説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理システム、画像処理方法、画像処理プログラムおよびその記録媒体

【課題】照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像に類似する照合対象画像を精度よく検索する。
【解決手段】文書照合処理部314が、特徴量記憶部315に記憶されている第1解像度の照合キー画像から抽出された特徴量と照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、画像データ記憶部313に記憶されている第2解像度の照合キー画像から特徴量を抽出し、この抽出した特徴量と特徴量記憶部315に記憶されている照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合キー画像の特徴量と照合対象画像の特徴量とを比較して両画像の類似判定を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理システム、画像処理方法、画像処理プログラムおよびその記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スキャナで原稿画像を読み取って得られた画像データと事前に登録されている画像データとを比較して両者の類似度を判定する技術が種々提案されている。
【0003】
類似度の判定方法としては、例えば、文字画像からOCR(Optical Character Reader)などでキーワードを抽出してマッチングを行う方法や、画像に含まれる罫線の特徴を抽出してマッチングを行う方法、画像データに含まれる文字列等を点(特徴点)に置き換え、これらの点の位置関係に基づいて算出される特徴量を用いてマッチングを行う方法などが提案されている。
【0004】
また、特許文献1には、入力文書の特徴から文書のデジタル化により生じる歪みや入力文書と文書データベース中の整合する文書との間の差異に対し不変となるように選ばれるデスクリプタを生成し、このデスクリプタと、デスクリプタを記録しデスクリプタが抽出される特徴を含む文書のリストを指し示すデスクリプタデータベースとを用いて、入力文書と文書データベース中の文書とのマッチングを行う技術が開示されている。この技術では、デスクリプタデータベースがスキャンされるときに、文書データベース中の各文書に対する投票結果を集計し、最高得票数の1文書または得票数がある閾値を超えた文書を整合文書とするようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、英文文書における単語の重心、黒画素の連結成分の重心、漢字の閉鎖空間、画像中に繰り返し現れる特定部位などを特徴点として抽出し、抽出された各特徴点に対して局所的な特徴点の集合を決定し、決定された各集合から特徴点の部分集合を選択し、選択された各部分集合を特徴付ける量として部分集合中における特徴点の複数の組み合わせについて幾何学的変換に対する不変量をそれぞれ求め、求めた各不変量を特徴量とし、このように求めた特徴量に基づいて文書照合を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−282088号公報(1995年10月27日公開)
【特許文献2】国際公開第WO2006/092957A1号パンフレット(公開日:2006年9月8日)
【非特許文献1】中居 友弘、黄瀬 浩一、岩村 雅一著、「複比の投票に基づく文書画像検索と射影歪み補正」、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2005)(情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア研究会主催)予稿集、pp.538−pp.545
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の技術では、照合キー画像の解像度と照合対象画像の解像度とが異なる場合に、これら両画像の類似性を精度よく判定できないという問題がある。
【0007】
上記の問題点についてより詳細に説明する。なお、本明細書において、「照合キー画像」とは予め登録された画像に対する照合処理のキーとなる画像であり、「照合対象画像」とは上記照合処理を行う際の検索対象となる画像である。例えば、画像データAに含まれる原稿画像に類似する画像が予め登録された画像群の中に含まれているか否かを判定する場合、上記画像データAに含まれる原稿画像が照合キー画像であり、上記画像群に属する画像が照合対象画像となる。また、本明細書において、「登録画像」とは、画像処理装置あるいは画像処理システムに登録されている全ての画像を意味する。したがって、照合キー画像が画像処理装置あるいは画像処理システムに登録された画像である場合にはこの照合対象画像も登録画像に該当する。
【0008】
画像の特徴量を用いて画像同士の類似性を判定する場合、画像同士の解像度を同じにして照合することで、最も判定精度が良くなる。これは、画像同士の解像度を揃えることで、判定の基準となる特徴量の抽出を同じ条件で行えるためである。
【0009】
ところが、照合キー画像が変倍原稿や割付原稿を読み取って得られた画像である場合や、FAXジョブで取得した画像である場合などには、照合キー画像における原稿画像の画像サイズと、この原稿画像のオリジナルの画像サイズとが異なる。特に、読み込まれた原稿を順次登録していく画像ジョブログシステム等においては、一般に、変倍原稿や割付原稿を読み取って得られた画像やFAXジョブで取得した画像を取得時の解像度で蓄積していくので、これらの画像に含まれる原稿画像のサイズが当該原稿画像のオリジナルの画像サイズ(上記原稿画像がデフォルトで処理された際の画像サイズ)と異なる場合が多い。
【0010】
このため、照合対象画像の特徴量が原稿画像のオリジナルの画像サイズ(原稿画像がデフォルトで処理された際の画像サイズ)に基づいて算出されたものである場合、照合キー原稿を照合対象画像の取得時と同じ解像度(デフォルトの解像度)にて読み取ったとしても実質的な解像度が違ってくる。
【0011】
そして、照合対象画像と照合キー画像との実質的な解像度が違うと、例えば、実際には互いに連結していない複数の画素連結領域について、高解像度の画像では互いに異なる画素連結領域として認識される一方、低解像度の画像では1つの画素連結領域と認識されてしまうといった不具合が生じる。その結果、類似性の判定精度が低下し、判定結果が異なってしまうという問題が生じる。
【0012】
一例として、A4サイズの原稿A,Bのそれぞれを600dpiで読み取った画像データ(照合対象画像)と、A4サイズの上記原稿2枚分(原稿A,B)の画像がA4サイズ1枚に割り付けられた割付原稿を同じく600dpiで読み取った画像データ(照合キー画像)とを比較する場合について説明する。
【0013】
A4サイズの原稿2枚がA4サイズ1枚に割り付けられた割付原稿の場合、割り付けられている2つの原稿画像はそれぞれオリジナルのサイズ(A4サイズ)に対して約0.7倍に縮小されている。したがって、この割付原稿に含まれる個々の原稿画像(原稿A,B)の実質的な解像度は約420dpiとなる。
【0014】
このため、A4サイズの原稿A,Bのそれぞれを600dpiで読み取って得られた特徴量と、割付画像を600dpiで読み取って得られる特徴量(原稿A,Bを約420dpiで読み取って得られる特徴量の組み合わせ)とが比較されることになる。この場合、各原稿についての特徴量の抽出結果が異なってしまい、照合キー画像(原稿A,Bの割付画像)と照合対象画像(原稿A,Bのオリジナルサイズの画像)との類似性を精度よく判定できない。その結果、例えば原稿A,Bのいずれにも類似しないと判定されたり、原稿A,Bの一方にのみ類似すると判定されたりするといった誤判定が生じる。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像と予め登録された照合対象画像との類似性を精度よく判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像処理装置は、上記の課題を解決するために、画像データからこの画像データに含まれる画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、登録画像の特徴量とこの登録画像の識別情報とを対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、照合キー画像として指定された画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている登録画像のうち照合対象とする画像である1つ以上の照合対象画像の特徴量とを比較することで上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて上記照合キー画像に類似している類似画像を検索する類似画像検索手段とを備えた画像処理装置であって、照合キー画像の解像度を第1解像度と第1解像度とは異なる第2解像度とに変換する解像度変換部を備え、上記類似画像検索手段は、上記特徴量抽出部が上記第1解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と、上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記特徴量抽出部が上記第2解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行うことを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、上記特徴量抽出部が上記第1解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と、上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記特徴量抽出部が上記第2解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行う。したがって、照合キー画像についての複数の解像度の画像データに基づいて類似検索処理を行うことができるので、照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像に類似する照合対象画像を精度よく検索することができる。
【0018】
また、上記類似画像検索部は、上記第1比較処理の結果に基づいて類似画像を検索する第1検索処理を行い、上記第1検索処理では類似画像を特定できなかった場合に、上記第2比較処理の結果に基づいて類似画像を検索する第2検索処理を行う構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、はじめに第1比較処理の結果に基づいて類似画像を検索する第1検索処理を行い、第1検索処理では類似画像を特定できなかった場合に第2比較処理の結果に基づいて類似画像を検索する第2検索処理を行う。それゆえ、第1検索処理のみに基づいて類似画像を特定可能な場合には第2検索処理を行わないので、検索処理に要する時間を短縮できる。
【0020】
また、上記類似画像検索部は、上記第1比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第1類似度算出処理と、上記第2比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第2類似度算出処理とを行い、上記第1類似度算出処理によって算出された類似度と上記第2類似度算出処理によって算出された類似度とを照合対象画像毎に加算した結果に基づいて類似画像を検索する構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、第1類似度算出処理によって算出された類似度と第2類似度算出処理によって算出された類似度とを照合対象画像毎に加算した結果に基づいて類似画像を検索することにより、類似画像をより精度よく検索できる。
【0022】
また、上記類似画像検索部は、上記第1比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第1類似度算出処理と、上記第2比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第2類似度算出処理とを行い、上記第1類似度算出処理および上記第2類似度算出処理で算出した類似度のうち最大値を有する類似度に基づいて類似画像を検索する構成としてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、第1類似度算出処理によって算出された類似度および第2類似度算出処理によって算出された類似度のうち最大値を有する類似度、すなわち最も類似性が高い類似度に基づいて類似画像を検索する。これにより、類似画像をより精度よく検索できる。
【0024】
また、上記登録画像の画像データとこの登録画像の識別情報とを対応付けて記憶する画像データ記憶手段と、上記画像データ記憶手段に記憶されている画像データを表示する表示部と、上記表示部に表示されている画像の中から照合キー画像とする画像を選択するユーザからの選択指示を受け付ける操作入力部と、上記特徴量記憶手段に登録画像の特徴量を記憶させるときに、上記解像度変換部によって第1解像度に変換された上記登録画像の特徴量をこの登録画像の識別情報と対応付けて上記特徴量記憶手段に記憶させ、上記解像度変換部によって第2解像度に変換された上記登録画像の画像データをこの登録画像の識別情報と対応付けて上記画像データ記憶部に記憶させる登録処理部とを備え、上記第1比較処理を行うときに、上記類似画像検索部は、上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合キー画像に対応する第1解像度の画像から抽出された特徴量と、上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較し、上記第2比較処理を行うときに、上記特徴量抽出部は、上記画像データ記憶手段に記憶されている上記照合キー画像に対応する第2解像度の画像データに基づいて照合キー画像の特徴量の抽出を行い、上記類似画像検索部は、上記特徴量抽出部が上記照合キー画像に対応する第2解像度の画像データから抽出した上記特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する構成としてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、予め登録しておいた登録画像の中からユーザが照合キー画像を指定し、この指定された照合キー画像に類似する照合対象画像を検索することができる。また、特徴量記憶手段に登録画像の特徴量を記憶させるときには、第1解像度に変換された登録画像の特徴量をこの登録画像の識別情報と対応付けて特徴量記憶手段に記憶させ、第2解像度に変換された登録画像の画像データをこの登録画像の識別情報と対応付けて画像データ記憶部に記憶させておく。これにより、登録画像の画像データを第1解像度および第2解像度の両方について記憶させておく場合に比べて、画像データ記憶手段の記憶容量を低減できる。
【0026】
また、上記第2解像度は上記第1解像度よりも低い解像度である構成としてもよい。上記の構成によれば、画像データ記憶手段の記憶容量をより低減できる。
【0027】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの画像処理装置と、画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像出力部とを備えている。
【0028】
上記の構成によれば、照合キー画像についての複数の解像度の画像データに基づいて類似検索処理を行うことができるので、照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像に類似する照合対象画像を精度よく検索することができる。
【0029】
また、本発明の画像処理システムは、画像データに対して所定の処理を施す画像処理装置と、この画像処理装置に対して通信可能に接続されたサーバ装置とを備えた画像処理システムであって、画像データからこの画像データに含まれる画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、登録画像の特徴量とこの登録画像の識別情報とを対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、照合キー画像として指定された画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている登録画像のうち照合対象とする画像である1つ以上の照合対象画像の特徴量とを比較することで上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて上記照合キー画像に類似している類似画像を検索する類似画像検索部と、照合キー画像の解像度を第1解像度と第1解像度とは異なる第2解像度とに変換する解像度変換部とが上記画像処理装置または上記サーバ装置に備えられるか、あるいは上記画像処理装置と上記サーバ装置とに分散して備えられており、上記類似画像検索部は、上記特徴量抽出部が上記第1解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合対象画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記特徴量抽出部が上記第2解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合対象画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行うことを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、照合キー画像についての複数の解像度の画像データに基づいて類似検索処理を行うことができるので、照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像に類似する照合対象画像を精度よく検索することができる。
【0031】
本発明の画像処理方法は、照合キー画像の特徴量と予め登録されている1つ以上の照合対象画像の特徴量とを比較することで上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて上記照合キー画像に類似している類似画像を検索する類似画像検索処理を行う画像処理方法であって、照合キー画像の解像度を第1解像度と第1解像度とは異なる第2解像度とに変換する解像度変換工程と、上記第1解像度に変換された照合キー画像から上記照合キー画像の特徴量を抽出する第1特徴量抽出工程と、上記第2解像度に変換された照合キー画像から上記照合キー画像の特徴量を抽出する第2特徴量抽出工程と、上記第1特徴量抽出工程で抽出した特徴量と上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記第2特徴量抽出工程で抽出した特徴量と上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行う類似画像検索工程とを含むことを特徴としている。
【0032】
上記の方法によれば、照合キー画像についての複数の解像度の画像データに基づいて類似検索処理を行うことができるので、照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像に類似する照合対象画像を精度よく検索することができる。
【0033】
なお、上記画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各部として動作させることにより、上記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の画像処理装置および画像処理システムでは、上記類似画像検索部は、上記特徴量抽出部が上記第1解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記特徴量抽出部が上記第2解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行う。
【0035】
また、本発明の画像処理方法は、上記第1解像度に変換された照合キー画像から上記照合キー画像の特徴量を抽出する第1特徴量抽出工程と、上記第2解像度に変換された照合キー画像から上記照合キー画像の特徴量を抽出する第2特徴量抽出工程と、上記第1特徴量抽出工程で抽出した特徴量と上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記第2特徴量抽出工程で抽出した特徴量と上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行う類似画像検索工程とを含む。
【0036】
それゆえ、照合キー画像についての複数の解像度の画像データに基づいて類似検索処理を行うことができるので、照合キー画像が変倍画像、割付画像、あるいは低解像度画像であっても、この照合キー画像に類似する照合対象画像を精度よく検索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、主に、複合機において取り扱われる原稿画像の特徴量とこの原稿画像の画像IDとを対応付けてサーバ装置に逐次登録していく画像ジョブログシステム(画像処理システム)に適用する場合について説明する。
【0038】
図2は、本実施形態にかかる画像処理システム100の概略構成を示す説明図である。この図に示すように、画像処理システム100は、複合機200、サーバ装置(複合機監視サーバ)300、および端末装置400を備えており、これら各装置がネットワークを介して通信可能に接続されてなる。なお、本実施形態では、複合機200とサーバ装置300とがネットワークを介して接続されている構成について説明するが、これに限らず、サーバ装置300を複合機200内に設けてもよい。
【0039】
複合機200は、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、scan to e-mail機能等を有している。また、複合機200は、画像データに対して行った操作の操作内容および操作を行った画像データをサーバ装置300に送信するようになっている。
【0040】
サーバ装置300は、複合機200から受信した画像データとこの画像データに対して行われた操作の操作内容とを処理画像付きログとして保存する。
【0041】
端末装置400は、サーバ装置300に保存されているログを検索したり閲覧したりするためのものである。また、端末装置400は、サーバ装置300に対して照合キー画像に類似する照合登録画像がこの端末装置400に保存されているか否かの検索を要求する類似画像検索要求を送信する。
端末装置400としては例えばパーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0042】
図3は、複合機200の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、複合機200は、カラー画像入力装置2、カラー画像処理装置3、カラー画像出力装置4、通信装置5、および操作パネル6を備えており、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、scan to e-mail機能等を有している。
【0043】
カラー画像入力装置2は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device )などの光学情報を電気信号に変換するデバイスを備えたスキャナ部(図示せず)より構成されている。ここでは、カラー画像入力装置2は、原稿からの反射光像を、RGB(R:赤・G:緑・B:青)のアナログ信号としてカラー画像処理装置3に出力する。
【0044】
カラー画像処理装置3は、カラー画像入力装置2から入力されたアナログ信号に、種々の処理を施すと共にカラー画像出力装置4が扱える形に変換して、カラー画像出力装置へと出力するものであり、A/D(アナログ/デジタル)変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色補正部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、出力階調補正部18、および階調再現処理部19を備えている。カラー画像入力装置2にて読み取られたアナログ信号は、カラー画像処理装置3内を、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色補正部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、出力階調補正部18、および階調再現処理部19の順で送られ、最終的にはデジタル信号のCMYK信号となる。そして、階調再現処理部19より出力されたデジタル信号のCMYK信号は、図示しないメモリに一旦格納された後、カラー画像出力装置4あるいは通信装置5へと出力される。
【0045】
A/D変換部11は、RGBのアナログ信号をデジタル信号に変換するものであり、シェーディング補正部12では、A/D変換部11より送られてきたデジタルのRGB信号に対して、カラー画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除くための処理を施す。
【0046】
入力階調補正部13は、シェーディング補正部12にて各種の歪みが取り除かれたRGB信号に対して、カラーバランスの調整および濃度信号などカラー画像処理装置に採用されている画像処理システムの扱い易い信号に変換する処理を行う。
【0047】
領域分離処理部14は、RGB信号より、入力画像中の各画素を文字領域、網点領域、写真領域のいずれかに分離するものである。領域分離処理部14は、分離結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、および階調再現処理部19へと出力する。また、領域分離処理部14は、入力階調補正部13より出力された入力信号をそのまま後段の色補正部15に出力する。
【0048】
色補正部15は、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行うものである。
【0049】
黒生成下色除去部16は、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理を行うものである。これにより、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
【0050】
空間フィルタ処理部17は、黒生成下色除去部16より入力されるCMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正する。これにより、出力画像のぼやけや粒状性劣化を軽減することができる。階調再現処理部19は、空間フィルタ処理部17と同様、CMYK信号の画像データに対して領域識別信号を基に所定の処理を施すものである。
【0051】
例えば、領域分離処理部14にて文字に分離された領域は、文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部17において高周波成分の強調量が大きい空間フィルタを用いてフィルタ処理される。また、階調再現処理部19においては、高域周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンによる二値化もしくは多値化処理が実施される。
【0052】
また、領域分離処理部14にて網点に分離された領域に関しては、空間フィルタ処理部17において、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施される。そして、出力階調補正部18では、濃度信号などの信号をカラー画像出力装置4の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行った後、階調再現処理部19で、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理が施される。領域分離処理部14にて写真に分離された領域に関しては、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。
【0053】
上述した各処理が施された画像データは、一旦、図示しないメモリに記憶されたのち、所定のタイミングで読み出されてカラー画像出力装置4あるいは通信装置5に入力される。例えば、コピー機能やプリンタ機能を実行する場合には上記画像データはカラー画像出力装置4に送られ、ファクシミリ機能やscan to e-mail機能を実行する場合には上記画像データは通信装置5に送られる。
【0054】
カラー画像出力装置4は、カラー画像処理装置3から入力された画像データを記録材(例えば紙等)上に出力するものである。カラー画像出力装置4の構成は特に限定されるものではなく、例えば、電子写真方式やインクジェット方式を用いたカラー画像出力装置を用いることができる。
【0055】
通信装置5は、例えば、モデムやネットワークカードより構成される。ファクシミリの送信を行うときは、モデムにて、相手先との送信手続きを行い送信可能な状態が確保されると、所定の形式で圧縮された画像データ(スキャナで読み込まれた画像データ)をメモリから読み出し、圧縮形式の変更など必要な処理を施して、相手先に通信回線を介して順次送信する。
【0056】
ファクシミリを受信する場合、CPUは、通信手続きを行いながら相手先から送信されてくる画像データを受信してカラー画像処理装置3に入力する。カラー画像処理装置3では、受信した画像データに対して不図示の圧縮/伸張処理部で伸張処理を施す。伸張された画像データは、必要に応じて、回転処理や解像度変換処理が行なわれ、出力階調補正、階調再現処理が施され、カラー画像出力装置4より出力される。
【0057】
また、通信装置5は、scan to e-mail機能を実行する場合には、所定の形式で圧縮された画像データ(スキャナで読み込まれた画像データ)をメモリから読み出し、e−mailに所定のアドレスに送信する。
【0058】
また、通信装置5は、ネットワークカード、LANケーブル等を介してネットワークに接続されたサーバ装置300、端末装置400、あるいはその他の各種機器とデータ通信を行う。
【0059】
操作パネル6は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示部と設定ボタンなどより構成され(いずれも図示せず)、複合機200の主制御部(図示せず)の指示に応じた情報を上記表示部に表示するとともに、上記設定ボタンを介してユーザから入力される情報を上記主制御部に伝達する。ユーザは、操作パネル6を介して入力画像データに対する処理要求、処理枚数などを入力することができる。
【0060】
上記主制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等からなり、図示しないROM等に格納されたプログラムや各種データ、操作パネル6から入力される情報等に基づいて、複合機200の各部の動作を制御する。
【0061】
また、主制御部は、複合機200において画像データに対する処理を行う際、この画像データとこの画像データに対する操作ログ情報とを通信装置5を介してサーバ装置300に送信させる。なお、上記操作ログ情報は、例えば、画像データに対して処理を行った時刻、ユーザ、処理モード、処理の実行結果などを含んでいてもよい。
【0062】
図1は、サーバ装置300の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、サーバ装置300は、データ受信部311、解像度変換処理部312、画像データ記憶部313、文書照合処理部314、特徴量記憶部315、ジョブ情報記憶部316、およびWebUI317、およびサーバ制御部318を備えている。
【0063】
データ受信部311は、複合機200から画像データおよびこの画像データに対する操作ログ情報(時間、ユーザ、処理モード、実行結果等)受信する。
【0064】
解像度変換処理部312は、複合機200から受信した画像の解像度(例えば600dpi)を所定の第1解像度(例えば300dpi)になるように変倍して文書照合処理部314に出力する。また、解像度変換処理部312は、文書照合処理部314において第1解像度に変倍した画像データに対する特徴量の抽出処理および登録処理が終了すると、第1解像度の上記画像データを第1解像度よりも低い第2解像度(例えば150dpi)に変倍して画像データ記憶部313に記憶させる。なお、第1解像度および第2解像度の値は上記した例に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0065】
解像度の変換方法は、特に限定されるものではないが、例えば例えば、ニアレストネイバー法、バイリニア法、あるいはバイキュービック法などを用いることができる。ニアレストネイバー法とは、補間する画素に一番近い、あるいは、補間する画素に対して所定の位置関係にある既存画素の値をその補間画素の値とする方法である。バイリニア法とは、補間する画素を囲む周囲4点の既存画素の距離に比例した形で重み付けした値の平均を求め、その値をその補間画素とする方法である。バイキュービック法とは、補間する画素を囲む4点に加え、更にそれらを囲む12点を加えた計16点の画素の値を用いて、補間演算を行う方法である。
【0066】
画像データ記憶部313は、解像度変換処理部312から出力された上記第2解像度の画像データを保存する。なお、画像データ記憶部313に保存された画像データは、ユーザあるいはシステムの管理者が操作ログ情報を検索、閲覧する際の表示などに用いられる。
【0067】
文書照合処理部314は、画像の登録処理を行う際には、解像度変換処理部312から入力される第1解像度の画像データについての特徴量を算出し、画像IDと対応付けて特徴量記憶部315に保存する。また、類似画像の抽出処理を行う際には、画像データ記憶部313から入力される第2解像度の画像データについての特徴量を算出し、この第2解像度の画像データから算出した特徴量と、特徴量記憶部315に保存されている第1解像度の画像データについて算出された特徴量とを用いて類似画像の抽出処理を行う。文書照合処理部314の詳細については後述する。
【0068】
特徴量記憶部315は、文書照合処理部314で算出された画像データの特徴量とこの画像データの画像IDとを対応付けて記憶する。
【0069】
ジョブ情報記憶部316は、複合機200から受信した画像データの画像IDとこの画像データに対する操作ログ情報とを対応付けて記憶する。なお、本実施形態では操作ログ情報を複合機200でのジョブ単位で記憶する。
【0070】
WebUI317は、Webブラウザを介して他の装置と通信を行うためのインターフェースである。本実施形態では、端末装置400から送信される類似画像検索要求をこのWebUI317で受け付けるとともに、検索結果をWebUI317を介して端末装置400に返信するようになっている。
【0071】
サーバ制御部318は、サーバ装置300に備えられる各部の動作を制御する。
【0072】
図4は、端末装置400の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、端末装置400は、制御部401、操作入力部402、WebUI403、および表示部404を備えている。
【0073】
操作入力部402はユーザからの入力指示を受けるものであり、例えばキーボード、マウス,ペン入力装置等のポインティングデバイス、あるいはタッチパネル等からなる。
【0074】
WebUI403は、Webブラウザを介して他の装置と通信を行うためのインターフェースである。
【0075】
表示部404は、ユーザの入力指示操作を支援するための情報や、画像データに応じた画像などを表示するものであり、例えば液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0076】
制御部401は、操作入力部402を介して入力されるユーザからの入力指示等に応じて、端末装置400の各部の動作を制御するものであり、例えばCPU等によって構成される。
【0077】
本実施形態では、制御部401がWebUI403を介してサーバ装置300からこのサーバ装置300の画像データ記憶部313に記憶されている第2解像度の画像データを取得して表示部404に表示させる。そして、ユーザが操作入力部402を介して表示部404に表示された第2解像度の画像データに基づいて類似画像の検索処理を行う画像を選択する。そして、この選択指示に基づいて、制御部401がサーバ装置300に検索処理を行う画像(照合キー画像)をサーバ装置300に通知し、WebUI403を介して、この照合キー画像に類似する照合対象画像がこの端末装置400に保存されているか否かの検索を要求する類似画像検索要求を送信する。
【0078】
次に、文書照合処理部314について説明する。図5は、文書照合処理部314の一構成例を示すブロック図である。この図に示す文書照合処理部314は、特徴点算出部31、特徴量算出部32、投票処理部33、類似度判定処理部34、登録処理部35、制御部36、およびメモリ37を備えている。
【0079】
制御部36は、文書照合処理部314の各部の動作およびメモリ37へのアクセスを制御する。なお、制御部36は、サーバ装置300の各部の動作を制御するためのサーバ装置300の主制御部(図示せず)に備えられていてもよく、この主制御部とは別に備えられ、主制御部と協働して文書照合処理部314の動作を制御するものであってもよい。
【0080】
メモリ37は、文書照合処理部314の各部の処理に用いられる各種データ、処理結果等を記憶するものである。
【0081】
特徴点算出部31は、入力画像データ(解像度変換処理部312から入力される第1解像度の画像データまたは画像データ記憶部313から読み出された第2解像度の画像データ)より、文字列や罫線の連結部分を抽出し、連結部分の重心を特徴点として算出するものである。また、特徴点算出部31は、各特徴点の座標を算出する。
【0082】
図6は、特徴点算出部31の概略構成を示すブロック図である。図6に示すように、特徴点算出部31は、信号変換処理部(無彩化処理部)41、MTF処理部42、2値化処理部43、および重心算出部44を備えている。
【0083】
信号変換処理部41は、解像度変換処理部312または画像データ記憶部313から入力された画像データ(RGB信号)がカラー画像であった場合に、この画像データを無彩化して、明度信号もしくは輝度信号に変換するものである。
【0084】
例えば、信号変換処理部41は、下記式(1)によりRGB信号を輝度信号Yに変換する。
【0085】
Yj=0.30Rj+0.59Gj+0.11Bj ・・・(1)
ここで、Yjは各画素の輝度信号であり、Rj,Gj,Bjは各画素のRGB信号における各色成分であり、添え字のjは画素毎に付与された値(jは1以上の整数)である。
【0086】
あるいは、RGB信号をCIE1976L***信号(CIE:Commission International de l'Eclairage、L*:明度、a*,b*:色度)に変換してもよい。
【0087】
MTF(modulation transfer function)処理部42は、画像入力装置の空間周波数特性が機種ごとに異なることを吸収(調整)するために用いられる。CCDの出力する画像信号には、レンズやミラー等の光学部品、CCDの受光面のアパーチャ開口度、転送効率や残像、物理的な走査による積分効果および操作むら等に起因しMTFの劣化が生じている。このMTFの劣化により、読み込まれた画像がぼやけたものとなっている。
【0088】
MTF処理部42は、適切なフィルタ処理(強調処理)を施すことにより、MTFの劣化により生じるぼやけを修復する処理、および後段の重心算出部44における特徴点抽出処理に不要な高周波成分を抑制するため処理を行う。具体的には、混合フィルタ(図示せず)を用いて強調および平滑化処理を行う。なお、図7は、この混合フィルタにおけるフィルタ係数の一例を示している。
【0089】
2値化処理部43は、無彩化された画像データ(輝度値(輝度信号)または明度値(明度信号))と、予め設定された閾値とを比較することにより画像データを二値化する。
【0090】
重心算出部44は、2値化処理部43で2値化された画像データ(例えば、「1」、「0」で表される)に基づいて、各画素に対してラベリング(ラベル付け処理)を行う。そして、同一ラベルが付された画素が連結した連結領域を特定し、特定した連結領域の重心を特徴点として抽出する。さらに、抽出した特徴点を特徴量算出部32へ出力する。なお、上記特徴点は、二値画像における座標値(x座標、y座標)として算出される。
【0091】
図8は、入力画像データから抽出された連結領域およびこの連結領域の重心の一例を示す説明図であり、「A」という文字列に対応する連結領域および重心を示している。また、図9は、入力画像データに含まれる文字列から抽出された複数の連結領域の各重心(特徴点)の一例を示す説明図である。
【0092】
特徴量算出部32は、特徴点算出部31で算出された特徴点を用いて、原稿画像の回転、拡大、縮小、平行移動等の幾何学的変形に対して不変な量である特徴量(ハッシュ値および/または不変量)を算出するものである。
【0093】
図10は、特徴量算出部32の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、特徴量算出部32は、特徴点抽出部32a、不変量算出部32b、ハッシュ値算出部32cを備えている。
【0094】
特徴点抽出部32aは、図11に示すように、1つの特徴点を注目特徴点とし、この注目特徴点の周辺の特徴点を、注目特徴点からの距離が近いものから順に所定数(ここでは4点)だけ周辺特徴点として抽出する。図11の例では、特徴点aを注目特徴点とした場合には特徴点b,c,d,eの4点が周辺特徴点として抽出され、特徴点bを注目特徴点とした場合には特徴点a,c,e,fの4点が周辺特徴点として抽出される。
【0095】
また、特徴点抽出部32aは、上記のように抽出した周辺特徴点4点の中から選択し得る3点の組み合わせを抽出する。例えば、図12(a)〜図12(d)に示すように、図11に示した特徴点aを注目特徴点とした場合、周辺特徴点b,c,d,eのうちの3点の組み合わせ、すなわち、周辺特徴点b,c,d、周辺特徴点b,c,e、周辺特徴点b,d,e、周辺特徴点c,d,eの各組み合わせが抽出される。
【0096】
次に、不変量算出部32bは、抽出した各組み合わせについて、幾何学的変形に対する不変量(特徴量の1つ)Hijを算出する。
【0097】
ここで、iは注目特徴点を示す数(iは1以上の整数)であり、jは周辺特徴点3点の組み合わせを示す数(jは1以上の整数)である。本実施形態では、周辺特徴点同士を結ぶ線分の長さのうちの2つの比を不変量Hijとする。
【0098】
上記線分の長さは、各周辺特徴点の座標値に基づいて算出できる。例えば、図12(a)の例では、特徴点bと特徴点cとを結ぶ線分の長さをA11、特徴点bと特徴点dとを結ぶ線分の長さをB11とすると、不変量H11はH11=A11/B11である。
【0099】
また、図12(b)の例では、特徴点bと特徴点cとを結ぶ線分の長さをA12、特徴点bと特徴点eとを結ぶ線分の長さをB12とすると、不変量H12はH12=A12/B12である。また、図12(c)の例では、特徴点bと特徴点dとを結ぶ線分の長さをA13、特徴点bと特徴点eとを結ぶ線分の長さをB13とすると、不変量H13はH13=A13/B13である。また、図12(d)に示した例では、特徴点cと特徴点dとを結ぶ線分の長さをA14、特徴点cと特徴点eとを結ぶ線分の長さをB14とすると、不変量H14はH14=A14/B14である。このようにして、図12(a)〜図12(d)の例では、不変量H11,H12,H13,H14が算出される。
【0100】
なお、上記の例では、注目特徴点に最も近い周辺特徴点と2番目に近い周辺特徴点とを結ぶ線分をAij、注目特徴点に最も近い周辺特徴点と3番目に近い周辺特徴点とを結ぶ線分をBijとしたが、これに限らず、不変量Hijの算出に用いる線分は任意の方法で選定すればよい。
【0101】
次に、ハッシュ値算出部32cは、次式
Hi=(Hi1×10+Hi2×10+Hi3×10+Hi4×10)/D
における余りの値をハッシュ値(特徴量の1つ)Hiとして算出し、メモリ37に記憶させる。なお、上記Dは余りが取り得る値の範囲をどの程度に設定するかに応じて予め設定される定数である。
【0102】
なお、不変量Hijの算出方法は特に限定されるものではなく、例えば、注目特徴点の近傍5点の複比、近傍n点(nはn≧5の整数)から抽出した5点の複比、近傍n点から抽出したm点(mはm<nかつm≧5の整数)の配置およびm点から抽出した5点の複比に基づいて算出される値などを注目特徴点についての上記不変量Hijとしてもよい。なお、複比とは、直線上の4点または平面上の5点から求められる値であり、幾何学的変換の一種である射影変形に対する不変量として知られている。
【0103】
また、ハッシュ値Hiの算出するための式についても上記式に限るものではなく、例えば上記以外の一般的に知られているハッシュ関数を用いてもよい。
【0104】
また、特徴量算出部32の各部は、1つの注目特徴点に対する周辺特徴点の抽出およびハッシュ値Hiの算出が終わると、注目特徴点を他の特徴点に変更して周辺特徴点の抽出およびハッシュ値の算出を行い、全ての特徴点についてのハッシュ値を算出する。
【0105】
図11の例では、特徴点aを注目特徴点とした場合の周辺特徴点およびハッシュ値の抽出が終わると、次に特徴点bを注目特徴点とした場合の周辺特徴点およびハッシュ値の抽出を行う。図11の例では、特徴点bを注目特徴点とした場合、特徴点a,c,e,fの4点が周辺特徴点として抽出される。
【0106】
そして、図13(a)〜図13(d)に示すように、これら周辺特徴点a,c,e,fの中から選択される3点の組み合わせ(周辺特徴点a,e,f、周辺特徴点a,e,c、周辺特徴点a,f,c、周辺特徴点e,f,c)を抽出し、各組み合わせについてハッシュ値Hiを算出し、メモリ37に記憶させる。そして、この処理を各特徴点について繰り返し、各特徴点を注目特徴点とした場合のハッシュ値をそれぞれ求めてメモリ37に記憶させる。
【0107】
また、特徴量算出部32は、画像データの登録処理を行う場合、すなわち特徴量の抽出を行った画像データが解像度変換処理部312から入力された第1解像度の画像データである場合には、上記のように算出した各特徴点についてのハッシュ値(特徴量)と特徴点算出部31の算出した各特徴点の座標とを登録処理部35に送る。この場合、投票処理部、類似度判定処理部の処理はスルー(何も処理を行わない)となる。
【0108】
また、特徴量算出部32は、画像データの照合処理を行う場合、すなわち特徴量の抽出を行った画像データが画像データ記憶部313から読み出された第2解像度の画像データである場合には、上記のように算出した各特徴点についてのハッシュ値(特徴量)と特徴点算出部31の算出した各特徴点の座標とを投票処理部33に送る。
【0109】
登録処理部35は、特徴量算出部32が算出した各特徴点についてのハッシュ値(特徴量)と、ハッシュ値の算出を行った画像データの画像を表すインデックス(画像ID)とを対応付けてメモリ37に登録する(図14(a)参照)。なお、ハッシュ値がすでに登録されている場合は、当該ハッシュ値に対応付けて画像IDを登録する。画像IDは重複することなく順次番号が割り当てられる。
【0110】
また、メモリ37に登録されている画像の数が所定値(例えば、登録可能な画像の数の80%)より多くなった場合、古い画像IDを検索して順次消去するようにしてもよい。また、消去された画像IDは、新たな画像データの画像IDとして再度使用できるようにしてもよい。また、算出されたハッシュ値が同値である場合(図14(b)の例ではH1=H5)、これらを1つにまとめてハッシュテーブルに登録してもよい。
【0111】
また、図14(b)の例では、H1=H5であり、これらをH1の1つにまとめてハッシュテーブルに登録されているが、このようなテーブル値において、画像データから算出したハッシュ値にH1があった場合は、原稿ID1には投票処理時には2票投票されることになる。
【0112】
また、登録処理部35は、図15に示すように、画像データにおける各特徴点の識別記号(特徴点を表すインデックス)とこれら各特徴点の座標とを対応付けてメモリ37に記憶させる。
【0113】
投票処理部33は、照合キー画像についての各特徴点のハッシュ値をメモリ37に登録されている登録画像のうち照合キー画像を除く画像(照合対象画像)のハッシュ値と比較し、同じハッシュ値を有する登録画像に投票する。照合判定処理の方法としては、例えば非特許文献1に記載されている方法を用いることができる。なお、上記の照合キー画像は、端末装置400から受信した類似画像検索要求で指定された画像IDに対応する画像であり、画像データ記憶部313に記憶されている第2解像度の画像と特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている第1解像度の画像とがある。つまり、本実施形態では、類似画像検索要求で指定された画像IDに対応する画像データ記憶部313に記憶されている第2解像度の照合キー画像から抽出した特徴量に基づく投票処理と、類似画像検索要求で指定された画像IDに対応する特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている第1解像度の照合キー画像の特徴量に基づく投票処理とを行う。
【0114】
そして、投票処理部33は、図16に示すように、照合キー画像における各特徴点p1,p2,・・・について、どの照合対象画像のどの特徴点に投票したのかをメモリ37に記憶しておく。図16の例では、照合キー画像の特徴点p1に対して求めた特徴量(ハッシュ値)が照合対象画像ID1の特徴点f1の特徴量と一致し、照合キー画像の特徴点p2に対して求めた特徴量(ハッシュ値)が照合対象画像ID3の特徴点f2の特徴量と一致していると判定されている。図17は、照合対象画像ID1,ID2,ID3に対する投票結果(投票数)の一例を示すグラフである。
【0115】
類似度判定処理部34は、投票処理部33における上記2種類の投票結果、すなわち第1解像度の照合キー画像の特徴量に基づく投票処理結果と第2解像度の照合キー画像から抽出した特徴量に基づく投票処理結果とに基づいて各照合対象画像に対する類似度を算出する。
【0116】
例えば、類似度判定処理部34は、上記2種類の投票結果に基づいて得票数が多い照合対象画像ほど照合キー画像に対する類似度が高いと判断する。この場合、得票数合計でソートすることで類似度を判定できる。
【0117】
あるいは、投票処理部33の投票結果における照合対象画像の得票数をその照合対象画像が獲得し得る最大得票数で除算して正規化し、この正規化した結果を用いて類似度を判断するようにしてもよい。このように正規化した結果を用いることで、特徴点数の少ない照合対象画像であっても類似度を適切に評価できる。
【0118】
なお、上記の最大得票数は、「特徴点の数」×「1つの特徴点(注目特徴点)から算出されるハッシュ値の数」で表される。ここで、本実施形態では、1つの特徴点(注目特徴点)に対して1つのハッシュ値を算出するものとしているが、これに限らず、1つの特徴点(注目特徴点)に対して複数のハッシュ値を算出するようにしてもよい。例えば、注目特徴点の周辺特徴点として6点を抽出し、この6点から5点を抽出した6通りの組み合わせそれぞれについて、5点から3点を抽出して不変量を求めてハッシュ値を算出する方法を用いてもよい。この場合には、1つの特徴点に対して6個のハッシュ値が算出されることになる。
【0119】
ところで、Nin1原稿などでは、元の原稿が縮小され、回転されている。そこで、照合対象画像の特徴点と照合キー画像の特徴点との位置合わせを行い、上記の投票処理結果と上記の位置合わせ結果とに基づいて両画像の類似度を判定するようにしてもよい。この場合、例えば、最初に予め定められた所定の得票数以上(例えば、正規化された値で80%以上)を獲得している画像については類似度が高いと判定し、得票数が低いものについてのみ特徴点同士の位置合わせを行い、類似画像かどうかの判定を行う。これにより、照合キー画像に部分的に一致する画像を精度よくピックアップすることができる。例えば、照合キー画像が照合対象画像における重要データ部分のみを切り抜いてコピーしたものであるような場合であっても、照合処理でこの重要データ部分を含む照合対称画像をピックアップすることができる。
【0120】
具体的な処理の方法としては、例えば、投票処理部33は、図15に示したように予め登録しておいた照合対象画像の各特徴点の座標を用いて、照合キー画像の特徴点と照合対象画像の特徴点との位置関係を求め、照合対象画像の特徴点の座標系と、照合キー画像の特徴点の座標系とを統一させる処理を行う。
【0121】
例えば、図16に示した例において、照合キー画像が照合対象画像ID1に類似していると判定された場合、この照合対象画像ID1における各特徴点についての照合対象画像ID1の座標系における座標を、照合キー画像の座標系における座標に変換する。表1は、両座標系における特徴点の座標の対応関係を示している。
【0122】
【表1】

【0123】
照合対象画像の座標系における各特徴点の座標についての行列をPin、これら各特徴点の照合キー画像の座標系における座標についての行列をPout、両行列の変換係数をAとすると、下記式の関係になる。
【0124】
【数1】

【0125】
Pout=Pin×A
Pinは正方行列ではないので、下記式に示すように、両辺にPinの転置行列Pinを乗算し、さらにPinPinの逆行列を乗算する。
PinPout=PinPin×A
(PinPin)−1PinPout=A
このように算出した変換係数Aを用いて、下記式により、図18に示すように、照合対象画像の座標系における任意の座標(xi、yj)を、照合キー画像の座標系における座標(xi’,yj’)に変換できる。
(x’,y’,1)=(x,y,1)×A
上記のように類似度が高い画像同士では、各々の座標系を相似変換で求めることが可能である。一方、上記のように変換係数Aを求めることができない場合(例えば変換係数Aが収束しない場合)、両画像は類似していないと判定することができる。
【0126】
なお、投票処理部33において、外れ点の影響を排除するように座標変換処理を行うようにしてもよい。上記外れ点とは、照合キー画像と照合対象画像との特徴量(ハッシュ値)が一致する特徴点として抽出されたもののうち、誤って特徴量(ハッシュ値)が一致するものとして抽出された特徴点である。
【0127】
前述の座標変換処理においては、外れ点が存在した場合、求めた座標変換係数が本来の座標変換係数から大きくずれてしまうことになる。そこで、ロバスト推定など外れ点が含まれる場合に用いられる推定方法を用いて座標変換係数を求めることができる。以下には、ロバスト推定の中でLMedS基準を用いて座標変換係数を求める例について説明する。
【0128】
まず、照合キー画像と照合対象画像との特徴量(ハッシュ値)が一致するものとして抽出された特徴点の組から、3組をランダムに抽出する。この場合、照合キー画像の特徴点の座標についての行列をPout2、参照画素増の特徴点の座標についての行列をPin2、変換係数をA2とする。
【0129】
【数2】

【0130】
そして、変換係数A2と特徴点(Pout2,Pin2)との関係を下記式とする。
Pout2=Pin2×A2
これにより、変換係数A2は、次の式により求められる。
A2=Pin2−1Pout2
次に、上記のようにして求めた変換係数A2を使用し、照合キー画像と照合対象画像との特徴量(ハッシュ値)が一致するものとして抽出された全ての特徴点の組について座標変換を行い、その結果から求めた座標値と実際の座標値との誤差を計算する。次に、求めた誤差をその値が大きい順番にソートしたときの中央値を、求めた変換係数A2の評価値とする。なお、上記「求めた座標値」とは、例えば照合対象画像の座標系を照合キー画像の座標系に合わせ込む場合に、照合対象画像の特徴点の座標を変換した値(座標値)であり、「実際の座標値」とはこの座標値に対応する照合キー画像の座標値である。
【0131】
上記のように、特徴量(ハッシュ値)が一致する特徴点の組をランダムに抽出し、変換係数を求め、その評価値を決定する処理を複数回繰り返す。そして、求めた評価値が最も小さくなるときの変換係数を求める変換係数とする。
【0132】
次に、画像処理システム100における処理の流れについて説明する。まず、特徴量登録処理を行う場合の処理の流れについて説明する。図19は特徴量登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0133】
まず、複合機200の主制御部は、操作パネル6あるいは通信装置5を介してユーザからのジョブ実行指示を受け付けると(S1)、ジョブ実行指示に基づいて画像データに対するジョブを実行する(S2)。そして、複合機200の主制御部は、実行したジョブの操作ログ情報および画像データをメモリ(図示せず)に記憶させる(S3)。また、複合機200の主制御部は、上記の操作ログ情報および画像データをサーバ装置300に送信する(S4)。なお、上記操作ログ情報は、例えば、画像データに対して処理を行った時刻、ユーザ、処理モード、処理の実行結果などを含んでいてもよい。
【0134】
サーバ制御部(登録処理部)318は、複合機200から送信された操作ログ情報および画像データをデータ受信部311が受信すると(S11)、受信した画像データに画像IDを割り当て、この画像IDと操作ログ情報とを対応付けてジョブ情報記憶部316に記憶させる(S12)。
【0135】
また、サーバ制御部318は、解像度変換処理部312を制御してデータ受信部311が受信した画像データの解像度を予め設定された第1解像度(ここでは300dpi)に変換させて文書照合処理部314に出力させる(S13)とともに、上記画像データの解像度を予め設定された第2解像度(ここでは150dpi)に変換させ、この第2解像度に変換した画像データと上記画像IDとを対応付けて画像データ記憶部313に記憶させる(S14)。
【0136】
次に、サーバ制御部318は、文書照合処理部314を制御し、上記の第1解像度に変換した画像データに基づいて特徴点および特徴点の座標の算出処理(S15)、および特徴量の算出処理(S16)を行わせる。そして、S15およびS16で算出した特徴量および特徴点の座標を画像IDと対応付けて特徴量記憶部315に記憶させ(S17)、特徴量登録処理を終了する。
【0137】
次に、類似画像検索処理を行う場合の処理の流れについて説明する。図20は類似画像検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0138】
端末装置400の制御部401は、操作入力部402を介してユーザからの類似画像検索処理モードの選択指示を受け付けると(S21)、WebUI403を介してサーバ装置300に登録画像データの送信要求を送信する(S22)。
【0139】
サーバ装置300のサーバ制御部318は、WebUI317が端末装置400から登録画像データの送信要求を受信すると(S31)、画像データ記憶部313に記憶されている第2解像度の各画像データおよび各画像データの画像IDを読み出し、WebUI317を介して端末装置400に送信する(S32)。
【0140】
端末装置400の制御部401は、WebUI403がサーバ装置300から画像データおよび画像IDを受信すると(S23)、受信した画像データに応じた画像を表示部404に表示させる(S24)。表示方法は特に限定されるものではなく、例えば画像データを1枚ずつ順に表示させてもよく、複数枚の画像データ毎に表示させてもよく、サムネイル画像を用いた一覧表示を行ってもよい。
【0141】
その後、端末装置400の制御部401は、操作入力部402を介して入力されるユーザからの画像選択指示を受け付けると(S25)、WebUI403を介して選択された画像の画像IDを指定した類似画像検索要求をサーバ装置300に送信する(S26)。
【0142】
サーバ装置300のサーバ制御部318は、WebUI317が端末装置400から類似画像検索要求を受信すると(S33)、この類似画像検索要求で指定された画像IDに対応する第2解像度の画像データを画像データ記憶部313から読み出し(S34)、この読み出した画像データに基づいて文書照合処理部314に特徴点算出処理(S35)、特徴量算出処理(S36)、および特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている各照合対象画像に対する投票処理(S37)を行わせる。
【0143】
次に、サーバ装置300のサーバ制御部318は、類似画像検索要求で指定された画像IDに対応する第1解像度の画像データに基づいて算出された特徴量を特徴量記憶部315から読み出し(S38)、文書照合処理部314に、読み出した特徴量に基づいて、特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている各照合対象画像に対する投票処理(S39)を行わせる。
【0144】
その後、サーバ装置300のサーバ制御部318は、文書照合処理部314に、第2解像度の画像データに基づく投票処理結果および第1解像度の画像データから算出された特徴量に基づく投票処理結果に基づく類似判定処理を行わせる(S40)。判定方法の一例としては、例えば、第2解像度の画像データに基づく投票数と第1解像度の画像データから算出された特徴量に基づく投票数とを照合対象画像ごとに加算し、加算値が大きいものほど類似性が高いと判断すればよい。そして、WebUI317を介して類似判定処理の結果を端末装置400に送信させ(S41)、処理を終了する。なお、得票数の最も多い画像データ(あるいは最も類似度が高い画像データ)のみを端末装置400に通知するようにしてもよく、得票数が所定値以上の画像データ(あるいは類似度が所定値以上の画像データ)を全て端末装置400に通知するようにしてもよい。
【0145】
端末装置400の制御部401は、WebUI403がサーバ装置300から類似判定結果を受信すると(S27)、この類似判定結果を表示部404に表示させ(S28)、処理を終了する。
【0146】
以上のように、本実施形態にかかる画像処理システム100では、第1解像度の画像データから算出した特徴量を特徴量記憶部315に記憶させておき、この画像データを第1解像度よりも低解像度の第2解像度に変換した画像データを画像データ記憶部313に記憶させておく。
【0147】
そして、照合キー画像についての類似画像検索要求があったときに、画像データ記憶部313から照合キー画像についての第2解像度の画像データを読み出し、この第2解像度の画像データに基づいて特徴点算出処理、特徴量算出処理、および投票処理を行う。さらに、照合キー画像についての第1解像度の画像データに基づいて算出され特徴量を特徴量記憶部315から読み出し、この読み出した特徴量に基づく投票処理を行う。そして、第2解像度の画像データに基づく投票処理結果と第1解像度の画像データに基づく投票処理結果とを用いて類似判定処理を行う。
【0148】
このように、照合キー画像についての複数種類の解像度の画像データに基づいて類似判定処理を行うことにより、類似判定処理をより精度よく行うことができる。
【0149】
また、例えば、複合機200においてコピー、プリント、スキャン、FAX等のジョブを実行した際、そのジョブ情報を処理画像付きログとしてサーバで保存し、いつ、誰がどんなデータを出力または送信したかを管理者が確認可能なシステムにおいて、高解像度(第1解像度)の画像データから抽出した特徴量と、低解像度(第2解像度)の画像データとを保存しておくことにより、必要に応じて類似画像検索時には高解像度の画像データから抽出した特徴量と低解像度の画像データから抽出した特徴量との両方を用いて類似画像検索処理を行うことができる。これにより、照合キー画像あるいは照合対象画像が割付原稿である場合や変倍処理が施された画像である場合であっても、照合処理を精度よく行うことができる。また、低解像度(第2解像度)の画像を記憶させておくことで、画像データの記憶容量を低減するとともに、必要に応じて画像データを実際に見比べるなどして照合結果の適否確認などを行うことができる。
【0150】
なお、本実施形態では、第2解像度の画像データに基づく投票処理と第1解像度の画像データに基づく投票処理とを常に行うものとしているが、これに限るものではない。例えば、いずれか一方の解像度の画像データに基づく投票処理を行っても類似画像が抽出されなかった場合に、他方の解像度の画像データに基づく投票処理を行うようにしてもよい。
【0151】
また、本実施形態では、画像データ記憶部313に第2解像度に変換した画像データを記憶させておくものとしたが、これに限らず、例えばデータ受信部311に入力された画像データをそのままの解像度で、あるいは第1解像度の画像データを記憶させておき、類似判定処理を行うときに第2解像度に変換するようにしてもよい。
【0152】
また、本実施形態では、まず第2解像度の画像データに基づく投票処理を行った後、第1解像度の画像データに基づく投票処理を行っているが、投票処理の順序はこれに限るものではなく、第1解像度の画像データに基づく投票処理を行った後に第2解像度の画像データに基づく投票処理を行ってもよく、第1解像度の画像データに基づく投票処理と第2解像度の画像データに基づく投票処理とを並行して行ってもよい。
【0153】
また、本実施形態では、照合キー画像をサーバ装置300の画像データ記憶部に記憶されている画像の中から選択する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば端末装置400あるいは複合機200が照合キー画像をサーバ装置300に送信するようにしてもよい。
【0154】
例えば、照合キー画像の元原稿(紙の原稿)がユーザの手元ある場合、複合機200でこの元原稿を読み取らせることで(あるいはこの元原稿に対するジョブを実行させることで)、サーバ装置300に照合キー画像を取り込ませ、この照合キー画像を第1解像度に変換した画像および第2解像度に変換した画像に基づいて特徴量算出処理、特徴量算出処理、および投票処理を行うようにしてもよい。また、端末装置400から照合キー画像の画像データをサーバ装置300に送信し、この照合キー画像を第1解像度に変換した画像および第2解像度に変換した画像に基づいて特徴量算出処理、特徴量算出処理、および投票処理を行うようにしてもよい。
【0155】
また、本実施形態では、解像度変換処理部312および文書照合処理部314をサーバ装置300に設けているが、これに限らず、これら各部の全部または一部を複合機200に設けてもよい。例えば、複合機200に解像度変換処理部312および文書照合処理部314を設け、ジョブが実行されたときに、操作ログ情報の生成処理、ジョブにかかる画像データを第1解像度に変換して特徴点の座標および特徴量を算出する処理、および上記画像データを第2解像度に変換する処理を複合機200で行い、操作ログ情報、第1解像度の画像データに基づいて算出した特徴点の座標および特徴量、および第2解像度の画像データをサーバ装置300に送信する構成としてもよい。この場合、サーバ装置300では、ネットワークを介して接続された各複合機200から受信した特徴点の座標および特徴量、および第2解像度の画像データに対して画像IDを付与し、この画像IDと特徴点の座標および特徴量とを対応付けて特徴量記憶部315に記憶させ、画像IDと第2解像度の画像データとを対応付けて画像データ記憶部313に記憶させる。そして、複合機200から類似画像検索処理を要求された場合には、特徴量記憶部315に記憶させている画像IDと特徴点の座標および特徴量、および画像データ記憶部313に記憶させている画像IDと第2解像度の画像データを複合機200に送信する。これにより、複合機200に備えられた文書照合処理部314によって類似画像検索処理が行われる。
【0156】
また、本実施形態では、複合機200とサーバ装置300とがネットワークを介して通信可能に接続されている構成について説明したが、これに限らず、例えば、解像度変換処理部312、文書照合処理部314、画像データ記憶部313、特徴量記憶部315、およびジョブ情報記憶部316を複合機200に備え、これら各部の動作を複合機200の主制御部がサーバ制御部318と同様に制御するようにしてもよい。
【0157】
図21は、この場合の複合機200の構成例を示すブロック図である。この図に示す例では、図3に示した構成に加えて、入力階調補正部13と領域分離処理部14との間にログ生成・検索処理部300bを備えている。ログ生成・検索処理部300bの構成はサーバ装置300の構成と略同様なのでここではその説明を省略する。
【0158】
複合機200の主制御部は、複合機200においてジョブが実行される際、以下の処理を行う。
(1)このジョブに係る画像データに画像IDを付与する。
(2)このジョブに係る操作ログ情報と画像IDとを対応付けてログ生成・検索処理部300bに備えられるジョブ情報記憶部316に記憶させる。
(3)このジョブに係る画像データの解像度をログ生成・検索処理部300bに備えられる解像度変換処理部312によって第1解像度に変換させ、この第1解像度の画像データに基づいてログ生成・検索処理部300bに備えられる文書照合処理部314によって特徴点、特徴点の座標、および特徴量の算出を行わせ、算出した特徴量および特徴点の座標と画像IDとを対応付けてログ生成・検索処理部300bに備えられる特徴量記憶部315に記憶させる。
(4)このジョブに係る画像データの解像度をログ生成・検索処理部300bに備えられる解像度変換処理部312によって第2解像度に変換させ、画像IDと対応付けてログ生成・検索処理部300bに備えられる画像データ記憶部313に記憶させる。
(5)入力階調補正部13から入力された画像データをそのまま後段の領域分離処理部14に出力する。
【0159】
また、複合機200の主制御部は、複合機200の操作パネル6、あるいはネットワークを介して接続された端末装置400を介してユーザからの類似画像検索要求を受け付けた場合、以下の処理を行う。
(1)画像データ記憶部313から照合キー画像の第2解像度の画像データを読み出し、この第2解像度の画像データに基づいて文書照合処理部314に特徴点、特徴点の座標、および特徴量を算出させ、特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている照合対象画像に対して、算出した特徴量に基づいて投票処理を行わせる。
(2)特徴量記憶部315から第1解像度の照合キー画像に基づいて算出された特徴量および特徴点の座標を読み出し、特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている照合対象画像に対して、特徴量記憶部315から読み出した上記特徴量に基づいて投票処理を行わせる。
(3)上記(1)の投票処理結果および上記(2)の投票処理結果に基づいて各照合対象画像についての類似判定処理を行う。
(4)類似判定処理結果を端末装置400に送信、あるいは操作パネル6に備えられる表示部に表示させる。
【0160】
また、本実施形態では、特徴量記憶部315に特徴量を記憶されている画像データのうち照合キー画像を除く全ての登録画像データを照合対象画像としているが、これに限るものではない。例えば、特徴量記憶部315に特徴量を記憶させる際、所定のルール(例えば、ジョブが実行された時期、ジョブを実行したユーザあるいは当該ユーザが属するグループ,部署,役職等、原稿画像の種類、ジョブの実行内容など)に基づいてグループ分けしておき、ユーザが類似画像検索処理を要求する際に検索範囲(照合対象画像の選択)を指定し、指定された条件に合致する画像のみを照合対象画像とするようにしてもよい。
【0161】
また、上記実施形態において、複合機200および/またはサーバ装置300に備えられる各部(各ブロック)を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、複合機200および/またはサーバ装置300は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである複合機200および/またはサーバ装置300の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、複合機200および/またはサーバ装置300に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0162】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0163】
また、複合機200および/またはサーバ装置300を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0164】
また、複合機200および/またはサーバ装置300の各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0165】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、照合キー画像の特徴量と照合対象画像の特徴量とを比較して両画像の類似判定を行う画像処理装置および画像処理システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像処理システムに備えられるサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像処理システムの概略構成を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる画像処理システムに備えられる複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像処理システムに備えられる端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図1のサーバ装置に備えられる文書照合処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示した文書照合処理部に備えられる特徴点算出部の構成を示すブロック図である。
【図7】図5に示した特徴点算出部のMTF処理部で用いられる混合フィルタのフィルタ係数の一例を示す説明図である。
【図8】図5に示した特徴点算出部によって入力画像データから抽出される連結領域およびこの連結領域の重心の一例を示す説明図である。
【図9】図5に示した特徴点算出部によって入力画像データに含まれる文字列から抽出された複数の連結領域の各重心(特徴点)の一例を示す説明図である。
【図10】図5に示した文書照合処理部に備えられる特徴量算出部の構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示した特徴量算出部によって特徴量を算出する際に抽出される注目特徴点および周辺特徴点の一例を示す説明図である。
【図12】(a)〜(c)は、図10に示した特徴量算出部によって特徴量を算出する際に抽出される注目特徴点および周辺特徴点の組み合わせの一例を示す説明図である。
【図13】(a)〜(c)は、図10に示した特徴量算出部によって特徴量を算出する際に抽出される注目特徴点および周辺特徴点の組み合わせの一例を示す説明図である。
【図14】(a)および(b)は、ハッシュテーブルに登録される各特徴点についてのハッシュ値および入力画像データを表すインデックスの一例を示す説明図である。
【図15】図5に示した文書照合処理部に備えられる特徴量記憶部に記憶される、各登録画像の原稿IDと、各登録画像の特徴点と、これら各特徴点の座標との関係を示す説明図である。
【図16】図5に示した文書照合処理部に備えられる投票処理部において行われる投票処理を説明するための説明図である。
【図17】図5に示した文書照合処理部に備えられる投票処理部における、各照合対象画像に対する投票数の一例を示すグラフである。
【図18】照合対象画像の特徴点の座標系と照合キー画像の特徴点の座標系とを一致させるための座標変換処理を説明するための説明図である。
【図19】図1に示したサーバ装置における特徴量登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】図1に示したサーバ装置における類似画像検索処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】本発明の一実施形態にかかる画像処理システムの変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0168】
2 カラー画像入力装置
3 カラー画像処理装置
4 カラー画像出力装置
5 通信装置
6 操作パネル
31 特徴点算出部
32 特徴量算出部
32a 特徴点抽出部
32b 不変量算出部
32c ハッシュ値算出部
33 投票処理部
34 類似度判定処理部
35 登録処理部
36 制御部
37 メモリ
100 画像処理システム
200 複合機
300 サーバ装置
300b ログ生成・検索処理部
311 データ受信部
312 解像度変換処理部
313 画像データ記憶部
314 文書照合処理部
315 特徴量記憶部
316 ジョブ情報記憶部
318 サーバ制御部(登録処理部)
400 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データからこの画像データに含まれる画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
登録画像の特徴量とこの登録画像の識別情報とを対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、
照合キー画像として指定された画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている登録画像のうち照合対象とする画像である1つ以上の照合対象画像の特徴量とを比較することで上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて上記照合キー画像に類似している類似画像を検索する類似画像検索部とを備えた画像処理装置であって、
照合キー画像の解像度を第1解像度と第1解像度とは異なる第2解像度とに変換する解像度変換部を備え、
上記類似画像検索部は、
上記特徴量抽出部が上記第1解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記特徴量抽出部が上記第2解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合キー画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記類似画像検索部は、
上記第1比較処理の結果に基づいて類似画像を検索する第1検索処理を行い、
上記第1検索処理では類似画像を特定できなかった場合に、上記第2比較処理の結果に基づいて類似画像を検索する第2検索処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記類似画像検索部は、
上記第1比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第1類似度算出処理と、
上記第2比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第2類似度算出処理とを行い、
上記第1類似度算出処理によって算出された類似度と上記第2類似度算出処理によって算出された類似度とを照合対象画像毎に加算した類似度に基づいて類似画像を検索することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記類似画像検索部は、
上記第1比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第1類似度算出処理と、
上記第2比較処理の結果に基づいて上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出する第2類似度算出処理とを行い、
上記第1類似度算出処理および上記第2類似度算出処理で算出した類似度のうち最大値を有する類似度に基づいて類似画像を検索することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記登録画像の画像データとこの登録画像の識別情報とを対応付けて記憶する画像データ記憶手段と、
上記画像データ記憶手段に記憶されている画像データを表示する表示部と、
上記表示部に表示されている画像の中から照合キー画像とする画像を選択するユーザからの選択指示を受け付ける操作入力部と、
上記特徴量記憶手段に登録画像の特徴量を記憶させるときに、上記解像度変換部によって第1解像度に変換された上記登録画像の特徴量をこの登録画像の識別情報と対応付けて上記特徴量記憶手段に記憶させ、上記解像度変換部によって第2解像度に変換された上記登録画像の画像データをこの登録画像の識別情報と対応付けて上記画像データ記憶部に記憶させる登録処理部とを備え、
上記第1比較処理を行うときに、
上記類似画像検索部は、上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合キー画像に対応する第1解像度の画像から抽出された特徴量と、上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較し、
上記第2比較処理を行うときに、
上記特徴量抽出部は、上記画像データ記憶手段に記憶されている上記照合キー画像に対応する第2解像度の画像データに基づいて照合キー画像の特徴量の抽出を行い、
上記類似画像検索部は、上記特徴量抽出部が上記照合キー画像に対応する第2解像度の画像データから抽出した上記特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記第2解像度は上記第1解像度よりも低い解像度であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像出力部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像データに対して所定の処理を施す画像処理装置と、この画像処理装置に対して通信可能に接続されたサーバ装置とを備えた画像処理システムであって、
画像データからこの画像データに含まれる画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
登録画像の特徴量とこの登録画像の識別情報とを対応付けて記憶する特徴量記憶手段と、
照合キー画像として指定された画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている登録画像のうち照合対象とする画像である1つ以上の照合対象画像の特徴量とを比較することで上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて上記照合キー画像に類似している類似画像を検索する類似画像検索部と、
照合キー画像の解像度を第1解像度と第1解像度とは異なる第2解像度とに変換する解像度変換部とが上記画像処理装置または上記サーバ装置に備えられるか、あるいは上記画像処理装置と上記サーバ装置とに分散して備えられており、
上記類似画像検索部は、
上記特徴量抽出部が上記第1解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合対象画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記特徴量抽出部が上記第2解像度に変換された照合キー画像から抽出した上記照合対象画像の特徴量と上記特徴量記憶手段に記憶されている上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
照合キー画像の特徴量と予め登録されている1つ以上の照合対象画像の特徴量とを比較することで上記照合キー画像と上記各照合対象画像との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて上記照合キー画像に類似している類似画像を検索する類似画像検索処理を行う画像処理方法であって、
照合キー画像の解像度を第1解像度と第1解像度とは異なる第2解像度とに変換する解像度変換工程と、
上記第1解像度に変換された照合キー画像から上記照合キー画像の特徴量を抽出する第1特徴量抽出工程と、
上記第2解像度に変換された照合キー画像から上記照合キー画像の特徴量を抽出する第2特徴量抽出工程と、
上記第1特徴量抽出工程で抽出した特徴量と上記照合対象画像の特徴量とを比較する第1比較処理の結果と、上記第2特徴量抽出工程で抽出した特徴量と上記照合対象画像の特徴量とを比較する第2比較処理の結果とに基づいて類似画像の検索を行う類似画像検索工程とを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置を動作させるための画像処理プログラムであって、コンピュータを上記各部として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理プログラムをコンピュータ読み取り可能に格納した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−277045(P2009−277045A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128128(P2008−128128)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】