説明

画像処理装置、画像処理方法

【課題】インク使用量を抑制して、入力画像の光沢度が均一になるように調整する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】入力画像データに基づいて液滴を記録媒体3に対して吐出して画像を形成する画像処理装置100であって、前記記録媒体の光沢度を検出する光沢度検出手段26と、前記記録媒体の光沢度又は前記記録媒体の種類毎に液滴の浸透容易性情報と予測光沢度とを対応づけた光沢度推定テーブル305の記憶手段と、入力画像データの所定の領域における液滴の吐出時間間隔を少なくとも要因の1つとして浸透容易性情報を求め、前記浸透容易性情報に対応づけられた前記領域の前記予測光沢度を前記光沢度推定テーブルから取得する光沢度取得手段302と、前記記録媒体の光沢度と前記予測光沢度の比較結果に応じて、前記領域の光沢度を予め決定された目標光沢度に近づけるよう印刷時の液滴の浸透容易性を調整する光沢度補正手段と304と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、形成後の光沢ムラを低減可能な画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が印刷物をカラーで印刷する場合、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)とK(ブラック)の4つのインクを組み合わせて表現することが多い。スキャナ等で生成された画像データ、又は、端末から送信された画像データはRGBの色空間で表現されているので、画像形成装置は画像データをRGBからCMYKに変換し、CMYKの各色毎に画像データを生成する。各画像データは例えば256階調であるが、画像形成装置は複数のドットで画像を形成するため画像データをディザ処理して、濃淡をドットの有無や大きさで表現する。この時、ルックアップテーブル(LUT)やディザマトリクスが参照される。
【0003】
このような方法で、印刷物は目的の色で印刷されるが、印刷物にはインクによる光沢が生じることが知られている。用紙上に残ったインクやトナーは面を形成するのでインク量のむらがプリント表面に凹凸を形成し、光の乱反射を起こして光沢が生じてしまう。そこで、画素毎のインク使用量を調整し、特に透明なインクを追加することによって、用紙表面の総インク使用量を均一化し、光沢ムラを無くす手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、総インク使用量を均一化するため、結果的にインク使用量が増加してしまうという課題がある。
また、特許文献1は、表面を溶剤にてコーティングした光沢紙について、総インク使用量が現在の目標総使用量となるような新たなLUTを選択的に使用して光沢度を調整する手法を提案している。しかし、普通紙のように表面の紙繊維がランダムな用紙では、インクの浸透を考慮する必要があるため、LUTを選択するだけでは光沢度を調整することは困難である。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、インク使用量を抑制して、形成される画像の光沢ムラを抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、入力画像データに基づいて液滴を記録媒体に対して吐出して画像を形成する画像処理装置であって、前記記録媒体の光沢度を検出する光沢度検出手段と、前記記録媒体の光沢度又は前記記録媒体の種類毎に液滴の浸透容易性情報と予測光沢度とを対応づけた光沢度推定テーブルの記憶手段と、入力画像データの所定の領域における液滴の吐出時間間隔を少なくとも要因の1つとして浸透容易性情報を求め、前記浸透容易性情報に対応づけられた前記領域の前記予測光沢度を前記光沢度推定テーブルから取得する光沢度取得手段と、前記記録媒体の光沢度と前記予測光沢度の比較結果に応じて、前前記記録媒体の光沢度と前記予測光沢度の比較結果に応じて、前記領域の光沢度を予め決定された目標光沢度に近づけるよう印刷時の液滴の浸透容易性を調整する光沢度補正手段と、を有する画像処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
インク使用量を抑制して、形成される画像の光沢ムラを抑制する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の概略を説明する図の一例である。
【図2】画像形成装置の概略斜視図の一例である。
【図3】画像形成装置の側面図の一例である。
【図4】画像形成装置の制御部のブロック図の一例である。
【図5】画像形成装置の機能ブロック図の一例である。
【図6】隣接する液滴同士が接するまでの時間と、浸透性の関係を説明する図の一例である。
【図7】補正処理を説明するための動作手順を示すフローチャート図の一例である。
【図8】インクの記録媒体への浸透容易性を数値化する手順を模式的に説明する図の一例である。
【図9】滴下間隔の調整を模式的に説明する図の一例である。
【図10】光沢度の補正処理の詳細な手順を示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
〔本実施形態の概略〕
本実施形態の画像形成装置は、用紙の光沢度を考慮して、目標の光沢度になるように印刷方法、特に液滴の吐出方法を制御する。まず、用紙(以下、記録媒体という)の光沢度と隣接する液滴の滴下間隔の関係について説明する。
【0009】
図1(a)は、光沢度から見た記録媒体の種類毎に、隣接するインク(以下、液滴という)の滴下間隔が光沢度にどのように影響するかを示す図の一例である。なお、本実施形態の滴下間隔とは直前の液滴が吐出されてから次の液滴が吐出されるまでの時間間隔である。また、液滴は一度に吐出されるひとかたまりのインクであるので、液滴のサイズは一定でない場合がある。
【0010】
光沢度が高い(例えば普通紙よりも)記録媒体は、隣接する液滴の滴下間隔が短くなると、滴下間隔が長い場合よりも光沢度が高くなる。理由については後に詳述するが、これは、滴下間隔が短いと液滴が記録媒体に浸透しやすくなるため、記録媒体表面が露出しやすくなり、記録媒体自体の光沢度が画素の光沢度に反映されるためである。
【0011】
一方、普通紙は、隣接する液滴の滴下間隔が短くなると、滴下間隔が長い場合よりも光沢度が低くなる。この理由も同様であり、滴下間隔が短いと液滴が記録媒体に浸透しやすくなるため光沢度の低い普通紙の記録媒体表面が露出しやすくなり、記録媒体自体の低い光沢度が画素の光沢度に反映されるためである。
【0012】
本実施形態では、この事実を利用して画像データが記録媒体に形成された際に光沢が均一になるように、液滴の滴下間隔を変更する。
【0013】
図1(b)は液滴の吐出方法の変更手順の概略を模式的に説明する図の一例である。
(1)まず、画像形成装置は、何らかの手法で印刷対象の記録媒体の種類又は光沢度を判定する。
(2)次に、画像形成装置は、記録媒体がもっている光沢度と画像データ(例えば、1つの画素の)の関係から印刷された際の画像データの予測光沢度を算出する。
(3)画像形成装置は、目標光沢度と予測光沢度の大小を比較し、光沢度を上げる補正を行うか、下げる補正を行うかの判定を行う。
(4)上げる補正、下げる補正のいずれの場合も、画像形成装置は、予測光沢度と記録媒体の光沢度の大小を比較して、滴下間隔を長くするか短くするかを切り替える。
【0014】
(4-1)上げる補正
・予測光沢度>記録媒体の光沢度
記録媒体の光沢度を利用して予測光沢度を高くすることができないので、滴下間隔を長くすることで予測光沢度を高くする。
・予測光沢度≦記録媒体の光沢度
記録媒体の光沢度を利用して予測光沢度を高くすることができるので、滴下間隔を短くすることで予測光沢度を高くする。
【0015】
滴下間隔の長短補正で予測光沢度が目標光沢度に達しない場合、更なる手法で予測光沢度を高める。
【0016】
(4-2)下げる補正
・予測光沢度>記録媒体の光沢度
滴下間隔を短くすることで記録媒体の光沢度を利用して、予測光沢度を低くすることができる。
・予測光沢度≦記録媒体の光沢度
予測光沢度がすでに記録媒体の光沢度以下なので、滴下間隔を長くすることでさらに予測光沢度を低くする。
【0017】
滴下間隔の長短補正で予測光沢度が目標光沢度程度に低下しない場合、更なる手法で予測光沢度を低くする。
【0018】
記録媒体の光沢度と閾値を比較して(つまり、普通紙か光沢紙かなどにより)補正方法を変えることは従来的な手法であるが、本実施形態では、記録媒体の光沢度と予測光沢度を比較して滴下間隔を補正することが特徴の1つになっている。
【0019】
また、本実施形態の画像形成装置は、滴下間隔を調整することで光沢むらを低減するので、インク使用量を増やす必要がない。また、従来のように、光沢材を吐出することなどにより光沢を調整すれば光沢度を高くできるが、普通紙のように光沢材の浸透が生じやすい記録媒体では光沢度の適切な調整が困難であった。これに対し本実施形態では、記録媒体への液滴の浸透を利用するので、紙種に関係なく同じ手法で光沢度を調整することができる。
【0020】
〔構成〕
図2は画像形成装置100の概略斜視図の一例を、図3は画像形成装置100の側面図の一例をそれぞれ示す。なお、図2はシリアル型のインクジェット記録装置の要部の斜視図であり、図3はインクジェット記録装置の要部の側面図である。このようなシリアル型でなくライン型のインクジェット記録装置でも、本実施形態の液滴吐出の補正方法を好適に適用できる。
【0021】
画像形成装置100は、画像形成装置本体1の内部に印字機構部2を収納する。印字機構部2は、主走査方向に移動可能なキャリッジ13、キャリッジ13に搭載した印刷ヘッド14、印刷ヘッドにインクを供給するサブタンク15等で構成される。画像形成装置本体1の下部には、脱着自在に装着された、前方側から多数枚の記録媒体3を積載可能な給紙カセット4(あるいは給紙トレイでも適用可能)を有する。本体1の背面には、ユーザが記録媒体3を手差しで給紙するための手差しトレイ5が開倒自在に配置されている。画像形成装置100は、給紙カセット4又は手差しトレイ5から給送される記録媒体3を取り込み、印字機構部2により所要の画像を印字した後、前面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0022】
印字機構部2は、主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する印刷ヘッド14が搭載されており、インクジェットヘッドが内蔵された印刷ヘッド14は主走査方向と交差する方向に配列した複数のインク吐出口を、吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ13には印刷ヘッド14に各色のインクを供給するためのサブタンク15が装着されている。
【0023】
サブタンク15は、上方に大気と連通する大気口を、下方にインクジェットヘッドにインクを供給する供給口を、内部にインク残量を検知するセンサを、インクが充填された多孔質体を、を有して構成されており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドに供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
【0024】
本実施の形態におけるサブタンク15の容量は、プリンタの高速化に伴うキャリッジ13の軽量化のため、必要最小限の大きさになっている。したがって、サブタンク15の中のインクが少なくなるとインクを補給しなければならないこととなる。
【0025】
印刷ヘッド14として、ここでは各色の印刷ヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の印刷ヘッドを搭載してもよい。さらに、印刷ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、その吐出機構として、圧電素子などの電気機械変換素子で液室壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型、通電により発熱する発熱体を備える膜沸騰式を利用するサーマル型、あるいは、インク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型などが適用可能である。なお、本実施形態ではピエゾ型インクジェットヘッドを用いているとして説明する。
【0026】
ここで、図2に示すように、キャリッジ13はその前面側が主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装され、後方側が従ガイドロッド12に摺動自在に載置されている。そして、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20が張装されている。タイミングベルト20がキャリッジ13に固定されているため、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0027】
一方、給紙カセット4にセットした記録媒体3を印刷ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から記録媒体3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、記録媒体3を案内するガイド部材23と、給紙された記録媒体3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25、が設けられている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0028】
印写紙受け部材29は、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された記録媒体3を印刷ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である。この印写受け部材29の記録媒体搬送方向下流側には、記録媒体3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32が設けられており、さらに下流には、記録媒体3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とが設けられている。
画像形成装置100が記録媒体3に像を形成する際、キャリッジ13を移動させながら印字信号に応じて印刷ヘッド14を駆動することにより、停止している記録媒体3にインクを吐出して1行分を往路で記録し、記録媒体3を所定量搬送した後、次の行の記録を復路で行う(以下、双方向印刷という)。
【0029】
そして、画像形成装置100は、記録終了信号、または、記録媒体3の後端が記録領域に到達した信号を受信することで、記録動作を終了させ、記録媒体3を排紙する。なお、記録媒体3への記録は往復路のいずれか一方向で行うことも可能である(以下、片方向印刷という)。
【0030】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、印刷ヘッド14の吐出不良の回復、サブタンク15にインクを供給するメインのインクタンク等を有する回復装置37が配置されている。回復装置37は、キャッピング手段と、吸引手段と、クリーニング手段と、インク補給手段等、を有して構成されている。キャリッジ13は、印字待機中はこの回復装置37側に移動され、キャッピング手段により印刷ヘッド14をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止
する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0031】
また、吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段により印刷ヘッド14の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、クリーニング手段により吐出口面に付着したインクやゴミ等が除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、画像形成装置本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0032】
また、サブタンク15内にインクがなくなった場合には、回復装置37はキャリッジ13が所定の位置に来た時にインクを補給する。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色別のインクタンクを備えたメインタンクは、Y、M、C、Kの各色毎のサブタンク15とチューブ等を介して直結されており、常に一定の水圧をかけている。また、メインタンクにはインク供給ノズルとバルブとが備え付けられており、インク供給の必要が生じた際に、バルブが開いてインク供給ノズルよりインクが流れ出るように構成されており、サブタンク15へインクが供給される。
【0033】
また、記録ヘッド14の上流側には光沢度センサ26が配置されており、画像形成装置100は記録媒体の光沢度を検出することが可能である。
【0034】
図4は、画像形成装置100の制御部200のブロック図の一例である。制御部200は、外部I/F220と接続された主制御部210を有する。主制御部210は、CPU201と、ROM202、RAM203、NVRAM204、ASIC205、及び、FPGA206を有する。CPU201はROM202に記憶されたプログラム207を実行して、画像形成装置100の全体を制御する。ROM202にはこのプログラム207の他、初期値や制御のためのパラメータなど固定データが格納されている。RAM203は、プログラムや画像データ等を一時的に格納する作業メモリであり、NVRAM304は、装置の電源が遮断されている間も設定条件などのデータを保持するための不揮発性メモリである。ASIC205は画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う。FPGA206は、装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0035】
主制御部210は、この装置全体の制御を司るとともに、光沢むらの抑制に関わる制御を行う。後述するように、本実施例では主にCPU201がROM202に記憶されたプログラム207を実行してエッジ位置の検出を行うが、一部又は全てをFPGA206やASIC205など、LSIが行ってもよい。
【0036】
外部I/F220は、ネットワークに接続された他の機器と通信するための通信装置、USB、IEEE1394、と接続するためのバスやブリッジであり、外部からのデータを主制御部210に送出する。また、外部I/F220は主制御部210が生成したデータを外部に出力する。外部I/F220には脱着可能な記憶媒体320が装着可能であり、プログラム207は記憶媒体320に記憶された状態や、外部からの通信装置を介して配信される。
【0037】
また、制御部200は、ヘッド駆動制御部221、主走査駆動部222、副走査駆動部223、給紙駆動部224、及び、排紙駆動部225を有する。ヘッド駆動制御部221は、印刷ヘッド14のそれぞれの吐出有無及び吐出量を制御する。ヘッド駆動制御部221は、印刷ヘッド14を駆動制御するためのヘッドデータ生成配列変換用ASICを有し(ヘッドドライバ)、印刷データ(ディザ処理などが施されたドットデータ)に基づき、液滴の有無と液滴の大きさを示す駆動信号を生成して、印刷ヘッド14に供給する。印刷ヘッド14はノズル毎にスイッチを有しており、駆動信号に基づきオン・オフすることで、印刷ヘッド14は、印刷データにより指定される記録媒体の位置に指定されるサイズの液滴を着弾させることができる。なお、ヘッド駆動制御部221のヘッドドライバは印刷ヘッド14側に設けられてもよいし、ヘッド駆動制御部221と印刷ヘッド14が一体になっていてもよい。図示する構成は一例である。
【0038】
主走査駆動部(モータドライバ)222は、キャリッジ13を移動走査する主走査モータ17を駆動する。主制御部210には、キャリッジ位置を検出するエンコーダセンサ231が接続されており、主制御部210はこの出力信号に基づいてキャリッジ13の主走査方向の位置を検出する。そして、主走査駆動部222を介して主走査モータ17を駆動制御することでキャリッジ13を主走査方向に往復移動させる。
【0039】
副走査駆動部(モータドライバ)223は紙送りするための副走査モータ27を駆動する。主制御部210には、副走査方向の移動量を検出するロータリエンコーダセンサ232からの出力信号(パルス)が入力され、主制御部210はこの出力信号に基づいて紙送り量を検出し、副走査駆動部223を介して副走査モータ27を駆動制御することで搬送ローラ24を介して記録媒体を紙送りする。
【0040】
給紙駆動部224は給紙カセット4から記録媒体を給紙する給紙ローラ21を駆動するための給紙モータ234を駆動する。排紙駆動部225は、印刷された記録媒体を排紙トレイ6に排紙する排紙ローラ33等を駆動するための排紙モータ134を駆動する。
【0041】
また、主制御部210には、テンキー、プリントスタートキーなどの各種キー及び各種表示器を含む操作/表示部236が接続されている。操作/表示部236は、ユーザが操作したキー入力の受け付け、表示情報の表示などを行う。
【0042】
光沢度センサ26は、記録媒体の表面に当たった光が正反射した際の光の強度を測定する。単位は、基準物質に対するパーセンテージ、又は、数値そのものでよいとされている。一般的な光沢度センサは、記録媒体に対し20度・45度・60度・75度・85度のいずれかの角度で光を照射してその反射光の強度を測定する。肉眼では輝度と近い印象があるが、輝度が画素値から算出可能なのに対し、光沢度は画素値とは関係のない物理量である。例えば、白い画素の輝度は透明のコート剤の有無に関係なく同じ値であるが、光沢度は透明のコート剤の有無によって変動する。
【0043】
図5は、画像形成装置100の機能ブロック図の一例を示す。図5の各機能ブロックは、CPU201がROM202に記憶されたプログラム207を実行すること、又は、一部又は全体をASIC205やFPGA206のようなハード的手段により実現される。なお、プログラム207は、予めROM202に記憶されていても、外部I/F220を介して接続された記憶媒体320に格納されているプログラム207をRAM203上に読み込んだものでもよい。
【0044】
また、図5の機能は、画像形成装置100が有しているとしているが、画像形成装置100と接続された端末(例えば、Personal Computer)や端末で動作するプリンタドライバが有していてもよい。この場合、端末は適宜、光沢度センサ26から光沢度を取得する。
【0045】
紙種判別部301は、光沢度センサ26が検出した光沢度に基づき紙種を判別する手段である。この紙種は光沢度の高低を区分するための紙種であればよく、異なる紙種でも同程度の光沢度の記録媒体は同じ紙種と判別される。光沢度算出部302は、画像データを記録媒体に印刷した際の画素毎の予測光沢度を算出する。理想的には画素毎であるが、計算負荷を低減するため記録媒体を矩形に分割した所定の領域毎に予測光沢度を算出してもよい。目標光沢度算出部303は、画素毎に得られた全ての予測光沢度に基づき目標光沢度を算出する。光沢度調整部304は、目標光沢度と予測光沢度の比較結果、及び、記録媒体の光沢度と予測光沢度の比較結果に応じて、予測光沢度が目標光沢度に近づくように印刷方法を補正する。
【0046】
〔隣接した液滴の浸透のしやすさ〕
図6は、隣接する液滴同士が接するまでの時間と、浸透性の関係を説明する図の一例である。図6(a)は隣接する液滴同士が接するまでの時間が短い場合を、図6(b)は隣接する液滴同士が接するまでの時間が長い場合をそれぞれ示す。
【0047】
隣接する液滴同士が接するまでの時間が短ければ、記録媒体に浸透する前に液滴同士が合一し、液滴は深く浸透する。逆に、時間が長ければ、1つ1つの液滴が浸透している間に水分が蒸発したり吸い取られるなど浸透が制限される傾向が強くなるので、液滴は浅く浸透する。
【0048】
図6(a)の最下部の図のように、深く浸透した液滴は人間が表面から目視しにくくなり、記録媒体表面が露出しやすくなる。このため、記録媒体の光沢度が高ければ(例えば、光沢紙の場合)、画素の光沢度も高くなり、記録媒体の光沢度が低ければ(例えば、普通紙の場合)、画素の光沢度も低くなる。
【0049】
したがって、隣接する液滴同士が接するまでの時間が長いか短いかによって、光沢度が変わることになる。
【0050】
また、同様の理由で、液滴の量が多いほど浸透しきれずに記録媒体表面に留まりやすくなるので、記録媒体の光沢度が高ければ(例えば、光沢紙の場合)、液滴の量が多いほど画素の光沢度も低くなり、記録媒体の光沢度が低ければ(例えば、普通紙の場合)、液滴の量が多いほど画素の光沢度が高くなる。
【0051】
〔動作手順〕
図7は、本実施形態の補正処理を説明するための動作手順を示すフローチャート図の一例である。以下、本実施形態の処理の流れをフローチャート図に基づき説明する。
【0052】
まず、ステップS401において、画像形成装置100は、入力画像信号を取得する。入力画像信号は、ネットワークを介して外部I/F220が端末から受信した画像データ、又は、不図示のスキャナが読み取った画像データである。
【0053】
ここで、入力画像信号は、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)、あるいはL*a*b*などの基本色成分ごとに分解されている。入力画像信号は、後の処理の為、RAM203に記憶される。入力画像信号の色空間は画像形成装置100が有するインクの種類に応じて変換される。RGB→CMYKの場合、K=min(1-R,1-G,1-B)、C=(1-R-K)/(1-K)、M=(1-G-K)/(1-K)、Y=(1-B-K)/(1-K) により変換される。
【0054】
次に、ステップS402において、画像形成装置100は、四面体補間・立方体補間等の適切な補間方法を用いて各入力画像信号の解像度を調整し、ディザマトリクス等のLUT(Look Up Table)を使用したLUT処理を行う。これにより、各入力画像信号が各色のインクのドットで表現される。
【0055】
次にステップS403にて、光沢度算出部302は全ての画素ついて、総インク使用量を算出し、また、光沢度を算出する。総インク使用量は、画素にCMYKのインクが吐出されるか否かにより算出される。例えば、CMYKの全てが吐出される場合は「4×1液滴当たりのインク量」が総インク使用量である。液滴の大きさが可変の場合は、大きさに応じて1液滴当たりのインク量を補正する。
【0056】
画素の光沢度は、液滴の記録媒体への浸透容易性、総インク使用量、及び、記録媒体の紙種の関数である。これらの要因の影響度は均一ではなく、前者の2つが記録媒体表面に留まるインク量に影響する変数であるのに対し、記録媒体の紙種はこの変数が光沢度を上げる方に作用するか下げる方に作用するかを決定する。
【0057】
図8は液滴の記録媒体への浸透容易性を数値化する手順を模式的に説明する図の一例である。着目している画素の液滴の浸透容易性は、図6で説明したように隣接する液滴が接するまでの時間に影響される。光沢度算出部302は、着目している画素(又は領域でもよい)毎に、合一しうる範囲内にいくつの液滴があるか(CMYKの全て)をカウントする。このカウントは、着目している画素から所定距離内の液滴が何個あるかをカウントする処理に簡略化できる。
【0058】
次に、光沢度算出部302は、合一しうる範囲内にある各液滴の、滴下間隔を特定する。例えば、着目している画素と同じ往路又は復路で吐出される液滴は、滴下間隔が短い、着目している画素が往路(又は復路)で吐出されたのに対し復路(又は往路)で吐出される液滴は、滴下間隔が長い。光沢度算出部302は、例えば、着目している画素から所定距離内の液滴の最大の滴下間隔を予め記憶しておき、その半分以下の滴下間隔の液滴を滴下間隔が短い、半分より大の滴下間隔の液滴を滴下間隔が長いと判定する。3つ以上の滴下間隔に分類することも可能である。
【0059】
そして、光沢度算出部302は、滴下間隔が短い液滴の数iと滴下間隔が長い液滴の数jをそれぞれカウントし、「N=i×係数a(例えば2)+j×係数b(例えば1)」などを算出して数値化する。例えば、滴下間隔が短い液滴が多いと考えられる領域を塗りつぶすための画像データにおいて、領域内の液滴の数iを10とすれば(jは0)、Nは10×2=20となる。このように予め算出されたNの最大値に対し、数値化されたNの比率を例えば10段階程度にランク分けする。以上のようにして、着目している画素の滴下間隔から浸透容易性を10段階に数値化することができる。
【0060】
光沢度算出部302は、総インク使用量についても数段階に数値化する。同様に、例えば、取り得る最大の総インク使用量に対する比率により例えば3〜10段階程度にランクわけすればよい。
【0061】
そして、光沢度算出部302は、記録媒体の紙種毎に用意されている光沢度変換テーブル305を用いて、数値化された浸透容易性と総インク使用量から光沢度を決定する。図8(b)に示すように、光沢度変換テーブル305には、浸透容易性と総インク使用量に対応づけて光沢度が登録されている。
【0062】
光沢度変換テーブル305が記録媒体の紙種毎に用意されているのは、光沢度が高い記録媒体の場合に液滴が浸透しやすいことは光沢度の増加を意味し、光沢度が低い記録媒体の場合に液滴が浸透しやすいことは光沢度の減少を意味するからである。このように、記録媒体の紙種毎に、液滴の浸透容易性が光沢度に逆に作用するので、光沢度変換テーブル305を記録媒体の紙種毎に用意することが好適となる。紙種でなく記録媒体の光沢度毎に光沢度変換テーブル305を用意しても同様の効果が得られる。
【0063】
なお、液滴の浸透容易性は、滴下間隔以外にも、液滴や記憶媒体の温度、液滴そのものの浸透容易性などに影響される。液滴や記録媒体の温度であれば、光沢度算出部302は、サーミスタから検出した温度に応じて、光沢度変換テーブル305から求めた光沢度を上げる(基準温度より温度が高い場合)又は下げる(基準温度より温度が低い場合)の補正を行う。基準温度との温度差に応じて光沢度の上げ方又は下げ方を可変にすることが好適である。
【0064】
また、液滴そのものの浸透容易性は、インクに含まれる浸透促進剤の有無や種類によって定まるので、光沢度算出部302はメインタンクのICチップ等からインクの種類を特定し、浸透促進剤の有無を判定することで、光沢度変換テーブル305から求めた光沢度を補正する。すなわち、記録媒体の光沢度が高く、かつ、浸透促進剤が含まれる場合には、光沢度変換テーブル305から求めた光沢度を大きく補正し、記録媒体の光沢度が低く、かつ、浸透促進剤が含まれる場合には、光沢度変換テーブル305から求めた光沢度を小さく補正する。
【0065】
以上のようにして計算された光沢度は、画素毎にRAM203に記憶されるか、データ量が大きくなってしまう場合は外部記憶装置なども利用して記憶される。
【0066】
図7に戻り、ステップS404では、目標光沢度算出部303は、各画素の光沢度に基づいて、目標光沢度を算出する。目標光沢度は、全ての画素をほぼ一定の光沢度とするために設定される値なので、各画素の光沢度の統計値とすればよい。例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、又は、最尤頻度値などである。目標光沢度を最尤頻度値とすれば、光沢度調整を行うべき画素を少なくすることができる。
【0067】
目標光沢度算出部303がこれらの統計値のどれを採用するかは、ユーザからの入力によって決定してもよいし、記録媒体の紙種に応じて決定してもよい。また、ユーザが目標光沢度そのものを入力することもできる。目標光沢度は、RAM203に記憶される。
【0068】
次に、ステップS405では、光沢度調整部304が、着目する画素の光沢度がステップS404で設定された目標光沢度に近づくよう光沢度調整処理を実行する。光沢度調整処理については後に詳述するが、具体的には、液滴の記録媒体への浸透容易性を変更する処理、液滴の量を調整する処理、及び、透明インクを添加する処理等である。これにより、記録媒体表面に留まるインク顔料や染色材の溶剤の量を増減することができ、記録媒体の表面特性を変化させ、光沢度の調整が可能となる。
ステップS406では、画像形成装置100は、液滴の記録媒体への浸透容易性が変更された態様で液滴を記録媒体に吐出する。すなわち、CPU201は、ヘッド駆動制御部221に対して印刷のコマンドを発行して画像形成を実行する。ステップS406が終了すると、図7の処理は終了する。
【0069】
〔光沢度調整処理〕
光沢度度調整処理について説明する。光沢度を調整する手法は様々であり、画像形成装置100の構成によって使い分けることが好ましい。また、種々の手法を組み合わせることによって、効果を高めることも可能である。
(i)滴下間隔の調整
図6にて説明したように、隣接した液滴の滴下間隔が短いと浸透容易性が向上し、長いと浸透容易性が低下する。したがって、この特性を利用して、インク顔料又は染料等の溶剤が紙表面に残存する量を調整し、光沢度を調整することが可能となる。
【0070】
図9は、滴下間隔の調整を模式的に説明する図の一例である。丸数字は各画素の液滴の吐出順を示す。図9(a)では縦方向の液滴は全て同時に吐出され、横方向に隣接した液滴は最小時間間隔で吐出される。したがって、図9(a)で示す領域の滴下間隔は短い。図9(b)では、同時に吐出される液滴は隣接していないことがわかる。また、隣接した液滴間では、最小時間間隔で吐出される液滴が図9(a)よりも少なくなっている。したがって、図9(b)の領域の滴下間隔は長い。
【0071】
よって、図9(a)から図9(b)へ滴下間隔を調整すれば滴下間隔を長くすることが、図9(b)から図9(a)へ滴下間隔を調整すれば滴下間隔を短くすることが、可能であることが分かる。
【0072】
例えば、光沢度調整部304は、記録媒体に対する印刷ヘッドの移動速度を遅くすることによって滴下間隔を長くすることができ、移動速度を速めれば滴下間隔を短くできる。また、隣接する液滴を往路と復路に分けたり分散吐出することなく、可能な限り同時に吐出するように、吐出順番を変更すれば、隣接する液滴同士が接するまでの時間を短くできる。逆に、同じ往路又は同じ復路で吐出される隣接した液滴を、往路と復路に分けたり、分散吐出することで、隣接する液滴同士が接するまでの時間を長くできる。
【0073】
このように、記録媒体上の液滴の吐出順序を調整することによって、隣接する液滴の滴下間隔を調整することができる。
【0074】
(ii)総インク使用量の増減
また、画素当たりのインクの量を増減することによっても、光沢度を変化させることができる。具体的には、光沢度調整部304は、液滴を吐出する際の駆動電圧を増減する方法、印刷ヘッド14のスイッチをオン・オフする駆動波形の波形形状を変更する方法、吐出口の径が異なる印刷ヘッド14を用いる方法等により、インクの量を増減する。
【0075】
また、総インク使用量の増減では、濃度が異なり同一の色相をもつインクの配合割合を調整することで、総インク使用量を増減することが好適である。例えば、黒インクで少量記録される画素と、グレーインクで多量に記録される画素では、肉眼の色合いは同様であるが、インク顔料又は染料等の溶剤が表面に留まる量が異なるので、色合いを変えずに光沢度を調整することができる。
【0076】
(iii)温度の調整
インクの水分が早く蒸発すると記録媒体への浸透が抑制されることを考慮すれば、記録媒体又はインクの温度を調整することで、光沢を調整することができる。温度を調整することで、インク顔料又は染料等の溶剤が表面に残存する量を調整することができる。実際には環境温度を下げるのは難しいので、例えば、用紙カセット4の周囲に記録媒体を加温するヒータを配置することで、光沢度調整部304がヒータの温度を高くできるので、インクの水分の蒸発までの時間を早めることができる。
【0077】
(iv)浸透調整剤の添加
また、記録媒体への液滴の浸透を抑制、又は、加速させる薬剤を液滴に混入させることで、インク顔料又は染料等の溶剤が紙表面に残存する量を調整でき、光沢度を調整することができる。
【0078】
すなわち、光沢度調整部304が、浸透を抑制する浸透抑制剤の量を増加させれば、記録媒体表面に留まる液滴の量も増加する。逆に、光沢度調整部304が浸透を加速する浸透促進剤の量を増加させれば、記録媒体表面に留まる液滴の量は減少する。
【0079】
(v)透明インクの吐出
この方法では光沢度を高くすることしかできないが、透明インク(又は光沢付与剤と呼ばれることもある)を塗布することによって表面性を変化させ、光沢度を高めることも可能である。特に、元々、インクが少ない画素に対しては、総インク使用量を増加させると色相が変わってしまうし、総インク使用量を減少させるとインクがなくなってしまう。温度の調整、浸透調整剤の添加等についても同様の制約がある。これに対し、透明インクを塗布すれば、画素の色相に与える影響を小さくして、直接的に光沢度を高めることができる。
【0080】
また、透明インクを後塗布するだけでなく、透明インクの平滑性(レベリング性)を増減させる手段を設けることで後塗布の効果を調整することができる。透明インクの平滑性は、透明インクの表面張力、粘度、記録媒体との濡れ性などにより変化するので、これらの物性を変化(増減)させる添加剤を追加する手段が、透明インクの平滑性を増減させる手段に対応する。また、透明インクを後塗布した後、時間が経過するほど平滑性は向上するので、記録媒体が平坦な板(プラテン)上を移動する時間が長くなるように紙送り時間を長くすることで平滑性を向上できる。
【0081】
さらに、透明インクが平滑化した状態を固定するため、UV硬化型の透明インクを採用することも有効である。UV硬化型の透明インクであれば、画像形成装置にUV照射手段を搭載し、UV照射手段が透明インクにUVを照射するタイミングを調整することで平滑性(すなわち光沢度)を調整できる。これを実現するには、UV照射手段を副走査方向に移動させてもよいし、UV照射手段を固定したまま記録媒体の紙送りを遅くしてもよい。また、UV強度を調整することでUVを照射するタイミングを調整した場合と同様の効果を期待できる。
【0082】
(vi)圧による平滑化
記録媒体の両面を圧ローラで挟み、両面から圧を加えることで光沢度を調整することができる。
【0083】
〔S405の詳細処理〕
図10は、ステップS405の詳細な処理手順を示す図の一例である。
まず、光沢度調整部304は、目標光沢度をRAM203から読み出す(S10)。
次に、光沢度調整部304は対象画素の予測光沢度をRAM203等から読み出す(S20)。
【0084】
そして、光沢度調整部304は、目標光沢度と予測光沢度を比較する(S30)。この比較は完全に一致するか否かを比較するのでなく、目標光沢度±数%〜数10%に対し予測光沢度が含まれれば一致すると判定することができる。
【0085】
目標光沢度の方が予測光沢度よりも高い場合、光沢度調整部304は、すでに光沢度センサ26がS403で検出している記録媒体の光沢度と予測光沢度を比較する(S40)。
【0086】
予測光沢度の方が記録媒体の光沢度よりも高い場合、予測光沢度を目標光沢度まで高めたいが、記録媒体の光沢度を利用できないことになるので、光沢度調整部304は隣接する液滴の滴下間隔を長くする(S50)。これにより、液滴が記録媒体の表面に留まりやすくなるので、予測光沢度を上げることができる。なお、どのくらい滴下間隔を長くするかであるが、画像形成装置100が許容可能な最大の滴下間隔(例えば、印字ヘッド14の最小移動速度で分散吐出する)まで長くする。
【0087】
光沢度算出部302は、この滴下間隔を用いて、光沢度変換テーブル305を参照し予測光沢度を再計算する。そして、再度、光沢度調整部304は、目標光沢度と予測光沢度を比較して、予測光沢度が目標光沢度程度に達したか否かを判定する(S60)。達成した場合には次の画素の処理に移行する。ただし、予測光沢度が目標光沢度よりも大きくなりすぎた場合には、長くした滴下時間を短くするなどの調整を行う(S62〜S66においても同様)。
【0088】
達成できない場合、予測光沢度が目標光沢度程度よりも低いままなので、光沢度調整部304は、予測光沢度を高めるため、浸透抑制剤の添加、記録媒体の加熱、透明インクの添加、又は、総インク料の増加のいずれか1つ以上を行うと判定する(S70)。こうすることで、予測光沢度を高くして目標光沢度に近づけることができる。UV硬化型の透明インクを添加する場合は、硬化までの時間を長くしてもよい。
【0089】
ステップS40において、予測光沢度が記録媒体の光沢度以下の場合、記録媒体の光沢度を利用して予測光沢度を高めることができるので、光沢度調整部304は隣接する液滴の滴下間隔を短くする(S52)。これにより、隣接した液滴が合一して浸透しやすくなるので、予測光沢度を上げることができる。なお、どのくらい滴下間隔を短くするかであるが、画像形成装置が許容可能な最小の滴下間隔(例えば、印字ヘッド14の最大移動速度で同じ復路又は往路で隣接する液滴を吐出する)まで長くする。
【0090】
次に、光沢度算出部302は、この滴下間隔を用いて、光沢度変換テーブル305を参照し予測光沢度を再計算する。そして、再度、光沢度調整部304は、目標光沢度と予測光沢度を比較して、予測光沢度が目標光沢度程度に達したか否かを判定する(S62)。達成した場合には次の画素の処理に移行する。
【0091】
達成できない場合、予測光沢度が目標光沢度程度よりも低いままなので、光沢度調整部304は、予測光沢度を高めるため、浸透促進剤の添加を行うと判定する(S72)。こうすることで、液滴が浸透しやすくなり記録媒体の光沢度が画素の光沢度に影響して予測光沢度を高くできるので、予測光沢度を目標光沢度に近づけることができる。
【0092】
ステップS30において、予測光沢度の方が 目標光沢度よりも高い場合、光沢度調整部304は、すでに光沢度センサ26がS403で特定している記録媒体の光沢度と予測光沢度を比較する(S42)。
【0093】
予測光沢度の方が記録媒体の光沢度よりも高い場合、予測光沢度を目標光沢度まで低くしたいので、光沢度調整部304は隣接する液滴の滴下間隔を短くする(S54)。これにより、液滴が記録媒体に浸透しやすくなるので、予測光沢度を下げることができる。なお、画像形成装置が許容可能な最小の滴下間隔まで短くしても、記録媒体の光沢度より低くすることはできない。
【0094】
光沢度算出部302は、この滴下間隔を用いて、光沢度変換テーブル305を参照し予測光沢度を再計算する。そして、再度、光沢度調整部304は、目標光沢度と予測光沢度を比較して、予測光沢度が目標光沢度程度に小さくなったか否かを判定する(S64)。目標光沢度程度に小さくなった場合には次の画素の処理に移行する。
【0095】
予測光沢度が目標光沢度程度に小さくならない場合、予測光沢度が目標光沢度よりも高いままなので、光沢度調整部304は、予測光沢度を低くするため、浸透促進剤の添加を行うと判定する(S74)。こうすることで、予測光沢度を低くして目標光沢度に近づけることができる。
【0096】
ステップS42において、予測光沢度が記録媒体の光沢度以下の場合、予測光沢度を低くするため、光沢度調整部304は隣接する液滴の滴下間隔を長くする(S56)。これにより、隣接した液滴が記録媒体表面に留まりやすくなるので、予測光沢度を下げることができる。なお、どのくらい滴下間隔を長くするかであるが、画像形成装置が許容可能な最小の滴下間隔まで長くする。
【0097】
次に、光沢度算出部302は、この滴下間隔を用いて、光沢度変換テーブル305を参照し予測光沢度を再計算する。そして、再度、光沢度調整部304は、目標光沢度と予測光沢度を比較して、予測光沢度が目標光沢度程度に低くなったか否かを判定する(S66)。目標光沢度程度に低くなった場合には次の画素の処理に移行する。
【0098】
予測光沢度が目標光沢度程度に低くならない場合、予測光沢度が目標光沢度よりも高いままなので、光沢度調整部304は、予測光沢度を低くするため、浸透抑制剤の添加、記録媒体の加熱、又は、総インク使用量の減少のいずれか1つ以上を行うと判定する(S76)。こうすることで、液滴が表面に留まりやすくなり予測光沢度を低くできるので、予測光沢度を目標光沢度に近づけることができる。
【0099】
最終的に、全画素についてS10〜S76の処理が実行されると図10の手順は終了する(S80)。
【0100】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置は、主にインク量を増やしたり透明インクを追加するのでなく、滴下間隔を変更することによって、記録媒体に留まるインク顔料又は染料等の溶剤の量を調整することができ、均一な光沢性をもった画像を形成することが可能となる。また、光沢度を下げることもできるので、紙種に関係なく光沢度を調整することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 本体
2 印字機構部
3 記録媒体
4 給紙カセット
5 手差しトレイ
6 排紙トレイ
13 キャリッジ
14 印刷ヘッド
15 サブタンク
26 光沢度センサ
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2006−150810号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づいて液滴を記録媒体に対して吐出して画像を形成する画像処理装置であって、
前記記録媒体の光沢度を検出する光沢度検出手段と、
前記記録媒体の光沢度又は前記記録媒体の種類毎に液滴の浸透容易性情報と予測光沢度とを対応づけた光沢度推定テーブルの記憶手段と
入力画像データの所定の領域における液滴の吐出時間間隔を少なくとも要因の1つとして浸透容易性情報を求め、前記浸透容易性情報に対応づけられた前記領域の前記予測光沢度を前記光沢度推定テーブルから取得する光沢度取得手段と、
前記記録媒体の光沢度と前記予測光沢度の比較結果に応じて、前記領域の光沢度を予め決定された目標光沢度に近づけるよう液滴の浸透容易性を調整する光沢度補正手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記目標光沢度より前記予測光沢度が小さい場合、前記光沢度補正手段は前記領域の光沢度をより大きくする補正を行うと判定し、
前記目標光沢度より前記予測光沢度が大きい場合、前記光沢度補正手段は前記領域の光沢度をより小さくする補正を行うと判定する、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記光沢度補正手段は、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を調整することで印刷時の液滴の浸透容易性を調整し、前記領域の光沢度を予め決定された前記目標光沢度に近づける、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記光沢度補正手段は、
前記予測光沢度よりも前記目標光沢度の方が大きい場合であって、
(a)前記予測光沢度が前記記録媒体の光沢度よりも大きい場合、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を長くし、
(b)前記予測光沢度が前記記録媒体の光沢度以下の場合、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を短くし、
前記目標光沢度よりも前記予測光沢度の方が大きい場合であって、
(c)前記予測光沢度が前記記録媒体の光沢度よりも大きい場合、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を短くし、
(d)前記予測光沢度が前記記録媒体の光沢度以下の場合、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を長くする、
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記(a)の場合であって、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を長くしても、前記予測光沢度よりも前記目標光沢度の方が大きい場合、
前記光沢度補正手段は、液滴に浸透抑制剤を添加する、透明インクを添加する、前記記録媒体を加熱する、又は、前記領域の総インク使用量を増やす、のいずれか1つ以上を行うと決定する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記(b)の場合であって、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を短くしても、前記予測光沢度よりも前記目標光沢度の方が大きい場合、
前記光沢度補正手段は、液滴に浸透促進剤を添加する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記(c)の場合であって、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を短くしても、前記目標光沢度よりも前記予測光沢度の方が大きい場合、
前記光沢度補正手段は、液滴に浸透促進剤を添加する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記(d)の場合であって、前記領域の液滴が吐出される時間間隔を長くしても、前記目標光沢度よりも前記予測光沢度の方が大きい場合、
前記光沢度補正手段は、液滴に浸透抑制剤を添加する、前記記録媒体を加熱する、又は、前記領域の総インク使用量を減らす、のいずれか1つ以上を行うと決定する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記領域の総インク使用量を増やす場合又は前記領域の総インク使用量を減らす場合、前記光沢度補正手段は、濃度が異なり同一の色相をもつインクの配合割合を調整して、総インク使用量を増減する、
ことを特徴とする請求項5又は8記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記光沢度補正手段は光硬化型の透明インクを添加し、硬化までの時間を長くする、
ことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項11】
複数の前記領域の、前記予測光沢度の最大値、最小値、平均値、中央値、又は、最尤頻度値のいずれかを前記目標光沢度に決定する目標光沢度決定手段、
を有することを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項12】
入力画像データに基づいて液滴を記録媒体に対して吐出して画像を形成する画像処理装置の画像処理方法であって、
光沢度検出手段が、前記記録媒体の光沢度を検出するステップと、
光沢度取得手段が、入力画像データの所定の領域における液滴の吐出時間間隔を少なくとも要因の1つとして浸透容易性情報を求めるステップと、
前記浸透容易性情報に対応づけられた前記領域の前記予測光沢度を、前記記録媒体の光沢度又は前記記録媒体の種類毎に液滴の浸透容易性情報と予測光沢度とを対応づけた光沢度推定テーブルから取得するステップと、
光沢度補正手段が、前記記録媒体の光沢度と前記予測光沢度の比較結果に応じて、前記領域の光沢度を予め決定された目標光沢度に近づけるよう印刷時の液滴の浸透容易性を調整するステップと、
を有する画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−166372(P2012−166372A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27174(P2011−27174)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】