説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】重合トナーを用いた画像形成においては、画像形成の開始及び終了時感光体に多量に付着するトナーも同様に高画質を実現するのに問題となる。
【解決手段】画像形成開始時及び画像形成終了時に、現像剤担持体の電位が、感光体の電位よりも絶対値で低くなるように、DCバイアス印加の開始/終了タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式により記録材に画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置に関し、特に、画像転写後の感光体等の像担持体をクリーニングするクリーニング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成では、静電潜像形成、現像及び転写により、記録材上に画像を形成し、転写後の像担持体をクリーニングすることにより、像担持体を再使用可能にする工程を1サイクルとし、該サイクルを繰り返すことにより、多数回の画像形成が行われる。
【0003】
クリーニングには、クリーニングブレードが広く用いられているが、最近、高画質の画像を形成することができる重合トナーを用いた画像形成方法が採用されつつあり、重合トナーに適合したクリーニング技術の開発が行われている。
【0004】
重合トナーは、従来の粉砕トナーに比較して粒径が小さい上に、トナー粒子が球形又は球形に近いために、従来の粉砕トナーよりもクリーニングし難く様々なクリーニング方法が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クリーニング技術の開発により、重合トナーを用いた画像形成方法が確立され実用されているが、重合トナーを用いた画像形成工程では、従来の粉砕トナーを用いた場合に比較して、クリーニングの条件が厳しいことに変わりはない。
【0006】
また、更に高画質化を実現するには、クリーニング性能を更により上げる必要がある。
【0007】
本発明は、クリーニングにかかる負担を軽減することにより、良好なクリーニング性能を実現し、高画質の画像を形成する画像形成技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は下記の発明により達成される。
1.
移動する感光体に対向して、非接触の帯電手段、露光手段、現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を配置し、
帯電、露光及び重合トナーを用い、反転現像用のDCバイアス電圧を印加し、且つ、接触現像を行う現像を実施して前記感光体上にトナー像を形成し、形成したトナー像を前記転写手段により記録材に転写し、転写後の前記感光体を前記クリーニング手段によりクリーニングする画像形成方法において、
前記感光体が移動を開始する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成方法。
2.
前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
3.
前記クリーニング手段は磁気ブラシによりクリーニングを行うことを特徴とする前記1又は前記2に記載の画像形成方法。
4.
前記現像手段及び前記クリーニング手段に磁気ブラシが兼用されることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
5.
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
6.
前記現像剤担持体側に配置された磁石の磁気力をF1、前記感光体と前記現像剤担持体間の電圧による静電気力をF2、前記現像剤担持体の経典による遠心力をF3とするときに、
前記感光体の電位と前記現像剤担持体の電位との差が大きいときに、
条件F1+F2>F3が満たされることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
7.
感光体、帯電手段、露光手段、重合トナーを用いて、帯電と同極性のDCバイアス電圧の元に接触現像により現像を行う現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を有する画像形成装置において、
前記DCバイアス電圧を制御する制御手段を有し、該制御手段は、前記感光体が移動を開始する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成装置。
8.
前記制御手段は、前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする前記7に記載の画像形成装置。
9.
前記クリーニング手段は、磁気ブラシを有することを特徴とする前記7又は前記8に記載の画像形成装置。
10.
前記現像手段及び前記クリーニング手段は、磁気ブラシを共用することを特徴とする前記7〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
11.
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする前記7〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
12.
移動する感光体に対向して、帯電手段、露光手段、現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を配置し、帯電、露光及び重合トナーを用い、反転現像用のDC電圧にAC電圧が重畳されたバイアス電圧を印加し、接触現像により現像して前記感光体上にトナー像を形成し、形成されたトナー像を前記転写手段により記録材に転写し、転写後の前記感光体を前記クリーニング手段によりクリーニングする画像形成方法において、
前記感光体が移動を開始する際に、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成方法。
13.
前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする前記12に記載の画像形成方法。
14.
前記クリーニング手段は磁気ブラシによりクリーニングを行うことを特徴とする前記12又は前記13に記載の画像形成方法。
15.
前記現像手段及び前記クリーニング手段に磁気ブラシが兼用されることを特徴とする前記12〜14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
16.
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする前記12〜15のいずれか1項に記載の画像形成方法。
17.
前記現像剤担持体側に配置された磁石の磁気力をF1、前記感光体と前記現像剤担持体間の電圧による静電気力をF2、前記現像剤担持体の経典による遠心力をF3とするときに、
前記感光体の電位と前記現像剤担持体の電位との差が大きいときに、
条件F1+F2>F3が満たされることを特徴とする前記12〜16のいずれか1項に記載の画像形成方法。
18.
感光体、帯電手段、露光手段、重合トナーを用いて、帯電と同極性のDC電圧にAC電圧が重畳されたバイアス電圧の元に接触現像により現像を行う現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を有する画像形成装置において、
前記バイアス電圧を制御する制御手段を有し、該制御手段は、画像形成の開始時に、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成装置。
19.
前記制御手段は、前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする前記18に記載の画像形成装置。
20.
前記クリーニング手段は、磁気ブラシを有することを特徴とする前記18に記載の画像形成装置。
21.
前記現像手段及び前記クリーニング手段は、磁気ブラシを共用することを特徴とする前記18〜20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
22.
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする前記18〜21のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
請求項記1、7、12又は18の発明により、画像形成の開始時に多量のトナーが感光体に付着してクリーニング手段の負担となり、重合トナーを用いた画像形成の問題となっていたが、この問題が解決され、重合トナーを用いた画像形成において良好なクリーニングが可能になる。
【0010】
請求項2、8、13又は19の発明により、画像形成の終了時に多量のトナーが感光体に付着してクリーニング手段の負担となり、重合トナーを用いた画像形成の問題となっていたが、この問題が解決され、重合トナーを用いた画像形成において良好なクリーニングが可能になる。
【0011】
請求項3、4、6、910、14、15、20又は21の発明により、キャリア付着により感光体が損傷を受けることが防止されるので、感光体の寿命が延長される。
【0012】
請求項5、11、16又は16の発明により、解像力、階調表現性等に優れた高画質の画像を形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の例を示す。
【0014】
矢印のように時計方向に回転する像担持体としてのドラム状の感光体1の周囲に、感光体1の回転方向上流から、帯電手段2、露光手段3、現像手段4、転写手段5及びクリーニング手段8が配置される。
【0015】
感光体1にはOPC、aSi等が用いられる。帯電手段2には、コロナ帯電手段、ローラ帯電手段、ブラシ帯電手段等が用いられる。露光手段3は、レーザ、発光ダイオード等のドット露光を行う露光手段が用いられる。
【0016】
現像手段4は、バイアス電源4dによりバイアス電圧が印加され現像剤を支持搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ4a、羽車状の現像剤搬送部材4b及びスクリュー状の現像剤撹拌部材4cを有する。
【0017】
バイアス電源4dは帯電手段2の帯電と同極性のDCバイアス電圧、又はAC電圧に帯電と同極性のDC電圧が重畳されたバイアス電圧を現像スリーブ4aに印加する。現像手段4はキャリアとトナーを含む二成分現像剤を収容し、トナーとしては重合トナーであり、重量平均粒径が2〜6μmの小粒径トナーが用いられる。このような小粒径重合トナーを用いることにより、高画質の画像が形成される。キャリアとしては、重量平均粒径が20〜80μmの磁性体からなる粒子が望ましい。
【0018】
本実施の形態は重合トナーを用いることにより、高解像力であり、濃度が安定しカブリ等の発生が極めて少ない画像を形成することが可能になる。
【0019】
重合トナーは次のような製造方法により製造される。
【0020】
トナー用バインダー樹脂の生成とトナー形状とがバインダー樹脂の原料モノマー又はプレポリマーの重合及びその後の化学的処理により形成されて得られる。より具体的には、懸濁重合又は乳化重合等の重合反応と必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られ、重合トナーでは、原料モノマー又はプレポリマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布及び形状の均一なトナーが得られる。
【0021】
本実施の形態においては重量平均粒径が2〜6μmの小粒径トナーが用いられる。
【0022】
重量平均粒径は、質量基準の平均粒径であって、湿式分散機を備えた「コールターカウンターTA−11」又は「コールターマルチサイザー」(いずれもコールター社製)により測定した値である。
【0023】
重量平均粒径が2μmを下回ると、かぶりの発生やトナー飛散が起こりやすくなる。上限6μmは本実施の形態が目標とする高画質を形成することを可能する粒径の上限である。
【0024】
前記のように帯電と同極性のDCバイアスを印加した現像により、露光部にトナーを付着させる反転現像が行われる。現像方法としては、接触現像法、非接触現像法のいずれを用いることもできる。
【0025】
5は転写手段であり、コロナ放電により転写を行うコロナ転写手段、転写電圧が印加されたローラを用いるローラ転写手段等を用いることができる。6は分離手段、7は定着手段である。
【0026】
8はクリーニング手段であり、ウレタンゴム等の弾性体からなるクリーニングブレード81を用いてクリーニングを行う。
【0027】
記録材Pは給紙部9から感光体1と転写手段5の間に給紙され、転写手段5により感光体1上のトナー像が記録材Pに転写される。転写されたトナー像は定着手段7により記録材Pに定着される。11はトナーを現像手段4に補給するトナー補給部である。
【0028】
感光体1の矢印で示す時計方向の回転に従って、帯電手段2の帯電及び露光手段3の露光により感光体1上に静電潜像が形成され、形成された静電潜像は現像手段4により現像されて感光体1上にトナー像が形成される。このように、帯電手段2、露光手段3及び現像手段4は像形成手段を構成する。形成されたトナー像は転写手段5により記録材Pに転写される。
【0029】
転写されたトナー像は定着手段7により定着される。また、転写後の感光体1はクリーニング手段8によりクリーニングされ、帯電からクリーニングまでを繰り返すことにより多数の画像形成が行われる。画像形成により消費されたトナーはトナー補給部11から補給される。また、クリーニング手段8において回収されたトナーはトナーリサイクル装置12により現像手段4に戻される。
【0030】
本実施の形態においては、感光体1上に制御用パッチを形成し、形成した制御用パッチの濃度を濃度検知手段としての濃度センサ10により検知し、検知した濃度情報に基づいて画像形成条件を調整して、常に一定した濃度の画像を形成する画像濃度制御が行われる。
【0031】
制御用パッチを用いた画像濃度制御は次の工程により行われる。
【0032】
露光手段3を所定の基準画像データに基づいて駆動して露光を行って、感光体上に制御用パッチの静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像手段4により現像して感光体1上に制御用パッチを形成する。形成した制御用パッチを転写することなく濃度センサ10を通過させて、制御用パッチの画像濃度を検知する。検知した制御用パッチの画像濃度に基づいて画像形成条件の調整が行われる。
【0033】
調整される画像形成条件としては、帯電手段2の帯電電位、露光手段3の露光量、現像手段4のバイアス電圧、現像スリーブ4aの回転数及びトナー補給による現像剤のトナー濃度がある。画像濃度検知後の制御用パッチは転写されることなくクリーニング手段8によりクリーニングされる。
【0034】
制御用パッチとしては、図2(a)に示すように、最高濃度部に近い濃度を有する1個のパッチ、図2(b)に示すように、低濃度部から高濃度部に亘る複数のパッチを用いることができる。制御用パッチを用いた画像濃度制御は、画像形成装置の立ち上がり時、即ち、メインスイッチをオンして画像形成装置を作動させウォーミングアップを行うとき、各画像形成ジョブの開始時、画像形成の終了時、待機状態で所定時間経過時、所定枚数の画像形成時等に実行される。
【0035】
前記のように画像濃度制御において形成される制御用パッチは転写されることなくクリーニングされるので、画像濃度制御においてクリーニングブレード81aが掻き取るトナー量は、感光体1の単位面積当たりで、画像形成工程における量よりも格段に多く、それだけクリーニングされずに感光体1に残留するトナーが多くなる。このような制御用パッチによる残留トナーが画像形成において画質低下の原因になる。
【0036】
本実施の形態においては、このような問題を制御用パッチを形成するトナーの量を制限することにより解決した。
【0037】
高解像力を有し、広い階調表現範囲を有する高画質の画像を形成するという観点から粒径範囲2〜6μmのトナーを用い、また、クリーニングブレード81として、硬度65〜80°、反発係数20〜80%の範囲にあるクリーニングブレードを用いて、制御用パッチの形成を伴った画像形成実験を行った。これらの条件は高画質の画像を形成するために望ましい範囲であり、トナーの粒径が2μmより小では、カブリが生じたりトナー飛散が生ずる等の問題が出る。トナー粒径が6μmより大では本実施の形態が目標としている画質が充分に達成されない。また、クリーニングブレードの硬度が65°を下回り、反発弾性20%を下回るとクリーニング性能が低下するとともに、メクレが生じやすくなる。そして、クリーニングブレードの硬度が80°を超え、反発弾性が80%を超えると、感光体を傷つける等の問題が生ずる。
【0038】
クリーニングブレードの硬度は温度25℃においてJIS6253により測定した値であり、反発弾性は温度25℃においてJIS6301により測定した値である。
【0039】
トナー付着量・トナーの重量平均粒径と、クリーニング性能との関係に関する実験結果は図3に示すとおりである。図3において、直線Lよりも上はクリーニングが不十分な領域であり、直線L以下はクリーニングが十分な領域である。この実験結果からトナーの重量平均粒径をX(μm)とするとき、
制御パッチを形成するトナーの質量をYとすると、
Y<0.07Xmg+0.1mg
という条件を満たす質量Yのトナーを感光体1に付着させて制御用パッチを形成することにより、良好な画像を形成することができることが明らかになった。ただし、トナーの質量Yは感光体1の移動方向に直交する方向、即ち、ドラム状感光体1の回転軸方向の10mmの長さの部分に付着したトナーの質量である。
【0040】
このような制御用パッチのトナー付着量の制御は、帯電手段2の帯電量、露光手段3の露光量、現像手段4の現像スリーブ4aの回転数、現像手段4の現像バイアス電圧等を調整することにより実行される。
【0041】
(2)実施の形態2
図4は本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の一例を示す。
【0042】
矢印のように時計方向に回転する感光体21の周囲に、ドラム状の感光体21の回転方向上流から、帯電手段22、露光手段23、現像手段24、転写手段25及びクリーニング手段28が配置される。
【0043】
感光体21にはOPC、aSi等が用いられる。帯電手段2には、コロナ帯電手段のように、感光体21に接触しない非接触の帯電手段が用いられる。露光手段23は、レーザ、発光ダイオード等のドット露光を行う露光手段が用いられる。
【0044】
現像手段24は、バイアス電源24dによりバイアス電圧が印加され現像剤を支持搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ24a、羽車状の現像剤搬送部材24b及びスクリュー状の現像剤撹拌部材24cを有する。CRはバイアス電源24dを制御する制御手段である。
【0045】
バイアス電源24dは帯電手段22の帯電と同極性のDCバイアス、又はACに帯電と同極性のDCが重畳されたバイアス電圧を現像スリーブ24aに印加する。現像手段24はキャリアとトナーを含む二成分現像剤を収容し、トナーとしては重合トナーが用いられる。なお、重量平均粒径が2〜8μmの小粒径トナーが好ましい。重合トナーを用いることにより、高画質の画像が形成される。
【0046】
本実施の形態は重合トナーを用いることにより、高解像力であり、濃度が安定しカブリ等の発生が極めて少ない画像を形成することが可能になる。
【0047】
重合トナーは次のような製造方法により製造される。
【0048】
トナー用バインダー樹脂の生成とトナー形状とがバインダー樹脂の原料モノマー又はプレポリマーの重合及びその後の化学的処理により形成されて得られる。より具体的には、懸濁重合又は乳化重合等の重合反応と必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られ、重合トナーでは、原料モノマー又はプレポリマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布及び形状の均一なトナーが得られる。
【0049】
重量平均粒径は、質量基準の平均粒径であって、湿式分散機を備えた「コールターカウンターTA−11」又は「コールターマルチサイザー」(いずれもコールター社製)により測定した値である。
【0050】
25は転写手段であり、コロナ放電により転写を行う非接触のコロナ転写手段が用いられる。26は分離手段、27は定着手段である。
【0051】
28はクリーニング手段であり、クリーニング用の磁気ブラシMBを有する。
【0052】
記録材Pは給紙部29から感光体21と転写手段25の間に給紙され、転写手段25により感光体21上のトナー像が記録材Pに転写される。転写されたトナー像は定着手段27により記録材Pに定着される。32はトナーを現像手段4に補給するトナー補給部である。
【0053】
感光体21の矢印で示す時計方向の回転に従って、帯電手段22の帯電及び露光手段23の露光により感光体21上に静電潜像が形成され、形成された静電潜像は現像手段24により現像されて、感光体21上にトナー像が形成され、形成されたトナー像は転写手段25により記録材Pに転写される。
【0054】
転写されたトナー像は定着手段27により定着される。転写後の感光体21はクリーニング手段28によりクリーニングされ、帯電からクリーニングまでを繰り返すことにより多数の画像が記録材Pに形成される。
【0055】
図5は本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の他の例を示す図である。
【0056】
本例では、現像剤担持体としての現像スリーブ24a上に形成した磁気ブラシMBが現像用の磁気ブラシ及びクリーニング用の磁気ブラシとして兼用される。このような兼用は、制御手段CRによりバイアス電源24dを制御して、現像工程においては、反転現像バイアス、即ち、感光体21の最高帯電電位に近く、該最高帯電電位よりも低い値に設定し、クリーニングにおいては、クリーニングバイアス、即ち、トナーの帯電電位(感光体21の帯電電位と同極性)と反対極性の電位に設定する。図5の画像形成装置では、感光体21を2回転させることにより、1枚の画像が形成される。即ち、感光体21の1回転により、像形成及び転写が行われ、次の1回転により、クリーニングが行われるが、クリーニングに先立って、光源EXによる一様露光が行われる。
【0057】
次に、現像スリーブ24aに感光体21の帯電電位と同極性のバイアス電圧を印加して現像する反転現像における感光体電位Ppと現像スリーブ電位Vpの制御について説明する。
【0058】
図6は現像スリーブ24aに印加されるDC電圧の制御タイミングを示し、図6(a)は従来の制御を、図6(b)は本実施の形態における制御をそれぞれ示す。
【0059】
画像形成工程の開始時における感光体電位Ppと現像スリーブ電位Vpは図示のような立ち上がりを示す。即ち、一般に、感光体電位Ppの立ち上がり時間は現像スリーブ電位Vpよりも長い。従来は、キャリア付着を起こさないことを目的として、感光体電位Ppが現像スリーブ電位Vpを大幅に超えないように感光体電位Ppの立ち上がりと現像スリーブ電位Vpの立ち上がりを制御していた。即ち、図6(a)においてV1は白紙電位差と呼ばれる電位差であり、V0は感光体1の帯電及び現像スリーブへの現像バイアスの電圧の印加前の状態における初期電位差であるが、白紙電位差V1及び初期電位差V0のみでなく、全体を通じてキャリア付着が発生しないように系が設定されている。その結果、D1で示す期間では、現像スリーブ電位Vpが感光体電位Ppよりも大きな値となって、トナー付着、即ち、感光体にトナーが付着する現象が起こる。このトナー付着はいわゆるベタ現像に等しい現象であり、多量のトナーが感光体21に付着する。その結果、クリーニング手段28の負担が増大する。
【0060】
重合トナーを用いた画像形成工程においては、このようにして感光体21に多量に付着したトナーを転写することなくクリーニングする場合に、クリーニング不良が起きやすくなる。
【0061】
本実施の形態においては、図6(b)に示すように感光体電位Pp及び現像スリーブ電位Vpの立ち上がりの期間D2において、現像スリーブ電位Vpが感光体21の電位Ppよりも絶対値において低くなるように、即ち、これら電位の差Vxが白紙電位差V1と同極性となるように感光体電位Ppの立ち上がりタイミングに対する現像スリーブ電位Vpの立ち上がりタイミングを従来よりも遅らせる制御を行っており、本実施の形態における制御は、立ち上がり時において感光体電位Ppと現像スリーブ電位Vpとが常にPp≧Vpという関係を維持する制御であるということができる。
【0062】
この制御によって、いわゆるベタ現像がなくなり、クリーニング手段28にかかる負担が軽減されるので、重合トナーを用いた画像形成工程におけるクリーニング不良が解消される。なお、期間D2においては、キャリア付着が起こる可能性がある。
【0063】
キャリア付着を起こさない条件は次のとおりである。
【0064】
現像スリーブ24d側に配置された磁石の磁気力F1+感光体21と現像スリーブ24a間の電圧による静電力F2>現像スリーブ24aの回転による遠心力F3
F1+F2<F3になるとキャリア付着が発生するので、白紙電位V1の値は種々の条件においてF1+F2>F3が成立するように設定されるが、本実施の形態においては、感光体電位Ppと現像スリーブ電位Vpとの差が大きい期間D2においてF1+F2>F3が成立することが望ましい。
【0065】
なお、前記の説明は、電位、電位差の絶対値を用いた説明であり、負帯電性感光体であるOPC感光体では電位の高低関係は逆になる。
【0066】
OPC感光体を用いた反転現像の例では、感光体21の帯電電位、即ち、感光体電位Ppの最高値(絶対値での最高値)は−700〜−800V程度、現像スリーブ電位Vpは−600V〜−700V程度であり、白紙電位差V1は、通常、−数十V〜−200V程度に設定される。
【0067】
クリーニングブレード等の感光体21に接触する部材を用いた画像形成装置においては、キャリア付着による感光体21の損傷を避けるために、キャリア付着を起こさないように画像形成条件が設定される。この条件は、画像部以外の感光体表面にトナーが付着する可能性のある条件である。
【0068】
キャリア付着に対する安全策として、図4に示すように帯電手段22、転写手段25に非接触のものを用いるとともに、クリーニング手段28として磁気ブラシMBを用いている。更に、図5に示すように現像手段24とクリーニング手段に共通の磁ブラシMBを用いている。
【0069】
また、画像形成を終了し、感光体21が停止する場合にも、前記の感光体21の移動開始時と同様に、現像スリーブ電位Vpが感光体電位Ppよりも絶対値において低く維持されるように、現像スリーブ電位Vpの印加停止タイミングが制御される。
【0070】
図4、5には、現像スリーブ24aにDC電圧を印加する例を示しているが、
バイアス電圧として、AC電圧にDC電圧を重畳したバイアス電圧を印加してもよい。この場合には、感光体21の移動開始と停止時において、DC電圧の印加タイミングを前記に説明したと同様に、感光体電位と現像スリーブ電位との差が現像時における白紙電圧と同極性になるような制御が行われる。AC電圧にDC電圧を重畳したバイアス電圧を印加する現像において、図6(b)に示す制御をDC電圧に対して実行することにより、前記と同様に感光体21に多量のトナーが付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の例を示す図である。
【図2】制御用パッチを示す図である。
【図3】トナー付着量とクリーニング性能に関する実験結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の他の例を示す図である。
【図6】現像スリーブに印加されるDC電圧の制御タイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1、21 感光体
2、22 帯電手段
3、23 露光手段
4、24 現像手段
5、25 転写手段
6、26 分離手段
7、27 定着手段
8、28 クリーニング手段
MB 磁気ブラシ
V1 白紙電位差
Pp 感光体電位
Vp 現像スリーブ電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する感光体に対向して、非接触の帯電手段、露光手段、現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を配置し、
帯電、露光及び重合トナーを用い、反転現像用のDCバイアス電圧を印加し、且つ、接触現像を行う現像を実施して前記感光体上にトナー像を形成し、形成したトナー像を前記転写手段により記録材に転写し、転写後の前記感光体を前記クリーニング手段によりクリーニングする画像形成方法において、
前記感光体が移動を開始する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記クリーニング手段は磁気ブラシによりクリーニングを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記現像手段及び前記クリーニング手段に磁気ブラシが兼用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記現像剤担持体側に配置された磁石の磁気力をF1、前記感光体と前記現像剤担持体間の電圧による静電気力をF2、前記現像剤担持体の経典による遠心力をF3とするときに、
前記感光体の電位と前記現像剤担持体の電位との差が大きいときに、
条件F1+F2>F3が満たされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
感光体、帯電手段、露光手段、重合トナーを用いて、帯電と同極性のDCバイアス電圧の元に接触現像により現像を行う現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を有する画像形成装置において、
前記DCバイアス電圧を制御する制御手段を有し、該制御手段は、前記感光体が移動を開始する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DCバイアス電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記クリーニング手段は、磁気ブラシを有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像手段及び前記クリーニング手段は、磁気ブラシを共用することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
移動する感光体に対向して、帯電手段、露光手段、現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を配置し、帯電、露光及び重合トナーを用い、反転現像用のDC電圧にAC電圧が重畳されたバイアス電圧を印加し、接触現像により現像して前記感光体上にトナー像を形成し、形成されたトナー像を前記転写手段により記録材に転写し、転写後の前記感光体を前記クリーニング手段によりクリーニングする画像形成方法において、
前記感光体が移動を開始する際に、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記クリーニング手段は磁気ブラシによりクリーニングを行うことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の画像形成方法。
【請求項15】
前記現像手段及び前記クリーニング手段に磁気ブラシが兼用されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項16】
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項17】
前記現像剤担持体側に配置された磁石の磁気力をF1、前記感光体と前記現像剤担持体間の電圧による静電気力をF2、前記現像剤担持体の経典による遠心力をF3とするときに、
前記感光体の電位と前記現像剤担持体の電位との差が大きいときに、
条件F1+F2>F3が満たされることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項18】
感光体、帯電手段、露光手段、重合トナーを用いて、帯電と同極性のDC電圧にAC電圧が重畳されたバイアス電圧の元に接触現像により現像を行う現像手段、非接触の転写手段及びクリーニング手段を有する画像形成装置において、
前記バイアス電圧を制御する制御手段を有し、該制御手段は、画像形成の開始時に、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加開始のタイミングを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記感光体が停止する際の、前記感光体の未帯電部が前記現像手段を通過する時間における前記現像手段に設けられた現像剤担持体の電位が、前記感光体の電位よりも絶対値において低い値に維持されるように、前記DC電圧の印加停止のタイミングを制御することを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記クリーニング手段は、磁気ブラシを有することを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記現像手段及び前記クリーニング手段は、磁気ブラシを共用することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記重合トナーの重量平均粒径は2〜8μmであることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−83717(P2008−83717A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310047(P2007−310047)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【分割の表示】特願2001−339377(P2001−339377)の分割
【原出願日】平成13年11月5日(2001.11.5)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】