画像形成装置、および画像形成補正方法
【課題】画像濃度補正のために補正する現像バイアスの補正幅が大きくなるのを抑制する技術を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、感光体に形成された潜像を現像する現像部と、現像部によって現像された画像を被記録媒体または搬送部材上に形成する画像形成部と、搬送方向の検知幅である第1検知幅DW1と、感光体軸方向の検知幅である第2検知幅DW2とを有する濃度センサと、制御部とを備える。制御部は、露光ヘッドおよび画像形成部を制御して、感光体軸方向に延びる、濃度センサの第2検知幅DW2以上の長さを有する直線部6を含む第1補正用画像5を搬送部材上に形成させる。
【解決手段】画像形成装置は、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、感光体に形成された潜像を現像する現像部と、現像部によって現像された画像を被記録媒体または搬送部材上に形成する画像形成部と、搬送方向の検知幅である第1検知幅DW1と、感光体軸方向の検知幅である第2検知幅DW2とを有する濃度センサと、制御部とを備える。制御部は、露光ヘッドおよび画像形成部を制御して、感光体軸方向に延びる、濃度センサの第2検知幅DW2以上の長さを有する直線部6を含む第1補正用画像5を搬送部材上に形成させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および画像形成補正方法に関し、詳しくは、画像形成に係る現像バイアス補正およびガンマ補正に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、印刷条件毎に使用する濃度パッチデータ(ディザパターンデータ)を変更して濃度パッチ(ディザパターン)を形成し、濃度パッチの濃度を測定した結果を用いて印刷画像の濃度補正(ガンマ補正)を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−114343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガンマ補正を行う前に、現像バイアス補正を行うことがあるが、焦点ズレの大きいLED露光で形成した濃度パッチ(補正用画像)で現像バイアス補正を行うと、想定よりも現像バイアスを補正する幅が大きくなり、孤立ドットや細線等の再現性が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、露光ヘッドを有する画像形成装置において、画像濃度補正のために補正する現像バイアスの補正幅が大きくなるのを抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像形成装置は、感光体と、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサと、制御部とを備え、前記制御部は、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成させ、前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する。
【0007】
上記画像形成装置において、前記直線部は所定の間隔で形成された複数の直線部を含み、前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、前記所定の間隔は、前記画素ドットの2個分以上の幅を有するようにしてもよい。
【0008】
また、上記画像形成装置において、前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、前記各直線部は、前記感光体軸方向に連続する前記画素ドットによって形成される単位直線によって構成され、前記各直線部は、前記搬送方向に連続する、2本以上の単位直線を含むようにしてもよい。
【0009】
また、上記画像形成装置において、前記制御部は、現像バイアス補正を行った後、ガンマ補正を行うようにしてもよい。その際、前記制御部は、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、前記ガンマ補正を行うようにしてもよい。また、前記第2補正用画像は、ディザ画像であることが好ましい。
【0010】
また、上記画像形成装置において、前記画像形成装置はカラー画像を形成するものとし、前記感光体、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部は、前記カラー画像を形成するための各色の現像剤に対応してそれぞれ複数設けられるようにしてもよい。
【0011】
また、上記画像形成装置において、前記露光ヘッドは複数のLEDから成る、LED露光ヘッドであることが好ましい。
【0012】
また、本明細書によって開示される画像形成補正方法は、感光体と、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサとを備えた画像形成装置において、画像形成に係る補正を行う画像形成補正方法であって、該方法は、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成する、補正用画像形成工程と、前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する現像バイアス補正工程と、現像バイアス補正工程の後に、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、ガンマ補正を行うガンマ補正工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感光体に近接して配置される露光ヘッド、例えば、LED露光ヘッドでは、焦点深度が浅いため、焦点ズレが生じやすい。また、一般に焦点ズレが生じた場合、露光範囲が感光体軸方向に広がる傾向にある。そのため、補正用画像を感光体軸方向に延びる直線部によって構成することによって、焦点ズレによる補正用画像の濃度検出への影響、すなわち、濃度検出の誤差を抑えることができる。その結果、焦点深度の浅い露光ヘッドを有する画像形成装置において、画像濃度補正のための現像バイアスの変更幅が大きくなるのを抑制でき、現像バイアスの補正が適正になされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係るカラープリンタの要部側断面図
【図2】LEDユニットおよびプロセスカートリッジの拡大図
【図3】LED露光ヘッドの説明図
【図4】現像バイアス生成回路および制御装置のブロック図
【図5】LED露光ヘッドのビーム形状の説明図
【図6】焦点ズレ量とビーム径の関係を示すグラフ
【図7】現像バイアス補正用画像を示す平面図
【図8】図6の部分拡大図
【図9】現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理を概略的に示すフローチャート
【図10】ガンマ補正を説明するグラフ
【図11】ディザパターンの一系列を示す平面図
【図12】ディザパターンの別の一系列を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
一実施形態について図1から図12を参照しつつ説明する。
1.カラープリンタの全体構成
図1は、一実施形態に係る電子写真方式のカラープリンタ1の要部を概略的に示す側断面図である。カラープリンタ1は、画像形成装置の一例である。カラープリンタ1は、図1に示すように、その本体筐体10内に、用紙Sを供給する給紙部20、給紙された用紙(被記録媒体の一例)Sに画像を形成する画像形成部30、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90、およびこれらの各部の動作を制御する制御装置100とを備える。
【0016】
なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。また、画像形成装置はカラープリンタ1に限られず、例えば、モノクロプリンタ、コピー機能およびFAX機能を有する複合機であってもよい。
【0017】
本体筐体10の上部には、開閉自在なアッパーカバー12が設けられている。アッパーカバー12の上面は、本体筐体10から排出された用紙Sを蓄積する排紙トレイ13となっている。排紙トレイ13の下方には露光部の一例である4つのLEDユニット40K,40Y,40M,40Cが設けられている。4つのLEDユニット40K〜40Cは、それぞれ、ブラックK、イエローY、マゼンタM、シアンCの4色のトナーによって色毎に現像される静電潜像を形成する。
【0018】
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、本体筐体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24を主に備えている。
【0019】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Sが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、搬送経路28を通って後向に方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0020】
画像形成部30は、4つのプロセスカートリッジ50K,50Y,50M,50C、転写ユニット70、定着ユニット80とを含む。4つのプロセスカートリッジ50K〜50Cは、それぞれ、色毎に形成された静電潜像を上記4色のトナーによって現像する。
【0021】
各プロセスカートリッジ50K〜50Cは、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、図2に示すように、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に対して着脱自在に装着される現像ユニット61とを含む。プロセスカートリッジ50は、感光体ドラム53を支持している。なお、各プロセスカートリッジ50K〜50Cは、現像ユニット61のトナー収容室66に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0022】
ドラムユニット51は、感光体の一例としての感光体ドラム53と、スコロトロン型帯電器54とを含む。
【0023】
現像ユニット61は、現像ローラ63、供給ローラ64、およびトナー(現像剤に相当)を収容するトナー収容室66を有している。現像ローラ63は現像部に相当する。現像ローラ63は、現像バイアスDIVの印加によってトナーを感光体ドラム53に付着させて感光体ドラム53上の潜像を現像して現像剤像を形成する。
【0024】
現像ユニット61がドラムユニット51に装着され、これにより、図2に示されるように、上方から感光体ドラム53を臨める露光穴55が形成される。露光穴55の下端にLED露光ヘッド41を保持したLEDユニット40が挿入される。
【0025】
LED露光ヘッド(露光ヘッドの一例)41は、用紙Sの搬送方向(前後方向)に直交する主走査方向(左右方向)に複数の発光素子Pを配置したものである。主走査方向は搬送ベルト73の幅方向と等しい。LED露光ヘッド41は、図3に示されるように、回路基板41a、LEDアレイチップ41b、および屈折率分布型ロッドレンズアレイ41cを含む。詳しくは、回路基板41a上に、例えば20個のLEDアレイチップ41bが主走査方向に千鳥配置されている。各LEDアレイチップ41bは半導体プロセスにより、半導体基板上に、発光素子Pの一例であるLED(発光ダイオード)を複数形成したものである。LEDアレイチップ41bの光出力側に屈折率分布型ロッドレンズアレイ41cが設けられている。
【0026】
また、本体筐体10内には、各プロセスカートリッジ50を着脱自在に収容するカートリッジドロア15が設けられている。
【0027】
転写ユニット70は、図1に示すように、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト(搬送部材の一例)73および転写ローラ74を含む。
【0028】
駆動ローラ71および従動ローラ72の間に搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光体ドラム53に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光体ドラム53との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光体ドラム53に対向して4つ配置されている。転写ローラ74には、転写時に転写バイアスが印加される。
【0029】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の奥側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを含む。
【0030】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光体ドラム53の表面である感光面53Aが、スコロトロン型帯電器54により一様に帯電された後、各LED露光ヘッド41から照射されるLED光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0031】
また、トナー収容室66内のトナーが、供給ローラ64の回転により現像ローラ63に供給され担持される。現像ローラ63上に担持されたトナーは、現像ローラ63が感光体ドラム53に対向して接触するときに、現像バイアスDIVの印加によって、感光体ドラム53上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム53上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、反転現像によりトナー像(現像剤像)が形成される。
【0032】
次に、搬送ベルト73上に供給された用紙Sが各感光体ドラム53と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光体ドラム53上に形成されたトナー像が用紙S上に転写される。そして、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙S上に転写されたトナー像が熱定着される。熱定着された用紙Sは、排紙部90を介して、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13に蓄積される。
【0033】
また、搬送ベルト73の後側下方において、2個の濃度検知センサ(濃度センサの一例)25L,25Rが設けられている。濃度検知センサ25L,25Rは、用紙搬送方向(前後方向:図1参照)の検知幅である第1検知幅DW1と、感光ドラム53の軸方向(左右方向:図1参照)の検知幅である第2検知幅DW2とを有し、搬送ベルト73上に形成される現像バイアス補正用画像5(第1補正用画像に相当)の濃度を検出する(図6参照)。本実施形態では、このように2個の濃度検知センサ25L,25Rを設け、各濃度検知センサ25L,25Rによって検出される検出画像濃度の平均値を求め、濃度平均値に基づいて現像バイアスDIVを補正する。
【0034】
詳細には、各濃度検知センサ25L,25Rは、搬送ベルト73の幅方向(左右方向)の各端部に対向して配置されている。各濃度検知センサ25L,25Rは、例えば、発光素子(例えばLED)と受光素子(例えばフォトトランジスタ)とを備える反射型の光学センサである。具体的には、発光素子は、搬送ベルト73の表面に対して斜め方向からスポット光SPを照射し、搬送ベルト73の表面からのスポット光SPの反射光を受光素子が受光する。そして、各濃度検知センサ25L,25Rは、反射光のレベルに応じて、搬送ベルト73上に形成される現像バイアス補正用画像5の濃度を検出する。検出された現像バイアス補正用画像5の濃度に応じて、現像ローラ63に印加される現像バイアスが補正される。ここで、スポット光SPは、現像バイアス補正用画像5上において、第1検知幅DW1と第2検知幅DW2とを有する(図6参照)。
【0035】
2.制御装置と現像バイアス生成回路の説明
制御装置100はカラープリンタ1の全体を制御するものであり、CPUなどから構成される演算制御部100A、レジスタ102、およびEEPROM104を含む。
【0036】
制御装置100は、後述するように、濃度センサ25による現像バイアス補正用画像5の検出結果に基づいて、潜像を現像するために画像形成部30に印加される現像バイアスDIVを補正する。詳しくは、現像バイアスDIVは画像形成部30の現像ローラ63に印加される。また、制御装置100は、現像バイアス補正用画像5の横ライン(直線部に相当)6が濃度検知センサ25の第2検知幅DW2以上の長さで形成されるように、LED露光ヘッド41および画像形成部30を制御する。すなわち、制御装置100は、制御部の一例である。
【0037】
EEPROM104は、演算制御部100Aが実行するプログラムや現像バイアス補正用の補正テーブルRT等を格納する。補正テーブルRTに格納されたデータの一部がレジスタ102に設定される。
【0038】
現像バイアス生成回路110は、制御装置100の制御にしたがって各現像ローラ63K,63Y,63M,63Cに印加する現像バイアスDIV−K,DIV−Y,DIV−M,DIV−Cを生成する。現像バイアス生成回路110は、例えば、発振トランジスタ、トランスを含む自励式高圧発生回路である。現像バイアス生成回路110の出力電圧、すなわち、現像バイアスDIVの電圧値は、例えば、制御装置100からのPWM(パルス幅変調)信号によって制御される。なお、図4には、一個の現像バイアス生成回路110によって各現像バイアスDIVを生成する例を示すが、個別の現像バイアス生成回路によって各現像バイアスDIVを個別に生成するようにしてもよい。
【0039】
3.現像バイアス補正用画像
次に、図5から図8を参照して、本実施形態に係る現像バイアス補正用画像5について説明する。図5はLED露光ヘッド41のビーム形状を説明する図であり、図6は焦点ズレ量に対する主径および副径の変化を示すグラフである。また、図7は現像バイアス補正用画像5の平面図であり、図8は図7の一部拡大図である。
【0040】
本実施形態においては、現像バイアス補正用画像として、図7に示される、複数の横ライン(直線部に相当)6を含む現像バイアス補正用画像5が使用される。それは以下の理由による。
【0041】
すなわち、LED露光ヘッド41は感光体ドラム53に近接して設けられるため、LED露光ヘッド41の焦点深度は浅い。詳しくは、一般に、焦点深度はレンズ系の開口数が大きいほど浅い。また、LED露光ヘッド41の開口数は、用紙搬送方向(前後方向:図1参照)に比べ感光ドラム軸方向が大きくなるように設定される。したがって、LED露光ヘッド41の感光ドラム軸方向の焦点深度は浅い。
【0042】
詳細には、LED露光ヘッド41は、感光体軸方向にm列,被記録媒体搬送方向にn列(m>n)の屈折率分布型ロッドレンズが集積され、各LEDの発光点を感光体ドラム53上に正立等倍に結像する露光ヘッドである(図3参照)。ここでm,nは正の整数。m>nのため、感光体軸方向の開口数が大きく、感光ドラム軸方向の焦点深度は浅い。本実施形態においては、mは印字領域に対応する値となり、nはn=2となる。
【0043】
そのため、LEDアレイチップ41bの設置誤差等によって、LED露光ヘッド41の焦点が光軸方向(上下方向:図3参照)にずれると、LEDのビーム断面形状が円形から変形する。図5は、焦点ズレがない場合と、160μmの焦点ズレがある場合のLEDのビーム断面(1ドットに対応する)を示す。図5に示されるように、LED露光ヘッド41の焦点がずれる場合、ビーム断面の感光ドラム軸方向の径(以下、「主径」という)と、ビーム断面の用紙搬送方向の径(以下、「副径」という)とが増加する。
【0044】
図5および図6に示されるように、LED露光ヘッド41の焦点がずれる場合、上記したように、LED露光ヘッド41の開口数の用紙搬送方向と感光ドラム軸方向との相違によって、特に主径の増加が顕著となる。このように、LED露光ヘッド41の焦点ズレによってLEDのビーム断面の主径が増加すると露光領域が感光体軸方向に広がり、現像バイアス補正用画像の形状によっては、正確な現像バイアス補正用画像が形成されなくなる。すなわち、現像バイアス補正による正確な濃度補正が出来なくなる。そのため、本実施形態では、図7に示されるような、複数の横ライン6を含む現像バイアス補正用画像5が形成される。
【0045】
各横ライン6は、「感光体の軸方向に延びる直線部」に相当する。各横ライン6は、図7に示されるように、スポット光SPの第2検知幅DW2以上の長さを有する。現像バイアス補正用画像5の大きさは、例えば、横(感光体軸方向の長さ)15.2mm、縦(用紙搬送方向の長さ)18mmである。このような、形状の横ライン6によって現像バイアス補正用画像5を形成することによって、LEDビーム断面の感光体軸方向への広がりによる影響を低減することができる。
【0046】
また、図8に示されるように、現像バイアス補正用画像5は、画素単位として、LED露光ヘッド41による露光単位(42.3μm×42.3μm)に対応した画素ドットP(以下、単に「ドット」という)を有する。各横ライン6は、図8に示されるように、1ドットPの2個分以上の幅である所定の間隔、本実施形態では3ドット幅の間隔7を開けて形成されている。これは、各横ライン6の間隔7が1ドット幅であると、実質、現像バイアス補正用画像5はベタ画像になってしまう可能性があるからである。そのため、このように、各横ライン6の間隔7を2ドット幅以上とすることにより、現像バイアス補正用画像5がベタ画像になることを回避することができる。
【0047】
また、各横ライン6は、感光体軸方向に連続するドットPによって形成される単位直線Lによって構成される。詳しくは、各横ライン6は、用紙搬送方向に連続する2本以上の単位直線Lを含む。本実施形態では、各横ライン6は、用紙搬送方向に連続する3本の単位直線L1,L2,L3を含む。これは、横ライン6が1本の単位直線Lのみだとトナーが乗りにくいためである。このように、横ライン6を2本以上の単位直線Lによって構成することで、トナーが乗りやすくて、適正な現像バイアス補正用画像5を形成することができる。
【0048】
4.現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理
次に、図9〜図12を参照して、現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理を説明する。図9は、現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理の概要を示すフローチャートである。図10は、ガンマ補正を説明するグラフである。また、図11および図12は、ガンマ補正のための2種類のディザパターン系列を示す平面図である。なお、図11および図12では濃度20%および60%用の濃度パターンのみが示される。現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理は、所定のプログラムにしたがって、主に制御装置100によって実行される。
【0049】
まず、制御装置100は、LED露光ヘッド41および画像形成部30を制御して、図7に示される現像バイアス補正用画像5を搬送ベルト73上に形成する(ステップS110)。次いで、濃度検知センサ25L,25Rの発光部を所定のタイミングで発光させ、現像バイアス補正用画像5にスポット光SPを照射させる。そして、スポット光SPの反射光に対応した検出電圧値を濃度検知センサ25L,25Rから取得し、検出電圧値に基づいて現像バイアスDIVを補正する(ステップS120)。その際、例えば、制御装置100の演算制御部100Aは、補正テーブルRTを参照して、現像バイアスDIVを補正する。補正テーブルRTには、例えば、濃度検知センサ25L,25Rの検出電圧値が現像バイアス補正値に対応させて格納されている。
【0050】
次いで、制御装置100は、補正された現像バイアスDIVが生成されるように現像バイアス生成回路110を制御し、所定濃度の2種類のディザ画像(第2補正用画像に相当する)を形成する。制御装置100は、所定濃度、例えば、濃度20%、40%、60%、80%の、それぞれ2種類のディザ画像を、LED露光ヘッド41および画像形成部30を制御して搬送ベルト73上に形成する(ステップS210)。例えば、濃度20%用には、図11および図12に示される、濃度20%の2種類のディザ画像が形成される。また、濃度60%用には、図11および図12に示される濃度60%の2種類のディザ画像が形成される。
【0051】
なお、各ディザ濃度の2種類のディザ画像を使用することに限られず、3種類あるいは4種類のディザ画像が使用されてもよい。すなわち、各ディザ濃度の2種類以上のディザ画像を使用することが好ましい。
ここで、ディザ濃度(所定濃度)の2種類以上のディザ画像を使用することが好ましいのは、以下の理由による。
【0052】
単純に濃度が高い/低いだけなら、1種類のディザ画像を用いてディザ濃度を測定し、結果に応じてガンマ曲線をオフセット(補正)すればよい。しかしながら、LEDアレイ41bの焦点ズレが発生した場合、濃い部分はドットが潰れて周囲のドットと重なって強め合うために濃くなりやすくなり、薄い部分はドットが潰れる上に周囲に強め合えるドットも存在しないために薄くなりやすい。そのため、正確なガンマ曲線を得るために、各濃度の検出に対して2種類以上のディザ画像を使用することが好ましい。すなわち、LEDアレイ41bに焦点ズレが発生していた場合、高濃度のディザ画像は濃くなり易く、低濃度のディザは薄くなり易い。そのため、その変化を補正するという意味では、2種類以上のディザ画像を用いて各濃度を測定し、例えば、その平均濃度に基づいてガンマ曲線を補正することが好ましい。
【0053】
また、ガンマ曲線を補正する際のディザ画像として、露光ヘッドの焦点位置ずれに伴う露光ビーム径の前記感光体軸方向の変化による濃度検出への影響を受けやすいディザ画像、例えば、本実施形態のように斜めディザ画像を使用することが好ましい。斜めディザ画像を使用する場合、より緻密にガンマ補正を行うことができる。それは、以下の理由による。
【0054】
すなわち、上記したように、LEDアレイ41bに焦点ズレが生じた場合、ビームの主径/副径ともに変化が生じるため、特定ディザパターンを印字した際の濃度が、焦点ズレが無い場合と比較して変化する。そのため、上記濃度補正では主径変化の影響を受けない横ライン画像を用いた。しかしながら、横ライン画像は主径変化の影響を受けないため濃度変化を見るためには適正とは言えない。すなわち、濃度変化を見る際には、カラープリンタで用いられるような様々なディザ(斜め線/点群)のように、主径/副径方向それぞれに空白ドット部を持つディザ画像でなければ、濃度変化を正しく見ることが出来ない。そのため、主方向/副方向それぞれに空白ドット部を持つディザ画像であれば、焦点ズレ影響を考慮した各濃度に対する測定が可能となる。
【0055】
次いで、制御装置100は、濃度検知センサ25L,25Rを制御して、各ディザ画像に対応した検出電圧値を取得し、検出電圧値に基づいて各ディザ画像の濃度を検出する(ステップS220)。そして、演算制御部100Aは、各濃度からLED露光ヘッド41のガンマ曲線GC1を算出する。次いで、演算制御部100Aは、理想ガンマ曲線GCRの各階調(ディザ)と濃度との関係を示すデータと、ガンマ曲線GC1のデータを比較して、各階調(ディザパターン)を補正する(ステップS220)。
【0056】
例えば、画像データ(ディザパターンデータ)に対応した階調が「204」である場合、補正しない場合、濃度90%となるが、階調を「165」に補正することによって、濃度80%が得られる。同様に、画像データに対応した階調が「51」である場合、補正しない場合、濃度10%となるが、階調を「65」に補正することによって、濃度20%が得られる。このように画像データの各階調(ディザ)を補正することによって、ガンマ曲線GC1を理想ガンマ曲線GCRに近似することができる。
【0057】
このように、本実施形態では、現像バイアス補正用画像5を用いた現像バイアス補正処理の後にガンマ補正処理が行われる。そのため、LED露光ヘッド41のように焦点深度の浅い露光ヘッドを有する画像形成装置において、現像バイアス補正時において現像バイアスの補正量を小さくでき、それによってガンマ補正の精度を確保できる。その結果、LED露光ヘッド41を用いた画像形成装置において、所望の画質再現性を確保できる。また、現像バイアスDIVの補正量が大きいと、狙ったディザパターンが色毎に違ってきて、画質再現性が低下する。そのため、特に、カラープリンタ1において、カラー画像の画質再現性の低下を抑制できる。
【0058】
なお、現像バイアス補正処理(S110−S120)およびガンマ補正処理(S210−S220)は、カラープリンタ1の出荷前に行われてもよいし、出荷後に行われるようにしてもよい。出荷前に行われる場合、例えば、現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理を制御装置100によって行ってもよいし、あるいは、現像バイアス補正処理を制御装置100によって行い、ガンマ補正処理を所定のガンマ補正装置を用いて行ってもよい。また、出荷後に行われる場合には、例えば、現像バイアス補正処理はカラープリンタ1の電源オン時に行い、ガンマ補正処理はユーザによる処理指示にしたがって行うようにしてもよい。
【0059】
5.実施形態の効果
感光ドラム53に近接して配置されるLED露光ヘッド41では、焦点深度が浅いため、焦点ズレが生じやすい。また、一般に焦点ズレが生じた場合、露光範囲が感光体軸方向に広がる傾向にある。そのため、現像バイアス補正用画像5を、第2検知幅DW2以上の長さで感光体軸方向に延びる複数の横ライン6で構成することによって、焦点ズレによる現像バイアス補正用画像5の濃度検出への影響、すなわち、濃度検出の誤差を抑えることができる。その結果、焦点深度の浅いLED露光ヘッド41を有するカラープリンタ1において、画像濃度補正のための現像バイアスDIVの変更幅が大きくなるのを抑制でき、現像バイアスDIVの補正が適正になされる。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態では、搬送ベルト73の幅方向の両端部に対向して、2個の濃度検知センサ25L,25Rを設け、各濃度検知センサ25L,25Rによって検出される検出画像濃度の平均値を求める例を示したがこれに限られない。すなわち、搬送ベルト73の幅方向の何れか一端部に対向して1個の濃度検知センサ25を設け、1個の濃度検知センサ25によって検出される検出画像濃度に基づいて、現像バイアスDIVを補正するようにしてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態では、現像バイアス補正用画像(第1補正用画像)5として、図7に示されるような複数の横ライン(直線部)6を含む例を示したがこれに限られない。現像バイアス補正用画像5は一本の横ライン6を含むものであってもよい。また、横ライン6は、図7に示されるように、現像バイアス補正用画像5の一端から他端まで感光体の軸方向に貫く直線であるものに限られない。要は、現像バイアス補正用画像5が濃度検知センサ25の第2検知幅DW2以上の長さで形成された直線部を含むものであればよい。例えば、図7に示される現像バイアス補正用画像5において、画像の中心部は直線で形成され、端部は曲線であってもよい。
【0063】
(3)発光素子PはLEDに限られず、発光素子Pは、例えば、有機ELであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…プリンタ、5…現像バイアス補正用画像、6…横ライン、25L,25R…濃度検知センサ、30…画像形成部、40…LEDユニット、41…LED露光ヘッド、53…感光ドラム、63…現像ローラ、73…搬送ベルト、100…制御装置、110…現像バイアス生成回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および画像形成補正方法に関し、詳しくは、画像形成に係る現像バイアス補正およびガンマ補正に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、印刷条件毎に使用する濃度パッチデータ(ディザパターンデータ)を変更して濃度パッチ(ディザパターン)を形成し、濃度パッチの濃度を測定した結果を用いて印刷画像の濃度補正(ガンマ補正)を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−114343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガンマ補正を行う前に、現像バイアス補正を行うことがあるが、焦点ズレの大きいLED露光で形成した濃度パッチ(補正用画像)で現像バイアス補正を行うと、想定よりも現像バイアスを補正する幅が大きくなり、孤立ドットや細線等の再現性が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、露光ヘッドを有する画像形成装置において、画像濃度補正のために補正する現像バイアスの補正幅が大きくなるのを抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像形成装置は、感光体と、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサと、制御部とを備え、前記制御部は、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成させ、前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する。
【0007】
上記画像形成装置において、前記直線部は所定の間隔で形成された複数の直線部を含み、前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、前記所定の間隔は、前記画素ドットの2個分以上の幅を有するようにしてもよい。
【0008】
また、上記画像形成装置において、前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、前記各直線部は、前記感光体軸方向に連続する前記画素ドットによって形成される単位直線によって構成され、前記各直線部は、前記搬送方向に連続する、2本以上の単位直線を含むようにしてもよい。
【0009】
また、上記画像形成装置において、前記制御部は、現像バイアス補正を行った後、ガンマ補正を行うようにしてもよい。その際、前記制御部は、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、前記ガンマ補正を行うようにしてもよい。また、前記第2補正用画像は、ディザ画像であることが好ましい。
【0010】
また、上記画像形成装置において、前記画像形成装置はカラー画像を形成するものとし、前記感光体、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部は、前記カラー画像を形成するための各色の現像剤に対応してそれぞれ複数設けられるようにしてもよい。
【0011】
また、上記画像形成装置において、前記露光ヘッドは複数のLEDから成る、LED露光ヘッドであることが好ましい。
【0012】
また、本明細書によって開示される画像形成補正方法は、感光体と、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサとを備えた画像形成装置において、画像形成に係る補正を行う画像形成補正方法であって、該方法は、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成する、補正用画像形成工程と、前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する現像バイアス補正工程と、現像バイアス補正工程の後に、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、ガンマ補正を行うガンマ補正工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感光体に近接して配置される露光ヘッド、例えば、LED露光ヘッドでは、焦点深度が浅いため、焦点ズレが生じやすい。また、一般に焦点ズレが生じた場合、露光範囲が感光体軸方向に広がる傾向にある。そのため、補正用画像を感光体軸方向に延びる直線部によって構成することによって、焦点ズレによる補正用画像の濃度検出への影響、すなわち、濃度検出の誤差を抑えることができる。その結果、焦点深度の浅い露光ヘッドを有する画像形成装置において、画像濃度補正のための現像バイアスの変更幅が大きくなるのを抑制でき、現像バイアスの補正が適正になされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係るカラープリンタの要部側断面図
【図2】LEDユニットおよびプロセスカートリッジの拡大図
【図3】LED露光ヘッドの説明図
【図4】現像バイアス生成回路および制御装置のブロック図
【図5】LED露光ヘッドのビーム形状の説明図
【図6】焦点ズレ量とビーム径の関係を示すグラフ
【図7】現像バイアス補正用画像を示す平面図
【図8】図6の部分拡大図
【図9】現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理を概略的に示すフローチャート
【図10】ガンマ補正を説明するグラフ
【図11】ディザパターンの一系列を示す平面図
【図12】ディザパターンの別の一系列を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
一実施形態について図1から図12を参照しつつ説明する。
1.カラープリンタの全体構成
図1は、一実施形態に係る電子写真方式のカラープリンタ1の要部を概略的に示す側断面図である。カラープリンタ1は、画像形成装置の一例である。カラープリンタ1は、図1に示すように、その本体筐体10内に、用紙Sを供給する給紙部20、給紙された用紙(被記録媒体の一例)Sに画像を形成する画像形成部30、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90、およびこれらの各部の動作を制御する制御装置100とを備える。
【0016】
なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。また、画像形成装置はカラープリンタ1に限られず、例えば、モノクロプリンタ、コピー機能およびFAX機能を有する複合機であってもよい。
【0017】
本体筐体10の上部には、開閉自在なアッパーカバー12が設けられている。アッパーカバー12の上面は、本体筐体10から排出された用紙Sを蓄積する排紙トレイ13となっている。排紙トレイ13の下方には露光部の一例である4つのLEDユニット40K,40Y,40M,40Cが設けられている。4つのLEDユニット40K〜40Cは、それぞれ、ブラックK、イエローY、マゼンタM、シアンCの4色のトナーによって色毎に現像される静電潜像を形成する。
【0018】
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、本体筐体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24を主に備えている。
【0019】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Sが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、搬送経路28を通って後向に方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0020】
画像形成部30は、4つのプロセスカートリッジ50K,50Y,50M,50C、転写ユニット70、定着ユニット80とを含む。4つのプロセスカートリッジ50K〜50Cは、それぞれ、色毎に形成された静電潜像を上記4色のトナーによって現像する。
【0021】
各プロセスカートリッジ50K〜50Cは、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、図2に示すように、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に対して着脱自在に装着される現像ユニット61とを含む。プロセスカートリッジ50は、感光体ドラム53を支持している。なお、各プロセスカートリッジ50K〜50Cは、現像ユニット61のトナー収容室66に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0022】
ドラムユニット51は、感光体の一例としての感光体ドラム53と、スコロトロン型帯電器54とを含む。
【0023】
現像ユニット61は、現像ローラ63、供給ローラ64、およびトナー(現像剤に相当)を収容するトナー収容室66を有している。現像ローラ63は現像部に相当する。現像ローラ63は、現像バイアスDIVの印加によってトナーを感光体ドラム53に付着させて感光体ドラム53上の潜像を現像して現像剤像を形成する。
【0024】
現像ユニット61がドラムユニット51に装着され、これにより、図2に示されるように、上方から感光体ドラム53を臨める露光穴55が形成される。露光穴55の下端にLED露光ヘッド41を保持したLEDユニット40が挿入される。
【0025】
LED露光ヘッド(露光ヘッドの一例)41は、用紙Sの搬送方向(前後方向)に直交する主走査方向(左右方向)に複数の発光素子Pを配置したものである。主走査方向は搬送ベルト73の幅方向と等しい。LED露光ヘッド41は、図3に示されるように、回路基板41a、LEDアレイチップ41b、および屈折率分布型ロッドレンズアレイ41cを含む。詳しくは、回路基板41a上に、例えば20個のLEDアレイチップ41bが主走査方向に千鳥配置されている。各LEDアレイチップ41bは半導体プロセスにより、半導体基板上に、発光素子Pの一例であるLED(発光ダイオード)を複数形成したものである。LEDアレイチップ41bの光出力側に屈折率分布型ロッドレンズアレイ41cが設けられている。
【0026】
また、本体筐体10内には、各プロセスカートリッジ50を着脱自在に収容するカートリッジドロア15が設けられている。
【0027】
転写ユニット70は、図1に示すように、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト(搬送部材の一例)73および転写ローラ74を含む。
【0028】
駆動ローラ71および従動ローラ72の間に搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光体ドラム53に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光体ドラム53との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光体ドラム53に対向して4つ配置されている。転写ローラ74には、転写時に転写バイアスが印加される。
【0029】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の奥側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを含む。
【0030】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光体ドラム53の表面である感光面53Aが、スコロトロン型帯電器54により一様に帯電された後、各LED露光ヘッド41から照射されるLED光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0031】
また、トナー収容室66内のトナーが、供給ローラ64の回転により現像ローラ63に供給され担持される。現像ローラ63上に担持されたトナーは、現像ローラ63が感光体ドラム53に対向して接触するときに、現像バイアスDIVの印加によって、感光体ドラム53上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム53上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、反転現像によりトナー像(現像剤像)が形成される。
【0032】
次に、搬送ベルト73上に供給された用紙Sが各感光体ドラム53と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光体ドラム53上に形成されたトナー像が用紙S上に転写される。そして、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙S上に転写されたトナー像が熱定着される。熱定着された用紙Sは、排紙部90を介して、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13に蓄積される。
【0033】
また、搬送ベルト73の後側下方において、2個の濃度検知センサ(濃度センサの一例)25L,25Rが設けられている。濃度検知センサ25L,25Rは、用紙搬送方向(前後方向:図1参照)の検知幅である第1検知幅DW1と、感光ドラム53の軸方向(左右方向:図1参照)の検知幅である第2検知幅DW2とを有し、搬送ベルト73上に形成される現像バイアス補正用画像5(第1補正用画像に相当)の濃度を検出する(図6参照)。本実施形態では、このように2個の濃度検知センサ25L,25Rを設け、各濃度検知センサ25L,25Rによって検出される検出画像濃度の平均値を求め、濃度平均値に基づいて現像バイアスDIVを補正する。
【0034】
詳細には、各濃度検知センサ25L,25Rは、搬送ベルト73の幅方向(左右方向)の各端部に対向して配置されている。各濃度検知センサ25L,25Rは、例えば、発光素子(例えばLED)と受光素子(例えばフォトトランジスタ)とを備える反射型の光学センサである。具体的には、発光素子は、搬送ベルト73の表面に対して斜め方向からスポット光SPを照射し、搬送ベルト73の表面からのスポット光SPの反射光を受光素子が受光する。そして、各濃度検知センサ25L,25Rは、反射光のレベルに応じて、搬送ベルト73上に形成される現像バイアス補正用画像5の濃度を検出する。検出された現像バイアス補正用画像5の濃度に応じて、現像ローラ63に印加される現像バイアスが補正される。ここで、スポット光SPは、現像バイアス補正用画像5上において、第1検知幅DW1と第2検知幅DW2とを有する(図6参照)。
【0035】
2.制御装置と現像バイアス生成回路の説明
制御装置100はカラープリンタ1の全体を制御するものであり、CPUなどから構成される演算制御部100A、レジスタ102、およびEEPROM104を含む。
【0036】
制御装置100は、後述するように、濃度センサ25による現像バイアス補正用画像5の検出結果に基づいて、潜像を現像するために画像形成部30に印加される現像バイアスDIVを補正する。詳しくは、現像バイアスDIVは画像形成部30の現像ローラ63に印加される。また、制御装置100は、現像バイアス補正用画像5の横ライン(直線部に相当)6が濃度検知センサ25の第2検知幅DW2以上の長さで形成されるように、LED露光ヘッド41および画像形成部30を制御する。すなわち、制御装置100は、制御部の一例である。
【0037】
EEPROM104は、演算制御部100Aが実行するプログラムや現像バイアス補正用の補正テーブルRT等を格納する。補正テーブルRTに格納されたデータの一部がレジスタ102に設定される。
【0038】
現像バイアス生成回路110は、制御装置100の制御にしたがって各現像ローラ63K,63Y,63M,63Cに印加する現像バイアスDIV−K,DIV−Y,DIV−M,DIV−Cを生成する。現像バイアス生成回路110は、例えば、発振トランジスタ、トランスを含む自励式高圧発生回路である。現像バイアス生成回路110の出力電圧、すなわち、現像バイアスDIVの電圧値は、例えば、制御装置100からのPWM(パルス幅変調)信号によって制御される。なお、図4には、一個の現像バイアス生成回路110によって各現像バイアスDIVを生成する例を示すが、個別の現像バイアス生成回路によって各現像バイアスDIVを個別に生成するようにしてもよい。
【0039】
3.現像バイアス補正用画像
次に、図5から図8を参照して、本実施形態に係る現像バイアス補正用画像5について説明する。図5はLED露光ヘッド41のビーム形状を説明する図であり、図6は焦点ズレ量に対する主径および副径の変化を示すグラフである。また、図7は現像バイアス補正用画像5の平面図であり、図8は図7の一部拡大図である。
【0040】
本実施形態においては、現像バイアス補正用画像として、図7に示される、複数の横ライン(直線部に相当)6を含む現像バイアス補正用画像5が使用される。それは以下の理由による。
【0041】
すなわち、LED露光ヘッド41は感光体ドラム53に近接して設けられるため、LED露光ヘッド41の焦点深度は浅い。詳しくは、一般に、焦点深度はレンズ系の開口数が大きいほど浅い。また、LED露光ヘッド41の開口数は、用紙搬送方向(前後方向:図1参照)に比べ感光ドラム軸方向が大きくなるように設定される。したがって、LED露光ヘッド41の感光ドラム軸方向の焦点深度は浅い。
【0042】
詳細には、LED露光ヘッド41は、感光体軸方向にm列,被記録媒体搬送方向にn列(m>n)の屈折率分布型ロッドレンズが集積され、各LEDの発光点を感光体ドラム53上に正立等倍に結像する露光ヘッドである(図3参照)。ここでm,nは正の整数。m>nのため、感光体軸方向の開口数が大きく、感光ドラム軸方向の焦点深度は浅い。本実施形態においては、mは印字領域に対応する値となり、nはn=2となる。
【0043】
そのため、LEDアレイチップ41bの設置誤差等によって、LED露光ヘッド41の焦点が光軸方向(上下方向:図3参照)にずれると、LEDのビーム断面形状が円形から変形する。図5は、焦点ズレがない場合と、160μmの焦点ズレがある場合のLEDのビーム断面(1ドットに対応する)を示す。図5に示されるように、LED露光ヘッド41の焦点がずれる場合、ビーム断面の感光ドラム軸方向の径(以下、「主径」という)と、ビーム断面の用紙搬送方向の径(以下、「副径」という)とが増加する。
【0044】
図5および図6に示されるように、LED露光ヘッド41の焦点がずれる場合、上記したように、LED露光ヘッド41の開口数の用紙搬送方向と感光ドラム軸方向との相違によって、特に主径の増加が顕著となる。このように、LED露光ヘッド41の焦点ズレによってLEDのビーム断面の主径が増加すると露光領域が感光体軸方向に広がり、現像バイアス補正用画像の形状によっては、正確な現像バイアス補正用画像が形成されなくなる。すなわち、現像バイアス補正による正確な濃度補正が出来なくなる。そのため、本実施形態では、図7に示されるような、複数の横ライン6を含む現像バイアス補正用画像5が形成される。
【0045】
各横ライン6は、「感光体の軸方向に延びる直線部」に相当する。各横ライン6は、図7に示されるように、スポット光SPの第2検知幅DW2以上の長さを有する。現像バイアス補正用画像5の大きさは、例えば、横(感光体軸方向の長さ)15.2mm、縦(用紙搬送方向の長さ)18mmである。このような、形状の横ライン6によって現像バイアス補正用画像5を形成することによって、LEDビーム断面の感光体軸方向への広がりによる影響を低減することができる。
【0046】
また、図8に示されるように、現像バイアス補正用画像5は、画素単位として、LED露光ヘッド41による露光単位(42.3μm×42.3μm)に対応した画素ドットP(以下、単に「ドット」という)を有する。各横ライン6は、図8に示されるように、1ドットPの2個分以上の幅である所定の間隔、本実施形態では3ドット幅の間隔7を開けて形成されている。これは、各横ライン6の間隔7が1ドット幅であると、実質、現像バイアス補正用画像5はベタ画像になってしまう可能性があるからである。そのため、このように、各横ライン6の間隔7を2ドット幅以上とすることにより、現像バイアス補正用画像5がベタ画像になることを回避することができる。
【0047】
また、各横ライン6は、感光体軸方向に連続するドットPによって形成される単位直線Lによって構成される。詳しくは、各横ライン6は、用紙搬送方向に連続する2本以上の単位直線Lを含む。本実施形態では、各横ライン6は、用紙搬送方向に連続する3本の単位直線L1,L2,L3を含む。これは、横ライン6が1本の単位直線Lのみだとトナーが乗りにくいためである。このように、横ライン6を2本以上の単位直線Lによって構成することで、トナーが乗りやすくて、適正な現像バイアス補正用画像5を形成することができる。
【0048】
4.現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理
次に、図9〜図12を参照して、現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理を説明する。図9は、現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理の概要を示すフローチャートである。図10は、ガンマ補正を説明するグラフである。また、図11および図12は、ガンマ補正のための2種類のディザパターン系列を示す平面図である。なお、図11および図12では濃度20%および60%用の濃度パターンのみが示される。現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理は、所定のプログラムにしたがって、主に制御装置100によって実行される。
【0049】
まず、制御装置100は、LED露光ヘッド41および画像形成部30を制御して、図7に示される現像バイアス補正用画像5を搬送ベルト73上に形成する(ステップS110)。次いで、濃度検知センサ25L,25Rの発光部を所定のタイミングで発光させ、現像バイアス補正用画像5にスポット光SPを照射させる。そして、スポット光SPの反射光に対応した検出電圧値を濃度検知センサ25L,25Rから取得し、検出電圧値に基づいて現像バイアスDIVを補正する(ステップS120)。その際、例えば、制御装置100の演算制御部100Aは、補正テーブルRTを参照して、現像バイアスDIVを補正する。補正テーブルRTには、例えば、濃度検知センサ25L,25Rの検出電圧値が現像バイアス補正値に対応させて格納されている。
【0050】
次いで、制御装置100は、補正された現像バイアスDIVが生成されるように現像バイアス生成回路110を制御し、所定濃度の2種類のディザ画像(第2補正用画像に相当する)を形成する。制御装置100は、所定濃度、例えば、濃度20%、40%、60%、80%の、それぞれ2種類のディザ画像を、LED露光ヘッド41および画像形成部30を制御して搬送ベルト73上に形成する(ステップS210)。例えば、濃度20%用には、図11および図12に示される、濃度20%の2種類のディザ画像が形成される。また、濃度60%用には、図11および図12に示される濃度60%の2種類のディザ画像が形成される。
【0051】
なお、各ディザ濃度の2種類のディザ画像を使用することに限られず、3種類あるいは4種類のディザ画像が使用されてもよい。すなわち、各ディザ濃度の2種類以上のディザ画像を使用することが好ましい。
ここで、ディザ濃度(所定濃度)の2種類以上のディザ画像を使用することが好ましいのは、以下の理由による。
【0052】
単純に濃度が高い/低いだけなら、1種類のディザ画像を用いてディザ濃度を測定し、結果に応じてガンマ曲線をオフセット(補正)すればよい。しかしながら、LEDアレイ41bの焦点ズレが発生した場合、濃い部分はドットが潰れて周囲のドットと重なって強め合うために濃くなりやすくなり、薄い部分はドットが潰れる上に周囲に強め合えるドットも存在しないために薄くなりやすい。そのため、正確なガンマ曲線を得るために、各濃度の検出に対して2種類以上のディザ画像を使用することが好ましい。すなわち、LEDアレイ41bに焦点ズレが発生していた場合、高濃度のディザ画像は濃くなり易く、低濃度のディザは薄くなり易い。そのため、その変化を補正するという意味では、2種類以上のディザ画像を用いて各濃度を測定し、例えば、その平均濃度に基づいてガンマ曲線を補正することが好ましい。
【0053】
また、ガンマ曲線を補正する際のディザ画像として、露光ヘッドの焦点位置ずれに伴う露光ビーム径の前記感光体軸方向の変化による濃度検出への影響を受けやすいディザ画像、例えば、本実施形態のように斜めディザ画像を使用することが好ましい。斜めディザ画像を使用する場合、より緻密にガンマ補正を行うことができる。それは、以下の理由による。
【0054】
すなわち、上記したように、LEDアレイ41bに焦点ズレが生じた場合、ビームの主径/副径ともに変化が生じるため、特定ディザパターンを印字した際の濃度が、焦点ズレが無い場合と比較して変化する。そのため、上記濃度補正では主径変化の影響を受けない横ライン画像を用いた。しかしながら、横ライン画像は主径変化の影響を受けないため濃度変化を見るためには適正とは言えない。すなわち、濃度変化を見る際には、カラープリンタで用いられるような様々なディザ(斜め線/点群)のように、主径/副径方向それぞれに空白ドット部を持つディザ画像でなければ、濃度変化を正しく見ることが出来ない。そのため、主方向/副方向それぞれに空白ドット部を持つディザ画像であれば、焦点ズレ影響を考慮した各濃度に対する測定が可能となる。
【0055】
次いで、制御装置100は、濃度検知センサ25L,25Rを制御して、各ディザ画像に対応した検出電圧値を取得し、検出電圧値に基づいて各ディザ画像の濃度を検出する(ステップS220)。そして、演算制御部100Aは、各濃度からLED露光ヘッド41のガンマ曲線GC1を算出する。次いで、演算制御部100Aは、理想ガンマ曲線GCRの各階調(ディザ)と濃度との関係を示すデータと、ガンマ曲線GC1のデータを比較して、各階調(ディザパターン)を補正する(ステップS220)。
【0056】
例えば、画像データ(ディザパターンデータ)に対応した階調が「204」である場合、補正しない場合、濃度90%となるが、階調を「165」に補正することによって、濃度80%が得られる。同様に、画像データに対応した階調が「51」である場合、補正しない場合、濃度10%となるが、階調を「65」に補正することによって、濃度20%が得られる。このように画像データの各階調(ディザ)を補正することによって、ガンマ曲線GC1を理想ガンマ曲線GCRに近似することができる。
【0057】
このように、本実施形態では、現像バイアス補正用画像5を用いた現像バイアス補正処理の後にガンマ補正処理が行われる。そのため、LED露光ヘッド41のように焦点深度の浅い露光ヘッドを有する画像形成装置において、現像バイアス補正時において現像バイアスの補正量を小さくでき、それによってガンマ補正の精度を確保できる。その結果、LED露光ヘッド41を用いた画像形成装置において、所望の画質再現性を確保できる。また、現像バイアスDIVの補正量が大きいと、狙ったディザパターンが色毎に違ってきて、画質再現性が低下する。そのため、特に、カラープリンタ1において、カラー画像の画質再現性の低下を抑制できる。
【0058】
なお、現像バイアス補正処理(S110−S120)およびガンマ補正処理(S210−S220)は、カラープリンタ1の出荷前に行われてもよいし、出荷後に行われるようにしてもよい。出荷前に行われる場合、例えば、現像バイアス補正処理およびガンマ補正処理を制御装置100によって行ってもよいし、あるいは、現像バイアス補正処理を制御装置100によって行い、ガンマ補正処理を所定のガンマ補正装置を用いて行ってもよい。また、出荷後に行われる場合には、例えば、現像バイアス補正処理はカラープリンタ1の電源オン時に行い、ガンマ補正処理はユーザによる処理指示にしたがって行うようにしてもよい。
【0059】
5.実施形態の効果
感光ドラム53に近接して配置されるLED露光ヘッド41では、焦点深度が浅いため、焦点ズレが生じやすい。また、一般に焦点ズレが生じた場合、露光範囲が感光体軸方向に広がる傾向にある。そのため、現像バイアス補正用画像5を、第2検知幅DW2以上の長さで感光体軸方向に延びる複数の横ライン6で構成することによって、焦点ズレによる現像バイアス補正用画像5の濃度検出への影響、すなわち、濃度検出の誤差を抑えることができる。その結果、焦点深度の浅いLED露光ヘッド41を有するカラープリンタ1において、画像濃度補正のための現像バイアスDIVの変更幅が大きくなるのを抑制でき、現像バイアスDIVの補正が適正になされる。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態では、搬送ベルト73の幅方向の両端部に対向して、2個の濃度検知センサ25L,25Rを設け、各濃度検知センサ25L,25Rによって検出される検出画像濃度の平均値を求める例を示したがこれに限られない。すなわち、搬送ベルト73の幅方向の何れか一端部に対向して1個の濃度検知センサ25を設け、1個の濃度検知センサ25によって検出される検出画像濃度に基づいて、現像バイアスDIVを補正するようにしてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態では、現像バイアス補正用画像(第1補正用画像)5として、図7に示されるような複数の横ライン(直線部)6を含む例を示したがこれに限られない。現像バイアス補正用画像5は一本の横ライン6を含むものであってもよい。また、横ライン6は、図7に示されるように、現像バイアス補正用画像5の一端から他端まで感光体の軸方向に貫く直線であるものに限られない。要は、現像バイアス補正用画像5が濃度検知センサ25の第2検知幅DW2以上の長さで形成された直線部を含むものであればよい。例えば、図7に示される現像バイアス補正用画像5において、画像の中心部は直線で形成され、端部は曲線であってもよい。
【0063】
(3)発光素子PはLEDに限られず、発光素子Pは、例えば、有機ELであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…プリンタ、5…現像バイアス補正用画像、6…横ライン、25L,25R…濃度検知センサ、30…画像形成部、40…LEDユニット、41…LED露光ヘッド、53…感光ドラム、63…現像ローラ、73…搬送ベルト、100…制御装置、110…現像バイアス生成回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、
前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、
前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、
前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、
前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成させ、
前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記直線部は所定の間隔で形成された複数の直線部を含み、
前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、
前記所定の間隔は、前記画素ドットの2個分以上の幅を有する、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、
前記各直線部は、前記感光体軸方向に連続する前記画素ドットによって形成される単位直線によって構成され、前記各直線部は、前記搬送方向に連続する、2本以上の単位直線を含む、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、現像バイアス補正を行った後、ガンマ補正を行う、画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、前記ガンマ補正を行う、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記第2補正用画像は、ディザ画像である、画像形成装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置はカラー画像を形成するものであり、
前記感光体、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部は、前記カラー画像を形成するための各色の現像剤に対応してそれぞれ複数設けられる、画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記露光ヘッドは複数のLEDから成る、LED露光ヘッドである、画像形成装置。
【請求項9】
感光体と、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサとを備えた画像形成装置において、画像形成に係る補正を行う画像形成補正方法であって、該方法は、
前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成する、補正用画像形成工程と、
前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する現像バイアス補正工程と、
現像バイアス補正工程の後に、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、ガンマ補正を行うガンマ補正工程と、
を含む、画像形成補正方法。
【請求項1】
感光体と、
被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、
前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、
前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、
前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、
前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成させ、
前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記直線部は所定の間隔で形成された複数の直線部を含み、
前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、
前記所定の間隔は、前記画素ドットの2個分以上の幅を有する、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記第1補正用画像は、画素単位として、前記露光ヘッドによる露光単位に対応した画素ドットを有し、
前記各直線部は、前記感光体軸方向に連続する前記画素ドットによって形成される単位直線によって構成され、前記各直線部は、前記搬送方向に連続する、2本以上の単位直線を含む、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、現像バイアス補正を行った後、ガンマ補正を行う、画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、前記ガンマ補正を行う、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記第2補正用画像は、ディザ画像である、画像形成装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置はカラー画像を形成するものであり、
前記感光体、前記露光ヘッドおよび前記画像形成部は、前記カラー画像を形成するための各色の現像剤に対応してそれぞれ複数設けられる、画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記露光ヘッドは複数のLEDから成る、LED露光ヘッドである、画像形成装置。
【請求項9】
感光体と、被記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部材と、前記感光体に近接して配置され、画像データに基づいて露光することによって前記感光体に潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体に形成された潜像を現像する現像部と、前記現像部によって現像された画像を前記被記録媒体または前記搬送部材上に形成する画像形成部と、前記搬送方向の検知幅である第1検知幅と、前記感光体軸方向の検知幅である第2検知幅とを有する濃度センサとを備えた画像形成装置において、画像形成に係る補正を行う画像形成補正方法であって、該方法は、
前記露光ヘッドおよび前記画像形成部を制御して、前記感光体軸方向に延びる、前記濃度センサの前記第2検知幅以上の長さを有する直線部を含む第1補正用画像を前記搬送部材上に形成する、補正用画像形成工程と、
前記濃度センサによる前記第1補正用画像の検出結果に基づいて、前記潜像を現像するために前記現像部に印加される現像バイアスを補正する現像バイアス補正工程と、
現像バイアス補正工程の後に、所定濃度の2種類以上の第2補正用画像を前記搬送部材上に形成し、前記濃度センサによる前記第2補正用画像の検出結果に基づいて、ガンマ補正を行うガンマ補正工程と、
を含む、画像形成補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−113989(P2013−113989A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259246(P2011−259246)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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