説明

画像処理装置および画像処理方法、学習装置および学習方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】ベイヤ配列の画像からノイズが低減された輝度色差空間の画像を高精度に生成することできるようにする。
【解決手段】予測信号処理部は、輝度成分用の予測係数と輝度予測タップとの演算により、注目画素の輝度成分の画素値を求める。予測信号処理部は、輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、色差予測タップとの演算により、注目画素の色差成分の画素値を求める。本技術は、例えば、画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置および画像処理方法、学習装置および学習方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、ベイヤ配列の画像からノイズが低減された輝度色差空間の画像を高精度に生成することできるようにした画像処理装置および画像処理方法、学習装置および学習方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型化のため、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を1つだけ備える撮影装置がある。このような撮影装置では、一般的に、撮像素子の各画素に異なるカラーフィルタが施され、画素ごとに、RGB等の複数の色のうちのいずれか1つの色の信号が取得される。これにより、撮像素子で取得される画像は、例えば、図1に示すようなカラー配列の画像となる。以下では、図1のカラー配列をベイヤ配列という。
【0003】
撮像素子により取得されたベイヤ配列の画像は、通常、デモザイク処理と呼ばれる補間処理により、画素ごとにRGB等の複数の色の成分の画素値を有するカラー画像に変換される。このデモザイク処理として、クラス分類適応処理を用いることにより、カラー画像のノイズを低減させることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
クラス分類適応処理とは、処理後の画像の注目している画素である注目画素を所定のクラスに分類し、そのクラスに対応する学習により求められた予測係数と、注目画素に対応する処理前の画像の画素値との線形結合により注目画素の画素値を予測する処理である。
【0005】
図2は、デモザイク処理としてクラス分類適応処理を行う画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0006】
図2の画像処理装置10は、撮像素子11と予測信号処理部12により構成される。
【0007】
画像処理装置10の撮像素子11は、各画素に異なるカラーフィルタが施されている。撮像素子11は、被写体からの光のR成分、G成分、およびB成分のうちのいずれか1つの成分のアナログ信号を画素ごとに取得し、A/D変換等を行うことにより、ベイヤ配列の画像を生成する。撮像素子11は、生成されたベイヤ配列の画像を予測信号処理部12に供給する。
【0008】
予測信号処理部12は、撮像素子11からのベイヤ配列の画像に対してクラス分類適応処理を行い、ノイズが低減された、各画素のR成分、G成分、およびB成分の画素値からなるカラー画像であるRGB画像を生成する。
【0009】
具体的には、予測信号処理部12は、RGB画像の各画素を順に注目画素とし、その注目画素を、その注目画素の周辺のベイヤ配列の画像の画素の画素値を用いて色成分ごとに所定のクラスに分類する。また、予測信号処理部12は、ベイヤ配列の画像を生徒画像とし、ノイズが低減されたRGB画像を教師画像とした学習により色成分およびクラスごとに求められた予測係数を予め保持している。そして、予測信号処理部12は、色成分ごとに、注目画素のクラスに対応する予測係数と、注目画素の周辺のベイヤ配列の画像の画素値との線形結合により注目画素の画素値を予測する。これにより、ノイズが低減されたRGB画像が生成される。予測信号処理部12は、ノイズが低減されたRGB画像を出力画像として出力する。
【0010】
ところで、図2の予測信号処理部12におけるクラス分類適応処理では、予測係数が色成分およびクラスごとに求められるので、出力画像におけるノイズ低減の度合を色成分以外の単位で調節することはできない。従って、出力画像におけるノイズ低減の度合を調整した場合であっても、いずれかの色成分におけるノイズ低減の度合が比較的強く、その色成分のノイズ以外の部分にも影響が与えられる場合、エッジ部分において偽色が発生するなどの弊害が発生する。
【0011】
これに対して、デモザイク処理の結果得られるRGB画像を輝度色差空間の画像(以下、YUV画像という)に変換し、YUV画像に対してクラス分類適応処理を行うことによりYUV画像のノイズを低減する方法がある。この方法では、輝度の鮮鋭感には敏感だが、色差の鮮鋭感には鈍感であるという人間の視覚特性を考慮して、色差成分(Cb,Cr成分)におけるノイズ低減の度合が、輝度成分(Y成分)におけるノイズ低減の度合に比べて強められる。これにより、出力画像の色差成分のノイズは低減されるが、輝度成分(Y成分)のノイズ以外の部分は影響を受けないため、鮮鋭感の低減は目で感じにくい。即ち、鮮鋭感の低下を伴わずに色ノイズを低減することが可能となる。
【0012】
図3は、このような方法を用いてベイヤ配列の画像をノイズが低減されたYUV画像に変換する画像処理装置の構成の一例を示す図である。
【0013】
図3に示す構成のうち、図2の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0014】
図3の画像処理装置20は、撮像素子11、デモザイク処理部21、輝度視差変換部22、並びに予測信号処理部23および24により構成される。
【0015】
画像処理装置20のデモザイク処理部21は、撮像素子11により生成されるベイヤ配列の画像に対してデモザイク処理を行い、その結果得られるRGB画像を輝度色差変換部22に供給する。
【0016】
輝度色差変換部22は、デモザイク処理部21から供給されるRGB画像をYUV画像に変換する輝度色差変換処理を行う。輝度色差変換部22は、その結果得られるYUV画像のうちの輝度成分を予測信号処理部23に供給し、輝度成分を予測信号処理部24に供給する。
【0017】
予測信号処理部23は、輝度色差変換部22から供給されるYUV画像の輝度成分に対してクラス分類適応処理を行い、ノイズが低減されたYUV画像の輝度成分を生成する。
【0018】
具体的には、予測信号処理部23は、ノイズが低減されたYUV画像の各画素を順に注目画素とし、その注目画素の輝度成分を、その注目画素の周辺の、輝度色差変換部22からのノイズ低減前のYUV画像の画素の画素値を用いて所定のクラスに分類する。また、予測信号処理部23は、ノイズ低減前のYUV画像を生徒画像とし、ノイズ低減後のYUV画像を教師画像とした学習によりクラスごとに求められた輝度成分用の予測係数を予め保持している。そして、予測信号処理部23は、注目画素の輝度成分のクラスに対応する輝度成分用の予測係数と、注目画素の周辺のノイズ低減前のYUV画像の画素値との線形結合により注目画素の輝度成分の画素値を予測する。これにより、ノイズが低減されたYUV画像の輝度成分が生成される。予測信号処理部23は、ノイズが低減されたYUV画像の輝度成分を、出力画像の輝度成分として出力する。
【0019】
予測信号処理部24は、予測信号処理部23と同様に、学習によりクラスごとに求められた色差成分用の予測係数を用いて、輝度色差変換部22から供給されるYUV画像の色差成分に対してクラス分類適応処理を行う。そして、予測信号処理部24は、その結果生成されるノイズが低減されたYUV画像の色差成分を、出力画像の色差成分として出力する。
【0020】
なお、輝度成分用の予測係数と色差成分用の予測係数は、出力画像の色差成分におけるノイズ低減の度合が、輝度成分におけるノイズ低減の度合に比べて強くなるように学習される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許4433545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
図3の画像処理装置20は、ベイヤ配列の画像に対して、デモザイク処理、輝度色差変換処理、およびクラス分類適応処理の3つの処理を行うので、デモザイク処理等によりベイヤ配列の画像に存在する細線部などの情報が失われると、出力画像の精度が劣化する。
【0023】
具体的には、デモザイク処理により細線部などの情報が失われ、RGB画像が平坦部を有する場合、輝度色差変換部22では、RGB画像の平坦部が、本来存在する平坦部であるか、細線部が失われたことによる平坦部であるかを認識することは困難である。従って、デモザイク処理により細線部などの情報が失われた場合であっても、輝度色差変換部22は、デモザイク処理部21から供給されるRGB画像を、細線部などの情報が失われていないRGB画像としてYUV画像に変換する。その結果、出力画像は、デモザイク処理前のベイヤ配列の画像を平滑化した画像に対応するものとなり、出力画像の精度が劣化する。
【0024】
同様に、デモザイク処理によりベイヤ配列の画像には存在しない色のエッジなどが生成された場合も、出力画像の精度が劣化する。
【0025】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ベイヤ配列の画像からノイズが低減されたYUV画像を高精度に生成することできるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本技術の第1の側面の画像処理装置は、ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算部と、前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算部とを備える画像処理装置である。
【0027】
本技術の第1の側面の画像処理方法、プログラム、および記録媒体に記録されているプログラムは、本技術の第1の側面の画像処理装置に対応する。
【0028】
本技術の第1の側面においては、ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値が求められ、前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値が求められる。
【0029】
本技術の第2の側面の学習装置は、所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習部を備える学習装置である。
【0030】
本技術の第2の側面の学習方法、プログラム、および記録媒体に記録されているプログラムは、本技術の第2の側面の学習装置に対応する。
【0031】
本技術の第2の側面においては、所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数が求められる。
【発明の効果】
【0032】
本技術の第1の側面によれば、ベイヤ配列の画像からノイズが低減されたYUV画像を高精度に生成することできる。
【0033】
また、本技術の第2の側面によれば、ベイヤ配列の画像からノイズが低減されたYUV画像を高精度に生成するための予測係数を学習することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ベイヤ配列の例を示す図である。
【図2】従来の画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】従来の画像処理装置の他の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本技術を適用した画像処理装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4の予測信号処理部の詳細構成例を示すブロック図である。
【図6】クラスタップのタップ構造の例を示す図である。
【図7】予測タップのタップ構造の例を示す図である。
【図8】画像処理装置の画像処理を説明するフローチャートである。
【図9】輝度成分用のクラス分類適応処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図10】学習装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】学習装置の学習処理を説明するフローチャートである。
【図12】コンピュータの一実施の形態の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<一実施の形態>
[画像処理装置の一実施の形態の構成例]
図4は、本技術を適用した画像処理装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0036】
図4に示す構成のうち、図3の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0037】
図4の画像処理装置50は、撮像素子11、画素欠陥補正部51、クランプ処理部52、ホワイトバランス部53、予測信号処理部54、予測信号処理部55、および出力色空間変換部56により構成される。画像処理装置50は、クラス分類適応処理を用いて、ベイヤ配列の画像からノイズが低減されたYUV画像を直接生成する。
【0038】
画像処理装置50の画素欠陥補正部51、クランプ処理部52、およびホワイトバランス部53は、出力画像の画質を高めるために、撮像素子11により生成されるベイヤ配列の画像に対して前処理を行う。
【0039】
具体的には、画素欠陥補正部51は、撮像素子11から供給されるベイヤ配列の画像のうち、撮像素子11の欠陥のある画素の画素値を検出する。ここで、撮像素子11の欠陥のある画素とは、何らかの理由で入射光に反応しない素子や常に電荷を蓄えている素子である。画素欠陥補正部51は、検出された撮像素子11の欠陥のある画素の画素値を、周囲の欠陥のない画素の画素値などを用いて補正し、補正後のベイヤ配列の画像をクランプ処理部52に供給する。
【0040】
クランプ処理部52は、画素欠陥補正部51から供給される補正後のベイヤ配列の画像をクランプする。具体的には、撮像素子11は、負の値が削除されることを防止するため、アナログ信号の信号値を正の方向にシフトした後、A/D変換を行う。従って、クランプ処理部52は、そのA/D変換時のシフト分を打ち消すように、補正後のベイヤ配列の画像をクランプする。クランプ処理部52は、クランプ後のベイヤ配列の画像をホワイトバランス部53に供給する。
【0041】
ホワイトバランス部53は、クランプ処理部52から供給されるベイヤ配列の画像の各色成分のゲインを補正することにより、ホワイトバランスを調整する。ホワイトバランス部53は、ホワイトバランスが調整されたベイヤ配列の画像を、予測信号処理部54と予測信号処理部55に供給する。
【0042】
予測信号処理部54は、ユーザにより指定されたノイズ低減の度合を表すノイズパラメータに基づいて、ホワイトバランス部53からのベイヤ配列の画像に対して輝度成分用のクラス分類適応処理を行い、ノイズが低減されたYUV画像の輝度成分を生成する。予測信号処理部54は、ノイズが低減されたYUV画像の輝度成分を出力色空間変換部56に供給する。
【0043】
予測信号処理部55は、ユーザにより指定されたノイズパラメータに基づいて、ホワイトバランス部53からのベイヤ配列の画像に対して色差成分用のクラス分類適応処理を行い、ノイズが低減されたYUV画像の色差成分を生成する。予測信号処理部55は、ノイズが低減されたYUV画像の色差成分を出力色空間変換部56に供給する。
【0044】
出力色空間変化部56は、予測信号処理部54からの輝度成分と予測信号処理部55からの色差成分からなるYUV画像を、YUV画像またはRGB画像のうちのユーザにより予め選択された画像に変換し、変換後の画像を出力画像として出力する。
【0045】
具体的には、ユーザにより予め選択された画像がYUV画像である場合、出力色空間変換部56は、予測信号処理部54からの輝度成分と予測信号処理部55からの色差成分からなるYUV画像をそのまま出力画像として出力する。一方、ユーザにより予め選択された画像がRGB画像である場合、出力色空間変換部56は、予測信号処理部54からの輝度成分と予測信号処理部55からの色差成分からなるYUV画像を、例えばITU-R BT.601などに準拠してRGB画像に変換する。そして、出力色空間変換部56は、そのRGB画像を出力画像として出力する。
【0046】
[予測信号処理部の詳細構成例]
図5は、図4の予測信号処理部54の詳細構成例を示すブロック図である。
【0047】
図5の予測信号処理部54は、予測タップ取得部71、クラスタップ取得部72、クラス番号発生部73、係数発生部74、および予測演算部75により構成される。
【0048】
予測信号処理部54の予測タップ取得部71は、予測するノイズが低減されたYUV画像の各画素を順に注目画素とする。予測タップ取得部71は、図4のホワイトバランス部53から供給されるベイヤ配列の画像から、注目画素の輝度成分の画素値を予測するために用いる1以上の画素値を予測タップとして取得する。そして、予測タップ取得部71は、予測タップを予測演算部75に供給する。
【0049】
クラスタップ取得部72は、ホワイトバランス部53から供給されるベイヤ配列の画像から、注目画素の輝度成分の画素値を1以上のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分けするクラス分類を行うために用いる1以上の画素値を、クラスタップとして取得する。そして、クラスタップ取得部72は、クラスタップをクラス番号発生部73に供給する。
【0050】
クラス番号発生部73は、輝度クラス分類部として機能し、クラスタップ取得部72から供給されるクラスタップに基づいて、注目画素の輝度成分の画素値をクラス分類する。クラス番号発生部73は、その結果得られるクラスに対応するクラス番号を発生して、係数発生部74に供給する。
【0051】
クラス分類を行う方法としては、例えば、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)を用いる方法を採用することができる。
【0052】
クラス分類を行う方法としてADRCを用いる方法が採用された場合、クラスタップを構成する画素値がADRC処理され、その結果得られる再量子化コードにしたがって、注目画素のクラス番号が決定される。
【0053】
具体的には、ADRC処理として、以下の式(1)により、クラスタップの最大値MAXと最小値MINの間を指定されたビット数pで均等に分割して再量子化する処理が行われる。
【0054】
qi=[(ki-MIN+0.5)*2^p/DR]
・・・(1)
【0055】
なお、式(1)において、[]は、[]内の値の小数点以下を切り捨てることを意味する。また、kiは、クラスタップのi番目の画素値を表し、qiは、クラスタップのi番目の画素値の再量子化コードを表す。また、DRは、ダイナミックレンジであり、MAX-MIN+1である。
【0056】
そして、このようにして求められた再量子化コードqiを用いて、以下の式(2)により、注目画素のクラス番号classが算出される。
【0057】
【数1】

【0058】
なお、式(2)において、nは、クラスタップを構成する画素値の数である。
【0059】
クラス分類を行う方法としては、ADRCを用いる方法の他に、DCT(Discrete Cosine Transform),VQ(Vector Quantization),DPCM(differential pulse code modulation)などのデータ圧縮方式を応用し、データ圧縮した結果のデータ量をクラス番号とする方法などを用いることもできる。
【0060】
係数発生部74は、図10および図11を参照して後述する学習によって求められたクラスおよびノイズパラメータごとの輝度成分用の予測係数を記憶する。係数発生部74は、記憶している輝度成分用の予測係数のうちの、クラス番号発生部73からのクラス番号に対応するクラスおよびユーザにより指定されたノイズパラメータに対応する輝度成分用の予測係数を読み出し、予測演算部75に供給する。
【0061】
予測演算部75は、予測タップ取得部71から供給される予測タップと、係数発生部74から供給される輝度成分用の予測係数とを用いて、注目画素の輝度成分の画素値の真値の予測値を求める所定の予測演算を行う。これにより、予測演算部75は、注目画素の輝度成分の画素値の予測値を、ノイズが低減されたYUV画像の注目画素の輝度成分の画素値として生成し、出力する。
【0062】
なお、予測信号処理部55の構成は、予測信号処理部54の構成と同様であるので、説明は省略する。但し、予測信号処理部55に記憶される予測係数は、輝度成分用の予測係数ではなく、より強いノイズ低減効果を有する色差成分用の予測係数である。色差成分用の予測係数は、Cb成分に対するものとCr成分に対するもので異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、予測信号処理部54と予測信号処理部55におけるクラス分類を行う方法が同一であるものとするが、異なっていてもよい。
【0064】
[クラスタップのタップ構造の例]
図6は、クラスタップのタップ構造の例を示す図である。なお、クラスタップのタップ構造は、図6の構造以外の構造とすることが可能である。
【0065】
図6において、正方形はベイヤ配列の画像の各画素を表しており、正方形内のR,G,Bは、それぞれ、その正方形が表す画素の画素値がR成分、G成分、B成分の画素値であることを表している。また、バツ印は、そのバツ印が付された正方形が表す画素が、YUV画像内の注目画素の位置と同一のベイヤ配列の画像内の位置の画素(以下、注目対応画素という)であることを表している。丸印は、その丸印が付された正方形が表す画素が、注目画素のクラスタップに対応する画素であることを表している。
【0066】
図6の例では、注目対応画素を中心として、水平方向および垂直方向に、それぞれ、1画素おいて並ぶ合計5個の画素と、斜め方向に隣接する合計4個の画素とからなる合計9個の画素の画素値がクラスタップとされる。この場合、クラスタップの各画素値に対応する色成分は、注目対応画素に対応する色成分と同一になる。即ち、図6の例では、注目対応画素に対応する色成分がG成分であるので、クラスタップの各画素値に対応する色成分もG成分である。
【0067】
[予測タップのタップ構造の例]
図7は、予測タップのタップ構造の例を示す図である。なお、予測タップのタップ構造は、図7の構造以外の構造とすることが可能である。
【0068】
図7において、正方形はベイヤ配列の画像の各画素を表しており、正方形内のR,G,Bは、それぞれ、その正方形が表す画素の画素値がR成分、G成分、B成分の画素値であることを表している。また、バツ印は、そのバツ印が付された正方形が表す画素が注目対応画素であることを表しており、丸印は、その丸印が付された正方形が表す画素が、注目画素の予測タップに対応する画素であることを表している。
【0069】
図7の例では、注目対応画素を中心として水平方向および垂直方向に、それぞれ、5個ずつ並ぶ合計9個の画素と、注目対応画素の左右に隣接する2個の画素それぞれと上下に隣接する合計4個の画素とからなる合計13個の画素の画素値が予測タップとされる。即ち、予測タップを構成する画素値に対応する画素は、いわばひし形状に並んでいる。
【0070】
なお、本実施の形態では、予測信号処理部54と予測信号処理部55における、クラスタップおよび予測タップの構造が同一であるものとするが、異なっていてもよい。
【0071】
[予測演算の説明]
次に、図5の予測演算部75における予測演算と、その予測演算に用いられる輝度成分用の予測係数の学習について説明する。
【0072】
いま、所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、ノイズが低減されたYUV画像の各画素の輝度成分の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
【0073】
【数2】

【0074】
なお、式(3)において、xiは、画素値yについての予測タップを構成する画素値のうちのi番目の画素値を表し、Wiは、そのi番目の画素値と乗算されるi番目の輝度成分用の予測係数を表す。また、nは、予測タップを構成する画素値の数を表している。
【0075】
また、第kサンプルのノイズが低減されたYUV画像の画素の輝度成分の画素値の予測値をyk’と表すと、予測値yk’は以下の式(4)で表される。
【0076】
yk’=W1×xk1+W2×xk2+・・・+Wn×xkn
・・・(4)
【0077】
なお、式(4)において、xkiは、予測値yk’の真値についての予測タップを構成する画素値のうちのi番目の画素値を表し、Wiは、そのi番目の画素値と乗算されるi番目の輝度成分用の予測係数を表す。また、nは、予測タップを構成する画素値の数を表している。
【0078】
また、予測値yk’の真値をykと表すと、予測誤差ekは、以下の式(5)で表される。
【0079】
ek=yk-{W1×xk1+W2×xk2+・・・+Wn×xkn
・・・(5)
【0080】
なお、式(5)において、xkiは、予測値yk’の真値についての予測タップを構成する画素値のうちのi番目の画素値を表し、Wiは、そのi番目の画素値と乗算されるi番目の輝度成分用の予測係数を表す。また、nは、予測タップを構成する画素値の数を表している。
【0081】
式(5)の予測誤差ekを0とする輝度成分用の予測係数Wiが、真値ykを予測するのに最適なものとなるが、学習用のサンプルの数がnより小さい場合は、輝度成分用の予測係数Wiは一意に定まらない。
【0082】
そこで、輝度成分用の予測係数Wiが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適な輝度成分用の予測係数Wiは、以下の式(6)で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
【0083】
【数3】

【0084】
式(6)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、以下の式(7)に示すように、総和Eを輝度成分用の予測係数Wiで偏微分したものを0とするWiによって与えられる。
【0085】
【数4】

【0086】
以下の式(8)および式(9)に示すようにXjiとYiを定義すると、式(7)は、以下の式(10)のように行列式の形で表すことができる。
【0087】
【数5】

【0088】
【数6】

【0089】
【数7】

【0090】
なお、式(8)乃至(10)において、xkiは、予測値yk’の真値ykについての予測タップを構成する画素値のうちのi番目の画素値を表し、Wiは、そのi番目の画素値と乗算されるi番目の輝度成分用の予測係数を表す。また、nは、予測タップを構成する画素値の数を表し、mは、学習用のサンプルの数を表している。
【0091】
式(10)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などの一般的な行列解法を用いることにより、輝度成分用の予測係数Wiについて解くことができる。
【0092】
以上により、クラスおよびノイズパラメータごとの最適な輝度成分用の予測係数Wiの学習は、式(10)の正規方程式をクラスおよびノイズパラメータごとにたてて解くことにより行うことができる。
【0093】
なお、画素値yは、式(3)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求められるようにすることも可能である。
【0094】
また、説明は省略するが、図4の予測信号処理部55における予測演算と、その予測演算に用いられるクラスおよびノイズパラメータごとの色差成分用の予測係数の学習も、図5の予測演算部75における予測演算と、その予測演算に用いられるクラスおよびノイズパラメータごとの輝度成分用の予測係数の学習と同様に行われる。
【0095】
[画像処理装置の処理の説明]
図8は、図4の画像処理装置50の画像処理を説明するフローチャートである。この画像処理は、例えば、撮像素子11からベイヤ配列の画像が供給されたとき、開始される。
【0096】
図8のステップS11において、画像処理装置50の画素欠陥補正部51は、図3の撮像素子11から供給されるベイヤ配列の画像のうち、撮像素子11の欠陥のある画素の画素値を検出する。
【0097】
ステップS12において、画素欠陥補正部51は、ステップS11で検出された撮像素子11の欠陥のある画素の画素値を、周囲の欠陥のない画素の画素値などを用いて補正し、補正後のベイヤ配列の画像をクランプ処理部52に供給する。
【0098】
ステップS13において、クランプ処理部52は、画素欠陥補正部51から供給される補正後のベイヤ配列の画像をクランプする。クランプ処理部52は、クランプ後のベイヤ配列の画像をホワイトバランス部53に供給する。
【0099】
ステップS14において、ホワイトバランス部53は、クランプ処理部52から供給されるクランプ後のベイヤ配列の画像の各色成分のゲインを補正することにより、ホワイトバランスを調整する。ホワイトバランス部53は、ホワイトバランスが調整されたベイヤ配列の画像を予測信号処理部54と予測信号処理部55に供給する。
【0100】
ステップS15において、予測信号処理部54は輝度成分用のクラス分類適応処理を行い、予測信号処理部55は色差成分用のクラス分類適応処理を行う。予測信号処理部54は、輝度成分用のクラス分類適応処理の結果得られるノイズが低減されたYUV画像の輝度成分を、出力色空間変換部56に供給する。また、予測信号処理部55は、色差成分用のクラス分類適応処理の結果得られるノイズが低減されたYUV画像の色差成分を、出力色空間変換部56に供給する。
【0101】
ステップS16において、出力色空間変換部56は、予測信号処理部54からの輝度成分と予測信号処理部55からの色差成分からなるYUV画像を、YUV画像またはRGB画像のうちのユーザにより予め選択された画像に変換する。出力色空間変換部56は、変換後の画像を出力画像として出力し、処理を終了する。
【0102】
図9は、図8のステップS15の輝度成分用のクラス分類適応処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0103】
図9のステップS31において、予測信号処理部54の予測タップ取得部71は、予測するノイズが低減されたYUV画像の画素のうちの、まだ注目画素とされていない画素を注目画素に決定する。
【0104】
ステップS32において、予測タップ取得部71は、図4のホワイトバランス部53から供給されるベイヤ配列の画像から、注目画素の輝度成分の画素値を予測するために用いる1以上の画素値を予測タップとして取得する。そして、予測タップ取得部71は、予測タップを予測演算部75に供給する。
【0105】
ステップS33において、クラスタップ取得部72は、ホワイトバランス部53から供給されるベイヤ配列の画像から、注目画素の輝度成分の画素値をクラス分類するために用いる1以上の画素値を、クラスタップとして取得する。そして、クラスタップ取得部72は、クラスタップをクラスタップ取得部72に供給する。
【0106】
ステップS34において、クラス番号発生部73は、クラスタップ取得部72から供給されるクラスタップに基づいて、注目画素の輝度成分の画素値をクラス分類する。クラス番号発生部73は、その結果得られるクラスに対応するクラス番号を発生して、係数発生部74に供給する。
【0107】
ステップS35において、係数発生部74は、記憶している輝度成分用の予測係数のうちの、クラス番号発生部73から供給されるクラス番号に対応するクラスおよびユーザにより指定されたノイズパラメータに対応する輝度成分用の予測係数を読み出す。そして、係数発生部74は、読み出された予測係数を予測演算部75に供給する。
【0108】
ステップS36において、予測演算部75は、予測タップ取得部71から供給される予測タップと、係数発生部74から供給される輝度成分用の予測係数とを用いて、上述した式(3)の演算を所定の予測演算として行う。これにより、予測演算部75は、注目画素の輝度成分の画素値の予測値を、ノイズが低減されたYUV画像の注目画素の輝度成分の画素値として生成し、出力する。
【0109】
ステップS37において、予測タップ取得部71は、ノイズが低減されたYUV画像の全ての画素を注目画素としたかどうかを判定する。ステップS37でノイズが低減されたYUV画像の全ての画素をまだ注目画素としていないと判定された場合、処理はステップS31に戻り、ノイズが低減されたYUV画像の全ての画素を注目画素とするまで、ステップS31乃至S37の処理を繰り返す。
【0110】
一方、ステップS37でノイズが低減されたYUV画像の全ての画素を注目画素としたと判定された場合、処理は終了する。
【0111】
なお、図8のステップS15の色差成分用のクラス分類適応処理は、図9の輝度成分用のクラス分類適応処理における輝度成分用の予測係数が、色差成分用の予測係数に代わること以外同様であるので、説明は省略する。
【0112】
以上のように、画像処理装置50は、ベイヤ配列の画像に対して、輝度成分用の予測係数を用いた所定の予測演算と、輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数を用いた所定の予測演算を行う。これにより、画像処理装置50は、ベイヤ配列の画像から、鮮鋭感の低下を伴わずに色ノイズが低減されたYUV画像を直接生成することができる。従って、3回の処理に分けてノイズが低減されたYUV画像を生成する従来の画像処理装置20(図3)に比べて、細線部や色のエッジなどが変化した可能性のある1回目の処理結果等を用いて生成が行われないので、ノイズが低減されたYUV画像を高精度に生成することができる。
【0113】
また、従来の画像処理装置20に比べて、1回目や2回目の処理結果を一時的に記憶する必要がないため、YUV画像の精度の劣化を防止することができる。
【0114】
具体的には、従来の画像処理装置20では、3回の処理に分けてノイズが低減されたYUV画像が生成されるので、1回目の処理結果であるRGB画像を、少なくとも2回目の処理でYUV画像の1つの画素を生成するために用いられる画素分だけ図示せぬメモリに蓄えておく必要がある。同様に、2回目の処理結果であるYUV画像を、少なくとも3回目の処理でノイズが低減されたYUV画像の1つの画素を生成するために用いられる画素分だけ図示せぬメモリに蓄えておく必要がる。これらのメモリの記憶容量は、現実的には有限であるため、1回目の処理結果であるRGB画像や2回目の処理結果であるYUV画像の各画素の画素値のビット数を削減する必要がある場合があり、この場合、ノイズが低減されたYUV画像の精度が劣化する。
【0115】
これに対して、画像処理装置50は、ベイヤ配列の画像からノイズが低減されたYUV画像を直接生成するので、処理の途中結果を記憶させておく必要がなく、ノイズが低減されたYUV画像の精度の劣化を防止することができる。
【0116】
さらに、画像処理装置50は、クラス分類適応処理を行うブロックを輝度成分用と色差成分用に2つだけ備える。従って、図3のデモザイク処理部21および輝度色差変換部22がクラス分類適応処理を行うブロックをそれぞれ備える場合、即ち画像処理装置50がクラス分類適応処理を行うブロックを4つ備える場合に比べて、回路規模を小さくすることができる。
【0117】
[学習装置の構成例]
図10は、図5の係数発生部74に記憶される輝度成分用の予測係数Wiを学習する学習装置100の構成例を示すブロック図である。
【0118】
図10の学習装置100は、教師画像記憶部101、ノイズ付加部102、色空間変換部103、間引き処理部104、予測タップ取得部105、クラスタップ取得部106、クラス番号発生部107、足し込み部108、および予測係数算出部109により構成される。
【0119】
学習装置100には、輝度成分用の予測係数Wiの学習に用いられる学習用の画像として教師画像が入力される。ここでは、教師画像として、図5の予測信号処理部54で生成される理想的なYUV画像、即ちノイズが低減された高精度のYUV画像が用いられる。
【0120】
教師画像記憶部101は、教師画像を記憶する。教師画像記憶部101は、記憶している教師画像を複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックを順次注目ブロックとする。教師画像記憶部101は、注目ブロックの輝度成分の画素値を足し込み部108に供給する。
【0121】
ノイズ付加部102は、ノイズパラメータごとにノイズ量等の異なる所定のノイズを教師画像に付加し、各ノイズパラメータのノイズ付加後の教師画像を色空間変換部103に供給する。
【0122】
色空間変換部103は、ノイズ付加部102から供給される各ノイズパラメータのノイズ付加後の教師画像をRGB画像に変換し、間引き処理部104に供給する。
【0123】
間引き処理部104は、ベイヤ配列にしたがって、色空間変換部103から供給される各ノイズパラメータのRGB画像の各色成分の画素値のうちの所定の色成分の画素値を間引き、各ノイズパラメータのベイヤ配列の画像を生成する。また、色空間変換部103は、生成された各ノイズパラメータのベイヤ配列の画像に対して、撮像素子11が有する図示せぬ光学ローパスフィルタの処理に対応するフィルタ処理を行う。これにより、撮像素子11で生成されるベイヤ配列の画像により近似したベイヤ配列の画像を生成することができる。色空間変換部103は、各ノイズパラメータのフィルタ処理後のベイヤ配列の画像を、教師画像に対応する各ノイズパラメータの生徒画像として、予測タップ取得部105とクラスタップ取得部106に供給する。
【0124】
予測タップ取得部105は、注目ブロックの各画素を順に注目画素とする。予測タップ取得部105は、間引き処理部104から供給される各ノイズパラメータの生徒画像から、図5の予測タップ取得部71と同様に、注目画素の輝度成分の画素値を予測するために用いる1以上の画素値を予測タップとして取得する。そして、予測タップ取得部105は、各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素の予測タップを足し込み部108に供給する。
【0125】
クラスタップ取得部106は、間引き処理部104から供給される各ノイズパラメータの生徒画像から、図5のクラスタップ取得部72と同様に、注目画素の輝度成分の画素値をクラス分類するために用いる1以上の画素値を、クラスタップとして取得する。そして、クラスタップ取得部106は、各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素のクラスタップをクラス番号発生部107に供給する。
【0126】
クラス番号発生部107は、クラス分類部として機能する。クラス番号発生部17は、クラスタップ取得部106から供給される各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素のクラスタップに基づいて、ノイズパラメータごとに、図5のクラス番号発生部73と同様に、注目ブロックの各画素の輝度成分の画素値をクラス分類する。クラス番号発生部107は、その結果得られる各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素の輝度成分の画素値のクラスに対応するクラス番号を発生して、足し込み部108に供給する。
【0127】
足し込み部108は、教師画像記憶部101からの注目ブロックの画素値と、予測タップ取得部105からの各ノイズパラメータの注目ブロックの予測タップとを対象とした足し込みを、ノイズパラメータおよびクラス番号発生部107からのクラス番号のクラスごとに行う。
【0128】
具体的には、足し込み部108は、注目ブロックの各画素の予測タップの各画素値をxkiおよびxkj(i,j=1,2,・・・,n)として、クラスおよびノイズパラメータごとに、式(10)の左辺の行列におけるXijを演算する。
【0129】
また、足し込み部108は、注目ブロックの各画素の画素値をykとして、画素値xkiを用いて、クラスおよびノイズパラメータごとに、式(10)の右辺の行列におけるYiを演算する。
【0130】
そして、足し込み部108は、全ての教師画像の全てのブロックを注目ブロックとして足し込みを行うことにより生成された、クラスおよびノイズパラメータごとの式(10)の正規方程式を、予測係数算出部109に供給する。
【0131】
予測係数算出部109は、学習部として機能し、足し込み部108から供給されるクラスおよびノイズパラメータごとの正規方程式を解くことにより、クラスおよびノイズパラメータごとに、最適な輝度成分用の予測係数Wiを求めて出力する。このクラスおよびノイズパラメータごとの輝度成分用の予測係数Wiは、図5の係数発生部74に記憶される。
【0132】
[学習装置の処理の説明]
図11は、図10の学習装置100の学習処理を説明するフローチャートである。この学習処理は、例えば、教師画像の入力が開始されたとき、開始される。
【0133】
図11のステップS41において、学習装置100のノイズ付加部102は、ノイズパラメータごとにノイズ量等の異なる所定のノイズを教師画像に付加し、各ノイズパラメータのノイズ付加後の教師画像を色空間変換部103に供給する。
【0134】
ステップS42において、色空間変換部103は、ノイズ付加部102から供給される各ノイズパラメータのノイズ付加後の教師画像をRGB画像に変換し、間引き処理部104に供給する。
【0135】
ステップS43において、間引き処理部104は、ベイヤ配列にしたがって、色空間変換部103から供給される各ノイズパラメータのRGB画像の各色成分の画素値のうちの所定の色成分の画素値を間引き、各ノイズパラメータのベイヤ配列の画像を生成する。また、色空間変換部103は、生成された各ノイズパラメータのベイヤ配列の画像に対して、撮像素子11が有する図示せぬ光学ローパスフィルタの処理に対応するフィルタ処理を行う。色空間変換部103は、各ノイズパラメータのフィルタ処理後のベイヤ配列の画像を、教師画像に対応する各ノイズパラメータの生徒画像として、予測タップ取得部105とクラスタップ取得部106に供給する。
【0136】
ステップS44において、教師画像記憶部101は、入力された教師画像を記憶し、記憶している教師画像を複数の画素からなるブロックに分割し、そのブロックのうちの、まだ注目ブロックとされていないブロックを注目ブロックに決定する。
【0137】
ステップS45において、教師画像記憶部101は、記憶している注目ブロックの輝度成分の画素値を読み出し、足し込み部108に出力する。
【0138】
ステップS46において、予測タップ取得部105は、間引き処理部104から供給される各ノイズパラメータの生徒画像から、各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素の予測タップを取得する。そして、予測タップ取得部71は、各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素の予測タップを足し込み部108に供給する。
【0139】
ステップS47において、クラスタップ取得部106は、間引き処理部104から供給される各ノイズパラメータの生徒画像から、各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素のクラスタップを取得する。そして、クラスタップ取得部106は、各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素のクラスタップをクラス番号発生部107に供給する。
【0140】
ステップS48において、クラス番号発生部107は、クラスタップ取得部106からの各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素のクラスタップに基づいて、ノイズパラメータごとに、注目ブロックの各画素の輝度成分の画素値をクラス分類する。クラス番号発生部107は、その結果得られる各ノイズパラメータの注目ブロックの各画素の輝度成分の画素値のクラスに対応するクラス番号を発生して、足し込み部108に供給する。
【0141】
ステップS49において、足し込み部108は、教師画像記憶部101からの注目ブロックの画素値と、予測タップ取得部105からの各ノイズパラメータの注目ブロックの予測タップとを対象とした足し込みを、クラス番号発生部107からのクラス番号のクラスおよびノイズパラメータごとに行う。
【0142】
ステップS50において、足し込み部108は、教師画像の全てのブロックを注目ブロックとしたかどうかを判定する。ステップS50で教師画像の全てのブロックをまだ注目ブロックとしていないと判定された場合、処理はステップS44に戻り、全てのブロックを注目ブロックとするまで、ステップS44乃至S50の処理が繰り返される。
【0143】
一方、ステップS50で教師画像の全てのブロックを注目ブロックとしたと判定された場合、処理はステップS51に進む。ステップS51において、足し込み部108は、教師画像の入力が終了したかどうか、即ち学習装置100に新たな教師画像が入力されていないかどうかを判定する。
【0144】
ステップS51で教師画像の入力が終了していないと判定された場合、即ち学習装置100に新たな教師画像が入力されている場合、処理はステップS41に戻り、新たな教師画像が入力されなくなるまで、ステップS41乃至S51の処理が繰り返される。
【0145】
一方、ステップS51で教師画像の入力が終了したと判定された場合、即ち学習装置100に新たな教師画像が入力されなくなった場合、足し込み部108は、ステップS49で足し込みを行うことにより生成された、クラスおよびノイズパラメータごとの式(10)の正規方程式を、予測係数算出部109に供給する。
【0146】
そして、ステップS52において、予測係数算出部109は、足し込み部108から供給されるクラスおよびノイズパラメータごとの式(10)の正規方程式のうち、所定のクラスの各ノイズパラメータの式(10)の正規方程式を解く。これにより、予測係数算出部109は、所定のクラスの各ノイズパラメータの最適な輝度成分用の予測係数Wiを求めて出力する。
【0147】
ステップS53において、予測係数算出部109は、全てのクラスの各ノイズパラメータの式(10)の正規方程式を解いたかどうかを判定する。ステップS53で全てのクラスの各ノイズパラメータの式(10)の正規方程式を解いたと判定された場合、処理はステップS52に戻り、予測係数算出部109は、まだ解かれていないクラスの各ノイズパラメータの式(10)の正規方程式を解き、ステップS53の処理を行う。
【0148】
一方、ステップS53で全てのクラスの各ノイズパラメータの式(10)の正規方程式を解いたと判定された場合、処理は終了する。
【0149】
以上のように、学習装置100は、所定のノイズを含む生徒画像から、教師画像の注目ブロックの各画素の予測タップを生成し、注目ブロックの各画素の画素値と予測タップとを用いて正規方程式を解くことで、輝度成分用の予測係数を求める。これにより、学習装置100は、図4の予測信号処理部54においてノイズが低減されたYUV画像の輝度成分を高精度に生成するための予測係数を学習することができる。
【0150】
また、学習装置100は、ノイズパラメータごとに生徒画像に含めるノイズのノイズ量等を変更するので、図4の予測信号処理部54において、ユーザは、ノイズパラメータを指定することにより、ノイズ低減の度合を選択することができる。
【0151】
さらに、図示は省略するが、色差成分用の予測係数を学習する学習装置も学習装置100と同様に構成され、同様の処理を行う。但し、色差成分用の予測係数を学習する学習装置のノイズ付加部で付加される各ノイズパラメータのノイズのノイズ量は、ノイズ付加部102で付加される各ノイズパラメータのノイズ量に比べて多い。従って、色差成分用の予測係数は、輝度成分用の予測係数に比べて、ノイズ低減効果が高くなる。
【0152】
なお、学習装置100では、注目ブロックごとに足し込みが行われたが、教師画像の各画素を注目画素として、注目画素ごとに足し込みが行われるようにしてもよい。
【0153】
また、輝度成分用の予測係数と色差成分用の予測係数は、ニューラルネットワークやサポートベクターマシンを用いた学習装置により、生徒画像と教師画像を用いて求められるようにしてもよい。
【0154】
さらに、上述した説明では、撮像素子11によりベイヤ配列の画像が生成されるものとしたが、撮像素子11により生成される画像の各色成分の配列は、ベイヤ配列以外であってもよい。
【0155】
[本技術を適用したコンピュータの説明]
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0156】
そこで、図12は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0157】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としての記憶部208やROM(Read Only Memory)202に予め記録しておくことができる。
【0158】
あるいはまた、プログラムは、リムーバブルメディア211に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブルメディア211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブルメディア211としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0159】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブルメディア211からドライブ210を介してコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵する記憶部208にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0160】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)201を内蔵しており、CPU201には、バス204を介して、入出力インタフェース205が接続されている。
【0161】
CPU201は、入出力インタフェース205を介して、ユーザによって、入力部206が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM202に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU201は、記憶部208に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)203にロードして実行する。
【0162】
これにより、CPU201は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU201は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース205を介して、出力部207から出力、あるいは、通信部209から送信、さらには、記憶部208に記録等させる。
【0163】
なお、入力部206は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部207は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0164】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0165】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0166】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0167】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
【0168】
(1)
ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算部と、
前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算部と
を備える画像処理装置。
(2)
前記輝度成分用の予測係数と前記色差成分用の予測係数は、前記所定のノイズ低減画像におけるノイズの低減の度合を表すノイズパラメータごとに学習され、
前記輝度予測演算部は、所定の前記ノイズパラメータに基づいて、そのノイズパラメータの前記輝度成分用の予測係数と前記輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求め、
前記色差予測演算部は、所定の前記ノイズパラメータに基づいて、そのノイズパラメータの前記色差成分用の予測係数と前記色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記所定のベイヤ配列の画像から前記輝度予測タップを取得する輝度予測タップ取得部と、
前記所定のベイヤ配列の画像から前記色差予測タップを取得する色差予測タップ取得部と
をさらに備える
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記注目画素に対応する前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値を、前記注目画素の輝度成分の画素値を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分けするクラス分類を行うために用いる輝度クラスタップとして取得する輝度クラスタップ取得部と、
前記輝度クラスタップ取得部により取得された前記輝度クラスタップに基づいて、前記注目画素の輝度成分の画素値をクラス分類する輝度クラス分類部と、
前記注目画素に対応する前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値を、前記注目画素の色差成分の画素値をクラス分類するために用いる色差クラスタップとして取得する色差クラスタップ取得部と、
前記色差クラスタップ取得部により取得された前記色差クラスタップに基づいて、前記注目画素の色差成分の画素値をクラス分類する色差クラス分類部と
をさらに備え、
前記輝度成分用の予測係数と前記色差成分用の予測係数は、前記クラスごとに学習され、
前記輝度予測演算部は、前記輝度クラス分類部によるクラス分類の結果得られる前記注目画素の輝度成分の画素値のクラスに対応する前記輝度成分用の予測係数と、前記輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求め、
前記色差予測演算部は、前記色差クラス分類部によるクラス分類の結果得られる前記注目画素の色差成分の画素値のクラスに対応する前記色差成分用の予測係数と、前記色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)
画像処理装置が、
ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算ステップと、
前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算ステップと
を含む画像処理方法。
(6)
コンピュータに、
ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算ステップと、
前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算ステップと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
(7)
前記(6)に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
(8)
所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習部
を備える学習装置。
(9)
所定のノイズを前記教師画像に付加するノイズ付加部と、
前記ノイズ付加部により前記所定のノイズが付加された前記教師画像を、前記教師画像の各画素の所定の複数の色成分の画素値からなるカラー画像に変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により変換された前記カラー画像の各画素の前記所定の複数の色成分の画素値から、所定の色成分の画素値を間引き、その結果得られるベイヤ配列の画像を前記生徒画像とする間引き処理部と
をさらに備える
前記(8)に記載の学習装置。
(10)
前記ノイズ付加部は、前記所定のノイズ低減画像におけるノイズの低減の度合を表すノイズパラメータごとに、そのノイズパラメータに対応する前記所定のノイズを付加し、
前記学習部は、前記ノイズパラメータごとに、そのノイズパラメータに対応する前記生徒画像を構成する、前記注目画素に対応する画素の画素値からなる前記予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて前記式を解くことで、前記ノイズパラメータごとの前記予測係数を求める
前記(9)に記載の学習装置。
(11)
前記生徒画像から前記予測タップを取得する予測タップ取得部
をさらに備える
前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の学習装置。
(12)
前記注目画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値を、前記注目画素を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分けするクラス分類を行うために用いるクラスタップとして取得するクラスタップ取得部と、
前記クラスタップ取得部により取得された前記クラスタップに基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類部と
をさらに備え、
前記学習部は、前記注目画素の画素値と前記予測タップとを用いて、前記注目画素のクラスごとに前記式を解くことで、前記クラスごとの予測係数を求める
前記(8)乃至(11)のいずれかに記載の学習装置。
(13)
学習装置が、
所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習ステップ
を含む学習方法。
(14)
コンピュータに、
所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習ステップ
を含む処理を実行させるためのプログラム。
(15)
前記(14)に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
【符号の説明】
【0169】
50 画像処理装置, 54,55 予測信号処理部, 71 予測タップ取得部, 72 クラスタップ取得部, 73 クラス番号発生部, 75 予測演算部, 100 学習装置, 102 ノイズ付加部, 103 色空間変換部, 104 間引き処理部, 105 予測タップ取得部, 106 クラスタップ取得部, 107 クラス番号発生部, 109 予測係数算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算部と、
前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記輝度成分用の予測係数と前記色差成分用の予測係数は、前記所定のノイズ低減画像におけるノイズの低減の度合を表すノイズパラメータごとに学習され、
前記輝度予測演算部は、所定の前記ノイズパラメータに基づいて、そのノイズパラメータの前記輝度成分用の予測係数と前記輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求め、
前記色差予測演算部は、所定の前記ノイズパラメータに基づいて、そのノイズパラメータの前記色差成分用の予測係数と前記色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定のベイヤ配列の画像から前記輝度予測タップを取得する輝度予測タップ取得部と、
前記所定のベイヤ配列の画像から前記色差予測タップを取得する色差予測タップ取得部と
をさらに備える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記注目画素に対応する前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値を、前記注目画素の輝度成分の画素値を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分けするクラス分類を行うために用いる輝度クラスタップとして取得する輝度クラスタップ取得部と、
前記輝度クラスタップ取得部により取得された前記輝度クラスタップに基づいて、前記注目画素の輝度成分の画素値をクラス分類する輝度クラス分類部と、
前記注目画素に対応する前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値を、前記注目画素の色差成分の画素値をクラス分類するために用いる色差クラスタップとして取得する色差クラスタップ取得部と、
前記色差クラスタップ取得部により取得された前記色差クラスタップに基づいて、前記注目画素の色差成分の画素値をクラス分類する色差クラス分類部と
をさらに備え、
前記輝度成分用の予測係数と前記色差成分用の予測係数は、前記クラスごとに学習され、
前記輝度予測演算部は、前記輝度クラス分類部によるクラス分類の結果得られる前記注目画素の輝度成分の画素値のクラスに対応する前記輝度成分用の予測係数と、前記輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求め、
前記色差予測演算部は、前記色差クラス分類部によるクラス分類の結果得られる前記注目画素の色差成分の画素値のクラスに対応する前記色差成分用の予測係数と、前記色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像処理装置が、
ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算ステップと、
前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算ステップと
を含む画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像であるノイズ低減画像に対応する教師画像と、前記ベイヤ配列の画像に対応する生徒画像とを用いて、前記教師画像の各画素の輝度成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および輝度成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された前記輝度成分用の予測係数と、所定のベイヤ配列の画像に対応する所定のノイズ低減画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる輝度予測タップとの演算により、前記注目画素の輝度成分の画素値を求める輝度予測演算ステップと、
前記教師画像と前記生徒画像を用いて、前記教師画像の各画素の色差成分の画素値、その画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値、および色差成分用の予測係数の関係を示す式を解くことにより学習された、前記輝度成分用の予測係数に比べてノイズ低減効果の高い色差成分用の予測係数と、前記所定のノイズ低減画像のうちの前記注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像の画素の画素値からなる色差予測タップとの演算により、前記注目画素の色差成分の画素値を求める色差予測演算ステップと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
【請求項8】
所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習部
を備える学習装置。
【請求項9】
所定のノイズを前記教師画像に付加するノイズ付加部と、
前記ノイズ付加部により前記所定のノイズが付加された前記教師画像を、前記教師画像の各画素の所定の複数の色成分の画素値からなるカラー画像に変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により変換された前記カラー画像の各画素の前記所定の複数の色成分の画素値から、所定の色成分の画素値を間引き、その結果得られるベイヤ配列の画像を前記生徒画像とする間引き処理部と
をさらに備える
請求項8に記載の学習装置。
【請求項10】
前記ノイズ付加部は、前記所定のノイズ低減画像におけるノイズの低減の度合を表すノイズパラメータごとに、そのノイズパラメータに対応する前記所定のノイズを付加し、
前記学習部は、前記ノイズパラメータごとに、そのノイズパラメータに対応する前記生徒画像を構成する、前記注目画素に対応する画素の画素値からなる前記予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて前記式を解くことで、前記ノイズパラメータごとの前記予測係数を求める
請求項9に記載の学習装置。
【請求項11】
前記生徒画像から前記予測タップを取得する予測タップ取得部
をさらに備える
請求項8に記載の学習装置。
【請求項12】
前記注目画素に対応する前記生徒画像の画素の画素値を、前記注目画素を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分けするクラス分類を行うために用いるクラスタップとして取得するクラスタップ取得部と、
前記クラスタップ取得部により取得された前記クラスタップに基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類部と
をさらに備え、
前記学習部は、前記注目画素の画素値と前記予測タップとを用いて、前記注目画素のクラスごとに前記式を解くことで、前記クラスごとの予測係数を求める
請求項8に記載の学習装置。
【請求項13】
学習装置が、
所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習ステップ
を含む学習方法。
【請求項14】
コンピュータに、
所定のベイヤ配列の画像を、前記所定のベイヤ配列の画像の各画素の輝度成分と色差成分の画素値から構成される画像であって、ノイズが低減された画像である所定のノイズ低減画像に変換するときに用いられる予測係数の学習に用いる、前記所定のノイズ低減画像に対応する教師画像のうちの注目している画素である注目画素に対応する、前記所定のベイヤ配列の画像に対応する生徒画像の画素の画素値からなる予測タップと、前記注目画素の画素値とを用いて、前記教師画像の各画素の画素値、その画素の前記予測タップ、および前記予測係数の関係を示す式を解くことで、前記予測係数を求める学習ステップ
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−244449(P2012−244449A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113059(P2011−113059)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】