説明

画像合成基板

【課題】設置、メンテナンスの手間を削減可能なカラオケ機器用画像合成装置を提供すること。
【解決手段】カラオケ機器(カラオケ機器1)に取外し自在に接続可能な基板(画像合成基板10)は、前記カラオケ機器から、背景画像としてのビデオ入力信号を受け付ける背景画像ビデオ入力部(背景画像ビデオ入力部102)と、ビデオカメラから、ビデオ入力信号を受け付けるカメラ入力部(カメラ入力部103)と、前記ビデオカメラからのビデオ入力信号に前記カラオケ機器からの背景画像をクロマキー合成する画像合成部と、クロマキー合成した動画像を前記カラオケ機器に出力する合成画像ビデオ出力部(合成画像ビデオ出力部104)と、を備え、前記背景画像ビデオ入力部及び前記合成画像ビデオ出力部は、前記カラオケ機器のスロットに取外し自在に接続可能な端子(端子109)を構成して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像合成基板に関する。特に、カラオケ機器に取外し自在に接続可能な画像合成基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ機器に画像合成機能を付加し、クロマキーカラーの背景スクリーンの前で歌っている歌唱者の動画像を入力し、あらかじめ用意した背景画像(動画像も含む)にクロマキー合成するカラオケ機器が提案されている。
【0003】
このようなカラオケ機器によれば、歌唱者の動画像を様々な背景画像に合成してスクリーン等に出力することが可能となるため、様々な演出効果が期待できる。
【0004】
更に、上述の画像合成を行う付加機能を、カラオケ機器と取外し可能なアダプタ装置のような別筐体に収めて実現した画像合成装置も提案されている(特許文献1)。
【0005】
このような別筐体の画像合成装置によれば、カラオケ機器と別々に機器の入れ替え、バージョンアップ、故障時の回収修理等が可能となり、資源の無駄を削減し、常に最適、或いは最新の機能を組み合わせてシステムを構成することができる。
【特許文献1】特開平8−008662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような別筐体の画像合成装置は、カラオケ機器と接続する際にカメラからのビデオ入力端子、背景画像の画像入力端子、合成後の画像出力端子、電源端子その他の様々な端子にケーブルを接続する手間が煩雑となる。
【0007】
特に、このようなケーブルの接続はカラオケ機器の背面での作業となるため、カラオケ店一店舗あたり数十から数百台のカラオケ機器への設置、メンテナンスの手間は相当な運用、維持管理コストの原因となる。
【0008】
したがって、カラオケ機器に画像合成機能を付加する際に設置、メンテナンスの手間を削減可能な画像合成装置が望まれている。
【0009】
本発明は、設置、メンテナンスの手間を削減可能なカラオケ機器用画像合成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の目的を達成するため、次のようなものを提供する。
【0011】
(1) カラオケ機器(カラオケ機器1)に取外し自在に接続可能な基板(画像合成基板10)であって、
前記カラオケ機器から、背景画像としてのビデオ入力信号を受け付ける背景画像ビデオ入力部(背景画像ビデオ入力部102)と、
ビデオカメラから、ビデオ入力信号を受け付けるカメラ入力部(カメラ入力部103)と、
前記ビデオカメラからのビデオ入力信号に前記カラオケ機器からの背景画像をクロマキー合成する画像合成部と、
クロマキー合成した動画像を前記カラオケ機器に出力する合成画像ビデオ出力部(合成画像ビデオ出力部104)と、を備え、
前記背景画像ビデオ入力部及び前記合成画像ビデオ出力部は、前記カラオケ機器のスロットに取外し自在に接続可能な端子(端子109)を構成して成る基板。
【0012】
このような構成によれば、カラオケ機器(カラオケ機器1)に取外し自在に接続可能な基板(画像合成基板10)は、
前記カラオケ機器から、背景画像としてのビデオ入力信号を受け付け、
ビデオカメラから、ビデオ入力信号を受け付け、
前記ビデオカメラからのビデオ入力信号に前記カラオケ機器からの背景画像をクロマキー合成し、
クロマキー合成した動画像を前記カラオケ機器に出力し、
前記カラオケ機器のスロットに取外し自在に接続可能な端子(端子109)により接続することができる、という作用効果を奏する。
【0013】
このことにより、前記基板は、前記端子を前記カラオケ機器のスロットに接続するだけで、背景画像としてのビデオ入力信号を受け付けて、ビデオカメラから受け付けたビデオ入力信号にクロマキー合成し、クロマキー合成した動画像を前記カラオケ機器に出力することができる。
【0014】
その結果、ユーザは、前記カラオケ機器にクロマキー合成機能を付加する際にケーブルの使用を不要とし、配線の手間を削減することができる。
【0015】
(2) 前記基板のユーザから、クロマキー合成する際のクロマキー設定情報の調整操作を受け付けるクロマキー調整部(クロマキー調整ボタン106a、106b、106c)と、
前記クロマキー調整部によって調整されたクロマキー設定情報を示すデータを記憶する記憶部(記憶部105)と、を更に備え、
前記基板に電源が供給されたことに応じて、前記画像合成部は、前記記憶部に記憶された前記クロマキー設定情報を読み出し、読み出した前記クロマキー設定情報に基づいてクロマキー合成する(1)に記載の基板。
【0016】
このような構成によれば、前記基板は、前記基板のユーザから、クロマキー合成する際のクロマキー設定情報の調整操作を受け付け、
前記クロマキー調整部によって調整されたクロマキー設定情報を示すデータを記憶部に記憶し、
前記基板に電源が供給されたことに応じて、前記記憶部に記憶された前記クロマキー設定情報を読み出し、読み出した前記クロマキー設定情報に基づいてクロマキー合成することができる、という作用効果を奏する。
【0017】
このことにより、前記基板は、一度クロマキー調整部によりクロマキー設定情報の調整を受ければ、次回以降、調整後のクロマキー設定情報に基づいて動作することができる。
【0018】
その結果、ユーザは、一度クロマキー調整を行うだけで、次回以降、設定調整を行う手間を削減することができる。
【0019】
(3) 前記クロマキー調整部が、前記基板のユーザから、クロマキー設定操作を受け付けたことに応じて、前記カラオケ機器に前記クロマキー設定情報を示すデータを転送して記憶させる設定情報転送部(設定情報転送部108)を更に備え、
前記画像合成部は、前記基板に電源が供給されたことに応じて、設定情報転送部を介して前記カラオケ機器から前記クロマキー設定情報を示すデータを読み出し、読み出した前記クロマキー設定情報に基づいてクロマキー合成する(2)に記載の基板。
【0020】
このような構成によれば、前記基板は、前記基板のユーザから、クロマキー設定操作を受け付けたことに応じて、前記カラオケ機器に前記クロマキー設定情報を示すデータを転送して記憶させ、
前記基板に電源が供給されたことに応じて、前記カラオケ機器から前記クロマキー設定情報を示すデータを読み出し、読み出した前記クロマキー設定情報に基づいてクロマキー合成することができる、という作用効果を奏する。
【0021】
このことにより、前記基板は、故障時や、バージョンアップ時等において基板の入れ替えを行った場合に、カラオケ機器からクロマキー設定情報を読み出して当該クロマキー設定情報に基づいて動作することができる。
【0022】
その結果、ユーザは、基板の故障時や、バージョンアップ時等において、クロマキー調整操作の手間を削減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、前記基板は、前記端子を前記カラオケ機器のスロットに接続するだけで、背景画像としてのビデオ入力信号を受け付けて、ビデオカメラから受け付けたビデオ入力信号にクロマキー合成し、クロマキー合成した動画像を前記カラオケ機器に出力することができる。その結果、ユーザは、前記カラオケ機器にクロマキー合成機能を付加する際にケーブルの使用を不要とし、配線の手間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の好適な実施形態の一例に係る画像合成基板10の概観を示す図である。図2は、画像合成基板10のカラオケ機器1への接続例を示す図である。図3は、画像合成基板10の概要を示す機能ブロック図である。図4は、画像合成基板10による画像合成基板起動を示すフローチャートである。図5は、画像合成基板10による設定情報書き出し処理を示すフローチャートである。
【0026】
図1及び図3に示すように、画像合成基板10は、少なくともカラオケ機器1のスロットに接続するための端子109、クロマキー調整ボタン106a、106b、106c、カメラ入力部103、取り付けパネル130を含んで構成される。クロマキー調整ボタン106a、106b、106cは、クロマキー調整部106を構成する。
【0027】
ここで、クロマキー調整ボタンは、クロマキー合成を行う際に使用するクロマキースクリーンの色やスポットライトに合わせてきれいに背景が抜けるように調整するためのボタンである。具体的には、キー信号を生成するための基準色の指定及びその範囲の微調整を行った後、フォアグラウンドの背景色の色抜き(カラーキャンセル)等を行い、合成した映像のフォアグラウンドとバックグラウンドの境界線に残ってしまった背景色の色を消すために行う。
【0028】
上述のクロマキー調整の設定情報は、後述の記憶部105に記憶され、或いは、後述の設定情報書き出し処理によってカラオケ機器1の本体側に書き込まれ、次回以降、当該設定が引き継がれる。
【0029】
また、カメラ入力部103は歌唱者のビデオ画像を入力する端子で構成し、具体的にはSビデオ端子等により実現する。
【0030】
また、端子109は、背景画像ビデオ入力部102としての背景画像ビデオ入力端子、合成画像ビデオ出力部104としての合成画像ビデオ出力端子、設定情報転送部108としての設定情報転送端子等を含んで構成してよい。また、その他、電源端子、リセット端子、接地端子等を含んで構成してよい。
【0031】
また、画像合成基板10は、画像合成を行うDSP(Digital Signal Processor)(CPU)101、プログラムや各種データを記憶する記憶部105、及び上述の各種端子がバス107を介して接続されている。
【0032】
ここで、DSP(CPU)101は、画像合成基板10全体の制御を行い、記憶部105に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、画像合成をはじめとする本発明に係る各種機能を実現する。
【0033】
画像合成処理は、具体的には、例えば、MPEG−4によるリアルタイム画像処理により、実現することができる。その他、将来改良が加えられ、或いは新たな手法が提案され得る動画像処理、画像合成処理等、本発明の原理に合致するものは、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0034】
また、記憶部105は、半導体メモリ、磁気ディスク装置等本発明の原理に合致する各種記憶装置によって実現される。
【0035】
図2に示すように、画像合成基板10は、カラオケ機器1のスロット11に挿入して設置することができる。このことにより、従来、各種端子へのケーブリングが必要であった接続の手間を削減することが可能である。また、確実に必要な端子同士が接続されるため、接続ミスによる動作不良も回避することができる。また、画像合成基板10を設置しない場合には、目隠しパネル12を代わりに設置してよい。
[画像合成基板起動処理]
【0036】
図4に示すように、本発明の好適な実施形態の一例に係る画像合成基板10は、画像合成基板起動処理を行う。
【0037】
まず、画像合成基板10のDSP(CPU)101は、画像合成基板10がカラオケ機器に接続されたか否かを判断する(ステップS101)。
【0038】
ステップS101において、接続されたと判断した場合、DSP(CPU)101は、画像合成基板10に電源供給を開始する(ステップS102)。
【0039】
次に、DSP(CPU)101は、カラオケ機器1の本体側に設定情報を記憶しているか否かを判断する(ステップS103)。具体的には、例えば、カラオケ機器1の本体側の記憶部の所定の領域に、後述の設定情報書き出し処理によってあらかじめ設定情報を記憶しておき、当該所定の領域にデータが書き込まれているか否かをチェックすることによって実現してよい。
【0040】
ステップS103において、カラオケ機器1の本体側に設定情報を記憶していると判断した場合には、カラオケ機器1の本体側から設定情報を読み出して当該設定情報を反映させる(ステップS104)。このことにより、画像合成基板10自体を故障やバージョンアップ等で交換した場合にも、それぞれの設置状況に応じて設定されたクロマキー調整等を再度行うことなく、これらの設定情報を引き続き反映させることができる。
[設定情報書き出し処理]
【0041】
図5に示すように、本発明の好適な実施形態の一例に係る画像合成基板10は、設定情報書き出し処理を行う。
【0042】
まず、画像合成基板10のDSP(CPU)101は、ユーザから、クロマキー調整部106等により設定操作を受け付けて設定情報が変更されたか否かを判断する(ステップS201)。
【0043】
次に、DSP(CPU)101は、ステップS201において、設定情報が変更されたと判断した場合には、変更された当該設定情報をカラオケ機器1の本体側に書き出す(ステップS202)。
【0044】
このように、DSP(CPU)101は、設定情報が変更される度に、ユーザから終了指示を受け付けるまで上述の処理を繰り返し実施する(ステップS203)。
【0045】
このことにより、次回以降、画像合成基板10を交換した場合にも、DSP(CPU)101は、クロマキー調整情報等を含む設定情報を上述の画像合成基板起動処理によってカラオケ機器1の本体側から読み出して反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の好適な実施形態の一例に係る画像合成基板10の概観を示す図である。
【図2】画像合成基板10のカラオケ機器1への接続例を示す図である。
【図3】画像合成基板10の概要を示す機能ブロック図である。
【図4】画像合成基板10による画像合成基板起動を示すフローチャートである。
【図5】画像合成基板10による設定情報書き出し処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 カラオケ機器
10 画像合成基板
101 DSP(CPU)
102 背景画像ビデオ入力部
103 カメラ入力部
104 合成画像ビデオ出力部
105 記憶部
106 クロマキー調整部
107 バス
108 設定情報転送部
109 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ機器に取外し自在に接続可能な基板であって、
前記カラオケ機器から、背景画像としてのビデオ入力信号を受け付ける背景画像ビデオ入力部と、
ビデオカメラから、ビデオ入力信号を受け付けるカメラ入力部と、
前記ビデオカメラからのビデオ入力信号に前記カラオケ機器からの背景画像をクロマキー合成する画像合成部と、
クロマキー合成した動画像を前記カラオケ機器に出力する合成画像ビデオ出力部と、を備え、
前記背景画像ビデオ入力部及び前記合成画像ビデオ出力部は、前記カラオケ機器のスロットに取外し自在に接続可能な端子を構成して成る基板。
【請求項2】
前記基板のユーザから、クロマキー合成する際のクロマキー設定情報の調整操作を受け付けるクロマキー調整部と、
前記クロマキー調整部によって調整されたクロマキー設定情報を示すデータを記憶する記憶部と、を更に備え、
前記基板に電源が供給されたことに応じて、前記画像合成部は、前記記憶部に記憶された前記クロマキー設定情報を読み出し、読み出した前記クロマキー設定情報に基づいてクロマキー合成する請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記クロマキー調整部が、前記基板のユーザから、クロマキー設定操作を受け付けたことに応じて、前記カラオケ機器に前記クロマキー設定情報を示すデータを転送して記憶させる設定情報転送部を更に備え、
前記画像合成部は、前記基板に電源が供給されたことに応じて、設定情報転送部を介して前記カラオケ機器から前記クロマキー設定情報を示すデータを読み出し、読み出した前記クロマキー設定情報に基づいてクロマキー合成する請求項2に記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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