説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】RAWデータの傷補正を行うとともに、焦点検出用画素の距離情報を確保すること。
【解決手段】画像処理装置は、撮像用画素R、G、Bと焦点検出用画素a、bとが配列された撮像素子101と、撮像用画素R、G、Bの画素信号と焦点検出用画素a、bの画素信号とを分離する分離手段と、前記分離手段により分離された撮像用画素R、G、Bの画素信号に基づいて、前記焦点検出用画素a、bの画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段と、前記分離手段により分離された焦点検出用画素a、bの画素信号と焦点検出用画素a、bの位置情報とを関連付けた測距情報をメモリ107に記憶させる記憶制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリ素子を有するメモリカードを記録媒体として、CCD、CMOS等の撮像素子で撮像した静止画像や動画像を記録及び再生する電子カメラ等の画像処理装置が市販されている。
【0003】
これらの電子カメラには、撮像素子から出力されたままの画素データで構成される未加工の画像データ(以下「RAWデータ」という。)を撮影画像として記録媒体に記録するものがある。
【0004】
このRAWデータは、そのままではパーソナルコンピュータ等の情報処理装置の表示部に表示できず、その表示には画素の補間処理などの画像処理が必要となる。そのため、RAWデータに撮影時の情報を画像パラメータとして付加し(特許文献1を参照)、情報処理装置にインストールされた画像処理プログラムによって表示可能となる。
【0005】
また、電子カメラ等の画像処理装置では、AE(オートエクスポージャ:自動露出)、AF(オートフォーカス:自動焦点)等の自動化及び多機能化が図られ、良好な撮影が容易に行えるようになっている。焦点検出方式にはいくつかの方法があり、例えば、特許文献2や特許文献3に開示されている。
【0006】
特許文献2に記載の撮像装置は、光電変換部群の一部が撮影レンズの瞳の特定領域を透過する光束を受光するように構成されている。そして、これらの特定の光電変換部の出力から得られた第一の像信号と第二の像信号の位相差に基づいて、撮影レンズの焦点状態を検出している。ここで、位相差とは2つの像信号の相対的な位置関係のことである。また、通常の画像を撮像する場合は、撮影レンズの特定領域を透過する光束を受光する光電変換部を除いた光電変換部群で画像を生成している。そして、撮像素子の測距用の画素を周辺の色画素から補間した後、信号処理及び画像圧縮処理を行い、JPEG形式やTIFF形式のデータを生成し記録している。
【0007】
特許文献3にも、瞳分割方式の焦点検出を行う撮像装置が開示されている。この撮像装置では、隣接して1列に並んだ同色の色フィルタを有する画素のマイクロレンズ中心を通る直線上に並び、隣接画素同士でマイクロレンズ中心に対して逆向きにずれた画素で、撮影レンズの瞳の特定領域を透過する光束を受光する。そして、これら特定の光電変換部の出力から得られる第一の像信号と第二の像信号の位相差に基づいて撮影レンズの焦点状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−324745号公報
【特許文献2】特開2000−156823号公報
【特許文献3】特開2005−303409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2では、焦点検出用画素をG色のフィルタに相当する画素で形成し、画像信号を形成する場合には、焦点検出用画素のG色のフィルタ部分の映像信号を周辺画素を用いて補間している。
【0010】
また、特許文献3では、焦点検出用画素をG色のフィルタ部分で形成し、画像信号を形成する場合には、焦点検出用画素のG色のフィルタで受光した映像信号として、画像信号を形成している。そのため、合焦近傍にあるときには、焦点検出用画素に光束を受光するが、合焦近傍にないときには焦点検出用画素に光束を受光しないという問題がある。そのため、合焦近傍にない焦点検出用画素のG色のフィルタ部分の映像信号を周辺画素を用いて補間を行っている。
【0011】
このように、RAWデータ記録時には、焦点検出画素はユーザーにとって傷であるため、補間後のRAWデータを記録することが望ましい。しかしながら、従来の技術では、傷補正後のRAWデータを記録するとRAWデータの記録時に測距の情報は残らないことになる。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、RAWデータの傷補正を行うとともに、焦点検出用画素の距離情報を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面は、画像処理装置に係り、撮像用画素と焦点検出用画素とが配列された撮像素子と、前記焦点検出用画素の位置情報を用いて前記撮像素子の出力信号から前記焦点検出用画素の画素信号を分離する分離手段と、前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて、前記撮像素子の出力信号のうち、前記焦点検出用画素の画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段と、前記分離手段により分離された前記焦点検出用画素の画素信号と前記焦点検出用画素の位置情報とを関連付けた測距情報を作成する測距情報作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の側面は、画像処理装置に係り、撮像用画素と焦点検出用画素とが配列された撮像素子と、前記焦点検出用画素の位置情報を用いて前記撮像素子の出力信号から前記焦点検出用画素の画素信号を分離する分離手段と、前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて、前記撮像素子の出力信号のうち前記焦点検出用画素の画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段と、前記分離手段により分離された前記焦点検出用画素の画素信号を複数領域毎に分け焦点距離を演算し、演算した焦点距離と前記複数領域毎の位置情報とを関連付けた距離情報を作成する距離情報作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の側面は、画像処理プログラムに係り、上記の測距情報又は距離情報を処理し、その処理結果を表示部に表示させる工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、RAWデータの傷補正を行うとともに、焦点検出用画素の測距情報又は距離情報を確保することできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の好適な第1の実施形態に係る画像処理装置の起動から撮影までのフローチャートである。
【図3】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の画素配列を示す図である。
【図4】本発明の好適な第1の実施形態に係る相関演算処理の説明図である。
【図5】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮影処理のフローチャートである。
【図6】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子信号の画像データ概念図である。
【図7】本発明の好適な第1の実施形態に係る傷補正後の画像データ概念図である。
【図8】本発明の好適な第1の実施形態に係るRAWファイルフォーマットを示す図である。
【図9】本発明の好適な第1の実施形態に係る焦点検出用画素分離処理のフローチャートである。
【図10】本発明の好適な第1の実施形態に係る測距情報ファイルフォーマットを示す図である。
【図11】本発明の好適な第2の実施形態に係る焦点検出用分離処理(マップ情報)のフローチャートである。
【図12】本発明の好適な第2の実施形態に係る測距情報(マップ情報)ファイルフォーマットを示す図である。
【図13】本発明の好適な第3の実施形態に係る画像処理プログラムのフローチャートである。
【図14】本発明の好適な第3の実施形態に係る被写体距離表示の概念図である。
【図15】本発明の好適な第3の実施形態に係るフォーカス枠表示の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の好適な第1の実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。レンズ100を通って入射した被写体像は、撮像素子101で電気信号に光電変換される。ここで、撮像素子101には、図3に示すように画像データを形成するための撮像用画素(R、G、B)と位相差AFを行うための焦点検出用画素(a、b)とが配置されている。
【0020】
A/D変換部103は、撮像素子101から出力された電気信号(出力信号)をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部104は、A/D変換部103から出力されたデジタル信号を、YUVデータ形式の画像データに変換する。A/D変換部103は、WB回路、γ補正回路及びマトリクス変換回路などで構成されうる。
【0021】
CPU108は、画像処理装置の各部を制御する。例えば、CPU108は、CPU108内のROMに記録された焦点検出用画素の位置情報に基づいて、A/D変換部103から出力されたデジタル信号から焦点検出用画素(a、b)の画素信号を分離する分離手段として機能しうる。また、CPU108は、焦点検出用画素の位置情報に基づいてA/D変換部103から出力されたデジタル信号のうち焦点検出用画素の画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段としても機能しうる。このような補間処理は、焦点検出用画素の位置情報に基づいて、焦点検出用画素の位置を判断し、この部分の画素信号を周辺の画素より補間することにより行われる。例えば、図3のaを補間する場合には、周辺のR画素の画素信号を用いて、公知のバイキュービック法などを用いればよい。また、CPU108は、分離した焦点検出用画素の画素信号と焦点検出用画素の位置情報とを関連付けた測距情報を作成する測距情報作成手段としても機能しうる。さらに、CPU108は、分離された焦点検出用画素の画素信号を複数領域毎に分け焦点距離を演算し、演算した焦点距離と前記複数領域毎の位置情報とを関連付けた距離情報を作成する距離情報作成手段としても機能しうる。さらに、CPU108は、RAWデータと測距情報からRAWファイルを生成したりするファイル生成手段や、メモリI/F106を介して記録媒体などのメモリ107に測距情報、RAWファイルを記録する記録手段としても機能しうる。
【0022】
なお、CPU108で機能する焦点検出用画素(a、b)の画素信号とを分離する分離手段をデジタル信号処理部104に持たせてもよい。また、焦点検出用画素の画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段、測距情報を作成する測距情報作成手段、距離情報を作成する距離情報作成手段などの機能をデジタル信号処理部104に持たせてもよい。
【0023】
位相差検出部105は、デジタル信号処理部104あるいはCPU108で分離した焦点検出用画素(a、b)の画素信号に基づいて周知の方法により位相差検出を行う。位相差検出部105で得られた位相差検出結果は、CPU108に送られる。CPU108は、位相差検出部105から送られた検出結果に基づいて、鏡筒制御部111に制御信号を出力する。
【0024】
操作部112は、撮影モードを静止画撮影と動画撮影に切り替えるボタンやシャッタースイッチ等の設定スイッチなどを含む。CPU108は、操作部112で設定される撮影モードに応じて、タイミング制御部109に制御信号を送る。タイミングジェネレータ110は、タイミング制御部109からの制御信号に基づいて、画像データの読み出し駆動信号を生成する。
【0025】
デジタル信号処理部104から出力されるYUVデータ形式の画像データは、EVF表示用としてメモリI/F106を介して、メモリ107に一時的に記憶される。LCDI/F113は、メモリ107に保存されたYUVデータ形式の画像データを、メモリI/F106を介して表示部としてのLCD114の表示フォーマットに変換する。LCD114は、LCDI/F113から出力される画像データに基づいてEVF表示を行う。
【0026】
また、画像記録時はデジタル信号処理部104から出力されるYUVデータ形式の画像データを、メモリI/F106を介して圧縮記録部115においてJPEGなどの規格に従って圧縮処理し、メモリ116に記憶する。
【0027】
図2は、本発明の好適な第1の実施形態に係る画像処理装置の起動から撮影までのフローチャートである。
【0028】
S100では、操作部112により電源がONされる。
【0029】
S101では、CPU108は、操作部112のシャッターSW1の半押しの判定を行う。S101でシャッターSW1が押されたと判定されると(S101で「YES」)、S102に進む。
【0030】
S102では、CPU108は、AF処理を行うよう位相差検出部105を制御する。AF処理としては、例えば、特許文献2に記載された技術を用いることが好ましい。特許文献2に記載のAF処理を図3及び図4を用いて説明する。図3は、CCDやCMOS等の撮像素子の画素配列である。この画素配列を構成する基本画素配列は、緑画素、赤画素、青画素のベイヤ配列で構成されている。各画素は、開口部を有し、この開口部を通過した光束が光電変換部で受光される。
【0031】
図3では、緑画素をG、赤画素をR、青画素をBとしている。緑画素Gには緑色光束を通過させる色フィルターが、赤画素Rには赤色光束を通過させる色フィルターが、そして青画素Bには青色光束を通過させる色フィルターがそれぞれ配置されている。各画素の開口部の下方には光電変換部が配置されている。このように1つの画素は、1つの光電変換部と、その上に配置された色フィルターと、更にその上に配置されたマイクロレンズとで構成されている。また、斜めに一列に並ぶ緑画素のうち、少なくとも一列は焦点検出用画素列となっており、その他の画素は撮像用画素となっている。なお、焦点検出用画素列には色フィルターが配置されていない。隣接して一列に並ぶ焦点検出用画素の開口部の一部に遮光層を設けることで、光電変換部の射出瞳が撮影レンズの光軸に対して偏りを持つように構成されている。偏りの向きは隣り合う焦点検出用画素同士で逆向きとなっている。また、a、bは焦点検出用画素であり、a、bを通過した光束を受光して得られる信号がA像信号とB像信号となる。
【0032】
このA像信号−B像信号を受光する焦点検出用画素は、図3に示すように同一ラインに並んでいる。A像信号−B像信号は、被写体の同一ラインから発せられた光による像信号である。そのため、焦点検出状態を検出する際に、A像信号−B像信号はほぼ一致した形状が得らる。焦点検出を行うには、このA像信号−B像信号に対して相関演算を行い、2つの像信号のずれ量から撮影レンズのデフォーカス量が算出される。デフォーカス量算出で算出されたデフォーカス量に基づいて、撮影レンズを駆動しピント合わせを行う。
【0033】
ここで、デフォーカス量算出における相関演算処理について説明する。図4に示すようなA像信号、B像信号が得られたとすると、生成した2つの像信号の位相差は撮影レンズの結像状態(合焦状態、前ピン状態、後ピン状態)により変化する。撮影レンズが合焦状態において2つの像信号の位相差は無くなり、前ピン状態と後ピン状態では異なる方向の位相差が生じる。更にこの2つの像信号の位相差は撮影レンズのデフォーカス量と一定の関係がある。ここでデフォーカス量とは撮影レンズにより被写体像が結像している位置とマイクロレンズ上面との距離である。この2つの像信号の位相差から撮影レンズのデフォーカス量を求め、撮影レンズが合焦状態になるようなレンズ駆動量を算出することで焦点検出を行う。
【0034】
2つの像信号の位相差は、2つの像信号の相関を取ることで求められる。相関の取り方は“MINアルゴリズム”と呼ばれるもので、A像信号の出力データをA[1]〜A[n]とし、B像信号の出力データをB[1]〜B[n]とすると、相関量U0は数式1のように表される。
【0035】
【数1】

【0036】

…(数式1)
ここでmin(a、b)はa、bの小さい方の値のことである。まずこのU0を計算する。次に図4に示すように、A像信号を信号電圧の1ビットシフトしたデータとB像信号のデータの相関量U1を計算する。このU1は数式2のように表される。
【0037】
【数2】

【0038】

…(数式2)
このように1ビットずつシフトした相関量を次々に計算する。2つの像信号が一致していればこの相関量は最大値をとるので、その最大値をとるシフト量を求め、その前後のデータから相関量の真の最大値を補間して求め、そのシフト量を2つの像信号の位相差とする。この2つの像信号の位相差から撮影レンズのデフォーカス量を求め、撮影レンズが合焦状態になるようなレンズ駆動量を算出することで焦点検出を行う。AF処理後、被写体にピントが合った状態となる。
【0039】
S103では、CPU108は、操作部112のシャッターSW2が半押し状態から全押し状態になったと判定すると、S104に進む。S103でシャッターSW1及びシャッターSW2がOFFとなると、S101へ戻り、CPU108は、再びシャッターSW1がONになるのを待つ。S104では、CPU108は、図5を参照して後述する撮影処理を行う。
【0040】
図5は、図2のステップ104に示す撮影処理を示すフローチャートである。
【0041】
S401では、CPU108は、タイミング制御部109及びタイミングジェネレータ110を制御し、焦点検出用画素のあるCCDやCMOS等の撮像素子からの画素信号を出力させる。
【0042】
S402では、A/D変換器103は、画素信号をA/D変換し、焦点検出用画素データを含んだ画像データを生成する。焦点検出用画素データを含んだ画像データを図6に示す。
【0043】
図6は、通常のベイヤ配列G、R、Bとの焦点検出用画素を複数もつラインで構成された画像データである。Gは緑画素、Rは赤画素、Bは青画素であり、これらでベイヤ配列が構成される。a1、a2、a3、a4、b1、b2、b3、b4は焦点検出用画素である。
【0044】
S403では、CPU108は、RAWデータ撮影であるか否かを判断する。RAWデータ撮影以外であれば(S403で「NO」)、S407に進む。S403でRAWデータ撮影であると判断された場合は(S403で「YES」)、S404に進む。
【0045】
S404では、CPU108は、焦点検出用画素の分離処理(以下「焦点検出用画素分離処理」という。)を行う。焦点検出用画素分離処理については後述する。
【0046】
S405では、CPU108は、焦点検出用画素を含めて傷補正処理を行う。傷補正処理時には、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルROM)に調整工程等によって予め格納された焦点検出領域の位置情報や、撮像素子の不良画素の位置情報に基づいて近傍の緑画素から傷補正を行う。傷補正後の画像データを図7に示す。図7においてGa1、Ga2、Ga3、Ga4、Gb1、Gb2、Gb3、Gb4は、その近傍の画素から傷補正した緑画素である。
【0047】
S406では、CPU108は、ファイル処理を行う。ファイル処理では、画像パラメータとして撮影時の情報を付加する。撮影時の情報には、ホワイトバランス、シャープネス、コントラストなどのデータが含まれる。画像処理プログラムは、RAWファイルを表示部に表示する時に必要な情報を全て含むものとする。
【0048】
S407では、CPU108は、焦点検出用画素を傷として補正する。
【0049】
S408では、デジタル信号処理部104は、画像の信号処理(ホワイトバランスやシャープネス等)を行い、例えばJPEG形式やTIFF形式等で圧縮処理を行う。
【0050】
S409では、CPU108は、記録処理を行う。S409では、RAWデータと測距情報を図8に示すように、現状のRAWフォーマットの互換を保ち、次の2つのどちらかの形式で記録する。まず、最初のファイルフォーマットを701に示すように、RAWファイルとは別に測距情報を別ファイルとして記録する。次のファイルフォーマットを700に示すように、RAWデータの後に測距情報を付加する。どちらのファイル形式で記録するかはユーザーにより任意に設定されうる。また、700では、RAWファイルのヘッダに、測距情報の有無を示す情報が付加されうる。また、701では、RAWファイルのヘッダに、対となる測距情報ファイルがあることを示す情報(例えば、測距情報ファイル名など)が付加されうる。ファイルフォーマット700は同一ファイル内にRAWデータと測距情報があるため、ユーザーにとってファイル管理がしやすいといった利点がある。ファイルフォーマット701は、パーソナルコンピュータ内に保存する時に、ユーザーが測距情報を使用しないと判断した場合、パーソナルコンピュータ内の記録媒体の使用量を抑えることが出来る。
【0051】
次に、図5のS404に示した焦点検出用画素分離処理について説明する。図9は焦点検出用画素分離処理のフローチャートである。
【0052】
S801では、CPU108は、EEPROMに調整工程等によって予め格納された焦点検出領域の位置情報(センサ情報)を読み込む。
【0053】
S802では、CPU108は、S801で読み込んだ位置情報から焦点検出用画素を読み出す。
【0054】
S803では、CPU108は、メモリ107へ焦点検出用画素の画素情報とその位置情報とを格納する。
【0055】
S804では、CPU108は、画像データの最終行(位置情報の最終行)まで読み込みが終了したか運否かを判定する。読み込みが未終了であれば(S804で「NO」)、S801に戻る。焦点検出用画素を全て読み終えたら(S804で「YES」)、焦点検出用画素分離処理を終了する。
【0056】
焦点検出用画素分離処理が終了すると、図10に示す測距情報が生成される。図10に示すように、この測距情報は、図6の焦点検出用画素の画素信号とその位置情報(センサ情報)とを関連付けたものである。本実施形態では、行番号が同じ焦点検出用画素毎に測距情報を生成しているが、焦点検出用画素の画素信号と位置情報とが関連付けられていれば、これに限定されない。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の好適な第2の実施形態を図11及び図12を用いて説明する。第2の実施形態は、焦点検出用画素分離処理が第1の実施形態と相違する。その他については第1の実施形態と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0058】
S1001では、CPU108は、EEPROMに調整工程等によって予め格納された焦点検出領域の位置情報(センサ情報)を読み込む。
【0059】
S1002では、CPU108は、S1001で読み込んだ位置情報からS1003の距離演算で使用する焦点検出用画素の画素情報(画素信号)を読み出す。
【0060】
S1003では、CPU108は、焦点検出用画素情報を複数画素(例えば、X(行)方向に8画素、Y(列)方向に6画素)の小ブロックに分ける。そして、第1の実施形態のAF処理のように、デフォーカス量と方向とを算出し、撮影レンズのレンズ繰り出し量を決定する。この小ブロックにおける被写体距離をD、撮影レンズの繰り出し量、焦点距離をそれぞれP、fとすると、近似的にD≒f2/Pの関係より、小ブロックに対応する撮影画像の被写体距離を求めることができる。なお、被写体距離の算出方法は別の算出方法を用いてもよい。
【0061】
S1004では、CPU108は、小ブロックの演算結果と小ブロックのマップ上のアドレスをメモリ107へ格納する。
【0062】
S1005では、CPU108は、画像データの最終行(位置情報の最終行)まで読み込みが終了したか否かを判定する。読み込みが未終了であれば(S1005で「NO」)、S1001に戻る。焦点検出用画素を全て読み終えたら(S1005で「YES」)、焦点検出用画素分離処理を終了する。
【0063】
焦点検出用画素分離処理が終了すると、図12に示す測距情報が生成される。図12に示すように、この測距情報(マップ情報)は、撮像素子を複数画素で構成されるブロックに分割し、ブロック毎に被写体までの距離とブロックの位置情報(マップアドレス)とを関連付けたものである。図12は、図6の焦点検出用画素列からの測距情報により生成されている。本実施形態では、小ブロックを8×6画素としているが、更に小さいブロックや処理負荷軽減のために大きいブロックを単位としてもよい。
【0064】
(第3の実施形態)
本発明の好適な第3の実施形態は、第1の実施形態で生成されたRAWファイル又はRAWファイルと測距情報ファイルとを合わせたファイルを用いた画像処理プログラムであり、図13を用いて説明する。なお、本プログラムの各ステップS1201〜1214は、CPU(コンピュータ)108あるいはパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により実行される。
【0065】
S1201では、画像ファイルが選択される。
【0066】
S1202では、RAWデータを画像パラメータにより画像処理して表示する。
【0067】
S1203では、画像編集が行われる否かを判定する。画像編集が行われる場合(S1203で「YES」)、S1204に進む。画像編集が行われない場合(S1203で「NO」)、S1212に進む。
【0068】
S1204では、編集内容判定を行う。画像編集の編集内容がマップ表示であればS1205に進み、画像編集の編集内容がフォーカス枠表示であればS1209に進む。
【0069】
S1205では、マップ表示のON/OFFを判定する。ONの場合は(S1205で「ON」)、S1206に進み、OFFの場合は(S1205で「OFF」)、S1208に進む。
【0070】
S1206では、マップ情報作成処理を行う。マップ情報は、第2の実施形態の焦点検出用画素分離処理における被写体距離の算出方法と同様にして行われる。この場合、被写体距離の算出で使用される電子カメラ等の画像処理装置に固有の情報は、画像プログラムに含んでおくか、又は、RAWファイルの機種情報に保持しておいてもよい。
【0071】
また、第2の実施形態で生成されたRAWファイル又はRAWファイル+測距情報ファイルを用いる場合は、S1206のマップ情報作成処理を行わない。
【0072】
S1207では、マップ情報を表示部としてのLCD114に表示する。表示されるマップ情報を図14に示す。1301はS1206で算出した小ブロックのマップ情報の例を示す。各小ブロックに表示された値は、便宜上簡略化した被写体までの距離(単位はメートル)である。ただし、値が表示されていない小ブロックは距離無限大を意味するものとする。
【0073】
S1205でマップ表示がOFFと判断された場合には、S1208でマップ情報の表示をクリアする。この場合、画像表示は残したままにする。
【0074】
S1209では、フォーカス枠表示のON/OFF判定を行う。フォーカス枠表示がONであれば、S1210に進む。フォーカス枠表示がOFFであれば、S1211に進む。
【0075】
S1210では、フォーカス枠表示を行う。フォーカス枠表示は、測距情報により、第2の実施形態の焦点検出用画素分離処理における被写体距離の算出方法と同様に位相差を算出し、位相差のないブロック枠を画面に表示する。
【0076】
フォーカス枠表示の例を図15に示す。1401がフォーカス枠であり、撮影時にピントが合っている。本例では、1枠しか表示されていないが、複数の枠が表示されてもよい。
【0077】
S1211では、S1209でフォーカス枠表示がOFFと判定された場合に、フォーカス枠表示クリアを行う。この場合、画像表示は残したままにする。また、S1204の編集内容判定には、不図示ではあるが、S1205のマップ表示判定やS1209のフォーカス枠表示判定以外に画像編集機能全般が含まれる。このような画像編集機能としては、例えば、拡大/縮小、ホワイトバランス/シャープネス/コントラスト調整、印刷、画像データを記録メディア(ハードディスク、SDカードなど)に記録する機能などがある。また、距離マップやフォーカス枠を表示することで、シャープネスやコントラスト、ホワイトバランスなどの調整が行いやすく、細かい調整が可能となる。
【0078】
S1212では、画像編集終了判定を行う。未終了であれば(S1212で「NO」)、S1203の画像編集判定へ戻り、処理を繰り返し行う。S1212で画像編集が終了したと判定された場合には(S1212で「YES」)、S1213に進む。
【0079】
S1213では、表示されている画像データをクリアする。
【0080】
S1214では、画像処理プログラムの終了判定を行う。終了していれば(S1214で「YES」)、画像処理プログラムを終了する。未終了であれば(S1214で「NO」)、S1201の画像選択へ戻り繰り返し処理を行う。
【0081】
以上、本発明を実施形態1から実施形態3に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
101 撮像素子
107 メモリ
R、G、B 撮像用画素
a、b 焦点検出用画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用画素と焦点検出用画素とが配列された撮像素子と、
前記焦点検出用画素の位置情報を用いて前記撮像素子の出力信号から前記焦点検出用画素の画素信号を分離する分離手段と、
前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて、前記撮像素子の出力信号のうち前記焦点検出用画素の画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段と、
前記分離手段により分離された前記焦点検出用画素の画素信号と前記焦点検出用画素の位置情報とを関連付けた測距情報を作成する測距情報作成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
撮像用画素と焦点検出用画素とが配列された撮像素子と、
前記焦点検出用画素の位置情報を用いて前記撮像素子の出力信号から前記焦点検出用画素の画素信号を分離する分離手段と、
前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて、前記撮像素子の出力信号のうち前記焦点検出用画素の画素信号を補間しRAWデータを生成する生成手段と、
前記分離手段により分離された前記焦点検出用画素の画素信号を複数領域毎に分け焦点距離を演算し、演算した焦点距離と前記複数領域毎の位置情報とを関連付けた距離情報を作成する距離情報作成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の測距情報又は距離情報と前記RAWデータを記録媒体へ記録する記録手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の測距情報又は距離情報を前記RAWデータに付加したRAWファイルを生成するファイル生成手段と、
前記ファイル生成手段により生成したRAWファイルを記録媒体へ記録する記録手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の測距情報又は距離情報を処理し、その結果を表示部に表示させる工程をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−81220(P2013−81220A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266736(P2012−266736)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2007−275672(P2007−275672)の分割
【原出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】