説明

画像処理装置とその制御方法、及びプログラム

【課題】 スキャンデータのアップロードに失敗すると、再びスキャン動作を行った上で外部ストレージサービスにスキャンデータを送信しなければならないため、スキャン対象の原稿の枚数が多い場合には、ユーザの拘束時間の増加を招く。
【解決手段】 画像データをWebサーバにアップロードする際にエラーが発生すると、Webサーバの共有フォルダに設定されている共有アカウントを取得し、当該取得した共有アカウントを用いて画像処理装置内のストレージに記憶されたアップロードの対象の画像データをWebサーバにアップロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、外部ストレージサービスにデータをアップロードする機能を備えた画像処理装置とその制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理装置では、リアルタイム・オペレーティングシステム(以下、リアルタイムOS)上に、更に別の組み込みシステム向けの実行環境(例えば、Java(登録商標)など)を構築している。これにより、画像処理装置を制御するアプリケーションを外部からインストールして搭載することが可能となっている。また更に、その組み込みシステム向けの実行環境により、開発者が任意の画像処理装置に対するアプリケーションを共通の開発言語、開発環境で開発することが可能となっている。
【0003】
また、画像処理装置自体の高機能化、多機能化が進み、スキャン機能、プリント機能に関しても多種多様な機能を搭載した装置が開発されている。近年では、スキャン機能、プリント機能といった紙文書の電子化や印刷といった基本的な機能だけでなく、ネットワーク・インターフェース(以下、ネットワークI/F)を搭載した画像処理装置が開発されている。このようなネットワークI/Fを搭載した画像処理装置は、ネットワークで接続された外部システム、外部サービスと連携し、様々なソリューションを提供している。例えば、特許文献1によれば、文書管理システムと連携し、文書管理ポリシーに合ったスキャンデータのみをアップロードできる画像処理装置及び文書管理システムを提案している。
【0004】
一方、画像処理装置を取り巻くネットワーク環境に関しては、近年、クラウドコンピューティングといった、インターネットをベースとしたコンピュータの利用形態が注目されている。クラウドコンピューティングでは、ユーザはコンピュータ処理をネットワーク経由でサービスとして利用する。特に、インターネット上では、様々なサービス提供者による様々なサービスが提供されており、ユーザは業務など各自の利用形態に合わせてサービスを選択することが可能となっている。従って、画像処理装置においても、様々なサービス提供者による様々なサービスと連携してユーザの業務効率を向上させるソリューションを提供することが重要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−56770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、画像処理装置から外部ストレージサービスに対して、原稿をスキャンして得られたスキャンデータを送信する場合、以下のような処理を行う。まず画像処理装置のユーザが、外部ストレージサービスと接続するためのサービス(ここでは内蔵のアプリケーションとする)を起動させる。次にアプリケーションが提供するユーザインターフェースを通じて、外部ストレージサービスの認証を行う。認証を行った上で、格納するストレージを選択し、スキャンデータの送信作業に入る。この際、アプリケーションは、まず画像処理装置による原稿のスキャンによりスキャンデータを得る。次に、そのスキャンデータを外部ストレージサービスに格納可能なファイル形式に変換した後、そのファイルデータを外部ストレージサービスへアップロードする。そして外部ストレージサービスから、アップロードの完了通知を受信すると、ユーザインターフェースにアップロードの完了を表示させる。以上が、画像処理装置から外部ストレージサービスに対してスキャンデータを送信し、その送信処理が正常に終了した場合である。
【0007】
しかしながら、外部ストレージサービスからアップロードの完了通知ではなくエラーが通知された場合は、アップロード処理の失敗をユーザインターフェースに表示させる。この際、送信を試みたスキャンデータは破棄されるため、ユーザは外部ストレージサービスに対し、エラー内容に基づいた適正な処理を行った上で再びアップロード操作を行わなくてはならない。即ち、画像処理装置は、再びスキャン動作を行った上で外部ストレージサービスにスキャンデータを送信しなければならないため、スキャン対象の原稿の枚数が多い場合には、ユーザの拘束時間の増加を招いてしまう。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
【0009】
本発明の特徴は、データをアップロードする際にエラーが発生した場合に、そのデータを簡単にアップロードする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
画像データをネットワークを介して記憶装置に転送して記憶させることが可能な画像処理装置であって、
画像データを前記記憶装置にアップロードする際にエラーが発生すると、当該記憶装置の共有フォルダに設定されている共有アカウントを取得する取得手段と、
アップロードの対象の画像データを記憶する記憶手段と、
前記取得手段により取得された共有アカウントを用いて、前記記憶手段に記憶された前記アップロードの対象の画像データを前記記憶装置にアップロードするアップロード手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、データをアップロードする際にエラーが発生した場合に、そのデータを簡単にアップロードすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係る情報処理システムの全体図。
【図2】実施形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施形態1に係るWebサーバの構成を示すブロック図。
【図4】実施形態1に係るWebサーバと画像処理装置のソフトウェア構成を示す機能ブロック図。
【図5】実施形態1に係るWebサーバのストレージ領域のユーザ権限を説明する図。
【図6】実施形態1に係るアプリケーションのアプレット部の認証画面の一例を示す図。
【図7】実施形態1に係るアプリケーションのアプレット部のスキャン設定画面の一例を示す図。
【図8】実施形態1に係るアプリケーションのアプレット部のアップロード代行依頼画面の一例を示す図。
【図9】実施形態1に係るアプリケーションのアプレット部のアップロード代行依頼完了画面の一例を示す図。代行依頼完了画面を示す図である。
【図10】実施形態1に係るアプリケーションが送信する代行依頼メールの一例を示す図。
【図11】実施形態1に係るアプリケーションのサーブレット部が生成する代行アップロード用の認証画面の一例を示す図。
【図12】実施形態1に係るアプリケーションのサーブレット部が生成する代行処理完了画面の一例を示す図。
【図13】実施形態1に係る画像処理装置、アプリケーション、画像処理装置内ストレージ、Webアプリケーション、ユーザAストレージの一連の処理を実行する動作を説明するシーケンス図。
【図14】実施形態1に係るWebブラウザ、画像処理装置内ストレージ、アプリケーション、Webアプリケーション、ユーザBストレージの一連の処理を実行する動作を説明するシーケンス図。
【図15】実施形態1に係るアプリケーションのアップロード代行依頼処理の動作を説明するフローチャート。
【図16】実施形態1に係るアプリケーションのアップロード代行処理を説明するフローチャート。
【図17】実施形態2に係るWebサーバ、画像処理装置のアプリケーションのソフトウェア構成を示す機能ブロック図。
【図18】実施形態2に係るアプリケーションのサーブレット部が生成する代行アップロード用の認証画面の一例を示す図。
【図19】実施形態2に係るアプリケーションのアップロード代行処理の動作を説明するフローチャート。
【図20】本発明の実施形態2におけるアプリケーション1710のアップロード代行依頼処理の動作を説明するフローチャートである。
【図21】本発明の実施形態2におけるアプリケーション1710のアプレット部1720の代行処理完了画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る情報処理システムの全体図である。
【0015】
LAN110には、画像処理装置101及びWebサーバ102が互いに通信可能に接続されている。PC(パーソナルコンピュータ)103は、Webブラウザを備えたユーザ(実施形態ではユーザB)のPCで、画像処理装置101との間で認証画面情報やパスワード等の通信を行うことができる。尚、LAN110は、説明のためLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)と記載しているが、インターネットなどの他のネットワークでも構わない。また、LAN110には、これら以外の機器が接続されていても良いことはもちろんである。
【0016】
図2は、実施形態1に係る画像処理装置(複合機)101の構成を示すブロック図である。
【0017】
CPU211を含む制御部210は、画像処理装置101全体の動作を制御する。CPU211は、ROM212に記憶された制御プログラムを読み出して読取制御や送信制御などの各種制御を行う。RAM213は、CPU211の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD214は、画像データや各種プログラム、或いは各種情報テーブルを記憶する。操作部I/F215は、操作部219と制御部210とを接続する。操作部219には、タッチパネル機能を有する液晶表示部やキーボードなどが備えられている。また画像処理装置101には、後述するアプリケーション410(図4)が備えられている。画像処理装置101のアプリケーション410は、Webサーバ102と通信を行うための操作画面を操作部219の液晶表示部に表示する。
【0018】
プリンタI/F216は、プリンタ220と制御部210とを接続する。プリンタ220で印刷すべき画像データはプリンタI/F216を介して制御部210から転送され、プリンタ220において記憶媒体(シート)上に印刷される。スキャナI/F217は、スキャナ221と制御部210とを接続する。スキャナ221は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成し、スキャナI/F217を介して制御部210に入力する。ネットワークI/F218は、制御部210(画像処理装置101)をLAN110に接続する。ネットワークI/F218は、LAN110上の外部装置(例えば、Webサーバ102)に画像データや情報を送信したり、LAN110上の外部装置から各種情報を受信したりする。
【0019】
図3は、実施形態1に係るWebサーバ102の構成を示すブロック図である。
【0020】
CPU311を含む制御部310は、Webサーバ102全体の動作を制御する。CPU311は、ROM312に記憶されたブートプログラムを実行してHDD314にインストールされているOSや各種プログラムを読み出してRAM313に展開し、各種制御処理を実行する。RAM313は、CPU311の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD314は、画像データや各種プログラム、或いは各種情報テーブルを記憶する。ネットワークI/F315は、制御部310(Webサーバ102)をLAN110に接続しており、LAN110上の他の装置との間で各種情報を送受信する。
【0021】
図4は、実施形態1に係るWebサーバ102と画像処理装置101のソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。
【0022】
画像処理装置101は、アプリケーション410、画像処理装置内ストレージ440を備える。更にアプリケーション410は、アプレット部420とサーブレット部430を含む。これはアプリケーション410が、画像処理装置101のユーザと、外部PC103のWebブラウザ451のユーザ双方にUI(ユーザインタフェース)を提供する必要があるためである。即ち、アプレット部420は、画像処理装置101のユーザへのUIの提供、及びユーザからのリクエスト処理を行う。またサーブレット部430は、Webブラウザ451のユーザへのUIの提供、及びWebブラウザ451のユーザからのリクエスト処理を行う。
【0023】
アプリケーション410は、更に、サービス通信部411、スキャン処理制御部412、メール送信部413、ストレージ処理制御部414を含む。サービス通信部411は、アプレット部420及びサーブレット部430からのリクエストに応じて、Webサーバ102のプレゼンテーション部461と通信を行う。プレゼンテーション部461へのリクエスト内容は、認証処理やスキャンデータのアップロードなどである。また、プレゼンテーション部461からのレスポンスを解析し、そのリクエストに対する結果をリクエスト処理部421,431に送信する。尚、サービス通信部411は、サービス毎に異なるアプリケーション層での通信処理を制御することを想定する。例えば、サービス通信部411は、通信プロトコルHTTP等を利用して実現されるSOAP,RESTといったWebサービスによって実現されるサービスとの通信処理を行うことを想定する。これによって、Webサーバ102への認証やスキャンデータの送信など、画像処理装置101はWebサーバ102が提供するサービスを利用可能となる。
【0024】
スキャン処理制御部412は、リクエスト処理部421からスキャン設定を取得し、その設定に基づいてスキャナ221にスキャンを要求し、スキャンデータを取得してファイル変換を行う。ファイル変換が完了したら、そのファイル(スキャンデータ)をリクエスト処理部421に送信する。メール送信部413は、特定アドレスへのメール送信要求を受け、メールの作成及びメールの送信を行う。具体的には、アプレット部420のリクエスト処理部421から、或いは、サーブレット部430のリクエスト処理部431から、メールの送信要求を受けて、メールの作成や送信を行う。
【0025】
ストレージ処理制御部414は、リクエストを受けて画像処理装置内ストレージ440に処理を要求する。具体的には、アプレット部420のリクエスト処理部421から、或いは、サーブレット部430のリクエスト処理部431から、スキャンデータの格納、或いは取得を要求された際に、画像処理装置内ストレージ440に、その格納或いは読み出しを要求する。また、画像処理装置内ストレージ440内のファイルの検索や、ファイル名の変更を行うことも可能である。
【0026】
アプレット部420は、画像処理装置101の操作部219にUIを表示し、入力された内容に応じてWebサーバ102と通信処理を行う。アプレット部420は、リクエスト処理部421、UI制御部422を含む。リクエスト処理部421は、UI制御部422から受信したユーザによる入力情報を基に、サービス通信部411にWebサーバ102との通信を要求し、その結果に基づいて各種処理を行う。またリクエスト処理部421は、UI制御部422から送信されたユーザからの入力情報を解析し、サービス通信部411及びスキャン処理制御部412に各種指示を行う。例えば、UI制御部422から認証情報が渡された場合は、サービス通信部411に認証情報を送信し、認証処理のための通信を要求する。またUI制御部422からスキャン設定情報が送信された場合は、スキャン処理制御部412にスキャン設定情報を渡してスキャンデータを要求する。その後、受信したスキャンデータをサービス通信部411に送信し、スキャンデータのアップロードのための通信を要求する。
【0027】
更に、本実施形態1では、アップロードの失敗時に代行アップロードを行う。リクエスト処理部421は、サービス通信部411からスキャンデータのアップロードエラーが通知された場合、サービス通信部411に、当該アカウントの共有アカウントの検索を要求する。ここで言う共有アカウントの定義は後に記述する。リクエスト処理部421は、得られた共有アカウントの一覧をUI制御部422に送信し、代行設定UIの表示を要求する。UI制御部422から、画像処理装置101のユーザが選択したアカウントを受信した場合、リクエスト処理部421は、アップロードエラーとなったスキャンデータの格納をストレージ処理制御部414に要求する。その後、リクエスト処理部421は、メール送信部413に、選択された代行アカウントを送信し、代行アップロード依頼メールの送信を要求する。
【0028】
UI制御部422は、リクエスト処理部421からの要求に応じて、画像処理装置101の操作部219に表示させるUIを設定する。加えて、リクエスト処理部421から代行設定UIが要求された場合、共有アカウントの一覧を受信した上で、代行設定UIを表示させる。また、画像処理装置101が選択した代行アップロードをリクエスト処理部421に送信する。
【0029】
サーブレット部430は、Webブラウザ451と通信を行い、受信したリクエストに応じてWebブラウザ451に対するレスポンスをレスポンス生成部432に要求する。具体的には、Webブラウザ451から認証画面を要求された場合は、レスポンス生成部432に認証画面用のレスポンスを作成させる。また、その認証画面を通じて、アップロード代行アカウントのIDとパスワードの情報が送信された場合、リクエスト処理部431は、サービス通信部411に認証を要求する。ここで認証に成功すると、リクエスト処理部431は、ストレージ処理制御部414にスキャンデータを要求し、再びサービス通信部411にスキャンデータのアップロードを要求した後、当該データの共有を依頼する。共有アカウントは、代行アップロード依頼元のアカウントとする。代行アップロード完了後、当該データの削除をストレージ処理制御部414に依頼する。これにより、画像処理装置内ストレージ440に格納されたスキャンデータが削除される。データの削除完了後、メール送信部413に代行アップロード完了メールの送信を要求する。これによって、代行アップロードが完了し、アップロードが失敗したスキャンデータを他のアカウントで代行アップロードすることが可能となる。レスポンス生成部432は、リクエスト処理部431からのレスポンス要求を受けて、Webブラウザ451に、認証画面や代行アップロードの完了画面をHTML形式で送信する。
【0030】
画像処理装置内ストレージ440は、画像処理装置101が自装置内に所持するストレージ領域で、ストレージ処理制御部414からの要求を受けて、ストレージ内のデータ削除やストレージへのデータ格納を行う。外部PC103は、Webブラウザ451を含む。Webブラウザ451は、ここでは、サーブレット部430と通信を行うブラウザを想定する。
【0031】
Webサーバ102は、Webアプリケーション460、ユーザAストレージ470、ユーザBストレージ480を備える。更に、Webアプリケーション460は、プレゼンテーション部461、認証処理部462、アカウント情報管理部463、ストレージ管理部464を備える。プレゼンテーション部461は、サービス通信部411と通信を行い、画像処理装置101からの処理要求に応えて、処理結果をサービス通信部411に送信する。この際、サービス通信部411から送信された処理要求に応じて、処理のリクエスト先を切り替える。例えば、認証処理を要求された場合は、認証情報を取得し、認証処理部462に認証処理を依頼する。また、その結果をサービス通信部411に送信する。またアカウント情報の変更を要求された場合は、アカウント情報を取得し、アカウント情報管理部463に変更処理を依頼する。また、その結果をサービス通信部411に送信する。またストレージへのアップロードを要求された場合は、データと格納先の情報を取得してストレージ管理部464に格納処理を依頼する。
【0032】
認証処理部462は、プレゼンテーション部461から取得した認証情報を基に認証処理を行う。更に、その認証結果をプレゼンテーション部461に送信する。アカウント情報管理部463は、プレゼンテーション部461から取得したアカウント情報を基に、アカウント情報の変更処理を行う。更に、その変更結果をプレゼンテーション部461に送信する。ストレージ管理部464は、プレゼンテーション部461から取得したデータと格納先情報とを基に、ストレージへの格納処理を行う。更に、その格納結果をプレゼンテーション部461に送信する。
【0033】
ユーザAストレージ470及びユーザBストレージ480は、Webサーバ102のストレージ領域である。この例では、ストレージ領域は2つだけとなっているが、Webアプリケーション460の管理するアカウントの数だけストレージ領域が存在する。ストレージ管理部464によって、ストレージ内のファイルの削除やストレージへのファイルアップロードが行われる。その結果をストレージ管理部464に送信するが、アップロード要求されたファイルを格納する領域が存在しない場合などは、エラーを返す。
【0034】
尚、この例ではWebサーバ102が1台でファイル管理サービスを提供する例を示している。しかしながら、Webサーバ102の他の形態として、複数のサーバによって構成され、そのサーバ群の中で複数のヴァーチャルマシンを起動して分散処理を行うようにしても構わない。この場合、所定の条件に応じてヴァーチャルマシンを増加させるスケールアウトと呼ばれる技術(クラウドコンピューティング)が用いられる。
【0035】
図5は、実施形態1に係るWebサーバ102のストレージ領域のユーザ権限を説明する図である。470,480はそれぞれ図4で説明したWebサーバ102のユーザAのストレージとユーザBのストレージを示している。ユーザA、ユーザBはそれぞれ、アプリケーション410やWebブラウザ451を利用して、各ストレージにファイルをアップロードしたり、そこに記憶されているファイルを削除できる。
【0036】
510はユーザAのユーザ権限で閲覧可能なファイルの範囲を示す。ここでいう閲覧可能とは、ファイルを閲覧することに加えて、ファイルの削除やダウンロードといった、ファイルに対するアクションが可能という意味も含まれる。図5では、ユーザAが閲覧可能なファイルは、ユーザAのファイル511とユーザAと共有したユーザBのファイル521である。ユーザAのファイル511は、ユーザAストレージ470に存在するファイルのためユーザAは閲覧可能である。またユーザAと共有したユーザBのファイル521は、ユーザBストレージ480に存在するファイルのため、本来であれば閲覧不可である。しかし、ユーザBストレージ480は、ユーザBがユーザAと共有設定を行ったファイルであるため、ユーザA権限510でも閲覧可能となっている。このユーザAと共有したユーザBのファイル521を、本実施形態では共有ファイルとし、この際のユーザAを共有アカウントとする。
【0037】
520はユーザBのユーザ権限で閲覧可能なファイルの範囲を示す。図5では、ユーザAがユーザBに対し、共有設定を行った共有ファイルが存在しないため、ユーザBが閲覧可能なファイルはユーザBストレージ480内のファイルのみである。従って、ユーザAと共有したユーザBのファイル521と、ユーザBのファイル522が、ユーザB権限520で閲覧可能なファイルとなる。
【0038】
図6は、実施形態1に係るアプリケーション410のアプレット部420の認証画面の一例を示す図である。
【0039】
コンテンツの表示領域601に、Webサーバ120から受信したレスポンスに基づいて画面を表示する。図6ではアプレット部420のリクエスト処理部421が、UI制御部422に認証設定UIを要求し、その後、UI制御部422が認証設定UIを画像処理装置101の操作部219に表示した結果を示している。画像処理装置101のユーザは、ユーザ名入力フィールド602にユーザ名を入力することで、Webサーバ102と認証を行う。画像処理装置101のユーザは、パスワード入力フィールド603にパスワードを入力することでWebサーバ102と認証を行う。サーバ認証におけるログインボタン604が押下されると、ユーザ名入力フィールド602、パスワード入力フィールド603に入力された値を取得し、Webサーバ102と認証を行う。
【0040】
図7は、実施形態1に係るアプリケーション410のアプレット部420のスキャン設定画面の一例を示す図である。
【0041】
コンテンツの表示領域701に、Webサーバ120から受信したレスポンスに基づいて画面を表示する。図7では、アプレット部420のリクエスト処理部421が、UI制御部422にスキャン設定UIを要求し、その後、UI制御部422が認証設定UIを画像処理装置101の操作部219に表示した結果を示している。アップロードフォルダ選択ボタン702が押下されると、Webサーバ102の当該アカウントのファイル構成が表示される。これにより画像処理装置101のユーザは、アップロードするフォルダを選択する。画像処理装置101のユーザは、ファイル名入力フィールド703にファイル名を入力することで、Webサーバ102にアップロードするファイル名を確定させる。704はカラー選択ボタンで、図7では「自動」が設定されている。705は解像度選択ボタンである。706は画面読み取り面選択ボタンである。707は原稿サイズ混載選択ボタンである。708はファイル形式選択ボタンである。キャンセルボタン709が押下されると、このスキャン設定画面を閉じて、スキャンアップロード処理はキャンセルされる。アップロード開始ボタン710が押下されると、アップロードフォルダ選択ボタン702、ファイル名入力フィールド703,704〜708の各スキャン設定ボタンからスキャンアップロード設定を取得する。そして、原稿のスキャンを行った後、Webサーバ102に、そのスキャンデータをアップロードする。
【0042】
図8は、実施形態1に係るアプリケーション410のアプレット部420のアップロード代行依頼用の画面の一例を示す図である。
【0043】
コンテンツの表示領域801にWebサーバ120から受信したレスポンスに基づいて画面を表示する。図8では、アプレット部420のリクエスト処理部421がUI制御部422に代行設定UIを要求し、その後、UI制御部422が代行設定UIを画像処理装置101の操作部219に表示した結果を示している。802〜804は共有アカウントを示すラジオボタンである。ここで選択されたアカウントが代行アカウントとして扱われ、当該アカウントに対し、代行依頼メールが送信される。キャンセルボタン805が押下されると、代行依頼はキャンセルされるため、スキャンアップロード処理はエラーのまま終了する。代行依頼開始ボタン806が押下されると、802〜804の各ラジオボタンの選択状況を取得し、選択されている共有アカウントに対し、代行依頼メールを送信する。図8では、ユーザBが共有アカウントとして選択されているので、ユーザBに対して代行依頼メールが送信される。
【0044】
図9は、実施形態1に係るアプリケーション410のアプレット部420のアップロード代行依頼完了画面の一例を示す図である。
【0045】
図9で示すコンテンツの表示領域にWebサーバ120から受信したレスポンスに基づいて、画面を表示する。図9では、アプレット部420のリクエスト処理部421がUI制御部422に代行依頼完了UIを要求し、その後、UI制御部422が代行依頼完了UIを画像処理装置101の操作部219に表示した結果を示している。
【0046】
図10は、実施形態1に係るアプリケーション410が送信する代行依頼メールの一例を示す図である。
【0047】
具体的には、アプリケーション410のスキャンアップロードエラー時に、画像処理装置101のユーザであるユーザAがユーザB(PC103)へ代行依頼を行った際に、メール送信部413がユーザBに送信したメールの例を示す。ここでは、このメールはPC103で表示されるものとしている。1001は送信者を示し、本実施形態1では、画像処理装置101のアドレスが送信者となる。1002は宛先で、ユーザAが代行依頼を行ったアカウントが宛先となる。ここではユーザBである。1003はメールの件名を示し、1004はメールの本文を示している。メールの本文1004には、共有アカウントであるユーザAから代行アップロードを依頼した旨と、代行処理を行うためのURLが記載されている。
【0048】
図11は、実施形態1に係るアプリケーション410のサーブレット部430が生成する代行アップロード用の認証画面の一例を示す図である。
【0049】
図10の代行依頼メールを受信したユーザ(ユーザB)が、メール本文1004に記載されているURLにWebブラウザ451を使用してアクセスする(図14のS1401)ことで、リクエスト処理部431にリクエストが送信される。リクエスト処理部431は、PC103のWebブラウザ451からのリクエストを受けて、レスポンス生成部432に代行アップロード用の認証画面の生成を要求する。その後、レスポンス生成部432が代行アップロード用の認証画面を生成し、それをレスポンスとして、Webブラウザ451に送信する(図14のS1402)。そしてWebブラウザ451が、そのレスポンスを解析し、描画したものが図11に示す画面である。
【0050】
代行アップロードを行うWebブラウザ451のユーザは、代行アップロード用の認証画面を要求するためのアドレスを、Webブラウザ451のアドレスバー1102に入力する。Webブラウザ451のユーザは、ユーザ名入力フィールド1103にユーザ名を、パスワード入力フィールド1104にパスワードを入力することで(S1403)、Webサーバ102と認証を行った上で代行アップロードを行う。代行アップロードの拒否ボタン1105が押下されると、代行アップロードが拒否され、代行依頼元アカウントに対し、代行が拒否された旨を知らせるメールが送信される。代行アップロードの開始ボタン1106が押下されると、ユーザ名入力フィールド1103、パスワード入力フィールド1104に入力された値を取得し、Webサーバ102と認証を行った上で代行アップロードが開始される(図14のS1409)。
【0051】
図12は、実施形態1に係るアプリケーション410のサーブレット部430が生成する代行処理完了画面の一例を示す図である。
【0052】
図12は、Webブラウザ451のコンテンツ表示領域を示し、代行処理の完了後、レスポンス生成部432が代行処理完了画面をレスポンスとしてWebブラウザ451に送信し、それをWebブラウザ451が解析し、描画した例を示している。これは図14のS1421で表示される。
【0053】
図13は、実施形態1に係る画像処理装置101、アプリケーション410、画像処理装置内ストレージ440、Webアプリケーション460、ユーザAストレージ470の一連の処理を実行する動作を説明するシーケンス図である。尚、ここでは説明の便宜上、画像処理装置101のユーザをユーザAとする。
【0054】
S1301では、ユーザAが画像処理装置101を操作してアプリケーション410を起動する。S1302では、アプリケーション410のアプレット部420のリクエスト処理部421が認証画面を操作部219に表示する。
【0055】
S1303では、ユーザAがユーザ名入力フィールド602(図6)とパスワード入力フィールド603にパスワードを入力し、ログインボタン604を押下する。これによりS1304で、アプレット部420のリクエスト処理部420が、入力されたユーザ名とパスワードをサービス通信部411に送信し、Webサーバ102に対して認証要求を行う。サービス通信部411はこれを受けて、プレゼンテーション部461と通信を行い、ユーザAの認証をリクエストする。
【0056】
S1305では、プレゼンテーション部461がユーザAの認証情報を、認証処理部462に送信し、認証を行う。S1306では、プレゼンテーション部461が認証処理部462から、ユーザAの認証結果を受信し、その結果をレスポンスとして、サービス通信部411に送信する。
【0057】
S1307では、サービス通信部411がユーザAの認証結果をリクエスト処理部421に送信する。認証成功の場合、リクエスト処理部421は、ユーザAの管理するフォルダ構成情報の取得をサービス通信部411に依頼する。一方、認証エラーの場合、認証エラーをユーザAに通知し、認証情報の再度の入力を促す。
【0058】
S1308では、プレゼンテーション部461がユーザAのフォルダ構成情報をサービス通信部411に送信する。
【0059】
S1309では、サービス通信部411がリクエスト処理部421にユーザAのフォルダ構成情報を送信し、ユーザAの情報をもとにUI制御部422にスキャン設定UIを表示させる。S1310では、ユーザAが操作部219に表示されたスキャン設定画面(図7)にアップロード先フォルダ及びアップロードファイル名、スキャン設定を入力し、アップロード開始ボタン710を押下する。S1311では、リクエスト処理部421がスキャン処理制御部412にスキャン設定を送信し、画像処理装置101のスキャナ221にスキャンを依頼する。S1312では、画像処理装置101のスキャナ221がスキャンを実行する。S1313では、画像処理装置101がスキャンデータをファイル変換し、そのファイルをスキャン処理制御部412に送信する。
【0060】
こうしてS1314で、リクエスト処理部421がスキャン処理制御部412からスキャンデータを受信し、サービス通信部411にスキャンデータのアップロードを要求する。サービス通信部411は、プレゼンテーション部461と通信することで、ユーザAが指定したフォルダへのアップロードを依頼する。こうしてS1315で、プレゼンテーション部461が、スキャンデータであるファイルを受信し、ストレージ管理部464にデータの格納を要求する。ストレージ管理部464は、ユーザAストレージ470の特定フォルダに、そのファイルを格納する。S1316では、ユーザAストレージ470へのスキャンデータの格納結果をストレージ管理部464がプレゼンテーション部461に通知する。ここで、正常に格納が行われた場合、アップロード処理は正常に終了となる。次に、ここで、エラーが通知された場合を考える。
【0061】
S1317では、プレゼンテーション部461がサービス通信部411にアップロードエラーとその内容を通知する。S1318で、エラー通知に応じて、共有アカウントを要求する。これによりS1319で、Webアプリケーション460は、ユーザAの共有フォルダ情報を取得し、これをサービス通信部411に送信する(S1320)。これによりアプリケーション410は、S1321で、アップロード代行依頼画面(図8)を表示させ、ユーザAが、共有アカウントの中から代行アップロードを依頼するアカウントを選択する(S1322)。こうしてS1323で、スキャンデータを画像処理装置内ストレージ440へ格納して、その格納完了を待って(S1324)、選択されたアカウントに対応するユーザBに、アップロード代行依頼メールの送信を依頼する(S1325)。そしてS1326で、アプリケーション410が代行依頼完了UIを表示させる。
【0062】
次に図15のフローチャートを参照して、図13のS1318からS1326で示す代行処理を詳しく説明する。
【0063】
図15は、実施形態1に係るアプリケーション410のアップロード代行依頼処理の動作を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM212或いはHDD214に記憶されており、実行時RAM213に展開され、CPU211の制御の下に実行される。
【0064】
まずS1501で、アップロードエラーがサービス通信部411から通知されるとリクエスト処理部421は、サービス通信部411にユーザAの共有アカウントを要求する。サービス通信部411はこれを受けて、Webサーバ102のプレゼンテーション部461にユーザAの共有フォルダ情報を要求する。プレゼンテーション部461は、アカウント情報管理部463からユーザAの共有フォルダ情報を取得し、これをサービス通信部411に送信する。こうしてS1502で、サービス通信部411がユーザAの共有フォルダ情報を受信し、その情報の中から共有アカウントの一覧を抜き出してリクエスト処理部421に送信する。次にS1503に進み、リクエスト処理部421がユーザAの共有アカウントの一覧を基に、UI制御部422に代行設定UIを表示させる。これによって、アップロードエラーが生じた旨と、アップロードの代行を依頼するアップロード代行依頼画面(図8)がユーザAに提示される。ユーザAは、この画面を使用して代行アップロードを行うかどうか、また代行先のユーザを選択する。
【0065】
S1504では、図8のアップロード代行依頼画面で、ユーザAによって代行アップロードが依頼されたかどうかをリクエスト処理部421が判断する。ここでユーザAが、共有アカウントの中から代行アップロードを依頼するアカウントを選択した場合はS1505に進む。尚、ここでは便宜上、代行アカウントはユーザBとする。S1505で、アップロードエラーとなったスキャンデータの画像処理装置内ストレージ440への格納を、リクエスト処理部421がストレージ処理制御部414に要求する。これによりストレージ処理制御部414は、画像処理装置内ストレージ440にスキャンデータを格納する。ここで格納する際に、アップロードファイル名を編集して格納する。具体的には、ファイル名は「アップロードファイル名_現在時刻_アカウント名_代行アカウント名」の形式とする。ここで、アップロードファイル名を「file1」、現在時刻が「2011年1月2日12時34分56秒」であった場合、格納ファイル名は「file1_20110102123456_userA_userB」となる。また、ストレージ処理制御部414は、現在時刻の値をリクエスト処理部431に送信する。
【0066】
次にS1506に進み、リクエスト処理部431は、メール送信部413に現在時刻の値を送信し、ユーザBへのアップロードの代行を依頼するメールの送信を依頼する。メール送信部413は、送信された情報を基にアップロード代行依頼メールを作成する。この際、メールの宛先は、ユーザBのメールアドレス、メール本文1004にはユーザBへのアップロード代行依頼、及びアップロード代行画面のURLを記載する。またURLに送信された現在時刻を追記する。そしてS1507に進み、リクエスト処理部421がUI制御部422に代行依頼完了UIを表示させる(図9参照)。
【0067】
一方、S1504で、ユーザAが、共有アカウントの中から代行アップロードを依頼するアカウントを選択しなかった場合はS1508に進み、アップロードは中止される。
【0068】
図13のシーケンスを辿った際の操作部219の画面遷移は図9に示すようになる。これによって、ユーザAがアプリケーション410を操作して、スキャンアップロードが失敗した場合に、ユーザBに代行アップロードを依頼することを実現している。そして、ユーザBでは、図10に示すような、代行依頼のメールの受信画面が表示される。
【0069】
図14は、実施形態1に係るWebブラウザ451、画像処理装置内ストレージ440、アプリケーション410、Webアプリケーション460、ユーザBストレージ480の一連の処理を実行する動作を説明するシーケンス図である。
【0070】
S1401では、ユーザAにアップロード代行を依頼されたことをユーザBがメールで確認する。その際、ユーザBはメール本文1004(図10)に記載されているURLにWebブラウザ451で接続する。次にS1402からS1421で、ユーザBによるユーザAの代行アップロードが行われるが、その処理を図16のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0071】
図16は、実施形態1に係るアプリケーション410のアップロード代行処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM212或いはHDD214に記憶されており、実行時RAM213に展開され、CPU211の制御の下に実行される。尚、ここでは、前述のユーザAの場合と同様に画像処理装置101の構成を参照して説明する。
【0072】
まずS1601で、リクエスト処理部431が代行アップロード用の認証画面の生成をレスポンス生成部432に依頼し、レスポンス生成部432が認証画面情報をWebブラウザ451に表示させる(図14のS1402)。これによってユーザBに代行アップロードの承諾とアップロードに必要な認証情報を要求する。また、リクエスト処理部431は、Webブラウザ451からリクエスト時に取得したURLに付随している現在時刻(画像処理装置内ストレージ440にスキャンデータが格納された時刻)を取得し、保持する。これによりWebブラウザ451は、図10に示すような画面を表示する。次に、この画面を使用したユーザBの操作に従って、図11に示すユーザBの認証画面を表示する。
【0073】
次にS1602に進み、ユーザBが認証され、かつ代行承諾をしたかどうかをリクエスト処理部431が判断する。ここで代行を承諾しないとき、即ち、図11でユーザBが代行拒否ボタン1105を押下したときはS1612に進む。S1612では、リクエスト処理部431は、メール送信部413に、ユーザAにユーザBから代行アップロードが拒否されたことを通知するメールの送信を依頼する。そしてS1611に進む。
【0074】
一方、ユーザBが、図11の代行アップロード開始ボタン1106を押下した時はS1603に進み、ユーザ名、パスワードを取得し(図14のS1403)、ユーザ名がユーザBのアカウントであることを確認する。確認できたら、サービス通信部411に認証処理を要求する(図14のS1404〜S1405)。S1604では、サービス通信部411が認証を行った結果をリクエスト処理部431に送信し(図14のS1406)、リクエスト処理部431が認証結果を判断する。この際、認証エラーと判断された場合は、再びS1601の処理が実行される。
【0075】
S1604で認証に成功した(図14のS1406)と判断するとS1605に進み、リクエスト処理部431は、代行アップロードするためのスキャンデータをストレージ処理制御部414に要求する(図14のS1407)。この際、ストレージ処理制御部414は、ユーザAがユーザBに代行依頼したスキャンデータを検索するために画像処理装置内ストレージ440のファイル名を検索する。そしてファイル名に、「現在時刻_アカウント名_代行アカウント名」が含まれるファイルを検索し、該当するファイルをストレージ440から読み出して(図14のS1408)リクエスト処理部431に送信する。この際、現在時刻は、S1601でリクエスト処理部431が保持した現在時刻である。また、該当ファイルを送信する際、ファイル名の「_現在時刻_アカウント名_代行アカウント名」を削除する。これによって、ユーザAがスキャンアップロード時に指定したファイル名となる。
【0076】
次にS1606に進み、リクエスト処理部431がサービス通信部411に、S1605で取得したスキャンデータのアップロードを要求する(図14のS1409)。これによりWebアプリケーション460は、そのアップロードされたデータを受信してユーザBストレージ480に格納する(図14のS1410)。こうして格納が完了すると格納完了通知が発行され(S1411)、アップロードが完了したことをWebアプリケーション460からアプリケーション410に通知される(S1412)。
【0077】
次にS1607に進み、サービス通信部411がスキャンデータのアップロード結果をリクエスト処理部431に通知し、リクエスト処理部431がアップロードの成功を判断する。この際、アップロードエラーと判断された場合は、再びS1601の処理が実行される。S1607でリクエスト処理部431がアップロードが成功したと判断した場合はS1608に進む。ここでは、リクエスト処理部431がサービス通信部411に、S1607でアップロードしたファイルに対し、ユーザAとファイル共有処理を行うように指示する(図14のS1413)。これにより、ユーザBが代行アップロードしたスキャンデータがユーザAと共有されることになり、ユーザAもWebサーバ102にアップロードされたスキャンデータを閲覧することが可能となる。このときWebサーバ460とユーザBストレージ480との間では、図14に示すように、S1414でユーザAとの共有が指示され、その要求に対して共有完了通知がユーザBストレージ480から完了通知が発行される(S1415)。これによりWebアプリケーション460は、共有完了通知をアプリケーション410に送信する(S1416)。
【0078】
次にS1609に進み、不要となった画像処理装置内ストレージ440のアップロードの対象であるスキャンデータの削除を、リクエスト処理部431がストレージ処理制御部に指示する(図14のS1417)。これにより画像処理装置内ストレージ440は、その指示されたスキャンデータの削除処理を実行し(S1418)、削除が完了すると削除完了通知をアプリケーション410に発行する(S1419)。
【0079】
次にS1610に進み、リクエスト処理部431がメール送信部413に、代行アップロード完了メールの送信を依頼する。これにより図14のS1420で、代行アップロード完了メールを送信する。そしてS1611に進み、リクエスト処理部431がレスポンス生成部432に、代行処理完了画面の生成を依頼する。レスポンス生成部432は、Webブラウザ451に、生成した代行処理完了画面(図12)を表示させ(S1421)、ユーザBに代行処理の完了を通知する。
【0080】
こうして図14のシーケンスを辿った際のWebブラウザ451の画面遷移は、前述の図12に示すようになる。これによって、ユーザBによる代行アップロードを実現している。
【0081】
以上説明したように図13、図14に示すシーケンスを辿ることで、ユーザAがWebサーバ102へのスキャンアップロードに失敗したスキャンデータを、ユーザBが代行してアップロードし、そのデータをユーザAがファイルを閲覧することが可能となる。これによって、目的であった、外部ストレージサービスからエラーが通知された場合でも、外部ストレージサービスにスキャンデータを送信できるため、ユーザの作業時間の短縮を実現できる。
【0082】
[実施形態2]
次に本発明の実施形態2として、代行アップロードを依頼せずに、共有アカウントによる代行アップロードを実現する形態を説明する。尚、実施形態2に係るシステム構成、画像形成装置101及びWebサーバ102のハードウェア構成は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0083】
図17は、実施形態2に係るWebサーバ102、画像処理装置101のアプリケーションのソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。前述の実施形態1に係る図4との相違点は、自動代行リスト管理部1715が加わった点と、アプレット部1720のUI制御部1722に代行処理完了UIが加わった点である。尚、図4に示す各部と共通する部分には同じ番号を付して、それらの説明を省略する。
【0084】
自動代行リスト管理部1715は、サーブレット部1730のリクエスト処理部1731から代行アップロードを依頼したアカウントと、実際に代行アップロードを行った共有アカウントが送信された場合、それを対応付けした上で記録し、リスト管理する。この際同時に、共有アカウントの認証情報も記録する。また、アプレット部1720から代行依頼アカウントと、共有アカウントの検索を依頼された場合、2つのアカウントが、対応付けされた上で記録されているかを調べる。その後、結果をリクエスト処理部421に送信する。
【0085】
図18は、実施形態2に係るアプリケーション1710のサーブレット部430が生成する代行アップロード用の認証画面の一例を示す図である。尚、ここでは、ユーザAからユーザBに対し、代行アップロード依頼メールが送信され、ユーザBがブラウザ451を使用して、メール本文のURLにアクセスしたと仮定する。
【0086】
図18は、Webブラウザ451のコンテンツ表示領域を示し、1802はWebブラウザ451のアドレスバーである。1803はユーザ名入力フィールドである。1804はパスワード入力フィールドである。1805は代行アップロードの拒否ボタン、1806は代行アップロードの開始ボタンを示す。チェックボックス1807は、次回以降、同じユーザから代行依頼を受けた場合、自動的に代行アップロードを行うことを許可する場合にチェックされる。このチェックボックス1806にチェックが入った上でユーザBが代行アップロードに成功した場合、次回以降、ユーザAがユーザBに代行アップロードを依頼した場合、ユーザBにアップロード代行依頼メールは送信されなくなる。更に、ユーザBの認証情報を使用して自動的に代行アップロードが行われるようになる。即ち、サーブレット部430の動作なしに、代行アップロードが行うことが可能となる。
【0087】
図19は、実施形態2に係るアプリケーション1710のアップロード代行処理の動作を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM212或いはHDD214に記憶されており、実行時RAM213に展開され、CPU211の制御の下に実行される。
【0088】
まずS1901で、Webブラウザ451により図18に示す画面が表示される。これによってユーザBに代行アップロードの承諾とアップロードに必要な認証情報を要求する。また、リクエスト処理部431は、Webブラウザ451からリクエスト時に取得したURLに付随している現在時刻(画像処理装置内ストレージ440にスキャンデータが格納された時刻)を取得し、保持する。更に、図18のチェックボックス1807のチェックの有無を記憶する。
【0089】
次にS1902からS1910の処理は、図16のS1602からS1610の処理と同様の動作であるため、その説明を省略する。そしてS1911に進み、S1901で保持したチェックボックス1807のチェックの有無を判断する。チェックボックス1807にチェックがされていないと判断した場合はS1913に進む。チェックボックス1807がチェックされていると判断するとS1912に進み、リクエスト処理部431は自動代行リスト管理部1715に、代行依頼アカウントであるユーザAと共有アカウントであるユーザBのアカウント名とを対応付けて記憶させる。これと同時にユーザBのパスワード情報も記録させる。またS1913及びS1914は、それぞれ図16のS1611とS1612と同様の処理であるため、その説明を省略する。
【0090】
上記のフローチャートで示す処理により、Webブラウザ451により表示される画面は図12に示すようになる。
【0091】
図20は、実施形態2に係るアプリケーション1710のアップロード代行依頼処理の動作を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM212或いはHDD214に記憶されており、実行時RAM213に展開され、CPU211の制御の下に実行される。次にS2001からS2004の処理は、図15のS1501からS1504の処理と同様の動作であるため、その説明を省略する。またS2004で、代行依頼が行われなかった場合はS2013に進み、実施形態1と同様にアップロードは中止される。
【0092】
S2004で代行が依頼されるとS2005に進む。S2005では、リクエスト処理部421が自動代行リスト管理部1715に、S2004で選択された共有アカウントであるユーザBと、代行依頼を行っているユーザAが、対応付けて記憶されているかどうかを問い合わせて判断する。またこの際、対応付けて記憶されていないと判断された場合はS2014に進み、実施形態1のS1505〜S1507(図15)と同様にユーザBに代行依頼が行われる。
【0093】
S2005でユーザAとユーザBが対応付けて記憶されていると判断された場合はS2006に進み、リクエスト処理部421は、自動代行リスト管理部1715から、共有アカウントであるユーザBのパスワードを取得する。次にS2007に進み、その取得したパスワードを使用して、ユーザBによる認証処理を行う。次にS2008に進み、S2007での認証が正しく行われたかを判断し、認証エラーと判断された場合はS2003に戻って処理が実行される。
【0094】
S2007で認証に成功するとS2009に進み、ユーザBのアカウントで、スキャンデータのアップロードが行われる。次にS2010に進み、S2009でのアップロードが正常に完了したかどうかを判断し、正常に完了していないときはS2003に戻って処理を実行する。こうしてアップロードに成功するとS2011に進み、そのアップロードしたファイルの共有設定を行う。この場合の共有アカウントは、アップロード代行を依頼したユーザAである。そしてS2012に進み、リクエスト処理部421がUI制御部1722に代行処理完了UIの表示を要求する。これによって代行処理完了画面が表示される。
【0095】
図21は、画像形成装置の操作部219に表示される代行処理完了画面の一例を示す図である。
【0096】
以上が、実施形態2に係るアプリケーションの動作であり、これによって共有アカウントに代行アップロード依頼を行うことなく、代行アップロードの実行が実現する。
【0097】
以上説明したように実施形態2によれば、共有アカウントによる代行アップロードの実行時に自動代行アップロードを許可する。これにより、スキャンデータのアップロードの際にエラーが発生しても、代行アカウントへのアップロード依頼なしに、代行アップロードを行うことができる。
【0098】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データをネットワークを介して記憶装置に転送して記憶させることが可能な画像処理装置であって、
画像データを前記記憶装置にアップロードする際にエラーが発生すると、当該記憶装置の共有フォルダに設定されている共有アカウントを取得する取得手段と、
アップロードの対象の画像データを記憶する記憶手段と、
前記取得手段により取得された共有アカウントを用いて、前記記憶手段に記憶された前記アップロードの対象の画像データを前記記憶装置にアップロードするアップロード手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記アップロード手段によるアップロードが完了すると、前記記憶手段に記憶された前記アップロードの対象の画像データを削除する削除手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記共有アカウントに対してアップロードの代行処理を依頼するメールを送信する送信手段と、
前記共有アカウントに対して、前記アップロードの代行処理の依頼用の画面を提供する手段とを更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記共有アカウントに対して、次回から自動的にアップロードの代行処理を行うように指示する指示手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得手段が複数の共有アカウントを取得した場合、当該複数の共有アカウントの一覧を表示してユーザに選択させる選択手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、Webサーバであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像データをネットワークを介して記憶装置に転送して記憶させることが可能な画像処理装置を制御する制御方法であって、
取得手段が、画像データを前記記憶装置にアップロードする際にエラーが発生すると、当該記憶装置の共有フォルダに設定されている共有アカウントを取得する取得工程と、
記憶手段が、アップロードの対象の画像データをメモリに記憶する記憶工程と、
アップロード手段が、前記取得工程で取得された共有アカウントを用いて、前記メモリに記憶された前記アップロードの対象の画像データを前記記憶装置にアップロードするアップロード工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−51597(P2013−51597A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189324(P2011−189324)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】