説明

画像処理装置

【課題】削除可能な画像データを適切に選択して削除することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】複合機は、入力ジョブによって入力された画像データ(ファイル)を内部に保存すると共に、画像データに対する出力ジョブを行う。この入力ジョブの履歴情報と出力ジョブの履歴情報を、内部保存した画像データに関連付けて管理する。内部保存されている画像データの削除要求に対しては、画像データに関連付けて管理されているジョブ履歴情報に基づいて、画像データの削除の可否を判定し(ジョブ履歴チェック(S111))、判定結果に応じて削除確認の警告態様を変更したり、画像データの削除処理を切り替えたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存されている画像データの削除処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データを使用した処理を行う各種の画像処理装置では、装置内や装置に接続された外部記憶装置に保存されている画像データを削除しようとする際に、データ保護の観点から、他の記憶装置や紙媒体などに出力されていない画像データは削除せずに保護し、出力済みの画像データは削除しても差し支えないと判断して削除するといった削除処理を行っているものがある。
【0003】
たとえば、ユーザから装置内の記録媒体の画像データを削除する操作を受けたときに、その画像データが外部記憶装置に転送されていない場合は警告して保護し、転送済みの場合は警告せずに削除するようにした技術や(特許文献1参照)、装置本体に接続された外部記憶装置の残容量不足で新たな画像データを記憶できないときに、まだ印刷していない画像データは削除せずに保護して印刷済みの画像データを削除するようにした技術などがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−234606号公報
【特許文献2】特開2008−205731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術は何れも、画像データの削除の可否をデータ出力の有無によって判定し、出力済みであれば一律に削除するようにしている。しかし、保存されている画像データは必要に応じて再出力(再使用)される場合がある。また、外部端末や外部記憶装置などから入力された画像データは入力元に残っている可能性が高い。
【0006】
これに対し、出力済みの画像データを一律に削除するだけの処理では、出力済みであっても再出力される可能性の高い保護すべき画像データが削除されてしまったり、未出力であっても入力元に保存されている可能性の高い、削除しても差し支えない画像データが削除されずに無駄に残ってしまったりする問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、削除可能な画像データを適切に選択して削除することができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]画像データの入力部と、
前記入力部から入力された画像データを記憶する記憶部と、
画像データに対して出力処理を行う処理部と、
前記出力処理の履歴情報を画像データに関連付けて管理する履歴管理部と、
警告部と、
前記記憶部に記憶されている画像データの削除要求に対し、前記出力処理の履歴情報に基づいて、前記警告部による画像データの削除確認の警告態様を変更する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【0010】
上記発明では、入力された画像データを記憶し、画像データに対して出力処理を行う。出力処理は、たとえば、画像データの入力と一連で行う出力処理(入力同時出力)や、入力と一連ではなく、以前に入力されて記憶されている画像データに対して行う出力処理(再出力)などを含む。また、実行可能な出力処理の種類は、一種類のみでもよく、複数種類でもよい。複数種類の出力処理が実行可能な構成の場合は、異なる種類の出力処理を一連で行うことも可能である。
【0011】
出力処理を行った画像データに対しては、出力処理の履歴情報を画像データに関連付けて管理する。この履歴情報は、たとえば、上記の入力同時出力や再出力などの実行履歴を含むようにしてもよい。また、出力処理の実行日時を含むようにしてもよい。複数種類の出力処理が実行可能な構成の場合は、実行した出力処理の種類を含むようにしてもよい。
【0012】
記憶されている画像データの削除要求に対しては、画像データに関連付けて管理されている出力処理の履歴情報に基づいて、削除確認の警告態様を変更する。たとえば、再出力の履歴(有無)、あるいは、出力処理の実行日時や種類に基づいて、保存の必要性(削除の可否)を詳細に確認して判定することができ、この判定結果に応じて、削除確認の警告態様を的確(適宜)な態様に変更することができる。
【0013】
削除確認における警告態様の変更は、たとえば、警告の有無の変更、警告する場合の警告内容の変更などを含む。なお、警告しない場合でも削除確認自体は行う。警告内容の変更は、表示や音声などによるメッセージの変更、画像データの削除に対して外部保存を促すなどのアドバイスの変更などを含む。
【0014】
これにより、ユーザは削除可能な画像データを適切に選択して削除することができる。
【0015】
[2]前記履歴管理部は、前記入力部での入力処理の履歴情報も画像データに関連付けて管理し、
前記制御部は、前記入力処理の履歴情報と前記出力処理の履歴情報に基づいて、前記削除確認の警告態様を変更する
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0016】
上記発明では、入力されて記憶した画像データに、入力処理の履歴情報も関連付けて管理する。この履歴情報は、たとえば、入力処理の種類などを含む。また、入力処理の実行日時を含むようにしてもよい。
【0017】
記憶されている画像データの削除要求に対しては、入力処理の履歴情報と出力処理の履歴情報に基づいて、削除確認の警告態様を変更する。このように入力処理の履歴情報も加味することで、画像データの保存の必要性をより詳細に確認して判定することができ、この判定結果に応じて、削除確認の警告態様をより的確な態様に変更することができる。
【0018】
[3]画像データの入力部と、
前記入力部から入力された画像データを記憶する記憶部と、
前記入力部での入力処理の履歴情報を画像データに関連付けて管理する履歴管理部と、
前記記憶部に記憶されている画像データの削除要求に対し、前記入力処理の履歴情報に基づいて、画像データの削除処理を切り替える制御部と、
を備えた画像処理装置。
【0019】
上記発明では、入力された画像データを記憶すると共に、入力処理の履歴情報を画像データに関連付けて管理する。記憶されている画像データの削除要求に対しては、画像データに関連付けて管理されている入力処理の履歴情報に基づいて、画像データの削除処理を切り替える。たとえば、入力処理の実行日時や種類などに基づいて、保存の必要性を詳細に確認して判定することができ、この判定結果に応じて、画像データの削除処理を的確(適宜)な処理に切り替えることができる。
【0020】
画像データの削除処理の切り替えは、たとえば、削除処理の実行/非実行の切り替え、削除処理を実行する場合の処理内容の変更などを含む。処理内容の変更は、データ削除前の外部保存の実行/非実行の切り替えなどを含む。データ削除に関する報知を行う場合には、処理内容の変更にその報知の変更を含ませるようにしてもよい。報知の変更は、たとえば、データ削除に対する確認や警告の有無の変更、確認や警告を行う場合のその確認内容や警告内容の変更などを含む。
【0021】
これにより、削除可能な画像データを適切に選択して削除することができる。
【0022】
[4]画像データに対して出力処理を行う処理部を備え、
前記履歴管理部は、前記出力部での出力処理の履歴情報も画像データに関連付けて管理し、
前記制御部は、前記入力処理の履歴情報と前記出力処理の履歴情報に基づいて、前記削除処理を切り替える
ことを特徴とする[3]に記載の画像処理装置。
【0023】
上記発明では、出力処理を行った画像データに対しては、出力処理の履歴情報も画像データに関連付けて管理する。この履歴情報は、たとえば、入力同時出力や再出力などの実行履歴を含むようにしてもよい。また、出力処理の実行日時や種類などを含むようにしてもよい。
【0024】
記憶されている画像データの削除要求に対しては、入力処理の履歴情報と出力処理の履歴情報に基づいて、画像データの削除処理を切り替える。このように出力処理の履歴情報も加味することで、画像データの保存の必要性をより詳細に確認して判定することができ、この判定結果に応じて、削除処理をより的確な処理に切り替えることができる。
【0025】
[5]前記制御部は、前記削除要求に対し、前記記憶部に記憶されている画像データが、前記関連付けされている履歴情報に基づいて所定の要保存条件に該当するか否かを判断し、該当する画像データに対しては、削除前に外部保存可能な出力処理を実行することを促す報知を行う
ことを特徴とする[1]、[2]、[4]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0026】
上記発明では、記憶されている画像データの削除要求に対し、履歴情報(入力処理および出力処理の少なくとも一方の履歴情報)に基づいて、画像データが所定の要保存条件に該当するか否かを判断する。所定の要保存条件は、当該画像データの保存の必要性を示す条件である。たとえば、画像データが再出力されていることを示す条件、画像データが外部保存されていない可能性があることを示す条件などである。
【0027】
この条件に該当する画像データに対しては、削除前に外部保存可能な出力処理を実行することを促す報知を行う。外部保存可能な出力処理は、たとえば、外部記憶装置や紙媒体などに画像データを出力する処理を含む。ユーザはこの報知を受けて、外部保存の必要性がある画像データを確認できると共に、その画像データは削除する前に外部保存した方がよいことを認識できる。これにより、外部保存の必要性がある画像データが外部保存されずに不用意に削除されることを防止できる。
【0028】
[6]前記制御部は、前記外部保存可能な出力処理として複数種類の出力処理が実行可能である場合は、その複数種類の出力処理が実行可能であることを報知する
ことを特徴とする[5]に記載の画像処理装置。
【0029】
上記発明では、外部保存可能な複数種類の出力処理の中から任意の出力処理(一部または全部)を実行することができる。これにより、外部保存する画像データの保存形態の選択肢が広がって利便性が向上する。
【0030】
[7]表示部と、操作部とを備え、
前記制御部は、前記関連付けされている履歴情報に基づいて画像データの削除の可否を判定し、前記記憶部に記憶されている画像データを前記表示部に一覧表示する際に前記判定結果も併せて表示し、前記操作部を通じて削除対象となる画像データの選択操作を受け付ける
ことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0031】
上記発明では、履歴情報に基づいて画像データの削除の可否を判定し、記憶されている画像データの一覧表示では判定結果も併せて表示することにより、ユーザは一覧表示された個々の画像データの削除の可否(必要性の有無)を容易に識別(把握)できるようになる。ユーザは、この判定結果から把握した必要性の有無に基づいて、削除対象とする画像データを適切に選択し削除することができる。
【0032】
[8]前記制御部は、予め設定されている実行条件を満足した場合に自動的に生成される前記削除要求に対し、前記記憶部に記憶されている画像データのうちで所定の自動削除条件に該当する画像データを削除対象にすると共に、その削除対象となる画像データに対する前記所定の自動削除条件をその画像データに関連付けされている履歴情報に基づいて変更する
ことを特徴とする請求項[1]〜[7]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0033】
上記発明では、予め設定されている実行条件を満足すると自動的に生成される削除要求に対し、記憶されている画像データのうちで所定の自動削除条件に該当する画像データを削除対象にする。また、その削除対象となる画像データに対する所定の自動削除条件は、その画像データに関連付けされている履歴情報に基づいて変更する。
【0034】
たとえば、履歴情報に基づいて保存の必要性があると判定した画像データに対しては、自動削除条件を緩和化したり厳格化したりするなどの変更を行う。画像データの自動削除では、このような自動削除条件の変更を行うことにより、削除可能な画像データを適切に選択して自動削除することができる。
【0035】
[9]前記所定の自動削除条件は、前記画像データの保存期間が所定の保存期間を経過している条件であり、
前記制御部は、前記所定の自動削除条件の変更では、前記所定の保存期間を変更する
ことを特徴とする[8]に記載の画像処理装置。
【0036】
上記発明では、画像データが所定の保存期間を経過すると自動削除される場合に、削除対象となった画像データに対する所定の保存期間はその画像データに関連付けられている履歴情報に基づいて変更される。たとえば、履歴情報に基づいて保存の必要性が高いと判定された画像データに対しては保存期間が延長され、保存の必要性が低いと判定された画像データに対しては保存期間が短縮されるなどの変更が行われる。このような履歴情報に基づく保存期間の変更を行うことにより、削除可能な画像データを適切に選択して自動削除することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の画像処理装置によれば、削除可能な画像データを適切に選択して削除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る入力ジョブ同時動作組み合わせテーブルを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るジョブ履歴リストを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る履歴判断条件リストを示す図である。
【図5】複合機によるジョブ履歴登録の動作を示す流れ図である。
【図6】複合機による保存ファイル手動削除処理の動作のメインルーチンを示す流れ図である。
【図7】図6のメインルーチンにおけるジョブ履歴チェックのサブルーチンを示す流れ図である。
【図8】図7のサブルーチンにおけるジョブ履歴チェックの第2フェーズのサブルーチンを示す流れ図である。
【図9】複合機の表示部に表示される保存ファイル削除画面(保存ファイル一覧表示)の一例を示す図である。
【図10】図9の保存ファイル削除画面でファイルが選択されずに削除指示を受けて削除確認ウィンドウがポップアップ表示された状態を示す図である。
【図11】図9の保存ファイル削除画面で警告マーク非表示のファイルが選択された状態を示す図である。
【図12】図11のファイル選択状態から削除指示を受けて削除確認ウィンドウがポップアップ表示された状態を示す図である。
【図13】図9の保存ファイル削除画面で警告マーク表示のファイルが選択された状態を示す図である。
【図14】図13のファイル選択状態から削除指示を受けて、実行可能なジョブが1種類のみである場合の削除確認ウィンドウがポップアップ表示された状態を示す図である。
【図15】図13のファイル選択状態から削除指示を受けて、実行可能なジョブが複数種類ある場合の削除確認ウィンドウがポップアップ表示された状態を示す図である。
【図16】図15の削除確認ウィンドウでジョブ実行後の削除指示を受けてジョブ選択メニューウィンドウがポップアップ表示された状態を示す図である。
【図17】複合機による保存ファイル自動削除処理の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての複合機10の概略構成を示すブロック図である。
【0041】
複合機10は、原稿画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末やサーバなどへ送信したりするスキャン機能、外部端末から受信したプリントデータに係る画像や当該複合機10に保存されている画像データ(ファイル)に係る画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、公衆回線を通じて画像データを送受信するファクシミリ機能、ネットワークを通じて画像データを送受信するネットワーク機能(ファイル送受信機能)、入力された画像データを保存する保存機能などを備えている。
【0042】
また複合機10は、上記の機能によって画像データに対する各種処理のジョブを実行する機能、ユーザからジョブの設定および実行指示の操作を受け付ける機能、実行したジョブの履歴を画像データに関連付けて管理する機能、保存されている画像データの削除要求に対し、ジョブの履歴に基づいて、画像データの削除確認の警告態様を変更したり、画像データの削除処理を切り替えたりする機能を備えている。
【0043】
複合機10は、制御部11にROM12(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、操作部15と、ファクシミリ通信部16と、ネットワーク通信部17と、接続部18と、画像読込部19と、画像形成部20と、画像データ記憶部21などが接続されて構成されている。画像データ記憶部21の配下にはジョブ履歴管理部22が接続されている。
【0044】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、ROM12に格納されているプログラムに従って複合機10の動作を制御する。ROM12は、各種プログラムや固定データなどを格納している。RAM13は、制御部11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。
【0045】
表示部14は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面、保存ファイル削除画面(削除確認/警告画面)などの各種の画面を表示する。操作部15は、モード選択ボタン、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0046】
ファクシミリ通信部16は、ファクシミリ機能を備えた外部機器と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部17は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて外部端末やサーバなどと通信を行う。接続部18は、USB(Universal Serial Bus)メモリや各種カード型メモリなどの携帯型記憶装置、光磁気記憶装置やハードディスク装置などのディスク型記憶装置といった外部記憶装置が接続される。
【0047】
画像読込部19は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。画像読込部19は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0048】
画像形成部20は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。画像形成部20は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0049】
画像データ記憶部21は、不揮発メモリまたはハードディスク装置などで構成され、複合機10に入力された画像データを記憶・保存する。画像データ記憶部21に保存される画像データは、原稿のスキャンやコピーにおいて原稿を読み取って取得された画像データ、外部端末から受信したプリントデータ(画像データ)、ネットワーク受信した画像データ、ファクシミリ受信した画像データ、接続部18に接続された外部記憶装置から入力された画像データなどである。
【0050】
ジョブ履歴管理部22は、画像データ記憶部21に保存されている画像データの削除の可否を判定するために使用されるジョブの履歴情報が登録されたジョブ履歴リスト(図3参照)を記憶・管理する。ジョブの履歴情報は、画像データに対するジョブの履歴(動作履歴)を示す情報である。ジョブ履歴リストは、画像データ記憶部21に保存されている画像データに関連付けられて管理される。
【0051】
画像データ記憶部21に保存されている画像データの削除可否判定は、以下では「ジョブ履歴チェック」とも呼ぶ。本実施形態では、ジョブ履歴チェックを2つのフェーズで行うようになっている。第1フェーズは、上記のジョブ履歴リストと図2に示すテーブルを使用して行う。第1フェーズのチェックで第2フェーズを実施するか否かが決定し、第2フェーズを実施する場合は、上記のジョブ履歴リストと図4に示すリストを使用して行うようになっている。
【0052】
図2は、ジョブ履歴チェックの第1フェーズで使用される入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル30を示す図である。入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル30は、ROM12または図示しない不揮発メモリなどに記憶されている。
【0053】
複合機10による画像データに対するジョブは、画像データの入力処理を行う入力ジョブと、画像データの出力処理を行う出力ジョブに分類することができる。これらのジョブは、入力ジョブと出力ジョブが一連の動作(同時動作)で実行される場合と、出力ジョブのみの動作で実行される場合がある。
【0054】
入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル30は、入力ジョブと出力ジョブの同時動作の組み合わせをマトリックスにし、各組み合わせにおける画像データの削除可否判定情報を格納したテーブルである。
【0055】
本例では、入力ジョブは、1:スキャン入力、2:プリントデータ受信、3:ネットワーク受信、4:ファクシミリ受信、5:外部記憶となっている。「外部記憶」は、外部記憶装置からの画像データの入力処理を行うジョブを指す。
【0056】
出力ジョブは、A:表示、B:印刷、C:ファクシミリ送信、D:ネットワーク送信、E:外部記憶保存、F:内部保存となっている。「表示」は、入力された画像データに基づく画像を表示部14にモニタ表示する出力処理を行うジョブを指す。「外部記憶保存」は、入力された画像データを複合機10に接続された外部記憶装置に保存する出力処理を行うジョブを指す。「内部保存」は、入力された画像データを複合機10内の画像データ記憶部21に保存する出力処理(内部出力処理)を行うジョブを指す。
【0057】
出力ジョブは、1種類の入力ジョブに対して1種類以上が組み合わせ可能である。すなわち、1つの入力ジョブに対して、1つまたは複数の出力ジョブを組み合わせて同時に行うことができる。
【0058】
たとえば、スキャン入力と表示の組み合わせは、画像読込部19からスキャン入力された原稿の画像データに基づく画像を表示部14に表示するモニタ表示動作となる。スキャン入力と印刷の組み合わせは、同様のスキャン入力による画像データに基づく画像を、画像形成部20により記録紙に印刷して出力する通常のコピー動作となる。スキャン入力とファクシミリ送信の組み合わせは、同様のスキャン入力による画像データを、ファクシミリ通信部16から公衆回線を通じて外部機器へ送信する通常のファクシミリ送信動作となる。スキャン入力とネットワーク送信の組み合わせは、同様のスキャン入力による画像データを、ネットワーク通信部17からネットワークを通じて外部端末やサーバなどへ送信するネットワーク送信動作(ファイル送信動作)となる。スキャン入力と外部記憶保存の組み合わせは、同様のスキャン入力による画像データを、接続部18に接続された外部記憶装置に出力して保存する外部記憶保存動作となる。スキャン入力と内部保存の組み合わせは、同様のスキャン入力による画像データを、複合機10内の画像データ記憶部21に保存する内部保存動作となる(BOX保存)。
【0059】
スキャン入力では、1回の入力ジョブに対してこれらの出力ジョブの1つ以上を組み合わせた同時動作が可能である。詳細な説明は省略するが、他の入力ジョブも同様に、1回の入力ジョブに対して上記の出力ジョブの1つ以上を組み合わせた同時動作が可能である。
【0060】
ただし、本実施形態で削除可否判定(ジョブ履歴チェック)の対象となるのは、画像データ記憶部21に保存されている画像データである。すなわち、入力と同時に少なくとも内部保存された画像データである。
【0061】
たとえば、スキャン入力と印刷の組み合わせによるコピー動作で、同時に内部保存が実行されなかった画像データは、スキャン入力でRAM13の画像メモリ領域に保持され、印刷出力後に自動削除される。同時に内部保存が実行された画像データは、スキャン入力でRAM13の画像メモリ領域に一旦保持された後に、画像データ記憶部21に転送されて保存される。
【0062】
このように、入力と同時に画像データ記憶部21に保存されず、出力処理後に自動削除された画像データは、削除可否判定の対象外となる。入力と同時に画像データ記憶部21に保存された画像データのみが、削除可否判定の対象となる。入力された画像データを内部保存するか否かは、装置設定やユーザによるジョブの設定などによって切り替えられるようになっている。
【0063】
判定情報は、「OK」と「警告」の2種類であり、入力ジョブと出力ジョブの各組み合わせに対していずれか一方が割り当てられている。「OK」は、画像データを削除しても差し支えない、削除可能の判定を示す情報である。「警告」は、画像データを削除すると支障が出る可能性がある(画像データの削除に注意が必要である)、即削除不可の判定を示す情報である。
【0064】
各組み合わせに対する「OK」と「警告」の割り当ては、削除対象となる画像データが外部に保存されているか否かを基準にしている(外部保存の有無)。詳細には、削除対象となる画像データまたはその画像が出力先(データ送信先)の記憶装置や紙媒体など、あるいは、複合機10を使用するユーザの手元に保存(保管)されているか否かを基準にしている(データ保管性)。
【0065】
具体的には、印刷と、ファクシミリ送信と、ネットワーク送信と、外部記憶保存とは、出力された画像データまたはその画像が外部に保存される出力形態であり、これらに対しては「OK」を割り当てている。内部保存は、出力された画像データが複合機10の内部に保存されて外部には保存されない出力形態であり、「警告」を割り当てている。
【0066】
表示では、スキャン入力と、ネットワーク受信と、ファクシミリ受信には「警告」を割り当て、プリントデータ受信と外部記憶には「OK」を割り当てている。スキャン入力は、原稿画像をデータ化する必要性があって行われるものであり、原稿の画像データが編集や加工によって元の原稿画像とは異なった状態になっている可能性があることなど考慮し、本例では「警告」を割り当てている。プリントデータ受信は、送信元の外部端末(ユーザの手元)に画像データが保存されている可能性が高いことを考慮し、本例では「OK」を割り当てている。ネットワーク受信とファクシミリ受信は、送信元の外部機器が遠隔地に存在する可能性が高く、複合機10を使用するユーザの手元に画像データが残らない可能性が高いことを考慮し、本例では「警告」を割り当てている。外部記憶は、入力元の外部記憶装置(ユーザの手元)に画像データが保存されている可能性が高いことを考慮し、本例では「OK」を割り当てている。
【0067】
上記2種類の判定情報の割り当ては、たとえば、複合機10の製造メーカーが削除対象となる画像データの外部保存の有無を基準(目安)にして行った一例である。判定情報の割り当て方は本例に限らず、他の基準に基づいて適宜変更してもよい。
【0068】
図3は、ジョブ履歴管理部22が記憶・管理するジョブ履歴リスト40の一例を示す図である。ジョブ履歴リスト40は、前述したように、画像データ記憶部21に保存されている画像データの削除可否判定に使用されるものであり、保存されている画像データに関連付けられている。詳細には、1つの画像データが画像データ記憶部21に記憶される際に、ジョブ履歴管理部22がその画像データに対する1つのジョブ履歴リスト40を生成して記憶し、その画像データに関連付けて管理する。
【0069】
このジョブ履歴リスト40は、内部保存した画像データ毎に作成される画像データ専用のジョブ履歴リストである。複合機10は、このジョブ履歴リスト40とは別に、実行したジョブ毎の履歴を記憶・管理するための通常のジョブ履歴リストも備えている。
【0070】
ジョブ履歴リスト40には、本リストで履歴を管理するジョブの識別番号となる履歴番号と、本リストとは別管理されるジョブ毎の履歴リスト(通常のジョブ履歴リスト)にて付与されたジョブの識別番号である管理ジョブ番号と、ジョブの実行日と、入力ジョブの種類と、出力ジョブの種類と、入力ジョブ同時処理フラグとがジョブ単位で対応付けて記憶される。ここでのジョブ単位とは、出力ジョブの単位である。
【0071】
入力ジョブ同時処理フラグは、出力ジョブが入力ジョブと同時に処理されたか否かを示すフラグである。フラグOnは、同時処理ありを示す。フラグOffは、同時処理なしを示す。具体的には、フラグOnは、画像データが入力されたときに実行された初回の入力および出力ジョブ(入出力ジョブ)であることを示す。フラグOffは、保存されている画像データが出力されたときに実行された2回目以降の出力ジョブ(再出力ジョブ)であることを示す。
【0072】
また履歴番号は、初回の入出力ジョブが実行されるとそのジョブに対して番号「1」〜が付与され、再出力ジョブが実行される度に、新しいジョブから順番に番号「1」から振り直される。
【0073】
本例のジョブ履歴リスト40では、履歴番号3〜5のジョブが初回の入出力ジョブである。管理ジョブ番号は同一の「102」が登録されており、実行日は同一の「2008/10/07」が登録されている。入力ジョブの種類は、ファクシミリ受信が登録されている。入力ジョブと同時処理の出力ジョブは、内部保存(履歴番号3)、ネットワーク送信(履歴番号4)、印刷(履歴番号5)の3種類が登録されている。この入出力ジョブに対しては、入力ジョブ同時処理フラグは「On」が登録される。この入出力ジョブの履歴は、ファクシミリ受信した画像データに対して、画像データ記憶部21への保存と、ネットワーク送信と、印刷の各出力処理が行われたことを示している。
【0074】
上記のジョブ履歴情報を登録した本リストは、入出力ジョブによる画像データの内部保存に伴い生成・記憶され、内部保存された画像データに関連付けられて管理される。なお、本リストの生成時には、上記の初回の入出力ジョブに対する履歴番号は1〜3が登録されている。
【0075】
履歴番号2のジョブは、本リストが関連付けられている画像データに対する2回目の出力ジョブである。管理ジョブ番号は「147」が登録されており、実行日は「2008/10/15」が登録されている。入力ジョブは実行されていないため未登録であり、出力ジョブは印刷が登録されている。
【0076】
履歴番号1のジョブは、本リストが関連付けられている画像データに対する3回目の出力ジョブである。管理ジョブ番号は「163」が登録されており、実行日は「2008/11/29」が登録されている。入力ジョブは実行されていないため未登録であり、出力ジョブは印刷が登録されている。
【0077】
再出力ジョブに対しては、入力ジョブ同時処理フラグは「Off」が登録される。この2つの再出力ジョブの履歴は、本リストに対応する画像データが入力・保存された後に、印刷による2回の再出力処理が行われたことを示している。
【0078】
画像データ記憶部21に保存されている画像データに対するジョブの履歴情報は、このジョブ履歴リスト40によって管理される。また、ジョブ履歴リスト40において入力ジョブ同時処理フラグがOnにされる入出力ジョブは、図2で説明した入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル30によるジョブ履歴チェックの第1フェーズのチェック対象(判定対象)になる。この第1フェーズのチェック結果で、第2フェーズを行うか否かが決定される(詳細は後述)。
【0079】
図4は、ジョブ履歴チェックの第2フェーズで使用される履歴判断条件リスト50を示す図である。履歴判断条件リスト50は、ROM12または図示しない不揮発メモリなどに記憶されている。
【0080】
履歴判断条件リスト50は、ジョブ履歴リスト40を予め設定した条件(履歴チェック条件)に照らし合わせて、図2で説明した「OK」および「警告」と同じ内容(意味)の判定を行うためのリストであり、その判定を行うための情報を格納したリストである。
【0081】
本例の履歴判断条件リスト50には、4つの履歴チェック条件と、その判断優先順位と、判定情報とが履歴チェック条件毎に対応付けて格納されている。
【0082】
判断優先順位が第1位の履歴チェック条件は、ジョブを最後に実行した時点から所定日数が経過していることであり、判定情報は「OK」が割り当てられている。ここでは、最後のジョブ実行から所定日数が経過している、長期間使用されずに保存されている画像データ(ファイル)は不要である可能性が高く、削除可能であるとの考えに基づいて「OK」としている。
【0083】
第2位の履歴チェック条件は、入力ジョブ同時処理フラグがOffの出力ジョブがあることであり、判定情報は「警告」が割り当てられている。ここでは、上記のフラグOffは再出力されたことを示すもので、再出力された画像データは必要である可能性が高く、即削除不可であるとの考えに基づいて「警告」としている。
【0084】
第3位の履歴チェック条件は、出力ジョブが「A:表示」と「F:内部保存」のみであることであり、判定情報は「警告」が割り当てられている。ここでは、画像データはモニタ表示と内部保存のみで外部未保存状態であり、外部保存の必要性が高く、即削除不可であるとの考えに基づいて「警告」としている。
【0085】
第4位の履歴チェック条件は、「A:表示」と「F:内部保存」を除いた1つ以上の出力ジョブがあることであり、判定情報は「OK」が割り当てられている。ここでは、画像データは外部に出力されて外部保存済状態であり、削除可能であるとの考えに基づいて「OK」としている。
【0086】
上記の各条件や判断優先順位は、たとえば、複合機10の製造メーカーが任意に決めたり主観的な重要度に基づいて決めたりした一例である。条件の内容、数、優先順位などは本例に限らず、他の基準に基づいて適宜変更してもよい。
【0087】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0088】
図5は、複合機10によるジョブ履歴登録の動作を示す流れ図である。ここでは、入力された画像データを内部保存するように設定されているものとして説明する。内部保存の設定は、装置設定やユーザによるジョブの設定などによる。また、複合機10が各種のジョブで扱う画像データは、画像データを含むファイルとして説明する。
【0089】
複合機10は、ジョブの投入を受けると本動作を開始する(Start)。ジョブの投入は、ユーザによるジョブの設定およびスタートボタンの押下操作による実行指示、プリントデータ受信、ネットワーク受信、ファクシミリ受信のいずれかによって行われる。複合機10の制御部11は、ジョブが投入されると(ステップS101)、投入されたジョブの内容を解析する(ステップS102)。
【0090】
投入されるジョブは、図2で説明したように、入力ジョブと出力ジョブが一連の動作で実行される場合と(入出力ジョブ)、出力ジョブのみの動作で実行される場合がある(再出力ジョブ)。制御部11は、投入ジョブの内容解析で、ジョブに含まれている処理(入力/出力処理)の種類および内容(処理条件)と、ジョブに必要なファイル(画像データ)があるか否かなどを解析して認識する。
【0091】
ジョブに必要なファイルがない場合は(ステップS103;No)、制御部11はファイルを新規作成して画像データ記憶部21に保存する(ステップS104)。ファイルを新規作成するのは、たとえば、スキャン入力やファクシミリ受信などである。スキャン入力では、原稿画像をスキャンして画像データを入力し、その画像データ(スキャンデータ)を含むファイルを新たに作成する。ファクシミリ受信では、ファクシミリ画像の画像データを受信し、その画像データ(ファクシミリデータ)を含むファイルを新たに作成する。また、新規作成したファイルには、ファイル名を付ける。ファイル名は、たとえば、「Copy」、「Print」、「Fax」などの処理の種類を示す名称である。
【0092】
ジョブ履歴管理部22は、画像データ記憶部21に新たに保存されたファイルに対応するジョブ履歴リスト40を新規作成し、そのファイルに関連付けて記憶する(ステップS105)。制御部11は、そのファイルに対するジョブの処理を実行し(ステップS106)、ジョブ履歴管理部22は対応するジョブ履歴リスト40に処理結果となるジョブ履歴情報を登録する(ステップS107/図3参照)。
【0093】
ジョブに必要なファイルがある場合、すなわち、そのジョブの処理対象となるファイルが入力されたり画像データ記憶部21に既に保存されたりしている場合は(ステップS103;Yes)、制御部11はそのファイルに対するジョブの処理を実行し(ステップS106)、ジョブ履歴管理部22は対応するジョブ履歴リスト40に処理結果となるジョブ履歴情報を登録する(ステップS107)。
【0094】
投入ジョブに含まれている出力処理が1種類のみである場合は、ここで処理が完了する。投入ジョブに含まれている出力処理が複数種類である場合は、その複数種類の出力処理を実行可能な順番や所定の順番で実行することになり、ここでは1つの処理が完了したことになる。
【0095】
残っている処理がある場合は(ステップS108;Yes)、ステップS103へ戻り、その残っている処理の実行と(ステップS106)、その処理結果のジョブ履歴リスト40への登録とを(ステップS107)、全ての処理が完了するまで繰り返す。
【0096】
残っている処理がない場合は(ステップS108;No)、ジョブ履歴管理部22はジョブ履歴リスト40に全処理完了を登録する(ステップS109)。そして制御部11は、本動作を終了する(End)。
【0097】
複合機10は、このジョブ履歴登録の動作をジョブの投入を受けるたびに行う。新たなファイルを内部保存する入出力ジョブを実行した場合は、そのファイルに対応するジョブ履歴リストを新規作成し、入出力ジョブの処理結果を登録する。内部保存されているファイルを出力する再出力ジョブを実行した場合は、そのファイルに対応する既成のジョブ履歴リストに再出力ジョブの処理結果を追加登録する。この動作によって、たとえば、図3に示したようなジョブ履歴リスト40が作成される。
【0098】
複合機10では、画像データ記憶部21に保存ファイルが蓄積されると記憶容量不足に陥るため、不要なファイルは適宜削除する必要がある。この保存ファイルの削除は、ユーザ操作による手動削除と、所定の条件で自動的に実行する自動削除とがある。以下では、保存ファイルの手動削除と自動削除をその順に説明する。
【0099】
図6〜図8は、複合機10による保存ファイル手動削除処理の動作を示す流れ図である。詳細には、図6は本動作のメインルーチンを示す流れ図である。図7は、ジョブ履歴チェックのサブルーチンを示す流れ図であり、図8は、ジョブ履歴チェックの第2フェーズのサブルーチンを示す流れ図である。ここでは、図6〜図8の各ステップを流れに沿って説明する。また、図6のメインルーチンでは、複合機10の表示部14に図9〜図15に例示する保存ファイル削除画面60が表示されるが、この画面も交えながら説明する。
【0100】
複合機10の制御部11は、内部保存されているファイル(画像データ)の削除要求の操作(指示)をユーザから操作部15で受けると、図6に示すメインルーチンを開始し(Start)、ジョブ履歴チェックをサブルーチンで行う(ステップS111)。
【0101】
図7に示すサブルーチンでは、制御部11は、内部保存されている全てのファイルに対して、以下に説明するジョブ履歴チェックを行う。
【0102】
まず第1フェーズとして、図3で説明したジョブ履歴リスト40に対し、図2で説明した入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル30を使用してジョブ履歴チェックを行う(ステップS131)。詳細には、チェック対象となるファイルに関連付けられているジョブ履歴リスト40において、入力ジョブ同時処理フラグがOnになっている全てのジョブ履歴(入力ジョブと出力ジョブの組み合わせ)に対し、入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル30による「OK」または「警告」の判定を行う。
【0103】
図3の例では、入力ジョブ同時処理フラグがOnになっているのは履歴番号3〜5のジョブ履歴である。履歴番号3のジョブ履歴に対しては、ファクシミリ受信と内部保存の組み合わせであるため、「警告」の判定となる。履歴番号4のジョブ履歴に対しては、ファクシミリ受信とネットワーク送信の組み合わせであるため、「OK」の判定となる。履歴番号4のジョブ履歴に対しては、ファクシミリ受信と印刷の組み合わせであるため、「OK」の判定となる。
【0104】
このチェック結果が「警告」のみである場合は(ステップS132;No)、制御部11はチェックしたファイルの最終結果を「警告」に決定し(ステップS136)、そのファイルのジョブ履歴チェックの結果を「警告」に更新する(ステップS137)。
【0105】
チェック結果に少なくとも1つの「OK」がある場合は(ステップS132;Yes)、制御部11はジョブ履歴チェックの第2フェーズをサブルーチンで行う(ステップS133)。
【0106】
図3に例示したジョブ履歴リスト40の場合は、入力ジョブ同時処理フラグがOnになっているのは3つのジョブ履歴のチェック結果が1つの「警告」と2つの「OK」であるため、第2フェーズのジョブ履歴チェックを行うことになる。
【0107】
図8に示す第2フェーズのサブルーチンでは、制御部11は、ジョブ履歴リスト40に対し、図4で説明した履歴判断条件リスト50を使用してジョブ履歴チェックを行う。
【0108】
制御部11は、履歴判断条件リスト50から判断優先順位が1位の履歴チェック条件を取得し(ステップS141)、ジョブ履歴リスト40をその取得条件でチェックする(ステップS142)。ジョブ履歴リスト40の内容が取得条件に該当する場合は(ステップS143;Yes)、制御部11はその条件の判定(「OK」または「警告」)を第2フェーズのチェック結果に決定し(ステップS146)、本サブルーチンを終了して図7のサブルーチンへ戻る(Return)。
【0109】
ジョブ履歴リスト40の内容が取得条件に該当しない場合は(ステップS143;No)、制御部11は履歴判断条件リスト50に次の判断優先順位の履歴チェック条件があるか否かを確認する(ステップS144)。次の履歴チェック条件がある場合は(ステップS144;Yes)、制御部11は、履歴判断条件リスト50からその履歴チェック条件を取得し(ステップS145)、ステップS142へ戻って以降のステップを同様に繰り返す。次の履歴チェック条件がない場合は(ステップS144;No)、制御部11は第2フェーズのチェック結果を「OK」に決定し(ステップS147)、本サブルーチンを終了して第1フェーズのサブルーチンへ戻る(Return)。
【0110】
たとえば、図4に例示した履歴判断条件リスト50において、判断優先順位が1位の履歴チェック条件における「所定日数」は、「30日(約1ヶ月)」に設定されているものとする。複合機10に対して、内部保存されているファイルの削除要求が2008/11/30に行われた場合、図3に例示したジョブ履歴リスト40に対する第2フェーズのジョブ履歴チェックでは、履歴判断条件リスト50における判断優先順位が1位の履歴チェック条件は該当せず、判断優先順位が2位の履歴チェック条件に該当することになる。したがって、第2フェーズのチェック結果は「警告」に決定されることになる。
【0111】
図7に示すサブルーチンでは、ジョブ履歴チェックの第2フェーズを終えると(ステップS133)、制御部11は第2フェーズのチェック結果を確認する(ステップS134)。
【0112】
第2フェーズのチェック結果が「OK」である場合は(ステップS134;Yes)、制御部11はチェックしたファイルの最終結果を「OK」に決定し(ステップS135)、そのファイルのジョブ履歴チェックの結果を「OK」に更新する(ステップS137)。
【0113】
第2フェーズのチェック結果が「警告」である場合は(ステップS134;No)、制御部11はチェックしたファイルの最終結果を「警告」に決定し(ステップS136)、そのファイルのジョブ履歴チェックの結果を「警告」に更新する(ステップS137)。
【0114】
制御部11は、内部保存されている全てのファイルに対して、このジョブ履歴チェックによりチェック結果(「OK」または「警告」)の決定と更新を行い、完了すると本サブルーチンを終了してメインルーチンへ戻る(Return)。
【0115】
図6に示すメインルーチンでは、ジョブ履歴チェックを終えると(ステップS111)、制御部11は、内部保存されているファイルの一覧を表示部14に表示する(ステップS112)。また、一覧表示するファイルは、ジョブ履歴チェックの結果によって示される削除の可否を識別できるように表示する。詳細には、チェック結果が「OK」のファイルは削除可能であり、チェック結果が「警告」のファイルは即削除不可であることが識別できるように表示する。このファイルの一覧表示は、たとえば、図9に示すような保存ファイル削除画面60として表示される。
【0116】
図9は、表示部14に表示される保存ファイル削除画面60(保存ファイル一覧表示)の一例を示す図である。保存ファイル削除画面60には、ユーザに対して処理対象(削除処理または印刷処理の対象)となるファイルの指定(選択)を促す旨のメッセージ61と、各種の表示項目が示された項目欄62と、内部保存されているファイルを一覧表示したファイル一覧63と、一覧表示されたファイルに対するスクロール操作を受け付けるスクロール操作部64と、削除の確認を受け付ける削除ボタン65と、全ファイルの指定を受け付ける全ファイル指定ボタン66と、印刷の実行を受け付ける印刷ボタン67と、表示画面を前の画面に戻す操作を受け付ける戻るボタン68とが表示される。
【0117】
項目欄62に示される表示項目は、たとえば、ファイルの管理番号を示す「No」、「ファイル名」、印刷枚数を示す「枚数」、「備考」などである。ファイル一覧63では、表示された各ファイルは、表示領域に対する押下操作を受けて個別に選択可能とされている。詳細には、押下操作を受けるたびに、非選択状態から選択状態へ、または、選択状態から非選択状態へ切り替えられるようになっている。また、ジョブ履歴チェックの結果が「警告」となったファイルには、即削除不可であることを識別するための警告マーク69が表示される。ジョブ履歴チェックの結果が「OK」となったファイルは、警告マーク69が非表示とされる。
【0118】
本例の保存ファイル削除画面60では、No001〜005の計5つの保存ファイルが一覧表示され、No001とNo004のファイルに警告マーク69が表示されている。
【0119】
ユーザは、この保存ファイル削除画面60を通じて、複合機10内に保存されているファイルと、その削除の可否を確認することができる。
【0120】
図6に示すメインルーチンでは、制御部11は、保存ファイル削除画面60における戻るボタン68または印刷ボタン67の押下を受けた場合は(ステップS113;戻る/印刷)、操作に応じた処理を実行し(ステップS114)、メインルーチンを終了する(End)。
【0121】
詳細には、戻るボタン68の押下を受けた場合は、ユーザから受けた削除要求をキャンセルして、表示部14の表示画面を保存ファイル削除画面60から前の画面に戻す。ファイルが選択されてから印刷ボタン67の押下を受けた場合は、選択されたファイルを画像形成部20によって印刷出力し、表示部14の表示画面を保存ファイル削除画面60から前の画面に戻す。この印刷処理の対象となるファイルの選択は、個々のファイルの表示領域を押下することによる個別選択や、全ファイル指定ボタン66の押下による全選択(一括選択)が可能である。
【0122】
保存ファイル削除画面60における削除ボタン65の押下を受けた場合で(ステップS113;削除)、ファイルが選択されていない場合は(ステップS115;No)、制御部11はジョブ履歴チェックの結果が「OK」(警告マーク非表示)の全ファイルを選択し(ステップS116)、選択したファイルの削除確認を行う(ステップS119)。この場合の削除確認は、たとえば、図10に示すような削除確認ウィンドウ70aのポップアップ表示によって行う。
【0123】
図10は、図9の保存ファイル削除画面60でファイルが選択されずに削除指示(削除要求)を受けて削除確認ウィンドウ70aがポップアップ表示された状態を示す図である。削除確認ウィンドウ70aには、選択したファイルの削除をユーザに確認する旨のメッセージ71aと、削除の実行を受け付けるYesボタン72(実行ボタン)と、削除のキャンセルを受け付けるCancelボタン73とが表示される。
【0124】
図6に示すメインルーチンでは、制御部11は、削除確認ウィンドウ70aにおけるYesボタン72の押下を受けた場合は(ステップS120;Yes)、選択したファイルを画像データ記憶部21から削除し(ステップS127)、削除したファイルに関連付けられているジョブ履歴管理部22のジョブ履歴リスト40を消去して、本動作を終了する(End)。削除確認ウィンドウ70aにおけるCancelボタン73の押下を受けた場合は(ステップS120;No)、ユーザから受けた削除要求をキャンセルし、本動作を終了する(End)。
【0125】
なお、このキャンセル指示を受けた場合は、破線で示すようにステップS112へ戻るようにしてもよい。詳細には、削除確認ウィンドウ70aの表示を消去して元の保存ファイル削除画面60を表示し、その画面を通じてユーザから再びファイルの削除などに関する各種の操作(指示)を受け付けるように動作させてもよい。
【0126】
保存ファイル削除画面60における削除ボタン65の押下を受けた場合で(ステップS113;削除)、ファイルが選択されている場合は(ステップS115;Yes)、制御部11は、その選択されたファイルのジョブ履歴チェックの結果を確認する(ステップS117)。チェック結果が「OK」である場合は(ステップS117;Yes(図11参照))、選択されたファイルの削除確認を行う(ステップS119)。この場合の削除確認は、たとえば、図12に示すような削除確認ウィンドウ70bのポップアップ表示によって行う。
【0127】
図11は、図9の保存ファイル削除画面60において、ジョブ履歴チェックの結果が「OK」(警告マーク非表示)であるNo002のファイルが選択された状態を示す図である。図12は、図11のファイル選択状態から削除ボタン65が押下されて、保存ファイル削除画面60に削除確認ウィンドウ70bがポップアップ表示された状態を示す図である。
【0128】
削除確認ウィンドウ70bには、選択したファイルの削除をユーザに確認する旨のメッセージ71bと、前述したYesボタン72およびCancelボタン73が表示される。
【0129】
図6に示すメインルーチンでは、制御部11は、ステップS119以降を前述した削除確認ウィンドウ70a(図10参照)の場合と同様に行う。
【0130】
また、保存ファイル削除画面60における全ファイル指定ボタン66の押下を受けてから削除ボタン65の押下を受けた場合は(ステップS113;全ファイル)、制御部11は、一覧表示した全ファイルを選択し(ステップS118)、選択したファイル(全ファイル)の削除確認を行う(ステップS119)。画面の図示は省略するが、この場合の削除確認も、たとえば、図10や図12に示したような削除確認ウィンドウのポップアップ表示によって行う。そして、ステップS119以降を同様に行う。
【0131】
選択されたファイルのジョブ履歴チェックの結果が「警告」である場合は(ステップS117;No(図13参照))、制御部11は、そのファイルに対して実行可能なジョブをチェックし(ステップS121)、警告表示を行う(ステップS122)。
【0132】
実行可能なジョブのチェックは、たとえば、ジョブを実行する際に動作させたり、ジョブを実行するために接続されたりする出力デバイスの現時点での動作状態や接続状態などをチェックする処理である。警告表示は、たとえば、実行可能なジョブが1種類のみである場合は、図14に示すような削除確認ウィンドウ70cのポップアップ表示によって行う。実行可能なジョブが複数種類である場合は、図15に示すような削除確認ウィンドウ70dのポップアップ表示によって行う。
【0133】
図13は、図9の保存ファイル削除画面60において、ジョブ履歴チェックの結果が「警告」(警告マーク表示)であるNo001のファイルが選択された状態を示す図である。図14は、図13のファイル選択状態から削除ボタン65が押下され、実行可能なジョブが1種類のみである場合に、保存ファイル削除画面60に削除確認ウィンドウ70cがポップアップ表示された状態を示す図である。図15は、図13のファイル選択状態から削除ボタン65が押下され、実行可能なジョブが複数種類である場合に、保存ファイル削除画面60に削除確認ウィンドウ70dがポップアップ表示された状態を示す図である。
【0134】
削除確認ウィンドウ70c/70dには、選択したファイルの削除をユーザに確認する旨のメッセージ71c/71dと、前述したYesボタン72およびCancelボタン73が表示される。さらに、実行可能なジョブを実行してからファイル削除を実行する処理を受け付けるジョブ実行ボタンが表示される。たとえば、印刷ジョブのみが実行可能である場合には、ジョブ実行ボタンは、図14に示すような印刷ボタン74などとして表示される(1Job)。複数種類のジョブが実行可能である場合には、ジョブ実行ボタンは、図15に示すようなDoボタン75などとして表示される。ここでの「Do」は、何らかの処理(Job)を行うことを意味する。
【0135】
Doボタン75の押下を受けた場合は、制御部11は、実行可能な複数種類のジョブのメニューを表示部14に表示する。このメニュー表示は、たとえば、図16に示すようなジョブ選択メニューウィンドウ80のポップアップ表示によって行う。
【0136】
ジョブ選択メニューウィンドウ80には、ユーザに対してジョブの選択を促す旨のメッセージ81と、実行可能な複数種類のジョブをメニュー表示したジョブメニュー82と、メニュー表示されたジョブに対するスクロール操作を受け付けるスクロール操作部83と、ジョブの実行指示を受け付ける実行ボタン84と、ジョブ選択メニューウィンドウ80を消去して表示画面を前の画面に戻す操作を受け付ける戻るボタン85とが表示される。
【0137】
ジョブメニュー82では、表示された各ジョブは、表示領域に対する押下操作を受けて個別に選択可能とされている。詳細には、押下操作を受けるたびに、非選択状態から選択状態へ、または、選択状態から非選択状態へ切り替えられるようになっている。また、複数のジョブに対する同時選択も可能とされている。
【0138】
本例は、ネットワーク送信に含まれる電子メール添付のファイル送信ジョブ(「Email送信」)、ファイルに対する印刷ジョブ(「印刷」)、ファイルのファクシミリ送信ジョブ(「Fax送信」)、外部記憶装置に含まれるUSBメモリへのファイル保存ジョブ(「外部USB保存」)、ファイルのデータ圧縮ジョブ(「データ圧縮」)といった5種類のジョブが実行可能な場合に表示されたジョブ選択メニューウィンドウ80である。ジョブメニュー82には、その5種類のジョブがメニュー表示され、印刷ジョブが選択された状態を示している。
【0139】
ユーザは、このジョブ選択メニューウィンドウ80を通じて、削除対象のファイルに対して実行可能な複数種類のジョブを確認することができ、そのうちの1つまたは複数のジョブを選択して実行することができる。
【0140】
図6に示すメインルーチンでは、制御部11は、削除確認ウィンドウ70c/70dにおけるCancelボタン73の押下を受けた場合は(ステップS123;Yes)、ユーザから受けた削除要求をキャンセルし、本動作を終了する(End)。
【0141】
なお、このキャンセル指示を受けた場合は、破線で示すようにステップS112へ戻るようにしてもよい。詳細には、削除確認ウィンドウ70c/70dの表示を消去して元の保存ファイル削除画面60を表示し、その画面を通じてユーザから再びファイルの削除などに関する各種の操作(指示)を受け付けるように動作させてもよい。
【0142】
削除確認ウィンドウ70c/70dにおけるYesボタン72の押下を受けた場合は(ステップS123;No→ステップS124;Yes)、制御部11は、選択されたファイルを画像データ記憶部21から削除し(ステップS127)、削除したファイルに関連付けられているジョブ履歴管理部22のジョブ履歴リスト40を消去して、本動作を終了する(End)。
【0143】
複数種類のジョブが実行可能な状態で、削除確認ウィンドウ70dにおけるジョブ実行ボタン(Doボタン75)の押下を受けた場合は(ステップS124;Do)、制御部11は、ジョブ選択メニューウィンドウ80を表示する(図16参照)。ジョブ選択メニューウィンドウ80を通じてユーザから実行するジョブの選択と実行ボタン84の押下を受けると(ステップS125)、制御部11は、選択されたファイルに対してそのジョブを実行する(ステップS126)。ジョブを実行完了すると、制御部11は、選択されたファイルを画像データ記憶部21から削除し(ステップS127)、削除したファイルに関連付けられているジョブ履歴管理部22のジョブ履歴リスト40を消去して、本動作を終了する(End)。
【0144】
1種類のジョブが実行可能な状態で、削除確認ウィンドウ70cにおけるジョブ実行ボタン(印刷ボタン74)の押下を受けた場合は(ステップS124;1Job(ex:印刷))、制御部11は、ステップS125をスキップして選択されたファイルに対してそのジョブ(印刷処理)を実行する(ステップS126)。ジョブを実行完了すると、制御部11は、選択されたファイルを画像データ記憶部21から削除し(ステップS127)、削除したファイルに関連付けられているジョブ履歴管理部22のジョブ履歴リスト40を消去して、本動作を終了する(End)。
【0145】
なお、データ圧縮ジョブでは、圧縮したファイルを保存して元ファイルは削除する処理を行う(置換処理)。また、圧縮したファイルは、削除可否判定(ジョブ履歴チェック)の対象外にされる。
【0146】
図17は、複合機10による保存ファイル自動削除処理(自動削除モード)の動作を示す流れ図である。本動作は、予め設定されている処理開始条件(実行条件)を満足すると、自動的に削除要求が生成されて実行される。
【0147】
処理開始条件は、たとえば、期間や画像データ記憶部21の残り記憶容量などである。保存ファイルの自動削除条件は、本実施形態ではファイルの保存日数(保存期間)としている。ここでは、所定の保存日数(第1の保存日数)を経過した保存ファイルは基本的には削除するようにしているが、その所定の保存日数を保存ファイルのジョブ履歴情報(ジョブ履歴リスト40)に基づいて変更するようにしている。詳細には、削除対象となるファイルの保存日数が所定の保存日数(第1の保存日数)を経過しても、そのファイルに対するジョブ履歴チェックの結果が「警告」であれば所定の保存日数を延長するようにしている(第2の保存日数)。すなわち、削除の猶予期間として付与した延長の保存日数までは少なくとも保存を継続し、その延長の保存日数も経過すると削除するようにしている。
【0148】
複合機10の制御部11は、予め設定されている処理開始条件を満足すると、自動的に削除要求を生成して本動作を開始する(Start)。制御部11は、内部保存されている1つのファイルを選択し(ステップS151)、そのファイルに関連付けられているジョブ履歴リスト40のジョブ実行日に基づいてそのファイルの保存日数を確認する。保存ファイルの選択順は、管理番号(No)順などにしてもよい。保存日数は、最初のジョブの実行日(ジョブ履歴リストの作成・登録日)からの保存日数にしてもよいし、最後(最新)のジョブの実行日からの保存日数にしてもよい。
【0149】
選択したファイルの保存日数が予め設定されている第1の保存日数を経過していない場合は(ステップS152;No)、制御部11は、そのファイルは削除せずに保存を継続し、次のファイルがあるか否かを確認する(ステップS157)。次のファイルがある場合は(ステップS157;Yes)、ステップS151へ戻り、制御部11はそのファイルを選択してステップS152以降を同様に行う。
【0150】
選択したファイルの保存日数が予め設定されている第1の保存日数を経過している場合は(ステップS152;Yes)、制御部11は、選択したファイルに対し、図7および図8で説明したジョブ履歴チェック(第1/第2フェーズ)のサブルーチンを行う(ステップS153)。
【0151】
ジョブ履歴チェックの結果が「OK」である場合は(ステップS154;Yes)、制御部11は、選択したファイルを画像データ記憶部21から削除し(ステップS156)、削除したファイルに関連付けられているジョブ履歴管理部22のジョブ履歴リスト40を消去して、ステップS157へ移行する。
【0152】
ジョブ履歴チェックの結果が「警告」である場合は(ステップS154;No)、制御部11は、選択したファイルの保存日数が予め設定されている第2の保存日数を経過している場合は(ステップS155;Yes)、選択したファイルを画像データ記憶部21から削除し(ステップS156)、削除したファイルに関連付けられているジョブ履歴管理部22のジョブ履歴リスト40を消去して、ステップS157へ移行する。選択したファイルの保存日数が予め設定されている第2の保存日数を経過していない場合は(ステップS155;No)、制御部11は、そのファイルは削除せずに保存を継続し、次のファイルがあるか否かを確認する(ステップS157)。
【0153】
次のファイルがある場合は(ステップS157;Yes)、ステップS151へ戻り、制御部11はそのファイルを選択してステップS152以降を同様に行う。次のファイルがない場合は(ステップS157;No)、本動作を終了する(End)。
【0154】
この保存ファイル自動削除処理では、所定の自動削除条件(第1の保存日数経過)に該当して削除対象となったがジョブ履歴チェックで「警告」となった保存ファイルに対しては、自動削除条件が緩和されるようになっている。また、所定の自動削除条件に該当した保存ファイルは、ジョブ履歴チェックの結果に応じて、保存ファイル毎に削除処理が自動的に切り替えられるようになっている。
【0155】
このように、本実施形態に係る複合機10では、内部保存されている画像データ(保存ファイル)の削除要求に対し、画像データに関連付けて管理されているジョブ履歴情報(ジョブ履歴リスト40)に基づいて、画像データの削除の可否を判定し(ジョブ履歴チェック)、判定結果に応じて削除確認の警告態様を変更したり、画像データの削除処理を切り替えたりする。具体的には、削除確認における警告態様の変更は、画像データの削除確認でユーザに外部保存を促すか否かの変更である(図10、図12、図14、図15、図16参照)。削除処理の切り替えは、その警告態様の変更を含むと共に、画像データの削除前に外部保存を実行可能とするか否かの切り替えである(更に図6など参照)。これにより、ユーザは削除可能な画像データを適切に選択して削除することができる。
【0156】
特に本実施形態では、ジョブ履歴情報として、入力ジョブの履歴情報と出力ジョブの履歴情報を用いることにより、画像データの保存の必要性をより詳細に確認して判定することができる。この判定結果に応じて、削除確認の警告態様をより的確な態様に変更することができ、削除処理をより的確な処理に切り替えることができる。したがって、削除可能な画像データをより適切に選択して削除することができる。
【0157】
画像データの削除可否判定では、ジョブ履歴情報に基づいて、画像データが所定の要保存条件に該当するか否かを判断する。所定の要保存条件は、画像データの保存の必要性を示す条件であり、ジョブ履歴チェックの結果が「警告」となる条件である(図2、図4参照)。
【0158】
画像データの削除指示(削除ボタン65の押下操作)をユーザから受けた場合、この条件に該当する画像データに対しては、削除前に外部保存可能な出力ジョブを実行することを促す報知を行う(図14、図15参照)。ユーザはこの報知を受けて、外部保存の必要性がある画像データを確認できると共に、その画像データは削除する前に外部保存した方がよいことを認識できる。これにより、外部保存の必要性がある画像データが外部保存されずに不用意に削除されることを防止できる。
【0159】
画像データの外部保存では、複数種類の出力ジョブが実行可能であればそれらが実行可能であることを報知する(図16参照)。この報知を受けてユーザは、外部保存可能な複数種類の出力ジョブの中から任意の出力ジョブ(一部または全部)を実行することができる。これにより、外部保存する画像データの保存形態の選択肢が広がって利便性が向上する。
【0160】
内部保存されている画像データ(保存ファイル)の一覧表示を行う保存ファイル削除画面60では、削除可否判定の結果(ジョブ履歴チェックの結果)を警告マーク69の表示/非表示によって併せて表示する。これにより、ユーザは、一覧表示された個々の画像データの削除の可否(必要性の有無)を容易に識別(把握)できるようになる。ユーザは、この警告マーク69の表示/非表示から把握した必要性の有無に基づいて、削除対象とする画像データを適切に選択し削除することができる。また、削除可能と判定された警告マーク非表示の複数の画像データを削除ボタン65の押下操作のみで一括選択し、ポップアップ表示される削除確認ウィンドウ70aのYesボタン72の押下操作で一括削除することができる。これにより、削除可能な画像データの識別、選択、削除操作が容易になり、利便性が高められる。
【0161】
内部保存されている画像データの自動削除では、予め設定されている実行条件を満足した場合に自動的に生成される削除要求に対し、内部保存されている画像データのうちで所定の自動削除条件に該当する画像データを削除対象にする。また、その削除対象となる画像データに対する所定の自動削除条件は、その画像データに関連付けされているジョブ履歴情報に基づいて変更する。
【0162】
上述したように、ジョブ履歴情報に基づいて保存の必要性があると判定した画像データに対しては、自動削除条件を緩和する変更を行う。具体的には、画像データが所定の保存期間を経過すると自動削除される場合に、削除対象となった画像データに対する所定の保存期間はその画像データに関連付けられているジョブ履歴情報に基づいて変更する。変更の詳細は、ジョブ履歴情報に基づいて保存の必要性があると判定した画像データに対しては、保存期間を延長する変更である(削除猶予期間の付与)。画像データの自動削除では、このようなジョブ履歴情報に基づく保存期間(自動削除条件)の変更を行うことにより、削除可能な画像データを適切に選択して自動削除することができる。
【0163】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0164】
実施形態では、複合機10は入力ジョブの履歴情報と出力ジョブの履歴情報を内部保存した画像データに関連付けて管理する構成としているが、入力および出力のうちの一方のジョブの履歴情報を内部保存した画像データに関連付けて管理する構成としてもよい。詳細には、画像データの削除確認の警告態様を変更する制御においては、少なくとも出力ジョブの履歴情報を内部保存した画像データに関連付けて管理する構成としてもよい。画像データの削除処理を切り替える制御においては、少なくとも入力ジョブの履歴情報を内部保存した画像データに関連付けて管理する構成としてもよい。
【0165】
内部保存した画像データに関連付けるジョブ履歴情報(ジョブ履歴リスト40)の作成、記憶、管理、消去などは、ジョブ履歴管理部22が行う構成としているが、制御部11が不揮発メモリなどを用いてジョブ履歴管理部22と同様の機能を果たすように構成してもよい。
【0166】
画像データの削除可否判定(ジョブ履歴チェック)に使用する上記のジョブ履歴情報は、専用のジョブ履歴リスト40として作成する構成としているが、このような専用のリストを作成せず、ジョブ毎の履歴を記憶・管理する通常のジョブ履歴リストで兼用するように構成してもよい。実施形態では、画像データの削除に伴い対応するジョブ履歴リスト40を消去するようにしているが、通常のジョブ履歴リストで兼用する場合はそのような消去は不要となる。または、ジョブ履歴チェックに使用する専用の情報のみ、たとえば、入力ジョブ同時処理フラグなどに対してのみ消去するようにしてもよい。
【0167】
内部保存されている画像データ(保存ファイル)を一覧表示する保存ファイル削除画面60では、ユーザが削除対象の画像データを選択する際に、図11や図13に示したように1つの画像データのみを選択する場合を説明したが、警告マーク69が表示されていない任意の複数の画像データを同時選択したり、警告マーク69が表示されている任意の複数の画像データを同時選択したりできるように構成してもよい。この場合は、複数の画像データの同時選択状態で削除ボタン65を押下すると、その選択された複数の画像データを対象にした削除確認ウィンドウが表示される。
【0168】
保存ファイル削除画面60に表示する画像データ(保存ファイル)は、押下操作による選択/解除を受け付けるソフトボタンとして表示しているが、表示形態はこのようなソフトボタンに限らない。表示された画像データの選択/解除は他のボタンで受け付けるように構成してもよい。たとえば、表示されている画像データをカーソルキーなどの操作によって選択したり、決定ボタンの押下操作などによって選択/解除を切り替えたりするように構成してもよい。
【0169】
削除確認の表示やジョブ選択メニューの表示はポップアップウインドウによって行うようにしているが、これらの表示は画面を切り替えて行うようにしてもよい(画面遷移)。
【0170】
画像データの削除可否判定(ジョブ履歴チェック)は、「OK」と「警告」の2種類(2段階)としているが、3種類(3段階)以上としてもよい。
【0171】
たとえば、「OK」判定については、画像データを外部保存可能な出力ジョブの種類や同時実行数などに基づいて複数段階のランクを付けるようにしてもよい。「警告」判定については、画像データの再使用履歴(再使用回数や再使用頻度)などに基づいて複数段階のランクを付けるようにしてもよい。このようなランク付けによる多種類(多段階)の判定結果に応じて、削除確認の警告態様をより的確な態様に変更することができ、削除処理をより的確な処理に変更することができる。このような構成によっても、削除可能な画像データをより適切に選択して削除することができる。
【0172】
図17で説明した画像データの自動削除処理(保存ファイル自動削除処理)では、所定の自動削除条件を画像データの保存期間(保存日数)とした場合で説明したが、自動削除条件はこのような時間的要素による条件に限らない。たとえば、画像データを記憶する記憶部の残り記憶容量などの量的要素による条件を用いるようにしてもよい。残り記憶容量については、残容量値および残容量率のいずれを用いるようにしてもよい。
【0173】
自動削除条件を残り記憶容量とした場合の自動削除処理では、たとえば、第1の残り記憶容量よりも第2の残り記憶容量を小さく設定し(第1の残り記憶容量>第2の残り記憶容量)、ジョブ履歴チェックで「警告」となった画像データに対しては、自動削除条件を緩和する、すなわち、自動削除条件を第1の残り記憶容量から第2の残り記憶容量に変更して、保存期間を延長する(削除猶予期間を与える)などしてもよい。
【0174】
自動削除条件の変更は緩和化に限らず、厳格化するようにしてもよい。たとえば、ジョブ履歴チェックの「OK」判定に上述した複数段階のランク付けを行い、ランクの低い画像データに対しては自動削除条件を厳格化するなどの変更を行うようにしてもよい。自動削除条件を保存期間とする場合であれば、ランクの低い画像データは所定の保存期間よりも短い保存期間で削除するなどしてもよい。
【0175】
また、画像データの自動削除処理に削除確認の警告態様の変更制御を組み合わせるようにしてもよい。たとえば、予め設定されている処理開始条件(実行条件)は、ユーザから受け付ける自動削除処理の開始指示とする。ユーザが複合機10に対してその自動削除処理の開始指示を行うと、複合機10は自動削除条件に該当する削除対象の画像データを自動的に選択し、その選択した画像データを画面に一覧表示して、ユーザに削除確認を行うようにしてもよい。このときの削除確認の警告態様は、たとえば、上記のジョブ履歴チェックの「OK」判定における複数段階のランクに応じて変更するなどしてもよい。
【0176】
また本発明は、実施形態で説明した複合機に限らず、複写機、プリンタ機、ファクシミリ機などの他の画像処理装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0177】
10…複合機(画像処理装置)
11…制御部
12…ROM
13…RAM
14…表示部(警告部/表示部)
15…操作部
16…ファクシミリ通信部(入力部/処理部)
17…ネットワーク通信部(入力部/処理部)
18…接続部(入力部/処理部)
19…画像読込部(入力部)
20…画像形成部(処理部)
21…画像データ記憶部(記憶部)
22…ジョブ履歴管理部(履歴管理部/制御部)
30…入力ジョブ同時動作組み合わせテーブル
40…ジョブ履歴リスト(履歴情報)
50…履歴判断条件リスト
60…保存ファイル削除画面
61…メッセージ
62…項目欄
63…ファイル一覧
64…スクロール操作部
65…削除ボタン
66…全ファイル指定ボタン
67…印刷ボタン
68…戻るボタン
69…警告マーク
70a、70b、70c、70d…削除確認ウィンドウ
71a、71b、71c、71d…メッセージ
72…Yesボタン
73…Cancelボタン
74…印刷ボタン
75…Doボタン
80…ジョブ選択メニューウィンドウ
81…メッセージ
82…ジョブメニュー
83…スクロール操作部
84…実行ボタン
85…戻るボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの入力部と、
前記入力部から入力された画像データを記憶する記憶部と、
画像データに対して出力処理を行う処理部と、
前記出力処理の履歴情報を画像データに関連付けて管理する履歴管理部と、
警告部と、
前記記憶部に記憶されている画像データの削除要求に対し、前記出力処理の履歴情報に基づいて、前記警告部による画像データの削除確認の警告態様を変更する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記履歴管理部は、前記入力部での入力処理の履歴情報も画像データに関連付けて管理し、
前記制御部は、前記入力処理の履歴情報と前記出力処理の履歴情報に基づいて、前記削除確認の警告態様を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像データの入力部と、
前記入力部から入力された画像データを記憶する記憶部と、
前記入力部での入力処理の履歴情報を画像データに関連付けて管理する履歴管理部と、
前記記憶部に記憶されている画像データの削除要求に対し、前記入力処理の履歴情報に基づいて、画像データの削除処理を切り替える制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項4】
画像データに対して出力処理を行う処理部を備え、
前記履歴管理部は、前記出力部での出力処理の履歴情報も画像データに関連付けて管理し、
前記制御部は、前記入力処理の履歴情報と前記出力処理の履歴情報に基づいて、前記削除処理を切り替える
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記削除要求に対し、前記記憶部に記憶されている画像データが、前記関連付けされている履歴情報に基づいて所定の要保存条件に該当するか否かを判断し、該当する画像データに対しては、削除前に外部保存可能な出力処理を実行することを促す報知を行う
ことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記外部保存可能な出力処理として複数種類の出力処理が実行可能である場合は、その複数種類の出力処理が実行可能であることを報知する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
表示部と、操作部とを備え、
前記制御部は、前記関連付けされている履歴情報に基づいて画像データの削除の可否を判定し、前記記憶部に記憶されている画像データを前記表示部に一覧表示する際に前記判定結果も併せて表示し、前記操作部を通じて削除対象となる画像データの選択操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、予め設定されている実行条件を満足した場合に自動的に生成される前記削除要求に対し、前記記憶部に記憶されている画像データのうちで所定の自動削除条件に該当する画像データを削除対象にすると共に、その削除対象となる画像データに対する前記所定の自動削除条件をその画像データに関連付けされている履歴情報に基づいて変更する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記所定の自動削除条件は、前記画像データの保存期間が所定の保存期間を経過している条件であり、
前記制御部は、前記所定の自動削除条件の変更では、前記所定の保存期間を変更する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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