説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理システム

【課題】
本発明は、コンピュータの仮想化技術を利用し、通信ネットワークで接続されたPC端末のハードウェア資源を有効活用することで、高い印刷能力を有する画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る画像処理装置は、レンダリング処理部は、取得した印刷処理要求を解釈し、該印刷処理要求の中で所定の目印を検出する手段を有し、コントローラ部は、所定の目印が検出された場合に、ハイパーバイザ部上に、レンダリング処理部の複製を生成する手段と、該複製されたレンダリング処理部を、他の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動させる手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイパーバイザを備えた画像処理装置において、レンダリング処理の効率化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一台のハードウェアプラットフォーム上に、複数の独立した仮想マシンを構築し、複数のオペレーティング・システムを実行する仮想化技術がサーバ管理の分野で注目されている。当該仮想化技術を利用して、上記のコピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の複数の機能を一台の画像処理装置で実現することもできる。なお、特許文献1には、複数の論理区画で動作する各オペレーティング・システムに、コンソールとオペレータ・パネルの仮想コピーを与えるハイパーバイザが開示されている。
【0003】
ここで、画像処理装置はプリンタ処理を実行する場合、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された画像データをクライアント端末等から取得し、当該画像データに基づきビットマップデータを生成するレンダリング処理を行う。一般的に、このレンダリング処理は、画像処理装置の有するCPU(Central Processing Unit)に対する負荷が大きく、CPU性能の低い画像処理装置においては処理時間が大きくなるという問題が生じる。
【0004】
そこで、上記問題を解決するために、プリンタ処理を実行する場合、複数の印刷装置を利用して分散処理を行うことによって、レンダリング処理及びプリンタ処理全体の能力を向上させる技術が提案されている(特許文献2、3等)。
【特許文献1】特開2002−041306号公報
【特許文献2】特許第3757749号公報
【特許文献3】特許第3183867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術においては、複数の印刷装置を使用することが前提となっているため、印刷装置が1つしかない環境ではレンダリング処理及びプリンタ処理全体の能力を向上させることができないという問題点がある。
【0006】
また、近年、印刷装置の更新期間に比べ、ユーザが使用するPC端末の更新期間が短いことから、PC端末のプロセッサ処理能力は非常に高くなっているという実情がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点及び実情に鑑み、コンピュータの仮想化技術を利用し、通信ネットワークで接続されたPC端末のハードウェア資源を有効活用することで、高い印刷能力を有する画像処理装置、画像処理方法、画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、ページ記述言語で記述された印刷処理要求に基づきビットマップデータを生成するレンダリング処理部と、該レンダリング処理部を制御するコントローラ部と、当該画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部と、を有し、前記レンダリング処理部及び前記コントローラ部は、前記ハイパーバイザ部上の各論理区画において各々独立して動作する画像処理装置であって、前記レンダリング処理部は、取得した前記印刷処理要求を解釈して、該印刷処理要求の中で所定の目印を検出する目印検出手段を有し、前記コントローラ部は、前記目印検出手段により前記所定の目印が検出された場合、前記ハイパーバイザ部上に、前記レンダリング処理部の複製を生成する複製手段と、前記複製手段により複製された前記レンダリング処理部を、他の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動させるマイグレーション手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像処理装置の一形態において、前記所定の目印は、前記ページ記述言語で記述された目印であって、前記印刷処理要求に従って印刷される印刷物の頁区切りを表す目印であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置の一形態において、前記レンダリング処理部により生成された前記ビットマップデータを印刷媒体上に出力するプロッタと、前記マイグレーション手段によって移動させた前記レンダリング処理部が生成した前記ビットマップデータを取得する処理結果取得手段と、前記処理結果取得手段により取得した前記ビットマップデータを前記プロッタから前記印刷媒体上に出力させる出力手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る画像処理システムは、ページ記述言語で記述された印刷処理要求に基づきビットマップデータを生成するレンダリング処理部と、該レンダリング処理部を制御するコントローラ部と、前記ビットマップデータを印刷媒体上に出力するプロッタと、当該第1の画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部と、を有し、前記レンダリング処理部及び前記コントローラ部は、前記ハイパーバイザ部上の各論理区画において各々独立して動作する第1の画像処理装置と、該第1の画像処理装置と通信ネットワークで接続され、当該第2の画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部を有する第2の画像処理装置と、を有する画像処理システムであって、前記レンダリング処理部は、取得した前記印刷処理要求を解釈して、該印刷処理要求の中で所定の目印を検出する目印検出手段を有し、前記コントローラ部は、前記目印検出手段により前記所定の目印が検出された場合、前記ハイパーバイザ部上に、前記レンダリング処理部の複製を生成する複製手段と、前記複製手段により複製された前記レンダリング処理部を、前記第2の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動させるマイグレーション手段と、を有し、前記マイグレーション手段により前記第2の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動した前記レンダリング処理部は、前記印刷処理要求に基づき前記ビットマップデータを生成するマイグレーション後処理実行手段を有し、前記第2の画像処理装置は、前記マイグレーション手段によって移動させた前記レンダリング処理部が生成した前記ビットマップデータを、前記第1の画像処理装置に通知する処理結果通知手段を有し、前記第1の画像処理装置は、前記処理結果通知手段により通知された前記ビットマップデータを前記プロッタから前記印刷媒体上に出力させる出力手段を有することを特徴とする。
【0012】
上記の特徴を有する本発明に係る画像処理装置、画像処理システムは、コンピュータの仮想化技術を利用し、通信ネットワークで接続されたPC端末のハードウェア資源を有効活用することで、高い印刷能力を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、コンピュータの仮想化技術を利用し、通信ネットワークで接続されたPC端末のハードウェア資源を有効活用することで、高い印刷能力を有する画像処理装置、画像処理方法、画像処理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本実施の形態に係る画像処理装置のハードウェア構成>
図1を用いて、本実施の形態に係る第1の画像処理装置100、第2の画像処理装置200のハードウェア構成の一例を説明する。図1は、第1の画像処理装置100及び第2の画像処理装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。また、本実施の形態に係る画像処理システム300は、第1の画像処理装置100と第2の画像処理装置200とを含み、第1の画像処理装置100と第2の画像処理装置200とは、通信ネットワークにより接続されている。ここで、第1の画像処理装置100と接続される第2の画像処理装置200は1台であっても、複数台であっても良い。
【0015】
第1の画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)410、ROM(Read-Only Memory)420、RAM(Random Access Memory)430、HDD(Hard Disc Drive)440、通信I/F(InterFace)450、プロッタ460、表示装置470を有する。
【0016】
CPU410は、ROM420に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM430に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、第1の画像処理装置100の全体を制御する。ROM420は、CPU410が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM430は、CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。HDD440は、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。
【0017】
通信I/F450は、通信ネットワークを介して接続された他の通信制御機能を備えた周辺機器(第2の画像処理装置200等)と情報(データ)を送受信するためのインタフェースである。第1の画像処理装置100は、通信I/F450を介してLAN(Local Area Network)に接続され、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などの通信プロトコルに従って、LANに接続された第2の画像処理装置200から印刷処理の実行要求やビットマップデータを受信する。また、後述する第1の画像処理装置100と第2の画像処理装置200との間で行われるレンダリング処理部(複製)30のマイグレーションは通信I/F450を介して行う。
【0018】
プロッタ460は、画像データ(ビットマップデータ)を印刷媒体上に印刷するための出力装置である。表示装置470は、ハードキーによるキースイッチやLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、第1の画像処理装置100が有する機能をユーザが利用する際や各種設定を行う際のユーザインタフェースとして機能する装置である。
【0019】
第2の画像処理装置200は、CPU510、ROM520、RAM530、HDD540、通信I/F550、表示装置570を有する。各装置の機能については、第1の画像処理装置100と同様である。第2の画像処理装置200は、ユーザが使用するPC端末を想定している。
【0020】
画像処理装置100、200が有する各部、各手段による処理は、CPU410、510が、ROM420、520又はHDD440、540に記憶された各部の処理に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良いし、当該各部の処理をハードウェアで実現する形態としても良い。
【0021】
<本実施の形態に係る画像処理システムの概略>
図2を用いて、本実施の形態に係る画像処理システム300の概略について説明する。ここで、図2は画像処理システム300の概略を説明するための図である。
【0022】
図2で示すように、第1の画像処理装置100は、コントローラ部10、レンダリング処理部20、ハイパーバイザ部40、ハードウェア・リソースレイヤー部50を有する。ハードウェア・リソースレイヤー部50は、第1の画像処理装置100の備えるハードウェア・リソースから構成される。そして、ハイパーバイザ部40は、このハードウェア・リソースを仮想化して、複数の論理区画に分割する。コントローラ部10、レンダリング処理部20は、ハイパーバイザ部40上の各論理区画で、独立して動作する。
【0023】
レンダリング処理部20は、ユーザからの印刷処理の実行要求に従ってレンダリング処理を行う。ここで、レンダリング処理とは、PDLで記述された印刷処理の実行要求を読み込んで解釈し、当該解釈した結果に基づいてビットマップデータを生成する(ビットマップ画像を描画する)。
【0024】
ここで、レンダリング処理部20は、印刷処理の実行要求を読み込んで解釈する際、当該印刷処理を実行して生成される印刷物の頁区切りを示す目印(以下、単に「頁区切り」という)を検出する。そして、レンダリング処理部20がこの頁区切りの目印を検出すると、コントローラ部10は、レンダリング処理部20の処理を停止させ、レンダリング処理部20の複製であるレンダリング処理部(複製)30を、ハイパーバイザ部40上に生成する。
【0025】
そして、ハイパーバイザの仮想化技術を利用することで、画像処理システム300は、ハイパーバイザ部40上に生成されたレンダリング処理部(複製)30を第2の画像処理装置200が備えるハイパーバイザ部70上に移動(マイグレーション)させ、移動後も移動前と同様にレンダリング処理部(複製)30を動作させる。
【0026】
上記マイグレーションを行う際、コントローラ部10は、レンダリング処理部(複製)30のマイグレーションを制御する。具体的には、コントローラ部10は、レンダリング処理部(複製)30によるレンダリング処理を実現するためのプログラム及び設定情報を、さらに、レンダリング処理部(複製)30がレンダリング処理の実行中であれば作業領域であるRAM430、HDD440上のデータを、通信I/F450を介して、第2の画像処理装置200に移動させる(通知する)。この場合、コントローラ部10は、レンダリング処理部(複製)30によるレンダリング処理を第2の画像処理装置300上で実行させるための実行要求を新たに生成する必要はなく、上記所定のデータを第2の画像処理装置200に通知するだけで良い。つまり、画像処理システム300は、印刷処理の実行要求を受けた画像処理装置ではなく、他の画像処理装置において当該印刷処理(の一部)を実行させる場合であっても、追加的に煩雑な手続きを必要としない。
【0027】
本実施の形態において、第2の画像処理装置200は、第1の画像処理装置100と同様に、コントローラ部60、ハイパーバイザ部70、ハードウェア・リソースレイヤー部80を有する。ここで、ハードウェア・リソースレイヤー部80は、第2の画像処理装置200の備えるハードウェア・リソースから構成される。そして、ハイパーバイザ部70は、このハードウェア・リソースを仮想化して、複数の論理区画に分割する。コントローラ部60は、ハイパーバイザ部70上の論理区画で動作する。
【0028】
そして、上記マイグレーションを行う際、レンダリング処理部(複製)30は、ハイパーバイザ部70上の一の論理区画上に移動し(配置され)、ハイパーバイザ部40上に存在した場合と同様に、取得した印刷処理の実行要求に従ってレンダリング処理を実行する。この際、レンダリング処理部(複製)30は、CPU510、RAM530、HDD540等、第2の画像処理装置200が備えるハードウェア・リソースを利用して、レンダリング処理を実行する。本実施の形態では、CPU510の処理能力は、CPU410の処理能力に比べ、高いものとする。
【0029】
以下、画像処理システム300による処理の流れを簡潔に説明する。はじめに、第1の画像処理装置100が、通信I/F450を介して、ユーザ端末(第2の画像処理装置200)から印刷処理の実行要求を受け付ける。次に、レンダリング処理部20が、受け付けた実行要求を読み込み、解釈し、頁区切りの検出を試みる。
【0030】
そして、レンダリング処理部20が頁区切りを検出した場合、コントローラ部10が、レンダリング処理部20の複製をハイパーバイザ部40上に生成し、その複製したレンダリング処理部(複製)30をハイパーバイザ部70上に移動(マイグレーション)させる。
【0031】
次に、ハイパーバイザ部70上に移動したレンダリング処理部(複製)30は、第2の画像処理装置200の備えるハードウェア・リソースを使用して、実行すべきレンダリング処理を実行する。第2の画像処理装置200は、レンダリング処理が終了すると、レンダリング処理によって生成されたビットマップデータを第1の画像処理装置100に通知する。一方、第1の画像処理装置100は、ビットマップデータを取得し、取得したビットマップデータをプロッタ460から出力させる。
【0032】
<本実施の形態に係る画像処理システムの動作原理>
図3を用いて、本実施の形態に係る画像処理システム300の動作原理を説明する。ここで、図3は、画像処理システム300の動作原理を説明するための図である。図3で示すように、画像処理システム300は、第1の画像処理装置100と第2の画像処理装置200とを有する。ただし、図4で示すように、画像処理システム300は、複数の第2の画像処理装置200を有する形態としても良く、その場合、第1の画像処理システム100は各第2の画像処理装置200と通信ネットワークで接続されているものとする。
【0033】
第1の画像処理装置100は、処理要求取得手段110、目印検出手段120、複製手段130、マイグレーション手段140、処理結果取得手段150、出力手段160を有する。
【0034】
処理要求取得手段110は、通信I/F450を介して、ユーザ端末(第2の画像処理装置200)から印刷処理の実行要求を取得する。当該実行要求は、ページ記述言語(PDL)で記述されている。ここで、処理要求取得手段110は、ハイパーバイザ部40上で動作するコントローラ部10、レンダリング処理部20又は当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良く、ハイパーバイザ部40の論理区画以外で動作する当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良い。
【0035】
目印検出手段120は、処理要求取得手段110によって取得された実行要求を読み込んで、それを解釈していく際に、当該印刷処理を実行して生成される印刷物の頁区切りを示す目印(頁区切り)を検出する。目印検出手段120は、ハイパーバイザ部40上で動作するレンダリング処理部20によって実行される。
【0036】
図5で示すように、印刷処理の対象が複数頁有る場合、目印検出手段120は、印刷処理の実行要求の中で各頁の頁区切りを検出する形態としても良い。また、図6で示すように、印刷処理の実行要求が「両面印刷」や2頁を1頁に印刷する「2in1」を要求する場合、目印検出手段120は、2頁毎に頁区切りを検出する形態としても良い。この際、端数の頁については、1頁分となる。
【0037】
複製手段130は、目印検出手段120によって頁区切りが検出された場合に、レンダリング処理部20の処理を停止させ、レンダリング処理部20の複製をハイパーバイザ部40上に生成する。複製手段130は、ハイパーバイザ部40上で動作するコントローラ部10によって実行される。
【0038】
マイグレーション手段140は、複製手段130により複製されたレンダリング処理部(複製)30を、ハイパーバイザ部70上に移動させる。マイグレーション手段140の具体的な処理は、レンダリング処理部(複製)30による処理を実現するためのプログラム及び設定情報を、さらに、レンダリング処理部(複製)30がレンダリング処理の実行中であれば作業領域であるRAM430、HDD440上のデータを、通信I/F450を介して、第2の画像処理装置200へ送信する。マイグレーション手段140は、ハイパーバイザ部40上で動作するコントローラ部10によって実行される。
【0039】
処理結果取得手段150は、ハイパーバイザ部70上のレンダリング処理部(複製)30によって生成されたビットマップデータを取得する。ここで、処理結果取得手段150は、ハイパーバイザ部40上で動作するコントローラ部10、レンダリング処理部20又は当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良く、ハイパーバイザ部40の論理区画以外で動作する当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良い。
【0040】
出力手段160は、処理結果取得手段150により取得したビットマップデータをプロッタ460から印刷媒体上に出力させる。ここで、処理結果取得手段150は、ハイパーバイザ部40上で動作するコントローラ部10、レンダリング処理部20又は当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良く、ハイパーバイザ部40の論理区画以外で動作する当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良い。
【0041】
第2の画像処理装置200は、処理部受信手段210、マイグレーション後処理実行手段220、処理結果通知手段230を有する。
【0042】
処理部受信手段210は、マイグレーション手段130によって送信されたレンダリング処理部(複製)30に関するデータを取得し、レンダリング処理部(複製)30をハイパーバイザ部70上に配置する。レンダリング処理部(複製)30に関するデータとは、レンダリング処理部(複製)30による処理を実現するためのプログラム及び設定情報であり、さらに、レンダリング処理部(複製)30がレンダリング処理の実行中であれば作業領域であるRAM430、HDD440上のデータである。処理部受信手段210は、ハイパーバイザ部70上で動作するコントローラ部60によって実行される。
【0043】
マイグレーション後処理実行手段220は、(印刷処理の一部である)レンダリング処理の実行要求を第2の画像処理装置200のハードウェア・リソースを使用して実行する。マイグレーション後処理実行手段220は、ハイパーバイザ部70上で動作するレンダリング処理部(複製)30によって実行される。
【0044】
処理結果通知手段230は、マイグレーション後処理実行手段220によるレンダリング処理が終了した後、通信I/F550を介して、当該レンダリング処理で生成されたビットマップデータを第1の画像処理装置100に通知する。ここで、処理結果通知手段230は、ハイパーバイザ部70上で動作するコントローラ部60、レンダリング処理部(複製)30又は当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良く、ハイパーバイザ部70の論理区画以外で動作する当該手段を実現する他の機能部(不図示)によって実行されても良い。
【0045】
以上説明したような動作原理に基づいて、本発明に係る画像処理装置、画像処理システムは、コンピュータの仮想化技術を利用し、通信ネットワークで接続されたPC端末のハードウェア資源を有効活用することで、高い印刷能力を提供することができる。
【0046】
<本実施の形態に係る画像処理システムによるレンダリング処理部をマイグレーションする処理例>
図7を用いて、本実施の形態に係る画像処理システム300によるレンダリング処理部をマイグレーションする処理の例を説明する。ここで、図7は、画像処理システム300による処理例のフローチャートである。
【0047】
S10で画像処理システム300が、レンダリング処理部をマイグレーションする処理を開始する。S20で処理要求取得手段110が、PDLで記述された印刷処理の実行要求を取得する。
【0048】
S30で目印検出手段120が、処理要求取得手段110によって取得した実行要求に係るPDLを読み込み、解釈する。
S40で目印検出手段120が、実行要求の中で頁区切りを検出しない場合(S40でNoの場合)、S30で目印検出手段120が、実行要求に係るPDLを読み込み、解釈を継続する。
【0049】
S40で目印検出手段120が、実行要求の中で頁区切りを検出した場合(S40でYesの場合)、S50で複製手段130が、レンダリング処理部20の動作を停止させ、ハイパーバイザ部40上にレンダリング処理部20の複製を生成する。その後、S50でマイグレーション手段130が、ハイパーバイザ部40上のレンダリング処理部(複製)30を、ハイパーバイザ部70上に移動(マイグレーション)させる。具体的には、S50でマイグレーション手段130が、レンダリング処理部(複製)30によるレンダリング処理を実現するためデータを、通信I/F450を介して、第2の画像処理装置200に対し送信する。レンダリング処理部(複製)30によるレンダリング処理を実現するためデータとは、レンダリング処理部(複製)30による処理を実現するためのプログラム及び設定情報であり、さらに、レンダリング処理部(複製)30が処理の実行中であれば作業領域であるRAM430、HDD440上のデータである。
【0050】
他方、S50で処理部受信手段210が、マイグレーション手段130によって送信されたレンダリング処理部(複製)30に関するデータを取得し、レンダリング処理部(複製)30をハイパーバイザ部70上に配置する。レンダリング処理部(複製)30に関するデータとは、レンダリング処理部(複製)30による処理を実現するためのプログラム及び設定情報であり、さらに、レンダリング処理部(複製)30がレンダリング処理の実行中であれば作業領域であるRAM430、HDD440上のデータである。
【0051】
S60で目印検出手段120によって検出された頁区切りが最終頁のものであった場合(S60でYesの場合)、S70で画像処理システム300が、レンダリング処理部をマイグレーションする処理を終了する。
一方、S60で目印検出手段120によって検出された頁区切りが最終頁のものでない場合(S60でNoの場合)、S30で目印検出手段120が、実行要求の読み込み、解釈を継続する。
また、印刷処理の実行要求の中に後処理に影響を与えるものがある場合、S50の前段階で当該実行要求に係る処理を実行する形態としても良い。
【0052】
<本実施の形態に係る画像処理システムによるレンダリング処理例>
図8を用いて、本実施の形態に係る画像処理システム300によるレンダリング処理の例を説明する。ここで、図8は、画像処理システム300による処理例のフローチャートである。
【0053】
S110で画像処理システム300が、レンダリング処理を開始する。S120でマイグレーション後処理実行手段220が、第2の画像処理装置200の備えるハードウェア・リソースを使用して、処理要求取得手段110によって取得した印刷処理の実行要求の一部であるレンダリング処理を実行する。
【0054】
S130でマイグレーション後処理実行手段220が、頁区切りを検出しない場合(S130でNoの場合)、S120でマイグレーション後処理実行手段220が、第2の画像処理装置200の備えるハードウェア・リソースを使用して、処理要求取得手段110によって取得した印刷処理の実行要求の一部であるレンダリング処理を継続する。
【0055】
S130でマイグレーション後処理実行手段220が、頁区切りを検出した場合(S130でYesの場合)、S140で処理結果通知手段230が、レンダリング処理部(複製)30のレンダリング処理を停止させ、停止するまでに生成したビットマップデータを第1の画像処理装置100に通知し、S150で画像処理システム300が、レンダリング処理を終了する。
【0056】
複製手段130により複製され、マイグレーション手段140により第2の画像処理装置200にマイグレーションされたレンダリング処理部(複製)30が複数有る場合、マイグレーション後の各レンダリング処理部(複製)30が、本処理例で説明した処理を実行することとなる。
【0057】
<本実施の形態に係る画像処理システムによる出力処理例>
図9を用いて、本実施の形態に係る画像処理システム300による出力処理の例を説明する。ここで、図9は、画像処理システム300による処理例のフローチャートである。
【0058】
S210で画像処理システム300が、ビットマップデータの出力処理を開始する。S220で処理結果取得手段150が、処理結果通知手段230により通知されたビットマップデータを取得する。
S230で処理結果取得手段150が、全てのビットマップデータを取得していない場合(S230でNoの場合)、S220で処理結果取得手段150が、ビットマップデータの取得を継続する。
【0059】
S230で処理結果取得手段150が、全てのビットマップデータを取得した場合(S230でYesの場合)、S240で出力手段160が、処理結果取得手段150により取得したビットマップデータをプロッタ460から印刷媒体上に出力させ、S240で画像処理システム300が、ビットマップデータの出力処理を終了する。
【0060】
<総括>
本発明は、コンピュータの仮想化技術を利用し、通信ネットワークで接続されたPC端末のハードウェア資源を有効活用することで、高い印刷能力を有する画像処理装置、画像処理方法、画像処理システムを提供することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの概略を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの動作原理を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るレンダリング処理の一例である。
【図6】本発明の実施の形態に係るレンダリング処理の一例である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理システムによる処理例のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像処理システムによる処理例のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る画像処理システムによる処理例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10、60 コントローラ部
20 レンダリング処理部
30 レンダリング処理部(複製)
40、70 ハイパーバイザ部
50、80 ハードウェア・リソースレイヤー部
100 第1の画像処理装置
110 処理要求取得手段
120 目印検出手段
130 複製手段
140 マイグレーション手段
150 処理結果取得手段
160 出力手段
200 第2の画像処理装置
210 処理部受信手段
220 マイグレーション後処理実行手段
230 処理結果通知手段
410、510 CPU
420、520 ROM
430、530 RAM
440、540 HDD
450、550 通信I/F
470 プロッタ
480、580 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語で記述された印刷処理要求を解釈してビットマップデータを生成するレンダリング処理部と、該レンダリング処理部を制御するコントローラ部と、当該画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部と、を有し、前記レンダリング処理部及び前記コントローラ部は、前記ハイパーバイザ部上の各論理区画において各々独立して動作する画像処理装置であって、
前記レンダリング処理部は、取得した前記印刷処理要求を解釈して、該印刷処理要求の中で所定の目印を検出する目印検出手段を有し、
前記コントローラ部は、
前記目印検出手段により前記所定の目印が検出された場合、前記ハイパーバイザ部上に、前記レンダリング処理部の複製を生成する複製手段と、
前記複製手段により複製された前記レンダリング処理部を、他の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動させるマイグレーション手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の目印は、前記ページ記述言語で記述された目印であって、前記印刷処理要求に従って印刷される印刷物の頁区切りを表す目印であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記レンダリング処理部により生成された前記ビットマップデータを印刷媒体上に出力するプロッタと、
前記マイグレーション手段によって移動させた前記レンダリング処理部が生成した前記ビットマップデータを取得する処理結果取得手段と、
前記処理結果取得手段により取得した前記ビットマップデータを前記プロッタから前記印刷媒体上に出力させる出力手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ページ記述言語で記述された印刷処理要求に基づきビットマップデータを生成するレンダリング処理部と、該レンダリング処理部を制御するコントローラ部と、当該画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部と、を有し、前記レンダリング処理部及び前記コントローラ部は、前記ハイパーバイザ部上の各論理区画において各々独立して動作する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記レンダリング処理部の目印検出手段が、取得した前記印刷処理要求を解釈して、該印刷処理要求の中で所定の目印を検出するステップと、
前記コントローラ部の複製手段が、前記目印検出手段により前記所定の目印が検出された場合、前記ハイパーバイザ部上に、前記レンダリング処理部の複製を生成するステップと、
前記コントローラ部のマイグレーション手段が、前記複製手段により複製された前記レンダリング処理部を、他の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動させるステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
ページ記述言語で記述された印刷処理要求に基づきビットマップデータを生成するレンダリング処理部と、該レンダリング処理部を制御するコントローラ部と、前記ビットマップデータを印刷媒体上に出力するプロッタと、当該第1の画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部と、を有し、前記レンダリング処理部及び前記コントローラ部は、前記ハイパーバイザ部上の各論理区画において各々独立して動作する第1の画像処理装置と、該第1の画像処理装置と通信ネットワークで接続され、当該第2の画像処理装置の備えるハードウェア・リソースを仮想化して、該ハードウェア・リソースを複数の論理区画に分割するハイパーバイザ部を有する第2の画像処理装置と、を有する画像処理システムであって、
前記レンダリング処理部は、取得した前記印刷処理要求を解釈して、該印刷処理要求の中で所定の目印を検出する目印検出手段を有し、
前記コントローラ部は、
前記目印検出手段により前記所定の目印が検出された場合、前記ハイパーバイザ部上に、前記レンダリング処理部の複製を生成する複製手段と、
前記複製手段により複製された前記レンダリング処理部を、前記第2の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動させるマイグレーション手段と、を有し、
前記マイグレーション手段により前記第2の画像処理装置が有するハイパーバイザ部上に移動した前記レンダリング処理部は、前記印刷処理要求に基づき前記ビットマップデータを生成するマイグレーション後処理実行手段を有し、
前記第2の画像処理装置は、前記マイグレーション手段によって移動させた前記レンダリング処理部が生成した前記ビットマップデータを、前記第1の画像処理装置に通知する処理結果通知手段を有し、
前記第1の画像処理装置は、前記処理結果通知手段により通知された前記ビットマップデータを前記プロッタから前記印刷媒体上に出力させる出力手段を有することを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−72871(P2010−72871A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238621(P2008−238621)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】