説明

画像形成注文受付システムおよび画像形成注文システム

【課題】複数のプリントサービス会社から注文データをダウンロードする場合でも、容易な作業で各種のサービス内容に応じた画像形成処理の可能な画像形成注文/注文受付システムを提供する。
【解決手段】サーバーシステムにアップロードされた写真プリント作成の注文データを、受注端末がダウンロードによりその注文データを取得して、写真プリントを作成するプリント処理機器とを備えたプリント注文受付システムに、プリント処理機器において処理可能なサービス内容に関するデータを、プリント処理機器から取得するデータ取得手段と、受注端末がダウンロードした注文データにより指定されたサービス内容が、プリント処理機器において処理可能か否かを、データ取得手段により取得されたデータに基づいて判断する判断手段と、判断手段により処理可能と判断されたプリント処理機器に対して、ダウンロードした注文データを送出する送出部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等のネットワークを介して画像形成処理の注文を受け、画像形成処理を行う画像形成注文受付システム、および画像形成注文システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、インターネット等のネットワークを経由して写真プリントの作成(画像形成処理の一例)の注文を行うシステム(以下、写真プリント注文システムと称する。)が徐々に浸透してきている。このシステムは、各プリントサービス会社がインターネット上にサーバーシステムを設置し、ネットワークでプリント注文を行う機能をそのサーバーシステムに搭載することで実現することができる(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
【0003】
例えば、プリント注文を行いたい顧客は、パソコンを用いて、希望のプリントサービス会社が設置したサーバーシステムのホームページにアクセスする。そして、氏名や電話番号などの顧客情報を入力して会員登録し、写真プリントの作成を依頼したい画像データをパソコンからサーバーシステムへとアップロードする。顧客は、アップロードされた個々の画像について、それぞれプリント枚数やプリントサイズなどを指定する。また、写真プリントの作成を依頼する写真店や支払方法などを指定する。更に、依頼するプリントサービス会社によっては、キャラクターの画像入り写真プリント、シールプリント、またはCD−R等の記録媒体への書き込みなど、付随的なサービスを指定することができる。これらの指定が終わると、注文内容を確認し、OKであれば所定のボタンをクリックすることで、注文内容が確定する。確定した注文データは、サーバーシステムに保存される。
【0004】
一方、写真店は、プリント注文受付システムにより、上記の顧客から写真プリントの注文を受け付けることができる。即ち、パソコン等を用いて、提携しているプリントサービス会社が設置したサーバーシステムのホームページにアクセスする。そして、自分の写真店に対する注文データの有無を確認し、注文がある場合は、注文データをダウンロードして、プリント処理機器により写真プリントを作成する。仕上がりの写真プリントは、顧客が直接写真店を訪問するか、写真店から顧客の自宅へ写真プリントの発送を行うことで、仕上がり写真プリントの提供が行われる。
【0005】
通常、各写真店は、複数のプリントサービス会社と提携し、受注間口をできる限り広げて顧客の確保に努めている。従って、写真店には、各プリントサービス会社からダウンロードした注文データに対して、それぞれ指定されたサービス内容に合致したプリント処理が求められていた。しかしながら、例えば、同じL版の注文であっても、プリントサービス会社によっては画像の幅サイズが0.5mmほど異なる場合があり、注文データにより指定されたサービス内容が同じであっても、プリントサービス会社が異なるために実態が異なる場合があった。また、プリントサービス会社によって、料金の計算方法や画像処理に用いるパラメータ値が異なる場合があった。更に、上記の付随的なサービスはプリントサービス会社が独自で提供しているものが多く、プリントサービス会社ごとに内容が異なるものであった。
【0006】
そのため、従来の写真店では、プリントサービス会社ごとにプリント処理機器を使い分けたり、注文データのダウンロード元を変える度にプリント処理機器の設定を変更したりしていた。かかる作業は、写真店のオペレータにとって大きな負担を強いるものであった。また、誤ったプリント処理機器を用いてプリント処理を行った場合には、所望のプリント結果が得られないという問題もあり、出力結果がそのサービス内容に合致したものか確認する作業も必要であった。
【特許文献1】特開2002−163192号公報
【特許文献2】特開2002−290703号公報
【特許文献3】特開2003−67478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、複数のプリントサービス会社から注文データをダウンロードする場合においても、煩雑な作業を必要とせずに各種のサービス内容に応じた画像形成処理を行うことができる画像形成注文受付システムおよび画像形成注文システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る画像形成注文受付システムは、ネットワーク上に設置された少なくとも1つのサーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、そのネットワークを介してダウンロード可能に構成した注文受付部と、前記注文受付部がダウンロードした注文データを取得して、画像形成処理を行う少なくとも1つの画像形成処理機器と、を備えた画像形成注文受付システムにおいて、前記画像形成処理機器において処理可能なサービス内容に関するデータを、その画像形成処理機器から取得するデータ取得手段と、前記注文受付部がダウンロードした注文データにより指定されたサービス内容が、画像形成処理機器において処理可能か否かを、前記データ取得手段により取得されたデータに基づいて判断する判断手段と、前記判断手段により処理可能と判断された画像形成処理機器に対して、ダウンロードした前記注文データを送出する送出部とを備える。
【0009】
この構成による画像形成注文受付システムの作用効果を説明する。係る画像形成注文受付システムは、インターネット等のネットワークに接続された環境で用いられ、そのネットワーク上には画像形成処理の注文データがアップロードされるサーバーシステムが少なくとも1つ設置される。注文データには、画像情報を有する画像データの他に、プリント注文の場合であればプリント枚数やプリントサイズ、付随的なサービス内容の指定に関するデータが含まれる。画像形成注文受付システムは、その注文データを注文受付部にてダウンロードするとともに、その注文データを用いて画像形成処理機器により画像形成処理を行う。画像形成処理としては、写真プリントの作成、CD−R等の記録媒体への画像の記録またはネットワークへの再アップロード等が例示される。
【0010】
本発明の構成によれば、注文受付部が注文データをダウンロードすると、その注文データにより指定されたサービス内容を処理可能な画像形成処理機器を判断して、その画像形成処理機器に対して上記注文データを送出することができる。しかも、その判断は、画像形成処理機器から取得されたデータに基づいて行われるため、画像形成処理機器には略確実に処理可能な注文データが送出される。これにより、オペレータに煩雑な作業を強いることなく、サービス内容に応じた画像形成処理を効率的に行うことができる。
【0011】
本発明において、「サービス内容」とは、各プリントサービス会社が提供する画像形成処理内容を言う。例えば、写真プリントを作成する場合では、デジタル銀塩プリント、インクジェットプリントおよび昇華型プリント等のプリントタイプ、L版、2L版などのプリントサイズなどが挙げられ、この他にもシールプリント、キャラクターの画像入り写真プリントなどが挙げられる。これらのサービス内容が画像形成処理機器により処理可能か否かは、その画像形成処理機器の仕様または設定に依存する。なお、同じL版の注文でもプリントサービス会社によっては実際のサイズが異なるなど、同じサービス内容の注文であっても、プリントサービス会社が異なることによって実態が異なるものは、サービス内容が異なるものとすることができる。
【0012】
上記において、注文データにより指定されるサービス内容と、そのサービス内容を処理可能な画像形成処理機器と、を対応付けて記録するテーブルを保存するテーブル保存部を備え、前記データ取得手段により取得されたデータは前記テーブルに記録されるとともに、前記判断手段による判断は前記テーブルを用いて行われるものが好ましい。
【0013】
判断手段が、注文データにより指定されるサービス内容と、そのサービス内容を処理可能な画像形成処理機器とを対応付けたテーブルを用いることにより、判断処理の度に各画像形成処理機器から処理可能なサービス内容に関するデータを取得する必要がなくなるため、上記の判断処理をより効率的に行うことができる。また、テーブル保存部に上記テーブルを保存しておくことで、注文受付部が行う判断処理および送出処理をオペレータが把握し易く、管理が容易となる。
【0014】
上記において、前記判断手段により判断されるサービス内容の項目を、任意に設定可能に構成されたものが好ましい。
【0015】
上記構成により、個々の写真店に設置された各画像形成処理機器の仕様または設定の状況に適宜対応することができる。例えば、特定の1社のプリントサービス会社とのみ提携している写真店であって、設置された画像形成処理機器が全てそのプリントサービス会社が提供するサービス内容に対応している場合には、プリントサービス会社によって違いが生じるサービス内容の判断を省略することができる。一方、プリントサービス会社によって複数の画像形成処理機器を使い分けている写真店であれば、プリントサービス会社を判断項目とすることができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成注文システムは、ネットワーク上に少なくとも1つ設置され、アップロードされた画像形成処理の注文データを保存可能に構成されたサーバーシステムと、そのサーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成した上記いずれかの画像形成注文受付システムとを備える。
【0017】
この構成による画像形成注文システムの作用効果を説明する。まず、インターネット等のネットワーク上に設置されたサーバーシステムが、ネットワーク経由での画像形成処理の注文を顧客から受け付ける。画像形成処理を依頼する顧客は、画像データを自分のコンピュータからサーバーシステムへとアップロードする。当該コンピュータは、パソコンでもよいし、PDAや携帯電話などのモバイル機器でもよい。画像データやその他のプリント処理に必要なデータは、注文データとしてサーバーシステムに保存される。一方、写真店側は、自分の写真店に対して画像形成処理の注文があった場合、注文受付部により注文データをダウンロードし、画像形成処理機器により写真プリントの作成を行う。そして、本発明の画像形成注文システムによれば、上述のように、注文受付部が注文データをダウンロードすると、その注文データにより指定されたサービス内容を処理可能な画像形成処理機器を判断し、その画像形成処理機器に対して上記注文データを送出することができる。その結果、オペレータに煩雑な作業を強いることなく、サービス内容に応じた画像形成処理を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成注文システムの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、写真プリント注文システム(前記画像形成注文システムに相当する。)の構成の概要を示す模式図である。通常、写真プリントの作成(前記画像形成処理に相当する。)を写真店に依頼する場合には、顧客が撮影済みネガフィルムやデジタルカメラにより画像が記録された記憶媒体を直接写真店に持ち込むことで行われる。これに対して、顧客が直接写真店を訪問しなくても写真プリントの作成を依頼できるオンラインの写真プリント注文システムが公知であり、本発明もこれに関するものである。
【0019】
<写真プリント注文システムの概要>
サーバーシステム1は、インターネット(前記ネットワークに相当する。)上に設置されており、写真プリント注文システムの中核を構成する。サーバーシステム1は、インターネット経由で写真プリントの作成注文を受け付ける機能を有し、その機能を実現するための、種々のソフトウェア及びハードウェアが搭載される。サーバーシステム1は、ハードウェア的には1台もしくは複数台のサーバー装置を備えている。好ましくは、負荷を分散させるために、機能に応じて複数のサーバー装置により構成することが好ましい。例えば、注文受付用のサーバー、データベースサーバー、Webサーバー等である。ネットワークは有線・無線を問うものではなく、種々の形態を採用することができる。
【0020】
サーバーシステム1はネットワーク上に少なくとも1つ設置されていればよく、図1にはプリントサービス会社が異なる2つのサーバーシステム1a、1bが記載されている。写真プリントを依頼したい顧客(注文者)は、インターネットに設置されたサーバーシステム1の中から、希望のサーバーシステム1aまたはサーバーシステム1bにインターネットを介してアクセスする。一般に、アクセスのためにパソコン2(コンピュータ)が使用されるが、PDAや携帯電話のようなモバイル機器によるアクセスも可能である。顧客がサーバーシステム1にアクセスして注文システムを利用するためには、予め会員登録を行っておく必要がある。会員登録の手順は公知のものを用いることができる。顧客は、パソコン2を用いてサーバーシステム1のホームページにアクセスし、所定の注文ページを開いて画像データのアップロード等の所定の手順を踏むことで、写真プリントの注文を依頼することができる。
【0021】
写真店3は、1台もしくは複数台設置されたプリント処理機器31(前記画像形成処理機器に相当する。)と、各プリント処理機器31と接続される受注端末30(前記注文受付部に相当する。)と、を有するプリント注文受付システム32(前記画像形成注文受付システムに相当する。)を備えている。写真店3は、受注端末30を用いてサーバーシステム1にアクセスすることができ、その写真店3に対して顧客から写真プリントの注文があった場合、インターネットを介して注文データのダウンロードを行うことができる。なお、写真店3がインターネットで写真プリントの注文を受けるためには、顧客の場合と同様に会員登録を行う必要がある。受注端末30とプリント処理機器31とは通信ラインにより接続されており、プリント処理機器31には公知の構造のものを利用することができる。プリント処理機器31は、ダウンロードした注文データに含まれる画像データ等を用いて写真プリントの作成処理を行うことができる。なお、本実施形態において写真店という場合には、特定の形態の写真店に限定されるものではない。例えば、個人経営の形態でもよく、チェーン店の形態でもよい。また、写真専門店に限定されるものでもなく、写真店の規模についても特定のものに限定されるものではない。
【0022】
<サーバーシステムの構成>
図2は、図1に示すサーバーシステム1の機能の一例を示すブロック図である。送受信部10は、インターネット経由で送信されてきたデータを受信すると共に、インターネットへとデータを送出する機能を有する。データ処理部11は、送受信部10を介して受信されたデータ、および送受信部10を介して送信しようとするデータに関する種々の処理を行う。例えば、受信したデータの解析を行い、解析結果に基づいた処理を実行するものであり、ホームページ(Webページ)を要求された場合であれば、該当するホームページデータをデータベースから抽出して、要求元のコンピュータへと送り返す。
【0023】
認証システム12は、会員登録をされているか否かの認証を行う。顧客や写真店が本注文システムを利用するためには、最初に会員登録を行う必要があり、これによりIDとパスワードが付与される。顧客がプリント処理の注文や注文内容の確認を行う場合には、会員登録に基づく認証が必要とされる。また、写真店が注文内容の確認や注文データのダウンロードを行う場合にも認証が必要である。認証システムについては、公知のシステムを用いることができる。
【0024】
会員登録を行った顧客のデータは、顧客データベース13に保存される。会員登録を行った写真店のデータは、写真店データベース14に保存される。各データベース13、14は、データベース制御部15により制御される。顧客データや写真店データとしては、種々のデータを保存するようにできる。
【0025】
Webページ保存部16には、ホームページ(トップページ)をはじめとするWebページのデータを保存する。各ページに対応したURLを指定することで、指定されたWebページをパソコン2、受注端末30のモニター画面に表示させることができる。Webページのデータは、HTMLに基づいて記述される。
【0026】
注文データ保存部18(データベース)には、注文データが保存される。顧客がパソコン2を用いてプリント処理を依頼すると、その注文データがここに保存される。注文データには、画像データ(少なくとも1枚分のデータ)が含まれる。画像データは、顧客のパソコン2からサーバーシステム1に対してアップロードすることで保存可能である。注文データには、個々の画像データに対するプリント枚数やプリントサイズなど、写真プリントを作成するために必要なデータが含まれる。また、その他の補正データも必要に応じて設定され、例えば赤目補正を依頼したい画像があれば、その旨を指定する。更に、プリントサービス会社によっては、付随的なサービス内容を依頼できる場合があり、例えば、デジタル銀塩プリントでなくインクジェットプリントでの処理や、写真プリントへのキャラクター画像の付加、またはシールプリントとしての作成などを依頼する場合は、注文データにてその旨を指定する。注文データは、オーダー単位で管理される。
【0027】
注文データには、更に、プリント処理の依頼をどの写真店にするかという写真店データが付随する。顧客は、プリント注文を行う時に、自分の希望する写真店を指定できる。指定可能な写真店は会員登録されている店舗に限られる。仕上がりの写真プリントを写真店に直接取りに行く場合は、訪問するのに都合の良い写真店を指定できる。なお、写真店の指定については、1店舗だけでなく、複数指定できるようにすることが好ましい。例えば、優先順位を決めて複数指定し、基本的には第1優先の写真店でプリント処理が行われるようにし、第1優先の写真店でプリント処理ができない事情が生じた場合は、下位の優先順位の写真店でプリント処理を行うことができる。さらに、注文データとして、写真プリントの仕上がり日時(納期)を含ませることもできる。
【0028】
<プリント注文受付システム>
図3は、図1に示すプリント注文受付システムの機能の一例を示すブロック図である。プリント注文受付システム32は、上述のように受注端末30と、1台もしくは複数台設置されたプリント処理機器31を備えている。
【0029】
送受信部300は、インターネット経由で送信されてきたデータを受信する機能を有するとともに、インターネットへとデータを送出する機能を有する。これにより、顧客から注文データがアップロードされたサーバーシステム1に対してアクセスし、その注文データをダウンロードすることができる。データ処理部301は、受信したデータの解析等を行い、その解析結果に応じた処理を行う機能を有する。例えば、受信したデータが写真プリントの注文データである場合は、後述するように、その注文データにより指定されたサービス内容を処理可能なプリント処理機器31を判断し、その注文データの送出を行う。また、サーバーシステム1からプリント処理に関する電子メールが送信されてきた場合は、そのプリント処理に係るプリント処理機器31に当該電子メールを転送する。
【0030】
判断手段302は、データ処理部301に設けられ、ダウンロードした注文データにより指定されたサービス内容を処理可能なプリント処理機器31を判断する機能を有する。テーブル保存部303には、注文データにより指定されるサービス内容と、そのサービス内容を処理可能な写真処理装置とを対応付けて記録するテーブル(対応表)が保存されている。判断手段302による判断は、このテーブルを用いて行われる。テーブルの内容はモニター307に表示可能であり、オペレータはどのようなサービス内容がどのプリント処理機器31で処理可能かを容易に確認することができる。
【0031】
データ取得部304(前記データ取得手段に相当する。)は、各プリント処理機器31において処理可能なサービス内容に関するデータを取得する機能を有する。プリント処理機器31に設けられた設定データ保存部317には、そのプリント処理機器31の仕様および設定に関するデータが保存されており、処理可能なサービス内容に関するデータが含まれている。即ち、データ取得部304は、設定データ保存部317に保存されているデータを取得可能に構成されており、取得したデータはテーブル保存部303に保存されたテーブルに記録・更新される。なお、データ取得部304によるデータの取得方法は特に限定されるものではなく、例えば、受注端末30のオペレータの指示により、データ取得部304から各プリント処理機器31に対してデータ要求がなされ、それに応じてデータが送信されるものでもよい。または、各プリント処理機器31から、一定時間毎に又は設定を変更する度に自動でデータが送信されるものでもよい。
【0032】
送出部306は、各プリント処理機器31に対して、判断手段302により処理可能と判断された注文データを送出する機能を有する。判断手段302による判断の結果、いずれのプリント処理機器31においても処理ができないと判断された注文データは、保留データ保存部305に保存される。保留データ保存部305に保存された注文データは、いずれかのプリント処理機器31の設定が変更されて処理可能となったときに送出されるものが好ましい。例えば、上記の判断処理の際、テーブルが更新されたことをデータ処理部301が検知することで、保留されている注文データを判断処理の対象とすることができる。これにより、保留されていた注文データを処理可能なプリント処理機器31に送出することができる。以上に説明した、プリント処理機器31が処理可能なサービス内容に関するデータの取得から、サービス内容を処理可能なプリント処理機器31の判断、その注文データの送出までの一連の処理は自動で行われるものが好ましい。
【0033】
ここで、例えば、図4(a)に示す注文データをダウンロードした場合の処理について説明する。Order1は、プリントサイズLの写真プリントを10枚作成する注文であり、サーバーシステム1aからダウンロードしたものであることを示している。Order2、3についても、同様の構成で記載されている。プリント注文受付システム32は、3台の写真処理装置X、Y、Zを備えているとともに、テーブル保存部303には、図4(b)に示すようなテーブルが保存されているとする。
【0034】
まず、Order1については、プリントサイズLを処理可能な写真処理装置X、Yのうち、サーバーシステム1aに対応するように設定されている写真処理装置Xに送出される。これは、既述の通り、同じプリントサイズであってもプリントサービス会社によっては実際のサイズが異なる場合があるためである。Order2は、同様の理由により写真処理装置Zに送出される。Order3は、プリントサイズLに係るデータが写真処理装置Yに送出され、プリントサイズ2Lに係るデータが写真処理装置Zに送出される。このように、本発明では、注文データの送出が、オーダー単位でなくサービス内容ごとに行われるものでもよい。これにより、より効率的なプリント処理が可能となる。
【0035】
図4の例では、判断手段302により判断されるサービス内容の項目が、プリントサービス会社を考慮したプリントサイズである例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、既述のサービス内容を判断項目として挙げることができる。これらの判断項目は任意に設定可能であり、判断対象となるサービス内容の追加、削除または変更が行われるようにテーブルを更新することができる。例えば、デジタル銀塩プリントとインクジェットプリントとでプリント処理機器31を使い分けている写真店3であれば、プリントタイプを判断項目とすればよい。
【0036】
プリント処理機器31は、パソコン310と、写真処理装置320とから構成されている。送受信部311は、データを送受信する機能を有し、受注端末30から送信された注文データを受信することができる。受信する注文データは、上述したように、そのプリント処理機器31において処理可能なサービス内容を指定するものである。データ処理部312は、受信したデータの解析等を行い、その解析結果に応じた処理を行う機能を有する。例えば、受信したデータが、写真プリントの注文データである場合は後述するプリント処理を実行する。また、サーバーシステム1から受注端末30を経由して送信されてきた電子メールである場合は、そのデータをメールフォルダ314に保存する。
【0037】
注文データを受信した場合、その注文データは注文データ保存部313に保存される。保存されるデータは、既述したものと同じであり、画像データや補正データ、付随的なサービス内容に関するデータ等のプリント処理に必要なデータ、注文者データ及び写真店データなどである。
【0038】
設定データ保存部317には、そのプリント処理機器31の仕様および設定に関するデータが保存されており、処理可能なサービス内容に関するデータが含まれている。当該データは、処理可能なプリントサイズが変更された場合など、プリント処理機器31における設定が変更されるたびに更新される。また、当該データは、送受信部311を介してデータ取得部304に送信され、判断手段302による判断に用いられる。
【0039】
写真プリントの作成は、写真処理装置320により行われる。写真処理装置320としては、公知の構造のものを利用することができる。画像処理部321は、画像データに対して画像処理を施してプリント処理を行うのに適したデータに変換する機能を有する。例えば、色・濃度の補正処理や赤目補正等の特殊処理、データをプリントサイズにするための拡大処理等である。これらの処理には、注文データ保存部313に保存されている画像データや、プリント枚数およびプリントサイズに関するデータ、その他の補正データが用いられる。上述のように、プリント処理機器31は、これら注文データにより指定されたサービス内容の処理に対応したものであり、例えばプリントサイズは、そのプリントサービス会社の実際のサイズに合致したものとなる。また、画像処理部321は、その注文データに含まれる補正データのパラメータ値に対応した状態となっているため、設定を変更する必要もなく、所望の出力結果を効率的に得ることができる。
【0040】
写真処理装置320は、インターネット経由で取得した画像データのみならず、プリント処理機器31に設けられた画像入力部324から入力された画像データも処理することができる。画像入力部324では、フィルムスキャナやデジタルカメラ等の記憶媒体から画像データを取得することができる。画像データ保存部325には、画像入力部324から取得した画像データが保存される。
【0041】
モニター315には、画像データやプリント処理を行うための必要な画面を表示させることができ、オペレータは、キーボード316やテンキー等の入力手段を介して画像処理作業を行うことができる。露光エンジン322は、画像処理部321で画像処理された画像データを用いて、写真感光材料に画像を焼付露光する機能を有する。露光エンジン322としては、レーザーエンジン、PLZTエンジン、CRTエンジン等を適宜に用いることができる。画像が焼付露光された写真感光材料は、現像・乾燥処理部323において現像処理及び乾燥処理が施される。この処理が終了した後、仕上がり写真プリントとして装置外部に排出される。
【0042】
<システムの利用手順>
次に図1に示す写真プリント注文システムの利用手順を説明する。まず、図5により顧客がプリント処理を注文するまでの手順を説明する。まず、顧客は自分のパソコン2を用いて、ホームページにアクセスする(#1)。インターネットによるプリント処理を依頼するためには、会員登録が必要である。会員登録が済んでいなければ(#2)、会員登録の手続を行う(#3)。会員登録を行うと、顧客データは顧客データベース13に保存される。会員登録を行うと、IDとパスワードが付与される。
【0043】
会員登録が終了すると、認証手続を行う(#4)。認証に際して、付与されたIDとパスワードを入力する。認証が終了すれば、その個人に対して与えられた専用のWebページへと入ることができ、プリント注文も行うことができる。プリント注文を行う場合には(#5)、パソコン2から画像データのアップロードを行う(#6)。アップロードするための画像データは、予めパソコン2の中に保存させておく。画像データのアップロードは、公知の方法で行うことができる。画像データをアップロードすると、所定のWebページへと保存され、アルバムの形態で画像を確認することができる。
【0044】
次に、アップロードした画像に関してプリントデータの設定を行う(#7)。プリントデータとしては、プリント枚数やプリントサイズの指定である。必要に応じて、赤目補正、逆光補正等の特殊補正についても設定することができる。次に、プリント処理を依頼する写真店を設定する(#8)。写真店は、会員登録されている写真店であれば、どこでも指定可能である。なお、写真店の指定は1つだけでなく、予備的に複数指定することが可能である。例えば、優先順位が1位の写真店でプリント処理が行えない事情が生じた場合に、優先順位が下位の写真店で処理可能にすることができる。
【0045】
次に、料金支払いの設定を行う(#9)。支払い方式は、クレジットカード、代引き、店頭支払い等を設定することができる。必要な項目を入力し終わると、確認のページに移行して注文内容の確認を行う(#10)。注文内容に訂正事項があれば、ステップ#6に戻り、必要な訂正を行う。注文内容がOKであれば、確認ボタンをクリックし、注文内容を確定させる(#11)。確定された注文データは、注文データ保存部18に保存される(#12)。
【0046】
<プリント処理を行うまでの手順>
次に、写真店3で注文データをダウンロードして、写真プリントを作成するまでの手順を図6のフローチャートにより説明する。まず、写真店3では、サーバーシステム1にアクセスし(#20)、認証手続を行った後、その写真店3に対して与えられた専用のページに移行する(#21)。次に、写真店3では、専用のページで注文の有無を確認することができ、例えば、注文がオーダー単位でリスト表示される。リスト表示には、プリント処理が完了したか否かの表示もされる。写真店3は、プリント処理が未処理の注文データがあれば、これをダウンロードする(#22、23)。
【0047】
ダウンロードされた注文データは、受注端末30の送受信部を介してデータ処理部301に送られる。そして、その注文データにより指定されたサービス内容に対して、処理可能なプリント処理機器31が判断される(#24)。当該判断処理は、判断手段302により、テーブル保存部303に保存されたテーブルを用いて行われる。そのサービス内容を処理可能なプリント処理機器31が判断されなかった場合は、注文データを保留データ保存部305に保存することができる(#25、26)。一方、判断された場合は、送出部306により注文データがプリント処理機器31に送出される(#27)。なお、プリント処理機器31で設定が変更された場合には、保留データ保存部305に保存された注文データは判断処理の対象となり(#33)、処理可能なプリント処理機器31が判断された場合に、上記と同様に送出処理が行われる。プリント処理機器31での設定変更の有無は、例えば、テーブル保存部303に保存されたテーブルの更新を、データ処理部301が検知することにより判断される。
【0048】
送出された注文データは、送受信部311およびデータ処理部312を介して注文データ保存部313に保存される(#28)。写真処理装置320では、その注文データを用いて、画像処理、プリント処理(画像の焼付露光)、現像処理・乾燥処理を施した後、写真プリントを完成する(#29〜#32)。仕上がりの写真プリントは袋詰にされ、顧客が写真店に直接取りに来る場合は、袋詰した状態で保管される。また、宅配で配送を希望する顧客に対しては、配送のための作業を行う。
【0049】
写真店3において、プリント処理が終了した場合は、その旨をサーバーシステム1に伝達する。サーバーシステム1では、処理が終了した注文データについては処理済みを表すデータを付与する。これにより、その注文データについては、プリント処理が完了したことを認識可能となる。
【0050】
<別実施形態>
(1)前述の実施形態では、注文データにより指定されるサービス内容と、そのサービス内容を処理可能なプリント処理機器とを対応付けて記録するテーブルが、テーブル保存部303に保存されるとともに、判断処理の際にそのテーブルが用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、受注端末30にて注文データをダウンロードする度に、プリント処理機器31より処理可能なサービス内容に関するデータを取得し、そのデータを用いて判断処理および送出処理を行うものでもよい。かかる場合、テーブル保存部が不要となるため構成を簡略化できる。
【0051】
(2)受注端末30のデータ処理部301は、各プリント処理機器31に送出した注文データを管理する機能を有するものが好ましい。具体的には、オーダー単位でまたはサービス内容ごとに処理枚数の集計、受注金額の計算などを行うものが好ましい。上述のように、プリントサービス会社によって料金の計算方法などが異なるため、かかる機能を有することにより写真店3としての受注状況を好適に管理することができる。
【0052】
(3)本発明において、送出部306が注文データを送出するタイミングは特に限定されるものではない。例えば、判断手段302による判断処理の直後に送出するものでもよい。または、判断手段302による判断処理後、注文データを受注端末30に設けられたデータ保存部に一旦保存し、任意のタイミングで各プリント処理機器31に送出するものでもよい。
【0053】
(4)前述の実施形態では、画像形成処理として写真プリントを作成する例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、プリント処理機器において画像処理を施した画像データを、CD−R等の記録媒体に記録するものでもよく、またはネットワークへ再アップロードするものでもよい。上記の記録媒体は、写真プリントと同様に顧客に提供される。また、再アップロードされた画像データは、注文者が縦覧できたり、ダウンロードできたりすることで顧客に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】写真プリント注文システムの構成の概要を示す模式図
【図2】サーバーシステムの機能を説明するブロック図
【図3】プリント注文受付システムの機能を説明するブロック図
【図4】注文データおよびテーブルの一例を示す図
【図5】プリント処理を注文する場合の手順を示すフローチャート
【図6】プリント処理を行う時の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0055】
1 サーバーシステム
2 パソコン
3 写真店
10 送受信部
11 データ処理部
18 注文データ保存部
30 受注端末
31 プリント処理機器
32 プリント注文受付システム
300 送受信部
301 データ処理部
302 判断手段
303 テーブル保存部
304 データ取得部
306 送出部
311 送受信部
312 データ処理部
313 注文データ保存部
317 設定データ保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に設置された少なくとも1つのサーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、そのネットワークを介してダウンロード可能に構成した注文受付部と、前記注文受付部がダウンロードした注文データを取得して、画像形成処理を行う少なくとも1つの画像形成処理機器と、を備えた画像形成注文受付システムにおいて、
前記画像形成処理機器において処理可能なサービス内容に関するデータを、その画像形成処理機器から取得するデータ取得手段と、
前記注文受付部がダウンロードした注文データにより指定されたサービス内容が、画像形成処理機器において処理可能か否かを、前記データ取得手段により取得されたデータに基づいて判断する判断手段と、
前記判断手段により処理可能と判断された画像形成処理機器に対して、ダウンロードした前記注文データを送出する送出部と、を備えることを特徴とする画像形成注文受付システム。
【請求項2】
注文データにより指定されるサービス内容と、そのサービス内容を処理可能な画像形成処理機器と、を対応付けて記録するテーブルを保存するテーブル保存部を備え、
前記データ取得手段により取得されたデータは前記テーブルに記録されるとともに、前記判断手段による判断は前記テーブルを用いて行われる請求項1に記載の画像形成注文受付システム。
【請求項3】
前記判断手段により判断されるサービス内容の項目を、任意に設定可能に構成された請求項1又は2に記載の画像形成注文受付システム。
【請求項4】
ネットワーク上に少なくとも1つ設置され、アップロードされた画像形成処理の注文データを保存可能に構成されたサーバーシステムと、
そのサーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成した請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成注文受付システムと、を備える画像形成注文システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−4064(P2006−4064A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178234(P2004−178234)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】