説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】眼底カメラ光学系で生ずる倍率色収差のみならず、撮影対象である眼球光学系で発生するものを含んだ倍率色収差を補正した場合に生じる解像度の低下を抑える。
【解決手段】撮像素子19は、複数色の色フィルタを介して前記眼底からの反射光を入射し、眼底像を撮像する。画像信号処理部23は、眼底の撮影時における合焦状態に応じて、複数色のうちの所定の色の画素値の座標を基準座標として他の色の画素値の座標を変換し、座標変換後における他の色の画素値に基づいて、当該画素値に対応する座標変換前の座標における他の色の画素値を算出する。そして、画像信号処理部23は、所定の色の画素値に基づいて、所定の色における他の座標の画素値を補間し、画素値が補間された所定の色の画素値と、座標変換前の座標における他の色の画素値とに基づいて、他の色における他の座標の画素値を補間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の眼底像を撮像するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医用画像データを撮像した際の撮像光学系の撮像条件に基づいて補正関数を作成し、その補正関数を基に医用画像データを補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような従来技術では、主に眼底カメラ光学系で発生する歪曲収差の補正を主眼としていた。ここで、歪曲収差は光軸を中心とした同心の変形であるため、画像の中心である光軸に対して同心円の補正を行うことになる。また、撮像条件として被検眼の乱視まで考慮した場合、この補正は同心円(回転対称)ではなくなるものの、乱視軸に対して線対称な補正を行うことが特許文献1に記載されている。さらに、歪曲収差をRGBの各色を対象に行うことにより、眼底カメラが有する倍率色収差の補正が可能なことが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−81879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、眼底カメラが有する倍率色収差の補正方法についての具体的な記載はない。またこの補正は、RGB画像平面の全ての画素が生成された後の補正を前提としており、単板式カメラを用いた画素補完プロセスを考慮した補正方法については言及されていないため、必ずしも元画像の解像度を維持できるとは限らなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、単板式カメラを用いた画素補完プロセスを考慮して、眼底カメラ光学系で生ずる倍率色収差のみならず、撮影対象である眼球光学系で発生するものを含んだ倍率色収差を補正した場合に生じる解像度の低下を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、被検眼の眼底を照明する照明手段と、複数色の色フィルタを介して前記眼底からの反射光を入射し、眼底像を撮像する撮像手段と、前記眼底の撮影時における合焦状態に応じて、前記複数色のうちの所定の色の画素値の座標を基準座標として他の色の画素値の座標を変換する座標変換手段と、座標変換後における前記他の色の画素値に基づいて、当該画素値に対応する座標変換前の座標における前記他の色の画素値を算出する算出手段と、前記所定の色の画素値に基づいて、前記所定の色における他の座標の画素値を補間する第1の補間手段と、前記第1の補間手段により画素値が補間された前記所定の色の画素値と、前記算出手段により座標変換前の座標における前記他の色の画素値とに基づいて、前記他の色における他の座標の画素値を補間する第2の補間手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単板式カメラを用いた画素補完プロセスを考慮して、眼底カメラ光学系で生ずる倍率色収差のみならず、撮影対象である眼球光学系で発生するものを含んだ倍率色収差を補正した場合に生じる解像度の低下を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る眼底カメラの構成を示す図である。
【図2】位置及びピント合わせを行うための表示画面の例を示す図である。
【図3】一般的な三色カラーフィルタの配置状態とRGBの各色フィルタの分光透過率を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における画素補間演算の方法を説明するための図である。
【図5】画像信号処理部の構成を示す図である。
【図6】眼底画像の倍率色収差を説明するための図である。
【図7】固視灯によい誘導される被検眼の視線方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る眼底カメラの構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る眼底カメラは、観察用光源1及び撮影用光源3から対物レンズ13に至る光路上には、観察用光源1の先にリング状の開口を有する絞り5、撮影用光源3の先にリング状の開口を有する絞り2がそれぞれ配置され、ミラー4に至る。ミラー4の先には、リレーレンズ6、ミラー7、リレーレンズ11、孔あきミラー12が順次に配列され、眼底照明光学系01を構成する。なお、本実子形態に係る眼底カメラは、本発明の画像処理装置の適用例となる構成である。
【0011】
ミラー7の反射方向には、2穴絞り36、レンズ8、合焦用指標9、合焦用指標光源10が配置され、合焦用指標投影光学系03を構成する。合焦用指標投影光学系03は、合焦レンズ14と連動して図中Aの方向へ動き、被検眼の眼底Erに合焦用指標を投影し、静止画撮影時には図中Bの方向へ動き、照明光学系01上から退避される。
【0012】
孔あきミラー12の透過方向の光路上には、合焦レンズ14、撮影レンズ15、撮像部20が配置される。撮影レンズ15、撮像部20の間には斜設された部分反射ミラー38が配置される。被検眼の視線を固定させるために被検者に固視させる固視灯光路が用意されている。固視灯光路の撮像部20と略共役位置にはLEDアレイで形成された複数の固視灯光源39が配置されており、制御部25に接続されている。固視灯光源39は、固視灯位置変更スイッチ36により入力された位置のLED一つが点灯するよう制御される。また、合焦レンズ14はレンズ位置を検出可能なレンズ位置検出器37に接続され、レンズ位置検出器37の出力も制御部25に接続されている。孔あきミラー12には光ファイバ17を通じて位置合わせ用指標光源18が接続されている。以上の構成が眼底撮影光学系02である。
【0013】
撮像部20内には、撮像素子19、三色波長分解部16が配置され、三色波長分解部16の直前には撮像範囲を規定する実体マスク40が接着されている。さらに撮像部20の出力は画像信号処理部23、画像を表示する表示器24へ順次接続されている。観察用光源1は観察用光源駆動回路27へ接続される。撮影用光源3は撮影用光源駆動回路26へ接続される。合焦用指標光源10は合焦用指標光源駆動回路22へ接続される。位置合わせ用指標光源18は位置合わせ用指標光源駆動回路21へ接続される。なお、位置合わせ用指標光源駆動回路21、合焦用指標光源駆動回路22、画像信号処理部23、撮影用光源駆動回路26、観察用光源駆動回路27、入力部28、記録部34、固視灯位置変更スイッチ36は制御部25に接続されている。
【0014】
次に、眼底観察時の動作について説明する。制御部25は、観察用光源1を点灯、調光するために観察用光源駆動回路27を駆動するとともに、固視灯光源39のうちの1つを固視灯として点灯する。被検者にこの固視灯を注視させることで眼底上の撮影部位を決定することができる。観察用光源1を出射した光束は、リング状の開口を有する絞り5、ミラー4を通過する。ここで、観察用光源1は850nmに中心波長を持つ近赤外LEDで構成されており、ミラー4は赤外光を透過し、可視光を反射するダイクロイックミラーとしているため、観察用光源1を出射した光束はミラー4を通過する。ミラー4を通過した光束は、リレーレンズ6、ミラー7、リレーレンズ11を通り、孔あきミラー12の周辺で反射し、対物レンズ13、被検眼Eの角膜Ec、瞳Epを通り眼底Erを照明する。
【0015】
制御部25は、合焦用指標光源10を点灯するために合焦用指標光源駆動回路22を駆動する。合焦用指標光源10は合焦用指標9を照明し、合焦用指標9の像はレンズ8を通過し、ミラー7で反射して観察用光源1からの光束に重畳して被検眼Eの眼底Erに投影される。合焦用指標光源10は、850nmに中心波長を持つ近赤外LEDで構成されている。
【0016】
照明された眼底像及び合焦用指標像は、被検眼Eの瞳Ep、角膜Ec、対物レンズ13、孔あきミラー12の孔の中を通り、合焦レンズ14、撮影レンズ15を通過し、撮像部20内の三色波長分解部16を通り、撮像素子19に入射して結像される。
【0017】
制御部25は、位置合わせ用指標光源18を点灯するために位置合わせ用指標光源駆動回路21を駆動する。位置合わせ用指標光源18は光ファイバ17、対物レンズ13を通じて被検眼Eの角膜Ecを照射する。その反射光は、観察用光源1及び合焦用指標光源10の眼底からの反射光と重畳して撮像素子19に結像される。ここで位置合わせ用指標光源18は、850nmに中心波長を持つ近赤外LEDで構成されている。
【0018】
撮像素子19では、結像した眼底像、合焦用指標像、位置合わせ用指標像に対して光電変換が行なわれる。そして画像信号処理部23は、撮像素子19からのデータの読み出し及び増幅を行う。これにより、動画であるデジタル画像データが生成され、表示部24に表示される。その様子を図2に示す。図2(a)は、位置及びピントがずれている様子を示しており、操作者はこの画像を見ながら不図示の操作部により眼底カメラを前後、左右、上下に移動して被検眼の眼底像の位置合わせを行う。また、合焦用指標投影光学系03が合焦レンズ14と連動して図中Aの方向に移動することによりピント合わせが行われる。図2(b)は、位置合わせ用指標と位置合わせ用指標サークルとが一致して位置合わせが完了し、また合焦用指標が一直線になりピント合わせが完了した状態を示している。なお、眼底像の外側の斜線部分40´は、三色波長分解部16の直前に接着された撮像範囲を規定する実体マスク40の像である。被検眼の前眼部で発生する反射光及び散乱光をカットし、フレア・ゴーストが混入しない範囲の眼底像のみを記録する役割を有する。
【0019】
ここで、撮像部20の構成及び観察時の動作について詳細に説明する。撮像部20内の撮像素子19には、撮像素子19の各画素に一致するようにモザイク状に配置された、赤(以下、Rと称す)、緑(以下、Gと称す)、青(以下、Bと称す)の三色波長分解部16が配置されている。画像信号処理部23は、撮像素子19からの各画素のデータを読み出して増幅を行い、全画素値を算出して画像データを生成する。
【0020】
ここで、画像データ生成時の各画素値の演算について詳細に説明する。図3(a)は、一般的な三色カラーフィルタの配置状態を示している。撮像部20の各画素には、図3(b)に示す分光透過率を有するRGBの各色フィルタが配置され、対応する画素が各色フィルタに割り当てられる。各画素に用意された各フィルタは可視域である700nmより長い波長の近赤外光(ここでは850nm)にも感度を有することになり、この出力を用いて、前述の眼底観察が行われることになる。一般的には、特定の色要素(例えばG)に割り振られた画素から、その他の色要素(例えばRB)に割り当てられた画素の特定の色要素の画素値(G)が作成され、RGB各色の平面画像データが生成される。これに対し、本実施形態では、観察時に使用されている波長は850nmであり、且つその波長においてRGBの各色フィルタはほぼ同一の透過率を有する。従って、画像信号処理部23は各画素を逐次読み出し、そのままモノクロの画像信号を作り出してもよい。
【0021】
次に、眼底撮影時の動作について説明する。操作者は、表示器24に表示された図2(a)に示すような画像を見ながら位置合わせ、ピント合わせを行い、位置とピントとが合ったところで入力部28に構成される撮影スイッチを押す。これにより、制御部25は、フォーカスレンズ14の位置をレンズ位置検出器37に検知させ、位置合わせ用指標光源駆動回路21、合焦用指標光源駆動回路22を駆動して、合焦用指標光源10、位置合わせ用指標光源18を消灯する。そして制御部25は、合焦用指標投影光学系03をBの方向へ駆動し、光路外へ退避させた後、撮影用光源駆動回路26を駆動して撮影用光源3を発光させる。
【0022】
撮影用光源3を出射した光束は、リング状の開口を有する絞り2を通過し、ミラー4で反射し、以降、観察用光源と同じ経路で被検眼Eの眼底Erを照明する。そして、その反射光である眼底像は撮像素子19に導かれ、結像する。ここで撮影用光源3は可視光であり、ミラー4は赤外光を透過し、可視光を反射するダイクロイックミラーとしてあるため、撮影用光源3を出射した可視光領域のみの光束がミラー4で反射する。
【0023】
撮像素子19では光電変換が行われ、画像信号処理部23によって静止画であるRGB平面の画像データからなる眼底画像データが生成され、表示部24へ表示されると同時に、制御部25経由で記録部34へ眼底画像データが記録される。その際の画像信号処理部23の動作の概念を図4及び図5を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図5は、画像信号処理部23の詳細な構成を示す図である。図3(a)に示す画素配列を有する撮像素子19から読み出し部231により読み出された画素データは演算部232を経由し、仮想メモリ234に設けられたRGB各色に対応するR平面メモリ235、G平面メモリ236、B平面メモリ237に配される。このときの各平面メモリ上の画素値の状態が図4の401〜403に示されている。401がR平面メモリ235の配置を示し、402がG平面メモリ236の配置を示し、403がB平面メモリ237の配置を示している。即ち、図4の401〜403においては、各色要素に対応しているフィルタが配された画素位置にその画素の画素値が埋め込まれた状態を示している。このとき、他の色要素で撮像された画素に対する画素値(例えば、R平面におけるG01の座標位置のRの画素値等)はまだ空白のままである。
【0025】
次に演算部232は、倍率色収差補正のための座標補正位置を記憶している補正記憶部233から、撮影時に検出した合焦レンズ位置に対応して被検眼の視度に応じた座標変換関数、即ち、基準色要素(本実施形態では、最も画素数の多いGに相当する)に対するその他の色要素(本実施形態では、RBに相当する)の座標変換関数を読み出し、配置されている画素の補正後の座標を算出する。さらに演算部232は、この補正後の座標を有する周囲の画素値から元の基準座標に相当する画素値を算出し、画素値の書き換えを実行する。この概念を示したものが図4の404、406となる。即ち、図4の401の時点でのR22(図4の404ではR22´と表記)の画素値の決定は、座標軸の原点、即ち撮像画面の中心であるOに対し、同一経線上にあるR22とR44に一度図4の404に示したR22、R44に位置する座標変換を施し、R22、R44の補正後の座標を得る。このとき、R00の座標が補正後の基準座標値であり、R00´の座標が元の基準座標値であり、両者の距離ΔBが補正すべき倍率色収差量に相当する。その後、演算部232は、この両者の座標変換後の座標から線形補間演算等により元の基準座標上の画素値R22´を算出することになる。説明においては簡略化のために同一経線上にあるR22、R44を例に挙げて説明したが、同一経線上にない場合には、対称画素近傍にある対称画素を囲む4つの周辺画素から算出すればよいことになる。B平面に対する画素補間の考え方も同様であるが、図4の406では、図4の404で示したR平面が倍率色収差により原点から近い距離で撮像されているのに対して、逆方向にずれていることを示している。
【0026】
以上の演算により倍率色収差が補正された画像データが各画像平面に配されることになる。補正記憶部253に用意されている座標変換関数は、例えば以下のように作成された複数の関数からなる。
【0027】
先ず、基準(正視)座標変換関数の作成方法について説明する。
標準的色収差を有する眼球光学系モデル、それに光軸が一致するよう配置された眼底カメラ光学系の設計データを用意する。これに対し、演算部232は、使用する光源の標準の分光分布と光学系の透過率、三色分解手段である各色フィルタ特性を加味した分光分布ウエイトを有する複数の波長によりなる多数光線追跡による点像強度分布シミュレーションにより、各像位置におけるRGB各々の点像の重心位置を求める。求めたRBの点像重心位置と基準であるGの点像重心位置との差分が補正量となる。本実施形態ではこの補正値の計算に点像強度分布の重心を用いたが、中央値を採用しても、またはRBに対し組み合わせて使用してもよい。さらには合成した点像強度分布の最大値が最大になるよう補正値を決定することも可能である。この際、連続的な像高全てを計算する必要なく、複数の像高について計算し、その間は補間によって決定すれば十分である。また、この補間は前もって計算し、各画素に対応させるLOTの形式で補正記憶部253に用意してもよいし、実際に補正する際、逐次演算部232が計算する方法をとってもよい。さらにGの点像重心位置との差分そのものを補正量としてもよいが、被検眼の個人差により過補正になることを避けるため、予め少なめに見積もっておく等の味付けは可能である。当然、被検眼には個人差があるため、厳密な補正量が必要であるわけでなく、このような味付けを行なっても程度の差はあるとはいえ、画像改善効果があることは変わらない。重要なことは眼底カメラの光学系でのみ発生する色収差を対象にするのではなく、被写体である被検眼の光学系も加味した補正を行うことにある。
【0028】
次に、被検眼視度(合焦状態)に対する座標変換関数の作成方法について説明する。
被検眼が正視でない場合の眼球光学系モデルは確立していない。従って本実施形態では、既知の光学設計値がある眼底カメラと既知のフィルタ設計値がわかっている撮像手段で実写した様々な被検眼視度の人眼画像から必要な倍率色収差の補正量を推定したものを用いている。図6にその補正値を決定する方法の例を示す。図6(a)は視度がわかっている被検眼に対してほぼ光軸を合わせて実写したカラー画像である。ここで画面中心Oからの経線に垂直な血管の経線上の矢印Aの領域の各RGB平面の画素値をプロットしたものが図6(b)であり、ここで血管は濃い赤であるので図示の如くのプロファイルを有する。血管の位置は各プロットのボトムBb、Gb、Rbであり、倍率色収差が無ければこれはほぼ一致すべきものである。従って、R平面、B平面で補正すべき収差量はおのおのΔB、ΔRとなる。これを異なる画角にある図6(b)でも計測し、各画角における色収差を得ることができる。このような画像計測をほぼ同じ視度を有する複数の被検眼に対して実施し、その平均を得ることにより、各視度における補正量を決定することができる。その際、連続的な視度全てを計算する必要なく、複数の視度について計算し、その間は補間によって決定すれば十分である。また、この補間は前もって計算し、各画素に対応させるLOTの形式で補正記憶部253に用意してもよいし、実際に補正する際、逐次演算部232が計算する方法をとってもよいことは画角に対する補正量の決定方法と同様である。なお、上述した基準(正視)座標変換関数も同様に実写した眼底画像から算出してもよい。
【0029】
以上の座標変換は、図2に示す、三色波長分解部16の直前に接着された撮像範囲を規定する実体マスクの像40´の内側にある眼底像のみが対象である。倍率色収差が発生しているのは眼底像のみであり、この実体マスクは眼球光学系も撮影光学系も介さずに撮像されているため、眼底像と同様の補正を実施してしまうと、マスクの境界にアーティファクトとしての色にじみを発生し、診断上のノイズとなるからである。勿論、演算部232が演算の単純化のために実体マスク40を用いず、全撮像範囲に対して座標変換を行い、さらに後述のRGB平面の画素補間処理を行なった上で、実体マスクに相当するマスク部位の画素を黒く塗りつぶす処理を実施しても同等の効果が得られる。
【0030】
次に演算部232は、先ほどのG平面メモリ236の画素値に対してG平面の画素補間を実施し、空白画素の画素値をG平面メモリ236に格納する。演算部232が行う各色平面座標上の空白の画素値を画素補間により求める方法を、図4の407〜409の黒枠で囲まれた部分の画素を例に挙げて説明する。図4の408に示すように、G22の空白の画素は上下左右を既に画素値を有する画素で囲われている。従って、次のように、その4つの画素の平均を取ることで補間が可能である。
G22=(G12+G21+G23+G32)/4
G11、G13等についても同様に計算が可能である。
【0031】
次に、演算部232が実施するのはR平面の画素補間である。Rの空白の画素には3つの種類が存在する。即ち、R12、R32は上下を既に画素値を有する画素ではさまれている。R21、R23は左右を既に画素値を有する画素ではさまれている。さらにR11は斜め方向4つの既に画素値を有する画素で囲われている。これらを用いて画素の補間を行うことは当然可能であるが、Gの如く近接する上下左右の画素による補間に比して、使用する情報量が少ないことになる。従ってこの補間により、画像の空間における高周波成分が失われる可能性が高くなり、解像度が維持されない。そこで、本実施形態では、G平面の画素値を利用した色差信号を用いた補間を行ってこの高周波成分の維持に努めている。すなわち、次のように、3種類のRの画素に対して補間計算により空白の画素値を決定し、R平面メモリへの書込みを行う。
R12=((R02´−G02)+(R22´−G22)−2xG12)/2
R21=((R20´−G20)+(R22´−G22)−2xG21)/2
R11=((R00´−G00)+(R02´−G02)+(R20´−G20)+(R22´−G22)−4xG11)/4
次のように、B平面の補間も同様に行われ、その結果がB平面メモリに格納される。
B12=((B11´−G11)+(B13´−G13)−2xG12)/2
B21=((B20−G20)+(B22−G22)−2xG21)/2
B22=((B11´−G11)+(B13´−G13)+(B31´−G31)+(B33´−G33)−4xG22)/4
【0032】
以上のように本実施形態では、演算部232は、第2の補間演算において、最も画素数の多い平面(本実施形態の場合はG平面)のもつ高い解像度を利用することにより、画質の維持を図っている。言い換えれば基準色要素平面でない色要素平面の補間にはその色要素平面と基準色要素平面という2つの色要素平面の情報を用いるのである。
【0033】
以上の説明により、このR平面、B平面の第2の補間演算を、先に述べた座標変換後に実施するG平面の第1の補間演算の前に行ってはならないことが理解されよう。本実施形態以外の方法であっても、このように単独の色要素平面ではなく複数の色要素平面からの画素補間を行う場合、上記2つの補間の順序が重要であることはいうまでもない。一般的な仮想画素の計算方式、すなわち、4x4の3つの色要素を用いた補間演算と比較を行うと、本方式のメリットが明らかになる。
【0034】
一般的な補間演算では、図4の407〜409における仮想画素P00のRGB各色の値は仮想画素P00周辺の実線で囲まれた画素のうち、R00、R02、B11、G12、B13、R20、G21、R22、B31、B33の画素の受光データから以下の式で演算される。仮想画素のRGBの値をそれぞれRP00、GP00、BP00とすると、次のようになる。
P00=(G12+G21)/2
P00=(9・R22+3・R02+3・R20+R00)/16
P00=(9・B11+3・B13+3・B31+B33)/16
【0035】
画素補間時に利用する各画素にウエイトはかけているものの、かなりの距離の画素を用いた平均化が行われていることが理解されよう。演算部232が全ての計算を終了した後、読み取り部238は仮想メモリ234から全ての画像データを読み出し、制御部25へ転送する。制御部25はこれを表示及び記録に利用することになる。
【0036】
本実施形態の説明では、色要素平面毎にどのような演算を行うかを説明したが、実際の演算部が行う演算は必ずしもこの順序に限らず、小領域毎に繰り返し演算を行うアルゴリズムを採用し、演算時間の短縮を図ることも可能である。また、撮影直後の表示を行う際には、この倍率色収差補正の過程を省略することにより、撮影後、短時間での表示を可能とすることもできる。そのような場合、本演算はバックグランド処理にて実行し、演算終了後に表示を切替えることが望ましい。
【0037】
本実施形態によれば、単板式カメラを用いた画素補完プロセスを考慮して、眼底カメラ光学系で生ずる倍率色収差のみならず、撮影対象である眼球光学系で発生するものを含んだ倍率色収差を補正した場合に生じる解像度の低下を抑えることが可能となる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態においては、倍率色収差を補正するための基準座標変換関数として、標準的色収差を有する眼球光学系モデル、それに光軸が一致するよう配置した眼底カメラ光学系の設計データを用意した。しかしながら、近年白内障眼に対しては白濁した水晶体を切除し、人工水晶体IOLを挿入する手術が普及している。このような手術が行なわれた被検眼(いわゆるIOL眼)の倍率色収差は、標準的な倍率色収差と異なっていることが知られている。なお、本実施形態に係る眼底カメラの構成は、図1に示す第1の実施形態に係る眼底カメラの構成と同様である。
【0039】
従って、本発明の第2の実施形態では、このようなIOL眼に対する座標変換関数と、被検眼がIOL眼であると検者が判断したこととを入力するためのIOL眼選択スイッチとを設けている。なお、IOL眼選択スイッチは図1の制御部25に対して接続されている。さらに、IOL眼選択スイッチのONを制御部25が検知した場合、図5の演算部232は、倍率色収差補正のための座標変換関数を記憶している補正記憶部253からIOL眼に対応した別の座標変換関数を呼び出した上で、第1の実施形態と同様の演算を実施する。被検眼が正視でない場合に、撮影時に検出した合焦レンズ位置に対応する座標変換関数を用いることは第1の実施形態と同様であり、且つその他の構成及び動作も第1の実施形態と同様であるので説明は割愛する。
【0040】
ここで用意したIOL眼に対する基準座標変換関数は、標準的色収差を有する眼球光学系モデルから水晶体部分をIOLに置換したものを用い、先の通常被検眼に対する基準座標変換関数と同様に作成する。また、各視度に対する座標変換関数の作成方法も被検眼としてIOL眼を用いる以外は同様である。しかしながら、基準となる座標変換関数は異なるものの、視度に対する座標変換関数の変化(倍率色収差の変化)そのものは標準的な被検眼に対する変化とほぼ同様である。従って、IOL眼に対する基準座標変換関数を用意する代わりに、IOL眼に対する補正用座標変換関数を用意して、実際の座標変換演算を実施してもよい。すなわち、IOL眼に対してもまず標準眼の視度に対応した座標変換をかけた上で、IOL眼に対する補正用座標変換を施す手順をとってもよい。本方法によれば、補正記憶部253が記憶する座標変換関数もしくは座標変換用LOTの数を減らすことが可能となる。
【0041】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1及び第2の実施形態においては、図7(a)に示すように、被検眼光軸が撮影光軸と一致するような光軸に点対称な補正を行う例について説明した。しかしながら、実際の撮影においては、第1の実施形態で説明したように、検者は図1に示した固視灯位置変更スイッチ36を操作する。これにより、固視灯光源39のうちの1つを固視灯として点灯し、図7(b)に示すように、被検者にこの固視灯を注視させることで眼底上の撮影部位を決定する。このとき、固視灯により誘導された被検者の視線(被検眼光軸)SLは対物レンズ光軸に対し、経線方向にθ、接線方向にφの角度となる。このような場合、被検眼の光軸は対物レンズ13の光軸と一致せず、この被検眼光学系の傾きにより、撮影光軸に非対称な倍率色収差が発生することになるが、その量は被検眼の視線の方向θの関数となり、方向は視線の方向φの関数となる。なお、図7でEは被検眼、Erは被検眼眼底撮影部位、Epは被検眼瞳である。また、本実施形態に係る眼底カメラの構成は、図1に示す第1の実施形態に係る眼底カメラの構成と同様である。また、本実施形態に係る眼底カメラは、被験者の視線(被検眼光軸)を固視灯の位置から検出するようにしている。
【0042】
従って、本実施形態では、このような光軸に非対称な倍率色収差を補正するための座標変換関数を補正記憶部253に複数用意している。検者が固視灯位置変更スイッチ36を操作した場合、制御部25は、固視灯の発光位置を制御するとともに、固視灯位置に対応した非対称な倍率色収差補正のための座標変換関数を補正記憶部253から呼び出すよう演算部232に対して指示を出す。そして、演算部232は、補正記憶部253から光軸に非対称な倍率色収差を補正するための座標変換関数を呼び出した後、第1の実施形態と同様の演算を実施する。被検眼が正視でない場合に、撮影時に検出した合焦レンズ位置に対応する座標変換関数を用いることは第1の実施形態と同様であり、且つその他の構成及び動作も第1の実施形態と同様であるので説明は割愛する。
【0043】
ここで用意した非対称な倍率色収差補正のための座標補正関数は、撮影光学系の光軸に対し、標準的色収差を有する眼球光学系モデルを固視灯が誘導する視線θ方向に傾けた配置で、先の通常被検眼に対する基準座標変換関数と同様にシミュレートすることで作成可能である。眼球光学系と撮影光学系は基本的に同軸光学要素で構成されているため、φ方向に関してはこの座標変換関数を視線方向φへ回転させればよい。また、各視度に対する座標変換関数の作成方法も第1の実施形態と同様に実写画像から作成することができる。
【0044】
しかし、視線方向の変化に対する倍率色収差の変化は、第1の実施形態に基準座標変換関数に加算的に発生する性格を有している。従って、視線の変更が行なわれている場合に対して、先ず標準眼の視度に対応した座標変換をかけた上で、所定の視度の視線方向θに対する座標変換を視線方向φの方向へ施す手順を取ることができる。本方法によれば、補正記憶部253が記憶する座標変換関数もしくは座標変換用LOTの数を減らすことが可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態では、視線方法の検出において固視灯の位置を用いているが、視線方向は、実画像上の乳頭位置と左右眼区別により検出することも可能であることはいうまでもない。この場合では乳頭の存在が画像上確認できない場合には、倍率色収差の補正を行わないようにすることもできる。
【0046】
上記実施形態によれば、撮像素子の持つ解像度を十分に保ったまま倍率色収差を補正することが可能となる。上記実施形態により生成される眼底画像は、色収差がほとんど無く、かつ十分な解像度を有することから、従来の眼底画像に比して非常に高い診断価値を有することになる。また、上記画素補間の過程において基準面はG平面とすることにより、従来の単板カラーカメラと共通の信号処理を共用可能となり、コストダウンの効果を有する。
【0047】
ここで用いられる座標変換関数は、眼底カメラ光学系の設計データ及び標準的色収差を有する眼球光学系モデルによって生成される倍率色収差の補正量を利用して生成されたものである。或いは、座標変換関数は、既知の光学系で撮影された様々な被検眼視度の画像から推定された倍率色収差の補正量を利用して生成されたものである。従って、被検眼の光学系で発生する倍率色収差を含め、十分な倍率色収差の補正が可能である。
【0048】
さらに、上記実施形態では、レンズ位置検出器37の出力に応じた座標変換関数を与えることにより、視度の異なる被検眼に対しても適切な補正を行うことができる。また、上記実施形態では、生成された眼底画像に電子マスクをかけることにより、マスク部分に発生するアーティファクトの無い眼底画像を提供することができる。また、座標変換は実体マスクの通過部分に制限することにより同等の効果が得られることになる。
【0049】
また、上記実施形態では、IOL眼であることを入力すると、IOL眼に対する補正も適切に行うことが可能である。さらに、上記実施形態では、被検眼の視線方向(光軸)に応じた座標変換関数を与えることにより、任意の撮影部位に対しても適切な補正を行うことができる。この際の視線方向の検出に固視標位置を利用することにより、特別な構成を用いることなく、この効果を得ることができる。また、視線方向は乳頭位置と左右眼区別により推定することも可能である。
【0050】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0051】
23:画像信号処理部、25:制御部、37:レンズ位置検出器、39:固視灯光源、232:演算部、235:R平面メモリ、236:G平面メモリ、237:B平面メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼底を照明する照明手段と、
複数色の色フィルタを介して前記眼底からの反射光を入射し、眼底像を撮像する撮像手段と、
前記眼底の撮影時における合焦状態に応じて、前記複数色のうちの所定の色の画素値の座標を基準座標として他の色の画素値の座標を変換する座標変換手段と、
座標変換後における前記他の色の画素値に基づいて、当該画素値に対応する座標変換前の座標における前記他の色の画素値を算出する算出手段と、
前記所定の色の画素値に基づいて、前記所定の色における他の座標の画素値を補間する第1の補間手段と、
前記第1の補間手段により画素値が補間された前記所定の色の画素値と、前記算出手段により座標変換前の座標における前記他の色の画素値とに基づいて、前記他の色における他の座標の画素値を補間する第2の補間手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の色は、前記撮像手段において前記複数色のうち最も画素数の多い色であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記座標変換手段は、標準的な色収差を有する眼球光学系モデルと前記眼球光学系モデルに光軸が一致するように配置された眼底カメラ光学系の設計データとを用いて生成された座標変換関数を用いて座標変換を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記座標変換手段は、既知の光学系で撮影された複数の被検眼視度の人眼画像から推定される倍率色収差の補正量に基づいて生成された座標変換関数を用いて座標変換を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮像手段の撮像範囲を規定するマスクをかけるマスク手段を更に有し、
前記座標変換手段は、前記マスクがかけられた部分以外の画素値に対して座標変換を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記座標変換手段は、IOL眼に対応した座標変換を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記座標変換手段は、前記被検眼の光軸が前記撮像手段の光軸と一致しない場合に対応する座標変換を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記座標変換手段は、前記被検眼の光軸の方向に応じて異なる座標変換を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記被検眼の光軸の方向を固視灯の位置から検出する検出手段を更に有することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記被検眼の光軸の方向を乳頭位置と左右眼区別とから検出する検出手段を更に有することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
被検眼の眼底を照明する照明手段と、複数色の色フィルタを介して前記眼底からの反射光を入射し、眼底像を撮像する撮像手段とを有する画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
前記眼底の撮影時における合焦状態に応じて、前記複数色のうちの所定の色の画素値の座標を基準座標として他の色の画素値の座標を変換する座標変換ステップと、
座標変換後における前記他の色の画素値に基づいて、当該画素値に対応する座標変換前の座標における前記他の色の画素値を算出する算出ステップと、
前記所定の色の画素値に基づいて、前記所定の色における他の座標の画素値を補間する第1の補間ステップと、
前記第1の補間ステップにより画素値が補間された前記所定の色の画素値と、前記算出ステップにより座標変換前の座標における前記他の色の画素値とに基づいて、前記他の色における他の座標の画素値を補間する第2の補間ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
被検眼の眼底を照明する照明手段と、複数色の色フィルタを介して前記眼底からの反射光を入射し、眼底像を撮像する撮像手段とを有する画像処理装置によって実行される画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記眼底の撮影時における合焦状態に応じて、前記複数色のうちの所定の色の画素値の座標を基準座標として他の色の画素値の座標を変換する座標変換ステップと、
座標変換後における前記他の色の画素値に基づいて、当該画素値に対応する座標変換前の座標における前記他の色の画素値を算出する算出ステップと、
前記所定の色の画素値に基づいて、前記所定の色における他の座標の画素値を補間する第1の補間ステップと、
前記第1の補間ステップにより画素値が補間された前記所定の色の画素値と、前記算出ステップにより座標変換前の座標における前記他の色の画素値とに基づいて、前記他の色における他の座標の画素値を補間する第2の補間ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−250976(P2011−250976A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126566(P2010−126566)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】