャートを示す。
【図4】地紋による情報コードの埋め込み方法を示す。
【図5】情報コードと登録部の構成例を示す。
【図6】地紋文書の例を示す。
【図7】画像処理装置が実行する、情報コードの取得処理のフローチャートを示す。
【図8】本発明の実施例2のTV会議装置(画像処理装置)の機能構成を示す。
【図9】本発明の実施例3の処理フローチャートを示す。
【図10】本発明の実施例4に係る、第2の特徴の保存処理のフローチャートを示す。
【図11】本発明の実施例5の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(a)は、本発明のシステム構成例を示す。図1(a)は、例えばTV会議システムに本発明を適用した場合の構成例を示し、TV会議装置(画像処理装置)100a〜100cがネットワークに接続され、TV会議装置間で相互に会議が行われる。
図1(b)は、本発明の実施例1のTV会議装置(画像処理装置)100の機能構成を示す。図1(b)において、101はカメラなどの撮像装置、102は動き予測部、103は動き補償部、104は媒体検出部、105は地紋検出部、106は線画像検出部、107は画像保存処理部、108は登録部、109はマッチング部、110は領域塗り潰し部である。
【0011】
カメラ101は、撮像した動画像を電子信号に変換する。動き予測部102は、動画像の各フレームから各画像ブロックの動きベクトルを予想し、動き補償部103はその補正を行って、正確な動きベクトルを出力する。媒体検出部104は、動画像の所定のフレームから紙媒体を検出する。地紋検出部105は、媒体内に地紋による、所定の情報に対応した所定のドット配置(第1の特徴)が存在するか否かを検出する。この地紋はセキュリティ上の機密文書に付けられるもので、複写やFAX送信などが制限されているものとする。線画像検出部107は、地紋が検出された媒体内から、所定の太さ及び長さ以上の線画像(第2の特徴)を検出し、画像保存処理部107は、検出された媒体毎に第1の特徴と第2の特徴を登録部108に保存する。マッチング部109は、登録部108に保存された第2の特徴に一致する画像が、媒体内に存在するか否かを検出する。領域塗り潰し部110は、地紋検出またはマッチングにより、第1または第2の特徴が検出されたとき、その媒体内を判読できないように塗り潰す。また、動きベクトル情報を使って、その媒体部分を追尾して、全フレームの媒体部を塗り潰し続ける。
【0012】
上記した動き予測部102、動き補償部103、領域塗り潰し部109は、全フレームに対して処理するが、媒体検出部104、地紋検出部105、線画像検出部106、画像保存処理部107、マッチング部109は、所定のフレームのみに対して処理してもよい。
【0013】
なお、上記した地紋を、透かしやバーコードなどの他のマーキングに置き換えることが可能であり、また、線画像の検出は、線画に限定されず、図形の検出に置き換えることも可能である。
【0014】
図2(a)は、媒体検出部の処理フローチャートを示す。紙媒体の検出は物体認識技術を用いて行う。物体認識の中でも特定の物体、例えば、顔認識はデジタルカメラ等に採用されている技術である。一般に、特定物体の認識は、検出しようとする物体に相応しい特徴を定めて、特徴量を教師データにより学習する。そして、検査画像から特徴量を計算し、その量が所定の閾値を超えたか否かでその物体の存在を判定する。
【0015】
紙媒体検出の特徴としては、例えば、周辺画像とのエッジが明確で、それが四角形の閉空間を作る特徴を有し、また、紙媒体には、通常、文字が記載されているのでテキスチャが存在し、これらを特徴量として検出し、予め定めた閾値を超えていれば紙媒体、超えなければ紙媒体ではないと判断する。
【0016】
まず、対象画像よりエッジを検出する(ステップ201)。エッジを検出した後、エッジによる閉空間を探索する(ステップ202)。閉空間がなければ(ステップ203)、紙媒体ではないと判断する(ステップ209)。閉空間がある場合は、その全てについて以下の判定処理を行う。
【0017】
次に、閉区間の四角形らしさを計算する(ステップ204)。例えば、約90度の角度をもった頂点の数をカウントし、図2(b)に示すような配点を行う。判定は、例えば、四角形らしさが3以上であれば四角形と判定する(ステップ205)。
【0018】
次いで、テキスチャらしさを計算する(ステップ206)。テキスチャらしさは、例えば、矩形領域の平均明度の差分値を計算し周波数解析を行う。判定は、周波数解析結果から、規則的な並びをもっていれば、文書画像であると判断する(ステップ207)。最終判定は、文書画像であればそれは紙媒体であると判定する(ステップ208)。
【0019】
図3は、画像処理装置が実行する、第2の特徴の保存処理のフローチャートを示す。地紋検出部105は地紋から情報コードを検出する(ステップ301)。地紋が検出されると(ステップ302でYes)、その情報コードを一旦保存し(ステップ303)、線画像検出部106は、線画像を検出する(ステップ304)。線画像とは、ここでは所定以上の太さ及びラン長の画像である。線画像が検出されると(ステップ305)、画像保存処理部107は、その線画像を情報コードと共に登録部108に保存する(ステップ306)。第1のタイミングで、上記したように処理することで、第2のタイミングで、その線画を検出した場合に、線画と共に保存されている情報コードが検出されたと判断できる。
【0020】
第2の特徴は、所定以上の太さとラン長の線画像としているので、地紋画像などのドット配置(第1の特徴)に比べて、低解像度と画像歪に対する耐性が高く、検出の可能性が高まる。また、線画を検出したか否かの判断において、その閾値をユーザーが設定可能にすることで、用途に応じて検出性能を向上させることができる。例えば、図6(b)に示すような顧客リストが、同様のフォーマットで複数存在するような場合を考える。ユーザーが閾値を低くすることで、例えば、顧客リストのタイトル部の一部のみでも、第2の特徴として保存登録できるようにしておく。そうすると、一旦、顧客リストが登録されることにより、同じリストでなくても同様のフォーマットをもっているものは格段に検出しやすくなる。
【0021】
なお、一般的に画像特徴の検出容易性と誤検出の可能性はトレードオフの関係にある。例えば、1本の太い直線が画像特徴である場合、その検出が容易であることから、関係のない他の媒体を検出する可能性も高まる。そこで、ユーザーが、利用シーンなどに応じて第2の特徴として採用する基準値、例えば複雑さを設定することで、効率的な利用が可能となる。
【0022】
また、第2の特徴として、所定の太さの黒線が連続した図形を用いてもよい。その図形を保存(採用)するか否かの判断は、連続した黒線の曲がり量に従って行い、ユーザーがその基準値を設定する。一般に、曲がり量が多い図形は複雑な形状であり、複雑な図形ほど他の媒体にも存在する確率が減少する。そこで、第2の特徴として採用するか否かを曲がり量に従って判断し、その基準値をユーザーが設定することで、検出容易性と誤検知可能性のトレードオフをコントロールできる。また、会議の書類に対して、同じような図形や罫線の原稿が多く、それらが異なる属性である場合は、ユーザーは基準値を上げて、簡易な図形を第2の特徴として採用しないようにし、逆に、それらが同じ属性であれば、基準値を下げて容易に第2の特徴として採用することで、スムーズな検出が可能となる。
【0023】
すなわち、複雑な画像ほど、同じものが存在する確率が低く、従って誤検出しないので、複雑さを測る指標として、所定の太さと長さを持ったランの曲がり回数をカウントすることで、その数が閾値を越えたか否かにより第2の特徴として保存する判断を行い、その閾値をユーザーが設定可能にすることで、利用シーンに応じた効率的な利用が可能となる。
【0024】
地紋による情報コードの埋め込み方法の一例を説明する。縦の2ドットで挟まれた、2ドットを情報コードに応じて回転することにより、情報コードを埋め込む。図4(a)の点線で囲まれたドット401は、検出のためのトラッキング用とし、それ以外のドット402を情報コードに応じて、図4(b)に示すように90度回転した地紋画像403、45度回転した地紋画像404、405を生成する。そして、スキャン時に、ドットペアの回転方向をパターンマッチングなどにより読み取って、埋め込まれた元の情報コードが復号化される。
【0025】
図5(a)は、情報コードのフォーマット例を示す。情報コード500は、ヘッダー501、セキュリティレベル502、文書の作成者503、作成日時504、電子文書の保存場所(ネットワークを介してアクセス可能な場所、例えばファイルサーバ)505などを含んでいる。セキュリティレベル502は、地紋が付けられた文書のセキュリティレベルであり、このレベルが高ければ文書の複写や送信を禁止する。
【0026】
図5(b)は、第2の特徴を保存する登録部108の構成例を示す。登録部108は、情報コードのセキュリティレベル502、セキュリティレベルに応じた制御内容506、情報コード500、第2の特徴507、カウンタ508を含んでいる。
【0027】
セキュリティレベル502に応じた制御内容506が予め決められ、例えば、セキュリティレベル502が「11」のとき、制御内容506は、「媒体を塗り潰す」処理を実行し、セキュリティレベル502が「00」のとき、制御内容506は、「保存場所から文書情報を取り出して、媒体上の画像を鮮明化する」処理を実行する。図3で説明したように、地紋から情報コードを検出し、第2の特徴を検出すると、情報コードと第2の特徴を保存する。カウンタ508は、第2の特徴を検出してからの時間を計測する。なお、単に、塗り潰し処理のみを行うのであれば、特に情報コードを記録しなくてもない。
【0028】
図6(a)は、地紋文書の第1の例を示す。地紋を検出し情報コード500aを取り出して、例えば、セキュリティレベル11が付されていると判断され、地紋文書の画像601から、所定の太さと長さを持った線画像として第2の特徴である丸秘マーク507aを検出し、図5(b)に示す登録部108に第2の特徴として丸秘マーク507aを登録する。
【0029】
図6(b)は、地紋文書の第2の例を示す。地紋を検出し情報コード500bを取り出して、例えば、セキュリティレベル11が付されていると判断され、地紋文書の画像602から、所定の太さと長さを持った線画像として第2の特徴である大きな文字列「顧客リスト」と罫線部507bを検出し、図5(b)に示す登録部108に第2の特徴として「顧客リスト」と罫線部507bを登録する。
【0030】
図6(c)は、地紋文書の第3の例を示す。地紋を検出し情報コード500cを取り出して、例えば、セキュリティレベル00が付されていると判断され、地紋文書の画像603から、所定の太さと長さを持った線画像として第2の特徴であるイラストの太陽507cを検出し、図5(b)に示す登録部108に第2の特徴として太陽507cを登録する。図5(b)に示す登録部108の例では、セキュリティレベル00に対して、保存場所から文書情報を取り出して、媒体上の画像603を鮮明化する。
【0031】
図7は、画像処理装置が実行する、情報コードの取得処理のフローチャートを示す。所定のフレームもしくは全フレームの媒体画像から、地紋検出部105は第1の特徴である地紋を検出し、情報コードを取り出す(ステップ701、702)。取り出しに成功すると(ステップ702でYes)、領域塗り潰し部110は、その情報コードに応じた処理を行う(ステップ707)。また、取り出しに失敗した場合は(ステップ702でNo)、画像保存処理部107は第2の特徴が登録部108に保存されているかを確認し(ステップ703)、保存されていれば(ステップ703でYes)、マッチング部109は、登録部108の画像507と媒体画像をマッチングする(ステップ704)。マッチした場合は(ステップ705でYes)、その登録部108のマッチした画像507に対応する情報コード500を登録部108から取り出して(ステップ706)、領域塗り潰し部110は、その情報コード500のセキュリティレベル502に応じた処理を行う(ステップ707)。
【0032】
上記したように、TV会議装置(画像処理装置)100aは、媒体画像から第1の特徴である地紋を検出し、情報コードを取り出し、その情報コードに応じた処理を行う(図7)とともに、第2の特徴を検出して、情報コードと第2の特徴を保存する(図3)。情報コードのセキュリティレベルが「11」であるとき、領域塗り潰し部110は、媒体画像内を判読できないように塗り潰した後、図示しない圧縮部により動画像を圧縮処理し、ネットワークを介して他のTV会議装置100b、100cへ送信する。他のTV会議装置100b、100cは、受信した動画像を伸長処理してTV画面上に表示するが、セキュリティレベルが高い文書画像は塗り潰されて表示され、情報の漏えいが抑止される。
【0033】
このように実施例1では、第1のタイミングで、動画像から所定の情報に対応した第1の特徴を検出し、次いで第2の特徴を検出し、第1、第2の特徴を保存し、第2のタイミングで、第1の特徴が検出できず、第2の特徴が検出できた場合に、第1の特徴が検出されたと推定できるので、第1の特徴の検出性能が向上する。第2の特徴の検出は、第1の特徴の検出よりも低解像度で検出可能であり、また、第1の特徴の検出よりも画像歪みに対する耐性が高いので、動画像中からの検出に好適であり、検出性能が向上する。
【実施例2】
【0034】
図8は、本発明の実施例2のTV会議装置(画像処理装置)100の機能構成を示す。実施例2では、保存場所から文書情報を取り出して、媒体上の画像を鮮明化する。
【0035】
カメラ101〜マッチング部109は、図1に示すものと同様である。図8では、領域塗り潰し部110を原稿鮮鋭化部112に置き換え、コンテンツ取得部111を追加している。コンテンツ取得部111は、ネットワーク(例えば社内LAN)113を介してファイルサーバ114に接続されている。また、ファイルサーバ114には原稿画像が保存されている。
【0036】
カメラ101は、撮像した動画像を電子信号に変換し、動き予測部102は、動画像の各フレームから各画像ブロックの動きベクトルを予想し、動き補償部103はその補正を行い、正確な動きベクトルを出力する。媒体検出部104は、動画像の所定のフレームから紙媒体を検出する。地紋検出部105は、媒体内に地紋による、所定の情報に対応した所定のドット配置(第1の特徴)が存在するか否かを検出する。この地紋の検出によりコンテンツ取得部111に対して、原稿の鮮鋭化処理を指示する。線画像検出部106は、地紋が検出された媒体内から、所定の太さ及び長さ以上の線画像(第2の特徴)を検出し、画像保存処理部107は検出された媒体毎に第1の特徴と第2の特徴を登録部108に登録する。マッチング部109は、登録部108に保存された第2の特徴に一致する画像が、媒体内に存在するか否かを検出する。
【0037】
コンテンツ取得部111は、地紋検出またはマッチングにより、第1または第2の特徴が検出された場合に、その情報コード500から原稿の保存先505を取り出して、ネットワーク113を介してその保存先(ファイルサーバ114)から原稿内容を取得する。そして、原稿鮮鋭化部112は、その取得した原稿内容を使って、動画上の原稿を、より内容が分かるように鮮鋭化処理する。また、動きベクトル情報を使って、その媒体部分を追尾して、全フレームの媒体部を鮮鋭化し続ける。鮮鋭化処理された動画像は圧縮処理されて、ネットワークを介して他のTV会議装置100b、100cへ送信される。
【実施例3】
【0038】
図9は、実施例3の処理フローチャートを示す。実施例3は、第2の特徴を削除する実施例であり、画像保存処理部107(図1)により実行される。
【0039】
図9(a)において、登録部108に第2の特徴(例えば507a)が保存されていたとき(ステップ801)、カウンタ508(aaa)を確認する。カウンタ508が所定の値より大きければ(ステップ802でYES)、その第2の特徴が所定時間以上、出現しなかったので(画面上に出現しない時間が所定時間を超えたので)削除する(ステップ807)。
【0040】
所定の値より小さければ(ステップ802でNo)、マッチング部109は、登録部108に保存されている第2の特徴の画像(507a)と媒体画像をマッチングし(ステップ803)、媒体画像から第2の特徴を検出したとき(ステップ804でYes)、カウンタ508(aaa)をゼロクリアし(ステップ805)、検出できなければ(ステップ804でNo)、カウンタ508(aaa)をインクリメントする(ステップ806)。なお、カウンタは、第2の特徴を保存する際に、ゼロクリアして一緒に保存しておく。また、上記した例の他に、TV会議などでは別のセッションになった場合などに第2の特徴を削除するようにしてもよい。
【0041】
図9(b)は、ステップ807の詳細な処理フローチャートである。カウンタを初期化し(ステップ901)、次に、カメラから画像をフレーム単位で取得する(ステップ902)。その画像に対して第2の特徴を削除する処理を行う(ステップ903)。第2の特徴が検出されると、カウンタはゼロクリアされ、検出されなければインクリメントされる。すなわち、カウンタ値は、第2の特徴が最後に検出されたフレームから現在のフレームまでのフレーム数を表している。カメラのフレームレートを、例えば、30フレーム/秒とすると、第2の特徴が検出されてから、カウンタ値×(1/30)秒経過したことになる。従って、カウンタを参照することで、第2の特徴が検出されてからの時間が分かる。
【0042】
このように実施例3では、第2の特徴の検出が容易である反面、誤検出の危険性が高まるので、上記した条件に従って第2の特徴を削除することにより過検出を防止し、精度の高い検出が可能となる。
【実施例4】
【0043】
実施例4は、本発明をバーコード文書に適用した実施例である。図6(d)は、バーコード文書604の例を示す。文書604の右上のバーコード500dには、図5(a)に示す情報コード500が埋め込まれている。このようなバーコード文書を処理するには、図1の地紋検出部をバーコード検出部に置き換えて構成すればよい。
【0044】
図10は、実施例4に係る、第2の特徴の保存処理のフローチャートを示す。バーコード検出部がバーコードを検出すると(ステップ1002)、その情報コード500dと第2の特徴としてバーコード画像507dを登録部108に保存する(ステップ1003)。第2の特徴のバーコード画像は、マッチングにより検出するので、画像が解像度不足や歪みが原因でバーコードの検出復号ができなくても検出できる可能性が高い。
【0045】
バーコードは、白/黒のモジュールを検出して、その並びの関係をコードに復号することで情報を検出するが、モジュールの消失や歪みなどがあると復号に失敗する。実施例4では、第2の特徴としてバーコード画像を用いて、検出されたか否かを、その画像の類似度を用いて判断し、その類似度の閾値をユーザーが設定可能とすることにより、検出容易性と誤検出可能性のトレードオフをコントロールできる。
【実施例5】
【0046】
図11は、本発明をソフトウエアで実施する場合の画像処理装置のハードウエア構成例を示す。コンピュータ1は、プログラム読取装置1a、全体を制御するCPU1b、CPU1bのワークエリア等として使用されるRAM1c、CPU1bの制御プログラム等が記憶されているROM1d、ハードディスク1e、ネットワーク上の機器と通信を行うNIC1f、マウス1g、キーボード1h、画像データを表示し、ユーザーが画面に直接触れることで情報の入力が可能なディスプレイ2、カラープリンタ等の画像形成装置3、カメラなどの撮像装置4とを備えている。本画像処理装置は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータ等で実現することができる。
【0047】
このような構成の場合、図1に示す動き予測部、動き補償部、媒体検出部、地紋検出部、線画像検出部、画像保存処理部、マッチング部、領域塗り潰し部の機能はCPU1bに持たせることができ、登録部、処理対象の画像データなどを記憶する際には、RAM1c、ROM1d、DISK1eなどの記憶装置を利用することができる。なお、CPU1bで行われる処理機能は、例えばソフトウエアパッケージ、具体的には、CD−ROMや磁気ディスク等の情報記録媒体の形で提供することができ、このため図11に示す例では、情報記録媒体がセットされると、これを駆動する媒体駆動装置(図示せず)が設けられている。
【0048】
以上により、本発明における画像処理方法は、ディスプレイ等を備えた汎用の計算機システムにCD−ROM等の情報記録媒体に記録されたプログラムを読み込ませて、この汎用計算機システムの中央演算装置に画像処理を実行させる装置構成においても実施することが可能である。この場合、本発明の画像処理を実行するためのプログラム、すなわちハードウエアシステムで用いられるプログラムは、記録媒体に記録された状態で提供される。プログラムなどが記録される情報記録媒体としては、CD−ROMに限定されず、例えばROM、RAM、フラッシュメモリ、光磁気ディスクを用いても良い。記録媒体に記録されたプログラムは、ハードウエアシステムに組み込まれている記憶装置、例えばハードディスク1eにインストールされることにより、このプログラムを実行して、画像処理機能を実現することができる。また、本発明の画像処理方法等を実現するためのプログラムは、記録媒体の形で提供されるのみならず、例えば、ネットワークを介した通信によってサーバから提供されるものでも良い。
【符号の説明】
【0049】
101 カメラ
102 動き予測部
103 動き補償部
104 媒体検出部
105 地紋検出部
106 線画像検出部
107 画像保存処理部
108 登録部
109 マッチング部
110 領域塗り潰し部
111 コンテンツ取得部
112 原稿鮮鋭化部
113 ネットワーク
114 ファイルサーバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2008−236076号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタイミングにおいて、動画像から所定の媒体画像を検出し、前記媒体画像から所定の情報に対応した第1の特徴を検出し、前記第1の特徴が検出されたとき、前記媒体画像から第2の特徴を検出し、前記媒体画像に対して前記第1の特徴に応じた処理を施す制御手段と、前記媒体画像毎に前記第1の特徴と第2の特徴を保存する保存手段を備え、
第2のタイミングにおいて、前記制御手段は、前記動画像から所定の媒体画像を検出し、前記媒体画像から前記第1の特徴が検出されないとき、前記保存手段を参照し、前記保存手段に保存されている第2の特徴が前記媒体画像から検出されたとき、前記保存手段に保存されている前記第2の特徴に対応する第1の特徴を取得し、前記取得した前記第1の特徴に応じた処理を前記媒体画像に対して施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の特徴は、前記第1の特徴に比べて低解像度、画像歪に対する耐性が高いことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の特徴は、前記媒体画像に埋め込まれた地紋、透かし、バーコードを含み、前記第2の特徴は、所定の線画像、所定の図形、バーコード画像を含むことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記保存手段に保存されている第2の特徴を、所定の条件を満たすとき削除することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記第2の特徴が前記動画像に出現しない時間が所定の時間を超えた場合であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の特徴に応じた処理として、前記媒体画像を塗り潰す処理または前記媒体画像を鮮明化する処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
第1のタイミングにおいて、動画像から所定の媒体画像を検出し、前記媒体画像から所定の情報に対応した第1の特徴を検出し、前記第1の特徴が検出されたとき、前記媒体画像から第2の特徴を検出し、前記媒体画像に対して前記第1の特徴に応じた処理を施す制御工程と、前記媒体画像毎に前記第1の特徴と第2の特徴を保存する保存工程を備え、
第2のタイミングにおいて、前記制御工程は、前記動画像から所定の媒体画像を検出し、前記媒体画像から前記第1の特徴が検出されないとき、前記保存工程を参照し、前記保存工程に保存されている第2の特徴が前記媒体画像から検出されたとき、前記保存工程に保存されている前記第2の特徴に対応する第1の特徴を取得し、前記取得した前記第1の特徴に応じた処理を前記媒体画像に対して施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項7記載の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項7記載の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−114394(P2013−114394A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259111(P2011−259111)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】