説明

画像出力装置

【課題】割付出力などのページ縮小処理が要求される場合に、出力処理を高速かつ少ないリソースで行なえるようにする。
【解決手段】割付出力時には(S110−YES)、ページごとに、そのページに対応する縮小画像が存在するか否かを判定する(S140)。縮小画像が存在するときにはさらに、配置倍率が特定倍率以下であるか否かを判定し(S152〜S160)、配置倍率が特定倍率以下のときには縮小画像を使用する(S160−YES,S162)。縮小画像が存在しないときや(S140−NO)、配置倍率が特定倍率を超えるときにはページ情報を解析して描画展開する(S160−NO,S164,S166)。縮小画像が存在すれば、ページの描画命令を処理する代わりに縮小画像を使用するこで、描画処理を高速かつ少ないリソースで行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、PDF(Portable Document Format)やTIFF(Tagged Image File Format)などの一般的な文書形式によって作成された文書が電子的にやりとりされている。このような電子文書をそのまま画像形成装置に転送し、文書内容を画像形成する、ダイレクトプリントと呼ばれる機能が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
ダイレクトプリントでは、情報処理装置から文書ファイルをそのまま画像形成装置に転送するだけでよく、画像形成装置において文書ファイルの内容を解析して文書画像を形成している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−86730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、文書を構成する各要素(ページ:頁)の縮小処理を要する出力指示のときに、出力処理を従来よりも高速に行なうことができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、電子文書と、当該電子文書の出力処理態様を示した出力指示情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記出力指示情報を解析する指示解析部と、前記頁に対応する縮小画像が存在するか否かを判定する縮小画像判定部と、前記出力指示情報が前記電子文書の頁を縮小することを要する出力態様を含むと前記指示解析部が解析した場合において、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する画像出力制御部と、を備えた画像出力装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記頁を出力媒体に出力する際の、当該頁に対応する画像が配置される配置領域の寸法を判定する配置領域寸法判定部と、前記頁に対応する縮小画像の寸法を判定する縮小画像寸法判定部と、前記配置領域寸法判定部が判定した配置領域の寸法と、前記縮小画像寸法判定部が判定した縮小画像の寸法とに基づいて、前記縮小画像を使用した頁画像を前記配置領域に配置する際の配置倍率を決定する配置倍率決定部と、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている倍率以下であるか否かを判定する配置倍率判定部と、をさらに備え、前記画像出力制御部は、さらに、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記画像出力制御部は、前記電子文書の全ての頁に関して、それぞれの判定条件を満たす場合に、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記画像出力制御部は、前記出力媒体を複数の領域に分割した各分割領域に前記電子文書の複数の頁を縮小して配置する割付出力を前記出力指示情報が含むと前記指示解析部が解析した場合において、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記画像出力制御部は、前記出力媒体の全ての分割領域に関して前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記画像出力制御部は、さらに全ての前記出力媒体の全ての分割領域に関して前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記画像出力制御部は、前記出力媒体を複数の領域に分割した各分割領域に前記電子文書の複数の頁を縮小して配置する割付出力を前記出力指示情報が含むと前記指示解析部が解析した場合において、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定し、かつ、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記画像出力制御部は、さらに前記出力媒体の全ての分割領域に関して、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定し、かつ、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記画像出力制御部は、さらに全ての前記出力媒体の全ての分割領域に関して、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定し、かつ、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の内の何れか一項に記載の発明において、前記指示解析部による出力指示情報の解析結果に基づき、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されているか否かを判定する出力画質判定部、をさらに備え、前記画像出力制御部は、さらに、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されていると前記出力画質判定部が判定したときに、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10の内の何れか一項に記載の発明において、前記縮小画像判定部は、前記頁に対応する縮小画像が前記電子文書に付加されているか否かを判定し、前記画像出力制御部は、前記頁に対応する縮小画像が前記電子文書に付加されていると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記電子文書に付加されている前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜10の内の何れか一項に記載の発明において、前記受信部が受信した前記電子文書を保存する電子文書保存部と、前記受信部が受信した前記電子文書の頁を縮小した縮小画像を生成する縮小画像生成部と、前記縮小画像生成部が生成した縮小画像を前記電子文書の頁と対応付けて保存する縮小画像保存部と、をさらに備え、前記縮小画像判定部は、前記頁に対応する縮小画像が前記縮小画像保存部に保存されているか否かを判定し、前記画像出力制御部は、前記頁に対応する縮小画像が前記縮小画像保存部に保存されていると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記縮小画像保存部に保存されている前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明を採用しない場合と比較して、頁の縮小処理を要する出力指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明を採用しない場合と比較して、画質劣化を抑制しつつ、頁の縮小処理を要する出力指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明を採用しない場合と比較して、各出力媒体間の画質差も抑制しつつ、頁の縮小処理を要する出力指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明を採用しない場合と比較して、割付出力の指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明を採用しない場合と比較して、分割領域間の画質差を抑制しつつ、割付出力の指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明を採用しない場合と比較して、各出力媒体間の画質差も抑制しつつ、割付出力の指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明を採用しない場合と比較して、画質劣化を抑制しつつ、割付出力の指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、分割領域間の画質差を請求項7に記載の発明よりも抑制しつつ、割付出力の指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項9に記載の発明を採用しない場合と比較して、各出力媒体間の画質差も抑制しつつ、割付出力の指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、請求項10に記載の発明を採用しない場合と比較して、確実に画質劣化を抑制しつつ、頁の縮小処理を要する出力指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、電子文書に付加されている縮小画像を使用して、頁の縮小処理を要する出力指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、縮小画像保存部に保存されている縮小画像を使用して、頁の縮小処理を要する出力指示を受けたときの出力処理を高速に行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
<画像出力処理システム>
図1は、画像出力処理システムの一構成例を示す図である。本実施形態の画像出力処理システム1は、情報処理装置10と画像出力装置30が通信線9を介して通信可能に接続されている。
【0032】
本実施形態の画像出力処理システム1においては、情報処理装置10と画像出力装置30との間における画像出力処理に当たって、PDFやXPSといった電子文書を情報処理装置10での閲覧用アプリケーションと出力ドライバを使用せず、画像出力装置30で直接出力することが可能な仕組みになっている。
【0033】
情報処理装置10は、1〜複数の画像出力装置30を利用して画像を出力する。図の例では、画像出力装置30としては、画像形成装置32や画像表示装置34が備えられている。なお、図では、画像形成装置32および画像表示装置34の何れもが1台で示しているが、それぞれが複数であってもよい。
【0034】
通信線9の接続形態は任意であり、たとえば、LAN(Local Area Network)、IEEE1394(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. )、USB(Universal Serial Bus)など、様々な接続仕様を用いて接続してもよい。全ての画像出力装置30が同じ接続仕様で接続されている必要はない。
【0035】
[情報処理装置の構成]
情報処理装置10は、情報処理部110、画像表示部120、出力指示生成部130、通信インタフェース部150を備える。通信インタフェース部150は、電子文書と当該電子文書の出力処理態様を示した出力指示情報を送信する送信部の一例である。
【0036】
情報処理部110は、たとえば文書作成ソフトや画像処理ソフトなどを利用して、画像出力の対象となる情報としての文書や画像を生成するものである。本実施形態では、文書の電子ファイル(文書ファイル)や画像の電子ファイル(画像ファイル)を纏めて電子文書DOC と称する。
【0037】
出力指示生成部130は、操作者による画像出力装置30に対する指示の入力を受け付ける。指示内容としては、たとえば印刷の場合であれば次のようなものが考えられる。
【0038】
電子文書DOC 中の印刷範囲、印刷部数、カラーモード、印刷モード、用紙サイズ、用紙種類、両面、ページ配置(レイアウト)などである。
【0039】
印刷範囲としては、「全て」や「ページ指定」があり、「ページ指定」の場合は開始ページと終了ページ、またはページ番号の数値入力がある。
【0040】
カラーモードは、カラー印刷かモノクロ印刷かの区別である。印刷モードは、出力画質に関わるもので、たとえば、標準、低速、高速、高画質、低画質、低精細、高精細、その他の画質調整などである。
【0041】
用紙サイズとしては、各用紙の大きさおよび方向の指定、または自動がある。
【0042】
両面は、両面印刷を「する」か「しない」かの選択である。
【0043】
ページ配置としては、用紙指定による自動倍率や拡大/縮小の選択(倍率設定もある)、割付出力の選択、小冊子印刷や製本印刷の選択、などがある。割付出力とは、1枚の用紙や1つの画面に複数ページを縮小して割り付けて出力する意味である。
【0044】
なお、指示入力の受付け手法に関しては、その詳細説明を割愛するが、たとえば、特許文献1に記載の仕組みと同様のものを採用する。
【0045】
電子文書DOC の出力指示の際には、情報処理装置10の出力指示生成部130によって、出力形態の指示を受け付け、その指示内容を記述した出力指示情報が電子文書DOC とともに、通信インタフェース部150および通信線9を介して画像出力装置30へ送信される。たとえば、画像形成装置32への印刷指示の場合であれば、出力用紙サイズ、両面の設定、部数といった印刷指示を出力指示生成部130が受け付ける。
【0046】
たとえば、出力指示生成部130により画像表示部120に提示される設定画面において、操作者は各種の設定を行ない、OKを指示することによって、設定された内容が出力指示生成部130により受け取られる。
【0047】
通信インタフェース部150は、出力指示生成部130から渡される出力指示書と、画像出力すべき情報である電子文書DOC を、操作者によって指定された画像出力装置30へ転送する。各種設定を特許文献1のように抽象的な指示のままで転送するか否かは不問である。電子文書DOC に関しては、標準の文書形式に変換するなど、標準化のための変換処理などを行なってもよい。
【0048】
[画像形成装置の構成]
画像出力装置30は、通信インタフェース部310、指示解析部320、画像出力制御部330、描画処理部360、画像出力部370、保存処理部390を備える。
【0049】
通信インタフェース部310は、電子文書DOC と当該電子文書DOC の出力処理態様を示した出力指示情報を受信する受信部の一例である。通信インタフェース部310は、情報処理装置10から送られてくる出力指示情報と電子文書DOC を受け取り、出力指示情報を指示解析部320へ、電子文書DOC を描画処理部360へ渡す。
【0050】
指示解析部320は、情報処理装置10から送られてきた電子文書DOC に付加されている出力指示情報を解析する。
【0051】
画像出力制御部330は、電子文書DOC を解析する電子文書解析部332と縮小画像(いわゆるサムネイル画像)を取得する縮小画像取得部334を備える。
【0052】
電子文書解析部332は、出力画質判定部341、縮小画像判定部342、配置領域寸法判定部344、縮小画像寸法判定部346、配置倍率決定部348、配置倍率判定部349を有する。
【0053】
出力画質判定部341は、指示解析部320による出力指示情報の解析結果に基づき、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されているか否かを判定する。たとえば、出力画質が低くてもよい出力指示としては、指示解析部320による印刷指示解析結果において、高速モードや低画質モードが指定されている場合が該当する。
【0054】
縮小画像判定部342は、該当するページの縮小画像が電子文書DOC に付加されているか否かを判定する。たとえば、電子文書DOC が文書ファイルの場合はその文書ファイルに添付されているか否か、電子文書DOC が画像ファイルの場合はその画像ファイルに添付されているか否か、を判定する。
【0055】
配置領域寸法判定部344は、電子文書DOC を出力(印刷や表示)する際に、ページを用紙や画面に割り当てる際の領域の寸法(領域寸法と称する)を判定する。
【0056】
縮小画像寸法判定部346は、縮小画像取得部334が取得した縮小画像の寸法(縮小画像寸法と称する)を取得する。
【0057】
配置倍率決定部348は、配置領域寸法判定部344が判定した配置領域寸法と縮小画像寸法判定部346が取得した縮小画像寸法に基づき、縮小画像を使用したページ画像を配置領域に配置する際の変倍率(=配置領域寸法/縮小画像寸法:配置倍率R1と称する)を計算によって取得する。
【0058】
配置倍率判定部349は、配置倍率決定部348が取得した配置倍率R1が予め定められている倍率(特定倍率R2と称する)以下であるか否かを判定する。
【0059】
画像出力制御部330は、電子文書DOC の出力指示が予め定められている条件(詳細は後述する)に合致しているとき、電子文書DOC のページ記述情報の代わりに縮小画像取得部334が取得した縮小画像を使って、電子文書DOC の印刷画像や表示画像を生成するように描画処理部360を制御する。画像出力制御部330は、電子文書DOC の出力指示が予め定められている条件(詳細は後述する)に合致していないときは、通常通り、電子文書DOC そのものから印刷画像や表示画像を生成するように描画処理部360を制御する。
【0060】
縮小画像取得部334は、縮小画像判定部352と縮小画像抽出部354を有する。縮小画像判定部352は、該当するページの縮小画像が存在するか否か、また、存在する場合は何処に存在するかを判定する。「何処に存在するか」に関しては、たとえば、電子文書DOC が文書ファイルの場合はその文書ファイルに添付されているか否かであり、電子文書DOC が画像ファイルの場合はその画像ファイルに添付されているか否かである。これらは縮小画像判定部342による判定結果を参照する。また、縮小画像判定部352は、縮小画像が保存処理部390で保存されているかも判定対象とする。
【0061】
縮小画像抽出部354は、縮小画像判定部352の判定結果を参照して、存在する箇所から電子文書DOC の縮小画像を抽出する。
【0062】
描画処理部360は、印刷画像描画部362と画像配置処理部364を有する。印刷画像描画部362は、電子文書DOC を解析して、それぞれのページを描画し、出力指示情報で指示された設定で出力画像を描画する。画像配置処理部364は、割付出力が設定されているときに、1枚の用紙や1つの画面に複数ページを縮小して割り付けて出力するための描画処理を行なう。
【0063】
画像出力部370は、画像形成部372や表示出力部374を有する。ここで、画像形成部372は、画像出力装置30が画像形成装置32の場合に設けられ、表示出力部374は、画像出力装置30が画像表示装置34の場合に設けられる。画像形成部372は、描画処理部360で描画した画像を、記録紙などの被記録媒体上に形成する。表示出力部374は、描画処理部360で描画した画像を、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やLCDLiquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などの表示部材上に表示する。
【0064】
保存処理部390は、電子文書DOC を保存する電子文書保存部392と、電子文書DOC の縮小画像を生成する縮小画像生成部394と、縮小画像生成部394が生成した縮小画像を保存する縮小画像保存部396を有する。縮小画像生成部394は、蓄積文書の選択用に表示するための縮小画像や、印刷ログとして格納するための縮小画像を生成する。
【0065】
たとえば、親展印刷が指示されている場合、電子文書DOC の印刷指示を受け付けた画像形成装置32は、直ちに印刷処理を開始するのはなく、電子文書保存部392に出力指示情報と電子文書DOC を保存しておく。このとき、利用者が後で出力指示を出す際にその電子文書DOC を検索(選択)するときの指標に供される縮小画像を縮小画像生成部394で生成し、電子文書DOC のページと対応付けて縮小画像保存部396に保存しておく。
【0066】
<出力処理:基本概念>
PDF(Portable Document Format)やXPS(XML Paper Specification )などのファイルフォーマットの電子文書は、文書の電子的な保存、閲覧、流通に適したものとなっている。一方、これらの電子文書を印刷する際には、ホスト(情報処理装置10に対応)上でプリンタドライバを使い、印刷装置(画像形成装置32に対応)に適したページ記述言語(PDL:Page Description Language )に変換し、印刷装置に送信して印刷されるのが一般的である。
【0067】
一方、近年では、これらの電子文書を印刷装置で直接処理をして印刷が可能なダイレクトプリント機能をもつ印刷装置が利用可能となっている。また、このダイレクトプリント機能においても、ただ印刷できるというだけでなく、たとえば、プリンタドライバを用いた印刷のように、様々な印刷設定や、印刷レイアウト指定を行なうことが可能なシステムもある。
【0068】
しかし、PDFやXPSなどの電子文書の本来の目的は、文書の電子的な保存、閲覧、流通であり、ダイレクトプリントにおいて印刷をする上では、最適なフォーマットでない場合が多く、処理に多くの時間を要する場合や、多くのリソースを要求することがある。
【0069】
たとえば、1枚の用紙に複数ページ(ページ数を割付数Nと記す)を縮小して割り付けて印刷する割付出力が指定された場合で、割付数Nの値が大きな場合には、1枚の用紙分の描画処理に複数ページの解析が必要な上、縮小処理もNページ分実施する必要がある。また、割付出力に限らず、ページが1枚の用紙上に縮小されて印刷されるような場合にも、縮小処理が必要になる。
【0070】
プリンタドライバを利用した通常の印刷では、縮小処理もある程度ホスト側で実施することができるが、ダイレクトプリントにおいては印刷装置での対処が必要で、少ない資源で高速に処理することが困難である。
【0071】
そこで、本実施形態では、割付出力やページが縮小されて印刷されるような場合に、電子文書DOC のページの縮小画像が存在する場合や、電子文書DOC のページの縮小画像が存在する場合で、かつ、予め定められている条件を満たすときには、ページの描画命令を単純に処理する代わりに縮小画像を使用することで、描画処理を高速かつ少ないリソースで出力処理を行なうようにする。以下、具体的な事例で説明する。
【0072】
<出力処理:第1実施形態>
図2〜図2Bは、第1実施形態の出力処理を説明する図である。ここで、図2は、第1実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。図2Aは、第1実施形態の出力処理の概要を説明する図である。図2Bは、第1実施形態に対する比較例の処理を説明するフローチャートである。
【0073】
ここでは、一例として、PDFやXPSといった電子文書DOC を情報処理装置10での閲覧用アプリケーションとプリンタドライバを使用した印刷出力ではなく、画像形成装置32で直接印刷する場合の事例で説明する。
【0074】
第1実施形態の出力処理は、割付出力が指示されている場合において、電子文書DOC のページの縮小画像が存在する場合で、かつ、予め定められている条件(出力画質に関わる条件)を満たすときに、文書のページ記述情報の代わりに縮小画像を使用する場合の例である。出力画質に関わる予め定められている条件を満たすときとは、具体的には、配置倍率決定部348が決定した配置倍率が特定倍率以下の場合である。
【0075】
情報処理装置10において、電子文書DOC が情報処理部110で生成され、出力指示生成部130によって、出力用紙サイズや両面の設定、部数といった印刷指示が行なわれる。各種印刷指示は出力指示情報によって記述され、電子文書DOC とともに通信インタフェース部150および通信線9を介して画像形成装置32に送信される。
【0076】
電子文書DOC と出力指示情報を受信した画像形成装置32においては(S100)、先ず、指示解析部320が、電子文書DOC に付加された出力指示情報を解析する(S102)。特許文献1のように、情報処理装置10から送られてきた出力指示情報が抽象的なものであるときは、指示解析部320は、内部で使用する具体的な指示に変換する。
【0077】
指示解析部320は、さらに、指示された出力態様が割付出力であるか否かを判定する(S110)。割付出力でない場合は、画像出力制御部330は、通常通り、電子文書DOC そのものから印刷画像を生成するように描画処理部360を制御する(S110−NO,S112)。つまり、電子文書DOC を解析し、印刷画像描画部362でそれぞれのページを描画し、出力指示情報で指示された設定で印刷を行なう。
【0078】
割付出力である場合は、画像出力制御部330は、指示解析部320の解析結果に基づき出力サイズ(この例では用紙サイズ)を決定し(S110−YES,S114)、さらに、全てのページの処理が完了しているか否かを判定する(S116)。全てのページの処理が完了していれば出力処理が終了である(S116−YES,S118)。
【0079】
全てのページの処理が完了していない場合、割付出力の割付数Nの値によって、用紙の描画領域をN分割して、それぞれの領域に電子文書DOC のページを配置していく。たとえば、画像出力制御部330は、割付出力において、この時点で残っているページ数%Nを判定する(S122)。たとえば、1枚の用紙にNページ分を割り付けて印刷する場合に、n(<N)ページ分の処理が完了している場合はページ数%N=N−nであり、同じ用紙への出力処理を行なうことになる(S122−NO)。一方、Nページ分の処理が完了している場合はページ数%N=0であり、同じ用紙への出力処理はできないので、新しい用紙への出力処理へ移行する(S122−YES,S124)。何れの場合も、ページ数%Nの判定後には、画像出力制御部330は、処理対象ページをN個の分割領域の何れの領域に割り付けるかを決定する(S126)。
【0080】
次に、画像出力制御部330は、電子文書解析部332によって、配置する電子文書DOC のページに対応する縮小画像があるかどうかを判定し、縮小画像がある場合で、配置する際の配置倍率R1_1を求め、特定倍率R2_1よりも値が小さな場合には、ページ情報を解析して画像描画処理を行なう代わりに、縮小画像取得部334が取得した縮小画像を配置する。
【0081】
たとえば、縮小画像判定部352は、縮小画像判定部342と協働して、電子文書DOC の処理対象ページの縮小画像が存在するか否かを判定する(S140)。たとえば、縮小画像判定部342は、電子文書DOC が文書ファイルの場合はその文書ファイルに文書の縮小画像が添付されているか否か、電子文書DOC が画像ファイルの場合はその画像ファイルに画像の縮小画像が添付されているか否か、を判定する。縮小画像判定部342は、この判定結果を縮小画像判定部352に通知する。また、縮小画像判定部352は、たとえば蓄積文書の選択のために文書の一覧表示用に生成した縮小画像や、印刷ログとして格納するために作成した縮小画像が保存処理部390に保存されているか否かを判定する。
【0082】
たとえば、電子文書DOC が文書ファイルの場合、その属性情報 (プロパティ:property) として、ページごとに、縮小画像(サムネイル)の情報を含め、その縮小画像の情報として識別子および幅・高さの項目を設ける。縮小画像を添付するときは、識別子の項目に、縮小画像を特定する固有の情報(ID番号や縮小画像のファイル名など)を記述し、幅・高さの項目に、添付する縮小画像の幅・高さ(“0:ゼロ”以外の値)を記述する。縮小画像を添付しないときは、識別子の項目を空欄にし、幅・高さの項目に、“0:ゼロ”を設定する。識別子の項目が空欄であるか否か、または、幅・高さの項目に“0:ゼロ”が設定されているか否かを判定することで、処理対象ページに対応する縮小画像の有無を判定すればよい。
【0083】
電子文書DOC が画像ファイルの場合も同様の手法をとればよい。たとえば、画像ファイルがマルチページTIFFなどのように、複数ページの画像を扱うものは、ページごとに、縮小画像の情報を含め、その縮小画像の情報として識別子および幅・高さの項目を設ける。画像ファイルがJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の場合のように、単一ページの画像を扱うものは、ページごとの管理が不要であるだけで、同様に、画像ファイルの属性情報に縮小画像の情報を含め、その縮小画像の情報として識別子および幅・高さの項目を設ける。たとえば、JPEGデータには、縮小画像の情報が含まれている。「Thumbnail width 」と「Thumbnail height」の項目には、縮小画像が添付されているときには“0:ゼロ”以外の値が設定されており、縮小画像が添付されていないときには“0:ゼロ”が設定される。よって、縮小画像判定部342は、JPEGデータの「Thumbnail width 」と「Thumbnail height」の項目を確認することで、JPEGデータに対応する縮小画像の有無を判定すればよい。
【0084】
電子文書DOC に縮小画像が添付されており、かつ、保存処理部390にも電子文書DOC に対応する縮小画像が保存されている場合、何れの縮小画像を使用するかは自由であり、その判定ルーチンも様々なものが考えられる。
【0085】
たとえば、先ず、縮小画像判定部342で電子文書DOC に縮小画像が添付されているか否かを判定し、添付されていればそれを使用し、添付されていない場合は、縮小画像判定部352で保存処理部390に電子文書DOC に対応する縮小画像が保存されているか否かを判定し、保存されていればそれを使用するという手順にしてもよい。保存されている縮小画像よりも電子文書DOC に添付されている縮小画像を優先的に使用する考え方である。
【0086】
また、これとは逆に、先ず、縮小画像判定部352で保存処理部390に電子文書DOC に対応する縮小画像が保存されているか否かを判定し、保存されていればそれを使用し、保存されていない場合は、縮小画像判定部342で電子文書DOC に縮小画像が添付されているか否かを判定し、添付されていればそれを使用するという手順にしてもよい。電子文書DOC に添付されている縮小画像よりも保存されている縮小画像を優先的に使用する考え方である。
【0087】
処理対象ページの縮小画像が存在すると縮小画像判定部352が判定した場合(S140−YES)、配置領域寸法判定部344は、ページを用紙に割り当てる際の領域寸法を判定する(S152)。本事例の割付出力の場合、配置領域寸法判定部344は、用紙の描画領域をN分割したときの、各分割領域の領域寸法(分割領域寸法)を判定する。
【0088】
縮小画像寸法判定部346は、縮小画像取得部334が取得した縮小画像の縮小画像寸法(縮小画像の幅・高さ)を取得する(S154)。たとえば、電子文書DOC が文書ファイルの場合、その属性情報として、ページごとに、縮小画像が添付されている場合は縮小画像の幅・高さの項目には“0:ゼロ”以外の値が設定されているので、縮小画像寸法判定部346は、その幅・高さの情報から縮小画像の幅・高さを特定する。電子文書DOC が画像ファイルの場合で、その画像ファイルがマルチページTIFFなどのように複数ページの画像を扱うものであれば文書ファイルと同様にページごとに判定すればよい。画像ファイルがJPEG形式のように単一ページの画像を扱うものであれば、ページごとの判定が不要であるだけで、縮小画像寸法判定部346は、属性情報として設定されている縮小画像の幅・高さの情報から縮小画像の幅・高さを特定する。たとえば、JPEGデータの場合において縮小画像が添付されている場合、「Thumbnail width 」と「Thumbnail height」の項目には“0:ゼロ”以外の値が設定されている。縮小画像寸法判定部346は、「Thumbnail width 」から縮小画像の幅を特定し、「Thumbnail height」から縮小画像の高さを特定する。
【0089】
配置倍率決定部348は、配置領域寸法判定部344が判定した分割領域寸法と縮小画像寸法判定部346が取得した縮小画像寸法に基づき、各ページを用紙や画面をN分割した部分領域に割り付ける際の配置倍率R1_1(=分割領域寸法/縮小画像寸法)を計算する(S156)。
【0090】
画像出力制御部330は、配置倍率決定部348が取得した配置倍率R1_1が特定倍率R2_1以下であるか否かを判定し(S160)、その結果に応じて縮小画像を使用した描画を行なうか否かを描画処理部360に指示する。この際の特定倍率R2_1は、印刷される画質を鑑みて、たとえば1.0倍〜2.0倍程度が有効と考えられる。
【0091】
画像出力制御部330は、描画すべき画像領域(この例では分割領域)よりも縮小画像の方が大きいときや、描画すべき画像領域よりも縮小画像の方が小さい場合でも、縮小画像の大きさが特定寸法以上の大きさの場合には、つまり配置倍率R1_1が特定倍率R2_1以下の場合は、縮小画像を使用するように描画処理部360を制御する(S160−YES)。
【0092】
描画処理部360の画像配置処理部364は、縮小画像取得部334で取得された縮小画像を処理対象の分割領域に貼り付ける(S162)。この際、配置倍率R1_1≠1でないときや回転が必要なときは、画像配置処理部364は、縮小画像取得部334が取得した縮小画像を拡大・縮小・回転してから貼り付ける。「拡大」は割り付ける分割領域の方が縮小画像よりも大きい場合であり、「縮小」は、割り付ける分割領域の方が縮小画像よりも小さい場合である。
【0093】
縮小画像はページ画像よりも寸法が小さく(画素数が少なく)、画像処理における取り扱いが容易である。縮小画像の寸法が描画すべき領域(この例では分割領域)の寸法よりも大きい場合には、縮小画像から描画すべき画像を生成するには、縮小処理でよく、画質劣化は少ない。一方、縮小画像の寸法が描画すべき領域よりも小さい場合には、縮小画像から描画すべき画像を生成するには、補間演算で新たな画素点の画素値を算出する処理や、新たな画素点の画素値を近傍画素の画素値で代用する処理などの拡大処理が必要である。これらの処理により得られる描画画像は、暈けなど画質劣化が縮小処理よりも大きい。しかしながら、描画すべき領域に対する縮小画像の寸法比(縮小画像/描画すべき領域:配置倍率R1_1の逆数)が極端に小さくなければ、画質劣化はある程度許容されることもあり得る。
【0094】
ステップS160,S162の処理はこの特質に着目したもので、画質劣化を許容できる範囲で(つまり配置倍率R1_1≦特定倍率R2_1を満たす範囲で)、寸法比の小さな縮小画像から描画すべき画像を生成する。
【0095】
たとえば、JPEGデータに縮小画像が含まれている場合には、電子文書DOC の割付出力処理用の描画時に、JPEGデータから縮小画像を生成するではなく、縮小画像取得部334によりJPEGデータに添付の縮小画像を読み出すことでその縮小画像を割付出力に使用する。JPEGのサムネイルは元々の原画像に比べて寸法が小さく、さらにデータ自信の圧縮も行なわれていないため、出力画像の描画への利用時にも伸張処理を行なうことなく画像加工(縮小・回転)処理に供される。
【0096】
処理対象ページの縮小画像が存在しないと縮小画像判定部352が判定した場合や(S140−NO)、描画すべき画像領域よりも縮小画像の方が小さい場合で、かつ、縮小画像の大きさが特定寸法未満の大きさの場合には、つまり配置倍率R1_1が特定倍率R2_1を超える場合は、画像出力制御部330は、電子文書DOC の処理対象ページから描画展開するように描画処理部360を制御する(S160−NO)。
【0097】
印刷画像描画部362は、ページ情報を解析して(S164)、電子文書DOC の処理対象ページから描画領域に合う大きさの縮小画像を生成して画像配置処理部364に渡す(S166)。画像配置処理部364は、印刷画像描画部362で生成された縮小画像をこの時点の処理対象の分割領域に貼り付ける。この際、回転が必要なときは、画像配置処理部364は、縮小画像を回転してから貼り付ける。
【0098】
画像形成装置32は、以上の処理を、電子文書DOC の各ページについて、全てのページの処理が完了するまで繰り返す(S116)。
【0099】
このような第1実施形態の出力処理では、図2Aに示すように、電子文書DOC の割付出力を行なう場合に、縮小画像(サムネイル)が電子文書DOC に添付されているか保存処理部390に保存されているときは、電子文書DOC の処理対象ページから描画する代りに、縮小画像を使用する(図中のAのルート)。サイズ変更や回転が必要であれば縮小画像にサイズ変更や回転を加える。縮小画像が存在しないときは、従来通り、電子文書DOC の処理対象ページから描画する(図中のBのルート)。
【0100】
本実施形態を採用しない場合、図2Bに示すように、割付出力用の縮小画像の生成のために、印刷画像描画部362は、各ページについて、ページ情報を解析して(S164)、電子文書DOC の処理対象ページから描画領域に合う大きさの縮小画像を生成して画像配置処理部364に渡す(S166)。画像配置処理部364は、印刷画像描画部362で生成された縮小画像をこの時点の処理対象の分割領域に貼り付ける。この際、回転が必要なときは、画像配置処理部364は、縮小画像を回転してから貼り付ける。このような処理を、電子文書DOC のページごとに繰り返す(S116)。1枚の用紙分の描画処理に複数ページの解析が必要であるし、縮小処理がNページ分実施され、多くのリソース(CPU、メモリなど)を必要とする。
【0101】
一方、第1実施形態の処理手順では、図2、図2Aに示したように、割付出力処理において、縮小画像が利用可能な場合、処理対象ページの縮小画像の用紙をN分割した分割領域への配置時の倍率で判定し、画質に関わる条件(配置倍率R1_1≦特定倍率R2_1)を満たす場合にはページの描画命令を処理する代わりに縮小画像を使用する。このため、割付出力処理が高速になる上、必要なリソース(CPU、メモリなど)も少なくて済む。
【0102】
<出力処理:第1実施形態の変形例>
図2Cは、第1実施形態の変形例の出力処理を説明するフローチャートである。この変形例との対比で、図2および図2Aに示した出力処理を第1実施形態の基本例と称する。
【0103】
第1実施形態の変形例の出力処理は、図2との対比から分かるように、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比の判定に関わる処理(ステップS152〜S160の処理)を割愛している。その結果、処理対象ページの縮小画像が存在する場合には、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比に関わらず、描画処理部360の画像配置処理部364は、縮小画像取得部334で取得された縮小画像をこの時点の処理対象の分割領域に貼り付ける(S162)。この際、配置倍率R1_1≠1でないときや回転が必要なときは、画像配置処理部364は、縮小画像取得部334が取得した縮小画像を拡大・縮小・回転してから貼り付ける。
【0104】
第1実施形態の基本例の説明から推測されるように、描画すべき画像領域よりも縮小画像の方が小さい場合で、かつ、配置倍率R1_1が特定倍率R2_1を超える場合に、処理対象ページの縮小画像を使用すると画質が低下する。しかしながら、処理対象ページから描画展開するよりは、割付出力処理が高速になるし必要なリソースも少なくて済む。
【0105】
<出力処理:第2実施形態>
図3〜図3Aは、第2実施形態の出力処理を説明する図である。ここで、図3は、第2実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。図3Aは、第2実施形態の出力処理の概要を説明する図である。処理ステップ番号は200番台で示し、第1実施形態と同様の処理ステップには、第1実施形態と同様の10番台および1番台の番号を付す。
【0106】
第2実施形態の出力処理は、割付出力が指示されている場合において、割付出力の1ページ分に割り付ける全ての分割領域に関して、各分割領域に対応するページの縮小画像が存在する場合に、文書のページ記述情報の代わりに縮小画像を使用する場合の例である。
【0107】
ステップS214までは第1実施形態と同様である。用紙サイズを決定したら(S214)、割付出力の割付数Nの値によって、用紙の描画領域をN分割して、それぞれの領域に電子文書DOC のページを配置していく。ここで、第1実施形態では、分割領域ごとに処理していたが、第2実施形態では用紙ごとに処理を行なう。そのため、画像出力制御部330は先ず、用紙1枚に割付けるページを決定する(S220)。
【0108】
次に、画像出力制御部330は、電子文書解析部332によって、用紙1枚の全分割領域に割り付ける全ページに対応する縮小画像があるかどうかを判定し、全ての分割領域に関して縮小画像がある場合で、全分割領域に割り付ける全ページに関して配置倍率R1_3を求め特定倍率R2_3よりも値が小さな場合には、ページ情報を解析して画像描画処理を行なう代わりに、縮小画像取得部334が取得した縮小画像を配置する。
【0109】
たとえば、縮小画像判定部352は、縮小画像判定部342と協働して、用紙1枚に割り付ける全ページに縮小画像が存在するか否かを判定する(S240)。用紙1枚に割り付ける全ページに縮小画像が存在すると縮小画像判定部352が判定した場合(S240−YES)、配置領域寸法判定部344は、ページを用紙に割り当てる際の領域寸法を判定する(S252)。本事例の割付出力の場合、配置領域寸法判定部344は、用紙の描画領域をN分割したときの、各分割領域の領域寸法(分割領域寸法)を判定する。
【0110】
縮小画像寸法判定部346は、用紙1枚に割り付ける各ページに関して、縮小画像取得部334が取得した縮小画像の縮小画像寸法(縮小画像の幅・高さ)を取得する(S254)。
【0111】
配置倍率決定部348は、配置領域寸法判定部344が判定した分割領域寸法と縮小画像寸法判定部346が取得した各ページの縮小画像寸法に基づき、用紙1枚に割り付けるページにおける、縮小画像を分割領域へ配置する配置倍率R1_3(=分割領域寸法/縮小画像寸法)の内で最大となる最大配置倍率を計算する(S258)。
【0112】
画像出力制御部330は、配置倍率決定部348が取得した最大配置倍率が特定倍率R2_3以下であるか否かを判定し(S260)、その結果に応じて縮小画像を使用した描画を行なうか否かを描画処理部360に指示する。この際の特定倍率R2_3も、印刷される画質を鑑みて、たとえば1.0倍〜2.0倍程度が有効と考えられる。
【0113】
画像出力制御部330は、用紙1枚に割り付ける全ページに関して、描画すべき画像領域(この例では分割領域)よりも縮小画像の方が大きいときや、描画すべき画像領域よりも縮小画像の方が小さい場合でも縮小画像の大きさが特定寸法以上の大きさの場合には、つまり最大配置倍率が特定倍率R2_3以下の場合は、縮小画像を使用するように描画処理部360を制御する(S260−YES)。具体的な処理は第1実施形態と同様である。
【0114】
また、画像出力制御部330は、用紙1枚に割り付けるN個の分割領域に関して1つでも条件を満たさない場合は、縮小画像を使用しないように描画処理部360を制御する。たとえば、処理対象ページの縮小画像が存在しないと縮小画像判定部352が判定した場合や(S240−NO)、最大配置倍率が特定倍率R2_3を超える場合である(S260−NO)。具体的な処理は第1実施形態と同様である。
【0115】
画像形成装置32は、以上の処理を、電子文書DOC の各ページについて、全てのページの処理が完了するまで繰り返す(S276)。全てのページの処理が完了していれば出力処理が終了である(S276−YES,S278)。
【0116】
このような第2実施形態の出力処理では、図3A(1)に示すようになる。先ず、電子文書DOC の割付出力を行なう場合に、Nページ分が割り付けられる割付出力のページごとに、1ページ分に割り付ける全てのページに関する縮小画像が電子文書DOC に添付されているか保存処理部390に保存されており、かつ、配置倍率決定部348が取得した配置倍率R1_1が特定倍率R2_1以下であるときは、電子文書DOC の処理対象ページから描画する代りに縮小画像を使用する(図3A(1−1))。Nページ分において1ページでも縮小画像が存在しない場合や、1ページ分に割り付ける全てのページに関する縮小画像が存在しても、1ページでも配置倍率R1_1が特定倍率R2_1を超えるときは、従来通り、電子文書DOC の処理対象ページから描画する(図3A(1−2))。
【0117】
その結果、Nページ分が割り付けられる割付出力の各ページは、全ての分割領域が縮小画像を使用したものでかつ配置倍率R1_1が特定倍率R2_1以下を満たすものであるか、全ての分割領域が電子文書DOC の各処理対象ページから描画されたものになる。
【0118】
一方、第2実施形態を適用しない場合には、図3A(2)に示すように、Nページ分が割り付けられる割付出力のページ内に、縮小画像を使用した分割領域と、電子文書DOC の各処理対象ページから描画された分割領域とが混在することが起こり得る。
【0119】
第1実施形態の基本例の説明から推測されるように、縮小画像を使用する場合と電子文書DOC の各処理対象ページから描画する場合とでは、画質差があり、縮小画像を使用する方が低画質になる。Nページ分が割り付けられる割付出力のページ内に、それが混在すると、画質差が目に付き易い。第2実施形態は、この点を解消するものである。
【0120】
<出力処理:第2実施形態:変形例>
図3B〜図3Cは、第2実施形態の変形例の出力処理を説明する説明する図である。ここで、図3Bは、第2実施形態の変形例の出力処理を説明するフローチャートである。図3Cは、第2実施形態の変形例の出力処理の概要を説明する図である。この変形例との対比で、図3に示した出力処理を第2実施形態の基本例と称する。
【0121】
第2実施形態の変形例の出力処理は、図3との対比から分かるように、第1実施形態の変形例と同様の趣旨のもので、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比の判定に関わる処理を割愛している。
【0122】
その結果、割付出力の1ページ分に割り付ける全ての分割領域に関して、各分割領域に対応するページの縮小画像が存在する場合には、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比に関わらず、描画処理部360の画像配置処理部364は、縮小画像取得部334で取得された縮小画像をこの時点の処理対象の分割領域に貼り付ける(S262)。
【0123】
このような第2実施形態の変形例の出力処理では、図3Cに示すように、Nページ分が割り付けられる割付出力のページ内に、配置倍率R1_3が特定倍率R2_3以下を満たす分割領域と、配置倍率R1_3が特定倍率R2_3以下を満たさない分割領域が混在し得る。配置倍率R1_3が特定倍率R2_3以下を満たすか否かでは、画質差があり、満たさない方が低画質になる。Nページ分が割り付けられる割付出力の同一ページ内に、それが混在すると、画質差が目に付き得る。
【0124】
しかしながら、この場合でも、全ての分割領域は、縮小画像を使用したものである。Nページ分が割り付けられる割付出力の同一ページ内に、縮小画像を使用した分割領域と電子文書DOC の各処理対象ページから描画された分割領域とが混在することは起こらない。
【0125】
配置倍率R1_3が特定倍率R2_3以下を満たすか否かで分割領域間に画質差があるとは言っても、何れも縮小画像を使用した画像同士での相対的な比較になり、縮小画像を使用した分割領域と電子文書DOC の各処理対象ページから描画された分割領域とが混在する場合よりは、画質差は小さく目立ち難いと考えられる。Nページ分が割り付けられる割付出力のページ内の全ての分割領域は縮小画像を使用するので、第2実施形態の基本例よりも割付出力処理が高速になるし必要なリソースも少なくて済む。
【0126】
<出力処理:第3実施形態>
図4は、第3実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。
【0127】
第3実施形態の出力処理は、割付出力が指示されていない場合において、電子文書DOC のページの縮小画像が存在する場合で、かつ、予め定められている条件(出力画質に関わる条件)を満たすときに、文書のページ記述情報の代わりに縮小画像を使用する場合の例である。出力画質に関わる予め定められている条件を満たすときとは、具体的には、配置倍率決定部348が決定した配置倍率が特定倍率以下である場合である。
【0128】
第3実施形態の出力処理は、図2との対比から分かるように、割付出力に対応した第1実施形態に対して、割付出力に関係する処理ステップを削除した手順にしている。第1実施形態の割付出力であるか否かの判定処理(S110)は、指示された出力態様がページの縮小処理を要する出力であるか否かの判定に置き換える(S111)。
【0129】
ページの縮小処理を要する出力でない場合は、画像出力制御部330は、通常通り、電子文書DOC そのものから印刷画像を生成するように描画処理部360を制御する(S111−NO,S112)。つまり、電子文書DOC を解析し、印刷画像描画部362でそれぞれのページを描画し、出力指示情報で指示された設定で印刷を行なう。
【0130】
ページの縮小処理を要する出力である場合は、画像出力制御部330は、指示解析部320の解析結果に基づき出力サイズ(この例では用紙サイズ)を決定し(S111−YES,S114)、さらに、全てのページの処理が完了しているか否かを判定する(S116)。全てのページの処理が完了していれば出力処理が終了である(S116−YES,S118)。
【0131】
第3実施形態では、割付出力での処理に限定せず、割付出力以外の出力処理時で、ページに対する縮小処理を伴う出力指示がある場合においても、処理対象ページの縮小画像が存在するか否かと、用紙へのページ割付の際の倍率を判定し、縮小画像の使用可否を切り替える。ここで、倍率判定に当たっては、次のようにする。
【0132】
処理対象ページの縮小画像が存在すると縮小画像判定部352が判定した場合(S140−YES)、配置領域寸法判定部344は、ページを用紙に割り当てる際の領域寸法(描画寸法)を判定する(S153)。本事例の通常出力の場合、配置領域寸法判定部344は、用紙の描画領域の寸法を判定する。
【0133】
縮小画像寸法判定部346は、縮小画像取得部334が取得した縮小画像の縮小画像寸法(縮小画像の幅・高さ)を取得する(S154)。
【0134】
配置倍率決定部348は、配置領域寸法判定部344が判定した配置領域寸法と縮小画像寸法判定部346が取得した縮小画像寸法に基づき、各ページを用紙や画面に割り付ける際の配置倍率R1_2(=領域寸法/縮小画像寸法)を計算する(S157)。
【0135】
画像出力制御部330は、配置倍率決定部348が取得した配置倍率R1_2が特定倍率R2_2以下であるか否かを判定し(S161)、その結果に応じて縮小画像を使用した描画を行なうか否かを描画処理部360に指示する。この場合の特定倍率R2_2も、印刷される画質を鑑みて、たとえば1.0倍〜2.0倍程度が有効と考えられる。
【0136】
以下、第1実施形態と同様にして処理を切り分ければよい。基本的には、出力指示情報で指示された出力倍率が小さい場合に(つまり配置倍率R1_2≦特定倍率R2_2を満たす範囲で)、縮小画像を使用するようにする。
【0137】
第3実施形態の処理手順では、割付出力処理ではない通常の出力処理において、縮小画像が利用可能な場合、処理対象ページの縮小画像の用紙の描画領域への配置時の倍率で判定し、画質に関わる条件(配置倍率R1_2≦特定倍率R2_2)を満たす場合にはページの描画命令を処理する代わりに縮小画像を使用する。このため、割付出力処理が高速になる上、必要なリソース(CPU、メモリなど)も少なくて済む。
【0138】
<出力処理:第3実施形態:変形例>
図4Aは、第3実施形態の変形例の出力処理を説明するフローチャートである。この変形例との対比で、図4に示した出力処理を第3実施形態の基本例と称する。
【0139】
第3実施形態の変形例の出力処理は、図4との対比から分かるように、第1・第2実施形態の変形例と同様の趣旨のもので、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比の判定に関わる処理を割愛している。
【0140】
その結果、ページの縮小画像が存在する場合には、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比に関わらず、描画処理部360の画像配置処理部364は、縮小画像取得部334で取得された縮小画像を使用する(S163)。
【0141】
このような第3実施形態の変形例の出力処理では、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比の判定に関わる処理を割愛している分だけ、基本例よりも出力処理が高速になる。
【0142】
<出力処理:第4実施形態>
図5〜図5Aは、第4実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。
【0143】
第4実施形態の出力処理は、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されているか否かも判定対象とする場合である。出力時の画質モードを、印刷指示の出力品質によって処理を切り替えるのである。図5では、第1実施形態の基本例への適用例で示すが、第2実施形態の基本例や第3実施形態の基本例へも同様に適用し得る。図5Aでは、第1実施形態の変形例への適用例で示すが、第2実施形態の変形例や第3実施形態の変形例へも同様に適用し得る。
【0144】
ステップS126の後、出力画質判定部341は、指示解析部320による出力指示情報の解析結果に基づき、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されているか否かを判定する(S130)。画像出力制御部330は、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されている場合はステップS140へ移行する(S130−YES)。
【0145】
画像出力制御部330は、出力画質が低くないこと(高いこと)が求められる出力指示が指定されている場合はステップS164へ移行する(S130−NO)。つまり、高画質モードが指定されている場合には、たとえ縮小画像が存在する場合や、処理対象ページの縮小画像の配置倍率が特定倍率を満たす場合であっても、縮小画像を使用しないようにすることで、より高画質な出力を得るようにする。
【0146】
<出力処理:第5実施形態>
図6〜図6Cは、第5実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。図6は第1実施形態の基本例に対する適用例である。図6Aは第1実施形態の変形例に対する適用例である。図6Bは第3実施形態の基本例に対する適用例である。図6Cは第3実施形態の変形例に対する適用例である。
【0147】
第5実施形態の出力処理は、電子文書DOC の全てのページに関して、それぞれの判定条件を満たす場合に、電子文書DOC のページを使用する代わりに、ページに対応する縮小画像を使用して出力処理を行なうものである。図6、図6Aでは、第1・第3実施形態の基本例への適用例で示すが第2・第4実施形態の基本例へも同様に適用し得る。図6A、図6Cでは、第1・第3実施形態の変形例への適用例で示すが第2・第4実施形態の変形例へも同様に適用し得る。
【0148】
ステップS114までは第1・第3実施形態と同様である。第1例や第2例の場合、用紙サイズを決定したら(S114)、割付出力の割付数Nの値によって、用紙の描画領域をN分割して、それぞれの領域に電子文書DOC のページを配置していく。
【0149】
ここで、第1実施形態では分割領域ごとに処理し、第2実施形態では用紙ごとに処理していたが、第5実施形態では電子文書DOC の全てのページに関して縮小画像の存在判定や、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比の判定が判定条件を満たす場合に、縮小画像を使用する処理を行なう。
【0150】
そのため、画像出力制御部330は先ず、ページごとに、縮小画像の存在判定(S140)や、描画すべき画像領域と縮小画像の寸法比の判定用の処理(S152〜SS160)を行なう。画像形成装置32は、このような判定用の処理を、電子文書DOC の各ページについて、全てのページの処理が完了するまで繰り返す(S116)。
【0151】
その過程で、1つでも判定条件を満たさないページが現われた場合は、画像出力制御部330は縮小画像を使用しないように描画処理部360を制御する。たとえば、処理対象ページの縮小画像が存在しないと縮小画像判定部352が判定した場合や(S140−NO)、配置倍率が特定倍率R2_1を超える場合である(S160−NO)。印刷画像描画部362は、ページ情報を解析する印刷処理を行なう(S168)。具体的な処理は第1実施形態のステップS164,S166と同様である。
【0152】
一方、全てのページが判定条件を満たす状態で全てのページの判定処理が完了するときには(S116−YES)、画像出力制御部330は縮小画像を使用するように描画処理部360を制御する(S116−YES)。印刷画像描画部362は、縮小画像を使用する印刷処理を行なう(S169)。具体的な処理は第1・第3実施形態のステップS162,S163と同様である。
【0153】
このような第5実施形態の出力処理では、全ての出力媒体において、電子文書DOC の各ページに1つでも縮小画像が存在しない場合や、全てのページに関する縮小画像が存在しても、1ページでも配置倍率R1_1が特定倍率R2_1を超えるときは、従来通り、電子文書DOC の処理対象ページから描画する。
【0154】
その結果、第1例の場合は、全ての出力媒体は、全ての分割領域が縮小画像を使用したものでかつ配置倍率R1_1が特定倍率R2_1以下を満たすものであるか、全ての分割領域が電子文書DOC の各処理対象ページから描画されたものになる。また、第2例の場合は、全ての出力媒体は、全ての分割領域が縮小画像を使用したものであるか、全ての分割領域が電子文書DOC の各処理対象ページから描画されたものになる。つまり、1つの電子文書DOC に関する全ての出力媒体は、縮小画像のみを使用した状態であるか、電子文書DOC の各処理対象ページから描画されたものになり、使用されるものが統一される。
【0155】
第2実施形態を実施することで、割付出力の各出力媒体は、出力媒体ごとに、それぞれ縮小画像のみや元のページを解析した描画によるものになり、割付出力の各出力媒体では分割領域間での画質差の問題が解消される。しかしながら、割付出力の各出力媒体間での画質差が起こり得る。一方、第5実施形態の出力処理では、この問題が解決される。
【0156】
第3例や第4例のように、割付出力でない第3実施形態への適用の場合に関しても同様のことが言える。すなわち、第3実施形態では各出力媒体間での画質差が起こり得る。一方、第5実施形態の出力処理では、この問題が解決される。
【0157】
<画像出力装置;計算機構成>
図7は、前記実施形態で説明した縮小画像の使用可否を切り替える処理を伴う画像出力処理を行なう画像出力装置の他の構成例を示すブロック図である。この構成は、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるパーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用したもので、縮小画像の使用可否を切り替える制御機能部分のより現実的なハードウェア構成を示している。
【0158】
すなわち、本実施形態において、縮小画像の使用可否を切り替える処理に関わる制御機構の仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現される。よって、本実施形態に係る仕組みを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が抽出される。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更されることとなる。
【0159】
たとえば、縮小画像の使用可否を切り替える処理に関わる制御機構を構築するコンピュータシステム900は、CPU(Central Processing Unit )やマイクロプロセッサ(microprocessor)で構成された中央制御部910、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)、随時読出し・書込みが可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)などを具備する記憶部912、操作部914、図示を割愛したその他の周辺部材を有している。
【0160】
中央制御部910は、コンピュータが行なう演算と制御の機能を超小型の集積回路に集約させたCPUを代表例とする電子計算機の中枢をなすものと同様のものである。ROMには縮小画像の使用可否を切り替える処理用の制御プログラムなどが格納される。記憶部612のROMがその機能を備えるものとしてもよい。操作部914は、利用者による操作を受け付けるためのユーザインタフェースである。
【0161】
コンピュータシステム900の制御系としては、メモリカードなどの図示を割愛した外部記録媒体を挿脱可能に構成し、またインターネットなどの通信網との接続が可能に構成するとよい。このためには、制御系は、中央制御部910や記憶部912の他に、可搬型の記録媒体の情報を読み込むメモリ読出部920や外部との通信インタフェース手段としての通信I/F922を備えるようにするとよい。メモリ読出部920を備えることで外部記録媒体からプログラムのインストールや更新ができる。通信I/F922を備えることで、通信網を介しプログラムのインストールや更新ができる。縮小画像の使用可否を切り替える処理の仕組みは前記実施形態と同様である。
【0162】
ここでは、縮小画像の使用可否を切り替える処理に関わる制御機構をコンピュータにてソフトウェア上で実現する構成例で説明しているが、本実施形態の縮小画像の使用可否を切り替える処理を実現するための制御機構の各部(機能ブロックを含む)の具体的手段は、ハードウェア、ソフトウェア、通信手段、これらの組み合わせ、その他の手段を用いることができ、このこと自体は当業者において自明である。また、機能ブロック同士が複合して1つの機能ブロックに集約されてもよい。また、コンピュータにプログラム処理を実行させるソフトウェアは、組合せの態様に応じて分散してインストールされる。
【0163】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0164】
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0165】
たとえば、第1〜第4実施形態では、画像形成装置32における印刷出力(たとえばダイレクトプリント)において、電子文書のページを縮小することを要する出力態様の場合への適用例で、具体的な処理手順を説明したが、その適用範囲は印刷出力に限らない。
【0166】
たとえば、情報処理装置10は、情報処理部110や出力指示生成部130において、文書フォーマットの変換やプリンタドライバにおけるPDLへの変換を行ない、その結果を画像出力装置30へ送信することもある。この場合、文書フォーマットの変換やプリンタドライバにおけるPDLへの変換は、一種の画像出力処理であり、この点に着目したときには、情報処理装置10も画像出力装置30の一態様と捉え得る。この点では、当該文書フォーマットの変換やプリンタドライバにおけるPDLへの変換を行なう機能部分に、画像出力装置30の画像出力制御部330の機能部を適用し得る。文書フォーマットの変換やプリンタドライバにおけるPDLへの変換時に、たとえば、倍率によっては縮小画像をページの描画結果として使用することで、効率よく変換処理や表示処理が実施される。
【0167】
情報処理装置10の画像表示部120や画像表示装置34における表示出力において、電子文書のページを縮小することを要する出力態様の場合についても、前記第1〜第4実施形態の仕組みが適用される。たとえば、電子文書の表示アプリケーションにおいて、倍率によっては縮小画像をページの描画結果として使用することで、効率よく変換処理や表示処理が実施される。たとえば、電子文書の閲覧アプリケーション(Viewer)などでの、複数ページを一覧表示するような場合への適用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】画像出力処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】第1実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。
【図2A】第1実施形態の出力処理の概要を説明する図である。
【図2B】第1実施形態に対する比較例の処理を説明するフローチャートである。
【図2C】第1実施形態の変形例の出力処理を説明するフローチャートである。
【図3】第2実施形態の出力処理を説明するフローチャートである。
【図3A】第2実施形態の出力処理の概要を説明する図である。
【図3B】第2実施形態の変形例の出力処理を説明するフローチャートである。
【図3C】第2実施形態の変形例の出力処理の概要を説明する図である。
【図4】第3実施形態の出力処理を説明するフローチャート(基本例)である。
【図4A】第3実施形態の出力処理を説明するフローチャート(変形例)である。
【図5】第4実施形態の出力処理を説明するフローチャート(基本例)である。
【図5A】第4実施形態の出力処理を説明するフローチャート(変形例)である。
【図6】第5実施形態の出力処理を説明するフローチャート(第1例)である。
【図6A】第5実施形態の出力処理を説明するフローチャート(第2例)である。
【図6B】第5実施形態の出力処理を説明するフローチャート(第3例)である。
【図6C】第5実施形態の出力処理を説明するフローチャート(第4例)である。
【図7】縮小画像の使用可否を切り替える処理を伴う画像出力処理行なう画像出力装置を、電子計算機を用いて構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0169】
1…画像出力処理システム、10…情報処理装置、30…画像出力装置、32…画像形成装置、34…画像表示装置、110…情報処理部、120…画像表示部、130…出力指示生成部、150…通信インタフェース部、310…通信インタフェース部、320…指示解析部、330…画像出力制御部、332…電子文書解析部、334…縮小画像取得部、341…出力画質判定部、342…縮小画像判定部、344…配置領域寸法判定部、346…縮小画像寸法判定部、348…配置倍率決定部、349…配置倍率判定部、352…縮小画像判定部、354…縮小画像抽出部、360…描画処理部、362…印刷画像描画部、364…画像配置処理部、370…画像出力部、372…画像形成部、374…表示出力部、390…保存処理部、392…電子文書保存部、394…縮小画像生成部、396…縮小画像保存部、9…通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書と、当該電子文書の出力処理態様を示した出力指示情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記出力指示情報を解析する指示解析部と、
前記電子文書の頁に対応する縮小画像が存在するか否かを判定する縮小画像判定部と、
前記出力指示情報が前記電子文書の頁を縮小することを要する出力態様を含むと前記指示解析部が解析した場合において、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する画像出力制御部と、
を備えた画像出力装置。
【請求項2】
前記頁を出力媒体に出力する際の、当該頁に対応する画像が配置される配置領域の寸法を判定する配置領域寸法判定部と、
前記頁に対応する縮小画像の寸法を判定する縮小画像寸法判定部と、
前記配置領域寸法判定部が判定した配置領域の寸法と、前記縮小画像寸法判定部が判定した縮小画像の寸法とに基づいて、前記縮小画像を使用した頁画像を前記配置領域に配置する際の配置倍率を決定する配置倍率決定部と、
前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている倍率以下であるか否かを判定する配置倍率判定部と、
をさらに備え、
前記画像出力制御部は、さらに、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記画像出力制御部は、前記電子文書の全ての頁に関して、それぞれの判定条件を満たす場合に、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項1または2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記画像出力制御部は、前記出力媒体を複数の領域に分割した各分割領域に前記電子文書の複数の頁を縮小して配置する割付出力を前記出力指示情報が含むと前記指示解析部が解析した場合において、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記画像出力制御部は、前記出力媒体の全ての分割領域に関して前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項4に記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記画像出力制御部は、さらに全ての前記出力媒体の全ての分割領域に関して前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項5に記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記画像出力制御部は、前記出力媒体を複数の領域に分割した各分割領域に前記電子文書の複数の頁を縮小して配置する割付出力を前記出力指示情報が含むと前記指示解析部が解析した場合において、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定し、かつ、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項8】
前記画像出力制御部は、さらに前記出力媒体の全ての分割領域に関して、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定し、かつ、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項7に記載の画像出力装置。
【請求項9】
前記画像出力制御部は、さらに全ての前記出力媒体の全ての分割領域に関して、前記頁に対応する縮小画像が存在すると前記縮小画像判定部が判定し、かつ、前記配置倍率決定部が決定した配置倍率が予め定められている値以下であると前記配置倍率判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項8に記載の画像出力装置。
【請求項10】
前記指示解析部による出力指示情報の解析結果に基づき、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されているか否かを判定する出力画質判定部、
をさらに備え、
前記画像出力制御部は、さらに、出力画質が低くてもよい出力指示が指定されていると前記出力画質判定部が判定したときに、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項1〜9の内の何れか一項に記載の画像出力装置。
【請求項11】
前記縮小画像判定部は、前記頁に対応する縮小画像が前記電子文書に付加されているか否かを判定し、
前記画像出力制御部は、前記頁に対応する縮小画像が前記電子文書に付加されていると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記電子文書に付加されている前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項1〜10の内の何れか一項に記載の画像出力装置。
【請求項12】
前記受信部が受信した前記電子文書を保存する電子文書保存部と、
前記受信部が受信した前記電子文書の頁を縮小した縮小画像を生成する縮小画像生成部と、
前記縮小画像生成部が生成した縮小画像を前記電子文書の頁と対応付けて保存する縮小画像保存部と、
をさらに備え、
前記縮小画像判定部は、前記頁に対応する縮小画像が前記縮小画像保存部に保存されているか否かを判定し、
前記画像出力制御部は、前記頁に対応する縮小画像が前記縮小画像保存部に保存されていると前記縮小画像判定部が判定したとき、前記電子文書の頁を使用する代わりに、前記縮小画像保存部に保存されている前記頁に対応する縮小画像を使用して、出力処理を行なうように制御する
請求項1〜10の内の何れか一項に記載の画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−149298(P2010−149298A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327326(P2008−327326)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】