説明

画像処理装置およびそれを備えた画像形成装置、プログラム並びに記録媒体

【課題】データ量を削減して表示に要する処理時間を短縮しても、画像の視認性を維持する。
【解決手段】間引き画像データを補間し、領域分離データと合成して合成データを生成し、領域分離データに領域属性ごとに色または階調を割り当てる合成部303、合成データを表示部4に出力させる制御部5を備える。合成部203は、領域属性が文字エッジ領域の場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、文字エッジ領域でない場合に画像データの色もしくは階調を割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に表示させる、画像データのサムネイルやプレビュー画像を作成する画像処理装置およびそれを備えた画像形成装置、プログラム並びに記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像データについての視覚上での識別や確認を容易にするため、画像データのサムネイルやプレビュー画像が作成され、表示されている。例えば、サムネイルやプレビュー画像として、画像データを8ビットのカラー画像のまま表示した場合、データ量が大きいので画像データの読み出しや表示に要する時間などの処理時間が長時間となる。また、その画像データの表示には8ビット以上のカラー表示が可能な表示装置しか対応できない。
【0003】
そこで、サムネイルやプレビュー画像は、元の画像データを表示する場合よりも迅速な表示を可能にすることや、装置に対する負担を軽減することなどを目的として、データ量が削減された構成となっている。このように、画像データのデータ量を削減する手法としては、従来種々のものが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、画像データを2値化するなどの処理により階調数を減少させ、画像データのデータ量を削減している。また、複数の解像度、あるいは複数の階調数の画像データを生成し、画像表示用には低解像度、あるいは低階調の画像データを用いるようにしている。
【0005】
特許文献2では、サムネイルの表示において、画像データを圧縮して保存し、その画像データから直流成分を間引いて読み出し、表示するようにしている。
【0006】
特許文献3では、画像データのプレビュー画像の表示に関して、表示装置が画像を少ない色数でしか表現できない場合に、画像データに対して減色処理を行うようになっている。具体的には、プレビュー画像を表示する際に文字領域を分離する処理を行い、文字領域とそれ以外の領域とで減色処理の方法を切替えることにより、文字の輪郭がぼやけないようにしている。減色処理の例として、文字領域の画素については単純な閾値処理を行って階調数を減少させ、それ以外の画素については誤差拡散処理を行って階調数を減少させる方法が挙げられている。
【0007】
特許文献4では、画像データのサムネイル表示に関して、文字の判読性を高めるようになっている。具体的には、サムネイルを表示する際に、文字画像か否かをページ単位で判定し、文字画像と判定されたページについては画像の一部を拡大して表示し、それ以外の画像についてはページ全体を表示することにより、文字の判読性を確保できるようにしている。
【0008】
一方、デジタル複写機やデジタル複合機(MFP)では、コピーやスキャンなどの各種ジョブの結果をログ情報としてハードディスクなどに記録・蓄積しておくことができるようになっている。ログ情報とは、一般に、重要な情報の漏えい防止や監査、過去のジョブの検索・閲覧・再利用などを目的として記録されるものである。なお、ログ情報を記録するためのハードディスクは、機器内部に搭載されているもの、あるいはネットワークを介して機器外部に接続されていているもののどちらであっても構わない。
【0009】
図39はログ情報の一例を示す説明図である。同図に示すように、ログ情報は、日時、ジョブ内容、ユーザID、原稿ページ数および原稿サイズなどの情報を含んでいる。上記ジョブ内容は、さらに、ジョブ種、カラー種、原稿種、原稿調整、変倍率、印刷枚数、出力用紙サイズ、受信元および送信先などの情報を含んでいる。
【0010】
現在、市場で見られるMFPなどの機器に搭載されているログ情報の表示機能としては、単に上記のようなログ情報をテキストで表示するのみにとどまっている機器が多く、そのジョブにおいて扱われた画像データは表示されない。そのため、たとえばコピーされた原稿の監査や閲覧などを行う際、その原稿のレイアウトや文面などを視覚的に把握することはできない。また、その改善策として、近年、各種ジョブのログ情報と画像データとを関連付けて記録しておくことで、視覚的に把握することができるログ情報に関する技術がいくつ提案されている。
【0011】
しかしながら、ログ情報に用いる画像データの視認性を高く維持しようとすると劣化の少ない大きな容量の画像データを記憶する必要があり、ハードディスクの記憶容量の増大や機器内外でのデータ伝送時間の増大を招いてしまうという課題がある。逆に、画像データの容量を小さくしようとすると画像データが激しく劣化し表示したときに視認性を確保できないといった課題がある。なお、ここで挙げる視認性とは、原稿のレイアウトや、写真や図の色味・階調の変化などの違いが分かるか否か、原稿に書かれてある文字が読み取れるか否か、などを指す。
【0012】
ここで、特許文献5には、各種ジョブのログ情報と画像データを関連付けて記録することが記載されている。この例では、画像データの容量を小さくする目的で、画像データをその中に出現する最も小さな文字を認識するのに適している解像度に変換した後、さらにJBIGなどの画像圧縮処理を行いハードディスクに記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−289416号(平成11年10月19日公開)
【特許文献2】特開平8−195927(平成8年7月30日公開)
【特許文献3】特開2003−224734号(平成15年8月8日公開)
【特許文献4】特開2005−73015号(平成17年3月17日公開)
【特許文献5】特開2007−004453号(平成19年1月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1では、データ量を少なくするために階調数を減少させている。この場合、例えば表示装置は表示できる階調数の少ないものであり、この表示装置に画像データを対応させて画像データの階調数を減少させると、表示装置上では非常に見づらい画像になる。具体的には、網点などのスクリーンで構成された画像、印画紙写真のように滑らかな階調で表された画像、あるいはノイズの多い画像に対して例えば単純な2値化を行うと、これによって得られる画像データは、画像のレイアウトすらも分かり難いものになってしまう。特に、解像度を極端に落として縮小するなどの処理を行うと、データが著しく欠落するため、表示したときに文字が全く読めなくなる。すなわち、画像を拡大して表示しても画像データのデータ自体が欠落しているために文字を読むことができなくなる。
【0015】
特許文献2では、サムネイルの表示において、データ量を小さくするために画像データを高い圧縮率で圧縮し直流成分を間引いて表示している。このような処理を行った場合、データが著しく欠落するので、画像データ(サムネイル)を表示したときに文字が全く読めなくなる。すなわち、画像を拡大して表示しても画像データのデータ自体が欠落しているために文字を読むことができなくなる。
【0016】
これら特許文献1,2に開示されている技術では、そのいずれによっても、画像データのデータ量の削減による表示のための処理時間の短縮と文字の判読性や画像レイアウトの視認性との両立は困難である。
【0017】
特許文献3では、プレビュー画像を表示する際に、画像データを読み出し、文字領域を分離し、領域に応じて誤差拡散などの減色処理を選択して施すという一連の処理が必要である。このため、プレビュー画像を表示するまでに長時間を要することになる。また、文字領域については階調数を減少させているので、濃度の薄い文字が消える現象や、文字の細部が潰れる(同じ階調で埋まる)現象が起こる。
【0018】
特許文献4では、プレビュー画像を表示する際に、画像データを読み出し、文字画像か否かを判定し、その判定結果に応じて画像の一部を切り出して拡大処理を施すという一連の処理が必要である。このため、プレビュー画像を表示するまでに長時間を要することになる。また、文字画像については画像の一部が拡大して表示されてしまうため、画像全体のレイアウトが全く分からなくなる。さらに、画像データそのものを表示するため、少ない色数や少ない階調数しか表示できない表示装置ではプレビュー画像を表示することができない。
【0019】
また、特許文献5の技術において、小さな文字の判読性を確保するにはある程度十分な解像度が必要である。このため、画像データの容量を大幅に削減することができない。例えば、特許文献5に記載されている数値では、6ポイントの文字に対して400dpi×400dpiの解像度が必要であり、特にカラー画像はかなり大きな容量になる。
【0020】
また、特許文献5の技術では、文字を含む画像データに対して解像度を低下させ、さらに画像圧縮処理を施すと、圧縮ノイズの影響もあり文字の判読性がさらに低下するという問題が挙げられる。特にデータ容量を小さくする目的で圧縮効率の高いアルゴリズムやパラメータにより圧縮処理を施すと、そのトレードオフとして文字の画質が著しく劣化し判読性の低い画像になってしまう。
【0021】
したがって、本発明は、表示するデータのデータ量を削減して表示に要する処理時間を短縮した場合であっても、文字の判読性や画像レイアウトの視認性など、画像の視認性を維持することができる画像処理装置およびそれを備えた画像形成装置、プログラム並びに記録媒体の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する画像データ圧縮手段と、前記間引き画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成するとともに前記表示手段へ出力する領域分離データに対して領域属性ごとに色または階調を割り当てる合成手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備え、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域に属するか否かについて行い、前記合成手段は、前記領域属性が文字エッジ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、前記領域属性が文字エッジ領域でない場合に上記画像データの色もしくは階調を割り当てることを特徴としている。
【0023】
上記の画像処理装置は、前記領域分離データを対応する間引き画像データと関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、前記間引き画像データおよび前記間引き画像データと関連付けて記憶された領域分離データを前記記憶手段から前記合成手段へ引き渡して前記合成データを生成させ、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる構成としてもよい。
【0024】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記合成手段は、前記領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である画素については補間した画像データの色もしくは階調を割り当て、下地領域である画素については白色もしくは最も明るい階調を割り当てることにより前記合成データを生成する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成によれば、画像データのサムネイルやプレビューにおいて領域分離データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の画像処理装置を備えた画像形成装置としてのデジタルカラー複写機における主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は画像データを示す説明図であり、図2(b)は図2(a)に示した画像データを図1に示した画像処理装置の領域分離部により処理して作成される領域分離データを示す説明図である。
【図3】図3(a)は図1に示した画像処理装置から得られるプレビュー画像の表示例を示す説明図であり、図3(b)は同画像処理装置から得られるサムネイルの表示例を示す説明図である。
【図4】図1に示した領域分離部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した各判定部において使用するM×N画素を示す説明図である。
【図6】図4に示した文字エッジ判定部の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。
【図7】図7(a)は、図6に示した縦方向ゾーベルフィルタ積和部において使用するゾーベルフィルタの一例を示す説明図、図7(b)は、図6に示した横方向ゾーベルフィルタ積和部において使用するゾーベルフィルタの一例を示す説明図である。
【図8】図4に示した網点判定部の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。
【図9】図8に示したペア判定部の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。
【図10】図9に示した立上り/立下り検出部の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。
【図11】図4に示した無彩判定部の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。
【図12】図4に示した下地判定部の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。
【図13】図4に示した領域分離データ生成部において、注目画素を文字エッジ領域とそれ以外の領域に分離した領域分離データを生成する動作を示すフローチャートである。
【図14】図4に示した領域分離データ生成部において、注目画素を文字エッジ領域、網点領域およびその他の領域に分離した領域分離データを生成する動作を示すフローチャートである。
【図15】図4に示した領域分離データ生成部において、注目画素を文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真/ベタ領域および下地領域に分離した領域分離データを生成する動作を示すフローチャートである。
【図16】図1に示した階調/色割り当て部が有するルックアップテーブルであって、図13の動作により得られる領域分離データに対応したルックアップテーブルの一例を示す説明図である。
【図17】図17(a)は、図1に示した階調/色割り当て部が有するルックアップテーブルであって、図14の動作により得られる領域分離データに対応したルックアップテーブルの一例を示す説明図、図17(b)は図17(a)に示したルックアップテーブルの他の例を示す説明図である。
【図18】図18(a)は、図1に示した階調/色割り当て部が有するルックアップテーブルであって、図15の動作により得られる領域分離データに対応したルックアップテーブルの一例を示す説明図、図18(b)は図18(a)に示したルックアップテーブルの他の例を示す説明図、図18(c)は図18(a)に示したルックアップテーブルのさらに他の例を示す説明図である。
【図19】図1に示した画像処理装置の他の例を示すブロック図である。
【図20】図1に示した画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。
【図21】本発明の実施の形態の画像処理装置を備えたカラー対応の画像読取装置の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の実施の形態の画像処理装置をコンピュータを含むシステムに適用した場合の構成を示す模式図である。
【図23】本発明の他の実施の形態の画像処理装置を備えた画像形成装置としてのデジタルカラー複写機における主要部の構成を示すブロック図。
【図24】図23に示した合成部の構成を示すブロック図である。
【図25】図23に示した画像処理装置の合成部における第1の合成処理を示すフローチャートである。
【図26】図25に示した第1の合成処理において出力値選択部が使用するルックアップテーブルを示す説明図である。
【図27】図23に示した画像処理装置の合成部における第2の合成処理を示すフローチャートである。
【図28】図27に示した第2の合成処理において出力値選択部が使用するルックアップテーブルを示す説明図である。
【図29】図23に示したデジタルカラー複写機の他の実施の形態における主要部の構成を示すブロック図。
【図30】図29に示した合成部の構成を示すブロック図である。
【図31】図29に示した画像処理装置の合成部における第1の合成処理を示すフローチャートである。
【図32】図31に示した第1の合成処理において出力値選択部が使用するルックアップテーブルを示す説明図である。
【図33】図29に示した画像処理装置の合成部における第2の合成処理を示すフローチャートである。
【図34】図29に示した第2の合成処理において出力値選択部が使用するルックアップテーブルを示す説明図である。
【図35】図23に示した画像処理装置の他の例を示すものであって、記憶部を備えた構成を示すブロック図である。
【図36】図29に示した画像処理装置の他の例を示すものであって、記憶部を備えた構成を示すブロック図である。
【図37】図21に示した画像読取装置の他の例を示すものであって、図23に示した画像処理装置に対応する構成を備えた画像読取装置のブロック図である。
【図38】図21に示した画像読取装置の他の例を示すものであって、図29に示した画像処理装置に対応する構成を備えた画像読取装置のブロック図である。
【図39】本実施の形態の画像処理装置が扱うログ情報の一例を示す説明図である。
【図40】図1に示した画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。
【図41】図40等に示した記憶部におけるログ情報と領域分離圧縮データ等との関連付けの例を示す説明図である。
【図42】図42(a)は図40に示した記憶部にログ情報と領域分離圧縮データとを記録する場合の一連の動作を示すフローチャート、図42(b)は同記憶部からログ情報と領域分離圧縮データを読み出し、ログ情報と領域分離データとを表示部に表示する場合の一連の動作を示すフローチャートである。
【図43】図1に示した画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。
【図44】図44(a)は図43に示した記憶部にログ情報と領域分離圧縮データと圧縮画像データとを記録する場合の一連の動作を示すフローチャート、図44(b)は同記憶部からログ情報と領域分離圧縮データと圧縮画像データとを読み出し、これらを表示部に表示する場合の一連の動作を示すフローチャートである。
【図45】図1に示した画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。
【図46】図45に示した合成部の構成を示すブロック図である。
【図47】図47(a)は図45に示した記憶部にログ情報と領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとを記録する場合の一連の動作を示すフローチャート、図47(b)は同記憶部からログ情報と領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとを読み出し、これらを表示部に表示する場合の一連の動作を示すフローチャートである。
【図48】元の画像データの容量と特許文献5に記載の技術による画像データ(表示データ)、本実施の形態の画像処理装置による画像データ(表示データ)の容量とを比べた結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。本実施の形態では、画像処理装置を画像形成装置に適用した場合について説明する。図1は本実施の形態の画像処理装置を備えた画像形成装置としてのデジタルカラー複写機における主要部の構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、デジタルカラー複写機は、画像入力装置1、画像処理装置2、画像出力装置3、表示部4および制御部(制御手段)5を備えている。デジタルカラー複写機は、その他、例えば電子写真方式によって画像の印刷を行うための周知の構成を有する。
【0029】
画像入力装置1は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを備え、原稿台に載置された原稿画像に光を照射し、原稿から反射してきた光をR、G、B(R:赤・G:緑・B:青)に色分解された電気信号(カラー画像信号(RGBアナログ信号))に変換するものである。
【0030】
画像処理装置2は、画像入力装置1から入力された画像データを処理する。なお、画像処理装置2で処理される画像データは、画像入力装置1から入力されたものに限らず、他の外部装置から入力されたものであってもよい。例えば、ネットワークを介してダウンロードされた画像データであってもよい。
【0031】
画像処理装置2は、A/D(アナログ・デジタル)変換部11、シェーディング補正部12、入力処理部13、色補正部14、黒生成/下色除去部15、空間フィルタ部16、中間調生成部17、領域分離部(領域分離手段)18、階調/色割り当て部(割り当て手段)19および制御部5を備えている。
【0032】
画像入力装置1の上記ラインセンサにより入力されたカラー画像信号(RGBアナログ信号)はA/D変換部11にてデジタル信号に変換される。シェーディング補正部12では、A/D変換部11より出力されたデジタル画像信号から、画像入力装置1の照明系、結像系および撮像系で生じる各種の歪みを取り除く。入力処理部13では、シェーディング補正部12から出力されたRGB信号のそれぞれに対してγを補正する処理などを施す。
【0033】
色補正部14では、RGB信号からRGB信号の補色であるCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)信号を生成するとともに、色再現性を高める処理を施す。黒生成/下色除去部15では、CMY信号をCMYK(K:黒)の4色信号に変換する。空間フィルタ部16では、CMYK信号に対して強調処理や平滑化処理を施す。中間調生成部17では、空間フィルタ部16から入力されたCMYK信号に対して画像信号として出力するための階調再現処理を施し、画像出力装置3に出力する。
【0034】
領域分離部18では、入力処理部13からの出力信号(画像データ)を受けて、画像データの画素ごとに領域属性を分離する処理を施し、領域分離データを生成する。例えば、入力画像データの各画素が文字(黒文字や色文字)、網点、印画紙写真(連続階調領域)、ベタ領域(階調の変化が無く一定の濃度を有する領域)、または下地領域等のうちのどの領域に属するかを判定し、判定結果を示す領域分離データを生成する。なお、 網点領域、印画紙写真およびベタ領域などを示す領域分離データは、その領域が一様なデータで埋められている。
【0035】
上記のように、画素ごとに領域を分離する構成では、画像が文字である場合に文字エッジを細かく抽出できるので、領域分離データであっても文字として判読可能な形状を維持することができる。また、8ビット×3プレーン(RGB)の画像データから作成される領域分離データは、1ビットまたは2ビットのデータとなる。したがって、サムネイルやプレビュー画像として表示される領域分離データは、元の画像データに対してデータ量が大幅に削減されたものとなる。
【0036】
領域分離部18より出力された領域分離データは黒生成/下色除去部15、空間フィルタ部16および中間調生成部17に入力され、領域分離データが入力された各部では、画像データに対して領域分離データが示す領域に応じた適切な処理を行う。
【0037】
階調/色割り当て部19では、領域分離部18から領域分離データを受け、領域分離データに対して領域属性ごとに適した色または階調を割り当てる。その後、その領域分離データを表示部4に出力する。
【0038】
上記のように、領域分離データに対して領域属性ごとにそれに適した色もしくは階調を割り当てることにより、領域分離データをサムネイルやプレビュー画像として表示した場合に、画像の視認性が向上する(画像が見易くなる)。例えば、領域分離データに対して領域属性ごとに色を付与する場合、文字は黒、網点は赤、それ以外は白といった選択が可能である。また、領域分離データに対して領域属性ごとに階調を付与し、グレー表示する場合、階調を文字は0、網点は50、印画紙写真・ベタは100、下地は255とすることができる。
【0039】
階調/色割り当て部19でのこのような処理により、表示部4が少ない階調しか表現できないものであっても、さらに確実に、文字などの画像や画像のレイアウトの視認性を維持することができる。なお、画像処理装置2において、階調/色割り当て部19を備えることは、画像の良好な視認性を維持する上において好ましいものの、必須のものではなく、例えば、領域分離部18から出力される領域分離データを表示部4において直接表示させることも可能である。
【0040】
画像出力装置3では、中間調生成部17からCMYK信号に基づき出力画像を形成する。なお、画像出力装置3は、例えば、電子写真方式やインクジェット方式のプリンタ、もしくはその他の画像を再現する装置であり、液晶ディスプレイ等の画像表示装置であってもよい。
【0041】
表示部4は、本実施の形態におけるデジタルカラー複写機の操作パネルに設置された液晶ディスプレイ等からなる例えば小型かつ低解像度の表示装置である。表示部4では、階調/色割り当て部19から出力された領域分離データの可視像を表示する。
【0042】
制御部5はCPU(Central Processing Unit)などの制御装置からなり、画像処理装置2における各部のデータの流れを制御する。特に、表示部4にサムネイルやプレビュー画像を表示する旨の指令を受けたとき、領域分離部18にて作成された領域分離データを階調/色割り当て部19にて処理させた後、階調/色割り当て部19から表示部4に出力させる。
【0043】
ここで、領域分離データ、および領域分離データを表示部4に表示した場合の表示画像について説明する。
【0044】
図2(a)は画像データを示す説明図であり、図2(b)は図2(a)に示した画像データを画像処理装置2の領域分離部18により処理して作成される領域分離データを示す説明図である。なお、これら各図は上記各データを表示した状態によって示している。
【0045】
図2(a)に示すように、画像データは、文字領域(黒文字および色文字)、印画紙写真領域、網点領域および下地領域を有している。この画像データから得られる領域分離データは、領域属性ごとに階調を割り当てた場合、図2(b)に示すように、文字エッジ領域は階調0、印画紙写真領域は階調50、網点領域は階調100、下地領域は階調255となっている。
【0046】
また、図3(a)は画像処理装置2から得られるプレビュー画像の表示例であり、図3(b)は画像処理装置2から得られるサムネイルの表示例である。これらは何れも階調/色割り当て部19によって領域属性ごとに所定の階調が割り当てられたものである。なお、サムネイルとして表示する場合とプレビュー画像として表示する場合とでは同じ領域分離データを使用するものの、領域分離データはサムネイルとして表示する場合とプレビュー画像として表示する場合に応じて適宜拡大もしくは縮小される。この拡大・縮小処理は、領域分離部18もしくは階調/色割り当て部19で行うものであっても、また独立した拡大・縮小部を設けてそこで行うものであってもよい。
【0047】
次に、領域分離部18および階調/色割り当て部19についてさらに詳細に説明する。図4は領域分離部18の構成を示すブロック図である。図4に示すように、領域分離部18は、文字エッジ判定部101、網点判定部102、無彩判定部103、下地判定部104および領域分離データ生成部105を備えている。この領域分離部18では、注目画素を中心としたM×N画素の画像データ(RGB値)を入力として、注目画素について文字エッジ判定、網点判定、無彩判定および下地判定の処理を行い、その判定結果に基づき、注目画素についての領域分離データを作成する。図5には各判定に使用するM×N画素のマスクを示す。
【0048】
図6は文字エッジ判定部101の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。同図において、代表値算出部111では、例えば5×5画素のマスクを使用し、注目画素を中心とする5×5画素のRGB値をそれぞれ代表値Kに変換する。次に、縦方向ゾーベルフィルタ積和部112および横方向ゾーベルフィルタ積和部113では、上記K値と縦方向および横方向のゾーベルフィルタとの積和を算出する。ゾーベルフィルタはエッジ検出用のフィルタであり、各ゾーベルフィルタの一例を図7(a)および図7(b)に示す。次に、2乗和算出部114では、上記K値と縦方向および横方向のゾーベルフィルタとの積和の2乗和を算出する。その後、比較器115では、上記2乗和と所定の閾値(THtxt)を比較し、上記2乗和が閾値よりも大きい場合にJadge_Text=1を、そうでない場合にJadge_Text=0を出力する。
【0049】
図8は網点判定部102の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。同図において、網点判定部102では、ペア判定部121,131によりM×N画素マスクにおける縦方向および横方向の各ラインのRGB値を用いてペア判定を行う。次に、加算器(ADD)122,132では、縦方向および横方向ぞれぞれの全てのラインに対するペア判定結果の総和を算出する。次に、比較器123では横方向の総和を所定の閾値(THpair_x)と比較し、比較器133では縦方向の総和を所定の閾値(THpair_y)と比較する。AND回路124では、各比較器123,133での比較の結果、横方向の総和が閾値(THpair_x)よりも大きく、かつ、縦方向の総和が閾値(THpair_y)よりも大きい場合にJadge_Screen=1を、そうでない場合にJadge_Screen=0を出力する。
【0050】
図9は図8に示したペア判定部121の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。なお、ペア判定部131もこのペア判定部121と同一の構成を有する。代表値算出部141では、ライン内の隣接画素同士のRGB値を順に入力し、それらをそれぞれ代表値Kに変換する。立上り/立下り検出部142では、上記各K値に基づいて立上りおよび立下りを検出し、加算器(ADD)143,145では、立上り/立下りそれぞれの総和を算出する。比較器144では立下りの総和を所定の閾値(THdw)と比較し、比較器146では立上りの総和を所定の閾値(THup)と比較する。AND回路147では、立下りの総和が閾値(THdw)よりも大きく、かつ立上りの総和が閾値(THup)よりも大きい場合にペア判定結果として「1」を、そうでない場合に「0」の値を出力する。
【0051】
図10は図9に示した立上り/立下り検出部142の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。差分器151では隣接画素同士のK値を入力し、それらの差分を算出する。絶対値算出部152では、上記差分の絶対値を算出する。比較器153では差分の絶対値を所定の閾値(THud)と比較し、比較器155では差分器151から出力される差分を0と比較する。AND回路154では、差分の絶対値が閾値(THud)よりも大きく、かつ差分が0未満の場合に立下り判定結果として「1」を、そうでない場合に「0」の値を出力する。一方、AND回路156では、差分の絶対値が所定の閾値(THud)よりも大きく、かつ差分が0以上の場合に立上り判定結果として「1」を、そうでない場合は「0」の値を出力する。
【0052】
図11は無彩判定部103の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。最大値算出部161および最小値算出部162では、それぞれ注目画素のRGB値を入力し、RGBの3値の最大値および最小値を算出する。差分器163では、最大値算出部161と最小値算出部162から出力される最大値と最小値との差分を算出する。比較器164では、上記差分を所定の閾値(THcol)と比較し、差分が閾値(THcol)よりも小さい場合にJadge_Black=1を、そうでない場合にJadge_Black=0を出力する。
【0053】
図12は下地判定部104の具体的構成もしくは処理手順を機能部として模式的に示すブロック図である。代表値算出部171では、注目画素のRGB値を代表値Kに変換する。比較器172では、上記K値を所定の閾値(THbg)と比較し、K値が閾値(THbg)よりも大きい場合にJadge_Bg=1を、そうでない場合にJadge_Bg=0を出力する。なお、代表値算出部171で使用する係数α1、α2、α3は、正の値(たとえばα1=α2=α3=1/3)であり、K値は大きいほうがより濃度が薄い(白に近い)ことを示している。
【0054】
領域分離データ生成部105は、各判定部101〜104から入力される前記4つの値(Jadge_Text、Jadge_Screen、Jadge_Black、Jadge_Bg)に応じて領域分離データの値を出力するルックアップテーブルにより実現することができる。または、領域分離データ生成部105は、上記ルックアップテーブルと同じ働きをする条件分岐式により実現してもよい。
【0055】
領域分離データ生成部105の3タイプの動作を図13〜図15に示す。図13の動作は注目画素を文字エッジ領域とそれ以外の領域に分離した領域分離データを生成するものである。図13において、領域分離データ生成部105は、注目画素が網点領域であるか否か(Jadge_Screen =1であるか否か)を判定し(S1)、網点領域であれば、注目画素を文字エッジ領域でないと判定し、注目画素の領域分離データを0とする(S2)。
【0056】
また、S1での判定の結果、網点領域でなければ、文字エッジ領域であるか否か(Jadge_Text =1であるか否か)を判定し(S3)、文字エッジ領域であれば、注目画素の領域分離データを1とする(S4)。一方、S3の判定の結果、文字エッジ領域でなければ上記S2に進み、注目画素の領域分離データを0とする。
【0057】
図14の動作は注目画素を文字エッジ領域、網点領域およびその他の領域に分離した領域分離データを生成するものである。図14において、領域分離データ生成部105は、注目画素が網点領域であるか否か(Jadge_Screen =1であるか否か)を判定し(S11)、網点領域であれば、注目画素の領域分離データを0とする(S12)。
【0058】
また、S11での判定の結果、網点領域でなければ、文字エッジ領域であるか否か(Jadge_Text =1であるか否か)を判定し(S13)、文字エッジ領域であれば、注目画素の領域分離データを1とする(S14)。
【0059】
さらに、S13での判定の結果、文字エッジ領域でなければ、注目画素をその他の領域と判定し、注目画素の領域分離データを2とする(S15)。
【0060】
図15の動作は注目画素を文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真/ベタ領域(印画紙写真もしくはベタ領域)および下地領域に分離した領域分離データを生成するものである。図15において、領域分離データ生成部105は、注目画素が網点領域であるか否か(Jadge_Screen =1であるか否か)を判定し(S21)、網点領域であれば、注目画素の領域分離データを0とする(S22)。
【0061】
また、S21での判定の結果、網点領域でなければ、文字エッジ領域であるか否か(Jadge_Text =1であるか否か)を判定し(S23)、文字エッジ領域であれば、注目画素の領域分離データを1とする(S24)。
【0062】
また、S23での判定の結果、文字エッジ領域でなければ、注目画素が下地領域であるか否か(Jadge_Bg =1であるか否か)を判定し(S25)、下地領域であれば、注目画素の領域分離データを2とする(S26)。
【0063】
さらに、S25での判定の結果、下地領域でなければ、注目画素を印画紙写真/ベタ領域と判定し、注目画素の領域分離データを3とする(S27)。
【0064】
図13〜図15(タイプ1〜3)動作においては、いずれかのルックアップテーブルもしくは条件分岐式をあらかじめ固定値として定めておいてもよいし、すべてのルックアップテーブルもしくは条件分岐式を選択肢としておき、ユーザーの入力や表示部4上での指定入力に応じて、適したものを選択できるようにてもよい。また、領域分離データのビット数は、タイプ1の場合は1ビット、タイプ2およびタイプ3の場合は2ビットとなる。
【0065】
次に、図1に示した階調/色割り当て部19について説明する。階調/色割り当て部19は、領域分離部18から入力される領域分離データが示す値に応じて特定の色や階調の値を出力するように設定したルックアップテーブルにより実現することができる。このルックアップテーブルとしては、領域分離データのタイプ1〜3に応じてタイプ1〜3のものを設定することができる。
【0066】
図16は、タイプ1の領域分離データに対応する階調/色割り当て部19の上記ルックアップテーブルの一例を示す説明図である。図17(a)はタイプ2の領域分離データに対応する階調/色割り当て部19の上記ルックアップテーブルの一例を示し、図17(b)は同他の例を示す説明図である。図18(a)はタイプ3の領域分離データに対応する階調/色割り当て部19の上記ルックアップテーブルの一例を示し、図18(b)は同他の例を示し、図18(c)はさらに他の例を示す説明図である。
【0067】
図17(b)において、網点領域のグレー表示の場合の出力階調値は、100としているが、0と255との間の適当な数値であってもよい。また、図18(b)および図18(c)における網点領域および印画紙写真/ベタ領域のグレー表示の場合の出力階調値100,50についても同様である。
【0068】
図16〜図18に示したルックアップテーブルについては、あらかじめ固定のルックアップテーブルを定めておいてもよいし、ユーザーから入力された値を制御部5によりルックアップテーブルに割り当てるようにしてもよい。また、複数のルックアップテーブルのうちのいずれかを選択可能としておき、制御部5が表示部4特性(再現できる色や階調の数など)に応じて最適なルックアップテーブルを選択するようにしてもよい。
【0069】
〔実施の形態2〕
図19は、画像処理装置の他の例を示すブロック図である。なお、図19では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0070】
図19に示すように、画像処理装置31はさらに記憶部(記憶手段)32を備えている。この記憶部32は、ハードディスクあるいはその他の一般的な記憶装置により構成することができる。画像処理装置31では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴って領域分離データが作成される。そこで、記憶部32には、作成された各領域分離データを対応する画像データと関連づけて記憶するようになっている。
【0071】
記憶部32には、例えば入力処理部13にて処理された画像データが記憶される。この画像データは、領域分離部18が処理する場合に、記憶部32から読み出され、領域分離部18に入力される。領域分離部18での処理は前述の場合と同様である。制御部5は、領域分離部18にて作成された領域分離データを対応する画像データと関連付けて記憶部32に記憶させる。その後、制御部5は、特定の画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示されたとき、その画像データに関連する領域分離データを記憶部32から読み出し、階調/色割り当て部19に入力する。これにより、階調/色割り当て部19にて処理された領域分離データが表示部4においてサムネイルもしくはプレビュー画像として表示される。
【0072】
制御部5は、上記の記憶部32への領域分離データの書き込みおよび読み出しにおいて次のような動作を行う。例えば、画像データの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離データの保存アドレスとを関連付けて管理テーブルに記入し、その関連付けに基づいて記憶部32に対するデータの読み書きの制御を行う。
【0073】
また、制御部5は、サムネイルやプレビュー画像の表示指令を受けたときに、その表示動作を制御する。この場合、サムネイルやプレビュー画像の表示対象となる画像データを特定し、上記管理テーブルを参照することにより、その画像データと関連付けられた領域分離データの保存アドレスを取得し、そのアドレスから領域分離データを読み出し、階調/色割り当て部19に出力するように制御する。階調/色割り当て部19での処理は前述の場合と同様である。
【0074】
本実施の形態では、記憶部32に領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶部32に記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0075】
〔実施の形態3〕
図20は、画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。なお、図20では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0076】
図20に示すように、画像処理装置41は記憶部32に加えてさらに領域分離データ圧縮部(圧縮手段)42および領域分離データ伸張部(伸張手段)43を備えている。画像処理装置41では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴って領域分離データが作成される。この領域分離データは、データ量を削減するために、領域分離データ圧縮部42にて圧縮された後に記憶部32に記憶される。また、記憶部32から読み出された領域分離データは、領域分離データ伸張部43にて伸張された後に階調/色割り当て部19に入力される。なお、記憶部32において、各領域分離データが対応する画像データと関連づけて記憶される点は前述の通りである。
【0077】
領域分離データ圧縮部42での圧縮は、可逆圧縮または非可逆圧縮の何れであってもよい。但し、可逆圧縮を行った場合には、画質の劣化が起こらず、文字の判読性および画像レイアウトの視認性は非可逆圧縮と比較して良好となる。可逆圧縮としては、MMR、MR、LZH、ZIP、MHあるいはPPMなどの一般的な手法を用いることができる。また、非可逆圧縮としては、JPEG、JBIGあるいはJPEG2000などの一般的な手法を用いることができる。
【0078】
本実施の形態では、記憶部32に圧縮された領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、領域分離データを新たに生成する必要がなく、記憶部32に記憶されている圧縮領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0079】
〔実施の形態4〕
図21は、本実施の形態の画像処理装置を備えたカラー対応の画像読取装置(スキャナ)の構成を示すブロック図である。
【0080】
図21に示す画像読取装置は、画像入力装置1と画像処理装置51とを備えている。画像処理装置51は、前記のA/D変換部11、シェーディング補正部12、入力処理部13、領域分離部18、階調/色割り当て部19および制御部5を備えている。画像読取装置を構成する各部の動作は前述のとおりである。
【0081】
画像処理装置において上記各処理が施された後のRGB画像信号はコンピュータやハードディスク、ネットワークなどへ出力される。また、階調/色割り当て部19にて色または階調を割り当てられた領域分離データは液晶ディスプレイなどの画像を表示する装置へ出力される。なお、画像読取装置に表示用ディスプレイが設置されていてもよい。
【0082】
上記の画像読取装置では、階調/色割り当て部19を備えたものとなっているが、この階調/色割り当て部19は画像読取装置に備えられずに、例えば画像読取装置と接続されるコンピュータに備えられていてもよい。この場合、画像読取装置は領域分離データを上記コンピュータに出力し、コンピュータが領域分離データに応じて色や階調を割り当てることになる。
【0083】
〔実施の形態5〕
図23は本実施の形態の画像処理装置を備えた画像形成装置としてのデジタルカラー複写機における主要部の構成を示すブロック図である。図23に示す画像形成装置は、図1に示した画像処理装置2に代えて画像処理装置201を備えている。この画像処理装置201は、上記画像処理装置2が備える階調/色割り当て部19がなく、かつ上記画像処理装置2に対して画像データ圧縮部(画像データ圧縮手段)202および合成部(合成手段)203が追加されたものとなっている。
【0084】
本実施の形態の画像処理装置201において、入力処理部13からの出力信号(画像データ)は、領域分離部18と画像データ圧縮部202とに並行して入力される。領域分離部18では、前述のように、入力処理部13から入力された画像データの画素ごとに領域属性を分離する処理を施し、領域分離データを生成する。
【0085】
画像データ圧縮部202は、入力処理部13から入力された画像データを例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データに圧縮する。なお、圧縮方式は、JPEG方式に限らず、画像データサイズを大幅に圧縮できるものであれば非可逆圧縮と可逆圧縮とを問わない。例えば、JPEG2000などの方式であってもよい。
【0086】
合成部203は、領域分離部18にて作成された領域分離データと画像データ圧縮部202にて作成された圧縮画像データとを合成して合成データを作成し、表示部4に出力する。上記合成データは、画像データを表示部4によって視覚化する要求に応じて、画像データに代わって表示部4に表示されるものである。
【0087】
上記の合成処理を行うために、合成部203は、図24に示すように、画像データ伸張部211と出力値選択部212とを備えている。なお、図24は図23に示した合成部203の構成を示すブロック図である。
【0088】
図24に示す画像データ伸張部211は、画像データ圧縮部202にて圧縮された画像データに対して伸張処理(解凍処理)を行う。例えば、上記JPEG形式の圧縮画像データの場合は、YCbCr(Y:輝度、Cb,Cr:色差)信号となっているので、YCbCrの符号化データを復号し、さらに逆量子化、逆直交変換を行って画素データに変換する。したがって、YCbCr信号をRGB信号に変換する。
【0089】
出力値選択部212は、領域分離データに基づいて、伸張した画像データ、黒の画像データまたは白の画像データを出力する。
【0090】
本実施の形態において、合成部203は、出力値選択部212の処理内容を異ならせることにより、図25に示す第1の合成処理、または図27に示す第2の合成処理の何れかを行うように設定可能である。なお、図25は合成部203における第1の合成処理を示すフローチャート、図27は合成部203における第2の合成処理を示すフローチャートである。
【0091】
合成部203は、第1の合成処理を行う場合には図26に示す第1の合成処理用のルックアップテーブル(第1の合成処理用テーブル)を使用する。この第1の合成処理用テーブルは、図13に示した領域分離データ生成処理により生成されたタイプ1の領域分離データに対応したものである。また、第2の合成処理を行う場合には図28に示す第2の合成処理用のルックアップテーブル(第2の合成処理用テーブル)を使用する。この第2の合成処理用テーブルは、図15に示した領域分離データ生成処理により生成されたタイプ3の領域分離データに対応したものである。
【0092】
図26の第1の合成処理用テーブルに示す「8ビットのグレー表示の場合の出力階調値」の欄における「伸張画像データの画素値(注)」については次ぎの処理が行われる。すなわち、入力画像データがカラー画像データであって、表示装置がグレー表示のものである場合には、RGB値をグレー値に変換して出力する。この変換例としては、(1)Gプレーンをそのまま出力する、(2)RGBの各プレーンの画素値の加重平均値を出力するなどがある。この処理については、図28の第2の合成処理用テーブルにおける二つの「伸張画像データの画素値(注)」についても同様である。
【0093】
まず、合成部203において第1の合成処理を行う画像処理装置201の動作について説明する。
【0094】
画像処理装置201の合成部203には、領域分離部18から出力された領域分離データと画像データ圧縮部202から出力された圧縮画像データとが入力される。図25に示すように、合成部203の画像データ伸張部211では、上記圧縮画像データを伸張して出力値選択部212に出力する(S51)。
【0095】
出力値選択部212では、処理対象画素の領域分離データの値が1か否かを判定し(S52)、1であれば処理対象画素の合成データとして「黒」の値を出力する(S53)。一方、処理対象画素の領域分離データの値が0であれば、処理対象画素の合成データとして、画像データ伸張部211から入力された伸張された画像データを出力する(S54)。
【0096】
上記のS52からS54までの出力値選択部212の処理では、画像データの先頭の画素から終端の画素までを処理対象画素として、それらの処理を繰り返す。上記のようにして作成され、合成部203から出力された合成データは、サムネイルもしくはプレビュー画像として表示部4に表示される。
【0097】
次に、合成部203において第2の合成処理を行う画像処理装置201の動作について説明する。
【0098】
図27に示すように、合成部203の画像データ伸張部211では、上記圧縮画像データを伸張して出力値選択部212に出力する(S61)。
【0099】
出力値選択部212では、処理対象画素の領域分離データの値が1か否かを判定し(S52)、その値が1であれば処理対象画素の合成データとして「黒」の値を出力する(S63)。
【0100】
また、S62での判定結果において、処理対象画素の領域分離データの値が1でなければ、その値が2か否かを判定し(S64)、その値が2であれば処理対象画素の合成データとして「白」の値を出力する(S65)。
【0101】
また、S64での判定結果において、処理対象画素の領域分離データの値が2でなければ、処理対象画素の合成データとして、画像データ伸張部211から入力された伸張された画像データを出力する(S66)。上記のS62からS66までの出力値選択部212の処理では、画像データの先頭の画素から終端の画素までを処理対象画素として、それらの処理を繰り返す。
【0102】
なお、本実施の形態において、画像データ圧縮部202にて画像データを圧縮し、その画像データを合成部203の画像データ伸張部211にて伸張しているのは次の理由による。すなわち、圧縮してデータ量を大幅に落として画像データを伝送することにより、表示に要するデータの伝送速度や伝送負荷が低減できるからである。
【0103】
たとえば、画像処理装置201を複数のハードウェアチップで実現する場合、合成部203の回路を他の機能部とは切り離して別のチップ上に搭載することがある(サムネイルやプレビューの機能をオプション的に追加する場合など)。チップ間で伝送するデータ量の大小は全体の処理時間に大きく影響するため、画像データを圧縮してデータ量を大幅に落とした状態で表示用のデータを伝送することにより、表示に要する全体の処理時間を短縮できるという効果がある。なお、この伝送時間に対して画像データ圧縮部202や画像データ伸張部211など各部の回路での処理時間は非常に小さなものであり、このようにいったんデータ量を落として表示処理を行う効果は大きいといえる。また、合成部203はデジタル複写機等の外部にネットワークを介して設けてもよいが、その場合、画像データを圧縮して伝送することにより、ネットワーク上での伝送時間の削減やネットワークの負荷軽減といった効果が期待できる。
【0104】
本実施の形態の画像処理装置201では、画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示されたときに、領域分離部18から出力される領域分離データと画像データ圧縮部202から出力された圧縮画像データとを用いて合成データが合成部203にて作成され、この合成データが表示部4において表示される。
【0105】
ここで、上記合成データは、画像データの一部が領域分離データに基づいて所定の色または階調に置き換えられたものとなっている。具体的には、合成データは、文字エッジ領域のみが領域分離データに基づいて置き換えられたもの(第1の合成処理、図26のルックアップテーブルを使用)、もしくは文字エッジ領域および下地領域のみが領域分離データに基づいて置き換えられたもの(第2の合成処理、図28のルックアップテーブルを使用)となる。
【0106】
したがって、上記合成データを使用する構成は、次の利点を有する。合成データは、文字領域については領域分離データを用いるため、文字の細かな形状の情報を維持している。また、それ以外の領域については画像データを圧縮したものを用いるため、写真や図の色合いや階調変化の情報を維持している。
【0107】
これにより、画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示された場合に、上記合成データを使用する場合には、短時間で処理可能な合成部203での合成処理は必要であるものの、領域分離データを使用する構成と同様、表示に要する処理時間を短縮しながら、文字の判読性や画像レイアウトの視認性を向上することができる。
【0108】
また、先の実施の形態における構成のように、領域分離データのみを使用する場合には、文字以外の画像の視認性を確実に維持することは困難である。これは、領域分離データを使用する場合には、元の画像データの色合いや階調変化、特に写真や図の内容についての視覚情報が失われてしまうためである。具体的には、図2(b)に示したように、網点領域や印画紙写真またはベタ領域などは一様な階調または色で埋められてしまうため、画像全体のレイアウトの視認性は確保できても、写真や図の内容(すなわち色合いや階調変化)の視認性は確保できない。
【0109】
これに対して、上記合成データを表示する場合には、上記合成データが領域分離データ以外の画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0110】
なお、本実施の形態の画像処理装置201では、図25に示す第1の合成処理を行うよりも、図27に示す第2の合成処理を行う方が、合成データは表示部4にて表示した場合に見易い画像になる。
【0111】
また、本実施の形態においては、領域分離データに対して領域属性ごとに色または階調を割り当てるようになっている。しかしながら、例えば図13や図15のフローにおいて文字エッジ領域と判定されたときに「領域分離データ=0」、下地領域と判定されたとき「領域分離データ=255」…というように領域分離データの値をそのまま出力階調値としても使えるような値にしておいてもよい。この場合には、領域分離データに改めて色や階調を割り当てることなく合成処理を行うことができる。
【0112】
〔実施の形態6〕
図29は本実施の形態の画像処理装置を備えた画像形成装置としてのデジタルカラー複写機における主要部の構成を示すブロック図である。図29に示す画像形成装置は、図1に示した画像処理装置2に代えて画像処理装置301を備えている。この画像処理装置301は、上記画像処理装置2が備える階調/色割り当て部19がなく、かつ上記画像処理装置2に対して画像データ間引き部(画像データ間引き手段)302および合成部(合成手段)303が追加されたものとなっている。
【0113】
本実施の形態の画像処理装置301において、入力処理部13からの出力信号(画像データ)は、領域分離部18と画像データ間引き部302とに並行して入力される。領域分離部18では、前述のように、入力処理部13から入力された画像データの画素ごとに領域属性を分離する処理を施し、領域分離データを生成する。
【0114】
画像データ間引き部302は、入力処理部13から入力された画像データを一般的なニアレストネイバーによる縮小のアルゴリズムを用いて間引く処理を行う。なお、画像データを間引く手法についてはこれに限定されず、画像データのサイズを大幅に減らすことができるものであればよい。例えば、上記ニアレストネイバーに代えてバイリニアやバイキュービックによる縮小のアルゴリズムを用いて間引く手法を用いてもよい。
【0115】
ここで、上記のニアレストネイバーは、補間する画素に一番近い、あるいは補間する画素に対して所定の位置関係にある既存画素の値をその補間画素の値とするものである。バイリニアは、補間する画素を囲む周囲4点の既存画素の距離に比例した形で重み付けした値の平均を求め、その値をその補間画素とするものである。また、バイキュービックは、補間する画素を囲む4点に加え、さらにそれらを囲む12点を加えた計16点の画素の値を用いて、補間演算を行うものである。
【0116】
合成部303は、領域分離部18にて作成された領域分離データと画像データ間引き部302にて作成された間引き画像データとを合成して合成データを作成し、表示部4に出力する。上記合成データは、画像データを表示部4によって視覚化する要求に応じて、画像データに代わって表示部4に表示されるものである。
【0117】
上記の合成処理を行うために、合成部303は、図30に示すように、画像データ補間部311と出力値選択部312とを備えている。なお、図30は図29に示した合成部303の構成を示すブロック図である。
【0118】
図30に示す画像データ補間部311は、画像データ間引き部302にて間引き処理された画像データに対して補間処理を行う。この画像データ補間部311は、一般的なニアレストネイバーによる拡大のアルゴリズムを用いて画像データを補間する処理を行う。なお、画像データの補間の手法はこれに限定されず、例えばバイリニアやバイキュービックによる拡大のアルゴリズムを用いたものであってもよい。
【0119】
出力値選択部312は、領域分離データに基づいて、補間処理された画像データ、黒の画像データまたは白の画像データを出力する。
【0120】
本実施の形態において、合成部303は、出力値選択部312の処理内容を異ならせることにより、図31に示す第1の合成処理、または図33に示す第2の合成処理の何れかを行うように設定可能である。なお、図31は合成部303における第1の合成処理を示すフローチャート、図33は合成部303における第2の合成処理を示すフローチャートである。
【0121】
合成部303は、第1の合成処理を行う場合には図32に示す第1の合成処理用のルックアップテーブル(第1の合成処理用テーブル)を使用する。この第1の合成処理用テーブルは、図13に示した領域分離データ生成処理により生成されたタイプ1の領域分離データに対応したものである。第2の合成処理を行う場合には図34に示す第2の合成処理用のルックアップテーブル(第2の合成処理用テーブル)を使用する。この第2の合成処理用テーブルは、図15に示した領域分離データ生成処理により生成されたタイプ3の領域分離データに対応したものである。
【0122】
図32および図34の合成処理用テーブルに示す「補間画像データの画素値(注)」については、図26の合成処理用テーブルに示す「伸張画像データの画素値(注)」についての説明と同様である。
【0123】
まず、合成部303において第1の合成処理を行う画像処理装置301の動作について説明する。
【0124】
画像処理装置301の合成部303には、領域分離部18から出力された領域分離データと画像データ間引き部302から出力された間引き画像データとが入力される。図31に示すように、合成部303の画像データ補間部311では、上記間引き画像データを補間して出力値選択部312に出力する(S71)。
【0125】
出力値選択部312では、処理対象画素の領域分離データの値が1か否かを判定し(S72)、1であれば処理対象画素の合成データとして「黒」の値を出力する(S73)。一方、処理対象画素の領域分離データの値が0であれば、処理対象画素の合成データとして、画像データ補間部311から入力された補間処理された画像データを出力する(S74)。
【0126】
上記のS72からS74までの出力値選択部312の処理では、画像データの先頭の画素から終端の画素までを処理対象画素として、それらの処理を繰り返す。上記のようにして作成され、合成部303から出力された合成データは、サムネイルもしくはプレビュー画像として表示部4に表示される。
【0127】
次に、合成部303において第2の合成処理を行う画像処理装置301の動作について説明する。
【0128】
図33に示すように、合成部303の画像データ補間部311では、上記間引き画像データを補間して出力値選択部312に出力する(S81)。
【0129】
出力値選択部312では、処理対象画素の領域分離データの値が1か否かを判定し(S82)、その値が1であれば処理対象画素の合成データとして「黒」の値を出力する(S83)。
【0130】
また、S82での判定結果において、処理対象画素の領域分離データの値が1でなければ、その値が2か否かを判定し(S84)、その値が2であれば処理対象画素の合成データとして「白」の値を出力する(S85)。
【0131】
また、S84での判定結果において、処理対象画素の領域分離データの値が2でなければ、処理対象画素の合成データとして、画像データ補間部311から入力された補間処理された画像データを出力する(S86)。
【0132】
なお、本実施の形態において、画像データ間引き部302にて画像データを間引きし、その画像データを合成部303の画像データ補間部311にて補間しているのは次の理由による。すなわち、画像データを間引きし、データ量を大幅に落として画像データを伝送することにより、表示に要するデータの伝送速度や伝送負荷が低減できるからである。
【0133】
たとえば、画像処理装置301を複数のハードウェアチップで実現する場合、合成部303の回路を他の機能部とは切り離して別のチップ上に搭載することがある(サムネイルやプレビューの機能をオプション的に追加する場合など)。チップ間で伝送するデータ量の大小は全体の処理時間に大きく影響するため、画像データを間引きしてデータ量を大幅に落とした状態で表示用のデータを伝送することにより、表示に要する全体の処理時間を短縮できるという効果がある。なお、この伝送時間に対して画像データ間引き部302や画像データ補間部311など各部の回路での処理時間は非常に小さなものであり、このようにいったんデータ量を落として表示処理を行う効果は大きいといえる。また、合成部303はデジタル複写機等の外部にネットワークを介して設けてもよいが、その場合、画像データを間引きして伝送することにより、ネットワーク上での伝送時間の削減やネットワークの負荷軽減といった効果が期待できる。
【0134】
本実施の形態の画像処理装置301では、画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示されたときに、領域分離部18から出力される領域分離データと画像データ間引き部302から出力された間引き画像データとを用いて合成データが合成部303にて作成され、この合成データが表示部4において表示される。
【0135】
ここで、上記合成データは、画像データの一部が領域分離データに基づいて所定の色または階調に置き換えられたものとなっている。具体的には、合成データは、文字エッジ領域のみが領域分離データに基づいて置き換えられたもの(第1の合成処理、図32のルックアップテーブルを使用)、もしくは文字エッジ領域および下地領域のみが領域分離データに基づいて置き換えられたもの(第2の合成処理、図34のルックアップテーブルを使用)となる。
【0136】
したがって、上記合成データを使用する構成は、次の利点を有する。合成データは、文字領域については領域分離データを用いるため、文字の細かな形状の情報を維持している。また、それ以外の領域については画像データを間引いたものを用いるため、写真や図の色合いや階調変化の情報を維持している。
【0137】
これにより、画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示された場合に、上記合成データを使用する場合には、短時間で処理可能な合成部303での合成処理は必要であるものの、領域分離データを使用する構成と同様、表示に要する処理時間を短縮しながら、文字の判読性や画像レイアウトの視認性を向上することができる。
【0138】
また、先の実施の形態における構成のように、領域分離データのみを使用する場合には、前述のように、文字以外の画像の視認性を維持することは困難である。これに対して、上記合成データを表示する場合には、上記合成データが領域分離データ以外の画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0139】
なお、本実施の形態の画像処理装置301では、図31に示す第1の合成処理を行うよりも、図33に示す第2の合成処理を行う方が、合成データは表示部4にて表示した場合に見易い画像になる。
【0140】
特に、画像データ間引き部302にて一旦間引かれ、合成部303の画像データ補間部311での補間により引き伸ばされた画像データを表示した場合、小さい文字が潰れてしまう、すなわち濃い値で埋まってしまう可能性がある。このような状態の画像データに対して領域分離データを合成しても、すなわち文字エッジ領域の画素を「黒」で表示しても、文字は、潰れたように見えるため、判読性が低くなる。
【0141】
そこで、領域分離データを画像データと合成した場合に、下地領域の画素を「白」で表示されるように処理すれば、文字の潰れが解消されて判読性が向上する。この場合、領域分離データの解像度は低下していないため、文字のエッジと下地との区別が可能となる。
【0142】
〔実施の形態7〕
図35は、図23に示した画像処理装置201の他の例を示すブロック図である。なお、図35では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0143】
図35に示すように、画像処理装置401はさらに記憶部(記憶手段)402を備えている。この記憶部402は、ハードディスクあるいはその他の一般的な記憶装置により構成することができる。
【0144】
画像処理装置401では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴って領域分離データおよび圧縮画像データが作成される。そこで、記憶部402には、作成された各領域分離データと圧縮画像データとを関連づけて記憶するようになっている。
【0145】
記憶部402には、領域分離部18にて生成された領域分離データ、および画像データ圧縮部202にて生成された圧縮画像データが入力される。領域分離部18および画像データ圧縮部202での処理は前述の場合と同様である。
【0146】
制御部5は、上記のように、領域分離データと圧縮画像データとを関連付けて記憶部402に記憶させる。その後、制御部5は、特定の画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示されたとき、その圧縮画像データとそれに関連する領域分離データとを記憶部402から読み出し、合成部203に入力する。その後の合成部203での処理は、図23の構成に基づく前述の説明どおりである。これにより、合成部203にて処理された合成データが表示部4においてサムネイルもしくはプレビュー画像として表示される。
【0147】
制御部5は、記憶部32への領域分離データおよび圧縮画像データの書き込みおよび読み出しにおいて次のような動作を行う。例えば、圧縮画像データの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離データの保存アドレスとを関連付けて管理テーブルに記入し、その関連付けに基づいて記憶部32に対するデータの読み書きの制御を行う。
【0148】
また、制御部5は、サムネイルやプレビュー画像の表示指令を受けたときに、その表示動作を制御する。この場合、サムネイルやプレビュー画像の表示対象となる圧縮画像データを特定し、上記管理テーブルを参照することにより、その圧縮画像データと関連付けられた領域分離データの保存アドレスを取得し、そのアドレスから領域分離データを読み出し、合成部203に出力するように制御する。
【0149】
本実施の形態では、あらかじめ領域分離データと圧縮画像データとを関連付けて記憶部402に記憶している。したがって、サムネイルやプレビュー画像の表示要求に対して、領域分離データと圧縮画像データとを記憶部402から読み出して合成データを生成できるので、迅速な表示が可能となる。また、合成データの作成のために記憶部402に記憶されるのは、領域分離データと圧縮画像データであるので、記憶部402の必要な記憶容量を低減することができる。
【0150】
また、本実施の形態では、記憶部32に領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶部32に記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0151】
〔実施の形態8〕
図36は、図29に示した画像処理装置301の他の例を示すブロック図である。なお、図36では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0152】
図36に示すように、画像処理装置501はさらに記憶部(記憶手段)402を備えている。画像処理装置501では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴って領域分離データおよび間引き画像データが作成される。そこで、記憶部402には、作成された各領域分離データと間引き画像データとを関連づけて記憶するようになっている。
【0153】
記憶部402には、領域分離部18にて生成された領域分離データ、および画像データ間引き部302にて生成された間引き画像データが入力される。領域分離部18および画像データ間引き部302での処理は前述の場合と同様である。
【0154】
制御部5は、上記のように、領域分離データと間引き画像データとを関連付けて記憶部402に記憶させる。その後、制御部5は、特定の画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像の表示が指示されたとき、その間引き画像データとそれに関連する領域分離データとを記憶部402から読み出し、合成部303に入力する。その後の合成部303での処理は、図29の構成に基づく前述の説明どおりである。これにより、合成部303にて処理された合成データが表示部4においてサムネイルもしくはプレビュー画像として表示される。
【0155】
本実施の形態では、あらかじめ領域分離データと間引き画像データとを関連付けて記憶部402に記憶している。したがって、サムネイルやプレビュー画像の表示要求に対して、領域分離データと間引き画像データとを記憶部402から読み出して合成データを生成できるので、迅速な表示が可能となる。また、合成データの作成のために記憶部402に記憶されるのは、領域分離データと間引き画像データであるので、記憶部402の必要な記憶容量を低減することができる。
【0156】
また、本実施の形態では、記憶部32に領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶部32に記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0157】
〔実施の形態9〕
図37は、画像処理装置を備えたカラー対応の画像読取装置(スキャナ)の構成を示すものであって、図21に示した画像読取装置の他の例を示すブロック図である。
【0158】
図37に示す画像読取装置は、画像入力装置1と画像処理装置601とを備えている。画像処理装置601は、前記のA/D変換部11、シェーディング補正部12、入力処理部13、領域分離部18、画像データ圧縮部202、合成部203および制御部5を備えている。画像読取装置を構成する各部の動作は前述のとおりである。
【0159】
画像処理装置において上記各処理が施された後のRGB画像信号はコンピュータやハードディスク、ネットワークなどへ出力される。また、合成部203にて作成された合成データは液晶ディスプレイなどの画像を表示する装置へ出力される。なお、画像読取装置に表示用ディスプレイが設置されていてもよい。
【0160】
上記の画像読取装置では、合成部203を備えたものとなっているが、この合成部203は画像読取装置に備えられずに、例えば画像読取装置と接続されるコンピュータに備えられていてもよい。この場合、画像読取装置は領域分離データと圧縮画像データを上記コンピュータに出力し、コンピュータが領域分離データと圧縮画像データとから合成データを作成することになる。
【0161】
図38は、画像処理装置を備えたカラー対応の画像読取装置(スキャナ)の構成を示すものであって、図37に示した画像読取装置の他の例を示すブロック図である。図38に示す画像読取装置は、画像入力装置1と画像処理装置701とを備えている。画像処理装置701は、図36に示した画像処理装置601の画像データ圧縮部202および合成部203に代えて、前記画像データ間引き部302および前記合成部303を備えている。画像処理装置701の動作については、前述の実施の形態において説明したとおりである。
【0162】
〔実施の形態10〕
図40は、画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。なお、図40では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0163】
図40に示すように、画像処理装置801は図20に示した画像処理装置41に似た構成を有する。この画像処理装置801は、領域分離部18、領域分離データ圧縮部(圧縮手段)42、記憶部(記憶手段)32、領域分離データ伸張部(伸張手段)43、階調/色割り当て部19を備えている。
【0164】
画像処理装置801では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴い、領域分離部18において領域分離データが作成される。この領域分離データは、データ量を削減するために、領域分離データ圧縮部42にて圧縮された後に記憶部32に記憶される。また、記憶部32から読み出された領域分離圧縮データは、領域分離データ伸張部43にて領域分離データに伸張された後に階調/色割り当て部19に入力される。後の処理は前述の実施形態において説明したとおりである。
【0165】
また、記憶部32には、デジタルカラー複写機が行った各ジョブのログ情報が入力される。記憶部32では、各ジョブのログ情報と、各ジョブで扱った画像データの領域分離圧縮データとが関連づけて記憶される。なお、ログ情報と領域分離圧縮データとを格納するのは、デジタルカラー複写機の記憶部32ではなく、例えばデジタルカラー複写機とネットワークで接続されたサーバであっても構わない。
【0166】
図41は記憶部32におけるログ情報と領域分離圧縮データとの関連付けの例を示す説明図である。本実施の形態において、イメージデータ(イメージデータ1,2,3…)は領域分離圧縮データに相当する。
【0167】
ログ情報の例は、例えば図39に示したとおりであり、このログ情報の取得、および記憶部32への書き込みは制御部5(CPU)が行う。
【0168】
図42(a)はログ情報と領域分離圧縮データとを記憶部32に記録する場合の一連の動作を示すフローチャートであり、図42(b)は記憶部32からログ情報と領域分離圧縮データを読み出し、ログ情報と領域分離データとを表示部4に表示する場合の一連の動作を示すフローチャートである。
【0169】
ログ情報と領域分離圧縮データとを記憶部32に記録する場合の画像処理装置801の動作について説明する。この場合には、図42(a)に示すように、領域分離部18にて入力画像データに対する領域分離処理が行われ、領域分離データが得られる(S101)。この領域分離データは領域分離データ圧縮部42にて処理され、領域分離圧縮データとなる(S102)。この領域分離圧縮データは記憶部32に格納される(S103)。
【0170】
また、デジタルカラー複写機では画像データに対して所定のジョブ(処理)を行うと(S104)、そのジョブについてのログ情報を取得する(S105)。このログ情報は記憶部32に格納される。この場合、記憶部32ではジョブのログ情報とそのジョブで処理された画像データの領域分離圧縮データとが関連づけられる(S106)。なお、上記S104での所定の処理とは、例えば色補正部14から中間調生成部17(図1参照)までの処理である。
【0171】
次に、記憶部32からログ情報と領域分離圧縮データを読み出し、ログ情報と領域分離データとを表示部4に表示する場合の画像処理装置801の動作について説明する。この場合には、図42(b)に示すように、ログ情報の表示要求が入力されると(S111)、記憶部32からそのログ情報とそのログ情報に関連付けられた領域分離圧縮データとが読み出される(S112、S113)。
【0172】
この場合、ログ情報の表示要求は、例えばデジタルカラー複写機の操作パネルからログ表示モードの選択により入力されてもよく、あるいはデジタルカラー複写機にネットワークを介して接続された端末のコンピュータから入力されてもよい。また、記憶部32から読み出されるログ情報は、その一部でも全てでもよい。
【0173】
記憶部32から読み出された領域分離圧縮データは、領域分離データ伸張部43にて伸張処理されて、領域分離データとなり(S114)、階調/色割り当て部19にて処理される(S115)。階調/色割り当て部19にて処理された領域分離データは、関連付けられたログ情報とともに表示部4に表示される(S116)。
【0174】
本実施の形態では、ジョブのログ情報を表示する要求があった場合に、ジョブのログ情報とともにジョブにおいて扱われた画像データの領域分離データが表示される。この領域分離データは、前述のように、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。したがって、画像データの代わりに領域分離データを表示することにより、表示に要する処理時間の短縮や記憶部32において必要な記憶容量の低減が可能であり、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0175】
また、本実施の形態では、記憶部32に圧縮された領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、領域分離データを新たに生成する必要がなく、記憶部32に記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0176】
なお、本実施の形態では、領域分離データ圧縮部42を備え、領域分離データの圧縮を行っているが、この処理は必須のものではなく、なくてもよい。この点は他の実施の形態においても同様である。
【0177】
〔実施の形態11〕
図43は、画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。なお、図43では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0178】
画像処理装置901は、前記画像処理装置801に対して、さらに画像データ圧縮部202を備え、また前記階調/色割り当て部19に代えて合成部203を備えている。この合成部203の構成は、図24に示したとおりであり、画像データ伸張部211と出力値選択部212とを備えている。画像データ伸張部211は、画像データ圧縮部202にて圧縮された画像データに対して伸張処理を行い、伸張画像データとする。出力値選択部212は、領域分離データに基づいて、合成データとして、伸張した画像データ、黒の画像データまたは白の画像データを出力する。
【0179】
この画像処理装置901では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴い、領域分離部18において領域分離データが作成される。この領域分離データは、領域分離データ圧縮部42にて圧縮されて領域分離圧縮データとなり、記憶部402に格納される。また、領域分離部18に入力された画像データは、画像データ圧縮部202にも入力され、圧縮画像データとなって記憶部402に格納される。さらに、記憶部402には、デジタルカラー複写機が行った各ジョブのログ情報が入力される。
【0180】
そこで、記憶部402では、各ジョブのログ情報と、各ジョブで扱った画像データの領域分離圧縮データと、各ジョブで扱った画像データの圧縮画像データとの対応するもの同士が関連づけて記憶される。この場合、図41に示したイメージデータ(イメージデータ1,2,3…)は互いに対応する領域分離圧縮データと圧縮画像データに相当する。
【0181】
図44(a)はログ情報と領域分離圧縮データと圧縮画像データとを記憶部402に記録する場合の一連の動作を示すフローチャートであり、図44(b)は記憶部402からログ情報と領域分離圧縮データと圧縮画像データとを読み出し、これらを表示部4に表示する場合の一連の動作を示すフローチャートである。
【0182】
ログ情報と領域分離圧縮データと圧縮画像データとを記憶部402に記録する場合の画像処理装置901の動作について説明する。この場合には、図44(a)に示すように、領域分離部18にて入力画像データに対する領域分離処理が行われ、領域分離データが得られる(S121)。この領域分離データは領域分離データ圧縮部42にて処理され、領域分離圧縮データとなる(S122)。また、領域分離部18に入力された画像データは画像データ圧縮部202にも入力され、圧縮画像データとなる(S123)。これら領域分離圧縮データと圧縮画像データとは対応するもの同士が関連づけて記憶部402に記憶される(S124)。
【0183】
また、デジタルカラー複写機では画像データに対して所定のジョブ(処理)を行うと(S125)、そのジョブについてのログ情報を取得する(S126)。このログ情報は記憶部402に格納される。この場合、記憶部402では、ジョブのログ情報と、そのジョブで処理された画像データの領域分離圧縮データと、そのジョブで処理された画像データの圧縮画像データとが関連づけられる(S127)。
【0184】
次に、記憶部402からログ情報と領域分離圧縮データと圧縮画像データとを読み出し、これらを表示部4に表示する場合の画像処理装置901の動作について説明する。この場合には、図44(b)に示すように、ログ情報の表示要求が入力されると(S131)、記憶部402からそのログ情報とそのログ情報に関連付けられた領域分離圧縮データとが読み出される(S132、S133)。記憶部402から読み出された領域分離圧縮データは、領域分離データ伸張部43にて伸張処理されて領域分離データとなり(S134)、合成部203に入力される。
【0185】
また、記憶部402から上記ログ情報に関連付けられた圧縮画像データが読み出され(S135)、読み出された圧縮画像データは、合成部203に入力される。合成部203では、圧縮画像データを伸張して伸張画像データとした後、この伸張画像データと領域分離データとの合成処理を行い、合成データを表示部4に出力する(S136、S137)。表示部4では、ログ情報、およびそのログ情報に関連づけられた領域分離データと画像データとの合成データが表示される。
【0186】
なお、合成部203の詳細な構成および動作は、図24、および図25〜図28に基づいて先に説明したとおりである。
【0187】
本実施の形態では、ジョブのログ情報を表示する要求があった場合に、ジョブのログ情報とともに、ジョブにおいて扱われた画像データの領域分離データと画像データとの合成データが表示される。
【0188】
ここで、上記合成データは、図25〜図28に基づいて先に説明したように、画像データの一部が領域分離データに基づいて所定の色または階調に置き換えられたものとなる。したがって、合成データは、文字領域については領域分離データを用いるため、文字の細かな形状の情報を維持している。また、それ以外の領域については画像データを圧縮し、圧縮した画像データを伸長して用いるため、写真や図の色合いや階調変化の情報を維持している。
【0189】
これにより、ジョブのログ情報とともに上記合成データを表示する場合には、短時間で処理可能な合成部203での合成処理は必要であるものの、領域分離データを使用する構成と同様、表示に要する処理時間を短縮しながら、文字の判読性や画像レイアウトの視認性を向上することができる。
【0190】
また、上記合成データを表示する場合には、上記合成データが領域分離データ以外の画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0191】
また、本実施の形態では、記憶部402に圧縮された領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、領域分離データを新たに生成する必要がなく、記憶部402に記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0192】
〔実施の形態12〕
図45は、画像処理装置のさらに他の例を示すブロック図である。なお、図45では、A/D変換部11から中間調生成部17に至る11〜17の各機能部は、図1と同一の構成であるので省略している。
【0193】
画像処理装置1001は、前記画像処理装置901に対して、画像データ圧縮部202の前段に画像データ間引き部302を備え、前記合成部203に代えて合成部1002を備えている。画像データ間引き部302は、先に図29に基づいて説明したとおりであり、入力処理部13から入力された画像データを間引く処理を行う。
【0194】
図46は図45に示した合成部1002の構成を示すブロック図である。図46に示すように、合成部1002は、画像データ伸張部211、画像データ補間部311および出力値選択部312を備えている。画像データ伸張部211は、入力された間引き圧縮画像データに対して伸張処理を行い、伸張画像データとする。画像データ補間部311は、前記伸張画像データ対して補間処理を行い、補間画像データとする。出力値選択部312は、領域分離データに基づいて、合成データとして、補間処理された画像データ、黒の画像データまたは白の画像データを出力する。
【0195】
本実施の形態において、画像データ間引き部302では大幅に解像度を低下させてデータ容量を落とす処理を施している。そこで、合成部1002の画像データ補間部311では、画像データの解像度を領域分離データの解像度と揃えるように、伸張処理後の画像データに対して補間処理を行っている。
【0196】
例えば、元の画像データが600dpi×600dpiの場合、画像データ間引き部302では8画素おきにデータを間引き、75dpi×75dpi程度の解像度に落とす。これに対して領域分離データは600dpi×600dpiのまま記録する。そこで、画像データ補間部311においては、画像データの解像度を600dpi×600dpiに戻すよう補間し、その上で出力値選択部での合成処理が行われるようにしている。
【0197】
この画像処理装置1001では、複数のジョブにより複数の画像データが処理された場合に、各ジョブでの画像データの処理に伴い、領域分離部18において領域分離データが作成される。この領域分離データは、領域分離データ圧縮部42にて圧縮されて領域分離圧縮データとなり、記憶部402に格納される。また、領域分離部18に入力された画像データは、画像データ間引き部302にも入力され、間引き画像データとなる。この間引き画像データは、画像データ圧縮部202に入力され、間引き圧縮画像データとなって記憶部402に格納される。さらに、記憶部402には、デジタルカラー複写機が行った各ジョブのログ情報が入力される。
【0198】
そこで、記憶部402では、各ジョブのログ情報と、各ジョブで扱った画像データの領域分離圧縮データと、各ジョブで扱った画像データの間引き圧縮画像データとの対応するもの同士が関連づけて記憶される。この場合、図41に示したイメージデータ(イメージデータ1,2,3…)は互いに対応する領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データに相当する。
【0199】
図47(a)はログ情報と領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとを記憶部402に記録する場合の一連の動作を示すフローチャートであり、図47(b)は記憶部402からログ情報と領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとを読み出し、これらを表示部4に表示する場合の一連の動作を示すフローチャートである。
【0200】
ログ情報と領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとを記憶部402に記録する場合の画像処理装置1001の動作について説明する。この場合には、図47(a)に示すように、領域分離部18にて入力画像データに対する領域分離処理が行われ、領域分離データが得られる(S141)。この領域分離データは領域分離データ圧縮部42にて処理され、領域分離圧縮データとなる(S142)。また、領域分離部18に入力された画像データは画像データ間引き部302にも入力され、間引き画像データとなる(S143)。さらに、この間引き画像データは画像データ圧縮部202にて処理され、間引き圧縮画像データとなる(S144)。これら領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとは対応するもの同士が関連づけて記憶部402に記憶される(S145)。
【0201】
また、デジタルカラー複写機では画像データに対して所定のジョブ(処理)を行うと(S146)、そのジョブについてのログ情報を取得する(S147)。このログ情報は記憶部402に格納される。この場合、記憶部402では、ジョブのログ情報と、そのジョブで処理された画像データの領域分離圧縮データと、そのジョブで処理された画像データの間引き圧縮画像データとが関連づけられる(S148)。
【0202】
次に、記憶部402からログ情報と領域分離圧縮データと間引き圧縮画像データとを読み出し、これらを表示部4に表示する場合の画像処理装置1001の動作について説明する。この場合には、図47(b)に示すように、ログ情報の表示要求が入力されると(S151)、記憶部402からそのログ情報とそのログ情報に関連付けられた領域分離圧縮データとが読み出される(S152、S153)。記憶部402から読み出された領域分離圧縮データは、領域分離データ伸張部43にて伸張処理されて領域分離データとなり(S154)、合成部1002に入力される。
【0203】
また、記憶部402から上記ログ情報に関連付けられた間引き圧縮画像データが読み出され(S155)、読み出された間引き圧縮画像データは、合成部1002に入力される。合成部1002では、間引き圧縮画像データを伸張して伸張画像データとし(S156)、さらにこの伸張画像データを補間して補間画像データとする(S157)。その後、領域分離データと補間画像データとの合成処理を行い、合成データを表示部4に出力する(S158)。表示部4では、ログ情報、およびそのログ情報に関連づけられた領域分離データと補間画像データとの合成データが表示される(S159)。なお、合成部1002の出力値選択部312の詳細な動作は、先に図31〜図34に基づいて説明したとおりである。
【0204】
本実施の形態では、ジョブのログ情報を表示する要求があった場合に、ジョブのログ情報とともに、ジョブにおいて扱われた画像データの領域分離データと画像データとの合成データが表示される。
【0205】
ここで、上記合成データは、先述のように、画像データの一部が領域分離データに基づいて所定の色または階調に置き換えられたものとなる。したがって、合成データは、文字領域については領域分離データを用いるため、文字の細かな形状の情報を維持している。また、それ以外の領域については画像データを間引きし、間引きした画像データを補間して用いるため、写真や図の色合いや階調変化の情報を維持している。
【0206】
これにより、ジョブのログ情報とともに上記合成データを表示する場合には、短時間で処理可能な合成部1002での合成処理は必要であるものの、領域分離データを使用する構成と同様、表示に要する処理時間を短縮しながら、文字の判読性や画像レイアウトの視認性を向上することができる。
【0207】
また、上記合成データを表示する場合には、上記合成データが領域分離データ以外の画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0208】
また、本実施の形態では、記憶部402に圧縮された領域分離データが記憶されているので、デジタルカラー複写機において同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、領域分離データを新たに生成する必要がなく、記憶部402に記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0209】
なお、本実施の形態では、画像データ間引き部302と画像データ圧縮部202とを備え、画像データに対して、画像データ間引き部302での低解像度化処理すなわち間引き処理、および画像データ圧縮部202での圧縮処理を行った後、画像データを記憶部402に格納している。しかしながら、例えば図29の画像処理装置301のように画像データ間引き部302のみを備え、画像データ間引き部302での間引き処理のみを行った後に画像データを記憶部402に格納する構成としてもよい。
【0210】
図48には、元の画像データの容量を100とし、この画像データの容量と特許文献5に記載の技術による画像データ(表示用に記憶するデータ)、本実施の形態10〜12の画像処理装置801、画像処理装置901、画像処理装置1001による画像データ(表示用に記憶するデータ)の容量とを比べた結果を容量比として示す。例えば、特許文献5に記載されている数値では、6ポイントの文字に対して400dpi×400dpiの解像度が必要であり、特にカラー画像はかなり大きな容量になる。これに対し、本実施の形態の画像処理装置では、画像データの容量が大幅に低下している。
【0211】
図22は、本発明の実施の形態の画像処理装置をコンピュータを含むシステムに適用した場合の構成を示す模式図である。このコンピュータシステムは、図22に示すように、画像入力装置1、コンピュータ61、表示装置62、プリンタ63、キーボード64およびマウス65を備えている。
【0212】
画像入力装置1は、例えばフラットベッドスキャナ、フィルムスキャナ、デジタルカメラなどからなる。コンピュータ61は、所定のプログラムをロードすることにより、上記画像処理装置2として機能する。表示装置62は、コンピュータ61の処理結果を表示するものであり、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどからなる。プリンタ63は、コンピュータ61の処理結果を紙などに出力する印刷装置である。なお、コンピュータ61には、さらに、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのネットワークカードやモデムなどを備えている。
【0213】
また、画像処理装置2,51,201,301,401,501,601,701の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0214】
すなわち、画像処理装置2,51は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置2,51の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像処理装置2,51,201,301,401,501,601,701に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。上記プログラムを記録した記録媒体は持ち運び自在である。
【0215】
記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために、例えばROMのようなメモリからなるプログラムメディアであってもよいし、また、外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0216】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよい。あるいは、いずれの場合においても、プログラムが読み出され、そのプログラムがマイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされ、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムはあらかじめ本体装置に格納されているものとする。
【0217】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0218】
また、画像処理装置2,51,201,301,401,501,601,701を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0219】
なお、以上の実施形態においては、画像データの画素ごとに領域属性を判定した領域分離データを作成するようになっているが、これに限定されず、画像データの複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定した領域分離データを作成する構成であってもよい。この場合、例えば領域分離部18は、画像データを複数の画素からなるブロックに分割し、ブロック毎に領域分離処理を行い、各ブロックの注目画素に対して得られた領域分離データをそのブロック内の全ての画素に対して適用して出力する方法が挙げられる。
【0220】
以上のように、本実施の形態の画像処理装置では、領域分離処理において作成された領域分離データを保存しておき、それを読み出して表示するだけなので、表示に要する処理時間を削減することができる。また、領域分離データは元の画像データと比較してデータ量が少なく、読み出すときにも元の画像データを読み出す場合と比較して伝送時間を大幅に削減することができる。
【0221】
また、本実施の形態の画像処理装置では、文字エッジの形状を抽出してその結果が表示できるので、濃度の薄い文字が消えたり、文字の細部が潰れたりする問題を解消することができる。また、画像全体のレイアウトの視認性を確保することができる。
【0222】
さらに、領域分離データに対して表示に適した色や階調を割り当てることができるので、少ない色や階調しか表現できない表示装置であっても領域分離データの表示に対応可能であり、かつ文字の判読性および画像レイアウトの視認性を高めることができる。
【0223】
また、画像データのサムネイルやプレビュー画像として、領域分離データと画像データとの合成データを出力する構成では、合成データが領域属性に応じて元の画像データを圧縮して伸張した画像データ、もしくは間引きして補間した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0224】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記領域分離データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0225】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する工程と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記領域分離データを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0226】
ここで、前記画像データに関する画像とは、前記画像データのデータ量を減らした画像データによる画像であり、例えば前記画像データのサムネイルもしくはプレビュー画像である。この点は以下の各構成においても同様である。
【0227】
上記の構成によれば、画像をディスプレイなどの表示手段の画面上に視覚化(表示)する際に、画像データに代わってその画像に対する領域分離データを用いて視覚化することができる。
【0228】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成され得る。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。
【0229】
したがって、画像データのサムネイルやプレビューにおいて画像データの代わりに領域分離データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。なお、一般的に画像のサムネイルやプレビューとは元の画像データの代わりにそれを簡素化したものを表示することを指すが、前述の領域分離データは画像データを簡素化したものであるといえ、それを表示に用いることで画像のサムネイルやプレビューを実現することができる。
【0230】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記領域分離データを対応する画像データと関連付けて記憶する記憶手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記画像データと関連付けて記憶された領域分離データを前記記憶手段から表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0231】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する工程と、前記領域分離データを対応する画像データと関連付けて記憶する工程と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記画像データと関連付けて記憶された領域分離データを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0232】
上記の構成によれば、画像をディスプレイなどの画面上に視覚化(表示)する際に、画像データに代わってその画像に対する領域分離データを視覚化することができる。さらに、画像データとそれに対する領域分離データとを関連付けてハードディスクなどに記憶させておくことにより、複数の画像データが存在する場合であっても、表示の対象となる画像データに対する領域分離データを速やかに引き出して表示することができる。また領域分離データをあらかじめ記憶しておくため、表示を要求された後に領域分離処理を行う必要がなく、表示に要する処理時間が短縮できる。
【0233】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成される。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。
【0234】
したがって、画像データのサムネイルやプレビューにおいて画像データの代わりに領域分離データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。なお、一般的に画像のサムネイルやプレビューとは元の画像データの代わりにそれを簡素化したものを表示することを指すが、前述の領域分離データは画像データを簡素化したものであるといえ、それを表示に用いることで画像のサムネイルやプレビューを実現することができる。
【0235】
また、領域分離データは記憶されているので、同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0236】
上記の画像処理装置は、前記領域分離手段から得られる領域分離データを圧縮して前記記憶手段に与える圧縮手段と、前記記憶手段から出力された領域分離データを伸張して出力する伸張手段とを備え、前記記憶手段は、前記圧縮手段を経た領域分離データを対応する画像データと関連付けて記憶する構成としてもよい。
【0237】
上記の構成によれば、画像データのサムネイルやプレビューを表示するために必要なデータ、すなわち領域分離データを記憶手段に保存しておく場合のデータ量を削減することができる。
【0238】
上記の画像処理装置において、前記圧縮手段は領域分離データを可逆圧縮する構成としてもよい。
【0239】
上記の構成によれば、領域分離データは圧縮手段において可逆圧縮されるので、圧縮によって記憶するデータ量を削減した場合であっても、伸張すれば必ず元のとおりデータが復元されるため、情報がまったく欠落することがない。したがって、画像データのサムネイルやプレビューを表示するために必要なデータ、すなわち領域分離データにおける文字の判読性や画像レイアウトの視認性の低下を防止することができる。
【0240】
上記の画像処理装置は、前記表示手段へ出力する領域分離データに領域属性ごとに色または階調を割り当てる割り当て手段を備えている構成としてもよい。
【0241】
上記の構成によれば、表示手段へ出力する領域分離データには領域属性ごとに色または階調が割り当てられる。したがって、画像処理装置から出力された領域分離データを表示装置にて表示した場合の文字の判読性や画像レイアウトの視認性を向上することができる。
【0242】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域に属するか否かについて行う構成としてもよい。
【0243】
上記の構成によれば、領域属性の判定結果を1ビット(データ幅1ビット)で表すことができるので、領域分離データのデータ量を削減することができ、かつ領域分離データを表示した場合における文字の判読性を維持することができる。
【0244】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域に属するか否かについて行い、前記割り当て手段は、前記領域属性が文字エッジ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、領域属性が文字エッジ領域でない場合に白色もしくは最も明るい階調を割り当てる構成としてもよい。
【0245】
上記の構成によれば、領域分離データを表示する表示装置が1色もしくは2階調しか表現できない表示装置であっても、文字の判読性を維持することができる。
【0246】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、その他の領域のうちいずれの領域に属するかについて行う構成としてもよい。
【0247】
上記の構成によれば、領域属性の判定結果を2ビット(データ幅2ビット)で表すことができる。したがって、領域分離データのデータ量を削減でき、かつ領域分離データを表示した場合における文字の判読性を維持できるとともに、網点領域と文字におけるレイアウトの視認性を確保することができる。
【0248】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、その他の領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記割り当て手段は、前記領域属性が文字エッジ領域もしくは網点領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、領域属性がその他の領域である場合に白色もしくは最も明るい階調を割り当てる構成としてもよい。
【0249】
上記の構成によれば、領域分離データを表示する表示装置が1色もしくは2階調しか表現できない表示装置であっても、文字の判読性と画像レイアウトの視認性を維持することができる。
【0250】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、その他の領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記割り当て手段は、前記領域属性が文字エッジ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、前記領域属性が網点領域である場合に有彩色もしくは最も明るい階調と最も暗い階調との間の階調を割り当て、領域属性がその他の領域である場合に白色もしくは最も明るい階調を割り当てる構成としてもよい。
【0251】
上記の構成によれば、領域分離データを表示する表示装置が2色もしくは3階調しか表現できない表示装置であっても、文字の判読性と画像レイアウトの視認性を維持することができる。
【0252】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行う構成としてもよい。
【0253】
上記の構成によれば、領域属性の判定結果を2ビットで表すことができる。したがって、領域分離データのデータ量を削減でき、かつ領域分離データを表示した場合における文字の判読性を維持できるとともに、網点領域と文字と印画紙写真もしくはベタ領域とにおけるレイアウトの視認性を確保することができる。
【0254】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記割り当て手段は、前記領域属性が文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、前記領域属性が下地領域である場合に白色もしくは最も明るい階調を割り当てる構成としてもよい。
【0255】
上記の構成によれば、領域分離データを表示する表示装置が1色もしくは2階調しか表現できない表示装置であっても、文字の判読性と画像レイアウトの視認性を維持することができる。
【0256】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記割り当て手段は、前記領域属性が文字エッジ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、前記領域属性が網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域のいずれかである場合に有彩色もしくは最も明るい階調と最も暗い階調との間の階調を割り当て、前記領域属性が下地領域である場合に白色もしくは最も明るい階調を割り当てる構成としてもよい。
【0257】
上記の構成によれば、領域分離データを表示する表示装置が2色もしくは3階調しか表現できない表示装置であっても、文字の判読性と画像レイアウトの視認性を維持することができる。
【0258】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記割り当て手段は、前記領域属性が文字エッジ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、前記領域属性が網点領域である場合に第1の有彩色もしくは最も明るい階調と最も暗い階調との間の第1の階調を割り当て、印画紙写真もしくはベタ領域である場合に第2の有彩色もしくは最も明るい階調と最も暗い階調との間の第2の階調を割り当て、前記領域属性が下地領域である場合に白色もしくは最も明るい階調を割り当てる構成としてもよい。
【0259】
上記の構成によれば、領域分離データを表示する表示装置が3色もしくは4階調しか表現できない表示装置であっても、文字の判読性と画像レイアウトの視認性を維持することができる。
【0260】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを圧縮して圧縮画像データを生成する画像データ圧縮手段と、前記圧縮画像データを伸張して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0261】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する工程と、前記画像データを圧縮して圧縮画像データを生成する工程と、前記圧縮画像データを伸張して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する工程と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0262】
上記の構成によれば、画像をディスプレイなどの表示手段の画面上に視覚化(表示)する際に、画像データに代わって、その画像データの圧縮画像データを伸張した画像データを領域分離データと合成することにより生成した合成データを用いて視覚化することができる。
【0263】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成される。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。
【0264】
したがって、画像データのサムネイルやプレビューにおいて画像データの代わりに、領域分離データを含む合成データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0265】
また、合成データは、領域分離データ以外に元の画像データを圧縮して伸張した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0266】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを圧縮して圧縮画像データを生成する画像データ圧縮手段と、前記領域分離データを対応する圧縮画像データと関連付けて記憶する記憶手段と、前記圧縮画像データを伸張して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記圧縮画像データおよび前記圧縮画像データと関連付けて記憶された領域分離データを前記記憶手段から前記合成手段へ引き渡して前記合成データを生成させ、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0267】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する工程と、前記画像データを圧縮して圧縮画像データを生成する工程と、前記領域分離データを対応する圧縮画像データと関連付けて記憶する工程と、前記圧縮画像データを伸張して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する工程と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記圧縮画像データおよび前記圧縮画像データと関連付けて記憶している領域分離データを読み出して前記合成データを生成し、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0268】
上記の構成によれば、画像をディスプレイなどの表示手段の画面上に視覚化(表示)する際に、画像データに代わって、その画像データの圧縮画像データを伸張した画像データを領域分離データと合成することにより生成した合成データを用いて視覚化することができる。さらに、画像データとそれに対する領域分離データおよび圧縮画像データとを関連付けてハードディスクなどに記憶させておくことにより、複数の画像データが存在する場合であっても、表示の対象となる画像データに対する領域分離データおよび圧縮画像データを速やかに引き出して合成データを生成し、表示することができる。
【0269】
また領域分離データおよび圧縮画像データをあらかじめ記憶しているので、表示を要求された後に領域分離処理および画像データの圧縮処理を行う必要がなく、表示に要する処理時間が短縮できる。
【0270】
ここで、領域分離データは、前述のように、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さく、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。したがって、画像データのサムネイルやプレビューにおいて画像データの代わりに、領域分離データを含む合成データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0271】
また、合成データは、領域分離データ以外に元の画像データを圧縮して伸張した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0272】
また、領域分離データは記憶されているので、同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0273】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域に属するか否かについて行い、前記合成手段は、前記領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、文字エッジ領域でない画素については伸張した画像データの色もしくは階調を割り当てることにより前記合成データを生成する構成としてもよい。
【0274】
上記の構成によれば、領域属性が文字エッジ領域であるか否かに基づいて二種類の処理を行うことにより合成データを生成しているので、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性、画像レイアウトの視認性、および写真や図の視認性を向上できる合成データを、簡単な処理により得ることができる。
【0275】
また、領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、文字エッジ領域でない画素については伸張した画像データの色もしくは階調を割り当てるようにしているので、文字は細部までくっきりと、かつ写真や図は色味や階調変化が滑らかに表示されるといった見やすいプレビューやサムネイル画像を提供することができる。
【0276】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記合成手段は、前記領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である画素については伸張した画像データの色もしくは階調を割り当て、下地領域である画素については白色もしくは最も明るい階調を割り当てることにより前記合成データを生成する構成としてもよい。
【0277】
上記の構成によれば、領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調が割り当てられ、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である画素については伸張した画像データの色もしくは階調が割り当てられ、下地領域である画素については白色もしくは最も明るい階調が割り当てられる。したがって、表示に要する処理時間を短縮しまたメモリ容量を削減しながら、文字の判読性や画像レイアウトの視認性、並びに写真や図の視認性をさらに向上することができる。
【0278】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する画像データ間引き手段と、前記間引き画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0279】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する工程と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する工程と、前記間引き画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する工程と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0280】
上記の構成によれば、画像をディスプレイなどの表示手段の画面上に視覚化(表示)する際に、画像データに代わって、その画像データの間引き画像データを補間した画像データと領域分離データと合成することにより生成した合成データを用いて視覚化することができる。
【0281】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成される。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。
【0282】
したがって、画像データのサムネイルやプレビューにおいて画像データの代わりに、領域分離データを含む合成データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0283】
また、合成データは、領域分離データ以外に元の画像データを間引いて補間した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0284】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する画像データ間引き手段と、前記領域分離データを対応する間引き画像データと関連付けて記憶する記憶手段と、前記間引き画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成手段と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記間引き画像データおよび前記間引き画像データと関連付けて記憶された領域分離データを前記記憶手段から前記合成手段へ引き渡して前記合成データを生成させ、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0285】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する工程と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する工程と、前記領域分離データを対応する間引き画像データと関連付けて記憶する工程と、前記間引き画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する工程と、前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記間引き画像データおよび前記間引き画像データと関連付けて記憶している領域分離データを読み出して前記合成データを生成し、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0286】
上記の構成によれば、画像をディスプレイなどの表示手段の画面上に視覚化(表示)する際に、画像データに代わって、その画像データの間引き画像データを補間した画像データを領域分離データと合成することにより生成した合成データを用いて視覚化することができる。さらに、画像データとそれに対する領域分離データおよび間引き画像データとを関連付けてハードディスクなどに記憶させておくことにより、複数の画像データが存在する場合であっても、表示の対象となる画像データに対する領域分離データおよび間引き画像データを速やかに引き出して合成データを生成し、表示することができる。
【0287】
また領域分離データおよび間引き画像データをあらかじめ記憶しているので、表示を要求された後に領域分離処理および画像データの間引き処理を行う必要がなく、表示に要する処理時間が短縮できる。
【0288】
ここで、領域分離データは、前述のように、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さく、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。したがって、画像データのサムネイルやプレビューにおいて画像データの代わりに、領域分離データを含む合成データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0289】
また、合成データは、領域分離データ以外に元の画像データを間引いて補間した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0290】
また、領域分離データは記憶されているので、同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0291】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域に属するか否かについて行い、前記合成手段は、前記領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、文字エッジ領域でない画素については補間した画像データの色もしくは階調を割り当てることにより前記合成データを生成する構成としてもよい。
上記の構成によれば、領域属性が文字エッジ領域であるか否かに基づいて二種類の処理を行うことにより合成データを生成しているので、簡単な処理により合成データを得ることができる。
【0292】
また、領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、文字エッジ領域でない画素については補間した画像データの色もしくは階調を割り当てるようにしているので、文字は細部までくっきりと、かつ写真や図は色味や階調変化が滑らかに表示されるといった見やすいプレビューやサムネイル画像を提供することができる。
【0293】
上記の画像処理装置において、前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、前記合成手段は、前記領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である画素については補間した画像データの色もしくは階調を割り当て、下地領域である画素については白色もしくは最も明るい階調を割り当てることにより前記合成データを生成する構成としてもよい。
【0294】
上記の構成によれば、領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調が割り当てられ、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である画素については補間した画像データの色もしくは階調が割り当てられ、下地領域である画素については白色もしくは最も明るい階調が割り当てられる。したがって、表示に要する処理時間を短縮し、またメモリ容量を削減しながら、文字の判読性や画像レイアウトの視認性、並びに写真や図の視認性をさらに向上することができる。
【0295】
特に、間引き画像データを補間した画像データを表示した場合、小さい文字が潰れてしまう、すなわち濃い値で埋まってしまう可能性がある。このような状態の画像データに対して領域分離データを合成しても、すなわち文字エッジ領域の画素を「黒」で表示しても、文字は、潰れたように見えるために判読性が低くなることがある。そこで、領域分離データを画像データと合成した場合に、下地領域の画素を「白」で表示されるように処理すれば、文字の潰れが解消されて判読性が向上する。この場合、領域分離データの解像度は低下していないため、文字のエッジと下地との区別が可能となる。
【0296】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データに対する処理内容を含むログ情報を取得するログ情報取得手段と、前記領域分離データを対応するログ情報と関連付けて記憶する記憶手段と、前記ログ情報を表示手段に表示する要求に応じて、前記ログ情報および前記ログ情報と関連付けられている前記領域分離データを前記記憶手段から表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0297】
本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離工程と、前記画像データに対する処理内容を含むログ情報を取得するログ情報取得工程と、前記領域分離データを対応するログ情報と関連付けて記憶手段に記憶する記憶工程と、前記ログ情報を表示手段に表示する要求に応じて、前記ログ情報および前記ログ情報と関連付けられている前記領域分離データを前記記憶手段から表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0298】
上記の構成によれば、ジョブのログ情報を表示手段に表示する際には、ジョブにおいて扱われた画像データの領域分離データも表示される。したがって、ジョブにおいて扱われた例えば原稿の画像のレイアウトや文面などを視覚的に把握することができる。
【0299】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成され得る。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。したがって、元の画像データの代わりに領域分離データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0300】
また、領域分離データは記憶されているので、同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0301】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを圧縮して圧縮画像データを生成する画像データ圧縮手段と、前記画像データに対する処理内容を含むログ情報を取得するログ情報取得手段と、前記領域分離データおよび前記圧縮画像データを対応するログ情報と関連付けて記憶する記憶手段と、前記圧縮画像データを伸張して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成手段と、前記ログ情報を表示手段に表示する要求に応じて、前記ログ情報と関連付けられている前記領域分離データおよび前記圧縮画像データを前記記憶手段から前記合成手段へ引き渡し、これらデータに基づいて生成された合成データと前記ログ情報とを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0302】
本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離工程と、前記画像データを圧縮して圧縮画像データを生成する画像データ圧縮工程と、前記画像データに対する処理内容を含むログ情報を取得するログ情報取得工程と、前記領域分離データおよび前記圧縮画像データを対応するログ情報と関連付けて記憶手段に記憶する記憶工程と、前記圧縮画像データを伸張して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成工程と、前記ログ情報を表示手段に表示する要求に応じて、前記ログ情報と関連付けられている前記領域分離データおよび前記圧縮画像データを前記記憶手段から読み出して前記合成データを生成し、この合成データと前記ログ情報とを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0303】
上記の構成によれば、ジョブのログ情報を表示手段に表示する際には、ジョブにおいて扱われた画像データについての合成データも表示される。したがって、表示された合成データにより、ジョブにおいて扱われた例えば原稿の画像のレイアウトや文面などを視覚的に把握することができる。
【0304】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成される。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。
【0305】
したがって、元の画像データの代わりに、領域分離データを含む合成データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0306】
また、合成データは、領域分離データ以外に元の画像データを圧縮して伸張した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0307】
また、領域分離データは記憶されているので、同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0308】
本発明の画像処理装置は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する画像データ間引き手段と、前記間引き画像データを圧縮して間引き圧縮画像データを生成する画像データ圧縮手段と、前記画像データに対する処理内容を含むログ情報を取得するログ情報取得手段と、前記領域分離データおよび前記間引き圧縮画像データを対応するログ情報と関連付けて記憶する記憶手段と、前記間引き圧縮画像データを伸張し、伸張した画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成手段と、前記ログ情報を表示手段に表示する要求に応じて、前記ログ情報と関連付けられている前記領域分離データおよび前記間引き圧縮画像データを前記記憶手段から前記合成手段へ引き渡し、これらデータに基づいて生成された合成データと前記ログ情報とを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0309】
本発明の画像処理方法は、入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離工程と、前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する画像データ間引き工程と、前記間引き画像データを圧縮して間引き圧縮画像データを生成する間引き画像データ圧縮工程と、前記画像データに対する処理内容を含むログ情報を取得するログ情報取得工程と、前記領域分離データおよび前記間引き圧縮画像データを対応するログ情報と関連付けて記憶手段に記憶する記憶工程と、前記間引き圧縮画像データを伸張し、伸張した画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成する合成工程と、前記ログ情報を表示手段に表示する要求に応じて、前記間引き圧縮画像データおよび前記領域分離データを前記記憶手段から読み出して前記合成データを生成し、この合成データと前記ログ情報とを表示手段に出力して視覚化させる工程とを備えていることを特徴としている。
【0310】
上記の構成によれば、ジョブのログ情報を表示手段に表示する際には、ジョブにおいて扱われた画像データについての合成データも表示される。したがって、表示された合成データにより、ジョブにおいて扱われた例えば原稿の画像のレイアウトや文面などを視覚的に把握することができる。
【0311】
ここで、領域分離データは、画像データの領域属性(画像の種類を文字、網点、印画紙写真などのいくつかの種類に分けたときにどのような領域に属するか)を表すものであり、局所領域ごと(画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごと)に領域属性を判定した結果として生成される信号である。また、1画素当たりのデータ幅は、画像の種類の数を表現するのに必要なビット数のみで生成される。よって、領域分離データは、元の画像データと比較してデータサイズが大幅に小さいものであり、かつ局所領域ごとに領域属性が表されているため文字などの細かな形状や各種領域のレイアウトなどの情報を維持することが可能なものである。
【0312】
したがって、元の画像データの代わりに、領域分離データを含む合成データを表示することにより、表示に要する処理時間を短縮でき、かつ文字の判読性や画像レイアウトの視認性を確保することができる。
【0313】
また、合成データは、領域分離データ以外に元の画像データを間引いて補間した画像データも含んでいるので、表示する画像の視認性、特に写真や図の視認性を向上することができる。
【0314】
また、間引き画像データはさらに圧縮された後に記憶手段に記憶されるので、記憶手段での画像データを記憶するのに必要な容量をさらに低減することができる。
【0315】
また、領域分離データは記憶されているので、同一の画像データを再度印刷する場合や再度他の装置へ送信出力する場合には、新たに領域分離データを生成する必要がなく、記憶されている領域分離データを使用してそれらの処理を迅速に行うことができる。
【0316】
上記の画像処理装置は、前記領域分離手段から得られる領域分離データを圧縮して前記記憶手段に与える圧縮手段と、前記記憶手段から出力された領域分離データを伸張して出力する伸張手段とを備え、前記記憶手段は、前記圧縮手段を経た領域分離データを対応するログ情報と関連付けて記憶する構成としてもよい。
【0317】
上記の画像処理方法は、前記領域分離データを生成する工程により得られた領域分離データを圧縮して前記記憶手段に与える領域分離データ圧縮工程と、前記記憶手段から出力された領域分離データを伸張して出力する領域分離データ伸張工程とを備え、前記記憶工程では、前記領域分離データ圧縮工程を経た領域分離データを対応するログ情報と関連付けて記憶する構成としてもよい。
【0318】
上記の構成によれば、領域分離データを圧縮した後に記憶手段に記憶するので、記憶手段において必要な容量をさらに低減することができる。
【0319】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0320】
本発明の構成は、画像データのサムネイルやプレビュー画像を表示する装置に適用可能であり、特に領域分離処理機能を備えた装置に好適である。
【符号の説明】
【0321】
1 画像入力装置
2 画像処理装置
3 画像出力装置
4 表示部
5 制御部(制御手段)
18 領域分離部(領域分離手段)
19 階調/色割り当て部(割り当て手段)
31 画像処理装置
32 記憶部(記憶手段)
41 画像処理装置
42 領域分離データ圧縮部(圧縮手段)
43 領域分離データ伸張部(伸張手段)
51 画像処理装置
61 コンピュータ
62 表示装置
63 プリンタ
101 文字エッジ判定部
102 網点判定部
103 無彩判定部
104 下地判定部
105 領域分離データ生成部
201 画像処理装置
202 画像データ圧縮部(画像データ圧縮手段)
203 合成部(合成手段)
211 画像データ伸張部
212 出力値選択部
301 画像処理装置
302 画像データ間引き部(画像データ間引き手段)
303 合成部(合成手段)
311 画像データ補間部
312 出力値選択部
401 画像処理装置
402 記憶部
501 画像処理装置
601 画像処理装置
701 画像処理装置
801 画像処理装置
901 画像処理装置
1001 画像処理装置
1002 合成部(合成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに対し、画素ごとあるいは複数の画素からなるブロックごとに領域属性を判定し、その判定結果を示す領域分離データを生成する領域分離手段と、
前記画像データを間引いて間引き画像データを生成する画像データ圧縮手段と、
前記間引き画像データを補間して前記領域分離データと合成することにより合成データを生成するとともに前記表示手段へ出力する領域分離データに対して領域属性ごとに色または階調を割り当てる合成手段と、
前記画像データに関する画像を表示手段によって視覚化する要求に応じて、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させる制御手段とを備え、
前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域に属するか否かについて行い、
前記合成手段は、前記領域属性が文字エッジ領域である場合に黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、前記領域属性が文字エッジ領域でない場合に上記画像データの色もしくは階調を割り当てることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記領域分離データを対応する間引き画像データと関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記間引き画像データおよび前記間引き画像データと関連付けて記憶された領域分離データを前記記憶手段から前記合成手段へ引き渡して前記合成データを生成させ、前記画像データに代わって前記合成データを表示手段に出力して視覚化させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記領域分離手段は、前記領域属性についての判定を、文字エッジ領域、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域、下地領域のうちいずれの領域に属するかについて行い、
前記合成手段は、前記領域分離データによって示される領域属性が文字エッジ領域である画素については黒色もしくは最も暗い階調を割り当て、網点領域、印画紙写真もしくはベタ領域である画素については補間した画像データの色もしくは階調を割り当て、下地領域である画素については白色もしくは最も明るい階調を割り当てることにより前記合成データを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるためプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−170158(P2012−170158A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133308(P2012−133308)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【分割の表示】特願2007−261413(P2007−261413)の分割
【原出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】