説明

画像形成方法及びプロセスカートリッジ

【課題】 低湿環境下における画像形成時の転写残トナーによる帯電部材の表面汚れによる帯電ムラによる画像ムラ、画像濃度低下、カブリ画像を防止する画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】 感光体に帯電部材を接触させて帯電させる工程と、感光体に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを現像してトナー像を形成する現像工程と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写させる転写工程と、転写材に転写させる転写工程と、を有し、該トナーが着色剤と結着樹脂を有する平均円形度(C)が0.930以上0.995以下である画像形成方法において、 該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子にカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が下記式の範囲を満足する複合粒子を含有する画像形成方法及びプロセスカートリッジ: 5≦Dc≦7000−(7000×C)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方法や静電記録法等を利用した記録方法に用いられる画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものであり、詳しくは、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像した後、転写材上に転写させて画像形成を行う複写機、プリンター及びファックスに用いられる画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体を帯電させる方法として、帯電部材を感光体に接触させて帯電させる接触帯電方法が知られている。例えば、導電性ローラに電圧を印加しながら、ローラを感光体の如き被帯電体に接触させ、被帯電体表面を所定に電位に帯電させるものである。このような接触帯電手段を用いればコロナ放電器と比較して低電圧化が図れ、オゾン発生量も減少することが可能である。
【0003】
帯電部材としての例としては、ゴム弾性を有する半導電性のローラ、ブレード又はプレート形状の部材を感光体に押し当てることで、感光体に均一な接触状態を達成させ、帯電を行う帯電部材が挙げられ、トナー等による帯電部材への汚れを抑制させる目的なので、表面層を設けた帯電部材が開示されている。
【0004】
また、帯電部材の表面層の抵抗を調整させる例として、バインダー樹脂中に導電剤を適宜、含有させ、分散させたゴムや塗料等を調製し、塗布することで帯電部材を作製することが知られており、その導電剤として、低コストなカーボンブラックを使用した帯電部材が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0005】
更に、導電材として、導電性材料で被覆された粒子を用いることで、樹脂中での導電粒子の分散を均一にさせることができ、良好な画像が得られる帯電部材が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
一方、トナーの転写効率を高め、高画質化、廃トナー低減化による環境対応を達成するためにトナーを球形化するという提案が多数なされている(特許文献4及び5参照)。
【0007】
しかしながら、球形化したトナーを使用する場合、感光体上に残余した転写残トナーを感光体上からクリーニング弾性ブレード等でクリーニングする際に、球形化・球状のトナーは滑り易く、クリーニング弾性ブレードからすり抜け易く、そのすり抜けたトナーにより帯電部材を汚染し易く、帯電部材に部分的な抵抗ムラが形成され、そのために、感光体への帯電均一性が低下し、画像濃度ムラ、画像濃度低下、カブリ画像といった画像不良が生じ易く、特に、低湿環境下で使用した場合に、そのような問題が顕著になる傾向が見られた。
【特許文献1】特開2004−157720号公報
【特許文献2】特開2004−4785号公報
【特許文献3】特開2004−361565号公報
【特許文献4】特開平2−167566号公報
【特許文献5】特開平5−61251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の如き課題を解決することであり、具体的には、低湿環境下における画像形成時の転写残トナーによる帯電部材の表面汚れによる帯電ムラによる画像ムラ、画像濃度低下、カブリ画像を防止できる画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、少なくとも像担持体である支持体上に感光層と保護層を有する感光体に帯電部材を接触させて帯電させる工程と、
帯電された感光体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
トナー担持体上に担持させたトナーを該静電潜像に現像してトナー像を形成する現像工程と、
該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写させる転写工程と、
該転写材に静電転写させる転写工程と、
を有し、該トナーが着色剤と結着樹脂を有する平均円形度(C)が0.930以上0.995以下のトナーである画像形成方法において、
該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が以下の式の範囲を満足する複合粒子を含有することを特徴とする画像形成方法及びプロセスカートリッジが提供される:
5≦Dc≦7000−(7000×C)
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、低湿環境下における画像形成時の転写残トナーによる帯電部材の表面汚れによる帯電ムラによる画像ムラ、画像濃度低下、カブリ画像を防止できる画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の画像形成方法を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の画像形成方法を実施するために用いることができる具体的な装置の一例を示す。
【0012】
図1において、1は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラ6、現像器7、転写ローラ8が設けられている。そして電子写真感光体1は、感光体に接触する一次帯電ローラ6によって帯電される。そして、レーザー発生装置により露光光Lを感光体1に照射することによって露光される。感光体1上の静電潜像は、現像器7によってトナーで現像され転写材を介して感光体に当接された転写ローラ8により転写材1上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は、搬送ガイドを経て定着器3へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーは、クリーニング装置2の感光体に接触するクリーニング弾性ブレード4により感光体表面上から除去され、更に、帯電ローラに付着した無機部粉体等の汚染物質は、清掃部材9により帯電部材表面から除去される画像形成方法である。
【0013】
また、図2には図1で示した帯電ローラ6の具体的な一例を示す。図2においては6−1は導電性の支持体、6−2は支持体上に設けられた弾性層、6−3は最も外側に形成された表面層、を有した帯電ローラである。
【0014】
本発明の特徴は、図1で示す現像器7に充填されているトナーが着色剤と結着樹脂を有する平均円形度(C)が0.930以上0.995以下である画像形成方法において、該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が5≦Dc≦7000−(7000×C)の範囲を満足する複合粒子を含有する帯電ローラを用いたことにある。
【0015】
上記画像形成方法で使用するトナーとしては、少なくとも結着樹脂及び着色剤を有する平均円形度(C)が0.930以上0.995以下のトナーでなければならない。
【0016】
トナーの平均円形度が0.930以上0.995以下であると、転写効率は上昇し、またトナーの摩擦帯電コントロールが容易で、摩擦帯電の均一化を得ることができ、そのためカブリのない高画質な画像を得ることができる。そして、比表面積が小さいということは、水分の吸着サイトが減少し、水分吸着による摩擦帯電量の変化等も抑制される。また、より好ましい範囲は0.960以上0.995以下のトナーである。
【0017】
トナーの平均円形度の値が0.930未満であると、転写効率は低下し、トナーの比表面積が増大し、その結果水分の吸着サイトが増え、摩擦帯電量の変化も大きくなってしまう。平均円形度が0.995を超えるトナーは作製することが難しく、生産性の観点から本発明では範囲外とした。
【0018】
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
【0019】
【数1】

【0020】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
【0021】
本発明における円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0022】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
【0023】
【数2】

【0024】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子の円形度0.4〜1.0を0.01ごとに等分割したクラスに分け、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う。
【0025】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
【0026】
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0027】
更に、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、処理粒子画像の倍率の向上、更に取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256から512×512へ)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補捉を達成している装置である。
【0028】
上記に記載した平均円形度(C)が0.930以上0.995以下のトナーを用いる場合、感光体上に残余した転写残トナーのクリーニング工程からのすり抜けによって、帯電部材の表面層が汚染され易いので、帯電部材の表面層に含有される導電材としては、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が5≦Dc≦7000−(7000×C)を満足する複合粒子を含有した帯電部材でなければならない(図3の■で囲んだ斜線の部分)。
【0029】
カーボンブラックを、コア粒子の表面に被覆させることで、複合粒子の表面に層状の状態でカーボンブラックが存在することができる。そのために、帯電部材の表面層にカーボンブラック自体で分散させた表面層よりも、カーボンのへきかい性により、滑り性が増し、トナー等の汚染物質による表面層への汚染が低減できる。
【0030】
更に、複合粒子にすることで、カーボンブラックのみを表面樹脂中に分散させるよりも、より均一に樹脂中に分散させることが可能になり、帯電部材表面に不均一ではなく、均一に存在させることができるようになり、複合粒子の存在している部分と、存在していない部分の偏りによる汚れムラを防止できる。
【0031】
しかしながら、トナーの平均円形度が高く、つまり、より球形に近づくほど、トナー自体は滑り易くなり、クリーニング工程部からのすり抜けも多くなるので、その分、帯電部材への汚染も増大してしまう。
【0032】
そのために、鋭意検討した結果、複合粒子の個数平均粒径Dcをトナーの平均円形度Cと比較して、5≦Dc≦7000−(7000×C)の範囲でなければならないことが分かった。
【0033】
上記の範囲である明確な理由は不明であるが、類推すると、複合粒子の個数平均粒径が小さいほど、帯電部材の表面層への複合粒子の不均一差、偏りが小さくなるために、帯電部材表層への汚染が抑制されるのではないかと推察される。
【0034】
逆に、複合粒子の個数平均粒径が大きくなると、帯電部材の表面層への複合粒子の不均一差、偏りが大きくなるために、複合粒子の存在していない部分にトナー汚染が蓄積され易くなると推察される。
【0035】
複合粒子の個数平均粒径が5nm未満であると、粒子が小さすぎて、凝集し易く、分散も不均一になり易いので、表面層への複合粒子の不均一差、偏りが大きくなり、トナーによる汚染が蓄積され易くなってしまうと推察される。
【0036】
更に、より好ましい範囲は、複合粒子のDcが10≦Dc≦4500−(4500×C)である(図3の斜線の部分内の◆で囲んだ部分)。
【0037】
また、表面層に含有される複合粒子が、表面層に使用される結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下であることが好ましい。120質量部を超えると、表面層の膜強度が低下し、耐久により膜の剥がれ、損傷が発生し易くなり、10質量部未満では、複合粒子による汚染低減効果が発揮され難くなる。
【0038】
本発明におけるコア粒子Aは、樹脂粒子、金属粒子、金属酸化物粒子等の種々の粒子が使用できるが、より好ましくは、カーボンブラックの被覆性、粒子の分散性の観点から金属酸化物粒子aであり、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム及びジルコン酸カルシウムが挙げられ、その中でもシリカ微粒子が好ましい。
【0039】
更に、コア粒子Aは表面処理されていることが好ましい。表面処理を施すことにより、コア粒子とカーボンブラックをより強固に付着させることができ、複合粒子を樹脂中に分散させる際に、カーボンブラックの離脱を防止することができ、表層に分散させた際により複合粒子としての効果が発揮されるので、好ましい。
【0040】
表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物の一種又は二種以上を用いることができる。より好ましくは有機ケイ素化合物である。
【0041】
本発明における有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、ポリシロキサン、変成ポリシロキサン、末端変成ポリシロキサン並びにフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0042】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
表面処理剤の被覆量は、コア粒子Aに対して0.01〜15.0質量%が好ましい。0.01質量%未満の場合には、コア粒子Aに対してのカーボンブラックを付着させることが困難であることがある。15.0質量%を超えると、処理剤によりコア粒子同士が凝集してしまい、カーボンブラックの被覆を阻害してしまう。
【0044】
本発明におけるコア粒子Aへの表面処理方法は、コア粒子Aと表面処理剤又は表面処理剤の溶液とを機械的に混合攪拌(ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等の従来公知の溶液分散手段等)したり、コア粒子Aに表面処理剤又は表面処理剤の溶液を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。更に、必要に応じて表面処理後の粒子に更に粉砕処理を施してもよい。
【0045】
コア粒子Aに被覆するカーボンブラックは、ファーネスブラック、ケッチェンブラック又はチャンネルブラック等が好ましく用いられる。より具体的には、電気化学(株)製粒状アセチレンブラック、旭カーボン(株)製「HS−500」、「アサヒサーマルFT」、「アサヒサーマルMT」、ライオンアグゾ(株)製「ケッチェンブラック」、キャボット(株)製バルカンXC−72、キャボット社の「REGAL 400R」、「MONARCH 1300」、Degussa社の「Color Black FW200」、「SPECIAL BLACK 4」、「PRINTEX150T」、「PRINTEX140T」、「PRINTEX U」及び三菱化学(株)製「MA100」等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
コア粒子Aにカーボンブラックを被覆させる方法としては、コア粒子Aとカーボンブラック、表面処理されているコア粒子Aとカーボンブラックとの混合攪拌をするために、機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機又はロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。そして、必要に応じて、混合攪拌後、更に乾燥、熱処理を行ってもよい。
【0047】
また、この被覆層は必ずしも該コア粒子を完全に被覆する必要は無く、本発明の効果が得られる範囲で該コア粒子が露出していてもよい。つまり被覆層が不連続に形成されていてもよい。
【0048】
更に、表面層には、比誘電率が50以上300以下の金属酸化物粒子bが含有されていることが好ましい。比誘電率が50未満では、帯電ゴーストへの効果が現われ難く、300を超えると帯電過多による異常放電が発生し易くなる。
【0049】
誘電率の高い粒子を含有させることにより、帯電部材の誘電率が高くなり、感光体の一周前の電位の影響を受けた帯電ゴーストと呼ばれる帯電不良を低減することができる。
【0050】
粒子の比誘電率抵抗測定は、錠剤法により測定した。即ち、底面積2.26cmの円筒内に粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に1Vpp、1MHzの電圧を印加し交流電流を測定し、その後正規化して比誘電率を算出した。
【0051】
比誘電率が50以上300以下の粒子としては、一般式MO・TiO(式中、MはBa、Sr、Ca、Mg、Co、Pb、Zn、Be及びCdからなる群より選ばれる一種又は二種以上)で表わされるチタン酸金属塩化合物(例えば、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム及びチタン酸バリウムカルシウム等)、が挙げられ、中でも安定で高い誘電率を示し入手が容易なため好ましく用いられるのがルチル型の酸化チタン粒子である。
【0052】
本発明における複合粒子、金属酸化物微粒子a、bの平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して、その平均を求められる。
【0053】
また、表面層には表面形状を制御する方法として、本発明の効果を失わない程度であれば、個数平均粒径で0.5μm〜25μm程度の樹脂粒子等の粗し材を添加、含有させても構わない。
【0054】
粗し材としての樹脂粒子としては、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの共重合体や変性物、誘導体等の樹脂粒子や、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等のゴム微粒子や、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー微粒子が挙げられる。
【0055】
また、その他に、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。
【0056】
表面層に使用される材料としては、従来から知られている、例えば、樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー等のエラストマーを結着材料として用いた層等が挙げられる。
【0057】
樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。
【0058】
ゴムとしては、天然ゴム(加硫処理をしてもよい)や合成ゴムが挙げられ、合成ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム及びエピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。
【0059】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0060】
これらは、単独で用いてもよいし、混合又は共重合体として2種以上用いてもよい。
【0061】
帯電部材の支持体としては、導電性を有していればよく(導電性支持体)、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属性(合金製)の支持体を用いることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施してもよい。
【0062】
本発明で用いるトナーの製造方法は特に限定されず、懸濁重合法、乳化重合法、会合重合法又は混練粉砕法等が用いられる。
【0063】
以下に、混練粉砕法におけるトナーの製造方法について説明する。
【0064】
本発明で用いる粉砕法トナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等を単独又は混合して使用できるが、中でもスチレン−アクリル、スチレン−メタクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、更には、少なくともポリエステル樹脂等の縮重合系樹脂とビニル系樹脂が一部反応した、ポリエステル系ユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を用いることが、帯電性や定着性、保存安定性の上で特に好ましい。このハイブリッド樹脂は、本来相溶性の悪い2種類の樹脂が均一に分散しているため、両樹脂の特性を活かすことができる。
【0065】
また、本発明で用いるトナーを正帯電性に制御する場合は、脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩;アミン及びポリアミン系化合物;高級脂肪酸の金属塩;アセチルアセトン金属錯体;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート及びジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート等を添加する。また、負帯電性に制御する場合は、有機金属錯体やキレート化合物が有効で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸系の金属錯体を用いることができる。使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0066】
本発明で用いる粉砕法トナーには、必要に応じて離型剤を添加することができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス又はその酸化物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪族エステルを主成分とするワックス又は、その一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。また、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族ビスアミド類;ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレン等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化物等も用いることができる。添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、特には0.5〜10質量部が好ましい。
【0067】
本発明で用いるトナーには着色剤として磁性体を用いた場合、そのまま磁性トナーを構成することができる。本発明に用いる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Cu、Pb、Mg、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W及びVのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0068】
具体的には、磁性体としては、四三酸化鉄(Fe)、三二酸化鉄(γ−Fe)、酸化鉄亜鉛(ZnFe)、酸化鉄イットリウム(YFe12)、酸化鉄カドミウム(CdFe)、酸化鉄ガドリニウム(GdFe12)、酸化鉄銅(CuFe)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe)、酸化鉄ネオジム(NdFe)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe)、酸化鉄マンガン(MnFe)、酸化鉄ランタン(LaFeO)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)及びニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性体を単独で或いは2種以上組合せて使用する。特に好適な磁性体は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0069】
これらの強磁性体は平均粒径が0.05〜1.00μmで、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力(Hc)1.6〜12.0kA/m、飽和磁化(σs)50〜200Am/kg、残留磁化(σr)2〜20Am/kgのものが好ましい。飽和磁化は、より好ましくは50〜100Am/kgである。
【0070】
また、磁性酸化鉄の形状は、八面体であることが好ましい。このような形状を呈する磁性酸化鉄粒子は、粒子同士が分離し易く、凝集性が少なく、結着樹脂へ均一に分散できるためである。また、この様な磁性酸化鉄粒子は、粒子表面に凹凸があったり、多くの面と稜線を有し、適度な角度を有するため、結着樹脂に対する密着性にも優れ物理的に磁性トナー表面上においても固着されているので、磁性トナー粒子からの脱落を防止できる。
【0071】
また、結着樹脂100質量部に対して、磁性体を好ましくは65〜200質量部、より好ましくは70〜150質量部使用するのがよい。
【0072】
また、着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトやその他あらゆる顔料及び/又は染料を更に用いても構わない。例えば、本発明で用いるトナーをカラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、2、C.I.アシッドブルー9、15、C.I.ベーシックブルー3、5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6及びC.I.べーシックグリーン4、6等が挙げられる。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ及びファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0073】
次に、結着樹脂と離型剤、着色剤、また必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサーやボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー及びエクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混棟し、得られた混練物を冷却した後、粉砕手段によって粗粉砕し、適当な粉砕・分級手段によって微粉砕・分級を行い、トナー粒子を作製することができる。
【0074】
微粉砕装置としては、前述のような粉砕装置を用いることができるが、ジェットミル等のような気流式粉砕機を用いる場合には、所望の円形度のトナーが得られ難いので、処理量を下げて、粉砕圧を下げることによってソフト粉砕を行うか、粉砕後に更に表面改質処理工程を加えることが必要になるが、トナー生産効率向上の面から、粉砕手段としては、機械式粉砕機を用いることがより好ましい。
【0075】
機械式粉砕機としては、例えば、ホソカワミクロン(株)製粉砕機イノマイザー、川崎重工業(株)製粉砕機KTM及びターボ工業(株)製ターボミル等を挙げることができ、これらの装置をそのまま、あるいは適宜改良して使用することが好ましい。
【0076】
また、粉砕後に球形化処理を行っても構わない。例えば、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力や摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0077】
次に、懸濁重合法における本発明で用いるトナーの製造方法について説明する。
【0078】
重合法による製造方法によって、より円形度の高いトナーを得ることができる。まず重合性単量体中に、低軟化点物質、極性樹脂、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザーや超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機又はホモジナイザーやホモミキサー等により分散せしめる。この際、好ましくは単量体液滴が所望の現像剤粒子のサイズを有するように、撹拌速度、時間を調整し造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えばよい。重合温度は40℃以上、一般的には50℃〜90℃の温度に設定して行うのがよい。また、重合反応後半に昇温してもよく、更に、現像剤定着時の臭いの原因等になる未反応重合性単量体や副生成物等を除去するために、反応後半又は反応終了時に一部水系媒体を留去してもよい。反応終了後、生成した現像剤粒子を洗浄、濾過により回収し乾燥する。懸濁重合法においては、通常、単量体系100質量部に対して水300質量部〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0079】
トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、造粒時の系のpH調整、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や、機械的装置条件、例えばローターの周速、パス回数、撹拌羽根形状等の撹拌条件や、容器形状又は水溶液中での固形分濃度等を制御することにより行える。
【0080】
本発明に用いられる重合性単量体としては、スチレン、o−(m−、p−)メチルスチレン、m−(p−)エチレンスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキサン、(メタ)アクリロニトリル及びアクリル酸アミド等の単量体が好ましく用いられる。
【0081】
また、重合時に添加する極性樹脂としては、スチレン(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0082】
また、本発明で使用される低軟化点物質としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体、又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が好ましく用いられる。
【0083】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが使用できるが、重合阻害性がなく水系への可溶化物のない荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸、それらの誘導体の金属化合物、スルホン酸を側鎖に持つ高分子化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、珪素化合物又はカリックスアレン等が利用でき、ポジ系としては4級アンモニウム塩、該4級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物又はイミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は、重合性単量体100質量部に対し0.2〜10質量部が好ましい。
【0084】
本発明で使用される重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、及びアゾビスイソブチルニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロキシペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。
【0085】
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対して0.5質量%〜20質量%添加されて用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に単独又は混合し利用される。
【0086】
懸濁重合を利用する場合に用いる分散剤としては、例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ及び磁性体及びフェライト等が挙げられる。また、有機系化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及びデンプン等が挙げられ、これらを水相に分散させて使用される。これらの分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用するのが好ましい。
【0087】
これらの分散剤は市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させて得ることもできる。例えばリン酸カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合法に好ましい分散剤を得ることができる。
【0088】
また、これらの分散剤の微細化のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には、市販のノニオン、アニオン及びカチオン型の界面活性剤が使用でき、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はオレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0089】
また、着色剤や磁性体等は、粉砕法トナーと同様のものを用いて構わない。
【0090】
そして、必要に応じて上述のトナー粒子に、トナーの流動性を向上させるため、また、転写効率を向上させるため、クリーニング工程部からのトナーのすり抜けを抑制させるために、無機或いは有機の微粉体をトナー粒子に添加させた方が好ましい。
【0091】
このような微粉体としては、例えばフッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン(チタニア)、微粉末アルミナ、ハイドロタルサイト類化合物(例えばMg0.72Al0.28(OH)(CO0.14・0.54HOで示される層状の化合物)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムの如きペロブスカイト型結晶の無機微粉体、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面に疎水化処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ等が挙げられる。
【0092】
上述の微粉体の中でも、ペロブスカイト型結晶の無機微粉体はトナーのすり抜け抑制に効果があるので、トナー粒子に添加させた方が、帯電部材の汚染低減につながるので、添加させた方が好ましい。
【0093】
特に、ペロブスカイト型結晶の無機微粉の平均粒径が、300nm以上3000nm以下の粒径の無機微粉体が添加されていることが好ましい。粒径が300nm未満では、無機微粉体自身がクリーニング工程部からすり抜けてしまい、帯電部材が汚染し易くなり、一方3000nmを超えると、感光体への傷、ブレードの損傷が生じ易くなる。
【0094】
無機微粉体の形状及び粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた。具体的には日立製作所製FE−SEMを用い、50,000倍に拡大したトナー上の微粒子を無作為にサンプリングし、その長軸径と短軸径の相加平均値を求め、当該微粒子の平均粒径とした。同様の操作を100個の微粒子に渡って行い、相加平均することにより当該微粒子の個数平均粒径とした。
【0095】
ペロブスカイト型結晶の無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましい。0.1質量部未満では、トナーのすり抜け抑制効果が現われ難く、5.0質量部を超えると、無機微粉自身身がクリーニング工程部からすり抜けてしまい帯電部材を汚染し易くなる。
【0096】
添加の方法としては、上述の微粉体とトナー粒子をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合することによりトナーを得ることができる。
【実施例】
【0097】
以下に本発明の実施例を具体的に示すが、これらに限られるものではない。
【0098】
まず本発明の画像形成方法に使用されるトナー、帯電ローラについての例を示す。なお実施例中の「部」は質量部を表す。
【0099】
(トナー用結着樹脂製造例)
・テレフタル酸 610部
・無水トリメリット酸 610部
・フマル酸 310部
・プロポキシ化ビスフェノールA 1050部
・エトキシ化ビスフェノールA 450部
上記ポリエステル系モノマーを、炭化水素系ワックス189部、エステル化触媒とともに4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて130℃の温度で撹拌しつつ、ビニル系重合体モノマー(スチレン621部、2−エチルヘキシルアクリレート136部、ジビニルベンゼン0.13部)を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。130℃に保持したまま3時間熟成し、230℃に昇温して反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕し、樹脂Aを得た。
【0100】
(トナー粒子製造例1)
・樹脂A 100部
・磁性体 100部
・サリチル酸金属化合物 2部
・炭化水素系ワックス 7部
上記を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、二軸押し出し混練機で溶融混練した後、ハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミルT−250型で微粉砕後、得られた微粉末を風力分級機で分級し、トナー粒子1を得た。
【0101】
(トナー粒子製造例2)
トナー粒子1を奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム装置に投入し球形化処理を行い、トナー粒子2を得た。
【0102】
(トナー粒子製造例3)
トナー粒子製造例2のハイブリダイゼーションシステム装置に投入し球形化処理を調整して、平均円形度の異なるトナー粒子3を得た。
【0103】
(トナー粒子製造例4)
イオン交換水709gに0.1M−NaPO水溶液451部を投入し、60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7部を徐々に添加してCa(POを含む水系媒体を得た。
【0104】
次に、
・スチレン 80部
・ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 2部
・飽和ポリエステル樹脂 3部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1.2部
・表面処理疎水化磁性材料 100部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
【0105】
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)6部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2=140分、60℃条件下]5部を溶解した。
【0106】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし、更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa(POを溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子4を得た。
【0107】
(トナー粒子製造例5)
2リットル用四つ口フラスコ中のイオン交換水710部に、0.1M−NaPO水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、高速攪拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌した。これに1.0M−CaCl水溶液68部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤を含む水系分散媒体を得た。
【0108】
一方、分散質として
(モノマー) スチレン 160部
n−ブチルアクリレート 40部
(着色剤) C.I.ピグメントレッド202 10部
(荷電制御剤)2,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のAl化合物 4部
(離型剤) エステルワックス(軟化点75℃) 10部
(その他) 飽和ポリエステル樹脂 10部
上記処方のうち、着色剤と2,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物とスチレンだけをエバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて予備混合を行った。次に上記処方全てを60℃に加温し、溶解、分散して単量体混合物とした。更に、60℃に保持しながら、開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
【0109】
前記ホモミキサーの2リットルフラスコ中で調製した分散媒体に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて、10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で6時間反応させた後、80℃で10時間重合させた。
【0110】
重合反応終了後に反応生成物を冷却し、塩酸を加えてCa(POを溶解し、濾過、水洗、乾燥することにより、トナー粒子5を得た。
【0111】
(トナー粒子製造例6)
・スチレンアクリル樹脂 100部
(スチレン−ブチルアクリレート共重合比=78:22)
・磁性体 100部
・サリチル酸金属化合物 4部
・炭化水素系ワックス 2部
上記を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、二軸押し出し混練機で溶融混練した後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕したトナー粒子6を得た。
【0112】
(流動性向上剤Si)
一次粒径約9nmのシリカ100部にジメチルシリコーンオイル20部で表面処理した疎水性シリカ(BET=130m/g)の微粒子シリカを用意した。
【0113】
(ペロブスカイト型無機微粉体の製造例1)
炭酸ストロンチウム1500部と酸化チタン800部をボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を5kg/cmの圧力で成形して1300℃で8時間仮焼した。これを、機械粉砕して、重量平均径400nmチタン酸ストロンチウム(SrTiO)とを有する無機微粉末(B−1)を得た。
【0114】
(無機微粉体Bの製造例2)
粉砕条件を調整して粒径の異なるチタン酸ストロンチウムB−2(250nm)、B−3(2500nm)、B−4(3300nm)及びB−5(1500nm)を得た。
【0115】
次に、下記の表1に示すようなトナー粒子、流動性向上剤Si、ペロブスカイト型無機微粉体をそれぞれの部数を秤量して、ヘンシェルミキサーFM10Bにて外添して、トナー1〜15を作製した。下記の表1に、トナー1〜15の円形度、トナー平均粒径を示す。
【0116】
なお、トナーの平均粒径については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
【0117】
コールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)に、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、電解液は特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、トナー粒径を測定するときは100μmアパーチャーを用い、トナーの体積を測定して、体積平均粒径を算出した。
【0118】
【表1】

【0119】
(複合粒子の作製例1)
シリカ微粒子(平均粒子径20nm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ微粒子に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行い、シリカ微粒子表面にメチルハイドロジェンポリシロキサン処理を行った。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0120】
次に、カーボンブラック粒子(粒子径15nm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で90分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆シリカ粒子の表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で45分間乾燥を行い、複合粒子を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。得られた複合粒子B−1は、平均粒径が18nmであった。表2に特性を示す。
【0121】
(複合粒子作製例B−2〜B−8)
シリカ微粒子の粒径を変更し、複合粒子の平均粒径を下記の表2に示すように変えた以外は、複合粒子B−1と同様にして複合粒子B−2〜B−8を得た。表2に特性を示す。
【0122】
(複合粒子作製例B−9)
シリカ微粒子(平均粒子径20nm)7.0kgに、カーボンブラック粒子(粒子径15nm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行い、シリカ微粒子表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で45分間乾燥を行い、複合粒子を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。得られた複合粒子B−9は、平均粒径が20nmであった。表2に特性を示す。
【0123】
(複合粒子製造例B−10)
アナターゼ型酸化チタン微粒子(平均粒径25nm)14.0kgに、カーボンブラック粒子(粒子径15nm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行い、酸化チタン微粒子にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で45分間乾燥を行い、複合粒子を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。得られた複合粒子B−10は、平均粒径が25nmであった。表2に特性を示す。
【0124】
【表2】

【0125】
(帯電部材の弾性層の製造例)
両端部分の長さ9mm部分は直径6mmで、弾性層被覆部分の直径が9mmの全長345mmのステンレス製芯金を支持体(導電性支持体)とした。これに、熱硬化性の導電性接着剤を塗布し、乾燥させた。
【0126】
次に、エピクロルヒドリンゴム三元共重合体100部、炭酸カルシウム55部、脂肪族ポリエステル系可塑剤8部、ステアリン酸亜鉛1部、老化防止剤0.5部、酸化亜鉛5部及び導電性のカーボンブラック(平均粒径:18nm、体積抵抗率:0.2Ω・cm)3部を、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。
【0127】
この原料コンパウンドに、上記エピクロルヒドリンゴム三元共重合体に対して1質量%の硫黄(加硫剤)、1.5質量%の加硫促進剤を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
【0128】
接着剤を塗布した支持体上に、この弾性層用コンパウンドを押し出し成型機にて押し出し、外径が約18mmのローラ形状になるように成型し、次いで、電気オーブン中で160℃で1時間、加硫及び接着剤の硬化を行った後、ゴムの両端部を突っ切り、外径が16mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行って、支持体上に弾性層を形成した。このときクラウン量(中央部と中央部から160mmは離れ位置の外径の差)は180μmとした。
【0129】
(帯電部材製造例1)
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業(株)製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が13質量%となるように調整した。
【0130】
この溶液500部(ポリオールは65部)に対して、更に、複合粒子B−1:40部、変性ジメチルシリコーンオイル(商品名;SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)0.08部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)の各ブタノンオキシムブロック体の1:1の混合物:35部を入れ混合溶液を調整した。このとき、HDIとIPDIの混合物は、「NCO/OH=0.8」となるように添加した。
【0131】
450mlのガラス瓶に上記混合溶液250部と、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200部を混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて10時間分散し、分散溶液を得た。
【0132】
この表面被覆層用塗布液を、弾性層上に1回ディッピング塗布し、常温で30分間以上風乾し、次いで80℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥し、更に150℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥して、弾性層上に表面被覆層を形成した。なお、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度が20mm/s、最終速度は2mm/sになるように速度調節し、20mm/sから2mm/sの間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
【0133】
このようにして、支持体上に弾性層及び表面層をこの順に有する帯電部材P1を作製した。表3に帯電部材の処方を示す。
【0134】
(帯電部材製造例2〜14)
帯電部材製造例1の複合粒子の種類、含有量を表3に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電部材2〜14を作製した。表3に帯電部材の処方を示す。
【0135】
(帯電部材製造例15)
(金属酸化物微粒子の作製)
ルチル型酸化チタン微粒子(平均粒径15nm)を1000部、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシランを110部、溶媒としてトルエンを3000部、それぞれ配合してスラリーを調製した。
【0136】
このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。
【0137】
湿式解砕処理して得たスラリーは、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを分離し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理後の微粒子は、室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕した比誘電率114の酸化チタン微粒子を調製した。
【0138】
上記酸化チタン微粒子を更に添加し、含有量を表3に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電部材15を作製した。表3に帯電部材の処方を示す。
【0139】
【表3】

【0140】
<実施例1〜31及び比較例1〜13>
本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置として、レーザービームを用いた有機感光体デジタル複写機(キヤノン社製:GP405)を用意した。該装置の概略は、感光体の帯電手段として帯電ローラを備え、帯電ローラの清掃として、清掃部材を保持する保持部材と、清掃部材として不織布のパッド部材を備え、現像手段として現像材担持体上の現像剤と感光体が非接触であって一成分ジャンピング現像方法を採用した一成分現像器を備え、転写手段として転写ローラを備え、ブレードクリーニング手段、帯電前露光手段を備える。また、感光体帯電器及び、クリーニング手段、感光体は一体型のユニットとなっている。プロセススピードは210mm/sで、現像スリーブへの直流分の電圧は−550Vとした。
【0141】
上記画像形成装置のトナーを、上記で作製したトナーを現像器に充填させ、また帯電ローラを外し、上記で作製した帯電ローラに調整して装着し、帯電ローラへの印加電圧成分で直流成分を−750Vの一定電圧になるように改造を施した。
【0142】
また、トナー粒子4を用いて作製したトナーを用いる場合は、現像器に備えられている現像剤担持体表面を被覆している樹脂コート部分を除去し、表面を粗面化した金属担持体とした。
【0143】
更に、トナー粒子5を用いて作製したトナーを用いる場合は、現像部分を1成分のジャンピング現像から、2成分現像剤を使用可能にした改造を施した現像器を用いた。現像剤については、体積平均粒径が50μmの表面がシリコーン樹脂で被覆されたCu−Znフェライトキャリアとそのキャリアに対して上述のトナー粒子5を用いて作製したネガ帯電性の非磁性トナーからなる現像剤を用い、2成分現像法とした。トナーとキャリアは質量比で7:100の比率で混合した。この場合の現像電圧は、−500Vの直流成分に1000Vpp/3kHzの矩形波を重畳した。
【0144】
上記画像形成装置を用いて、以下に示す評価方法に従い評価を行った。
【0145】
<評価1>
20℃/5%RH環境下で、画像比率20%のA4横の画像を1枚間欠で1万枚耐久を行い、耐久後に、感光体のみを未使用状態な感光体に交換し、現像バイアスの直流電圧成分を、現像位置での感光体上電位と、ほぼ同じにして、画像露光を行わないで、ハーフトーン濃度の画像(アナログハーフトーン)の画出しと通常のハーフトーン、ベタ白画像の画出しを行い、帯電ローラの表面汚れによる抵抗ムラ、表面層の傷について、以下の評価項目に従い評価を行った。
◎:アナログハーフトーンで、スジ、ムラ状の帯電不良の発生はなく、均一な画像が得られた。
〇:アナログハーフトーンで僅かにスジ状の帯電不良が発生も、通常のハーフトーン画像では問題のない画像が得られた。
〇△:アナログハーフトーンでスジ状、僅かに抵抗ムラによる濃度ムラの帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像でも僅かにスジ状の帯電不良が発生したが、ベタ白画像は問題なかった。
△:アナログハーフトーンでスジ状、ムラ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像でも僅かにスジ状、ムラ状の帯電不良が発生し、ベタ白画像でもスジ状の帯電不良が発生した。
×:アナログハーフトーンでスジ状、ムラ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像、またベタ白画像でも帯電不良によるカブリ画像、スジ、ムラ状の画像不良が発生した。
【0146】
<評価2>
20℃/5%RH環境下で、画像比率3%のA4横の画像を連続で5万枚耐久を行い、耐久後に帯電ローラのみを未使用状態な帯電部材に交換して、現像バイアスの直流電圧成分を、現像位置での感光体上電位と、ほぼ同じにして、画像露光を行わないで、ハーフトーン濃度の画像(アナログハーフトーン)の画出しを行い、感光体状の傷、融着について、以下の評価項目に従い評価を行った。
◎:アナログハーフトーンで、スジ、ムラ状、融着による帯電不良の発生はなく均一な画像が得られた。
〇:アナログハーフトーンで僅かにスジ状、ポチ状の帯電不良が発生も、通常のハーフトーン画像では問題のない画像が得られた。
△:アナログハーフトーンでスジ状、ポチ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像でも僅かにスジ状の帯電不良が発生した。
×:アナログハーフトーンでスジ状、ムラ状、ポチ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像、またベタ白画像でも帯電不良によるカブリ画像が発生した。
【0147】
<評価3>
24℃/60%RHの環境下で画像比率5%のA4横の画像を連続で3万枚耐久を行い、ドラムカートリッジの耐久前後の質量変化(クリーナー中の廃トナーの量g)と、耐久に使用された現像剤の量(消費量g)を測定し、以下の式から転写効率を求め、以下の評価項目に従い評価を行った:
(消費量−廃トナー量)/消費量×100(%)
◎:93%以上
〇:90%以上93%未満
△:85%以上90%未満
×:85%未満
【0148】
<評価4>
23℃/5%RH環境下で、画像チャートで、画像先端ドラム1周分がベタ黒で、それ以降の部分がハーフトーンであるA3画像画出しを行い、ゴースト画像の評価を以下の評価項目に従い評価を行った。
◎:ハーフトーン部分の画像が均一で濃度差がほとんど見られない。
〇:ベタ黒直後からドラム1周分のハーフトーン画像濃度と、それ以降のハーフトーン画像濃度に少し差が見られ、濃度の段差も確認できるレベル。
【0149】
以下の図4に実施例と比較例で評価した帯電部材とトナーのポイントと、以下の表4及び表5に実施例と比較例の耐久に使用した、帯電部材、トナーの評価結果を示す。
【0150】
【表4】

【0151】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の具体的な画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】帯電ローラの一例を示す概略構成図である。
【図3】トナーの平均円形度Cと複合粒子の個数平均粒径Dcの相関関係を示す図である。
【図4】実施例と比較例で評価した、帯電部材の表面層に含有される複合粒子の個数平均粒径Dcと、トナーの円形度Cの点を示す図である。
【符号の説明】
【0153】
1 電子写真感光体(感光体ドラム)
2 クリーニング装置
3 定着器
4 クリーニング弾性ブレード
5 転写材
6 一次帯電ローラ
6−1 導電性支持体
6−2 弾性層
6−3 表面層
7 現像器
7−1 現像スリーブ
7−2 現像材撹拌装置
8 転写ローラ
9 一次帯電ローラ清掃部材
L 露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも像担持体である支持体上に感光層と保護層を有する感光体に帯電部材を接触させて帯電させる工程と、
帯電された感光体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
トナー担持体上に担持させたトナーを該静電潜像に現像してトナー像を形成する現像工程と、
該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写させる転写工程と、
該転写材に静電転写させる転写工程と、
を有し、該トナーが着色剤と結着樹脂を有する平均円形度(C)が0.930以上0.995以下のトナーである画像形成方法において、
該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が以下の式の範囲を満足する複合粒子を含有することを特徴とする画像形成方法:
5≦Dc≦7000−(7000×C)
【請求項2】
前記複合粒子の個数平均粒径Dcが10≦Dc≦4500−(4500×C)である請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナーの平均円形度(C)が0.960以上0.995以下のトナーである請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記表面層に含有される複合粒子が、表面層に使用される結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下である請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記コア粒子Aが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム及びジルコン酸カルシウムよりなる群から選ばれる金属酸化物微粒子aである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記コア粒子Aが有機ケイ素化合物で表面処理されている請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記帯電部材の表面層に、更に、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム及びルチル型の酸化チタン粒子よりなる群から選ばれる比誘電率が50以上300以下の金属酸化物微粒子bを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記トナー粒子に、更に平均粒径が300〜3000nmであるペロブスカイト型結晶の無機微粉体を添加した請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記平均粒径が300〜3000nmであるペロブスカイト型結晶の無機微粉体の添加量が、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下である請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
電子写真感光体と、該感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより該感光体を帯電する帯電手段とを有し、トナー担持体上に担持させたトナーを静電潜像に現像してトナー像を形成する現像手段、クリーニング手段及び転写手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段が、帯電手段と一体に支持され、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
該トナーが着色剤と結着樹脂を有する平均円形度(C)が0.930以上0.995以下のトナーであり、該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が以下の式の範囲を満足する複合粒子を含有することを特徴とするプロセスカートリッジ:
5≦Dc≦7000−(7000×C)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−330369(P2006−330369A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153994(P2005−153994)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】