説明

画像処理装置及び画像形成装置

【課題】出力を禁止すべき特定画像の出力を防止するとともに、特定画像を出力しようとしない一般のユーザに対しては快適な処理を実現する。
【解決手段】CPU51は、印刷指令を受けて印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61により画像データに特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S11)。そして、特定画像判定の回数が規定回数未満のとき(例えば0回のとき)には、判定部61による判定処理の完了後に印刷出力を開始する判定後出力処理を実行する(S12)。また、特定画像判定の回数が規定回数未満であると判断した場合(S11:No)には、判定部61による判定と画像形成部10による出力とを並行して行う判定・出力並行処理を実行する(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー複写機やカラープリンタ等の画像処理装置においては、紙幣や有価証券等の偽造を阻止するための技術が各種提案されている。例えば、特許文献1に記載のものでは、外部の情報処理装置から送信される画像データを用紙上に印刷して出力する印刷処理に並行して、その画像データに出力を禁止すべき特定画像データが含まれるか否かを判定する判定処理を行うように構成されている。そして、このものでは、印刷処理中に画像データが特定画像データを含むと判定された場合には、用紙を逆送りして用紙上に既に印刷された画像を塗り潰すことなどにより、印刷出力された特定画像が悪用されることを防ぐようになっている。
【特許文献1】特開2000−301800公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定画像が印刷出力されることをより確実に防止するためには、例えば、画像データを印刷出力する前の段階で画像データに特定画像が含まれるか否かの判定を完了させるように構成したり、あるいは画像データに特定画像が含れまないと判定するための判定条件を厳しくする等、種々の偽造防止策を取り入れることが有効である。しかしながら、そういった種々の偽造防止策を取り入れることに伴って、特定画像を印刷出力しようとしない一般のユーザが、処理速度の低下などの不利益を被ってしまうことが懸念される。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、出力を禁止すべき特定画像の出力を防止するとともに、特定画像を出力しようとしない一般のユーザに対しては快適な処理を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明に係る画像処理装置は、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記取得手段により取得された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記画像データに対する前記判定手段による判定が完了するより前に前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段により前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させる制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記取得手段は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段を備え、前記制御手段は、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記原稿読取手段に前記出力手段による出力を行うための出力用画像データとは別の判定用画像データを取得させ、前記判定手段により前記判定用画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記原稿読取手段による前記出力用画像データの取得と並行して、前記出力手段による出力を実行させるところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記原稿読取手段による前記判定用画像データを取得するための読み取り動作は、前記出力用画像データを取得するのための読み取り動作よりも低解像度で行われるところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記取得手段により取得した画像データを記憶するデータ記憶手段を備え、前記取得手段は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段を備え、前記制御手段は、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段による判定が完了するまでの間に前記原稿読取手段により取得された画像データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記判定手段により前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記出力手段により前記データ記憶手段に記憶された画像データに基づく出力を開始させるところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明に係る画像処理装置は、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記取得手段により取得された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記判定手段に第1判定条件に基づいて判定を行わせ、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段に、特定画像が含まれないと判定するための条件が前記第1判定条件よりも厳しい、あるいは前記第1判定条件よりも判定項目が多い第2判定条件に基づいて判定を行わせる制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記第2判定条件は、前記第1判定条件に対し、少なくとも画像データの元となる画像の色あるいはサイズに関する判定項目を追加したものであるところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載のものにおいて、前記判定手段は、画像データが特定画像データを含むか否かを、画像データと参照用データとの合致率を用いて判定しており、前記第2判定条件は、前記第1判定条件に比べ、特定画像データを含むと判定するための合致率の閾値が低いところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明に係る画像処理装置は、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記取得手段により取得された画像データを記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段により記憶された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が第1閾値に達したときに、前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が前記第1閾値よりも大きな第2閾値に達したときに、前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させる制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明に係る画像処理装置は、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記取得手段により取得された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が増加することに応じて、前記取得手段による画像データの取得から前記出力手段によるその画像データに基づく出力の開始までの時間が増加するように制御する制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1、請求項5から請求項9のいずれかに記載のものにおいて、前記取得手段は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段を備えるところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、前記判定手段は、画像データに特定画像データが含まれるか否かを判定する本判定処理と、画像データに特定画像データが含まれる可能性が高いか否かを前記本判定処理よりも高速に判定する予備判定処理とを実行可能とされ、前記制御手段は、前記予備判定処理によって画像データに特定画像データが含まれる可能性が高くないと判定された場合には、前記本判定処理による判定が完了するよりも前に前記出力手段による出力を開始させ、前記予備判定処理によって特定画像データが含まれる可能性が高いと判定された場合には、前記本判定処理によって前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に前記出力手段による出力を開始させるところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明は、請求項11に記載のものにおいて、前記判定手段は、前記予備判定処理において、原稿画像の色またはサイズに関する判定項目を用いて判定を行うところに特徴を有する。
【0017】
請求項13の発明は、請求項10から請求項12のいずれかに記載のものにおいて、前記原稿読取手段は、原稿が載置される原稿載置部と、前記原稿載置部に載置された原稿を読み取る読取機構と、前記読取機構による読み取りが可能な位置へ原稿を搬送する原稿送り部とを備え、前記制御手段は、前記原稿読取手段において前記原稿載置部に載置された原稿を読み取る場合には、前記原稿読取手段に前記出力手段による出力を行うための出力用画像データとは別の判定用画像データを取得させ、前記判定手段によりこの判定用画像データに特定画像データが含まれないと判定された後に、前記原稿読取手段による前記出力用画像データの取得と並行して前記出力手段による出力を開始させ、前記原稿読取手段において前記原稿送り部によって送られる原稿を読み取る場合には、前記原稿読取手段により前記判定用画像データよりも少ない量の画像データを取得したところで、前記出力手段によりその画像データに基づく出力を開始させるとともに、前記判定手段によるその画像データに対する判定と前記出力手段による出力とを並行して行うところに特徴を有する。
【0018】
請求項14の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記規定回数は、1回であるところに特徴を有する。
【0019】
請求項15の発明は、請求項1から請求項14のいずれかに記載のものにおいて、前記履歴記憶手段は、不揮発性メモリからなるところに特徴を有する。
【0020】
請求項16の発明に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記画像データに対する前記判定手段による判定が完了するより前に前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段により前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させる制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0021】
請求項17の発明に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記判定手段に第1判定条件に基づいて判定を行わせ、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段に、特定画像が含まれないと判定するための条件が前記第1判定条件よりも厳しい、あるいは前記第1判定条件よりも判定項目が多い第2判定条件に基づいて判定を行わせる制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0022】
請求項18の発明に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データを記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段により記憶された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が第1閾値に達したときに、前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が前記第1閾値よりも大きな第2閾値に達したときに、前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させる制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0023】
請求項19の発明に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、前記原稿読取手段により取得された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が増加することに応じて、前記取得手段による画像データの取得から前記画像形成手段によるその画像データに基づく印刷出力の開始までの時間が増加するように制御する制御手段と、を備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
<請求項1及び請求項16の発明>
画像データ中に特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満のとき(例えば0回のとき)には、画像データの判定が完了するより前に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが不必要な待ち時間を強いられることを抑制できる。また、画像データ中に特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上のとき(例えば1回のとき)には、特定画像データを含まないと判定された後でないと出力が開始されないため、特定画像が一部分でも出力されてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0025】
<請求項2の発明>
取得した画像データを判定手段による判定と出力手段による出力との両方に用いる場合、画像データの出力を判定完了後に開始させるためには、判定が終わるまでの間、画像データを記憶手段に記憶させておく必要があり、そのため記憶手段に大きな容量が必要となってしまう。本構成では、先に判定のみに用いる判定用画像データを取得し、その判定完了後、出力用画像データの取得と並行して出力を行うため、使用する記憶手段の容量を低減することができる。
【0026】
<請求項3の発明>
判定用画像データを取得するための読み取り動作が出力用画像データを取得するための読み取り動作よりも低解像度で行われるため、判定用画像データを取得するための読み取り動作にかかる時間を低減することができる。
【0027】
<請求項4の発明>
原稿読取手段により取得した画像データの判定を行う間に、その画像データをデータ記憶手段に蓄積させ、判定完了後に画像データの出力を行う。これにより、原稿読取手段によって出力用の画像データを取得する前に判定用の画像データを取得するというような処理を行うことを省略することができる。
【0028】
<請求項5及び請求項17の発明>
画像データに特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満のときには、比較的厳格でない判定条件に基づいて判定が行われる。このため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが、例えば、特定画像でない画像を出力しようとした際にその画像が誤判定により出力できなくなるといった不利益を被ることを防止できる。また、画像データに特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上のときには、より厳格な判定条件に基づいて判定が行われるため、特定画像が出力されることをより確実に防ぐことができる。
【0029】
<請求項6の発明>
画像データに特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満のとき、即ち特定画像を出力しようとしていないと認められるユーザに対しては、判定項目を減らすことで迅速な出力処理を行うことが可能となる。
【0030】
<請求項7の発明>
画像データが特定画像データを含むと判定された回数が規定回数以上である場合には、特定画像データと判定するための合致率の閾値を下げることで、より特定画像を含むとの判定がされやすくなり、それにより特定画像の出力を抑制することができる。
【0031】
<請求項8及び請求項18の発明>
画像データが特定画像データを含むと判定された回数が規定回数以上の場合には、同回数が規定回数未満の場合に比べて、出力の開始までにデータ記憶手段に蓄積される画像データの量が大きくなる。これにより、特定画像データを含むと判定された回数が規定回数未満の場合には、早期に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが長い待ち時間を強いられることを回避できる。また、特定画像データを含むと判定された回数が規定回数以上の場合には、出力が開始される時期が遅くなるため、画像データが特定画像データを含む場合にその画像データが出力されてしまうことを抑制することができる。
【0032】
<請求項9及び請求項19の発明>
判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が増加するのに応じて出力の開始までの時間が増加する。これにより、特定画像データを含むと判定された回数が少ない場合には、早期に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが長い待ち時間を強いられることを回避できる。また、特定画像データを含むと判定された回数が多い場合には、出力が開始される時期が遅くなるため、それだけ時間を掛けて精度の高い判定処理を行うことが可能になり、それにより特定画像が出力されることを効果的に抑制することができる。
【0033】
<請求項10の発明>
原稿画像のスキャンやコピーなどの際に用いられる原稿読取手段は、特定画像の出力を図る手段として最も利用される可能性が高いものであるため、そうした原稿読取手段を備えた画像処理装置に本発明を適用することにより、偽造行為を効果的に防止できる。
【0034】
<請求項11の発明>
高速な予備判定処理により特定画像データが含まれる可能性が低いと判定された場合には、本判定処理による判定の完了前に出力を開始するため、出力処理の停滞を防止できる。特に画像処理装置を複数のユーザが使用する場合には、一人のユーザが特定画像の出力を図ることにより、他のユーザが処理速度の低下という不利益を被ることを抑制できる。
【0035】
<請求項12の発明>
予備判定処理では、原稿画像の色やサイズを判定項目として用いるため、判定を早期に完了させることが可能となる。
【0036】
<請求項13の発明>
原稿載置部に載置された原稿を読み取る場合には、同じ原稿を複数回読み取ることが可能であるため、先に判定のみに用いる判定用画像データを取得し、その判定完了後、出力用画像データの取得と並行して出力を行う。また、原稿送り部によって送られる原稿を読み取る場合には、同じ原稿を複数回読み取ることができないため、原稿読取手段により判定用画像データよりも少ない量の画像データを取得したところで出力手段による出力を開始させ、判定手段による判定と出力手段による出力とを並行して行う。これにより、使用する記憶手段の容量を低減することができる。また、判定用画像データを用いて判定を行うことで、記憶手段の容量が限られていても、判定を行うことができる。
【0037】
<請求項14の発明>
規定回数を2回以上とすると、特定画像の一部分が複数回出力された場合に、それらを合成して悪用されるおそれがあるが、規定回数を1回とすることでそのような事態を防止できる。
【0038】
<請求項15の発明>
判定結果についての履歴情報を不揮発性メモリに記憶させるため、装置の電源をオフにした場合にもその履歴情報が消失しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1を図1から図5を参照して説明する。
【0040】
1.全体構成
図1は、本発明の画像処理装置及び画像形成装置の一例である複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は、原稿カバー35を上げた状態を示す複合機1の斜視図である。この複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能など各種の機能を備えた多機能周辺装置である。複合機1は、用紙5上に画像を形成する画像形成部10を収容する本体部2と、本体部2の上方に設けられ原稿画像を読み取る原稿読取部3とを備えている。
【0041】
(本体部)
図3は、本体部2の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、同図における左側を前方とする。
【0042】
本体部2は、略箱形の本体ケーシング4を備えており、この本体ケーシング4内の底部には、画像を形成するための用紙5(被記録媒体の一例)が複数枚積載される給紙トレイ6が前方へ引き出し可能に設けられている。給紙トレイ6の前端上方には、給紙ローラ7が設けられており、この給紙ローラ7の回転により給紙トレイ6内の最上位に積載された1枚の用紙5が、給紙ローラ7の上方に設けられたレジストローラ8に送り出される。レジストローラ8では、その用紙5を所定のタイミングで、後方のベルトユニット11上へ送り出す。
【0043】
本体ケーシング4内における給紙トレイ6の上方には、画像形成部10(出力手段、画像形成手段の一例)が設けられている。画像形成部10は、ベルトユニット11と、4つのプロセスユニット12M,12C,12Y,12Kと、4つの露光部13と、定着器14とから構成されている。
【0044】
ベルトユニット11は、前後一対の支持ローラ16,17間に搬送ベルト18を水平に架設してなり、後側の支持ローラ17が回転駆動されることにより循環移動し、その上面に載せた用紙5を後方へ搬送する。搬送ベルト18の内側には、後述のプロセスユニット12が有する各感光ドラム26と対向配置される4つの転写ローラ19が前後に並んで設けられている。
【0045】
露光部13は、それぞれ画像データの一色分に対応するレーザ光Lを光源から出射し、そのレーザ光Lをポリゴンモータ21により回転駆動されるポリゴンミラー等を介して、感光ドラム26の表面上に高速走査にて照射する。
【0046】
プロセスユニット12M,12C,12Y,12Kは、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)のトナーを収容するトナー収容室23や、供給ローラ24、現像ローラ25、感光ドラム26、スコロトロン型帯電器27等を備えている。
【0047】
トナー収容室23から放出されたトナーは、供給ローラ24の回転により現像ローラ25に供給され、このとき、供給ローラ24と現像ローラ25との間で正に摩擦帯電される。感光ドラム26の表面は、その回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器27により一様に正帯電された後、露光部13からのレーザ光Lにより露光され、用紙5に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ25の回転により、現像ローラ25上のトナーが感光ドラム26の表面に供給され、静電潜像が可視像化される。その後、感光ドラム26の表面上に担持されたトナー像は、用紙5が感光ドラム26と転写ローラ19との間を通過する間に、転写ローラ19に印加される転写バイアス電圧によって、用紙5に転写される。
【0048】
定着器14は、熱源を有する加熱ローラ28と、用紙5を加熱ローラ28側へ押圧する加圧ローラ29とを備えており、用紙5上に転写されたトナー像を紙面に熱定着させる。そして、定着器14により熱定着された用紙5は、上方へ搬送され、本体ケーシング4の上面に設けられた排出トレイ30上に排出される。
【0049】
(原稿読取部)
原稿読取部3(取得手段、原稿読取手段の一例)は、図1及び図2に示すように、透明なガラス板からなる原稿載置部33を備えている。この原稿載置部33には、いわゆるフラットベッド方式で原稿の読み取りを行う際に原稿が載置される。また、原稿載置部33の上面は、ADF34(原稿送り部の一例)を備えた原稿カバー35により開閉可能に覆われている。ADF34は、複数枚の原稿を積載可能な原稿トレイ36を備えている。この原稿トレイ36には、原稿が載置されているか否かを検出するためのフォトセンサ等を利用した原稿検出センサ(図示せず)が設けられている。ADF34は、原稿トレイ36に載置された原稿を一枚ずつ搬送して、その原稿を次に述べるCCDイメージセンサ37により読み取らせた後に排出する。
【0050】
原稿載置部33の下側には、CCDイメージセンサ37(読取機構の一例、図4参照)が設けられている。このCCDイメージセンサ37は、前後方向に一列に並んで配置されたフォトダイオードを備えており、光源より原稿に強い光を当てたときの反射光を個々のフォトダイオードで受光し、原稿の画素毎に反射光の光強度(明度)を電気信号に変換する。原稿読取部3では、これをA/D変換器(図示せず)にてデジタルデータ化することで、原稿上に形成された画像を画像データとして読み取ることができる。
【0051】
原稿の読み取りは、原稿載置部33上に原稿を載置して行う場合と、ADF34を利用する場合とがある。前者の場合、原稿載置部33の板面に沿って左右方向にCCDイメージセンサ37が移動され、その際に1ラインずつ、原稿載置部33上の原稿の読み取りが行われる。また、後者の場合には、CCDイメージセンサ37が、原稿載置部33の左端位置に固定され、原稿がADF34によってCCDイメージセンサ37による読み取りが可能な位置に搬送されることで、原稿の読み取りが1ラインずつ行われる。
【0052】
また、原稿読取部3の前端部上面には、各種のボタン等からなる操作部39が設けられている。この操作部39により、ユーザが原稿の印刷処理を実行させるための印刷指令など、複合機1を動作させるための各種の指令を入力することができるようになっている。
【0053】
2.電気的構成
次に、複合機1の電気的構成について説明する。図4は、複合機1の電気的構成を概念的に示すブロック図である。複合機1は、CPU51、ROM52、RAM53、不揮発性メモリ54、制御部55、ネットワークインターフェイス56等を備えて構成された制御装置50を備えている。
【0054】
ROM52には、複合機1を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM53(データ記憶手段の一例)は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として用いられる。不揮発性メモリ54(履歴記憶手段の一例)には、後述する履歴情報などが記憶される。ネットワークインターフェイス56には、外部のパーソナルコンピュータ58等の情報処理装置が接続されることで、相互のデータ通信が可能となる。CPU51は、ROM52から読み出した制御プログラムに従って、その処理結果をRAM53又は不揮発性メモリ54に記憶させながら、制御部55を介して複合機1の各構成要素を制御する。なお、CPU51は、本発明の禁止手段、制御手段としての機能を有する。
【0055】
制御部55は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)からなり、先に説明した原稿読取部3、画像形成部10、操作部39等の各部と電気的に接続されている。制御部55は、原稿読取部3に接続された読取補正部60と、この読取補正部60に接続された判定部61及び画像処理部62とを備えている。読取補正部60は、原稿読取部3による読み取り動作に並行して、その原稿読取部3が取得した画像データを受け取り、その画像データにガンマ補正、シェーディング補正等の補正処理を施す。
【0056】
判定部61(判定手段の一例)は、原稿読取部3による読み取り動作に並行して、読取補正部60にて補正された画像データを受け取り、その画像データの画像内容に特定画像(紙幣や有価証券等)が含まれている否かを所定の判定条件に基づいて判定する。この判定条件の判定項目としては、例えば、画像データと予め記憶された参照用データとの合致率が用いられる。即ちこの場合、判定部61は、画像データと予め記憶された参照用データとの合致率を算出し、その合致率が所定の閾値以上であるときに、その画像データが特定画像データを含んでいると判定し、その閾値未満であるときに、その画像データは特定画像データを含んでいないと判定する。なお、この判定部61により画像データに特定画像データが含まれると判定された回数は、履歴情報として不揮発性メモリ54に記憶される。
【0057】
画像処理部62は、原稿読取部3による読み取り動作に並行して、読取補正部60にて補正された画像データを受け取り、その画像データ(RGB画像データ)をマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応する画像データ(MCYK画像データ)に変換するなどの処理を行い、その変換処理後の画像データをRAM53に記憶させる。
【0058】
さらに、制御部55は、画像形成部10に接続される画像形成制御部64を備えている。この画像形成制御部64は、CPU51の制御により、RAM53に記憶された画像処理部62による変換済みの画像データを読み出し、画像形成部10を制御することにより用紙5上にその画像データに基づく画像を印刷し出力する。
【0059】
3.CPUの制御による動作
図5〜図7は、CPU51によって実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態では、原稿読取部3によって読み取った原稿画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0060】
ユーザが原稿載置部33または原稿トレイ36に原稿を載せて、操作部39より印刷(コピー)を指示する印刷指令を入力すると、CPU51は、その印刷指令を受けて図5に示す印刷処理を開始する。CPU51は、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61により画像データに特定画像データが含まれると判定された回数が予め定められた規定回数以上であるか否かを判断する(S11)。この規定回数は、1回が望ましいが、2回以上としても良い。
【0061】
そして、画像データに特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上であると判断した場合(S11:Yes)には、判定部61による判定処理の完了後に印刷出力を開始する判定後出力処理を実行する(S12)。
【0062】
この判定後出力処理においては、図6に示すように、CPU51は、まず原稿読取部3に原稿画像の読み取り動作を実行させる(S21)。前述のように判定部61では、この読み取り動作に並行して、原稿読取部3により取得された画像データ(読取補正部60にて補正処理が施された画像データ)が特定画像データを含んでいるか含んでいないかの判定が行われる。また、これに並行して、画像処理部62では画像データ(補正処理が施された画像データ)の変換処理が行われれ、変換処理済みの画像データが順次RAM53に記憶される。
【0063】
そして、CPU51は、判定部61により画像データが特定画像データを含んでいると判定されたか否かを判断する(S22)。そこで、特定画像データを含んでいると判定されていない場合(S22:No)には、全ての原稿画像の読み取り動作が完了したか否かを判断し(S23)、読み取り動作が完了していない場合(S23:No)には、S21に戻り、S21〜S23の処理を繰り返す。
【0064】
読み取り動作が完了した場合(S23:Yes)には、判定部61により全ての画像データが特定画像データを含んでいないと判定されたことになるため、画像形成制御部64によりRAM53に記憶された変換処理済みの画像データが読み込まれ、画像形成部10によりこの画像データに基づく画像が用紙5上に印刷出力される(S24)。こうして全ての画像データについての印刷出力が完了したところで、CPU51は、判定後出力処理を終え、この印刷処理を終了する。
【0065】
また、判定部61により画像データが特定画像データを含むと判定された場合(S22:Yes)には、CPU51は、その画像データに基づく印刷出力を実行させないための禁止処理を実行する(S25)。この禁止処理では、例えば、画像形成部10の機械的な動作が停止状態とされ、画像データの印刷出力が停止される。あるいは、この禁止処理では、RAM53に記憶された画像データに改変を加える無効化処理が行われ、画像形成部10によりその無効化処理が施された画像データに基づく画像の印刷出力が実行される。なお、無効化処理が施された画像データに基づく画像とは、例えば、元の画像の上に模様や文字等を重ねたものとしても良く、あるいは、元の画像と全く異なる画像としても良い(塗りつぶし等も含む)。
【0066】
そして、CPU51は、上記の禁止処理を実行した後、判定部61による判定結果を不揮発性メモリ54に記録する(S26)。具体的には、不揮発性メモリ54に履歴情報として記憶されている、判定部61により特定画像データを含んでいると判定された回数(以下、適宜「特定画像判定の回数」という。)を1つ増加させる。そして、CPU51は、判定後出力処理を終え、この印刷処理を終了する。
【0067】
一方、CPU51は、図5のS11にて、特定画像判定の回数が規定回数未満であると判断した場合(S11:No)には、判定部61による判定と画像形成部10による出力とを並行して行う判定・出力並行処理を実行する(S13)。
【0068】
この判定・出力並行処理においては、図7に示すように、CPU51は、まず原稿読取部3に原稿画像の読み取り動作を実行させ、それに並行して画像形成制御部64を印刷出力可能な状態とする(S31)。前述のように、原稿読取部3による読み取り動作に並行して、判定部61では取得された画像データ(補正処理が施された画像データ)の判定処理が行われる。また、これに並行して、原稿読取部3により取得された画像データ(補正処理が施された画像データ)が、画像処理部62にて変換処理が施された後、順次RAM53に記憶される。
【0069】
ここで、画像形成制御部64によるRAM53に記憶された変換処理済みの画像データの読み込みと画像形成部10による用紙5上への印刷出力とは、RAM53に蓄積される画像データのデータ量が所定の出力開始閾値に至ったところで開始される。このため、原稿読取部3による画像データの取得が行われてから、少なくともRAM53に蓄積される画像データが所定のデータ量に至るまでの時間だけ、画像形成部10により用紙5上に印刷が開始される時期が遅くなる。
【0070】
続いて、CPU51は、判定部61により画像データが特定画像データを含んでいると判定されたか否かを判断する(S32)。そこで、特定画像データを含んでいると判定されていない場合(S32:No)には、原稿読取部3により全ての原稿画像の読み取り動作が完了したか否かを判断し(S33)、読み取り動作が完了していない場合(S33:No)には、S31に戻り、S31〜S33の処理を繰り返す。読み取り動作が完了した場合(S33:Yes)には、この判定・出力並行処理を終え、印刷処理を終了する。
【0071】
また、判定部61により画像データが特定画像データを含むと判定された場合(S32:Yes)には、CPU51は、その画像データに基づく印刷出力を実行させないための禁止処理を実行する(S34)。この禁止処理では、例えば、読み取り動作中の原稿読取部3や印刷出力中の画像形成部10の機械的な動作を停止状態とすることで、画像データの印刷出力を中止させる。あるいは、この禁止処理では、画像形成部10に無効化処理が施された画像データに基づく画像の印刷出力が実行させる。画像データに無効化処理を施すには、例えば、CCDイメージセンサ37の移動を停止させたり(原稿載置部33に載置された原稿を読み取る場合)、CCDイメージセンサ37の光源をオフにすることなどにより原稿読取部3によって取得される画像データを異常とする方法や、画像処理部62にて変換する際に画像データに何らかの改変を加える方法、画像形成制御部64によりRAM53から画像データを読み出す際に画像データに何らかの改変を加える方法などがある。
【0072】
そして、CPU51は、上記の禁止処理を実行した後、不揮発性メモリ54に履歴情報として記憶された特定画像判定の回数を1つ増加させて(S35)判定後出力処理を終え、この印刷処理を終了する。
【0073】
4.本実施形態の効果
以上のように本実施形態によれば、画像データ中に特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満のとき(例えば0回のとき)には、画像データの判定が完了するより前に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが不必要な待ち時間を強いられることを抑制できる。また、画像データ中に特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上のときには、特定画像データを含まないと判定された後でないと出力が開始されないため、特定画像が一部分でも出力されてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0074】
また、特定画像判定の回数が規定回数以上の場合には、原稿読取部3により取得した画像データの判定を行う間に、その画像データをRAM53に蓄積させ、判定完了後に画像データの出力を行う。これにより、次に述べる実施形態2のように、原稿読取部3により出力用の画像データを取得する前の段階で判定用の画像データを取得するというような処理を行うことを省略することができる。
【0075】
また、原稿画像のスキャンやコピーなどの際に用いられる原稿読取手段は、特定画像の出力を図る手段として最も利用される可能性が高いものであるため、そうした原稿読取手段である原稿読取部3を備えた複合機1に本発明を適用することにより、偽造行為を効果的に防止できる。
【0076】
また、判定完了より前に出力を開始させるための基準となる特定画像判定の規定回数を2回以上とすると、特定画像の一部分が複数回出力された場合に、それらを合成して悪用されるおそれがあるが、規定回数を1回とすることでそのような事態を防止できる。
【0077】
また、判定結果についての履歴情報を不揮発性メモリに記憶させるため、複合機1の電源をオフにした場合にもその履歴情報が消失しない。
【0078】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図8のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿載置部33に載置された原稿から読み取った画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。なお、複合機1の構成については実施形態1と同様である(以下の実施形態も同様)。
【0079】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、特定画像判定の回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S41)。
【0080】
そして、特定画像判定の回数が規定回数以上である場合(S41:Yes)には、原稿読取部3に対し判定用画像データを取得するための判定用読み取り動作を実行させる(S42)。この判定用読み取り動作は、通常の出力用画像データを取得するための読み取り動作よりも低解像度で行われるため、通常よりも高速に行われる。これにより得られる判定用画像データは、印刷出力に用いられる出力用の画像データよりもデータ量が少ない。また、この判定用読み取り動作に並行して、判定部61では取得された判定用画像データ(読取補正部60により補正処理が施された画像データ)が特定画像データを含んでいるか含んでいないかの判定が行われる。なお、この判定用画像データに対しては、画像処理部62による変換処理は行われない。
【0081】
そして、CPU51は、判定部61により判定用画像データが特定画像データを含んでいると判定されたか否かを判断する(S43)。そこで、特定画像データを含んでいると判定されていない場合(S43:No)には、全ての原稿画像の読み取り動作が完了したか否かを判断し(S44)、読み取り動作が完了していない場合(S44:No)には、S42に戻り、S42〜S44の処理を繰り返す。
【0082】
読み取り動作が完了した場合(S44:Yes)には、判定部61により全ての判定用画像データが特定画像データを含んでいないと判定されたことになるため、判定・出力並行処理(実施形態1と同様、図7参照)を実行する(S45)。
【0083】
判定部61により画像データが特定画像データを含むと判定された場合(S43:Yes)には、CPU51は、その画像データに基づく印刷出力を実行させないための禁止処理を実行し(S46)、続いて不揮発性メモリ54に履歴情報として記憶された特定画像判定の回数を1つ増加させる(S47)。
【0084】
一方、CPU51は、S41にて、特定画像判定の回数が規定回数未満であると判断した場合(S41:No)には、判定用読み取り動作を行うことなく、直ちに判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S45)。
【0085】
実施形態1のように、取得した画像データを判定部61による判定と画像形成部10による出力との両方に用いる場合、画像データの出力を判定完了後に開始させるためには、判定が終わるまでの間、画像データをRAM53等の記憶手段に記憶させておく必要があり、そのため記憶手段に大きな容量が必要となってしまう。本実施形態では、先に判定のみに用いる判定用画像データを取得し、その判定完了後、出力用画像データの取得と並行して出力を行うため、使用する記憶手段の容量を低減することができる。
【0086】
また、判定用画像データを取得するための読み取り動作が出力用画像データを取得するための読み取り動作よりも低解像度で行われるため、判定用画像データを取得するための読み取り動作にかかる時間を低減することができる。
【0087】
<実施形態3>
次に本発明の実施形態3について図9のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿読取部3によって読み取った原稿画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0088】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、特定画像判定の回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S51)。そして、特定画像判定の回数が規定回数未満である場合(S51:No)には、判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S52)。なお、この判定・出力並行処理においては、判定部61は初期設定である第1判定条件に基づいて判定を行う。
【0089】
また、CPU51は、特定画像判定の回数が規定回数以上である場合(S51:Yes)には、判定部61により判定を行う際の判定条件を第1判定条件から第2判定条件に変更させ、続いて判定後出力処理(実施形態1と同様、図6参照)を実行する(S54)。
【0090】
第2判定条件は、例えば、画像データに特定画像データが含まれないと判定するための条件が第1判定条件に比べて厳しくされる。具体的には、例えば、前述の合致率を用いて判定を行う場合には、第2判定条件は、第1判定条件に比べ、特定画像データを含むと判定するための合致率の閾値が低くされる。
【0091】
第2判定条件は、あるいは、第1判定条件よりも判定項目の数が多くされる。具体的には、例えば、第2判定条件を、画像データの元となる画像の色あるいはサイズに関する判定項目(即ち、画像データに基づく画像が特定画像と推測されるような画像の色あるいはサイズであるか否かを判定するための項目)を含んだものとし、第1判定条件を、その判定項目を含まないものとするなどである。
【0092】
本実施形態によれば、特定画像判定の回数が規定回数未満のときには、比較的厳格でない判定条件に基づいて判定が行われる。このため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが、例えば、特定画像でない画像を出力しようとした際にその画像が誤判定により出力できなくなるといった不利益を被ることを防止できる。また、特定画像判定の回数が規定回数以上のときには、より厳格な判定条件に基づいて判定が行われるため、特定画像が出力されることをより確実に防ぐことができる。
【0093】
また、特定画像判定の回数が規定回数未満のとき、即ち特定画像を出力しようとしていないと認められるユーザに対しては、判定項目を減らすことで迅速な出力処理を行うことが可能となる。
【0094】
また、特定画像判定の回数が規定回数以上である場合には、特定画像データと判定するための合致率の閾値を下げることで、より特定画像を含むとの判定がされやすくなり、それにより特定画像の出力を抑制することができる。
【0095】
<実施形態4>
次に本発明の実施形態4について図10のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿読取部3によって読み取った原稿画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0096】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61による特定画像判定の回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S61)。そして、特定画像判定の回数が規定回数以上である場合(S61:Yes)には、判定部61の判定条件を初期設定である第1判定条件から第2判定条件に変更する(S62)。この第2判定条件は、前述の実施形態と同様に、特定画像データが含まれないと判定するための条件が第1判定条件よりも厳しくされるか、あるいは第1判定条件よりも判定項目が多くされる。
【0097】
続いて、画像形成部10により印刷出力を開始するための条件となる既述の出力開始閾値を初期値である第1閾値からそれより大きな第2閾値に増加させ(S63)、その後に、判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S64)。一方、CPU51は、S61にて、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満であると判断された場合(S61:No)には、S62,S63のステップを経ずに、判定・出力並行処理を実行する(S64)。
【0098】
以上により、特定画像判定の回数が規定回数未満である場合(S61:No)には、RAM53に記憶される画像データの量が第1閾値に達したときに印刷出力が開始され、特定画像判定の回数が規定回数以上である場合(S61:Yes)には、RAM53に記憶される画像データの量が第1閾値よりも大きな第2閾値に達したときに、印刷出力が開始される。従って、特定画像判定の回数が増加するのに応じて出力開始までの時間が増加する。
【0099】
本実施形態によれば、特定画像判定の回数が規定回数以上の場合には、規定回数未満の場合に比べて、出力の開始までにRAM53に蓄積される画像データの量が大きくなる。これにより、特定画像判定の回数が規定回数未満の場合には、早期に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが長い待ち時間を強いられることを回避できる。また、特定画像判定の回数が規定回数以上の場合には、出力が開始される時期が遅くなるため、画像データが特定画像データを含む場合にその画像データが出力されてしまうことを抑制することができる。
【0100】
また、特定画像判定の回数が増加するのに応じて出力の開始までの時間が増加する。これにより、特定画像判定の回数が少ない場合には、早期に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが長い待ち時間を強いられることを回避できる。また、特定画像判定の回数が多い場合には、出力が開始される時期が遅くなるため、それだけ時間を掛けて精度の高い判定処理を行うことが可能になり、それにより特定画像が出力されることを効果的に抑制することができる。加えて、出力が開始される時期が遅くなることにより、画像データが特定画像データを含む場合に、禁止処理が行われた時点での出力量を低減することができる。
【0101】
<実施形態5>
次に本発明の実施形態5について図11のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿読取部3によって読み取った原稿画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0102】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61による特定画像判定の回数がM回以上であるか否かを判断する(S71)。ここで、Mの値は、1が望ましいが、2以上としても良い。そして、特定画像データが含まれると判定された回数がM回未満である場合(S71:No)には、判定・出力並行処理(図7参照)を開始する(S72)。
【0103】
また、特定画像判定の回数がM回以上である場合(S71:Yes)には、次に、特定画像判定の回数がN回以上であるか否かを判断する(S73)。ここで、N>Mである。
【0104】
特定画像データが含まれると判定された回数がN回未満である場合(S73:No)には、CPU51は、画像形成部10により印刷出力を開始するための出力開始閾値を初期値よりも増加させる(S74)。この出力開始閾値の増加量は、特定画像判定の回数に応じて多段階的に変更される。即ち、特定画像判定の回数がM回以上N回未満のときには、同判定の回数が増えるにつれ、出力開始閾値の初期値からの増加量が大きくなる。
【0105】
続いてCPU51は、判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S72)。このとき、S74における出力開始閾値の増加量に応じて、原稿読取部3による原稿の読み取り開始から画像形成部10により印刷出力が開始されるまでの時間が通常時(特定画像判定がM回未満の時)よりも増加することになる。
【0106】
一方、CPU51は、S73にて、特定画像判定の回数がN回以上であった場合(S73:Yes)には、判定後出力処理(図6参照)を実行する(S75)。
【0107】
本実施形態によれば、特定画像判定の回数が増加するのに応じて出力の開始までの時間が多段階的に増加する。これにより、特定画像判定の回数が少ない場合には、早期に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが長い待ち時間を強いられることを回避できる。また、特定画像判定の回数が多い場合には、出力が開始される時期が遅くなるため、それだけ時間を掛けて精度の高い判定処理を行うことが可能となり、それにより特定画像が出力されることを効果的に抑制することができる。
【0108】
なお、本実施形態において、画像データを記憶しておくためのRAM53の容量が十分にない場合には、S75の判定後出力処理に代えて、図8のS42〜S47のように判定用読み取り動作を行った後に、判定・出力並行処理を実行することで、使用するRAM53の容量を低減することができる。
【0109】
<実施形態6>
次に本発明の実施形態6について図12のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿載置部33に載置された原稿から読み取った画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0110】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61による特定画像判定の回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S81)。そして、特定画像判定の回数が規定回数未満である場合(S81:No)には、判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S82)。
【0111】
また、特定画像判定の回数が規定回数以上である場合(S81:Yes)には、予備判定処理を実行する(S83)。この予備判定処理は、画像データに特定画像データが含まれる可能性が高いか否かを判定部61により判定させるもので、画像データに特定画像データが含まれるか否かを判定する(断定する)通常の判定処理(本判定処理)よりも短時間で行われる。
【0112】
具体的には、この予備判定処理では、例えば、原稿読取部3にて原稿の一部分の読み取りを行い、取得された画像データに基づき判定部61にてその原稿サイズ(主走査方向のみ)を求め、その原稿サイズが予め登録された特定画像データのサイズと一致するか否かを調べることで判定を行う。あるいは、原稿読取部3にて原稿の一部分の読み取りを行い、取得された画像データに基づき判定部61にてその原稿画像の色が予め登録された特定画像の色と一致するか否かを調べることで判定を行う。
【0113】
続いて、CPU51は、予備判定処理により画像データに特定画像データが含まれる可能性が高いと判定されたか否かを判断し(S84)、特定画像データが含まれる可能性が高くないと判断された場合(S84:No)には、判定・出力並行処理を実行する(S82)。また、特定画像データが含まれる可能性が高いと判断された場合(S84:Yes)には、判定後出力処理(図6参照)を実行する(S85)。
【0114】
本実施形態によれば、高速な予備判定処理により特定画像データが含まれる可能性が低いと判定された場合には、通常の判定処理(本判定処理)による判定の完了前に出力を開始するため、出力処理の停滞を防止できる。特に複合機1を複数のユーザが使用する場合には、一人のユーザが特定画像の出力を図ることにより、他のユーザが処理速度の低下という不利益を被ることを抑制できる。
【0115】
また、予備判定処理では、原稿画像の色やサイズを判定項目として用いるため、判定を早期に完了させることが可能となる。
【0116】
<実施形態7>
次に本発明の実施形態7について図13のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿載置部33に載置された原稿から読み取った画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0117】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61による特定画像判定の回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S91)。そして、特定画像判定の回数が規定回数未満である場合(S91:No)には、判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S92)。
【0118】
また、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合(S91:Yes)には、判定部61の判定条件を初期値である第1判定条件から第2判定条件に変更する(S93)。この第2判定条件は、前述の実施形態と同様に、特定画像データが含まれないと判定するための条件が第1判定条件よりも厳しいか、あるいは第1判定条件よりも判定項目が多くされる。そして、画像形成部10により印刷出力を開始するための出力開始閾値を初期値である第1閾値からそれより大きな第2閾値に増加させる(S94)。
【0119】
続いて、CPU51は、予備判定処理を実行して(S95)、画像データに特定画像データが含まれる可能性が高いか否かを判断し(S96)、特定画像データが含まれる可能性が高くない場合(S96:No)には、判定・出力並行処理を実行する(S92)。また、特定画像データが含まれる可能性が高いと判断された場合(S96:Yes)には、判定後出力処理(図6参照)を実行する(S97)。
【0120】
本実施形態によれば、実施形態3と同様に、特定画像判定の回数が規定回数未満のときには、比較的厳格でない判定条件に基づいて判定が行われる。このため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが、例えば、特定画像でない画像を出力しようとした際にその画像が誤判定により出力できなくなるといった不利益を被ることを防止できる。また、特定画像判定の回数が規定回数以上のときには、より厳格な判定条件に基づいて判定が行われるため、特定画像が出力されることをより確実に防ぐことができる。
【0121】
また、実施形態4と同様に、特定画像判定の回数が規定回数未満の場合には、早期に出力が開始されるため、特定画像を出力しようとしない一般のユーザが長い待ち時間を強いられることを回避できる。また、特定画像判定の回数が規定回数以上の場合には、出力が開始される時期が遅くなるため、画像データが特定画像データを含む場合にその画像データが出力されてしまうことを抑制することができる。
【0122】
また、実施形態6と同様に、高速な予備判定処理により特定画像データが含まれる可能性が低いと判定された場合には、通常の判定処理(本判定処理)による判定の完了前に出力を開始するため、出力処理の停滞を防止できる。特に複合機1を複数のユーザが使用する場合には、一人のユーザが特定画像の出力を図ることにより、他のユーザが処理速度の低下という不利益を被ることを抑制できる。
【0123】
<実施形態8>
次に本発明の実施形態8について図14のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、原稿読取部3によって読み取った原稿画像を用紙5上に印刷出力する場合の処理について説明する。
【0124】
CPU51は、印刷処理を開始すると、まず不揮発性メモリ54に記憶された履歴情報を参照し、判定部61による特定画像判定の回数が規定回数以上であるか否かを判断する(S101)。そして、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合(S101:No)には、判定・出力並行処理(図7参照)を実行する(S102)。
【0125】
また、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合(S101:Yes)には、原稿読取部3における読み取り動作が原稿載置部33に載置された原稿に対し行われるのかそうでないのかを判断する(S103)。そして、読み取り動作が原稿載置部33の原稿に対し行われない場合(S103:No)、即ち、原稿トレイ36に載置された原稿をADF34で搬送することにより読み取りが行われる場合には、出力開始閾値を増加(S104)させた後、判定・出力並行処理を実行する(S102)。
【0126】
また、原稿読取部3における読み取り動作が原稿載置部33に載置された原稿に対し行われる場合(S103:Yes)には、原稿読取部3に判定用読み取り動作を実行させる(S105)。その後に実行される処理(S105〜S109、S102)は、前述の実施形態2(S42〜S47)と同様である。即ち、判定用画像データが特定画像データを含むと判定された場合(S106:Yes)には、禁止処理(S108)及び不揮発性メモリ54への判定結果の記録(S109)が行われ、判定用画像データの全てについて特定画像データが含まれないと判定された場合(S106:No,S107:Yes)には、判定・出力並行処理が実行される(S102)。
【0127】
本実施形態によれば、原稿載置部33に載置された原稿を読み取る場合には、同じ原稿を複数回読み取ることが可能であるため、先に判定のみに用いる判定用画像データを取得し、その判定完了後、出力用画像データの取得と並行して出力を行う。また、ADF34によって送られる原稿を読み取る場合には、同じ原稿を複数回読み取ることができないため、原稿読取部3により判定用画像データよりも少ない量の画像データを取得したところで画像形成部10による出力を開始させ、判定部61による判定と画像形成部10による出力とを並行して行う。これにより、使用する記憶手段の容量を低減することができる。また、判定用画像データを用いて判定を行うことで、記憶手段の容量が限られていても、判定を行うことができる。
【0128】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0129】
(1)上記実施形態では、取得手段としての原稿読取部3によって原稿画像を読み取ることで取得した画像データを用紙5に印刷出力する場合を示したが、本発明のうち原稿読取手段を構成要素としないものについては、外部の情報処理装置から送信された画像データを取得して用紙5に印刷出力する場合にも適用することが可能である。この場合、例えば、取得手段としてのネットワークインターフェイス56により外部からの画像データ(PDLデータ)を取得し、その画像データを展開後、判定部61及び画像処理部62にてそれぞれ処理するように構成すれば良い。さらに、ファクシミリ機能を備えた装置において、外部から電話回線を介して受信した画像データを用紙に印刷出力する場合にも本発明を適用することができる。
【0130】
(2)上記実施形態では、原稿読取手段により取得した画像データを用紙5に印刷出力する場合を示したが、本発明は、原稿読取手段により取得した画像データを出力手段としてのネットワークインターフェイス56を介して外部のコンピュータ58等に出力する場合にも適用することができる。また同様に、出力手段として、例えばUSBインターフェイスやその他のメディア接続部を設けたものにおいて、取得した画像データをフラッシュメモリ等の外部のメディアに出力して記憶させる場合にも本発明を適用することができる。さらに、画像形成手段を備えていない画像処理装置としてのスキャナにも本発明を適用することができる。また、ファクシミリ機能を備えた装置において、原稿読取手段により取得した画像データを電話回線を介して外部に送信出力する場合にも本発明を適用することができる。
【0131】
(3)上記実施形態では、画像形成装置(画像処理装置)として、いわゆる直接転写型タンデム方式のレーザプリンタを示したが、これに限らず本発明は、中間転写型タンデム方式や4サイクル方式などの他の方式のレーザプリンタにも適用でき、さらにインクジェット方式のプリンタなどにも適用することができる。
【0132】
(4)上記実施形態では、RAMを画像データを記憶するデータ記憶手段として用いたが、画像データのみを専門に扱う画像メモリを別に設けても良い。
(5)画像データをRAM等の記憶手段に記憶させる際に画像データを圧縮して記憶させ、読み出す際に画像データを解凍させるように構成しても良い。
【0133】
(6)特定画像判定の「規定回数」を1回とする場合には、履歴記憶手段には、履歴情報として、少なくとも判定手段により特定画像データが含まれると判定されたことがあるか否かについての情報が記憶されていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の画像処理装置及び画像形成装置の一例である複合機の外観を示す斜視図
【図2】原稿カバーを上げた状態を示す複合機の斜視図
【図3】本体部の概略構成を示す断面図
【図4】複合機の電気的構成を概念的に示すブロック図
【図5】実施形態1における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図6】判定後出力処理の流れを示すフローチャート
【図7】判定・出力並行処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態2における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図9】実施形態3における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図10】実施形態4における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図11】実施形態5における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図12】実施形態6における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図13】実施形態7における印刷処理の流れを示すフローチャート
【図14】実施形態8における印刷処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0135】
1…複合機(画像処理装置、画像形成装置)
3…原稿読取部(取得手段、原稿読取手段)
5…用紙(被記録媒体)
10…画像形成部(出力手段、画像形成手段)
33…原稿載置部
34…ADF(原稿送り部)
37…CCDイメージセンサ(読取機構)
51…CPU(禁止手段、制御手段)
53…RAM(データ記憶手段)
54…不揮発性メモリ(履歴記憶手段)
56…ネットワークインターフェイス(取得手段、出力手段)
61…判定部(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記取得手段により取得された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記画像データに対する前記判定手段による判定が完了するより前に前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段により前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記取得手段は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記原稿読取手段に前記出力手段による出力を行うための出力用画像データとは別の判定用画像データを取得させ、前記判定手段により前記判定用画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記原稿読取手段による前記出力用画像データの取得と並行して、前記出力手段による出力を実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿読取手段による前記判定用画像データを取得するための読み取り動作は、前記出力用画像データを取得するのための読み取り動作よりも低解像度で行われることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取得手段により取得した画像データを記憶するデータ記憶手段を備え、
前記取得手段は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段による判定が完了するまでの間に前記原稿読取手段により取得された画像データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記判定手段により前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記出力手段により前記データ記憶手段に記憶された画像データに基づく出力を開始させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記取得手段により取得された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記判定手段に第1判定条件に基づいて判定を行わせ、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段に、特定画像が含まれないと判定するための条件が前記第1判定条件よりも厳しい、あるいは前記第1判定条件よりも判定項目が多い第2判定条件に基づいて判定を行わせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記第2判定条件は、前記第1判定条件に対し、少なくとも画像データの元となる画像の色あるいはサイズに関する判定項目を追加したものであることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記判定手段は、画像データが特定画像データを含むか否かを、画像データと参照用データとの合致率を用いて判定しており、
前記第2判定条件は、前記第1判定条件に比べ、特定画像データを含むと判定するための合致率の閾値が低いことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記取得手段により取得された画像データを記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段により記憶された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が第1閾値に達したときに、前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が前記第1閾値よりも大きな第2閾値に達したときに、前記出力手段にその画像データに基づく出力を開始させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記取得手段により取得された画像データに基づく出力が可能な出力手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記出力手段に対しその出力を停止させるか、あるいは無効化した出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が増加することに応じて、前記取得手段による画像データの取得から前記出力手段によるその画像データに基づく出力の開始までの時間が増加するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
前記取得手段は、原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段を備えることを特徴とする請求項1、請求項5から請求項9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記判定手段は、画像データに特定画像データが含まれるか否かを判定する本判定処理と、画像データに特定画像データが含まれる可能性が高いか否かを前記本判定処理よりも高速に判定する予備判定処理とを実行可能とされ、
前記制御手段は、前記予備判定処理によって画像データに特定画像データが含まれる可能性が高くないと判定された場合には、前記本判定処理による判定が完了するよりも前に前記出力手段による出力を開始させ、前記予備判定処理によって特定画像データが含まれる可能性が高いと判定された場合には、前記本判定処理によって前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に前記出力手段による出力を開始させることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記予備判定処理において、原稿画像の色またはサイズに関する判定項目を用いて判定を行うことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記原稿読取手段は、原稿が載置される原稿載置部と、前記原稿載置部に載置された原稿を読み取る読取機構と、前記読取機構による読み取りが可能な位置へ原稿を搬送する原稿送り部とを備え、
前記制御手段は、前記原稿読取手段において前記原稿載置部に載置された原稿を読み取る場合には、前記原稿読取手段に前記出力手段による出力を行うための出力用画像データとは別の判定用画像データを取得させ、前記判定手段によりこの判定用画像データに特定画像データが含まれないと判定された後に、前記原稿読取手段による前記出力用画像データの取得と並行して前記出力手段による出力を開始させ、前記原稿読取手段において前記原稿送り部によって送られる原稿を読み取る場合には、前記原稿読取手段により前記判定用画像データよりも少ない量の画像データを取得したところで、前記出力手段によりその画像データに基づく出力を開始させるとともに、前記判定手段によるその画像データに対する判定と前記出力手段による出力とを並行して行うことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記規定回数は、1回であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記履歴記憶手段は、不揮発性メモリからなることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項16】
原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記画像データに対する前記判定手段による判定が完了するより前に前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段により前記画像データが特定画像データを含まないと判定された後に、前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記判定手段に第1判定条件に基づいて判定を行わせ、特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記判定手段に、特定画像が含まれないと判定するための条件が前記第1判定条件よりも厳しい、あるいは前記第1判定条件よりも判定項目が多い第2判定条件に基づいて判定を行わせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データを記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段により記憶された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数未満である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が第1閾値に達したときに、前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させ、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が規定回数以上である場合には、前記データ記憶手段に記憶される画像データの量が前記第1閾値よりも大きな第2閾値に達したときに、前記画像形成手段にその画像データに基づく印刷出力を開始させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
原稿画像を読み取ることで画像データを取得する原稿読取手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数に関する履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記原稿読取手段により取得された画像データに基づく画像を被記録媒体上に印刷出力する画像形成手段と、
前記判定手段により取得された画像データ中に特定画像データが含まれると判定された場合に、前記画像形成手段に対し印刷出力を停止させるか、あるいは無効化した印刷出力を行わせる禁止手段と、
前記履歴情報を参照し、前記判定手段により特定画像データが含まれると判定された回数が増加することに応じて、前記取得手段による画像データの取得から前記画像形成手段によるその画像データに基づく印刷出力の開始までの時間が増加するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−235375(P2007−235375A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52651(P2006−52651)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】