説明

画像処理装置および原稿の画像処理方法

【課題】原稿の読み取りのための機構をプリンタの上に重ねた状態で操作時における装置全体の高さをより軽減できる画像処理装置を得ること。
【解決手段】画像処理装置10は、記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜したその斜面を有するプリンタ本体11と、この斜面の下端部側に配置された原稿自動給紙手段12と、原稿自動給紙手段12と接続するように前記した斜面に配置された原稿読取ユニット13からなる。原稿読取ユニット13は前記した斜面の上端部側で記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸とした開閉自在の原稿押さえ手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を読み取ってその処理を行う画像処理装置および原稿の画像処理方法に係わり、特に印字機能を備えたプリンタの上に原稿読取ユニットを配置するようにした画像処理装置および原稿の画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置は画像情報あるいは印字情報(以下、単に画像情報という。)をプリントする装置である。プリンタ装置には、各種のプリント方式の装置が存在する。代表的なものは、レーザビームを露光に使用するレーザプリンタである。用紙にインクを選択的に吹き付けて記録を行うインクジェットプリンタや、感熱紙に画像情報に対応した熱を印加して記録を行うサーマルプリンタも広く使用されている。
【0003】
プリンタ装置に原稿を読み取る読取装置を加え、読み取った画像情報をプリントするようにした装置が複写機である。また、画像情報を走査した信号を相手側の装置から受信してプリンタ装置でこれをプリントすると共に、読取装置で読み取った画像情報を相手先に送信するようにした装置がファクシミリ装置である。
【0004】
このようにプリンタ装置に他の装置を接続すると、それだけ装置全体の機能が増大する。ところが、比較的狭いオフィスや家庭では、プリンタ装置と他の装置をフロアに別々に並べて設置すると、大きな面積を占有することになり、設置そのものが不可能となる場合も多い。
【0005】
そこで、プリンタ装置をフロア上に配置する一方で、原稿の読み取りを行う読取装置をこのプリンタ装置の上に重ねる形で配置することが、本発明の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この本発明の関連技術では、プリンタ装置と読取装置とを上下に重ね合わせて、複写機という1つの画像処理装置を構成する。この結果、フロア面積ではプリンタ装置を配置するスペースが存在すれば良い。
【0006】
図7は、本発明の関連技術の一例としての画像処理装置の構成例を示したものである。この画像処理装置100は、プリンタユニット101の上に、原稿読取ユニット102を載置した構造となっている。この図で原稿読取ユニット102は、そのフラットベッドスキャナ111上に配置されたプラテンガラス112を上方から押さえ付けるための原稿押さえ部113が、ヒンジ機構(回転支点)114によって所定角度だけ開いた状態となっている。プリンタユニット101内には、図示しない給紙カセットが収容されており、ここから用紙が自動的に図示しない記録部に供給されて、図示しない原稿の画像が記録される。記録後の用紙は排紙トレイ121上に排出される。すなわち、本発明の関連技術で、ヒンジ機構114の配置方向は記録後の用紙の通紙方向と平行になっている。
【0007】
図8は、画像処理装置を構成する原稿読取ユニットの部分のみを抜き出してその外観を表わしたものである。原稿読取ユニット102は、フラットベッドスキャナ111と、その上に開閉自在に配置される原稿押さえ部113とで構成されている。原稿押さえ部113上には、読取の対象となる図示しない原稿をプラテンガラス112(図7参照)に1枚ずつ送り込むための原稿トレイ131と、読取時の各種設定を行う操作パネル132が配置されている。原稿トレイ131にセットされた原稿は、操作パネル132をその表面の一部に配置した原稿自動給紙部133に1枚ずつ取り込まれ、図7に示したプラテンガラス112上に送り込まれて、画像の読み取りが行われる。
【0008】
図9は、図7と同様に原稿読取ユニットの原稿押さえ部を所定角度だけ開いた状態を示したものである。この図でフラットベッドスキャナ111と原稿押さえ部113のそれぞれの対向面が交差する箇所にはヒンジ機構114が配置されている。このヒンジ機構114によって、原稿押さえ部113はフラットベッドスキャナ111に対して、所定角度範囲内で矢印115で示すように自在に開閉できるようになっている。これは、ブック物等の厚い原稿をプラテンガラス112上に直接セットする必要がある場合に対処できるようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−352449号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上説明した図7〜図9に示した画像処理装置100では、プリンタユニット101の上に、原稿読取ユニット102を載置した構造となっている。このため、画像処理装置100全体がフロアに占める占有面積を小さくすることができる。この結果、フロアのスペースが狭い場合でも、画像処理装置100を設置することが容易になるという利点が生じる。
【0011】
しかしながら、図7〜図9に示した画像処理装置100では、水平方向の占有面積を減少させた分だけ垂直方向の占有面積を増加させている。しかも原稿読取ユニット102は、原稿をプラテンガラス112上に直接セットしたりする所定の場合に原稿押さえ部113を開く操作を必要とする。このため、図7〜図9に示した画像処理装置100を高さ方向に余裕がない場所に設置すると、原稿押さえ部113を開く操作を行い辛くなるという問題があった。
【0012】
そこで本発明の目的は、原稿の読み取りのための機構をプリンタの上に重ねた状態で操作時における装置全体の高さをより軽減できる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、(イ)記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、(ロ)前記した筐体における前記した斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する原稿自動給紙手段と、(ハ)前記した斜面における上端部側と前記した原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記した斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、この板材と前記した斜面の間に配置されて前記した板材上に載置された原稿を読み取る第1のモードで1次元イメージセンサを前記した板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る一方、前記した原稿自動給紙手段によって搬送される前記したシート状の原稿を読み取る第2のモードで前記した原稿自動給紙手段に近い位置に前記した1次元イメージセンサを静止させて副走査方向に搬送される前記したシート状の原稿の画像情報を読み取る読取手段と、前記した上端部側で前記した記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸として前記した板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニットとを画像処理装置が具備する。
【0014】
また、本発明では、(イ)記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、このプリンタ本体の前記した斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する原稿自動給紙手段と、前記した斜面における上端部側と前記した原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記した斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、前記した上端部側で前記した記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸としてこの板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニットを備えた画像処理装置に対して、前記した原稿読取ユニットを使用して前記した透光性の板材上に載置された原稿の画像情報を読み取る第1のモードを選択するか、前記した原稿自動給紙手段を使用してシート状の原稿の画像情報を読み取る第2のモードを選択するかを選択する原稿読取指示選択ステップと、(ロ)この原稿読取指示選択ステップで第1のモードが選択されたとき、前記した板材上に原稿を載置した後に原稿押さえ手段でこれを押さえ付けて1次元イメージセンサを前記した板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る第1の画像情報読取ステップと、(ハ)前記した原稿読取指示選択ステップで第2のモードが選択されたとき、前記した1次元イメージセンサを前記した原稿自動給紙手段の近傍に停止させ、この状態で前記した原稿自動給紙手段で原稿を副走査方向に移動させて原稿の画像情報を取得する第2の画像情報取得ステップと、(ニ)これら第1あるいは第2の画像情報取得ステップで取得した画像情報を前記したプリンタ本体内に送って印字を行う印字ステップとを原稿の画像処理方法が具備する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備えたプリンタ本体のこの斜面を利用して原稿読取ユニットを配置することにした。これにより、原稿自動給紙手段を構成する部品を原稿読取ユニットよりも下側に配置することで、原稿自動給紙手段の高さに対する制限を緩和することができ、製品製造の自由度を確保することができる。
【0016】
また、本発明によれば前記した斜面における上端部側を回転中心とする開閉自在の原稿押さえ手段を配置し、しかも原稿押さえ手段は原稿自動給紙手段と物理的に分離されている。したがって、軽い力で原稿押さえ手段を開くことができ、かつこの場合に原稿自動給紙手段を構成する部品が出っ張らない。したがって、画像処理装置の操作に必要とする幅方向の設置面積を狭めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像処理装置についてのクレーム対応図である。
【図2】本発明の原稿の画像処理方法についてのクレーム対応図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像処理装置を表わした斜視図である。
【図4】本実施の形態の画像処理装置におけるプリンタユニットに対する原稿読取ユニットの配置関係を示した要部断面図である。
【図5】本実施の形態の画像処理装置における原稿および記録紙の排出される様子を示した説明図である。
【図6】本実施の形態における画像処理装置の高さ方向における必要な作業空間を本発明の関連技術と比較した説明図である。
【図7】本発明の関連技術の一例としての画像処理装置の構成例を示した斜視図である。
【図8】画像処理装置を構成する原稿読取ユニットの部分のみを抜き出してその外観を表わした斜視図である。
【図9】図7と同様に原稿読取ユニットの原稿押さえ部を所定角度だけ開いた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の画像処理装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の画像処理装置10は、プリンタ本体11と、原稿自動給紙手段12と、原稿読取ユニット13とを備えている。ここで、プリンタ本体11は、記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行う。原稿自動給紙手段12は、前記した筐体における前記した斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する。原稿読取ユニット13は、原稿読み取り用の透光性の板材13aと、前記したシート状の原稿の画像情報を読み取る読取手段13bと、前記した上端部側で前記した記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸として板材13aを上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段13cを備えている。原稿読み取り用の透光性の板材13aは、前記した斜面における上端部側と原稿自動給紙手段12の手前の位置を結ぶように前記した斜面と平行に配置されている。読取手段13bは、板材13aと前記した斜面の間に配置されて板材13a上に載置された原稿を読み取る第1のモードで1次元イメージセンサを前記した板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る一方、原稿自動給紙手段12によって搬送される前記したシート状の原稿を読み取る第2のモードで原稿自動給紙手段12に近い位置に前記した1次元イメージセンサを静止させて副走査方向に搬送される前記したシート状の原稿の画像情報を読み取る。原稿押さえ手段13cは、前記した上端部側を回転中心として板材13aを上方から押さえ付ける開閉自在の手段である。
【0019】
図2は、本発明の原稿の画像処理方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の原稿の画像処理方法20は、原稿読取指示選択ステップ21と、第1の画像情報読取ステップ22と、第2の画像情報取得ステップ23と、印字ステップ24とを備えている。ここで、原稿読取指示選択ステップ21では、画像処理装置に対して、原稿読取ユニットを使用して透光性の板材上に載置された原稿の画像情報を読み取る第1のモードを選択するか、原稿自動給紙手段を使用してシート状の原稿の画像情報を読み取る第2のモードを選択するかを選択する。ここで前記した画像処理装置は、記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、前記した画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、このプリンタ本体の前記した斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する前記した原稿自動給紙手段と、前記した斜面における上端部側と前記した原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記した斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、前記した上端部側で前記した記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸としてこの板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニットを備えている。第1の画像情報読取ステップ22では、原稿読取指示選択ステップ21で第1のモードが選択されたとき、前記した板材上に前記した原稿を載置した後に前記した原稿押さえ手段でこれを押さえ付けて1次元イメージセンサを前記した板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る。第2の画像情報取得ステップ23では、原稿読取指示選択ステップ21で第2のモードが選択されたとき、前記した1次元イメージセンサを前記した原稿自動給紙手段の近傍に停止させ、この状態で前記した原稿自動給紙手段で前記した原稿を副走査方向に移動させて前記した原稿の画像情報を取得する。印字ステップ24では、第1あるいは第2の画像情報取得ステップ22、23で取得した画像情報を前記したプリンタ本体内に送って印字を行う。
【0020】
<発明の実施の形態>
【0021】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態による画像処理装置を表わしたものである。この画像処理装置200は、プリンタユニット201の上に、原稿読取ユニット202を載置した構造となっている。この図で原稿読取ユニット202は、そのフラットベッドスキャナ211上に配置されたプラテンガラス212を上方から押さえ付けるための原稿押さえ部213が、ヒンジ機構(開閉支点)214によってプラテンガラス212に対して所定角度だけ開いた状態となっている。プリンタユニット201内には、図示しない給紙カセットが収容されており、ここから用紙が自動的に図示しない記録部に供給されて記録される。記録後の用紙は排紙トレイ221上に排出される。すなわち、本実施の形態で、ヒンジ機構214の配置方向は記録後の用紙の通紙方向と直角になっている。また、ヒンジ機構214はフラットベッドスキャナ211の最も後端側(排紙トレイ221から最も遠い位置)となっている。
【0023】
プリンタユニット201は、その装置本体を正面から見たときに排紙トレイ221よりも右側に位置する右側壁部222が、排紙トレイ221よりも左側に位置する左側壁部223よりも一段と高くなっている。右側壁部222の上面は、手前の傾斜部222Aを除いて水平面222Bを構成して入る。傾斜部222Aには、プリンタユニット201の各種操作のためのプリンタ操作パネル224が配置されている。
【0024】
また、プリンタユニット201の前面には、右側壁部222に対して一端を隣接させて、楕円形の左上部の断面形状をしたの原稿自動給紙部225が配置されている。原稿自動給紙部225の図で右側上面には、読取時操作パネル226が配置されており、原稿読取ユニット202の操作を行えるようになっている。読取時操作パネル226はプリンタ操作パネル224と隣接しているため、ユーザがこれらを統一的に操作可能である。
【0025】
原稿押さえ部213の上部に配置された一対のガイド板217、218は、シート状の原稿を原稿自動給紙部225に送り込む際の位置を規制するためのものである。原稿押さえ部213が閉じたとき、一対のガイド板217、218の配置されたその先端部は原稿自動給紙部225の図示しない原稿搬入用の開口部と対向するようになっている。
【0026】
図4は、本実施の形態の画像処理装置におけるプリンタユニットに対する原稿読取ユニットの配置関係を示したものである。ここでは、両者の配置関係を明確化するために、プリンタユニット201に関しては、その切断箇所を単純にハッチングで示すことにする。この図4では図3に示した画像処理装置200を、排紙トレイ221から排出される図示しない用紙の幅方向を2等分したセンタ位置に沿って切断した断面で表わしている。
【0027】
図4で示すように、原稿読取ユニット202は、図3に示した右側壁部222を除いた部位としての前方に傾斜した上部傾斜パネル231にその底部を接して、図示しない固定具によってプリンタユニット201上に固定されている。プリンタユニット201側に取り付けられた原稿自動給紙部225の内部には、図示しない原稿を搬送しながら読み取って、前方(図で排紙トレイ221の方向)に排出するための搬送機構233が配置されている。
【0028】
原稿読取ユニット202のフラットベッドスキャナ211内には、図示しない平面走査型の1次元イメージセンサが配置されている。この1次元イメージセンサは、プラテンガラス212上にブック物等の原稿をセットしたとき、副走査方向に移動して原稿の平面走査を行うようになっている。また、これ以外の場合には1次元イメージセンサを原稿自動給紙部225に近い走査のスタートポジションに静止させている。したがって、シート状の原稿を一対のガイド板217、218(図3参照)にセットしてこれを搬送機構233を使用して副走査方向に移動させるときには、スタートポジションに静止した1次元イメージセンサがこの画像を読み取ることになる。
【0029】
図5は、本実施の形態の画像処理装置における原稿および記録紙の排出される様子を示したものである。たとえば画像処理装置200でシート状の原稿のコピーをとるものとする。この場合には、原稿押さえ部213の一対のガイド板217、218の上にコピーしようとする面を上にして原稿(図示せず)をセットする。この状態でユーザは原稿自動給紙部225を使用して画像情報を読み取るモードを選択して、読取時操作パネル226上の所定のコピーボタンを押す。すると、その原稿は矢印241方向に搬送を開始されて原稿自動給紙部225の内部を通過する。このとき、前記したようにして原稿の画像の読み取りが行われる。原稿自動給紙部225を通過した原稿は矢印242方向に進行して、排紙トレイ221上に排出される。
【0030】
原稿の読み取りによって得られた画像情報は、図示しないケーブルを介して原稿読取ユニット202からプリンタユニット201に送られて、印字動作が開始する。プリンタユニット201は、その内部にたとえば静電記録方式の感光体ドラム(図示せず)を配置している。この感光体ドラムに画像情報に対応した静電潜像が形成され、トナーによって現像されてトナー像が形成される。このトナー像は記録紙(普通紙)に転写され、定着された後、破線で示す矢印243方向に進行して排紙トレイ221上に排出される。プリンタユニット201が他の記録方式を採用することはもちろん可能である。
【0031】
一方、原稿が以上のようなシート物ではなく、厚さのある本等のブック物であったとする。この場合、ユーザは原稿を原稿自動給紙部225を使用して読み取ることができない。そこでこの場合、ユーザはフラットベッドスキャナ211を平面走査するモードを選択する。そして、原稿読取ユニット202の原稿押さえ部213を手で直接持ち上げて、図3に示したようにプラテンガラス212上に所定の空間を形成させる。そして、コピーの対象となるブック物をプラテンガラス212上のこの空間に配置させて読取時操作パネル226を使用してコピー操作の開始を指示することになる。シート物であっても、プラテンガラス212上で位置決めを行う必要のある原稿や、破損しやすい原稿は、プラテンガラス212上に直接セットして画像の読み取りを行う。
【0032】
このようにプラテンガラス212を使用して平面走査を行う場合にも、原稿の読み取りによって得られた画像情報は、図示しないケーブルを介して原稿読取ユニット202からプリンタユニット201の内部に送られて、印字動作が開始する。プリンタユニット201は、その内部にたとえば静電記録方式の感光体ドラム(図示せず)を配置している。この感光体ドラムに画像情報に対応した静電潜像が形成され、トナーによって現像されてトナー像が形成される。形成されたトナー像は記録紙(普通紙)に転写され、定着された後、破線で示す矢印243方向に進行して排紙トレイ221上に排出される。
【0033】
図6は、本実施の形態における画像処理装置の高さ方向における必要な作業空間を本発明の関連技術と比較したものである。同図(A)は、本実施の形態の画像処理装置200を示したものであり、原稿押さえ部213を閉じたときの高さはh1である。また、原稿押さえ部213をブック物の画像読み取りのために所定角度だけ開いたときの画像処理装置200の全体の高さは、h2である。
【0034】
これに対して、同図(B)は図7に示した本発明の関連技術の画像処理装置100おける必要な作業空間の高さを示したものである。原稿押さえ部113を閉じたときの高さはh1であり、この点は画像処理装置200の場合と同一である。しかしながら、画像処理装置100の場合には、原稿押さえ部113がブック物の画像読み取りのために同一の角度だけ開くとすると、装置全体の高さはh2よりも更にh3だけ高くなる。すなわち、本実施の形態では原稿押さえ部213のヒンジ機構214の配置方向が、原稿押さえ部113のヒンジ機構114の配置方向と90度異なることで、作業空間を高さh3だけ低減させることが可能になっている。
【0035】
このように本実施の形態の画像処理装置200では、まず第1の特徴として、図4に示すようにプリンタユニット201の上に、原稿読取ユニット202を載置する構造を採るときに、原稿押さえ部213を前傾姿勢でその先端側が低い位置になるように傾斜して配置した。これにより、原稿押さえ部213の先端と対向してプリンタユニット201の上部に配置した原稿自動給紙部225はヒンジ機構214の配置位置よりも低い位置となり、原稿自動給紙部225の高さ自体が画像処理装置200の全体の高さに影響を与えない(高さ方向の配置空間を圧迫しない)構造となっている。
【0036】
次に本実施の形態の画像処理装置200の第2の特徴として、ヒンジ機構214の回転軸が図4における原稿押さえ部213の全体的な配置方向としての斜辺の上端となる位置で、紙面と垂直方向に配置されるようにした。これにより、原稿押さえ部213をプラテンガラス212(図3参照)に対して開いていっても、その他の場所にヒンジ機構214の回転軸を配置する場合と比較して、画像処理装置200の全体の高さの増加率を最小とすることができる。
【0037】
ここで、本実施の形態と本発明の関連技術でヒンジ機構214、114の配置方向が90度異なっている点について、説明を補足する。本発明の関連技術でもそのヒンジ機構114を図3に示すヒンジ機構214と同一位置に配置できれば、本実施の形態と同様に画像処理装置100おける必要な作業空間の高さを低減させることが可能である。しかしながら、これは事実上困難である。なぜなら、本発明の関連技術における原稿押さえ部113は、比較的重量のある原稿自動給紙部133を排紙トレイ121に近い端部側に一体的に保持している。このため、ヒンジ機構114を本実施の形態のヒンジ機構214と同一位置に配置すると、原稿押さえ部113の強度を十分高める設計を行う必要があり、原稿読取ユニット102の厚さが現在よりも厚くなり、本実施の形態と同様の作業空間の高さを確保することができない。したがって、本発明の関連技術の場合には、原稿押さえ部113の長手方向、すなわち原稿の排出方向に平行にヒンジ機構114を配置することが現実的な解決策となるからである。
【0038】
本実施の形態では、原稿押さえ部213を原稿読取ユニット202から分離して、プリンタユニット201の上に固定することでこの問題を解決している。
【0039】
以上説明したように本実施の形態によれば、プリンタユニット201の上部に原稿読取ユニット202を配置しながら、原稿読取ユニット202として平面走査型の装置を採用することができる。しかも、この場合においても高さ方向に制限がある空間であっても、従来よりも厚手の原稿を使用した原稿の読み取りが可能である。
【0040】
また、本実施の形態ではプリンタ操作パネル224と読取時操作パネル226がそれぞれ独立しかつ隣接しているので、ユーザはこれら2種類の操作パネルを使い分けると共に、コピー等の連携作業を行う場合にも操作がし易いという効果がある。また、原稿自動給紙部225からシート状の原稿が下向きに排出されるので、プリンタユニット201の記録済みの用紙を収容する排紙トレイ221を原稿の排出にも共用することができるという効果もある。
【0041】
なお、実施の形態では原稿読取ユニット202の後端をプリンタユニット201の後部から突出させたが、これに限るものではない。たとえばプリンタユニット201の最上部から原稿押さえ部213をわずかに突出させて、原稿読取ユニット202自体は水平に配置するものであってもよい。
【0042】
また、実施の形態ではプリンタユニット201と原稿読取ユニット202が組み合わされた例を示したが、同様の構成をファクシミリ送信装置あるいはファクシミリ送受信装置として実現してもよいことは当然である。この場合、プリンタユニット201は、原稿読取ユニット202の読み取った画像情報を図示しない回線を介して外部に送出する画像情報送出手段と、外部から回線を介して画像情報を受信する画像情報受信手段を具備することになる。
【0043】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0044】
(付記1)
記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、
前記筐体における前記斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する原稿自動給紙手段と、
前記斜面における上端部側と前記原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、この板材と前記斜面の間に配置されて前記板材上に載置された原稿を読み取る第1のモードで1次元イメージセンサを前記板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る一方、前記原稿自動給紙手段によって搬送される前記シート状の原稿を読み取る第2のモードで前記原稿自動給紙手段に近い位置に前記1次元イメージセンサを静止させて副走査方向に搬送される前記シート状の原稿の画像情報を読み取る読取手段と、前記上端部側を回転中心として前記板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニット
とを具備することを特徴とする画像処理装置。
【0045】
(付記2)
前記原稿自動給紙手段に原稿の読み取りのために配置されている読取時操作パネルは、前記プリンタ本体の操作を行うためのプリンタ操作パネルと近接して配置されることを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
【0046】
(付記3)
前記プリンタ本体における前記記録紙の排出方向と前記原稿自動給紙手段における原稿の排出方向が、プリンタ本体の設置される平面に投影した際に互いに一致する方向であることを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
【0047】
(付記4)
前記原稿自動給紙手段から排出される原稿の落下位置に前記プリンタ本体の排出トレイが配置されていることを特徴とする付記3記載の画像処理装置。
【0048】
(付記5)
前記原稿押さえ手段の上面には、この原稿押さえ手段が前記板材上の原稿を覆う状態で前記原稿自動給紙手段に原稿の進入方向を案内するガイド部材が配置されていることを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
【0049】
(付記6)
前記プリンタ本体は、前記原稿読取ユニットの読み取った画像情報を外部に送出する画像情報送出手段と、外部から画像情報を受信する画像情報受信手段を具備することを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
【0050】
(付記7)
記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、このプリンタ本体の前記斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する原稿自動給紙手段と、前記斜面における上端部側と前記原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、前記上端部側を回転中心としてこの板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニットを備えた画像処理装置に対して、前記原稿読取ユニットを使用して前記透光性の板材上に載置された原稿の画像情報を読み取る第1のモードを選択するか、前記原稿自動給紙手段を使用してシート状の原稿の画像情報を読み取る第2のモードを選択するかを選択する原稿読取指示選択ステップと、
この原稿読取指示選択ステップで第1のモードが選択されたとき、前記板材上に原稿を載置した後に原稿押さえ手段でこれを押さえ付けて1次元イメージセンサを前記板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る第1の画像情報読取ステップと、
前記原稿読取指示選択ステップで第2のモードが選択されたとき、前記1次元イメージセンサを前記原稿自動給紙手段の近傍に停止させ、この状態で前記原稿自動給紙手段で原稿を副走査方向に移動させて原稿の画像情報を取得する第2の画像情報取得ステップと、
これら第1あるいは第2の画像情報取得ステップで取得した画像情報を前記プリンタ本体内に送って印字を行う印字ステップ
とを具備することを特徴とする原稿の画像処理方法。
【符号の説明】
【0051】
10、200 画像処理装置
11 プリンタ本体
12 原稿自動給紙手段
13 原稿読取ユニット
13a (原稿読み取り用の透光性の)板材
13b 読取手段
13c 原稿押さえ手段
20 原稿の画像処理方法
21 原稿読取指示選択ステップ
22 第1の画像情報読取ステップ
23 第2の画像情報取得ステップ
24 印字ステップ
201 プリンタユニット
202 原稿読取ユニット
211 フラットベッドスキャナ
212 プラテンガラス
213 原稿押さえ部
214 ヒンジ機構
217、218 ガイド板
221 排紙トレイ
224 プリンタ操作パネル
225 原稿自動給紙部
226 読取時操作パネル
233 搬送機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、
前記筐体における前記斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する原稿自動給紙手段と、
前記斜面における上端部側と前記原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、この板材と前記斜面の間に配置されて前記板材上に載置された原稿を読み取る第1のモードで1次元イメージセンサを前記板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る一方、前記原稿自動給紙手段によって搬送される前記シート状の原稿を読み取る第2のモードで前記原稿自動給紙手段に近い位置に前記1次元イメージセンサを静止させて副走査方向に搬送される前記シート状の原稿の画像情報を読み取る読取手段と、前記上端部側で前記記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸として前記板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニット
とを具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記原稿自動給紙手段に原稿の読み取りのために配置されている読取時操作パネルは、前記プリンタ本体の操作を行うためのプリンタ操作パネルと近接して配置されることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プリンタ本体における前記記録紙の排出方向と前記原稿自動給紙手段における原稿の排出方向が、プリンタ本体の設置される平面に投影した際に互いに一致する方向であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原稿自動給紙手段から排出される原稿の落下位置に前記プリンタ本体の排出トレイが配置されていることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記原稿押さえ手段の上面には、この原稿押さえ手段が前記板材上の原稿を覆う状態で前記原稿自動給紙手段に原稿の進入方向を案内するガイド部材が配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プリンタ本体は、前記原稿読取ユニットの読み取った画像情報を外部に送出する画像情報送出手段と、外部から画像情報を受信する画像情報受信手段を具備することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
記録紙の排出方向に沿って少なくともその記録紙の幅で下方に傾斜した斜面を筐体の上部に備え、画像情報を入力して記録紙に印字を行うプリンタ本体と、このプリンタ本体の前記斜面の下端部側に配置され、シート状の原稿を取り込んでこれをその原稿の副走査方向に搬送しながら排出する原稿自動給紙手段と、前記斜面における上端部側と前記原稿自動給紙手段の手前の位置を結ぶように前記斜面と平行に配置された原稿読み取り用の透光性の板材と、前記上端部側で前記記録紙の排出方向と直交する方向を回転軸としてこの板材を上方から押さえ付ける開閉自在の原稿押さえ手段とを備えた原稿読取ユニットを備えた画像処理装置に対して、前記原稿読取ユニットを使用して前記透光性の板材上に載置された原稿の画像情報を読み取る第1のモードを選択するか、前記原稿自動給紙手段を使用してシート状の原稿の画像情報を読み取る第2のモードを選択するかを選択する原稿読取指示選択ステップと、
この原稿読取指示選択ステップで第1のモードが選択されたとき、前記板材上に原稿を載置した後に原稿押さえ手段でこれを押さえ付けて1次元イメージセンサを前記板材の下方から平面走査してその原稿の画像情報を読み取る第1の画像情報読取ステップと、
前記原稿読取指示選択ステップで第2のモードが選択されたとき、前記1次元イメージセンサを前記原稿自動給紙手段の近傍に停止させ、この状態で前記原稿自動給紙手段で原稿を副走査方向に移動させて原稿の画像情報を取得する第2の画像情報取得ステップと、
これら第1あるいは第2の画像情報取得ステップで取得した画像情報を前記プリンタ本体内に送って印字を行う印字ステップ
とを具備することを特徴とする原稿の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−44440(P2012−44440A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183878(P2010−183878)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】