説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】ボックス保存されている印刷データに基づいて再印刷を行う場合に、その実際に印刷される部分の色状態に適した印刷方法(カラー印刷/モノクロ印刷)により印刷を行う。
【解決手段】カラー画素を有し、その印刷をカラーで行うべきと判定された原稿の画像データに基づいて生成された印刷データを受信し、受信した印刷データに基づく再印刷に備えるべく、印刷データを記憶部に記憶する画像処理装置において、その記憶された印刷データを用いて原稿全体のうち一部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを再判定する再判定部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去の印刷時に作成されたCMYKデータなどの印刷データを記憶し、その印刷データに基づいて再印刷を可能とする画像処理装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータなどのクライアント装置から印刷ジョブを受信して印刷を実行する印刷装置において、その印刷時のデータを一定期間記憶し、印刷装置のところで、その記憶されている印刷データについての再印刷指示を受け付け、再印刷を実行できるようにしたものが知られている。
【0003】
特許文献1では、印刷ジョブを受信して印刷を実行する際に、印刷すべき原稿がカラーであるか白黒であるかを判定し、その判定結果がカラーであればカラー印刷を、白黒であれば白黒印刷を実行するとともに、その判定結果を印刷データと併せて記憶しておくことで、再印刷の際にも、その判定結果に従ってカラー印刷または白黒印刷を実行する印刷装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−112688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、記憶されている印刷データを選択して再印刷を行う際に、ユーザにより用紙のサイズや余白の大きさなどの印刷条件が変更され、その結果、印刷の対象範囲が最初の印刷時よりも狭い原稿の一部分のみとなる場合がある。たとえば、最初の印刷時よりも小さいサイズの用紙を指定して印刷を行う場合と、最初の印刷時よりも余白の大きさを大きくして印刷を行う場合は、いずれも原稿が印刷される用紙領域の大きさが最初の印刷時よりも小さくなるため、印刷の対象範囲が最初の印刷時よりも狭い原稿の一部分のみとなる。
【0006】
このような場合、最初の印刷時におけるカラー/モノクロ(白黒等)の判定結果をそのまま適用して再印刷を行う上記従来の印刷装置では、最初の印刷時に原稿がカラーであると判定された場合には、再印刷の印刷範囲にカラーと認識される部分が含まれていないとしても常に印刷はカラーで行われることとなるため、印刷コストに無駄が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、記憶されている印刷データに基づいて再印刷を行う場合に、その実際に印刷される部分の色状態に適したカラー印刷またはモノクロ印刷により印刷を実行することができる画像処理装置およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、カラー画素を有し、その印刷をカラーで行うべきと判定された原稿の画像データに基づいて生成された印刷データを受信し、受信した印刷データに基づく再印刷に備えるべく、印刷データを記憶部に記憶する画像処理装置であって、その記憶された印刷データを用いて原稿全体のうち一部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを再判定する再判定部を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、印刷をモノクロで行うとは、例えば単純白黒印刷とか、グレースケール印刷など、1色の記録材(インクなど)を使用して印刷を行うことを意味し、印刷をカラーで行うとは、2色以上の記録材を使用して印刷を行うことを意味する。
【0010】
上記画像処理装置において、記憶部は、原稿におけるカラー画素の位置を記憶するものであり、再判定部は、記憶されたカラー画素の位置に基づいて、前記一部分におけるカラー画素数または前記一部分の全画素数に対するカラー画素数の比を算出し、算出されたカラー画素数またはカラー画素数の比に基づいて再判定を行うものであってもよい。
【0011】
ここで、カラー画素数またはカラー画素数の比に基づいて再判定を行うとは、カラー画素数又はカラー画素数の比が所定の閾値よりも小さい場合は再印刷をモノクロで行うべきと判断し、閾値よりも大きい場合は印刷をカラーで行うべきと判定することを意味する。
【0012】
また、上記画像処理装置において、記憶部は、原稿の前記一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、その部分におけるカラー画素数または該部分の全画素数に対するカラー画素数の比を予め算出して得られた値を記憶するものであり、再判定部は、前記一部分に対応する前記印刷候補部分におけるカラー画素数または前記一部分の全画素数に対する前記カラー画素数の比に基づいて再判定を行うものであってもよい。
【0013】
また、上記画像処理装置において、記憶部は、原稿の前記一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、その部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを予め判定して得られた判定結果を記憶するものであり、再判定部は、前記一部分に対応する印刷候補部分についての前記判定結果に従って前記再判定を行うものであってもよい。
【0014】
また、上記画像処理装置は、再判定部が印刷をカラーで行うべきと判定した場合には、記憶部に記憶された原稿の印刷データを用いてカラー印刷用の印刷データを生成し、再判定部が印刷をモノクロで行うべきと判定した場合には、記憶部に記憶された原稿の印刷データを用いてモノクロ印刷用の印刷データを生成することにより、再印刷用の印刷データを生成する印刷データ生成部をさらに備えたものであってもよい。
【0015】
本発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、上記画像処理装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像処理装置およびプログラムによれば、カラー画素を有し、その印刷をカラーで行うべきと判定された原稿の画像データに基づいて生成された印刷データを受信し、受信した印刷データに基づく再印刷に備えるべく、印刷データを記憶部に記憶し、その記憶された印刷データを用いて原稿全体のうち一部分を印刷する場合に、その印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを再判定するようにしたので、その印刷の対象部分の色状態に適したカラー印刷またはモノクロ印刷により印刷を実行することができる。特に、再印刷の対象部分にカラーと認識される部分がカラー印刷を行う必要があるほどに含まれていない場合に、印刷をカラーで行うべきとの最初の判定結果をそのまま使用することなく、再判定を実施し、その再判定結果に基づいて印刷をモノクロで行うようにすることができ、印刷にかかるコストを低減させることができる。
【0017】
また、上記画像処理装置およびプログラムにおいて、原稿におけるカラー画素の位置を記憶部に記憶し、その記憶されたカラー画素の位置に基づいて、前記一部分におけるカラー画素数または前記一部分の全画素数に対するカラー画素数の比を算出し、算出されたカラー画素数またはカラー画素数の比に基づいて再判定を行うようにした場合には、印刷データ(CMYKデータなど)をカラー/モノクロの判定に直接使用可能な別形式の画像データ(RGBデータ、Labデータなど)に変換し、変換したデータを用いてカラー/モノクロの判定を行う場合に比べて、計算量を少なくすることができ、再判定にかかる処理時間を短縮することができる。
【0018】
また、上記画像処理装置およびプログラムにおいて、原稿の前記一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、その部分におけるカラー画素数または該部分の全画素数に対するカラー画素数の比を予め算出して得られた値を記憶部に記憶し、前記一部分に対応する印刷候補部分におけるカラー画素数または前記一部分の全画素数に対する前記カラー画素数の比に基づいて再判定を行うようにした場合にも、印刷データ(CMYKデータなど)をカラー/モノクロの判定に直接使用可能な別形式の画像データ(RGBデータ、Labデータなど)に変換し、変換したデータを用いてカラー/モノクロの判定を行う場合に比べて、計算量を少なくすることができ、再判定にかかる処理時間を短縮することができる。
【0019】
また、上記画像処理装置およびプログラムにおいて、原稿の前記一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、その部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを予め判定して得られた判定結果を記憶部に記憶し、前記一部分に対応する印刷候補部分についての前記判定結果に従って再判定を行うようにした場合にも、印刷データ(CMYKデータなど)をカラー/モノクロの判定に直接使用可能な別形式の画像データ(RGBデータ、Labデータなど)に変換し、変換したデータを用いてカラー/モノクロの判定を行う場合に比べて、計算量を少なくすることができ、再判定にかかる処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】印刷システムの概略構成図
【図2】プリンタドライバによる関連情報の生成を説明するための図
【図3】印刷データ管理装置の構成を示すブロック図
【図4】印刷システムの作用を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明の一実施形態における印刷システムの概略構成を示す。図に示すように、このシステムは、コンピュータ10、印刷データ管理装置20、印刷装置30などにより構成され、それらはネットワークを介して互いに通信可能な状態で接続されている。このうち、印刷データ管理装置20が、本発明の画像処理装置の一実施形態に相当し、印刷データ管理装置20の各機能を実現するソフトウェアプログラムが、本発明の画像処理プログラムに相当する。
【0022】
コンピュータ10は、データやプログラムを記憶するメモリと、メモリに記憶されているプログラムを実行する処理装置と、ディスプレイと、キーボード・マウスなどの入力機器により構成されている。メモリには、コンピュータ10にメモ帳やWord(登録商標)などのような原稿を表す画像データを作成する機能を実現させるためのアプリケーションや、ユーザによる原稿画像の印刷指示に応じて、アプリケーションによって生成された原稿の画像データに基づいて印刷装置20において取扱可能な印刷データを生成する機能を実現させるためのプリンタドライバなどのソフトウェアプログラムが組み込まれている。
【0023】
プリンタドライバは、印刷データの生成に必要な機能として、より具体的には、印刷条件(用紙サイズ、余白サイズ、印刷部数など)のユーザによる入力を受け付けるユーザーインターフェースを備え、そのユーザーインターフェースによって受け付けられた印刷条件を取得する印刷条件取得機能、原稿の各画素についてその画素の画素値の色バランス(たとえば、RGB値のバランス)からその画素がカラーかモノクロかを判別し、カラー画素であると判別された画素の数が所定の閾値よりも大きい場合はその印刷をカラーで行うべきと判定し、所定の閾値よりも小さい場合はその印刷をモノクロで行うべきと判定するカラー/モノクロ判定機能や、印刷条件とカラー/モノクロの判定結果に基づいて、アプリケーションによって生成された原稿の画像データから印刷装置20において取扱可能な形式の印刷データ(カラーの場合はCMYデータまたはCMYKデータ/モノクロの場合はC,M,Y,Kデータ等)を生成する印刷データ生成機能などを提供する。
【0024】
また、プリンタドライバは、その印刷をカラーで行うべきと判定された原稿の画像データに基づいて生成される印刷データに関連する情報として、以下に説明する第1の関連情報、第2の関連情報、および第3の関連情報のいずれかを選択的に生成する関連情報生成機能を提供する。
【0025】
第1の関連情報は、原稿におけるカラー画素の位置を表す情報である。本実施形態では、原稿上での各カラー画素の位置座標であるとする。この第1の関連情報は、上述したカラー/モノクロの判断時にカラーであると判断された各画素について、その画素の原稿上での位置座標を取得することにより求められる。ここで、原稿における各カラー画素の位置は、その原稿の画像データに基づいて生成された印刷データにおける各カラー画素の位置に直接対応する。
【0026】
第2の関連情報は、その印刷データに基づく再印刷時に、用紙サイズ、余白サイズなどの印刷条件が変更されることにより、原稿全体のうちの一部分を印刷する場合を想定し、その一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎にその印刷候補部分におけるカラー画素の数を算出した値である。
【0027】
たとえば、図2に示すように、黒(あるいはグレー)の画素からなる部分52aと、カラーの画素からなる部分52bとを有する原稿52をA3サイズの用紙へ印刷することを前提に生成した印刷データ53について、再印刷時に、印刷に用いる用紙のサイズがB4サイズまたはA4サイズに変更され、原稿全体のうちの、原稿の所定位置(図2では、上端中央部)におけるB4サイズの印刷候補部分53aとA4サイズの印刷候補部分53bがそれぞれ印刷の対象範囲となる場合が想定されることから、各印刷候補部分53a、53bにおけるカラー画素数を算出し、各算出されたカラー画素数を対応する印刷候補部分の識別情報と関連付けておく。
【0028】
ここで、各印刷候補部分におけるカラー画素の数は、上述したカラー/モノクロの判断時にカラーであると判断された全ての画素のうち、印刷候補部分に位置する画素の数をカウントすることにより求められる。図2に示すように、印刷候補部分53bには、カラーの画素からなる部分52bが含まれていないので、カラー画素数の算出結果はゼロとなり、印刷候補部分53aには、カラーの画素からなる部分52bが含まれているので、カラー画素数の算出結果はゼロより大きい値となる。
【0029】
なお、上記原稿の所定位置は、原稿の左上端部、上端中央部など、原稿の一部分を印刷する場合にその位置の部分が印刷されるように予め設定されている位置をいう。
【0030】
第3の関連情報は、その印刷データに基づく再印刷時に、用紙サイズ、余白サイズなどの印刷条件が変更されることにより、原稿全体のうちの一部分を印刷する場合を想定し、その一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、その印刷候補部分を印刷の対象範囲とした場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを予め判定して得られた判定結果である。
【0031】
たとえば、上述したように、印刷データ53に基づく再印刷時に、用紙のサイズがB4サイズまたはA4サイズに変更されることにより、印刷の対象範囲となり得る各印刷候補部分53a、53bについてその印刷候補部分におけるカラー画素数を算出し、算出されたカラー画素数が所定の閾値よりも大きい場合はその印刷をカラーで行うべきと判定し、所定の閾値よりも小さい場合はその印刷をモノクロ(ここでは白黒)で行うべきと判定し、その判定結果を対応する印刷候補部分の識別情報と関連付けておく。
【0032】
また、コンピュータ10は、プリンタドライバによって生成された印刷データとその印刷データに関連付けられている印刷条件やカラー/モノクロの判定結果、関連情報などの各種情報を印刷データ管理装置20出力したり、印刷データを印刷装置30に出力したりするための通信手段を備えている。
【0033】
印刷装置30は、印刷データ管理装置20に記憶されている印刷データのリストを記憶するメモリと、記憶されているリストを表示させ、ユーザによる印刷指示の入力を受け付けたり、印刷条件の入力を受け付けたりするための操作パネルと、再印刷の指示を受けた印刷データを特定するための情報や再印刷の印刷条件などを印刷データ管理装置20に送信したり、コンピュータ10や印刷データ管理装置20から印刷データを受信したりするための通信手段と、コンピュータ10や印刷データ管理装置20から送信された印刷データに基づいて用紙に印刷を施す印刷手段などを備えている。
【0034】
印刷手段は、給紙機構、搬送機構、排紙機構およびインクジェットヘッドを備えており、用紙をインクジェットヘッドに向けて供給し、コンピュータ10や印刷データ管理装置20から送信された印刷データに基づいて、インクジェットヘッドがライン毎にインクを吐出することにより、用紙に画像を形成するものである。
【0035】
印刷データ管理装置20は、コンピュータ10等から受信した印刷データをメモリに記憶しておき、再印刷のための印刷データの転送依頼を受け付け、メモリに記憶されている印刷データ、あるいはその印刷データを必要に応じて加工したものを提供するものであり、図3に示すように、データやプログラムを記憶するメモリ21と、メモリに記憶されているプログラムを実行する処理装置22などにより構成されている。図3では、処理装置22に組み込まれたソフトウェアの機能を概念的に表している。
【0036】
印刷データ管理装置20は、図3に示すように、コンピュータ10から印刷データとその印刷データに関連付けられている各種情報(印刷条件やカラー/モノクロの判定結果、関連情報など)を受信したり、印刷装置30から再印刷の指示を受けた印刷データを特定するための情報と再印刷の印刷条件(再印刷のための印刷データの転送依頼)を受信したり、再印刷用の印刷データを印刷装置30に送信したりするための通信手段23と、コンピュータ10から受信した印刷データとその印刷データに関連付けられている各種情報をメモリ21に記憶させるメモリ管理手段24と、再印刷の指示を受けた印刷データがカラー印刷用の印刷データ(CMYデータまたはCMYKデータ)であって、かつ、再印刷の印刷条件が、印刷データに関連付けられている印刷条件と異なる場合に、その印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを再判定する再判定手段27と、メモリ21に記憶された印刷データを用いて再印刷用の印刷データを生成する印刷データ生成手段28とを備えている。なお、このうち、メモリ21とメモリ管理手段24が、本発明の記憶部に相当する。
【0037】
再判定手段27は、メモリ21に記憶されているカラー印刷用の印刷データのいずれかについて、印刷装置30から再印刷のための印刷データの転送依頼を受け付けた場合に、印刷装置から受信した再印刷の印刷条件を、その印刷データに関連付けられてメモリ21に記憶されている印刷条件と比較することで、用紙サイズなどの印刷の対象範囲に関係する印刷条件が変更されたか否か、すなわち、印刷の対象範囲に変化があるか否かを判定する。そして、印刷の対象範囲に変化があると判定した場合に、再印刷の印刷条件とその印刷データに関連付けられてメモリ21に記憶されている関連情報を用いて、その印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを判定する。以下、その具体的な判定方法について説明する。
【0038】
関連情報が第1の関連情報である場合、再判定手段27は、再印刷の印刷条件を用いて原稿上での印刷の対象範囲となる部分の座標範囲を求め、第1の関連情報、すなわち原稿上でのカラー画素の位置座標を用いてその座標範囲内に存在するカラー画素の数を算出し、算出されたカラー画素の数が所定の閾値よりも大きい場合はその印刷をカラーで行うべきと判定し、所定の閾値よりも小さい場合はその印刷をモノクロで行うべきと判定する。
【0039】
関連情報が第2の関連情報である場合、再判定手段27は、再印刷の印刷条件を用いて印刷の対象範囲を求め、第2の関連情報の1つまたは複数の印刷候補部分のうち再印刷の対象範囲に対応する(一致する)印刷候補部分を特定し、特定した印刷候補部分に関連付けられているカラー画素数が所定の閾値よりも大きい場合はその印刷をカラーで行うべきと判定し、所定の閾値よりも小さい場合はその印刷をモノクロで行うべきと判定する。
【0040】
関連情報が第3の関連情報である場合、再判定手段27は、再印刷の印刷条件を用いて印刷の対象範囲を求め、第3の関連情報の1つまたは複数の印刷候補部分のうち再印刷の対象範囲に対応する(一致する)印刷候補部分を特定し、特定した印刷候補部分に関連付けられているカラー/モノクロの判定結果に従ってその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを判定する。
【0041】
印刷データ生成手段28は、メモリ21に記憶されている印刷データのいずれかについて、印刷装置から再印刷のための印刷データの転送依頼を受け付けた場合であって、再印刷の印刷条件が印刷データに関連付けられてメモリ21に記憶されている印刷条件から変更され、その結果印刷の対象範囲に変化がある場合、すなわちメモリ21に記憶されている印刷データのままでは再印刷が実行できない場合に、メモリ21に記憶された印刷データを用いて再印刷用の印刷データを生成する。
【0042】
具体的には、再印刷の指示を受けた印刷データがカラー印刷用の印刷データである場合に、再印刷の印刷条件と再判定手段27によるカラー/モノクロの判定結果に基づいて、メモリ21に記憶された印刷データ(CMYデータまたはCMYKデータ)から再印刷用の印刷データを生成する。特に、再判定手段27によるカラー/モノクロの判定結果がカラーである場合には、メモリ21に記憶された原稿の印刷データを用いてカラー印刷用の印刷データ(CMYデータまたはCMYKデータ)を生成し、再判定手段27によるカラー/モノクロの判定結果がモノクロである場合には、メモリ21に記憶された原稿の印刷データを用いてモノクロ印刷用の印刷データ(C,M,Y,Kデータ等のいずれか)を生成する。
【0043】
また、再印刷の指示を受けた印刷データがモノクロ印刷用の印刷データである場合には、再印刷の印刷条件に基づいて、メモリ21に記憶された印刷データ(C,M,Y,Kデータ等のいずれか)から再印刷用の印刷データ(例えば、Kデータ)を生成する。
【0044】
以下、図4に示すフローチャートを参照して、本実施形態の印刷システムの作用について説明する。まず、コンピュータ10のアプリケーションによって作成した原稿データについて、ユーザによる印刷指示がなされると(ST1)、原稿データがアプリケーションからプリンタドライバ12に出力される。また、コンピュータ10のプリンタドライバが、用紙サイズ、余白サイズ、変倍率などの印刷条件の設定を受け付ける印刷条件受付画面をコンピュータ10のディスプレイに表示させ、印刷条件受付画面に対するユーザのキーボード・マウス入力に基づいて印刷条件を取得する(ST2)。
【0045】
そして、プリンタドライバが、原稿の各画素についてその画素値の色バランス(たとえば、RGB値のバランス)からカラー画素であるかモノクロであるかを判別し、カラー画素であると判別された画素の数が所定の閾値よりも大きい場合はその印刷をカラーで行うべきと判定し、所定の閾値よりも小さい場合はその印刷をモノクロで行うべきと判定する(ST3)。次いで、プリンタドライバが、ステップST2において取得された印刷条件とステップST3において得られたカラー/モノクロの判定結果とに基づいて、アプリケーションによって生成された原稿の画像データから印刷装置20において取扱可能な形式の印刷データを生成する。このとき、判定結果がカラーである場合はCMYデータまたはCMYKデータを生成し、モノクロである場合はC,M,Y,Kデータ等のいずれかを生成する。また、プリンタドライバは、ステップST3において得られたカラー/モノクロの判定結果がカラーである場合に、生成される印刷データに関連する情報として、上述した第1の関連情報、第2の関連情報、または第3の関連情報をさらに生成する(ST4)。
【0046】
次いで、コンピュータ10が、ステップST3において生成された印刷データを印刷装置30に出力し、印刷装置30が、コンピュータ10から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する。また、コンピュータ10が、印刷データとその印刷データに関連付けられている印刷条件やカラー/モノクロの判定結果、関連情報などの各種情報を印刷データ管理装置20へ出力し、印刷データ管理装置20のメモリ管理手段24が、コンピュータ10から受信した印刷データとその印刷データに関連付けられている各種情報をメモリ21に記憶させる。すなわち、ボックス保存する(ST5)。
【0047】
その後、印刷装置30の操作パネルによって、印刷データ管理装置20のメモリ21に記憶されている印刷データのいずれかについて、ユーザによる印刷指示を受け付けると(ST6)、印刷装置30が、再印刷の指示を受けた印刷データを特定するための情報や再印刷の印刷条件を印刷データ管理装置20に送信し、印刷データ管理装置20の通信手段23がそれを受信する。そして、印刷データ管理装置20の再判定手段27が、印刷装置30から受信した情報を用いてメモリ21に記憶されている印刷データの中から再印刷の指示を受けた印刷データを特定するとともに、印刷装置30から受信した再印刷の印刷条件を、特定した印刷データに関連付けられてメモリ21に記憶されている印刷条件と比較することで、用紙サイズなどの印刷の対象範囲に関係する印刷条件が変更されたか否か、すなわち、印刷の対象範囲に変化があるか否かを判定する(ST7)。
【0048】
ステップST7において印刷の対象範囲に変化がないと判定された場合(NOの場合)には、印刷データ管理装置20の通信手段23が、ステップST6において特定された印刷データを印刷装置30に送信し、印刷装置30が、その印刷データ管理装置20から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する(ST10)。
【0049】
一方、ステップST7において印刷の対象範囲に変化があると判定された場合(YESの場合)には、印刷データ管理装置20の再判定手段27が、印刷装置30から受信した再印刷の印刷条件と上記特定された印刷データに関連付けられてメモリ21に記憶されている関連情報とを用いて、その印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを判定する。この判定はメモリ21に記憶されている関連情報が第1から3のいずれの関連情報であるかによって異なり、各場合における具体的な判定方法は上述したとおりである(ST8)。なお、再印刷の指示を受けた印刷データがモノクロ印刷用の印刷データである場合には、カラー/モノクロの判定結果をモノクロとし、直接判定処理を行う必要はない。
【0050】
次いで、印刷データ管理装置20の印刷データ生成手段28が、再印刷の印刷条件と再判定手段27によるカラー/モノクロの判定結果とに基づいて、メモリ21に記憶された印刷データから再印刷用の印刷データを生成する。ステップST8における判定結果がカラーである場合はCMYデータまたはCMYKデータを生成し、モノクロである場合はC,M,Y,Kデータ等のいずれかを生成する(ST9)。そして、印刷データ管理装置20の通信手段23が、ステップST9において生成された印刷データを印刷装置30に送信し、印刷装置30が、その印刷データ管理装置20から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する(ST10)。
【0051】
上記構成により、本印刷システムによれば、カラー/モノクロの判定結果に基づいて生成された原稿の印刷データを再印刷に使用するためにボックス保存し、再印刷時に、再度カラー/モノクロの判定を行い、その結果に基づいて再印刷用の印刷データを生成・提供するようにしたので、再印刷の対象部分の色状態に適した印刷態様(カラー印刷またはモノクロ印刷)により印刷を実行することができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、ボックス保存の対象が印刷の指示を受けて作成された印刷データである場合について説明したが、原稿の画像データについて直接ボックス保存の指示を受け付け、印刷データを作成し、ボックス保存するようにしてもよい。すなわち、ボックス保存は印刷の実行を前提とするものではない。
【0053】
また、上記実施形態では、印刷データ管理装置20が印刷装置30から独立した装置であるものとして説明したが、印刷装置30に内蔵されたものであってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、原稿の画像データが、コンピュータ10のアプリケーションにおいて作成されたものである場合について説明したが、印刷装置30に備える(あるいは印刷装置30から独立した装置である)イメージスキャナ等の読取装置によって原稿からその画像を読み取って得られた画像データであってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、印刷装置30が、インクジェット方式により用紙に画像を形成するものである場合について説明したが、孔版印刷方式、レーザー方式などの他の方式により用紙に画像を形成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 コンピュータ
20 印刷データ管理装置
21 メモリ
22 処理装置
23 通信手段
24 メモリ管理手段
27 再判定手段
28 印刷データ生成手段
30 印刷装置
53a、53b 印刷候補部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画素を有し、その印刷をカラーで行うべきと判定された原稿の画像データに基づいて生成された印刷データを受信し、該受信した印刷データに基づく再印刷に備えるべく、該印刷データを記憶部に記憶する画像処理装置であって、
前記記憶された印刷データを用いて前記原稿全体のうち一部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを再判定する再判定部を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記記憶部が、前記原稿における前記カラー画素の位置を記憶するものであり、
前記再判定部が、前記記憶されたカラー画素の位置に基づいて、前記一部分におけるカラー画素数または前記一部分の全画素数に対する前記カラー画素数の比を算出し、該算出されたカラー画素数またはカラー画素数の比に基づいて前記再判定を行うものであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶部が、前記原稿の前記一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、該部分におけるカラー画素数または該部分の全画素数に対するカラー画素数の比を予め算出して得られた値を記憶するものであり、
前記再判定部が、前記一部分に対応する前記印刷候補部分におけるカラー画素数または前記一部分の全画素数に対する前記カラー画素数の比に基づいて前記再判定を行うものであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶部が、前記原稿の前記一部分となり得る1つまたは複数の印刷候補部分毎に、該部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを予め判定して得られた判定結果を記憶するものであり、
前記再判定部が、前記一部分に対応する前記印刷候補部分についての前記判定結果に従って前記再判定を行うものであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記再判定部が前記印刷をカラーで行うべきと判定した場合には、前記記憶部に記憶された前記原稿の印刷データを用いてカラー印刷用の印刷データを生成し、前記再判定部が前記印刷をモノクロで行うべきと判定した場合には、前記記憶部に記憶された前記原稿の印刷データを用いてモノクロ印刷用の印刷データを生成することにより、前記再印刷用の印刷データを生成する印刷データ生成部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
カラー画素を有し、その印刷をカラーで行うべきと判定された原稿の画像データに基づいて生成された印刷データを受信し、該受信した印刷データに基づく再印刷に備えるべく、該印刷データを記憶部に記憶する画像処理装置としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラムであって、
前記コンピュータを、前記記憶された印刷データを用いて前記原稿全体のうち一部分を印刷する場合にその印刷をカラーで行うべきかモノクロで行うべきかを再判定する再判定部として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−218313(P2012−218313A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86994(P2011−86994)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】