説明

画像処理装置,液晶装置,電子機器および画像処理方法

【課題】複数種の補正処理の競合に起因した補正効果の過不足を低減する。
【解決手段】判定部24は、各フレームにおける各画素Pの階調値Gが直前のフレームから変化するか否かを判定する。第1補正部41は、階調値Gが直前のフレームから変化しないと判定された対象画素P0について、対象画素P0の階調値G0と他の画素Piの階調値Giとの相違に応じて階調値G0を補正する第1補正処理を実行し、階調値Gが直前のフレームから変化すると判定された画素Pの階調値Gについて第1補正処理を停止する。第2補正部42は、階調値Gが直前のフレームから変化すると判定された対象画素P0の階調値G0について、液晶をオーバードライブさせる第2補正処理を実行し、階調値Gが直前のフレームから変化しない判定された画素Pの階調値Gについて第2補正処理を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置の各画素に指定される階調値を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶に印加される電圧の制御で各画素の階調を制御する液晶装置では、相互に隣合う画素間の横電界に起因した液晶の配向不良(ディスクリネーション)が問題となる。特許文献1には、相互に隣合う画素間の階調値の差異が減少するように各画素の階調値を補正すること(以下では「画素間補正」という)で横電界を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−104053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶装置の各画素の階調値については画素間補正以外にも様々な補正が実行される。例えば、液晶がオーバードライブされるように各画素の階調値を補正することで、液晶の応答遅延に起因した動画像の残像感を低減することが可能である。しかし、画素間補正と他の補正とを単純に併用した場合、各補正の競合により効果が相殺される可能性や階調値の補正が過剰となる可能性がある。補正効果の過不足は表示斑等の表示品位の低下の原因となり得る。以上の事情を考慮して、本発明は、複数種の補正処理の競合に起因した補正効果の過不足を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、液晶装置の各画素の階調値をフレーム毎に指定する画像データ(例えば画像データDA)を補正する画像処理装置であって、各フレームにおける各画素の階調値が直前のフレームから変化するか否かを判定する判定手段(例えば判定部24)と、階調値が直前のフレームから変化しないと判定手段が判定した一の画素(例えば対象画素P0)について、一の画素の階調値(例えば階調値G0)と当該一の画素に隣合う他の画素(例えば画素Pi)の階調値(例えば階調値Gi)との相違に応じて階調値を補正する第1補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化すると判定手段が判定した画素の階調値について第1補正処理を停止する第1補正手段(例えば第1補正部41)とを具備する。以上の構成では、階調値が直前のフレームから変化しないと判定された画素の階調値について第1補正処理が実行され、階調値が直前のフレームから変化すると判定された画素の階調値については第1補正処理が停止される。すなわち、階調値が直前のフレームから変化すると判定された画素については第1補正処理と他の補正処理との競合が防止される。したがって、複数種の補正処理の競合に起因した補正効果の過不足を低減することが可能である。
【0006】
本発明の好適な態様の画像処理装置は、階調値が直前のフレームから変化すると判定手段が判定した画素の階調値について、第1補正処理とは相違する第2補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化しないと判定手段が判定した画素の階調値について第2補正処理を停止する第2補正手段(例えば第2補正部42)を具備する。第2補正処理は、例えば、液晶装置の液晶がオーバードライブされるように階調値を補正する処理である。以上の態様によれば、階調値が直前のフレームから変化しない画素については横電界の低減を目的とした第1補正処理が実行され、階調値が直前のフレームから変化する画素については動画像の残像感の低減を目的とした第2補正処理が実行される。したがって、横電界に起因した液晶の配向不良の低減と液晶の応答遅延に起因した残像感の低減とを高い水準で両立できるという利点がある。
【0007】
本発明の好適な態様において、複数の画素は、相互に交差する第1方向(例えばY方向)および第2方向(例えばX方向)に行列状に配列し、第1補正手段は、一の画素について、第1方向において一の画素の両側に位置する2個の画素(例えば画素P1および画素P2)の各々の階調値と、第2方向において一の画素の両側に位置する2個の画素(例えば画素P3および画素P4)の各々の階調値とを第1補正処理に適用する。以上の態様では、第1方向および第2方向の横電界を第1補正処理により有効に防止できるという利点がある。
【0008】
本発明の液晶装置は、複数の画素を含む画素部(例えば画素部10)と、以上の各態様に係る画像処理回路(例えば画像処理回路20)と、画像処理回路による処理後の画像データに応じて各画素を駆動する駆動回路(例えば駆動回路30)とを具備する。したがって、本発明の画像処理装置と同様の作用および効果が実現される。本発明の液晶装置は、画像を表示する表示体として各種の電子機器(例えば携帯電話機や投射型表示装置)に搭載され得る。
【0009】
液晶装置の各画素の階調値をフレーム毎に指定する画像データを補正する画像処理方法としても本発明は実現され得る。本発明の画像処理方法は、各フレームにおける各画素の階調値が直前のフレームから変化するか否かを判定し、階調値が直前のフレームから変化しないと判定した一の画素について、一の画素の階調値と当該一の画素に隣合う他の画素の階調値との相違に応じて階調値を補正する第1補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化すると判定した画素の階調値について第1補正処理を停止する。以上の画像処理方法でも本発明の画像処理装置と同様の作用および効果が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のひとつの実施形態に係る液晶装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】画像処理回路のブロック図である。
【図4】第1補正処理の説明図である。
【図5】第1補正処理のフローチャートである。
【図6】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図7】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図8】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A:実施形態>
図1は、本発明のひとつの実施形態に係る液晶装置100のブロック図である。図1に示すように、液晶装置100は、複数の画素(画素回路)Pが平面状に配列された画素部10と、各画素Pの階調値Gを指定する画像データDAを処理して画像データDBを生成する画像処理回路20と、画像処理回路20が生成した画像データDBに応じて各画素Pを駆動する駆動回路30とを具備する。画像処理回路20は、所定長のフレーム(垂直走査期間)毎に上位装置(図示略)から供給される画像データDAを処理することで各フレームの画像データDBを順次に生成する。
【0012】
画素部10には、X方向に延在する複数の走査線12とY方向に延在する複数の信号線14とが形成される。複数の画素Pは、各走査線12と各信号線14との交差に対応した位置に配置され、相互に交差するX方向およびY方向に沿って行列状に配列する。図2に示すように、各画素Pは、液晶素子CLと選択スイッチSWとを含んで構成される。液晶素子CLは、相互に対向する画素電極52および共通電極54と両電極間の液晶56とで構成される電気光学素子である。画素電極52は画素P毎に相互に間隔をあけて形成され、共通電極54は複数の画素Pにわたり連続に分布する。画素電極52と共通電極54との間の印加電圧に応じて液晶56の配向を制御することで液晶素子CLの透過率(表示階調)が変化する。選択スイッチSWは、例えば薄膜トランジスターで構成され、走査線12の選択時にオン状態に遷移することで画素電極52と信号線14とを導通させる。
【0013】
図1の駆動回路30は、走査線駆動回路32と信号線駆動回路34とを含んで構成される。走査線駆動回路32は、複数の走査線12の各々を水平走査期間毎に順次に選択する。信号線駆動回路34は、走査線駆動回路32による各走査線12の選択に同期して階調信号を複数の信号線14の各々に供給する。階調信号は、画像処理回路20による処理後の画像データDBが各画素Pに指定する階調値Gに応じた電圧信号である。共通電極54の電位を基準とした階調信号の電位の極性はフレーム毎に反転する。以上の構成のもと、各画素Pの階調値Gに応じた階調信号が走査線駆動回路32による走査線12の選択時に信号線14からその画素Pの画素電極52に供給されることで、画像データDBに応じた画像がフレーム毎に画素部10に表示される。なお、液晶素子CLに対する印加電圧の極性反転の周期は任意であり、例えば走査線12毎(行毎)に反転させる構成や信号線14毎(列毎)に反転させる構成も採用され得る。
【0014】
図3は、画像処理回路20のブロック図である。図3に示すように、画像処理回路20は、記憶部22と判定部24と補正処理部26とを具備する。記憶部22は、上位装置から供給される各フレームの画像データDAを順次に記憶するフレームメモリである。画像データDAは、1個のフレームにおける各画素Pの階調値Gを指定する。記憶部22に格納された画像データDAはフレーム毎に順次に更新される。
【0015】
判定部24は、上位装置から供給されるフレームF[n]の画像データDAと記憶部22に格納された直前のフレームF[n-1]の画像データDAとを対比することで、フレームF[n]における各画素Pの階調値Gが直前のフレームF[n-1]から変化したか否かを画素P毎に判定する。具体的には、判定部24は、相前後するフレームF[n]とフレームF[n-1]との間で各画素Pの階調値Gの差分値を算定し、差分値が所定の閾値を上回る画素Pについてはフレーム間で階調値Gが変化したと判定する一方、差分値が閾値を下回る画素Pについてはフレーム間で階調値Gが変化しないと判定する。表示画像が動画像である場合には各画素Pの階調値Gはフレーム間で変化し、表示画像が静止画である場合には各画素Pの階調値Gはフレーム間で変化しない。したがって、判定部24は、表示画像が動画像および静止画の何れに該当するかを判定する手段に相当する。
【0016】
補正処理部26は、上位装置からフレーム毎に供給される画像データDAを判定部24による判定の結果に応じて補正することで各フレームの画像データDBを生成して信号線駆動回路34に順次に供給する。図3に示すように、補正処理部26は、画像データDAに対して第1補正処理を実行する第1補正部41と、画像データDAに対して第2補正処理を実行する第2補正部42とを含んで構成される。
【0017】
第1補正処理と第2補正処理とは目的や作用が相違する。具体的には、第1補正処理は、相互に隣合う画素P間の横電界に起因した液晶56の配向不良の低減を目的とした補正処理であり、第2補正処理は、液晶56の応答遅延に起因した動画表示時の残像感の低減を目的とした補正処理である。第1補正処理および第2補正処理の一方が判定部24による判定の結果に応じて選択される。具体的には、第1補正部41は、階調値Gが直前のフレームから変化しないと判定された画素Pについて第1補正処理を実行し、階調値Gが直前のフレームから変化すると判定された画素Pについては第1補正処理を停止する。他方、第2補正部42は、階調値Gが直前のフレームから変化すると判定された画素Pについて第2補正処理を実行し、階調値Gが直前のフレームから変化しないと判定された画素Pについては第2補正処理を停止する。すなわち、各画素Pの階調値Gが直前のフレームから変化するか否かに応じてその階調値Gについて第1補正処理と第2補正処理との一方が選択的に実行される。
【0018】
図4は、第1補正部41が実行する第1補正処理の説明図である。図4には、階調値Gが直前のフレームから変化しないと判定された第m行第n列の1個の画素P(以下「対象画素P0」という)とその周囲の8個の画素Pとが図示されている。画素P1は、対象画素P0に対してY方向の負側(第(m-1)行第n列)に位置し、画素P2は、対象画素P0に対してY方向の正側(第(m+1)行第n列)に位置する。また、画素P3は、対象画素P0に対してX方向の負側(第m行第(n-1)列)に位置し、画素P4は、対象画素P0に対してX方向の正側(第m行第(n+1)列)に位置する。第1補正処理は、1個の対象画素P0の階調値G0とその対象画素P0に隣合う他の画素P(P1〜P4)の階調値Gとの相違に応じて対象画素P0の階調値G0を補正する処理である。
【0019】
図5は、第1補正処理のフローチャートである。1個の対象画素P0に対する第1補正処理を開始すると、第1補正部41は、対象画素P0に対してX方向またはY方向に隣合う4個の画素P1〜P4から1個の画素Pi(i=1,2,3,4)を選択し(S1)、対象画素P0の階調値G0が画素Piの階調値Giを下回るか否かを判定する(S2)。階調値G0が階調値Giを下回る場合(S2:YES)、第1補正部41は、階調値Giと階調値G0との差分値δi(δi=Gi−G0)を算定し(S3)、差分値δiに所定の係数kiを乗算することで補正値Ai(Ai=ki・δi)を算定する(S4)。係数kiは、0以上1以下の範囲内で適宜に選定された定数である。各画素Piに対応する4個の係数k1〜k4の各々は相異なる数値に設定され得る。他方、階調値G0が階調値Gi以上である場合(G2:NO)、第1補正部41は、補正値Aiを0(非補正を意味する数値)に設定する(S5)。
【0020】
以上の手順で補正値Aiを設定すると(S4,S5)、第1補正部41は、対象画素P0の周囲の4個の画素P1〜P4について補正値Aiの算定が完了したか否かを判定し(S6)、未算定の画素Piが存在する場合にはその画素Piを選択(S1)したうえで補正値Aiを算定する(S2〜S5)。4個の画素P1〜P4について補正値A1〜A4の算定が完了した場合(S6:YES)、第1補正部41は、画像データDAが対象画素P0に指定する階調値G0に補正値A1〜A4を加算する(S7)。階調値G0と補正値A1〜A4との加算値が第1補正処理後の階調値Gである。以上の説明から理解される通り、第1補正処理は、X方向またはY方向に隣合う画素P1〜P4と対象画素P0との階調値Gの相違を低減する方向に作用する。したがって、対象画素P0とこれに隣合う画素Piとの間の横電界が抑制され、画素P間の横電界に起因した液晶56の配向不良(ディスクリネーション)が低減される。
【0021】
他方、第2補正部42が実行する第2補正処理は、階調値Gが直前のフレームから変化しないと判定された1個の対象画素P0の液晶素子CL(液晶56)がオーバードライブされるように対象画素P0の階調値G0を補正する処理である。例えば、階調値G0を一時的に所定値だけ増加または減少させる処理が第2補正処理として実行される。液晶素子CLのオーバードライブについては例えば特開2009−223259号公報や特開2008−292905号公報にも開示されている。第1補正部41による第1補正処理または第2補正部42による第2補正処理の実行後の階調値Gを各画素について指定する画像データDBがフレーム毎に順次に信号線駆動回路34に供給される。
【0022】
以上に説明した形態では、第1補正処理および第2補正処理が選択的に実行されるから、第1補正処理と第2補正処理との競合に起因した補正効果の過不足を低減することが可能である。したがって、補正効果の過不足に起因した表示斑を有効に低減できるという利点がある。以上の例示では特に、画像データDAで指定される各画素Pの階調値Gが直前のフレームから変化したか否かが判定部24により判定され、階調値Gが直前のフレームから変化した画素P(動画部分)については残像感の低減を目的とした第2補正処理が実行される一方、階調値Gが直前のフレームから変化しない画素P(静止画部分)については横電界の低減を目的とした第1補正処理が実行される。したがって、横電界に起因した液晶56の配向不良の低減と液晶56の応答遅延に起因した残像感の低減とを高い水準で両立できるという利点もある。
【0023】
<B:変形例>
以上に例示した形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0024】
(1)前述の形態では、第1補正処理の対象画素P0に対してX方向またはY方向に隣合う4個の画素Piについて補正値Ai(A1〜A4)を算定したが、第1補正処理に加味される画素Piの個数は任意である。例えば対象画素P0に対してX方向の正側に隣合う1個の画素P4のみを第1補正処理に加味する構成(前述の補正値A4のみを階調値G0に加算する構成)や、対象画素P0に対してY方向(またはX方向)に隣合う2個の画素P1および画素P2のみを第1補正処理に加味する構成(補正値A1および補正値A2のみを階調値G0に加算する構成)も採用され得る。また、第1補正処理に加味される画素Piの位置や個数を変更可能な構成も好適である。例えば、対象画素P0に隣合う4個の画素P1〜P4のうち上位装置からの指示や操作部(図示略)に対する利用者からの指示に応じて選択された1個以上の画素Piの階調値Gを第1補正処理に適用する構成が採用される。
【0025】
(2)前述の形態では、液晶素子CLがオーバードライブするように階調値Gを補正する処理を第2補正処理として例示したが、第2補正処理の具体的な内容や目的は任意である。もっとも、第2補正処理は、階調値Gが直前のフレームから変化した画素Pを対象として実行されるから、動画像に適用される補正処理が第2補正処理として格別に好適である。
【0026】
(3)第1補正処理の具体的な方法は前述の例示に限定されない。例えば、対象画素P0の階調値G0と画素Piの階調値Giとの相対比(例えばGi/G0)に応じて補正値Aiまたは補正後の階調値Gを算定する構成や、階調値G0と階調値Giとの差分値δiや相対比を適用した所定の演算により補正値Aiまたは補正後の階調値Gを算定する構成も採用され得る。また、第1補正部41が演算により補正後の階調値Gを算定する構成は必須ではなく、例えば階調値G0と階調値Giとの差分値δiや相対比と補正後の階調値Gとが対応付けられたテーブルを利用して補正後の階調値Gを特定することも可能である。
【0027】
<C:応用例>
前述の形態に例示した液晶装置100は、各種の電子機器に利用され得る。図6から図8には、液晶装置100を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0028】
図6は、液晶装置100を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する液晶装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0029】
図7は、液晶装置100を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する液晶装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、液晶装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0030】
図8は、液晶装置100を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクタ)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の液晶装置100(100R,100G,100B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを液晶装置100Rに供給し、緑色成分gを液晶装置100Gに供給し、青色成分bを液晶装置100Bに供給する。各液晶装置100は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各液晶装置100からの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0031】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図6から図8に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレイヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0032】
100……液晶装置、10……画素部、12……走査線、14……信号線、20……画像処理回路、22……記憶部、24……判定部、26……補正処理部、30……駆動回路、32……走査線駆動回路、34……信号線駆動回路、41……第1補正部、42……第2補正部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶装置の各画素の階調値をフレーム毎に指定する画像データを補正する画像処理装置であって、
各フレームにおける各画素の階調値が直前のフレームから変化するか否かを判定する判定手段と、
階調値が直前のフレームから変化しないと前記判定手段が判定した一の画素について、前記一の画素の階調値と当該一の画素に隣合う他の画素の階調値との相違に応じて階調値を補正する第1補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化すると前記判定手段が判定した画素の階調値について前記第1補正処理を停止する第1補正手段と
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
階調値が直前のフレームから変化すると前記判定手段が判定した画素の階調値について、前記第1補正処理とは相違する第2補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化しないと前記判定手段が判定した画素の階調値について前記第2補正処理を停止する第2補正手段
を具備する請求項1の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2補正手段は、前記液晶装置の液晶がオーバードライブされるように階調値を補正する処理である
請求項2の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の画素は、相互に交差する第1方向および第2方向に行列状に配列し、
前記第1補正手段は、前記一の画素について、前記第1方向において前記一の画素の両側に位置する2個の画素の各々の階調値と、前記第2方向において前記一の画素の両側に位置する2個の画素の各々の階調値とを前記第1補正処理に適用する
請求項1から請求項3の何れかの画像処理装置。
【請求項5】
複数の画素を含む画素部と、
前記各画素の階調値をフレーム毎に指定する画像データを補正する画像処理回路と、
前記画像処理回路による処理後の画像データに応じて前記各画素を駆動する駆動回路とを具備し、
前記画像処理回路は、
各フレームにおける各画素の階調値が直前のフレームから変化するか否かを判定する判定手段と、
階調値が直前のフレームから変化しないと前記判定手段が判定した一の画素について、前記一の画素の階調値と当該一の画素に隣合う他の画素の階調値との相違に応じて階調値を補正する第1補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化すると前記判定手段が判定した画素の階調値について前記第1補正処理を停止する第1補正手段とを含む
液晶装置。
【請求項6】
請求項5の液晶装置を具備する電子機器。
【請求項7】
液晶装置の各画素の階調値をフレーム毎に指定する画像データを補正する画像処理方法であって、
各フレームにおける各画素の階調値が直前のフレームから変化するか否かを判定し、
階調値が直前のフレームから変化しないと判定した一の画素について、前記一の画素の階調値と当該一の画素に隣合う他の画素の階調値との相違に応じて階調値を補正する第1補正処理を実行し、階調値が直前のフレームから変化すると判定した画素の階調値について前記第1補正処理を停止する
画像処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3426(P2013−3426A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136015(P2011−136015)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】