説明

画像処理装置、画像形成システムおよびプログラム

【課題】印刷データ内にジョブと認識される記述(例えば、ジョブスタート、ジョブエンドのコマンド)があるPDF等のページ述言語により記述された印刷データを、予め登録されていた事前登録データとともに印刷する際に、印刷データと事前登録データを並列的にラスタライズ処理する。
【解決手段】事前登録データ格納部には、PLWにより記述された事前登録データが記憶されている。PDFにより記述された印刷ジョブを処理する場合、PLWデコンポーザ41およびPDFデコンポーザ51、52が起動され、PLWにより記述された事前登録データは、PLWデコンポーザ41によりラスタライズ処理され、PDFにより記述された各ページの画像データは、PDFデコンポーザ51、52によりラスタライズ処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷情報を高速に描画処理するため、予め描画処理された印刷情報のうち、印刷情報が印刷される前に登録された事前登録情報(例えば、フォームデータ)を利用することが行われている。
【0003】
特許文献1には、描画処理が行われた事前登録情報を一時記憶手段(例えば、キャッシュメモリ)に保存しておき、この事前登録情報を使用する時には、新たに描画処理を行うのではなく、一時記憶手段に保存されている描画処理が行われた事前登録情報を使用することにより、高速な描画処理を実現する技術が開示されている。
【0004】
また、印刷情報を高速に描画処理するために、描画処理を行う描画処理手段を複数用いて、描画処理を並列して実行することも行われている。
【0005】
特許文献2には、複数の描画処理手段を起動して、ソフトウェア的に並列処理を行ったり、複数の描画処理手段を独立した回路として構成してハードウェア的に並列処理を行うことにより、印刷データの高速なラスタライズ処理を実現する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−288639号公報
【特許文献2】特開平11−275276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、印刷情報と事前登録情報を異なる描画処理手段を用いて並列的に描画処理を行うことが可能な画像処理装置、画像形成システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[画像処理装置]
請求項1に係る本発明は、第1のページ記述言語の描画処理を行うための第1の描画処理手段と、
前記第1のページ記述言語とは異なる第2のページ記述言語の描画処理を行うための第2の描画処理手段と、
前記第2のページ記述言語で記述された事前登録情報を含み、前記第1のページ記述言語で記述された印刷情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで異なるページ記述言語である場合に、前記印刷情報を前記第1の描画処理手段により描画処理を行うように制御するとともに、前記事前登録情報を前記第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する制御手段と、
前記第2の描画処理手段により描画処理が行われた事前登録情報と、前記第1の描画処理手段により描画処理された印刷情報と、を合成する合成手段と、を有する画像処理装置である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記制御手段が、前記受付手段により受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで同じページ記述言語である場合に、前記印刷情報及び前記事前登録情報を前記第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する請求項1に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記印刷情報が、1つのジョブと認識される記述を有するページ記述言語で記述される請求項1又は2に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、前記制御手段が、前記印刷情報が入力される前の段階において前記第2の描画処理手段を少なくとも1つ起動するように制御する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、前記制御手段が、前記第2のページ記述言語で記述された印刷情報の描画処理が終了した場合に、複数の第2の描画処理手段のうち、少なくとも1つの第2の描画処理を停止させ、前記第1の描画処理手段に変更する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0013】
[画像形成システム]
請求項6に係る本発明は、第1のページ記述言語の描画処理を行うための第1の描画処理手段と、前記第1のページ記述言語とは異なる第2のページ記述言語の描画処理を行うための第2の描画処理手段と、前記第2のページ記述言語で記述された事前登録情報を含み、前記第1のページ記述言語で記述された印刷情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで異なるページ記述言語である場合に、前記印刷情報を前記第1の描画処理手段により描画処理を行うように制御するとともに、前記事前登録情報を前記第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する制御手段と、前記第2の描画処理手段により描画処理が行われた事前登録情報と、前記第1の描画処理手段により描画処理された印刷情報と、を合成する合成手段と、を有する画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置とを備えた画像形成システムである。
【0014】
[プログラム]
請求項7に係る本発明は、事前登録情報を含む印刷情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで異なるページ記述言語である場合に、前記印刷情報を第1のページ記述言語の描画処理を行うための第1の描画処理手段により描画処理を行うように制御するとともに、前記事前登録情報を前記第1のページ記述言語とは異なる第2のページ記述言語の描画処理を行うための第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する制御ステップと、
前記制御ステップにより前記第2の描画処理手段によって描画処理が行われた事前登録情報と、前記第1の描画処理手段により描画処理された印刷情報と、を合成する合成ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
[画像処理装置]
請求項1に係る発明によれば、印刷情報と事前登録情報とが異なるページ記述言語である場合に、印刷情報と事前登録情報とを異なる描画処理手段を用いて並列的に描画処理を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、印刷情報と事前登録情報を同じ描画処理手段を用いて並列的に描画処理を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に係る本発明により得られる効果に加えて、印刷情報に1つのジョブと認識される記述(例えば、ジョブスタート、ジョブエンドのコマンド)があるページ記述言語により記述された印刷情報であっても、別のジョブとして認識されることなく、事前登録情報を用いた描画処理を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、第2の描画処理手段の起動を、本構成を有さない場合に比べて高速にすることができる画像処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、第1の描画処理手段の処理の効率を、本構成を有さない場合に比べて向上することができる画像処理装置を提供することができる。
【0020】
[画像形成システム]
請求項6に係る発明によれば、印刷情報と事前登録情報とが異なるページ記述言語である場合に、印刷情報と事前登録情報とを異なる描画処理手段を用いて並列的に描画処理を行うことが可能な画像形成システムを提供することができる。
【0021】
[プログラム]
請求項7に係る発明によれば、印刷情報と事前登録情報とが異なるページ記述言語である場合に、印刷情報と事前登録情報とを異なる描画処理手段を用いて並列的に描画処理を行うことが可能なプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[背景]
まず、本発明の理解を助けるために、その背景及び概略を説明する。
【0023】
事前登録情報を含む印刷情報の例として用いられる印刷データをプリンタ等に出力するためには、印刷データをラスタデータに変換する描画処理の一例としてのラスタライズ処理が行われる。このラスタライズ処理を行うためのデコンポーザを複数並列に動作させることにより印刷データのラスタライズ処理を高速に実現することができる。デコンポーザは、描画処理手段の一例として用いられる。
【0024】
しかし、印刷データを記述するためのPDL(Page Description Language:ページ記述言語)には様々なものが存在するため、印刷データが記述されたPDLに対応したデコンポーザが必要となる。例えば、印刷データがPLW(Printer Language for Windows(登録商標))により記述されている場合、PLWデータをラスタライズするためのPLWデコンポーザが必要となり、印刷データがPDF(Portable Document Format)により記述されている場合、PDFデータをラスタライズするためのPDFデコンポーザが必要となる。
【0025】
そのため、事前登録データ(フォームデータ)を予め登録しておき、印刷データと事前登録データとを重ねて印刷する場合、一般的に、印刷データと事前登録データのファイル形式は同一のものが使用される。事前登録データは、事前登録情報の1つとして用いられる。
【0026】
例えば、印刷データがTIFF(Tag Image File Format)形式のようなPLWにより記述されている場合、事前登録データもPLWにより記述されているデータが用いられる。
【0027】
そのため、印刷データがPDFデータの場合には、事前登録データのファイル形式もPDFデータを用いることが考えられる。
【0028】
しかし、PDFデータは、データ内にジョブを認識する記述が含まれている。具体的には、PDFデータには、ジョブの開始を示すジョブスタートとジョブの終了を示すジョブエンドというコマンドが含まれている。このジョブスタートやジョブエンドというコマンドは、PDFの仕様により決められたコマンドであるため削除することができない。
【0029】
このような理由により、PDFの印刷データとPDFの事前登録データを複数のデコンポーザにより並列処理しようとすると、それぞれが独立したジョブとして認識され、1つの用紙上に印刷することはできない。
【0030】
[実施形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成の一例を示す図である。この画像形成システムは、図1に示されるように、前処理装置3と、バッファ装置4と、連続紙に対して印刷を行う印刷装置1と、バッファ装置5と、後処理装置6と、コントローラ10と、端末装置20とから構成されている。
【0032】
前処理装置3は、印刷されていない連続紙がロール状に巻かれている状態となっており、この連続紙を印刷装置1に対して送り出すといった前処理を行う。後処理装置6は、印刷装置1により送られる印刷が行われた連続紙を受け取り、この連続紙をロール状に巻き取るといった後処理を行う。バッファ装置4、5は、前処理装置3、又は、後処理装置6における連続紙の搬送速度と、印刷装置1における連続紙の搬送速度の差を吸収するために設けられ、この間の連続紙のテンションが一定となるように保持されている。
【0033】
端末装置20は、印刷ジョブ等の印刷データを生成してネットワーク経由にてコントローラ10に対して送信する。コントローラ10は、端末装置20から送信されてきた印刷データにより印刷装置1の印刷動作を制御する印刷制御装置として機能と、端末装置20からの印刷データに対して画像処理を行う画像処理装置として機能とを有する。印刷装置1は、コントローラ10による制御に基づき、コントローラ10において画像処理された印刷データに応じた画像を連続紙上に出力する。
【0034】
次に、本実施形態の画像形成システムにおけるコントローラ10のハードウェア構成を、図2を参照して説明する。本実施形態のコントローラ10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワークを介して端末装置20との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)部24、タッチパネルや液晶ディスプレイにより構成されたユーザインタフェース(UI)装置15、印刷装置1との間でデータの送受信を行うエンジンIF部16を有する。そして、これらの構成要素は、制御バス17を介して互いに接続されている。
【0035】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、コントローラ10の動作を制御する。なお、この制御プログラムをCD−ROM等の搬送可能な記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0036】
メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13は、後述する、コントローラ10の動作させるためのプログラムが格納されている。このプログラムは、CDやDVDのような可搬媒体に格納し、この媒体によってプログラムを提供することができる。
【0037】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現されるコントローラ10の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
コントローラ10は、図3に示されるように、データ入力部31と、事前登録データ格納部32と、デコンポーザ制御部34と、入力イメージ保存部35と、出力イメージ保存部36と、スクリーン処理部37と、スプールデータ格納部38と、PLWデコンポーザ41、42と、PDFデコンポーザ51、52とから構成されている。PLWデコンポーザ41、42は、第2の描画処理手段の一例として、そして、PDFデコンポーザ51、52は、第1の描画処理手段の一例として用いられる。
【0039】
本実施形態では、説明を簡単にするために、2つのPLWデコンポーザ41、42と、2つのPDFデコンポーザ51、52のみが存在する場合を用いて説明するが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。
【0040】
データ入力部31は、クライアント装置である端末装置20から入力されたPDLに準じたフォーマットの印刷データを受け付ける処理を行う。
【0041】
事前登録データ格納部32には、PLWにより記述された事前登録データが記憶されている。この事前登録データは、ライスタライズ処理される前のデータ、つまり、多値のデータである。
【0042】
入力イメージ保存部35は、データ入力部31により受け付けられた印刷データや、事前登録データ格納部32に格納されている事前登録データを入力して保存する。入力イメージ保存部35は、印刷データに事前登録データが含まれている場合には、この事前登録データが入力され保存される。尚、入力イメージ保存部35には、別の手段で予め事前登録データを保存しておき、印刷データに事前登録データを指定する指定データのみを含ませて、この指定データにより、入力イメージ保存部35から指定データに対応する事前登録データを読み出して、入力イメージ保存部35に入力する構成とすることもできる。
【0043】
PLWデコンポーザ41、42は、PLWにより記述された印刷データのラスタライズ処理(画像展開処理)を行う。また、PDFデコンポーザ51、52は、PDFにより記述された印刷データのラスタライズ処理を行うラスタライズ処理手段として機能する。ラスタライズ処理(RIP:Raster Image Processing)とは、PLWやPDF等のページ記述言語により記述された印刷データを、ラスタ形式の画像データに変換する処理を意味する。尚、ラスタ形式の画像データとは、画像を格子状に多くの細密な点(ピクセル、pixel)に分割し、その点の色や濃度をRGBやYMCK等の表色系を用いて数値として表現したものを言う。
【0044】
デコンポーザ制御部34は、データ入力部31に入力された印刷データを解析し、この解析結果に基づいてPLWデコンポーザ41、42、PDFデコンポーザ51、52の起動や停止を制御することにより、入力イメージ保存部35に保存されている印刷データのデータ変換処理を実行する。デコンポーザ制御部34は、印刷データをPDFデコンポーザ51、52によりラスタライズ処理を行うように制御するとともに、事前登録データをPLWデコンポーザ41、42によりラスタライズ処理を行うように制御する。
【0045】
デコンポーザはメモリ等のハードウェア資源を使用するため、デコンポーザを同時に起動する起動数を多くすると、メモリ容量等に余裕が無くなりかえって処理速度が遅くなる等の弊害が発生する。そのため、デコンポーザ制御部34は、印刷ジョブの処理負荷、事前登録データのデータ量、メモリ容量、ラスタライズ処理を終了しなければならない時間的余裕等を応じて、起動するデコンポーザの種類およびデコンポーザの起動数を決定する。
【0046】
出力イメージ保存部36は、PLWデコンポーザ41、42、PDFデコンポーザ51、52によりデータ変換された後の印刷データおよび事前印刷フォームデータを保存する。出力イメージ保存部36は、合成部の一例として用いられる。また、本実施形態では、この出力イメージ保存部36に、PLWデコンポーザ41、42でラスタライズ処理された事前印刷フォームデータが一時的にキャッシュメモリに保存され、この一時的に保存された事前印刷フォームを他のページに再利用することで、ラスタライズ処理を省略し、この省略によりラスタライズ処理の高速化が図られる。
【0047】
スクリーン処理部37は、出力イメージ保存部36に保存されているCMYK各色毎の多値画像データを2値化処理することによりCMYKバイナリ画像データに変換してスプールデータ格納部38に格納する。
【0048】
スプールデータ格納部38は、印刷装置1に対して送信するための印刷画像データを必要なタイミングまでスプールしておくための格納手段である。スプールデータ格納部38に格納された印刷画像データは、印刷装置1に対して順次送信されていく。
【0049】
次に、本実施形態の画像形成システムにおけるコントローラ10の動作を図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
その前に、まずPDFデータの構造を図4を参照して説明する。印刷情報として用いられるPDFデータには、印刷を実行しようとする各ページの印刷データとともに、印刷ジョブの最初と最後を認識するためのジョブスタートコマンド81、ジョブエンドコマンド82が含まれている。
【0051】
PDFデコンポーザ51、52は、ジョブスタートコマンド81を認識するとPDFデータのラスタライズ処理を行うための各種処理を実行し、ジョブエンドコマンド82を認識すると印刷ジョブは終了したものと判断する。
【0052】
以下の説明では、図4に示したようなPDFデータを用いて図5に示すような画像を印刷する場合について説明する。図5に示した画像は、複数ページからなる印刷ジョブの1ページ目の画像を示したものであり、図6(A)に示すようなPDFデータに対して、図6(B)に示すような背景イメージを重ねることにより構成されている。そして、図6(B)の背景イメージは、図6(C)に示すような事前登録データを複数画像内に配置することにより生成される。事前登録データは、事前登録情報の一例として用いられる。
【0053】
図7は、本実施形態の画像形成システムにおけるコントローラ10の動作を示すフローチャートである。
データ入力部31により端末装置20からの印刷ジョブが受け付けられると、デコンポーザ制御部34では、入力された印刷ジョブの解析が行われる(ステップS101)。そして、印刷ジョブの属性がPDFであるか否かの判定が行われる(ステップS102)。
【0054】
ステップS102において、印刷ジョブの属性がPDFではないと判定された場合、つまり印刷ジョブの属性がPLWであると判定された場合には、デコンポーザ制御部34は、PLWデコンポーザ41、42を起動させ(ステップS103)、事前登録シートおよび各ページの印刷データのラスタライズ処理を実行する(ステップS104)。尚、印刷情報のページ記述言語と事前登録情報のページ記述言語が同じ場合の一例として、印刷ジョブの属性がPDFではないと判定された場合が用いられる。
【0055】
ステップS102において、印刷ジョブの属性がPDFであると判定された場合、デコンポーザ制御部34は、PLWデコンポーザおよびPDFデコンポーザを起動する(ステップS105、S106)。ここでは、図8に示すように、デコンポーザ制御部34は、事前登録データをラスタライズ処理するためにPLWデコンポーザ41を起動し、各ページの印刷データをラスタライズ処理するためにPDFデコンポーザ51、52を起動するものとする。尚、印刷情報のページ記述言語と事前登録情報のページ記述言語が異なる場合の一例として、印刷ジョブの属性がPDFであると判定された場合が用いられる。
【0056】
そして、入力イメージ保存部35に保存された事前登録データや各ページの印刷データは、そのページ属性に応じてPLWデコンポーザ41またはPDFデコンポーザ51、52に分配され(ステップS107)、PLWデコンポーザ41、PDFデコンポーザ51、52によりそれぞれラスタライズ処理が実行されて出力イメージ保存部36に保存される(ステップS108)。
【0057】
図8に示した例では、白紙の画像データ及び事前登録データはPLWデコンポーザ41によりラスタライズ処理が実行され、奇数ページのPDFデータはPDFデコンポーザ51によりラスタライズ処理が実行され、偶数ページのPDFデータはPDFデコンポーザ52によりラスタライズ処理が実行される場合が示されている。
【0058】
ここで白紙の画像データとは、両面印刷や複数ページ分の画像を1つのページに集約するような印刷が行われる場合に、印刷画像が割当てられなかった領域を埋めるために使用される画像データである。
【0059】
なお、上記の説明では、デコンポーザ制御部34は、処理すべき印刷データが入力されてからPLWデコンポーザ41、42を起動していたが、デコンポーザ制御部34は、処理すべき印刷データデータが入力される前の段階においてPLWデコンポーザ41、42のうちの少なくとも1つを予め起動させておくようにしてもよい。
【0060】
つまり、図9に示すように、デコンポーザ制御部34は、少なくとも1つのPLWデコンポーザ41を予め起動して常駐させておくようにしてもよい。
【0061】
さらに、デコンポーザの起動数が制限されているような場合に、デコンポーザ制御部34は、PLWデコンポーザによるラスタライズ処理が終了した場合、PLWデコンポーザを停止させ、PDFデコンポーザの起動数を増加させるようにしてもよい。
【0062】
例えば、デコンポーザの起動数が2個に制限されている場合において、図10に示すように、PLWデコンポーザ41とPDFデコンポーザ51を起動させて白紙および事前登録データのラスタライズ処理をPLWデコンポーザ41により実行し、各ページの印刷データをPDFデコンポーザ51により実行するようにした場合を用いて説明する。
【0063】
このような場合に、白紙や事前登録データのラスタライス処理が終了すると、デコンポーザ制御部34は、図11に示されるように、PLWデコンポーザ41を停止状態として、PDFデコンポーザ52を新たに起動させ、2つのデコンポーザ51、52により各ページのラスタライズ処理を実行するようにしてもよい。
【0064】
[変形例]
上記実施形態では、コントローラ10内において画像処理を行う場合を用いて説明したが、印刷装置1内において同様の画像処理を実行するような構成とすることも可能である。また、コントローラ10と印刷装置1が一体となった画像形成システムに対しても、本発明は同様に適用可能である。
また、印刷装置1が、インクジェットプリンタで構成されても、ゼログラフィープリンタで構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態の画像形成システム1におけるコントローラ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の画像形成システムにおけるコントローラ10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】PDFデータの構造を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態の画像形成システムにより印刷処理を行うPDFデータを用いた画像の一例を示す図である。
【図6】図5に示す画像の構成を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態の画像形成システムにおけるコントローラ10の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態の画像形成システムにおいてデコンポーザを起動させてラスタライズ処理を実行する動作を説明するための図である。
【図9】PLWデコンポーザを常駐させておく場合の様子を説明するための図である。
【図10】PLWデコンポーザとPDFデコンポーザをそれぞれ1つずつ起動させてラスタライズ処理を実行する場合の様子を説明するための図である。
【図11】PLWデコンポーザを停止させてPDFデコンポーザを起動した場合の様子を説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷装置
3 前処理装置
4、5 バッファ装置
6 後処理装置
10 コントローラ
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース(IF)部
15 ユーザインタフェース(UI)装置
16 エンジンインタフェース(IF)部
17 制御バス
20 端末装置
31 データ入力部
32 事前登録データ格納部
34 デコンポーザ制御部
35 入力イメージ保存部
36 出力イメージ保存部
37 スクリーン処理部
38 スプールデータ格納部
41、42 PLWデコンポーザ
51、52 PDFデコンポーザ
81 ジョブスタートコマンド
82 ジョブエンドコマンド
S101〜S108 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のページ記述言語の描画処理を行うための第1の描画処理手段と、
前記第1のページ記述言語とは異なる第2のページ記述言語の描画処理を行うための第2の描画処理手段と、
前記第2のページ記述言語で記述された事前登録情報を含み、前記第1のページ記述言語で記述された印刷情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで異なるページ記述言語である場合に、前記印刷情報を前記第1の描画処理手段により描画処理を行うように制御するとともに、前記事前登録情報を前記第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する制御手段と、
前記第2の描画処理手段により描画処理が行われた事前登録情報と、前記第1の描画処理手段により描画処理された印刷情報と、を合成する合成手段と、を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記受付手段により受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで同じページ記述言語である場合に、前記印刷情報及び前記事前登録情報を前記第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記印刷情報は、1つのジョブと認識される記述を有するページ記述言語で記述される請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記印刷情報が入力される前の段階において前記第2の描画処理手段を少なくとも1つ起動するように制御する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2のページ記述言語で記述された印刷情報の描画処理が終了した場合に、複数の第2の描画処理手段のうち、少なくとも1つの第2の描画処理を停止させ、前記第1の描画処理手段に変更する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
第1のページ記述言語の描画処理を行うための第1の描画処理手段と、前記第1のページ記述言語とは異なる第2のページ記述言語の描画処理を行うための第2の描画処理手段と、前記第2のページ記述言語で記述された事前登録情報を含み、前記第1のページ記述言語で記述された印刷情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで異なるページ記述言語である場合に、前記印刷情報を前記第1の描画処理手段により描画処理を行うように制御するとともに、前記事前登録情報を前記第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する制御手段と、前記第2の描画処理手段により描画処理が行われた事前登録情報と、前記第1の描画処理手段により描画処理された印刷情報と、を合成する合成手段と、を有する画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項7】
事前登録情報を含む印刷情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けた印刷情報が、該印刷情報と、該印刷情報に含まれる事前登録情報とで異なるページ記述言語である場合に、前記印刷情報を第1のページ記述言語の描画処理を行うための第1の描画処理手段により描画処理を行うように制御するとともに、前記事前登録情報を前記第1のページ記述言語とは異なる第2のページ記述言語の描画処理を行うための第2の描画処理手段により描画処理を行うように制御する制御ステップと、
前記制御ステップにより前記第2の描画処理手段によって描画処理が行われた事前登録情報と、前記第1の描画処理手段により描画処理された印刷情報と、を合成する合成ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−5793(P2010−5793A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164301(P2008−164301)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】