画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体
【課題】ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿からのOCR精度を低下させないこととを、両立させることを実現する画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体を提供すること。
【解決手段】文字認識処理に先んじてドロップアウトカラー処理を行うドロップアウトカラー処理部を有する画像処理装置において、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定部と、該カラー判定部が、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部とを有する画像処理装置。
【解決手段】文字認識処理に先んじてドロップアウトカラー処理を行うドロップアウトカラー処理部を有する画像処理装置において、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定部と、該カラー判定部が、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部とを有する画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿が読み取られて生成された画像データの文字認識を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカラー複写機、複合機、ドキュメントスキャナ等の光学的に画像を読み取って処理する画像処理装置において、ドロップアウトカラー処理を行うことがある。ドロップアウトカラー処理は、OCR(Optical Character Recognition)における文字認識の精度向上を図ることを目的としている。具体的には、カラー枠線等、文字認識の精度低下の要因となる特定の色相(ドロップアウトカラー)を有する領域を消去し、文字認識に必要な黒文字のみを残す(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、カラー原稿を読み取って得られた画像データであるか、モノクローム原稿を読み取って得られた画像データであるかを判別した結果に基づいて、実行する画像処理を異ならせる画像処理装置がある。このような装置では、原稿がカラーであるのかモノクロームであるのかの情報をユーザが入力する手間を省くことができ、さらに、原稿がカラーであるかモノクロームであるかに基づく画像データの特性に応じた画像処理を実行することができる。
【0004】
ところで、出力する画像データがモノクロームの場合には、必ずドロップアウトカラー処理を実行するように設定されている画像処理装置がある。これは、ドロップアウトカラー処理が、手書き文字等の黒文字を読み取る文字認識の精度の向上を目的としているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−27213号公報
【特許文献2】特開2002−232708号公報
【特許文献3】特開平4−282968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モノクローム原稿を読み取った画像データにドロップアウトカラー処理を実行すると、色ずれが生じているときに、黒文字エッジがドロップアウトカラーの対象領域と判定されることがある。この結果、黒文字エッジが除去されてしまい、文字が細くなる、又は、文字がかすれる等の劣化が発生する。これは、文字認識の精度が低下する要因となる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿からのOCR精度を低下させないこととを、両立させる画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、文字認識処理に先んじてドロップアウトカラー処理を行うドロップアウトカラー処理部を有する画像処理装置において、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定部と、該カラー判定部が、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿から読み取られた画像データの文字認識の精度をドロップアウトカラー処理により低下させないこととを、両立させることができる。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定部を有し、前記制御部は、前記カラー判定部が前記入力画像データはカラー原稿から読み取られて生成されたと判定し、さらに、前記文字判定部が前記入力画像データに文字画像が含まれると判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、文字画像が含まれると判定された場合にドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を行うので、全体の処理に係る時間を短縮することができる。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定部を有し、前記制御部は、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域特定部が特定した領域に対応する領域に対し前記ドロップアウトカラー処理及び前記文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、ドロップアウトカラー処理を実行する領域を小さくすることができるので、全体の処理に係る時間を短縮することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記入力画像データに下地画像が含まれるか否かを判定する下地判定部と、前記下地判定部が、前記入力画像データは下地画像を含むと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対して下地除去を行う下地除去部とを有し、前記制御部は、前記下地除去部が下地除去した後の画像データに対し、ドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、原稿の下地の影響を排除してドロップアウトカラー処理を実行することができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明の何れか一つの画像処理装置を有し、さらに、画像データに対して媒体上に前記画像データの画像を形成するための画像処理を行う画像処理部と、該画像処理部が前記画像処理を実行した画像データの画像を媒体上に形成して出力させる画像形成部とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する画像形成装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像処理制御装置は、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるのかの判定、及び、文字認識処理に先んじて行われるドロップアウトカラー処理を実行するか否かの決定を実行する画像処理制御装置であって、前記入力画像データが、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部を有することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する画像処理制御装置を提供する。
【0020】
また、本発明に係る画像処理制御方法は、文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かを選択する、画像処理制御方法であって、画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するステップと、該ステップで、前記画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成されたと判定した場合に、前記画像データに係る画像データに対し前記ドロップアウトカラー処理を実行させることなく前記文字認識処理を実行させることを決定するステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する画像処理制御方法を提供する。
【0022】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かをコンピュータに選択させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定ステップと、該カラー判定ステップで、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップとをさらに実行させることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定ステップと、前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域判別ステップで特定された領域に対応する領域に対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップとをさらに実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るコンピュータプログラムにあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する。
【0026】
また、本発明に係る記録媒体は、本発明の何れか一つのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る記録媒体にあっては、本発明に係るコンピュータプログラムと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿からのOCR精度を低下させないこととを、両立させることを実現する画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置及び周辺の装置を説明する図である。
【図2】画像処理装置の詳細を説明する図である。
【図3】原稿判定部の機能構成の例を示すブロック図である。
【図4】ヒストグラムの例を示す図である。
【図5】下地除去の階調補正曲線を示す図である。
【図6】ドロップアウトカラー処理部の機能構成を示すブロック図であ。
【図7】γ補正テーブルを示す図である。
【図8】本実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。
【図9】文字認識を行う場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式とを示す図である。
【図10】文字認識を行わない場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式とを示す図である。
【図11】ドロップアウトカラー処理を説明するフローチャートである。
【図12】画像データにテキストデータを付加する処理を説明するフローチャートである。
【図13】モノクロームの画素のみで構成されている原稿に対して、ドロップアウトカラー処理が選択された場合の文字認識の例を示す図である。
【図14】本実施の形態に係る画像処理方法の異なる例を説明するフローチャートである。
【図15】ステップS203の原稿判定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図16】文字画像の領域に属する画素にドロップアウトカラー処理を行う処理を説明するフローチャートである。
【図17】文字画像の領域の画像データにテキストデータを付加する処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図18】本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。なお、以下の実施の形態では、輝度及び濃度の値がより小さい色がより暗い(濃い)色であり、輝度及び濃度の値がより大きい色がより明るい(薄い)色である。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置及び周辺の装置を説明する図である。図1の画像処理装置1は、画像入力装置5、画像出力装置6、及び、送受信装置8が接続される。
【0032】
画像処理装置1は、画像入力装置5から入力される画像データを処理して画像出力装置6又は送受信装置8に出力する。画像処理装置1の詳細は、後述する。
【0033】
画像入力装置5は、例えば、原稿を光学的に読み取って画像データを出力する。画像入力装置5は、CCD(Charge Coupled Device)を有する図示しないラインセンサを有する。ラインセンサは、原稿が反射する光をR(赤)、G(緑)、B(青)に色分解された電気信号、すなわち、カラー画像信号(RGBアナログ信号)を出力する。
【0034】
画像出力装置6は、画像処理装置1が出力する画像データから出力画像を形成して出力する。画像出力装置6に入力される画像データは、例えば、CMYK信号による画像データである。画像出力装置6は、例えば、電子写真方式プリンタ又はインクジェット方式プリンタ等の画像を媒体に形成する装置(プロッタ)である。
【0035】
送受信装置8は、画像出力装置6が出力する画像データを外部の装置に送信する。画像処理装置1から送受信装置8に入力される画像データは、例えば、PDF形式の画像データである。送受信装置8は、PDF形式の画像データを電子メールに添付しネットワークを介して他の装置に送信する。送受信装置8は、また、他の装置からの画像データ又は制御信号を受信する。
【0036】
図2は、画像処理装置1の詳細を説明する図である。
画像処理装置1は、画像処理部10、記憶部41、及び、制御部42を有する。画像処理部10は、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号をデジタル信号に変換して入力画像データを生成し、各種の画像処理を行い、処理された画像データを画像出力装置6又は送受信装置8に出力する。画像処理部10は、また、入力画像データ、又は、入力画像データが画像処理されて中間生成する中間画像データを、記憶部41に格納させる。
【0037】
記憶部41は、画像データを格納する。記憶部41が格納する画像データは、画像処理部10が処理する中間画像データである。記憶部41が格納する画像データは、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号が変換された入力画像データ、画像処理部10から画像出力装置6に対して出力される前の画像データ、及び、送受信装置8が送受信する画像データでもよい。
【0038】
記憶部41は、画像データを、例えば、JPEG圧縮アルゴリズムに基づいてJPEGコードに圧縮した後に格納する。記憶部41は、例えば、ハードディスク装置として構成されるとよい。
【0039】
制御部42は、記憶部41に画像データを格納させる制御、記憶部41が格納する画像データの管理、画像処理部10が有する各部の動作の制御を行う。制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、DSP(Digital Signal Processor)として構成される。
【0040】
画像処理部10は、アナログ・デジタル変換部(以下、「A/D変換部」という。)11、シェーディング補正部12、入力処理部13、原稿判定部14、下地除去部15、ドロップアウトカラー処理部16、色補正部17、黒生成/下色除去部18、空間フィルタ部19、出力階調補正部20、中間調生成部21、領域分離部22、文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33を有する。
【0041】
A/D変換部11は、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号を、デジタル信号に変換する。シェーディング補正部12は、デジタル信号に含まれている歪みを除去する。除去される歪みは、例えば、画像入力装置5が原稿を光学的に読み取る際の、照明系、結像系、及び、撮像系で生じる歪みである。入力処理部13は、デジタル信号に対しγ補正を行う。
【0042】
なお、シェーディング補正部12及び入力処理部13により処理された画像データを、入力画像データといい、入力画像データに対して、少なくとも一つ以上の画像処理が行われた後の画像データを中間画像データという。また、入力画像データと中間画像データとをあわせて処理画像データという。入力画像データは、JPEGコードに変換された後に、記憶部41に格納されるとよい。
【0043】
原稿判定部14は、入力画像データから、読み取られた原稿の特性を判定する原稿判定処理を実行する。原稿判定部14は、判定した結果を、原稿判別データとして出力する。原稿判定処理は、原稿種別の判別、下地の有無の判定、及び、カラー判定を含む。図3は、原稿判定部14の機能構成の例を示すブロック図である。原稿判定部14は、原稿種別判別部141、下地判定部143、及び、カラー判定部145を有する。なお、原稿判定部14は、原稿種別判別部141、及び、下地判定部143を有さなくてもよい。
【0044】
原稿種別判別部141は、原稿種別の判別を行う。より詳細には、例えば、読み取られた原稿が、文字画像を含むか否かを判別する。原稿種別判別部141は、例えば、読み取られた原稿の種別が、文字原稿、印刷写真原稿、及び、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿の何れの種別であるかを判定する。原稿種別判別部141は、例えば、特許文献2に記載の方法を用いて、原稿の種別を判別する。以下の(1)から(7)は、特許文献2に記載の方法の概要である。
【0045】
(1)注目画素を含むn×m(例えば、7×15)のブロックにおける最小濃度値、及び、最大濃度値を算出する。
(2)算出された最小濃度値及び最大濃度値を用いて最大濃度差を算出する。
(3)隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度(例えば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和)を算出する。
(4)算出された最大濃度差と最大濃度差閾値との比較及び算出された総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較を行う。
最大濃度差<最大濃度差閾値、及び、総和濃度繁雑度<総和濃度繁雑度閾値
のとき、注目画素は下地・印画紙写真領域に属すると判定する。
上記条件を満たさないとき、注目画素は文字・網点領域に属すると判定する。
【0046】
(5)下地・印画紙写真領域に属すると判定された画素について
注目画素が、
最大濃度差<下地・印画紙写真判定閾値
を満たすとき、下地画素であると判定し、上記条件を満たさないとき、印画紙写真(写真領域、連続階調領域)画素であると判定する。
【0047】
(6)文字・網点領域に属すると判定された画素について
注目画素が、
総和濃度繁雑度<最大濃度差に文字・網点判定閾値を掛けた値
の条件を満たすとき、文字画素であると判定し、上記条件を満たさないとき、網点画素であると判定する。
【0048】
(7)下地領域、印画紙写真領域、文字領域、及び、網点領域に分類された画素数をカウントし、それぞれのカウント値と予め定められている下地領域、印画紙写真領域、網点領域及び文字領域に対する閾値と比較して原稿全体の種別を判定する。例えば、文字、網点、印画紙写真の順に検出精度が高いとすると、文字領域の比率が全画素数の30%以上の場合には文字原稿、網点領域の比率が全画素数の20%以上の場合には網点原稿(印刷写真原稿)、印画紙写真領域の比率が全画素数の10%以上の場合には印画紙写真原稿であると判定する。また、文字領域の比率と網点領域の比率とが、それぞれ閾値以上であるとき、文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)であると判定する。
【0049】
原稿種別判別部141は、原稿種別の判別を行う際、全ての画素を対象とするのではなく、画素をサンプリングして原稿種別の判別を行ってもよい。原稿種別判別部141は、画素を識別する際、閾値付近の特徴量を有する画素を除外し、有意な特徴量を有する画素を選択して原稿種別の判別を行うようにしてもよい。
【0050】
原稿種別は、図示しない操作パネルからユーザが入力してもよい。操作パネルから入力される原稿種別の情報は、制御部42が取得する。
【0051】
下地判定部143は、読み取られた原稿が有する下地濃度を判定する。下地濃度は、例えば、原稿紙の色である。下地判定部143は、まず、RGB信号として入力されたデータから輝度信号を取得する。輝度信号の取得は、例えば、次式(1)を用いる。
Yj=0.30Rj+0.59Gj+0.11Bj・・・(1)
但し、Yj:各画素の輝度信号、
Rj、Gj、Bj:各画素の色成分
【0052】
輝度信号に代えて、CIE L*a*b*信号(CIE: Commission International de l’Eclairage :国際照明委員会。L*:明度、a*、b*:色度)等の均等色空間に変換して明度信号を求めても良い。
【0053】
下地判定部143は、求めた輝度信号又は明度信号に基づいて、画像全体のヒストグラムを作成する。図4は、ヒストグラムの例を示す図である。作成したヒストグラム中で、最も頻度が高く、度数が閾値th1以上の輝度又は明度を下地部分とみなし、このときの輝度又は明度Yfと予め設定した閾値th2とを比較する。
【0054】
なお、閾値th1は、下地と判断される画素数の最小値である。閾値th1は、例えば、原稿サイズと下地と判断される画素数の最小値とを対応付けて格納しておき、原稿サイズの検知結果に対応づけて設定されるとよい。また、閾値th2は、下地と判断する濃度値の上限値である。
【0055】
下地判定部143は、Yf≦th2の場合には、下地の濃度(輝度又は明度)が閾値を下回っている、すなわち、下地が検知されていると判定する。下地判定部143は、それ以外の場合には下地が所定の濃度(輝度又は明度)以上である、すなわち、下地なしと判定する。
【0056】
下地判定部143は、また、読み取られた原稿が、無地の原稿(ブランク原稿)であるか否かの判定を行う。
【0057】
下地判定部143による判定結果に基づいて、下地除去部15が下地除去を行う。
【0058】
カラー判定部145は、入力画像データに対して、自動カラー判定処理(以下、「ACS(Auto Color Selection)」という。)を行う。ACSは、カラー原稿から読み取られた画像データと、モノクローム原稿から読み取られた画像データとの何れであるかを判定する処理である。
【0059】
カラー判定部145は、例えば、操作者により選択されたカラーモードが「自動」である場合に、ACSを実行する。カラーモードは、例えば、操作パネルの初期画面より、フルカラー、自動、白黒のうちの何れかが操作者により選択される。カラー判定部145は、また、全ての入力画像データに対してACSを行ってもよい。
【0060】
ACSは、例えば、特許文献3に記載されている方法を適用するとよい。特許文献3に記載の方法によれば、画素毎にカラー画素であるかモノクローム画素であるかを判定し、与えられる画素順で所定数以上の連続するカラー画素の存在が検知されると、この連続カラー画素分をカラーブロックと認識し、1ライン中に所定数以上のカラーブロックが存在していれば、そのラインをカラーラインとして計数する。そして、一枚の原稿から読み取られた入力画像データにカラーラインが所定数存在していればカラー原稿と判定し、そうでない場合はモノクローム画像と判定する。
【0061】
カラーブロックであるか否かを判定する際の連続カラー画素数、及び、カラー原稿と判定する際のカラーラインの所定数は、カラー原稿と判定する基準に基づいて適切に設定すれば良い。カラー原稿と判定する基準は、例えば、原稿中含まれているカラー画素の数又は割合である。カラー原稿と判定する基準は、予め設定しておくとよい。
【0062】
上記の方法において、画素毎にカラー画素であるかモノクローム画素であるかの判定は、例えば、以下の(1)(2)等の公知の方法を使用するとよい。
(1)RGB信号の最大値と最小値を閾値THaと比較する方法
max(R,G,B)−min(R,G,B)≧THa(例えば、20)
(2)RGB信号の各色成分の差分の絶対値を求めて閾値と比較する方法
【0063】
原稿種別判別部141、下地判定部143、及び、カラー判定部145による判定結果は、原稿判別データとして出力される。より詳細には、原稿種別判別部141による原稿種別の情報は、色補正部17、空間フィルタ部19、及び、中間調生成部21に出力される。下地判定部143による下地の有無の情報は、下地除去部15に出力される。カラー判定部145によるカラー原稿かモノクローム原稿かの情報は、ドロップアウトカラー処理部16、色補正部17、空間フィルタ部19、及び、中間調生成部21に出力される。
【0064】
図2に戻り、領域分離部22は、領域分離処理を行う。より詳細には、入力画像データのうち、文字画像を含む領域を他の領域と区別して特定する情報を出力する。領域分離部22は、例えば、入力画像データの各画素が含まれる領域の種類を判定する。領域の種類は、例えば、黒文字領域、色文字領域、及び、網点領域である。判定された結果は、領域の種類を識別するデータである領域分離データとして出力される。
【0065】
下地除去部15は、入力画像データに対し下地除去を行う。下地除去は、下地判定部143による下地の濃さの判定結果、又は、図示しない操作パネルから入力される下地の濃さの設定情報の基づいて行われるとよい。下地除去部15は、例えば、図5に示す下地除去の階調補正曲線を選択し、入力画像データの下地除去を行う。なお、下地の濃さの設定情報とは、例えば、下地の濃さを段階によって表す場合の、濃さの段階の情報である。
【0066】
ドロップアウトカラー処理部16は、下地除去された中間画像データから、消去色を除去するドロップアウトカラー処理を実行する。なお、ドロップアウトカラー処理部16は、下地除去されていない入力画像データに対して、ドロップアウトカラー処理を実行してもよい。
【0067】
消去色は、例えば、「赤」又は「有彩色」等の所定の色相である。消去色は、図示しない操作パネルから入力される情報に基づいて決定されるとよい。
【0068】
図6は、ドロップアウトカラー処理部16の機能構成を示すブロック図である。ドロップアウトカラー処理部16は、輝度彩度算出部161、色判定部163、有彩無彩判定部165、及び、指定色消去部167を有する。
【0069】
輝度彩度算出部161は、処理画像データ(RGBデータ)に対して輝度(Lum)と彩度(Chroma)とを計算する。計算式は例えば次式(2)を用いるとよい。
【0070】
【数1】
【0071】
但し、In_R,In_G,In_Bは処理画像データのR値、G値、B値(画素値)、
Coefficient_R、Coefficient_G、Coefficient_Bは予め設定される係数である。例えば、以下の値を用いればよい。
【0072】
【数2】
【0073】
色判定部163は、処理画像データに対して色判定処理を行う。色判定処理は、消去色であるか否かを判定する処理である。消去色は、例えば、ユーザにより予め設定されるとよい。色判定部163は、消去色が「有彩」の場合、すなわち、無彩でない全ての色が消去される場合には、色判定処理を行わない。
【0074】
色判定処理は、例えば、入力RGB値の大小関係を比較することにより行えばよい。下記表1は消去色における大小比較の方法を示したものである。例えば、消去色が赤色の場合、次式(3)が満足される場合に、その画素が赤色であると判定する。
【0075】
【数3】
【0076】
【表1】
【0077】
式(3)及び表1において、R_JudgeRは消去色が赤色の場合の入力値Rに対する閾値である。G_JudgeGは消去色が緑色の場合の入力値Gに対する閾値である。B_JudgeBは消去色が青色の場合の入力値Bに対する閾値である。表1に示す条件を満たす場合に、その画素は消去色であると判定する。閾値は、例えば下記表2に示す値を設定すればよい。
【0078】
【表2】
【0079】
有彩無彩判定部165は、色判定部163が判定した色判定情報と輝度彩度算出部161が算出した彩度情報とを用いて、画素毎に有彩画素と無彩画素との何れであるか判定を行う。例えば、有彩と判定する画素は、色判定情報により消去色とされ、かつ、彩度値が一定値(例えば、10)以上の画素であり、無彩と判定する画素は上記以外とするとよい。
【0080】
指定色消去部167は、輝度彩度算出部161が算出した輝度と彩度とを用いて指定色消去処理を行う。R、G、Bそれぞれの出力値である、Out_R、Out_G、及び、Out_Bは、次式(4)により得られる。
【0081】
【数4】
【0082】
但し、Coefficient_OutR、Coefficient_OutG、及び、Coefficient_OutBは、予め設定されている係数であり、例えば20とすればよい。
【0083】
なお、ユーザが消去色を指定する場合には、指定された消去色の画素を色判定部163が指定色と判断し、その画素を有彩無彩判定部165が有彩と判定する。一方、無彩と判定された画素に対しては、Chroma=0とする。
【0084】
有彩と判定された画素、あるいは、指定色の画素は、Chromaの値は、10より大きい値(例えば、30や40)になり、Out_R、Out_G、Out_Bの値は、255より大きくなり255にクリップされ、白色になる。
【0085】
また、無彩色の画素は、Lum、Chromaが小さく、Out_R、Out_G、Out_Bは同じ値又は近い値になり、無彩色のまま出力される。指定色ではない画素は、Chromaが「0」に設定されるので、RGBそれぞれの輝度情報のみとなり、無彩色で出力される。
【0086】
色補正部17は、文字認識が行われる場合には、下地除去部15又はドロップアウトカラー処理部16が処理した処理画像データを、図示しない表示装置の表示特性に適合する画像データに変換する。例えば、RGB画像データを、sRGB画像データに変換する。色補正部17は、コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合には(文字認識が行われない場合には)、ドロップアウトカラー処理が行われていない処理画像データに対し、RGBの補色であるCMY画像データに変換する。色補正部17は、原稿判別データに基づいて、原稿種別毎に異なる色補正処理を行ってもよい。色補正部17は、カラー原稿かモノクローム原稿かの情報に基づいて、色補正処理を異ならせてもよい。
【0087】
黒生成/下色除去部18は、コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合には、色補正部17によりCMYK画像データに変換された処理画像データに対し、下色除去を行い、CMYK画像データに変換する。
【0088】
空間フィルタ部19は、領域分離部22から出力される領域分離データに基づいて、処理画像データに含まれる領域毎に、対応するフィルタ処理を行う。フィルタ処理は、例えば、強調処理、平滑化処理である。なお、空間フィルタ部19は、原稿判別データに基づいて、原稿種別毎に異なるフィルタ処理を行ってもよく、カラー原稿かモノクローム原稿かの情報に基づいて、フィルタ処理を異ならせてもよい。
【0089】
出力階調補正部20は、文字認識が行われる場合には、領域分離データに基づいて、処理画像データに含まれる領域毎に、階調補正(γ補正)を行う。図7は、γ補正テーブルを示す図である。図7Aは、文字領域に用いるγ補正テーブルであり、図7Bは、文字以外の領域に用いるγ補正テーブルである。コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合には、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理がなされる。
【0090】
中間調生成部21は、コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合にCMYK画像データに対する階調再現処理を行う。中間調生成部21は、領域分離データに基づいて、領域の種類毎に対応する階調表現方法による中間調を生成する。中間調生成部21は、また、領域分離データに代えて、原稿判別データに基づいて、原稿種別毎に異なる階調表現方法を用いてもよい。中間調生成部21は、カラー原稿かモノクローム原稿かの情報に基づいて、階調表現方法を異ならせてもよい。
【0091】
文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33は、処理画像データにテキストデータを付加する処理を行う。文字認識部31は、処理画像データの中に含まれる文字画像を認識してテキストデータを生成する。文字認識部31には、出力階調補正部20から出力されるsRGB画像データの処理画像データが入力される。この処理画像データは、下地除去部15による下地除去が行われていてもよく、下地除去が行われていなくてもよい。
【0092】
文字認識部31は、画像データを低解像度の白黒2値のデータに変換する。より詳細には、例えば、sRGB画像データから、8ビットで表される輝度値を算出し、128を閾値として2値化を行う。なお、複数の画素からなるブロック毎に、輝度の平均値を2値化の閾値としてもよい。ブロックは、例えば、縦横5画素からなる。解像度変換は、2値化された画像データに対し、ニアレストネイバー法、バイリニア法、又は、バイキュービック法を用いる。文字認識部31は、さらに、低解像度の白黒2値のデータから、画像データの特徴量を抽出し、辞書データと比較して文字認識を行う。
【0093】
文字認識部31は、例えば、文字認識処理を行う1つのICとして構成される。なお、輝度値の算出、2値化、及び、解像度変換は、文字認識部31が実行する他に、輝度値の算出、2値化、及び、解像度変換を行う各部を設けてもよい。
【0094】
描画コマンド生成部32は、文字認識された結果に基づいて、処理画像データの上に非表示コンテンツを配置するための描画コマンドを生成する。非表示コンテンツとは、例えば、PDFの透明テキストである。
【0095】
フォーマット化処理部33は、処理画像データのイメージに非表示コンテンツが付加されたフォーマットを生成する。出力階調補正部20が出力する階調補正後の処理画像データをイメージ化し、描画コマンド生成部32が出力する描画コマンドにより、非表示コンテンツを付加する。イメージは、例えば、PDF形式であり、非表示コンテンツは、透明テキストである。
【0096】
非表示コンテンツが付加されたイメージは、送受信装置8から他の装置に対して送信される。例えば、非表示コンテンツが付加されたイメージが、図示しないメール処理部により電子メールに添付される形式にされた後に、送受信装置8から電子メールとしてネットワークを介して送信される。また例えば、非表示コンテンツが付加されたイメージが、記憶部41に格納されてもよい。電子メール送信、及び、記憶部41への格納の何れを行うかは、例えば、ユーザにより選択され入力される設定に基づく。ユーザが、電子メール送信を選択している場合には、電子メール送信が行われ、ファイリングモードを選択している場合には、記憶部41へ格納される。
【0097】
図8は、本実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。図8の画像処理方法は、画像処理装置1により実行される。図8のステップS101からステップS108の処理は、文字認識を行う場合の処理であり、図8のステップS101及びステップS109は、文字認識を行わない場合の処理である。文字認識を行う場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式を図9に示す。文字認識を行わない場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式を図10に示す。
【0098】
図8のステップS101では、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号に対し、前処理が実行される。前処理は、A/D変換部11によるアナログ/デジタル変換処理、シェーディング補正部12によるデジタル信号に含まれている歪みを除去する処理、及び、入力処理部13により実行されるγ補正処理である。ステップS101の処理により、入力画像データが生成される。
【0099】
ステップS101に続いてステップS102に進み、制御部42が、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されているか否かを判断する。この選択は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されている場合には、ステップS103へ進み、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されていない場合には、ステップS109へ進む。
【0100】
ステップS102に続くステップS103では、制御部42が、消去色を指定する。消去色の指定は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。ステップS103に続いてステップS104に進み、原稿判定部14のカラー判定部145が、入力画像データに対しACSを実行する。
【0101】
ステップS104に続いてステップS105に進み、制御部42が、入力画像データが、カラー原稿を読み取って生成されたか否かの情報を、カラー判定部145によるACSの結果から取得する。カラー原稿が読み取られたものである場合には、ステップS106に進み、カラー原稿が読み取られたものではない場合には、ステップS107へ進む。
【0102】
ステップS105に続くステップS106では、ドロップアウトカラー処理部16が、ドロップアウトカラー処理を行う。図11は、ドロップアウトカラー処理を説明するフローチャートである。図11の処理は、ドロップアウトカラー処理部16により実行される。
【0103】
図11のステップS11では、輝度彩度算出部161が、中間画像データに対して輝度と彩度とを算出する。ステップS12では、制御部42が、有彩色を抽出して消去することが選択されているか否かを判定する。この選択は、例えば、予めユーザが図示しない操作パネルから入力することにより、設定される。選択されている場合には、ステップS13に進み、選択されていない場合には、ステップS14に進む。
【0104】
ステップS13では、色判定部163が、処理画像データに含まれる画素毎に、消去色であるかを判定する色判定処理を行う。ステップS14では、有彩無彩判定部165が、ステップS11で算出された彩度を利用して、画素毎に有彩か無彩かの判定処理を行う。ステップS15では、指定色消去部167が、ステップS14で判定された画素毎の有彩、無彩の結果に基づいて、指定色を消去する、すなわち、有彩と判定された画素を白色に変換する処理を行う。これにより、指定された色あいが消去された画像が作成される。
【0105】
なお、ステップS15において領域分離部22が実行する有彩無彩判定の結果を用いてもよい。この場合、ステップS14の処理は省略することができる。
【0106】
図8に戻り、ステップS106又はステップS105に続くステップS107では、文字認識のための画像処理が実行される。文字認識のための画像処理は、色補正部17、空間フィルタ部19、及び、出力階調補正部20により実行される。
【0107】
ステップS107に続いてステップS108に進み、画像データにテキストデータを付加する処理が実行される。より詳細には、先ず、処理画像データに含まれる文字画像を認識して対応するテキストデータ得た後、そのテキストデータを処理画像データのイメージに付加する。図12は、画像データにテキストデータを付加する処理を説明するフローチャートである。図12の処理は、文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33により実行される。
【0108】
図12のステップS21では、文字認識部31が、文字認識処理を行う。ステップS22では、描画コマンド生成部32が、ステップS21で認識された文字に対応する描画コマンドを生成する。描画コマンドは、例えば、透明テキストである。ステップS23では、フォーマット化処理部33が、ステップS22で生成された描画コマンドにより、非表示コンテンツが付加されたイメージを生成する。
【0109】
図8に戻り、ステップS108の処理の後、送受信装置8により非表示コンテンツが付加された画像データが、他の装置に送信される。
【0110】
一方、ステップS102に続くステップS109では、選択されたモードに応じた画像処理が実行される。選択されたモードとは、例えば、コピーモードであり、実行される画像処理は、例えば、画像データの画像を媒体上に形成して出力するための画像処理である。この画像処理は、原稿判定部14、領域分離部22、下地除去部15、色補正部17、黒生成/下色除去部18、空間フィルタ部19、出力階調補正部20、及び、中間調生成部21により実行される。
【0111】
ステップS109において、各部が実行する処理は、以下の通りである。色補正部17は、RGB形式の処理画像データから、CMY形式の処理画像データを生成し、コピー出力をする際の色再現性を高める処理を行う。黒生成/下色除去部18は、CMY形式の処理画像データから、CMYK形式の処理画像データを生成する。空間フィルタ部19は、処理画像データに対し、強調処理及び平滑化処理を行う。出力階調補正部20は、用紙等の記録媒体に出力するためのγ補正を行う。中間調生成部21は、階調再現処理を行う。
【0112】
ステップS109において、領域分離部22は、入力画像データの各画素が、黒文字、色文字、網点、印画紙写真(連続階調領域)等の領域種別の何れであるかを判定し、領域分離データを出力する。領域分離データは、黒生成/下色除去部18、空間フィルタ部19、及び、中間調生成部21に入力され、それぞれの部において、各領域種別に応じた処理の切り替えが行われる。
【0113】
ステップS109において、中間調生成部21から出力されるCMYK形式の処理画像データは、画像出力装置6に入力され、媒体上に画像が形成される。
【0114】
ドロップアウトカラー処理は文字認識の精度を高めるための一機能であり、原稿中からカラーの枠線など認識精度に影響を与える情報を消去させる処理である。そのため、前述の画像処理装置においては例えば文字モードと呼ばれる文字優先の処理が実施され、また、出力される画像データはモノクローム画像でよいため、モノクローム出力モードかつ文字モード時にドロップアウトカラー処理が選択されることがある。しかし、例えば、モノクロームの画素のみで構成されている原稿に対して、ドロップアウトカラー処理を実行した後に、文字認識処理を行うと、文字がかすれたり、途切れたりするなど、文字再現性の悪化を招き、それが文字認識の精度の低下につながる恐れがある。
【0115】
図13は、モノクロームの画素のみで構成されている原稿に対して、ドロップアウトカラー処理が選択された場合の文字認識の例を示す図である。図13には、処理画像データに含まれているアルファベット文字「H」の文字画像が示されている。原稿中の文字がコンポジットグレー(C・M・Yで構成されるグレー)で構成されている場合や、画像入力装置の読取ズレがある場合は、本来であれば、R、G、Bの値が等しい値か近い値になるべきところ、互いに異なる値になることがある。
【0116】
例えば、図13の斜線のハッチングが付された部分C1は、
R=G=B又はR≒G≒B
であり、図13の黒塗り部分C2は、
R≠G≠B
である。
【0117】
この場合、式(2)に基づく判定では、図13の黒塗り部分C2は有彩と判定されやすくなり、有彩と判定された画素は消去されるため、文字がかすれたり、途切れたりする。そこで、ステップS104のACSの結果に基づいて、ステップS105において、モノクロームと判定された場合はステップS106のドロップアウトカラー処理をせず、ステップS108の画像データにテキストデータを付加する処理をさせるようにすればよい。あるいは、ACSを手動で選択する機能を有する画像形成装置の場合、ドロップアウトカラー処理が選択された場合にはACSを必ず実行させるようにし、モノクローム原稿に対してドロップアウトカラー処理がなされないようにしてもよい。
【0118】
ACSでも有彩、無彩判定が行われるが、ACSでは原稿全体の有彩画素数からカラーかモノクロームかの判定を行っているため、ドロップアウトカラー処理のように局所的に有彩画素が増えてもカラーと判定されにくいため、コンポジットグレーや色ずれがACSの判定に大きな影響は与えない。
【0119】
図14は、本実施の形態に係る画像処理方法の図8とは異なる例を説明するフローチャートである。図14の画像処理方法は、画像処理装置1により実行される。図14において、ステップS201からステップS211の処理に係る各部及び各部から出力される画像データの形式は、図9に示す。また、図14において、ステップS201及びステップS220の処理に係る各部及び各部から出力される画像データの形式は、図10に示す。
【0120】
図14のステップS201では、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号に対し、前処理が実行される。前処理は、A/D変換部11によるアナログ/デジタル変換処理、シェーディング補正部12によるデジタル信号に含まれている歪みを除去する処理、及び、入力処理部13により実行されるγ補正処理である。ステップS201の処理により、入力画像データが生成される。
【0121】
ステップS201に続いてステップS202に進み、制御部42が、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されているか否かを判断する。この選択は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されている場合には、ステップS203へ進み、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されていない場合には、ステップS220へ進む。
【0122】
ステップS202に続くステップS203では、原稿判定部14が、原稿判定処理を行う。より詳細には、原稿種別の判別、下地の有無の判定、及び、カラー判定を行う。図15は、ステップS203の原稿判定処理の詳細を説明するフローチャートである。図15のステップS31では、原稿種別判別部141が、原稿種別を判別する。判別される原稿種別は、例えば、文字原稿、印刷写真原稿、及び、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿である。
【0123】
ステップS31に続いてステップS32に進み、下地判定部143が、下地判定処理を行う。より詳細には、入力画像データが下地を含むか否かを判定する。ステップS32に続いてステップS33に進み、カラー判定部145が、ACSを行う。すなわち、読み取られた原稿が、カラー原稿とモノクローム原稿との何れであるかを判定する。
【0124】
図14に戻り、ステップS203に続いてステップS204に進み、制御部42が、ステップS31の判定結果に基づいて、処理画像データに、文字画像が含まれているか否かを判定する。文字画像が含まれている場合には、ステップS205に進み、文字画像が含まれていない場合には、処理を終了する。なお、文字画像が含まれていない場合には、ステップS220と同様の処理を実行してもよい。
【0125】
ステップS204に続くステップS205では、領域分離部22が、領域分離処理を行う。ステップS205に続いてステップS206に進み、下地除去部15が、下地除去処理を行う。下地除去は、ステップS32で下地があると判定されている場合に実行されるとよい。ステップS206に続いてステップS207に進み、制御部42が、消去色を指定する。消去色の指定は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。
【0126】
ステップS207に続いてステップS208に進み、制御部42が、入力画像データが、カラー原稿を読み取って生成されたものであるか否かの情報を、カラー判定部145によるACSの結果から取得する。カラー原稿が読み取られたものである場合には、ステップS209に進み、カラー原稿が読み取られたものではない場合には、ステップS210へ進む。
【0127】
ステップS208に続くステップS209では、ドロップアウトカラー処理部16が、文字画像の領域に属する画素にてドロップアウトカラー処理を行う。図16は、ステップS209で行われる文字画像の領域に属する画素にドロップアウトカラー処理を行う処理を説明するフローチャートである。図16の処理は、ドロップアウトカラー処理部16により実行される。
【0128】
図16のステップS41では、制御部42が、処理画像データの画素毎にその画素が文字画像の領域に含まれているか否かを判定する。この判定は、ステップS205の領域分離処理の出力に基づいて、入力画像データの処理画像データの画素と対応する画素が、文字画像の領域に含まれているか否かを判定することにより行われる。文字画像の領域に含まれている画素の場合は、ステップS42に進み、文字画像の領域に含まれていない場合には、ステップS47に進む。
【0129】
ステップS41に続くステップS42からステップS46の処理は、図11のステップS11からステップS15の処理を一画素に対して行うものであるので、ここでは説明を省略する。
【0130】
ステップS41又はステップS46に続くステップS47では、制御部42が、処理画像データに含まれている全画素の処理を終了したか否かを判定する。終了している場合には、処理を終了する。終了していない画素がある場合には、ステップS41に戻り、未処理の画素に対するステップS41からステップS47の処理を繰り返す。
【0131】
図14に戻り、ステップS208又はステップS209に続くステップS210では、文字認識のための画像処理が行われる。この処理は図8のステップS107の処理と同一である。
【0132】
ステップS210に続いてステップS211に進み、文字画像の領域の画像データにテキストデータを付加する処理を行う。図17は、ステップS211で実行される文字画像の領域の画像データにテキストデータを付加する処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0133】
図17の処理は、制御部42、文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33により実行される。図17のステップS51では、制御部42が、領域分離部22が出力した領域分離データに基づいて、分離された領域毎に、その領域が文字画像の領域か否かを判定する。文字画像の領域の場合には、ステップS52に進み、文字画像の領域では無い場合には、ステップS55に進む。
【0134】
ステップS51に続くステップS52からステップS54の処理は、図12の処理と略同一である。より詳細には、図12の処理は、一枚の原稿を読み取って得られた画像に対応する画像データに対して実行するのに対し、ステップS52からステップS54の処理は、一枚の原稿を読み取って得られた画像に対応する画像データの中の、一つの文字画像の領域に対して実行する。
【0135】
ステップS54に続いてステップS55に進み、制御部42が、未処理の領域の有無を確認する。未処理の領域がある場合には、ステップS51に戻って未処理の領域に対する処理を繰り返す。未処理の領域がない場合には、処理を終了する。
【0136】
図14に戻り、ステップS202に続くステップS220の処理は、図8のステップS109の処理と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0137】
図14では、原稿種別の判別とドロップアウトカラー機能とを組み合わせて実行する。ドロップアウトカラー処理の対象となる原稿にはカラーの文字が存在していることから、原稿種別の判別と組み合わせて、原稿中に文字が存在している「文字原稿」、「文字印刷写真原稿」、「文字印画紙原稿」に判定された場合のみ、ドロップアウトカラー処理を実施することができる。すなわち、文字原稿、文字印刷写真原稿、文字印画紙写真原稿と判定された場合、領域分離部22が文字(又は文字エッジ)と判定された画素を抽出して、ドロップアウトカラー処理を行うようにすれば良い。
【0138】
なお、領域分離処理は、上記した原稿種別の判別の(1)〜(6)の方法を用いるとよい。これにより、ドロップアウトカラー処理の対象外となる文字が存在しない原稿に対しては、例えば、ドロップアウトカラー設定を無効にして出力する、又は、出力しないとすればよい。
【0139】
以上では、原稿判定部14と領域分離部22とを備える構成の場合について説明を行っているが、領域分離部22のみを備える構成であっても良い。すなわち、上記原稿種別の判別の(1)〜(6)の方法を用いて領域分離処理を行い、文字(又は文字エッジ)と判定された画素を抽出して、ドロップアウトカラー処理を行うようにしても良い。
【0140】
図14では、また、下地除去とドロップアウトカラー機能とを組み合わせて実行する。
例えば、新聞などに代表される淡い下地や裏写りが原稿に残っている画像データの場合、文字認識の際に下地や裏写りを文字と誤認識する可能性がある。そこで、下地除去処理を行うことにより文字でない情報を無くすことができ、文字認識の精度を高められる。
【0141】
下地除去は原稿判定部14の下地判定結果に基づいて、下地除去部15が行う。具体的には図5で示されるように原稿判定部での下地判定結果に基づいて下地を除去するような階調補正曲線が選択され、下地が除去される。
【0142】
下地除去部15は、ドロップアウトカラー処理部16より前に設けられてもよく、ドロップアウトカラー処理部16より後段に設けられてもよい。下地除去を行った後にドロップアウトカラー処理を行うとドロップアウトカラー処理及び文字認識の精度が向上する。また、ドロップアウトカラー処理を行った後に下地除去を行うと文字認識の精度が向上する。ドロップアウトカラー処理の結果が良くなると、文字認識の精度も向上するので、前者の構成を採用するのが好ましい。
【0143】
図18は、本実施の形態に係る画像形成装置900のハードウェア構成の例を説明する図である。図18の画像形成装置900は、画像処理部910、スキャナ920、ハードディスク装置930、ドライブ装置940、及び、プリンタ980を有する。画像処理部910は、画像処理部910に接続される各部の制御、及び、画像形成装置900が出力する画像データを処理する。
【0144】
画像処理部910は、CPU901、ROM902、RAM903、画像処理ASIC904、文字認識IC905、スキャナインタフェース(以下、「スキャナI/F」という。)912、HDDインタフェース(以下、「HDD−I/F」という。)913、ドライブインタフェース(以下、「ドライブI/F」という。)914、プリンタインタフェース(以下、「プリンタI/F」という。)918、及び、通信インタフェース(以下、「通信I/F」)という。)919を有する。
【0145】
CPU901は、コンピュータプログラムを実行することにより、画像処理部910の各部、及び、画像処理部910に接続される各部の制御を行う。ROM902は、例えば、CPU901が実行するコンピュータプログラムを格納する。ROM902は、また、画像処理ASIC904、文字認識IC905、及び、CPU901がコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能により処理される画像データを格納してもよい。
【0146】
CPU901は、また、原稿自動判定処理、描画コマンド生成処理、及び、非表示コンテンツが付加されたイメージの生成処理を行う機能を実現してもよい。
【0147】
RAM903は、画像処理ASIC904、文字認識IC905、及び、CPU901がコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能により処理される画像データを格納する。
【0148】
画像処理ASIC904は、画像データに対する各種処理を行う。画像処理ASIC904は、例えば、領域分離処理、下地除去処理、色補正処理、黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、出力階調補正処理、及び、中間調生成処理の何れか一以上の処理を行う。文字認識IC905は、文字認識処理を行う。
【0149】
スキャナI/F912は、スキャナ920から入力される画像データを受け取り、スキャナ920の特性に応じた画像処理を行う。HDD−I/F913は、CPU901の制御に基づいて、HDD930に格納される画像データの入出力を行う。ドライブI/F914は、ドライブ装置940に挿入される可搬性記録媒体941に対するデータの入出力を行う。
【0150】
プリンタI/F918は、画像処理部910が処理した画像データを、プリンタ980に出力する際のインタフェースである。通信I/F919は、画像処理部910からネットワーク990を介して他の装置と画像データ又は制御信号を通信する際のインタフェースである。
【0151】
スキャナ920は、媒体上に画像が形成されている原稿を光学的に読み取って画像データを出力する。スキャナ920が出力する画像データは、アナログ信号でもよく、アナログ信号が変換されたデジタル信号でもよい。
【0152】
HDD930は、画像処理部910が処理する画像データを格納する。HDD930は、例えば、スキャナ920から入力される画像データ、通信I/F919から入力される画像データ、及び、CPU901、画像処理ASIC904、及び、文字認識IC905の処理により生成される中間画像データを格納する。ドライブ装置940は、可搬性記録媒体941が挿入されることにより、可搬性記録媒体941に対するデータの書き込み及び読み出しを行う。可搬性記録媒体941には、例えば、CPU901が実行するコンピュータプログラムが格納される。
【0153】
プリンタ980は、画像処理部910により処理された画像データを、媒体上に形成して出力する。
【0154】
<コンピュータプログラム及び記録媒体>
本実施の形態の画像処理装置は、コンピュータがプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を実行することにより実現されてもよい。本実施の形態の記録媒体は、プログラムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、各種パラメータについて、設定確認画面にて設定条件の確認を行う画像処理方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録するものとすることもできる。各種パラメータは、例えば、(1)プレビュー画像に反映されないパラメータ、(2)プレビューしても効果が分からないパラメータである。
【0155】
本実施の形態に係る画像処理方法を行うためのプログラムを記録した記録媒体は、持ち運び自在に提供することができる。
【0156】
なお、記録媒体は、マイクロコンピュータが処理を行うためのプログラムコードが記録された、図示していないメモリ、例えばROMでもよい。記録媒体は、また、図示していない外部記憶装置として設けられるプログラム読み取り装置に挿入することによりコンピュータが読み取り可能なプログラムメディアでもよい。
【0157】
記録媒体に格納されているプログラムコードは、マイクロプロセッサが記録媒体にアクセスして実行させる構成でもよい。また、記録媒体からプログラムコードが読み出され、図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムコードが実行されてもよい。ダウンロード用のプログラムは予め装置に格納されているものとする。
【0158】
記録媒体としてのプログラムメディアは、装置と分離可能に構成される。例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、及び、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体の何れでもよい。
【0159】
また、本実施の形態の画像処理装置は、インターネットを含む通信ネットワークを接続することができるシステム構成でもよく、この場合、記録媒体は、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする際に流動的にプログラムコードを担持する媒体でもよい。なお、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、又は、別な記録媒体からインストールされるものでもよい。なお、本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0160】
以上の実施の形態で説明する各部と、請求項に係る構成との対応は、以下の通りである。「カラー判定部」は、「カラー判定部145」に対応する。「制御部」は、「制御部42」に対応する。「文字判定部」は、「原稿種別判別部141」に対応する。「文字領域特定部」は、「領域分離部22」に対応する。「下地判定部」は、「下地判定部143」に対応する。「下地除去部」は、「下地除去部15」に対応する。
【0161】
以上、発明を実施するための形態について説明を行ったが、本発明は、この発明を実施するための形態で述べた実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 画像処理装置
5 画像入力装置
6 画像出力装置
8 送受信装置
10 画像処理部
11 A/D変換部
12 シェーディング補正部
13 入力処理部
14 原稿判定部
141 原稿種別判別部
143 下地判定部
145 カラー判定部
15 下地除去部
16 ドロップアウトカラー処理部
161 輝度彩度算出部
163 色判定部
165 有彩無彩判定部
167 指定色消去部
17 色補正部
18 黒生成/下色除去部
19 空間フィルタ部
20 出力階調補正部
21 中間調生成部
22 領域分離部
31 文字認識部
32 描画コマンド生成部
33 フォーマット化処理部
41 記憶部
42 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿が読み取られて生成された画像データの文字認識を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカラー複写機、複合機、ドキュメントスキャナ等の光学的に画像を読み取って処理する画像処理装置において、ドロップアウトカラー処理を行うことがある。ドロップアウトカラー処理は、OCR(Optical Character Recognition)における文字認識の精度向上を図ることを目的としている。具体的には、カラー枠線等、文字認識の精度低下の要因となる特定の色相(ドロップアウトカラー)を有する領域を消去し、文字認識に必要な黒文字のみを残す(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、カラー原稿を読み取って得られた画像データであるか、モノクローム原稿を読み取って得られた画像データであるかを判別した結果に基づいて、実行する画像処理を異ならせる画像処理装置がある。このような装置では、原稿がカラーであるのかモノクロームであるのかの情報をユーザが入力する手間を省くことができ、さらに、原稿がカラーであるかモノクロームであるかに基づく画像データの特性に応じた画像処理を実行することができる。
【0004】
ところで、出力する画像データがモノクロームの場合には、必ずドロップアウトカラー処理を実行するように設定されている画像処理装置がある。これは、ドロップアウトカラー処理が、手書き文字等の黒文字を読み取る文字認識の精度の向上を目的としているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−27213号公報
【特許文献2】特開2002−232708号公報
【特許文献3】特開平4−282968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モノクローム原稿を読み取った画像データにドロップアウトカラー処理を実行すると、色ずれが生じているときに、黒文字エッジがドロップアウトカラーの対象領域と判定されることがある。この結果、黒文字エッジが除去されてしまい、文字が細くなる、又は、文字がかすれる等の劣化が発生する。これは、文字認識の精度が低下する要因となる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿からのOCR精度を低下させないこととを、両立させる画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、文字認識処理に先んじてドロップアウトカラー処理を行うドロップアウトカラー処理部を有する画像処理装置において、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定部と、該カラー判定部が、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿から読み取られた画像データの文字認識の精度をドロップアウトカラー処理により低下させないこととを、両立させることができる。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定部を有し、前記制御部は、前記カラー判定部が前記入力画像データはカラー原稿から読み取られて生成されたと判定し、さらに、前記文字判定部が前記入力画像データに文字画像が含まれると判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、文字画像が含まれると判定された場合にドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を行うので、全体の処理に係る時間を短縮することができる。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定部を有し、前記制御部は、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域特定部が特定した領域に対応する領域に対し前記ドロップアウトカラー処理及び前記文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、ドロップアウトカラー処理を実行する領域を小さくすることができるので、全体の処理に係る時間を短縮することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記入力画像データに下地画像が含まれるか否かを判定する下地判定部と、前記下地判定部が、前記入力画像データは下地画像を含むと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対して下地除去を行う下地除去部とを有し、前記制御部は、前記下地除去部が下地除去した後の画像データに対し、ドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、原稿の下地の影響を排除してドロップアウトカラー処理を実行することができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明の何れか一つの画像処理装置を有し、さらに、画像データに対して媒体上に前記画像データの画像を形成するための画像処理を行う画像処理部と、該画像処理部が前記画像処理を実行した画像データの画像を媒体上に形成して出力させる画像形成部とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する画像形成装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像処理制御装置は、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるのかの判定、及び、文字認識処理に先んじて行われるドロップアウトカラー処理を実行するか否かの決定を実行する画像処理制御装置であって、前記入力画像データが、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部を有することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する画像処理制御装置を提供する。
【0020】
また、本発明に係る画像処理制御方法は、文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かを選択する、画像処理制御方法であって、画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するステップと、該ステップで、前記画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成されたと判定した場合に、前記画像データに係る画像データに対し前記ドロップアウトカラー処理を実行させることなく前記文字認識処理を実行させることを決定するステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する画像処理制御方法を提供する。
【0022】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かをコンピュータに選択させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定ステップと、該カラー判定ステップで、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップとをさらに実行させることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定ステップと、前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域判別ステップで特定された領域に対応する領域に対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップとをさらに実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るコンピュータプログラムにあっては、本発明に係る画像処理装置と同様の効果を奏する。
【0026】
また、本発明に係る記録媒体は、本発明の何れか一つのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る記録媒体にあっては、本発明に係るコンピュータプログラムと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザがカラー原稿とモノクローム原稿とを区別する手間を省くことと、モノクローム原稿からのOCR精度を低下させないこととを、両立させることを実現する画像処理装置、画像形成装置、画像処理制御装置、画像処理制御方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置及び周辺の装置を説明する図である。
【図2】画像処理装置の詳細を説明する図である。
【図3】原稿判定部の機能構成の例を示すブロック図である。
【図4】ヒストグラムの例を示す図である。
【図5】下地除去の階調補正曲線を示す図である。
【図6】ドロップアウトカラー処理部の機能構成を示すブロック図であ。
【図7】γ補正テーブルを示す図である。
【図8】本実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。
【図9】文字認識を行う場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式とを示す図である。
【図10】文字認識を行わない場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式とを示す図である。
【図11】ドロップアウトカラー処理を説明するフローチャートである。
【図12】画像データにテキストデータを付加する処理を説明するフローチャートである。
【図13】モノクロームの画素のみで構成されている原稿に対して、ドロップアウトカラー処理が選択された場合の文字認識の例を示す図である。
【図14】本実施の形態に係る画像処理方法の異なる例を説明するフローチャートである。
【図15】ステップS203の原稿判定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図16】文字画像の領域に属する画素にドロップアウトカラー処理を行う処理を説明するフローチャートである。
【図17】文字画像の領域の画像データにテキストデータを付加する処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図18】本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。なお、以下の実施の形態では、輝度及び濃度の値がより小さい色がより暗い(濃い)色であり、輝度及び濃度の値がより大きい色がより明るい(薄い)色である。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置及び周辺の装置を説明する図である。図1の画像処理装置1は、画像入力装置5、画像出力装置6、及び、送受信装置8が接続される。
【0032】
画像処理装置1は、画像入力装置5から入力される画像データを処理して画像出力装置6又は送受信装置8に出力する。画像処理装置1の詳細は、後述する。
【0033】
画像入力装置5は、例えば、原稿を光学的に読み取って画像データを出力する。画像入力装置5は、CCD(Charge Coupled Device)を有する図示しないラインセンサを有する。ラインセンサは、原稿が反射する光をR(赤)、G(緑)、B(青)に色分解された電気信号、すなわち、カラー画像信号(RGBアナログ信号)を出力する。
【0034】
画像出力装置6は、画像処理装置1が出力する画像データから出力画像を形成して出力する。画像出力装置6に入力される画像データは、例えば、CMYK信号による画像データである。画像出力装置6は、例えば、電子写真方式プリンタ又はインクジェット方式プリンタ等の画像を媒体に形成する装置(プロッタ)である。
【0035】
送受信装置8は、画像出力装置6が出力する画像データを外部の装置に送信する。画像処理装置1から送受信装置8に入力される画像データは、例えば、PDF形式の画像データである。送受信装置8は、PDF形式の画像データを電子メールに添付しネットワークを介して他の装置に送信する。送受信装置8は、また、他の装置からの画像データ又は制御信号を受信する。
【0036】
図2は、画像処理装置1の詳細を説明する図である。
画像処理装置1は、画像処理部10、記憶部41、及び、制御部42を有する。画像処理部10は、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号をデジタル信号に変換して入力画像データを生成し、各種の画像処理を行い、処理された画像データを画像出力装置6又は送受信装置8に出力する。画像処理部10は、また、入力画像データ、又は、入力画像データが画像処理されて中間生成する中間画像データを、記憶部41に格納させる。
【0037】
記憶部41は、画像データを格納する。記憶部41が格納する画像データは、画像処理部10が処理する中間画像データである。記憶部41が格納する画像データは、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号が変換された入力画像データ、画像処理部10から画像出力装置6に対して出力される前の画像データ、及び、送受信装置8が送受信する画像データでもよい。
【0038】
記憶部41は、画像データを、例えば、JPEG圧縮アルゴリズムに基づいてJPEGコードに圧縮した後に格納する。記憶部41は、例えば、ハードディスク装置として構成されるとよい。
【0039】
制御部42は、記憶部41に画像データを格納させる制御、記憶部41が格納する画像データの管理、画像処理部10が有する各部の動作の制御を行う。制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、DSP(Digital Signal Processor)として構成される。
【0040】
画像処理部10は、アナログ・デジタル変換部(以下、「A/D変換部」という。)11、シェーディング補正部12、入力処理部13、原稿判定部14、下地除去部15、ドロップアウトカラー処理部16、色補正部17、黒生成/下色除去部18、空間フィルタ部19、出力階調補正部20、中間調生成部21、領域分離部22、文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33を有する。
【0041】
A/D変換部11は、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号を、デジタル信号に変換する。シェーディング補正部12は、デジタル信号に含まれている歪みを除去する。除去される歪みは、例えば、画像入力装置5が原稿を光学的に読み取る際の、照明系、結像系、及び、撮像系で生じる歪みである。入力処理部13は、デジタル信号に対しγ補正を行う。
【0042】
なお、シェーディング補正部12及び入力処理部13により処理された画像データを、入力画像データといい、入力画像データに対して、少なくとも一つ以上の画像処理が行われた後の画像データを中間画像データという。また、入力画像データと中間画像データとをあわせて処理画像データという。入力画像データは、JPEGコードに変換された後に、記憶部41に格納されるとよい。
【0043】
原稿判定部14は、入力画像データから、読み取られた原稿の特性を判定する原稿判定処理を実行する。原稿判定部14は、判定した結果を、原稿判別データとして出力する。原稿判定処理は、原稿種別の判別、下地の有無の判定、及び、カラー判定を含む。図3は、原稿判定部14の機能構成の例を示すブロック図である。原稿判定部14は、原稿種別判別部141、下地判定部143、及び、カラー判定部145を有する。なお、原稿判定部14は、原稿種別判別部141、及び、下地判定部143を有さなくてもよい。
【0044】
原稿種別判別部141は、原稿種別の判別を行う。より詳細には、例えば、読み取られた原稿が、文字画像を含むか否かを判別する。原稿種別判別部141は、例えば、読み取られた原稿の種別が、文字原稿、印刷写真原稿、及び、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿の何れの種別であるかを判定する。原稿種別判別部141は、例えば、特許文献2に記載の方法を用いて、原稿の種別を判別する。以下の(1)から(7)は、特許文献2に記載の方法の概要である。
【0045】
(1)注目画素を含むn×m(例えば、7×15)のブロックにおける最小濃度値、及び、最大濃度値を算出する。
(2)算出された最小濃度値及び最大濃度値を用いて最大濃度差を算出する。
(3)隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度(例えば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和)を算出する。
(4)算出された最大濃度差と最大濃度差閾値との比較及び算出された総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較を行う。
最大濃度差<最大濃度差閾値、及び、総和濃度繁雑度<総和濃度繁雑度閾値
のとき、注目画素は下地・印画紙写真領域に属すると判定する。
上記条件を満たさないとき、注目画素は文字・網点領域に属すると判定する。
【0046】
(5)下地・印画紙写真領域に属すると判定された画素について
注目画素が、
最大濃度差<下地・印画紙写真判定閾値
を満たすとき、下地画素であると判定し、上記条件を満たさないとき、印画紙写真(写真領域、連続階調領域)画素であると判定する。
【0047】
(6)文字・網点領域に属すると判定された画素について
注目画素が、
総和濃度繁雑度<最大濃度差に文字・網点判定閾値を掛けた値
の条件を満たすとき、文字画素であると判定し、上記条件を満たさないとき、網点画素であると判定する。
【0048】
(7)下地領域、印画紙写真領域、文字領域、及び、網点領域に分類された画素数をカウントし、それぞれのカウント値と予め定められている下地領域、印画紙写真領域、網点領域及び文字領域に対する閾値と比較して原稿全体の種別を判定する。例えば、文字、網点、印画紙写真の順に検出精度が高いとすると、文字領域の比率が全画素数の30%以上の場合には文字原稿、網点領域の比率が全画素数の20%以上の場合には網点原稿(印刷写真原稿)、印画紙写真領域の比率が全画素数の10%以上の場合には印画紙写真原稿であると判定する。また、文字領域の比率と網点領域の比率とが、それぞれ閾値以上であるとき、文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)であると判定する。
【0049】
原稿種別判別部141は、原稿種別の判別を行う際、全ての画素を対象とするのではなく、画素をサンプリングして原稿種別の判別を行ってもよい。原稿種別判別部141は、画素を識別する際、閾値付近の特徴量を有する画素を除外し、有意な特徴量を有する画素を選択して原稿種別の判別を行うようにしてもよい。
【0050】
原稿種別は、図示しない操作パネルからユーザが入力してもよい。操作パネルから入力される原稿種別の情報は、制御部42が取得する。
【0051】
下地判定部143は、読み取られた原稿が有する下地濃度を判定する。下地濃度は、例えば、原稿紙の色である。下地判定部143は、まず、RGB信号として入力されたデータから輝度信号を取得する。輝度信号の取得は、例えば、次式(1)を用いる。
Yj=0.30Rj+0.59Gj+0.11Bj・・・(1)
但し、Yj:各画素の輝度信号、
Rj、Gj、Bj:各画素の色成分
【0052】
輝度信号に代えて、CIE L*a*b*信号(CIE: Commission International de l’Eclairage :国際照明委員会。L*:明度、a*、b*:色度)等の均等色空間に変換して明度信号を求めても良い。
【0053】
下地判定部143は、求めた輝度信号又は明度信号に基づいて、画像全体のヒストグラムを作成する。図4は、ヒストグラムの例を示す図である。作成したヒストグラム中で、最も頻度が高く、度数が閾値th1以上の輝度又は明度を下地部分とみなし、このときの輝度又は明度Yfと予め設定した閾値th2とを比較する。
【0054】
なお、閾値th1は、下地と判断される画素数の最小値である。閾値th1は、例えば、原稿サイズと下地と判断される画素数の最小値とを対応付けて格納しておき、原稿サイズの検知結果に対応づけて設定されるとよい。また、閾値th2は、下地と判断する濃度値の上限値である。
【0055】
下地判定部143は、Yf≦th2の場合には、下地の濃度(輝度又は明度)が閾値を下回っている、すなわち、下地が検知されていると判定する。下地判定部143は、それ以外の場合には下地が所定の濃度(輝度又は明度)以上である、すなわち、下地なしと判定する。
【0056】
下地判定部143は、また、読み取られた原稿が、無地の原稿(ブランク原稿)であるか否かの判定を行う。
【0057】
下地判定部143による判定結果に基づいて、下地除去部15が下地除去を行う。
【0058】
カラー判定部145は、入力画像データに対して、自動カラー判定処理(以下、「ACS(Auto Color Selection)」という。)を行う。ACSは、カラー原稿から読み取られた画像データと、モノクローム原稿から読み取られた画像データとの何れであるかを判定する処理である。
【0059】
カラー判定部145は、例えば、操作者により選択されたカラーモードが「自動」である場合に、ACSを実行する。カラーモードは、例えば、操作パネルの初期画面より、フルカラー、自動、白黒のうちの何れかが操作者により選択される。カラー判定部145は、また、全ての入力画像データに対してACSを行ってもよい。
【0060】
ACSは、例えば、特許文献3に記載されている方法を適用するとよい。特許文献3に記載の方法によれば、画素毎にカラー画素であるかモノクローム画素であるかを判定し、与えられる画素順で所定数以上の連続するカラー画素の存在が検知されると、この連続カラー画素分をカラーブロックと認識し、1ライン中に所定数以上のカラーブロックが存在していれば、そのラインをカラーラインとして計数する。そして、一枚の原稿から読み取られた入力画像データにカラーラインが所定数存在していればカラー原稿と判定し、そうでない場合はモノクローム画像と判定する。
【0061】
カラーブロックであるか否かを判定する際の連続カラー画素数、及び、カラー原稿と判定する際のカラーラインの所定数は、カラー原稿と判定する基準に基づいて適切に設定すれば良い。カラー原稿と判定する基準は、例えば、原稿中含まれているカラー画素の数又は割合である。カラー原稿と判定する基準は、予め設定しておくとよい。
【0062】
上記の方法において、画素毎にカラー画素であるかモノクローム画素であるかの判定は、例えば、以下の(1)(2)等の公知の方法を使用するとよい。
(1)RGB信号の最大値と最小値を閾値THaと比較する方法
max(R,G,B)−min(R,G,B)≧THa(例えば、20)
(2)RGB信号の各色成分の差分の絶対値を求めて閾値と比較する方法
【0063】
原稿種別判別部141、下地判定部143、及び、カラー判定部145による判定結果は、原稿判別データとして出力される。より詳細には、原稿種別判別部141による原稿種別の情報は、色補正部17、空間フィルタ部19、及び、中間調生成部21に出力される。下地判定部143による下地の有無の情報は、下地除去部15に出力される。カラー判定部145によるカラー原稿かモノクローム原稿かの情報は、ドロップアウトカラー処理部16、色補正部17、空間フィルタ部19、及び、中間調生成部21に出力される。
【0064】
図2に戻り、領域分離部22は、領域分離処理を行う。より詳細には、入力画像データのうち、文字画像を含む領域を他の領域と区別して特定する情報を出力する。領域分離部22は、例えば、入力画像データの各画素が含まれる領域の種類を判定する。領域の種類は、例えば、黒文字領域、色文字領域、及び、網点領域である。判定された結果は、領域の種類を識別するデータである領域分離データとして出力される。
【0065】
下地除去部15は、入力画像データに対し下地除去を行う。下地除去は、下地判定部143による下地の濃さの判定結果、又は、図示しない操作パネルから入力される下地の濃さの設定情報の基づいて行われるとよい。下地除去部15は、例えば、図5に示す下地除去の階調補正曲線を選択し、入力画像データの下地除去を行う。なお、下地の濃さの設定情報とは、例えば、下地の濃さを段階によって表す場合の、濃さの段階の情報である。
【0066】
ドロップアウトカラー処理部16は、下地除去された中間画像データから、消去色を除去するドロップアウトカラー処理を実行する。なお、ドロップアウトカラー処理部16は、下地除去されていない入力画像データに対して、ドロップアウトカラー処理を実行してもよい。
【0067】
消去色は、例えば、「赤」又は「有彩色」等の所定の色相である。消去色は、図示しない操作パネルから入力される情報に基づいて決定されるとよい。
【0068】
図6は、ドロップアウトカラー処理部16の機能構成を示すブロック図である。ドロップアウトカラー処理部16は、輝度彩度算出部161、色判定部163、有彩無彩判定部165、及び、指定色消去部167を有する。
【0069】
輝度彩度算出部161は、処理画像データ(RGBデータ)に対して輝度(Lum)と彩度(Chroma)とを計算する。計算式は例えば次式(2)を用いるとよい。
【0070】
【数1】
【0071】
但し、In_R,In_G,In_Bは処理画像データのR値、G値、B値(画素値)、
Coefficient_R、Coefficient_G、Coefficient_Bは予め設定される係数である。例えば、以下の値を用いればよい。
【0072】
【数2】
【0073】
色判定部163は、処理画像データに対して色判定処理を行う。色判定処理は、消去色であるか否かを判定する処理である。消去色は、例えば、ユーザにより予め設定されるとよい。色判定部163は、消去色が「有彩」の場合、すなわち、無彩でない全ての色が消去される場合には、色判定処理を行わない。
【0074】
色判定処理は、例えば、入力RGB値の大小関係を比較することにより行えばよい。下記表1は消去色における大小比較の方法を示したものである。例えば、消去色が赤色の場合、次式(3)が満足される場合に、その画素が赤色であると判定する。
【0075】
【数3】
【0076】
【表1】
【0077】
式(3)及び表1において、R_JudgeRは消去色が赤色の場合の入力値Rに対する閾値である。G_JudgeGは消去色が緑色の場合の入力値Gに対する閾値である。B_JudgeBは消去色が青色の場合の入力値Bに対する閾値である。表1に示す条件を満たす場合に、その画素は消去色であると判定する。閾値は、例えば下記表2に示す値を設定すればよい。
【0078】
【表2】
【0079】
有彩無彩判定部165は、色判定部163が判定した色判定情報と輝度彩度算出部161が算出した彩度情報とを用いて、画素毎に有彩画素と無彩画素との何れであるか判定を行う。例えば、有彩と判定する画素は、色判定情報により消去色とされ、かつ、彩度値が一定値(例えば、10)以上の画素であり、無彩と判定する画素は上記以外とするとよい。
【0080】
指定色消去部167は、輝度彩度算出部161が算出した輝度と彩度とを用いて指定色消去処理を行う。R、G、Bそれぞれの出力値である、Out_R、Out_G、及び、Out_Bは、次式(4)により得られる。
【0081】
【数4】
【0082】
但し、Coefficient_OutR、Coefficient_OutG、及び、Coefficient_OutBは、予め設定されている係数であり、例えば20とすればよい。
【0083】
なお、ユーザが消去色を指定する場合には、指定された消去色の画素を色判定部163が指定色と判断し、その画素を有彩無彩判定部165が有彩と判定する。一方、無彩と判定された画素に対しては、Chroma=0とする。
【0084】
有彩と判定された画素、あるいは、指定色の画素は、Chromaの値は、10より大きい値(例えば、30や40)になり、Out_R、Out_G、Out_Bの値は、255より大きくなり255にクリップされ、白色になる。
【0085】
また、無彩色の画素は、Lum、Chromaが小さく、Out_R、Out_G、Out_Bは同じ値又は近い値になり、無彩色のまま出力される。指定色ではない画素は、Chromaが「0」に設定されるので、RGBそれぞれの輝度情報のみとなり、無彩色で出力される。
【0086】
色補正部17は、文字認識が行われる場合には、下地除去部15又はドロップアウトカラー処理部16が処理した処理画像データを、図示しない表示装置の表示特性に適合する画像データに変換する。例えば、RGB画像データを、sRGB画像データに変換する。色補正部17は、コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合には(文字認識が行われない場合には)、ドロップアウトカラー処理が行われていない処理画像データに対し、RGBの補色であるCMY画像データに変換する。色補正部17は、原稿判別データに基づいて、原稿種別毎に異なる色補正処理を行ってもよい。色補正部17は、カラー原稿かモノクローム原稿かの情報に基づいて、色補正処理を異ならせてもよい。
【0087】
黒生成/下色除去部18は、コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合には、色補正部17によりCMYK画像データに変換された処理画像データに対し、下色除去を行い、CMYK画像データに変換する。
【0088】
空間フィルタ部19は、領域分離部22から出力される領域分離データに基づいて、処理画像データに含まれる領域毎に、対応するフィルタ処理を行う。フィルタ処理は、例えば、強調処理、平滑化処理である。なお、空間フィルタ部19は、原稿判別データに基づいて、原稿種別毎に異なるフィルタ処理を行ってもよく、カラー原稿かモノクローム原稿かの情報に基づいて、フィルタ処理を異ならせてもよい。
【0089】
出力階調補正部20は、文字認識が行われる場合には、領域分離データに基づいて、処理画像データに含まれる領域毎に、階調補正(γ補正)を行う。図7は、γ補正テーブルを示す図である。図7Aは、文字領域に用いるγ補正テーブルであり、図7Bは、文字以外の領域に用いるγ補正テーブルである。コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合には、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理がなされる。
【0090】
中間調生成部21は、コピーなどCMYKトナーを用いた紙への出力処理が行われる場合にCMYK画像データに対する階調再現処理を行う。中間調生成部21は、領域分離データに基づいて、領域の種類毎に対応する階調表現方法による中間調を生成する。中間調生成部21は、また、領域分離データに代えて、原稿判別データに基づいて、原稿種別毎に異なる階調表現方法を用いてもよい。中間調生成部21は、カラー原稿かモノクローム原稿かの情報に基づいて、階調表現方法を異ならせてもよい。
【0091】
文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33は、処理画像データにテキストデータを付加する処理を行う。文字認識部31は、処理画像データの中に含まれる文字画像を認識してテキストデータを生成する。文字認識部31には、出力階調補正部20から出力されるsRGB画像データの処理画像データが入力される。この処理画像データは、下地除去部15による下地除去が行われていてもよく、下地除去が行われていなくてもよい。
【0092】
文字認識部31は、画像データを低解像度の白黒2値のデータに変換する。より詳細には、例えば、sRGB画像データから、8ビットで表される輝度値を算出し、128を閾値として2値化を行う。なお、複数の画素からなるブロック毎に、輝度の平均値を2値化の閾値としてもよい。ブロックは、例えば、縦横5画素からなる。解像度変換は、2値化された画像データに対し、ニアレストネイバー法、バイリニア法、又は、バイキュービック法を用いる。文字認識部31は、さらに、低解像度の白黒2値のデータから、画像データの特徴量を抽出し、辞書データと比較して文字認識を行う。
【0093】
文字認識部31は、例えば、文字認識処理を行う1つのICとして構成される。なお、輝度値の算出、2値化、及び、解像度変換は、文字認識部31が実行する他に、輝度値の算出、2値化、及び、解像度変換を行う各部を設けてもよい。
【0094】
描画コマンド生成部32は、文字認識された結果に基づいて、処理画像データの上に非表示コンテンツを配置するための描画コマンドを生成する。非表示コンテンツとは、例えば、PDFの透明テキストである。
【0095】
フォーマット化処理部33は、処理画像データのイメージに非表示コンテンツが付加されたフォーマットを生成する。出力階調補正部20が出力する階調補正後の処理画像データをイメージ化し、描画コマンド生成部32が出力する描画コマンドにより、非表示コンテンツを付加する。イメージは、例えば、PDF形式であり、非表示コンテンツは、透明テキストである。
【0096】
非表示コンテンツが付加されたイメージは、送受信装置8から他の装置に対して送信される。例えば、非表示コンテンツが付加されたイメージが、図示しないメール処理部により電子メールに添付される形式にされた後に、送受信装置8から電子メールとしてネットワークを介して送信される。また例えば、非表示コンテンツが付加されたイメージが、記憶部41に格納されてもよい。電子メール送信、及び、記憶部41への格納の何れを行うかは、例えば、ユーザにより選択され入力される設定に基づく。ユーザが、電子メール送信を選択している場合には、電子メール送信が行われ、ファイリングモードを選択している場合には、記憶部41へ格納される。
【0097】
図8は、本実施の形態に係る画像処理方法を説明するフローチャートである。図8の画像処理方法は、画像処理装置1により実行される。図8のステップS101からステップS108の処理は、文字認識を行う場合の処理であり、図8のステップS101及びステップS109は、文字認識を行わない場合の処理である。文字認識を行う場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式を図9に示す。文字認識を行わない場合に、処理を行う各部と各部が出力するデータ形式を図10に示す。
【0098】
図8のステップS101では、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号に対し、前処理が実行される。前処理は、A/D変換部11によるアナログ/デジタル変換処理、シェーディング補正部12によるデジタル信号に含まれている歪みを除去する処理、及び、入力処理部13により実行されるγ補正処理である。ステップS101の処理により、入力画像データが生成される。
【0099】
ステップS101に続いてステップS102に進み、制御部42が、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されているか否かを判断する。この選択は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されている場合には、ステップS103へ進み、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されていない場合には、ステップS109へ進む。
【0100】
ステップS102に続くステップS103では、制御部42が、消去色を指定する。消去色の指定は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。ステップS103に続いてステップS104に進み、原稿判定部14のカラー判定部145が、入力画像データに対しACSを実行する。
【0101】
ステップS104に続いてステップS105に進み、制御部42が、入力画像データが、カラー原稿を読み取って生成されたか否かの情報を、カラー判定部145によるACSの結果から取得する。カラー原稿が読み取られたものである場合には、ステップS106に進み、カラー原稿が読み取られたものではない場合には、ステップS107へ進む。
【0102】
ステップS105に続くステップS106では、ドロップアウトカラー処理部16が、ドロップアウトカラー処理を行う。図11は、ドロップアウトカラー処理を説明するフローチャートである。図11の処理は、ドロップアウトカラー処理部16により実行される。
【0103】
図11のステップS11では、輝度彩度算出部161が、中間画像データに対して輝度と彩度とを算出する。ステップS12では、制御部42が、有彩色を抽出して消去することが選択されているか否かを判定する。この選択は、例えば、予めユーザが図示しない操作パネルから入力することにより、設定される。選択されている場合には、ステップS13に進み、選択されていない場合には、ステップS14に進む。
【0104】
ステップS13では、色判定部163が、処理画像データに含まれる画素毎に、消去色であるかを判定する色判定処理を行う。ステップS14では、有彩無彩判定部165が、ステップS11で算出された彩度を利用して、画素毎に有彩か無彩かの判定処理を行う。ステップS15では、指定色消去部167が、ステップS14で判定された画素毎の有彩、無彩の結果に基づいて、指定色を消去する、すなわち、有彩と判定された画素を白色に変換する処理を行う。これにより、指定された色あいが消去された画像が作成される。
【0105】
なお、ステップS15において領域分離部22が実行する有彩無彩判定の結果を用いてもよい。この場合、ステップS14の処理は省略することができる。
【0106】
図8に戻り、ステップS106又はステップS105に続くステップS107では、文字認識のための画像処理が実行される。文字認識のための画像処理は、色補正部17、空間フィルタ部19、及び、出力階調補正部20により実行される。
【0107】
ステップS107に続いてステップS108に進み、画像データにテキストデータを付加する処理が実行される。より詳細には、先ず、処理画像データに含まれる文字画像を認識して対応するテキストデータ得た後、そのテキストデータを処理画像データのイメージに付加する。図12は、画像データにテキストデータを付加する処理を説明するフローチャートである。図12の処理は、文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33により実行される。
【0108】
図12のステップS21では、文字認識部31が、文字認識処理を行う。ステップS22では、描画コマンド生成部32が、ステップS21で認識された文字に対応する描画コマンドを生成する。描画コマンドは、例えば、透明テキストである。ステップS23では、フォーマット化処理部33が、ステップS22で生成された描画コマンドにより、非表示コンテンツが付加されたイメージを生成する。
【0109】
図8に戻り、ステップS108の処理の後、送受信装置8により非表示コンテンツが付加された画像データが、他の装置に送信される。
【0110】
一方、ステップS102に続くステップS109では、選択されたモードに応じた画像処理が実行される。選択されたモードとは、例えば、コピーモードであり、実行される画像処理は、例えば、画像データの画像を媒体上に形成して出力するための画像処理である。この画像処理は、原稿判定部14、領域分離部22、下地除去部15、色補正部17、黒生成/下色除去部18、空間フィルタ部19、出力階調補正部20、及び、中間調生成部21により実行される。
【0111】
ステップS109において、各部が実行する処理は、以下の通りである。色補正部17は、RGB形式の処理画像データから、CMY形式の処理画像データを生成し、コピー出力をする際の色再現性を高める処理を行う。黒生成/下色除去部18は、CMY形式の処理画像データから、CMYK形式の処理画像データを生成する。空間フィルタ部19は、処理画像データに対し、強調処理及び平滑化処理を行う。出力階調補正部20は、用紙等の記録媒体に出力するためのγ補正を行う。中間調生成部21は、階調再現処理を行う。
【0112】
ステップS109において、領域分離部22は、入力画像データの各画素が、黒文字、色文字、網点、印画紙写真(連続階調領域)等の領域種別の何れであるかを判定し、領域分離データを出力する。領域分離データは、黒生成/下色除去部18、空間フィルタ部19、及び、中間調生成部21に入力され、それぞれの部において、各領域種別に応じた処理の切り替えが行われる。
【0113】
ステップS109において、中間調生成部21から出力されるCMYK形式の処理画像データは、画像出力装置6に入力され、媒体上に画像が形成される。
【0114】
ドロップアウトカラー処理は文字認識の精度を高めるための一機能であり、原稿中からカラーの枠線など認識精度に影響を与える情報を消去させる処理である。そのため、前述の画像処理装置においては例えば文字モードと呼ばれる文字優先の処理が実施され、また、出力される画像データはモノクローム画像でよいため、モノクローム出力モードかつ文字モード時にドロップアウトカラー処理が選択されることがある。しかし、例えば、モノクロームの画素のみで構成されている原稿に対して、ドロップアウトカラー処理を実行した後に、文字認識処理を行うと、文字がかすれたり、途切れたりするなど、文字再現性の悪化を招き、それが文字認識の精度の低下につながる恐れがある。
【0115】
図13は、モノクロームの画素のみで構成されている原稿に対して、ドロップアウトカラー処理が選択された場合の文字認識の例を示す図である。図13には、処理画像データに含まれているアルファベット文字「H」の文字画像が示されている。原稿中の文字がコンポジットグレー(C・M・Yで構成されるグレー)で構成されている場合や、画像入力装置の読取ズレがある場合は、本来であれば、R、G、Bの値が等しい値か近い値になるべきところ、互いに異なる値になることがある。
【0116】
例えば、図13の斜線のハッチングが付された部分C1は、
R=G=B又はR≒G≒B
であり、図13の黒塗り部分C2は、
R≠G≠B
である。
【0117】
この場合、式(2)に基づく判定では、図13の黒塗り部分C2は有彩と判定されやすくなり、有彩と判定された画素は消去されるため、文字がかすれたり、途切れたりする。そこで、ステップS104のACSの結果に基づいて、ステップS105において、モノクロームと判定された場合はステップS106のドロップアウトカラー処理をせず、ステップS108の画像データにテキストデータを付加する処理をさせるようにすればよい。あるいは、ACSを手動で選択する機能を有する画像形成装置の場合、ドロップアウトカラー処理が選択された場合にはACSを必ず実行させるようにし、モノクローム原稿に対してドロップアウトカラー処理がなされないようにしてもよい。
【0118】
ACSでも有彩、無彩判定が行われるが、ACSでは原稿全体の有彩画素数からカラーかモノクロームかの判定を行っているため、ドロップアウトカラー処理のように局所的に有彩画素が増えてもカラーと判定されにくいため、コンポジットグレーや色ずれがACSの判定に大きな影響は与えない。
【0119】
図14は、本実施の形態に係る画像処理方法の図8とは異なる例を説明するフローチャートである。図14の画像処理方法は、画像処理装置1により実行される。図14において、ステップS201からステップS211の処理に係る各部及び各部から出力される画像データの形式は、図9に示す。また、図14において、ステップS201及びステップS220の処理に係る各部及び各部から出力される画像データの形式は、図10に示す。
【0120】
図14のステップS201では、画像入力装置5から入力されるRGBアナログ信号に対し、前処理が実行される。前処理は、A/D変換部11によるアナログ/デジタル変換処理、シェーディング補正部12によるデジタル信号に含まれている歪みを除去する処理、及び、入力処理部13により実行されるγ補正処理である。ステップS201の処理により、入力画像データが生成される。
【0121】
ステップS201に続いてステップS202に進み、制御部42が、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されているか否かを判断する。この選択は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されている場合には、ステップS203へ進み、ドロップアウトカラー処理を実行することが選択されていない場合には、ステップS220へ進む。
【0122】
ステップS202に続くステップS203では、原稿判定部14が、原稿判定処理を行う。より詳細には、原稿種別の判別、下地の有無の判定、及び、カラー判定を行う。図15は、ステップS203の原稿判定処理の詳細を説明するフローチャートである。図15のステップS31では、原稿種別判別部141が、原稿種別を判別する。判別される原稿種別は、例えば、文字原稿、印刷写真原稿、及び、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿である。
【0123】
ステップS31に続いてステップS32に進み、下地判定部143が、下地判定処理を行う。より詳細には、入力画像データが下地を含むか否かを判定する。ステップS32に続いてステップS33に進み、カラー判定部145が、ACSを行う。すなわち、読み取られた原稿が、カラー原稿とモノクローム原稿との何れであるかを判定する。
【0124】
図14に戻り、ステップS203に続いてステップS204に進み、制御部42が、ステップS31の判定結果に基づいて、処理画像データに、文字画像が含まれているか否かを判定する。文字画像が含まれている場合には、ステップS205に進み、文字画像が含まれていない場合には、処理を終了する。なお、文字画像が含まれていない場合には、ステップS220と同様の処理を実行してもよい。
【0125】
ステップS204に続くステップS205では、領域分離部22が、領域分離処理を行う。ステップS205に続いてステップS206に進み、下地除去部15が、下地除去処理を行う。下地除去は、ステップS32で下地があると判定されている場合に実行されるとよい。ステップS206に続いてステップS207に進み、制御部42が、消去色を指定する。消去色の指定は、例えば、ユーザにより図示しない操作部から入力される情報に基づくとよい。
【0126】
ステップS207に続いてステップS208に進み、制御部42が、入力画像データが、カラー原稿を読み取って生成されたものであるか否かの情報を、カラー判定部145によるACSの結果から取得する。カラー原稿が読み取られたものである場合には、ステップS209に進み、カラー原稿が読み取られたものではない場合には、ステップS210へ進む。
【0127】
ステップS208に続くステップS209では、ドロップアウトカラー処理部16が、文字画像の領域に属する画素にてドロップアウトカラー処理を行う。図16は、ステップS209で行われる文字画像の領域に属する画素にドロップアウトカラー処理を行う処理を説明するフローチャートである。図16の処理は、ドロップアウトカラー処理部16により実行される。
【0128】
図16のステップS41では、制御部42が、処理画像データの画素毎にその画素が文字画像の領域に含まれているか否かを判定する。この判定は、ステップS205の領域分離処理の出力に基づいて、入力画像データの処理画像データの画素と対応する画素が、文字画像の領域に含まれているか否かを判定することにより行われる。文字画像の領域に含まれている画素の場合は、ステップS42に進み、文字画像の領域に含まれていない場合には、ステップS47に進む。
【0129】
ステップS41に続くステップS42からステップS46の処理は、図11のステップS11からステップS15の処理を一画素に対して行うものであるので、ここでは説明を省略する。
【0130】
ステップS41又はステップS46に続くステップS47では、制御部42が、処理画像データに含まれている全画素の処理を終了したか否かを判定する。終了している場合には、処理を終了する。終了していない画素がある場合には、ステップS41に戻り、未処理の画素に対するステップS41からステップS47の処理を繰り返す。
【0131】
図14に戻り、ステップS208又はステップS209に続くステップS210では、文字認識のための画像処理が行われる。この処理は図8のステップS107の処理と同一である。
【0132】
ステップS210に続いてステップS211に進み、文字画像の領域の画像データにテキストデータを付加する処理を行う。図17は、ステップS211で実行される文字画像の領域の画像データにテキストデータを付加する処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0133】
図17の処理は、制御部42、文字認識部31、描画コマンド生成部32、及び、フォーマット化処理部33により実行される。図17のステップS51では、制御部42が、領域分離部22が出力した領域分離データに基づいて、分離された領域毎に、その領域が文字画像の領域か否かを判定する。文字画像の領域の場合には、ステップS52に進み、文字画像の領域では無い場合には、ステップS55に進む。
【0134】
ステップS51に続くステップS52からステップS54の処理は、図12の処理と略同一である。より詳細には、図12の処理は、一枚の原稿を読み取って得られた画像に対応する画像データに対して実行するのに対し、ステップS52からステップS54の処理は、一枚の原稿を読み取って得られた画像に対応する画像データの中の、一つの文字画像の領域に対して実行する。
【0135】
ステップS54に続いてステップS55に進み、制御部42が、未処理の領域の有無を確認する。未処理の領域がある場合には、ステップS51に戻って未処理の領域に対する処理を繰り返す。未処理の領域がない場合には、処理を終了する。
【0136】
図14に戻り、ステップS202に続くステップS220の処理は、図8のステップS109の処理と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0137】
図14では、原稿種別の判別とドロップアウトカラー機能とを組み合わせて実行する。ドロップアウトカラー処理の対象となる原稿にはカラーの文字が存在していることから、原稿種別の判別と組み合わせて、原稿中に文字が存在している「文字原稿」、「文字印刷写真原稿」、「文字印画紙原稿」に判定された場合のみ、ドロップアウトカラー処理を実施することができる。すなわち、文字原稿、文字印刷写真原稿、文字印画紙写真原稿と判定された場合、領域分離部22が文字(又は文字エッジ)と判定された画素を抽出して、ドロップアウトカラー処理を行うようにすれば良い。
【0138】
なお、領域分離処理は、上記した原稿種別の判別の(1)〜(6)の方法を用いるとよい。これにより、ドロップアウトカラー処理の対象外となる文字が存在しない原稿に対しては、例えば、ドロップアウトカラー設定を無効にして出力する、又は、出力しないとすればよい。
【0139】
以上では、原稿判定部14と領域分離部22とを備える構成の場合について説明を行っているが、領域分離部22のみを備える構成であっても良い。すなわち、上記原稿種別の判別の(1)〜(6)の方法を用いて領域分離処理を行い、文字(又は文字エッジ)と判定された画素を抽出して、ドロップアウトカラー処理を行うようにしても良い。
【0140】
図14では、また、下地除去とドロップアウトカラー機能とを組み合わせて実行する。
例えば、新聞などに代表される淡い下地や裏写りが原稿に残っている画像データの場合、文字認識の際に下地や裏写りを文字と誤認識する可能性がある。そこで、下地除去処理を行うことにより文字でない情報を無くすことができ、文字認識の精度を高められる。
【0141】
下地除去は原稿判定部14の下地判定結果に基づいて、下地除去部15が行う。具体的には図5で示されるように原稿判定部での下地判定結果に基づいて下地を除去するような階調補正曲線が選択され、下地が除去される。
【0142】
下地除去部15は、ドロップアウトカラー処理部16より前に設けられてもよく、ドロップアウトカラー処理部16より後段に設けられてもよい。下地除去を行った後にドロップアウトカラー処理を行うとドロップアウトカラー処理及び文字認識の精度が向上する。また、ドロップアウトカラー処理を行った後に下地除去を行うと文字認識の精度が向上する。ドロップアウトカラー処理の結果が良くなると、文字認識の精度も向上するので、前者の構成を採用するのが好ましい。
【0143】
図18は、本実施の形態に係る画像形成装置900のハードウェア構成の例を説明する図である。図18の画像形成装置900は、画像処理部910、スキャナ920、ハードディスク装置930、ドライブ装置940、及び、プリンタ980を有する。画像処理部910は、画像処理部910に接続される各部の制御、及び、画像形成装置900が出力する画像データを処理する。
【0144】
画像処理部910は、CPU901、ROM902、RAM903、画像処理ASIC904、文字認識IC905、スキャナインタフェース(以下、「スキャナI/F」という。)912、HDDインタフェース(以下、「HDD−I/F」という。)913、ドライブインタフェース(以下、「ドライブI/F」という。)914、プリンタインタフェース(以下、「プリンタI/F」という。)918、及び、通信インタフェース(以下、「通信I/F」)という。)919を有する。
【0145】
CPU901は、コンピュータプログラムを実行することにより、画像処理部910の各部、及び、画像処理部910に接続される各部の制御を行う。ROM902は、例えば、CPU901が実行するコンピュータプログラムを格納する。ROM902は、また、画像処理ASIC904、文字認識IC905、及び、CPU901がコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能により処理される画像データを格納してもよい。
【0146】
CPU901は、また、原稿自動判定処理、描画コマンド生成処理、及び、非表示コンテンツが付加されたイメージの生成処理を行う機能を実現してもよい。
【0147】
RAM903は、画像処理ASIC904、文字認識IC905、及び、CPU901がコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能により処理される画像データを格納する。
【0148】
画像処理ASIC904は、画像データに対する各種処理を行う。画像処理ASIC904は、例えば、領域分離処理、下地除去処理、色補正処理、黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、出力階調補正処理、及び、中間調生成処理の何れか一以上の処理を行う。文字認識IC905は、文字認識処理を行う。
【0149】
スキャナI/F912は、スキャナ920から入力される画像データを受け取り、スキャナ920の特性に応じた画像処理を行う。HDD−I/F913は、CPU901の制御に基づいて、HDD930に格納される画像データの入出力を行う。ドライブI/F914は、ドライブ装置940に挿入される可搬性記録媒体941に対するデータの入出力を行う。
【0150】
プリンタI/F918は、画像処理部910が処理した画像データを、プリンタ980に出力する際のインタフェースである。通信I/F919は、画像処理部910からネットワーク990を介して他の装置と画像データ又は制御信号を通信する際のインタフェースである。
【0151】
スキャナ920は、媒体上に画像が形成されている原稿を光学的に読み取って画像データを出力する。スキャナ920が出力する画像データは、アナログ信号でもよく、アナログ信号が変換されたデジタル信号でもよい。
【0152】
HDD930は、画像処理部910が処理する画像データを格納する。HDD930は、例えば、スキャナ920から入力される画像データ、通信I/F919から入力される画像データ、及び、CPU901、画像処理ASIC904、及び、文字認識IC905の処理により生成される中間画像データを格納する。ドライブ装置940は、可搬性記録媒体941が挿入されることにより、可搬性記録媒体941に対するデータの書き込み及び読み出しを行う。可搬性記録媒体941には、例えば、CPU901が実行するコンピュータプログラムが格納される。
【0153】
プリンタ980は、画像処理部910により処理された画像データを、媒体上に形成して出力する。
【0154】
<コンピュータプログラム及び記録媒体>
本実施の形態の画像処理装置は、コンピュータがプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を実行することにより実現されてもよい。本実施の形態の記録媒体は、プログラムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、各種パラメータについて、設定確認画面にて設定条件の確認を行う画像処理方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録するものとすることもできる。各種パラメータは、例えば、(1)プレビュー画像に反映されないパラメータ、(2)プレビューしても効果が分からないパラメータである。
【0155】
本実施の形態に係る画像処理方法を行うためのプログラムを記録した記録媒体は、持ち運び自在に提供することができる。
【0156】
なお、記録媒体は、マイクロコンピュータが処理を行うためのプログラムコードが記録された、図示していないメモリ、例えばROMでもよい。記録媒体は、また、図示していない外部記憶装置として設けられるプログラム読み取り装置に挿入することによりコンピュータが読み取り可能なプログラムメディアでもよい。
【0157】
記録媒体に格納されているプログラムコードは、マイクロプロセッサが記録媒体にアクセスして実行させる構成でもよい。また、記録媒体からプログラムコードが読み出され、図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムコードが実行されてもよい。ダウンロード用のプログラムは予め装置に格納されているものとする。
【0158】
記録媒体としてのプログラムメディアは、装置と分離可能に構成される。例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、及び、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体の何れでもよい。
【0159】
また、本実施の形態の画像処理装置は、インターネットを含む通信ネットワークを接続することができるシステム構成でもよく、この場合、記録媒体は、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする際に流動的にプログラムコードを担持する媒体でもよい。なお、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、又は、別な記録媒体からインストールされるものでもよい。なお、本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0160】
以上の実施の形態で説明する各部と、請求項に係る構成との対応は、以下の通りである。「カラー判定部」は、「カラー判定部145」に対応する。「制御部」は、「制御部42」に対応する。「文字判定部」は、「原稿種別判別部141」に対応する。「文字領域特定部」は、「領域分離部22」に対応する。「下地判定部」は、「下地判定部143」に対応する。「下地除去部」は、「下地除去部15」に対応する。
【0161】
以上、発明を実施するための形態について説明を行ったが、本発明は、この発明を実施するための形態で述べた実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 画像処理装置
5 画像入力装置
6 画像出力装置
8 送受信装置
10 画像処理部
11 A/D変換部
12 シェーディング補正部
13 入力処理部
14 原稿判定部
141 原稿種別判別部
143 下地判定部
145 カラー判定部
15 下地除去部
16 ドロップアウトカラー処理部
161 輝度彩度算出部
163 色判定部
165 有彩無彩判定部
167 指定色消去部
17 色補正部
18 黒生成/下色除去部
19 空間フィルタ部
20 出力階調補正部
21 中間調生成部
22 領域分離部
31 文字認識部
32 描画コマンド生成部
33 フォーマット化処理部
41 記憶部
42 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字認識処理に先んじてドロップアウトカラー処理を行うドロップアウトカラー処理部を有する画像処理装置において、
入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定部と、
該カラー判定部が、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定部を有し、
前記制御部は、前記カラー判定部が前記入力画像データはカラー原稿から読み取られて生成されたと判定し、さらに、前記文字判定部が前記入力画像データに文字画像が含まれると判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定部を有し、
前記制御部は、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域特定部が特定した領域に対応する領域に対し前記ドロップアウトカラー処理及び前記文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記入力画像データに下地画像が含まれるか否かを判定する下地判定部と、
前記下地判定部が、前記入力画像データは下地画像を含むと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対して下地除去を行う下地除去部と
を有し、
前記制御部は、前記下地除去部が下地除去した後の画像データに対し、ドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の画像処理装置を有し、さらに、画像データに対して媒体上に前記画像データの画像を形成するための画像処理を行う画像処理部と、
該画像処理部が前記画像処理を実行した画像データの画像を媒体上に形成して出力させる画像形成部と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるのかの判定、及び、文字認識処理に先んじて行われるドロップアウトカラー処理を実行するか否かの決定を実行する画像処理制御装置であって、
前記入力画像データが、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部を有することを特徴とする画像処理制御装置。
【請求項7】
文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かを選択する画像処理制御方法であって、
画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するステップと、
該ステップで、前記画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成されたと判定した場合に、前記画像データに係る画像データに対し前記ドロップアウトカラー処理を実行させることなく前記文字認識処理を実行させることを決定するステップと
を有することを特徴とする画像処理制御方法。
【請求項8】
文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かをコンピュータに選択させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定ステップと、
該カラー判定ステップで、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定するステップと
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、
前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップと
をさらに実行させるための請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、
前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定ステップと、
前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域判別ステップで特定された領域に対応する領域に対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップと
をさらに実行させるための請求項8又は9記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項1】
文字認識処理に先んじてドロップアウトカラー処理を行うドロップアウトカラー処理部を有する画像処理装置において、
入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定部と、
該カラー判定部が、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定部を有し、
前記制御部は、前記カラー判定部が前記入力画像データはカラー原稿から読み取られて生成されたと判定し、さらに、前記文字判定部が前記入力画像データに文字画像が含まれると判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定部を有し、
前記制御部は、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域特定部が特定した領域に対応する領域に対し前記ドロップアウトカラー処理及び前記文字認識処理を実行させることを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記入力画像データに下地画像が含まれるか否かを判定する下地判定部と、
前記下地判定部が、前記入力画像データは下地画像を含むと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対して下地除去を行う下地除去部と
を有し、
前記制御部は、前記下地除去部が下地除去した後の画像データに対し、ドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の画像処理装置を有し、さらに、画像データに対して媒体上に前記画像データの画像を形成するための画像処理を行う画像処理部と、
該画像処理部が前記画像処理を実行した画像データの画像を媒体上に形成して出力させる画像形成部と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるのかの判定、及び、文字認識処理に先んじて行われるドロップアウトカラー処理を実行するか否かの決定を実行する画像処理制御装置であって、
前記入力画像データが、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定する制御部を有することを特徴とする画像処理制御装置。
【請求項7】
文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かを選択する画像処理制御方法であって、
画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するステップと、
該ステップで、前記画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成されたと判定した場合に、前記画像データに係る画像データに対し前記ドロップアウトカラー処理を実行させることなく前記文字認識処理を実行させることを決定するステップと
を有することを特徴とする画像処理制御方法。
【請求項8】
文字認識処理に先んじるドロップアウトカラー処理を実行するか否かをコンピュータに選択させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
入力画像データが、カラー原稿及びモノクローム原稿の何れから読み取られて生成された画像データであるかを判定するカラー判定ステップと、
該カラー判定ステップで、前記入力画像データは、モノクローム原稿から読み取られて生成された画像データと判定した場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理を実行させることなく文字認識処理を実行させることを決定するステップと
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、
前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データに対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップと
をさらに実行させるための請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記入力画像データに、文字画像が含まれるか否かを判定する文字判定ステップと、
前記入力画像データの中の文字画像を含む領域を特定する文字領域特定ステップと、
前記カラー判定ステップで、前記入力画像データがカラー原稿から読み取られて生成されたと判定され、さらに、前記文字判定ステップで、前記入力画像データに文字画像が含まれると判定された場合に、前記入力画像データに係る画像データの中の前記文字領域判別ステップで特定された領域に対応する領域に対しドロップアウトカラー処理及び文字認識処理を実行させることを決定するステップと
をさらに実行させるための請求項8又は9記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−98811(P2012−98811A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244216(P2010−244216)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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