説明

画像処理装置

【課題】複数の画像の合成処理物を容易かつ手軽に作成する。
【解決手段】画像処理装置1は、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されたアンテナ151とをそれぞれ有する複数の無線タグ回路素子Toと無線通信により情報の送受信を行い、それら複数の無線タグ回路素子ToのタグIDを取得するための高周波回路26及びアンテナ8とを有する。そして、これら高周波回路26及びアンテナ8を用いた取得した複数の無線タグ回路素子ToのタグIDに基づき、対応する複数の読み取り対象物の画像を取得し、この取得した複数の読み取り対象の画像を合成処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に所定の合成処理を行って合成処理物を作成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有線又は無線のネットワーク上にデータベースを配置し、このネットワークに接続された端末を操作して上記データベースより所望の画像データを検索、抽出して端末で取得するシステムは、既に広く知られている。このようなシステムを料理メニューの作成等に応用した従来技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
この従来技術では、データベースから端末側のデータ処理装置に標準メニューを与え、端末側のデータ処理装置に指示画面を表示して希望する料理メニューに選択変更し、その選択変更された料理メニューをその画像とともにデータベース側の印刷装置でメニュー様式に印刷するようになっている。
【0004】
具体的には、端末側からデータベースにアクセスし、1つのメニュー(献立)に含まれる複数の食材について、まず各食材を構成する料理種類(例えば、「煮物」、「焼物」、「揚物」等)を選択し、これによって当該選択した料理種類に該当する複数の料理構成(例えば「マスの塩焼き」等)を画像とともに表示させる。そして、このようにして各食材ごとに料理構成を選択し、すべての食材の選択が終了すると、それら各食材の画像を備えたメニューが印刷されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−318352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、食材ひとつひとつの画像を備えた所望のメニュー(献立)を画像の合成処理物(印刷物)として提供することはできる。しかしながら、そのためには、端末側における前述したようなデータベースへのアクセスに基づく選択操作を行い、画像をひとつひとつ収集しなければならない。このような面倒な操作が必要となる結果、操作者にとって労力負担が大きく、複数の画像の合成処理物を容易かつ手軽に作成できなかった。
【0007】
本発明の目的は、面倒な操作を行うことなく、複数の画像の合成処理物を容易かつ手軽に作成することができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとをそれぞれ有する複数の無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行い、それら複数の無線タグ回路素子のタグ識別情報を取得するための無線通信手段と、この無線通信手段で取得した前記複数の無線タグ回路素子の前記タグ識別情報に基づき、対応する複数の読み取り対象物の第1画像を取得する画像取得手段と、この画像取得手段で取得した複数の第1画像を合成処理する画像合成手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明においては、複数の読み取り対象物の画像を合成して印刷物又は表示物等の合成処理物を作ろうとする場合には、当該複数の読み取り対象物それぞれに対応する複数の無線タグ回路素子に対し無線通信手段で情報送受信を行うことで各無線タグ回路素子のタグ識別情報が取得され、さらにそれらタグ識別情報をもとに画像取得手段で各読み取り対象物の第1画像が取得され、それら取得された複数の第1画像は画像合成手段で合成処理される。
【0010】
これにより、操作者は、合成したい複数の画像に対応した無線タグ回路素子の読み取り処理(=タグ識別情報の取得処理)を行うだけで自動的に当該複数の画像の合成処理を行えるので、各画像をひとつひとつ撮影したり収集して切り貼り操作したり等の面倒な操作を行わなくても、複数の画像の合成処理物を容易かつ手軽に作成することができる。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記複数の無線タグ回路素子にそれぞれ対応する複数の前記読み取り対象物を用いて所定の処理を施された撮影対象物の第2画像を撮影するための撮像手段を有し、前記画像合成手段は、前記画像取得手段で取得した複数の第1画像と、前記撮像手段で撮影した第2画像とを合成処理することを特徴とする。
【0012】
画像取得手段で取得した複数の第1画像に、さらに撮像手段で撮影した撮影対象物の第2画像を加えて画像合成手段で合成処理を行うことができる。したがって、例えば撮影対象物としての調理完成品(又は組立完成品等)の完成後に当該調理完成品(又は組立完成品等)の第2画像を撮影する一方、当該調理完成品の調理時(又は組立完成品の組立時等)に使用した各食材(又は組立部品)を読み取り対象物としてそれぞれに対応する無線タグ回路素子のタグ識別情報を無線通信手段で取得し、各タグ識別情報に基づき画像取得手段が自動的に当該食材(又は組立部品)の第1画像を取得することで、調理完成品(又は組立完成品)の画像と食材の画像とを合成した合成処理物を容易かつ手軽に作成することができる。
【0013】
第3発明は、上記第2発明において、前記撮像手段による撮影時に前記撮影対象物を載置するための載置手段を有することを特徴とする。
【0014】
撮影時に載置手段に撮影対象物を載置し、安定的に撮影を行うことができる。
【0015】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記画像合成手段は、合成処理後の合成処理物において、前記複数の第1画像が一方側領域に配置され、前記第2画像が他方側領域に配置されるように、領域を区分して前記合成処理を行うことを特徴とする。
【0016】
これにより、一方側に複数の第1画像が配置され、他方側に第2画像が配置され、視覚的にわかりやすく明確な合成処理物を作成することができる。
【0017】
第5発明は、上記第3又は第4発明において、前記載置手段は、前記一方側領域、又は前記他方側領域、若しくはそれら一方側領域と他方側領域との境界位置を前記画像合成手段が認識するための識別子を備えることを特徴とする。
【0018】
識別子を画像合成手段で認識させることにより、複数の第1画像を配置する一方側領域や第2画像を配置する他方側領域の位置、大きさ、境界等を容易かつ確実に設定することができる。
【0019】
第6発明は、上記第3乃至第5発明のいずれかにおいて、前記画像合成手段は、合成処理後の合成処理物において、前記複数の第1画像を、前記載置手段上における前記複数の無線タグ回路素子の配置態様に対応して配置するように、前記合成処理を行うことを特徴とする。
【0020】
これにより、合成処理物上において、第1画像を、載置手段上で無線タグ回路素子を並べたとおりに配置させることができるので、操作者のイメージ通りに合成された合成処理物を容易に作成でき、利便性を向上することができる。
【0021】
第7発明は、上記第6発明において、前記無線通信手段は、前記複数の無線タグ回路素子の配置態様を検出可能に、前記載置手段に設けられていることを特徴とする。
【0022】
載置手段に設けた無線通信手段で複数の無線タグ回路素子の配置態様を検出することで、その検出した無線タグ回路素子の配置態様どおりに合成処理物上において第1画像を配置させ、操作者のイメージ通りに合成された合成処理物を容易に作成することができる。
【0023】
第8発明は、上記第3乃至第7発明のいずれかにおいて、前記画像合成手段は、合成処理後の合成処理物において、前記複数の第1画像のうち特定の画像が、他の画像に比べ、所定の位置に優先して配置されるように若しくは大きさを変更して配置されるように、前記合成処理を行うことを特徴とする。
【0024】
これにより、操作者のニーズや用途に応じて、特定の読み取り対象物の第1画像を他のものに比べて目立たせるようにすることができ、利便性をさらに向上できる。
【0025】
第9発明は、上記第1乃至第8発明のいずれかにおいて、前記無線通信手段で取得した前記無線タグ回路素子のタグ識別情報に基づき、当該無線タグ回路素子に対応する前記読み取り対象物及びそれに係る前記第1画像の使用有効期限内であるかどうかを判定する判定手段を有することを特徴とする。
【0026】
これにより、使用期限の切れた読み取り対象物とそれに係る第1画像(例えば賞味期限の切れた食材や耐久年数を超えた組立部品とそれらに係る画像)が合成処理物に誤って利用されてしまうのを防止でき、合成処理物の情報の適正化及び信頼性の向上を図ることができる。
【0027】
第10発明は、上記第1乃至第9発明のいずれかにおいて、前記無線通信手段は、前記画像取得手段で前記第1画像を取得した前記無線タグ回路素子にアクセスし、前記タグ識別情報を消去するための消去情報信号を生成する信号生成手段を備えることを特徴とする。
【0028】
これにより、第1画像取得後のタグ識別情報の不適当な使い回しを防止することができ、合成処理物の情報の適正化及び信頼性の向上を図ることができる。また、情報消去後の無線タグ回路素子については、新たなタグ識別情報を書き込み新規な無線タグ回路素子として再利用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、面倒な操作を行うことなく、複数の画像の合成処理物を容易かつ手軽に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、例えば飲食店におけるチラシ等を作成するために本発明を適用した場合を例に取り、本実施形態の画像処理装置1では、複数の食材の画像(第1画像)を合成し、さらにそれら食材から調理(所定の処理)してできた「すきやき鍋」の完成品の画像(第2画像)も合わせて合成するものである。
【0031】
またこのとき、各食材には、商品識別用の無線タグTが添付された状態で販売されており、所定の運営主体(例えば食品管理機関等)において管理運用されているデータベース10(後述の図2参照)に上記無線タグTの全てのタグ識別情報(以下、タグIDという)に対応して各種食材の産地情報やその後の流通情報などの情報(=トレーサビリティ;以下適宜単に「材料情報」と総称する)や画像情報等が格納され、購入者はインターネットなどの通信ネットワークNW(後述の図2参照)を介してそれら情報が取得できる環境が整備されていることを前提とする。
【0032】
図1は、本実施形態の画像処理装置1の全体概略構造を表す斜視図である。図1において、本実施形態の画像処理装置1は、例えば一般的なカメラと同じ機能を備えるとともに後述の画像合成機能等を併せて備える制御撮像部2と、この制御撮像部2にケーブル4を介して情報の送受信が可能に接続されたアンテナトレイユニット(載置手段)3とを有している。
【0033】
アンテナトレイユニット3は、概略的に1枚の長方形の平板形状に形成された載置台であり、その上面のほぼ半分(図中A−A′線より上側)は完成品(この例では調理済みのすきやき(詳細図示省略)が入ったすきやき鍋5)を載置する完成品載置領域6として区分され、他方のほぼ半分(図中A−A′線より下側)は無線タグTを載置するタグ載置領域7として区分されている。なお、完成品載置領域6は省略してタグ載置領域7のみでアンテナトレイユニット3を構成し、完成品は別の場所に配置するようにしてもよい。
【0034】
タグ載置領域7は、図中の破線で示すように、複数(この例では3行7列の配置で21個)のタグ検出領域7aに区分されており、後述するように各タグ検出領域7aにおいてそれぞれアンテナトレイユニット3の下面に無線タグTと無線通信により情報の送受信が可能なアンテナ8が設置されている(アンテナ8については後に詳述する)。なお、後述のように完成品載置領域6の完成品に対し制御撮像部2で撮像を行う際に、完成品載置領域6とタグ載置領域7とを明確に区別して認識する(タグ載置領域7の画像が撮像内に写りこんだとしても認識しないようにする等)ために、その境界位置(又はタグ載置領域7の所定箇所、若しくは完成品載置領域6)に所定の識別子(たとえば後述の図12の識別マーク411a〜fと同様のもの)を設け、これをCPU21で認識させることにより、それぞれの領域6,7の位置、大きさ、境界等を容易かつ確実に設定できるようにしてもよい。この場合、これによって、表示物や印刷物の画像合成物において複数の食材の画像を配置する材料表示領域24b(後述)や完成品の画像を配置する完成品表示領域24a(後述)の位置、大きさ、境界等を容易かつ確実に設定することもできる。
【0035】
また、このタグ載置領域7には、すきやき鍋(撮影対象物)5の調理前の材料であり、かつ画像処理における画像合成の対象である各食材(読み取り対象物)に添付されていた商品識別用の無線タグTがそれぞれ任意の配置で載置される。図に示す例では、各無線タグTは電波を透過する材料で形成された載置プレート9の上に安定的に載置されてタグ載置領域7上に配置されている。なお、軽量である各無線タグTが動くことなく静止させて載置できる場合は、この載置プレート9は必ずしも必要ではない。
【0036】
図2は、本実施形態の画像処理装置1の概略を表すシステム構成図である。この図2において、画像処理装置1は、前述したように制御撮像部2とアンテナトレイユニット3を有しており、さらに制御撮像部2はLAN及びインターネットなどで構成する(有線又は無線の)通信ネットワークNWを介して食材に関する各種情報が格納保持された上記データベース10と情報信号の授受が可能に接続されている。
【0037】
制御撮像部2は、CPU(中央演算装置)21と、例えばRAMやROM等からなるメモリ22と、操作者からの指示や情報が入力される操作部23と、合成画像やメッセージを表示する表示部24と、上記通信ネットワークNWを介してデータベース10との制御信号及び情報信号の授受の制御を行うネットワーク通信制御部25と、アンテナ8を介し無線タグTとの無線通信の制御を行う高周波回路26と、この例で完成品であるすきやき鍋5を撮影する撮像部(撮像手段)27とを備えている。なお、データベース10は、ハードディスク装置などの大容量記憶装置で構成されるものであるが、必要とする情報量が少なく、記憶容量が小さくてよい場合には、制御撮像部2の内部に備えてもよい(データベース10の記憶する各種情報についても後に詳述する)。
【0038】
この制御撮像部2のCPU21は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって操作部23からの撮影処理や画像処理の実行命令の入力を受け付け、アンテナ8を介した無線通信により無線タグTのタグIDの検出処理を行い、その検出結果に基づいて対応する材料情報を上記通信ネットワークNWを介してデータベース10から取得し、所定の画像処理を行ってその処理結果を表示部24に表示するようになっている。
【0039】
操作部23は、各種の操作ボタンとともに通常のカメラと同じシャッターボタン23a(前述の図1参照)を有しており、操作者はこのシャッターボタン23aを押すことで完成品の撮影と画像処理を開始できるようになっている(なお開始処理開始手段は別途設けてもよい)。
【0040】
表示部24は、例えば液晶パネルなどからなり、画像処理により合成されたデジタル画像を表示できるよう表示画面の比較的大きいものが設置されている。
【0041】
撮像部27は、例えばCCD又はCMOSなどの撮像センサとレンズで構成されており、完成品の画像をデジタル画像信号に変換(撮影)するものである。
【0042】
アンテナトレイユニット3は、電波を透過する材料からなる平板形状のトレイボード31と複数(この例では21個)の上記アンテナ8とを有している。各アンテナ8は、トレイボード31の下面において上述したような各タグ検出領域7aに対応する配置で設置されており、トレイボード31及び載置プレート9を挟んでその上方に配置された無線タグTと無線通信できるものである。なお好ましくは、隣り合うアンテナ8どうしで無線電波が干渉することがないよう、例えば指向性を強く持たせたり通信出力を小さくしたりすることで検出領域が明確に設定されている。
【0043】
無線タグTは、各食材の購入時に添付されていたものを取り外したものであり、それぞれ、少なくとも識別情報としてのタグIDを含む各種情報を記憶するIC回路部150とこれに接続するアンテナ151とで構成する無線タグ回路素子Toを備え、この無線タグ回路素子Toがラベル41に備えられて構成されている(無線タグTの機能的構成については後に詳述する)。
【0044】
図3は、上記制御撮像部2におけるCPU21、高周波回路26及びアンテナ8の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【0045】
図3において、制御撮像部2の高周波回路26は上記アンテナ8を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む無線タグ情報)へアクセスするものであり、また制御撮像部2のCPU21は無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、制御撮像部2全体の動作を制御するものである。
【0046】
高周波回路26は、アンテナ8を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ8により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214と、アンテナ切換スイッチ部314とから構成される。
【0047】
アンテナ切換スイッチ部314は、例えば周知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、CPU21からの選択信号により複数のアンテナ8のいずれか一つを送受分離器214に接続するものである。そして、このときにCPU21は、選択信号と受信された信号とを関連付けて記憶するにより、どの位置のアンテナ8でどのタグIDを検出したかを把握できるようになっている。
【0048】
送信部212は、CPU21からの制御信号に応じ、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子215A、PLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU21から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU21からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU21からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯又はマイクロ波帯の周波数を用いており、上記可変送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介してアンテナスイッチ回路314を経てアンテナ8に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0049】
受信部213は、アンテナ8で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ8で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU21に入力されて処理される。
【0050】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU21に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態の制御撮像部2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0051】
図4は、食材に添付されていた無線タグTに共通して備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0052】
図4において、無線タグ回路素子Toは、アンテナ8を介し、制御撮像部2とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
【0053】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0054】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記アンテナ8からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、アンテナ8より受信された搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
【0055】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0056】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0057】
以上において、本実施形態の最も大きな特徴は、複数の食材にそれぞれ添付されていた無線タグTのタグIDを各アンテナ8を介して検出し、対応する食材の画像をそれぞれデータベース10から取得して合成処理し、さらにそれら複数の食材を用いて調理したすきやき鍋5の画像を制御撮像部2で撮影して上記複数の食材の画像に併せて合成することにある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0058】
まず、本実施形態の例においてデータベース10に格納保持される各テーブルについて説明する。
【0059】
図5は、各種の食材のうちの一例として牛肉に関する情報とタグIDとの対応を管理する牛肉テーブルを概念的に表す図である。
【0060】
図5において、この牛肉テーブルは、上記データベース10に格納保持される情報であり、食材の牛肉に添付される無線タグTのIC回路部150に記憶されているタグID(図中では16進数で表示)と、制御撮像部2の表示部に表示させる品名と、文字列からなる上記材料情報と、日時で表記される賞味期限(使用有効期限)と、適宜の重要度指標でランク付け表記(この例では「A」「B」「C」「D」・・・で「A」が最も重要度が高い)される食材の重要度と、対応する画像の画像ファイル名とが、予めそれぞれ対応付けられた相関情報の形で格納されている。なお、この相関情報の構成は、他の種類の食材のテーブルについても同様である。
【0061】
図6は、データベース10に格納されている食材の画像ファイルの格納態様の一例を概念的に表す図である。
【0062】
図6において、この例では、画像ファイルのファイル名は各食材の種類別(牛肉、蒟蒻、ネギなどの種類別)に先頭のアルファベットが異なっており、図示の例においては、各ファイル名の先頭の1文字が、牛肉の場合は「M」、蒟蒻の場合は「K」、ネギの場合は「N」、卵の場合は「T」、醤油の場合は「S」となっている。さらに、各種類ごとで商品別(図5で示すようにタグID別に分類される商品の内容)にファイル名の下3桁の数字が割り当てられている。これにより、図示の例では、牛肉「M024」蒟蒻「K008」ネギ「N012」卵「T023」醤油「S005」が割り当てられている。
【0063】
そして、このような構成により、図5に示したような食材テーブルと併せて利用することで、食材の種類と商品の内容に関連するタグIDと一意的に対応してその画像ファイルが検索・取得できるようになっている。
【0064】
図7は、前述したような画像処理を行うために、制御撮像部2のCPU21が行う制御手順を表すフローチャートである。
【0065】
図7において、例えば制御撮像部2の操作部23において画像処理開始の指示入力(例えばボタン操作)されると、このフローが開始される。まずステップS5において、シャッターボタン23aの押し操作がなされたか否かを判定し、シャッターボタン23aが操作されて判定が満たされるまで同じ判定を繰り返す。シャッターボタン23aが押し操作された場合、判定が満たされ、次のステップS10へ移る。
【0066】
ステップS10では、撮像部27により完成品のすきやき鍋5の画像を撮影する。このとき、通常の一眼レフ式カメラと同様に、操作者がファインダーなどで確認しながら撮像部27の撮像領域にすきやき鍋5が収められていることで、すきやき鍋5の像がレンズを通して撮像センサにより検出され、デジタル画像情報として撮影される。
【0067】
次にステップS15へ移り、全てのアンテナ8から無線タグTのタグIDを検出する。具体的には、特に図示しないが、高周波回路6を介しそれぞれのアンテナ8から「Scroll All ID」信号を送信させ、その後にこの「Scroll All ID」信号に対応するリプライ信号をそれぞれ受信させる。そしてこのときにアンテナ切換スイッチ部314に出力した選択信号と関連付けて(図3参照)リプライ信号を受信したアンテナ8を記憶することにより、アンテナトレイユニット3のタグ載置領域7において無線タグTが載置されたタグ検出領域7aの位置を検知できるとともに(図1参照)、それぞれ受信したリプライ信号に含まれるタグIDを検出することができる。
【0068】
次にステップS20へ移り、上記ステップS15で検出したタグIDに基づいてネットワークNWを介しデータベース10にアクセスし、各タグIDに対応する食材の各種情報と画像ファイルとをデータベース10(図中ではDBと省略)から検索、抽出して取得する。
【0069】
次のステップS25では、高周波回路6を介し全てのアンテナ8から無線タグTのID情報を消去(抹消)する「Kill」信号(情報消去信号、情報抹消信号)を送信させ、アンテナトレイユニット3上に載置されている全ての無線タグTにアクセスしてそれらに記憶されているタグIDを(例えば再書き込み不能に)消去(抹消)させる。このようにすることで、各食材の画像ファイルを取得した後にタグIDの不適当な使い回しを防止することができ、このあとに表示が完成する合成画像の情報の適正化及び信頼性の向上を図ることができる。但し、情報消去(抹消)後の無線タグ回路素子Toについては、新たなタグIDを書き込み新規な無線タグ回路素子Toとして再利用できるようにしてもよい。なお、「Kill」信号を送信させるのは、タグIDを検出したアンテナ8だけでもよい。また、このような使い回し防止等の効果を特に必要としない場合は、このステップS25は省略してもよい。
【0070】
次にステップS30へ移り、上記ステップS10での撮影結果に基づき所定の表示制御信号を生成し、制御撮像部2の表示部24における所定の完成品表示領域(他方側領域)に上記ステップS10で撮影した完成品のすきやき鍋5の画像を表示させ、次のステップS35へ移る。
【0071】
ステップS35では、上記ステップS20での情報・画像の取得結果に基づき所定の表示制御信号を生成し、制御撮像部2の表示部24における所定の材料表示領域(一方側領域)に上記ステップS20で取得した画像ファイルによる各食材の画像を表示する。このとき、表示部24の材料表示領域における各画像の配置は、上記ステップS15でタグIDを検出したアンテナ8の配置(タグ載置領域7において無線タグTが載置されたタグ検出領域7aの配置態様)に対応するよう配置する。これにより、このあとに表示が完成される合成画像において、各食材の画像をアンテナトレイユニット3上で無線タグTを並べたとおりに配置させることができるので、操作者のイメージ通りに合成された合成画像を容易に作成でき、利便性を向上することができる。
【0072】
また、各画像を表示させる大きさは、対応する各食材の重要度(図5参照)に応じて重要度の高いものを特に大きく表示させ、また重要度の低いものを特に小さく表示させる。これにより、操作者のニーズや用途に応じて、特定の食材の画像を他のものに比べて目立たせるようにすることができ、利便性をさらに向上できる。なお、重要度の高いものを最も目立つ中央位置に優先的に配置するよう位置交換するようにしてもよい。またこのような重要度の差異に基づく優先配置を特に行わなくてもよい場合はこの部分の手順を省略してもよい。そして、次のステップS40へ移る。
【0073】
ステップS40では、上記ステップS20での情報・画像の取得結果に基づき所定の表示制御信号を生成し、各食材の画像の下に上記ステップS20で取得した品名(名称)と材料情報による説明を表示させる。以上のステップS30からステップS40までの手順により本実施形態の画像の合成処理が行われ、表示部24に完成した合成画像(合成処理物)が表示される。なお、特に図示しないが、通信ネットワークNWなどを介してプリンタを制御撮像部2に接続し、上記完成した合成画像を印刷紙面(合成処理物)として出力してもよい。
【0074】
なお、上記ステップS30、ステップS35、ステップS40と3つの手順に分けて表示制御信号を生成して表示部24へ出力するのではなく、上記内容の合成画像を表示するための表示制御信号(合成表示制御信号)をまとめて生成し、これを表示部24へ出力するようにしてもよい。
【0075】
次にステップS45へ移り、上記ステップS20で取得した各食材の情報に含まれている賞味期限(使用有効期限)のうちいずれか一つでもその時点で期限超過しているか否かを判定する。賞味期限が超過している食材がない場合、判定が満たされず、そのままこのフローを終了する。一方、各食材のうち一つでも賞味期限が超過しているものがある場合、判定は満たされ、ステップS50へ移る。
【0076】
ステップS50では、賞味期限が超過していると判定された食材の品名とその賞味期限を操作者に対して目立つように表示し、その食材及び完成品の使用を停止するよう報知する。これにより、賞味期限の切れた食材とそれを使用したすきやき鍋5(及びそれらに係る画像)を誤って使用されてしまうのを防止でき、合成画像の情報の適正化及び信頼性の向上を図ることができる。そしてこのフローを終了する。
【0077】
なお、これらステップS45とステップS50による賞味期限のチェック・報知の手順は、上記ステップS25で各食材の情報を取得した後にすぐに行ってもよく、その後の画像合成処理において賞味期限の切れた食材の画像を表示させないようにしてもよい。また、このような賞味期限の管理を特に必要としない場合は、ステップS45及びステップS50を省略しても良い。
【0078】
図8は、上記画像合成処理の制御手順により合成された合成画像の一例を表示部24に表した図である。図示するように表示部24の上方部分が完成品表示領域24aとなって完成品のすきやき鍋5の画像が表示されており、また表示部24の下方部分が材料表示領域24bとなって各食材の画像がアンテナトレイユニット3上での無線タグTの載置位置に対応する配置で表示されている。また、各食材の画像が、それぞれの重要度に応じた大きさで表示されている(この例では重要度の高い牛肉が比較的大きく表示され、重要度の低い蒟蒻、ネギが比較的小さく表示されている)。
【0079】
以上において、高周波回路26及びアンテナ8が、複数の無線タグ回路素子Toと無線通信により情報の送受信を行い、それら複数の無線タグ回路素子ToのタグIDを取得するための無線通信手段を構成する。
【0080】
また、図7におけるステップS20が、高周波回路26及びアンテナ8で取得した複数の無線タグ回路素子ToのタグIDに基づき、対応する複数の食材の画像を取得する画像取得手段として機能する。
【0081】
また、図7におけるステップS35が、ステップS20で取得した複数の食材の画像を合成処理する画像合成手段として機能する。
【0082】
また、図7におけるステップS45が、高周波回路26及びアンテナ8で取得した無線タグ回路素子ToのタグIDに基づき、当該無線タグ回路素子Toに対応する食材及びそれに係る画像の賞味期限内(使用有効期限内)であるかどうかを判定する判定手段として機能する。
【0083】
また、高周波回路26及び図7におけるステップS25が、ステップS20で食材の画像を取得した無線タグ回路素子Toにアクセスし、タグIDを消去(抹消)するための「Kill」信号を生成する信号生成手段として機能する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置1においては、複数の食材(上記の例では肉、ネギ、蒟蒻等)の画像を合成して表示物(又は印刷物)の合成処理物を作ろうとする場合に、当該複数の食材それぞれに対応する複数の無線タグ回路素子Toに対し高周波回路26及びアンテナ8で情報送受信を行うことで各無線タグ回路素子ToのタグIDが取得され、さらにそれらタグIDをもとに図7におけるステップS20で各食材の画像が取得され、それら取得された複数の画像は図7におけるステップS35で合成処理される。
【0085】
すなわち、合成したい複数の画像に対応した無線タグ回路素子Toの読み取り処理(=図7のステップS15によるタグIDの取得処理)を行うだけで自動的に当該複数の画像の合成処理を行えるので、操作者が各画像をひとつひとつ撮影したり収集して切り貼り操作したり等の面倒な操作を行わなくても、複数の画像の合成処理物を容易かつ手軽に作成することができる。
【0086】
また、この実施形態では特に、図7におけるステップS20で取得した複数の食材の画像に、さらに制御撮像部2の撮像部27で撮影した完成品(上記の例ではすきやき鍋5)の画像を加えて図7におけるステップS35で合成処理を行うことができる。すなわち、例えば撮影対象物としての調理完成品(すきやき鍋5)の完成後に当該調理完成品の画像を撮影する(図7のステップS5、ステップS10)一方、当該調理完成品の調理時に使用した各食材(上記の例では肉、ネギ、蒟蒻等)を読み取り対象物としてそれぞれに対応する無線タグ回路素子ToのタグIDを高周波回路26及びアンテナ8で取得し、各タグIDに基づき図7におけるステップS20が自動的に当該食材の画像を取得することで、調理完成品の画像と食材の画像とを合成した合成処理物を容易かつ手軽に作成することができる。
【0087】
また、この実施形態では特に、撮像部27による撮影時にすきやき鍋5を載置するためのアンテナトレイユニット3(特にその完成品載置領域6)を有していることにより、撮影時にアンテナトレイユニット3にすきやき鍋5を載置し、安定的に撮影を行うことができる。
【0088】
また、この実施形態では特に、合成処理後の表示物(又は印刷物)において、複数の食材の画像が材料表示領域24bに配置され、すきやき鍋5の画像が完成品表示領域24aに配置されるように、領域を区分して合成処理を行うことにより、視覚的にわかりやすく明確な合成処理物を作成することができる。
【0089】
なお、上記実施形態では、画像合成処理において、アンテナトレイユニット3上で検出した各無線タグTの配置態様に対応するよう(又は重要度に応じて)、合成画像における食材の画像の配置を決定していたが、本発明はこれに限らず、予め操作者が何らかの入力手段により配置パターンを制御撮像部2に入力しておき、その配置パターンに従って合成画像における各食材の画像の配置を決定してもよい。この場合には、アンテナ8はアンテナトレイユニット3のタグ載置領域7全体を検出範囲とする大型のものを一つだけ備えればよく、また図3の高周波回路26にはアンテナ切換スイッチ部314を設けずにアンテナ8を送受分離器214に直接接続させれば足りる。そして図7のフローにおけるステップS15で、CPU21はアンテナ切換スイッチ部314に対する選択信号は出力せずに検出したタグIDの内容だけを記憶し、ステップS35で上記予め入力されている配置パターンに従って各食材の画像を表示すればよい。また、アンテナトレイユニット3に複数のアンテナ8を設けず1つのアンテナのみを設け、このアンテナに対し例えばフェイズドアレイアンテナ制御やアダプティブアレイアンテナ制御等の適宜の指向性制御を実行する(この場合この1つのアンテナは例えば複数のアンテナ素子を備え、各アンテナ素子への出力制御・位相制御を行う)ことにより、各無線タグTの配置位置を検出するようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0090】
また、検出したタグIDに対応する食材の画像がデータベース10に格納されておらず取得できなかった場合には、同じ種類で近い商品内容の画像をデータベース10から検索して代替的に使用してもよいし、又は食材購入後に操作者が予め自ら撮影してメモリ22等に記憶させておいた画像(そのタグIDが添付されていた調理前の食材の画像)を代替的に使用してもよい。もしくは、どうしても適切な代替画像が見つからない場合は、その食材の画像だけ無表示で画像合成することも可能である。
【0091】
また、図示しないキーボードなどの文字入力装置を介して各種材料情報などを入力できるようすることで、データベース10が格納保持する各テーブルの書き換え、またはテーブルの新規作成、ひいてはデータベース10の新規作成ができるようにしてもよい。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0093】
(1)工業製品を適用対象とした場合
上記実施形態では、食材(食品材料)を読み取り対象とし、またそれらに所定の処理(調理)を施して完成した完成品(調理完成品)を撮影対象とした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち例えば、工業製品の組立部品を読み取り対象とし、それらに所定の組立処理を施した組立完成品を撮影対象としてもよい。本変形例では、上記組み立て完成品として、印字済みラベルを作成するラベル作成装置に装着されるテープカートリッジを例にとり、上記組み立て部品として、上記テープカートリッジに備えられた、印字ラベルの材料となる基材テープを巻回した基材テープロール、これに貼り合わされるカバーフィルムを巻回したカバーフィルムロール、印字のためのインクリボンロール等を例に取った場合について説明する。
【0094】
本変形例のハードウェア構成は、上記実施形態のものと全く同一であり、データベース10に格納保持されるテーブルと画像ファイルの内容が異なるだけである。
【0095】
図9は、本変形例で使用する部品テーブルの一例として基材テープロールに関する情報とタグIDとの対応を管理する基材テープロールテーブルを概念的に表す図である。図9において、基材テープロールテーブルは、組立前の基材テープロールに添付される無線タグTのタグID、品名、部品情報、使用期限、重要度及び対応する画像の画像ファイル名が、予めそれぞれ対応付けられた相関情報の形で格納されている。この相関情報の構成は、他の種類の組立部品のテーブルについても同様である。
【0096】
図10はデータベース10に格納されている組立部品の画像ファイルの格納態様を概念的に表す図である。この図10に示すように、画像ファイルのファイル名は各組立部品の種類別に先頭のアルファベットが異なっており、図示の例では、各ファイル名の先頭の1文字が、テープカートリッジの上ケースの場合は「U」、下ケースの場合は「L」、基材テープロールの場合は「T」、カバーフィルムロールの場合は「C」、インクリボンロールの場合は「I」となっている。さらに、各種類ごとで仕様別(図9で示すようにタグID別に分類される仕様の内容)にファイル名の下3桁の数字が割り当てられている。これにより、図示の例では、上ケース「U023」下ケース「L007」基材テープロール「T010」カバーフィルムロール「C023」インクリボンロール「I005」が割り当てられている。
【0097】
そして、このような構成により、図9に示したような組立部品テーブルと併せて利用することで、組立部品の種類と仕様に関連するタグIDと一意的に対応してその画像ファイルが検索・取得できるようになっている。
【0098】
そして以上の各テーブルを用いて、図7に示すフローチャートにより画像処理を行うことで上記実施形態と同様の画像処理を行うことができる。なお、本変形例における組立部品が上記実施形態における食材(材料)に相当し、同じようにテープカートリッジ(組立完成品)がすきやき鍋5(調理完成品)に相当し、組立が調理に相当し、使用期限が賞味期限に相当する。
【0099】
図11は、本変形例の画像合成処理により合成された合成画像の一例を表示部24に表した図である。図示するように表示部24の上方部分が完成品表示領域24aとなって完成品のテープカートリッジの画像が表示されており、また表示部24の下方部分が部品表示領域24cとなって各組立部品の画像がアンテナトレイユニット3上での無線タグTの載置位置に対応する配置(本変形例では不図示)で表示されている。また、各組立部品の画像が、それぞれの重要度に応じた大きさで表示されている(この例では重要度の高い基材テープとインクリボンテープが比較的大きく表示されている)。
【0100】
以上のように構成した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
(2)光学的マークを用いて撮像により各食材等の画像データを取得する場合
上記実施形態では、既に食材等に関する各種情報が格納保持されたデータベース10より各食材の画像データを取得していたが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、調理前の各食材をタグ載置領域7に載置してそれを制御撮像部2で撮影することで画像を取得するようにしてもよい。この場合、例えばアンテナトレイユニット3のタグ載置領域7の所定の位置に光学的に識別可能なマークを表記させ(以下、マーキングという)、制御撮像部2が各食材を上記マークを一緒に撮影することで各食材の配置態様を検出する。
【0102】
図12は、本変形例の画像処理装置の全体概略構造を表す斜視図である。なお、上記実施形態と同等の構成部分については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。この図12において、本変形例の画像処理装置401は図1に示す上記実施形態の画像処理装置1と概略的にはほぼ同じ構成であり、各タグ検出領域7aにおいてそれぞれアンテナトレイユニット403の下面に無線タグTと無線通信により情報の送受信が可能なアンテナ8が設置されている(前述の図2等を参照)。その一方、アンテナトレイユニット403のタグ載置領域7において、四隅の各コーナー部分と、対向する2辺の各中央位置にはそれぞれ光学的に識別可能な形状の識別マーク(識別子)411a,411b,411c,411d,411e,411fがマーキングされている。また、これら識別マーク411a〜411fはそれぞれ個別の識別が可能であるだけでなく、アンテナトレイユニット3上においてそのマーキングされている方向も認識できる形状となっている。
【0103】
そして、制御撮像部402のメモリ22には各識別マークの形状や大きさが記憶されており、CPU21は撮像部27で撮影した画像中にこれら識別マーク411a〜411fの存在を認識した際には、公知のパターン認識の手法によって、アンテナトレイユニット3に対する制御撮像部402の相対的な位置、傾き、撮像部27の撮影方向を検出できるようになっている。これにより操作者は、制御撮像部402で各食材と識別マークとを一緒に撮影することで、撮影した各食材のタグ載置領域7における配置態様を検出することができる。図12に示す例では、タグ載置領域7の左上部(識別マーク411aの近傍)に肉を配置し、左中部(識別マーク411bの近傍)に蒟蒻を配置し、左下部(識別マーク411cの近傍)にネギを配置し、右上部(識別マーク411dの近傍)に卵を配置し、右中部(識別マーク411eの近傍)に醤油を配置して撮影を行った例を示している。
【0104】
そして、このように撮影を行った後、例えば操作部23からの入力操作により、識別マーク411aの近傍にて取得された画像aは「肉」であり、識別マーク411bの近傍にて取得された画像bは「蒟蒻」であり、識別マーク411cの近傍にて取得された画像cは「ネギ」であり、識別マーク411dの近傍にて取得された画像dは「卵」であり、識別マーク411eの近傍にて取得された画像eは「醤油」であると特定してやることで、各画像に対して対応する識別情報(この例では食材名称)を関連付けた形でデータベース10に格納することができる。
【0105】
その後、上記実施形態と同様、調理完成品(すきやき鍋5)の完成後、当該完成品の撮影を制御撮像部402で行うとともに、各食材に対応する無線タグTのタグIDをアンテナ8により検出する。なお、上記実施形態と同様の複数の(上記の例では21個の)アンテナではなく、前述した変形例と同様、アンテナトレイユニット403のタグ載置領域7(図中A−A′線(境界位置)より下方の領域)の全体を検出可能領域とする大型の1つのアンテナを用いてもよい。この場合、アンテナは例えば複数のアンテナ素子を備えており、CPU21によって各アンテナ素子への出力制御・位相制御を行うことで、フェイズドアレイアンテナ制御やアダプティブアレイアンテナ制御等の適宜の指向性制御を実行し、これによって無線タグTの配置位置を検出する。また、高周波回路についても図3に示す実施形態の高周波回路26よりアンテナ切換スイッチ部314を省略し、アンテナを送受分離器214に直接接続させれば足りる。
【0106】
そしてこのとき、図5を一例として用いて前述したように、データベース10には各タグIDに対応する食材の各種データが関連付けられて格納保持されており、各タグIDごとに当該無線タグTの食材の識別情報(この例では食材名称すなわち図5の「品名」)が関連付けられている。そして、例えば操作部23の適宜の操作(あるいは操作不要で自動でもよい)によって、上記各タグIDごとの識別情報と、前述したようにして予め光学マークを用いて制御撮像部402で既に撮影し識別情報(食材名称)と関連付けられた各画像データを用いて、各タグIDとこれに対応する画像データを関連付けることができる。
【0107】
図13は、本変形例における制御撮像部402のCPU21が行う制御手順を表すフローチャートである。上記実施形態における図7と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0108】
図13において、例えば制御撮像部402の操作部23において画像処理開始の指示入力(例えばボタン操作)されると、このフローが開始される。まずステップS105において、図7のステップS5と同様、シャッターボタン23aの押し操作がなされたか否かを判定し、シャッターボタン23aが操作されて判定が満たされるまで同じ判定を繰り返す。シャッターボタン23aが押し操作された場合、判定が満たされ、次のステップS110へ移る。
【0109】
ステップS110では、図7のステップS10と同様、制御撮像部402の撮像部27により各食材の画像を識別マーク411a〜fとともに撮影する。撮像部27の撮像領域に各食材及び識別マーク411a〜fが収められていることで、それらの像がレンズを通して撮像センサにより検出され、デジタル画像情報として撮影される。
【0110】
その後、ステップS115において、前述したように、上記ステップS110で撮影した撮像を公知のパターン認識に基づく処理を行うことで、各識別マーク411a〜fとの位置関係に基づき各食材の画像を認識、取得する(前述の例では、タグ載置領域7の左上部:肉の画像、左中部:蒟蒻の画像、左下部:ネギの画像、右上部:卵の画像、右中部:醤油の画像)。
【0111】
そして、ステップS120に移り、例えば操作部23を介し、各食材に対応した識別情報(この例では食材名称)が入力されたか否かを判定し、入力されるまで同じ判定を繰り返す。上記の例では、例えば、タグ載置領域7の左上部の画像に対しては「肉」、左中部の画像に対しては「蒟蒻」、左下部の画像に対しては「ネギ」、右上部の画像に対しては「卵」、右中部の画像に対しては「醤油」という食材名称が(テキスト文字等により)入力される。このようにして食材名称の操作入力がされた場合、判定が満たされ、次のステップS125へ移る。
【0112】
ステップS125では、上記ステップS115とステップS120とに基づき、各画像とこれに対応する食材名称とを関連づけた形で、データベース10に格納する。
【0113】
このステップS125が終了したら、各食材より添付の無線タグTを取り外し、各無線タグTをタグ載置領域7上に配置したまま、各食材を用いてすき焼き鍋5を調理し、できあがったすき焼き鍋5を完成品載置領域6に載置して(図12では完成品載置領域6についてはこの状態を表している)、上記実施形態と同様の前述のステップS5へ移る。以降の処理は図7を用いて説明した上記実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0114】
以上のように構成した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。また予め一般的に流通しデータベース10に格納された食材の画像データでなく、調理前に自ら制御撮像部402で撮影した画像データを用いることができるので、よりリアルな画像を作成することができる。なお上記工業製品の例に対しても同様に適用できることは言うまでもない。
【0115】
なお、以上で用いた「Scroll All ID」信号、「Kill」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0116】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0117】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施形態の画像処理装置の全体概略構造を表す斜視図である。
【図2】画像処理装置の概略を表すシステム構成図である。
【図3】制御撮像部におけるCPU、高周波回路及びアンテナの詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】食材に添付されていた無線タグに共通して備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図5】牛肉に関する情報とタグIDとの対応を管理する牛肉テーブルを概念的に表す図である。
【図6】データベースに格納されている食材の画像ファイルの格納態様を概念的に表す図である。
【図7】画像処理を行うために制御撮像部のCPUが行う制御手順を表すフローチャートである。
【図8】画像合成処理により合成された合成画像の一例を表示部に表した図である。
【図9】工業製品に適用する変形例において、基材テープロールに関する情報とタグIDとの対応を管理する基材テープロールテーブルを概念的に表す図である。
【図10】工業製品に適用する変形例において、データベースに格納されている組立部品の画像ファイルの格納態様を概念的に表す図である。
【図11】工業製品に適用する変形例において、画像合成処理により合成された合成画像の一例を表示部に表した図である。
【図12】光学的マークにより無線タグの配置を検出する変形例の画像処理装置の全体概略構造を表す斜視図である。
【図13】光学的マークを用いて各食材等の画像データを取得する変形例に置いて制御撮像部のCPUが行う制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
1 画像処理装置
2 制御撮像部
3 アンテナトレイユニット(載置手段)
4 ケーブル
5 すきやき鍋
6 完成品載置領域
7 タグ載置領域
7a タグ検出領域
8 アンテナ(無線通信手段)
9 載置プレート
10 データベース
21 CPU
22 メモリ
23 操作部
23a シャッターボタン
24 表示部
24a 完成品表示領域(他方側領域)
24b 材料表示領域(一方側領域)
24c 部品表示領域(一方側領域)
25 ネットワーク通信制御部
26 高周波回路(無線通信手段)
27 撮像部(撮像手段)
314 アンテナ切換スイッチ部
401 画像処理装置
402 制御撮像部
403 アンテナトレイユニット
411a〜e 識別マーク(識別子)
T 無線タグ
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとをそれぞれ有する複数の無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行い、それら複数の無線タグ回路素子のタグ識別情報を取得するための無線通信手段と、
この無線通信手段で取得した前記複数の無線タグ回路素子の前記タグ識別情報に基づき、対応する複数の読み取り対象物の第1画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段で取得した複数の第1画像を合成処理する画像合成手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記複数の無線タグ回路素子にそれぞれ対応する複数の前記読み取り対象物を用いて所定の処理を施された撮影対象物の第2画像を撮影するための撮像手段を有し、
前記画像合成手段は、前記画像取得手段で取得した複数の第1画像と、前記撮像手段で撮影した第2画像とを合成処理することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記撮像手段による撮影時に前記撮影対象物を載置するための載置手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の画像処理装置において、
前記画像合成手段は、
合成処理後の合成処理物において、前記複数の第1画像が一方側領域に配置され、前記第2画像が他方側領域に配置されるように、領域を区分して前記合成処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の画像処理装置において、
前記載置手段は、
前記一方側領域、又は前記他方側領域、若しくはそれら一方側領域と他方側領域との境界位置を前記画像合成手段が認識するための識別子を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項記載の画像処理装置において、
前記画像合成手段は、
合成処理後の合成処理物において、前記複数の第1画像を、前記載置手段上における前記複数の無線タグ回路素子の配置態様に対応して配置するように、前記合成処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像処理装置において、
前記無線通信手段は、前記複数の無線タグ回路素子の配置態様を検出可能に、前記載置手段に設けられていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか1項記載の画像処理装置において、
前記画像合成手段は、
合成処理後の合成処理物において、前記複数の第1画像のうち特定の画像が、他の画像に比べ、所定の位置に優先して配置されるように若しくは大きさを変更して配置されるように、前記合成処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項記載の画像処理装置において、
前記無線通信手段で取得した前記無線タグ回路素子のタグ識別情報に基づき、当該無線タグ回路素子に対応する前記読み取り対象物及びそれに係る前記第1画像の使用有効期限内であるかどうかを判定する判定手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項記載の画像処理装置において、
前記無線通信手段は、
前記画像取得手段で前記第1画像を取得した前記無線タグ回路素子にアクセスし、前記タグ識別情報を消去するための消去情報信号を生成する信号生成手段を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−135024(P2007−135024A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326929(P2005−326929)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】