画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラム
【課題】徐々に濃度が変化する同一の文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑え、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置のCPUは、入力画像についてエッジ判別処理を行う場合、エッジ量を算出し(S101)、エッジ判別しきい値に基づきエッジ判別を行う(S103)。CPUは、注目画素のエッジ判別結果が周辺画素から変化したとき(S105:YES)、周辺画素のエッジ量の最大値を算出し(S109)、注目画素のエッジ量との差分を算出する(S111)。CPUは、エッジ量の差分が所定の値以下であるときには(S113:YES)、エッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないような値に変更する(S115)。
【解決手段】画像処理装置のCPUは、入力画像についてエッジ判別処理を行う場合、エッジ量を算出し(S101)、エッジ判別しきい値に基づきエッジ判別を行う(S103)。CPUは、注目画素のエッジ判別結果が周辺画素から変化したとき(S105:YES)、周辺画素のエッジ量の最大値を算出し(S109)、注目画素のエッジ量との差分を算出する(S111)。CPUは、エッジ量の差分が所定の値以下であるときには(S113:YES)、エッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないような値に変更する(S115)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、入力画像に対してエッジ判別処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)などに用いられ、入力画像に対してエッジ判別処理を行う画像処理装置がある。
【0003】
下記特許文献1には、画像処理装置において、周辺画素の読取濃度の平均値が所定の基準値よりも大きいときには、白黒2値化のしきい値を小さくし、周辺画素の読取濃度の平均値が所定の基準値よりも小さいときには、しきい値を大きくすることが開示されている。しきい値は、周辺画素の読取濃度の平均値に補正値を加算して得られる値である。補正値を増減することで、しきい値の大小が設定される。この処理は、周囲の画素の影響で、画像が原稿よりも黒っぽく又は白っぽく偏ることを解消し、原稿画像の再現の忠実度を高めるために行われる。
【0004】
下記特許文献2には、入力画像を量子化する際に量子化誤差を拡散する画像処理装置が開示されている。この画像処理装置は、階調変換処理を行った任意領域において発生した量子化誤差の総和に応じて、総和誤差が小さくなるように、量子化を行うときに用いられるしきい値を補正するものが開示されている。
【0005】
下記特許文献3には、注目画素の周辺画素の既に2値化された画像データに基づいて、注目画素の2値化処理のしきい値のレベルを修正する画像処理装置や、周辺画素の既に2値化された画像データに基づいて、注目画素の濃度修正及び2値化処理を行う画像処理装置が開示されている。これらの処理は、周囲が黒画素で囲まれた画素は黒く読み取られ、白画素で囲まれた画素は白く読み取られるのを解消するために行われる。
【0006】
下記特許文献4には、多値画像を2値画像へ変換する画像処理装置において、多値画像の画素値が所定の範囲内にあるかを判定し、範囲内にある場合と所定範囲外にある場合とで異なる2値化手段で2値化を行うことが開示されている。2値化手段としては、濃度パターン法により2値化するものや、しきい値に応じて2値化するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−245073号公報
【特許文献2】特開2010−93763号公報
【特許文献3】特開平6−78149号公報
【特許文献4】特開平8−307675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような画像処理装置において、エッジ判別結果に応じてエッジ強調処理を行う場合、以下のような問題が発生することがある。すなわち、エッジ判別のしきい値付近に当たる文字や細線において、グラデーションのように濃度が徐々に変化している場合、文字や細線の途中でエッジ判別結果が変わる(エッジがあると判別される)ことがある。そのため、画像処理後の出力画像において、その文字や細線部分において、濃度段差が発生したり、文字、細線の途切れが発生したりすることがある。
【0009】
図15は、従来の画像処理装置における画像処理の一例を説明する図である。
【0010】
図15には、原稿である画像900の一例と、その画像900についてエッジ判別を行った結果(「エッジ判別結果」)910と、画像900についての画像処理装置の出力例(「出力サンプル」)920とが示されている。画像900は、上部から下部に向けて明度が高くなるように、グラデーションのように階調が徐々に変化しているものである。ここで、エッジ判別しきい値が画像900の途中の階調に相当する値であるとき、エッジ判別しきい値付近に当たる部分(図において、画像900を、上下におよそ2:1に分ける位置)で、エッジ判別の結果が変わる。すなわち、エッジ判別結果910は、原稿900の一部分をカバーしないものとなる。エッジ判別結果910に基づいて、エッジ判別された部分でエッジ強調が行われる場合、出力例920は、エッジ判別された部分より上方において明度が高く、下方において明度が低いものとなり、濃淡段差を有するものとなる。
【0011】
このような問題の解決策としては、あらかじめエッジ判別しきい値を下げておくことが考えられる。しかしながら、エッジ判別のしきい値が下げられていても、そのしきい値付近に当たる部分に関しては、上述と同様の問題が発生する。しかも、エッジ判別のしきい値を下げると、本来はエッジと判別されるべきではない、ノイズのような微細な濃度変化がある部分がエッジと判別されてしまい、出力画像においてノイズが目立つ可能性が高くなる。
【0012】
なお、上述の特許文献1〜4には、上記のような緩やかに濃度変化がある画像についてのエッジ判別に関する処理は開示されていない。これらの特許文献1〜4には、上記問題点に関し有効な解決策は何ら開示されていない。
【0013】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、徐々に濃度が変化する同一の文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑え、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置は、入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出手段と、エッジ量算出手段で算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別手段と、エッジ判別手段による注目画素のエッジ判別結果が、注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定手段と、エッジ量算出手段で算出された注目画素のエッジ量の、エッジ量算出手段で算出された注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出手段と、変化量算出手段で算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定手段と、注目画素について、第1の判定手段でエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、第2の判定手段で変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値を変更する変更手段とを備える。
【0015】
好ましくは変更手段は、注目画素について第1の判定手段でエッジ判別結果が変化すると判定されないように、エッジ判別しきい値を変更する。
【0016】
好ましくは画像処理装置は、注目画素の付近の複数の画素のうち、エッジ量算出手段により算出されたエッジ量が最大となるもののエッジ量を算出する最大値算出手段をさらに備え、変化量算出手段は、最大値算出手段により算出されたエッジ量に基づいて、変化量を算出する。
【0017】
好ましくは画像処理装置は、最大値算出手段により算出されたエッジ量の最大値とエッジ判別しきい値との差が所定の範囲内であるか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、変更手段は、第3の判定手段の判定結果に基づいて、エッジ判別しきい値の変更を行う。
【0018】
好ましくは画像処理装置は、注目画素及びその付近の画素を含む所定の範囲の画素のうち、エッジ量算出手段で算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値との差が所定の範囲内である画素を検出する画素検出手段をさらに備え、変更手段は、画素検出手段の検出結果に基づいて、エッジ判別しきい値の変更を行う。
【0019】
好ましくは画像処理装置は、画素検出手段により検出された画素数をカウントする画素数カウント手段と、画素数カウント手段によるカウント値が画素数条件以上であるか否かを判定する第4の判定手段とをさらに備え、変更手段は、第4の判定手段の判定結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0020】
好ましくは画像処理装置は、画素検出手段により検出された画素の連結数をカウントする連結数カウント手段と、連結数カウント手段によるカウント値が連結数条件以上であるか否かを判定する第5の判定手段とをさらに備え、変更手段は、第5の判定手段の判定結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0021】
好ましくは画像処理装置は、エッジ判別しきい値と所定の下限値とを比較する下限比較手段をさらに備え、変更手段は、下限比較手段の比較結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0022】
好ましくは画像処理装置は、エッジ判別しきい値と所定の上限値とを比較する上限比較手段をさらに備え、変更手段は、上限比較手段の比較結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0023】
好ましくは画像処理装置は、エッジ判別手段によるエッジ判別結果に基づいて、エッジの方向性を検出する方向性検出手段と、方向性検出手段により検出されたエッジの方向性に基づいてエッジの方向の連続性を検出する連続性検出手段とをさらに備え、変更手段は、連続性検出手段により検出されるエッジの方向の連続性が途切れたとき、エッジ判別しきい値を変更前の値に戻す。
【0024】
この発明の他の局面に従うと、画像形成装置は、上述のいずれかに記載の画像処理装置と、画像処理装置により処理された画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部とを備える。
【0025】
この発明のさらに他の局面に従うと、入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御方法は、入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、エッジ量算出ステップで算出された注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、注目画素について、第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、第2の判定ステップで変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとを備える。
【0026】
この発明のさらに他の局面に従うと、入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御プログラムは、入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、エッジ量算出ステップで算出された注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、注目画素について、第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、第2の判定ステップで変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
これらの発明に従うと、注目画素について、注目画素の付近の画素でエッジ判別結果が変化したと判定され、かつ、注目画素の付近の画素と間でのエッジ量の変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値が変更される。したがって、徐々に濃度が変化する同一の文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑え、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける画像処理装置を有する画像形成装置を示す正面図である。
【図2】画像形成装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】グラデーションのある画像について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【図5】階調差のある画像について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【図6】グラデーションのある画像のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【図7】単色の画像のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【図8】エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の他の例を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態により画像処理が行われた場合の出力例を説明する図である。
【図11】エッジ判別しきい値が変更される条件の例を説明する図である。
【図12】第3の変更条件について説明する図である。
【図13】第4の変更条件について説明する図である。
【図14】第5の変更条件について説明する図である。
【図15】従来の画像処理装置における画像処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置(画像処理装置の一例)について説明する。
【0030】
[概要]
【0031】
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能では、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)などに蓄積する。複写機能では、さらにそれを用紙などに印刷(プリント)する。プリンタとしての機能では、PC(パーソナルコンピュータ)などの外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う。ファクシミリ機能では、外部のファクシミリ装置などからファクシミリデータを受信してそれをHDDなどに蓄積する。データ通信機能では、接続された外部機器との間でデータを送受信する。サーバ機能では、複数のユーザでHDDなどに記憶したデータなどを共有可能にする。
【0032】
画像形成装置は、例えばスキャナ機能で読み取った画像や、印刷する対象となる画像など(処理対象の入力画像)について、画像処理を行う。画像処理としては、エッジ判別処理が含まれる。エッジ判別処理は、例えばエッジ強調処理などを行うために実行される。
【0033】
本実施の形態では、画像形成装置は、入力画像における各画素のエッジ量の変化を判別し、エッジ量の変化量の判別結果に応じてエッジ判別のしきい値を変更する。これにより、例えばグラデーション画像や濃度の切り替わりが緩やかな画像について、エッジ判別結果が途中で切り替わることが抑えられる。そのため、同一の文字や細線における、画像の濃度段差の発生や、画像の途切れの発生が防止される。
【0034】
[実施の形態]
【0035】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像処理装置を有する画像形成装置を示す正面図である。
【0036】
[画像形成装置の構成]
【0037】
図を参照して、画像形成装置1は、画像形成部3、画像読取部5、画像処理部21、給紙部30、及び排紙部31などを備える。
【0038】
図2は、画像形成装置1の制御回路の構成を示すブロック図である。
【0039】
図を参照して、画像形成装置1は、画像形成装置1のシステム全体を制御するCPU(中央演算処理装置)11を中心に、各モジュールが制御通信及び制御信号に基づいて制御される構成を有している。画像形成装置1は、上述の各部のほか、表示部7、パネル操作部9、記憶部13、ROM15、RAM17、不揮発メモリ19、画像出力部23、ファクシミリ制御部25、及びネットワーク接続部27などを備えている。
【0040】
CPU11は、判別部11aと、削除部11bと、制御部11cと、通報部11dとを有している。CPU11は、判別部11a、削除部11b、制御部11c、及び通報部11dなどにより、画像形成装置1の各部との間で通信や信号の送受信を行ったり、種々の判断や情報の削除などを実行したりすることで、画像形成装置1のシステム全体を制御する。
【0041】
画像形成部3は、例えば、トナー像形成部(図示せず)と、用紙搬送部(図示せず)と、定着装置(図示せず)とを有し、電子写真方式により用紙に画像を形成する。用紙は、給紙部30から用紙搬送部によってトナー像形成部に搬送される。また、トナー像形成部及び定着装置で画像が形成された用紙は、用紙搬送部により、排紙部31に排紙される。画像形成部3は、画像処理部21により画像処理が行われた画像に基づいて、用紙に画像形成を行う。画像形成部3は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成されている。
【0042】
画像読取部5は、画像形成装置1の筐体の上部に配置されている。画像読取部5は、ADF(Auto Document Feeder)5aを有している。画像読取部5は、上述のスキャナ機能を実行する。画像読取部5は、透明な原稿台に配置された原稿をコンタクトイメージセンサにより走査して、それを画像データとして読み取る。また、画像読取部5は、原稿トレイにセットされた複数枚の原稿を、ADF5aにより順次取り込みながら、コンタクトイメージセンサによりその画像データを読み取る。画像読取部5により読み取られた画像データは、CPU11によりアプリケーションデータ形式に変換され、記憶部13などに記憶される。
【0043】
表示部7は、例えば、画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)である。表示部7には、例えば、画像形成装置1の状態を示す画像や操作の案内画像など、CPU11の制御の下、種々の画像が表示される。なお、表示部7は、パネル操作部9を兼ねたものであってもよい。
【0044】
パネル操作部9は、例えば、タッチパネルを備えたLCDである。パネル操作部9は、ユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作を受け付けたりする。パネル操作部9は、CPU11により制御されて表示を行う。パネル操作部9は、ユーザにより操作入力されると、その操作に応じた操作信号又は所定のコマンドをCPU11に送信する。すなわち、ユーザは、パネル操作部9に操作を行うことにより、画像形成装置1に種々の動作を実行させることができる。なお、パネル操作部9は、情報を削除するための条件を設定する削除条件設定部9aを有している。
【0045】
記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。記憶部13は、ネットワーク接続部27を介して外部から送られたジョブ(JOB)のデータや、画像読取部5で読み取った画像データなどを記憶する。また、記憶部13は、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム13aなどを記憶する。記憶部13は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。なお、記憶部13は、ROM15や不揮発メモリ19などを兼ねていてもよい。
【0046】
ROM15は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM15には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。ROM15には、記憶部13と同様に、種々の制御プログラムや、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU11は、所定の処理を行うことにより、ROM15からのデータの読み込みや、ROM15へのデータの書き込みを行う。なお、ROM15は、書換え不可能なものであってもよい。
【0047】
RAM17は、CPU11のメインメモリである。RAM17は、後述のようにCPU11が制御プログラム13aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
【0048】
不揮発メモリ19は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。不揮発メモリ19には、ROM15や記憶部13と同様に、種々の制御プログラムや、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU11は、画像形成装置1の制御を行うのに必要なときなどに、不揮発メモリ19からのデータの読み込みや、不揮発メモリ19へのデータの書き込みを行う。
【0049】
画像処理部21は、CPU11による制御の下、種々の画像処理を行う機能を有している。画像処理としては、例えば、印刷対象の画像データをCMYK方式のデータに変換する処理や、画像データの特性に応じた画像データの補正処理などがある。また、画像処理としては、後述のようなエッジ判別処理がある。
【0050】
画像出力部23は、例えば、記憶部13などに記憶された画像データを、ネットワーク接続部27などを介して、外部のPCなどに送信可能である。画像出力部23は、例えば、電子メールやFTP(File Transfer Protocol)など、種々の通信プロトコルにより、画像を出力可能である。なお、画像出力部23は、後述のような画像処理を施した画像を送信することができる。
【0051】
ファクシミリ制御部25は、上述のファクシミリ機能を制御し、外部の機器とファクシミリ通信を行う。ファクシミリ制御部25は、受信部25aを備えている。画像形成装置1は、後述のような画像処理を施した画像をファクシミリ送信することができる。
【0052】
ネットワーク接続部27は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェア部と、所定の通信プロトコルで通信を行うソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。ネットワーク接続部27は、画像形成装置1をLANなどの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置1は、外部ネットワークに接続されているクライアントPCなどの外部装置と通信可能になる。画像形成装置1は、PCなどが接続された外部ネットワークに接続されている場合、そのPCなどから印刷ジョブを受信可能である。また、画像形成装置1は、上述の画像出力部23などにより、画像読取部5で読み取った画像データを、PCに送信したり、メールサーバなどを介してE−mailにより送信したりすることができる。なお、ネットワーク接続部27は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。
【0053】
CPU11は、ROM15、RAM17、又は記憶部13などに記憶された制御プログラム13aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU11は、パネル操作部9から操作信号が送られたり、ネットワーク接続部27を介して通信可能なPCなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラム13aを実行する。これにより、ユーザによるパネル操作部9の操作などに応じて、画像形成装置1の所定の機能が実行される。
【0054】
[エッジ判別処理に関する制御の説明]
【0055】
本実施の形態において、画像形成装置1では、入力画像について画像処理が行われる。画像処理としては、例えばエッジ判別処理が行われる。エッジ判別処理は、例えば入力画像中の文字や細線を判別する際などに行われる。以下の説明において、エッジ判別処理を単に画像処理と呼ぶことがある。
【0056】
画像処理は、例えば、CPU11の制御により、画像処理部21などを用いて実行される。すなわち、画像形成装置1において、CPU11及び画像処理部21などより、画像処理装置が構成されている。CPU11は、例えば、制御プログラム13aを実行することなどにより、画像処理を行う。画像処理では、印刷ジョブで印刷対象として入力された画像や、画像読取部5により読み取られた画像や、外部のPCなどの外部機器から送られた画像などを入力画像とすることができる。
【0057】
ここで、CPU11により、画像処理の実行時において、入力画像における各画素のエッジ量(例えば、階調変化の大きさなど)の変化が判別され、それに応じてエッジ判別のしきい値が通常時の値から変更される。この制御は、例えばグラデーション画像や濃度の変化が緩やかな画像などについて、エッジ判別結果が切り替わる(エッジがあると判断される)ことがないように行われる。すなわち、エッジ判別しきい値が通常時の値から変更されるとき、エッジ判別しきい値は、エッジ判別結果が切り替わらないような値に変更される。エッジ判別のしきい値は、後述のエッジ量変化量条件(第1の変更条件)が満たされる場合であって、エッジ判別条件(第2の変更条件)が満たされる場合(エッジ判別される場合)に、変更される。
【0058】
図3は、画像形成装置1が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS101において、CPU11は、エッジ量算出を行う。
【0060】
ステップS103において、CPU11は、算出したエッジ量に基づいて、エッジ判別を行う。エッジ判別は、算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいて行われる。
【0061】
ステップS105において、CPU11は、注目画素のエッジ判別結果がその周辺の画素(付近の画素)のエッジ判別結果とは異なるか否か、すなわち周辺画素からエッジ判別結果が変化したか否かを判別する。すなわち、ステップS105においては、第2の変更条件が満たされるか否かが判断される。
【0062】
ステップS105でエッジ判別結果が変化したときは、ステップS109において、CPU11は、注目画素の周辺画素のエッジ量のうち最大となるもの(周辺Maxエッジ量)を算出する。
【0063】
ステップS111において、CPU11は、算出した周辺Maxエッジ量に基づいて、注目画素についてエッジ量差分を算出する。エッジ量差分は、例えば、注目画素のエッジ量から周辺Maxエッジ量を減じることにより算出される。すなわち、エッジ量差分は、注目画素のエッジ量の、注目画素の周辺画素のエッジ量のうち最大となるものからの変化量である。
【0064】
ステップS113において、CPU11は、算出したエッジ量差分が所定の値以下であるか否かを判別する。すなわち、エッジ量変化量について、所定の条件を満たしているか否かを評価する。ステップS113においては、第1の変更条件が満たされるか否かが判断される。
【0065】
ステップS113で所定値以下であるときには、ステップS115において、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更する。ここで、変更されたエッジ判別しきい値に応じて、そのときの注目画素についてエッジ判別が再度行われてもよいが、これに限るものではない。
【0066】
ステップS105でエッジ判別結果が変化しなかったとき、ステップS113でエッジ量差分が所定値以下でないとき、及びステップS115でエッジ判別しきい値の変更が終わったとき、その注目画素についての処理が終了する。
【0067】
[エッジ量変化量条件の説明]
【0068】
図4は、グラデーションのある画像100について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【0069】
図4を参照して、グラデーションのある画像100として、例えば、第1の部分100aと、第1の部分100aに隣接する第2の部分100bと、第2の部分100bに隣接する第3の部分100cとを有するものを想定する。第2の部分100bは、第1の部分100aよりも濃度が低い(明度が高い)ものであり、第3の部分100cは、第2の部分100bよりも濃度が低いものである。第1の部分100aと、第2の部分100bと、第3の部分100cとは、互いの階調差が比較的小さいものである。すなわち、第1の部分100aから第3の部分100cにかけて、段階的に濃度が徐々に低くなることにより、画像100は、全体としてグラデーションがあるものとなっている。
【0070】
上述したように、エッジ量変化量の評価は、原稿(図4における(a)原稿)の注目画素についてエッジ量を算出し(図4における(b)エッジ量算出)、注目画素以外の画素について周辺Maxエッジ量を算出し(図4における(c)周辺Maxエッジ量算出)、注目画素とのエッジ量差分を算出し(図4における(d)エッジ量差分算出)、エッジ量差分に基づいてエッジ量変化量を判定することで行われる(図4における(e)エッジ量変化量判定)。
【0071】
注目画素として、第1の部分100aに隣接する第2の部分100bの画素111と、第2の部分100bに隣接する第3の部分100cの画素121とを想定し、エッジ量変化量の評価について説明する。このとき、図4の「(a)原稿」に拡大して示すように、エッジ量変化量の評価においては、例えば、注目画素111を含む5画素×5画素のマトリクス110と、注目画素121を含む5画素×5画素のマトリクス120とが考慮される。マトリクス110は、中央の注目画素111と、その周辺画素112とを含んでいる。マトリクス120は、中央の注目画素121と、その周辺画素122とを含んでいる。注目画素111,121は、画像100の縁部の画素である。
【0072】
これらのマトリクス110,120についてエッジ量算出が行われると、図4の「(b)エッジ量算」に示すように、算出結果110a,120aが得られる。図4において、エッジ量が大きい画素ほど、明度が低い色で示されている。ここで、注目画素111,121は画像100の縁部の画素であるので、エッジ量はある程度の大きさとなる。また、周辺画素112,122のうち、画像100とその背景との境界部分の画素は、ある程度の大きさのエッジ量を有する。この中で、第1の部分100aと第2の部分100bとの境界部分の画素、又は第2の部分100bと第3の部分100cとの境界部分の画素は、他の画素と比較して大きなエッジ量を有する。
【0073】
マトリクス110,120についての算出結果110a,120aが得られると、それらの周辺画素112,122の中で最も大きなエッジ量が算出される。図4の「(c)周辺Maxエッジ量算出」に示すように、各マトリクス110,120の周辺画素112,122のうち最も大きなエッジ量を有する画素112a,122aについて、そのエッジ量が周辺Maxエッジ量として算出される。
【0074】
図4の「(d)エッジ量差分算出」に示すように、マトリクス110について周辺Maxエッジ量が算出されると、注目画素111のエッジ量と周辺Maxエッジ量(画素112aのエッジ量)との差分が算出される。また、マトリクス120について周辺Maxエッジ量が算出されると、注目画素121のエッジ量と周辺Maxエッジ量(画素122aのエッジ量)との差分が算出される。
【0075】
CPU11は、このように算出された注目画素111,121についてのエッジ量差分に基づいて、エッジ量変化量の評価を行う。評価は、例えばエッジ量差分の値を所定のしきい値と比較することなどにより行われる。グラデーションのある画像100については、マトリクス110,120の注目画素111,121のいずれについても、エッジ量差分の値は小さくとどまる。したがって、エッジ量変化量は小さい(エッジ量の変化が小さい)と評価(判定)される。換言すると、注目画素について周辺の画素からの階調変化が小さいと評価される。
【0076】
図5は、階調差のある画像200について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【0077】
図5を参照して、階調差のある画像200として、例えば、第1の部分200aと、第1の部分200aに隣接する第2の部分200bとを有するものを想定する。第2の部分200bは、第1の部分200aよりも濃度が低い(明度が高い)ものである。画像200は、第1の部分200aと第2の部分200bとの濃度差(階調差)が大きく、第1の部分200aと第2の部分200bとの境界がはっきりとしているものである。
【0078】
注目画素として、第2の部分200bの画素であって第1の部分200aの近傍の画素211を想定し、エッジ量変化量の評価について説明する。このとき、図5の「(a)原稿」に示すように、評価においては、注目画素211を含む5画素×5画素のマトリクス210が考慮される。マトリクス210は、中央の注目画素211と、その周辺画素212とを含んでいる。注目画素211は、画像200の縁部の画素である。
【0079】
マトリクス210についてエッジ量算出が行われると、図5の「(b)エッジ量算」に示すように、算出結果210aが得られる。図5において、エッジ量が大きい画素ほど、明度が低い色で示されている。注目画素211は画像200の縁部の画素であるので、エッジ量はある程度の大きさとなる。第1の部分200aと第2の部分200bとの階調差が大きいので、第1の部分200aと第2の部分200bとが隣接する部分の画素のエッジ量は相当に大きくなる。
【0080】
マトリクス210についての算出結果210aが得られると、それらの周辺画素212の中で最も大きなエッジ量が算出される。図5の「(c)周辺Maxエッジ量算出」に示すように、各マトリクス210の周辺画素212のうち第1の部分200aと第2の部分200bとが隣接する部分の画素のエッジ量が最も大きくなる。このようにエッジ量が最大となる画素212aのエッジ量が周辺Maxエッジ量として算出される。
【0081】
図5の「(d)エッジ量差分算出」に示すように、マトリクス210について周辺Maxエッジ量が算出されると、注目画素211のエッジ量と周辺Maxエッジ量(画素212aのエッジ量)との差分が算出される。
【0082】
CPU11は、注目画素211についてのエッジ量差分に基づいて、エッジ量変化量の評価を行う。上記の場合、周辺Maxエッジ量が大きいので、注目画素211についてのエッジ量差分の値は大きくなる。したがって、エッジ量変化量は大きい(エッジ量の変化が大きい)と評価される。換言すると、注目画素について周辺の画素からの階調変化が大きいと評価される。
【0083】
本実施の形態においては、注目画素のエッジ量と周辺の画素のエッジ量との差分(エッジ量差分)が、所定の値以下であった場合に、エッジ量変化量条件が満たされる。すなわち、例えば画像100のように、徐々に階調が変化し、エッジ量の周辺の画素との変化量の差が小さい場合に、注目画素についてエッジ量変化量条件が満たされる。他方、例えば画像200のように、原稿に階調の差があるようなときには、注目画素について、エッジ量変化量条件を満たされない場合があり、エッジ判別しきい値の変更の対象外となることがある。
【0084】
[エッジ判別結果条件及びエッジ判別しきい値の変更処理の説明]
【0085】
図6は、グラデーションのある画像100のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【0086】
エッジ判別は、上述のように、各画素のエッジ量を算出し、エッジ量とエッジ判別しきい値とを比較することで行われる。例えば、エッジ量がエッジ判別しきい値より大きければ、その画素についてエッジ判別される。
【0087】
図6の上段は、上記図4において示したものと同様のグラデーションのある画像100を示し、図6の中段は、画像100についてのエッジ判別結果を示す。図6の下段は、画像100のエッジ量のグラフを示す。図6の上段、中段、及び下段は、左右方向の位置が互いに対応するように上下に並んでいる。エッジ判別結果は、エッジ判別しきい値よりエッジ量が大きい画素があれば、エッジ判別を行う。エッジ判別は、画像100のうち、濃度が高い第1の部分100aの注目画素から順に行われる。このとき、各注目画素について、その注目画素を含むマトリクス150に含まれる画素の濃度情報等に基づいて、エッジ量を算出可能である。第1の部分100a、第2の部分100b、及び第3の部分100cのそれぞれに対応するエッジ量100a,100b,100cは、図6の下段に示すようになる。すなわち、画像100は、エッジ量100a、エッジ量100b、エッジ量100cの順で段階的にエッジ量が低くなるようなグラデーションを有するものである。
【0088】
エッジ判別しきい値が通常である状態(デフォルトである状態)において、エッジ判別しきい値は、例えばT0で示される。第1の部分100aのエッジ量101aがエッジ判別しきい値T0に近い場合、画像100についてのエッジ判別結果は、例えば、図6の「エッジ判別結果(default)」に示すようになる。図6の「エッジ判別結果」において、黒色の部分はエッジ判別される部分を示し、白色の部分はエッジ判別されない部分を示している。第1の部分100aについてのエッジ判別結果において、エッジ判別しきい値がデフォルトであるとき、エッジ判別される部分151aとエッジ判別されない部分151bとは数度切り替わる。また、第2の部分100b及び第3の部分100cについてのエッジ判別結果は、その全域でエッジ判別されない部分151bとなる。
【0089】
このように、注目画素のエッジ判別結果が周辺画素のエッジ判別結果と異なる(周辺画素からエッジ判別結果が変化する)と判断されるエッジ判別結果が得られる場合であって、上記のようにエッジ量変化量条件が満たされるときには、エッジ判別しきい値が変更される。本実施の形態においては、例えば、各注目画素についてエッジ量変化量条件及びエッジ判別条件が満たされるか否か判断され、エッジ判別しきい値は、両変更条件を満たす注目画素があったときに変更される。
【0090】
すなわち、各画素がエッジ量変化量条件を満たす画像100について、図6において左端から右側に向けて、第1の部分100aの注目画素から順次エッジ判別が行われる場合を想定する。このとき、図6の「エッジ判別結果(default)」に示すように、変化点151eにおいてエッジ判別がされていた状態からエッジ判別がされない状態に変化し、エッジ判別結果が切り替わると、エッジ判別しきい値が変更される。すなわち、図6の下段に示されるように、当初のエッジ判別しきい値がT0である場合、エッジ判別結果が切り替わったとき、エッジ判別しきい値がT0よりも小さいT1に変更される(図6の下段「エッジ判別しきい値(変更1)」を参照。)。換言すると、エッジ量変化量条件とエッジ判別結果条件とが満たされる場合、エッジ判別しきい値が、エッジ判別結果が切り変わらないような値に変更される。
【0091】
このようにエッジ判別しきい値がT1に変更された場合の画像100についてのエッジ判別結果は、図6の「エッジ判別結果(変更1)」に示されるとおりである。すなわち、エッジ判別しきい値が比較的小さいT1に変更されたことで、当初のエッジ判別しきい値T0に基づいてエッジ判別が行われる場合と比較して、画像100のうち、より濃度が低い(明度が高い)部分についても、エッジ判別されるようになる。第1の部分100a及び第2の部分100bについては、その全域がエッジ判別される部分152aとなり、第3の部分100cについては、その全域がエッジ判別されない部分152bとなる。
【0092】
エッジ判別しきい値がT1となった場合において、第1の部分100a及び第2の部分100bについてはその全域がエッジ判別されるが、第3の部分100cのエッジ量はT1よりも低く、第3の部分100cについてはエッジ判別されない。すなわち、第2の部分100bと第3の部分100cとの境界に相当する部分(変化点152e)でエッジ判別結果が切り替わるので、再度エッジ判別しきい値が変更される。すなわち、図6の下段に示されるように、エッジ判別結果が切り替わると、エッジ判別しきい値がT1よりも小さいT2に変更される(図6の下段「エッジ判別しきい値(変更2)」を参照。)。このとき変更されるエッジ判別しきい値T2は、それ以降に処理が行われる画素についてエッジ判別結果が変わらないような値である。CPU11は、例えば、エッジ判別結果が変化した方向に応じて、エッジ判別しきい値を変更できる。すなわち、それまでエッジ判別結果がエッジ判別されていたときに注目画素についてエッジ判別されず、エッジ判別結果が切り替わったとき、CPU11は、エッジ判別しきい値を小さく変更できる。逆に、CPU11は、それまでエッジ判別されていなかったときに注目画素についてエッジ判別されれば、エッジ判別しきい値を大きく変更してもよい。
【0093】
このようにエッジ判別しきい値がT2に変更された場合の画像100についてのエッジ判別結果は、図6の「エッジ判別結果(変更1&2)」に示されるとおりである。すなわち、エッジ判別しきい値が第3の部分100cのエッジ量101cよりも小さいT2に変更されたことで、画像100の全域がエッジ判別される部分153aとなる。すなわち、このようにエッジ判別しきい値が変更される制御が行われることにより、エッジ判別結果が画像100の中で切り替わらなくなる。
【0094】
図7は、単色の画像300のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【0095】
図7の上段は、単色の画像300を示し、図7の中段は、画像300についてのエッジ判別結果を示す。単色の画像300は、例えば、単色の文字又は細線である。図7の下段は、画像300のエッジ量301のグラフを示す。図7の上段、中段、及び下段は、左右方向の位置が互いに対応するように上下に並んでいる。各注目画素について、その注目画素を含むマトリクス350に含まれる画素の濃度情報等に基づいて、エッジ量が算出される。画像300は単色の画像であるため、図7の下段に示すように、エッジ量301は、略一定の値となる。
【0096】
ここで、図7の下段に示すように、エッジ判別しきい値が通常のT0である状態において、エッジ量301はエッジ判別しきい値T0よりも低い。そのため、画像300についてはエッジ判別がされない。換言すると、画像300については、その全域がエッジ判別されない部分351となる。
【0097】
このように、本実施の形態においては、エッジ判別しきい値の変更は、その時点でのエッジ判別しきい値に基づいたエッジ判別結果が、周辺画素のエッジ判別結果から切り替わったときに行われる。したがって、画像300のような、単色の薄い文字や細線の画像についてエッジ判別処理が行われる際においては、エッジ判別結果が切り替わらないため、エッジ判別しきい値の変更は行われず、不適正にエッジ判別が行われることがない。
【0098】
[エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の説明]
【0099】
本実施の形態においては、あらかじめ、エッジ判別しきい値の下限値、上限値が設定されており、エッジ判別しきい値は、その下限値と上限値との間の値をとるように変更される。例えば、下限値としては、ノイズをエッジと分別可能になるような値が設定されている。これにより、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更したとき、エッジ判別しきい値がその下限値以下になるようであれば、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。CPU11は、エッジ判別しきい値を変更したとき、エッジ判別しきい値がその上限値以上になるようであれば、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。このとき、エッジ判別しきい値は、変更前の値として、通常時の値(default)に戻されてもよいし、下限値又は上限値近くの値のまま保持されてもよい。
【0100】
図8は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
図8を参照して、上記の処理について説明する。ステップS201において、CPU11は、エッジ判別しきい値と所定の下限値とを比較し、エッジ判別しきい値が下限値以下であるか否かを判定する。
【0102】
ステップS201で下限値以下でなければ、ステップS203において、CPU11は、エッジ判別しきい値と所定の上限値とを比較し、エッジ判別しきい値が上限値以上であるか否かを判定する。
【0103】
ステップS201で下限値以下であるとき、又はステップS203で上限値以上であるとき、ステップS207において、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更する。CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。
【0104】
他方、ステップS203で上限値以上でなければ、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理を行わない。
【0105】
以上の処理は、例えば、上述のエッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないように変更する処理と並行して行われる。なお、CPU11は、エッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないような値に変更する処理を行うたびに、図8に示す処理を実行するようにしてもよい。
【0106】
このように、エッジ判別しきい値が取り得る値の範囲を定めることにより、際限なくエッジ判別しきい値が変更されることを防止することができる。例えば線と認識されないような濃度が薄い画像や、ノイズと分別できないくらいの画像をエッジ判別しないようにすることができる。
【0107】
本実施の形態においては、CPU11は、エッジの判別結果に基づいて、エッジの方向性の連続性が途切れるか否かを判断し、エッジの方向性の連続性が途切れた場合に、エッジ判別しきい値を変更前の値に戻す処理を行ってもよい。すなわち、CPU11は、処理対象の画像の構成に応じて、エッジ判別しきい値を戻すようにしてもよい。この処理は、例えば、上述のエッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないように変更する処理と並行して行われる。CPU11は、エッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないような値に変更する処理を行うたびに、この処理を実行するようにしてもよい。
【0108】
図9は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の他の例を示すフローチャートである。
【0109】
図9を参照して、上記の処理について説明する。ステップS301において、CPU11は、処理対象の画像について、エッジ判別結果に基づいて、エッジの方向性を検出する。
【0110】
ステップS303において、CPU11は、検出されたエッジの方向の連続性を検出する。
【0111】
ステップS305において、CPU11は、検出したエッジの方向の連続性が途切れたか否かを判定する。
【0112】
ステップS305で連続性が途切れているとき、ステップS307において、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更する。CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。
【0113】
他方、ステップS305で連続性が途切れていなければ、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理を行わない。
【0114】
このように、エッジの方向の連続性が検出され、それが途切れているときにエッジ判別しきい値を変更前に戻す処理が行われるので、際限なくエッジ判別しきい値が変更されることを防止することができる。
【0115】
なお、上述の図8に示す処理と図9に示す処理との両方が行われてもよいし、いずれか一方の処理のみが行われるようにしてもよい。エッジ判別処理を行った所定の画素数や時間に基づいてエッジ判別しきい値が変更前の値に戻されるようにしてもよいし、エッジ判別処理を行った画像ごとにエッジ判別しきい値が変更前の値に戻されるようにしてもよい。
【0116】
[出力例及び本実施の形態の効果の説明]
【0117】
図10は、本実施の形態により画像処理が行われた場合の出力例を説明する図である。
【0118】
図10の上段は、図15に示したものと同様であり、従来の画像について画像処理が行われた場合のエッジ判別結果及び出力例(「出力サンプル」)を示す。図10の下段には、本実施の形態により画像処理が行われた場合のエッジ判別結果及び出力例を、図10の上段の従来例と対比させて示す。
【0119】
本実施の形態における画像形成装置1において、原稿となる画像900と同様に階調が徐々に変化する画像400の画像処理が行われる場合を想定する。本実施の形態では、画像処理が行われる当初、エッジ判別しきい値が画像400の中間の階調に相当する値であるとき、エッジ判別しきい値がいわば動的に変更される。そのため、エッジ判別結果410において、画像400の全域がエッジ判別された部分となる。したがって、エッジ判別結果410に基づいて、エッジ強調が画像400の全域について略均一に行われる。上述のように、従来の画像処理では出力例920において濃淡段差が発生する場合であっても、本実施の形態では、出力例420において、濃淡段差が発生しなくなる。すなわち、徐々に濃度が変化するような文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑えることができ、エッジ強調処理などが行われる際に、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる。
【0120】
[変更条件に関する変型例の説明]
【0121】
本実施の形態において、エッジ判別しきい値が変更される条件(変更条件)すなわちエッジ判別の条件をさらに追加してもよい。換言すると、上記の第1の変更条件及び第2の変更条件に加え、以下の第3〜第5の変更条件を考慮して、CPU11がエッジ判別しきい値を変更するようにしてもよい。上記第1の変更条件及び第2の変更条件に加え、第3〜第5の変更条件のいずれかをエッジ判別しきい値が変更される条件とすることにより、エッジ判別の精度をより向上させることができる。
【0122】
図11は、エッジ判別しきい値が変更される条件の例を説明する図である。
【0123】
図11を参照して、エッジ判別しきい値が変更される条件として、第3〜第5の変更条件を設けることができる。
【0124】
第3の変更条件は、エッジ量の最大条件である。すなわち、CPU11は、原稿のエッジ量を算出し、注目画素を含む場合マトリクス内のエッジ量の最大値を算出し、その最大値がエッジ判別しきい値付近のエッジ量条件範囲内にあるか否かを判断する。第3の変更条件が考慮されることにより、もともとエッジ判別されるような濃い文字などについては、エッジ判別しきい値の変更対象から除外される。したがって、濃淡段差の発生を防止するために必要な場合にのみエッジ判別しきい値を変更することができる。
【0125】
すなわち、図11を参照して、CPU11は、処理対象の原稿を読み込み(S501)、注目画素511とその周辺画素512とが含まれるマトリクス510についてエッジ量算出を行う(S503)。図11のマトリクス510a(S503)は、エッジ量算出結果を、マトリクス510に対応するマトリクス状に示したものである。マトリクス510aにおいて、各画素について、エッジ量が大きい画素ほど濃度が高い色となるように示している。マトリクス510において隣接する画素との濃度差などが大きい画素のエッジ量は、比較的大きくなる。
【0126】
ここで、エッジ量が算出されると、そのときの注目画素511が含まれるマトリクス内での最大エッジ量(Maxエッジ量)EdgeMaxが算出される(S505)。CPU11は、算出された最大エッジ量EdgeMaxが、エッジ量条件範囲内にあるかどうかを判断する(S507)。最大エッジ量EdgeMaxが、エッジ量条件範囲内にあれば、第3の変更条件が満たされる。
【0127】
第4の変更条件は、所定の条件を満たす画素のカウント値に関する条件である。すなわち、CPU11は、各画素のエッジ量が所定の条件範囲内にある画素をカウントし、そのカウント値が、しきい値となる所定値よりも大きいか否かを判断する。第4の変更条件が考慮されることにより、ノイズがある画素など、エッジ判別に際して考慮すべきでない画素の影響を排除することができる。したがって、濃淡段差の発生を防止するために必要な場合にのみエッジ判別しきい値を変更することができる。
【0128】
第4の変更条件について判断が行われる際にも、原稿画像のマトリクス510についてのエッジ量算出処理までは上記と同様に行われる(S501,S503)。エッジ量算出が行われると、各画素のエッジ量が所定の条件範囲内にあるか否かが判別される(S513)。本実施の形態においては、例えば、エッジ量とエッジ判別しきい値との差が所定の範囲内である画素について、そのエッジ量が所定の条件範囲内にあると判別される。図11のマトリクス510b(S513)は、エッジ量条件判別結果をマトリクス510に対応するマトリクス状に示したものである。マトリクス510bにおいて、エッジ量が所定の条件の範囲内にある画素(エッジ量条件範囲内画素)513が、灰色を付して示されており、その他の画素は、着色されずに白色で示されている。なお、ここで所定の条件範囲は、例えば、グラデーション画像を構成する画素のエッジ量などを考慮して適宜設定したものであればよいし、他の要因を考慮して、エッジ判別しきい値の変更処理に際して考慮すべきエッジ量の画素が条件範囲内に入るように、適宜設定されていればよい。また、ここでいうエッジ量条件範囲とは、上述の第3の変更条件に関して考慮されるエッジ量条件範囲と同一のようにして定められているものであってもよいし、第3の変更条件に関して考慮されるエッジ量条件範囲とは異なる観点から定められた別の範囲であってもよい。
【0129】
ここで、エッジ量条件判別結果が得られると、CPU11は、エッジ量条件範囲内画素(該当画素)513の数をカウントする(S515)。カウントは、例えば、注目画素511を含むマトリクス510b内で行われる。すなわち、カウント値は、マトリクス510b内の該当画素513の数である。CPU11は、カウントされた該当画素カウント値EdgeCount1が、所定のカウント値以上であるか否かを判断する(S517)。該当画素カウント値EdgeCount1が、所定のカウント値以上であれば、第4の変更条件が満たされる。
【0130】
第5の変更条件は、所定の条件を満たす画素の連結数に関する条件である。すなわち、CPU11は、各画素のエッジ量が所定の条件範囲内にある画素の連結数を検出し、その連結数が所定値よりも大きいか否かを判断する。第5の変更条件が考慮されることにより、網点を構成する画素など、エッジ判別に際して考慮すべきでない画素の影響を排除することができる。したがって、濃淡段差の発生を防止するために必要な場合にのみエッジ判別しきい値を変更することができる。
【0131】
第5の変更条件について判断が行われる際にも、第4の変更条件について判断が行われる場合と同様に、原稿画像のマトリクス510についてのエッジ量算出処理及びエッジ量条件の判別が行われる(S501,S503,S513)。
【0132】
ここで、エッジ量条件判別結果が得られると、CPU11は、該当画素513の連結数EdgeCount2をカウントする(S525)。CPU11は、カウントされた該当画素連結数EdgeCount2が、所定のカウント値以上であるか否かを判断する(S527)。該当画素連結数EdgeCount2が、所定のカウント値以上であれば、第5の変更条件が満たされる。
【0133】
図12は、第3の変更条件について説明する図である。
【0134】
図12において、濃度が薄い文字や濃度が薄い細線などの画像600及びそのエッジ量600aと、濃度が濃い文字や濃度が濃い細線などの画像650及びそのエッジ量650aとを対比して示している。エッジ量600a,650aは、上方ほどエッジ量が大きくなるようなグラフに示されている。図12において、画像600とエッジ量600aと、及び、画像650とエッジ量650aとは、それぞれ、左右方向の位置が上下で互いにそろうように配置されている。
【0135】
画像600は、図12において左右方向の略中央部から左部分が灰色(濃度が薄い色)であって、他の部分が略白色である。また、画像650は、図12において左右方向の略中央部から左の部分が黒色(濃度が濃い色)であって、他の部分が略白色である。エッジ量600aを示す曲線は、画像600の中央部にある灰色と白色との境界部において最大値をとるように表される。また、エッジ量650aを示す曲線は、画像650の中央部にある黒色と白色との境界部において最大値をとるように表される。
【0136】
ここで、本実施の形態において、エッジ量条件範囲は、エッジ判別しきい値Tより大きいT3が上限となり、エッジ判別しきい値Tより小さいT4が下限となる範囲である。上限T3は、例えば、それ以上のエッジ量であれば確実にエッジ判別すべきであるエッジ量の値が設定される。また、下限T4は、例えば、エッジ判別しきい値の変更処理に際して考慮すべき画素のエッジ量より小さい値が設定される。T3,T4は、そのときのエッジ判別しきい値Tに応じて変化するように設定されている。CPU11は、エッジ量600a,650aの最大値がエッジ量条件範囲の下限T4より大きく上限T3より小さいか否か、すなわち最大値とエッジ判別しきい値Tとの差が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0137】
図12に示す例において、画像600のエッジ量600aは、その最大値がエッジ量条件範囲の下限T4より大きく上限T3より小さいものである。他方、画像650のエッジ量650aは、その最大値がエッジ量条件範囲の上限T3よりも大きいものである。換言すると、画像600は、注目画素を含む場合マトリクス内のエッジ量の最大値がエッジ判別しきい値付近のエッジ量条件範囲内にあるものであり、第3の変更条件を満たすものである。他方、画像650は、注目画素を含む場合マトリクス内のエッジ量の最大値がエッジ判別しきい値付近のエッジ量条件範囲内にないものであり、第3の変更条件を満たさないものである。したがって、画像650のように、画像の濃淡の差が大きく、エッジ判別しきい値の変更処理を伴うことなく適切にエッジ判別できるような画像について、エッジ判別しきい値の変更処理を行わないようにすることができる。
【0138】
図13は、第4の変更条件について説明する図である。
【0139】
図13には、該当画素713のカウント値が互いに異なる、2つのマトリクス710,720が示されている。マトリクス710においては、該当画素713のカウント値は20である。他方、マトリクス720においては、該当画素713のカウント値は5である。
【0140】
ここで、例えばカウント値のしきい値が10である場合(カウント条件が10である場合)を想定する。このとき、マトリクス710のカウント値はカウント値のしきい値よりも大きく、マトリクス710について、第4の変更条件が満たされる。他方、マトリクス720のカウント値はカウント値のしきい値よりも小さく、マトリクス720については、第4の変更条件が満たされない。したがって、マトリクス720のように、例えば画像にノイズがある場合など、エッジ量がエッジ量条件範囲内にある画素が通常考えられるよりも少ない場合には、エッジ判別しきい値の変更処理が行われない。すなわち、エッジ判別しきい値の変更処理を本来必要な場合にのみ行うことができ、適切に画像処理を行うことができる。
【0141】
図14は、第5の変更条件について説明する図である。
【0142】
図14には、該当画素813の連結数が互いに異なる、2つのマトリクス810,820が示されている。連結数とは、互いに隣り合っている画素の数である。すなわち、マトリクス810においては、該当画素813の連結数は20である。他方、マトリクス820においては、該当画素813の連結数は4である。マトリクス820は、例えば、各網点が4つの該当画素823で構成されている網点領域の画像の一部である。
【0143】
ここで、例えば連結数のしきい値が10である場合(連結数カウント条件が10である場合)を想定する。このとき、マトリクス810の連結数は連結数のしきい値よりも大きく、マトリクス810について、第5の変更条件が満たされる。他方、マトリクス820の連結数は連結数のしきい値よりも小さく、マトリクス820については、第5の変更条件が満たされない。したがって、マトリクス820のように、例えば網点の画像など、エッジ量がエッジ量条件範囲内にある画素の連結数が通常のエッジを構成する画素の連結数と比較して少ない場合には、エッジ判別しきい値の変更処理が行われない。すなわち、エッジ判別しきい値の変更処理を本来必要な場合にのみ行うことができ、適切に画像処理を行うことができる。
【0144】
なお、以上説明した第3〜5の変更条件のうち2つ以上を組み合わせて、第1の変更条件及び第2の変更条件とともにエッジ判別しきい値の変更を行う条件としてもよい。第3〜5の変更条件のうちいずれか1つの変更条件を第1の変更条件及び第2の変更条件とともにエッジ判別しきい値の変更を行う条件としてもよい。
【0145】
[その他]
【0146】
上述の実施の形態では、エッジ判別しきい値が小さくなるように順次変更される場合について説明したが、エッジ判別しきい値は、大きくなるように変更されてもよい。例えば、入力画像について、徐々に濃度が濃くなる順に各注目画素について処理を行う場合には、エッジ判別しきい値を大きく変更することで、上記のように濃淡段差の発生などを抑えることができる。
【0147】
上記第3の変更条件に関し、T3,T4は、エッジ判別しきい値Tにかかわらず、固定値として適当な値に設定されていてもよい。なお、T3,T4はこのようにして設定されるものに限られるものではなく、エッジ量条件範囲がエッジ判別しきい値Tの付近になるように、T3,T4が適宜任意の値として設定されていてもよい。
【0148】
画像形成装置のハードウェア構成は上述に限られるものではなく、画像処理が種々の制御回路により行われるようにしてもよい。
【0149】
注目画素とその周辺画素とを含むマトリクスは、上記実施の形態において示したサイズとは異なってもよい。マトリクスは、正方形に限られるものでもない。すなわち、注目画素と、その付近の適当な範囲の画素とを考慮して処理が行われればよい。
【0150】
また、画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。また、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
【0151】
また、本発明に係る画像処理装置は、画像形成装置に用いられるものに限られない。例えば、本発明は、画像データを読み取るスキャナ装置や、撮像装置や、画像データ送受信装置など、種々の装置に用いられる画像処理装置においても適用可能である。
【0152】
また、上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0153】
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0154】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
1 画像形成装置(画像処理装置の一例)
3 画像形成部
5 画像読取部
11 CPU
13a 制御プログラム
21 画像処理部
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、入力画像に対してエッジ判別処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)などに用いられ、入力画像に対してエッジ判別処理を行う画像処理装置がある。
【0003】
下記特許文献1には、画像処理装置において、周辺画素の読取濃度の平均値が所定の基準値よりも大きいときには、白黒2値化のしきい値を小さくし、周辺画素の読取濃度の平均値が所定の基準値よりも小さいときには、しきい値を大きくすることが開示されている。しきい値は、周辺画素の読取濃度の平均値に補正値を加算して得られる値である。補正値を増減することで、しきい値の大小が設定される。この処理は、周囲の画素の影響で、画像が原稿よりも黒っぽく又は白っぽく偏ることを解消し、原稿画像の再現の忠実度を高めるために行われる。
【0004】
下記特許文献2には、入力画像を量子化する際に量子化誤差を拡散する画像処理装置が開示されている。この画像処理装置は、階調変換処理を行った任意領域において発生した量子化誤差の総和に応じて、総和誤差が小さくなるように、量子化を行うときに用いられるしきい値を補正するものが開示されている。
【0005】
下記特許文献3には、注目画素の周辺画素の既に2値化された画像データに基づいて、注目画素の2値化処理のしきい値のレベルを修正する画像処理装置や、周辺画素の既に2値化された画像データに基づいて、注目画素の濃度修正及び2値化処理を行う画像処理装置が開示されている。これらの処理は、周囲が黒画素で囲まれた画素は黒く読み取られ、白画素で囲まれた画素は白く読み取られるのを解消するために行われる。
【0006】
下記特許文献4には、多値画像を2値画像へ変換する画像処理装置において、多値画像の画素値が所定の範囲内にあるかを判定し、範囲内にある場合と所定範囲外にある場合とで異なる2値化手段で2値化を行うことが開示されている。2値化手段としては、濃度パターン法により2値化するものや、しきい値に応じて2値化するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−245073号公報
【特許文献2】特開2010−93763号公報
【特許文献3】特開平6−78149号公報
【特許文献4】特開平8−307675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような画像処理装置において、エッジ判別結果に応じてエッジ強調処理を行う場合、以下のような問題が発生することがある。すなわち、エッジ判別のしきい値付近に当たる文字や細線において、グラデーションのように濃度が徐々に変化している場合、文字や細線の途中でエッジ判別結果が変わる(エッジがあると判別される)ことがある。そのため、画像処理後の出力画像において、その文字や細線部分において、濃度段差が発生したり、文字、細線の途切れが発生したりすることがある。
【0009】
図15は、従来の画像処理装置における画像処理の一例を説明する図である。
【0010】
図15には、原稿である画像900の一例と、その画像900についてエッジ判別を行った結果(「エッジ判別結果」)910と、画像900についての画像処理装置の出力例(「出力サンプル」)920とが示されている。画像900は、上部から下部に向けて明度が高くなるように、グラデーションのように階調が徐々に変化しているものである。ここで、エッジ判別しきい値が画像900の途中の階調に相当する値であるとき、エッジ判別しきい値付近に当たる部分(図において、画像900を、上下におよそ2:1に分ける位置)で、エッジ判別の結果が変わる。すなわち、エッジ判別結果910は、原稿900の一部分をカバーしないものとなる。エッジ判別結果910に基づいて、エッジ判別された部分でエッジ強調が行われる場合、出力例920は、エッジ判別された部分より上方において明度が高く、下方において明度が低いものとなり、濃淡段差を有するものとなる。
【0011】
このような問題の解決策としては、あらかじめエッジ判別しきい値を下げておくことが考えられる。しかしながら、エッジ判別のしきい値が下げられていても、そのしきい値付近に当たる部分に関しては、上述と同様の問題が発生する。しかも、エッジ判別のしきい値を下げると、本来はエッジと判別されるべきではない、ノイズのような微細な濃度変化がある部分がエッジと判別されてしまい、出力画像においてノイズが目立つ可能性が高くなる。
【0012】
なお、上述の特許文献1〜4には、上記のような緩やかに濃度変化がある画像についてのエッジ判別に関する処理は開示されていない。これらの特許文献1〜4には、上記問題点に関し有効な解決策は何ら開示されていない。
【0013】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、徐々に濃度が変化する同一の文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑え、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置は、入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出手段と、エッジ量算出手段で算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別手段と、エッジ判別手段による注目画素のエッジ判別結果が、注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定手段と、エッジ量算出手段で算出された注目画素のエッジ量の、エッジ量算出手段で算出された注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出手段と、変化量算出手段で算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定手段と、注目画素について、第1の判定手段でエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、第2の判定手段で変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値を変更する変更手段とを備える。
【0015】
好ましくは変更手段は、注目画素について第1の判定手段でエッジ判別結果が変化すると判定されないように、エッジ判別しきい値を変更する。
【0016】
好ましくは画像処理装置は、注目画素の付近の複数の画素のうち、エッジ量算出手段により算出されたエッジ量が最大となるもののエッジ量を算出する最大値算出手段をさらに備え、変化量算出手段は、最大値算出手段により算出されたエッジ量に基づいて、変化量を算出する。
【0017】
好ましくは画像処理装置は、最大値算出手段により算出されたエッジ量の最大値とエッジ判別しきい値との差が所定の範囲内であるか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、変更手段は、第3の判定手段の判定結果に基づいて、エッジ判別しきい値の変更を行う。
【0018】
好ましくは画像処理装置は、注目画素及びその付近の画素を含む所定の範囲の画素のうち、エッジ量算出手段で算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値との差が所定の範囲内である画素を検出する画素検出手段をさらに備え、変更手段は、画素検出手段の検出結果に基づいて、エッジ判別しきい値の変更を行う。
【0019】
好ましくは画像処理装置は、画素検出手段により検出された画素数をカウントする画素数カウント手段と、画素数カウント手段によるカウント値が画素数条件以上であるか否かを判定する第4の判定手段とをさらに備え、変更手段は、第4の判定手段の判定結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0020】
好ましくは画像処理装置は、画素検出手段により検出された画素の連結数をカウントする連結数カウント手段と、連結数カウント手段によるカウント値が連結数条件以上であるか否かを判定する第5の判定手段とをさらに備え、変更手段は、第5の判定手段の判定結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0021】
好ましくは画像処理装置は、エッジ判別しきい値と所定の下限値とを比較する下限比較手段をさらに備え、変更手段は、下限比較手段の比較結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0022】
好ましくは画像処理装置は、エッジ判別しきい値と所定の上限値とを比較する上限比較手段をさらに備え、変更手段は、上限比較手段の比較結果に基づいて、エッジ判別しきい値を変更する。
【0023】
好ましくは画像処理装置は、エッジ判別手段によるエッジ判別結果に基づいて、エッジの方向性を検出する方向性検出手段と、方向性検出手段により検出されたエッジの方向性に基づいてエッジの方向の連続性を検出する連続性検出手段とをさらに備え、変更手段は、連続性検出手段により検出されるエッジの方向の連続性が途切れたとき、エッジ判別しきい値を変更前の値に戻す。
【0024】
この発明の他の局面に従うと、画像形成装置は、上述のいずれかに記載の画像処理装置と、画像処理装置により処理された画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部とを備える。
【0025】
この発明のさらに他の局面に従うと、入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御方法は、入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、エッジ量算出ステップで算出された注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、注目画素について、第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、第2の判定ステップで変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとを備える。
【0026】
この発明のさらに他の局面に従うと、入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御プログラムは、入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、エッジ量算出ステップで算出された注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、注目画素について、第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、第2の判定ステップで変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
これらの発明に従うと、注目画素について、注目画素の付近の画素でエッジ判別結果が変化したと判定され、かつ、注目画素の付近の画素と間でのエッジ量の変化量が所定の値以下であると判定されたとき、エッジ判別しきい値が変更される。したがって、徐々に濃度が変化する同一の文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑え、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける画像処理装置を有する画像形成装置を示す正面図である。
【図2】画像形成装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】グラデーションのある画像について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【図5】階調差のある画像について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【図6】グラデーションのある画像のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【図7】単色の画像のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【図8】エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の他の例を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態により画像処理が行われた場合の出力例を説明する図である。
【図11】エッジ判別しきい値が変更される条件の例を説明する図である。
【図12】第3の変更条件について説明する図である。
【図13】第4の変更条件について説明する図である。
【図14】第5の変更条件について説明する図である。
【図15】従来の画像処理装置における画像処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置(画像処理装置の一例)について説明する。
【0030】
[概要]
【0031】
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能では、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)などに蓄積する。複写機能では、さらにそれを用紙などに印刷(プリント)する。プリンタとしての機能では、PC(パーソナルコンピュータ)などの外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う。ファクシミリ機能では、外部のファクシミリ装置などからファクシミリデータを受信してそれをHDDなどに蓄積する。データ通信機能では、接続された外部機器との間でデータを送受信する。サーバ機能では、複数のユーザでHDDなどに記憶したデータなどを共有可能にする。
【0032】
画像形成装置は、例えばスキャナ機能で読み取った画像や、印刷する対象となる画像など(処理対象の入力画像)について、画像処理を行う。画像処理としては、エッジ判別処理が含まれる。エッジ判別処理は、例えばエッジ強調処理などを行うために実行される。
【0033】
本実施の形態では、画像形成装置は、入力画像における各画素のエッジ量の変化を判別し、エッジ量の変化量の判別結果に応じてエッジ判別のしきい値を変更する。これにより、例えばグラデーション画像や濃度の切り替わりが緩やかな画像について、エッジ判別結果が途中で切り替わることが抑えられる。そのため、同一の文字や細線における、画像の濃度段差の発生や、画像の途切れの発生が防止される。
【0034】
[実施の形態]
【0035】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像処理装置を有する画像形成装置を示す正面図である。
【0036】
[画像形成装置の構成]
【0037】
図を参照して、画像形成装置1は、画像形成部3、画像読取部5、画像処理部21、給紙部30、及び排紙部31などを備える。
【0038】
図2は、画像形成装置1の制御回路の構成を示すブロック図である。
【0039】
図を参照して、画像形成装置1は、画像形成装置1のシステム全体を制御するCPU(中央演算処理装置)11を中心に、各モジュールが制御通信及び制御信号に基づいて制御される構成を有している。画像形成装置1は、上述の各部のほか、表示部7、パネル操作部9、記憶部13、ROM15、RAM17、不揮発メモリ19、画像出力部23、ファクシミリ制御部25、及びネットワーク接続部27などを備えている。
【0040】
CPU11は、判別部11aと、削除部11bと、制御部11cと、通報部11dとを有している。CPU11は、判別部11a、削除部11b、制御部11c、及び通報部11dなどにより、画像形成装置1の各部との間で通信や信号の送受信を行ったり、種々の判断や情報の削除などを実行したりすることで、画像形成装置1のシステム全体を制御する。
【0041】
画像形成部3は、例えば、トナー像形成部(図示せず)と、用紙搬送部(図示せず)と、定着装置(図示せず)とを有し、電子写真方式により用紙に画像を形成する。用紙は、給紙部30から用紙搬送部によってトナー像形成部に搬送される。また、トナー像形成部及び定着装置で画像が形成された用紙は、用紙搬送部により、排紙部31に排紙される。画像形成部3は、画像処理部21により画像処理が行われた画像に基づいて、用紙に画像形成を行う。画像形成部3は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成されている。
【0042】
画像読取部5は、画像形成装置1の筐体の上部に配置されている。画像読取部5は、ADF(Auto Document Feeder)5aを有している。画像読取部5は、上述のスキャナ機能を実行する。画像読取部5は、透明な原稿台に配置された原稿をコンタクトイメージセンサにより走査して、それを画像データとして読み取る。また、画像読取部5は、原稿トレイにセットされた複数枚の原稿を、ADF5aにより順次取り込みながら、コンタクトイメージセンサによりその画像データを読み取る。画像読取部5により読み取られた画像データは、CPU11によりアプリケーションデータ形式に変換され、記憶部13などに記憶される。
【0043】
表示部7は、例えば、画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)である。表示部7には、例えば、画像形成装置1の状態を示す画像や操作の案内画像など、CPU11の制御の下、種々の画像が表示される。なお、表示部7は、パネル操作部9を兼ねたものであってもよい。
【0044】
パネル操作部9は、例えば、タッチパネルを備えたLCDである。パネル操作部9は、ユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作を受け付けたりする。パネル操作部9は、CPU11により制御されて表示を行う。パネル操作部9は、ユーザにより操作入力されると、その操作に応じた操作信号又は所定のコマンドをCPU11に送信する。すなわち、ユーザは、パネル操作部9に操作を行うことにより、画像形成装置1に種々の動作を実行させることができる。なお、パネル操作部9は、情報を削除するための条件を設定する削除条件設定部9aを有している。
【0045】
記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。記憶部13は、ネットワーク接続部27を介して外部から送られたジョブ(JOB)のデータや、画像読取部5で読み取った画像データなどを記憶する。また、記憶部13は、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム13aなどを記憶する。記憶部13は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。なお、記憶部13は、ROM15や不揮発メモリ19などを兼ねていてもよい。
【0046】
ROM15は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM15には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。ROM15には、記憶部13と同様に、種々の制御プログラムや、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU11は、所定の処理を行うことにより、ROM15からのデータの読み込みや、ROM15へのデータの書き込みを行う。なお、ROM15は、書換え不可能なものであってもよい。
【0047】
RAM17は、CPU11のメインメモリである。RAM17は、後述のようにCPU11が制御プログラム13aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
【0048】
不揮発メモリ19は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。不揮発メモリ19には、ROM15や記憶部13と同様に、種々の制御プログラムや、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU11は、画像形成装置1の制御を行うのに必要なときなどに、不揮発メモリ19からのデータの読み込みや、不揮発メモリ19へのデータの書き込みを行う。
【0049】
画像処理部21は、CPU11による制御の下、種々の画像処理を行う機能を有している。画像処理としては、例えば、印刷対象の画像データをCMYK方式のデータに変換する処理や、画像データの特性に応じた画像データの補正処理などがある。また、画像処理としては、後述のようなエッジ判別処理がある。
【0050】
画像出力部23は、例えば、記憶部13などに記憶された画像データを、ネットワーク接続部27などを介して、外部のPCなどに送信可能である。画像出力部23は、例えば、電子メールやFTP(File Transfer Protocol)など、種々の通信プロトコルにより、画像を出力可能である。なお、画像出力部23は、後述のような画像処理を施した画像を送信することができる。
【0051】
ファクシミリ制御部25は、上述のファクシミリ機能を制御し、外部の機器とファクシミリ通信を行う。ファクシミリ制御部25は、受信部25aを備えている。画像形成装置1は、後述のような画像処理を施した画像をファクシミリ送信することができる。
【0052】
ネットワーク接続部27は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェア部と、所定の通信プロトコルで通信を行うソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。ネットワーク接続部27は、画像形成装置1をLANなどの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置1は、外部ネットワークに接続されているクライアントPCなどの外部装置と通信可能になる。画像形成装置1は、PCなどが接続された外部ネットワークに接続されている場合、そのPCなどから印刷ジョブを受信可能である。また、画像形成装置1は、上述の画像出力部23などにより、画像読取部5で読み取った画像データを、PCに送信したり、メールサーバなどを介してE−mailにより送信したりすることができる。なお、ネットワーク接続部27は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。
【0053】
CPU11は、ROM15、RAM17、又は記憶部13などに記憶された制御プログラム13aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU11は、パネル操作部9から操作信号が送られたり、ネットワーク接続部27を介して通信可能なPCなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラム13aを実行する。これにより、ユーザによるパネル操作部9の操作などに応じて、画像形成装置1の所定の機能が実行される。
【0054】
[エッジ判別処理に関する制御の説明]
【0055】
本実施の形態において、画像形成装置1では、入力画像について画像処理が行われる。画像処理としては、例えばエッジ判別処理が行われる。エッジ判別処理は、例えば入力画像中の文字や細線を判別する際などに行われる。以下の説明において、エッジ判別処理を単に画像処理と呼ぶことがある。
【0056】
画像処理は、例えば、CPU11の制御により、画像処理部21などを用いて実行される。すなわち、画像形成装置1において、CPU11及び画像処理部21などより、画像処理装置が構成されている。CPU11は、例えば、制御プログラム13aを実行することなどにより、画像処理を行う。画像処理では、印刷ジョブで印刷対象として入力された画像や、画像読取部5により読み取られた画像や、外部のPCなどの外部機器から送られた画像などを入力画像とすることができる。
【0057】
ここで、CPU11により、画像処理の実行時において、入力画像における各画素のエッジ量(例えば、階調変化の大きさなど)の変化が判別され、それに応じてエッジ判別のしきい値が通常時の値から変更される。この制御は、例えばグラデーション画像や濃度の変化が緩やかな画像などについて、エッジ判別結果が切り替わる(エッジがあると判断される)ことがないように行われる。すなわち、エッジ判別しきい値が通常時の値から変更されるとき、エッジ判別しきい値は、エッジ判別結果が切り替わらないような値に変更される。エッジ判別のしきい値は、後述のエッジ量変化量条件(第1の変更条件)が満たされる場合であって、エッジ判別条件(第2の変更条件)が満たされる場合(エッジ判別される場合)に、変更される。
【0058】
図3は、画像形成装置1が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS101において、CPU11は、エッジ量算出を行う。
【0060】
ステップS103において、CPU11は、算出したエッジ量に基づいて、エッジ判別を行う。エッジ判別は、算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいて行われる。
【0061】
ステップS105において、CPU11は、注目画素のエッジ判別結果がその周辺の画素(付近の画素)のエッジ判別結果とは異なるか否か、すなわち周辺画素からエッジ判別結果が変化したか否かを判別する。すなわち、ステップS105においては、第2の変更条件が満たされるか否かが判断される。
【0062】
ステップS105でエッジ判別結果が変化したときは、ステップS109において、CPU11は、注目画素の周辺画素のエッジ量のうち最大となるもの(周辺Maxエッジ量)を算出する。
【0063】
ステップS111において、CPU11は、算出した周辺Maxエッジ量に基づいて、注目画素についてエッジ量差分を算出する。エッジ量差分は、例えば、注目画素のエッジ量から周辺Maxエッジ量を減じることにより算出される。すなわち、エッジ量差分は、注目画素のエッジ量の、注目画素の周辺画素のエッジ量のうち最大となるものからの変化量である。
【0064】
ステップS113において、CPU11は、算出したエッジ量差分が所定の値以下であるか否かを判別する。すなわち、エッジ量変化量について、所定の条件を満たしているか否かを評価する。ステップS113においては、第1の変更条件が満たされるか否かが判断される。
【0065】
ステップS113で所定値以下であるときには、ステップS115において、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更する。ここで、変更されたエッジ判別しきい値に応じて、そのときの注目画素についてエッジ判別が再度行われてもよいが、これに限るものではない。
【0066】
ステップS105でエッジ判別結果が変化しなかったとき、ステップS113でエッジ量差分が所定値以下でないとき、及びステップS115でエッジ判別しきい値の変更が終わったとき、その注目画素についての処理が終了する。
【0067】
[エッジ量変化量条件の説明]
【0068】
図4は、グラデーションのある画像100について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【0069】
図4を参照して、グラデーションのある画像100として、例えば、第1の部分100aと、第1の部分100aに隣接する第2の部分100bと、第2の部分100bに隣接する第3の部分100cとを有するものを想定する。第2の部分100bは、第1の部分100aよりも濃度が低い(明度が高い)ものであり、第3の部分100cは、第2の部分100bよりも濃度が低いものである。第1の部分100aと、第2の部分100bと、第3の部分100cとは、互いの階調差が比較的小さいものである。すなわち、第1の部分100aから第3の部分100cにかけて、段階的に濃度が徐々に低くなることにより、画像100は、全体としてグラデーションがあるものとなっている。
【0070】
上述したように、エッジ量変化量の評価は、原稿(図4における(a)原稿)の注目画素についてエッジ量を算出し(図4における(b)エッジ量算出)、注目画素以外の画素について周辺Maxエッジ量を算出し(図4における(c)周辺Maxエッジ量算出)、注目画素とのエッジ量差分を算出し(図4における(d)エッジ量差分算出)、エッジ量差分に基づいてエッジ量変化量を判定することで行われる(図4における(e)エッジ量変化量判定)。
【0071】
注目画素として、第1の部分100aに隣接する第2の部分100bの画素111と、第2の部分100bに隣接する第3の部分100cの画素121とを想定し、エッジ量変化量の評価について説明する。このとき、図4の「(a)原稿」に拡大して示すように、エッジ量変化量の評価においては、例えば、注目画素111を含む5画素×5画素のマトリクス110と、注目画素121を含む5画素×5画素のマトリクス120とが考慮される。マトリクス110は、中央の注目画素111と、その周辺画素112とを含んでいる。マトリクス120は、中央の注目画素121と、その周辺画素122とを含んでいる。注目画素111,121は、画像100の縁部の画素である。
【0072】
これらのマトリクス110,120についてエッジ量算出が行われると、図4の「(b)エッジ量算」に示すように、算出結果110a,120aが得られる。図4において、エッジ量が大きい画素ほど、明度が低い色で示されている。ここで、注目画素111,121は画像100の縁部の画素であるので、エッジ量はある程度の大きさとなる。また、周辺画素112,122のうち、画像100とその背景との境界部分の画素は、ある程度の大きさのエッジ量を有する。この中で、第1の部分100aと第2の部分100bとの境界部分の画素、又は第2の部分100bと第3の部分100cとの境界部分の画素は、他の画素と比較して大きなエッジ量を有する。
【0073】
マトリクス110,120についての算出結果110a,120aが得られると、それらの周辺画素112,122の中で最も大きなエッジ量が算出される。図4の「(c)周辺Maxエッジ量算出」に示すように、各マトリクス110,120の周辺画素112,122のうち最も大きなエッジ量を有する画素112a,122aについて、そのエッジ量が周辺Maxエッジ量として算出される。
【0074】
図4の「(d)エッジ量差分算出」に示すように、マトリクス110について周辺Maxエッジ量が算出されると、注目画素111のエッジ量と周辺Maxエッジ量(画素112aのエッジ量)との差分が算出される。また、マトリクス120について周辺Maxエッジ量が算出されると、注目画素121のエッジ量と周辺Maxエッジ量(画素122aのエッジ量)との差分が算出される。
【0075】
CPU11は、このように算出された注目画素111,121についてのエッジ量差分に基づいて、エッジ量変化量の評価を行う。評価は、例えばエッジ量差分の値を所定のしきい値と比較することなどにより行われる。グラデーションのある画像100については、マトリクス110,120の注目画素111,121のいずれについても、エッジ量差分の値は小さくとどまる。したがって、エッジ量変化量は小さい(エッジ量の変化が小さい)と評価(判定)される。換言すると、注目画素について周辺の画素からの階調変化が小さいと評価される。
【0076】
図5は、階調差のある画像200について行われるエッジ量変化量の評価について説明する図である。
【0077】
図5を参照して、階調差のある画像200として、例えば、第1の部分200aと、第1の部分200aに隣接する第2の部分200bとを有するものを想定する。第2の部分200bは、第1の部分200aよりも濃度が低い(明度が高い)ものである。画像200は、第1の部分200aと第2の部分200bとの濃度差(階調差)が大きく、第1の部分200aと第2の部分200bとの境界がはっきりとしているものである。
【0078】
注目画素として、第2の部分200bの画素であって第1の部分200aの近傍の画素211を想定し、エッジ量変化量の評価について説明する。このとき、図5の「(a)原稿」に示すように、評価においては、注目画素211を含む5画素×5画素のマトリクス210が考慮される。マトリクス210は、中央の注目画素211と、その周辺画素212とを含んでいる。注目画素211は、画像200の縁部の画素である。
【0079】
マトリクス210についてエッジ量算出が行われると、図5の「(b)エッジ量算」に示すように、算出結果210aが得られる。図5において、エッジ量が大きい画素ほど、明度が低い色で示されている。注目画素211は画像200の縁部の画素であるので、エッジ量はある程度の大きさとなる。第1の部分200aと第2の部分200bとの階調差が大きいので、第1の部分200aと第2の部分200bとが隣接する部分の画素のエッジ量は相当に大きくなる。
【0080】
マトリクス210についての算出結果210aが得られると、それらの周辺画素212の中で最も大きなエッジ量が算出される。図5の「(c)周辺Maxエッジ量算出」に示すように、各マトリクス210の周辺画素212のうち第1の部分200aと第2の部分200bとが隣接する部分の画素のエッジ量が最も大きくなる。このようにエッジ量が最大となる画素212aのエッジ量が周辺Maxエッジ量として算出される。
【0081】
図5の「(d)エッジ量差分算出」に示すように、マトリクス210について周辺Maxエッジ量が算出されると、注目画素211のエッジ量と周辺Maxエッジ量(画素212aのエッジ量)との差分が算出される。
【0082】
CPU11は、注目画素211についてのエッジ量差分に基づいて、エッジ量変化量の評価を行う。上記の場合、周辺Maxエッジ量が大きいので、注目画素211についてのエッジ量差分の値は大きくなる。したがって、エッジ量変化量は大きい(エッジ量の変化が大きい)と評価される。換言すると、注目画素について周辺の画素からの階調変化が大きいと評価される。
【0083】
本実施の形態においては、注目画素のエッジ量と周辺の画素のエッジ量との差分(エッジ量差分)が、所定の値以下であった場合に、エッジ量変化量条件が満たされる。すなわち、例えば画像100のように、徐々に階調が変化し、エッジ量の周辺の画素との変化量の差が小さい場合に、注目画素についてエッジ量変化量条件が満たされる。他方、例えば画像200のように、原稿に階調の差があるようなときには、注目画素について、エッジ量変化量条件を満たされない場合があり、エッジ判別しきい値の変更の対象外となることがある。
【0084】
[エッジ判別結果条件及びエッジ判別しきい値の変更処理の説明]
【0085】
図6は、グラデーションのある画像100のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【0086】
エッジ判別は、上述のように、各画素のエッジ量を算出し、エッジ量とエッジ判別しきい値とを比較することで行われる。例えば、エッジ量がエッジ判別しきい値より大きければ、その画素についてエッジ判別される。
【0087】
図6の上段は、上記図4において示したものと同様のグラデーションのある画像100を示し、図6の中段は、画像100についてのエッジ判別結果を示す。図6の下段は、画像100のエッジ量のグラフを示す。図6の上段、中段、及び下段は、左右方向の位置が互いに対応するように上下に並んでいる。エッジ判別結果は、エッジ判別しきい値よりエッジ量が大きい画素があれば、エッジ判別を行う。エッジ判別は、画像100のうち、濃度が高い第1の部分100aの注目画素から順に行われる。このとき、各注目画素について、その注目画素を含むマトリクス150に含まれる画素の濃度情報等に基づいて、エッジ量を算出可能である。第1の部分100a、第2の部分100b、及び第3の部分100cのそれぞれに対応するエッジ量100a,100b,100cは、図6の下段に示すようになる。すなわち、画像100は、エッジ量100a、エッジ量100b、エッジ量100cの順で段階的にエッジ量が低くなるようなグラデーションを有するものである。
【0088】
エッジ判別しきい値が通常である状態(デフォルトである状態)において、エッジ判別しきい値は、例えばT0で示される。第1の部分100aのエッジ量101aがエッジ判別しきい値T0に近い場合、画像100についてのエッジ判別結果は、例えば、図6の「エッジ判別結果(default)」に示すようになる。図6の「エッジ判別結果」において、黒色の部分はエッジ判別される部分を示し、白色の部分はエッジ判別されない部分を示している。第1の部分100aについてのエッジ判別結果において、エッジ判別しきい値がデフォルトであるとき、エッジ判別される部分151aとエッジ判別されない部分151bとは数度切り替わる。また、第2の部分100b及び第3の部分100cについてのエッジ判別結果は、その全域でエッジ判別されない部分151bとなる。
【0089】
このように、注目画素のエッジ判別結果が周辺画素のエッジ判別結果と異なる(周辺画素からエッジ判別結果が変化する)と判断されるエッジ判別結果が得られる場合であって、上記のようにエッジ量変化量条件が満たされるときには、エッジ判別しきい値が変更される。本実施の形態においては、例えば、各注目画素についてエッジ量変化量条件及びエッジ判別条件が満たされるか否か判断され、エッジ判別しきい値は、両変更条件を満たす注目画素があったときに変更される。
【0090】
すなわち、各画素がエッジ量変化量条件を満たす画像100について、図6において左端から右側に向けて、第1の部分100aの注目画素から順次エッジ判別が行われる場合を想定する。このとき、図6の「エッジ判別結果(default)」に示すように、変化点151eにおいてエッジ判別がされていた状態からエッジ判別がされない状態に変化し、エッジ判別結果が切り替わると、エッジ判別しきい値が変更される。すなわち、図6の下段に示されるように、当初のエッジ判別しきい値がT0である場合、エッジ判別結果が切り替わったとき、エッジ判別しきい値がT0よりも小さいT1に変更される(図6の下段「エッジ判別しきい値(変更1)」を参照。)。換言すると、エッジ量変化量条件とエッジ判別結果条件とが満たされる場合、エッジ判別しきい値が、エッジ判別結果が切り変わらないような値に変更される。
【0091】
このようにエッジ判別しきい値がT1に変更された場合の画像100についてのエッジ判別結果は、図6の「エッジ判別結果(変更1)」に示されるとおりである。すなわち、エッジ判別しきい値が比較的小さいT1に変更されたことで、当初のエッジ判別しきい値T0に基づいてエッジ判別が行われる場合と比較して、画像100のうち、より濃度が低い(明度が高い)部分についても、エッジ判別されるようになる。第1の部分100a及び第2の部分100bについては、その全域がエッジ判別される部分152aとなり、第3の部分100cについては、その全域がエッジ判別されない部分152bとなる。
【0092】
エッジ判別しきい値がT1となった場合において、第1の部分100a及び第2の部分100bについてはその全域がエッジ判別されるが、第3の部分100cのエッジ量はT1よりも低く、第3の部分100cについてはエッジ判別されない。すなわち、第2の部分100bと第3の部分100cとの境界に相当する部分(変化点152e)でエッジ判別結果が切り替わるので、再度エッジ判別しきい値が変更される。すなわち、図6の下段に示されるように、エッジ判別結果が切り替わると、エッジ判別しきい値がT1よりも小さいT2に変更される(図6の下段「エッジ判別しきい値(変更2)」を参照。)。このとき変更されるエッジ判別しきい値T2は、それ以降に処理が行われる画素についてエッジ判別結果が変わらないような値である。CPU11は、例えば、エッジ判別結果が変化した方向に応じて、エッジ判別しきい値を変更できる。すなわち、それまでエッジ判別結果がエッジ判別されていたときに注目画素についてエッジ判別されず、エッジ判別結果が切り替わったとき、CPU11は、エッジ判別しきい値を小さく変更できる。逆に、CPU11は、それまでエッジ判別されていなかったときに注目画素についてエッジ判別されれば、エッジ判別しきい値を大きく変更してもよい。
【0093】
このようにエッジ判別しきい値がT2に変更された場合の画像100についてのエッジ判別結果は、図6の「エッジ判別結果(変更1&2)」に示されるとおりである。すなわち、エッジ判別しきい値が第3の部分100cのエッジ量101cよりも小さいT2に変更されたことで、画像100の全域がエッジ判別される部分153aとなる。すなわち、このようにエッジ判別しきい値が変更される制御が行われることにより、エッジ判別結果が画像100の中で切り替わらなくなる。
【0094】
図7は、単色の画像300のエッジ判別結果及びエッジ判別しきい値の変更処理について説明する図である。
【0095】
図7の上段は、単色の画像300を示し、図7の中段は、画像300についてのエッジ判別結果を示す。単色の画像300は、例えば、単色の文字又は細線である。図7の下段は、画像300のエッジ量301のグラフを示す。図7の上段、中段、及び下段は、左右方向の位置が互いに対応するように上下に並んでいる。各注目画素について、その注目画素を含むマトリクス350に含まれる画素の濃度情報等に基づいて、エッジ量が算出される。画像300は単色の画像であるため、図7の下段に示すように、エッジ量301は、略一定の値となる。
【0096】
ここで、図7の下段に示すように、エッジ判別しきい値が通常のT0である状態において、エッジ量301はエッジ判別しきい値T0よりも低い。そのため、画像300についてはエッジ判別がされない。換言すると、画像300については、その全域がエッジ判別されない部分351となる。
【0097】
このように、本実施の形態においては、エッジ判別しきい値の変更は、その時点でのエッジ判別しきい値に基づいたエッジ判別結果が、周辺画素のエッジ判別結果から切り替わったときに行われる。したがって、画像300のような、単色の薄い文字や細線の画像についてエッジ判別処理が行われる際においては、エッジ判別結果が切り替わらないため、エッジ判別しきい値の変更は行われず、不適正にエッジ判別が行われることがない。
【0098】
[エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の説明]
【0099】
本実施の形態においては、あらかじめ、エッジ判別しきい値の下限値、上限値が設定されており、エッジ判別しきい値は、その下限値と上限値との間の値をとるように変更される。例えば、下限値としては、ノイズをエッジと分別可能になるような値が設定されている。これにより、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更したとき、エッジ判別しきい値がその下限値以下になるようであれば、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。CPU11は、エッジ判別しきい値を変更したとき、エッジ判別しきい値がその上限値以上になるようであれば、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。このとき、エッジ判別しきい値は、変更前の値として、通常時の値(default)に戻されてもよいし、下限値又は上限値近くの値のまま保持されてもよい。
【0100】
図8は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
図8を参照して、上記の処理について説明する。ステップS201において、CPU11は、エッジ判別しきい値と所定の下限値とを比較し、エッジ判別しきい値が下限値以下であるか否かを判定する。
【0102】
ステップS201で下限値以下でなければ、ステップS203において、CPU11は、エッジ判別しきい値と所定の上限値とを比較し、エッジ判別しきい値が上限値以上であるか否かを判定する。
【0103】
ステップS201で下限値以下であるとき、又はステップS203で上限値以上であるとき、ステップS207において、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更する。CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。
【0104】
他方、ステップS203で上限値以上でなければ、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理を行わない。
【0105】
以上の処理は、例えば、上述のエッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないように変更する処理と並行して行われる。なお、CPU11は、エッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないような値に変更する処理を行うたびに、図8に示す処理を実行するようにしてもよい。
【0106】
このように、エッジ判別しきい値が取り得る値の範囲を定めることにより、際限なくエッジ判別しきい値が変更されることを防止することができる。例えば線と認識されないような濃度が薄い画像や、ノイズと分別できないくらいの画像をエッジ判別しないようにすることができる。
【0107】
本実施の形態においては、CPU11は、エッジの判別結果に基づいて、エッジの方向性の連続性が途切れるか否かを判断し、エッジの方向性の連続性が途切れた場合に、エッジ判別しきい値を変更前の値に戻す処理を行ってもよい。すなわち、CPU11は、処理対象の画像の構成に応じて、エッジ判別しきい値を戻すようにしてもよい。この処理は、例えば、上述のエッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないように変更する処理と並行して行われる。CPU11は、エッジ判別しきい値をエッジ判別が行われないような値に変更する処理を行うたびに、この処理を実行するようにしてもよい。
【0108】
図9は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理の他の例を示すフローチャートである。
【0109】
図9を参照して、上記の処理について説明する。ステップS301において、CPU11は、処理対象の画像について、エッジ判別結果に基づいて、エッジの方向性を検出する。
【0110】
ステップS303において、CPU11は、検出されたエッジの方向の連続性を検出する。
【0111】
ステップS305において、CPU11は、検出したエッジの方向の連続性が途切れたか否かを判定する。
【0112】
ステップS305で連続性が途切れているとき、ステップS307において、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更する。CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す。
【0113】
他方、ステップS305で連続性が途切れていなければ、CPU11は、エッジ判別しきい値を変更前に戻す処理を行わない。
【0114】
このように、エッジの方向の連続性が検出され、それが途切れているときにエッジ判別しきい値を変更前に戻す処理が行われるので、際限なくエッジ判別しきい値が変更されることを防止することができる。
【0115】
なお、上述の図8に示す処理と図9に示す処理との両方が行われてもよいし、いずれか一方の処理のみが行われるようにしてもよい。エッジ判別処理を行った所定の画素数や時間に基づいてエッジ判別しきい値が変更前の値に戻されるようにしてもよいし、エッジ判別処理を行った画像ごとにエッジ判別しきい値が変更前の値に戻されるようにしてもよい。
【0116】
[出力例及び本実施の形態の効果の説明]
【0117】
図10は、本実施の形態により画像処理が行われた場合の出力例を説明する図である。
【0118】
図10の上段は、図15に示したものと同様であり、従来の画像について画像処理が行われた場合のエッジ判別結果及び出力例(「出力サンプル」)を示す。図10の下段には、本実施の形態により画像処理が行われた場合のエッジ判別結果及び出力例を、図10の上段の従来例と対比させて示す。
【0119】
本実施の形態における画像形成装置1において、原稿となる画像900と同様に階調が徐々に変化する画像400の画像処理が行われる場合を想定する。本実施の形態では、画像処理が行われる当初、エッジ判別しきい値が画像400の中間の階調に相当する値であるとき、エッジ判別しきい値がいわば動的に変更される。そのため、エッジ判別結果410において、画像400の全域がエッジ判別された部分となる。したがって、エッジ判別結果410に基づいて、エッジ強調が画像400の全域について略均一に行われる。上述のように、従来の画像処理では出力例920において濃淡段差が発生する場合であっても、本実施の形態では、出力例420において、濃淡段差が発生しなくなる。すなわち、徐々に濃度が変化するような文字や細線などの画像について、エッジ判別結果の切り替わりを抑えることができ、エッジ強調処理などが行われる際に、出力画像における濃度段差や画像の途切れの発生を低減できる。
【0120】
[変更条件に関する変型例の説明]
【0121】
本実施の形態において、エッジ判別しきい値が変更される条件(変更条件)すなわちエッジ判別の条件をさらに追加してもよい。換言すると、上記の第1の変更条件及び第2の変更条件に加え、以下の第3〜第5の変更条件を考慮して、CPU11がエッジ判別しきい値を変更するようにしてもよい。上記第1の変更条件及び第2の変更条件に加え、第3〜第5の変更条件のいずれかをエッジ判別しきい値が変更される条件とすることにより、エッジ判別の精度をより向上させることができる。
【0122】
図11は、エッジ判別しきい値が変更される条件の例を説明する図である。
【0123】
図11を参照して、エッジ判別しきい値が変更される条件として、第3〜第5の変更条件を設けることができる。
【0124】
第3の変更条件は、エッジ量の最大条件である。すなわち、CPU11は、原稿のエッジ量を算出し、注目画素を含む場合マトリクス内のエッジ量の最大値を算出し、その最大値がエッジ判別しきい値付近のエッジ量条件範囲内にあるか否かを判断する。第3の変更条件が考慮されることにより、もともとエッジ判別されるような濃い文字などについては、エッジ判別しきい値の変更対象から除外される。したがって、濃淡段差の発生を防止するために必要な場合にのみエッジ判別しきい値を変更することができる。
【0125】
すなわち、図11を参照して、CPU11は、処理対象の原稿を読み込み(S501)、注目画素511とその周辺画素512とが含まれるマトリクス510についてエッジ量算出を行う(S503)。図11のマトリクス510a(S503)は、エッジ量算出結果を、マトリクス510に対応するマトリクス状に示したものである。マトリクス510aにおいて、各画素について、エッジ量が大きい画素ほど濃度が高い色となるように示している。マトリクス510において隣接する画素との濃度差などが大きい画素のエッジ量は、比較的大きくなる。
【0126】
ここで、エッジ量が算出されると、そのときの注目画素511が含まれるマトリクス内での最大エッジ量(Maxエッジ量)EdgeMaxが算出される(S505)。CPU11は、算出された最大エッジ量EdgeMaxが、エッジ量条件範囲内にあるかどうかを判断する(S507)。最大エッジ量EdgeMaxが、エッジ量条件範囲内にあれば、第3の変更条件が満たされる。
【0127】
第4の変更条件は、所定の条件を満たす画素のカウント値に関する条件である。すなわち、CPU11は、各画素のエッジ量が所定の条件範囲内にある画素をカウントし、そのカウント値が、しきい値となる所定値よりも大きいか否かを判断する。第4の変更条件が考慮されることにより、ノイズがある画素など、エッジ判別に際して考慮すべきでない画素の影響を排除することができる。したがって、濃淡段差の発生を防止するために必要な場合にのみエッジ判別しきい値を変更することができる。
【0128】
第4の変更条件について判断が行われる際にも、原稿画像のマトリクス510についてのエッジ量算出処理までは上記と同様に行われる(S501,S503)。エッジ量算出が行われると、各画素のエッジ量が所定の条件範囲内にあるか否かが判別される(S513)。本実施の形態においては、例えば、エッジ量とエッジ判別しきい値との差が所定の範囲内である画素について、そのエッジ量が所定の条件範囲内にあると判別される。図11のマトリクス510b(S513)は、エッジ量条件判別結果をマトリクス510に対応するマトリクス状に示したものである。マトリクス510bにおいて、エッジ量が所定の条件の範囲内にある画素(エッジ量条件範囲内画素)513が、灰色を付して示されており、その他の画素は、着色されずに白色で示されている。なお、ここで所定の条件範囲は、例えば、グラデーション画像を構成する画素のエッジ量などを考慮して適宜設定したものであればよいし、他の要因を考慮して、エッジ判別しきい値の変更処理に際して考慮すべきエッジ量の画素が条件範囲内に入るように、適宜設定されていればよい。また、ここでいうエッジ量条件範囲とは、上述の第3の変更条件に関して考慮されるエッジ量条件範囲と同一のようにして定められているものであってもよいし、第3の変更条件に関して考慮されるエッジ量条件範囲とは異なる観点から定められた別の範囲であってもよい。
【0129】
ここで、エッジ量条件判別結果が得られると、CPU11は、エッジ量条件範囲内画素(該当画素)513の数をカウントする(S515)。カウントは、例えば、注目画素511を含むマトリクス510b内で行われる。すなわち、カウント値は、マトリクス510b内の該当画素513の数である。CPU11は、カウントされた該当画素カウント値EdgeCount1が、所定のカウント値以上であるか否かを判断する(S517)。該当画素カウント値EdgeCount1が、所定のカウント値以上であれば、第4の変更条件が満たされる。
【0130】
第5の変更条件は、所定の条件を満たす画素の連結数に関する条件である。すなわち、CPU11は、各画素のエッジ量が所定の条件範囲内にある画素の連結数を検出し、その連結数が所定値よりも大きいか否かを判断する。第5の変更条件が考慮されることにより、網点を構成する画素など、エッジ判別に際して考慮すべきでない画素の影響を排除することができる。したがって、濃淡段差の発生を防止するために必要な場合にのみエッジ判別しきい値を変更することができる。
【0131】
第5の変更条件について判断が行われる際にも、第4の変更条件について判断が行われる場合と同様に、原稿画像のマトリクス510についてのエッジ量算出処理及びエッジ量条件の判別が行われる(S501,S503,S513)。
【0132】
ここで、エッジ量条件判別結果が得られると、CPU11は、該当画素513の連結数EdgeCount2をカウントする(S525)。CPU11は、カウントされた該当画素連結数EdgeCount2が、所定のカウント値以上であるか否かを判断する(S527)。該当画素連結数EdgeCount2が、所定のカウント値以上であれば、第5の変更条件が満たされる。
【0133】
図12は、第3の変更条件について説明する図である。
【0134】
図12において、濃度が薄い文字や濃度が薄い細線などの画像600及びそのエッジ量600aと、濃度が濃い文字や濃度が濃い細線などの画像650及びそのエッジ量650aとを対比して示している。エッジ量600a,650aは、上方ほどエッジ量が大きくなるようなグラフに示されている。図12において、画像600とエッジ量600aと、及び、画像650とエッジ量650aとは、それぞれ、左右方向の位置が上下で互いにそろうように配置されている。
【0135】
画像600は、図12において左右方向の略中央部から左部分が灰色(濃度が薄い色)であって、他の部分が略白色である。また、画像650は、図12において左右方向の略中央部から左の部分が黒色(濃度が濃い色)であって、他の部分が略白色である。エッジ量600aを示す曲線は、画像600の中央部にある灰色と白色との境界部において最大値をとるように表される。また、エッジ量650aを示す曲線は、画像650の中央部にある黒色と白色との境界部において最大値をとるように表される。
【0136】
ここで、本実施の形態において、エッジ量条件範囲は、エッジ判別しきい値Tより大きいT3が上限となり、エッジ判別しきい値Tより小さいT4が下限となる範囲である。上限T3は、例えば、それ以上のエッジ量であれば確実にエッジ判別すべきであるエッジ量の値が設定される。また、下限T4は、例えば、エッジ判別しきい値の変更処理に際して考慮すべき画素のエッジ量より小さい値が設定される。T3,T4は、そのときのエッジ判別しきい値Tに応じて変化するように設定されている。CPU11は、エッジ量600a,650aの最大値がエッジ量条件範囲の下限T4より大きく上限T3より小さいか否か、すなわち最大値とエッジ判別しきい値Tとの差が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0137】
図12に示す例において、画像600のエッジ量600aは、その最大値がエッジ量条件範囲の下限T4より大きく上限T3より小さいものである。他方、画像650のエッジ量650aは、その最大値がエッジ量条件範囲の上限T3よりも大きいものである。換言すると、画像600は、注目画素を含む場合マトリクス内のエッジ量の最大値がエッジ判別しきい値付近のエッジ量条件範囲内にあるものであり、第3の変更条件を満たすものである。他方、画像650は、注目画素を含む場合マトリクス内のエッジ量の最大値がエッジ判別しきい値付近のエッジ量条件範囲内にないものであり、第3の変更条件を満たさないものである。したがって、画像650のように、画像の濃淡の差が大きく、エッジ判別しきい値の変更処理を伴うことなく適切にエッジ判別できるような画像について、エッジ判別しきい値の変更処理を行わないようにすることができる。
【0138】
図13は、第4の変更条件について説明する図である。
【0139】
図13には、該当画素713のカウント値が互いに異なる、2つのマトリクス710,720が示されている。マトリクス710においては、該当画素713のカウント値は20である。他方、マトリクス720においては、該当画素713のカウント値は5である。
【0140】
ここで、例えばカウント値のしきい値が10である場合(カウント条件が10である場合)を想定する。このとき、マトリクス710のカウント値はカウント値のしきい値よりも大きく、マトリクス710について、第4の変更条件が満たされる。他方、マトリクス720のカウント値はカウント値のしきい値よりも小さく、マトリクス720については、第4の変更条件が満たされない。したがって、マトリクス720のように、例えば画像にノイズがある場合など、エッジ量がエッジ量条件範囲内にある画素が通常考えられるよりも少ない場合には、エッジ判別しきい値の変更処理が行われない。すなわち、エッジ判別しきい値の変更処理を本来必要な場合にのみ行うことができ、適切に画像処理を行うことができる。
【0141】
図14は、第5の変更条件について説明する図である。
【0142】
図14には、該当画素813の連結数が互いに異なる、2つのマトリクス810,820が示されている。連結数とは、互いに隣り合っている画素の数である。すなわち、マトリクス810においては、該当画素813の連結数は20である。他方、マトリクス820においては、該当画素813の連結数は4である。マトリクス820は、例えば、各網点が4つの該当画素823で構成されている網点領域の画像の一部である。
【0143】
ここで、例えば連結数のしきい値が10である場合(連結数カウント条件が10である場合)を想定する。このとき、マトリクス810の連結数は連結数のしきい値よりも大きく、マトリクス810について、第5の変更条件が満たされる。他方、マトリクス820の連結数は連結数のしきい値よりも小さく、マトリクス820については、第5の変更条件が満たされない。したがって、マトリクス820のように、例えば網点の画像など、エッジ量がエッジ量条件範囲内にある画素の連結数が通常のエッジを構成する画素の連結数と比較して少ない場合には、エッジ判別しきい値の変更処理が行われない。すなわち、エッジ判別しきい値の変更処理を本来必要な場合にのみ行うことができ、適切に画像処理を行うことができる。
【0144】
なお、以上説明した第3〜5の変更条件のうち2つ以上を組み合わせて、第1の変更条件及び第2の変更条件とともにエッジ判別しきい値の変更を行う条件としてもよい。第3〜5の変更条件のうちいずれか1つの変更条件を第1の変更条件及び第2の変更条件とともにエッジ判別しきい値の変更を行う条件としてもよい。
【0145】
[その他]
【0146】
上述の実施の形態では、エッジ判別しきい値が小さくなるように順次変更される場合について説明したが、エッジ判別しきい値は、大きくなるように変更されてもよい。例えば、入力画像について、徐々に濃度が濃くなる順に各注目画素について処理を行う場合には、エッジ判別しきい値を大きく変更することで、上記のように濃淡段差の発生などを抑えることができる。
【0147】
上記第3の変更条件に関し、T3,T4は、エッジ判別しきい値Tにかかわらず、固定値として適当な値に設定されていてもよい。なお、T3,T4はこのようにして設定されるものに限られるものではなく、エッジ量条件範囲がエッジ判別しきい値Tの付近になるように、T3,T4が適宜任意の値として設定されていてもよい。
【0148】
画像形成装置のハードウェア構成は上述に限られるものではなく、画像処理が種々の制御回路により行われるようにしてもよい。
【0149】
注目画素とその周辺画素とを含むマトリクスは、上記実施の形態において示したサイズとは異なってもよい。マトリクスは、正方形に限られるものでもない。すなわち、注目画素と、その付近の適当な範囲の画素とを考慮して処理が行われればよい。
【0150】
また、画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。また、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
【0151】
また、本発明に係る画像処理装置は、画像形成装置に用いられるものに限られない。例えば、本発明は、画像データを読み取るスキャナ装置や、撮像装置や、画像データ送受信装置など、種々の装置に用いられる画像処理装置においても適用可能である。
【0152】
また、上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0153】
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0154】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
1 画像形成装置(画像処理装置の一例)
3 画像形成部
5 画像読取部
11 CPU
13a 制御プログラム
21 画像処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置であって、
前記入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出手段と、
前記エッジ量算出手段で算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別手段と、
前記エッジ判別手段による注目画素のエッジ判別結果が、前記注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定手段と、
前記エッジ量算出手段で算出された注目画素のエッジ量の、前記エッジ量算出手段で算出された前記注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出手段と、
前記変化量算出手段で算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定手段と、
注目画素について、前記第1の判定手段でエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、前記第2の判定手段で前記変化量が前記所定の値以下であると判定されたとき、前記エッジ判別しきい値を変更する変更手段とを備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記注目画素について前記第1の判定手段で前記エッジ判別結果が変化すると判定されないように、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記注目画素の付近の複数の画素のうち、前記エッジ量算出手段により算出されたエッジ量が最大となるもののエッジ量を算出する最大値算出手段をさらに備え、
前記変化量算出手段は、前記最大値算出手段により算出されたエッジ量に基づいて、前記変化量を算出する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記最大値算出手段により算出されたエッジ量の最大値と前記エッジ判別しきい値との差が所定の範囲内であるか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記第3の判定手段の判定結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値の変更を行う、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記注目画素及びその付近の画素を含む所定の範囲の画素のうち、前記エッジ量算出手段で算出されたエッジ量と前記エッジ判別しきい値との差が所定の範囲内である画素を検出する画素検出手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記画素検出手段の検出結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値の変更を行う、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画素検出手段により検出された画素数をカウントする画素数カウント手段と、
前記画素数カウント手段によるカウント値が画素数条件以上であるか否かを判定する第4の判定手段とをさらに備え、
前記変更手段は、前記第4の判定手段の判定結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画素検出手段により検出された画素の連結数をカウントする連結数カウント手段と、
前記連結数カウント手段によるカウント値が連結数条件以上であるか否かを判定する第5の判定手段とをさらに備え、
前記変更手段は、前記第5の判定手段の判定結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記エッジ判別しきい値と所定の下限値とを比較する下限比較手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記下限比較手段の比較結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記エッジ判別しきい値と所定の上限値とを比較する上限比較手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記上限比較手段の比較結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記エッジ判別手段によるエッジ判別結果に基づいて、エッジの方向性を検出する方向性検出手段と、
前記方向性検出手段により検出されたエッジの方向性に基づいてエッジの方向の連続性を検出する連続性検出手段とをさらに備え、
前記変更手段は、前記連続性検出手段により検出されるエッジの方向の連続性が途切れたとき、前記エッジ判別しきい値を変更前の値に戻す、請求項1から9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部とを備える、画像形成装置。
【請求項12】
入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御方法であって、
前記入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、
前記エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、前記注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、前記エッジ量算出ステップで算出された前記注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、
注目画素について、前記第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、前記第2の判定ステップで前記変化量が前記所定の値以下であると判定されたとき、前記エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとを備える、画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御プログラムであって、
前記入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、
前記エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、前記注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、前記エッジ量算出ステップで算出された前記注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、
注目画素について、前記第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、前記第2の判定ステップで前記変化量が前記所定の値以下であると判定されたとき、前記エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる、画像処理装置の制御プログラム。
【請求項1】
入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置であって、
前記入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出手段と、
前記エッジ量算出手段で算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別手段と、
前記エッジ判別手段による注目画素のエッジ判別結果が、前記注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定手段と、
前記エッジ量算出手段で算出された注目画素のエッジ量の、前記エッジ量算出手段で算出された前記注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出手段と、
前記変化量算出手段で算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定手段と、
注目画素について、前記第1の判定手段でエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、前記第2の判定手段で前記変化量が前記所定の値以下であると判定されたとき、前記エッジ判別しきい値を変更する変更手段とを備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記注目画素について前記第1の判定手段で前記エッジ判別結果が変化すると判定されないように、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記注目画素の付近の複数の画素のうち、前記エッジ量算出手段により算出されたエッジ量が最大となるもののエッジ量を算出する最大値算出手段をさらに備え、
前記変化量算出手段は、前記最大値算出手段により算出されたエッジ量に基づいて、前記変化量を算出する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記最大値算出手段により算出されたエッジ量の最大値と前記エッジ判別しきい値との差が所定の範囲内であるか否かを判定する第3の判定手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記第3の判定手段の判定結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値の変更を行う、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記注目画素及びその付近の画素を含む所定の範囲の画素のうち、前記エッジ量算出手段で算出されたエッジ量と前記エッジ判別しきい値との差が所定の範囲内である画素を検出する画素検出手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記画素検出手段の検出結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値の変更を行う、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画素検出手段により検出された画素数をカウントする画素数カウント手段と、
前記画素数カウント手段によるカウント値が画素数条件以上であるか否かを判定する第4の判定手段とをさらに備え、
前記変更手段は、前記第4の判定手段の判定結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画素検出手段により検出された画素の連結数をカウントする連結数カウント手段と、
前記連結数カウント手段によるカウント値が連結数条件以上であるか否かを判定する第5の判定手段とをさらに備え、
前記変更手段は、前記第5の判定手段の判定結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記エッジ判別しきい値と所定の下限値とを比較する下限比較手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記下限比較手段の比較結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記エッジ判別しきい値と所定の上限値とを比較する上限比較手段をさらに備え、
前記変更手段は、前記上限比較手段の比較結果に基づいて、前記エッジ判別しきい値を変更する、請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記エッジ判別手段によるエッジ判別結果に基づいて、エッジの方向性を検出する方向性検出手段と、
前記方向性検出手段により検出されたエッジの方向性に基づいてエッジの方向の連続性を検出する連続性検出手段とをさらに備え、
前記変更手段は、前記連続性検出手段により検出されるエッジの方向の連続性が途切れたとき、前記エッジ判別しきい値を変更前の値に戻す、請求項1から9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成部とを備える、画像形成装置。
【請求項12】
入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御方法であって、
前記入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、
前記エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、前記注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、前記エッジ量算出ステップで算出された前記注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、
注目画素について、前記第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、前記第2の判定ステップで前記変化量が前記所定の値以下であると判定されたとき、前記エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとを備える、画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
入力画像についてエッジ判別処理を行う画像処理装置の制御プログラムであって、
前記入力画像について、エッジ量の算出を行うエッジ量算出ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出されたエッジ量とエッジ判別しきい値とに基づいてエッジ判別を行うエッジ判別ステップと、
前記エッジ判別ステップによる注目画素のエッジ判別結果が、前記注目画素の付近の画素のエッジ判別結果から変化するか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記エッジ量算出ステップで算出された注目画素のエッジ量の、前記エッジ量算出ステップで算出された前記注目画素の付近の画素のエッジ量からの変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量算出ステップで算出された変化量が所定の値以下であるか否かを判定する第2の判定ステップと、
注目画素について、前記第1の判定ステップでエッジ判別結果が変化すると判定された場合であって、前記第2の判定ステップで前記変化量が前記所定の値以下であると判定されたとき、前記エッジ判別しきい値を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる、画像処理装置の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−124744(P2012−124744A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274459(P2010−274459)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]