説明

画像形成方法および画像形成体

【課題】中間転写フィルムの受像兼接着層に、感熱転写リボンから加熱手段で画像パターンを形成する1次転写と、この画像パターンを被転写体へ転写する2次転写とからなる画像形成方法において、該画像パターンの端部等をシャープに再現せしめるなど所望の画像エリアの選択が可能な画像形成方法および画像形成体の提供にある。
【解決手段】感熱転写リボン15の各色材層(Y、M、C、BK)の領域の後に色材層がない接着転移層40が面順に繰り返し設けられていて、それら4色の色材層からの転移による逆画像パターン12が中間転写フィルム20に形成後、前記接着転移層40に該逆画像パターンの非画像部14を逆転写する画像形成方法及び画像形成体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも支持体の片面に受像層が積層されている中間転写媒体の受像層に、感熱転写媒体から転移された画像データに基づく画像パターンを被転写体へ転写する画像形成方法および画像形成体に関するものであり、特に、その画像パターンの端部のバリ等不必要部分を削除してシャープに再現せしめるなど所望の画像エリアの選択が可能な画像形成方法およびそれにより得られる画像形成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感熱転写記録による画像形成方法おいて、少なくとも支持体の片面に受像層が積層されている中間転写媒体を使用し、その受像層に感熱転写媒体から画像データに基づく画像パターンをサーマルヘッド等で転移(1次転写)し、転移されたその画像パターンを受像層とともにパスポート等被転写体に加熱加圧で転写(2次転写あるいは再転写ともいう)する方法がある。
【0003】
上記方法のように、パスポートや通帳等冊子類または運転免許証、身分証明書等に転写で間接的に画像情報からの画像パターンを施すことは、例えば、その画像パターンを付与したい最終画像表示体に直接に画像を形成することが技術的に困難であるとか、量産性に欠けるとか、あるいはコストが嵩むとかの問題が伴う場合に、上記のような感熱転写媒体から画像情報からの画像パターンを中間転写フィルムにひとまず画像を形成しておき、しかる後に熱ローラや熱圧板による転写によってその画像パターンを最終製品である画像表示体へ再転写するという方法がとられている。
【0004】
上記感熱転写媒体(感熱転写リボンとも言われている)の1事例として、例えば、図10の模式概略図に示すように、ポリエチレンテレフタレート等からなるウエブ状の耐熱性支持体フィルム(15a)と、この上に設けられたシアン、マゼンタ、イエロー、必要に応じブラックの色材が含有している色材層として、シアン層(C)、マゼンタ層(M)、イエロー層およびブラック層(BK)が面順に繰り返してなる感熱転写リボン(15)がある。
【0005】
そして、例えば、図1の側面概略図に示すように、上記の中間転写フィルム(20)をドラム(31)とサーマルヘッド(32)とで、その主要部が構成される画像転写装置(30)へ搬送し、上記図7に示すの感熱転写リボン(15)の各色材層(C、M、Y、BK)を、上記の中間転写フィルム(20)の受像兼接着層(図示せず)に当接させるとともに、この感熱転写リボン(15)側からサーマルヘッド(32)を圧接し、かつ画像情報に基づきサーマルヘッド(32)の発熱素子群を適宜発熱させて画像情報に基づく画像パターンを中間転写フィルム(20)の受像兼接着層に形成する。これを「1次転写」という。
【0006】
続いて、上記画像パターンが転写された中間転写フィルム(20)の画像パターンを、その受像兼接着層とともに転写ロール等の加熱媒体(33)によってパスポート等の被転写体(10)に転写する(これを「2次転写」または「再転写」ともいう)再転写プリンタ(35)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2000−43458号公報(図4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記感熱転写媒体である感熱転写リボン(15)から転移される画像パターンを中間転写フィルム(20)を介して被転写体(10)に再転写する画像形成方法において、例えば、図11(a)の上面図および図11(b)の斜視図に示すように、被転写体(10)のサイズがウエブ状の中間転写フィルム(20)の幅(W)を含め、その転写されるべき1画像エリア(17)より大きい場合、その被転写体(10)に転写される画像パターン(12)の流れ方向(P)の左右両端縁部(12a、12b)がぎざぎざになる、所謂バリが発生してシャープさに欠けるといった問題点があった。なお、図11(a)に示すように、被転写体(10)に転写される画像パターン(12)の流れ方向(P)に対する上下端縁部(12c、12d)は中間転写フィルム(20)に転写されている画像エリア(17)の幅方向両端縁部(20a、20a)に相当するためシャープに再現されている。
【0009】
また、転写される被転写体がウエブ状の中間転写フィルムの幅を含め、その転写されるべき1画像エリアより小さい場合、例えば、図12(b)の上面図に示すように、ヒートローラー等により被転写体(10)上全面に画像パターン(12)が転写されるので、その際の画像パターン(12)が被転写体(10)の周端縁(10a、10b)にぎざぎざのバリの発生が見られたりする問題点があるとともに、さらには、例えば、図12(a)の上面図に示すように、画像パターン(12)の所望の部分(略中央)に非画像部(14)など画像パターンとして不必要な部分を設けること、すなわち被転写体(10)に所望の転写エリアを選択することは困難なことであった。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されてなるウエブ状の中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき、ウエブ状の感熱転写媒体から選択的加熱手段で色材を転移させて画像パターンを形成する1次転写工程と、前記画像パターンが形成された受像層を被転写体へ加熱加圧手段で転写する2次転写工程とからなる画像形成方法において、前記被転写体の幅がウエブ状の中間転写フィルムの幅より大きい場合、その被転写体に転写される画像パターンの流れ方向の両端縁部がバリなどによりシャープ性に欠けるたりすることがなく、また、被転写体がウエブ状の中間転写フィルムより小さい場合でも、被転写体周端縁が転写される画像パターンにバリなどがなく、かつ転写が不必要な非転写部を設けること、すなわち被転写体に所望の転写エリアを選択することができる画像形成方法およびその方法による画像形成体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されてなるウエブ状の中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき選択的加熱手段でウエブ状の感熱転写媒体の色材層から色材を転移させて逆画像パターンを形成する1次転写工程と、前記逆画像パターンが形成された中間転写媒体の受像層ごとを被転写体へ加熱加圧手段で転写して画像パターンを形成する2次転写工程とからなる画像形成方法において、
前記ウエブ状の感熱転写媒体を構成する色材層が単色もしくは多色でなり、前記単色の場合、該単色層の領域と色材層がない空白領域が交互に繰り返し設けられ、前記多色の場合、シアン、マゼンタ、イエローの3色、場合によってブラックを加えた4色層の領域の後に色材層がない空白領域が面順に繰り返し設けられていて、前記色材層からの色材の転移による逆画像パターンの形成後に前記空白領域に該逆画像パターンの不必要部分を選択的加熱手段で逆転写することを特徴とする画像形成方法としたものである。
【0012】
また、請求項2の発明では、前記色材層のない空白領域に接着転移層が施されているこ
とを特徴とする請求項1記載の画像形成方法としたものである。
【0013】
また、請求項3の発明では、前記中間転写媒体の受像層と支持体との間に剥離性保護層が施されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の画像形成方法としたものである。
【0014】
さらにまた、請求項4の発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法により得られた画像形成体としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0016】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されてなるウエブ状の中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき選択的加熱手段でウエブ状の感熱転写媒体の色材層から色材を転移させて逆画像パターンを形成する1次転写工程と、前記逆画像パターンが形成された中間転写媒体の受像層ごとを被転写体へ加熱加圧手段で転写して画像パターンを形成する2次転写工程とからなる画像形成方法において、前記ウエブ状の感熱転写媒体を構成する色材層が単色もしくは多色でなり、前記単色の場合、該単色層の領域と色材層がない空白領域が交互に繰り返し設けられ、前記多色の場合、シアン、マゼンタ、イエローの3色、場合によってブラックを加えた4色層の領域の後に色材層がない空白領域が面順に繰り返し設けられていて、前記色材層からの色材の転移による逆画像パターンの形成後に前記空白領域に該逆画像パターンの不必要部分を選択的加熱手段で逆転写することによって、
被転写体がウエブ状の中間転写フィルムの幅を含め、転写される1画像エリアより大きい場合、その被転写体に転写される画像パターンの流れ方向の両端縁部がぎざぎざになる、所謂バリなどによってシャープ性に欠けていても、その両端縁部のぎざぎざになる(バリの)部分を画像パターンの不必要部分として空白領域に逆転写して取り除かれて、その両端縁部がシャープな画像パターンを得ることができる。
【0017】
また、被転写体がウエブ状の中間転写フィルムの幅を含め、転写される1画像エリアより小さい場合でも、転写を必要としない部分(被転写体の周端縁や中央の非画像部等)を逆転写で容易に取り除くことができる、すなわち被転写体に所望の転写エリアの選択を可能にする画像形成方法とすることができる。
【0018】
また、上記請求項2に係る発明によれば、色材層のない空白領域に接着転移層が施されていることによって、中間転写媒体の受像層に転写されている逆画像パターンの不必要部分が選択的加熱手段で、より接着転移(逆転写)し易くした画像形成方法とすることができる。
【0019】
また、上記請求項3に係る発明によれば、中間転写媒体の受像層と支持体との間に剥離性保護層が施されていることによって、中間転写媒体の受像層に形成された逆画像パターンを被転写体に転写(2次転写)する際に、中間転写媒体の支持体から剥離(転移)し易く、かつ転写された画像パターンが磨耗などから保護されることに加え、この中間転写媒体の受像層に転写されている逆画像パターンの不必要部分を選択的加熱手段により感熱転写媒体の空白領域に逆転写する際に、より接着転移(逆転写)し易いようにすることができる。
【0020】
さらにまた、上記請求項4に係る発明によれば、上記のような画像形成方法によって得られた画像形成体とすることによって、被転写体の幅がウエブ状の中間転写フィルムの幅を含め、転写される1画像エリアより大きい場合であっても転写された端縁部がシャープ
な画像パターンでなり、被転写体がウエブ状の中間転写フィルムより小さい場合でも、被転写体の周端縁にバリなどがなく、かつ所望の転写エリアの選択が可能な画像パターンを有する画像形成体とすることができる。
【0021】
従って本発明は、感熱転写媒体から転移される逆画像パターンを中間転写フィルムを介して被転写体に転写して画像パターンが形成されたパスポートやIDカードとする画像形成方法において、特に、転写される画像パターンの端部をシャープに再現せしめ、所望の転写エリアの選択をも可能にする画像形成方法およびその画像形成体として、優れた実用上の効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の画像形成方法の全体の概要を説明するもので、その装置全体の概略図であり、図2は、本発明の画像形成方法に使用する感熱転写媒体の事例の説明図であり、図3〜図9は、本発明の画像形成方法の1事例を説明する模式図である。
【0024】
本発明は、例えば、図1の側面概略図に示すように、ウエブ状の中間転写媒体としての中間転写フィルム(20)をドラム(31)と選択的加熱手段としてのサーマルヘッド(32)とで画像転写装置(30)へ搬送し、ウエブ状の感熱転写媒体としての感熱転写リボン(15)の色材層(図示せず)を中間転写フィルム(20)の受像層(色材層が転写し易いようにした層とともに、被転写体(10)への転写でその色材層が接着性を有するようにしたもので、以下受像(兼接着)層という)に当接させるとともに、この感熱転写リボン(15)側からサーマルヘッド(32)を圧接して、顔写真等画像データに基づきそのサーマルヘッド(32)の発熱素子群を適宜発熱させ、感熱転写リボン(15)の色材層を中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層に逆画像パターンを転移(1次転写)せしめる。
【0025】
この中間転写フィルム(20)に転移された逆画像パターンを加熱加圧手段としてのヒートロール等加熱媒体(33)により受像(兼接着)層ごと冊子やカード等被転写体(10)に正画像パターンを形成(2次転写)する画像形成方法に関するものであり、その特徴とするところは、1次転写する画像転写装置(30)のところで、その1次転写で得られた中間転写フィルム(20)上の逆画像パターンの不必要部分(例えば、周縁のバリなど)を感熱転写リボン(15)の色材層のない部分に逆転写して中間転写フィルム(20)の逆画像パターンから削除するようにし、被転写体(10)へ転写する所望の転写エリアの選択を可能にする画像形成方法とするものである。
【0026】
上記画像形成方法をさらに詳しく説明すると、本発明の画像形成方法では、例えば、図2(a)の側断面図に示すように、ウエブ状の支持体フィルム(15a)上に、多色の色材層としてシアン層(C)、マゼンタ層(M)、イエロー層(Y)、ブラック層(BK)の後の色材層のない領域に接着転移層(40)が面順に繰り返し設けられている感熱転写リボン(15)を使用する。
【0027】
また、例えば、図2(b)の側断面図に示すように、図2(a)に示す接着転移層(40)の領域を色材層のない空白部、すなわち支持体フィルム(15a)の表面(15b)であっても構わない。また、多色の場合、ブラック層(BK)のない3色の色材層(C、M、Y)であってもよく、さらにこれら3色または4色の順を色材の特性(透明度等)により適宜変えてもよい。
【0028】
さらにまた、色材層が単色の場合も適用され、例えば、図2(c)の側断面図に示すよ
うに、支持体フィルム(15a)上にブラック層(BK)と接着転移層(40)とが面順に繰り返し設けられている感熱転写リボン(15)でもよく、このブラック層(BK)に代え、ブラウン等所望の単色層とすることもできる。
【0029】
以上のような構成の感熱転写リボン(15)を用い、図1に示す画像転写装置(30)で所望の画像パターンを形成する画像形成方法であり、例えば、図3(a)の側断面図に示すように、ウエブ状の基材フィルム(22)の片面に剥離性保護層(23)を介して受像(兼接着)層(24)が施されている中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)面に、ウエブ状の支持体フィルム(15a)の片面に色材層としてのイエロー層(Y)、マゼンタ層(M)、シアン層(C)、ブラック層(BK)および色材層のない接着転移層(40)が面順に繰り返し設けられている感熱転写リボン(15)の色材層の面を当接させる。そしてこの感熱転写リボン(15)側から選択的加熱手段としてのサーマルヘッド(32)を圧設させ、画像データに基づきサーマルヘッド(32)の発熱素子群を適宜発熱させる。
【0030】
このように、サーマルヘッド(32)の適宜発熱により、図4の側面模式図に示すように、色材層としてのイエロー層(Y)を、中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)に転移する。続いて、図5の側面模式図に示すように、感熱転写リボン(15)のマゼンタ層(M)、シアン層(C)、ブラック層(BK)を順に重ね合わせるようにして中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)に転移して4色でなる逆画像パターン(12)を得る。
【0031】
上記で得られた受像(兼接着)層(24)上の4色層(Y、M、C、BK)でなる逆画像パターン(12)の中央に画像パターンとして不必要な部分、すなわち非画像部を設ける際には、例えば、図6の側面模式図に示すように、感熱転写リボン(15)の色材層のない領域に設けられている接着転移層(40)にサーマルヘッド(32)の圧設により、その非画像部に相当する4色層(Y、M、C、BK)でなる画像パターンを受像(兼接着)層(24)と剥離性保護層(23)とともに逆転写して逆画像パターンから除去することによって、中間転写フィルム(20)上の逆画像パターン(12)の略中央に非画像部(14)を形成することができる。
【0032】
このように、画像パターンとして不必要な部分、例えば画像パターンの端縁部がバリの発生でシャープにならない部分を感熱転写リボン(20)に設けられた接着転移層(40)に逆転写することによって、中間転写フィルム(20)上に得られる画像パターンはシャープで、かつ所望の位置に非画像部(14)を得ることができる。
【0033】
この中間転写フィルム(20)上に得られた画像パターンを図7に示すような被転写体(10)にヒートローラー等の加熱圧媒体(図示せず)で全面転写すると、略中央に所望の非画像部(14)を有する画像パターン(12)を得ることができる。
【0034】
その具体的事例として、例えば、図8(a)に示すように、証明書などのように中間転写フィルム(20)に転移された色材層より大きいサイズの被転写体(10)に、両側端縁(エッジ)がシャープな(バリ等のない)画像パターン(12)を得るために、例えば、図8(b)に示すように、中間転写フィルム(20)上の色材層でなる画像パターン(12)となるべき部分の周縁に非画像部(14)が形成されるように、この非画像部(14)に相当する色材層を感熱転写リボンの接着転移層に逆転写して除去し、画像パターン(12)として必要な部分のみ中間転写フィルム(20)上に残すことによって、図8(a)に示すような周縁がシャープな画像パターン(12)を被転写体(10)に形成することができる。
【0035】
さらにまた、例えば、図7(a)、(b)および図9(a)、(b)に示すように、IDカードなどのように中間転写フィルム(20)や感熱転写リボン(15)に転移された色材層より小さいサイズの被転写体(10)に、周縁(エッジ)がシャープな(バリ等のない)画像パターン(12)で、かつ略中央の位置に非画像部(14)を得るために、例えば、図9(b)に示すように、感熱転写リボン(15)の接着転移層(40)に、色材層でなる画像パターンとなるべき部分(12c)の周縁とその略中央に非画像部(14)となる色材層を逆転写し、図9(a)に示すように、逆転写され中間転写フィルム(20)上に残った周縁がシャープで、かつ略中央に非画像部(14)を有する画像パターン(12)をIDカードのようなサイズの小さい被転写体(10)に転写する画像形成方法とすることができる。
【0036】
上記請求項1に係る発明では、例えば、図2(b)に示すように、感熱転写リボン(15)として、シアン層(C)、マゼンタ層(M)、イエロー層(Y)の3色の色材層の後に色材層のない空白領域(すなわち支持体フィルム(15a)の表面(15b)が露出している部分)が面順に繰り返し設けられているものを用いることもできるが、上記請求項2に係る発明では、図2(a)に示すように、この色材層のない空白領域に接着転移層(40)が施されていることを特徴とする画像形成方法としたものである。
【0037】
このように、色材層のない空白領域に接着転移層(40)が施されている感熱転写リボン(15)を用いることによって、空白領域が支持体フィルム(15a)の表面(15b)が露出しているものに比べ、例えば、図6に示すように、中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)に転写されている逆画像パターン(12)の不必要部分(12c)が選択的加熱手段であるサーマルヘッド(32)で、より接着転移(逆転写)し易くすることができる。
【0038】
また、上記請求項3に係る発明では、例えば、図3の側断面図に示すように、中間転写フィルム(20)を構成する受像(兼接着)層(24)と、支持体フィルム(22)との間に剥離性保護層(23)が施されていることを特徴とする画像形成方法としたものである。
【0039】
このように、受像(兼接着)層(24)の下面に剥離性保護層(23)が施されていることによって、例えば、図6の側断面図に示すように、中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)に形成された逆画像パターン(12)を被転写体に転写(2次転写)する際に、その中間転写フィルム(20)の支持体フィルム(22)から剥離(転移)し易くし、かつ図7(b)に示すように、転写された画像パターン(12)が磨耗などから保護されることに加え、図6に示すように、中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)に転写されている逆画像パターン(12)の不必要部分(12e)をサーマルヘッド(35)により感熱転写リボン(15)の接着転移層(40)に逆転写する際に、この剥離性保護層(23)の剥離し易い性質を有することから、より接着転移(逆転写)し易いようにすることができる効果がある。
【0040】
また、上記請求項4に係る発明では、以上のような画像形成方法により得られた画像形成体としたものであり、得られる画像形成体は、例えば、図8(a)および図8(b)に示すように、証明書などのような被転写体(10)がウエブ状の中間転写フィルム(20)の幅を含めた1色材層より大きい場合であっても、転写された画像パターン(12)の端縁部がシャープな画像形成体とすることができ、また、IDカードなどのような被転写体がウエブ状の中間転写フィルムの転写される1画像エリアより小さい場合でも、例えば、図7(a)および図7(b)にに示すように、被転写体(10)の周端縁がシャープでバリなどがなく、かつ略中央に非画像エリア(14)が設けられているように、所望の転写エリアの選択が可能な画像パターン(12)を有する画像形成体(1)とすることができる。
【0041】
以下に、本発明の画像形成方法およびその画像形成体を構成する材料や製法等について詳細に説明する。
【0042】
本発明の画像形成方法の主要部分を構成する感熱転写リボン(15)として、支持体フィルム(15a)上に4色の色材層(Y、M、C、BL)と接着転移層(40)が面順に繰り返し施されているものについて説明すると、
まず、その支持体フィルム(15a)としては、色材層(Y、M、C、BL)の形成のし易さや取扱い易さ、あるいは機械的強度の観点から、コンデンサーペーパー等の紙またはポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、あるいはセロファン等が挙げられるが、特には耐熱性も高いことから好ましいのはポリエステルフィルム(具体例としては、PET〔ポリエチレンテレフタレート〕やPEN〔ポリエチレンナフタレート〕、等)である。なお、基材の厚みは、機械的強度、取扱い易さあるいは入手の容易さから2〜50μmがよいが、本発明の画像形成方法および画像形成体のより高い効果を期待するには(熱伝導率、熱伝達率、蓄熱性能、等の熱的特性にも関係するため)2〜16μmがより好適である。
【0043】
上記色材層としては、イエロー、マゼンタ、シアンの3色でもよく、あるいはブラックのみの単色でもよい。また、各色の間に位置合わせ検知用のレジスターマーク等が存在しても何ら問題は無い。この各色材層(Y、M、C、BL)は、中間転写フィルム(20)の受像(兼接着)層(24)にこの感熱転写リボン(15)からサーマルヘッド(35)によって色材層を選択的に転移させる1次転写後に、この感熱転写リボン(15)に施されている接着転移層(40)に画像パターンとして不必要部分を逆転写する。
【0044】
この1次転写工程における画像形成方式は、昇華転写方式、樹脂型溶融転写方式、ワックス型溶融転写方式等の熱転写方式のいずれの方式でも適合でき、上記色材層の成分としては、例えば樹脂型溶融転写方式に適用される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂やブチラール樹脂等でなるバインダー中に公知の顔料や染料を分散させたインキが挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて使用することも可能であり、また色相調整のため顔料と染料を併用して使用してもよい。これら成分のインキをグラビア印刷方式で各色材層の後に、色材層のない空白部分を残して面順に繰り返しの印刷で感熱転写リボン(15)の中間品とする。
【0045】
また、色材層のない空白部分に施す接着転移層(40)としては、中間転写フィルム(20)に1次転写された各色材層(Y、M、C、BL)でなる画像パターン(12)が裏側からのサーマルヘッド(32)によって溶融され、接着転移され易いような層であることが望ましく、その樹脂として、例えば、線状飽和ポリエステル等のポリエステル、ポリ塩化ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−2−ナフチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸−2−メトキシエチル、ポリアクリル酸イソボルニル、ポリメタクリロメチル、ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、スチレン−ブタジエン共重合体等のビニル系樹脂が挙げられる。
【0046】
上記接着転移層(40)の形成は、上記樹脂群から選択された単独あるいは複合物をそれら樹脂に適合する溶剤に溶解および分散した塗布液を用い、グラビア法、アニロックスロールを用いるフレキソ法等で厚み0.5〜50μmの範囲でパターンコートして形成することができる。
【0047】
また、本発明の画像形成方法に用いる中間転写フィルム(20)を構成する基材フィル
ム(22)としては、熱転写による熱圧に対し変形等のない耐熱性が要求され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等合成樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、あるいはこれらから選択された複合体が挙げられる。また、その厚みは、操作性、加工性を考慮し2〜100μmのものが使用可能であるが、パスポートや通帳の如く冊子様の被転写体(10)面への転写適性等のハンドリング性の点から6〜50μm程度のものが好ましい。
【0048】
また、この中間転写フィルム(20)を構成する剥離性保護層(23)は、受像(兼接着)層(24)上の逆画像パターン(12)等をより効果的に被転写体(10)面に転写するために設けられるもので、さらに最終製品となる冊子の保護層として機能するものであり、容易に耐熱性の基材フィルム(22)から剥離される材料であれば如何なる樹脂でも構わないが、柔軟性、箔切れ性を考慮すれば、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、熱可塑性ポリアクリル酸エステル、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート等を単独あるいは複合して用いることができ、さらに箔切れや耐磨耗性を考慮して、石油系ワックス、植物系ワックス等各種ワックス、ステアリン酸等高級脂肪酸の金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、フッ素樹脂系パウダー、ポリエチレンパウダー、シリコン系微粒子等を添加することもできる。
【0049】
上記剥離性保護層(23)の形成は、上記樹脂群から選択された単独あるいは複合物にワックス等を添加し、トルエン、メチルイソブチルケトン等溶剤に溶解および分散した塗布液をグラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法等で厚み0.5〜50μmの範囲で形成することができる。
【0050】
また、受像(兼接着)層(24)としては、例えば、線状飽和ポリエステル等のポリエステル、ポリ塩化ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−2−ナフチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸−2−メトキシエチル、ポリアクリル酸イソボルニル、ポリメタクリロメチル、ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、スチレン−ブタジエン共重合体等のビニル系樹脂が挙げられる。
【0051】
上記受像(兼接着)層(24)の形成は、上記樹脂群から選択された単独あるいは複合物をそれら樹脂に適合する溶剤に溶解および分散した塗布液を用い、グラビア法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法等で厚み0.5〜50μmの範囲で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の画像形成方法を説明するもので、その方法による装置の1事例を側面で表した全体図である。
【図2】本発明の画像形成方法に使用する感熱転写リボンを説明するもので、(a)は、その1事例を説明する側断面図であり、(b)は、他の事例を説明する側断面図であり、(c)は、他の事例を説明する側断面図である。
【図3】本発明の画像形成方法の工程のうち、感熱転写リボンから色材層を中間転写フィルムに転移する工程の1事例を表す側断面図である。
【図4】本発明の画像形成方法の工程のうち、感熱転写リボンから1色材層を中間転写フィルムに転移した1事例を表す側断面図である。
【図5】本発明の画像形成方法の工程のうち、感熱転写リボンから4色材層を中間転写フィルムに転移した1事例を表す側断面図である。
【図6】本発明の画像形成方法の工程のうち、感熱転写リボンの接着転移層に4色材層の不必要部分を逆転写する工程の1事例を表す側断面図である。
【図7】本発明の画像形成方法の工程のうち、感熱転写リボンの接着転移層に4色材層の不必要部分を逆転写する工程の1事例を表す側断面図である。
【図8】本発明の画像形成方法の工程のうち、4色材層の不必要部分を除去された中間転写フィルムから被転写体に転写する工程の1事例を表す側断面図である。
【図9】本発明の画像形成方法の工程のうち、4色材層の不必要部分を除去された中間転写フィルムとその不必要部分を逆転写した感熱転写リボンの1事例を表す側断面図である。
【図10】従来の感熱転写リボンのいち1事例を表す斜視図である。
【図11】従来の画像形成方法の1事例を説明するもので、(a)は、それによる画像形成体の上面図であり、(b)は、それに使用する中間転写フィルムの斜視図である。
【図12】従来の画像形成方法の他の事例を説明するもので、(a)は、それによる所望の画像形成体の上面図であり、(b)は、それによる画像形成体の上面図である。
【符号の説明】
【0053】
1‥‥画像形成体
10‥‥被転写体
10a、10b‥‥被転写体の周端縁
12‥‥画像パターン
12a、12b‥‥画像パターンの左右端縁部
12c、12d‥‥画像パターンの上下端縁部
12e‥‥画像パターンの不必要部分
14‥‥非画像部
15‥‥感熱転写リボン
15a‥‥支持体フィルム
15b‥‥支持体フィルムの表面
17‥‥1画像エリア
20‥‥中間転写フィルム
22‥‥基材フィルム
23‥‥剥離性保護層
24‥‥受像(兼接着)層
30‥‥画像転写装置
31‥‥ドラム
32‥‥サーマルヘッド
33‥‥加熱媒体
35‥‥再転写プリンタ
40‥‥接着転移層
BK‥‥ブラック層
C‥‥シアン層
M‥‥マゼンタ層
Y‥‥イエロー層
P‥‥画像パターンの流れ方向
W‥‥中間転写フィルムの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されてなるウエブ状の中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき選択的加熱手段でウエブ状の感熱転写媒体の色材層から色材を転移させて逆画像パターンを形成する1次転写工程と、前記逆画像パターンが形成された中間転写媒体の受像層ごとを被転写体へ加熱加圧手段で転写して画像パターンを形成する2次転写工程とからなる画像形成方法において、
前記ウエブ状の感熱転写媒体を構成する色材層が単色もしくは多色でなり、前記単色の場合、該単色層の領域と色材層がない空白領域が交互に繰り返し設けられ、前記多色の場合、シアン、マゼンタ、イエローの3色、場合によってブラックを加えた4色層の領域の後に色材層がない空白領域が面順に繰り返し設けられていて、前記色材層からの色材の転移による逆画像パターンの形成後に前記空白領域に該逆画像パターンの不必要部分を選択的加熱手段で逆転写することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記色材層のない空白領域に接着転移層が施されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記中間転写媒体の受像層と支持体との間に剥離性保護層が施されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法により得られた画像形成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−30284(P2008−30284A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205728(P2006−205728)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】