説明

画像形成システム及びその排紙処理装置状態判断方法

【課題】機械的な排紙処理装置接続検知部なしに、排紙処理装置の有無と故障の判断(排紙処理装置状態判断)が可能で、小型化及びコストダウンを図ることができる画像形成システム及びその排紙処理装置状態判断方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置10の画像形成装置制御部11は、排紙処理装置20との通信不能時に、画像形成システムが異常状態にあるか否かを確認し、画像形成システムが異常状態でないことが確認されると、ユーザに対する取り外し確認表示を行う。また、取り外し確認表示に対するユーザの入力に基づいて、排紙処理装置20が取り外されているか排紙処置装置20が故障しているかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と排紙処理装置が接続される画像形成システム及びその排紙処理装置状態判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来例に係る画像形成システムの構成を概略的に示す図である。
【0003】
図8において、画像形成システムは、画像形成装置100と、画像形成装置100の排紙部に設置される排紙処理装置110とから構成される。
【0004】
画像形成装置100は、画像形成システム全体を制御する画像形成装置制御部101、画像形成装置システム全体に関わる状態を表示し、また指示を行うための操作表示部102、排紙処理装置110に向けて用紙を搬送する紙搬送路103を備える。
【0005】
排紙処理装置110は、画像形成された複数の用紙の整合を行い、また、ステイプル、パンチ、折り曲げなどの仕上げ処理を行う。
【0006】
排紙処理装置110は、排紙処理装置110を制御する排紙処理装置制御部111、仕上げとしてステイプルを行うステイプラ112を備える。
【0007】
また画像形成システムは、画像形成装置制御部101と排紙処理装置制御部111との間で通信を行う通信路120、画像形成装置100と排紙処理装置110が接続されているかどうかを検知する排紙処理装置接続検知部130を備える。
【0008】
画像形成装置制御部101は通信路120を介し、排紙処理装置制御部111に対して、ステイプルなどの動作モード指示や、紙を受け渡すためのタイミングその他のシーケンス処理を行う。
【0009】
また、排紙処理装置接続検知部130からの検知信号により、画像形成装置制御部101は排紙処理装置110が、排紙処理装置制御部111は画像形成装置100が接続されているかどうかを判断している。排紙処理装置接続検知部130は、例えばドロアコネクタで構成され、排紙処理装置110を装着することで導通する信号線を用いる。
【0010】
このような構成において、例えば紙詰まりを取り除く(ジャム処理)ために、一時的に排紙処理装置110を画像形成装置100から切り離さなければならないことがある。その場合、上記排紙処理装置接続検知部130により排紙処理装置110が機械的に切り離されたことを検知することができる。
【0011】
また、排紙処理装置制御部111と画像形成装置制御部101とが機械的に切り離されていても、排紙処理装置制御部111と画像形成装置制御部101は通信路(ケーブル)120により電気的に接続されている。従って、この場合でも画像形成装置制御部101は排紙処理装置制御部111との通信も継続可能である。
【0012】
図9は、図8の画像形成システムによって実行される通信不能時の対応処理の手順を示すフローチャートである。
【0013】
図9のフローチャートは、画像形成システムが排紙処理装置接続検知部130を持つ場合に、画像形成装置制御部101と排紙処理装置制御部111の間で通信が正常に行われなくなった時の例である。
【0014】
図9において、まず、画像形成装置制御部101は、排紙処理装置接続検知部130により排紙処理装置が接続されているかどうかを確認する(ステップS101)。排紙処理装置110が接続されていない場合は特に何もせずにこの処理を終了する。
【0015】
排紙処理装置110が接続されている場合は、画像形成装置制御部101は、排紙処理装置故障を伝えるメッセージを操作表示部102に表示し(ステップS102)、画像形成システムの動作を停止して(ステップS103)、この処理を終了する。
【0016】
図10は、図8における排紙処理装置接続検知部を持たない場合の画像形成システムによって実行される通信不能時の対応処理の手順を示すフローチャートである。
【0017】
排紙処理装置110の取り外しができない画像形成システムや、操作者がスイッチなどで排紙処理装置有無を設定する画像形成システムの場合に、排紙処理装置接続検知部130は不要となる。
【0018】
図10において、画像形成装置制御部101は排紙処理装置制御部111と通信ができない場合は、故障と判断し排紙処理装置故障を伝えるメッセージを操作表示部102に表示し(ステップS201)、画像形成システムの動作を停止して(ステップS202)、この処理を終了する。
【0019】
尚、画像形成装置と排紙処理装置間の通信に関連して、特許文献1、2の技術がある。
【特許文献1】特開2000−211805号公報
【特許文献2】特開2001−134031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ここで、装置の小型化やコストダウンを図ろうとすると、排紙処理装置制御部と画像形成装置制御部間の通信のためのケーブルを廃し、ドロア接続にしたり、電磁波による無線通信にすることが考えられる。
【0021】
しかし、排紙処理装置制御部と画像形成装置制御部間の通信のためのケーブルを設けない場合、ジャム処理などのメンテナンスのために一時的に排紙処理装置を取り外すと、その間通信ができなくなる。この通信できない状態は、排紙処理装置と画像形成装置の機械的接続検知のための排紙処理装置接続検知部によって排紙処理装置の取り外しを検知しない限り、故障によるものなのか、メンテナンスによるものなのか区別ができなくなる。
【0022】
本発明の目的は、機械的な排紙処理装置接続検知部なしに、排紙処理装置の有無と故障の判断(排紙処理装置状態判断)が可能で、小型化及びコストダウンを図ることができる画像形成システム及びその排紙処理装置状態判断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成システムは、画像形成装置に対して取り外し可能な排紙処理装置が接続される画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記排紙処理装置との通信不能時に、前記画像形成システムが異常状態にあるか否かを確認する状態確認手段と、前記状態確認手段により、前記画像形成システムが異常状態でないことが確認されると、ユーザに対する取り外し確認表示を行う取り外し確認表示手段と、前記取り外し確認表示手段の表示に対するユーザの入力に基づいて、前記排紙処理装置が取り外されているか前記排紙処置装置が故障しているかを判別する判別手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の画像形成システムの排紙処理装置状態判断方法は、画像形成装置に対して取り外し可能な排紙処理装置が接続されるにおいて、前記画像形成装置は、前記排紙処理装置との通信不能時に、前記画像形成システムが異常状態にあるか否かを確認する状態確認ステップと、前記状態確認ステップにより、前記画像形成システムが異常状態でないことが確認されると、ユーザに対する取り外し確認表示を行う取り外し確認表示ステップと、前記取り外し確認表示ステップの表示に対するユーザの入力に基づいて、前記排紙処理装置が取り外されているか前記排紙処置装置が故障しているかを判別する判別ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像形成システムにおいて、画像形成装置は、排紙処理装置との通信不能時に、画像形成システムが異常状態にあるか否かを確認する状態確認手段を備える。また、画像形成装置は、状態確認手段により、画像形成システムが異常状態でないことが確認されると、ユーザに対する取り外し確認表示を行う取り外し確認表示手段を備える。また、画像形成装置は、取り外し確認表示手段の表示に対するユーザの入力に基づいて、排紙処理装置が取り外されているか排紙処置装置が故障しているかを判別する判別手段を備える。このように、ユーザは、取り外し確認表示により排紙処理装置状態を判断することができる。従って、機械的な排紙処理装置接続検知部なしに、排紙処理装置の有無と故障の判断が可能で、小型化及びコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を概略的に示す図である。
【0028】
図1において、画像形成システムは、画像形成装置10と、画像形成装置10の排紙部に設置される排紙処理装置20とから構成される。
【0029】
画像形成装置10は、画像形成システム全体を制御する画像形成装置制御部11、画像形成装置システム全体に関わる状態を表示し、また指示を行うための操作表示部12、排紙処理装置20に向けて用紙を搬送する紙搬送路13及び不揮発性メモリ14を備える。
【0030】
排紙処理装置20は、画像形成された複数の用紙の整合を行い、また、ステイプル、パンチ、折り曲げなどの仕上げ処理を行う。
【0031】
本実施の形態の排紙処理装置20は、排紙処理装置20を制御する排紙処理装置制御部21、仕上げとしてステイプルを行うステイプラ22を備える。
【0032】
また画像形成システムは、画像形成装置制御部11と排紙処理装置制御部21との間で通信を行う通信部30を備える。この、通信部30は画像形成装置10と排紙処理装置20との間に通信用のケーブルを有しておらず、排紙処理装置20を画像形成装置10から取り外すと、通信部30の接続が解除されて通信が不能となる。
【0033】
画像形成装置制御部11は、通信部30を介し、排紙処理装置制御部21に対して、ステイプルなどの動作モード指示や、紙を受け渡すためのタイミングその他のシーケンス処理を行う。
【0034】
排紙処理装置20は画像形成装置10に対して取り外し可能であり、画像形成装置10は排紙処理装置20の有無に関わらず動作可能である。排紙処理装置20を取り外して画像形成装置10を使用する状況としては、排紙処理装置20が故障した場合、排紙処理装置20を複数の画像形成装置10で使い回す場合、ジャム紙除去を行うなど画像形成システムのメンテナンスを行う場合などが考えられる。
【0035】
図2は、図1の画像形成システムによって実行される排紙処理装置状態判断処理の手順を示すフローチャートである。
【0036】
本処理は、図1における画像形成装置制御部11によって実行される。
【0037】
図2において、まず、制御部11は通信不能を検知すると、現在の画像形成システムの状態、例えば排紙処理装置20を取り外す必要のある用紙のジャム処理中であるかどうかを確認する(ステップS11)(状態確認手段)。この確認を行う理由は、通信不能状態として、排紙処理装置20が取り外された場合と、排紙処理装置が故障した場合とが考えられるからである。具体的は、画像形成装置10の搬送路13(排出口を含む)での用紙ジャムや、排紙処理装置20の入り口付近での用紙ジャムなどである。
【0038】
現在ジャム処理中である場合は、ユーザがジャム処理のために排紙処理装置20を取り外している可能性が高い。従って、制御部11はジャム処理のために排紙処理装置20が一時的に取り外されたことにより通信不能であると判断し、その旨のメッセージを操作表示部12に表示する(ステップS12)。例えば、図3に示すように「紙詰まりを取り除いて排紙処理装置を取り付けてください」といったメッセージである。
【0039】
現在ジャム処理中などではないときは、制御部11にとって、ユーザが排紙処理装置20を故意に取り外したのか排紙処理装置20の故障かの区別がつかない。従って制御部11は、ユーザが排紙処理装置20を故意に取り外したのかどうかを確認するための表示を操作表示部12に行い(ステップS13)(判別手段)、ユーザの操作を待つ(ステップS14)。
【0040】
ステップS13の表示例を図4に示す。表示は操作表示部12の性能に依存するものであり、必ずしもこの通りでなくてはいけないわけではない。場合によってはホストコンピュータなどを操作表示部として使用しても良い。
【0041】
図4に示す画面で「いいえ」が入力された時(ステップS15でNO)(判別手段)、すなわちユーザが排紙処理装置20を取り外していない時には排紙処理装置20の通信トラブルが考えられるので、制御部11はその旨を操作表示部2に表示する(ステップS16)。
【0042】
図4に示す画面で「はい」が入力された時は(ステップS15でYES)(判別手段)、制御部11は、排紙処理装置非接続モードへ移行する旨の表示を操作表示部12に行う(ステップS17)。
【0043】
そして、制御部11は、不揮発性メモリ14に排紙処理装置無しモードであることを示すデータを記憶することにより(ステップS18)、排紙処理装置なしモードへ移行し(ステップS19)、処理を終了する。
【0044】
ここでは、例としてステップS11の処理において、用紙のジャム処理中かどうかの判断を行ったが、ジャム処理以外にも、排紙処理装置20を一時的に取り外すような場合も判断に加えることになる。
【0045】
例えばトナー補給を行う時に排紙処理装置20を一時的に取り外す必要があるときには、図5に示すような表示を行う。
【0046】
このようにして、排紙処理装置との通信不能という1つの現象に対し、状況に応じて適切な判断処理を行うことができる。また、この例の場合には不揮発性メモリ14に記憶している排紙処理装置20の状況が排紙処理装置有りモードであることが前提であったが、その判断は適宜行えばよいのは言うまでもない。
【0047】
図6は、図1の画像形成システムによって実行される通信開始/復帰処理の手順を示すフローチャートである。
【0048】
本処理は、それまで不能であった排紙処理装置制御部21との間の通信が可能になった時に、画像形成装置制御部11が行う。
【0049】
図6において、制御部11は、不揮発性メモリ14に排紙処理装置有りモードであることを示すデータを記憶することにより(ステップS21)、排紙処理装置有りモードへ移行する(ステップS22)。そして、排紙処理装置20が使用可能になったことを示す表示を操作表示部12に行う(ステップS23)。
【0050】
図7は、図1の画像形成システムによって実行されるイニシャル処理の手順を示すフローチャートである。
【0051】
具体的には、例えば電源オン時のような、画像形成装置制御部11のイニシャル時における処理である。
【0052】
図7において、まず、画像形成装置制御部11は不揮発性メモリ14に記憶されているデータに基づいて排紙処理装置有りモードか無しモードかを確認する(ステップS31)。
【0053】
ここでもともと排紙処理装置有りモードであり、排紙処理装置20との通信が可能であれば(ステップS32でYES)、そのまま排紙処理装置有りモードで動作してこの処理を終了する。
【0054】
排紙処理装置20との通信が不能である時は(S32でNO)、図2のフローチャートに従って通信不能時の処理を行い、排紙処理装置無しモードで動作する(ステップS33)。
【0055】
ステップS31の確認処理で排紙処理装置無しモードであった場合は、制御部11は排紙処理装置20との通信を確認する(ステップS34)。排紙処理装置20との通信が可能である場合には、図6に示すフローチャートに従って通信開始時の処理を行い、排紙処理装置有りモードで動作する(ステップS35)。排紙処理装置20との通信が不能である時は、もともと排紙処理装置無しモードであったのでそのまま処理を終了である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像形成システムによって実行される排紙処理装置状態判断処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】図1における操作表示部の表示例を示す図である(その1)。
【図4】図1における操作表示部の表示例を示す図である(その2)。
【図5】図1における操作表示部の表示例を示す図である(その3)。
【図6】図1の画像形成システムによって実行される通信開始/復帰処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の画像形成システムによって実行されるイニシャル処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】従来例に係る画像形成システムの構成を概略的に示す図である。
【図9】図8の画像形成システムによって実行される通信不能時の対応処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図8における排紙処理装置接続検知手段を持たない場合の画像形成システムによって実行される通信不能時の対応処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
10 画像形成装置
11 画像形成装置制御部
12 操作表示部
13 紙搬送路
14 不揮発性メモリ
20 排紙処理装置
21 排紙処理装置制御部
22 ステイプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に対して取り外し可能な排紙処理装置が接続される画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記排紙処理装置との通信不能時に、前記画像形成システムが異常状態にあるか否かを確認する状態確認手段と、
前記状態確認手段により、前記画像形成システムが異常状態でないことが確認されると、ユーザに対する取り外し確認表示を行う取り外し確認表示手段と、
前記取り外し確認表示手段の表示に対するユーザの入力に基づいて、前記排紙処理装置が取り外されているか前記排紙処置装置が故障しているかを判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記判別手段は、前記排紙処理装置が取り外されていないことの入力がなされた場合に、前記排紙処理装置が故障していると判別することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記異常状態は、前記画像形成装置における用紙ジャム状態或いはトナーなし状態を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成システム。
【請求項4】
画像形成装置に対して取り外し可能な排紙処理装置が接続される画像形成システムの排紙処理装置状態判断方法において、
前記画像形成装置は、
前記排紙処理装置との通信不能時に、前記画像形成システムが異常状態にあるか否かを確認する状態確認ステップと、
前記状態確認ステップにより、前記画像形成システムが異常状態でないことが確認されると、ユーザに対する取り外し確認表示を行う取り外し確認表示ステップと、
前記取り外し確認表示ステップの表示に対するユーザの入力に基づいて、前記排紙処理装置が取り外されているか前記排紙処置装置が故障しているかを判別する判別ステップと、
を備えることを特徴とする画像形成システムの排紙処理装置状態判断方法。
【請求項5】
前記判別ステップは、前記排紙処理装置が取り外されていないことの入力がなされた場合に、前記排紙処理装置が故障していると判別することを特徴とする請求項4記載の画像形成システムの排紙処理装置状態判断方法。
【請求項6】
前記異常状態は、前記画像形成装置における用紙ジャム状態或いはトナーなし状態を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成システムの排紙処理装置状態判断方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate