説明

画像処理装置

【課題】アップロード機能を有するブラウザによってウェブサーバにファイルをアップロードする場合のユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】ファイルをウェブサーバ2にアップロードする機能を有するブラウザ21aによって、ウェブサーバから取得されたアップロードコントロール画面13aの送信ボタン13fが操作されたことを検知した場合に、ファイル名表示欄13gが空白であると、読取スタートボタン16による原稿画像の読み取りの開始が指示されることによって、スキャナ12による原稿画像の読み取りを指示する。その後に、スキャナ12から出力される画像データをデータ電子化ブロック15fによって電子化して、電子化されたデータをウェブサーバ2へアップロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルをサーバにアップロードする機能を有するブラウザが搭載されたMFP(Multi Function Peripheral)等の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等として機能するMFPでは、LAN、インターネット等のネットワークを介してサーバに接続して、サーバにファイルをアップロードして保管することが行われている。
特許文献1(特開2006−254057号公報)には、画像読取装置によって読み取られた画像データのファイルをウェブサーバにアップロードする際に、ウェブページとして表示される操作画面の記述情報からファイルのアップロードに要するアップロード指示を抽出して記憶装置に記憶させて、アップロード時には記憶装置に記憶されたアップロード指示に基づいて記述情報を再構築する構成が開示されている。また、この特許文献1では、スキャン処理の実行によって生成されたファイルと記述情報とに基づいて送信ファイルを生成して、生成された送信ファイルを送信部によってサーバに自動的にアップロードする構成も開示されている。しかし、特許文献1の構成では、ウェブページとして表示される操作画面に対してユーザが送信先等のアップロード指示を入力して記憶装置に記憶させる必要があり、ユーザにとっては、その入力操作が煩わしいという問題がある。
【0003】
特許文献2(特開2006−166292号公報)には、MFPに搭載されたブラウザを用いてユーザインターフェースを表示し、表示されたユーザインターフェースによってスキャナ装置に関する情報をストレージサーバに登録して、スキャナ装置によってスキャンされた文章原稿の文章をストレージサーバに送信する構成が開示されている。しかし、この特許文献2の構成でも、ブラウザを用いてアップロードに必要な情報をユーザが設定して登録するようになっているために、ユーザにとって登録のための設定操作が煩わしいという問題がある。
【0004】
これら特許文献1および2に記載された構成とは異なり、PC(パーソナルコンピュータ)では、ファイルをウェブサーバにアップロードする際のユーザ操作を簡略化するためにアップロード機能を有するブラウザが用いられている。このようなPCでは、PCに設けられたブラウザが、ファイルをアップロードするためのアップロードコントロール画面をウェブサーバから取得して表示パネルに表示するようになっている。アップロードコントロール画面には、アップロードするファイルを選択する際に操作される参照ボタンと、選択されたファイル名が入力されるファイル名表示欄と、ファイルのアップロードを指示する際に操作される送信ボタンとが表示される。
【0005】
このようなアップロードコントロール画面の参照ボタンをユーザが操作(クリック)すると、ファイルのダイアログ・ボックスが開き、アップロードするファイルを選択することができる。そして、ユーザがダイアログ・ボックスから所望のファイルを選択すると、選択されたファイルのデータが所定の形式の電子データに変換されることによって、選択されたファイルがファイル名表示欄に表示される。その後、ユーザが送信ボタンを操作することによって、ファイル名表示欄に入力されたPC内のファイルがサーバにアップロードされる。このように、アップロード機能を有するブラウザによれば、ユーザがアップロードコントロール画面の参照ボタンを操作してファイルを指定した後に送信ボタンを操作するだけでPC内に記憶されたファイルデータが所定形式の電子データに変換されてウェブサーバにアップロードすることができる。従って、アップロード先等を指定するためのユーザ操作が不要になる。
【0006】
このようなアップロード機能を有するブラウザは、MFPに搭載することによって、MFPに記憶されたファイルをサーバにアップロードすることができる。また、MFPには、画像読取装置が設けられていることから、画像読取装置によって読み取られた画像データも、上記ブラウザによってサーバにアップロードすることができる。
【特許文献1】特開2006−254057号公報
【特許文献2】特開2006−166292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像読取装置にて読み取られた画像データを上記ブラウザによってサーバにアップロードする場合には、ユーザは、まず、アップロードコントロール画面における参照ボタンを操作する。次いで、ユーザは、画像読取装置に原稿をセットし、画像読取装置による読み取り条件を設定した後に、画像読取装置による読み取りの開始をスタートボタンの操作によって指示する。これにより、画像読取装置は原稿画像の読み取りを実行して原稿画像の画像データを生成する。生成された画像データは、サーバにアップロードできるように、所定の形式(例えばPDF形式)の電子化データに変換される。電子化データへの変換が完了すると、変換された電子化データのファイルをサーバにアップロードできる状態になったことがブラウザに通知されて、アップロードコントロール画面に表示される。このような状態で、ユーザがコントロール画面における送信ボタンを操作することによって、変換後の電子化データのファイルがブラウザによってサーバにアップロードされる。
【0008】
このように、画像読取装置による原稿画像のデータをブラウザによってサーバにアップロードする場合には、ユーザは、参照ボタンの操作と、画像読取装置による原稿画像の読み取りの指示とを行った後に、画像データが所定の形式の電子化データに変換されるまで待機して、変換が完了した後に送信ボタンを操作する必要がある。従って、ユーザは、送信ボタンを操作するために、画像データの変換が完了するまでMFPから離れることができないという問題がある。MFPでは、画像読取装置による原稿画像の読み取りから画像データの電子化データへの変換まで比較的長い時間を要する場合があり、その場合には、ユーザは、長時間にわたってMFPから離れることができなくなる。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、アップロード機能を有するブラウザによってウェブサーバにファイルをアップロードする場合のユーザの利便性を向上させることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、ファイルデータを記憶する記憶部と、所定形式の電子化データをウェブサーバにアップロードする機能を有するブラウザと、原稿画像を読み取ることによって画像データを生成する画像読取手段と、前記ブラウザによって前記ウェブサーバから取得されるアップロードコントロール画面が表示される表示部と、前記記憶部内のファイルデータまたは前記画像読取手段によって生成された画像データを前記所定形式の電子化データに変換するデータ電子化手段を有する制御部と、を備え、前記アップロードコントロール画面には、アップロードするファイルを選択する際に操作される参照受付部と、選択されたファイル名が表示されるファイル名表示欄と、アップロードを指示する際に操作される送信受付部とが表示され、前記制御部は、前記送信受付部の操作を契機に、前記データ電子化手段による前記画像データまたは前記ファイルデータの所定形式の電子化データへの変換と、変換後の電子化データの前記ブラウザに対するアップロード指示とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像処理装置では、ファイルデータのアップロード機能を有するブラウザによって取得されたアップロードコントロール画面の送信受付部が操作されることによって、画像読取手段による画像の読み取りと、画像読取手段によって生成された画像データまたは記憶部に記憶されたファイルデータの電子化と、電子化されたデータのウェブサーバへのアップロードとが自動的に実行されるために、ユーザは、画像データの電子化が完了するまで画像処理装置の近傍にて待機する必要がなく、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0012】
好ましくは、前記制御部は、前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータを、前記送信受付部が操作された後に取得し、前記変換を行うことを特徴とする。
好ましくは、前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータの取得を指示する際に操作される取得指示手段をさらに備え、前記制御部は、前記送信受付部が操作された後に、前記取得指示手段が操作されることによって、前記画像読取手段に対する原稿画像の読取りの指示、または、前記記憶部内のファイルのデータの読み込みを行って、前記画像データまたは前記ファイルデータを取得することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記制御部は、前記送信受付部が操作されたときに、前記ファイル名表示欄が空白である場合に、前記画像読取手段による原稿画像の読取り条件の設定または前記記憶部内のファイルデータの設定のための設定画面を前記表示部に表示し、該設定画面によって前記読取り条件または前記ファイルデータが設定されると、設定された内容に従って、前記読取りの指示、または、前記読み込みを行うことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記制御部は、前記送信受付部が操作されることによって、前記画像読取手段に対する原稿画像の読取りの指示、または、前記記憶部内のファイルデータの読み込みを行うことを特徴とする。
前記制御部は、前記送信受付部が操作される前に前記参照受付部が操作されると、前記画像読取手段による原稿画像の読取り条件の設定または前記記憶部内のファイルデータの設定のための設定画面を前記表示部に表示し、該設定画面によって前記読取り条件または前記ファイルデータが設定されることにより、前記読取りの指示、または、前記読み込みを行うことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記制御部は、前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータを、前記送信受付部が操作される前に取得することを特徴とする。
好ましくは、前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータの取得を指示する際に操作される取得指示手段をさらに備え、前記制御部は、前記送信受付部が操作される前に前記スタート指示手段が操作されると、前記画像読取手段に対する原稿画像の読取りの指示、または、前記記憶部内のファイルのデータの読み込みを行って、前記画像データまたは前記ファイルデータを取得することを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記制御部は、前記取得指示手段が操作される前に前記参照受付部が操作されると、前記画像読取手段による原稿画像の読取り条件の設定または前記記憶部内のファイルデータの設定のための設定画面を前記表示部に表示し、該設定画面によって前記読取り条件または前記ファイルデータが設定されることにより、前記読取りの指示、または、前記読み込みを行うことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記制御部は、前記ブラウザに対する前記アップロードの指示が予め設定された所定のタイミングになるように自動処理する自動タイミング処理手段をさらに有することを特徴とする。これにより、ユーザは、所望する時間においてファイルデータをサーバにアップロードすることができ、ユーザにとっての利便性がさらに向上する。
好ましくは、前記自動タイミング処理手段による所定のタイミングが、前記データ電子化手段によってデータが変換された直後、前記データ電子化手段によってデータが変換された後に指定された時間になった直後、当該画像処理装置がユーザによって指示された画像処理が完了してログアウト状態になった直後のいずれかであることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記制御部は、当該画像処理装置のオートリセット時または前記ウェブサーバのタイムアウト時に、該制御部内に前記データ電子化手段によって電子化されたデータが残っている場合に、該電子化されたデータに対して予め設定された所定の処理を行う電子化データ処理手段をさらに有することを特徴とする。これにより、制御部内に残る電子化されたデータが適切に処理され、制御部内の記憶容量が低減されることが防止されるとともにセキュリティ性を向上させることができる。
【0019】
好ましくは、前記電子化データ処理手段には、前記アップロードの指示を破棄する処理、予め設定された認証ユーザに対してメール通知を行ってそのメール通知に対する返信にて指示された処理、前記電子化されたデータを予め設定された認証ユーザへ転送する処理のいずれかが予め設定されていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
<画像処理装置の構成>
図1は、本発明に係る画像処理装置の一例であるMFPが用いられた通信システムの概略構成図である。MFP1は、ネットワーク3を介してウェブ(Web)サーバ2と接続されている。MFP1には、ウェブサーバ2にファイルをアップロードする機能を有するブラウザが搭載されている。
【0021】
図2は、MFP1の構成を示すブロック図である。MFP1は、画像形成処理を実行するプリンタ11と、原稿の画像を読み取るスキャナ12と、表示パネル13と、各種データの入出力のためにネットワーク3等に接続されるI/O(入出力)インターフェース14と、これらを制御する制御部15とを有している。
スキャナ12は、例えば自動原稿搬送装置(ADF)によって搬送される原稿の画像、あるいは原稿台上に載置された原稿の画像を読み取って、読み取られた画像に対応した画像データを生成する。プリンタ11は、スキャナ12にて読み取られた原稿の画像データに基づいて、あるいは、入出力インターフェース14から入力される画像データに基づいて、周知の電子写真方式により画像を形成する。入出力インターフェース14には、ネットワーク3を介して、ウェブサーバ2、ウェブサーバ2とは別のサーバ4、パーソナルコンピュータ(PC)5等が接続されている。表示パネル13は、例えば、タッチ入力式のLCD表示パネルによって構成されており、各種情報が表示されるとともに、情報が表示された表示面の所定位置にユーザがタッチ操作することによって制御部15に対して所定の指示を与えることができる。
【0022】
制御部15には、各種データを格納するためのボックス(BOX)15dが記憶部として設けられている。ボックス15dは、例えばHDDによって構成されている。ボックス15dには、スキャナ12によって読み込まれた画像データ等の各種データがファイル毎に格納されている。ボックス15dに格納された各ファイルにはファイル名がそれぞれ付けられている。
【0023】
また、制御部15には、制御層API(Application Program Interface)15eを介して入力される各種アプリケーション(APP)を制御するためのオペレーティングシステム(Operating System:OS)15cが設けられている。各種アプリケーションは、例えば図示しないROMに格納されている。各種アプリケーション(APP)としては、表示パネル13の制御のための表示パネルAPP(Application)21、プリンタ11の制御のためのプリンタAPP22、スキャナ12の制御のためのスキャナAPP23、ボックス15dに対するデータの入出力制御のためのボックスAPP24、プリンタ11およびスキャナ12の状態管理のための管理情報APP25、電子メール送信時における宛先の確認のための宛先確認APP26である。
【0024】
表示パネルAPP21には、ウェブサーバ2に対してファイルをアップロードする機能を有するブラウザ21aが設けられており、このブラウザ21aによって、ウェブサーバ2のアップロードコントロール画面が取得されて表示パネル13に表示され、そのアップロードコントロール画面をユーザが操作することによって、スキャナ12によって読み取られた原稿の画像データまたはボックス15dに格納されたファイルデータが、ウェブサーバ2にアップロードされる。
【0025】
制御部15には、I/O(入出力)インターフェース14からの入出力データを制御するためのI/O(入出力)制御ブロック15aと、プリンタAPP22およびスキャナAPP23による制御に基づいてプリンタ11およびスキャナ12を動作させるエンジン制御ブロック15bとが設けられている。
さらに、制御部15には、ブラウザ21aによるファイルのアップロードに際して、スキャナ12にて読み込まれた画像データまたはボックス15dに格納されたファイルデータをブラウザ21aによってウェブサーバ2にアップロードされるように所定の形式(例えばPDF)の電子化データに変換するデータ電子化ブロック15fと、ウェブサーバ2へデータをアップロードすることをブラウザ21aに指示するタイミングを、予め設定された所定のタイミングに自動的に調整する自動タイミング処理ブロック15gと、データ電子化ブロック15fによって電子化されたデータがウェブサーバ2にアップロードされることなく制御部15内に残っている場合に電子化されたデータに対して予め設定された所定の処理を実行する電子化データ処理ブロック15hとが設けられている。
【0026】
なお、表示パネル13には、ブラウザ21aによってウェブサーバ2から取得されるアップロードコントロール画面13aと、スキャナ12による原稿画像の読み取りまたはボックス15d内のファイルデータの読み込みを設定するための読込み設定画面13bとが表示される。表示パネル13にて表示されるアップロードコントロール画面13aには、ボックス15d内のファイルデータをウェブサーバ2にアップロードする場合などにおいてユーザによって操作される参照ボタン13eと、ウェブサーバ2へのファイルのアップロードを指示する際にユーザによって操作される送信ボタン13fと、ウェブサーバ2にアップロードされるために選択されたファイル名が表示されるファイル名表示欄13gとが表示される。また、表示パネル13にて表示される読込み設定画面13bには、スキャナ12による原稿画像の読取り条件を設定する際にユーザによって操作される読取条件設定入力画面13cと、ボックス15d内のファイルデータの読込みを設定するためのボックスデータ読込み設定入力画面13dとが表示される。
【0027】
なお、制御部15には、プリンタ11による画像形成動作の開始、スキャナ12による原稿画像の読み取り開始、またはボックス15d内のファイルデータの読み込みの開始等を指示する場合にユーザによって操作されて、画像データまたはファイルデータの取得を指示する取得指示手段としてのスタートボタン16の出力が与えられている。
図3は、表示パネル13に表示されるアップロードコントロール画面13aの一例を示している。アップロードコントロール画面13aの上部には、アップロードジョブが指示されていることを明示するために「ファイルをサーバにアップロードします。」の文章が表示され、その下部には、ファイル名表示欄13gと、参照ボタン(参照受付部)13eと、送信ボタン(送信受付部)13fとが、左右方向に沿って表示されている。
【0028】
図4は、表示パネル13に表示される読取条件設定入力画面13cの一例を示している。この読取条件設定入力画面13cには、解像度、原稿の片面または両面、原稿画質、読込サイズ等を設定入力するための画面が表示され、設定が完了した場合に操作される「OKボタン」も表示される。図5は、表示パネル13に表示されるボックスデータ読込み設定入力画面13dの一例を示している。ボックスデータ読込み設定入力画面13dには、ボックス15d内のファイルのダイアログ・ボックスが開いて、ボックス15d内のデータファイルの一覧が表示され、また、設定が完了した場合に操作される「OKボタン」も表示される。この一覧表示から、アップロードすべきファイルを選択して設定することができる。
【0029】
<アップロードジョブの実施形態1>
このような構成のMFP1において、スキャナ12にて読み取られた原稿の画像データまたはボックス15d内に格納されたファイルのデータをウェブサーバ2にアップロードするアップロードジョブの実施形態1について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
本実施形態では、アップロードジョブを実行する場合に、制御部15は、ブラウザ21aによってウェブサーバ2から取得された図3に示すアップロードコントロール画面13aを表示パネル13に表示する。この場合、PCに搭載された通常のブラウザと同様に、アップロードコントロール画面13aにおける参照ボタン13eが操作されることによって、ボックス15d内のファイルのダイアログ・ボックスが表示され、アップロードするファイルを選択することができる。ユーザによってファイルが選択されると、選択されたファイルがボックス15dから読み出されて、データ電子化ブロック15fによって電子化された後に、電子化されたデータのファイル名がファイル名表示欄13gに表示される。このような状態になると、ユーザによって送信ボタン13fが操作されることにより、ファイル名表示欄13gに表示されたファイルの電子化データがウェブサーバ2にアップロードされる。
【0031】
これに対して、参照ボタン13eが操作されることなく、送信ボタン13fがユーザによって操作されたことが検知されると(図6のステップS1参照、以下同様)、制御部15は、アップロードコントロール画面13aにおけるファイル名表示欄13gが空白になっているかを判断する(ステップS2)。
ステップS2においてファイル名表示欄13gにファイル名が表示されている場合(ステップS2において「NO」)には、すでにPDF等の所定のアップロードの形式に電子化されたデータが存在しているために、制御部15は、ステップS10に進み、ファイルをウェブサーバ2に対してアップロードすることをブラウザ21aに指示する。これにより、ブラウザ21aは、ファイル名表示欄13gに表示されている電子化されたデータをウェブサーバ2に対してアップロードする。
【0032】
ステップS2において、アップロードコントロール画面13aにおけるファイル名表示欄13gが空白になっている場合(ステップS2において「YES」)には、表示パネル13に読込み設定画面13bを表示する(ステップS3)。読込み設定画面13bには、前述のように、読取条件設定入力画面13cとボックスデータ読込み設定入力画面13dとが設けられている。そして、読取条件設定入力画面13cによってスキャナ12による原稿画像の読取条件が設定されるまで(ステップS4)、または、ボックスデータ読込み設定入力画面13dによってボックス15d内の所望のデータファイルが選択されるまで(ステップS5)、待機状態になる。
【0033】
読取条件設定入力画面13cによってスキャナ12による原稿画像の読取条件が設定されて「OKボタン」が操作された場合(ステップS4において「YES」)には、ステップS6に進み、スタートボタン16がユーザによって操作されるまで待機状態になる。また、読取条件設定入力画面13cによって読取条件が設定されることなく(ステップS4において「NO」)、ボックスデータ読込み設定入力画面13dによって所望のデータファイルが選択されて「OKボタン」が操作された場合(ステップS5において「YES」)にも、ステップS6に進み、スタートボタン16がユーザによって操作されるまで待機状態になる。
【0034】
その後、スタートボタン16がユーザによって操作されると(ステップS6において「YES」)、ステップS7に進み、制御部15は、スキャナ12による原稿画像の読取り条件が設定されている場合には、スキャナ12に対して原稿画像の読取りの実行を指示する。これにより、スキャナ12は、原稿画像の読取り動作を実行し、原稿画像に対応した画像データが生成されると制御部15に生成された画像データを出力する。これにより、制御部15は画像データを取得する。これに対して、スキャナ12による原稿画像の読取り条件が設定されることなく、ボックス15d内におけるファイルが設定されている場合には、ステップS7において、設定されたファイルデータをボックス15dから読み込む。これにより、制御部15はファイルデータを取得する。
【0035】
制御部15は、スキャナ12によって読み取られた画像データ、または、ボックス15d内から読込まれたファイルデータを、ブラウザ21aによってウェブサーバ2にアップロードされるように、データ電子化ブロック15fによって、所定の形式(例えばPDF形式)の電子データに変換する(ステップS8)。このようにして所定形式の電子化データのファイルが得られると、制御部15は、自動タイミング処理ブロック15gによって予め設定された所定のタイミングで電子化されたデータがウェブサーバ2にアップロードされるように、ブラウザ21aに対するデータのアップロード指示のタイミングを自動調整する(ステップS9)。そして、自動タイミング処理ブロック15gによって自動調整された所定のタイミングになると、電子化されたデータをウェブサーバ2に対してアップロードすることをブラウザ21aに対して指示する(ステップS10)。これにより、ブラウザ21aは、電子化されたデータをウェブサーバ2に対してアップロードする。
【0036】
このように、図6に示すアップロードジョブでは、ユーザが、アップロードコントロール画面13aにおける送信ボタン13fの操作と、スキャナ12による原稿画像の読取り条件の設定、または、ボックス15d内のデータファイルの選択と、その後のスタートボタン16の操作とを実行することによって、スキャナ12による原稿画像の読取りの実行により生成された画像データ、または、ボックス15dから読み出されたファイルデータが、自動的に電子化されてブラウザ21aによってウェブサーバ2にアップロードされる。従って、ユーザは、アップロード先等のアップロード条件を設定する必要がなく、しかも、スキャナ12による原稿画像の読取りから画像データの電子化が終了するまでの間、または、ボックス15d内のファイルデータの読み出しからファイルデータの電子化が終了するまでの間、MFP1の近傍において待機する必要がなく、従来のように、電子化が終了するのを待って電子化終了後に送信ボタンを操作して初めてMFPから離れる構成に比べて待ち時間を低減することができ、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0037】
図7は、ステップS9における自動タイミング処理を示すフローチャートである。制御部15に設けられた自動タイミング処理ブロック15gは、電子化された電子データをウェブサーバ2にアップロードすることをブラウザ21aに指示するタイミングを、ユーザ等により予め設定された所定のタイミングとなるように自動調整処理する。この場合のアップロードのタイミングとしては、データ電子化ブロック15fによるデータの電子化(図6に示すフローチャートのステップS8)の直後、データ電子化ブロック15fによるデータの電子化後における指定時間になった直後、MFP1においてユーザによって指示された画像読取動作、プリント動作等の画像処理動作の全てが終了することによってMFP1がログアウト状態になった直後のいずれかが設定される。
【0038】
自動タイミング処理では、まず、電子化データのファイルをウェブサーバ2に対してアップロードすることをブラウザ21aに指示するタイミングが、データ電子化ブロック15fによるデータの電子化直後に設定されているかを判断し(図7のステップS11参照、以下同様)、データの電子化直後に設定されている場合(ステップS11において「YES」)には、直ちに自動タイミング処理を終了して、図6のフローチャートにおけるステップS10に進み、ウェブサーバ2に対してファイルをアップロードすることをブラウザ21aに指示する。これにより、ブラウザ21aは、データ電子化ブロック15fによってデータが電子化された直後にファイルをウェブサーバ2にアップロードする。
【0039】
これに対して、ステップS11において、ファイルをアップロードするタイミングが、データ電子化ブロック15fによるデータの電子化直後に設定されていない場合(ステップS11において「NO」)には、ファイルをアップロードするタイミングが、データの電子化後における指定時間の直後に設定されているかを判断する(ステップS12)。そして、指定時間の直後に設定されている場合(ステップS12において「YES」)には、指定時間になるまで待機して(ステップS13)、指定時間になると(ステップS13において「YES」)、自動タイミング処理を終了し、図6のフローチャートにおけるステップS10に進み、ブラウザ21aに対してウェブサーバ2へのファイルのアップロードを指示する。これにより、データの電子化後における指定時間になった直後に電子化されたファイルデータがウェブサーバ2にアップロードされる。
【0040】
ステップS12において、電子化データをアップロードするタイミングとして、指定時間直後に設定されていない場合(ステップS12において「NO」)には、ファイルをアップロードするタイミングとして、MFP1がログアウト状態になった直後に設定されているものとして、MFP1がログアウト状態になるまで待機する(ステップS14)。そして、MFP1がログアウト状態になった時点(ステップS14において「YES」)で自動タイミング処理を終了して、図6のフローチャートにおけるステップS10に進み、ブラウザ21aに対してウェブサーバ2へのファイルデータのアップロードを指示する。これにより、MFP1がログアウト状態になった直後に電子化されたファイルデータがウェブサーバ2にアップロードされる。
【0041】
このように、ブラウザ21aに対するアップロード指示を、ユーザが予め設定した所定のタイミングで自動的に実行するようになっていることから、アップロードジョブにおけるユーザの利便性は、より一層、向上する。
<アップロードジョブの実施形態2>
スキャナ12によって得られた画像データをウェブサーバ2にアップロードするアップロードジョブの実施形態2について、図8のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態2では、アップロードジョブを実行する場合に、制御部15は、ブラウザ21aによってウェブサーバ2から取得されたアップロードコントロール画面13aを表示パネル13に表示する。このような状態で、ユーザが参照ボタン13eを操作すると(図8におけるステップS31参照、以下同様)、実施形態1とは異なり、表示パネル13に読込み設定画面13bを表示する(ステップS32)。読込み設定画面13bにおける読取条件設定入力画面13cによってスキャナ12による原稿画像の読取条件が設定された場合(ステップS33において「YES」)、または、ボックスデータ読込み設定入力画面13dによってボックス15d内の所望のデータファイルが選択された場合(ステップS34において「YES」)には、表示パネル13にアップロードコントロール画面13aを表示する(ステップS35)。この時点ではまだ電子化処理は実行されていない。
【0042】
その後、送信ボタン13fがユーザによって操作されると(ステップS36において「YES」)、制御部15は、スキャナ12による原稿画像の読取条件が設定されている場合には、スキャナ12に対して原稿画像の読み取りの実行を指示し、ボックス15d内のファイルデータが設定されている場合には、ボックス15d内から選択されたファイルデータを読み出す(ステップS37)。
【0043】
その後は、実施形態1と同様に、スキャナ12の読み取り動作によって得られた画像データ、または、ボックス15内から読み出されたファイルデータをデータ電子化ブロック15fによって所定の形式の電子データに電子化し(ステップS38)、自動タイミング処理ブロック15gによってアップロードのタイミングを自動調整処理した後に(ステップS39)、ブラウザ21aに対してウェブサーバ2へのデータのアップロードを指示する(ステップS40)。
【0044】
このように、本実施形態2のファイルアップロード処理では、最初に、アップロードコントロール画面13aにおける参照ボタン13eがユーザによって操作されると、読込み設定画面13bが表示されて、ユーザが、原稿画像の読取条件の設定、または、ボックス15d内のデータファイルの設定と、その後の送信ボタン13fの操作とを実行することによって、これを契機にスキャナ12から取得された画像データ、または、ボックス15dから読み出されたファイルデータが自動的に電子化されてブラウザ21aによってウェブサーバ2にアップロードされる。従って、ユーザは、アップロード先等のアップロード条件を設定する必要がなく、しかも、参照ボタン13eによりアップロード対象のデータを選択でき、また、ファイルを選択しても送信ボタン13fを操作するまでは電子化されないので、従来のように、参照ボタン13eによるファイルの選択によって電子化が開始しその電子化が終了するまでの間、または、スキャナ12による原稿画像の読み取りから画像データの電子化が終了するまでの間、MFP1の近傍において待機する必要がなく、ユーザの利便性が著しく向上する。
【0045】
<アップロードジョブの実施形態3>
MFP1において、スキャナ12によって得られた画像データをウェブサーバ2にアップロードするアップロードジョブの実施形態3について、図9のフローチャートに基づいて説明する。
アップロードジョブにおいて、アップロードコントロール画面13aが表示パネル13に表示されて、参照ボタン13eがユーザによって操作されると(図9のステップS41参照、以下同様)、実施形態2の場合と同様に、表示パネル13に読込み設定画面13bを表示する(ステップS42)。その後、読込み設定画面13bにおける読取条件設定入力画面13cによってスキャナ12による原稿画像の読取条件が設定された場合(ステップS43において「YES」)、または、読込み設定画面13bにおけるボックスデータ読込み設定入力画面13dに表示されたボックス15d内のデータファイル一覧から所望のデータファイルが選択された場合(ステップS44において「YES」)には、ユーザがスタートボタン16を操作するまで待機状態になる(ステップS45)。ユーザは、スタートボタン16を操作するまでの待機状態にある間に、読取条件または選択ファイルの変更を行うことができる。スタートボタン16の操作は、読取条件等のユーザによる確定を意味する。
【0046】
その後、ユーザがスタートボタン16を操作すると(ステップS45において「YES」)、制御部15は、スキャナ12による原稿画像の読取条件が設定されている場合には、スキャナ12に対して原稿画像の読み取りの実行を指示し、ボックス15d内のファイルデータが選択されている場合には、ボックス15d内から選択されたファイルデータを読み込む(ステップS46)。
【0047】
次いで、制御部15は、表示パネル13にアップロードコントロール画面13aを表示し(ステップS47)、ファイル名表示欄13gに、スキャナ12にて読み取られた画像データのファイル名、または、ボックス15d内から選択されたファイル名が表示される。この時点では、それぞれのデータは電子化されていない。その後、送信ボタン13fがユーザによって操作されるまで待機状態になる(ステップS48)。
【0048】
このような状態で、ユーザが送信ボタン13fを操作すると(ステップS48において「YES」)、その後は、実施形態2と同様に、スキャナ12の読み取り動作によって得られた画像データ、または、ボックス15d内から読み出されたファイルデータをデータ電子化ブロック15fによって所定の形式の電子データに電子化し(ステップS49)、自動タイミング処理ブロック15gによってアップロードのタイミングを自動調整処理した後に(ステップS50)、ブラウザ21aに対するウェブサーバ2へのデータのアップロードを指示する(ステップS51)。
【0049】
このように、本実施形態3のファイルアップロード処理では、最初に、アップロードコントロール画面13aにおける参照ボタン13eがユーザによって操作されると、原稿画像の読取条件の設定、または、ボックス15d内のデータファイルの選択と、スタートボタン16の操作とがユーザによって行われる。これにより、スキャナ12によって生成された画像データが取得されるか、ボックス15dからファイルデータが読み出され、この時点で、アップロードコントロール画面13aのファイル名表示欄13gに、得られた画像データまたはファイルデータのファイル名が表示されることによって、ユーザは、アップロードすべきデータについて確認することができる。そして、ユーザが、アップロードすべきデータについて確認して送信ボタン13fを操作することにより、スキャナ12によって生成された画像データ、または、ボックス15dから読み出されたファイルデータが、自動的に電子化されてブラウザ21aによってウェブサーバ2にアップロードされることになる。
【0050】
従って、本実施形態3では、ウェブサーバ2に対してアップロードされるデータが電子化されるまでの間、MFP1の近傍において待機する必要がなく、また、所望のデータを間違えることなく確実にウェブサーバ2にアップロードすることができる。
<電子化データの処理>
次に、ファイルのアップロードジョブにおいて、制御部15のデータ電子化ブロック15fによって電子化されたデータが、ウェブサーバ2にアップロードされることなく制御部15内に残っている場合の処理について説明する。
【0051】
MFP1では、ユーザによる所定のジョブの指示が所定時間内に完結しない場合には、当該ジョブに関してすでに実行された操作、指示等を破棄して初期化するオートリセット機能が働く。このために、実施形態1〜3において、スキャナ12によって読み込まれた原稿の画像データを電子化した後に、ユーザがスタートボタン16、送信ボタン13f等を操作することなく放置すると、MFP1では、所定時間が経過することによるオートリセット機能が働き、電子化データが、ウェブサーバ2に送信されることなく制御部15内に残ることになる。
【0052】
また、ウェブサーバ2では、アップロードジョブの実行に際して、MFP1の認証処理が行われ、MFP1が認証された後に、MFP1から電子化されたデータがアップロードされるようになっているが、予め決められた所定時間内にアップロードが終了しない場合には、サーバは、時間切れ(タイムアウト)になったものと判断して、アップロードジョブの実行が打ち切られる。MFP1において、スキャナ12による原稿の読み取り、データの電子化等に長時間を要すると、所定の時間内に電子化されたデータのウェブサーバ2へのアップロードが完了せず、タイムアウトになる場合がある。この場合には、電子化されたデータが、ウェブサーバ2にアップロードされることなく、制御部15内に残ることになる。いずれの場合にも、制御部15のボックス15d内にアップロードされなかった電子化データが残り、ボックス15dの記憶容量が低減する。また、残った電子化データが読み出されて悪用されるおそれもある。
【0053】
このために、MFP1では、MFP1のオートリセット機能が働いた場合、あるいは、ウェブサーバ2のタイムアウト機能が働いた場合に、電子化されたデータが制御部15内に残っていると、ユーザが予め設定した方法によって電子化データを処理するようになっている。電子化データの処理方法については、ユーザによって初期設定される。ユーザが電子化データの処理方法について初期設定する場合には、図10に示す電子化データ処理初期設定画面13kが表示パネル13に表示される。電子化データ処理初期設定画面13kには、MFP1のオートリセット時に制御部15内に残った電子化データの処理方法を選択するためのオートリセット時選択部13mと、ウェブサーバ2のタイムアウトによって電子化データがアップロードされることなく制御部15内に残っている場合の処理方法を選択するためのアップロード失敗時選択部13nとが表示される。オートリセット時選択部13mおよびアップロード失敗時選択部13nのいずれにも、ジョブ破棄ボタンと、メール通知ボタンと、ファイル転送ボタンとがそれぞれ表示されており、いずれかのボタンがユーザによって操作されることにより、ジョブ破棄処理、メール通知処理、ファイル転送処理のいずれかの方法が、制御部15における電子化データ処理ブロック15hに初期設定される。
【0054】
なお、オートリセット時選択画面13mおよびアップロード失敗時選択画面13nにおけるメール通知処理ボタンの操作によってメール通知処理が選択されると、予め認証されたPC(パーソナルコンピュータ)5が送信先として設定され、電子化データが残っていることを示す所定の送信メールがPC5に送信される。
また、オートリセット時選択部13mおよびアップロード失敗時選択部13nにおけるファイル転送ボタンの操作によってファイル転送処理が選択されると、表示パネル13には、図11に示すファイル転送設定画面13pが表示され、電子化データのファイルの転送先が設定される。この場合のファイルの転送先としては、ウェブサーバ2とは別のサーバ3、PCや他のMFPのユーザボックス等である。このファイル転送設定画面13pには、ファイルの送信種別(上位層)入力欄および送信種別(下位層)入力欄と、ユーザの認証のためのアカウント入力欄およびパスワード入力欄とが表示される。そして、ユーザは、それぞれの入力欄に対して転送先に対応した適切な送信種別等を入力することができる。この入力によって転送先が初期設定され、設定された転送先にファイル転送が可能な状態になる。
【0055】
図12および図13は、制御部15にて実施される電子化データの処理を示すフローチャートである。制御部15は、アップロードジョブにおいてブラウザ21aに対して電子化データのウェブサーバ2へのアップロードを指示すると(図12のステップS61参照、以下同様)、MFP1のオートリセットまたはウェブサーバ2のタイムアウトが機能した時点で(ステップS62において「YES」)、データ電子化ブロック15fによって電子化されたデータがウェブサーバ2にアップロードされることなく制御部15に残っている場合には(ステップS63において「YES」)、初期設定されたジョブ破棄処理(図14参照)、メール通知処理またはファイル転送処理(図15参照)のいずれかが実行される。
【0056】
電子化データ処理ブロック15hにジョブ破棄処理が初期設定されている場合(図13のステップS64において「YES」)には、スキャナ12にて得られた画像データをウェブサーバ2にアップロードするアップロードジョブを破棄し、MFP1におけるジョブ履歴に破棄原因(オートリセットまたはタイムアウト)を記載して残す(ステップS65、図14参照)。これにより、制御部15内に残った電子化データが削除される。
【0057】
電子化データ処理ブロック15hにメール通知処理が初期設定されている場合(ステップS66において「YES」)には、制御部15は、MFP1のログアウト処理を行って、電子化データをボックス15dに格納する(ステップS67)。そして、認証ユーザであるPC5に対して上記の所定のメールを送信する(ステップS68)。この場合、認証ユーザのPC5からのメールの返信があると(ステップS69において「YES」)、返信されたメールの指示に従って電子化データを処理する(図15参照)。
【0058】
すなわち、返信メールにおいて、電子化データの削除が指示されている場合(ステップS70において「YES」)には、ボックス15dに格納された電子化データを削除する(ステップS71)。返信メールにおいて、電子化データを、再度、ウェブサーバ2にアップロードすることが指示されている場合(ステップS72において「YES」)には、ボックス15dに格納された電子化データを、ブラウザ21aによって、再度、ウェブサーバ2にアップロードする(ステップS73)。さらに、返信メールにおいて、電子化データを指定された転送先に転送することが指示されている場合(ステップS74において「YES」)には、ボックス15dに格納された電子化データを、指定された転送先に転送する(ステップS75)。これにより、電子化データはMFP1のボックス15dから削除される。この場合の転送先としては、前述したように、認証されたPCのボックス、認証された他のMFPのボックス等である。また、所定時間が経過しても、メール返信がない場合(ステップS69において「NO」)には、メール通知のみを行う。
【0059】
電子化データの処理としてメール通知が電子化データ処理ブロック15hに初期設定されていない場合(ステップS66において「NO」)であって、ファイル転送処理が設定されている場合(ステップS76において「YES」)には、設定された所定の転送先に電子化データを転送する(ステップS77)。この場合の転送先としては、ウェブサーバ以外のサーバ、認証ユーザのPC、他のMFPのユーザボックス等である(図15参照)。
【0060】
なお、電子化データの処理として、ジョブの廃棄、メール通知、ファイル転送のいずれの処理も初期設定されていない場合(ステップS76において「NO」)には、ジョブの廃棄が初期設定され(ステップS78)、ステップS65に進んで、スキャナ12にて得られた画像データをウェブサーバ2にアップロードするアップロードジョブを破棄し、MFP1におけるジョブ履歴に破棄原因(オートリセットまたはタイムアウト)を記載して残す(ステップS65、図14参照)。これにより、制御部15内に残った電子化データが削除される。
【0061】
以上のように、MFP1のオートリセットまたはウェブサーバ2のタイムアウトによって、データ電子化ブロック15fにて電子化されたデータがサーバ2に対してアップロードされることなく制御部15内に残っている場合には、予め設定された削除等の処理が実行される。これにより、制御部15内において電子化されたデータが残されていることによる記憶容量の減少を抑制することができ、また、削除されることによって、残った電子データが悪用されることも防止できる。
【0062】
なお、上記の実施の形態では、画像読取装置が設けられた画像形成装置としてMFPについて説明したが、これに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にも本発明は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、画像読取手段を有する画像処理装置に関するものであり、画像読取手段によって読み取られた画像データを、搭載されたブラウザによってウェブサーバにアップロードする際のユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置であるMFPを用いた通信システムを示す概略図である。
【図2】そのMFPの構成を示すブロック図である。
【図3】そのMFPに設けられたブラウザによって表示されるアップロードコントロール画面の表示例である。
【図4】そのMFPの表示パネルに表示される読取条件設定入力画面の表示例である。
【図5】そのMFPの表示パネルに表示されるボックスデータ読込み設定入力画面の表示例である。
【図6】そのMFPによる実施形態1のアップロード処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】そのMFPによるアップロード処理における自動タイミング処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】そのMFPによる実施形態2におけるアップロード処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】そのMFPによる実施形態3におけるアップロード処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】そのMFPによるアップロード処理において電子化データがアップロードされない場合における電子化データの処理を初期設定するための表示画面である。
【図11】その電子化データの処理を初期設定するためのファイル転送設定するための表示画面である。
【図12】その電子化データの処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】その電子化データの処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】その電子化データの処理の一例を模式的に示す概念図である。
【図15】その電子化データの処理の他の例を模式的に示す概念図である。
【符号の説明】
【0065】
1 MFP
2 ウェブサーバ
3 ネットワーク
12 スキャナ
13 表示パネル
13a アップロードコントロール画面
13b 読込み設定画面
13c 読取条件設定入力画面
13d ボックスデータ読込み設定入力画面
13e 参照ボタン
13f 送信ボタン
13g ファイル名表示欄
15 制御部
15d ボックス
15f データ電子化手段
15g 自動タイミング処理手段
15h 電子化データ処理手段
16 読取スタートボタン
21 表示パネルAPP
21a ブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルデータを記憶する記憶部と、
所定形式の電子化データをウェブサーバにアップロードする機能を有するブラウザと、
原稿画像を読み取ることによって画像データを生成する画像読取手段と、
前記ブラウザによって前記ウェブサーバから取得されるアップロードコントロール画面が表示される表示部と、
前記記憶部内のファイルデータまたは前記画像読取手段によって生成された画像データを前記所定形式の電子化データに変換するデータ電子化手段を有する制御部と、を備え、
前記アップロードコントロール画面には、アップロードするファイルを選択する際に操作される参照受付部と、選択されたファイル名が表示されるファイル名表示欄と、アップロードを指示する際に操作される送信受付部とが表示され、
前記制御部は、前記送信受付部の操作を契機に、前記データ電子化手段による前記画像データまたは前記ファイルデータの所定形式の電子化データへの変換と、変換後の電子化データの前記ブラウザに対するアップロード指示とを実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータを、前記送信受付部が操作された後に取得し、前記変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータの取得を指示する際に操作される取得指示手段をさらに備え、
前記制御部は、前記送信受付部が操作された後に、前記取得指示手段が操作されることによって、前記画像読取手段に対する原稿画像の読取りの指示、または、前記記憶部内のファイルのデータの読み込みを行って、前記画像データまたは前記ファイルデータを取得することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記送信受付部が操作されたときに、前記ファイル名表示欄が空白である場合に、前記画像読取手段による原稿画像の読取り条件の設定または前記記憶部内のファイルデータの設定のための設定画面を前記表示部に表示し、該設定画面によって前記読取り条件または前記ファイルデータが設定されると、設定された内容に従って、前記読取りの指示、または、前記読み込みを行うことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記送信受付部が操作されることによって、前記画像読取手段に対する原稿画像の読取りの指示、または、前記記憶部内のファイルデータの読み込みを行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記送信受付部が操作される前に前記参照受付部が操作されると、前記画像読取手段による原稿画像の読取り条件の設定または前記記憶部内のファイルデータの設定のための設定画面を前記表示部に表示し、該設定画面によって前記読取り条件または前記ファイルデータが設定されることにより、前記読取りの指示、または、前記読み込みを行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータを、前記送信受付部が操作される前に取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像データまたは前記記憶部内のファイルデータの取得を指示する際に操作される取得指示手段をさらに備え、
前記制御部は、前記送信受付部が操作される前に前記取得指示手段が操作されると、前記画像読取手段に対する原稿画像の読取りの指示、または、前記記憶部内のファイルのデータの読み込みを行って、前記画像データまたは前記ファイルデータを取得することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記取得指示手段が操作される前に前記参照受付部が操作されると、前記画像読取手段による原稿画像の読取り条件の設定または前記記憶部内のファイルデータの設定のための設定画面を前記表示部に表示し、該設定画面によって前記読取り条件または前記ファイルデータが設定されることにより、前記読取りの指示、または、前記読み込みを行うことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記ブラウザに対するアップロードの指示が、予め設定された所定のタイミングになるように自動処理する自動タイミング処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記自動タイミング処理手段による所定のタイミングが、前記データ電子化手段によってデータが変換された直後、前記データ電子化手段によってデータが変換された後の指定時間になった直後、当該画像処理装置がユーザによって指示された画像処理が完了してログアウト状態になった直後のいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、当該画像処理装置のオートリセット時または前記ウェブサーバのタイムアウト時に、該制御部内に前記データ電子化手段によって電子化されたデータが残っている場合に、該電子化されたデータに対して予め設定された所定の処理を行う電子化データ処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記電子化データ処理手段には、前記アップロードの指示を破棄する処理、予め設定された認証ユーザに対してメール通知を行ってそのメール通知に対する返信にて指示された処理、前記電子化されたデータを予め設定された認証ユーザへ転送する処理のいずれかが予め設定されていることを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−50802(P2010−50802A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213960(P2008−213960)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】