説明

画像処理装置

【課題】取得した画像を本体部および外部ネットワークを介して接続された他の機器の双方で表示させるための処理を、効率よく行う画像処理装置を提供すること。
【解決手段】スキャナ部、ファクシミリ部、表示部、並びに、スキャナ部、ファクシミリ部および表示部を制御する第一制御部を有する本体部と、インタフェース部、および、インタフェース部を介した情報のやり取りを制御する第二制御部を有するネットワーク部と、本体部およびネットワーク部を接続するバスと、バスに接続され、第一制御部および第二制御部それぞれの要求に応じて、スキャナ部またはファクシミリ部により生成された画像データの処理を行う画像処理部とを備え、表示部は、本体部が取得する処理後の画像データに示される画像を表示し、インタフェース部は、ネットワーク部が取得する処理後の画像データを外部ネットワークに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ機能及びファクシミリ通信機能を有する複合機などの画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省スペース化を指向して、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ通信機能、及びネットワーク通信機能などを一台で兼ね備えた画像処理装置であるネットワーク複合機の普及が進んでいる。
【0003】
このようなネットワーク複合機には、スキャナ等により取得した画像をプリントアウトするだけではなく、当該画像のデータをLocal Area Network(LAN)等のネットワークを介して他の機器に送信することが求められる。
【0004】
例えば、LANを介してインターネットと接続可能であり、インターネット経由でファクシミリ通信を行う機能(以下、「インターネットファクシミリ機能」という。)を有するネットワーク複合機も存在する。
【0005】
インターネットファクシミリ機能を有するネットワーク複合機では、例えば、スキャナで原稿の画像を読み取り、当該画像を示す画像データを生成し、生成した画像データをインターネット経由で指定された宛先に送付する。
【0006】
また、この画像データの生成の際に、例えばファクシミリ通信の規格に合致するように縮小処理等の画像処理がなされる。
【0007】
このようなインターネットファクシミリ機能を有するネットワーク複合機についての技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に記載の技術では、ユーザによりインターネットファクシミリが選択された場合、インターネットファクシミリ専用の画像処理を行う。これにより、インターネットファクシミリにより送信される画像の画質劣化が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−274616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、近年のネットワーク複合機には、上記のようなインターネットファクシミリ専用の画像処理だけでなく、外部ネットワークに出力するサムネイルの生成のための画像処理機能も求められている。
【0011】
これは、ネットワーク複合機がスキャナ機能またはファクシミリ通信機能により取得した画像を、例えば、プリントアウトの前に、ユーザがパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)で確認するためである。
【0012】
そのため、LANを介して接続されたPCへのサムネイルの送信を行うネットワーク複合機も存在する。
【0013】
このようなネットワーク複合機では、取得した画像に対する解像度の変換により当該画像のサムネイルデータが生成される。また、生成されたサムネイルデータは、サムネイルを要求するPCにLANを介して送信される。
【0014】
この縮小処理を行う画像処理部は、例えば、LANとのインタフェースとなるネットワーク部を構成する基板に実装され、ネットワーク部の制御部により動作が制御される。これにより、サムネイルの生成およびLANを介したサムネイルの送信が効率よく行われる。
【0015】
ここで、近年では、操作パネル等の表示部を構成するディスプレイの高精細度化および低価格化が進み、その結果、比較的大きな表示領域を有する表示部を搭載したネットワーク複合機も存在する。
【0016】
その結果、外部の端末装置であるPCのみならず、ネットワーク複合機の表示部でのサムネイルの表示も要求されている。
【0017】
そこで、上記のような、ネットワーク部に画像処理部を配置した構成をネットワーク複合機に採用した場合を想定する。
【0018】
この場合、本体部が有する操作パネル等の表示部にサムネイルを表示させるためには、本体部は、必ずネットワーク部の制御部を介して画像処理部にアクセスし、画像処理部を動作させる必要がある。従って、サムネイルの本体部での表示に係る処理効率の向上が困難である。
【0019】
もちろん、サムネイルを生成する画像処理部を本体部にも設けることが考えられる。しかし、この場合、例えば製造コストの向上という別の問題が生じることになる。
【0020】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、ネットワーク通信機能を有する画像処理装置であって、取得した画像を、本体部および外部ネットワークを介して接続された他の機器の双方で表示させるための処理を、効率よく行う画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る画像処理装置は、原稿に表された画像を読み取って画像データを生成するスキャナ部、受信したファクシミリ信号から画像データを生成するファクシミリ部、画像を表示する表示部、並びに、前記スキャナ部、前記ファクシミリ部および前記表示部を制御する第一制御部を有する本体部と、外部ネットワークとの情報のやり取りを行うインタフェース部、および、前記インタフェース部を介した情報のやり取りを制御する第二制御部を有するネットワーク部と、前記本体部および前記ネットワーク部を接続するバスと、前記バスに接続され、前記第一制御部および前記第二制御部それぞれの要求に応じて、前記スキャナ部または前記ファクシミリ部により生成された画像データの処理を行う画像処理部とを備え、前記表示部は、前記本体部が取得する、前記画像処理部による処理後の画像データに示される画像を表示し、前記インタフェース部は、前記ネットワーク部が取得する、前記処理後の画像データを前記外部ネットワークに送信する。
【0022】
この構成により、本体部およびネットワーク部の双方は、いずれも容易に画像処理部にアクセスできる。つまり、本体部およびネットワーク部の双方が、画像処理部に対する処理要求および処理後の画像データの取得を効率よく行うことができる。
【0023】
従って、画像処理部による処理後の画像を、本体部の表示部、および、外部ネットワークを介して接続されたPC等の他の機器の双方に容易に表示させることができる。
【0024】
また、本構成では、画像処理部は、本体部およびネットワーク部から独立した処理部として存在する。また、本体部とネットワーク部とはバスで直接接続されるため、画像処理部の有無に関わらず本体部とネットワーク部とは通信できる。
【0025】
従って、本発明によれば、複数種のネットワーク複合機を設計および製造する場合に、画像処理部を備える機種および画像処理部を備えない機種で構成を共通化できる。その結果、これら機種の設計および製造コストの抑制が可能である。
【0026】
また、本発明の一態様に係る画像処理装置は、さらに、前記本体部および前記ネットワーク部から独立した基板を備え、前記画像処理部は、前記基板に配置されているとしてもよい。
【0027】
この構成によれば、画像処理部は、本体部およびネットワーク部から独立した基板に配置される。そのため、画像処理装置からの画像処理部の取り外し、および、画像処理装置への画像処理部の取り付けが容易である。
【0028】
そのため、例えば、画像処理部を必要とせず、単にネットワークインタフェースのみが必要な複合機の設計および製造する場合、本態様の画像処理装置の主要な構成をそのまま流用できる。その結果、当該複合機の設計および製造コストを抑制することが可能である。
【0029】
また、本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記画像処理部は、前記スキャナ部または前記ファクシミリ部により生成された画像データにおける画像の解像度を変換することで、前記処理後の画像データを生成する、としてもよい。
【0030】
この構成によれば、例えば、表示部またはPC等の他の機器の表示領域の広さおよび同時に表示する画像数などに応じたサムネイルの生成を容易に行うことができる。
【0031】
また、本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記バスは、Peripheral Component Interconnectバスであり、前記第一制御部および前記第二制御部のそれぞれは、所定のアドレスを指定することで、前記画像処理部にアクセスする、としてもよい。
【0032】
この構成によれば、本体部、ネットワーク部、および画像処理部の相互間での高速な通信が容易に実現され、かつ、拡張性の高い画像処理装置が実現される。
【0033】
また、本発明の一態様に係る画像処理装置において、前記ネットワーク部はさらに、前記スキャナ部または前記ファクシミリ部により生成された画像データを格納するストレージ部を有し、前記画像処理部は、前記ストレージ部に格納されている画像データを読み出して処理することで前記処理後の画像データを生成し、生成した前記処理後の画像データを前記ストレージ部に書き戻すとしてもよい。
【0034】
この構成によれば、例えば、本体部は、画像処理部による処理後の画像データを蓄積する必要がなく、ネットワーク部に蓄積された処理後の画像データを取得し、表示部に表示させることができる。つまり、処理後の画像データの効率のよい利用が実現される。
【発明の効果】
【0035】
以上の説明から明らかなように、本発明の一態様に係る画像処理装置では、本体部およびネットワーク部の双方からの画像処理部の利用が容易である。すなわち、本発明によれば、取得した画像を、本体部および外部ネットワークを介して接続された他の機器の双方で表示させるための処理を、効率よく行う画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置を含む画像処理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の主要なハードウェア構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の処理の流れの第一の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の処理の流れの第二の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の画像処理装置が、操作パネルおよび端末装置の双方にサムネイルを表示させている状態を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る、本体部、ネットワーク部、および画像処理部の接続形態を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る、本体部およびネットワーク部の接続形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置100を含む画像処理システムの構成を示す図である。
【0038】
この画像処理システムにおいて、本実施の形態に係る画像処理装置100は、Public Switched Telephone Networks(PSTN)500を介して、ファクシミリの送受信の相手先となる相手画像処理装置200に接続される。
【0039】
また、画像処理装置100は、LAN600を介して、端末装置300および端末装置400に接続されている。
【0040】
画像処理装置100は、例えば複合機(MFP:Multi Function Peripherals)であり、画像データを処理する装置である。
【0041】
端末装置300および端末装置400は、LAN600を介して画像処理装置100にアクセスし、画像処理装置100に対してプリント要求などの各種要求、あるいはその各種要求に付随する画像データなどを送信する。また、端末装置300および端末装置400は、画像処理装置100の各種設定を参照あるいは変更することもできる。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置100の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0043】
画像処理装置100は、本体部110と、画像処理部121と、ネットワーク部130とを備える。本体部110とネットワーク部130とはPCIバス140により接続されており、画像処理部121はPCIバス140に接続されている。
【0044】
本体部110は、第一制御部111と、ファクシミリ部113と、スキャナ部117と表示部115とを有する。
【0045】
スキャナ部117は、原稿に表された画像を読み取って画像データを生成する。ファクシミリ部113は、受信したファクシミリ信号から画像データを生成する。表示部115は、画像処理部121による処理後の画像データに示される画像を表示する。
【0046】
第一制御部111は、ファクシミリ部113、スキャナ部117、および表示部115の動作を制御する。また、第一制御部111は、画像処理部121にPCIバス140を介してアクセスし、スキャナ部117またはファクシミリ部113により生成された画像データの処理の要求を行う。
【0047】
ネットワーク部130は、第二制御部131とインタフェース部132とを有する。
インタフェース部132は、外部ネットワークであるLAN600との情報のやり取りを行う。第二制御部131は、インタフェース部132を介した情報のやり取りを制御する。
【0048】
また、第二制御部131は、画像処理部121にPCIバス140を介してアクセスし、スキャナ部117またはファクシミリ部113により生成された画像データの処理の要求を行う。
【0049】
画像処理部121は、第一制御部111および第二制御部131それぞれの要求に応じて、スキャナ部117またはファクシミリ部113により生成された画像データの処理を行う。
【0050】
なお、第一制御部111および前記第二制御部131のそれぞれは、所定のアドレスを指定することで、画像処理部121にアクセスすることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、画像処理部121は、画像データにおける画像の解像度を変更することで、当該画像を縮小する。これにより、当該画像のサムネイルを生成する。
【0052】
ユーザは、本体部110の表示部115に表示されるサムネイルにより、スキャナ部117またはファクシミリ部113により取得された画像を確認できる。また、ユーザは、端末装置300または端末装置400から画像処理装置100に要求することで、当該サムネイルを端末装置300または端末装置400に表示させることができる。
【0053】
つまり、ユーザは、画像処理装置100の表示部115のみならず、端末装置300および端末装置400で、画像処理装置100が取得した画像の確認を行うことができる。
【0054】
このような機能を有する画像処理装置100のハードウェア構成について、図3を用いて説明する。
【0055】
図3は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置100の主要なハードウェア構成を示す図である。
【0056】
画像処理装置100の本体部110は、第一Micro Processing Unit(MPU)10、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)11、Synchronous DRAM(SDRAM)12、モデム13、Network Control Unit(NCU)14、操作パネル15、スキャナ17、およびプリンタ18を有する。
【0057】
第一MPU10は、図2における第一制御部111に対応するプロセッサである。第一MPU10は、ROM(図示せず)に格納された制御プログラムを読み込んで実行する。
【0058】
ASIC11は、例えばスキャナ17から入力される画像データに誤差拡散などの所定の画像処理を行い、SDRAM12に書き込むハードウェアである。また、ASIC11は、スキャナ17およびプリンタ18と、SDRAM12との間のブリッジとしても機能する。
【0059】
SDRAM12は、外部クロックに同期して動作する揮発性の記憶媒体である。具体的には、SDRAM12は、上述のように、モデム13およびスキャナ17によって取得された画像データを一時的に保持する。
【0060】
モデム13は、ファクシミリ送信される画像データを変調する、又は外部からファクシミリ送信されてきた画像データを復調するファックスモデムである。NCU14は、PSTN500と接続される回線終端装置である。
【0061】
なお、モデム13およびNCU14により、図2に示すファクシミリ部113が有するファクシミリ通信機能が実現される。
【0062】
スキャナ17は、図2に示すスキャナ部117に対応するハードウェアである。スキャナ17は、原稿の表面又は裏面に表された画像(文字を含む)を、Charge Coupled Device(CCD)センサなどを用いて光学的に読み取ることにより、画像データを生成する装置である。
【0063】
プリンタ18は、端末装置300および端末装置400からLAN600を介して受信した画像データが示す画像、又はスキャナ17によって生成された画像データが示す画像などを、紙などの媒体に印刷する装置である。
【0064】
操作パネル15は、図2に示す表示部115に対応する装置である。操作パネル15は、ユーザからの入力を受け付け、かつ、画像および文字等で情報を表示するパネルである。操作パネル15は、例えば、Liquid Crystal Display(LCD)により実現される。
【0065】
画像処理IC20は、図2に示す画像処理部121に対応するICである。本実施の形態においては、画像処理IC20は、本体部110およびネットワーク部130から独立した基板120に実装されている。また、画像処理IC20は、本体部110とネットワーク部130とを接続するPCIバス140に接続されている。
【0066】
画像処理IC20は、本体部110から画像データをPCIバス140経由で受け取る。画像処理IC20はさらに、受け取った画像データにおける解像度を変更する。これにより、例えば、操作パネル15からユーザにより設定された値または、LAN600経由で送信された設定値に応じたサイズに当該画像を縮小する。これにより、当該画像のサムネイルデータが生成される。
【0067】
画像処理IC20により生成されたサムネイルデータは、ネットワーク部130のストレージ34に格納される。
【0068】
ネットワーク部130は、第二MPU30、Network Interface Card(NIC)32、RAM33、およびストレージ34を備える。
【0069】
なお、第二MPU30等のネットワーク部130の各構成要素は、例えば、基板120とは別の1枚または複数枚の基板に実装されている。
【0070】
第二MPU30は、図2における第二制御部131に対応するプロセッサであり、NIC32等のネットワーク部130の他の構成要素を制御する。
【0071】
NIC32は、図2におけるインタフェース部132に対応し、画像処理装置100をLAN600に接続するためのハードウェアである。
【0072】
RAM33は、情報の読み書き可能な揮発性の記憶媒体である。RAM33には、例えば第二MPU30によって実行されるプログラムが一時的に格納される。
【0073】
ストレージ34は、画像処理IC20から得られる処理後の画像データが格納される記憶装置である。ストレージ34としては、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の不揮発性の記憶装置が採用される。
【0074】
なお、本体部110の第一MPU10は、バス調停機能を有する。つまり、画像処理IC20へのアクセスが、本体部110およびネットワーク部130の間で競合した場合、第一MPU10が、本体部110およびネットワーク部130のいずれに画像処理IC20を使用させるかを決定する。
【0075】
以上のように構成された画像処理装置100では、上述のように、本体部110のスキャナ17等によって生成された画像データに対し、画像処理IC20により画像処理がなされサムネイルデータが得られる。この画像処理は、第一MPU10または第二MPU30からの要求に基づいて行われる。
【0076】
画像処理IC20によって生成された複数のサムネイルデータはストレージ34に格納される。これらサムネイルデータに示される画像は、本体部110の操作パネル15、並びに、LAN600に接続された端末装置300および端末装置400のそれぞれで表示可能である。
【0077】
以下、図4〜図6を用いて、画像処理装置100のサムネイルに関する処理の流れ、およびその結果を説明する。
【0078】
図4は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置100の処理の流れの第一の例を示す図である。
【0079】
なお、図4は、具体的には、画像処理装置100が、ファクシミリ受信により得られた画像のサムネイルを、LAN600に送出する際の情報の流れを示している。
【0080】
なお、図4および図5を用いて説明する、本体部110の各構成要素の動作は、第一MPU10によって制御され、ネットワーク部130の各構成要素の動作は、第二MPU30によって制御される。
【0081】
図4に示すように、PSTN500を介して、NCU14がファクシミリ信号を受信した場合(S1)、モデム13によって復調され、画像データが得られる。この画像データはASIC11によってSDRAM12に書き込まれる。
【0082】
SDRAM12に書き込まれた画像データはASIC11に読み出され、PCIバス140を介してネットワーク部130のストレージ34に転送される(S2)。
【0083】
その後、第二MPU30は、例えばLAN600を介した端末装置300からのサムネイルデータの取得要求に応じ、ストレージ34に格納された画像データに対する画像処理の指示を画像処理IC20に行う。
【0084】
この指示により、当該画像データはストレージ34から読み出され、PCIバス140を介して画像処理IC20に取得される(S3)。
【0085】
画像処理IC20は、取得した画像データにおける画像の解像度を変更することでサムネイルデータを生成する。
【0086】
なお、生成するサムネイルデータの画像サイズ等については、例えば、端末装置300からLAN600を介して送信された設定値が用いられる。
【0087】
第二MPU30は、この設定値を受け取り、PCIバス140を介して画像処理IC20に送信する。送信された設定値は画像処理IC20が有するレジスタに書き込まれる。画像処理IC20は、レジスタに書き込まれた設定値に従ってサムネイルデータを生成する。
【0088】
画像処理IC20により生成されたサムネイルデータは、PCIバス140を介して第二MPU30に送信され、第二MPU30によってストレージ34に書き込まれる。つまり、画像処理IC20による処理後の画像データがストレージ34に書き戻される(S4)。
【0089】
その後、第二MPU30は、サムネイルデータの取得要求への応答として、ストレージ34から当該サムネイルデータを読み出し、NIC32を介して、端末装置300に送出する(S5)。
【0090】
このようにして、画像処理装置100の本体部110が受信したファクシミリ信号に基づく画像データは、一旦、ネットワーク部130のストレージ34に格納されたのち、画像処理IC20によって画像処理が施される。
【0091】
この画像処理によって得られたサムネイルデータは、ストレージ34に書き戻され、LAN600を介して、当該サムネイルデータを要求する端末装置300等の外部機器に送信される。
【0092】
なお、図4では、ファクシミリ通信により得られた画像のサムネイルをLAN600経由で外部の機器に送信する処理の流れを示している。しかし、画像処理装置100は、スキャナ17によって取得された画像についても同様に、そのサムネイルが生成し、LAN600経由で外部の機器に送信することができる。
【0093】
また、画像データのストレージ34からの読み出し(S3)、および、当該画像データに基づくサムネイルのストレージ34の書き戻し(S4)は、端末装置300等の外部機器からの要求を待たずに行なってもよい。
【0094】
この場合、例えば、第二MPU30が、本体部110により生成された画像データがストレージ34に格納されたことを確認した後で、当該画像データに基づくサムネイルの生成を画像処理IC20に指示すればよい。これにより、当該画像データに対応するサムネイルデータが生成され、ストレージ34に格納される。
【0095】
その後、端末装置300等の外部機器からの当該サムネイルデータの取得要求を、第二MPU30が受け取った場合、その応答として、既にストレージ34に記憶されている当該サムネイルデータを当該外部機器を宛先として送信する。
【0096】
次に、画像処理装置100が、取得した画像のサムネイルを本体部110の操作パネル15に表示させる際の処理の流れを、図5を用いて説明する。
【0097】
図5は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置100の処理の流れの第二の例を示す図である。
【0098】
なお、図5は、具体的には、画像処理装置100が、ファクシミリ受信により得られた画像のサムネイルを、操作パネル15に表示させる際の情報の流れを示している。
【0099】
図5に示すように、NCU14によるファクシミリ信号の受信の受信(S11)から、当該ファクシミリ信号に基づく画像データのストレージ34への転送(S12)までは、図4に示す処理(S1およびS2)の流れと同じである。
【0100】
その後、第一MPU10は、例えばユーザによる操作パネル15からのサムネイルの表示の要求に応じ、ストレージ34に格納された画像データに対する画像処理の指示を画像処理IC20に行う。
【0101】
この指示により、当該画像データはストレージ34から読み出され、PCIバス140を介して画像処理IC20に取得される(S13)。
【0102】
画像処理IC20は、取得した画像データにおける画像の解像度を変更することでサムネイルデータを生成する。
【0103】
なお、このとき生成するサムネイルデータの画像サイズ等については、ユーザにより操作パネル15から入力される設定値が用いられる。
【0104】
第一MPU10は、この設定値を受け取り、PCIバス140を介して画像処理IC20に送信する。送信された設定値は画像処理IC20が有するレジスタに書き込まれる。画像処理IC20は、レジスタに書き込まれた設定値に従ってサムネイルデータを生成する。
【0105】
画像処理IC20により生成されたサムネイルデータは、ストレージ34に書き戻される(S14)。
【0106】
その後、第一MPU10は、ユーザからのサムネイルの表示の要求への応答として、PCIバス140を介してストレージ34から当該サムネイルデータを取得し、操作パネル15に当該サムネイルデータに示される画像を表示させる(S15)。
【0107】
このようにして、画像処理装置100の本体部110が受信したファクシミリ信号に基づく画像データは、一旦、ネットワーク部130のストレージ34に格納されたのち、画像処理IC20によって画像処理が施される。
【0108】
この画像処理によって得られたサムネイルデータは、ストレージ34に書き戻され、PCIバス140を介して本体部110に取得され、操作パネル15に表示される。
【0109】
なお、図5では、ファクシミリ通信により得られた画像のサムネイルを操作パネル15に表示させる際の処理の流れを示している。しかし、画像処理装置100は、スキャナ17によって取得された画像も同様に、そのサムネイルが生成し、操作パネル15に表示させることができる。
【0110】
また、画像データのストレージ34からの読み出し(S13)、および、当該画像データに基づくサムネイルのストレージ34の書き戻し(S14)は、ユーザからのサムネイルの表示の要求を待たずに行ってもよい。
【0111】
この場合、例えば、第一MPU10が、SDRAM12から画像データがストレージ34に転送されたことを確認した後で、当該画像データに基づくサムネイルの生成を画像処理IC20に指示すればよい。これにより、当該画像データに対応するサムネイルデータが生成され、ストレージ34に格納される。
【0112】
その後、操作パネル15からのサムネイルの表示の要求を、第一MPU10が受け取った場合、その応答として、既にストレージ34に記憶されている当該サムネイルデータを取得し操作パネル15に表示させる。
【0113】
このように、本実施の形態に係る画像処理装置100において、本体部110とネットワーク部130とはPCIバス140で接続され、かつ、そのPCIバス140に画像処理部121が接続されている。
【0114】
そのため、本体部110およびネットワーク部130の相互間でのアクセスが容易であることに加え、本体部110およびネットワーク部130の双方から画像処理部121へ容易にアクセスできる。
【0115】
その結果、画像処理部121により得られるサムネイルを、本体部で表示することが容易であり、かつ、当該サムネイルを、外部ネットワークを介して接続された他の機器で表示させることが容易である。
【0116】
図6は、本発明の実施の形態の画像処理装置100が、操作パネル15および端末装置300の双方にサムネイルを表示させている状態を示す図である。
【0117】
例えば、図6に示すように、相手画像処理装置200から複数の書類がファクシミリ通信により画像処理装置100に送信された場合を想定する。
【0118】
この場合、上述のように、画像処理部121は、これら書類の内容を示す画像データからこれらそれぞれの書類に対応するサムネイルを生成する。
【0119】
画像処理部121により生成されたサムネイルは、ユーザの画像処理装置100に対する所定の操作により、画像処理装置100に備えられた操作パネル15に表示される。
【0120】
また、例えば、ユーザの端末装置300に対する所定の操作により、端末装置300が有するディスプレイパネルにこれらサムネイルが表示される。
【0121】
これにより、ユーザは、画像処理装置100がファクシミリ通信により得た書類の内容を、例えばプリントアウトする前に、操作パネル15または端末装置300で確認することができる。
【0122】
このような画像の確認は、スキャナ17によって取り込まれた画像についても当然に可能である。
【0123】
また、画像処理装置100では、画像処理部121を本体部110とネットワーク部130とで共用させる構成が採用されている。そのため、従来のネットワーク複合機と比べると、回路規模を小さくすることができる。その結果、部品コストの低減および装置のコンパクト化が図られる。
【0124】
また、上述のように、画像処理部121は、本体部110およびネットワーク部130から独立した基板120に配置されている。
【0125】
従って、例えば、画像処理部121を必要とせず、単にネットワークインタフェースのみが必要な複合機の設計および製造する場合、画像処理装置100の主要な構成をそのまま流用できる。
【0126】
図7は、本実施の形態に係る、本体部110、ネットワーク部130、および画像処理部121の接続形態を示す図である。
【0127】
図8は、本実施の形態に係る、本体部110およびネットワーク部130の接続形態の一例を示す図である。
【0128】
例えば図7に示すように、本体部110と、ネットワーク部130とは、物理的には、画像処理部121が配置された基板120を介して接続される。
【0129】
また、このような接続を行うために、本体部110、基板120、およびネットワーク部130のそれぞれはコネクタを有している。
【0130】
具体的には、本体部110は、コネクタ150を有し、基板120は、コネクタ151およびコネクタ152を有し、ネットワーク部130は、コネクタ153を有する。
【0131】
これらコネクタ間を例えばケーブルで接続することで、本体部110、ネットワーク部130、および画像処理部121は、図7に示すように接続される。
【0132】
また、図7に示す画像処理装置100から、基板120を取り外し、本体部110のコネクタ150と、ネットワーク部130のコネクタ153とをケーブルで接続する。これにより、図8に示すように、画像処理部121を有しない画像処理装置101が構成される。
【0133】
つまり、画像処理装置100から、画像処理部121を有する基板120を取り外した場合でも、容易に、本体部110とネットワーク部130とをPCIバス140で接続できる。つまり、外部ネットワークとの通信機能を有する画像処理装置101の構成が容易に構築できる。
【0134】
従って、サムネイルの生成等の副次的な画像処理が不要であり、単にネットワークインタフェースのみが必要な複合機を設計する場合、当該複合機の構成を、画像処理装置100の構成から容易に設計することができる。
【0135】
また、ネットワークインタフェースのみが必要な複合機に、本実施の形態に係るネットワーク部130を流用することもできる。
【0136】
また、画像処理部121を有する複合機と、画像処理部121を有しない複合機とで、部品等の共通化も図られ、かつ、基板120の分だけ内部の消費スペースが削減される。その結果、画像処理部121を有しない複合機についての設計および製造コストを抑制することができる。
【0137】
以上、本発明の一態様に係る画像処理装置について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0138】
例えば、本実施の形態に係る画像処理装置100は、プリンタ機能(プリンタ18)を有していたが、画像処理装置100は、必ずしもプリンタ機能を有する必要はない。画像処理装置100は、プリンタ機能を有しない場合であっても、画像処理装置100が取得した画像を、本体部110、およびLAN600を介して接続された他の機器の双方で表示させるための処理を、効率よく行うという効果を奏する。
【0139】
また、例えば、本体部110とネットワーク部130とを接続するバスは、PCIバス140等の汎用バスで接続されていればよく、特定の種類のバスに限定されることはない。
【0140】
また、例えば、サムネイルデータが格納されるストレージ34は、ネットワーク部130ではなく、本体部110また画像処理IC20が実装された基板120が有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、取得した画像を、本体部および外部ネットワークを介して接続された他の機器の双方で表示させるための処理を、効率よく行う画像処理装置を提供することができる。従って、本発明は、特に、ファクシミリ通信機能およびネットワーク通信機能等を備えるネットワーク複合機等として有用である。
【符号の説明】
【0142】
10 第一MPU
11 ASIC
12 SDRAM
13 モデム
14 NCU
15 操作パネル
17 スキャナ
18 プリンタ
20 画像処理IC
30 第二MPU
32 NIC
33 RAM
34 ストレージ
100、101 画像処理装置
110 本体部
111 第一制御部
113 ファクシミリ部
115 表示部
117 スキャナ部
120 基板
121 画像処理部
130 ネットワーク部
131 第二制御部
132 インタフェース部
140 PCIバス
150、151、152、153 コネクタ
200 相手画像処理装置
300 端末装置
400 端末装置
500 PSTN
600 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に表された画像を読み取って画像データを生成するスキャナ部、受信したファクシミリ信号から画像データを生成するファクシミリ部、画像を表示する表示部、並びに、前記スキャナ部、前記ファクシミリ部および前記表示部を制御する第一制御部を有する本体部と、
外部ネットワークとの情報のやり取りを行うインタフェース部、および、前記インタフェース部を介した情報のやり取りを制御する第二制御部を有するネットワーク部と、
前記本体部および前記ネットワーク部を接続するバスと、
前記バスに接続され、前記第一制御部および前記第二制御部それぞれの要求に応じて、前記スキャナ部または前記ファクシミリ部により生成された画像データの処理を行う画像処理部とを備え、
前記表示部は、前記本体部が取得する、前記画像処理部による処理後の画像データに示される画像を表示し、
前記インタフェース部は、前記ネットワーク部が取得する、前記処理後の画像データを前記外部ネットワークに送信する
画像処理装置。
【請求項2】
さらに、前記本体部および前記ネットワーク部から独立した基板を備え、
前記画像処理部は、前記基板に配置されている
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記スキャナ部または前記ファクシミリ部により生成された画像データにおける画像の解像度を変換することで、前記処理後の画像データを生成する
請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記バスは、Peripheral Component Interconnectバスであり、前記第一制御部および前記第二制御部のそれぞれは、所定のアドレスを指定することで、前記画像処理部にアクセスする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ネットワーク部はさらに、前記スキャナ部または前記ファクシミリ部により生成された画像データを格納するストレージ部を有し、
前記画像処理部は、前記ストレージ部に格納されている画像データを読み出して処理することで前記処理後の画像データを生成し、生成した前記処理後の画像データを前記ストレージ部に書き戻す
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−124808(P2011−124808A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280968(P2009−280968)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】