説明

画像処理装置

【課題】バスマスタが必要とするバス帯域の動的な変化に対応して優先順位を切り替え、バストラフィックを平準化させるとともに、局所的なオーバーランの発生を抑制した画像処理装置の提供を目的とする。
【解決手段】同一のメモリ装置2を対象としたバスB上に画像データ入力手段3、第1の画像処理手段4、第2の画像処理手段5や画像データ転送手段6等の複数のバスマスタが存在する画像処理装置1において、バスBの使用権の優先順位を複数のレベルの優先順位グループに分類し、複数のバスマスタそれぞれに設定された優先順位グループ1〜3に従ってバスBを使用するバスマスタを決定するバスアービタ7を有し、このバスアービタ7は、バスマスタのデータ転送の必要状況に応じて優先順位グループを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、プリンタ、ファクシミリや複写機等の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、プリンタ、ファクシミリや複写機等の画像処理装置では、画像データ入力手段、画像読取手段、画像処理手段や画像データ転送手段等の10以上の処理手段が、同一メモリを対象としたバス上に接続されている。これらの処理手段(バスマスタ)は、外部要因によってバスアクセスが支配されるものや、内部バッファに格納された処理待ちデータに依存するバスアクセスを行うもの等の様々な特性を有する。
【0003】
従来、このバスアクセスの制御は、例えば、(特許文献1)に記載のように、各処理手段(バスマスタ)に対してそれぞれ優先順位を予め固定的に設定しておき、この設定された優先順位の高い順に各処理を行うようにしている。
【特許文献1】特許第3161031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前述のような画像処理装置では、使用環境や、この画像処理装置から画像データを転送するホストコンピュータの状態等に応じて、各バスマスタが必要とするバス帯域が動的に変化する。そのため、上記従来の制御方法では、この変化に対して対応できないという課題を有している。
【0005】
そこで、本発明においては、バスマスタが必要とするバス帯域の動的な変化に対応して優先順位を切り替え、バストラフィックを平準化させるとともに、局所的なオーバーランの発生を抑制した画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、同一のメモリ装置を対象としたバス上に複数のバスマスタが存在する画像処理装置であって、バスの使用権の優先順位を複数のレベルのグループ(以下、「優先順位グループ」と称す。)に分類し、複数のバスマスタそれぞれに設定された優先順位グループに従ってバスを使用するバスマスタを決定するバスアービタを有し、このバスアービタは、バスマスタのデータ転送の必要状況に応じて優先順位グループを切り替えるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バスマスタが必要とするバス帯域の動的な変化に対応して優先順位を切り替え、バストラフィックを平準化させるとともに、局所的なオーバーランの発生を抑制した画像処理装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願の第1の発明は、同一のメモリ装置を対象としたバス上に複数のバスマスタが存在する画像処理装置であって、バスの使用権の優先順位を複数のレベルの優先順位グループに分類し、複数のバスマスタそれぞれに設定された優先順位グループに従ってバスを使用するバスマスタを決定するバスアービタを有し、このバスアービタは、バスマスタのデータ転送の必要状況に応じて優先順位グループを切り替えるものであることを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
本発明によれば、バスマスタのデータ転送の必要状況に応じて優先順位グループが切り替えられるので、バスマスタが必要とするバス帯域の動的な変化に対応して優先順位を切り替え、バストラフィックを平準化させるとともに、局所的なオーバーランの発生を抑制することができる。
【0010】
本願の第2の発明は、上記発明において、バスアービタが、複数のバスマスタのうち、バスアクセス待ちのクロック数が規定クロック数を超えたバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えるものである画像処理装置であり、バスアクセス待ちのクロック数が規定クロック数を超えたバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えることで、画像データ入力手段のように高いリアルタイム性を要求する処理を優先的にバスアクセスさせて局所的なオーバーランの発生を抑制することが可能となる。
【0011】
本願の第3の発明は、上記発明において、バスアービタは、複数のバスマスタのうち、データバッファがニアフル状態になったバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えるものである画像処理装置であり、画像処理手段のように処理待ちのデータバッファを有するバスマスタの場合に、データバッファがニアフル状態になったバスマスタの優先順位グループを優先順位の高いものに切り替えて優先的にバスアクセスさせることにより、局所的なオーバーランの発生を抑制することが可能となる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態における画像処理装置の構成図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施の形態における画像処理装置1は、メモリ装置2と、このメモリ装置2を対象としたバスB上に接続された画像データ入力手段3、第1の画像処理手段4、第2の画像処理手段5および画像データ転送手段6と、バスBの使用権の調停を行うバスアービタ7とを備える。画像データ入力手段3、第1の画像処理手段4、第2の画像処理手段5および画像データ転送手段6は、それぞれメモリ装置2に対して直接アクセスできるバスマスタであり、バスアービタ7に対してバスBの使用権のリクエストを行う。
【0015】
画像データ入力手段3は、原稿の画像を読み取って入力する画像読み取り装置等であり、読み取った画像データをメモリ装置2に格納する。第1の画像処理手段4および第2の画像処理手段5は、画像データ入力手段3により入力された画像データをメモリ装置2から取得し、内部のデータバッファに一時格納してトリミングやフィルタリング等の画像処理の処理を行い、処理後の画像データを再度メモリ装置2に格納するものである。画像データ転送手段6は、画像データをメモリ装置2から取得し、この画像処理装置1が接続されたホストコンピュータ(図示せず。)等へ転送するものである。
【0016】
バスアービタ7は、バスBの使用権の優先順位を複数のレベルの優先順位グループに分類し、この優先順位グループに従ってバスBの使用権の調停を行うものである。また、バスアービタ7は、画像データ入力手段3、第1の画像処理手段4、第2の画像処理手段5および画像データ転送手段6のデータ転送の必要状況に応じて優先順位グループを切り替える。
【0017】
例えば、図1に示すように、バスBの使用権の優先順位グループが3つのレベルのグループ(優先順位の大きい方から優先順位グループ1,2,3とする。)に分類されているとする。また、初期状態として画像データ入力手段3、第1の画像処理手段4、第2の画像処理手段5および画像データ転送手段6がそれぞれ優先順位グループ3に設定されているものとする。
【0018】
バスアービタ7は、例えば、画像データ入力手段3のバスアクセス待ちのクロック数が規定クロック数を超えたことにより、画像データ入力手段3から優先順位の変更要求があった場合、この画像データ入力手段3の優先順位グループを“3”から“1”に切り替える。また、バスアービタ7は、第1の画像処理手段4のデータバッファがニアフル状態になったことにより、第1の画像処理手段4から優先順位の変更要求があった場合に、この第1の画像処理手段4の優先順位グループを“3”から“2”に切り替える。
【0019】
また、バスアービタ7は、画像データ入力手段3、第1の画像処理手段4、第2の画像処理手段5または画像データ転送手段6からバスBの使用権のリクエストがあった場合、それぞれのバスマスタに設定された優先順位グループに従ってバスBを使用するバスマスタを決定し、グラント信号を返信する。なお、バスアービタ7は、まず優先順位の最も大きい優先順位グループ1に属するバスマスタから順にバスBの使用権を与え、この優先順位グループ1に属するバスマスタによる処理が終了した後に、次の優先順位グループ2に属するバスマスタにバスBの使用権を与える。同様に、バスアービタ7は、優先順位グループ2に属するバスマスタの処理が終了した後に、次の優先順位グループ3に属するバスマスタにバスBの使用権を与える。
【0020】
すなわち、本実施の形態における画像処理装置では、バスマスタのデータ転送の必要状況に応じて優先順位グループが切り替えられる。すなわち、バスマスタが必要とするバス帯域の動的な変化に対応して優先順位が切り替えられるので、バストラフィックが平準化さされるとともに、局所的なオーバーランの発生が抑制される。
【0021】
また、特に、本実施の形態における画像処理装置では、バスアクセス待ちのクロック数が規定クロック数を超えたバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えることで、画像データ入力手段3のように高いリアルタイム性を要求する処理を優先的にバスアクセスさせて局所的なオーバーランの発生を抑制することが可能である。
【0022】
また、本実施の形態における画像処理装置では、複数のバスマスタのうち、データバッファがニアフル状態になったバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えることで、第1の画像処理手段4および第2の画像処理手段5のように処理待ちのデータバッファを有するバスマスタの場合に、データバッファがニアフル状態になったバスマスタの優先順位グループを優先順位の高いものに切り替えて優先的にバスアクセスさせることにより、局所的なオーバーランの発生を抑制することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、スキャナ、プリンタ、ファクシミリや複写機等の画像処理装置として有用である。特に、本発明は、同一のメモリ装置を対象としたバス上に複数のバスマスタが存在する画像処理装置において、バスマスタが必要とするバス帯域の動的な変化に対応して優先順位を切り替え、バストラフィックを平準化させるとともに、局所的なオーバーランの発生を抑制した画像処理装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における画像処理装置の構成図
【符号の説明】
【0025】
1 画像処理装置
2 メモリ装置
3 画像データ入力手段
4 第1の画像処理手段
5 第2の画像処理手段
6 画像データ転送手段
7 バスアービタ
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のメモリ装置を対象としたバス上に複数のバスマスタが存在する画像処理装置であって、
前記バスの使用権の優先順位を複数のレベルのグループ(以下、「優先順位グループ」と称す。)に分類し、前記複数のバスマスタそれぞれに設定された前記優先順位グループに従って前記バスを使用するバスマスタを決定するバスアービタを有し、
このバスアービタは、前記バスマスタのデータ転送の必要状況に応じて前記優先順位グループを切り替えるものであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記バスアービタは、前記複数のバスマスタのうち、バスアクセス待ちのクロック数が規定クロック数を超えたバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記バスアービタは、前記複数のバスマスタのうち、データバッファがニアフル状態になったバスマスタの優先順位グループを、優先順位の高いものに切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−281576(P2007−281576A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101776(P2006−101776)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】