説明

画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制しつつ、圧縮後のファイルサイズを十分に小さくすることができる画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】カラー画像の前景に係る色情報を識別するN種類の前景識別子の種類数を、N種類より少ないM種類に減少させる場合、インデックス画像生成部32は、有彩色の近似色に係る前景識別子同士を統合し、無彩色の近似色に係る前景識別子同士を統合し、有彩色に係る前景識別子と無彩色に係る前景識別子とは統合しない。このため、無彩色が有彩色に、有彩色が無彩色に変色して画質が劣化することを抑制することができる。その後、2値画像生成部34が、M種類の前景識別子を含む前景レイヤに基づき、M種類の識別子に対応するM枚の2値画像を生成し、画像圧縮部35が、各2値画像を可逆圧縮し、背景レイヤを非可逆圧縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を圧縮する画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像処理システムが目覚ましい発達を遂げ、デジタル画像処理技術の構築が進んでいる。例えば、電子写真方式又はインクジェット方式を用いた複写機、複合機(MFP:Multi-Function Printer)等の分野では、文書の原稿がスキャナで読み取られて電子データである文書ファイルとして保存され、また、保存された文書ファイルが管理されている。更には、文書ファイルを圧縮してe-mailで送信することがなされている。
【0003】
一般的に、スキャナで読み取られた画像(以下、スキャン画像という)はファイルサイズが大きいため、スキャン画像を蓄積又は伝送するためにスキャン画像を圧縮することが必須不可欠とされている。
このような画像を高圧縮率で圧縮するための圧縮技術の1つとして、Mixed Raster Content(MRC)のような、レイヤ分離に基づく画像圧縮技術が実用化されている。
【0004】
レイヤ分離に基づく画像圧縮技術は、圧縮すべき画像から文字及び/又は線画を表す前景マスクを生成し、生成した前景マスクに基づいて、カラー画像を前景レイヤと背景レイヤとに分離し、夫々に適した圧縮技術を用いて前景レイヤと背景レイヤとを圧縮することによって、最終的に高圧縮画像を生成するものである(特許文献1参照)。
ここで、前景レイヤとは、文字及び/又は線画を表す前景のレイヤであり、一般的に、JBIG(Joint Bilevel Image Group )、MMR(Modified Modified Read code )、LZW(Lempel Ziv Welch)等の可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
【0005】
一方、背景レイヤは、文字及び/又は線画以外の画像コンテントを表す背景のレイヤであり、一般的に、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の非可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
非可逆圧縮技術による圧縮は、可逆圧縮技術による圧縮に比べて、圧縮後の画像の画質が劣化し易い。しかしながら、非可逆圧縮技術は圧縮率の制御が簡易であるため、圧縮画像の用途に応じて、ファイルサイズの小ささを優先したり画質の高さを優先したりすることができる。一方、可逆圧縮技術は圧縮率を制御することが難しいため、圧縮率を向上させることが困難である。
【0006】
従来、カラー画像を分離してなる前景レイヤを更に分離してから可逆圧縮することによって、前景レイヤを直接的に可逆圧縮する場合よりも圧縮率を向上させることができる画像圧縮装置が提案されている。この画像圧縮装置は、1枚のカラー画像の前景の色をN種類の識別子に置換してなる1枚の前景レイヤを生成し、生成した前景レイヤを、N種類の識別子に対応するN枚の2値画像に分離し、分離された2値画像を個々に可逆圧縮する。ここで、Nは自然数である。
【0007】
しかしながら、識別子の種類数Nが多い場合、可逆圧縮すべき2値画像の枚数も多くなるため、圧縮後のファイルサイズを十分に小さくすることができないという問題がある。
このような問題を解決するために、互いに異なる識別子に関連付けられている色同士が近似している場合は、これらの色を同一の色であると看做して同一の識別子を関連付ける(即ち、識別子同士を統合する)ことによって、識別子の種類数を減少させることが考えられる。
【0008】
具体的には、互いに異なる識別子に関連付けられている色情報の色重心の値を比較することによって、これらの色情報が示す色同士が近似しているか否かを判定し、近似していると判定された場合は、比較した色情報同士を統合し、更に、これらの色情報に関連付けられている識別子同士を統合する画像符号化装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−94805号公報
【特許文献2】特開2003−309727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の画像符号化装置は、有彩色と無彩色とを区別せず、単純に色重心の値のみを用いて近似色であるか否かを判定する。このため、無彩色に近い有彩色(例えば茶色)と無彩色(例えば黒色)とが近似色であると判定され、これらの色に関連付けられた前景識別子同士が統合される可能性がある。
このとき、統合された識別子には、例えば画素数が多い方の色が関連付けられるか、又は、比較した色同士の平均的な色が関連付けられる。この結果、圧縮前は無彩色(又は有彩色)であった文字が、圧縮後は有彩色(又は無彩色)に変色する不都合が生じ得る。つまり、圧縮後の画質が大幅に劣化する虞がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、カラー画像の前景に係る色情報を識別するN種類の前景識別子の種類数を、N種類より少ないM種類に減少させる場合に、有彩色に係る前景識別子と無彩色に係る前景識別子とで個別に種類数を減少させ、M種類の前景識別子を含む前景レイヤに基づき、M種類の識別子に対応するM枚の2値画像を生成し、各2値画像を可逆圧縮し、背景レイヤを非可逆圧縮する構成とすることにより、圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制しつつ、圧縮後のファイルサイズを十分に小さくすることができる画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像圧縮方法は、複数の画素で構成されたカラー画像を圧縮する画像圧縮方法において、前記カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素が有する色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子を含む前景レイヤから、夫々が特定の前景識別子に対応するM(Mは自然数。M<N)枚の2値画像を生成して圧縮すべく、有彩色の色情報を識別するn1 (n1 は整数。n1 ≧0)種類の前景識別子を、m1 (m1 は整数。0≦m1 ≦n1 )種類に減少又は維持し、無彩色の色情報を識別するn2 (n2 は整数。n2 ≧0。N=n1 +n2 )種類の前景識別子を、m2 (m2 は整数。0≦m2 ≦n2 。m1 +m2 =M)種類に減少又は維持することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像圧縮方法は、前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素を示す前景マスクを生成し、生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に係る色情報を識別するN種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成し、前記前景に係る色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、前記前景レイヤを構成する画素の内、前記前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成し、生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定し、減少させると判定した場合に、前記テーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色に分類し、分類した有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 、及び分類した無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 を維持又は減少させるべく、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 夫々を決定し、前記テーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、種類数m1 ,m2 に維持又は減少させることによって、前記テーブルに記憶されている前景識別子の種類数をM種類に減少させ、種類数を減少させる前の前景識別子と種類数を減少させた後の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤを、該前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数が減少された前景レイヤに修正し、修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成し、生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮し、前記前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成し、生成した背景レイヤを非可逆圧縮することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像圧縮装置は、複数の画素で構成されたカラー画像を圧縮する画像圧縮装置において、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成する前景マスク生成手段と、該前景マスク生成手段が生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に係る色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手段と、前記前景に係る色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを構成する画素の内、前記前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成するテーブル生成手段と、該テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定する減少判定手段と、該減少判定手段が減少させると判定した場合に、前記テーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色に分類する彩色分類手段と、該彩色分類手段が分類した有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 、及び前記彩色分類手段が分類した無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 (n1 ,n2 夫々は整数。n1 ≧0。n2 ≧0。N=n1 +n2 )を維持又は減少させるべく、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 (m1 ,m2 夫々は整数。0≦m1 ≦n1 。0≦m2 ≦n2 。0<m1 +m2 <N)夫々を決定する種類数決定手段と、前記テーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、前記種類数決定手段が決定した種類数m1 ,m2 に維持又は減少させることによって、前記テーブルに記憶されている前景識別子の種類数をM(Mは自然数。M=m1 +m2 )種類に減少させる種類数減少手段と、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを、前記種類数減少手段が種類数を減少させた後の前景識別子を含む前景レイヤに修正する前景レイヤ修正手段と、該前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成する2値画像生成手段と、該2値画像生成手段が生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮する2値画像圧縮手段と、前記前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤ又は前記前景マスク生成手段が生成した前景マスク、及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する背景生成手段と、前記背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する背景画像圧縮手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記種類数減少手段は、n1 ≧3且つn1 >m1 ≧2である場合、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている有彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報に基づいて、各2種類の色情報が示す色同士の色差を総当りで夫々演算する色差演算手段と、該色差演算手段が求めた色差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する有彩色組合手段と、前記テーブルを参照して、前記有彩色組合手段が求めた前景識別子を有する画素夫々の画素数を比較し、各画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合し、各画素数が異なる場合は、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合する有彩色統合手段とを有し、前記有彩色統合手段による統合の結果、有彩色に係る前景識別子の種類数が種類数m1 に等しくなるまで、統合によって無効になった前景識別子を除いて、前記有彩色組合手段による演算及び前記有彩色統合手段による統合を繰り返し実行するようにしてあり、前記前景レイヤ修正手段は、前記種類数減少手段が種類数を減少させる前のn1 種類の前景識別子と、前記種類数減少手段が種類数を減少させた後のm1 種類の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる統合前の前景識別子を、統合後の前景識別子で置き換えるようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記種類数減少手段は、前記有彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報が示す色の視感度に応じた係数を求める有彩色係数演算手段を更に有し、前記色差演算手段は、前記色同士の色差に、前記有彩色係数演算手段が求めた係数を乗じてなる色差を演算するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記種類数減少手段は、n2 ≧3且つn2 >m2 ≧2である場合、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている無彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報に基づいて、各2種類の色情報が示す色同士の輝度差を総当りで夫々演算する輝度差演算手段と、該輝度差演算手段が求めた輝度差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する無彩色組合手段と、前記テーブルを参照して、前記無彩色組合手段が求めた前景識別子を有する画素夫々の画素数を比較し、各画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合し、各画素数が異なる場合は、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合する無彩色統合手段とを有し、前記無彩色統合手段による統合の結果、無彩色に係る前景識別子の種類数が種類数m2 に等しくなるまで、統合によって無効になった前景識別子を除いて、前記無彩色組合手段による演算及び前記無彩色統合手段による統合を繰り返し実行するようにしてあり、前記前景レイヤ修正手段は、前記種類数減少手段が種類数を減少させる前のn2 種類の前景識別子と、前記種類数減少手段が種類数を減少させた後のm2 種類の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる統合前の前景識別子を、統合後の前景識別子で置き換えるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記種類数減少手段は、前記無彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報が示す色の視感度に応じた係数を求める無彩色係数演算手段を更に有し、前記輝度差演算手段は、前記色同士の輝度差に、前記無彩色係数演算手段が求めた係数を乗じてなる輝度差を演算するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定の種類数P(Pは自然数)より多い場合に、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る画像圧縮装置は、P=Mであり、前記種類数決定手段は、種類数Nに対する種類数n1 の割合と、種類数Mに対する種類数m1 の割合とが略一致し、種類数Nに対する種類数n2 の割合と、種類数Mに対する種類数m2 の割合とが略一致するよう種類数m1 ,m2 夫々を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記種類数決定手段は、有彩色同士よりも無彩色同士を優先的に統合すべく、種類数m1 を決定する場合に、m1 =M×n1 /Nの演算を、小数点以下の端数を切り上げて行なうか、又は、種類数m2 を決定する場合に、m2 =M×n2 /Nの演算を、小数点以下の端数を切り上げて行なうようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記種類数決定手段は、種類数n1 を所定の種類数Q1 (Q1 は自然数。2≦Q1 <M)と比較する第1比較手段と、種類数n2 を所定の種類数Q2 (Q2 は自然数。2≦Q2 <M。Q1 +Q2 ≦M)と比較する第2比較手段とを有し、前記第1比較手段による比較結果がn1 >Q1 である場合はm1 ≧Q1 となり、n1 ≦Q1 である場合はm1 =n1 となり、前記第2比較手段による比較結果がn2 >Q2 である場合はm2 ≧Q2 となり、n2 ≦Q2 である場合はm2 =n2 となるよう、種類数m1 ,m2 を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像形成装置は、本発明の画像圧縮装置と、記録シート上に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の画素で構成されたカラー画像を圧縮させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成させる前景マスク生成ステップと、コンピュータに、前記前景マスク生成ステップで生成された前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に係る色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成させる前景レイヤ生成ステップと、コンピュータに、前記前景に係る色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、前記前景レイヤ生成ステップで生成された前景レイヤを構成する画素の内、前記前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成させるテーブル生成ステップと、コンピュータに、前記テーブル生成ステップで生成されたテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定させる減少判定ステップと、コンピュータに、前記減少判定ステップで減少させると判定された場合に、前記テーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色に分類させる彩色分類ステップと、コンピュータに、前記彩色分類ステップで分類された有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 、及び前記彩色分類ステップで分類された無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 (n1 ,n2 夫々は整数。n1 ≧0。n2 ≧0。N=n1 +n2 )を維持又は減少させるべく、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 (m1 ,m2 夫々は整数。0≦m1 ≦n1 。0≦m2 ≦n2 。0<m1 +m2 <N)夫々を決定させる種類数決定ステップと、コンピュータに、前記テーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、前記種類数決定ステップで決定された種類数m1 ,m2 に維持又は減少させることによって、前記テーブルに記憶されている前景識別子の種類数をM(Mは自然数。M=m1 +m2 )種類に減少させる種類数減少ステップと、コンピュータに、前記種類数減少ステップで種類数を減少させる前の前景識別子と前記種類数減少ステップで種類数を減少させた後の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤ生成ステップで生成された前景レイヤを、該前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数が減少された前景レイヤに修正させる前景レイヤ修正ステップと、コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成させる2値画像生成ステップと、コンピュータに、前記2値画像生成ステップで生成されたM枚の2値画像夫々を可逆圧縮させる2値画像圧縮ステップと、コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成させる背景生成ステップと、コンピュータに、前記背景生成ステップで生成された背景レイヤを非可逆圧縮させる背景画像圧縮ステップとを実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る記録媒体は、本発明のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、例えば、本発明の画像圧縮装置を用いて本発明の画像圧縮方法を実行することによって、カラー画像を圧縮する。本発明の画像圧縮装置は、前景マスク生成手段、前景レイヤ生成手段、テーブル生成手段、減少判定手段、彩色分類手段、種類数決定手段、種類数減少手段、前景レイヤ修正手段、2値画像生成手段、2値画像圧縮手段、背景生成手段、及び背景画像圧縮手段を備える。
前景マスク生成手段は、複数の画素で構成されたカラー画像に基づいて、前景マスクを生成する。生成される前景マスクには、カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素が示されている。
【0027】
前景レイヤ生成手段は、前景マスク生成手段が生成した前景マスクとカラー画像とに基づいて、前景レイヤを生成する。生成された前景レイヤは、カラー画像における前景の各画素が有する色情報を前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を背景識別子に置き換えたものである。前景識別子は、前景に係る色情報を識別するものであり、N種類存在する。ここで、Nは自然数である。背景識別子は、背景であることを示すものである。
従って、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤにおいては、前景識別子を有する画素が、カラー画像の前景に対応し、背景識別子を有する画素が、カラー画像の背景に対応する。
【0028】
テーブル生成手段は、テーブルを生成する。生成されるテーブルには、カラー画像の前景に係る色情報と、この色情報を識別する前景識別子と、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤにおいてこの前景識別子を有する画素の画素数とが関連付けて記憶される。
1種類の前景識別子には、カラー画像における前景の画素が有する色情報が関連付けられることもあれば、カラー画像における前景の画素が有する複数種類の色情報夫々が示す色を代表する代表色の色情報が関連付けられることもある。
【0029】
減少判定手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定する。
彩色分類手段は、減少判定手段が減少させると判定した場合に、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色のいずれか一方に分類する。
【0030】
ここで、彩色分類手段が分類した有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 はn1 ≧0の整数であり、彩色分類手段が分類した無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 はn2 ≧0の整数である。テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数Nは、N=n1 +n2 で表わされる自然数であるため、種類数n1 ,n2 の両方が“0”であることはない。
【0031】
種類数決定手段は、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 夫々を決定する。ここで、種類数m1 は0≦m1 ≦n1 の整数であり、種類数m2 は0≦m2 ≦n2 の整数であり、0<m1 +m2 <Nである。
従って、種類数m1 ,m2 の両方が“0”であることはない。また、m1 =n1 である場合は必ずm2 <n2 であり、m2 =n2 である場合は必ずm1 <n1 である。つまり、前景識別子の種類数をN種類からM種類に減少させる場合は、有彩色に係る前景識別子及び無彩色に係る前景識別子の内、少なくとも一方の種類数が減少する。このため、本明細書中では、一方の種類数が減少して他方の種類数が維持される場合でも、両者まとめて種類数の減少ということがある。
【0032】
種類数減少手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数をN種類からM種類に減少させる。ここで、MはM=m1 +m2 の自然数である。このとき、種類数減少手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、種類数決定手段が決定した種類数m1 ,m2 に維持又は減少させる。ここで、n1 >m1 (又はn2 >m2 )である場合、有彩色(又は無彩色)の種類数は減少し、n1 =m1 (又はn2 =m2 )である場合、有彩色(又は無彩色)の種類数は維持される。
【0033】
このように、種類数決定手段は、前景識別子の種類数をN種類からM種類に減少させる場合に、残すべき前景識別子の種類数(即ち種類数m1 ,m2 )を、有彩色と無彩色とを区別した上で決定することができる。
従って、種類数減少手段は、有彩色と無彩色とを区別した上で、例えば前景識別子同士を統合する、又は前景識別子を背景識別子に置換する等の処理を実行することによって、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数をN種類からM種類に減少させることができる。
統合又は置換等をするべき前景識別子は、一般に、圧縮後の画質の劣化が可及的抑制されるように決定される。この結果、有彩色に関する画質の劣化抑制と無彩色に関する画質の劣化抑制とを個別に考慮することができる。
【0034】
前景レイヤ修正手段は、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤ(即ちN種類の前景識別子を含む前景レイヤ)を、種類数減少手段が種類数を減少させた後のM種類の前景識別子を含む前景レイヤに修正する。
2値画像生成手段は、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、M種類の前景識別子に対応するM枚の2値画像を生成する。各2値画像は、1種類の前景識別子と、この前景識別子以外の画素値とを2値化したものである。
2値画像圧縮手段は、2値画像生成手段が生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮する。
2値画像M枚分のデータ量は、2値画像N枚分のデータ量よりも小さいため、圧縮後のファイルサイズを小さくすることができる。
【0035】
背景生成手段は、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤ及びカラー画像に基づいて、又は、前景マスク生成手段が生成した前景マスク及びカラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する。
背景画像圧縮手段は、背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する。
【0036】
背景レイヤは、一般的に、前景マスク及びカラー画像に基づいて生成される。
種類数減少手段が、前景識別子同士を統合することによって前景識別子の前景識別子の種類数を減少させた場合、前景マスク生成手段が生成した前景マスクにおいて前景とされている画素と、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤにおいて前景とされている画素とは等しい。このため、背景生成手段が、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤを用いても、前景マスク生成手段が生成した前景マスクを用いても、生成される背景レイヤは全く同じものである。
【0037】
ところが、種類数減少手段が、前景識別子を背景識別子に置換することによって前景識別子の種類数を減少させた場合、前景マスク生成手段が生成した前景マスクにおいて前景とされている画素の一部は、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤにおいて背景とされている。つまり、前景マスク生成手段が生成した前景マスクには、種類数減少手段による識別子の減少結果が反映されていない。
仮に、前景マスク生成手段が生成した前景マスクに、種類数減少手段による識別子の置換結果を反映させる場合、処理が煩雑になる。
【0038】
従って、この場合、背景生成手段は、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤを用いて背景レイヤを生成する。この結果、種類数減少手段による識別子の置換結果が反映された背景レイヤを容易に生成することができる。
【0039】
本発明にあっては、種類数減少手段が、色差演算手段、有彩色組合手段、及び有彩色統合手段を有する。
1 >m1 である場合とは、種類数n1 を種類数m1 に減少させる場合である。
色差演算手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている有彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報に基づいて、各2種類の色情報が示す色同士の色差を総当りで夫々演算する。色差が小さい場合、これらの有彩色は近似色である。
【0040】
そこで、有彩色組合手段は、色差演算手段が求めた色差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する。ここで演算される前景識別子の組み合わせとは、有彩色の近似色に係る前景識別子の組み合わせである。このため、演算された前景識別子同士を統合しても、画質が大幅に劣化することはない。
更に画質の劣化を抑制するためには、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合することが望ましい。ただし、画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合しても、逆に、他方の前景識別子を一方の前景識別子に統合しても、画質への影響は変わらない。
【0041】
有彩色統合手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルを参照して、前景識別子同士を統合する。このとき、有彩色統合手段は、有彩色組合手段が求めた前景識別子を有する画素夫々の画素数を比較し、各画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合し、各画素数が異なる場合は、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合する。
有彩色統合手段による統合の結果、有彩色に係る前景識別子の種類数は、統合前よりも1種類だけ減少する。減少した1種類分の前景識別子は無効な前景識別子となるため、減少後の種類数が種類数m1 に等しくなるまで、統合によって無効になった前景識別子を除いて、有彩色組合手段による演算と有彩色統合手段による統合とが繰り返し実行される。
【0042】
減少前の種類数n1 は3種類以上であり、減少後の種類数m1 は2種類以上である。換言すれば、統合によって減少された種類数m1 が1種類になることはない。このため、近似色ではない色同士(例えば赤色と青色と)が統合されて、画質が大幅に劣化することを抑制することができる。
【0043】
前景レイヤ修正手段は、種類数減少手段が種類数を減少させる前のn1 種類の前景識別子と、種類数減少手段が種類数を減少させた後のm1 種類の前景識別子との関係に応じて、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる統合前の前景識別子を、統合後の前景識別子で置き換える。このことによって、前景レイヤ修正手段は、N種類の前景識別子を含む前景レイヤを、M種類の前景識別子を含む前景レイヤに修正する。
【0044】
本発明にあっては、種類数減少手段が、有彩色係数演算手段を更に有する。
有彩色係数演算手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている有彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報が示す色の視感度に応じた係数を求める。視感度とは、色の明るさを表す心理的な物理量であり、視感度が高い色は、人間が注目し易い。このため、視感度が低い色を優先的に統合し、視感度が高い色をなるべく残すことによって、画質の劣化による視覚的な違和感を低減することができる。
【0045】
従って、色差演算手段は、2種類の色情報が示す色同士の色差に、有彩色係数演算手段が求めた係数を乗じてなる色差を演算し、有彩色組合手段は、色差演算手段が求めた色差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する。ここで演算される前景識別子の組み合わせとは、視感度が低い有彩色の近似色に係る前景識別子の組み合わせである。
【0046】
本発明にあっては、種類数減少手段が、輝度差演算手段、無彩色組合手段、及び無彩色統合手段を有する。
2 >m2 である場合とは、種類数n2 を種類数m2 に減少させる場合である。
輝度差演算手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている無彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報に基づいて、各2種類の色情報が示す色同士の輝度差を総当りで夫々演算する。輝度差が小さい場合、これらの無彩色は近似色である。
【0047】
そこで、無彩色組合手段は、輝度差演算手段が求めた輝度差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する。ここで演算される前景識別子の組み合わせとは、無彩色の近似色に係る前景識別子の組み合わせである。このため、演算された前景識別子同士を統合しても、画質が大幅に劣化することはない。
更に画質の劣化を抑制するためには、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合することが望ましい。ただし、画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合しても、逆に、他方の前景識別子を一方の前景識別子に統合しても、画質への影響は変わらない。
【0048】
無彩色統合手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルを参照して、前景識別子同士を統合する。このとき、無彩色統合手段は、無彩色組合手段が求めた前景識別子を有する画素夫々の画素数を比較し、各画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合し、各画素数が異なる場合は、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合する。
無彩色統合手段による統合の結果、無彩色に係る前景識別子の種類数は、統合前よりも1種類だけ減少する。減少した1種類分の前景識別子は無効な前景識別子となるため、減少後の種類数が種類数m2 に等しくなるまで、統合によって無効になった前景識別子を除いて、無彩色組合手段による演算と無彩色統合手段による統合とが繰り返し実行される。
【0049】
減少前の種類数n2 は3種類以上であり、減少後の種類数m2 は2種類以上である。換言すれば、統合によって減少された種類数m2 が1種類になることはない。このため、近似色ではない色同士(例えば白色と黒色と)が統合されて、画質が大幅に劣化することを抑制することができる。
【0050】
前景レイヤ修正手段は、種類数減少手段が種類数を減少させる前のn2 種類の前景識別子と、種類数減少手段が種類数を減少させた後のm2 種類の前景識別子との関係に応じて、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる統合前の前景識別子を、統合後の前景識別子で置き換える。このことによって、前景レイヤ修正手段は、N種類の前景識別子を含む前景レイヤを、M種類の前景識別子を含む前景レイヤに修正する。
【0051】
本発明にあっては、種類数減少手段が、無彩色係数演算手段を更に有する。
無彩色係数演算手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている無彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報が示す色の視感度に応じた係数を求める。視感度とは、色の明るさを表す心理的な物理量であり、視感度が高い色は、人間が注目し易い。このため、視感度が低い色を優先的に統合し、視感度が高い色をなるべく残すことによって、画質の劣化による視覚的な違和感を低減することができる。
【0052】
従って、輝度差演算手段は、2種類の色情報が示す色同士の輝度差に、無彩色係数演算手段が求めた係数を乗じてなる輝度差を演算し、無彩色組合手段は、輝度差演算手段が求めた輝度差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する。ここで演算される前景識別子の組み合わせとは、視感度が低い無彩色の近似色に係る前景識別子の組み合わせである。
【0053】
本発明にあっては、減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定の種類数Pより多い場合に、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定する。このため、前景識別子の種類数を減少させるか否かを、簡易に判定することができる。
ここで、Pは自然数であり、種類数Nが所定の種類数Pより多い場合は、前景識別子の種類数がN種類のままでは、圧縮後のファイルサイズが大き過ぎる。一方、種類数Nが所定の種類数P以下である場合は、前景識別子の種類数がN種類のままであっても、圧縮後のファイルサイズは十分に小さい。
【0054】
本発明にあっては、所定の種類数Pが、減少後の種類数Mに等しい。
この場合、種類数決定手段は、種類数Nに対する種類数n1 の割合と、種類数Mに対する種類数m1 の割合とが略一致(即ち、m1 /M≒n1 /N)し、種類数Nに対する種類数n2 の割合と、種類数Mに対する種類数m2 の割合とが略一致(即ち、m2 /M≒n2 /N)するよう種類数m1 ,m2 夫々を決定する。
【0055】
換言すれば、種類数決定手段は、種類数m1 を下記の式(M 1)を用いて求め、種類数m2 を、下記の式(M 2)を用いて求める。種類数m1 は自然数であるため、式(M 1)の演算結果が自然数ではない場合、商の端数を四捨五入、切り上げ又は切り捨てればよい。
1 =M×n1 /N…(M 1)
2 =M−m1 …(M 2)
【0056】
或いは、種類数決定手段は、種類数m2 を下記の式(M 3)を用いて求め、種類数m1 を、下記の式(M 4)を用いて求める。種類数m2 は自然数であるため、式(M 3)の演算結果が自然数ではない場合、商の端数を四捨五入、切り上げ又は切り捨てればよい。
2 =M×n2 /N…(M 3)
1 =M−m2 …(M 4)
【0057】
減少後の種類数m1 ,m2 夫々をこのように決定する場合、種類数m1 ,m2 夫々の多寡に、減少前の種類数n1 ,n2 夫々の多寡、即ち、前景における有彩色及び無彩色夫々の色数の多寡を反映させることができる。従って、画質の劣化を抑制することができる。
【0058】
本発明にあっては、有彩色同士よりも無彩色同士を優先的に統合する。つまり、無彩色よりも有彩色を優先的に残す。
このために、種類数決定手段は、種類数m1 を決定する場合に、式(M 1)の演算を、小数点以下の端数を切り上げて行なうか、又は、種類数m2 を決定する場合に、式(M 3)の演算を、小数点以下の端数を切り上げて行なう。
従って、有彩色に係る種類数の減少数(即ち種類数n1 から種類数m1 を減算した減算結果)は、式(M 1)の演算結果を切り上げるか、式(M 3)の演算結果を切り捨てた場合の方が、式(M 1)の演算結果を切り捨てるか、式(M 3)の演算結果を切り上げる場合よりも“1”大きい。即ち、有彩色が優先的に残される。
【0059】
同様に、無彩色に係る種類数の減少数(即ち種類数n2 から種類数m2 を減算した減算結果)は、式(M 1)の演算結果を切り上げるか、式(M 3)の演算結果を切り捨てた場合の方が、式(M 1)の演算結果を切り捨てるか、式(M 3)の演算結果を切り上げる場合よりも“1”小さい。即ち、無彩色同士が優先的に統合される。
人間は、無彩色よりも有彩色に注目し易いため、減少後の種類数m1 ,m2 夫々をこのように決定する場合、画質の劣化による視覚的な違和感を低減することができる。
【0060】
本発明にあっては、種類数決定手段が、第1比較手段及び第2比較手段を有する。
第1比較手段は、種類数n1 を所定の種類数Q1 と比較し、第2比較手段は、種類数n2 を所定の種類数Q2 と比較する。ここで、Q1 ,Q2 は2≦Q1 <M及び2≦Q2 <Mの自然数であり、Q1 +Q2 ≦M<Nである。
【0061】
第1比較手段による比較結果がn1 >Q1 である場合、有彩色に係る前景識別子の種類数n1 は十分に多いため、種類数決定手段は、減少後の種類数m1 が所定の種類数Q1 以下にならないように種類数m1 を決定する。この結果、有彩色に係る種類数の減少数(即ち種類数n1 から種類数m1 を減算した減算結果)を抑制することができる。仮に、有彩色に係る種類数の減少数が過剰に多い場合、画質が劣化する虞がある。
一方、第1比較手段による比較結果がn1 ≦Q1 である場合、有彩色に係る前景識別子の種類数n1 が少なすぎるため、種類数決定手段は、種類数m1 を種類数n1 に等しくする(即ち、種類数を維持する)。この結果、カラー画像の前景に、有彩色として赤色及び青色のみが含まれているような場合、赤色と青色とは統合されず、画質の大幅な劣化が抑制される。
【0062】
第2比較手段による比較結果がn2 >Q2 である場合、無彩色に係る前景識別子の種類数n2 は十分に多いため、種類数決定手段は、減少後の種類数m2 が所定の種類数Q2 を下回らないように種類数m2 を決定する。この結果、無彩色に係る種類数の減少数(即ち種類数n2 から種類数m2 を減算した減算結果)を抑制することができる。仮に、無彩色に係る種類数の減少数が過剰に多い場合、画質が劣化する虞がある。
一方、第2比較手段による比較結果がn2 ≦Q2 である場合、無彩色に係る前景識別子の種類数n2 が少なすぎるため、種類数決定手段は、種類数m2 を種類数n2 に等しくする(即ち、種類数を維持する)。この結果、カラー画像の前景に、無彩色として白色及び黒色のみが含まれているような場合、白色と黒色とは統合されず、画質の大幅な劣化が抑制される。
【0063】
本発明にあっては、画像形成装置が、本発明の画像圧縮装置及び画像形成手段を備え、画像形成手段は記録シート上に画像を形成する。
本発明の画像圧縮装置は、圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制しつつ、圧縮後のファイルサイズを十分に小さくすることができる。このため、本発明の画像形成装置は、例えばファイルサイズが小さい圧縮画像を蓄積したり、圧縮画像が伸張された高画質のカラー画像を、記録シート上に形成したりすることができる。
【0064】
本発明にあっては、コンピュータプログラムが、本発明の画像圧縮装置が備える前景マスク生成手段、前景レイヤ生成手段、及びテーブル生成手段等を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させる。また、本発明の画像圧縮装置が行なう画像圧縮処理を、一連の画像処理プログラムに組み入れて実現するようにしてもよい。
【0065】
本発明にあっては、記録媒体が、本発明の画像圧縮装置が備える前景マスク生成手段、前景レイヤ生成手段、及びテーブル生成手段等を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させるコンピュータプログラムを記録する。本発明の記録媒体には、本発明の画像圧縮装置が行なう画像圧縮処理が組み込まれた画像処理プログラムを記録するようにしてもよい。更にまた、本発明の記録媒体による場合、コンピュータを、本発明の画像圧縮装置として機能させることができるコンピュータプログラムの配布、保管等の利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明の画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体による場合、有彩色と無彩色とを区別した上で、前景識別子の種類数をN種類からM種類に減少させることができる。このため、圧縮前と圧縮後とで無彩色が有彩色に、又は有彩色が無彩色に変色するような画質の劣化を防止することができる。
従って、有彩色と無彩色とを区別せずに前景識別子の種類数を減少させる場合と比べて、圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制しつつ、圧縮後のファイルサイズを十分に小さくすることができる。
また、前景識別子の種類数が減少した分、2値画像の枚数も減少するため、M枚の2値画像の転送に要する時間、及びM枚の2値画像の圧縮に要する時間を夫々短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で画像圧縮処理を施されるカラー画像の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で生成される前景マスクの一例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で生成される前景レイヤ及び背景レイヤの一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で生成される生成前景レイヤの一例を示す模式図である。
【図7】図6に示す生成前景レイヤに対応する生成ICテーブルの一例を示す模式図である。
【図8】図6に示す生成前景レイヤから生成される前景識別子“3”に対応する2値画像の一例を示す模式図である。
【図9】図7に示す生成前景レイヤから生成される前景識別子“8”に対応する2値画像の一例を示す模式図である。
【図10】近似色を演算するための色情報テーブルの一例を示す模式図である。
【図11】図10に示す色情報テーブルに基づく色差演算結果テーブルの一例を示す模式図である。
【図12】図6に示す生成前景レイヤを修正してなる修正前景レイヤの一例を示す模式図である。
【図13】図6に示す生成前景レイヤを修正してなる修正前景レイヤの他の一例を示す模式図である。
【図14】図12に示す修正前景レイヤに対応する修正ICテーブルの一例を示す模式図である。
【図15】図13に示す修正前景レイヤに対応する修正ICテーブルの一例を示す模式図である。
【図16】図12に示す修正前景レイヤから生成される2値画像の一例を示す模式図である。
【図17】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で実行されるインデックス化処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で実行されるインデックス化処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で実行される種類数決定処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で実行される有彩色統合処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置が備える圧縮処理部で実行される無彩色統合処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施の形態2に係る画像圧縮装置を含むスキャナ装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置の機能構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置で実行されるカラー画像圧縮処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0069】
実施の形態 1.
本実施の形態では、本発明の実施の形態に係る画像圧縮装置が、画像形成装置の一部をなす形態を例示する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の内部の機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、カラーコピー機能及びカラースキャナ機能等を有するデジタル複合機である。画像形成装置1は、原稿からカラー画像を光学的に読み取るカラー画像入力装置11を備えている。
【0070】
カラー画像入力装置11には、読み取ったカラー画像の画像データ、及び圧縮ファイルを生成するカラー画像処理装置2が接続されている。
カラー画像処理装置2には、カラー画像処理装置2が生成した画像データに基づいてカラー画像を出力するカラー画像出力装置13、及びカラー画像処理装置2が生成した圧縮ファイルを外部へ送信する送信装置14が接続されている。
カラー画像入力装置11、カラー画像処理装置2、カラー画像出力装置13及び送信装置14には、操作パネル12が接続されている。
【0071】
操作パネル12は、ユーザが画像形成装置1の動作モードを設定するための設定ボタン及びテンキー等の操作部と、液晶ディスプレイ等で構成される表示部とを備える。
画像形成装置1で実行される各種処理は、図示しないCPU(Central Processing Unit)が制御する。画像形成装置1のCPUは、図示しないネットワークカード及びLANケーブルを介して、ネットワークに接続されたコンピュータ及び他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
【0072】
以下、画像形成装置1の各部について詳述する。
カラー画像入力装置11は、例えばCCD(Charge Coupled Device )を有するカラー・スキャナを用いてなり、原稿からの反射光像を、CCDを用いてRGB(R:赤,G:緑,B:青)のアナログ信号として読み取って、カラー画像処理装置2へ出力する。
【0073】
カラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置11から入力されたRGBのアナログ信号に対して、A/D変換部20、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、入力階調補正部23、及び領域分離処理部24にて各後述する画像処理を実行することによって、RGBのデジタル信号(以下、RGB信号という)からなる画像データを生成する。以下では、RGB信号の強度をRGB値(r,g,b)と表わす。
【0074】
また、カラー画像処理装置2は、領域分離処理部24が出力したRGB信号に対して色補正部25、黒色生成下色除去部26、空間フィルタ処理部27、出力階調補正部28、及び階調再現処理部29にて各後述する画像処理を実行することによって、CMYK(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)のデジタル信号からなる画像データを生成して、ストリームとしてカラー画像出力装置13へ出力する。なお、カラー画像出力装置13へ出力される前に、画像データが記憶部30に一旦記憶されてもよい。記憶部30は、不揮発性の記憶装置(例えばハードディスク)である。
【0075】
カラー画像出力装置13は、カラー画像処理装置2から入力された画像データに基づいて、熱転写、電子写真、又はインクジェット等の方式により、記録シート(例えば記録用紙等)上にカラー画像を形成して出力する。カラー画像出力装置13は、本発明における画像形成手段として機能する。
なお、画像形成装置1は、カラー画像出力装置13の代わりに、記録シート上にモノクローム画像を形成して出力するモノクロ画像出力装置を備えていてもよい。この場合、カラー画像処理装置2にて、カラー画像の画像データがモノクローム画像の画像データに変換されてからモノクロ画像出力装置へ出力される。
【0076】
更にまた、カラー画像処理装置2は、領域分離処理部24が出力したRGB信号に対して圧縮処理部3にて本実施の形態の画像圧縮処理を実行することによって、圧縮されたカラー画像の画像データを有する圧縮ファイルを生成し、送信装置14へ出力する。圧縮処理部3は、本発明における画像圧縮装置として機能する。なお、送信装置14へ出力される前に、圧縮ファイルが記憶部30に一旦記憶されてもよい。
【0077】
送信装置14は、図示しない公衆回線網、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークに接続可能であり、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により、通信ネットワークを介して外部へ圧縮ファイルを送信する。例えば、操作パネル12においてscan to e-mailモードが選択されている場合、圧縮ファイルは、ネットワークカード、モデム等を用いてなる送信装置14によってe-mailに添付され、設定された送信先へ送信される。
【0078】
なお、ファクシミリの送信を行なう場合は、画像形成装置1のCPUが、モデムを用いてなる送信装置14にて、相手先との通信手続きを行ない、送信可能な状態が確保されたときに、圧縮ファイルに対して圧縮形式の変更等の必要な処理を施してから、相手先に通信回線を介して順次送信する。
【0079】
また、ファクシミリを受信する場合、画像形成装置1のCPUは、送信装置14にて通信手続きを行ないながら、相手先から送信されてくる圧縮ファイルを受信して、カラー画像処理装置2に入力する。カラー画像処理装置2では、受信した圧縮ファイルに対し、不図示の圧縮/伸張処理部で伸張処理が施される。圧縮ファイルを伸張することによって得られたカラー画像の画像データには、必要に応じて、不図示の処理部で回転処理及び/又は解像度変換処理等が施され、また、出力階調補正部28で出力階調補正が施され、階調再現処理部29で階調再現処理が施される。各種画像処理が施されたカラー画像の画像データは、カラー画像出力装置13へ出力され、カラー画像出力装置13にて、記録シート上にカラー画像が形成される。
【0080】
以下に、カラー画像処理装置2における画像処理及び圧縮処理を詳述する。
A/D変換部20は、カラー画像入力装置11からカラー画像処理装置2へ入力されたRGBのアナログ信号を受け付け、RGBのアナログ信号をRGBのデジタル信号(即ちRGB信号)へ変換し、変換したRGB信号をシェーディング補正部21へ出力する。
シェーディング補正部21は、A/D変換部20から入力されたRGB信号に対して、カラー画像入力装置11の照明系、結像系及び撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を行なう。次いで、シェーディング補正部21は、歪みを取り除いたRGB信号を入力階調補正部23へ出力する。
【0081】
原稿種別判別部22では、シェーディング補正部21から入力されたRGB信号に基づいて、文字、写真、又は印画紙等の原稿のモードを判別する原稿種別判別処理が実行される。原稿種別判別処理を、ユーザが操作パネル12を用いてマニュアル設定する場合、原稿種別判別部22はシェーディング補正部21から入力されたRGB信号をそのまま後段の入力階調補正部23に出力する。原稿種別判別処理の処理結果は、後段の画像処理に反映される。
【0082】
入力階調補正部23は、原稿種別判別部22から入力されたRGB信号(RGBの反射率信号)を、カラー画像処理装置2で処理しやすいRGB信号(例えばRGBの濃度信号)へ変換し、更に、カラーバランスの調整、下地濃度の除去、及びコントラストの調整等の画質調整処理を施してから、領域分離処理部24へ出力する。
【0083】
領域分離処理部24は、入力階調補正部23から入力されたRGB信号が表す画像中の各画素を、文字領域、網点領域、又は写真領域のいずれかに分離する。また、領域分離処理部24は、分離結果に基づき、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒色生成下色除去部26、空間フィルタ処理部27、及び階調再現処理部29へ出力する。更に、領域分離処理部24は、入力階調補正部23から入力されたRGB信号を、そのまま後段の色補正部25及び圧縮処理部3へ出力する。
【0084】
色補正部25は、領域分離処理部24から入力されたRGB信号をCMYのデジタル信号(以下、CMY信号という)へ変換し、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りをCMY信号から取り除く処理を行なう。次いで、色補正部25は、色補正後のCMY信号を黒色生成下色除去部26へ出力する。
黒色生成下色除去部26は、色補正部25から入力されたCMY信号に基づき、CMY信号から黒色(K)信号を生成する黒色生成処理と、CMY信号から黒色生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理とを行なう。この結果、CMY3色のデジタル信号は、CMYK4色のデジタル信号(以下、CMYK信号という)に変換される。次いで、黒色生成下色除去部26は、CMY信号を変換したCMYK信号を空間フィルタ処理部27へ出力する。
【0085】
黒色生成処理の一例としては、一般に、スケルトン・ブラックによる黒色生成を行なう方法が用いられる。この方法では、スケルトン・カーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y、出力されるデータをC',M',Y',K'、UCR(Under Color Removal )率をα(0<α<1)とすると、黒色生成下色除去処理は、下記の式(M 5)〜式(M 8)で表わされる。
K'=f(min(C,M,Y))…(M 5)
C'=C−αK'…(M 6)
M'=M−αK'…(M 7)
Y'=Y−αK'…(M 8)
【0086】
ここで、UCR率α(0<α<1)とは、CMYが重なっている部分をKに置き換えてCMYをどの程度削減するかを示すものである。式(M 5)は、CMYの各信号強度の内の最も小さい信号強度に応じてK信号が生成されることを示している。
【0087】
空間フィルタ処理部27は、黒色生成下色除去部26から入力されたCMYK信号の画像データに対して、領域分離処理部24から入力された領域識別信号に基づいてデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行ない空間周波数特性を補正することによって、画像のぼやけ又は粒状性劣化を改善する。例えば、領域分離処理部24にて文字に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部27は、文字の再現性を高めるために、高周波成分の強調量が大きいフィルタを用いて空間フィルタ処理を行なう。また、領域分離処理部24にて網点に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部27は、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を行なう。
次いで、空間フィルタ処理部27は、処理後のCMYK信号を出力階調補正部28へ出力する。
【0088】
出力階調補正部28は、空間フィルタ処理部27から入力されたCMYK信号に対して、カラー画像出力装置13の特性ある網点面積率に基づく出力階調補正処理を行ない、出力階調補正処理後のCMYK信号を階調再現処理部29へ出力する。
【0089】
階調再現処理部29は、出力階調補正部28から入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部24から入力された領域識別信号に基づいて、領域に応じた中間調処理を行なう。例えば、領域分離処理部24にて文字に分離された領域に対しては、階調再現処理部29は、高域周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンによる二値化又は多値化の処理を行なう。また、領域分離処理部24にて網点に分離された領域に対しては、階調再現処理部29は、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化又は多値化の処理を行なう。次いで、階調再現処理部29は、処理後の画像データをカラー画像出力装置13へ出力する。
【0090】
圧縮処理部3は、領域分離処理部24から入力されたRGB信号からなる画像データに基づき、本発明の実施の形態に係る画像圧縮方法を用いて圧縮ファイルを生成する。
【0091】
圧縮処理部3に入力されるカラー画像の画像データは、マトリクス状に配置されている複数の画素で構成されている。この画像データは、前景レイヤと背景レイヤとに分離され、前景レイヤが更に2値画像に分離され、各2値画像が例えばMMRで可逆圧縮され、背景レイヤが例えばJPEGで非可逆圧縮される。最後に、可逆圧縮された2値画像及び非可逆圧縮された背景レイヤと、これらを伸張してカラー画像の画像データとなすための伸張情報とが一つのファイルにまとめられる。このファイルが圧縮ファイルである。また、この伸張情報としては、圧縮形式を示す情報、及びインデックス・カラー・テーブル(以下、ICテーブルという)等が用いられる。
【0092】
このような圧縮ファイルは、カラー画像の画像データが直接的に圧縮される場合、又は、前景レイヤと背景レイヤとが圧縮される場合等に比べて、ファイルサイズが小さく、且つ、画質の劣化が抑制されている。
しかも、2値画像に対する可逆圧縮手段と背景レイヤに対する非可逆圧縮手段とを1種類ずつ備えていればよいため、3種類以上の圧縮手段を備えておく必要がない。
【0093】
図2は、圧縮処理部3の内部構成を示すブロック図である。
圧縮処理部3は、本発明における前景マスク生成手段として機能する前景マスク生成部31と、本発明における前景レイヤ生成手段、テーブル生成手段、減少判定手段、彩色分類手段、種類数決定手段、種類数減少手段、及び前景レイヤ修正手段として機能するインデックス画像生成部32とを備える。また、圧縮処理部3は、本発明における背景生成手段として機能する背景レイヤ生成部33と、本発明における2値画像生成手段として機能する2値画像生成部34と、本発明における2値画像圧縮手段及び背景画像圧縮手段として機能する画像圧縮部35とを更に備える。
【0094】
以下では、圧縮処理部3の各部について詳述する。
前景マスク生成部31には、領域分離処理部24から圧縮処理部3へ入力された1枚のカラー画像の画像データが与えられる。前景マスク生成部31は、与えられたカラー画像の画像データに基づき、周知の手法を用いて、カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す1枚の前景マスクを生成する。
例えば前景マスク生成部31では、カラー画像の画像データを構成する各画素の輝度値が微分されることによって、輝度が明るく変化するエッジ部位と、暗く変化するエッジ部位とが検知され、検知されたエッジ部位に基づいて、前景であると判定された各画素に画素値“0”が与えられ、背景であると判定された各画素に画素値“1”が与えられる。
【0095】
前景マスク生成部31は、生成した前景マスク、及びカラー画像の画像データをインデックス画像生成部32へ出力する。
なお、圧縮処理部3が、領域分離処理部24から領域識別信号を受け付け、前景マスク生成部31は、領域識別信号が示す文字領域に含まれる画素を前景であると判定する構成であってもよい。
【0096】
図3は、圧縮処理部3で画像圧縮処理を施されるカラー画像の一例を示す模式図であり、図4は、圧縮処理部3で生成される前景マスクの一例を示す模式図である。
図3には、1枚のカラー画像が例示されている。このようなカラー画像の画像データが圧縮処理部3に入力され、入力された画像データは、そのまま前景マスク生成部31に与えられる。
【0097】
図3に示すカラー画像は、白色地の記録シートに黒色、赤色、緑色、青色、紫色、及び水色等のカラーインク又はカラートナーで形成されている。このカラー画像には、緑色にべた塗りされた四角い領域の内部に水色、赤色、紫色、及び青色で描かれた「TEST」という太字の単語と、白色地に黒色で記載された「これはテスト画像です。」という細字の一文と、多彩な色合いを有する風景画とが含まれている。この内、「TEST」という単語と「これはテスト画像です。」という一文とが前景であり、前景以外が背景である。つまり、緑色のべた塗り領域と風景画と白色地が露出している部分とは全て背景である。
このようなカラー画像を表す各画素は、複数色(例えば256色)を直接的に表現するための多値の色情報を、画素値として有する。
【0098】
図4には、図3に示す1枚のカラー画像の画像データに基づいて生成される1枚の前景マスクが例示されている。
前景マスクは、前景の画素と背景の画素とに、互いに異なる画素値を有する。
図4に示す前景マスクは、前景を白色一色で示し、背景を黒色(図中ハッチング)一色で示している。このような前景マスクを表す各画素は2値の画素値を有し、具体的には、前景の各画素が画素値“0”を有し、背景の各画素が画素値“1”を有する。従って、前景マスクにおいて、画素値“0”の画素は前景の画素であり、画素値“1”の画素は背景の画素であることが容易にわかる。
【0099】
図2に示すインデックス画像生成部32は、前景マスク生成部31から入力された前景マスク、及びカラー画像の画像データに基づき、周知の手法を用いて、前景レイヤ及びICテーブルを生成し、場合によっては、後述するように前景レイヤ及びICテーブルを修正する。
以下では、カラー画像の画像データ及び前景マスクに基づいて生成されたICテーブル及び前景レイヤを、生成ICテーブル及び生成前景レイヤといい、生成ICテーブル及び生成前景レイヤを修正したものを、修正ICテーブル及び修正前景レイヤという。また、生成ICテーブル及び生成前景レイヤと修正ICテーブル及び修正前景レイヤとを区別しない場合は、単にICテーブル及び前景レイヤという。
【0100】
生成前景レイヤ及び生成ICテーブルを修正しなかった場合、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、生成前景レイヤ及び生成ICテーブルと、前景マスク及びカラー画像の画像データとを背景レイヤ生成部33へ出力する。一方、生成前景レイヤ及び生成ICテーブルを修正した場合、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、修正前景レイヤ及び修正ICテーブルと、前景マスク及びカラー画像の画像データとを背景レイヤ生成部33へ出力する。
【0101】
図2に示す背景レイヤ生成部33は、インデックス画像生成部32から入力された前景マスク、及びカラー画像の画像データに基づき、周知の手法を用いて、背景レイヤを生成する。次いで、背景レイヤ生成部33は、生成した背景レイヤと、前景レイヤ及びICテーブルとを2値画像生成部34へ出力する。
なお、本実施の形態における背景レイヤは、前景マスクとカラー画像の画像データとに基づいて生成されるが、後述するように、前景レイヤとカラー画像の画像データとに基づいて生成されてもよい。
【0102】
図5は、圧縮処理部3で生成される前景レイヤ及び背景レイヤの一例を示す模式図である。
図5(a)には、図3に示す1枚のカラー画像の画像データと、図4に示す1枚の前景マスクとに基づいて生成される1枚の前景レイヤが例示されている。
前景レイヤは、前景を、カラー画像において前景が有する色で示し、背景を、前景が有する色以外の色で示している。図5(a)に示す前景レイヤの場合、前景については、「TEST」という単語が水色、赤色、紫色、及び青色で示され、「これはテスト画像です。」という一文が黒色で示されている。一方、背景は白色一色で示されている。
【0103】
ただし、カラー画像の画素は、画素値として、多数の色を直接的に表現するための色情報を有するが、前景レイヤの画素は、画素値として、少数の色を間接的に表現するための識別子(インデックス)を有する。
例えば、前景レイヤを表す各画素は、カラー画像の256色よりも少ない8色を表現するための多値の識別子を有する。8色を表現するための8種類の識別子は、夫々3ビットのデータ長を有する画素値として示すことが可能である。一方、256色を表現するための256種類の色情報は、夫々8ビットのデータ長を有する画素値として示すことが可能である。このため、カラー画像の画像データよりも前景レイヤの方がデータ量が少ない。
【0104】
更に詳細には、前景レイヤにおいては、前景の各画素が、画素値として、N種類の識別子の内のいずれか1種類の識別子を有し、背景の各画素が、画素値として、N種類の識別子のいずれとも異なる1種類の識別子を有する。ここで、種類数Nは自然数であり、一般にはN≧2であるが、N=1であってもよい。識別子と色情報とは一対一対応で関連付けられて、ICテーブルに記憶されている(後述する図7参照)。
以下では、前景に係る色情報同士を識別する識別子を前景識別子といい、背景を前景と識別する識別子を背景識別子といい、前景識別子と背景識別子とを区別しない場合は単に識別子という。
【0105】
特定の前景識別子に関連付けられている色情報は、カラー画像の前景が有する一の色を示す色情報か、又は、カラー画像の前景が有する複数の色の代表色を示す色情報である。代表色は、例えば複数の色を単純に平均することによって、又は複数の色を、画素数に応じた重み付けを施した上で平均することによって求められる。
具体的には、カラー画像の前景が有するRGB値(255,0,0)の色を示す色情報が、特定の前景識別子に関連付けられる。又は、カラー画像の前景が有するRGB値(255,0,0)の色とRGB値(255,51,0)の色とRGB値(255,0,51)の色とが単純に平均され、平均された代表色であるRGB値(255,17,17)の色を示す色情報が、特定の前景識別子に関連付けられる。
【0106】
ここで、白色に識別子“0”、緑色に識別子“1”、水色に識別子“2”、赤色に識別子“3”、紫色に識別子“4”、青色に識別子“5”、…、黒色に識別子“7”が夫々関連付けられており、背景識別子が“0”であり、前景識別子が“1”〜“7”であるものとする。
図5(a)に示す前景レイヤの場合、図3に示すカラー画像において水色の色情報を有する前景の画素に対応する画素は、前景識別子“2”を有する。同様に、赤色、紫色、青色、又は黒色の色情報を有する前景の画素に対応する画素は、前景識別子“3”、前景識別子“4”、前景識別子“5”又は前景識別子“7”を有する。
一方、カラー画像の背景の各画素に対応する前景レイヤの各画素は、画素値として背景識別子“0”を有する。
【0107】
図2に示すインデックス画像生成部32は、例えば特許文献1に開示されている手法を用い、入力されたカラー画像の画像データと前景マスクとに基づいて、生成ICテーブルを生成しつつ生成前景レイヤを生成する(後述する図17のS11〜S16参照)。
この手法では、前景の各画素について、この画素が有する色情報がまだICテーブルに記憶されていない場合は、この色情報に新たな前景識別子が割り当てられて、この色情報と割り当てられた前景識別子とが生成ICテーブルに記憶され、また、この画素が有する色情報が、生成ICテーブルに記憶してある前景識別子に置換される。一方、前景の各画素が有する色情報が既に生成ICテーブルに記憶されている場合は、この画素が有する色情報は、生成ICテーブルに記憶してある前景識別子に置換される。更に、背景の各画素が有する色情報は、生成ICテーブルに記憶してある所定の背景識別子に一律に置換される。
【0108】
図6は、生成前景レイヤの一例を示す模式図である。
図中に示すX座標及びY座標は、カラー画像入力装置11でカラー画像を読み取る際の主走査方向及び副走査方向に対応する。座標(x,y)は画像上の画素の位置を示し、座標によって各画素を特定することができる。
【0109】
図中夫々太枠で囲われている画素群E1〜E8は、前景を示す画素群であり、画素群E1〜E8以外の画素群は、背景を示す画素群である。画素群E1〜E8夫々の各画素は、この順に、前景識別子“1”〜“8”を有する。換言すれば、図6に示す生成前景レイヤでは、前景識別子“1”を有する画素が画素群E1を形成しており、前景識別子“2”を有する画素が画素群E2を形成しており、…、前景識別子“8”を有する画素が画素群E8を形成している。背景識別子は“0”である。
【0110】
図7は、図6に示す生成前景レイヤに対応する生成ICテーブルの一例を示す模式図である。
インデックス画像生成部32で生成されるICテーブルには、アドレスと、前景識別子及び背景識別子(図中「識別子」)と、最小X座標値、最小Y座標値、最大X座標値、及び最大Y座標値と、RGB値(図中「R」、「G」、及び「B」)と、画素数とが関連付けて記憶される。
【0111】
ここで、ICテーブルに記憶されているアドレスとは、特定の識別子が格納される図示しないメモリの記憶領域のアドレスを示すものである。
ICテーブルに記憶されている最小X座標値、最小Y座標値、最大X座標値、及び最大Y座標値とは、生成前景レイヤにおいて特定の識別子を有する画素が位置する主走査方向及び副走査方向夫々の最小座標値及び最大座標値を示すものである。
ICテーブルに記憶されている画素数とは、生成前景レイヤにおいて特定の識別子を有する画素の個数である。
【0112】
ICテーブルに記憶されているRGB値とは、特定の識別子が識別する色情報である。図7に示す生成ICテーブルでは、背景識別子“0”が、RGB値(255,255,255)の白色に関連付けられており、前景識別子“1”が、RGB値(0,255,0)の緑色に関連付けられており、前景識別子“2”が、RGB値(0,0,0)の黒色に関連付けられており、前景識別子“3”が、RGB値(0,0,192)の青色に関連付けられており、…、前景識別子“8”が、RGB値(0,0,96)の暗い青色に関連付けられている。
【0113】
なお、アドレスの数値と識別子の数値とが一致している場合は、ICテーブルにおけるアドレスの記憶を省略してもよい。ただし、この場合、後述するように前景識別子を統合する際に、統合前の前景識別子と統合後の前景識別子との関係を、ICテーブルに記憶させる必要がある。
また、ICテーブルは複数に分割されていてもよい。例えば、アドレスと識別子とが関連付けて記憶される識別子テーブル、アドレスと最小X座標値、最小Y座標値、最大X座標値、及び最大Y座標値と画素数とが関連付けて記憶される座標テーブル、並びにアドレスとRGB値とが関連付けて記憶されるカラーテーブルとの3種類が生成されてもよい。この3種類のテーブルは、アドレスを介して互いに関連付けられている。
【0114】
仮に、図6に示す生成前景レイヤを2値画像に分離した場合、前景識別子の種類数“8”に等しい8枚の2値画像が生成される。
図8及び図9夫々は、図6に示す生成前景レイヤから生成される2値画像の一例を示す模式図である。図8は、前景識別子“3”に対応し、図9は、前景識別子“8”に対応する。
【0115】
図8に示す2値画像では、図6に示す生成前景レイヤで前景識別子“3”を有していた画素(即ち画素群E3の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する。
図9に示す2値画像では、図6に示す生成前景レイヤで前景識別子“8”を有していた画素(即ち画素群E8の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する。
【0116】
同様に、図6に示す生成前景レイヤで前景識別子“1”を有していた画素(即ち画素群E1の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する2値画像、図6に示す生成前景レイヤで前景識別子“2”を有していた画素(即ち画素群E2の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する2値画像、…が生成される。
以上のように、図6に示す生成前景レイヤから2値画像を生成した場合、2値画像の枚数は、画素群E1〜E8に一対一対応の8枚となる。
【0117】
そこで、圧縮処理部3のインデックス画像生成部32は、圧縮後のファイルサイズが過剰に大きくなる不都合を抑制すべく、生成前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数を減少させ、種類数を減少させた分だけ、生成される2値画像の枚数を減少させることがある。
このために、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32では、近似色に係る前景識別子同士を統合する。
従って、生成ICテーブル及び生成前景レイヤは、カラー画像の画像データ及び前景マスクに基づいて生成された後、前景識別子同士が統合されていないものであり、修正ICテーブル及び修正前景レイヤは、前景識別子同士の統合結果に応じて生成ICテーブル及び生成前景レイヤが修正されたものである。
【0118】
ところが、前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数を無用に減少させることは、圧縮後の画質の大幅な劣化につながりかねない。何故ならば、前景識別子同士の統合による場合、圧縮前のカラー画像に含まれていた前景の色が、圧縮後に全く異なった色に変化する虞があるからである。
【0119】
このため、インデックス画像生成部32は、N種類の前景識別子を、N種類未満に減少させるか否かを判定する。
具体的には、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、前景識別子の種類数Nが所定の種類数Mより多いか否かを判定し、種類数Mより多い場合は、前景識別子の種類数をM種類に減少させると判定する(図17のS17参照)。ここで、種類数Mは自然数である。また、インデックス画像生成部32は、前景識別子の種類数Nが所定のM種類以下である場合は、種類数を減少させないと判定する。この場合、前景識別子の種類数はN種類のままである。
【0120】
生成ICテーブルには{N+1}種類の識別子(即ち、N種類の前景識別子と1種類の背景識別子と)が記憶され、生成前景レイヤには{N+1}種類の識別子が含まれる。図7に示す生成ICテーブルの場合、N=8であるため、9種類の識別子が含まれる。
N種類の前景識別子をM種類に減少させた場合、修正ICテーブルには{M+1}種類の識別子(即ち、M種類の前景識別子と1種類の背景識別子と)が記憶され、修正前景レイヤには{M+1}種類の識別子が含まれる。後述する図14及び図15夫々に示す修正ICテーブルの場合、M=6であるため、7種類の識別子が含まれる。
【0121】
なお、インデックス画像生成部32は、前景識別子の種類数Nが所定の種類数Pより多いか否かを判定してもよい。ここで、種類数Pは自然数である。
前景識別子の種類数Pより多い場合、インデックス画像生成部32は、前景識別子の種類数を種類数P以下のM種類に減少させると判定する。また、インデックス画像生成部32は、前景識別子の種類数Nが所定のP種類以下である場合は、種類数を減少させないと判定する。この場合、前景識別子の種類数はN種類のままである。
【0122】
また、インデックス画像生成部32は、ユーザが設定した圧縮モードが、画質の高さよりファイルサイズの小ささを優先するサイズ優先モードであるか、又はファイルサイズの小ささより画質の高さを優先する画質優先モードであるかを判定することによって、前景識別子の種類数を減少させるか否かを判定してもよい。
更にまた、インデックス画像生成部32は、ユーザが設定した圧縮モードに応じて、前景識別子の種類数を減少させるか否かの判定基準を変更してもよい。例えば、サイズ優先モードにおける所定の種類数Mとしては、画質優先モードにおける所定の種類数Mよりも小さい値が設定される。
【0123】
前景識別子の種類数Nが所定の種類数Mより多く、N種類の前景識別子を、N種類未満に減少させると判定したインデックス画像生成部32は、次に、有彩色及び無彩色夫々について、減少後の種類数を決定する。
インデックス画像生成部32は、生成ICテーブルを参照して、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 と、無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 とを取得する。種類数n1 ,n2 は、n1 ≧0、n2 ≧0、及びn1 +n2 =Nの整数である。種類数Nは自然数であるため、n1 =n2 であれば、種類数n1 ,n2 の両方が自然数である。
【0124】
次いで、インデックス画像生成部32は、種類数減少後の有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 と、無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 とを決定する。種類数m1 ,m2 は、m1 ≧0、m2 ≧0、及びm1 +m2 =Mの整数である。種類数Mは自然数であるため、m1 =m2 であれば、種類数m1 ,m2 の両方が自然数である。また、m1 ≦n1 及びm2 ≦n2 であるが、M<Nであるため、m1 =n1 であればm2 <n2 であり、m2 =n2 であればm1 <n1 である。
【0125】
本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、n1 >0であればm1 >0であり、n2 >0であればm2 >0であるように種類数m1 ,m2 を決定する。従って、圧縮前のカラー画像に1色でも有彩色(又は無彩色)が含まれていれば、圧縮後のカラー画像にも最低1色の有彩色(又は無彩色)が含まれるように種類数m1 ,m2 が決定される。
【0126】
また、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、種類数m1 ,m2 を決定する前に、種類数n1 が所定の種類数Q1 より多いか否か、及び、種類数n2 が所定の種類数Q2 より多いか否かを夫々判定する(図19のS31及びS32参照)。ここで、所定の種類数Q1 は2≦Q1 <Mの自然数であり、所定の種類数Q2 は2≦Q2 <Mの自然数であり、Q1 +Q2 ≦Mである。従って、所定の種類数Mとしては、M≧4の適宜の値が予め設定される。また、M<Nであるため、n1 ≦Q1 であればn2 >Q2 であり、n2 ≦Q2 であればn1 >Q1 である。
【0127】
種類数n1 が所定の種類数Q1 以下である場合、インデックス画像生成部32は、下記の式(M 9),(M 10)の演算結果に基づいて種類数m1 ,m2 を決定する(図19のS37参照)。
1 =n1 …(M 9)
2 =M−n1 …(M 10)
【0128】
種類数n2 が所定の種類数Q2 以下である場合、インデックス画像生成部32は、下記の式(M 11),(M 12)の演算結果に基づいて種類数m1 ,m2 を決定する(図19のS39参照)。
2 =n2 …(M 11)
1 =M−n2 …(M 12)
【0129】
種類数n1 が所定の種類数Q1 より多く、且つ、種類数n2 が所定の種類数Q2 より多い場合、インデックス画像生成部32は、下記の式(M 13),(M 14)の演算結果に基づいて種類数m1 ,m2 を決定する。ただし、種類数m1 は、小数点以下の端数を切り上げる(図19のS33参照)。
1 =M×n1 /N…(M 13)
2 =M−m1 …(M 14)
【0130】
なお、インデックス画像生成部32は、式(M 13),(M 14)の代わりに、下記の式(M 15),(M 16)の演算結果に基づいて種類数m1 ,m2 を決定してもよい。ただし、種類数m2 は、小数点以下の端数を切り下げる。
2 =M×n2 /N…(M 15)
1 =M−m2 …(M 16)
【0131】
ここで、種類数n1 が所定の種類数Q1 以下である場合、圧縮前のカラー画像に含まれる有彩色が1色のみであるか、又は圧縮前のカラー画像に有彩色が1色も含まれていない可能性がある。或いは、圧縮前のカラー画像に含まれる有彩色が、例えば赤色及び青色のように、一般には近似色であるとは看做されない色のみである可能性がある。
従って、1色しか存在しない有彩色を残すべく、又は、一般には近似色であるとは看做されない色同士の統合を抑制すべく、種類数m1 ,m2 を決定する際に、式(M 9),(M 10)が用いられる。このため、n1 =0の場合は、m1 =0となり、m2 =Mとなる。
【0132】
同様に、種類数n2 が所定の種類数Q2 以下である場合、圧縮前のカラー画像に含まれる無彩色が1色のみであるか、又は圧縮前のカラー画像に無彩色が1色も含まれていない可能性がある。或いは、圧縮前のカラー画像に含まれる無彩色が、例えば白色及び黒色のように、一般には近似色であるとは看做されない色のみである可能性がある。
従って、1色しか存在しない無彩色を残すべく、又は、一般には近似色であるとは看做されない色同士の統合を抑制すべく、種類数m1 ,m2 を決定する際に、式(M 11),(M 12)が用いられる。このため、n2 =0の場合は、m2 =0となり、m1 =Mとなる。
【0133】
ところで、式(M 13)の演算結果m1 (又は式(M 16)の演算結果m1 )がm1 <Q1 になった場合、インデックス画像生成部32は、式(M 9),(M 10)の演算結果に基づいて種類数m1 ,m2 を決定すればよい。一方、式(M 14)の演算結果m2 (又は式(M 15)の演算結果m2 )が、m2 <Q2 になった場合、インデックス画像生成部32は、式(M 11),(M 12)の演算結果に基づいて種類数m1 ,m2 を決定すればよい。
【0134】
ここで、種類数n1 が所定の種類数Q1 より多く、且つ、種類数n2 が所定の種類数Q2 より多い場合の具体例を述べる。
生成ICテーブルにおいて、種類数N=12、有彩色の種類数n1 =8、無彩色の種類数n2 =4、所定の種類数M=8、所定の種類数Q1 =3、所定の種類数Q2 =2とする。n1 >Q1 且つn2 >Q2 であるため、種類数m1 ,m2 は、式(M 13),(M 14)を用いて、下記の式(M 17),(M 18)のように決定される。
1 =8×8/12=5.3=6…(M 17)
2 =8−6=2…(M 18)
【0135】
仮に、小数点以下の端数を切り捨て又は四捨五入する場合、種類数m1 ,m2 =5,3になる。
つまり、式(M 13)を用いて種類数m1 を決定する場合に、小数点以下の端数を切りあげることによって、有彩色に係る前景識別子が無彩色のそれよりも優先的に残され、無彩色に係る前景識別子同士が有彩色のそれよりも優先的に統合される。この結果、有彩色の減少数が抑制される。何故ならば、人間の目は、無彩色よりも有彩色に注目し易いため、有彩色を過剰に減少させると、視覚的な画質が劣化するからである。
【0136】
次に、図7に示す生成ICテーブルを参照して、具体例を述べる。
インデックス画像生成部32は、図7に示す生成ICテーブルに記憶されているRGB値に基づき、このRGB値が示す色が有彩色であるか無彩色であるかを判定する(図17のS19参照)。
厳密に言えば、RGB値の全てが同値であれば無彩色であり、無彩色以外は有彩色である。しかしながら、このような判定条件は厳し過ぎる。
このため、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、下記の式(M 19)〜(M 22)に基づいて色彩判定値Col を演算し、色彩判定値Col が所定のRGB閾値Col0(例えば“10”)以下であれば無彩色であると看做し、RGB閾値Col0を超過していれば有彩色であると看做す。ただし、RGB値をRGB値(r,g,b)とする。
【0137】
Col1=|r−g|…(M 19)
Col2=|g−b|…(M 20)
Col3=|b−r|…(M 21)
Col =Col1+Col2+Col3…(M 22)
【0138】
なお、インデックス画像生成部32は、RGB値をL* * * 表色系(CIE1976。CIE:Commission Internationale de l' Eclairage :国際照明委員会)における均等色空間上の座標(L*値:明度。a* 値,b* 値:色度)に変換し、a*値及びb* 値夫々が所定の閾値(例えば、a* 値及びb*値夫々を8ビットで表した場合、“16”)以下であれば無彩色であると看做し、所定の閾値を超過していれば有彩色であると看做す構成でもよい。
【0139】
以上のことから、図7に示す生成ICテーブルの場合、前景識別子“2”に関連付けられているRGB値(0,0,0)の黒色のみが無彩色であると看做され、前景識別子“1”,“3”〜“8”夫々に関連付けられているRGB値の各色は有彩色であると看做される。
従って、図7に示す生成ICテーブルにおいて、種類数N=8、有彩色の種類数n1 =7、無彩色の種類数n2 =1である。ここで、所定の種類数M=6、所定の種類数Q1 =3、所定の種類数Q2 =2とする。n1 >Q1 且つn2 ≦Q2 であるため、種類数m1 ,m2 は、式(M 11),(M 12)を用いて、下記の式(M 23),(M 24)のように決定される。
2 =1…(M 23)
1 =6−1=5…(M 24)
【0140】
以上の結果、図7に示す生成ICテーブルにおいては、無彩色に係る前景識別子はそのまま残し、近似色の有彩色に係る前景識別子同士を統合する。
ここで、有彩色に係る前景識別子の種類数を減少させる個数(以下、減少数という)を減少数D1 とし、無彩色に係る前景識別子の減少数を減少数D2 とすると、減少数D1 ,減少数D2 は下記の式(M 25),(M 26)のように演算される(後述する図20のS51及び図21のS71参照)。
1 =n1 −m1 …(M 25)
2 =n2 −m2 …(M 26)
【0141】
図7に示す生成ICテーブルの場合、有彩色に係る減少数D1 =2であり、無彩色に係る減少数D2 =0である。従って、インデックス画像生成部32は、有彩色に係る2種類の前景識別子を、この有彩色の近似色である他の有彩色に係る前景識別子に統合する。
【0142】
以上のように、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、全ての前景識別子の種類数Nに対する有彩色及び無彩色夫々に係る前景識別子の種類数n1 ,n2 の割合に応じて、減少後の種類数m1 ,m2 を決定するが、このような構成に限定されるものではない。例えば、インデックス画像生成部32は、全画素数に対する有彩色及び無彩色夫々を有する画素数の割合に応じて種類数m1 ,m2 を決定する構成でもよい。また、インデックス画像生成部32は、前景識別子の種類数と画素数とを両方考慮して決定する構成でもよい。例えば、インデックス画像生成部32は、所定数以上の画素数に関連付けられている前景識別子を抽出し、抽出した前景識別子の有彩色及び無彩色夫々の種類数の割合に基づいて種類数m1 ,m2 を決定する。
【0143】
次に、近似色を演算する手法を2種類例示する。本実施の形態における第1の近似色演算手法は、有彩色同士については色差に基づいて演算し、無彩色同士については輝度差に基づいて演算する手法である。また、第2の近似色演算手法は、有彩色同士については、視感度に応じた重み付けが施された色差に基づいて演算し、無彩色同士については、視感度に応じた重み付けが施された輝度差に基づいて演算する手法である。
【0144】
仮に、従来の手法で近似色を演算する場合、図7に示す生成ICテーブルでは、前景識別子“2”に関連付けられているRGB値(0,0,0)の黒色と、前景識別子“8”に関連付けられているRGB値(0,0,96)の暗い青色とが近似色と看做されることがある。
【0145】
しかしながら、本発明においては、有彩色と無彩色との組み合わせについては全く考慮しない。このため、たとえ近似色であっても、有彩色と無彩色とは統合されず、有彩色同士及び/又は無彩色同士の近似色が統合される。
この結果、圧縮前のカラー画像で有彩色(又は無彩色)であった前景が、圧縮後のカラー画像では無彩色(又は有彩色)に変色して、画質が大幅に悪化する、という問題が防止される。
【0146】
図10は、近似色を演算するための色情報テーブルの一例を示す模式図である。図10(a)は、第1の近似色演算手法を用いる場合の色情報テーブルを示し、図10(b)は、第2の近似色演算手法を用いる場合の色情報テーブルを示す。このような色情報テーブルは、ICテーブルとは別個に生成されることが望ましい。
【0147】
図10に示す色情報テーブルには、前景識別子(図中「Idx」)と、RGB値(図中「R」、「G」、及び「B」)と、L* * * 値(図中「L」、「a」、及び「b」)とが関連付けて記憶される。
色情報テーブルに記憶されているRGB値とは、特定の前景識別子が識別する色情報であり、L* * * 値とは、特定の前景識別子が識別するRGB値をL* * * 表色系に変換してなる色情報である。
図10(b)に示す色情報テーブルには、更に、重み係数WtLと重み係数WtCとが前景識別子に関連付けて記憶される。
【0148】
重み係数WtLとは、輝度の視感度に基づいて輝度差及び色差夫々に対して重み付けを施すための重み係数である。本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、特定の前景識別子に関連付けられたL* 値が所定の第1閾値“50”より大きければ、重み係数WtL=“2”とし、L* 値が所定の第1閾値“50”以下であれば、重み係数WtL=“0.5”とする。
【0149】
* 値が大きい(即ち重み係数WtL=“2”である)色情報は明るい色を示す色情報であり、L* 値が小さい(即ち重み係数WtL=“0.5”である)色情報は明るい色を示す色情報である。
明るい色は暗い色よりも目立つため、統合されない方が好ましい。暗い色が優先的に統合されるようにするために、明るい色に対応する重み係数WtLは、暗い色に対応する重み係数WtLよりも大きい値に設定されている。
【0150】
重み係数WtCとは、色度の視感度に基づいて色差に対して重み付けを施すための重み係数である。本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、特定の前景識別子に関連付けられたb* 値が所定の第2閾値“0”より小さければ、重み係数WtC=“0.5”とし、b* 値が所定の第2閾値“0”以上であれば、重み係数WtC=“2”とする。
【0151】
* 値が大きい(即ち重み係数WtC=“2”である)色情報は黄系の色を示す色情報であり、b* 値が小さい(即ち重み係数WtC=“0.5”である)色情報は青系の色を示す色情報である。
黄系の色は青系の色よりも目立つため、統合されない方が好ましい。青系の色が優先的に統合されるようにするために、黄系の色に対応する重み係数WtCは、青系の色に対応する重み係数WtCよりも大きい値に設定されている。
【0152】
図7に示す生成ICテーブルでは、無彩色に係る前景識別子は統合されない。従って、前景識別子“2”に関連付けられているRGB値及びL* * * 値が近似色の演算に使用されることはない。
第1の近似色演算手法では、図10(a)に示す色情報テーブルに記憶されている有彩色のRGB値に基づき、有彩色同士の色差を演算する。
第2の近似色演算手法では、図10(b)に示す色情報テーブルに記憶されている有彩色のRGB値に基づき、有彩色同士の色差を演算し、演算した色差に対して、重み係数WtL,WtC夫々を乗算する。
【0153】
図11は、図10に示す色情報テーブルに基づく色差演算結果テーブルの一例を示す模式図である。
図中「1−3」、「1−4」、…、及び「7−8」は、前景識別子“1”,“3”の組み合わせ、前景識別子“1”,“4”の組み合わせ、…、及び前景識別子“7”,“8”の組み合わせを示している。
【0154】
第1の近似色演算手法を用いる場合、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、前景識別子“i”,“j”(iは自然数。jはj≧i+1の自然数)の組み合わせに関し、下記の式(M 27)〜(M 30)に基づいて色差ΔColCを演算する。図11に示す色差演算結果テーブルに記載の「色差」は、式(M 30)の演算結果である色差ΔColCを示している。また、「色差」の右横の数字は、図中で何番目に小さい色差ΔColCであるかを示している。
ただし、前景識別子“i”に関連付けられたRGB値をRGB値(R[i],G[i],B[i])、前景識別子“j”に関連付けられたRGB値をRGB値(R[j],G[j],B[j])とする。また、図7に示す生成ICテーブルの場合、前景識別子“i”,“j”≠前景識別子“2”である。
【0155】
ΔColR=|R[i]−R[j]|…(M 27)
ΔColG=|G[i]−G[j]|…(M 28)
ΔColB=|B[i]−B[j]|…(M 29)
ΔColC=ΔColR+ΔColG+ΔColB…(M 30)
【0156】
第2の近似色演算手法を用いる場合、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、式(M 27)〜(M 30)及び下記の式(M 31)に基づいて、重み付き色差ΔWtColCを演算する。図11に示す色差演算結果テーブルに記載の「重み付き色差」は、式(M 31)の演算結果である重み付き色差ΔWtColCを示している。また、「重み付き色差」の右横の数字は、図中で何番目に小さい重み付き色差ΔWtColCであるかを示している。
ΔWtColC=ΔColC×WtL×WtC…(M 31)
【0157】
以上のように、有彩色に関しては色差が考慮されるが、無彩色に関しては輝度差が考慮される。
第1の近似色演算手法を用いる場合、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、前景識別子“i”,“j”の組み合わせに関し、下記の式(M 32)に基づいて輝度差ΔColLを演算する。ただし、前景識別子“i”に関連付けられたL* 値をL*値(L* [i])、前景識別子“j”に関連付けられたL* 値をL*値(L* [j])とする。また、図7に示す生成ICテーブルの場合、前景識別子“i”,“j”≠前景識別子“2”である。
ΔColL=|L* [i]−L* [j]|…(M 32)
【0158】
第2の近似色演算手法を用いる場合、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、式(M 32)及び下記の式(M 33)に基づいて、重み付き輝度差ΔWtColLを演算する。
ΔWtColL=ΔColL×WtL…(M 33)
【0159】
第1の近似色演算手法を用いる場合、図11に示す色差演算結果テーブルに記載の「色差」を参照すると、色差ΔColCが最も小さい組み合わせは前景識別子“3”,“8”の組み合わせであり、2番目に小さい組み合わせは前景識別子“4”,“5”の組み合わせであり、3番目に小さい組み合わせは前景識別子“3”,“6”の組み合わせである。
【0160】
減少数D1 =2であるため、インデックス画像生成部32は、まず、色差ΔColCが最も小さい組み合わせである前景識別子“3”,“8”の統合を決定する。後述するように、前景識別子“3”,“8”については、前景識別子“8”が前景識別子“3”に統合されるため、前景識別子“8”は無効な前景識別子となる。そこで、インデックス画像生成部32は、無効な前景識別子“8”を除いて色差ΔColCが最も小さい組み合わせ(即ち前記2番目に小さい組み合わせ)である前景識別子“4”,“5”の統合を決定する。
【0161】
前景識別子“3”,“8”を統合し、前景識別子“4”,“5”を統合することによって、有彩色に係る前景識別子の種類数は“6”となり、種類数Nから“2”減少した値(減少数D1 に等しい値)となる。従って、インデックス画像生成部32は、色差ΔColCが3番目以降に小さい前景識別子同士に関する統合の可否を判定しない。
【0162】
つまり、第1の近似色演算手法を用いた場合、前景識別子“3”に関連付けられているRGB値(0,0,192)の青色と、前景識別子“8”に関連付けられているRGB値(0,0,96)の暗い青色とが近似色であると看做される。また、前景識別子“4”に関連付けられているRGB値(240,0,0)の赤色と、前景識別子“5”に関連付けられているRGB値(160,32,32)の茶色とが近似色であると看做される。
【0163】
第2の近似色演算手法を用いる場合、図11に示す色差演算結果テーブルに記載の「重み付き色差」を参照すると、重み付き色差ΔWtColCが最も小さい組み合わせは前景識別子“3”,“8”の組み合わせであり、2番目に小さい組み合わせは前景識別子“3”,“6”の組み合わせであり、3番目に小さい組み合わせは前景識別子“6”,“8”の組み合わせであり、4番目に小さい組み合わせは前景識別子“5”,“6”の組み合わせある。
【0164】
減少数D1 =2であるため、インデックス画像生成部32は、まず、重み付き色差ΔWtColCが最も小さい組み合わせである前景識別子“3”,“8”の統合を決定する。後述するように、前景識別子“3”,“8”については、前景識別子“8”が前景識別子“3”に統合されるため、前景識別子“8”は無効な前景識別子となる。そこで、インデックス画像生成部32は、無効な前景識別子“8”を除いて重み付き色差ΔWtColCが最も小さい組み合わせ(即ち前記2番目に小さい組み合わせ)である前景識別子“3”,“6”の統合を決定する。
【0165】
前景識別子“3”,“8”を統合し、前景識別子“3”,“6”を統合することによって、有彩色に係る前景識別子の種類数は“6”となり、種類数Nから“2”減少した値(減少数D1 に等しい値)となる。従って、インデックス画像生成部32は、重み付き色差ΔWtColCが3番目以降に小さい前景識別子同士に関する統合の可否を判定しない。
【0166】
つまり、第2の近似色演算手法を用いた場合、前景識別子“3”に関連付けられているRGB値(0,0,192)の青色と、前景識別子“6”に関連付けられているRGB値(96,64,150)の紫色と、前景識別子“8”に関連付けられているRGB値(0,0,96)の暗い青色とが近似色であると看做される。
【0167】
ところで、後述するように、前景識別子“3”,“6”については、前景識別子“3”が前景識別子“6”に統合されるため、前景識別子“3”は無効な前景識別子となる。ここで、減少数D1 =3であった場合、インデックス画像生成部32は、無効な前景識別子“3”,“8”を除いて重み付き色差ΔWtColCが最も小さい組み合わせ(即ち前記4番目に小さい組み合わせ)である前景識別子“5”,“6”の統合を決定する。
【0168】
図7に示す生成ICテーブルと図11に示す色差演算結果テーブルとを参照すればわかるように、単純な色差であれば、RGB値(0,0,192)の青色とRGB値(0,0,96)の暗い青色とが最も近似する近似色であると看做され、また、RGB値(240,0,0)の赤色とRGB値(160,32,32)の茶色とが2番目に近似する近似色であると看做される。
RGB値(0,0,192)の青色とRGB値(0,0,96)の暗い青色とは両方とも暗い色であり、また、青系の色である。
【0169】
しかしながら、RGB値(240,0,0)の赤色とRGB値(160,32,32)の茶色とは、両方とも黄系の色であり、しかもRGB値(240,0,0)の赤色は明るい。従って、これらを統合した場合、圧縮前のカラー画像と比較したときに、圧縮後のカラー画像における変色が目立つ可能性がある。
【0170】
一方、重み付き色差であれば、RGB値(0,0,192)の青色とRGB値(0,0,96)の暗い青色とが最も近似する近似色であると看做され、また、RGB値(0,0,192)の青色とRGB値(96,64,150)の紫色とが2番目に近似する近似色であると看做される。
RGB値(0,0,192)の青色とRGB値(0,0,96)の暗い青色とRGB値(96,64,150)の紫色とはいずれも暗い色であり、また、青系の色である。従って、これらを統合しても、圧縮前のカラー画像と比較したときに、圧縮後のカラー画像の変色は目立たないと考えられる。
【0171】
なお、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、式(M 27)〜(M 30)に基づき、R値、G値、及びB値夫々の絶対差分値の総和を色差ΔColCとしているが、これに限定されるものではない。例えば、インデックス画像生成部32は、a*値及びb* 値夫々の絶対差分値の総和を色差ΔColCとしてもよい。また、インデックス画像生成部32は、RGB表色系及びL** * 表色系に限定されず、他の表色系(例えばHLS表色系)を用いて色差ΔColC及び輝度差ΔColLを演算する構成でもよい。
【0172】
ところで、色差ΔColC又は重み付き色差ΔWtColCが最も小さい組み合わせが複数組存在する場合、インデックス画像生成部32は、最も小さい値の前景識別子を含む組み合わせを優先的に統合してもよく、関連付けられている画素数の和が最も小さい組み合わせを優先的に統合してもよい。又は、インデックス画像生成部32は、色差ΔColC(又は重み付き色差ΔWtColC)が同じである場合は、重み付き色差ΔWtColC(又は色差ΔColC)を比較していずれの組み合わせを統合するか決定してもよい。
輝度差ΔColL又は重み付き輝度差ΔWtColLが最も小さい組み合わせが複数組存在する場合も、色差ΔColC又は重み付き色差ΔWtColCが最も小さい組み合わせが複数組存在する場合と同様に処理すればよい。
【0173】
図12及び図13夫々は、図6に示す生成前景レイヤを修正してなる修正前景レイヤの一例を示す模式図である。図12は、第1の近似色演算手法を用いて前景識別子同士の統合を行なった場合を示し、図13は、第2の近似色演算手法を用いて前景識別子同士の統合を行なった場合を示す。
図中夫々太枠で囲われている画素群E1〜E8は、図6に示す画素群E1〜E8に対応する。
【0174】
しかしながら、図12に示す修正前景レイヤにおいては、画素群E5の各画素が前景識別子“5”ではなく前景識別子“4”を有しており、画素群E8の各画素が前景識別子“8”ではなく前景識別子“3”を有している。
また、図13に示す修正前景レイヤにおいては、画素群E3,E8の各画素が前景識別子“3”,“8”ではなく前景識別子“6”を有している。
【0175】
図14及び図15夫々は、修正ICテーブルの一例を示す模式図である。
図14は、図7に示す生成ICテーブルを修正したものであり、図12に示す修正前景レイヤに対応する。図15は、図7に示す生成ICテーブルを修正したものであり、図13に示す修正前景レイヤに対応する。図中「→」は左側の数値から右側の数値へ修正するとを示している。
本明細書では、説明のために修正前景レイヤを先に図12及び図13夫々に示してから修正ICテーブルを図14及び図15夫々に示している。しかしながら、実際にはインデックス画像生成部32は、図7に示す生成ICテーブルを図14に示す修正ICテーブル又は図15に示す修正ICテーブルに修正してから、図6に示す生成前景レイヤを図12に示す修正前景レイヤ又は図13に示す修正前景レイヤに修正する。
【0176】
生成前景レイヤを修正前景レイヤに修正するために、本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、統合すべき前景識別子“i”,“j”夫々を有する画素の画素数を比較し、前景識別子“i”に前景識別子“j”を統合するか、又は前景識別子“j”に前景識別子“i”を統合するかを決定する。
【0177】
第1の近似色演算手法を用いた場合、図7に示す生成ICテーブルを参照すると、前景識別子“3”に関連付けられた画素数は“5”であり、前景識別子“8”に関連付けられた画素数は“3”である。従って、インデックス画像生成部32は、前景識別子“3”に前景識別子“8”を統合すると決定する(図20のS56参照)。
また、前景識別子“3”,“8”に関連付けられた画素数を合計した画素数は“8”である。
【0178】
そこで、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“3”に関連付けられた画素数を“5”から“8”に修正し、前景識別子“8”に関連付けられた画素数を“3”から無効な値(本実施の形態では“0”)に修正する。
【0179】
また、図7に示す生成ICテーブルを参照すると、前景識別子“3”,“8”に関連付けられた各座標値は、最小X座標値“10”,“10”、最小Y座標値“7”,“16”、最大X座標値“12”,“12”、及び最大Y座標値“9”,“16”である。
そこで、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“3”に関連付けられた各画素値を、最小X座標値“10”、最小Y座標値“7”、最大X座標値“12”、及び最大Y座標値“16”に修正又は維持する。何故ならば、最小X座標値及び最小Y座標値は夫々前景識別子“3”のそれが前景識別子“8”のそれ以下であり、最大X座標値は前景識別子“3”のそれが前景識別子“8”のそれ以上であるが、最大Y座標値は前景識別子“6”のそれが前景識別子“8”のそれより小さいからである。
【0180】
更に、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“8”を前景識別子“3”に修正する。図7に示す生成ICテーブルを参照すればわかるように、修正ICテーブルのアドレスの値は統合前の前景識別子の値に等しい。従って、修正ICテーブルに記憶されているアドレスと、このアドレスに関連付けられている前景識別子とを参照すれば、統合前の前景識別子と統合後の前景識別子との関係が明白である。
【0181】
本実施の形態におけるインデックス画像生成部32は、前景識別子“3”に関連付けられたRGB値を変更しない。つまり、統合後の前景識別子“3”には、統合前の画素数が多い方の色情報が関連付けられる。
この結果、図6に示す生成前景レイヤにおいて画素数が多い青色が、画素数が少ない暗い青色よりも優先的に、図12に示す修正前景レイヤに残される。
仮に、前景識別子“3”と前景識別子“8”とが、前景識別子“8”に統合された場合、図6に示す生成前景レイヤで画素数が少ない方の色が、多い方の色よりも優先的に、図12に示す修正前景レイヤに残されるため、圧縮前のカラー画像と比較した場合、圧縮後のカラー画像における変色が目立つため、視覚的な画質が劣化する。
【0182】
次いで、修正中の生成ICテーブルを参照すると、前景識別子“4”に関連付けられた画素数は“9”であり、前景識別子“5”に関連付けられた画素数は“9”である。従って、前景識別子“4”に前景識別子“5”を統合しても、前景識別子“5”に前景識別子“4”を統合しても、圧縮後の画質に対する影響は変わらない。そこで、便宜上、インデックス画像生成部32は、アドレスが小さい方の前景識別子“4”に、アドレスが大きい方の前景識別子“5”を統合すると決定する。
また、前景識別子“4”,“5”に関連付けられた画素数を合計した画素数は“18”である。
【0183】
そこで、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“4”に関連付けられた画素数を“9”から“18”に修正し、前景識別子“5”に関連付けられた画素数を“9”から“0”に修正する。
また、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“4”に関連付けられた各画素値を、最小X座標値“0”、最小Y座標値“10”、最大X座標値“8”、及び最大Y座標値“17”に修正又は維持する。
更に、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“5”を前景識別子“4”に修正する。
【0184】
以上の結果、図12に示すように、修正前景レイヤでは、前景識別子“3”を有する画素数が“8”になり、前景識別子“8”を有する画素数が“0”になる。また、前景識別子“4”を有する画素数が“18”になり、前景識別子“5”を有する画素数が“0”になる。
【0185】
なお、インデックス画像生成部32は、統合後の前景識別子に、統合前の画素数が多い方の色情報を関連付ける構成に限定されるものではない。例えば、インデックス画像生成部32は、統合前の色情報に、この色情報を有する画素数の多寡に比例した重み付けを施してから平均することによって、代表色の色情報を演算し、演算結果を統合後の前景識別子に関連付ける構成でもよい。この場合は、各前景識別子の画素数の多寡が代表色の色合いに反映されるため、画素数が多い方の前景識別子に画素数が少ない方の前景識別子を統合する必要はなく、例えばアドレスが小さい方の前景識別子にアドレスが大きい方の前景識別子を統合すればよい。
【0186】
第2の近似色演算手法を用いた場合、図7に示す生成ICテーブルを参照すると、前景識別子“3”に関連付けられた画素数は“5”であり、前景識別子“6”に関連付けられた画素数は“22”である。従って、インデックス画像生成部32は、前景識別子“6”に前景識別子“3”を統合すると決定する(図20のS57参照)。
また、前景識別子“3”,“6”に関連付けられた画素数を合計した画素数は“27”である。
【0187】
そこで、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“3”に関連付けられた画素数を“5”から“0”に修正し、前景識別子“6”に関連付けられた画素数を“22”から“27”に修正する。
また、図7に示す生成ICテーブルを参照すると、前景識別子“3”,“6”に関連付けられた各座標値は、最小X座標値“10”,“6”、最小Y座標値“7”,“13”、最大X座標値“12”,“15”、及び最大Y座標値“9”,“19”である。
【0188】
そこで、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“3”に関連付けられた各画素値を、最小X座標値“6”、最小Y座標値“7”、最大X座標値“15”、及び最大Y座標値“19”に修正又は維持する。
更に、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“3”を前景識別子“6”に修正する。
【0189】
次いで、修正中の生成ICテーブルを参照すると、前景識別子“6”に関連付けられた画素数は“27”であり、前景識別子“8”に関連付けられた画素数は“3”である。従って、インデックス画像生成部32は、前景識別子“6”に前景識別子“8”を統合すると決定する。
また、前景識別子“6”,“8”に関連付けられた画素数を合計した画素数は“30”である。
【0190】
そこで、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“6”に関連付けられた画素数を“27”から“30”に修正し、前景識別子“8”に関連付けられた画素数を“3”から“0”に修正する。
また、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“6”に関連付けられた各画素値を、最小X座標値“7”、最小Y座標値“7”、最大X座標値“15”、及び最大Y座標値“19”に維持する。何故ならば、最小X座標値及び最小Y座標値は夫々前景識別子“6”のそれが前景識別子“8”のそれ以下であり、最大X座標値及び最大Y座標値は夫々前景識別子“6”のそれが前景識別子“8”のそれ以上であるため、変更する必要がないからである。
【0191】
更に、インデックス画像生成部32は、図14に示すように、前景識別子“8”を前景識別子“6”に修正する。
以上の結果、図13に示すように、修正前景レイヤでは、前景識別子“6”を有する画素数が“30”になり、前景識別子“3”,“8”を有する画素数が“0”になる。
【0192】
図16は、図12に示す修正前景レイヤから生成される2値画像の一例を示す模式図である。
図16に示す2値画像では、図12に示す修正前景レイヤで前景識別子“3”を有していた画素(即ち画素群E3,E8の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する。画素群E3,E8の画素とは、図6に示す生成前景レイヤで前景識別子“3”,“8”を有していた画素である。
従って、図12に示す修正前景レイヤからは、図8及び図9夫々に示す2値画像は生成されない。
【0193】
同様に、図12に示す修正前景レイヤで前景識別子“1”を有していた画素(即ち画素群E1の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する2値画像、図12に示す修正前景レイヤで前景識別子“2”を有していた画素(即ち画素群E2の画素)のみが画素値“0”を有し、他の画素全部が画素値“1”を有する2値画像、…が生成される。
【0194】
以上のように、図12に示す修正前景レイヤから2値画像を生成した場合、2値画像の枚数は、画素群E1〜E8に一対一対応の8枚ではなく6枚となる。具体的には、画素群E1に対応する2値画像、画素群E2に対応する2値画像、画素群E3,E8に対応する2値画像、画素群E4,E5に対応する2値画像、画素群E6に対応する2値画像、画素群E7に対応する2値画像の合計6枚となる。
【0195】
同様に、図13に示す修正前景レイヤから2値画像を生成した場合、2値画像の枚数は6枚となる。具体的には、画素群E1に対応する2値画像、画素群E2に対応する2値画像、画素群E4に対応する2値画像、画素群E5に対応する2値画像、画素群E3,E6,E8に対応する2値画像、画素群E7に対応する2値画像の合計6枚となる。
【0196】
本実施の形態では、主として有彩色同士の統合について説明したが、無彩色同士であっても、同様に統合すればよい。
【0197】
なお、インデックス画像生成部32は、近似色同士を統合することによって前景識別子の種類数を減少させる構成に限定されるものではない。例えば、インデックス画像生成部32は、画素数が少ない前景識別子を背景識別子で置換することによって前景識別子の種類数を減少させる構成でもよい。即ち、前景の一部が背景と看做されることによって、前景識別子の種類数が減少される。
この場合、背景と看做された前景は、前景レイヤ、延いては2値画像には含まれないため、背景レイヤに含ませる必要がある。
従って、仮に、背景レイヤを生成する際に前景マスクを用いるならば、背景レイヤの生成前に、前景マスクを修正して、識別子の置換結果を前景マスクに反映させねばならず、処理が煩雑である。このような不都合を解消するためには、背景レイヤを生成する際に、前景レイヤを用いればよい。
【0198】
また、例えば、色差ΔColCが所定閾値以下である組み合わせについては前景識別子同士を統合するが、色差ΔColCが所定閾値を越えている組み合わせについては前景識別子を背景識別子で置換するといったように、インデックス画像生成部32は、複数種類の手法を複合して使用する構成でもよい。
【0199】
ところで、本実施の形態のような第1又は第2の近似色演算手法を有彩色(又は無彩色)に関して用いる場合、有彩色の種類数n1 ,m1 がn1 ≧3且つn1 >m1 ≧2(又は無彩色の種類数n2 ,m2 がn2 ≧3且つn2 >m2 ≧2)である必要がある。ところが、本実施の形態では種類数Q1 ,Q2 ≧2であるため、n1 >Q1 (又はn2 >Q2 )であれば、自動的にn1 ≧3且つn1 >m1 ≧2(又はn2 ≧3且つn2 >m2 ≧2)が成立する。
【0200】
図17及び図18は、圧縮処理部3で実行されるインデックス化処理の手順を示すフローチャートである。
図17に示すように、インデックス画像生成部32は、まず、生成ICテーブル及び生成前景レイヤを生成する(S11)。ただし、S11で生成される生成ICテーブルには、アドレス及び識別子が記憶され、各座標値、色情報及び画素数としては、無効な値が記憶されている。また、生成前景レイヤの各画素は、無効な値を有する。
【0201】
次いで、インデックス画像生成部32は、生成前景レイヤに含まれる画素の内、まだ選択していない画素を注目画素として選択し(S12)、前景マスク及びカラー画像夫々について、S12で選択した注目画素に対応する画素の画素値を参照して、注目画素に与えるべき識別子を決定する(S13)。
【0202】
インデックス画像生成部32は、S12で選択した注目画素にS13で決定した識別子を与えることによって、生成前景レイヤを更新し(S14)、S13で決定した識別子に関連付けて生成ICテーブルに記憶されている各座標値、色情報及び画素数の内、必要なデータを更新する(S15)。
更に詳細には、S15では、S13で決定した識別子に関連付けられている画素数がインクリメントされる。
【0203】
また、S15では、S12で選択した注目画素の座標(x,y)とに基づいて各座標値が更新又は維持される。生成ICテーブルに記憶されている各座標値が無効な値であれば、最小X座標値及び最大X座標値として注目画素の座標値xが記憶され、最小Y座標値及び最大Y座標値として注目画素の座標値yが記憶される。一方、生成ICテーブルに記憶されている各座標値が有効な値であれば、最小X座標値、最小Y座標値、最大X座標値、及び最大Y座標値と注目画素の座標(x,y)との大小関係を比較し、比較結果に応じて各座標値が更新又は維持される。
【0204】
S15の処理実行時点で、生成ICテーブルに記憶されている色情報が無効な値である場合、S15では、S12で選択した注目画素が有する色情報に基づいて、生成ICテーブルに記憶されている色情報が更新される。
【0205】
更に、インデックス画像生成部32は、生成前景レイヤに含まれている画素を全部選択し終えたか否かを判定し(S16)、まだ選択していない画素が存在する場合は(S16でNO)、処理をS12へ戻す。
画素の選択が終了している場合(S16でYES)、インデックス画像生成部32は、処理をS17以降へ移す。
以上のようなS11〜S16におけるインデックス画像生成部32は、前景レイヤ生成手段及びテーブル生成手段として機能する。
【0206】
インデックス画像生成部32は、種類数Nが種類数Mより多いか否かを判定し(S17)、N≦Mの場合(S17でNO)、生成前景レイヤ及び生成ICテーブルと、前景マスク及びカラー画像の画像データとを背景レイヤ生成部33へ出力して(S18)、インデックス化処理を終了する。
N>Mの場合(S17でYES)、インデックス画像生成部32は、処理をS19へ移す。S18におけるインデックス画像生成部32は、減少判定手段として機能する。
【0207】
インデックス画像生成部32は、前景識別子に関連付けて生成ICテーブルに記憶されているRGB値に基づき、前景識別子を、有彩色に係る前景識別子及び無彩色に係る前景識別子の何れかに分類する(S19)。S19におけるインデックス画像生成部32は、彩色分類手段として機能する。
次いで、インデックス画像生成部32は、種類数決定処理のサブルーチン(図19参照)を呼び出すことによって、種類数m1 ,m2 を決定する(S20)。S20におけるインデックス画像生成部32は、種類数決定手段として機能する。
【0208】
図19は、圧縮処理部3で実行される種類数決定処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
インデックス画像生成部32は、生成インデックステーブルを参照し、種類数n1 が所定の種類数Q1 より多いか否かを判定し(S31)、n1 >Q1 の場合は(S31でYES)、種類数n2 が所定の種類数Q2 より多いか否かを判定する(S32)。S31及びS32におけるインデックス画像生成部32は、第1比較手段及び第2比較手段として機能する。
【0209】
2 >Q2 の場合(S32でYES)、インデックス画像生成部32は、式(M 13),(M 14)の演算結果を種類数m1 ,m2 に代入する(S33)。
更に、インデックス画像生成部32は、S33で演算した種類数m1 が種類数Q1 以上であるか否かを判定し(S34)、m1 ≧Q1 の場合は(S34でYES)、S33で演算した種類数m2 が種類数Q2 以上であるか否かを判定する(S35)。
2 ≧Q2 の場合(S35でYES)、インデックス画像生成部32は、有彩色に係る前景識別子同士の統合を実行するか否かを示すフラグF1 に“1”をセットし、無彩色に係る前景識別子同士の統合を実行するか否かを示すフラグF2 に“1”をセットする(S36)。
【0210】
1 ≦Q1 の場合(S31でNO)、又は、m1 <Q1 の場合(S34でNO)、インデックス画像生成部32は、式(M 9),(M 10)の演算結果を種類数m1 ,m2 に代入し(S37)、フラグF1 に“0”をセットし、フラグF2 に“1”をセットする(S38)。
2 ≦Q2 の場合(S32でNO)、又は、m2 <Q2 の場合(S35でNO)、インデックス画像生成部32は、式(M 11),(M 12)の演算結果を種類数m1 ,m2 に代入し(S39)、フラグF1 に“1”をセットし、フラグF2 に“0”をセットする(S40)。
【0211】
S36、S38、又はS40の処理終了後、インデックス画像生成部32は、種類数決定処理を終了して、処理を元のルーチンへ戻す。
S31及びS32におけるインデックス画像生成部32は、第1比較手段及び第2比較手段として機能する。
【0212】
図18に示すように、インデックス画像生成部32は、図7に示すような生成ICテーブルに基づいて、図10に示すような色情報テーブルを生成し(S21)、フラグF1 に“1”がセットされているか否かを判定する(S22)。F1 =1の場合(S22でYES)、インデックス画像生成部32は、有彩色統合処理のサブルーチン(後述する図20参照)を呼び出すことによって、種類数n1 を種類数m1 に減少させる(S23)。S23におけるインデックス画像生成部32は、有彩色に係る種類数減少手段として機能する。
【0213】
S23の処理終了後、又は、F1 =0の場合(S22でNO)、インデックス画像生成部32は、フラグF2 に“1”がセットされているか否かを判定する(S24)。F2 =1の場合(S24でYES)、インデックス画像生成部32は、無彩色統合処理のサブルーチン(後述する図21参照)を呼び出すことによって、種類数n2 を種類数m2 に減少させる(S25)。S25におけるインデックス画像生成部32は、無彩色に係る種類数減少手段として機能する。
S23及び/又はS25の処理が実行されることによって、生成ICテーブルは修正ICテーブルに修正される。
【0214】
S25の処理終了後、又は、F2 =0の場合(S24でNO)、インデックス画像生成部32は、修正ICテーブルを参照して、生成前景レイヤを修正前景レイヤに修正する(S26)。S26では、インデックス画像生成部32は、修正ICテーブルにてアドレスの値と異なる値を有する前景識別子を抽出し、生成前景レイヤに含まれている前景識別子の内、抽出したアドレスの値に等しい値を有する前景識別子(即ち統合前の前景識別子)を、抽出した前景識別子(即ち統合後の前景識別子)で置き換える。S26におけるインデックス画像生成部32は、前景レイヤ修正手段として機能する。
【0215】
最後に、インデックス画像生成部32は、修正前景レイヤ及び修正ICテーブルと、前景マスク及びカラー画像の画像データとを背景レイヤ生成部33へ出力して(S27)、インデックス化処理を終了する。
【0216】
図20は、圧縮処理部3で実行される有彩色統合処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
インデックス画像生成部32は、式(M 25)の演算結果を減少数D1 に代入し(S51)、変数kに“1”を代入してから(S52)、S21で生成した色情報テーブルに基づいて、図11に示すような色差演算結果テーブルを生成する(S53)。S53におけるインデックス画像生成部32は、色差演算手段として機能する。
【0217】
S21では、第1の近似色演算手法を用いる場合は図10(a)に示すような色情報テーブルが生成され、第2の近似色演算手法を用いる場合は図10(b)に示すような色情報テーブルが生成される。
S53では、第1の近似色演算手法を用いる場合は、前景識別子“i”,“j”の組み合わせに関し、式(M 27)〜(M 30)に基づいて色差ΔColCが演算され、第2の近似色演算手法を用いる場合は、前景識別子“i”,“j”の組み合わせに関し、式(M 27)〜(M 31)に基づいて、重み付き色差ΔWtColCが演算される。
【0218】
次いで、インデックス画像生成部32は、S53で生成した色差演算結果テーブルを参照し、色差ΔColC又は重み付き色差ΔWtColCが最も小さい前景識別子“i”,“j”の組み合わせを選択する(S54)。S54では、後述するS56又はS57の処理の結果、無効になった前景識別子を除いて、前景識別子“i”,“j”の組み合わせが選択される。S54におけるインデックス画像生成部32は、有彩色組合手段として機能する。
更に、インデックス画像生成部32は、生成ICテーブルを参照し、前景識別子“i”に関連付けられている画素数cnt [i]が、前景識別子“j”に関連付けられている画素数cnt [j]以上であるか否かを判定する(S55)。
【0219】
cnt [i]≧cnt [j]の場合(S55でYES)、インデックス画像生成部32は、前景識別子“i”に前景識別子“j”を統合する(S56)。
一方、cnt [i]<cnt [j]の場合(S55でNO)、インデックス画像生成部32は、前景識別子“j”に前景識別子“i”を統合する(S57)。
【0220】
S56及びS57の処理で、インデックス画像生成部32は、統合結果に従ってICテーブルを修正する。S56では、前景識別子“i”に関連付けられた画素数が上述したように修正され、各座標値が上述したように修正又は維持される。また、前景識別子“j”に関連付けられた画素数が“0”に修正され、前景識別子“j”が前景識別子“i”で置き換えられる。なお、このとき前景識別子“j”に関連付けられた各座標値及び色情報を無意味な値で置き換えてもよい。S57の処理は、前景識別子“i”,“j”を前景識別子“j”,“i”に入れ替えれば、S56の処理と同様である。
S55〜S57におけるインデックス画像生成部32は、有彩色統合手段として機能する。
【0221】
S56又はS57の処理終了後、インデックス画像生成部32は、変数kが減少数D1 以上であるか否かを判定する(S58)。
k<D1 の場合(S58でNO)、インデックス画像生成部32は、変数kをインクリメントし(S59)、処理をS54へ戻す。
k≧D1 の場合(S58でYES)、インデックス画像生成部32は、有彩色統合処理を終了して、処理を元のルーチンへ戻す。
【0222】
図21は、圧縮処理部3で実行される無彩色統合処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
インデックス画像生成部32は、式(M 26)の演算結果を減少数D2 に代入し(S71)、変数kに“1”を代入してから(S72)、S21で生成した色情報テーブルに基づいて、図11に示す色差演算結果テーブルのような輝度差演算結果テーブルを生成する(S73)。S73におけるインデックス画像生成部32は、輝度差演算手段として機能する。
【0223】
S73では、第1の近似色演算手法を用いる場合は、前景識別子“i”,“j”の組み合わせに関し、式(M 32)に基づいて輝度差ΔColLが演算され、第2の近似色演算手法を用いる場合は、前景識別子“i”,“j”の組み合わせに関し、式(M 33)に基づいて、重み付き輝度差ΔWtColLが演算される。
【0224】
次いで、インデックス画像生成部32は、S73で生成した輝度差演算結果テーブルを参照し、輝度差ΔColL又は重み付き輝度差ΔWtColLが最も小さい前景識別子“i”,“j”の組み合わせを選択する(S74)。S54では、後述するS76又はS77の処理の結果、無効になった前景識別子を除いて、前景識別子“i”,“j”の組み合わせが選択される。S74におけるインデックス画像生成部32は、無彩色組合手段として機能する。
更に、インデックス画像生成部32は、生成ICテーブルを参照し、前景識別子“i”に関連付けられている画素数cnt [i]が、前景識別子“j”に関連付けられている画素数cnt [j]以上であるか否かを判定する(S75)。
【0225】
cnt [i]≧cnt [j]の場合(S75でYES)、インデックス画像生成部32は、前景識別子“i”に前景識別子“j”を統合する(S76)。
一方、cnt [i]<cnt [j]の場合(S75でNO)、インデックス画像生成部32は、前景識別子“j”に前景識別子“i”を統合する(S77)。
【0226】
S76及びS77の処理で、インデックス画像生成部32は、統合結果に従ってICテーブルを修正する。S76では、前景識別子“i”に関連付けられた画素数がしたように修正され、各座標値がしたように修正又は維持される。また、前景識別子“j”に関連付けられた画素数が“0”に修正され、前景識別子“j”が前景識別子“i”で置き換えられる。なお、このとき前景識別子“j”に関連付けられた各座標値及び色情報を無意味な値で置き換えてもよい。S77の処理は、前景識別子“i”,“j”を前景識別子“j”,“i”に入れ替えれば、S76の処理と同様である。
S75〜S77におけるインデックス画像生成部32は、無彩色統合手段として機能する。
【0227】
S76又はS77の処理終了後、インデックス画像生成部32は、変数kが減少数D2 以上であるか否かを判定する(S78)。
k<D2 の場合(S78でNO)、インデックス画像生成部32は、変数kをインクリメントし(S79)、処理をS74へ戻す。
k≧D2 の場合(S78でYES)、インデックス画像生成部32は、無彩色統合処理を終了して、処理を元のルーチンへ戻す。
【0228】
次に、背景レイヤについて説明する。
図5(b)には、図3に示す1枚のカラー画像の画像データと、図4に示す1枚の前景マスク(又は図5(b)に示す1枚の前景レイヤ)とに基づいて生成される1枚の背景レイヤが例示されている。
背景レイヤは、背景を、カラー画像において背景が有する色で示し、前景を、背景が有する色で示している。更に詳細には、背景レイヤは、カラー画像の前景の色を、前景の近傍に位置する背景の色で置き換え(いわゆる穴埋め)してなる。
【0229】
図5(b)に示す背景レイヤの場合、水色、赤色、紫色、及び青色で示される「TEST」という単語が、緑色のべた塗り領域と同じ緑色で示されて、緑色のべた塗り領域と区別ができなくなっている。また、黒色で示される「これはテスト画像です。」という一文が記されていた部分は、白色地になっている。
【0230】
更に詳細には、図2に示す背景レイヤ生成部33は、前景マスク(又は前景レイヤ)を参照して、カラー画像の画像データにおける各画素が前景であるか背景であるかを判定し、前景の画素を、この画素の近傍に位置する背景の画素の画素値で穴埋めする。前景の画素の近傍に背景の画素が存在しない場合、即ち前景の画素の近傍に前景の画素しか存在しない場合、背景レイヤ生成部33は、前景の画素を、既に穴埋めされた前景の画素の画素値で穴埋めする。なお、背景レイヤ生成部33は、既に穴埋めされた1個の画素の画素値ではなく、既に穴埋めされた複数の画素の画素値の平均値で前景の画素を穴埋めする構成でもよい。
【0231】
ここで、背景の画素とは、前景マスク中で背景を示す画素値(本実施の形態では画素値“1”)を有する画素であり、前景の画素とは、前景マスク中で前景を示す画素値(本実施の形態では画素値“0”)を有する画素である。なお、前景レイヤでは、背景の画素とは背景識別子(本実施の形態では識別子“0”)を有する画素であり、前景の画素とは、前景識別子(本実施の形態では識別子“0”以外の識別子)を有する画素である。
【0232】
このようにして生成された背景レイヤに対し、背景レイヤ生成部33は、従来の背景レイヤに施すような各種の画像処理(例えば背景レイヤの解像度を半分に低解像度化する低解像度化処理)を施す。
次いで、背景レイヤ生成部33は、生成した背景レイヤと前景レイヤ及びICテーブルとを、2値画像生成部34へ出力する。
【0233】
2値画像生成部34は、背景レイヤ生成部33から入力された前景レイヤ及びICテーブルに基づき、前景レイヤに含まれる前景識別子夫々について2値画像を生成する。更に詳細には、2値画像生成部34は、特定の前景識別子を有する画素の画素値を“1”とし、他の画素の画素値を“0”とした1枚の2値画像を生成することを、N種類又はM種類の前景識別子夫々について繰り返し実行する。この結果、前景識別子の種類数N又は種類数Mに対応するN枚又はM枚の2値画像が生成される。
次いで、2値画像生成部34は、生成したN枚又はM枚の2値画像、背景レイヤ及びICテーブルを画像圧縮部35へ出力する。
【0234】
画像圧縮部35は、2値画像生成部34から入力されたN枚又はM枚の2値画像、背景レイヤ及びICテーブルを圧縮して一つにまとめることによって、圧縮ファイルを生成し、記憶部30又は送信装置14へ出力する。
する。この場合、各2値画像及びICテーブルはMMR等の可逆圧縮技術を用いて夫々圧縮され、背景レイヤはJPEG等の非可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
なお、画像圧縮部35は、ICテーブルそのものを圧縮せず、ICテーブルの内の必要十分なデータ(少なくとも、各2値画像に対応する色情報)のみを取り出して圧縮し、不要なデータ(例えばアドレス及び画素数等)は破棄してもよい。
【0235】
また、画像圧縮部35は、2値画像そのものを圧縮せず、2値画像の内の必要十分な部分(具体的には、特定の前景識別子についてICテーブルに記録されている最小X座標値、最小Y座標値、最大X座標値及び最大Y座標値で画素の範囲が限定された矩形領域)のみを切り出して圧縮してもよい。
更に、画像圧縮部35は、操作パネル12で受け付けた所定の指示に従って、データの圧縮形式を変更する機能を備えた構成であってもよい。
更にまた、画像圧縮部35が矩形領域を切り出すのではなく、2値画像生成部34が矩形領域を切り出す構成でもよい。
【0236】
また、背景レイヤ生成部33の前段に、2値画像生成部34が配されていてもよい。更に、背景レイヤ生成部33での処理と2値画像生成部34での処理とが同時的に実行される構成でもよい。前景マスクに基づいて背景レイヤを生成する場合は、インデックス画像生成部32での処理と背景レイヤ生成部33での処理とが同時的に実行される構成でもよい。
【0237】
以上のような画像形成装置1は、圧縮処理部3で各種の画像処理を実行することによって、圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制しつつ、圧縮後のファイルサイズを十分に小さくすることができる。
【0238】
実施の形態 2.
実施の形態1では、本発明の実施の形態に係る画像圧縮装置が画像形成装置の一部をなす形態を示したが、本実施の形態においては、本発明の実施の形態に係る画像圧縮装置がスキャナ装置の一部をなす形態を例示する。ただし、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0239】
図22は、本発明の実施の形態2に係る画像圧縮装置を含むスキャナ装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
スキャナ装置は、画像処理装置6を備え、画像処理装置6の入力側にはカラー画像入力装置11が接続されており、画像処理装置6の出力側には、図示しない通信ケーブル又は通信ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)又はデジタル複合機等の図示しないホスト装置が接続されている。
カラー画像入力装置11及び画像処理装置6には、操作パネル12が接続されている。
【0240】
画像処理装置6は、カラー画像入力装置11から入力されたRGBのアナログ信号に対して、A/D変換部20、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、及び入力階調補正部23にて実施の形態1と同様の画像処理を実行し、領域分離処理部64にて後述する画像処理を実行し、圧縮処理部3にて実施の形態1と同様の画像処理を実行する。次いで、画像処理装置6は、生成した圧縮ファイルを前記ホスト装置へ送信する。
領域分離処理部64は、実施の形態1の領域分離処理部24と同様の画像処理を行なうが、各種信号及びデータの出力先は圧縮処理部3のみである。
【0241】
前記ホスト装置は、画像処理装置6から受信した圧縮ファイルの記憶、圧縮ファイルの外部への送信、又は圧縮ファイルを伸張してなるカラー画像の画像データに基づいた画像出力等の処理を実行する。
以上のようなスキャナ装置は、実施の形態1の画像形成装置1と同様の効果を奏する。
【0242】
実施の形態 3.
本実施の形態では、汎用のコンピュータを用いて本発明の実施の形態に係る画像圧縮装置を実現した形態を例示する。
図23は、本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置7の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る画像圧縮装置7は、汎用コンピュータ(例えばPC)を用いて構成されており、各種演算を行なうCPU71と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM72と、本発明の実施の形態に係る記録媒体8から情報を読み取るドライブ部73と、記憶部74とを備えている。例えば、記録媒体8は光ディスクであり、ドライブ部73はCD−ROMドライブであり、記憶部74はハードディスクを用いてなる。
【0243】
CPU71は、記録媒体8から本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラム81をドライブ部73に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム81を記憶部74に記憶させる。
また、画像圧縮装置7は、入力部75と表示部76とを備えている。入力部75は、ユーザが操作することによって各種の情報(例えば処理指示)が入力されるキーボード又はポインティングデバイス等であり、表示部76は、例えば各種の情報を表示する液晶ディスプレイを用いてなる。
【0244】
更に、画像圧縮装置7は、図示しない外部の通信ネットワークに接続可能な送信部77と、外部の画像読取装置82に接続された受信部78とを備えている。
CPU71は、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法によって、送信部77を介し、外部へデータを送信する。
画像読取装置82は、スキャナ装置又はデジタル複合機等であり、原稿を光学的に読み取ってカラー画像の画像データを生成し、生成したカラー画像の画像データを画像圧縮装置7へ送信する。
画像圧縮装置7の受信部78は、画像読取装置82から送信された画像データを受信する。
【0245】
CPU71は、コンピュータプログラム81をRAM72にロードし、ロードしたコンピュータプログラム81に従って、本発明の実施の形態に係る画像圧縮方法に係るカラー画像圧縮処理を実行する。
図24は、本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置7で実行されるカラー画像圧縮処理の手順を示すフローチャートである。カラー画像圧縮処理は、受信部78がカラー画像の画像データを受信した場合に実行される。
CPU71は、実施の形態1における前景マスク生成部31で実行される処理と同様の前景マスク生成処理を実行し(S91)、実施の形態1におけるインデックス画像生成部32で実行される処理と同様のインデックス画像生成処理を実行する(S92)。
【0246】
次いで、CPU71は、実施の形態1における背景レイヤ生成部33で実行される処理と同様の背景レイヤ生成処理を実行し(S93)、実施の形態1における2値画像生成部34で実行される処理と同様の2値画像生成処理を実行し(S94)、最後に、実施の形態1における画像圧縮部35で実行される処理と同様の画像圧縮処理を実行して(S95)、カラー画像圧縮処理を終了する。なお、コンピュータプログラム81は、S93の処理を実行する前にS94の処理が実行される構成でもよい。
【0247】
CPU71は、カラー画像圧縮処理を実行することによって生成した圧縮ファイルを、記憶部74に記憶させるか、送信部77に与える。また、CPU71は、生成した圧縮ファイル、又は記憶部74から読み出した圧縮ファイルを、送信部77を介して外部へ送信する。
以上のような画像圧縮装置7は、実施の形態1の画像形成装置1と同様の効果を奏する。
【0248】
なお、本発明のコンピュータプログラムを記録してある本発明の記録媒体は、磁気テープ、磁気ディスク、可搬型のハードディスク、CD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスク、又はICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード型記録媒体のいずれの形態であってもよい。また、本発明の記録媒体は、画像圧縮装置7に装着され、記録媒体の記録内容をCPU71が読み出すことが可能な半導体メモリ、即ちマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等であってもよい。
【0249】
更に、本発明のコンピュータプログラムは、インターネット又はLAN等の通信ネットワークを介して画像圧縮装置7に接続された図示しない外部のサーバ装置から画像圧縮装置7へダウンロードされて記憶部74に記憶される形態であってもよい。この形態の場合は、コンピュータプログラムをダウンロードするために必要なプログラムは、予め記憶部74に記憶されてあるか、又は所定の記録媒体からドライブ部73を用いて読み出されて記憶部74に記憶され、必要に応じてRAM72にロードされるものであればよい。
【符号の説明】
【0250】
1 画像形成装置
13 カラー画像出力装置(画像形成手段)
3 圧縮処理部(画像圧縮装置)
31 前景マスク生成部(前景マスク生成手段)
32 インデックス画像生成部(前景レイヤ生成手段、テーブル生成手段、減少判定手段、彩色分類手段、種類数決定手段、種類数減少手段、前景レイヤ修正手段)
33 背景レイヤ生成部(背景生成手段)
34 2値画像生成部(2値画像生成手段)
35 画像圧縮部(2値画像圧縮手段、背景画像圧縮手段)
7 画像圧縮装置
71 CPU(各種生成手段、減少判定手段、彩色分類手段、種類数決定手段、種類数減少手段、前景レイヤ修正手段、各種圧縮手段)
8 記録媒体
81 コンピュータプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素で構成されたカラー画像を圧縮する画像圧縮方法において、
前記カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素が有する色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子を含む前景レイヤから、夫々が特定の前景識別子に対応するM(Mは自然数。M<N)枚の2値画像を生成して圧縮すべく、
有彩色の色情報を識別するn1 (n1 は整数。n1 ≧0)種類の前景識別子を、m1 (m1 は整数。0≦m1 ≦n1 )種類に減少又は維持し、
無彩色の色情報を識別するn2 (n2 は整数。n2 ≧0。N=n1 +n2 )種類の前景識別子を、m2 (m2 は整数。0≦m2 ≦n2 。m1 +m2 =M)種類に減少又は維持することを特徴とする画像圧縮方法。
【請求項2】
前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素を示す前景マスクを生成し、
生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に係る色情報を識別するN種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成し、
前記前景に係る色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、前記前景レイヤを構成する画素の内、前記前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成し、
生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定し、
減少させると判定した場合に、前記テーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色に分類し、
分類した有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 、及び分類した無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 を維持又は減少させるべく、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 夫々を決定し、
前記テーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、種類数m1 ,m2 に維持又は減少させることによって、前記テーブルに記憶されている前景識別子の種類数をM種類に減少させ、
種類数を減少させる前の前景識別子と種類数を減少させた後の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤを、該前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数が減少された前景レイヤに修正し、
修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成し、
生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮し、
前記前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成し、
生成した背景レイヤを非可逆圧縮することを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮方法。
【請求項3】
複数の画素で構成されたカラー画像を圧縮する画像圧縮装置において、
前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成する前景マスク生成手段と、
該前景マスク生成手段が生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に係る色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手段と、
前記前景に係る色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを構成する画素の内、前記前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成するテーブル生成手段と、
該テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定する減少判定手段と、
該減少判定手段が減少させると判定した場合に、前記テーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色に分類する彩色分類手段と、
該彩色分類手段が分類した有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 、及び前記彩色分類手段が分類した無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 (n1 ,n2 夫々は整数。n1 ≧0。n2 ≧0。N=n1 +n2 )を維持又は減少させるべく、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 (m1 ,m2 夫々は整数。0≦m1 ≦n1 。0≦m2 ≦n2 。0<m1 +m2 <N)夫々を決定する種類数決定手段と、
前記テーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、前記種類数決定手段が決定した種類数m1 ,m2 に維持又は減少させることによって、前記テーブルに記憶されている前景識別子の種類数をM(Mは自然数。M=m1 +m2 )種類に減少させる種類数減少手段と、
前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを、前記種類数減少手段が種類数を減少させた後の前景識別子を含む前景レイヤに修正する前景レイヤ修正手段と、
該前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成する2値画像生成手段と、
該2値画像生成手段が生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮する2値画像圧縮手段と、
前記前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤ又は前記前景マスク生成手段が生成した前景マスク、及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する背景生成手段と、
前記背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する背景画像圧縮手段と
を備えることを特徴とする画像圧縮装置。
【請求項4】
前記種類数減少手段は、n1 ≧3且つn1 >m1 ≧2である場合、
前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている有彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報に基づいて、各2種類の色情報が示す色同士の色差を総当りで夫々演算する色差演算手段と、
該色差演算手段が求めた色差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する有彩色組合手段と、
前記テーブルを参照して、前記有彩色組合手段が求めた前景識別子を有する画素夫々の画素数を比較し、各画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合し、各画素数が異なる場合は、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合する有彩色統合手段と
を有し、
前記有彩色統合手段による統合の結果、有彩色に係る前景識別子の種類数が種類数m1 に等しくなるまで、統合によって無効になった前景識別子を除いて、前記有彩色組合手段による演算及び前記有彩色統合手段による統合を繰り返し実行するようにしてあり、
前記前景レイヤ修正手段は、前記種類数減少手段が種類数を減少させる前のn1 種類の前景識別子と、前記種類数減少手段が種類数を減少させた後のm1 種類の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる統合前の前景識別子を、統合後の前景識別子で置き換えるようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の画像圧縮装置。
【請求項5】
前記種類数減少手段は、前記有彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報が示す色の視感度に応じた係数を求める有彩色係数演算手段を更に有し、
前記色差演算手段は、前記色同士の色差に、前記有彩色係数演算手段が求めた係数を乗じてなる色差を演算するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の画像圧縮装置。
【請求項6】
前記種類数減少手段は、n2 ≧3且つn2 >m2 ≧2である場合、
前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている無彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報に基づいて、各2種類の色情報が示す色同士の輝度差を総当りで夫々演算する輝度差演算手段と、
該輝度差演算手段が求めた輝度差が最も小さい前景識別子の組み合わせを演算する無彩色組合手段と、
前記テーブルを参照して、前記無彩色組合手段が求めた前景識別子を有する画素夫々の画素数を比較し、各画素数が等しい場合は、一方の前景識別子を他方の前景識別子に統合し、各画素数が異なる場合は、画素数が少ない方の前景識別子を、画素数が多い方の前景識別子に統合する無彩色統合手段と
を有し、
前記無彩色統合手段による統合の結果、無彩色に係る前景識別子の種類数が種類数m2 に等しくなるまで、統合によって無効になった前景識別子を除いて、前記無彩色組合手段による演算及び前記無彩色統合手段による統合を繰り返し実行するようにしてあり、
前記前景レイヤ修正手段は、前記種類数減少手段が種類数を減少させる前のn2 種類の前景識別子と、前記種類数減少手段が種類数を減少させた後のm2 種類の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる統合前の前景識別子を、統合後の前景識別子で置き換えるようにしてあることを特徴とする請求項3から5のいずれかひとつに記載の画像圧縮装置。
【請求項7】
前記種類数減少手段は、前記無彩色に係る前景識別子夫々に関連付けられた色情報が示す色の視感度に応じた係数を求める無彩色係数演算手段を更に有し、
前記輝度差演算手段は、前記色同士の輝度差に、前記無彩色係数演算手段が求めた係数を乗じてなる輝度差を演算するようにしてあることを特徴とする請求項6に記載の画像圧縮装置。
【請求項8】
前記減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定の種類数P(Pは自然数)より多い場合に、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあることを特徴とする請求項3から7のいずれかひとつに記載の画像圧縮装置。
【請求項9】
P=Mであり、
前記種類数決定手段は、種類数Nに対する種類数n1 の割合と、種類数Mに対する種類数m1 の割合とが略一致し、種類数Nに対する種類数n2 の割合と、種類数Mに対する種類数m2 の割合とが略一致するよう種類数m1 ,m2 夫々を決定するようにしてあることを特徴とする請求項8に記載の画像圧縮装置。
【請求項10】
前記種類数決定手段は、有彩色同士よりも無彩色同士を優先的に統合すべく、種類数m1 を決定する場合に、m1 =M×n1 /Nの演算を、小数点以下の端数を切り上げて行なうか、又は、種類数m2 を決定する場合に、m2 =M×n2 /Nの演算を、小数点以下の端数を切り上げて行なうようにしてあることを特徴とする請求項9に記載の画像圧縮装置。
【請求項11】
前記種類数決定手段は、
種類数n1 を所定の種類数Q1 (Q1 は自然数。2≦Q1 <M)と比較する第1比較手段と、
種類数n2 を所定の種類数Q2 (Q2 は自然数。2≦Q2 <M。Q1 +Q2 ≦M)と比較する第2比較手段と
を有し、
前記第1比較手段による比較結果がn1 >Q1 である場合はm1 ≧Q1 となり、n1 ≦Q1 である場合はm1 =n1 となり、
前記第2比較手段による比較結果がn2 >Q2 である場合はm2 ≧Q2 となり、n2 ≦Q2 である場合はm2 =n2 となるよう、
種類数m1 ,m2 を決定するようにしてあることを特徴とする請求項3から10のいずれかひとつに記載の画像圧縮装置。
【請求項12】
請求項3から11のいずれかひとつに記載の画像圧縮装置と、
記録シート上に画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
コンピュータに、複数の画素で構成されたカラー画像を圧縮させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成させる前景マスク生成ステップと、
コンピュータに、前記前景マスク生成ステップで生成された前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に係る色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成させる前景レイヤ生成ステップと、
コンピュータに、前記前景に係る色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、前記前景レイヤ生成ステップで生成された前景レイヤを構成する画素の内、前記前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成させるテーブル生成ステップと、
コンピュータに、前記テーブル生成ステップで生成されたテーブルに記憶されている前景識別子の種類数を、N種類未満に減少させるか否かを判定させる減少判定ステップと、
コンピュータに、前記減少判定ステップで減少させると判定された場合に、前記テーブルに記憶されている色情報を有彩色及び無彩色に分類させる彩色分類ステップと、
コンピュータに、前記彩色分類ステップで分類された有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 、及び前記彩色分類ステップで分類された無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数n2 (n1 ,n2 夫々は整数。n1 ≧0。n2 ≧0。N=n1 +n2 )を維持又は減少させるべく、有彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m1 及び無彩色の色情報を識別する前景識別子の種類数m2 (m1 ,m2 夫々は整数。0≦m1 ≦n1 。0≦m2 ≦n2 。0<m1 +m2 <N)夫々を決定させる種類数決定ステップと、
コンピュータに、前記テーブルに記憶されている有彩色及び無彩色夫々の色情報を識別する前景識別子の種類数n1 ,n2 を、前記種類数決定ステップで決定された種類数m1 ,m2 に維持又は減少させることによって、前記テーブルに記憶されている前景識別子の種類数をM(Mは自然数。M=m1 +m2 )種類に減少させる種類数減少ステップと、
コンピュータに、前記種類数減少ステップで種類数を減少させる前の前景識別子と前記種類数減少ステップで種類数を減少させた後の前景識別子との関係に応じて、前記前景レイヤ生成ステップで生成された前景レイヤを、該前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数が減少された前景レイヤに修正させる前景レイヤ修正ステップと、
コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成させる2値画像生成ステップと、
コンピュータに、前記2値画像生成ステップで生成されたM枚の2値画像夫々を可逆圧縮させる2値画像圧縮ステップと、
コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成させる背景生成ステップと、
コンピュータに、前記背景生成ステップで生成された背景レイヤを非可逆圧縮させる背景画像圧縮ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−171735(P2010−171735A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12337(P2009−12337)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】