説明

画像形成装置、および画像形成方法

【課題】 印字画像のトナー定着位置に応じてセンター/サイドランプの点灯の有無を切り替えて定着器の電力消費を抑えることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 読み込まれた画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された画像データを参照して、印字媒体のどの領域に画像を形成するトナーが分布するか判断する判断部と、複数の独立した定着ランプを有する定着器と、前記判断部での判断結果に基づいて、前記定着器の複数の定着ランプのうち、トナーが分布すると判断される領域に対応する定着ランプを点灯して定着動作を行わせる制御部と、を備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置における定着器の画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の定着器は、印字画像に関わらずセンター/サイドランプを点灯させ、定着器全体を加熱させて印字用紙にトナーを定着させるという制御方法であった。
【0003】
しかしながら、上述した制御方法では印字対象である画像が用紙の端部のみの場合、あるいはセンターのみの場合、トナー定着に不必要な箇所をも加熱することとなり、無駄な電力を消費する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−194658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、印字画像のトナー定着位置に応じてセンター/サイドランプの点灯の有無を切り替えて定着器の電力消費を抑えることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の画像形成装置は、読み込まれた画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された画像データを参照して、印字媒体のどの領域に画像を形成するトナーが分布するか判断する判断部と、複数の独立した定着ランプを有する定着器と、前記判断部での判断結果に基づいて、前記定着器の複数の定着ランプのうち、トナーが分布すると判断される領域に対応する定着ランプを点灯して定着動作を行わせる制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係るMFP構成図。
【図2】印字用紙のトナー付着領域が全面である場合の定着ランプのON、OFFの切り替え例を説明するための図。
【図3】印字用紙の印字可能領域を主操作方向に5つの領域に分割した場合の例を示した模式図。
【図4】実施形態のメインCPUの動作を示すフローチャート。
【図5】印字用紙のトナー付着領域が図3の領域1のみである場合の定着ランプのON、OFFの切り替え例を説明するための図。
【図6】印字用紙のトナー付着領域が図3の領域3のみである場合の定着ランプのON、OFFの切り替え例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図6を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態における、画像認識部125を搭載した画像形成装置としての複合機の電気的接続および制御のための信号の流れを概略的に表すブロック図である。複合機は所謂MFP(Multi Functional Peripheral)100であり、主制御部101、スキャナ部102、プリンタ部103、及び操作パネル104を有する。
【0010】
図1に示す共有バス111は、後述する各CPU(Central Processing Unit)等を接続し、これによりCPUを介したプログラムI/O転送、あるいは周辺デバイスがバスマスタとしてバスを制御し、直接メモリなどにアクセスするバスマスタによるデータ転送が可能である。
【0011】
主制御部101は、メインCPU110、記憶部112、画像処理部116、ページメモリ制御部117、及びページメモリ118を有する。
【0012】
メインCPU110は、主制御部101全体の制御を司るものである。
【0013】
記憶部112は、メインCPU110と後述するプリンタ部103のプリンタCPU130の間で、双方向通信を行い、メインCPU110の制御プログラムや各種データを記憶する。記憶部112は、読み取り専用メモリ(以下ROM)ならびに書き換え可能メモリ(以下RAM)の集合体であり、本実施形態の手順を実施するためのプログラムや固定データとともに、本実施形態の手順を実施する過程で生成されたり変化したりするデータを記憶する。前者は後述するデータROM205などが相当する。
【0014】
画像処理部116は、画像処理を行う。ページメモリ制御部117は、ページメモリ118に対して画像データを記憶させたり、読み出したりするものである。ページメモリ118は、複数ページ分の画像データを記憶できる領域を有し、後述するスキャナ部102からの画像データを圧縮したデータを1ページごとに記憶可能に形成されている。
【0015】
操作パネル104は、各種操作キー141、ソフトキー(タッチパネル)を有する液晶表示部142、及びこれらが接続されたパネルCPU140を有している。パネルCPU140は、メインCPU110に接続される。操作キー141あるいは液晶表示部142のソフトキー等から各種命令が入力され、パネルCPU140からメインCPU110に送信される。
【0016】
画像読取部であるスキャナ部102は、メインCPU110と接続されその制御の下にスキャナ部102の制御を司るスキャナCPU120、制御プログラム及び各種データを記憶されている記憶部122、原稿等を読取るためのCCD等のラインセンサを駆動するCCDドライバ123と、ラインセンサ、露光ランプ及びミラーなどを搭載したキャリッジ(図示せず)を移動する走査モータの回転を制御する走査モータドライバ124、画像認識部125、及び画像補正部126を有する。
【0017】
上記構成のスキャナ部102において、複合機100の従来周知の原稿自動送り装置(図示せず)もしくは原稿台(図示せず)に原稿をセットし、操作パネル104に設置された操作キー141もしくは液晶表示部142のソフトキーにて原稿の読み取りを指示する。
【0018】
画像の読み取り命令をパネルCPU140が検知すると、共有バス111を介してメインCPU110に読み取り命令が送信され、スキャナ部102のスキャナCPU120よりCCDドライバ123、走査モータドライバ124に動作命令が与えられて読み取り動作を実行する。読み取った画像データは、ページメモリ118に格納される。
【0019】
画像認識部125は、本実施形態の画像認識プロセスを実行するもので、前記スキャナ部102のラインセンサにより読み取り、ページメモリ118に格納された画像データのうち所定領域に対してトナー付着の有無を判定する。なお、このトナー付着の有無の判定の詳細については後述する。
【0020】
画像補正部126は、ラインセンサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、ラインメモリを有し、フィルタリング処理等をする。
【0021】
図1に示すプリンタ部103は、例えば、従来周知の構成を有しており、プリンタCPU130、記憶部132、定着制御部133、レーザドライバ134、ポリゴンモータドライバ135、搬送制御部136、プロセス制御部137を有する。なお、以下に説明する周知構成については、図示しない。
【0022】
プリンタCPU130は、メインCPUと接続されその制御の下にプリンタ部103全体の制御を司る。
記憶部131は、制御プログラム及び各種データを記憶する。
レーザドライバ133は、周知の半導体レーザ発信器を駆動し、読み取った原稿の画像データに基づいてレーザ光を制御する。
【0023】
ポリゴンモータドライバ134は、ポリゴンミラーを有する周知のレーザ露光装置のポリゴンモータを駆動し、半導体レーザ発信器からのレーザ光を回転するポリゴンミラーにより走査する。
【0024】
搬送制御部135は、各種ローラの駆動モータを制御して、周知の用紙カセットに収容されている記録媒体を用紙カセットから用紙搬送路に沿っての搬送を制御する。
【0025】
プロセス制御部136は、周知の帯電用帯電器、現像器および転写用帯電器を制御する。帯電用帯電器は、例えばドラム状の感光体の表面を帯電させ、前記ポリゴンミラーにより走査されるレーザ光により読み取った原稿画像の静電潜像を感光体に形成する。現像器はトナーを収容しており、感光体の静電潜像をトナーにより可視画像(トナー画像)に現像する。転写用帯電器は、前記用紙カセットから用紙搬送路を介して供給される記録媒体に感光体上のトナー画像を転写する。
【0026】
定着制御部133は、図2に示すように、定着ローラ内に主操作方向に並べられた複数の定着ランプの加熱制御を行い、加熱ランプを照射しながら、定着ローラと加圧接触している加圧ローラ間にトナー画像を転写された記録媒体を通過させることにより前記記録媒体に転写されたトナー画像の熱定着を行う。
【0027】
以下、印字媒体の印字可能なサイズを主操作方向に分割した場合の各領域に対するトナー付着の有無の判定は以下のようにして行う。
【0028】
図3は、MFP100が備えるプリンタの印字可能領域を主操作方向に例えば5つの領域に分割した場合の例を示した模式図である。この図に示すように入力された画像を分割し、領域内における各画素のRGB信号もしくは輝度信号より画素の平均濃度総当値を次式により求める。たとえばRGB信号で、各信号値のとりうる値が0乃至255であれば、
【0029】
【数1】

となる。
また、プリンタがモノクロであり、同じく輝度信号Wのとりうる値が0乃至255であれば次式により求める。
【0030】
【数2】

この濃度相当値を領域1乃至領域5の各領域内のすべての画素あるいは数画素ごとに求め、その平均値Smeanを次式により求める。
【0031】
【数3】

なお、ここでm、nは平均を求める画素の主走査方向と副走査方向の数をそれぞれ示している。
【0032】
数式3で求めた領域内の濃度相当値の平均値Smeanは記憶部122にあらかじめ格納されている閾値Sthと比較して、その値に満たない場合は対象領域をトナー付着なしとし、閾値以上であればトナー付着ありと判断して以下の処理を実行する。
【0033】
また、画素の値が2値でありたとえば0または1という値で表現されている場合は、画素値が1の画素のみをカウントしたうえで、そのカウントした値を所定の閾値と比較してトナー付着の有無の判断に用いればよい。
【0034】
次に、この実施形態におけるメインCPU110の動作を図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0035】
このフローチャートに示すようにまずスキャナCPUに読み取り命令を与えて、原稿読み取り動作を実行させる(400)。このとき原稿の画像データはページメモリ118に格納してもよいし、スキャナ部102が備えている記憶部122に格納してもよい。さらに画像認識部125により5分割した領域に対してトナー付着の有無について判断をする。画像認識部125は、画像データを参照して、印字媒体の図3に示すどの領域に画像のトナー付着があるか否かを判断する判断部である。この動作をさらに以下フローチャートに沿って説明する。
【0036】
領域カウンタNに初期値1をセットし(401)、対象領域(図3の領域1)のトナー付着の有無を判断する(402)。ここで対象領域に上述に示したようにトナー付着ありと判断した場合(402:Y)は、対象領域にトナー付着ありとして領域NのランプONを示す値LT(N)に数値1をセットし(403)、対象領域にトナー付着なしと判断した場合(402:N)は、対象領域にトナー付着なしとして領域NのランプONを示す値LT(N)に数値0をセットする(404)。
【0037】
こののち領域カウンタNの値を確認し(405)、カウンタNが5に満たない場合は(405:N)、カウンタを1カウントアップして(406)次の領域に対してステップ402乃至ステップ206の処理を繰り返し、領域カウンタNが5であることを確認(405:Y)したとき、全ての領域(1〜5)の領域ごとのランプのON/OFFを示す値LT(N)の設定を終了し、その値をプリンタ部103が備える記憶部131に格納する。この記憶部131に格納された値LT(N)に従ってランプNのON/OFFを定着制御部133が制御する(407)。
【0038】
次に定着ランプON/OFFの具体的な制御の一例について以下説明する。
【0039】
前述した判定結果により、領域1乃至領域5のうちトナー付着領域が印字用紙全体に及ぶ場合、図2に示す定着器内のランプのうちサイドランプ200、サイドランプ201、センターランプ202、サイドランプ203、およびサイドランプ204の全てを点灯させ、用紙全体に印字画像を定着させるように定着制御部133により制御する。
【0040】
次に、たとえばトナー付着領域が印字可能領域のうち領域1に該当する範囲内のみの場合(図5参照)、定着器内のサイドランプ200のみ点灯させ、その他のランプ201乃至204は点灯させないように定着制御部133により制御する。なお、この図において白はランプが点灯している状態、ハッチングはランプが消灯している状態を示す。
【0041】
さらに、トナー付着領域が印字可能領域のうち領域3、すなわち中央領域に該当する範囲内のみの場合(図6参照)、定着器内のセンターランプ202のみ点灯させ、その他のランプ200、201、203、および204は点灯させないように定着制御部133により制御する。
【0042】
以上はスキャナにより読み込んだ画像に対する処理に対する処理の一例について説明したが、外部端末からプリント命令が与えられた場合の動作は以下のとおりとなる。
【0043】
外部端末によりファイル形式で与えられた画像はドライバ等によってビットマップ展開され、そのビットマップ展開された画像データはメインCPU110によってページメモリ118等にいったん格納される。なお、これに続くトナー付着領域判定、プリンタ部の制御については前述したスキャナより読み取った画像に対する処理と同様に行う。
【0044】
このように、スキャン画像もしくはプリント画像のトナー付着領域に応じて必要な定着器内の加熱ランプの点灯制御を行うことで、不要なランプの点灯を防止出来、省エネ効果が得られるようになる
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
100…複合機(MFP)
110…メインCPU
118…ページメモリ
102…スキャナ部
125…画像認識部
103…プリンタ部
130…プリンタCPU
131…記憶部
133…定着制御部
133…インクジェットエンジン
134…ヘッドユニット制御部
135…プロセス制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み込まれた画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された画像データを参照して、印字媒体のどの領域に画像を形成するトナーが分布するか判断する判断 部と、
複数の独立した定着ランプを有する定着器と、
前記判断部での判断結果に基づいて、前記定着器の複数の定着ランプのうち、トナーが分布すると判断される領域に対応 する定着ランプを点灯して定着動作を行わせる制御部とを備える画像形成装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記画像データを参照して、印字媒体の主走査方向に複数に分割した領域のどの領域にトナーが分布するか判断することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器の複数の定着ランプは、前記印字媒体の複数に分割した領域と対応していることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データを読み込ませ、
前記画像データを参照して、印字媒体のどの領域に画像を形成するトナーが分布するか判断し、
判断結果に基づいて、定着器の複数の定着ランプのうち、トナーが分布すると判断される領域に対応する定着ランプを点灯させ、
る工程を含む画像形成方法。
【請求項5】
前記トナーが分布するかの判断は、前記画像データを参照して、印字媒体の主走査方向に複数に分割した領域のどの領域にトナーが分布するか判断することを特徴とする請求項4記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記定着器の複数の定着ランプは、印字媒体の複数に分割した領域と対応していることを特徴とする請求項5記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−230382(P2012−230382A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101481(P2012−101481)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】