説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】2次元画像を使用して容易に疑似的な仮想3次元空間を表現可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置50は、所定の視界が表現された2次元画像3の一部に設定された表示領域7を切り出して、モニタに表示する表示制御部63と、2次元画像3を変形して、視線方向が左右いずれかの方向に移動した時の視界を表現するための変形画像3’を生成する変形部62とを有する。変形部62は、視線方向の移動方向を決定し、2次元画像1を分割して複数の分割帯20…20を生成し、各分割帯20のずれ量を決定し、各分割帯20を決定されたずれ量に応じて決定された移動方向にずらすことにより変形画像3’を生成する。表示制御部63は、変形画像3’における表示領域7を切り出して、表示領域7を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元画像を利用して疑似的3次元画像を表現する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元画像を加工することにより疑似的な3次元画像を表現する方法は既に周知である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−157584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の方法は、2次元画像を加工する計算が複雑でありCPUの処理負担が大きいため、特に、画面いっぱいに表示される仮想3次元空間を2次元画像で表現する場合、簡易な構成のゲーム機にとっては大きな負担となる。
【0004】
そこで、本発明は、2次元画像を使用して容易に疑似的な仮想3次元空間を表現可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の手段により上述した課題を解決する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
本発明の画像処理装置(50)は、所定の画像をユーザに提示する表示部(52)と、仮想フィールドにおいて所定位置から所定方向を見た場合の視界が表現された2次元画像(3)を描画メモリ(64)に描画する画像描画部(61)と、前記描画メモリに描画された2次元画像の一部に設定された表示領域(7)を切り出して、前記切り出された表示領域を前記表示部を介してユーザに提示する表示制御部(63)と、前記描画メモリにて、前記2次元画像を変形することにより、前記所定位置からの視線方向が左右いずれかの方向に移動した時の視界を前記ユーザに提示するのに使用される変形画像(3’)を生成する変形部(62)とを有し、前記変形部は、前記視線方向が移動する移動方向を決定する移動方向決定部と、前記2次元画像を水平方向に分割して複数の分割帯(20…20)を生成する画像分割部と、前記複数の分割帯において上方にある分割帯のずれ量が下方にある分割帯のずれ量よりもが大きくなるように各分割帯のずれ量を決定するずれ量決定部と、前記決定された各ずれ量に応じて前記各分割帯を、前記決定された移動方向にずらすことにより、前記変形画像を生成する移動部と、を有し、前記表示制御部は、前記変形画像における前記表示領域を切り出して、前記表示部を介して前記ユーザに提示する、ことにより上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の画像処理装置によれば、2次元画像には仮想フィールドにおいて所定位置から所定方向を見た視界が表現され、当該2次元画像が複数の分割帯に分割される。各分割帯は、上方にある分割帯のずれ量が下方にある分割帯のずれ量よりも大きくなるようにずらされる。即ち、2次元画像において表現されている視界が斜めに変形された変形画像が生成される。これにより、視点位置を変えずに視線を移動させた視界を、疑似的な立体感を伴って表示することができる。また、実際に表示部に表示される2次元画像の一部である表示領域であるため、2次元画像を充分大きく設定しておけば、各分割帯がずらされても表示領域に画像データがなくなるような事態を避けられる。なお、特に、2次元画像の各分割帯は水平方向に移動させるだけであるため、2次元画像は表示領域に表示されている表示画像よりも、水平方向に充分広い画像であればよい。これにより、2次元画像を使用して容易に疑似的な3次元画像を得ることができる。
【0008】
ずれ量は例えばドット単位で決定される。ずれ量を決定する態様には、例えば、ユーザの操作内容によって決定する場合、所定のずれ量が予め決定されている場合、2次元画像がゲーム画面として表示される場合はゲーム状況によって決定する場合等がある。また、移動方向を決定する態様には、例えば、ユーザの操作内容によって決定する場合、所定の方向に予め決定されている場合、2次元画像がゲームに使用される場合はゲーム状況によって決定する場合等がある。分割帯が分割される態様には、分割帯の幅が均等になるように分割される場合と、均一ではない場合とを含む。
【0009】
本発明は、ユーザの操作によって前記視線方向の移動程度及び移動方向に関する操作を受け付ける操作入力部(51)が設けられ、前記移動方向決定部は、前記操作入力部に対する前記移動方向に関する操作に応じて前記移動方向を決定し、前記ずれ量決定部は、前記操作入力部に対する前記移動程度に関する操作に応じて前記ずれ量を決定してもよい。これにより、ユーザの操作に応じて視線を移動させた画像を表示部に表示することができる。
【0010】
前記画像分割部は、前記2次元画像を所定幅の単位分割帯に分割し、前記移動程度に関する操作に応じて、所定数毎の単位分割帯を1つの前記分割帯として設定してもよい。本発明は、例えば移動程度に関する操作の操作量と単位分割帯の数を対応させた対応表を予め用意しておくことにより実現することができる。これにより、ユーザの操作があるたびに分割帯の幅を決定する必要なく、ユーザの操作に応じた単位分割帯の数によって分割帯の幅を決定することができる。更に、コンピュータ画面の走査線のようにハードウェア面において用意されている分割帯を単位分割帯として利用することができ、プログラム構成を簡易にすることができる。
【0011】
前記2次元画像は矩形であり、前記ずれ量決定部は、前記変形画像が前記2次元画像の底辺を底辺とする略平行四辺形となるように前記各分割帯のずれ量を決定してもよい。略平行四辺形となるように各分割帯がずらされると、2次元画像にて表現された画像が自然に斜めになった状態を変形画像にて表現することができる。分割帯をずらす程度が1つ、例えば1ドットの時は、当該平行四辺形の1つの内角の値を予め設定しておけばよく、分割帯をずらす程度が2つ以上の時は、各程度に応じて1つの内角の値を対応付け、各内角の値に各分割帯のずれ量を予め設定しておけばよい。
【0012】
前記2次元画像は、地模様又は単一色の無地模様で示される背景画像(6)とその背景画像内に配置される少なくとも1つのオブジェクト画像(5)とで構成され、前記表示制御部は、前記各分割帯が前記移動部によってずらされたことにより、前記変形画像の表示領域内に画像が描画されない欠損領域が発生したか否かを判別し、前記欠損領域が発生したと判別した場合は、その領域を前記背景画像で補充してもよい。これにより、移動部によって分割帯がずらされた結果、表示領域に画像データがない欠損領域が発生した場合であっても、欠損領域は背景として表示される。従って、欠損領域の発生を考慮せずに2次元画像の大きさを決定することができる。また、視線の移動程度も大きくすることができる。
【0013】
前記2次元画像は、平面的な領域として表現された平面画像と、前記平面画像上に高さがあるオブジェクトとして配置された高オブジェクト画像(8、9)とで構成され、前記変形部は、前記2次元画像のうち前記平面画像を変形し、前記高オブジェクト画像を、前記平面画像において配置された位置がその配置された位置を含む分割帯のずれに伴ってずれた位置に配置して、前記変形画像として生成してもよい。
【0014】
高さのある高オブジェクトも2次元画像に含ませて変形すると、変形画像にて高オブジェクトも斜めに表現され、不自然な視界画像となってしまう。これに対しては、本発明においては、高オブジェクトは2次元画像の変形を行わず位置のみがずらされるので、形状が変化することはない。従って、視線方向が移動した画像にて、高オブジェクトが斜めになって表示される不自然な状態を回避することができる。高オブジェクトの位置は、例えば、高オブジェクトが平面画像に接地する座標で特定される。
【0015】
前記高いオブジェクトに関して、前記分割帯のずれ量に応じた複数の高オブジェクト画像が記憶された高オブジェクト画像記憶部(53)が備えられ、前記分割帯のずれ量に応じた前記高オブジェクト画像を決定し、前記決定された高オブジェクト画像を、前記ずれた位置に配置してもよい。これにより、高オブジェクト画像に関して、視線方向に応じた形状を表示部に表示することができる。
【0016】
前記2次元画像には近景が表現され、前記2次元画像の上側に遠景が表現された不変2次元画像(2)が組み合わされて全景画像(1)が構成され、前記表示領域は前記不変2次元画像の一部を含むように設定され、前記変形部は、前記全景画像において前記2次元画像から前記変形画像を生成し、前記変形画像と前記不変2次元画像とを組み合わせた変形全景画像(30)における前記表示領域を提示してもよい。これにより、近景が表現された2次元画像は変形されるが、遠景が表現された不変2次元画像は変形されない。従って、視線の移動によって形状が変形する近景と、視界が移動されてもほとんど形状が変化しない空のような遠景を表現することができる。
【0017】
前記変形部は、前記不変2次元画像を、前記不変領域と連結される前記分割帯のずれ量と同じ方向に同じ量だけずらしてもよい。これにより、不変2次元画像は、不変2次元画像と連結される2次元画像の最上部に位置する分割帯と同じ量だけずらされる。従って、不変2次元画像と2次元画像との関係を保ちつつ、不変2次元画像によって視線の移動によって形状が変化しない遠景を表現することができる。
【0018】
本発明の画像処理方法は仮想フィールドにおいて所定位置から所定方向を見た場合の視界が表現された矩形の2次元画像(3)を描画メモリ(64)に描画するステップと、前記描画メモリに描画された2次元画像の一部に設定された表示領域(7)を切り出して、前記切り出された表示領域をユーザに提示するステップと、前記描画メモリにて、前記2次元画像を変形することにより、前記所定位置からの視線方向が左右いずれかの方向に移動した時の視界を前記ユーザに提示するのに使用される変形画像(3’)を生成するステップと、前記変形画像における前記表示領域を切り出して、前記表示部を介して前記ユーザに提示するステップとを含み、前記変形画像を生成するステップは、前記視線方向が移動する移動方向を決定するステップと、前記2次元画像を水平方向に分割して複数の分割帯(20…20)を生成するステップと、前記複数の分割帯において上方にある分割帯のずれ量が下方にある分割帯よりもずれ量が大きくなるように各分割帯のずれ量を決定するステップと、前記決定された各ずれ量に応じて前記各分割帯を、前記決定された移動方向にずらすことにより、前記変形画像を生成するステップ、とを含むことにより、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明によれば、まず、所定の視界が表現された矩形の2次元画像の一部に設定された表示領域を切り出して表示し、2次元画像を分割して複数の分割帯を生成し、各分割帯20を左右いずれかの方向に所定の量移動させることにより変形画像を生成し、変形画像における表示領域を表示することにより、2次元画像を使用して容易に疑似的な仮想3次元空間を表現可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本願発明の全景画像1の一例である。本形態の全景画像1はゴルフゲームのゲーム画面を表示するために使用される2次元画像である。全景画像1は、矩形であり、可変部3とその上側に設けられた不変部2とで構成される。不変部2は遠景として空が表現され、可変部3には近景として、所定の目標物としてのホール位置4を含むゴルフコース5とゴルフコース5の周囲を埋める背景6が表現されている。このように平面的な画像が表現された可変部3には、更に、高さのある高オブジェクトとして数本の木オブジェクト8とフラッグ9が配置されている。本形態の背景6は単一色の無地模様で示される。ホール位置4は2次元画像1において水平方向に関して中心部に位置している。
【0021】
表示領域7は全景画像1においてゲーム画面として切り出されてモニタに表示される領域である。表示領域7は所定の大きさの矩形で、その位置は全景画像1において所定の位置に設定される。本形態では、ゲームで使用される仮想ボールの位置に応じて全景画像1における表示領域7の位置が設定される。表示領域7の位置は、全景画像1の左下角を原点10とし、画像メモリにおけるビットを単位とする座標系における表示領域7の左下角(以下「表示原点11」という。)の座標によって管理される。
【0022】
なお、全景画像1は図2に示す仮想フィールドとしてのゴルフ場20に関して、コース途中位置21からホール位置4を見た時の視界が表現された2次元画像である。本形態では、更に、コース途中位置22からホール位置4を見た時の視界が表現された2次元画像、及びティーグラウンド23からホール位置4を見た時の視界が表現された2次元画像が用意されている。いずれの2次元画像をゲーム画面に使用するかは、ゲームにおける仮想ボールの位置によって決定される。
【0023】
全景画像1の表示領域7が仮想ゴルファー15と共に、ゲーム画面GIとして表示されたようすを図3に示す。図3では、仮想ゴルファー15はゲーム画面GIの右下端に表示されているが、仮想ゴルファー15は仮想ボールの位置に表示される。仮想ボールの位置がコース途中位置21から遠くなるほど小さい仮想ゴルファー15が表示される。例えば、ゲームをプレイするプレイヤ(以下「ゲームプレイヤ」という。)によって、仮想ゴルファー15が仮想ボールをショットするための操作(以下「プレイ操作」という。)が行われると、仮想ボールが仮想ゴルファー15によってショットされる。その後、仮想ボールの落下地点として決定された場所を特定し、仮想ゴルファー15の位置として決定し、使用される2次元画像が決定され、決定された2次元画像における表示領域7が決定される。
【0024】
一方、ゲーム画面GIにおいて、ゲームプレイヤによって視界操作が行われると、ゲーム画面GIには表示されていないゴルフコース5の左右を確認することができる。例えば、ゴルフコース5の左側を確認するために、視界を左側に移動させる視界操作が行われると、視点位置は変わらずに視界が左方向に移動したゲーム画面GI’が表示される。これにより、2次元画像である全景画像1を使用して、疑似的な3次元空間を表現することができる。
【0025】
このように疑似的な3次元空間を2次元画像1から得る原理について、視界が左方向に移動した場合を例にして説明する。本発明では、全景画像1を構成する不変部2、可変部3及び高オブジェクト8、9をそれぞれ独立して処理する。まず、可変部3に関して行われる処理について説明する。図4に示すように、可変部3を水平方向に帯状に伸びる複数の分割帯20…20に等分割する。各分割帯20の幅は、後述するユーザの視界操作の操作量に応じて決定される。そして、図5に示すように各分割帯20を右方向にずらす。この際に、上部に位置する分割帯20のずれ量が下に位置する分割帯20のずれ量より大きくなるようにずらされる。これにより可変部3を右方向に傾かせることができる。
【0026】
可変部3の各分割帯20がずらされることにより、可変部3は図6に示すような変形画像としての変形可変部3’に変形される。本形態では、分割帯20のずれ量を決定するパラメータとして平行四辺形の内角31の値が与えられ、変形可変部3’が可変部3の底辺を底辺とする略平行四辺形になるように分割帯20がずらされる。可変部3が変形可変部3’となり、表示領域7内に画像データがない欠損領域32が発生した場合、本形態では、背景6と同じ画像を示す画像データが欠損領域32に補充される。なお、図6に示すように表示領域7以外の領域にも背景6の画像データを補充してもよい。
【0027】
平行四辺形の内角31は、所定の最大値〜所定の最小値の値に設定され、視界操作の操作量に応じて決定される。視界操作が視界を左方向に移動させる操作である場合、その操作量の最大値に内角31の最小値が対応付けられ、視界操作が視界を右方向に移動させる操作である場合、その操作量の最大値に内角31の最大値が対応付けられる。本形態では視点位置における疑似的な視野角が約120°になるように内角31の最小値及び最大値が設定されている。
【0028】
なお、本形態では、各分割帯20は所定数の単位分割帯で構成され、分割帯20の幅は単位分割帯の数によって設定される。単位分割帯の幅は例えばラスター線の線幅である。ユーザによる視界操作の操作量、内角31、分割帯20の幅及びずれ量の対応関係は、下記に示すような操作量対応表に予め設定しておき、ユーザの操作量に応じた分割帯20の幅及びずれ量が設定されるように構成すればよい。例えば、操作量が1段階の場合は、平行四辺形の内角が75°になるように分割帯20の幅及びずれ量が対応付けられ、具体的には、分割帯20の幅は単位分割帯3つ分の幅として設定され、各分割帯20のずれ量は1ドットと設定されている。
【0029】
【表1】

【0030】
変形可変部3’は不変部2と組み合わされて変形全景画像30を構成する。なお、変形全景画像30において原点10の位置、及び表示領域7の位置は全景画像1における位置と同じである。従って、表示原点11の座標は変化しない。また、不変部2は変形されず位置も変わらない。これにより、遠景は視界の移動に伴ってほとんど変化しない状態を表現することができる。
【0031】
次に、高オブジェクト8、9に関する処理について、木オブジェクト8を例にして図7を用いて説明する。本形態では、木オブジェクト8が配置される配置位置は、木オブジェクト8が可変部3のゴルフコース5に接地する接地点40の座標で管理される。例えば、各木オブジェクト8の識別情報と画像と接地点40の座標が対応付けられて記憶されている。
【0032】
画像メモリにおいて、接地点40の位置は分割帯20がずらされると、それに伴って接地点40’にずれる。分割帯20がずらされた後、接地点40’に接地点40に配置されていた木オブジェクト8を配置する。なお、各木オブジェクト8には、ずれ量に応じた木オブジェクト8の形状を示す画像が対応付けられ、接地点40が含まれる分割帯20のずれ量に応じて木オブジェクト8の画像が選択され、木オブジェクト8の画像として対応付けられる。ずれ量と選択される画像との関係は木オブジェクト8によって異なるように設定してもよいし、全ての木オブジェクト8に共通するように設定してもよい。
【0033】
また、フラッグ9も木オブジェクト8と同様に、フラッグ9の配置位置として接地点40が対応付けられ、ずらされた後の接地点40’に配置する。このように、高オブジェクト8、9は形状を変えずに配置位置のみをずらすことができる。
【0034】
高オブジェクト8、9に関する処理が終了した状態、即ち、高オブジェクト8、9の配置位置がずれた状態の変形全景画像30を図8に示す。図8において、木オブジェクト8’には横から見た形状が選択されている。変形全景画像30の表示領域7が切り取られ、視点方向が左方向に移動した場合の視界としてゲーム画面GI’に仮想ゴルファー15と共に表示される。
【0035】
本発明の画像処理装置50のハードウェア構成について説明する。本形態の画像処理装置50はゴルフゲームが実行されるいわゆるゲーム機である。画像処理装置50は、図9に示すように、ゲームプレイヤの操作を受け付ける操作入力部51と、ゲーム画面を表示するモニタを含む表示部52と、2次元画像等で使用される各種データやテーブルが記憶されたデータ記憶部53と、各構成51〜53を制御する制御ユニット60とで構成される。
【0036】
制御ユニット60は、CPU及びその動作に必要なRAM、ROM、描画メモリ64等の記憶域によって構成される。記憶域に記憶されたコンピュータプログラムが機能することにより、制御ユニット60は、画像描画部61、変形部62、及び表示制御部63として機能する。
【0037】
制御ユニット60によって行われるゲーム画面表示に関する処理である画像表示処理について、図10に示すフローチャートに従って説明する。まず、ステップS100にて仮想ボールの位置を決定する。プレイ開始時であればティーショット位置であり、プレイ操作後であれば仮想ボールの落下地点が仮想ボール位置として決定される。次に、ステップS102にて、決定された仮想ボールの位置に応じて基本画像を決定する。本形態にて用意されているゴルフゲーム用の3種の2次元画像のうちゲーム画面GIに使用される画像を、基本画像という。以下、コース途中位置21からホール位置4を見た視界が表現された全景画像1が基本画像として選択された場合について説明する。以下、全景画像1を基本画像1という時がある。
【0038】
ステップS102にて決定された基本画像1は、ステップS104にて描画メモリ64のワーク領域に描画され、基本画像1における表示領域7の位置が決定される。表示領域7の位置は仮想ボールの位置に応じて決定され、表示原点11の座標で特定される。次に、ステップS106にて、基本画像1の表示領域7が切り取られ、仮想ゴルファー15と共にゲーム画面GIとして表示部52のモニタに表示される。上述したように、仮想ゴルファー15が表示される位置は仮想ボールの位置であり、表示される仮想ゴルファー15の大きさはコース途中位置21から仮想ボールの位置までの遠いほど小さくなるように予め設定されている。
【0039】
続いて、ステップS108にてゲームプレイヤによって視界操作があったか否かが判別される。視界操作がない場合はステップS109へ進み、ゲームプレイヤによるプレイ操作があったか否かが判別される。プレイ操作がある場合は、プレイ結果(打たれた仮想ボールの落下位置)に応じたゲーム画面GIを表示するためにステップS100へ戻り、プレイ操作がない場合はステップS108へ戻り、ゲームプレイヤの操作待ち状態となる。
【0040】
ステップS108にて視界操作があったと判断された場合は、ステップS110へ進み、変形処理が行われる。変形処理によって、基本画像1から変形全景画像30が生成される。変形処理については後述する。変形全景画像30が生成されると、ステップS112にて変形全景画像30における表示領域7が仮想ゴルファー15と共にゲーム画面GI’として表示される。表示領域7の位置は全景画像1における位置と同じである。
【0041】
次に、ステップS114にてゲームプレイヤによる視界リセット操作があるか否か判別される。視界リセット操作とは、視界位置を基本画像1に戻す操作である。視界リセット操作があったと判別された場合は、ステップS102へ戻り、変形前の可変部3が変形前の位置に描画される。視界リセット操作がないと判別された場合は、ステップS116へ進み、プレイ操作の有無が判別される。
【0042】
プレイ操作があると判別された時は、プレイ結果(打たれた仮想ボールの落下位置)に応じたゲーム画面GIを表示するためにステップS100へ戻る。プレイ操作がないと判別された時は、ステップS114へ戻り、ゲームプレイヤの操作待ち状態となる。
【0043】
変形処理について、図11に示すフローチャートに従って説明する。まず、ステップS200にて、描画メモリ64に描画された可変部3を水平方向に分割することにより、複数の分割帯20を生成する。続いてステップS202にて、視界操作に応じた各分割帯20のずれ量を決定する。本形態では、上述したように、分割帯20の幅及びずれ量のそれぞれは、データ記憶部53に記憶された操作量対応表を参照することにより、ユーザによる視界操作の操作量に応じて決定される。これにより、データ記憶部53は高オブジェクト画像記憶部として機能する。
【0044】
各分割帯のずれ量が決定されると、ステップS204へ進み、視界操作から各分割帯20の移動方向を決定する。例えば、視界が左方向へ移動する視界操作の場合は各分割帯20の移動方向は右であり、視界が右方向へ移動する視界操作の場合は各分割帯20の移動方向は左である。移動方向の決定後、ステップS206に進み、複数の分割帯20…20のそれぞれが、決定されたずれ量に従って、決定された移動方向にずらされる。これにより変形可変部3’が生成される。
【0045】
次に、ステップS202にて、変形可変部3’における表示領域7に欠損領域32が発生したか否かが判別される。欠損領域32が発生したと判別された場合は、ステップS212へ進み補充処理が行われる。補充処理では欠損領域32に背景6と同じ描画データが補充される。これにより欠損領域32も背景6となる。欠損領域32の処理終了後、ステップS214にて高オブジェクト処理が行われる。また、ステップS208にて欠損領域32が発生していないと判別された場合も、ステップS214へ進んで高オブジェクト処理が行われる。
【0046】
高オブジェクト処理では、上述したように、各高オブジェクト8、9の接地点40を含む分割帯20がずらされることによって、接地点40がずらされた接地点40’に、対応する高オブジェクト8、9を配置する。以上で変形処理を終了する。
【0047】
変形部62はステップS200の処理によって画像分割部として機能し、ステップS202の処理によってずれ量決定部として機能し、ステップS204の処理によって移動方向決定部として機能し、ステップS206の処理によって移動部として機能する。
【0048】
本発明は上述した形態に限らず、種々の態様にて実施されてよい。例えば、変形処理の最後に不変部2に関する処理である不変部処理を設け、不変部2全体を不変部2が接する分割帯20がずらされる方向に同じずれ量ずらすように構成してもよい。全景画像1はゴルフコースに限らず、仮想フィールドにおいて所定位置から所定方向を見た視界が表現された画像であればよい。高オブジェクトは高さがあるオブジェクトでればよく、電柱やビル等の可変部3に表現される視界に応じて決定されればよい。また、視野角の最大値は120°に限らず適宜設定してよい。また、分割帯20の幅、即ち各分割帯20を構成する単位分割帯の数は均一でなくてもよく、例えば、可変部3の上部から下部へ分割帯20の幅が徐々に広くなるように分割帯20の幅を設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の全景画像の一例を示す図。
【図2】図1に示す全景画像が使用されるゴルフゲームのゴルフコース全体を示す図。
【図3】視界が移動した場合のゲーム画面の変化を示す図。
【図4】可変部に複数の分割帯が生成されたようすを示す図。
【図5】各分割帯がずらされるようすを示す図。
【図6】高オブジェクトを除いた状態の変形全景画像が生成されたようすを示す図。
【図7】高オブジェクトに関する処理を示す図。
【図8】高オブジェクトが配置された変形全景画像を示す図。
【図9】画像処理装置のハードウェア構成の概略を示す図。
【図10】画像表示処理における処理の流れを示すフローチャート。
【図11】変形処理における処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0050】
1 全景画像
2 不変部
3 可変部
3’ 変形可変部
8、9 高オブジェクト
20 分割帯
30 変形全景画像
61 画像描画部
62 変形部
63 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像をユーザに提示する表示部と、
仮想フィールドにおいて所定位置から所定方向を見た場合の視界が表現された2次元画像を描画メモリに描画する画像描画部と、
前記描画メモリに描画された2次元画像の一部に設定された表示領域を切り出して、前記切り出された表示領域を前記表示部を介してユーザに提示する表示制御部と、
前記描画メモリにて、前記2次元画像を変形することにより、前記所定位置からの視線方向が左右いずれかの方向に移動した時の視界を前記ユーザに提示するのに使用される変形画像を生成する変形部とを有し、
前記変形部は、
前記視線方向が移動する移動方向を決定する移動方向決定部と、
前記2次元画像を水平方向に分割して複数の分割帯を生成する画像分割部と、
前記複数の分割帯において上方にある分割帯のずれ量が下方にある分割帯のずれ量よりも大きくなるように各分割帯のずれ量を決定するずれ量決定部と、
前記決定された各ずれ量に応じて前記各分割帯を、前記決定された移動方向にずらすことにより、前記変形画像を生成する移動部と、を有し、
前記表示制御部は、前記変形画像における前記表示領域を切り出して、前記表示部を介して前記ユーザに提示する、画像処理装置。
【請求項2】
前記ユーザの操作によって前記視線方向の移動程度及び移動方向に関する操作を受け付ける操作入力部が設けられ、
前記移動方向決定部は、前記操作入力部に対する前記移動方向に関する操作に応じて前記移動方向を決定し、
前記ずれ量決定部は、前記操作入力部に対する前記移動程度に関する操作に応じて前記ずれ量を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像分割部は、前記2次元画像を所定幅の単位分割帯に分割し、前記移動程度に関する操作に応じて、所定数毎の単位分割帯を1つの前記分割帯として設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記2次元画像は矩形であり、前記ずれ量決定部は、前記変形画像が前記2次元画像の底辺を底辺とする略平行四辺形となるように前記各分割帯のずれ量を決定する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記2次元画像は、地模様又は単一色の無地模様で示される背景画像とその背景画像内に配置される少なくとも1つのオブジェクト画像とで構成され、
前記表示制御部は、前記各分割帯が前記移動部によってずらされたことにより、前記変形画像の表示領域内に画像が描画されない欠損領域が発生したか否かを判別し、前記欠損領域が発生したと判別した場合は、その領域を前記背景画像で補充する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記2次元画像は、平面的な領域として表現された平面画像と、前記平面画像上に高さがあるオブジェクトとして配置された高オブジェクト画像とで構成され、
前記変形部は前記2次元画像のうち前記平面画像を変形し、前記高オブジェクト画像を、前記平面画像において配置された位置がその配置された位置を含む分割帯のずれに伴ってずれた位置に配置して、前記変形画像として生成する、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記高いオブジェクトに関して、前記分割帯のずれ量に応じた複数の高オブジェクト画像が記憶された高オブジェクト画像記憶部が備えられ、
前記分割帯のずれ量に応じた前記高オブジェクト画像を決定し、前記決定された高オブジェクト画像を、前記ずれた位置に配置する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記2次元画像には近景が表現され、前記2次元画像の上側に遠景が表現された不変2次元画像が組み合わされて全景画像が構成され、
前記表示領域は前記不変2次元画像の一部を含むように設定され、
前記変形部は、前記全景画像において前記2次元画像から前記変形画像を生成し、前記表示制御部は、前記変形画像と前記不変2次元画像とを組み合わせた変形全景画像における前記表示領域を提示する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記変形部は、前記不変2次元画像を、前記不変2次元画像と連結される前記分割帯のずれ量と同じ方向に同じ量だけずらす、ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
仮想フィールドにおいて所定位置から所定方向を見た場合の視界が表現された矩形の2次元画像を描画メモリに描画するステップと、
前記描画メモリに描画された2次元画像の一部に設定された表示領域を切り出して、前記切り出された表示領域をユーザに提示するステップと、
前記描画メモリにて、前記2次元画像を変形することにより、前記所定位置からの視線方向が左右いずれかの方向に移動した時の視界を前記ユーザに提示するのに使用される変形画像を生成するステップと
前記変形画像における前記表示領域を切り出して、前記表示部を介して前記ユーザに提示するステップとを含み、
前記変形画像を生成するステップは、
前記視線方向が移動する移動方向を決定するステップと、
前記2次元画像を水平方向に分割して複数の分割帯を生成するステップと、
前記複数の分割帯において上方にある分割帯のずれ量が下方にある分割帯よりもずれ量が大きくなるように各分割帯のずれ量を決定するステップと、
前記決定された各ずれ量に応じて前記各分割帯を、前記決定された移動方向にずらすことにより、前記変形画像を生成するステップ、とを含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−266095(P2009−266095A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117247(P2008−117247)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】