説明

画像処理装置

【課題】入力画像の周波数帯域を調べることで入力画像が本来持っている解像度を求める。
【解決手段】画像処理装置は、入力画像D0の所定の領域R内に存在する画素ごとに、その画素を基準として所定の間隔で位置する複数の画素の画素値から代表差分値D11を求めて出力する特徴量検出部11と、所定の領域R内に存在する画素ごとに求めた代表差分値から特徴量合成値D12を求めて出力する特徴量合成部12と、特徴量合成値D12に対して単調非減少の関係を持つ解像度判別信号D1を特徴量合成値D12から求めて出力する解像度判別信号生成部13を有する画像分析部1を備え、解像度判別信号D1は所定の間隔から決まる所定の周波数以上の信号成分が入力画像D0にどのくらい含まれるかを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された画像の解像度を検出して自動的に画像補正を行うことがなされている。例えば特許文献1による自動補正回路では、画像の解像度を検出する解像度検出手段と、検出された解像度に基づいて画像補正に用いる設定値を算出する設定値算出手段と、算出された設定値に基づいて、画像補正を行う画像補正手段を備えている。また、画像の解像度を検出するために、画像の有効期間を表すイネーブル信号の立ち上がりから立ち下がりまでの期間をカウントしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−166188号公報(第1図、第2図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像の有効期間を表すイネーブル信号の立ち上がりから立ち下がりまでの期間をカウントすることは、画像の水平画素数あるいは垂直画素数をカウントすることに相当する。つまり、特許文献1の技術は、入力画像の画素数から入力画像の解像度を検出している。
しかしながら、上記のように画像の画素数から画像の解像度を検出すると、画像によっては解像度を正しく検出できない場合がある。すなわち、入力画像として、ある低解像度の画像が拡大された画像が入力される場合、入力画像の解像度は、その画素数から考えられる解像度より低いと考える方が妥当である。よって入力画像の画素数をもとに画像補正を行うと、入力画像によっては適切に処理できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像処理装置は、入力画像で所定の間隔に位置する複数の画素の画素値の変化に基づいて、前記所定の間隔から決まる所定の周波数以上の信号成分が前記入力画像にどのくらい含まれるかを示す解像度判別信号を求める画像分析部を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像処理装置によれば、入力画像の解像度に応じて入力画像を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置が有する画像分析部の構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置が有する特徴量検出部の構成図である。
【図4】この発明に係る画像処理装置に入力される入力画像における画素を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置が有する解像度判別信号生成部の動作を説明する図である。
【図6】画像処理装置に入力される入力画像の周波数スペクトルを説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置に入力される入力画像の画素値の変化を表す図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置に入力される入力画像の画素値の別の変化を表す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置に入力される図7の入力画像の画素値の差分を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置に入力される図8の入力画像の画素値の差分を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置で画素値の差分の符号が交互になることへの低周波成分の影響を説明する図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係る画像処理装置に入力される図8の入力画像の画素値の2画素となりの画素との差分を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る画像処理装置が有する画像分析部の構成図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る画像処理装置が有する特徴量検出部の構成図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係る画像処理装置で重み係数の求め方を説明する図である。
【図16】この発明の実施の形態2に係る画像処理装置で入力画像を得るための環境の一例を表す図である。
【図17】この発明の実施の形態2に係る画像処理装置で異なる明るさで撮像された入力画像について考察する図である。
【図18】この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の構成図である。
【図19】この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の利用方法を例により説明する図である。
【図20】この発明の実施の形態3に係る画像処理装置が有する時系列分析部の動作を説明する図である。
【図21】この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の動作を例により説明するための入力画像の図である。
【図22】画像処理装置における強調処理で発生するオーバーシュートとアンダーシュートについて説明する図である。
【図23】この発明の実施の形態4に係る画像処理装置が有する時系列分析部の構成図である。
【図24】この発明の実施の形態4に係る画像処理装置が有する履歴補正部の動作を説明する図である。
【図25】この発明の実施の形態4に係る画像処理装置が有する履歴補正部の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による画像処理装置の構成図である。実施の形態1による画像処理装置は入力画像D0の解像度を求める画像分析部1、求めた解像度に応じて入力画像D0を処理して出力画像D2を得る画像処理演算部2を有する。
【0009】
画像分析部1は入力画像D0の画素値から、入力画像D0の解像度を求め、その結果を解像度判別信号D1として出力する。画像処理演算部2は、解像度判別信号D1を利用して、入力画像D0に対し、ノイズ処理、強調処理などさまざまな画像処理を行い、その結果として得られる画像を出力画像D2として出力する。ここで画像処理演算部2は、解像度判別信号D1の値によって画像処理の動作を変化させる。
詳細は後述するが、画像分析部1は、入力画像D0で所定の間隔に位置する複数の画素の画素値の変化に基づいて、所定の間隔から決まる所定の周波数以上の信号成分が入力画像D0にどのくらい含まれるかを示す解像度を求めるものである。
【0010】
図2は画像解析部1の構成を表す図である。画像分析部1は、特徴量検出部11、特徴量合成部12、解像度判別信号生成部13を有する。
【0011】
まず、特徴量検出部11について説明する。特徴量検出部11は入力画像D0の所定の領域内に存在する画素ごとに、その画素を基準にして所定の間隔で配置された複数の画素の集合である注目画素群を設定し、設定した注目画素群を構成する画素の画素値の変化から後述の処理によって代表差分値D11を求め出力する。
【0012】
図3は特徴量検出部11の構成を表す図である。特徴量検出部11は画素選択部111、差分計算部112、代表差分計算部113を有する。
【0013】
画素選択部111は、入力画像D0の所定の領域内に存在する画素ごとに、その画素ごとに設定される注目画素群を構成する画素の画素値を注目画素群画素値データDAとして出力する。
【0014】
図4は、この発明に係る画像処理装置に入力される入力画像における画素を説明する図である。図4を用いて画素選択部111の動作および注目画素群画素値データDAについて説明する。図4には入力画像D0および入力画像D0を構成する画素が模式的に表されている。図4で最も小さい四角が、画素を表している。また、入力画像D0の水平方向、垂直方向に沿って水平座標、垂直座標が定義されており、水平座標がx、垂直座標がyで表される座標に位置する画素の画素値をd(x,y)で表す。また、これらの座標軸の格子点の間隔は入力画像D0を構成する画素の間隔と等しいものとする。図4に示した例では、入力画像D0の水平方向の画素数はW、垂直方向の画素数はHとなる。
【0015】
画像選択部111は、図4で水平座標x、垂直座標yで表される画素を(x,y)で表現するとして、(a,b)、(p,b)、(a,q)、(p,q)で表される4つの画素を頂点とする長方形で表される領域R内に存在する各画素について、注目画素群および注目画素群画素値データDAを求める。ここで注目画素群は、領域R内に存在する各画素について、自身を起点として水平方向に1画素間隔で並ぶ4個の画素を有する。すなわち、(u,v)で表される注目画素に対する注目画素群は、(u,v)、(u+1,v)、(u+2,v)、(u+3,v)という4個の画素を有することになり、注目画素群画素値データDAは4個の画素値d(u,v)、d(u+1,v)、d(u+2,v)、d(u+3,v)を有する。
【0016】
画面右端に少なくとも3画素が残るように領域Rを設定すれば、(u+3,v)に画素があるかどうかなどの場合分け処理が不要になり、処理が簡単になる。領域Rは視聴者がよく見る画面中央部を含むように設定することが望ましい。領域Rを小さくすれば解像度判別の処理を高速化でき、領域Rを大きくすれば小さい場合よりも正確に画像の解像度を判別できる。
【0017】
差分計算部112の動作を説明する。差分計算部112は、4個の画素の中の隣接する2個の画素の組に対してそれぞれ1個の差分量(画素値の変化量)を計算する。すなわち、以下の式で計算される差分量S(1)、S(2)、S(3)を計算し、その結果を差分データDBとして出力する。
S(1)=d(u+1,v)−d(u,v)
S(2)=d(u+2,v)−d(u+1,v)
S(3)=d(u+3,v)−d(u+2,v)
【0018】
代表差分計算部113は、差分データDBをS(1)、S(2)、S(3)の順に並べた場合に正の値と負の値が交互に並ぶ場合、ゼロ以外の値、例えばS(1)、S(2)、S(3)の絶対値のうち最小の値を代表差分値D11として出力する。なお、それ以外の場合は代表差分値D11の値としてゼロを出力する。
【0019】
より具体的に説明すると、S(1)が正の値かつS(2)が負の値かつS(3)が正の値の場合、あるいはS(1)が負の値かつS(2)が正の値かつS(3)が負の値の場合は、S(1)、S(2)、S(3)の絶対値のうち最小の値を代表差分値D11として出力し、それ以外の場合は代表差分値D11の値としてゼロを出力する。
【0020】
そして特徴量計算部11からは、領域R内に含まれる各画素について上記の手順で求められた代表差分値D11が、出力される。図4の例では領域R内には(p−a+1)×(q−b+1)個の画素が含まれるので、(p−a+1)×(q−b+1)個の代表差分値D11が出力される。
【0021】
次に、特徴量合成部12の動作を説明する。特徴量合成部12は特徴量計算部11から出力される代表差分値D11を合成して得た特徴量合成値を特徴量合成データD12として出力する。ここで、特徴量合成部12は、(p−a+1)×(q−b+1)個の代表差分値D11を加算した値を特徴量合成データD12として出力する。
【0022】
次に、解像度判別信号生成部13の動作を説明する。解像度判別信号生成部13は特徴量合成データD12の値に対して単調非減少である解像度判別信号D1として出力する。
【0023】
単調非減少とは、以下を意味する。特徴量合成データD12の値として2つの値D12XとD12Yを考え、特徴量合成データD12の値がD12Xだった場合に出力される解像度判別信号D1の値をD1X、特徴量合成データD12の値がD12Yだった場合に出力される解像度判別信号D1の値をD1Yで表した時、D12X<D12Yであれば、D1X≦D1Yとなることである。
【0024】
図5は、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置が有する解像度判別信号生成部の動作を説明する図である。図5(A)が、特徴量合成データD12と比例するように解像度判別信号D1を解像度判別信号生成部13が出力する場合である。図5(B)では、特徴量合成データD12が閾値th1以下では解像度判別信号D1をゼロとし、閾値th1から閾値th2までは解像度判別信号D1が特徴量合成データD12の一次関数で表現されるように、特徴量合成データD12が閾値th2以上では解像度判別信号D1が一定値となるように、解像度判別信号生成部13が動作する場合である。
【0025】
特徴量合成データD12は多数の代表差分値D11の和であるので大きな値となり、大きなビット数で表現する必要がある。解像度判別信号D1は、所定のビット数(例えば8ビット)の数である。単調非減少の関係を持たせて特徴量合成データD12を解像度判別信号D1に変換することにより、画像処理演算部2が処理しやすい解像度判別信号D1を得ることができる。
【0026】
以下、画像分析部1の作用、効果、本発明の実施の形態1による画像処理装置の効果について説明する。
【0027】
図6は、画像処理装置に入力される入力画像の周波数スペクトルを説明する図である。図6でFnは入力画像D0の単位長あたりの画素数から決まるナイキスト周波数を表す。入力画像D0がFnの周波数の信号だけを有する場合には、水平方向および垂直方向で画素値が正負の同じ値を交互に取ることになる。
【0028】
入力画像D0のスペクトル強度は水平方向周波数と垂直方向周波数に対応した2本の周波数軸で張られる周波数平面状上の各点について与えられるため、その形状を正確に記すためには3次元空間を用いる必要がある。しかしその形状は周波数軸の原点を中心に等方的に広がったものであるため、1本の周波数軸を用いればその形状を模式的に表すことができる。そのため、図6では周波数軸は1本しか用いていない。なお、水平方向と垂直方向で画素の間隔が異なる場合は、水平方向周波数と垂直方向周波数の両方を考慮する必要がある。
【0029】
一般的に入力画像D0のスペクトル強度は原点(周波数がゼロ)にピークを持ち、周波数が高くなるほど、そのスペクトル強度が低下する。撮像素子により画像を撮像する場合には、単位長あたりの撮像素子の個数から決まるナイキスト周波数よりも大きい周波数成分は画像に含まれない。そのため、入力画像D0の周波数スペクトルは、スペクトル強度SPHで表すように、周波数が±Fn近傍の値をとる帯域まである程度のスペクトル強度を持ち、Fn以上ではゼロになる。
【0030】
しかし、入力画像D0によってはその周波数スペクトルが、スペクトル強度SPHで示した形状のようにならない場合がある。その典型例として、入力画像D0が、入力画像D0より画素数の少ない画像を拡大して得られたものであった場合が考えられる。例えば、水平方向にW/2画素、垂直方向にH/2画素の画素数を持った画像を水平方向、垂直方向とも2倍に拡大して入力画像D0を得た場合、入力画像D0の周波数スペクトルはスペクトル強度SPLで示したようになる。すなわち、スペクトル強度は、周波数が±Fn/2近傍の帯域まではある程度の値を維持しているものの、周波数の絶対値がFn/2よりも十分に大きい帯域ではほぼゼロとなる。
【0031】
画像処理演算部2で強調処理を行う場合を考える。単純な強調処理は、入力画像D0の特定の周波数帯域近傍の高周波数成分を取り出し、所定の利得で増幅した後、入力画像D0に加算することで実現する。このように処理する理由は、上記の処理によって入力画像D0の高周波数成分のスペクトル強度が増加するからである。なお、特定の周波数帯域近傍の周波数成分を取り出すには高周波数成分通過フィルタや帯域周波数成分通過フィルタなどが利用できる。
【0032】
入力画像D0の周波数スペクトルがスペクトル強度SPHで表されるような形状の場合、周波数の絶対値がFn/2程度以上でありFn以下の所定の帯域の周波数成分を取り出し、所定の利得で増幅した後、入力画像D0に加算することで高周波数成分のスペクトル強度を増すことができる。
【0033】
一方、入力画像D0の周波数スペクトルがスペクトル強度SPLで表されるような形状の場合、周波数の絶対値がFn/2程度以上でありFn以下の所定の帯域にはそもそも対応する周波数成分がわずかしか含まれていないため、この帯域の周波数成分を取り出しても効果があまりない。その代わりに、例えば周波数の絶対値がFn/4程度以上でありFn/2以下の所定の帯域の周波数成分を取り出し、所定の利得で増幅した後、入力画像D0に加算する方が効果的である。
【0034】
要するに、スペクトル強度SPHを与える入力画像D0も、スペクトル強度SPLを与える入力画像D0も画素数は同じであるが、その周波数スペクトルの広がり方が異なるため、それぞれに効果的な画像処理の内容が異なる。したがって、入力画像D0の画素数ではなく周波数スペクトルの広がり方によって画像処理演算部2の処理内容を変える、例えば高周波数成分通過フィルタの周波数特性を変更することが望ましい。
【0035】
なお、高周波数成分通過フィルタの周波数特性を変えるのではなく、取り出した周波数成分に対する利得を制御してもよい。例えば、高周波数成分通過フィルタは、周波数の絶対値がFn/2近傍の値以上となる帯域の高周波数成分を取り出すよう設計しておき、スペクトル強度SPHで表されるような形状の周波数スペクトルを持つ入力画像に対しては利得の値を小さくし、スペクトル強度SPLで表されるような形状の周波数スペクトルを持つ入力画像に対しては利得の値を大きくしてもよい。
【0036】
別の言い方をすれば、入力画像D0の周波数スペクトルがどの程度の周波数帯域まで広がっているか、あるいは所定の周波数帯域まで広がっているかを表す信号を求めることで、入力画像D0の解像度に応じた画像処理を行うことができる。
【0037】
ところが、入力画像D0の周波数スペクトルを正確に計算するためには入力画像D0をフーリエ変換する必要があり、演算量が膨大になる。したがって入力画像D0の周波数スペクトルの広がり方に応じて画像処理演算部2の演算内容を変更する処理を実現するためには、フーリエ変換以外の方法で入力画像D0の周波数スペクトルの広がりを推定する方法が必要である。
【0038】
本発明の実施の形態1の画像分析部1によれば簡単な演算で入力画像D0の周波数スペクトルの広がりを見積もることができる。よって本発明の実施の形態1の画像処理装置では、入力画像D0の周波数スペクトルの広がり方に応じて画像処理演算部2の演算内容を変更することが可能になる。
【0039】
入力画像D0をフーリエ変換することに比べ、画像分析部1の演算量が少ないことは、実施の形態1の説明から当業者には明らかである。よって、以下では、画像分析部1によって入力画像D0の周波数スペクトルの形状を見積もることができることを説明する。
【0040】
図7と図8は入力画像D0の画素値を水平方向に13画素分プロットしたデータを表す折れ線である。ここで図7は画素値の変化に、±Fn程度の周波数で表される正弦波で近似できる変化が多く含まれている場合の例であり、図8は画素値の変化に、±Fn/2程度の周波数で表される正弦波で近似できる変化が多く含まれている場合の例である。なお、図7と図8では、入力画像D0の画素間の距離をLで表している。
【0041】
以下、特徴量計算部11は図7と図8に示された画素のうち水平座標が1であるものから10であるものまでに対して、先に説明した手順で注目画素群を設定し、代表差分値D11を求めるものとする。自分の画素値から座標が大きい画素の画素値を引いた差分量を、図7に対して求めると、図9となる。図8に対して差分量を求めたものが図10である。
【0042】
図9に示す差分量から分かるように、図7で示された画素値の例で連続する3個の差分量の符号が交互(+−+、または−+−)になり、代表差分値D11がゼロ以外の値をとる注目画素群は、以下のようになる。
水平座標1で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標2で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標3で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標4で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標5で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標8で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標9で与えられる画素に対して設定される注目画素群
水平座標10で与えられる画素に対して設定される注目画素群
【0043】
この場合、代表差分値D11はゼロ以外の値をとる場合が多いため、代表差分値D11を加算して得られる特徴量合成データD12はある程度大きい値をとる。
【0044】
一方、図10に示す差分量から分かるように、図8に示す例では、以下に示す画素に対して設定される注目画素群から計算される代表差分値D11がゼロ以外の値をとる。
水平座標9で与えられる画素に対して設定される注目画素群
【0045】
この場合、代表差分値D11の値がゼロ以外の値をとる場合が10画素中の1画素しかなく、代表差分値D11を加算して得られる特徴量合成データD12は大きくならない。
以上の例では、入力画像D0の画素値の変化に、周波数の絶対値がFn程度となる正弦波で近似できる成分が多く含まれている場合、特徴量合成データD12の値は大きくなり、入力画像D0の画素値の変化に、周波数の絶対値がFnよりも低い値、例えばFn/2程度となる正弦波で近似できる成分が多く含まれている場合はあまり大きな値とならないことが示されたが、以下の考察によって、入力画像D0の画素値の変化に周波数の絶対値がFn/2程度よりも大きな値となる正弦波で近似できる成分が多く含まれるほど、特徴量合成データD12の値が大きくなることが分かる。
【0046】
入力画像D0に±β*Fnの周波数(注目周波数と呼ぶ、0<β≦1)の成分が含まれる場合には、差分量Sでも注目周波数の成分が含まれる。差分量Sに注目周波数の成分だけが存在すると仮定して、連続する3個の差分量Sの位相は、中央の差分量Sの位相をα(0以上、π未満)とすると、−πβ+α、α、πβ+αになる。3個の差分量Sの符号が交互になる条件は、以下となる。
−π<−πβ+α<0<α<π<πβ+α<2π (1)
(1)式から、以下の(2)式が得られる。
1/2<β≦1 かつ π(1−β)<α<πβ (2)
【0047】
(2)式から、βが1/2より大きければ、βが1に近いほど大きな確率(β=1では、ほぼ100%)で3個の差分量Sの符号が交互になることが分かる。差分量Sに注目周波数の成分だけが存在する場合には、絶対値がFn/2以下の注目周波数では、連続する3個の差分量Sの符号が交互になることは発生しないことを示している。実際には、注目周波数以外の周波数が入力画像D0に含まれており、絶対値がFn/2以下の周波数だけでも、連続する3個の差分量Sの符号が交互になる場合が発生する。ただし、周波数が低いほど、連続する3個の差分量Sの符号が交互になる場合が発生する確率は小さくなる。
【0048】
複数の周波数の信号が存在するため、絶対値がFn/2以下の周波数の信号成分だけでも連続する3個の差分量Sの符号が交互になる場合について、考察する。注目周波数と、もう1つの周波数(周波数γFn、位相δ)の2つの信号が存在する場合を考える。
S(x)=sin(πβ*x+α)+b*sin(πγ*x+δ) (3)
ここに、xは画素位置である。xが1違う画素は、互いに隣接する。γが十分に小さく、注目周波数の1周期ではほとんど変化しないとして、(3)式の右辺第2項を変数(−c)に置き換えると、以下のようになる。
S(x)+c=sin(πβ*x+α) (4)
なお、(3)式では1個の周波数γFnだけを示したが、低周波成分(βの数分の1程度以下の周波数すべて)の影響を変数cとして表すことができる。なお、差分量Sは画素値の1次微分に相当する量なので、低周波数であるほど、同じ振幅でも差分量Sの値は小さくなる。図6に示すようなスペクトル分布を前提としているので、βが大きくなるほど、より大きな周波数が低周波成分に含まれるようになり、変数cも大きな値を取りうることになる。
【0049】
図11に、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置で画素値の差分の符号が交互になることへの低周波成分の影響を説明する図である。図11では、x=0付近での(4)式の様子を図に示す。図11では、x=−1、0、1の3画素での差分量S(x)の符号は−+−となる。詳細は省略するが、3画素で差分量の符合が交互になる条件は、以下である。
π(1−β)/2<α≦π/2で、sin(πβ+α)<c<sin(α) (5A)
π/2≦α<π(1+β)/2で、sin(−πβ+α)<c<sin(α) (5B)
【0050】
(5A)、(5B)式から、βが0に近い値であっても3画素で差分量の符号が交互になる場合があり、βが大きいほど、3画素で差分量の符合が交互になるαの範囲が大きく、αを固定して考えると変数cの範囲も大きいことが分かる。また、αがπ/2に近いほど、βが同じでも3画素で差分量の符合が交互になる変数cの範囲が大きくなる。
代表差分値D11の値は、0に近いβに対応する周波数の影響も入るが、βが1/2よりも十分に大きい周波数の影響と比較すると、0に近いβに対応する周波数の影響の大きさはかなり小さくなる。
【0051】
以上のことから、連続する3個の差分量Sの符号が交互になる場合にゼロで無い値をとる解像度判別信号D1は、絶対値がFn/2程度以上(Fn/2よりも小さい周波数も含む)の周波数を、周波数が大きいほど大きな値になる重み係数で重み付け加算した値を求めることを意味することが分かる。そして、特徴量合成データD12は、入力画像D0の画素値の変化に周波数の絶対値がFn/2程度以上の周波数の正弦波で近似できる成分が多く含まれるほど大きな値になることが分かる。
さらに解像度判別信号D1は特徴量合成データD12に対し単調非減少の関係があるので、解像度判別信号D1も、入力画像D0の画素値の変化に周波数の絶対値がFn/2程度以上の周波数の正弦波で近似できる成分が多く含まれるほど大きな値になる。また、入力画像D0の画素値の変化に周波数の絶対値がFn/2程度以上の周波数の正弦波で近似できる成分が多く含まれる場合、入力画像D0の周波数スペクトルは、周波数の絶対値がFn/2以上の値となる帯域まで広がっている。したがって解像度判別信号D1の値によって、入力画像D0の周波数スペクトルがどの程度の周波数帯域まで広がっているか見積もることができる。
【0052】
また、解像度判別信号D1の値によって入力画像D0の周波数スペクトルがどの程度の周波数帯域まで広がっているか見積もることができるので、解像度判別信号D1を用いることで、入力画像D0の周波数スペクトルに適した画像処理を行うことが可能になる。
【0053】
上記の説明では、入力画像D0の画素値の変化に周波数の絶対値がFn/2程度以上の周波数の正弦波で近似できる成分が多く含まれる場合に、解像度判別信号D1の値が大きな値をとるものであったが、解像度判別信号D1が反応する周波数帯域はこの例に限定されるものではない。注目画素群の構成を変えることで周波数の絶対値がFn/2よりも小さい周波数帯域を、解像度判別信号D1が反応する周波数帯域とすることができる。
【0054】
以下、入力画像D0の周波数スペクトルに、周波数の絶対値がFn/4程度以上でFn/2程度以下となる帯域の周波数成分がどの程度あるかを判断する場合を例に説明する。この場合、領域R内の各画素に対して与えられる注目画素群を、自身を起点として水平方向に2画素間隔で並ぶ4点の画素とすればよい。
【0055】
すなわち、(u,v)で表される画素に対して設定される注目画素群は、(u,v)、(u+2,v)、(u+4,v)、(u+6,v)という4個の画素を有することになる。
また、注目画素群画素値データDAは4個の画素値d(u,v)、d(u+2,v)、d(u+4,v)、d(u+6,v)を有する。
さらに、差分データDBは以下の式で表される3個の差分量S(1)、S(2)、S(3)を有する。
S(1)=d(u+2,v)−d(u,v)
S(2)=d(u+4,v)−d(u+2,v)
S(3)=d(u+6,v)−d(u+4,v)
【0056】
入力画像D0の周波数スペクトルに、周波数の絶対値がFn/4程度以上でFn/2程度以下となる帯域の周波数成分のうち、特に周波数が±Fn/2近傍の成分が多い場合に、図8に示すように、入力画像D0の画素値の変化には、周期が4L程度の正弦波で近似できる変化が見られる。図8の画素値の場合で、2個右の画素の画素値との差分を取ったものを、図12に示す。
【0057】
図12から分かるように、図8の水平座標が1であるものから7であるものまでに対し、代表差分値D11を求めた場合、以下に示す注目画素群から計算される代表差分値D11がゼロ以外の値をとる。
水平座標1
水平座標2
水平座標4
水平座標6
【0058】
1画素間隔で差分をとる場合と比較して、2画素間隔で差分をとることにより、代表差分値D11がゼロ以外の値をとる機会が増えたことがわかる。それに合わせ、特徴量合成データD12もある程度の値を持ち、解像度判別信号D1の値も大きくなることも明らかである。よって、解像度判別信号D1から、入力画像D0の周波数スペクトルが、周波数の絶対値がFn/4程度以上でFn/2程度以下の周波数の正弦波で近似できる成分がどの程度あるかを判断できることが分かる。
【0059】
以上の例から、領域R内の各画素に対して与えられる注目画素群を、自身を起点として水平方向に2画素間隔で並ぶ4点の画素とすることで、入力画像D0の周波数スペクトルが、少なくとも周波数が±Fn/4程度以上から±Fn/2の近傍の値をとる帯域まで広がっているか判断できることがわかる。
【0060】
以上の説明から、画像分析部1で、入力画像D0の周波数スペクトルが、どの程度の帯域の周波数領域まで広がっているか判断する際、判断したい周波数帯域によって、注目画素群を構成する画素の間隔を適宜設定してやればよいことがわかる。特に、判断したい周波数帯域がより低周波数側に近づく程、注目画素群を構成する画素の間隔を広くすればよい。
【0061】
また、上記の説明では注目画素群を構成する画素数は4であったが、その画素数は3または5以上でもよい。注目画素群を3画素で構成する場合には、より大きな解像度判別信号D1が得やすくなる。ただし、周波数の絶対値がFn/2以下の成分も解像度判別信号D1に4画素の場合より大きな割合で寄与することになる。注目画素群を5画素以上で構成する場合には、周波数の絶対値がFnから離れた成分の寄与が4画素の場合よりも小さくなり、周波数の絶対値がFnにより近い成分を大きな重みで解像度判別信号D1に寄与させることができる。5画素を使用する場合には、周波数の絶対値がFn*(2/3)程度以上の周波数をおもに検出することになる。
さらに、注目画素群を水平方向に並ぶ画素で構成したが、垂直方向に並べてもよく、水平方向にP画素で垂直方向にQ画素というような斜め方向に所定の間隔で配置された画素により注目画素群を構成するようにしてもよい。
【0062】
注目画素群の各画素は等間隔でなくてもよく、注目画素(u,v)に対して、例えば(u,v)、(u+2,v)、(u+3,v)、(u+4,v)、(u+6,v)などを注目画素群としてもよい。その場合には、4個の差分量に対するパターンを+または−の符号を4個並べて表現するとして、+−−+、−++−の場合に、代表差分値D11がゼロでない値をとるようにする。このように、代表差分値D11がゼロでない値をとるための差分データDBに対する所定のパターンは、注目画素群を構成する画素の配置に応じて、所定の周波数以上の周波数の信号成分が含まれることを検出できるように決めればよい。
【0063】
注目画素を注目画素群の端の画素としたが、注目画素(u,v)は必ずしも端でなくてもよい。例えば、(u−1,v)、(u,v)、(u+1,v)、(u+2,v)を注目画素群としてもよい。また、注目画素群の中に注目画素が含まれなくてもよい。例えば、(u−1,v)、(u+1,v)、(u+3,v)、(u+5,v)を注目画素群としてもよい。注目画素群は、注目画素を基準として、所定の方向に所定の間隔で位置する複数の画素であればよい。
【0064】
上記をさらに一般化して言えば、画素選択部111は、領域R内に含まれる画素ごとにその画素を注目画素とし、注目画素を基準として、所定の方向に所定の間隔で並ぶN個の画素を注目画素群として選択すればよい。このとき、注目画素群画素値データDAは注目画素群を構成するN個の画素が持つN個の画素値となる。
また、注目画素群画素値データDAを構成するN個の画素値を注目画素に近い画素の画素値から順に1からNの整数値をとる変数jを用いてD(j)と表した場合(つまり注目画素の画素値がD(1)となり、注目画素から最も遠い画素の画素値がD(N)となる)、差分データDBはN−1個の差分量からなり、この差分量を1からN−1の整数値をとる変数kを用いてS(k)で表した場合、S(k)は以下の式で表される。
S(k)=D(k+1)−D(k)
さらに、代表差分計算部113が出力する代表差分値D11は、差分量S(k)をkの順(kが小さいまたは大きい順)に並べた場合に、所定のパターン(例えば、正の値と負の値が交互に現れる)である場合は正の値、例えば差分量S(k)の絶対値の最小値であり、それ以外の場合はゼロであればよい。
【0065】
なお、代表差分計算部113に対する変形例として、差分量S(k)をkの順に並べた場合に、正の値と負の値が交互現れる場合であっても、差分量S(k)の絶対値の最小値が第1の閾値以下の場合は代表差分値D11としてゼロを出力するという条件を加えてもよい。
【0066】
この場合、入力画像D0に含まれるノイズによる影響を取り除くことができる。すなわち、入力画像D0中にノイズが含まれていた場合、入力画像D0中に微小な振幅での画素値(あるいは輝度)の振動が見られる。このような微小な画素値の振動を含む領域が注目画素群として画素選択部111で設定された場合、代表差分計算部113からは、ゼロ以外の値が出力されうる。
【0067】
しかしながら、注目画素群に含まれる画素値の変化は微小な振動であるので、差分量S(k)の絶対値も小さな値であると考えられる。したがって、差分量S(k)をkの順に並べた場合に、正の値と負の値が交互現れる場合であっても、差分量S(k)の絶対値の最小値が所定の閾値(ゼロ同等閾値と呼ぶ)以下の場合は代表差分計算部113がゼロを出力することで、ノイズによる微小な画素値の振動が原因となって、代表差分計算部113から、ゼロ以外の値が出力されることを未然に防ぐことができる。言い換えると、入力画像D0に含まれるノイズによる影響を取り除くことができる。なお、ゼロ同等閾値は、想定する多くの入力画像に対して適切な出力画像が得られるように調整する。
【0068】
また、代表差分計算部113に対する変形例として、差分量S(k)をkの順に並べた場合に、正の値と負の値が交互現れる場合であっても、差分量S(k)の絶対値の最小値が所定の閾値(上限差分値と呼ぶ)以上の場合は代表差分値D11として固定値例えば上限差分値を出力するという条件を加えてもよい。なお、上限差分値は、想定する多くの入力画像に対して適切な出力画像が得られるように調整する。
【0069】
この場合、入力画像D0に人為的に加えられた模様が含まれた場合、その人為的に加えられた模様の影響を取り除くことができる。
【0070】
自然の風景などを撮像して得られた自然画像に対し、人為的に後から文字列などを合成したものが入力画像D0として入力された場合を考える。ここで、入力画像の画素値は8ビットのデータとする。すなわち画素値の上限は255で下限は0である。
通常、自然の風景などを撮像して得られた自然画像では画素値が局所的に激しく変化することは少ないため、代表差分値D11も、画素値の上限値と下限値の差に比べればそれよりはかなり小さい値をとることの方が多い。一方、人為的に後から追加される情報、例えば文字列などは、識字性をよくするために、該当箇所では画素値の上限値と下限値の間の大きな範囲で画素値を変化させるため、画素値が局所的に激しく変化する。よって、代表差分値D11も極端に大きな値を取りやすい。
【0071】
以上のことを踏まえると、代表差分値D11を加算して特徴量合成データD12を計算する場合、入力画像D0中に例えば文字列のような人為的に合成された模様があると、該当箇所からは、代表差分値D11として他よりも大きな値が出力されるため、特徴量合成データD12の計算に対して、より大きな影響を持つことが懸念される。
【0072】
一方、代表差分値D11を計算する際に、差分量S(k)をkの順に並べた場合に、正の値と負の値が交互現れる場合であっても、差分量S(k)の絶対値の最小値が上限差分値以上の場合は代表差分値D11として固定値、例えば上限差分値を出力することで、入力画像D0に人為的な模様が加えられた模様があったとしても、該当箇所から出力される値は大きくても上限差分値までなので、代表差分値D11として極端に大きな値が出力されることを防止できる。
【0073】
したがって、代表差分値D11を加算して特徴量合成データD12を計算する場合に、入力画像D0中に人為的に合成された模様があったとしても、該当箇所からは、代表差分値D11として他よりも極端に大きな値が出力されるのを未然に防ぐことができる。言い換えると、入力画像D0中に人為的に合成された模様があったとしても、該当箇所が特徴量合成データD12の計算に与える影響をある程度抑えることが可能になる。
【0074】
また、上記の例では、代表差分計算部113は、差分量S(k)をkの順に並べた時に、正の値と負の値が交互に現れた場合、ゼロでない出力値として、差分量S(k)の絶対値の最小値をもとに出力値を決定しているが、正の値と負の値が交互に現れた場合、ゼロ以外の固定値を出力するようにしてもよい。
【0075】
また、画像処理演算部2が行う画像処理は強調処理に限定されず、その他の処理、例えばノイズ除去処理を行ってもよい。
【0076】
単純なノイズ除去処理は低周波数成分通過フィルタを利用することで実現する。例えば、低周波数成分通過フィルタによって入力画像D0の高周波数成分を除去することで、ノイズ除去処理の効果が得られる。
この時、入力画像D0によってその周波数スペクトルが変化しうるので、入力画像D0の周波数スペクトルの広がりを解像度判別信号D1によって推定し、その結果に応じて低周波数成分通過フィルタの周波数応答を適宜変化させることで、入力画像D0の周波数スペクトルの形状に適したノイズ処理が可能になる。
【0077】
他にも、低周波数成分通過フィルタによって入力画像D0の低周波数成分のみを取り出した画像と、入力画像D0にそれぞれ異なる重み係数をかけた後、加算することでも、ノイズ除去処理とすることができる。この場合も、低周波数成分通過フィルタの周波数応答を解像度判別信号D1によって変化させればよい。あるいは、低周波数成分のみを取り出した画像と入力画像D0のどちらかまたは両方の重み係数を解像度判別信号D1によって変化させてもよい。
【0078】
さらに、差分量S(k)の絶対値が所定値よりも小さい場合にゼロとして扱い、差分量S(k)にゼロが含まれる場合は、正の値と負の値が交互に並ぶという条件が成立しないと判断するようにしてもよい。差分量S(k)をゼロと判断する所定値は、想定されるノイズまたは計算誤差と同程度の値に決めれば、ノイズや計算誤差の影響を除去できる。そして、所定値から決まる所定の周波数以下の信号成分が、ゼロでない代表差分値を出力することに寄与しなくなる。所定値が大きくなれば、所定の周波数も大きくなる。その理由は、所定の周波数以下の信号しか含まれない場合でも、差分量S(k)が正の値と負の値が交互に並ぶ条件が発生する確率はゼロではないが、所定の周波数が小さいほどゼロでない代表差分値が小さくなるからである。
また、差分量S(k)がゼロもとりうる場合に、正またはゼロの値と負またはゼロの値が交互に並ぶことを条件に、ゼロでない代表差分値を出力するようにしてもよい。差分量Sがゼロで条件を満足する場合は、所定値の所定倍(例えば、0.5倍)を代表差分値とする。
【0079】
注目画素群の設定の仕方が異なる複数の特徴量検出部を備え、複数の特徴量検出部が出力する複数の特徴量(実施の形態1では、代表差分値)から入力画像の解像度を判別するようにしてもよい。複数の画像分析部を備え、複数の解像度判別信号から入力画像の解像度を判別するようにしてもよい。
以上のことは、他の実施の形態でも適用できる。以下の実施の形態で説明することは、その実施の形態だけでなく、他の実施の形態にも適用できる。
【0080】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2による画像処理装置が有する画像分析部の構成図を図13に示す。実施の形態1による画像処理装置と比較した場合、画像分析部1Aは、異なる特徴量計算部11Aと特徴量合成部12Aを有する。
【0081】
図14は特徴量計算部11Aの構成を表す図である。特徴量検出部11Aは、画素選択部111、差分検出部112、代表差分計算部113、代表輝度計算部114を有する。なお、画素選択部111、差分計算部112、代表差分計算部113の動作は実施の形態1と同様である。
【0082】
代表輝度計算部114は、注目画素群画素値データDAを構成するN個の画素値D(j)から、N個の画素値D(j)を代表する代表輝度値DCを求めて出力する。代表輝度値DCは、注目画素群の中の隣接する2個の画素の組の中で画素値の差の絶対値が最小になる組の大きい方の画素値である。
【0083】
ここで、注目画素群画素値データDAを構成するN個の画素値D(j)の表記法は実施の形態1と同様とする。すなわち、jは1からNの整数値をとる変数であり、D(1)は注目画素の画素値を、D(N)は注目画素群を構成する画素のうち、注目画素から最も離れた位置にある画素の画素値になる。
【0084】
代表輝度計算部114の動作についてさらに詳しく説明する。
代表輝度計算部114は、差分計算部112が出力する差分量S(k)の絶対値が、差分量S(T)において最小値をとるとすると、画素値D(T+1)と画素値D(T)のうち大きい方の値を代表輝度値DCとして出力する。なお、注目画素群画素値データDAを変更するごとに、代表輝度値DCも変更することになる。
特徴量計算部11Aからは、代表差分値D11と代表輝度値DCが出力される。
【0085】
次に、特徴量合成部12Aの動作について説明する。
特徴量合成部12Aは代表差分値D11を重み付け加算することで特徴量合成データD12Aを求める。代表差分値D11に対する重みは、代表輝度値DCに基づいて決められる。より具体的に書くと、代表輝度値DCに対して単調非増加である関係で求められる重み係数KAを、代表差分値D11に乗じた値を加算することで、特徴量合成データD12Aを求める。
【0086】
なお、代表輝度値DCとして、DC0とDC1という二つの値を考え、DC0という値に対して求められる重み係数KAの値をKA0、DC1という値に対して求められる重み係数KAの値をKA1で表した場合に、DC0<DC1であれば、KA0≧KA1となる関係が満たされる場合、係数KAは代表輝度値DCに対して単調非増加である関係で求められるという。
【0087】
ここで、注目画素群画素値データDAは、入力画像D0内の領域Rを構成する画素ごとに与えられるので、代表差分値D11および代表輝度値DCは、入力画像D0内の領域Rを構成する画素ごとに求められる。図4で水平座標がu、垂直座標がvで表される画素に関して求められた代表差分値D11をD11(u,v)、代表輝度値DCをDC(u,v)で表し、代表輝度値DC(u,v)から求められる重み係数KAをKA(u,v)と表した場合、特徴量合成データD12Aは以下の式で表される。
【0088】
【数1】

【0089】
図15は、上記のように定義される単調非増加である関係を満たす代表輝度値DCと重み係数KAの関係の例である。図15(A)の例では、代表輝度値DCの値が大きくなれば、重み係数KAの値は必ず小さくなる。また、図15(B)の例では代表輝度値DCの値が0以上かつ閾値th11未満の場合はKA1という値を、代表輝度値DCの値が閾値th11以上かつ閾値th12未満の場合はKA2という値を、閾値th12以上の場合は第3のKA3という値をとり、KA3<KA2<KA1という関係にある。
【0090】
以下、実施の形態2による画像処理装置の効果について図16と図17を用いて説明する。図16は、入力画像を得るための環境の一例を表す図である。図17は、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置で異なる明るさで撮像された入力画像D0について考察する図である。
【0091】
図16で、入力画像D0は、照明U000から照射される照明光L000が壷である被写体U001上で反射した反射光L001を撮像装置U002で撮像することで得られ、入力画像D0の画素値は、照明光U000の明るさDU0、被写体U001の反射率DU1、撮像装置U002の感度DU2の積で表される。
【0092】
つまり、入力画像D0上で(u,v)で表される画素に対応した位置に相当する被写体U001の反射率をDU1(u,v)で表すと、入力画像D0上で(u,v)で表される画素の画素値d(u,v)は、以下の式で表される。
d(u,v)=DU0*DU1(u,v)*DU2 (7)
【0093】
以上の関係を前提として、同一の撮像装置で、同一の被写体を、照明の明るさを変えて撮像した場合を用いて考える。
【0094】
再び図16を用いて説明する。図16には、被写体U001を撮像装置U002で撮像して得た入力画像D0上で、直線上に並ぶ画素として現れる箇所を対象Q001として表している。
【0095】
図17(A)は対象Q001の反射率をプロットした図であり。水平軸方向に、入力画像D0の画素間隔と同じ間隔で対象Q001の反射率がプロットしてある。
【0096】
図17(B)、(C)は対象Q001に対して得られる入力画像D0の画素値を表しているが、図17(B)に示す画素値は、図17(C)に示す画素値を得た場合よりも、照明光L000の明るさDU0が大きな値の場合のものとなっている。
【0097】
以下、画素選択部111が、入力画像D0上の各画素を起点として水平方向に連続する4画素を注目画素群として設定する場合を考える。
【0098】
図17(B)、(C)に示した例で、水平座標が2で表される画素を起点に設定される注目画素群に関して計算される代表差分値D11について述べる。この注目画素群では、水平座標が2で表される画素の画素値と水平座標が3で表される画素の画素値の差の絶対値が、代表差分値D11として出力される。
【0099】
この時、代表差分値D11は以下の(8)式で表される。
D11=DU0*(DU1(2)−DU1(3))*DU2 (8)
なお、DU1(2)は図17(A)で水平座標が2で表される点の反射率、DU1(3)は図17(A)で水平座標が3で表される点の反射率とする。
【0100】
ここで図17(B)に示された例と図17(C)に示された例を考えると、図17(B)に示す例の方が照明光D000の明るさDU0が大きな値となっているため、代表差分値D11も図17(B)に示す例の方が大きくなる。
【0101】
上記の例をさらに一般化して考えると、例え同じ被写体を同じ撮像装置で撮像して得た入力画像であっても、被写体を撮像した際の照明光が明るくなる程、代表差分値D11の値も大きな値となる。
【0102】
よって、代表差分値D11を単純に加算して特徴量合成データD12を求めると、例え同じ被写体を同じ撮像装置で撮像して得た入力画像であっても、照明光が明るい環境で得られた入力画像に対して計算される特徴量合成データD12の方が、照明光が暗い環境で得られた入力画像に対して計算される特徴量合成データD12よりも大きな値になる。
【0103】
一方、同じ被写体を同じ撮像装置で撮像して得た入力画像であれば、照明光の明るさに関係なく、入力画像の周波数スペクトルの広がりは同じ程度と考えられる。したがって、特徴量合成データD12から入力画像の周波数スペクトルの広がりを判断するためには、同じ被写体を同じ撮像装置で撮像して得られた入力画像であれば、照明光の明るさに関係なく、特徴量合成データD12も同程度の値になることが望ましい。
【0104】
実施の形態2の画像処理装置では、代表差分値D11を加算して特徴量合成データD12を求める際に、代表輝度値DCによって求められる重み係数KAを用いた重み付けを行うので、照明光の明るさに関係なく、特徴量合成データD12も同程度の値になると期待される。以下、図17(B)、(C)を用いて代表輝度値DCによる重み付けを行うことの効果について述べる。
【0105】
まず、図17(B)、(C)に示した例で、水平座標が2で表される画素を起点に設定される注目画素群に関して計算される代表輝度値DCについて述べる。
【0106】
図17(B)、(C)に示した例ではいずれの場合も水平座標が2で表される画素の画素値が代表輝度値DCとなる。この時、代表輝度値DCは以下の(9)式で表される。
DC=DU0*DU1(2)*DU2 (9)
【0107】
ここで図17(B)に示された例と図17(C)に示された例を考えると、図17(B)に示す例の方が照明光D000の明るさDU0が大きな値となっているため、代表輝度値DCも図17(B)に示す例の方が図17(C)に示す例より大きくなる。
【0108】
よって、水平座標が2で表される画素を起点に設定される注目画素群に関して、代表輝度値DCから求められる重み係数KAは図17(B)に示す例の方が図17(C)に示す例よりも小さな値になる。
【0109】
上記の例をさらに一般化して、実施の形態2で説明した方法で特徴量合成データD12を計算する場合を考える。
同じ被写体を同じ撮像装置で撮像して得た入力画像であっても、被写体を撮像した際の照明光が明るくなる場合、代表差分値D11(u,v)の値は大きな値となる。一方で、重み係数KA(u,v)は小さな値となる。
よって、代表差分値D11(u,v)と重み係数KA(u,v)の積を考えると、被写体を撮像した際の照明光が明るくなり、代表差分値D11(u,v)が大きくなったとしても、それに合わせ重み係数KA(u,v)の値は小さくなるので、両者の積は被写体を撮像した際の照明光の明るさの影響を受けにくいと考えられる。
したがって、実施の形態2で説明した方法で計算される特徴量合成データD12では、被写体を撮像した際の照明光が明るさに関係なく、同じ被写体を同じ撮像装置で撮像して得た入力画像に対しては、ほぼ同じ値を出力すると期待できる。被写体を撮像した際の照明光の明るさに関係なく、特徴量合成データD12からから入力画像D0の周波数スペクトルの広がりを判断することが可能になる。
【0110】
上記の効果を言い換えると、実施の形態2の画像処理装置では、実施の形態1の画像処理装置に追加し、代表輝度計算部114を設け、注目画素群画素値データDAを代表する代表輝度値を代表輝度値DCとして出力し、特徴量合成データD12Aを計算する際に、代表差分値D11に加え、代表輝度値DCを用いて重み係数を求め、代表差分値D11に重み係数を掛けて特徴量合成データD12Aを計算することとしたので、入力画像D0を取得する際の照明光の明るさによる影響を十分に小さくして、特徴量合成データD12から、入力画像D0の周波数スペクトルの広がりを判断することが可能となる。
【0111】
なお、代表輝度値DCの求め方は上記のものに限らず、注目画素群データDAを構成する画素の画素値が大きくなった場合、それに合わせて大きくなるものであればよく、例えば、注目画素群データDAを構成する画素の画素値の平均値などでもよい。
【0112】
実施の形態3.
図18は実施の形態3による画像処理装置の構成を表す図である。一般に動画はフレームに相当する複数の画像に分解できるが、実施の形態3による画像処理装置へは、入力画像D0として、上記のフレームに相当する画像が入力される。したがって、図18に示された入力画像D0は、動画の1フレーム分に相当する画像であって、入力画像D0は時間の経過によって変化する。
【0113】
画像分析部1の構成、動作は実施の形態1と同様であるのでその説明は省略する。なお、実施の形態2と同様にしてもよい。ただし、画像分析部1への入力画像D0は時間により変化するので、画像分析部1が出力する解像度判別信号D1も時間によって変化する。
【0114】
時系列分析部3は、画像分析部1から出力される解像度判別信号D1を用いて生成した累積加算解像度D3を出力する。画像処理演算部2は、入力される累積加算解像度D3の値に応じて、その処理を変化させる。
【0115】
時系列分析部3は、解像度判別信号D1を入力として、時系列処理後解像度判別信号である累積加算解像度D3を出力する。ここで累積加算解像度D3は、解像度判別信号D1の値によってその値が増減する。すなわち、解像度判別信号D1の値が第1の閾値th31Aより大きい値であった場合、累積加算解像度D3はその値が増え、解像度判別信号D1の値が第2の閾値th31Bより小さい値であった場合、累積加算解像度D3はその値が減り、解像度判別信号D1の値が第1の閾値th31A以下かつ第2の閾値th31B以上であった場合、累積加算解像度D3はその値を維持する。なお、第1の閾値th31Aが、第2の閾値th31Bよりも大きい。
【0116】
ただし、累積加算解像度D3の取りうる値には上限値が設けてあり、上記の演算によって得られる値が上限値を上回る場合は、上記の演算によって得られる値の代わりに上限値を出力する。さらに、累積加算解像度D3の取りうる値には下限値も設けてあり、上記の演算によって得られる値が下限値を下回る場合は、上記の演算によって得られる値の代わりに下限値を出力する。累積加算解像度D3に対する上限値と下限値を、第1の上限値及び第1の下限値とも呼ぶ。
累積加算解像度D3を増加または減少させる場合に1フレームで変化させる量は、上限値と下限値の差分を変化するのに要する時間が視聴者にとって自然に感じられるように設定する。
【0117】
図19と図20を用いて時系列分析部3が有ることによる効果を説明する。図19は実施の形態3による画像処理装置の利用方法を例により説明する図である。実施の形態3による画像処理装置は動画表示装置U101の内部で使用される。すなわち動画表示装置U101へ入力された動画である動画D100の各フレームを構成する画像は、実施の形態3による画像処理装置で処理をうけた後、動画表示装置U101が備えたモニタ上へ出力される。なお、動画D100は動画再生装置U100から出力される。
動画再生装置U100はDVD−Videoフォーマットで記録された動画(以下DVD映像)とBDMVフォーマットで記録された動画(以下BD映像)を再生できる。また、動画D100の画素数は、水平方向に1920画素で垂直方向に1080画素に固定されている。
【0118】
BD映像の画素数は水平方向に1920画素で垂直方向に1080画素である。よってBD映像を再生する際、動画D100の各フレームに相当する画像は拡大処理をうけずに出力される。一方、DVD映像の画像解像度は水平方向に720画素で垂直方向に480画素である。よってDVD映像が再生される場合、動画D100の各フレームに相当する画像は、動画再生装置U100内部で拡大処理を受けてから出力される。つまりDVD映像が再生される場合、動画D100の各フレームに相当する画像の周波数スペクトルの範囲は、BD映像が再生される場合と比べて狭い。
【0119】
入力画像D0の周波数スペクトルがBD映像の各フレームに相当する画像に対して期待される程度に広がっているかを検出するよう画像分析部1は設定されているとし、解像度判別信号D1、累積加算解像度D3の変化の様子を、図20を用いて説明する。図20は、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置が有する時系列分析部の動作を説明する図である。図20(A)は、時間経過に対して解像度判別信号D1の変化を表す図であり、図20(B)は、時間経過に対して累積加算解像度D3の変化を表す図である。なお、解像度判別信号D1と累積加算解像度D3の下限値は0とする。
【0120】
図20(A)に示す時刻T2までは動画再生装置U100からBD映像が出力され、時刻T2以降はDVD映像が出力されるとする。この場合、解像度判別信号D1は、時刻T2までは比較的高い値を保ちながらその値を変化させ、時間T2以降は0に近い値を保ちながらその値を変化させる。
【0121】
よって第1の閾値th31Aと第2の閾値th31Bの値を適切に設定すれば、解像度判別信号D1の値は時刻T2までは第1の閾値th31Aよりも大きくなり、時刻T2以降は第2の閾値th31Bより小さくなる。
【0122】
この場合、累積加算解像度D3は図20(B)に示すように変化する。
まず、解像度判別信号D1の値は時刻T2までは第1の閾値th31Aより高い値を維持しながら推移するので、累積加算解像度D3もその値を増加させていき、時刻T2よりも前の時刻T1で上限値に達する。
一方、解像度判別信号D1の値は時刻T2以降、第2の閾値th31Bより小さい値を維持しながら推移するので、時刻T2以降は累積加算解像度D3もその値を減少させていき、時刻T3で下限値に達する。
【0123】
以下、画像処理演算部2が解像度判別信号D1または累積加算解像度D3に基づいて、入力画像D0に対する画像処理の動作を変化させる場合を考える。
【0124】
解像度判別信号D1の値は図20(A)に示すように、時間に対してある程度の範囲で変化する。したがって画像処理演算部2で行う画像処理の内容も時間に対して変化する。
以下、画像処理演算部2は実施の形態1で説明した内容と同様の強調処理を行うとして、説明する。
【0125】
図21は、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の動作を例により説明するための入力画像D0を模式的に表した図であり、主な被写体としてビルである被写体A000、樹木である被写体A001、自動車である被写体A002が存在する。ここで被写体A002は移動しており、フレームによって現れる位置が異なり、被写体A000、被写体A001は移動しておらず、どのフレームでも現れる位置は同じであるとする。
【0126】
図21に示した入力画像D0に強調処理を行うと、被写体A000、被写体A001、被写体A002と背景の境界部分にはオーバーシュートやアンダーシュートが発生する場合がある。
【0127】
図22は、画像処理装置における強調処理で発生するオーバーシュートとアンダーシュートについて説明する図である。図22(A)は被写体A000と背景の境界部分を含むような位置で入力画像D0の画素値の変化を画像の水平方向に沿ってプロットした図である。被写体A000と背景の境界部分のうち、背景側に含まれる画素の水平座標がP0002で、被写体A000側に含まれる画素の水平座標がP0003で表されている。背景部分の画素値はおおよそD0001であるとし、被写体A000に相当する部分の画素値はおおよそD0004であるとする。
【0128】
図22(B)は、図22(A)に示した画素値の変化に対して高周波数成分通過フィルタが与える出力である。図22(C)は、図22(A)に示した画素値の変化に対して、図22(B)に示した高周波数成分を所定倍した後、加算した結果であり、画像処理部2が出力する出力画像D2の画素値の変化に相当する。
【0129】
図22(C)に示す出力画像D2の画素値の変化を見ると、水平座標がP0001で表される画素から水平座標がP0002で表される画素の間の画素値は周囲の画素が持つおおよその画素値より小さく、水平座標がP0002となる点で画素値は局所的な最小値D0002を取っている。
水平座標がP0003で表される画素からP0004で表される画素の間は周囲の画素が持つおおよその画素値より大きく、水平座標がP0003となる点で画素値は局所的な最大値D0003を取っている。
【0130】
このように、強調処理によって画素値が周辺と比べ小さくなっている箇所をアンダーシュートと呼び、画素値が周辺と比べ大きくなっている箇所をオーバーシュートと呼ぶ。
【0131】
ここで、高周波数成分通過フィルタの周波数応答が変化するとオーバーシュートやアンダーシュートの強さや幅が変化することが知られている。
【0132】
なお、オーバーシュートの強さとは、オーバーシュートが発生している区間の画素値の最大値とその周辺の画素値の差であり、図22の例ではD0004とD0003の差になる。オーバーシュートの幅とは、オーバーシュートが発生している区間に含まれる画素数であり、図22の例ではP0004とP0003の差になる。
アンダーシュートの強さとは、アンダーシュートが発生している区間の画素値の最大値とその周辺の画素値の差であり、図22の例ではD0002とD0001の差になる。アンダーシュートの幅とは、アンダーシュートが発生している区間に含まれる画素数であり、図22の例ではP0002とP0001の差になる。
【0133】
以下、解像度判別信号D1によって画像処理演算部2で行う強調処理の設定を変化させる場合を考える。具体的には、解像度判別信号D1によって強調処理で用いる高周波数成分通過フィルタの周波数応答を変化させる場合を考える。
【0134】
先に説明した通り、解像度判別信号D1の値は時間によって変化するので、高周波数成分通過フィルタの周波数応答も時間によって変化する。よって高周波数成分通過フィルタの出力値も時間によって変化する。そして、入力画像D0に対して強調処理を行った場合に発生するオーバーシュートやアンダーシュートの幅や強さも変化する。
【0135】
オーバーシュートやアンダーシュートの幅や強さが時間的に変化すると視覚的に問題となることが知られている。特に、被写体A000や被写体A001のように時間がたっても移動しない被写体と背景の間にオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、さらにその強さや幅が時間によって変化すると、該当部分は、ちらついて見え視覚的に不快に感じられる。
【0136】
一方、実施の形態3による画像処理装置では時系列分析部3から累積加算解像度D3が出力され、累積加算解像度D3に基づいて、画像処理演算部2が入力画像D0に対する画像処理の内容を変化させている。
【0137】
この場合、BD映像が入力されている期間のうち、時刻T1以降や、DVD映像が入力されている期間のうち、時刻T3以降では累積加算解像度D3の値が一定の値を保つため、仮にオーバーシュートやアンダーシュートが発生したとしても、フレーム間でその強さや幅は変化しにくい。
【0138】
つまり、画像処理演算部2が入力画像D0に対して行う画像処理の内容をその画像での解像度判別信号D1によって変化させる場合と比べ、累積加算解像度D3によって変化させる場合には、出力画像にちらつきなど、視覚的な不快感を与えうる要素は発生しにくい。
【0139】
言い換えると、画像処理演算部2が1枚の入力画像D0から得られた解像度判別信号D1に代わり、複数の入力画像D0から得られる複数の解像度判別信号D1を用いて計算した累積加算解像度D3を用いて、入力画像D0に対する画像処理の内容を変化させた方が、出力画像に視覚的な不快感を与えうる要素が発生しにくい。
【0140】
なお、上記の説明では、画像処理演算部1は強調処理を行うこととしたが、その他の処理、例えばノイズ除去処理を行ってもよい。
【0141】
実施の形態4.
実施の形態4による画像処理装置は実施の形態3による画像処理装置と同様の構成で実現する。ただし、時系列分析部3の代わりに時系列分析部3Aを用いる点が、実施の形態3による画像処理装置と異なる。図23は、実施の形態4による画像処理装置における時系列分析部3Aの構成を表す図である。
【0142】
時系列分析部3Aは、実施の形態3での時系列分析部3と同様な動作をする累積加算部31と、累積加算部31が出力する累積加算解像度判別信号である累積加算解像度D3が入力される履歴補正部32を有する。時系列分析部3Aからは、履歴補正部32が出力する履歴補正解像度D3Aが出力される。履歴補正解像度D3Aが時系列処理後解像度判別信号である。
【0143】
履歴補正部32の動作について説明する。図24は、履歴補正部32の動作を説明するための図である。履歴補正部32は図24に示した特性にしたがって、履歴補正解像度D3Aの値を増減させる。
まず、履歴補正部32は、一旦、累積加算解像度D3の値が第3の閾値th41Aを上回ると累積加算解像度D3の値が第4の閾値th41Bを下回るまで履歴補正解像度D3Aの値を所定量だけ増加させる。
また、履歴補正部32は、一旦、累積加算解像度D3の値が第4の閾値th41Bを下まわると累積加算解像度D3の値が第3の閾値th41Aを上回るまで履歴補正解像度D3Aの値を所定量だけ減少させる。
なお、図24に示すように、累積加算解像度D3に関する閾値などに関して、上限値>第3の閾値th41A>第4の閾値th41B>下限値の関係がある。
【0144】
ただし、履歴補正解像度D3Aの取りうる値には上限値が設けてあり、上記の演算によって得られる値が上限値を上回る場合は、上記の演算によって得られる値の代わりに上限値を出力する。さらに、履歴補正解像度D3Aの取りうる値には下限値も設けてあり、上記の演算によって得られる値が下限値を下回る場合は、上記の演算によって得られる値の代わりに下限値を出力する。履歴補正解像度D3Aに対する上限値と下限値を、第2の上限値及び第2の下限値とも呼ぶ。
【0145】
履歴補正解像度D3Aを増加または減少させる場合に1フレームで変化させる量は、上限値と下限値の差分を変化するのに要する時間が視聴者にとって自然に感じられるように設定する。ただし、履歴補正解像度D3Aが解像度判別信号D1の変化に追随するまでに要する時間が適切になるように、1フレームでの変化量は相応の大きさを持つ必要がある。図20に示すように、累積加算解像度D3は解像度判別信号D1に数フレーム遅れで追随する。後述の図25に示すように、履歴補正解像度D3Aは累積加算解像度D3よりもさらに数フレーム遅れることになる。追随するまでは不適切な解像度で画像処理演算部が処理するので、視聴者が画像を見にくいと感じる可能性がある。
【0146】
実施の形態4による画像処理装置は、例えば図19に示す環境で実施の形態3による画像処理装置の代わりに用いることができる。以下、実施の形態3と同様の状況で実施の形態4による画像処理装置を用いた場合の作用と効果について図25を用いて説明する。
【0147】
図25は、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置が有する履歴補正部の動作を説明する図である。図25(A)は時間に対する解像度判別信号D1の変化を表す図であり、図25(B)は時間に対する累積加算解像度D3の変化を表す図であり、図25(C)は時間に対する履歴補正解像度D3Aの変化を表す図である。
【0148】
図25に示す例でも、図20を用いて説明した例と同様に、時刻T2までは動画再生装置U100からBD映像が出力される。この場合、解像度判別信号D1は比較的高い値を保ちながらその値を変化させる。時間T2以降は動画再生装置U100からDVD映像が出力される。この場合、解像度判別信号D1は0に近い値を保ちながらその値を変化させる。
ただし、図25に示す例では時刻T12(T2よりも前)で、動画再生装置U100からBD映像が出力されているにも関わらず、解像度判別信号D1の値が第2の閾値th31Bより低い値を出力したとする。このような現象は、画像分析部の性能が十分でないために誤検出が起きた場合や、BD映像中に高周波数成分の少ない画像が現れた場合(たとえば画像が徐々にフェードアウトし、画面全体が白色になった場合)などに起きる。
【0149】
この場合、累積加算解像度D3は図25(B)に示すように変化する。すなわち、図20(B)と同様に、累積加算解像度D3の値はまず上限値に到達するまで徐々に増加していき、時刻T2以降は下限値に到達するまで徐々に減少していく。ここで、第3の閾値th41Aと第4の閾値th41Bの値は、累積加算解像度D3の値が時刻T2までは第3の閾値th41Aよりも大きくなり、時刻T14以降は第4の閾値th41Bより小さくなるように設定されているとする。
【0150】
ただし、時刻T12で解像度判別信号D1の出力値が下がった影響で、累積加算解像度D3の値は時刻T12で一旦減少し、第3の閾値th41Aより小さく、第4の閾値th41Bよりは大きな値となる。なお、時刻T12以降、解像度判別信号D1の値は再び第3の閾値th41Aより大きな値となるため、累積加算解像度D3の値も増加し、時刻T13に再び上限値に達し、第3の閾値th41Aより大きな値となるものとする。累積加算解像度D3を画像処理演算部2に入力すると、時刻T12で解像度の低下を検出し、画像処理演算部2で行う画像処理の動作が短時間だけ変化することになり、視聴者を不快に感じさせる可能性がある。
【0151】
これに対して、履歴補正解像度D3Aは図25(C)に示すように変化する。すなわち、時刻T10で累積加算解像度D3が第3の閾値th41Aより大きくなるため、時刻T10以降、履歴補正解像度D3Aはその値を増加していき、時刻T11に上限値に達する。また、時刻T14で履歴補正解像度D3Aが第4の閾値th41Bより小さくなるため、時刻T14以降、履歴補正解像度D3Aはその値を減少していき、時刻T15で下限値に達する。
【0152】
なお、時刻T12で累積加算解像度D3の値は一旦減少するが、その値がth41Bを下回らないため、履歴補正解像度D3Aの値は減少しない。
言い換えれば、累積加算解像度D3は、解像度判別信号D1の出力値が一時的に減少するとその影響を受け、値が減少してしまうが、履歴補正解像度D3Aは解像度判別信号D1の出力値の一時的な変化の影響を受けにくい。
【0153】
なお、上記の現象とは逆に、解像度判別信号D1の出力値が一時的に増加した場合を考えると、累積加算解像度D3はその影響をうけ、一時的に値を増加させてしまうことがあるが、履歴補正解像度D3Aはその影響を受けにくく、出力値が変動しにくいことが分かる。
【0154】
つまり、履歴補正解像度D3Aの出力値は、累積加算解像度D3よりもさらに変動しにくい。よって、画像処理演算部2が入力画像D0に対して適用する画像処理の内容を累積加算解像度D3によって変化させるより、履歴補正解像度D3Aによって変化させる方が、出力画像にちらつき等、視覚的な不快感を与えうる要素はより発生しにくいと言える。
【0155】
以上、説明した各実施の形態の特徴を、自由に組合せて持つようなものも本発明に含まれる。また、本発明の目的に合致する様々な変形や一部の構成要素を省略したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
1 画像分析部
11、11A 特徴量検出部
12、12A 特徴量合成部
13 解像度判別信号生成部
111 画素選択部
112 差分計算部
113 代表差分計算部
114 代表輝度計算部
2 画像処理演算部
3、3A 時系列分析部
D0 入力画像
D1 解像度判別信号
D2 出力画像
D3 累積加算解像度(時系列処理後解像度判別信号、累積加算解像度判別信号)
D3A 履歴補正解像度(時系列処理後解像度判別信号)
DA 注目画素群画素値データ
DB 差分データ
D11 代表差分値
DC 代表輝度値
D12、D12A 特徴量合成データ(特徴量合成値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像で所定の間隔に位置する複数の画素の画素値の変化に基づいて、前記所定の間隔から決まる所定の周波数以上の信号成分が前記入力画像にどのくらい含まれるかを示す解像度判別信号を求める画像分析部を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記画像分析部は、
前記入力画像の所定の領域内に存在する画素ごとに、その画素を基準として前記所定の間隔で位置する複数の画素の画素値から代表差分値を求めて出力する特徴量検出部と、
前記所定の領域内に存在する前記画素ごとに求めた前記代表差分値から特徴量合成値を求めて出力する特徴量合成部と、
前記特徴量合成値に対して単調非減少の関係を持つ解像度判別信号を前記特徴量合成値から求めて出力する解像度判別信号生成部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特徴量検出部は、
前入力画像の所定の領域内に存在する所定の画素ごとに、その画素を注目画素とし、前記注目画素を基準にして所定の方向に所定の間隔で並ぶN個の画素を注目画素群として設定し、前記注目画素群を構成するN個の画素によって与えられるN個の画素値を注目画素群画素値データとして出力する画素選択部と、
前記注目画素群画素値データを構成するN個の画素値から、隣接する2個の画素値の差であるN−1個の差分量を計算する差分計算部と、
N−1個の前記差分量の符号が所定のパターンである場合にゼロでない値を代表差分値として出力し、それ以外の場合にゼロを代表差分値として出力する代表差分計算部を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
N−1個の前記差分量の符号に対する前記所定のパターンは、正の値と負の値が交互に並ぶものであることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記代表差分計算部は
N−1個の前記差分量の絶対値の最小値が所定のゼロ同等閾値より小さい場合は、前記代表差分値としてゼロを出力する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記代表差分計算部は
N−1個の前記差分量の符号が前記所定のパターンである場合に、N−1個の前記差分量の絶対値の最小値を代表差分値として出力し、それ以外の場合にゼロを代表差分値として出力する
ことを特徴とする請求項3ないし請求項5の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記代表差分計算部は
N−1個の前記差分量の絶対値の最小値が所定の上限差分値より大きい場合は、前記代表差分値として前記上限差分値を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特徴量検出部は、
前記注目画素群ごとに、前記注目画素群画素値データを代表する代表輝度値を求めて出力する代表輝度計算部を備え、
前記特徴量合成部は、
前記代表輝度値に対して単調非増加の関係を持つ重み係数を求め、前記代表差分値にこの重み係数を掛けて和をとって前記特徴量合成値を求めて出力する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記代表輝度計算部は、
前記注目画素群画素値データのうち、絶対値が最小となる前記差分量を求めた2個の画素値のうち大きい方の値を前記代表輝度として出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記代表差分計算部は
N−1個の前記差分量の符号が所定のパターンである場合に、固定値を前記代表差分値として出力し、それ以外の場合にゼロを前記代表差分値として出力する
ことを特徴とする請求項3ないし請求項5の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記差分量の絶対値が所定値よりも小さい場合に前記差分量をゼロとする
ことを特徴とする請求項3ないし請求項10の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記解像度判別信号は、
前記入力画像の画素値の変化に、前記所定の周波数以上の信号成分が多く含まれるほど大きな値をとる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
動画を入力とする画像処理装置であって、
前記動画を構成する画像ごとに前記画像分析部が求めた前記解像度判別信号が時系列に入力され、時系列処理後解像度判別信号を生成する時系列分析部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし請求項12の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記時系列分析部は、所定の上限値と下限値の範囲の前記時系列処理後解像度判別信号を出力し、
第1の閾値より大きい前記解像度判別信号が入力された場合に、前記時系列処理後解像度判別信号が前記上限値よりも小さければ、前記時系列分析部は前記時系列処理後解像度判別信号を増加させ、
前記第1の閾値より小さく設定された第2の閾値より小さい前記解像度判別信号が入力された場合に、前記時系列処理後解像度判別信号が前記下限値よりも大きければ、前記時系列分析部は前記時系列処理後解像度判別信号を減少させる
ことを特徴とする請求項13記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記時系列分析部は、
前記解像度判別信号が入力されて累積加算解像度判別信号を出力する累積加算部と、
前記累積加算解像度判別信号が入力され前記時系列処理後解像度判別信号を出力する履歴補正部とを備え、
前記累積加算部は、所定の第1の上限値と第1の下限値の範囲の前記累積加算解像度判別信号を出力し、
第1の閾値より大きい前記解像度判別信号が入力された場合に、前記累積加算解像度判別信号が前記第1の上限値よりも小さければ、前記累積加算部は前記累積加算解像度判別信号を増加させ、
前記第1の閾値より小さく設定された第2の閾値より小さい前記解像度判別信号が入力された場合に、前記累積加算解像度判別信号が前記第1の下限値よりも大きければ、前記累積加算部は前記累積加算解像度判別信号を減少させ、
前記履歴補正部は、所定の第2の上限値と第2の下限値の範囲の前記時系列処理後解像度判別信号を出力し、
前記第1の上限値より小さく設定された第3の閾値より大きい前記累積加算解像度判別信号が入力されてから、前記第3の閾値より小さくかつ前記第1の下限値より大きく設定された第4の閾値より小さい前記累積加算解像度判別信号が入力されるまでは、前記時系列処理後解像度判別信号が前記第2の上限値よりも小さければ、前記履歴補正部は前記時系列処理後解像度判別信号を増加させ、
前記第4の閾値より小さい前記累積加算解像度判別信号が入力されてから、前記第3の閾値より大きい前記累積加算解像度判別信号が入力されるまでは、前記時系列処理後解像度判別信号が前記第2の下限値よりも大きければ、前記履歴補正部は前記時系列処理後解像度判別信号を減少させる
ことを特徴とする請求項13記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記解像度判別信号に応じて処理内容を変化させて前記入力画像を処理する画像処理演算部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし請求項12の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記画像処理演算部が、前記解像度判別信号に応じて処理内容を変化させて前記入力画像に含まれるノイズを除去するノイズ除去部を有する
ことを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記画像処理演算部が、前記入力画像から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出した第1の周波数成分画像をもとに生成した第2の周波数成分画像を前記入力画像に加算することで、前記解像度判別信号に応じて処理内容を変化させて前記入力画像の細部を強調する強調処理部有する
ことを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記時系列処理後解像度判別信号に応じて処理内容を変化させて前記入力画像を処理する画像処理演算部を備える
ことを特徴とする請求項13ないし請求項15の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記時系列処理後解像度判別信号に応じて処理内容を変化させて前記入力画像を処理する画像処理演算部を備える
ことを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記画像処理演算部が、前記入力画像から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出した第1の周波数成分画像をもとに生成した第2の周波数成分画像を前記入力画像に加算することで、前記時系列処理後解像度判別信号に応じて処理内容を変化させて前記入力画像の細部を強調する強調処理部有する
ことを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−43336(P2012−43336A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186023(P2010−186023)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】