説明

画像処理装置およびプログラム

【課題】1つの表が複数頁に分割されて印刷された場合でも、印刷された複数頁の原稿を読み込んで元の表を電子文書として復元することを可能とする。
【解決手段】表領域抽出部42は、スキャナ16により読み取られた複数頁からなる画像データの各頁から、表領域の画像をそれぞれ抽出する。表構造データ生成部43は、抽出された各表領域の画像からその表の表構造データをそれぞれ生成する。表接続性判定部45は、表構造データ生成部43により生成された各頁の表の表構造データに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する。表データ復元部44は、表接続性判定部45により判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定し、決定した接続順序に基づいて各表どうしを接続して分割前の1つの表データを復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表形式文書のイメージデータから罫線で囲まれたセルを抽出し、抽出したセルの属性を判定して、判定したセル属性に従って各セル内の文字を認識するようにした技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、読取った文書画像から文字領域、写真領域および図形領域を分離して、文字領域の画像には文字認識を行い、図形領域の画像にはベクトル図形化を行い、写真領域は画像データとしてファイリングするようにした文書画像ファイリング装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、電子化文書からテキスト、ピクチャ、表等のコンテンツを検出し、検出したコンテンツをその属性を示す情報に基づいて登録・管理する文書処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献4には、しきい値以下の長さの空白についてはパターンが存在するものとして直線の抽出を行って、抽出された直線から枠を抽出して、この枠に基づいてパターンの切り出しを行うことにより、枠を構成する線にかすれが存在する場合でも、パターン領域を正確に抽出することができるようにした技術が開示されている。
【0006】
特許文献5には、読み取った原稿画像中の文字、表、図形の領域判定を行い、判定した各領域のうち同じ種類の領域をまとめ、文字領域に対しては文字認識処理、表領域に対しては表枠認識処理、図形領域に対してはベクトル化した後に図形認識処理を行うようにしたデジタル複写機が開示されている。
【0007】
特許文献6には、第1文書の画像情報よりテンプレート情報を抽出し、第2文書の画像情報からコンテンツ情報を抽出し、このテンプレート情報とコンテンツ情報とを合成して合成文書を生成するようにした文書編集システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−23185号公報
【特許文献2】特開平5−342408号公報
【特許文献3】特開2002−73598号公報
【特許文献4】特開平9−128480号公報
【特許文献5】特開平8−44827号公報
【特許文献6】特開2005−128925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、1つの表が複数頁に分割されて印刷された場合でも、印刷された複数頁の原稿を読み込んで元の表を電子文書として復元することが可能な画像処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[画像処理装置]
請求項1に係る本発明は、原稿読取装置により読み取られた複数頁からなる画像データの各頁から表領域の画像をそれぞれ抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された各表領域の画像からその表の表構造データをそれぞれ生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された各頁の表の表構造データに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、前記各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された接続順序に基づいて、前記各表どうしを接続して分割前の1つの表データを復元する復元手段とを備えた画像処理装置である。
【0011】
請求項2に係る本発明は、前記判定手段が、各表の高さまたは幅、各表を構成するセルの行数または列数、各セルの高さまたは幅、各セルの属性、各表を構成する罫線の太さまたは線種の情報のうちの少なくとも1つまたは2つ以上の情報の組み合わせに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する請求項1記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項3に係る本発明は、前記判定手段が、前記抽出手段により抽出された表の数に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する1または2記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項4に係る本発明は、分割前の元の表が行方向および列方向に対してどのように分割されたかを示す表分割数を入力する入力手段をさらに備え、
前記判定手段が、前記入力手段により入力された表分割数の情報に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項5に係る本発明は、分割前の元の表が分割して印刷された際の印刷順序の情報を入力する入力手段をさらに備え、
前記判定手段が、前記入力手段により入力された印刷順序の情報に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0015】
請求項6に係る本発明は、接続後の表全体における各表の接続位置を示す情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記復元手段は、表示された接続位置で各表どうしの接続を許可する旨の入力がされた場合に、前記各表どうしを接続して分割前の1つの表データとして復元する請求項1から5のいずれか1項記載の画像処理装置である。
【0016】
[プログラム]
請求項7に係る本発明は、原稿読取装置により読み取られた複数頁からなる画像データの各頁から表領域の画像をそれぞれ抽出するステップと、
抽出された各表領域の画像からその表の表構造データをそれぞれ生成するステップと、
生成された各頁の表の表構造データに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定するステップと、
判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、前記各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定するステップと、
決定された接続順序に基づいて、前記各表どうしを接続して分割前の1つの表データを復元するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る本発明によれば、1つの表が複数頁に分割されて印刷された場合でも、印刷された複数頁の原稿を読み込んで元の表を電子文書として復元することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、各表どうしの構造に基づいて接続可能性を判定することができる画像処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1または2に係る発明により得られる効果に加えて、接続可能性を判定する表の組み合わせを限定することができる画像処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1または2に係る発明により得られる効果に加えて、接続可能性を判定する表の組み合わせを限定することができる画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1または2に係る発明により得られる効果に加えて、接続可能性を判定する表の組み合わせを限定することができる画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る発明により得られる効果に加えて、誤判定したまま元の表を復元することを防ぐことができる画像処理装置を提供することができる。
【0023】
請求項7に係る本発明によれば、1つの表が複数頁に分割されて印刷された場合でも、印刷された複数頁の原稿を読み込んで元の表を電子文書として復元することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の画像処理装置10の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像処理装置10内の画像処理装置30の機能構成を示すブロック図である。
【図4】印刷用紙よりも大きな表を印刷した場合の印刷状態を説明するための図である。
【図5】表接続性判定部45により2つの表の接続可能性を判定する際の具体的な動作を説明するための図である。
【図6】印刷順序が左から右方向であり、全体の表の数が12の場合において、可能性がある表の接続状態を説明するための図である。
【図7】印刷順序が上から下方向であり、全体の表の数が12の場合において、可能性がある表の接続状態を説明するための図である。
【図8】表分割数X/Yに基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する場合を説明するための図である。
【図9】表データ復元部44が、各表どうしの接続可能性に基づいて、各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定する際の動作を説明するための図である。
【図10】表示部47により、接続後の表全体における各表の接続位置を示す情報を表示した場合の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態の画像処理装置30により複数頁からなる原稿を読み取る際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態の画像処理装置30により読み込まれた複数頁の表を1つの表データとして復元する際の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の画像形成装置10の構成を示すブロック図である。
【0026】
本発明の一実施形態の画像形成装置は、図1に示されるように、ネットワークインタフェース部14と、ユーザインタフェース部15と、スキャナ16と、画像出力部17と、画像処理装置30と、制御部31とを備えている。
【0027】
スキャナ16は、トレイ等にセットされた原稿を読み取り画像データを取得する。スキャナ16は、原稿をスキャン(走査)して、CCD(Charge Coupled Device)等の素子により得られた信号出力をA/D変換することによりデジタルの画像データを取得する。スキャナ16により読み取られた画像データは、RGBそれぞれの色成分によって構成されている。
【0028】
画像処理装置30は、スキャナ16により読み取られた画像データに各種画像処理を行う。画像出力部17は、制御部31により制御され、画像処理装置30により画像処理が行われた後の画像データに基づいた画像を印刷出力する。
【0029】
ネットワークインタフェース部15は、ネットワークを介して画像データを送信したり、ネットワークを介して送信されてきた画像データを受け付ける動作を行う。ユーザインタフェース部15は、ユーザからの指示を受け付けて、その指示内容を制御部31に伝達する。
【0030】
制御部31は、ネットワークインタフェース部14を介して受け付けた画像データや、画像処理装置30からの画像データに基づいて画像出力部17に印刷動作を行わせたる等の制御を実行する。また、スキャナ16により取得され画像処理装置30により画像処理が行われた後の画像データを、ネットワークインタフェース部14を介してネットワーク経由にて指定された送信先に転送するような制御も行う。
【0031】
なお、画像形成装置10は、印刷(プリント)機能、スキャン機能、複写(コピー)機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0032】
次に、本実施形態の画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0033】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワークを介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行うネットワークインタフェース部14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース部15、スキャナ16、画像出力部17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0034】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0035】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10内の画像処理装置30の機能構成を示すブロック図である。
【0036】
本実施形態の画像処理置30は、図3に示されるように、画像データ蓄積部41と、表領域抽出部42と、表構造データ生成部43と、表データ復元部44と、表接続性判定部45と、入力部46と、表示部47と、フォーマット変換部48とを備えている。
【0037】
画像データ蓄積部41は、原稿読取装置であるスキャナ16により読み取られた画像データを蓄積する。
【0038】
表領域抽出部42は、スキャナ16により読み取られ画像データ蓄積部41に蓄積された複数頁からなる画像データの各頁から表領域の画像をそれぞれ抽出する。
【0039】
例えば、図4(A)に示すような表データを印刷しようとした場合、この表データが1枚の印刷用紙に収まらない場合には、図4(B)に示すように複数の頁に分割されて印刷されてしまう。本実施形態では、このように複数の頁に分割されて印刷された複数頁からなる原稿を図4(C)のように印刷された順序でスキャンして画像データとして読み込む。そして、表領域抽出部42は、このような複数頁の画像データから、表領域をそれぞれ抽出する。
【0040】
表領域抽出部42は、表領域の抽出処理としてオブジェクト分離処理を用いる。つまり、表領域抽出部42は、スキャナ16により読み取られた画像データに対してオブジェクト分離処理を行い、画像データを、表画像、CG画像、写真画像、文字画像、線画といったオブジェクト毎に分離する。
【0041】
表構造データ生成部43は、表領域抽出部42により抽出された各表領域の画像からその表の表構造データをそれぞれ生成する。具体的には、表構造データ生成部43は、表領域抽出部42により分離された表オブジェクトに対してはレイアウト解析を行い、文字オブジェクトについては文字認識処理(OCR処理)を行うことにより表構造データを取得する。
【0042】
表接続性判定部45は、表構造データ生成部43により生成された各頁の表の表構造データに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する。具体的には、表接続性判定部45は、図5に示すように、各表の高さまたは幅、各表を構成するセルの行数または列数、各セルの高さまたは幅、各セルの属性、各表を構成する罫線の太さまたは線種の情報のうちの少なくとも1つまたは2つ以上の情報の組み合わせに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する。
【0043】
図5(A)では、接続可能性を判定する2つの表の高さを比較する場合が示されている。また、図5(B)では、接続可能性を判定する2つの表のY方向のセル数を比較する場合が示されている。また、図5(C)では、接続可能性を判定する2つの表の各セルの高さを比較する場合が示されている。さらに、図5(D)では、接続可能性を判定する2つの表のセルの背景色、上部罫線太さ、下部罫線太さを比較する場合が示されている。
【0044】
例えば、表接続性判定部45は、比較した表どうしの接続可能性として、図5(A)〜(D)のような比較項目毎に予め値を設定しておき、一致した項目の値を加算して百分率(%)で表示するようにしてもよい。
【0045】
なお、表接続性判定部45は、全ての表どうしの組み合わせの上下左右の4方向の接続可能性を判定してもよいし、印刷された順序でスキャンされていることが保証されている場合には、ある表に対して後から読み込まれた表との接続可能性を判定する場合に、右方向または下方向の接続可能性のみを判定するようにすれば良い。
【0046】
なお、表接続性判定部45は、全ての表どうしの組み合わせについて接続可能性を判定するのではなく、表領域抽出部42により抽出された表の数に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定するようにしてもよい。
【0047】
例えば、抽出された表の数が12の場合には、印刷された状態で読み込まれていることが前提であれば、図6または図7に示すような接続順序のうちのどれかしか有り得ない。
【0048】
入力部46は、ユーザインタフェース部15を介して、分割前の元の表が行方向および列方向に対してどのように分割されたかを示す表分割数X/Yや、分割前の元の表が分割して印刷された際の印刷順序の情報を入力する。
【0049】
また、表接続性判定部45は、入力部46により入力された印刷順序の情報に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定するようにしてもよい。
【0050】
表データが分割して印刷された際の印刷順序が特定され、抽出された表の数が特定されている場合、表接続性判定部45は、表の数および印刷順序に基づいて、接続可能性を判定する表の組み合わせを限定することができる。
【0051】
例えば、印刷順序が左から右方向であり、全体の表の数が12の場合には、図6(A)〜図6(F)のいずれかの接続状態しか有り得ない。また、印刷順序が上から下方向であり、全体の表の数が12の場合には、図7(A)〜図7(F)のいずれかの接続状態しか有り得ない。
【0052】
また、表接続性判定部45は、入力部46により入力された表分割数X/Yの情報に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定するようにしてもよい。表分割数X/Yとは、X方向分割数(DIVx)の情報とY方向分割数(DIVy)の情報とから構成され、元の表がX方向に何分割され、Y方向に何分割されたかを示す情報である。
【0053】
例えば、X方向分割数(DIVx)が4、Y方向分割数(DIVy)が3である場合を図8を参照して説明する。この場合、印刷方向が上から下であれば、図8(A)に示すように、あるn頁の右方向の接続性を判定する必要がある頁はn+DIVyであり、下方向の接続性を判定する必要がある頁はn+1となる。なお、n+DIVy、n+1のいずれも総頁数P(ここでは12)を越えないことが条件となる。例えば、8頁の表の右方向の接続性を判定する必要がある頁は11(=8+3)頁目の表であり、下方向の接続性を判定する必要がある頁は9(=8+1)頁目の表であることが分かる。
【0054】
また、印刷方向が左から右下であれば、図8(B)に示すように、あるn頁の右方向の接続性を判定する必要がある頁はn+1であり、下方向の接続性を判定する必要がある頁はn+DIVxとなる。ここでも、n+1、n+DIVxのいずれも総頁数P(ここでは12)を越えないことが条件となる。例えば、7頁の表の右方向の接続性を判定する必要がある頁は8(=7+1)頁目の表であり、下方向の接続性を判定する必要がある頁は11(=7+4)頁目の表であることが分かる。
【0055】
表データ復元部44は、表接続性判定部45により判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定する。そして、表データ復元部44は、決定した接続順序に基づいて、各表どうしを接続して分割前の1つの表データを復元する。
【0056】
例えば、1頁目の原稿から抽出された表と2頁目の原稿から抽出された表との左右方向の接続可能性と上下方向の接続可能性が図9(A)に示すように、それぞれ、11%と92%であった場合、表データ復元部44は、1頁目の表の下に2頁目の表が接続されるような接続順序を決定する。
【0057】
そして、2頁目の原稿から抽出された表と3頁目の原稿から抽出された表との上下方向の接続可能性が92%であり、1頁目の原稿から抽出された表と3頁目の原稿から抽出された表との左右方向の接続可能性が8%の場合、表データ復元部44は、2頁目の表の下に3頁目の表が接続されるような接続順序を決定する。
【0058】
そして、3頁目の原稿から抽出された表と4頁目の原稿から抽出された表との上下方向の接続可能性が8%であり、1頁目の原稿から抽出された表と4頁目の原稿から抽出された表との左右方向の接続可能性が96%の場合、表データ復元部44は、1頁目の表の右に4頁目の表が接続されるような接続順序を決定する。表データ復元部44は、このようにして順次各頁の表の接続順序を決定していく。
【0059】
表示部47は、ユーザインタフェース部15を介して、接続後の表全体における各表の接続位置を示す情報を表示する。例えば、表示部47は、図10に示すような表示をユーザに対して行う。
【0060】
そして、表データ復元部44は、表示された接続位置で各表どうしの接続を許可する旨の入力がされた場合に、各表どうしを接続して分割前の1つの表データとして復元するようにしてもよい。
【0061】
フォーマット変換部48は、表データ復元部44により復元された表データを、エクセル(登録商標)等の一般的なフォーマットの表データに変換し、ネットワークインタフェース部14を介して送信先として指定されたサーバ装置や端末装置に送信する。
【0062】
次に、本実施形態の画像処理装置30により複数頁の原稿から表データを読み込んで1つの表データを再生する際の動作を図面を参照して詳細に説明する。
【0063】
図11は、本実施形態の画像処理装置30により複数頁からなる原稿を読み取る際の動作を説明するためのフローチャートである。
【0064】
先ず、1つの表が複数頁に分割されて印刷された原稿画像がスキャナ16により読み取られ画像データ蓄積部41に蓄積される(ステップS101)。すると、頁数Pが1カウントアップされ(ステップS102)、表領域抽出部42により、この画像データから表領域が抽出され(ステップS103)、表構造データ生成部43により表構造の解析が行われる(ステップS104)。
【0065】
そして、まだ読み取るべき原稿が存在する場合(ステップS105においてYes)、ステップS101〜S104の処理が繰り返され、全ての頁分の表画像の読み込みが行われる。
【0066】
図12は、本実施形態の画像処理装置30により読み込まれた複数頁の表を1つの表データとして復元する際の動作を説明するためのフローチャートである。
【0067】
複数頁からなる原稿が読み取られ、各頁から表構造データが取得されると、先ず初期値としてXに1が設定され(ステップS201)、表接続可能性判定部45は、X頁の表構造データを取り出す(ステップS202)。つまり、ここでは1頁目の表の表構造データが取り出される。
そして、比較対象頁を示すYの値としてX+1が設定される(ステップS203)。つまり、ここではYの初期値として2が設定される。すると、表接続可能性判定部45は、Y頁の表構造データ、つまり2頁目の表構造データを取り出す(ステップS204)。
すると、表接続可能性判定部45は、取り出したX頁目の表とY頁目の表、つまり1頁目の表と2頁目の表との接続可能性を判定する(ステップS205)。ここで、表接続可能性判定部45は、1頁目の表と2頁目の表との左右上下の4方向についての接続可能性を判定してもよいし、印刷順序で読み込みが行われているのであれば、1頁目の右方向と下方向についての接続可能性の判定のみを行うようにしてもよい。
【0068】
そして、表接続可能性判定部45は、X頁、つまり1頁目の表についての接続情報を更新し(ステップS206)、Yの値を1増加させる(ステップS207)。そして、表接続可能性判定部45は、Yの値が総頁数Pとなっていなければ(ステップS208においてNo)、ステップS204〜S207の処理を繰り返す。つまり、1頁目の表と、3〜P頁の表との接続可能性の判定を順次判定する。
【0069】
そして、表接続可能性判定部45は、Yの値がPと一致すると(ステップS208においてYes)、Xを1増加させ(ステップS209)、Xの値が総頁数Pとなっていなければ(ステップS210においてNo)、ステップS201〜S208の処理を繰り返す。つまり、2頁目の表と3〜P頁の表との接続可能性の判定、3頁目の表と4〜P頁の表との接続可能性の判定、・・・、P−1頁の表とP頁の表との接続可能性の判定を順次判定する。
【0070】
そして、Xの値がPと一致し(ステップS210においてYes)、全ての頁に対する接続可能性の判定が終了すると、表データ復元部44は、表接続可能性判定部45により判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、各表どうしをどのような構造で接続するかを特定する接続順序を決定する(ステップS211)。そして、表データ復元部44は、決定した接続順序に基づいて、各表どうしを接続して分割される前の元の1つの表を復元する(ステップS212)。
【0071】
なお、この図12にフローチャートにおいて示した接続順序の決定処理では、各表どうしての接続可能性を全ての組み合わせについて判定しているが、総頁数、表分割数X/Y、印刷順序等に基づいて接続可能性を判定する表どうしの組み合わせを限定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 ネットワークインタフェース部
15 ユーザインタフェース部
16 スキャナ
17 画像出力部
18 制御バス
30 画像処理装置
31 制御部
41 画像データ蓄積部
42 表領域抽出部
43 表構造データ生成部
44 表データ復元部
45 表接続性判定部
46 入力部
47 表示部
48 フォーマット変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取装置により読み取られた複数頁からなる画像データの各頁から表領域の画像をそれぞれ抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された各表領域の画像からその表の表構造データをそれぞれ生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された各頁の表の表構造データに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、前記各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された接続順序に基づいて、前記各表どうしを接続して分割前の1つの表データを復元する復元手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、各表の高さまたは幅、各表を構成するセルの行数または列数、各セルの高さまたは幅、各セルの属性、各表を構成する罫線の太さまたは線種の情報のうちの少なくとも1つまたは2つ以上の情報の組み合わせに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記抽出手段により抽出された表の数に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
分割前の元の表が行方向および列方向に対してどのように分割されたかを示す表分割数を入力する入力手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記入力手段により入力された表分割数の情報に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項5】
分割前の元の表が分割して印刷された際の印刷順序の情報を入力する入力手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記入力手段により入力された印刷順序の情報に基づいて接続可能性を判定する表の組み合わせを決定する請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項6】
接続後の表全体における各表の接続位置を示す情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記復元手段は、表示された接続位置で各表どうしの接続を許可する旨の入力がされた場合に、前記各表どうしを接続して分割前の1つの表データとして復元する請求項1から5のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿読取装置により読み取られた複数頁からなる画像データの各頁から表領域の画像をそれぞれ抽出するステップと、
抽出された各表領域の画像からその表の表構造データをそれぞれ生成するステップと、
生成された各頁の表の表構造データに基づいて、各表どうしの接続可能性を判定するステップと、
判定された各表どうしの接続可能性に基づいて、前記各表を接続して元の表を復元するための接続順序を決定するステップと、
決定された接続順序に基づいて、前記各表どうしを接続して分割前の1つの表データを復元するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−20477(P2013−20477A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153710(P2011−153710)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】